JP2010273498A - 超電導回転機および超電導回転機システム - Google Patents

超電導回転機および超電導回転機システム Download PDF

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Abstract

【課題】
かご形誘導機の基本構成を有するこれまでの高温超電導/誘導同期機の単純な構造、安価、容易な保守性等の利点を最大限堅持しつつそのトルク密度を飛躍的に高め、更なる高出力化や高効率化を達成し得る超電導回転機を提供する。
【解決手段】
超電導回転子7内に穿設した孔76aに高温超電導バルク体76を適用し、その完全反磁性に近い磁気遮蔽特性を利用する事によってリラクタンストルクを言わば究極まで高め、当該リラクタンストルクを、誘導/同期トルクを発生させるべく鉄心71の外周近傍に備えられ、高温超電導線と常電導線のハイブリッド2重構成からなるロータバー73a、74aが挿入されたスロット72を有する高温超電導かご形回転子7がゼロ抵抗状態(同期回転状態)となったところで発現するゼロ抵抗誘導トルク(超電導同期トルク)と共に有効利用する事で総トルクを飛躍的に向上させ得る超電導回転機1とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、超電導回転機および超電導回転機システムに関する。
省エネルギーと環境問題への関心の高まりに伴い、回転機についてもその高動力性能、高効率化が追い求められる中、これまでに多種多様にわたる開発が進められ、提案されている。
そのひとつとして、近年、誘導機の構成でありながら同期回転可能な超電導回転機が提案されている。本願発明者も、かかる提案を踏まえた上で新規かつ有用な画期的構成からなる超電導回転機につき、特願2008−69521号(以下、「先願発明」という)として出願を既に行っている。
ところで、上記の通り回転機のトルク密度向上に対するユーザー側の要求は高まる一方、これまで市場に供給されている回転機についてはいずれも様々な得失があり、現在に至っても決め手となるものが存在しないというのが実状である。
トルク密度向上を目的として開発され、提案されている回転機としては、主に次のようなものが挙げられる(例えば非特許文献1及び非特許文献2参照)。
非特許文献1に記載の回転機は、要するにその図5および[3.永久磁石リラクタンスモータ(PRM)]の記載に示されるように、単に鉄心ロータコアに挿入される永久磁石の量および配置について最適化を図ったリラクタンス機と解される。
非特許文献1によれば、かかる構成を採用することにより、リラクタンストルクを増大させ、同時に磁石と固定子電流により発生する磁石トルクと誘起電圧を下げたモータが実現されることが報告されている。
非特許文献2は、回転機において高温超電導バルク体の磁気遮蔽特性を利用したリラクタンストルクを活かす研究に係る報告例の内の一つである。
非特許文献2に記載の回転機は、例えばその図1および[1.まえがき]の記載に示されるように、単に鉄心ローターコアに高温超電導バルク体を挿入したものと、市販の誘導電動機の固定子とを組み合わせてなるリラクタンス機である。
非特許文献2によれば、リラクタンス機の回転子に高温超電導バルク体を挿入することにより、直軸リラクタンスと横軸リラクタンスの差が改善されることが報告されている。
新政憲、堺和人:「自動車用永久磁石リラクタンスモータの開発」、電学誌、128巻4号 (2008年)pp.231−234 石郷岡猛 他:「バルク高温超電導体を用いたリラクタンス機の試作と試験」、第67回2002年度秋季低温工学・超電導学会(2002年)3B−p07
非特許文献1に記載の回転機は、既存の永久磁石モータに、さらに、永久磁石の透磁率と鉄心の透磁率の差に伴うリラクタンス差から発現するリラクタンストルクを重畳させるべく改良を行ったものである。
しかしながら、非特許文献1に記載の回転機には少なくとも次の問題点がある。
(1)そもそも希土類系永久磁石自身が大変高価であり、回転機全体も高価となること。
(2)界磁に永久磁石を採用する限り、その程度の多少は別として高速回転時は一次巻線時にどうしても逆起電力が発生するため、いわゆる弱め界磁制御が必要となり、効率が低下してしまうこと。
また、非特許文献2に記載の回転機にもやはり問題点があり、これは次のとおり、本願発明者の先願発明との対比においても顕著な差異として説明され得るものであった。
すなわち、非特許文献2に記載の回転機は、単に鉄心ローターコアに高温超電導バルク体を挿入したものであり、回転子にかご形巻線を持たない。この点が本願発明者の先願発明との決定的な違いである。つまり、リラクタンス機の域を出ない非特許文献2に記載の回転機の構成では同期速度でしか回転し得ない。さらにそのような非特許文献2に記載の構造では、過負荷が印加された場合に同期外れを起こす可能性があり、それを起こさないために制御する必要がある。
一方、本願発明者の先願発明では、高温超電導かご形巻線が磁束フロー状態に移行してすべり回転が可能であり、過負荷が除かれれば速やかに同期回転状態に戻ることから、ロバストな回転機を実現可能である。
このように、非特許文献1及び非特許文献2をはじめ、トルク密度向上を謳いこれまで提案されている回転機についてはいずれも様々な問題があり、高まる一方であるユーザー側の要求に十分応えられる回転機は未だ世の中には現れていない。
ところで、本願発明者の先願発明においては、従来から広く使用されているかご形誘導回転機の2次側かご形巻線を、超電導線と常電導線(銅など)のハイブリッド2重構成とすることにより、世界初となる室温〜超電導状態における連続運転が可能になるとともに、すべりならびに同期運転の両立性や過負荷に対するロバスト性等を達成可能な、誘導機の構成でありながら同期回転可能な超電導回転子、超電導回転機および超電導回転機システムが完成されている。上記本願発明者の先願発明に係る超電導回転機等は極めて優れた特性を誇るものであり、これをベースにさらなる高トルク密度化を達成することができれば、既存の発想とは全く異なる独創的かつ有用な、しかもこれからも高まる一方であろうユーザー側の要求に十分応えられる回転機が提供できることは間違いない。
したがって本発明は、上記本願発明者の先願発明に係る基本的発想を更に発展させ、より高性能で実用化に適した超電導回転機および超電導回転機システムを提供することを課題とする。
上記課題を解決すべく種々検討を重ねた結果、本願出願人は、上記本願発明者の先願発明に係る超電導回転機等のさらなる高トルク密度化を達成するために、当該超電導回転機等の第二次子内に高温超電導バルク体を挿入し、その完全反磁性に近い磁気遮蔽特性を利用することによって所謂リラクタンストルクを言うなれば究極まで高め得ることを見い出し、当該リラクタンストルクを、上記本願発明者の先願発明に係る、高温超電導かご形回転子がゼロ抵抗状態(同期回転状態)となったところで発現するゼロ抵抗誘導トルク(超電導同期トルク)とともに有効利用することによって総トルクを飛躍的に向上させ得ることを確証して、本発明を完成した。
上記課題を解決するために本発明は、(1)回転磁界を発生させる一次側巻線を有する第一次子と、前記第一次子と相対回転し得る様前記第一次子と同軸上に配置される第二次子とからなる超電導回転機における超電導二次子であって、
前記第二次子は、単数または複数の超電導線を高導電性金属で被覆した単数または複数本の超電導線材からなるローターバーおよびエンドリングによって形成された超電導かご形巻線、或いは常電導材からなるローターバーおよびエンドリングによって形成された常電導かご形巻線の一方又は双方と、
前記第二次子の軸方向の実質上全長にわたり備え設けられた、少なくとも一つの超電導体と、
前記超電導かご形巻線或いは前記常電導かご形巻線の一方又は双方の前記各ローターバーを収容する複数のスロット、および前記超電導体を収容する少なくとも一つの穿孔を備えた二次側鉄心と、
前記第一次子と軸心が共通する回転軸と、
を含んでいて、
前記超電導二次子は、前記超電導回転機が相対回転状態にあるときに前記二次側鉄心と前記超電導体とのリラクタンス差によって発現するリラクタンストルクと、前記超電導かご形巻線或いは前記常電導かご形巻線の一方又は双方によって生じる同期トルク又は誘導トルクとの総トルクにより前記超電導回転機を相対回転させ得ることを特徴とする超電導二次子を提供するものである。
また本発明は、上記構成において、(2)前記第二次子は、前記超電導かご形巻線及び前記常電導かご形巻線の双方を備えており、
前記超電導かご形巻線が非超電導状態であるとき、前記回転磁界に起因して前記常電導かご形巻線に生じる誘導トルク主動で回転する一方、
前記超電導かご形巻線が超電導状態であるとき、前記超電導かご形巻線が前記回転磁界の磁束を捕捉することで生じる同期トルク主動で前記超電導回転機が相対回転するようになっており、さらに、
前記超電導回転機が相対回転状態にある下、前記超電導体が超電導状態であるとき、前記超電導体が磁気遮蔽体となることによるリラクタンストルクが発現するようになっており、
前記超電導かご形巻線及び前記超電導体が超電導状態であるときの総トルクが、前記同期トルク及び前記リラクタンストルクの合成トルクとして得られる様構成されてなることを特徴とする超電導二次子を提供するものである。
また本発明は、上記構成(1)において、(3)前記第二次子は、前記超電導かご形巻線のみを備えており、
前記超電導かご形巻線が超電導状態であるとき、前記超電導かご形巻線が前記回転磁界の磁束を捕捉することで生じる同期トルク主動で前記超電導回転機が相対回転するようになっており、さらに、
前記超電導回転機が相対回転状態にある下、前記超電導体が超電導状態であるとき、前記超電導体が磁気遮蔽体となることによるリラクタンストルクが発現するようになっており、
前記超電導かご形巻線及び前記超電導体が超電導状態であるときの総トルクが、前記同期トルク及び前記リラクタンストルクの合成トルクとして得られる様構成されてなることを特徴とする超電導二次子を提供するものである。
また本発明は、上記構成(3)において、(4)前記超電導かご形巻線が非超電導状態であるとき、前記超電導かご形巻線に流れる誘導電流と前記回転磁界に起因して前記超電導かご形巻線に生じる誘導トルクと、前記超電導回転機が相対回転状態にあるときに前記二次側鉄心と前記超電導体とのリラクタンス差によって発現するリラクタンストルクとの総トルクにより前記超電導回転機が相対回転することを特徴とする超電導二次子を提供するものである。
また本発明は、上記構成(1)において、(5)前記第二次子は、前記常電導かご形巻線のみを備えており、
前記超電導体が非超電導状態であるとき、前記回転磁界に起因して前記常電導かご形巻線に生じる誘導トルク主動で前記超電導回転機が相対回転し、さらに、
前記超電導回転機が相対回転状態にある下、前記超電導体が超電導状態であるとき、前記超電導体が磁気遮蔽体となることによるリラクタンストルクが発現するようになっており、このとき、該リラクタンストルク主動で前記超電導回転機が相対回転するよう構成されていることを特徴とする超電導二次子を提供するものである。
また本発明は、上記構成(1)〜(5)において、(6)前記超電導体は、Nb、NbTiもしくはNbSnに代表される金属系低温超電導体、イットリウム系、サマリウム系、ガドリニウム系あるいはビスマス系をはじめとする酸化物系高温超電導材、または二ホウ化マグネシウムをはじめとする金属系超電導材からなることを特徴とする超電導二次子を提供するものである。
また本発明は、上記構成(1)〜(3)において、(7)前記超電導かご形巻線の臨界温度は、前記超電導体の臨界温度以上になっていることを特徴とする超電導二次子を提供するものである。
また本発明は、上記構成(1)〜(7)において、(8)前記超電導体は、前記第二次子の軸方向の実質上全長にわたり前記第二次子の中心軸又は前記超電導かご形巻線もしくは前記常電導かご形巻線のローターバーと略平行に前記第二次子に備え設けられていることを特徴とする超電導二次子を提供するものである。
また本発明は、上記構成(1)〜(8)において、(9)前記超電導体は、前記第二次子内に少なくとも1対備えられ、さらに、前記第二次子を軸方向端面視又は横断面視したとき、
前記超電導体は、その端面又は断面形状が、アスペクト比が周方向に長い長方形をなしていることを特徴とする超電導二次子を提供するものである。
また本発明は、上記構成(1)〜(4)において、(10)前記超電導線は、NbTiもしくはNbSnに代表される金属系低温超電導体、イットリウム系もしくはビスマス系に代表される酸化物系高温超電導体、あるいは二ホウ化マグネシウムをはじめとする金属系超電導体からなっており、
前記高導電性金属は、銀、銅、金、アルミニウムもしくはそれらの合金であることを特徴とする超電導二次子を提供するものである。
また本発明は、上記構成(1)又は(2)において、(11)前記常電導かご形巻線は、前記超電導かご形巻線における前記高導電性金属の1種類若しくは複数種類を所定厚さ以上にすることによって形成されていて、前記超電導かご形巻線と一体的になっていることを特徴とする超電導二次子を提供するものである。
また本発明は、上記構成(1)又は(2)において、(12)前記超電導かご形巻線と前記常電導かご形巻線とは別体になっており、さらに、前記超電導かご形巻線は、前記常電導かご形巻線よりもかごが大きく、前記各ローターバーが前記常電導かご形巻線の各ローターバーよりも外側に位置していることを特徴とする超電導二次子を提供するものである。
また本発明は、上記構成(1)又は(2)において、(13)前記超電導かご形巻線と前記常電導かご形巻線とは別体になっており、さらに、前記常電導かご形巻線は、前記超電導かご形巻線よりもかごが大きく、前記各ローターバーが前記超電導かご形巻線の各ローターバーよりも外側に位置していることを特徴とする超電導二次子を提供するものである。
また本発明は、上記構成(1)又は(2)において、(14)前記超電導かご形巻線の前記ローターバーの数と前記常電導かご形巻線の前記ローターバーの数は互いに同数或いは互いに相異なった本数からなっており、
前記スロットは、少なくとも前記超電導かご形巻線の前記ローターバー、および前記常電導かご形巻線の前記ローターバーを全て収容し得る数が前記二次側鉄心に備え設けられていることを特徴とする超電導二次子を提供するものである。
また本発明は、上記構成(1)〜(14)において、(15)前記一次側巻線は超電導材からなっており、当該超電導材の臨界温度は、前記超電導かご形巻線を形成する前記超電導線材の臨界温度以上になっていることを特徴とする超電導二次子を提供するものである。
また本発明は、(16)回転磁界を発生させる一次側巻線を有する第一次子と、前記第一次子と相対回転し得る様前記第一次子と同軸上に配置される第二次子とからなる超電導回転機であって、上記構成(1)〜(15)のいずれかに記載の超電導二次子を具備してなることを特徴とする超電導回転機を提供するものである。
また本発明は、(17)回転磁界を発生させる一次側巻線を有する第一次子と、前記第一次子と相対回転し得る様前記第一次子と同軸上に配置される第二次子とからなる超電導回転機であって、上記構成(2)に記載の超電導二次子を具備してなる超電導回転機と、
前記超電導回転機を超電導状態になるまで冷却し得る冷却装置と、
前記超電導回転機を制御する制御装置と、
を含んでいて、
前記制御装置は、前記超電導回転機が前記誘導トルク主動で回転している場合に使用すべき第1の制御パターンと、前記超電導回転機が前記同期トルク主動で回転している場合に使用すべき第2の制御パターンと、を有しており、前記一次側巻線内を流れる電流の値、一次側電圧値、前記一次側巻線を流れる電流と前記一次側電圧との位相差、或いは前記超電導回転機の回転数の値が、前記超電導かご形巻線が超電導状態になったことに起因して変化したとき、前記第2の制御パターンを用いて前記超電導回転機を制御し、そうでないとき、前記第1の制御パターンを用いて前記超電導回転機を制御するようになっていることを特徴とする超電導回転機システムを提供するものである。
また本発明は、上記構成(17)において、(18)前記制御装置は、始動時において前記超電導かご形巻線が前記回転磁界の磁束を捕捉してない状態で超電導状態になっている場合、前記超電導かご形巻線に流れる電流が臨界電流を越えるように、前記一次側巻線への印加電圧および/または当該印加電圧の周波数を変化させ、前記超電導かご形巻線を磁束フロー状態にし、前記超電導かご形巻線に前記回転磁界の磁束を鎖交させるようになっていることを特徴とする超電導回転機システムを提供するものである。
また本発明は、(19)回転磁界を発生させる一次側巻線を有する第一次子と、前記第一次子と相対回転し得る様前記第一次子と同軸上に配置される第二次子とからなる超電導回転機であって、上記構成(2)に記載の超電導二次子を具備するとともに、前記超電導かご形巻線の臨界温度が前記超電導体の臨界温度以上になっている超電導回転機を室温から運転する方法であって、
室温より始動する際、前記超電導回転機を通常の誘導機として動作させるステップと、
温度を下げていき、まず前記高温超電導かご形巻線の温度が臨界温度未満となり、該巻線が超電導状態となった時点で、前記高温超電導かご形巻線が鎖交磁束を捕捉し、同期回転に移行することによって同期トルクを発現させるステップと、
その後、さらに温度を下げていき、前記超電導体の臨界温度未満になったところで該超電導体も超電導状態となり、前記超電導体が磁気遮蔽体となることによってリラクタンストルクを発現させるステップと、
からなり、
最終的に前記高温超電導かご形巻線及び前記超電導体が超電導状態にあるときの総トルクが、前記同期トルク及び前記リラクタンストルクの合成トルクとして得られる様構成されていることを特徴とする超電導回転機の運転方法を提供するものである。
本発明によれば、上記本願発明者の先願発明に係る超電導回転機等のトルク密度を飛躍的に高めることが可能となり、例えば次世代の電気自動車用モータに求められる性能等、高まる一方であるユーザー側の要求性能を十分達成し得る回転機を提供することができる。
すなわち本発明によれば、上記本願発明者の先願発明のもともとの発想である、かご形誘導機の単純な構造、安価、容易な保守性等のメリットを最大限に堅持しつつ、さらなる高出力化や高効率化を達成することができる。
[作用]
本発明は具体的には、まず上記本願発明者の先願発明に係る超電導回転機等における高温超電導かご形回転子(注:第二次子に相当)がゼロ抵抗状態(同期回転状態)となることがベースにある。その同期状態で、上記回転子コア内部に埋め込んだ高温超電導バルク材がゼロ抵抗状態となることにより、同バルク体は言うなれば究極の磁気遮蔽体として振る舞い、所謂d軸とq軸のリラクタンスの差に基づく大きなリラクタンストルクが得られる。このトルクが、上記したゼロ抵抗誘導トルク(超電導同期トルク)に付加されることにより非常に大きな総トルクを実現することが可能となる。
ここで、かご形超電導巻線を適用する発明は、上記の通り本願発明者が既に出願を行っている。その一方で、先に挙げた非特許文献1等からもわかるとおり、永久磁石モータにおける磁石構成を最適化してリラクタンストルクを付与する研究開発は、既に埋め込み磁石形永久磁石モータで行われており、ハイブリッド自動車用モータ等で実用化されている。しかしながら、本発明の如くかご形誘導機の構造でリラクタンストルクを併用する発想については、現在に至るまで全く存在しなかった。この点を見ても、本発明の独創性が見て取れることは明らかである。
[従来技術に対する優位性]
本願発明者の先願発明と一部従来技術との対比については上述したところであるが、ここで改めて本願発明そのものの優位性を説示する。
[非特許文献1記載の回転機について]
非特許文献1記載の回転機に限らず、既存の永久磁石モータにおいても、同文献に開示されているのと略同様の原理でリラクタンストルクを付与する技術は確立されている。ここでいうリラクタンストルクは、永久磁石の透磁率(≒真空の透磁率(μ).比透磁率μ=μ/μ=1)と鉄心の透磁率(比透磁率μ≒1000)の差に伴うリラクタンス差から発現するものである。なお、永久磁石の透磁率は真空の透磁率にほぼ一致している。
他方、本発明に係る超電導回転機における第二次子に適用される高温超電導バルク体においてはほぼ完全反磁性を示すことから、言うなれば究極のリラクタンス差を達成することが可能となり、リラクタンストルクを飛躍的に大きくすることができる。
さらに、非特許文献1記載の回転機に限らず既存の永久磁石モータではやはり、(1)そもそも希土類系永久磁石自身が大変高価であり、回転機全体も高価となるほか、(2)界磁に永久磁石を採用する限り、その程度の多少は別として高速回転時は一次巻線時にどうしても逆起電力が発生するため、いわゆる弱め界磁制御が必要となり、効率が低下してしまうと言った問題がある。
しかしながら、本発明に係る超電導回転機では、高価な希土類系永久磁石を必要とせず、比較的安価であるほか、さらに、高速回転時の逆起電力も原理的に僅かなものに過ぎず、その結果、これまでの永久磁石モータでは実現し得なかった高効率な同期運転が可能で、又より実用化に適した最終製品を提供することができる。
このように、本発明に係る超電導回転機等は、非特許文献1記載の回転機とは明らかに異なり、かつ優位性を有する発明であることが明らかである。
[非特許文献2記載の回転機について]
上述の通り、非特許文献2記載のリラクタンス機は、例えばその図1に示されるように、固定子は市販の誘導モータの固定子を使用しているものの、回転子はかご形巻線構造を有していない。これは、本願発明者の先願発明が完成されるに至るまで、超電導誘導モータが同期回転すると言う発想がもともと存在しなかったからである。
非特許文献2に開示された構造の下では、発現するトルクは高温超電導バルク体のリラクタンストルクのみであり、従来技術と比較しても然程大きなトルク改善、向上が図られているとは言えない。構成、効果の両面からも、本発明との技術的差異は明白である。
このように、本発明に係る超電導回転機等は、非特許文献2記載の回転機とも明らかに異なり、かつ優位性を有する発明であることが明らかである。
[用語について]
本明細書において「リラクタンストルク」とは、磁気エネルギーの変化によって発生するトルク(回転力)のことを指すものとする。「弱め界磁制御」とは、回転子の磁石により発生する磁束を、固定子巻線に流す電流で打ち消し、モータの回転数を高める制御方法のことを指すものとする。「完全反磁性」とは、外部磁界強度と大きさが等しく向きが反対に磁化する磁気的性質のことを指すものとする。超電導体は、典型的な完全反磁性を示す。「超電導」とは、ある条件の下で電気抵抗がゼロであり完全反磁性とみなされる物質の性質のことを指すものとする。
また、本明細書において、回転機は互いに相対回転し得る関係にある「第一次子」と「第二次子」の一対の主たる構成要件からなるものとし、「第一次子」とは回転磁界を発生させる一次側巻線を有する側を指し、そして「第二次子」とは上記回転磁界に基づき二次側巻線に誘導電流が流れる側であって、第一次子と相対回転し得る様第一次子と同軸上に配置される側を指し示すものとする。なお、本明細書に係る回転機では、回転力発生に関する基本動作原理はそのままに、第一次子か第二次子か、いずれかを固定することで、作用、反作用の原理に則って相対的に相手方を回転子(インナーロータ又はアウターロータ)として回転させてトルクを取り出すことが可能であるものとする。
本実施形態に係る超電導回転機における第二次子の概略構造を示す外観斜視図である。 本実施形態にかかる超電導電動機の縦断面端面図である。 図2の超電導電動機における(A)超電導かご形巻線を示す図、(B)常電導かご形巻線を示す図、(C)回転子鉄心を示す図である。 図3の超電導かご形巻線を構成する超電導線材の横断面を示す模式図である。 図2の超電導電動機における回転子の横断面図である。 本発明に係る超電導回転機におけるリラクタンストルクの発生原理の一例を示す参考図である。 本発明に係る超電導回転機で得られる総トルクを示す模式図である。 本発明の超電導電動機を適用した超電導電動機システムの一例を示すブロック図である。 本発明に係る超電導回転機及び/又は回転機システムの運転方法を示すフロー図である。 本実施例に係る超電導電動機における一次電流を示す図である。 本発明に係る超電導回転機のトルク特性を示す参考図である。 図3の超電導かご形巻線における電磁現象を示す模式図である。 本発明の超電導回転機システムの変形例を示す図である。
[構成]
[第二次子の特徴構造について]
以下、添付図面に基づき、本発明の一実施形態に付き説明する。
以下では、本発明の一実施形態として、第一次子を固定子とし、第二次子を回転子として構成したインナーロータ型回転機(回転する部位がインナーロータであって、第一次子と第二次子の位置関係が、第一次子は外側、そして第二次子がその内側に位置する関係にある形態)の一例に付き順次説明を行う。
最初に、本発明に係る超電導回転機における第二次子の特徴構造を挙げ、それに関する説明を行ったのち、本実施形態に係る超電導回転機全体の構成につき説明する。
図1は、本実施形態に係る超電導回転機における第二次子(以下の本実施形態の説明では便宜上、「超電導回転子」とも称する)の概略構造を示す外観斜視図である。図1及び図2、3、5からも明らかな通り、超電導回転子7は円筒形をなしており、その軸心に出力軸に当たる回転軸75を挿入可能な基本構造を有している。
回転子鉄心(コア)71は、軸方向に電磁鋼板が積層されたものからなっている。各電磁鋼板に形成された回転軸受容孔71a、ローターバー(73a及び74a)挿入用スロット72、並びに高温超電導バルク体76が適用される孔76aに関しては、例えば放電加工法等を用いて形成されている。
回転子スロット72は、回転子鉄心71の外周近傍に、軸心から放射状に設けられる。
この回転子スロット72には、誘導/同期トルクを発生させるために、高温超電導線(ローターバー)73aと銅などの常電導線74a(ローターバー)のハイブリッド2重構成からなるローターバー73a、74aが挿入される。なお後述するとおり、回転子鉄心71から突出した各超電導ローターバー73aの両端部分はエンドリング73bによって接合され、常電導ローターバー74aの両端はエンドリング74bによって接合される。
回転子鉄心71に設けられた孔76aに適用される高温超電導バルク体76は、本発明の核心とも言い得る構成要件であり、超電導状態においては磁気遮蔽体として機能するものである。すなわち、高温超電導ローターバー73が超電導状態(同期回転状態)になるとともに、この高温超電導バルク体76も超電導状態となって磁気遮蔽体となり、大きなリラクタンストルクが発現する。ゼロ抵抗誘導トルク(超電導同期トルク)に加え上記リラクタンストルクを得るに至るまでの超電導回転機1の運転もしくは制御方法については後段で別項を設けて詳述する。
本実施形態では、高温超電導バルク体76は回転子鉄心71に設けられた孔76aに埋設される。又本実施形態では、孔76aは超電導回転子7の軸心又は回転軸75に平行な態様で穿設され、そこに高温超電導バルク体76が埋設されている。
本実施形態では、高温超電導バルク体76にはイットリウム系高温超電導バルク材が用いられる。
ここで、図1、3及び5に示される、本実施形態に係る超電導回転子の軸方向端面形状及び/又は横断面形状だけを見れば、回転子鉄心71に設けられた孔76aに高温超電導バルク体76が適用されるこの構成は、一見、既知の永久磁石回転機とも近似する。
しかしながら、本発明において適用される高温超電導遮蔽体は完全反磁性を示し、真空の透磁率を示す永久磁石と比較して格段に大きなリラクタンストルクが得られる。
図6は、本実施形態に係る超電導回転子におけるリラクタンストルクの発生原理を示す参考図である。図6(a)、(b)はともに、軸電流と鎖交磁束の関係を示す図である。なお簡単のため、図6では(a)、(b)とも、回転子スロット72の図示を省略している。
本発明の場合も、リラクタンストルクの発生原理そのものは、図6(a)、(b)に示す通り、超電導回転子7が回転することにより、磁路の磁気抵抗(リラクタンス)が変化することを利用してトルク(=所謂d軸とq軸のリラクタンスの差に基づくリラクタンストルク)を発現させるものである。この点は既知の永久磁石回転機と同様と理解してよい。
いま、超電導状態にあるとすると、図6(a)では、d軸電流iによる鎖交磁束φは高温超電導バルク体76が途中にあるために制限される。これは、高温超電導バルク体76が超電導状態下では完全反磁性体となって磁気遮蔽体として機能することによる。
他方、図6(b)では、逆に、q軸電流iによる鎖交磁束φは、透磁率の高いけい素鋼板を通るので大きくなる。すなわち、d軸の磁気抵抗はq軸のそれよりも大きい。
このとき、超電導回転子7を回転させると、上記d軸とq軸のリラクタンス差をトルクとして発現させることができる。それが、例えば図7の細線に示されるトルク特性で表わされる。本実施形態に係る超電導回転子におけるリラクタンストルクの発生原理は、以上の通り説明される。
なお、常電導状態にある高温超電導バルク体76の比透磁率μは、空気とほぼ同じで1である。したがって、高温超電導バルク体76が超電導体になる以前或いは直前の状態の常電導状態でも、ある程度のリラクタンストルクが発生している。
しかしながら、高温超電導バルク体が超電導状態下で完全反磁性(すなわち、バルクが経験する磁界が“下部臨界磁界”未満)となった状態では、完全に磁界の侵入を阻止し、つまり空気中よりも極めて大きなリラクタンストルクが実現されることになる。これが、本発明の大きな狙いの一つである。
図7は、超電導状態にあるときに上記の特徴構造を備えた超電導回転子を備えてなる本実施形態に係る超電導回転機で得られる総トルクを示す模式図である。
図7に示される様に、本発明の超電導回転機において最終的に得られる総トルクは、高温超電導ローターバー73が超電導状態(同期回転状態)になった際に発現するゼロ抵抗誘導トルク(超電導同期トルク)に加え、高温超電導バルク体76も超電導状態となって磁気遮蔽体となった際に発現する大きなリラクタンストルクが重畳的に合成されたものとなる。
本願発明者の先願発明に係る高温超電導/誘導同期機においては、図7の破線に示される特性のみしか得られていなかった。一方、本発明では、同図の細線に示されるトルク(リラクタンストルク)も得られ、総トルクは両者が重畳的に合成されたものとなる。したがって、本発明では総トルクが従来より大幅に改善され、大きなものとなる。
ここで、図7に示される様なトルク特性は、総トルクの大きさの程度は別として既知の永久磁石回転機でも得られるところ、単純な構造を有する誘導機で得られる点が本発明の大きなメリットであり、本発明の構造上の利点として挙げられる。
[超電導電動機]
次に、本発明の一実施形態に係る超電導回転機全体の構成につき説明する。
図2に示すように、本実施形態に係る超電導回転機(以下では、超電導電動機として説明する)1は、円筒状のケーシング2と、ケーシング2の内周部に設けられた環状の固定子3と、ケーシング2の両開口部を閉じる円板状のブラケット4a,4bと、ブラケット4a,4bに軸受け5a,5bを介して回転可能に支持された超電導回転子7と、から構成されている。
固定子3は、珪素鋼板等の電磁鋼板を軸方向に積層してなる環状の固定子鉄心3aと、固定子鉄心3aのスロット(不図示)内に設けられた固定子巻線3bとからなっている。また、固定子巻線3bは常電導材からなっている。
超電導回転子7は、固定子3の内側に、所定間隔をあけて配置されている。超電導回転子7は、中空円柱状の回転子鉄心71と、回転子鉄心71に穿設された孔76aに埋設された高温超電導バルク体76と、回転子鉄心71のスロット72内にローターバー73aが収容された超電導かご形巻線73と、同様に回転子鉄心71のスロット72内にローターバー74aが収容された常電導かご形巻線74と、回転子鉄心71に同軸に取り付けられた回転軸75と、からなっている。
回転子鉄心71は、図3Cに示す如く、珪素鋼板等の電磁鋼板を軸方向に積層して形成されている。回転子鉄心71の中心部には、回転軸75を受容するための回転軸受容孔71aが形成されている。また、回転子鉄心71の外周近傍には、軸方向に貫通する複数のスロット72が、周方向に所定間隔をあけて形成されている。
なお、スロット72は一般に、回転子鉄心71の軸方向に対して斜めに形成され、斜めスロット(スキュー)構成とされている。
又本実施形態では、高温超電導バルク体76が埋設される孔76aは、超電導回転子7の軸心又は回転軸75に平行な態様で穿設されている。
なお本実施形態では、図1、3及び5から明らかな通り、孔76aは、断面形状が長方形をなしている。さらに、互いに回転軸75を挟んで対を成して対向しあう2箇所の孔76aは、互いの長軸が略平行となる様に形成されているほか、互いに隣接する孔76a同士は、その長軸の延長線同士が略直交する様に形成されている。
要するに、図1、3及び5から明らかな通り、本実施形態に係る超電導回転子7に適用される高温超電導バルク体76は、鉄心71内に少なくとも1対備えられており、さらに、鉄心71を軸方向端面視又は横断面視したとき、高温超電導バルク体76は、その端面又は断面形状が、アスペクト比が鉄心71の周方向に長い長方形をなしている。
超電導かご形巻線73は、図3Aに示す如く、回転子鉄心71のスロット72に収容される複数のローターバー73aと、各ローターバー73aの両端をそれぞれ短絡させる環状のエンドリング73bとから構成されている。
ローターバー73aは、超電導線材(本実施形態ではビスマス系高温超電導線材)73eを複数本束ねてなり、矩形断面を有している(ただし、矩形断面に限定されない)。超電導線材73eは、図4に示す如く、複数本のビスマス系高温超電導フィラメント73cを、銅、アルミニウム、銀、金もしくはそれらの合金等の高導電性金属73dによって被覆して構成されている。ローターバー73aの数は、回転子鉄心71のスロット72と同数である。ローターバー73aは、円筒状かつスキュー構造のかごを形成すべく、周方向に所定間隔をあけて配置されていると共に、かごの軸方向に対して斜めに配置されている。ローターバー73aは、図2に示す如く、回転子鉄心71の軸方向長さよりも長く形成されており、スロット72に収容された際にスロット72から突出するようになっている。
エンドリング73bは、ローターバー73aと同様に、ビスマス系高温超電導線材等の超電導線材73eからなっている。エンドリング73bにはそれぞれ、スロット72から突出するローターバー73aの各端部が接合される。
常電導かご形巻線74は、図3Bに示す如く、回転子鉄心71のスロット72に収容される複数のローターバー74aと、各ローターバー74aの両端をそれぞれ短絡させる環状のエンドリング74bとから構成されている。
ローターバー74aは、銅、アルミニウム、銀、金もしくはそれらの合金等の高導電性材からなり、矩形断面を有している(ただし、矩形断面に限定されない)。ローターバー74aの数は、回転子鉄心71のスロット72と同数である。ローターバー74aは、超電導かご形巻線73よりも大きな円筒状かつスキュー構造のかごを形成するように、周方向に所定間隔をあけて配置されていると共に、かごの軸方向に対して斜めに配置されている。ローターバー74aは、図2に示す如く、回転子鉄心71の軸方向長さよりも長く形成されており、スロット72に収容された際にスロット72から突出するようになっている。
本実施形態では、ローターバー74aは、図2および図5に示す如く、スロット72内であって、超電導かご形巻線73のローターバー73aよりも外側に挿入される。
エンドリング74bは、ローターバー74aと同様に、銅、アルミニウム、銀、金等の高導電性材からなっている。エンドリング74bにはそれぞれ、スロット72から突出するローターバー74aの各端部が接合される。
回転軸75は、回転子鉄心71の回転軸受容孔71aに挿入されて取り付けられる。回転軸75は、ベアリング等の軸受け5a,5bを介して、ブラケット4a,4bに回転可能に支持される。
上記のように構成された超電導電動機1によれば、超電導かご形巻線73が常電導状態(非超電導状態)にあるとき、固定子3による回転磁界に起因して常電導かご形巻線74に誘導電流が流れ、誘導トルクが生じる。このとき、超電導電動機1は当該誘導トルク主動で回転し、図11の「誘導回転(常電導状態)」に対応するトルク特性を発揮する。
図11に関しては、実線で示したものが本実施形態に係る超電導電動機1において得られるトルク特性である。他方、破線で示したものは、高温超電導バルク体76からなるリラクタンストルク発生手段を持たないこと以外は本実施形態に係る超電導電動機1と同様の構成からなる超電導電動機において得られるトルク特性である。詳細については後段において改めて説明する。
ここで、超電導電動機1が誘導回転している状態において、超電導かご形巻線73にも若干の誘導電流が流れている。しかし、常電導かご形巻線74に流れる誘導電流の方がはるかに大きいため、超電導かご形巻線73に生じる誘導トルクよりも、常電導かご形巻線74に生じる誘導トルクの方が支配的である。
なお、常電導状態にある高温超電導バルク体76の比透磁率μは、空気とほぼ同じで1である。したがって、高温超電導バルク体76が超電導状態になる以前或いは直前の状態の常電導状態でも、誘導回転状態及び同期回転状態の双方においてある程度のリラクタンストルクが発生している。したがって、本実施形態に係る超電導電動機1では、リラクタンストルクが重畳される結果、そのトルク特性は図11に示すようなものとなっている。すなわち、超電導状態に移行する前の誘導回転状態にあるときであれば、図11の「誘導回転(常電導状態)」に対応するトルク特性が発揮される。
しかしながら、次に述べる通り、高温超電導バルク体76が超電導状態下で完全反磁性となった状態では、完全に磁界の侵入を阻止し、つまり空気中よりも極めて大きなリラクタンストルクが実現されることになる。これが、図11に係るトルク特性の「同期回転(超電導状態)」に該当する。
一方、超電導電動機1によれば、超電導かご形巻線73が常電導状態から超電導状態になったとき、固定子3による回転磁界の磁束を超電導かご形巻線73が捕捉することで、同期トルクが生じる(図12C参照)。このとき、超電導電動機1は当該同期トルク主動で回転し、図11の「同期回転(超電導状態)」に対応するトルク特性を発揮する。
ここで、超電導回転子7が、高温超電導バルク体76をも含めたかたちで超電導下におかれた際には、前記の通り本実施形態に係る超電導電動機1において最終的に得られる総トルクは、図7に示される様に高温超電導ローターバー73が超電導状態(同期回転状態)になった際に発現するゼロ抵抗誘導トルク(超電導同期トルク)に加え、高温超電導バルク体76も超電導状態となって磁気遮蔽体となった際に発現する大きなリラクタンストルクが重畳的に合成されたものとなる。
なお、この同期回転時において、ローターバー73aとエンドリング73bの接続抵抗等の影響により、極めてわずかなすべりが生じることがあるが、この場合も機器特性としては同期回転と見なせる。
そして、同期回転している状態において、仮に超電導電動機1に過大な負荷がかかっても、超電導かご形巻線73が磁束フロー状態(図12B参照)に移行して誘導トルク主動で運転を継続することが可能である。このときの誘導トルクは、磁束フロー状態にある超電導かご形巻線73および常電導かご形巻線74の両方から提供され、図11の「誘導回転(超電導状態)」に対応するトルク特性が発揮される。このときでも、本実施形態に係る超電導電動機1では、リラクタンストルクが重畳される結果、そのトルク特性は図11の「誘導回転(超電導状態)」に示すようなものとなる。
つまり、超電導電動機1は、図11に示すようなトルク特性(すべり−トルク特性)を有し、常電導状態においては誘導トルク主動で回転し、超電導状態においては、通常負荷時に同期トルク主動、過負荷時に誘導トルク主動で回転する。
以上の通り、図11に示すトルク特性を見ても明らかな通り、本実施形態に係る超電導電動機1では、特に超電導状態(同期回転状態)になった際に、高温超電導バルク体76からなるリラクタンストルク発生手段を持たないものよりも極めて大きな同期トルクを獲得できることが理解できる。これは、本実施形態に係る超電導電動機1では、超電導回転子7が、高温超電導バルク体76をも含めたかたちで超電導下におかれた際には、図7に示される様に最終的に得られる総トルクが高温超電導ローターバー73が超電導状態(同期回転状態)になった際に発現するゼロ抵抗誘導トルク(超電導同期トルク)に加え、高温超電導バルク体76も超電導状態となって磁気遮蔽体となった際に発現する大きなリラクタンストルクが重畳的に合成されたものとなることによる。
さらに、本実施形態では、超電導回転子7が、高温超電導バルク体76をも含めたかたちで超電導下におかれた際には、図7に示される様に最終的に得られる総トルクが高温超電導ローターバー73が超電導状態(同期回転状態)になった際に発現するゼロ抵抗誘導トルク(超電導同期トルク)に加え、高温超電導バルク体76も超電導状態となって磁気遮蔽体となった際に発現する大きなリラクタンストルクが重畳的に合成されたものとなるため、超電導状態においてカバーし得る負荷範囲が飛躍的に向上している。それゆえ、本実施形態の下では、超電導回転子7が超電導状態にある下で過負荷となり、誘導トルク主動で回転するモードに至る可能性を大幅に低減することが可能となる。
[運転方法]
以下、本実施形態に係る超電導回転機1を、室温から運転する方法の一例につき説明する。なお、以下の説明は図9を参考に行う。
ここで、前提条件として高温超電導かご形巻線73の臨界温度は高温超電導バルク体76の臨界温度よりも高いとする。或いは、高温超電導かご形巻線73と高温超電導バルク体76の臨界温度が同じであっても、高温超電導かご形巻線73の温度を高温超電導バルク体76の温度より低い条件を人工的に作れば等価である。
まず、室温で始動する際、本発明の回転機1は通常の誘導機として動作する(step1)。
そして、温度が下がって行き、まず高温超電導かご形巻線73の温度が臨界温度未満となり、すなわち同巻線が超電導状態となった時点で、同巻線が鎖交磁束を捕捉(図12C参照)し、同期回転に移行する(step2)。この時点では、高温超電導バルク体76は未だ超電導状態になっていない。
その後、さらに温度を下げていき、高温超電導バルク体76の臨界温度未満になったところで、同バルク体76は超電導状態となる(step3)。高温超電導バルク体76が超電導状態となることで、大きな磁束遮蔽特性が得られることになり、ここに至って大きなリラクタンストルクが発現する。
以上、運転温度低下に伴って順に、i)高温超電導かご形巻線73が超電導状態となってゼロ抵抗誘導トルク(超電導同期トルク)発現、ii)高温超電導バルク体76が超電導状態となってリラクタンストルク(同期トルク)発現、と段階を分けて大きな総同期トルクが実現されることになる。なお、最終的な定常運転状態は、高温超電導バルク体の臨界温度未満の温度領域下にあることは勿論である。
[超電導電動機システム]
さらに、上記のように構成された超電導電動機1が例えば図8に示す如く自動車に搭載され、超電導電動機システム21として使用されることを想定した場合の一実施例につき説明する。
超電導電動機システム21は、車軸22を介して車輪23に連結された超電導電動機1と、超電導電動機1を超電導状態になるまで冷却し得る冷却装置24と、冷却装置24を冷却信号SRに応じて制御すると共に、電動機駆動信号SMに応じインバータ26を介して超電導電動機1を制御する制御装置25と、超電導電動機1を駆動するためのバッテリー27と、から構成されている。
冷却装置24は、超電導電動機1の回転軸75と回転子鉄心71とに設けられた冷媒供給路(不図示)を介して、超電導回転子7のスロット72内、そして高温超電導バルク体76を適用するために穿設した孔76a内に冷媒を供給する。これにより、冷却装置24は、超電導電動機1における超電導かご形巻線73及び高温超電導バルク体76を臨界温度未満に冷却し得る。冷媒としては、ヘリウムガスや液体窒素等が用いられる。
制御装置25は、電動機駆動信号SMに応じ、インバータ26を介して超電導電動機1を駆動制御する。このとき、制御装置25は、インバータ26を介して、超電導電動機1の固定子巻線3bに印加される交流電圧の電圧Vおよび周波数fを制御する。これにより、制御装置25は、超電導電動機1の回転数およびトルクをフィードバック制御する。
制御装置25には、上記したとおり、本発明に係る超電導回転機1を室温から運転する場合に係る制御方法の一例が予め格納されている。
まず、超電導電動機1が誘導トルク主動で回転する際に用いられる誘導回転用制御パターンは、従来の誘導電動機に対して用いられる公知の制御パターンである。
また、制御装置25には、超電導電動機1が同期トルク主動で回転する際に用いる同期回転用制御パターンも同様に予め格納されている。
ここで、本実施例においても、前記したように本発明に係る超電導回転機1では運転温度の低下に伴って順に、i)高温超電導かご形巻線73が超電導状態となってゼロ抵抗誘導トルク(超電導同期トルク)を発現し、ii)高温超電導バルク体76が超電導状態となってリラクタンストルク(同期トルク)を発現する、と言うように段階を分けて大きな総同期トルクが実現され得る点に留意する。いずれにせよ、最終的に超電導回転子7が高温超電導バルク体76の臨界温度未満の温度領域下にあるときにおける超電導電動機1の運転状態は、前記の通り、超電導電動機1が同期トルク主動で回転する際に用いられる同期回転用制御パターンに基づき制御される。なお、上記同期回転用制御パターンは、従来の同期電動機に対して用いられる公知の制御パターンである。
また、制御装置25には、超電導電動機1から、固定子巻線3b内を流れる一次電流の信号である一次電流信号SIが常時入力される。制御装置25にはさらに、一次電流信号SIに対するしきい値ITHであって、固定子巻線3bに印加される交流電圧の電圧Vと周波数fの比V/fごとに設定されたものが格納されている。
上記しきい値ITHは、超電導かご形巻線73が超電導状態にあるか否か(超電導電動機1が同期トルク主動で回転しているか否か)を判定するためのものであり、次のように設定される。
まず、超電導電動機1を、常電導状態において任意のV/f値、例えばV/fで定常運転する。このとき、一次電流信号SIは、図10に示す如く、略一定の値IN1となる。
次に、冷却装置24を運転開始し、超電導電動機1が超電導状態になるまで駆動する。所定時間T後、超電導かご形巻線73が超電導状態になると、一次電流信号SIの値が低下し、IS1となる。そして、しきい値ITH1は、IS1の値よりも少し小さな値(例えばIS1の90%値)とされる。この作業を各V/f値ごとに実行することで、各しきい値ITHが得られる。
なお、超電導かご形巻線73が超電導状態になったとき一次電流の値が低下する現象は、そのとき超電導電動機1が誘導回転から同期回転に移行することに起因する。つまり、誘導回転時にはすべり状態を維持するための余分な電流が必要であるのに対し、同期回転時にはその余分な電流が必要なくなるため、一次電流の値が低下するのである。
制御装置25は、常時入力される一次電流信号SIの値が、しきい値ITHよりも低いか高いかに基づいて、超電導電動機1が同期トルク主動で回転しているか否かを判定する。つまり、一次電流信号SIの値IS1がしきい値ITHよりも低ければ、同期トルク主動で回転しているとして、超電導電動機1に対して同期回転用制御パターンを適用し、そうでなければ、誘導トルク主動で回転しているとして、誘導回転用制御パターンを適用する。
なお、ITHをIS1よりも少し小さな値としているのは、反対にITHをIS1よりも高い値にしていると、1次電流信号SIのゆらぎによって、実際は誘導回転しているにも関わらず、同期回転用制御パターンが超電導電動機1に対して適用される場合があり、運転に支障が生じるためである。これに対し、ITHをIS1よりも少し小さな値としておけば、実際は同期回転している超電導電動機1に対して、誘導回転用制御パターンが適用され得るが、超電導電動機1は支障なく運転される。
また、制御装置25は、超電導かご形巻線73が、固定子巻線3bによる回転磁界の磁束を捕捉してない状態で超電導状態になっている場合、超電導かご形巻線73を磁束フロー状態にするように、固定子巻線3bへの印加電圧および/または当該印加電圧の周波数を増大させるようになっている。超電導かご形巻線73は、一旦磁束フロー状態になることで、臨界温度未満の状態であっても鎖交磁束を捕捉することができる。このことについては、図12を参照して次に詳述する。
例えば、運転開始前から、超電導かご形巻線73が冷却装置24によって臨界温度未満に冷却されていたような場合、超電導かご形巻線73は、固定子巻線3bによる磁束を捕捉していない状態で超電導状態になっていることになる。この状態で、固定子巻線3bに交流電圧を印加すると、超電導かご形巻線73には遮蔽電流が流れ、超電導かご形巻線73および常電導かご形巻線74に鎖交する磁束はゼロとなる(図12A参照)。つまり、この場合、同期トルクは発生しないうえに、常電導かご形巻線74に誘導電流が流れないため、誘導トルクも発生しないことになる。それゆえ、この状態では超電導電動機1は動作し得ない。
そこで、制御装置25により、超電導かご形巻線73に流れる遮蔽電流が臨界電流を超えるまで、固定子巻線3bへの印加電圧および/または当該印加電圧の周波数を増大させ、超電導かご形巻線73を磁束フロー状態にする。磁束フロー状態では、有限の抵抗が発生するため、臨界温度未満の状態のままであっても磁束は超電導かご形巻線に鎖交することができる(図12B参照)。
その後、超電導回転子7は加速され、それに伴って回転磁界と超電導回転子7との相対速度が小さくなれば、超電導かご形巻線73に流れている電流は自動的に小さくなる。最終的に、超電導かご形巻線73に流れている電流が臨界電流を下回ったところで、超電導かご形巻線73が鎖交磁束を捕捉する(図12C参照)。
上記のように構成された超電導電動機システム21は、次のように使用される。
(1)室温状態から運転開始される場合
まず、運転者によって運転操作がなされ、制御装置25に電動機駆動信号SMが入力される。制御装置25は、当該信号SMに応じて、超電導電動機1を駆動する。このとき、超電導電動機1は常電導状態であるから、誘導トルク主動で回転する。
そのとき、制御装置25は、常時入力される一次電流信号SIがその運転条件V/fに対応するしきい値ITHよりも高いことを検出し、超電導電動機1が常電導状態であることを検知する。そして、制御装置25は、誘導トルク主動で回転する超電導電動機1に対して誘導回転用制御パターンを適用し、超電導電動機1を駆動制御する。つまり、常電導状態において、超電導電動機1は誘導電動機として動作し、図11の「誘導回転(常電導状態)」に対応するトルク特性を発揮する。
一方、運転開始後、運転者による冷却開始操作がなされると、制御装置25に冷却信号SRが入力される。制御装置25は、当該信号SRに応じて、冷却装置24を駆動する。冷却装置24は、ヘリウムガス等の冷媒を超電導電動機1の超電導かご形巻線73及び高温超電導バルク体76に対して供給し、超電導かご形巻線73及び高温超電導バルク体76をその臨界温度未満にまで冷却する。尚本実施例では、高温超電導かご形巻線73の臨界温度は高温超電導バルク体76の臨界温度よりも高いことを前提とする。
冷却装置24が駆動されても、少なくとも超電導かご形巻線73が臨界温度未満になるまでは、依然として超電導電動機1は誘導電動機として動作する。
所定時間経過後、温度が下がって行き、上記した本発明に係る超電導電動機1の運転方法の一例に従いまず超電導かご形巻線73が臨界温度未満となって超電導状態になると、同巻線が鎖交磁束を捕捉(図12C参照)し、超電導電動機1は同期回転に移行する。このとき、超電導電動機1は同期トルク主動で回転する。
ここで、超電導電動機1が同期回転に移行するとき、制御装置25は、常時入力される一次電流信号SIがその運転条件V/fに対応するしきい値ITHよりも低くなったことを検出し、超電導電動機1が超電導状態であることを検知する。そして、制御装置25は、同期トルク主動で回転する超電導電動機1に対して同期回転用制御パターンを適用し、超電導電動機1を駆動制御する。つまり、超電導状態において、超電導電動機1は、図11の「同期回転(超電導状態)」に対応するトルク特性を発揮する。
その後、さらに温度を下げていき、高温超電導バルク体76の臨界温度未満になったところで、同バルク体76は超電導状態となる。高温超電導バルク体76が超電導状態となることで、大きな磁束遮蔽特性が得られることになり、ここに至って大きなリラクタンストルクが発現する。ここで、本発明の超電導回転機1で最終的に得られる、高温超電導ローターバー73が超電導状態(同期回転状態)になった際に発現するゼロ抵抗誘導トルク(超電導同期トルク)に加え、高温超電導バルク体76も超電導状態となって磁気遮蔽体となった際に発現する大きなリラクタンストルクが重畳的に合成されるかたちで表わされる総トルクについては、図7に示されるとおりである。
なお、最終的に超電導回転子7が高温超電導バルク体76の臨界温度未満の温度領域下にあるときにおける超電導電動機1の運転状態も、前記の通り、超電導電動機1が同期トルク主動で回転する際に用いられる同期回転用制御パターンに基づき制御される。
(2)臨界温度未満の状態から運転開始される場合
i)高温超電導バルク体76の臨界温度以上、超電導かご形巻線73の臨界温度未満の場合
まず、運転者によって運転操作がなされ、制御装置25に電動機駆動信号SMが入力される。制御装置25は、当該信号SMに応じて、超電導電動機1を駆動しようとする。しかし、このとき超電導電動機1は超電導状態であるから、固定子巻線3bに交流電圧を印加しても、超電導かご形巻線73に遮蔽電流が流れることにより、超電導かご形巻線73および常電導かご形巻線74に鎖交する磁束はゼロとなって、超電導電動機1は動作しない。
このとき、制御装置25は、超電導かご形巻線73に流れる遮蔽電流が臨界電流を超えるまで、固定子巻線3bへの印加電圧および/または当該印加電圧の周波数を増大させ、超電導かご形巻線73を磁束フロー状態にする。磁束フロー状態では前述のとおり、臨界温度未満の状態のままであっても磁束が超電導かご形巻線に鎖交することができる。
その後、超電導回転子7は加速され、それに伴って回転磁界と超電導回転子7との相対速度が小さくなれば、超電導かご形巻線73に流れている電流は自動的に小さくなる。最終的に、超電導かご形巻線73に流れている電流が臨界電流を下回ったところで、超電導かご形巻線73が鎖交磁束を捕捉する。そして、超電導電動機1は同期トルク主動で回転する。
そのとき、制御装置25は、常時入力される一次電流信号SIがその運転条件V/fに対応するしきい値ITHよりも低くなったことを検出し、超電導電動機1が超電導状態であることを検知する。そして、制御装置25は、同期トルク主動で回転する超電導電動機1に対して同期回転用制御パターンを適用し、超電導電動機1を駆動制御する。つまり、超電導状態において、超電導電動機1は同期回転し、図11の「同期回転(超電導状態)」に対応するトルク特性を発揮する。
その後、さらに温度を下げていき、高温超電導バルク体76の臨界温度未満になったところで、同バルク体76は超電導状態となる。高温超電導バルク体76が超電導状態となることで、大きな磁束遮蔽特性が得られることになり、ここに至って大きなリラクタンストルクが発現する。最終的に合成されるかたちで表わされる、高温超電導ローターバー73が超電導状態(同期回転状態)になった際に発現するゼロ抵抗誘導トルク(超電導同期トルク)と、高温超電導バルク体76も超電導状態となって磁気遮蔽体となった際に発現する大きなリラクタンストルクとによって得られる総トルクについては、図7に示されるとおりである。
ii)高温超電導バルク体76の臨界温度未満の場合
まず、運転者によって運転操作がなされ、制御装置25に電動機駆動信号SMが入力される。制御装置25は、当該信号SMに応じて、超電導電動機1を駆動しようとする。しかし、このとき超電導電動機1は超電導状態であるから、固定子巻線3bに交流電圧を印加しても、超電導かご形巻線73に遮蔽電流が流れることにより、超電導かご形巻線73および常電導かご形巻線74に鎖交する磁束はゼロとなって、超電導電動機1は動作しない。
ただし、このとき既に高温超電導バルク体76は超電導状態となっており、大きな磁束遮蔽特性が得られている。したがって今後、超電導回転子7が回転可能な状態となって徐々に加速されるにつれ、高温超電導バルク体76が適用された超電導回転子7は得られた大きな磁束遮蔽特性を利用して大きなリラクタンストルクを発現する。
次に、制御装置25は、超電導かご形巻線73に流れる遮蔽電流が臨界電流を超えるまで、固定子巻線3bへの印加電圧および/または当該印加電圧の周波数を増大させ、超電導かご形巻線73を磁束フロー状態にする。磁束フロー状態では前述のとおり、臨界温度未満の状態のままであっても磁束が超電導かご形巻線に鎖交することができる。
その後、超電導回転子7は加速され、それに伴って回転磁界と超電導回転子7との相対速度が小さくなれば、超電導かご形巻線73に流れている電流は自動的に小さくなる。最終的に、超電導かご形巻線73に流れている電流が臨界電流を下回ったところで、超電導かご形巻線73が鎖交磁束を捕捉する。そして、超電導電動機1は同期トルク主動で回転する。
ここで、制御装置25は、常時入力される一次電流信号SIがその運転条件V/fに対応するしきい値ITHよりも低くなったことを検出し、超電導電動機1が超電導状態であることを検知する。そして、制御装置25は、同期トルク主動で回転する超電導電動機1に対して同期回転用制御パターンを適用し、超電導電動機1を駆動制御する。なおこの場合においても、最終的に合成されるかたちで表わされる、高温超電導ローターバー73が超電導状態(同期回転状態)になった際に発現するゼロ抵抗誘導トルク(超電導同期トルク)と、高温超電導バルク体76が超電導状態となって磁気遮蔽体となった際に発現する大きなリラクタンストルクとによって得られる総トルクについては、図7に示されるとおりである。
このように、i)の場合同様、ii)超電導回転子7が高温超電導バルク体76の臨界温度未満の温度領域下にあるときから運転開始された場合でも、本実施例の超電導電動機1は、超電導状態の下で同期回転し、そして、最終的には図11の「同期回転(超電導状態)」に対応するトルク特性を発揮する。
[産業上の利用可能性]
以上に説明した通り、本発明によれば、得られたリラクタンストルクを、上記本願発明者の先願発明に係る、高温超電導かご形回転子がゼロ抵抗状態(同期回転状態)となったところで発現するゼロ抵抗誘導トルク(超電導同期トルク)とともに有効利用することによって総トルクを飛躍的に向上させることが可能となる。
また、あるトルク値を仕様として決めた場合、たとえ一次巻線を常電導巻線で構成したとしても、上記のリラクタンストルクとゼロ抵抗誘導トルク(超電導同期トルク)との割合を適宜調整することによって一次電流を抑えることができ、常電導一次巻線の銅損及び発熱を低減することも可能となる。
又回転子鉄心は、もともと超電導かご形巻線を超電導状態とするために極低温となっていることから、高温超電導バルク体は必然的に超電導状態となり、しかも回転子鉄心中に適用された高温超電導バルク体は空気等と比較して言うなれば究極の磁気特性(ほぼ完全反磁性)を示すことから、得られるリラクタンストルクを究極まで高めることが可能となる。
その他、本発明に係る超電導回転機1は、従来の誘導電動機と同様の単純構造とすることができるため、保守が容易であり、安価である。
このように、本発明は、構造が簡便である一方で極めて優れた電気的及び機器的特性を示す新規かつ有用なる発明であることが明らかである。
[変形例]
以上、本発明の一実施形態について具体的に説明したが、本発明は次のように変形して実施することができる。
例えば、本実施形態では、第一次子を固定子とし、第二次子を回転子として構成したが、これは本発明の一実施形態であり、第一次子と第二次子が相対回転する構成であれば上記構成に限定されない。例えば、第一次子がアウターロータとして回転する一方、第二次子が固定されたままの構成であっても構わない。
このような構成の場合、第一次子は公知のアウターロータと同様、カップ状の構成をなすと同時に、第二次子の中心軸と同軸の位置よりその回転出力を取り出し得る回転軸を備えていることが好ましい。また、第一次子がアウターロータとして回転する一方、第二次子が固定されたままの構成であっても、回転力発生に関する構成は変わりなく、依然として第一次子の一次巻線が回転磁界を発生する構成となる。
また、上記実施形態では、回転する部位がインナーロータであって、第一次子と第二次子の位置関係が、第一次子は外側、そして第二次子がその内側に位置する関係にあるインナーロータ型回転機を例示して説明したが、回転する部位はインナーロータであってもアウターロータであっても構わない。同様に、第一次子と第二次子の位置関係についても、第一次子は外側、そして第二次子がその内側に位置する関係に限定されず、第一次子は内側、そして第二次子がその外側に環状に位置する関係であっても構わない。
要するに、本発明によれば、回転力発生に関する構成は変えないまま、第一次子か第二次子か、いずれかを固定することで、作用、反作用の原理に則って相対的に相手方を回転子(インナーロータ又はアウターロータ)として回転させてトルクを取り出すことが可能である。
また、本実施形態においては、高温超電導バルク体76に関し、本実施形態ではイットリウム系高温超電導バルク材を用いたが、同バルク体76の材料はこれに限定されず、例えばサマリウム系高温超電導バルク材やガドリニウム系高温超電導バルク材等の希土類系高温超電導バルク材、あるいはビスマス系高温超電導バルク材のほか酸化物系高温超電導バルク材一般など、種々のものを適用して構わない。
そのほか、高温超電導バルク体76に代え、Nb、NbTiもしくはNbSnに代表される金属系低温超電導体、或いは高温超電導線材等を適宜積層してなるスタック体を使用しても構わない。
同様に本実施形態においては、超電導線材73eに関し、本実施形態ではビスマス系高温超電導線材を用いたが、同線材73eの材料はこれに限定されず、イットリウム系等の酸化物系高温超電導材、二ホウ化マグネシウムをはじめとする金属系超電導材、或いはNbTiもしくはNbSnに代表される金属系低温超電導材など、種々のものを適用して構わない。
また、本実施形態においては、超電導回転子7内において超電導回転子7の軸方向の実質上全長にわたり超電導回転子7の回転中心軸と略平行に備え設けられた複数の高温超電導バルク体76をリラクタンストルク発生手段としたが、リラクタンストルク発生手段はこれに限定されず、超電導回転子7内において超電導回転子7の軸方向の実質上全長にわたり超電導回転子7の回転中心軸と略平行に穿設された少なくとも一つの空隙等としてもかまわない。この場合、空気の比透磁率μ≒1と鉄心の比透磁率μ≒1000の差に伴うリラクタンス差からリラクタンストルクが発現する。
また、本実施形態においては、超電導回転子7は、超電導かご形巻線73及び常電導かご形巻線74の双方を備えており、i)超電導かご形巻線73が非超電導状態であるとき、固定子3より生み出される回転磁界に起因して常電導かご形巻線74に生じる誘導トルク主動で回転する一方、ii)超電導かご形巻線73が超電導状態であるとき、超電導かご形巻線73が上記回転磁界の磁束を捕捉することで生じる同期トルク主動で回転するようになっており、さらに、超電導回転子7が回転状態の下、高温超電導バルク体76が超電導状態であるとき、上記高温超電導バルク体76が磁気遮蔽体となることによるリラクタンストルクが発現するようになっており、超電導かご形巻線73及び高温超電導バルク体76が超電導状態であるときの総トルクが、上記同期トルク及び上記リラクタンストルクの合成トルクとして得られるものについて順を追って説明したが、本発明は上記構成に限定されない。
例えば、本発明の超電導回転機又は超電導回転機システムに含まれる超電導回転子については、回転磁界を発生させる固定子内に配置されて回転する超電導回転子(第二次子に相当。以下同じ)7であって、複数の超電導線を高導電性金属で被覆した単数または複数本の超電導線材からなるローターバー73aおよびエンドリング73bによって形成された超電導かご形巻線73或いは常電導材からなるローターバー74aおよびエンドリング74bによって形成された常電導かご形巻線74の一方又は双方と、超電導回転子7内において、上記超電導回転子7の軸方向の実質上全長にわたり備え設けられた、少なくとも一つの高温超電導バルク体76と、超電導かご形巻線73或いは常電導かご形巻線74の一方又は双方の各ローターバー73a、74bを収容する複数のスロット72、および高温超電導バルク体76を収容する少なくとも一つの穿孔76aを備えた円柱状の回転子鉄心71と、回転子鉄心71に同軸に設けられた回転子軸75と、を含んでいて、
上記超電導回転子7は、超電導回転子7が回転状態にあるときに回転子鉄心71と高温超電導バルク体76とのリラクタンス差によって発現するリラクタンストルクと、超電導かご形巻線73或いは常電導かご形巻線74の一方又は双方によって生じる同期トルク又は誘導トルクとの総トルクにより回転するものであっても構わない。
また、本発明の超電導回転機又は超電導回転機システムに含まれる超電導回転子については、超電導回転子7が超電導かご形巻線73と高温超電導バルク体76とを備え設けたものからなっており、超電導かご形巻線73が超電導状態であるとき、超電導かご形巻線73が固定子3より生み出される回転磁界の磁束を捕捉することで生じる同期トルク主動で回転するようになっており、さらに、超電導回転子7が回転状態の下、高温超電導バルク体76が超電導状態であるとき、この高温超電導バルク体76が磁気遮蔽体となることによるリラクタンストルクが発現するようになっており、超電導かご形巻線73及び高温超電導バルク体76が超電導状態であるときの総トルクが、上記同期トルク及び上記リラクタンストルクの合成トルクとして得られるものであっても構わない。
かかる構成の下では、超電導かご形巻線73が非超電導状態であるとき、超電導回転子7は、超電導かご形巻線73に流れる誘導電流と固定子3より生み出される回転磁界に起因して超電導かご形巻線に生じる誘導トルクと、超電導回転子7が回転状態にあるときに回転子鉄心71と高温超電導バルク体76とのリラクタンス差によって発現するリラクタンストルクとの総トルクにより回転する。
さらに、本発明の超電導回転機又は超電導回転機システムに含まれる超電導回転子については、超電導回転子が常電導かご形巻線74と高温超電導バルク体76とを備え設けたものからなっており、高温超電導バルク体74が非超電導状態であるとき、固定子3より生み出される回転磁界に起因して常電導かご形巻線74に生じる誘導トルク主動で回転し、さらに、超電導回転子7が回転状態の下、高温超電導バルク体76が超電導状態であるとき、高温超電導バルク体76が磁気遮蔽体となることによるリラクタンストルクが発現するようになっており、このとき、該リラクタンストルク主動で超電導回転子7が回転するよう構成されているものであっても構わない。
また、上記実施形態においては、常電導材からなる固定子巻線3bを用いたが、超電導材からなる固定子巻線3bを用いてもよい。ただし、この場合、固定子巻線3bの臨界温度は、超電導かご形巻線73の臨界温度以上になっている必要がある。そうしないと、固定子巻線3bが超電導状態になって駆動開始されるとき、超電導かご形巻線73は常に超電導状態となって、超電導状態における同期回転または誘導回転しかできなくなるからである。
また、超電導回転機システム21では、超電導電動機1を車軸22に直接連結していたが、超電導電動機1をトランスミッションを介して車軸22に連結してもよい。
また、上記実施形態では、本発明の超電導回転機を超電導電動機として使用したが、超電導発電機として使用することもできる。その場合、例えば図13Aに示す如く、ブレード32と、ブレード32がシャフト33を介して超電導回転子7に連結された超電導発電機1と、超電導発電機1の固定子巻線3bに発生した交流電力の電圧および周波数を変換する電力変換器34と、を含んでなる超電導発電機システム31とすることができる。
超電導発電機システム31は、ブレード32の回転によって超電導回転子7を回転させ、固定子巻線3bに交流電力を発生させる。超電導発電機システム31は、上記実施形態における超電導電動機システム21と同様に、超電導かご形巻線73が常電導状態であるとき誘導発電機として動作し、超電導状態であるとき同期発電機として動作する。
なお、超電導発電機システム31は、図13Bに示す如く、ブレード32と超電導発電機1との間に増速機36を接続して、超電導発電機1の回転速度を増加させるように構成することもできる。
また、上記実施形態においては、高温超電導バルク体76が埋設される孔76aは、超電導回転子7の軸心又は回転軸75に略平行な態様で穿設されているところ、回転子鉄心71中における孔76aの穿設態様に関しては上記のものに何等限定されない。
例えば、スロット72と同様に、回転子鉄心71の軸方向に対して斜めに形成され、斜めスロット(スキュー)構成とされていても構わない。すなわち、孔76aは、回転子鉄心71内において、同鉄心71の軸方向の実質上全長にわたり、同鉄心71の中心軸又は超電導かご形巻線73のローターバー73aもしくは常電導かご形巻線74のローターバー74aと略平行に備え設けられていても構わない。さらに、孔76aが形成される方向は、スロットが(斜めに)形成される方向と完全に同一方向でなくとも構わない。
また、本実施形態では、超電導回転子7の軸方向端面或いは横断面から見たときの高温超電導バルク体76の配置態様は図1、3及び5に示されるようなものとしたが、高温超電導バルク体76の配置態様はこれに何等限定されない。要するに、高温超電導バルク体76が超電導状態となって磁気遮蔽体となった際に大きなリラクタンス差が発生し、これを利用して超電導回転子7を備えた超電導回転機1に大きなリラクタンストルクが発現し得る様な配置態様であれば高温超電導バルク体76の配置態様に特に限定はない。
同じ発想から、磁気遮蔽体に相当する本発明の超伝導体(高温超電導バルク体76)の形状も、本実施形態記載のものに限定されず、筒形状(軸に直交する断面はリング状)であっても、或いは軸に直交する形状を円弧状としたものであっても構わない。
また、本実施形態では、図2及び図5に示す通り、超電導かご形巻線73と常電導かご形巻線74は別体になっており、さらに、常電導かご形巻線74は、超電導かご形巻線73よりもかごが大きく、各ローターバー74aが超電導かご形巻線73の各ローターバー73aよりも外側に位置する構成としたが、これに限定されず、本発明における両かごの大小関係についてはこれに何等限定されず、上記と逆であっても構わない。
その他、本実施形態では、図2、図3及び図5に示す通り、超電導かご形巻線73と常電導かご形巻線74とは別体であるものとしたが、かかる構成に限定されず、上記常電導かご形巻線74を、超電導かご形巻線73における高導電性金属の1種類若しくは複数種類を所定厚さ以上にすることによって形成し、超電導かご形巻線73と一体的なものとしても構わない。
さらに、本実施形態では、超電導かご形巻線73のローターバー73aの数と常電導かご形巻線74のローターバー74aの数は互いに同数からなっており、またスロット72についても、これらを全て収容し得る数が二次側鉄心71に備え設けられている構成としたが、かかる構成に限定されず、超電導かご形巻線73のローターバー73aの数と常電導かご形巻線74のローターバー74aの数とは互いに相異なっていても構わない。なお、この場合であっても、スロット72は、少なくとも超電導かご形巻線73のローターバー73a、および常電導かご形巻線74のローターバー74aを全て収容し得る数が二次側鉄心71に備え設けられる。
その他、本実施形態では、超電導かご形巻線73の臨界温度が高温超電導バルク体76の臨界温度以上になっていることを前提としてその運転或いは制御方法の一例につき説明したが、本発明における両者の臨界温度の関係についてはこれに何等限定されず、同一又は上記と逆であっても構わない。
さらに、本実施形態では、一次側巻線内を流れる電流の値(一次電流信号SIの値IS1)が、超電導かご形巻線が超電導状態になったことに起因して変化すなわち低下したとき、第2の制御パターン(同期回転用制御パターン)を用いて超電導回転機1を制御し、そうでないとき、第1の制御パターン(誘導回転用制御パターン)を用いて超電導回転機1を制御するよう構成したが、変化を観るパラメータは一次側巻線内を流れる電流の値に特に限定されず、一次側電圧値、前記一次側巻線を流れる電流と前記一次側電圧との位相差、或いは前記超電導回転機の回転数の値であっても構わない。
1 超電導回転機
7 超電導回転子
71 回転子鉄心
72 スロット
73 超電導かご形巻線
74 常電導かご形巻線
75 回転子軸
76 高温超電導バルク体
76a 穿孔
73a,74a ローターバー

Claims (19)

  1. 回転磁界を発生させる一次側巻線を有する第一次子と、前記第一次子と相対回転し得る様前記第一次子と同軸上に配置される第二次子とからなる超電導回転機における超電導二次子であって、
    前記第二次子は、単数または複数の超電導線を高導電性金属で被覆した単数または複数本の超電導線材からなるローターバーおよびエンドリングによって形成された超電導かご形巻線、或いは常電導材からなるローターバーおよびエンドリングによって形成された常電導かご形巻線の一方又は双方と、
    前記第二次子の軸方向の実質上全長にわたり備え設けられた、少なくとも一つの超電導体と、
    前記超電導かご形巻線或いは前記常電導かご形巻線の一方又は双方の前記各ローターバーを収容する複数のスロット、および前記超電導体を収容する少なくとも一つの穿孔を備えた二次側鉄心と、
    前記第一次子と軸心が共通する回転軸と、
    を含んでいて、
    前記超電導二次子は、前記超電導回転機が相対回転状態にあるときに前記二次側鉄心と前記超電導体とのリラクタンス差によって発現するリラクタンストルクと、前記超電導かご形巻線或いは前記常電導かご形巻線の一方又は双方によって生じる同期トルク又は誘導トルクとの総トルクにより前記超電導回転機を相対回転させ得ることを特徴とする超電導二次子。
  2. 前記第二次子は、前記超電導かご形巻線及び前記常電導かご形巻線の双方を備えており、
    前記超電導かご形巻線が非超電導状態であるとき、前記回転磁界に起因して前記常電導かご形巻線に生じる誘導トルク主動で回転する一方、
    前記超電導かご形巻線が超電導状態であるとき、前記超電導かご形巻線が前記回転磁界の磁束を捕捉することで生じる同期トルク主動で前記超電導回転機が相対回転するようになっており、さらに、
    前記超電導回転機が相対回転状態にある下、前記超電導体が超電導状態であるとき、前記超電導体が磁気遮蔽体となることによるリラクタンストルクが発現するようになっており、
    前記超電導かご形巻線及び前記超電導体が超電導状態であるときの総トルクが、前記同期トルク及び前記リラクタンストルクの合成トルクとして得られる様構成されてなることを特徴とする請求項1に記載の超電導二次子。
  3. 前記第二次子は、前記超電導かご形巻線のみを備えており、
    前記超電導かご形巻線が超電導状態であるとき、前記超電導かご形巻線が前記回転磁界の磁束を捕捉することで生じる同期トルク主動で前記超電導回転機が相対回転するようになっており、さらに、
    前記超電導回転機が相対回転状態にある下、前記超電導体が超電導状態であるとき、前記超電導体が磁気遮蔽体となることによるリラクタンストルクが発現するようになっており、
    前記超電導かご形巻線及び前記超電導体が超電導状態であるときの総トルクが、前記同期トルク及び前記リラクタンストルクの合成トルクとして得られる様構成されてなることを特徴とする請求項1に記載の超電導二次子。
  4. 前記超電導かご形巻線が非超電導状態であるとき、前記超電導かご形巻線に流れる誘導電流と前記回転磁界に起因して前記超電導かご形巻線に生じる誘導トルクと、前記超電導回転機が相対回転状態にあるときに前記二次側鉄心と前記超電導体とのリラクタンス差によって発現するリラクタンストルクとの総トルクにより前記超電導回転機が相対回転することを特徴とする請求項3に記載の超電導二次子。
  5. 前記第二次子は、前記常電導かご形巻線のみを備えており、
    前記超電導体が非超電導状態であるとき、前記回転磁界に起因して前記常電導かご形巻線に生じる誘導トルク主動で前記超電導回転機が相対回転し、さらに、
    前記超電導回転機が相対回転状態にある下、前記超電導体が超電導状態であるとき、前記超電導体が磁気遮蔽体となることによるリラクタンストルクが発現するようになっており、このとき、該リラクタンストルク主動で前記超電導回転機が相対回転するよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の超電導二次子。
  6. 前記超電導体は、Nb、NbTiもしくはNbSnに代表される金属系低温超電導体、イットリウム系、サマリウム系、ガドリニウム系あるいはビスマス系をはじめとする酸化物系高温超電導材、または二ホウ化マグネシウムをはじめとする金属系超電導材からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の超電導二次子。
  7. 前記超電導かご形巻線の臨界温度は、前記超電導体の臨界温度以上になっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の超電導二次子。
  8. 前記超電導体は、前記第二次子の軸方向の実質上全長にわたり前記第二次子の中心軸又は前記超電導かご形巻線もしくは前記常電導かご形巻線のローターバーと略平行に前記第二次子に備え設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の超電導二次子。
  9. 前記超電導体は、前記第二次子内に少なくとも1対備えられ、さらに、前記第二次子を軸方向端面視又は横断面視したとき、
    前記超電導体は、その端面又は断面形状が、アスペクト比が周方向に長い長方形をなしていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の超電導二次子。
  10. 前記超電導線は、NbTiもしくはNbSnに代表される金属系低温超電導体、イットリウム系もしくはビスマス系に代表される酸化物系高温超電導体、あるいは二ホウ化マグネシウムをはじめとする金属系超電導体からなっており、
    前記高導電性金属は、銀、銅、金、アルミニウムもしくはそれらの合金であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の超電導二次子。
  11. 前記常電導かご形巻線は、前記超電導かご形巻線における前記高導電性金属の1種類若しくは複数種類を所定厚さ以上にすることによって形成されていて、前記超電導かご形巻線と一体的になっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の超電導二次子。
  12. 前記超電導かご形巻線と前記常電導かご形巻線とは別体になっており、さらに、前記超電導かご形巻線は、前記常電導かご形巻線よりもかごが大きく、前記各ローターバーが前記常電導かご形巻線の各ローターバーよりも外側に位置していることを特徴とする請求項1又は2に記載の超電導二次子。
  13. 前記超電導かご形巻線と前記常電導かご形巻線とは別体になっており、さらに、前記常電導かご形巻線は、前記超電導かご形巻線よりもかごが大きく、前記各ローターバーが前記超電導かご形巻線の各ローターバーよりも外側に位置していることを特徴とする請求項1又は2に記載の超電導二次子。
  14. 前記超電導かご形巻線の前記ローターバーの数と前記常電導かご形巻線の前記ローターバーの数は互いに同数或いは互いに相異なった本数からなっており、
    前記スロットは、少なくとも前記超電導かご形巻線の前記ローターバー、および前記常電導かご形巻線の前記ローターバーを全て収容し得る数が前記二次側鉄心に備え設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の超電導二次子。
  15. 前記一次側巻線は超電導材からなっており、当該超電導材の臨界温度は、前記超電導かご形巻線を形成する前記超電導線材の臨界温度以上になっていることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の超電導二次子。
  16. 回転磁界を発生させる一次側巻線を有する第一次子と、前記第一次子と相対回転し得る様前記第一次子と同軸上に配置される第二次子とからなる超電導回転機であって、請求項1〜15のいずれか1項に記載の超電導二次子を具備してなることを特徴とする超電導回転機。
  17. 回転磁界を発生させる一次側巻線を有する第一次子と、前記第一次子と相対回転し得る様前記第一次子と同軸上に配置される第二次子とからなる超電導回転機であって、請求項2に記載の超電導二次子を具備してなる超電導回転機と、
    前記超電導回転機を超電導状態になるまで冷却し得る冷却装置と、
    前記超電導回転機を制御する制御装置と、
    を含んでいて、
    前記制御装置は、前記超電導回転機が前記誘導トルク主動で回転している場合に使用すべき第1の制御パターンと、前記超電導回転機が前記同期トルク主動で回転している場合に使用すべき第2の制御パターンと、を有しており、前記一次側巻線内を流れる電流の値、一次側電圧値、前記一次側巻線を流れる電流と前記一次側電圧との位相差、或いは前記超電導回転機の回転数の値が、前記超電導かご形巻線が超電導状態になったことに起因して変化したとき、前記第2の制御パターンを用いて前記超電導回転機を制御し、そうでないとき、前記第1の制御パターンを用いて前記超電導回転機を制御するようになっていることを特徴とする超電導回転機システム。
  18. 前記制御装置は、始動時において前記超電導かご形巻線が前記回転磁界の磁束を捕捉してない状態で超電導状態になっている場合、前記超電導かご形巻線に流れる電流が臨界電流を越えるように、前記一次側巻線への印加電圧および/または当該印加電圧の周波数を変化させ、前記超電導かご形巻線を磁束フロー状態にし、前記超電導かご形巻線に前記回転磁界の磁束を鎖交させるようになっていることを特徴とする請求項17に記載の超電導回転機システム。
  19. 回転磁界を発生させる一次側巻線を有する第一次子と、前記第一次子と相対回転し得る様前記第一次子と同軸上に配置される第二次子とからなる超電導回転機であって、請求項2に記載の超電導二次子を具備するとともに、前記超電導かご形巻線の臨界温度が前記超電導体の臨界温度以上になっている超電導回転機を室温から運転する方法であって、
    室温より始動する際、前記超電導回転機を通常の誘導機として動作させるステップと、
    温度を下げていき、まず前記高温超電導かご形巻線の温度が臨界温度未満となり、該巻線が超電導状態となった時点で、前記高温超電導かご形巻線が鎖交磁束を捕捉し、同期回転に移行することによって同期トルクを発現させるステップと、
    その後、さらに温度を下げていき、前記超電導体の臨界温度未満になったところで該超電導体も超電導状態となり、前記超電導体が磁気遮蔽体となることによってリラクタンストルクを発現させるステップと、
    からなり、
    最終的に前記高温超電導かご形巻線及び前記超電導体が超電導状態にあるときの総トルクが、前記同期トルク及び前記リラクタンストルクの合成トルクとして得られる様構成されていることを特徴とする超電導回転機の運転方法。
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