JP2018095495A - 炭素材料の接合剤及び接合方法 - Google Patents

炭素材料の接合剤及び接合方法 Download PDF

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Abstract

【課題】炭素材料基材と同等以上の強度及び電導度の接合部が得られる炭素材料用の接合剤および接合方法を提供する。【課題を解決するための手段】カーバイド生成触媒の金属Fe粉末、フェノール樹脂等の炭素源の熱硬化性樹脂及び希釈剤としてのアルコールとの混合物である炭素材料用の接合剤であり、この接合剤を黒鉛等の炭素材料の接合面に刷毛等で塗布して圧着し、150〜250℃で接合剤をカーバイド化して硬化させた後、2000℃以上で熱処理を行うことでカーバイドを分解して接合部を炭素化する接合方法である。2000℃以上までの昇温中、カーバイド生成触媒の金属粉末は、熱分解過程の樹脂硬化物中の炭素と反応しカーバイドの生成を経由した後、熱分解して系外に移動し、空隙のない強固な炭素結合部が形成される。【選択図】なし

Description

本発明は、黒鉛ブロック材料(押し出し材、竪込め成形材、CIP材やHIP材)、炭素繊維強化炭素材料(C/C複合材料)、多孔質炭素材料、膨張黒鉛シート、黒鉛シ−トや膨張黒鉛シ−ト等の炭素材料の接合剤及び接合方法に関する。
炭素材料を接合するには、炭素材料用の接合剤で仮接合し、加熱によって接合剤を硬化させ、更に熱処理によって炭素化するのが一般的である。炭素材料用の接合剤としては、加熱処理による炭素化中に揮散する成分が少なく、炭素化された後も炭素材を強固に接合することや、更には、炭素材料を接合して製造した製品の使用環境によっては、高温(1000℃以上)においても接合強度が低下しないということが必要であり、特に半導体製造に使用される高強度炭素材料の接合、高温においても高い接合強度が必要とされる。
従来、炭素材料の接合は、炭素前駆体として樹脂単独、あるいは樹脂にタール、又はピッチを添加した混合物とコークス粉末又は黒鉛粉末から成るカーボンセメントを接合剤として炭素材に塗布して接合し、加熱によって接合剤中の樹脂を硬化させ、次いで非酸化性雰囲気中で炭素化することによっておこなっている。
炭素(または黒鉛)をマトリクスとし、炭素繊維(または黒鉛繊維)を強化材とするC/C複合材料は、その機械的強度が著しく高いので、各種の構造部材として利用されている。また、導電性を有することから抵抗発熱体としても使用されている。
C/C複合材料の個々の部材を接合して、目的形状の製品に組立てがおこなわれており、組立体が常温において使用される場合にはC/C複合材料部材間を接合強度の大きい各種合成樹脂の接合剤を用いて接合するだけでも充分であるが、組立体が、発熱体として使用される場合には各部材間の接合部は高温に曝され、しかも導電性でなければならないということから、前記の合成樹脂系の接合剤による接合では要求が満たされない。
このような場合の接合においては、接合剤として炭素(または黒鉛)粉末とフェノール樹脂のような合成樹脂を所定の割合で混合した液状またはペースト状の接合剤を選定し、この接合剤をC/Cコンポジット部材の接合部に塗布して両部材を圧着し、その状態を保持して焼成して合成樹脂を炭化するという方法が採られている。
また、炭素材料の接合部に炭素繊維と炭素前駆体である樹脂とからなるプリプレグを介在させ、炭素材料と一体化させた状態でプリプレグを加圧しながら加熱して樹脂を硬化させて接合した後、非酸化性雰囲気中にて焼成する接合方法も知られている。
これらの接合方法において用いる樹脂としては、炭素材料との濡れ性が良く、しかも高い炭化収率を示すことが必要なことから、フェノール樹脂、フラン樹脂、あるいはタール又はピッチ相溶性のフェノール樹脂等が用いられていた。タールやピッチは、炭化収率を稼ぐための増量剤として使用されるものである。
しかし、その接合部には空隙が認められ、接合部の強度は基材強度より低く、電気抵抗値は基材より高く導電性の低いものであり、炭素材料の設計上の自由度は高いとは言えなかった。
特許第2678291号公報 特許第3148839号公報 特許第2648349号公報 特開平11−236277号公報
従来の接合剤では、焼成後の接合部に空隙が観察され、このため接合強度は基材の炭素材料より低く、接合部を挟んだ炭素材料の電気抵抗値は基材の炭素材料よりも高くなって導電性が低下するという問題がある。
本発明は、炭素材料の接合部の強度を炭素材料自体の強度と同等以上とし、また、接合部の電気抵抗値を基材炭素材料の電気抵抗値と同等以下とする接合剤及び接合方法を提供することにある。
カーバイド生成触媒の金属Fe粉末、炭素源の熱硬化性樹脂及び希釈剤としてのアルコールとの混合物である炭素材料用の接合剤である。
この接合剤を使用した接合方法は、接合剤を炭素材料の接合部に刷毛等で塗布して圧着し、150〜250℃で接合剤を硬化させた後、2000℃以上で熱処理を行うことでカーバイドを分解して接合部を炭素化する接合方法である。2000℃以上までの昇温中、カーバイド生成触媒の金属粉末は、熱分解過程の樹脂硬化物中の炭素と反応しカーバイドの生成を経由した後、熱分解して系外に移動するので、空隙のない強固な炭素結合部が形成されることになる。
半導体製造設備等に使用される炭素材料の接合品の場合、炭素材料(黒鉛)は高純度であることが要求されるので、接合後に純化処理を必要とするため、純化処理を実施しても接合部の強度が低下せず、接合部に不具合が生ずることなくなく純化される接合剤であることが必要である。このため、カーバイドを経由して炭素結合部を形成させるCDC(Carbide−derived carbon)接合が適切であると考え、カーバイド生成触媒である金属Fe粉末と樹脂等の炭素源及びアルコール等の分散媒からなる接合剤が課題を解決するものであることを見出したのである。
カーバイドを形成する金属粉末は、Si、Fe、Al、Ca、Cr他が知られているが、金属Fe粉末が取扱い上の安全性、廃棄物の環境に対する影響、価格、カーバイド生成温度、分解温度、接合時の機械的強度等を考慮すると最適である。金属Fe粉末の平均粒径は20μm以下、好ましくは10μm以下である。
一般に平均粒子径が20μm以上になると最大粒子径が55μmを超える場合が多く、接合剤中で沈降しやすくなり、安定した分散状態を保つことが困難となり好ましくない。
三酸化二鉄(Fe)のような金属酸化物は、6Fe+13C→4FeC+9COの反応式に示すように、酸素により炭素が消費され、炭酸ガスが放出されるため接合の効果が十分に得られない。すなわち、接合部に空隙が多数生成し、接合部の強度が低下したり、接合部に不具合が生ずることや、接合部の電気抵抗値が高くなって電導度が低下するので好ましくない。
炭素源となる樹脂は、熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ビニルエステル樹脂等が挙げられるが、2000℃以上にまで熱処理した際の炭素収率が高いこと、希釈に用いる溶剤が安価で比較的沸点が低く蒸発除去しやすいことからフェノール樹脂が好ましい。
接合剤の配合割合は、金属Fe粉末と樹脂中の炭素がカーバイド化する反応、3Fe+C→FeCを基にFe/Cのモル比Fe/C=3/1=3を基準としてFe量を増加させて検討した。Fe/Cが6以上で体積抵抗率が接合される炭素材料と同等且つ接合部の曲げ強度が同等以上となるので、モル比6以上とするのが好ましい。
上記接合剤を用いて得られた接合部の厚みは、20μm以下であり、接合による炭素材料の設計上の寸法計算から大きく狂うことはなく、設計自由度向上に寄与することができる。
接合しようとする炭素材料の面の加工精度が悪く、炭素材料同士を合わせた際に隙間ができ、接合剤を塗布しても接合部に隙間ができてしまう場合、接合部に隙間が発生するのを防ぐために最大粒子径150μm以下の黒鉛粉末や炭素繊維粉末を添加混合して用いることが有効である。添加する黒鉛粉末や炭素繊維粉末の最大粒子径が150μmを超えると接合部が厚くなり、接合による炭素材料の設計上において煩雑となり好ましくない。
黒鉛粉末や炭素繊維粉末を予め本発明の接合剤に添加混合して用いる場合でもFe/Cは、6以上とすることが必要であり、金属Fe粉末に対するフェノール樹脂中の炭素(C)と添加された黒鉛粉末乃至炭素繊維粉末中の炭素(C) の合計のCの比が6以上になるように調節する。
接合剤中の固形分濃度は、塗料として塗工しやすい粘度に希釈材を用いて適宜調整する。刷毛を用いる場合は、40%程度が好適である。
本発明の接合剤によれば、得られる接合部の強度及び電気抵抗値は炭素材料と同等またはそれより優れたものとなり、接合部は、炭素材料と均一に一体化された炭素であり、接合したことで炭素材料の特性には変化が認められず、また、半導体製造用に使用するために高純度化処理をおこなってもこの特性は失われることはない。
本発明の接合剤は、炭素材料を接合する場合、一方の炭素材料に塗布した後、もう一方の炭素材料を塗布面に重ね合わせ圧着し、150〜250℃で接合剤を硬化させた後、2000℃以上で熱処理を行うことで接合部に空隙のない強固な炭素からなる接合部を得ることができる。
本発明の接合剤によればC/Cコンポジット部材の相互間を極めて強固に接合することができ、しかも、その接合部は耐熱性、耐食性、導電性を有するので、C/Cコンポジットを発熱体とした複雑形状の発熱装置、腐食雰囲気中で使用する発熱装置の組立て時に適用して極めて有用である。
本発明の効果は、接合面の外観観察、及び機械的強度、灰分量の測定によって評価した。測定方法について以下に示す。
<外観観察>
接合部の外観は、目視又は金属顕微鏡によって観察した。
<粒度>
平均粒径、及び最大粒子径の測定は、日機装株式会社製レーザー回折式粒度分布測定装置MT3300EXを用いて水に分散剤として微量の界面活性剤を添加し、試料を超音波分散させた状態で測定した。試験に供される粉体の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブが小粒子径側から大粒子径側に向けて積算したときの50%、100%となる点の粒子径をそれぞれ平均粒径、最大粒子径とした。
<全電気抵抗>
炭素材料を接合した接合品の全電気抵抗値の測定は、40mm×40mm×40mmに切り出した基材の一面に接合剤を塗布し、この面に同じく40mm×40mm×40mmに切り出した基材を接合して作成した接合品をテストピースとして用い、4端子法により測定した。接合部が各端子の中点になる位置にセットし、1.00Aの定電流を流した状態で端子間距離20mmで電圧を測定することによって求めた。なお、異種材料間での接合では比較用の全抵抗が測定出来ないため、各基材の体積抵抗率を使用した。
<黒鉛材:曲げ強度、圧縮強度、引張強度>
曲げ強度、引張強度、及び圧縮強度の機械的強度測定には、インストロンジャパン カンパニィリミテッド社製、インストロン5969型万能材料試験機を用いて室温で測定した。
曲げ強度は、40mm×40mm×40mmの基材片を2個接合した80mm×40mm×40mmの接合品から80mm×40mm×8mmの試験片を切り出し、スパン70mmで接合部がその中央になるようにセットし、試験速度3mm/minで3点曲げ試験を実施した。
圧縮強度は、接合面が圧縮方向に対し垂直及び平行になるようにφ20×20mmの試験片を接合品から切り出し、試験速度3mm/minで荷重Pを作用させて実施した。
引張強度は、接合部1を有する接合品を図1に示すφ20×40mmの平行部2を有し両端部に治具に取り付けるためのネジ3が形成してあるダンベル型試験片に加工して引張試験速度3mm/minで実施した。
<C/C複合材料の曲げ強度、引張強度、せん断強度>
曲げ試験、引張試験用には、それぞれ図2、図3に示すC/C複合材の端面同士を接合した試験片を切り出して、黒鉛材の場合に用いたインストロン5969型万能材料試験機を用いて同様に実施した。
せん断強度は、図4に示す切込み幅5mmのダブルノッチ型の試験片を切り出して試験速度3mm/minで同様に実施した。ノッチ4を結ぶ線が接合部であり、ノッチ4の切込み幅は5mmである。
<灰分>
予め空焼きした白金ルツボに試料を投入し、電気加熱式の灰化炉にて850℃で保持することにより灰化を行った。白金ルツボごと灰化炉から取り出し、放冷後デシケーター内で15分、更に23.5℃、湿度50%に保たれた天秤室内に5分放置した後、重量測定により灰分を計算して求めた。
引張強度測定用試験片であるダンベル型試験片の斜視図。 C/C複合材料の曲げ強度測定用試験片の説明図。 C/C複合材料の引張強度測定用試験片の説明図。 C/C複合材料のせん断強度測定用試験片の説明図。
以下に本発明についての具体例を示すが、本発明は、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で接合部の形状、基材(炭素材料)の銘柄等は必要に応じて変更できるものであり、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1〜2、比較例1〜3>
平均粒子径12μm、最大粒子径55μmのJFEケミカル株式会社製の鉄粉JIP−280、不揮発分60%、残炭率58%DIC株式会社製のレゾール型フェノール樹脂フェノライト5900、希釈剤としてイソプロピルアルコール(IPA)を表1の実施例1、2、比較例1、2、及び3に示す割合で撹拌羽根つき混合器に投入して1000回転で10分間混合して塗料化し、接合剤を得た。
等方性黒鉛材(商品名IGS―743、新日本テクノカーボン株式会社)を40mm×40mm×40mmに切り出し、一面に刷毛を用いて接合剤を450g/cmになるように塗布した。接合剤の塗布面にもう一つの40mm×40mm×40mmに切り出した等方性黒鉛材(IGS−743)を重ね合わせて圧着し、150℃で2時間保持し、フェノライト5900に含まれていた溶剤と希釈に用いたイソプロピルアルコールを蒸発除去し、硬化後、非酸化性雰囲気の減圧下にて2000℃で3時間保持し熱処理を行った。炭素材料基材が黒色乃至黒鉄色の艶消し状であるのに対し、接合部は、黒い光沢を呈していた。
等方性黒鉛材(IGS−743)同士の接合部は、厚さ20〜30μmで空隙が発生することなく基材である等方性黒鉛材と一体化して接合されていた。
基材の等方性黒鉛材の全抵抗は120μΩ、曲げ強度は57.3MPaであるが、接合物の全抵抗と曲げ強度は、鉄粉と炭素源であるフェノール樹脂を炭化したときに残る炭素量(フェノライト5900の重量×不揮発分×残炭率)の比Fe/Cが7.18である実施例1、同様に6.17である実施例2は、全抵抗がそれぞれ130、140μΩ、曲げ強度がそれぞれ54.9、56.3MPaであり、抵抗値、曲げ強度とも基材と同等であった。
一方、比較例1(Fe/C=5.15)、比較例2(同4.12)、比較例3(同3.09)は、全抵抗は、それぞれ130、150、140μΩであり、基材とほぼ同等であったが、曲げ強度は、それぞれ47.3、46.0、43.6MPaであり、基材より劣っていた。なお、実施例1,2の破断部は接合部ではなく基材の等方性黒鉛材(IGS―743)に生じていたのに対し、比較例1、2、及び3では接合部が破断していた。
<圧縮強度試験>
等方性黒鉛材(IGS―743)を実施例2の接合剤を用いて実施例2と同様の方法で接合した。得られた接合品から圧縮方向に対して接合部が垂直方向、及び平行方向に接合されたφ20×20(mm)の試験片を作成して圧縮試験を行った。
等方性黒鉛材(IGS―743)の圧縮強度が、118.0MPaであるのに対し、圧縮方向に対し接合面が直角をなす方向の試験片は118.6MPa、接合面が平行となる方向の試験片は122.2MPaであった。どちらの接合方向においても、斜めに破断しており、接合部が破断することはなく、接合部の強度は基材と同等以上である結果を得た。
<引張強度試験>
実施例2の接合剤を用いて実施例2と同様の方法で接合した等方性黒鉛材(IGS―743)を図1に示すダンベル状の形状の試験片に加工した。
等方性黒鉛材の引張強度が37.5MPaであるのに対し、接合品では37.4MPaであった。基材部分が、破断し接合部の強度は、基材同等以上であることを確認した。
<物理特性試験>
実施例2の接合剤を用いて、嵩密度、成型方法、体積抵抗率、熱膨張率のそれぞれ異なる等方性黒鉛材(IGS―743)、押し出し成形黒鉛材(GR−103)、及び型込め成形黒鉛材(商品名MF307、新日本テクノカーボン株式会社製)の同種材料間、及び異種材料間の接合を実施例2と同様の方法で行った。各黒鉛基材の特性を表2に、接合を実施した接合品の特性を表3に示す。
同種材接合の接合品の体積抵抗率は、基材と同等を示した。また異種材接合品の体積抵抗率は、それぞれの基材代表値から計算した値(基材Aと基材Bの体積抵抗値の和の1/2)と一致した。曲げ強度は、同種材での接合では基材と同等の結果を示した。
試験後の破断部の外観観察によると、破断は、基材部で生じていた。
従って接合品の曲げ強度は基材と同等であることを確認した。異種材接合における曲げ強度は、低強度側の基材と同等となった。破断部の外観観察によると、破断部は低強度基材側に生じていた。従って、異種材接合品の曲げ強度は低強度基材の強度と同等になるといえる。
以上より、本発明の接合剤を使用した接合部の強度は、基材強度よりも高くなっていることを確認した。
<比較例4>
人造黒鉛粉末と液状フェノール樹脂からなる市販品を接合剤として用いた他は、実施例1と同様の方法で等方性黒鉛材(IGS−743)を接合した。
接合部には空隙が多数確認され、全抵抗は260μΩ、曲げ試験の結果は、曲げ強度は1.7MPaであり、接合部から破断した。
<比較例5〜11>
最大粒子径55μmのJFEケミカル株式会社製の酸化鉄粉末JC−N、不揮発分60%、残炭率58%DIC株式会社製のレゾール型フェノール樹脂フェノライト5900、希釈剤としてイソプロピルアルコール(IPA)を表4の比較例5〜11に示す割合で撹拌羽根つき混合器に投入して1000回転で10分間混合して塗料化して接合剤を得た。この接合剤を使用して実施例1の接合品に対して実施したのと同様の試験を行った。
等方性黒鉛材(IGS―743)同士の接合部の厚さは20〜40μm程度であり、接合部は基材と一体化していた。
基材である等方性黒鉛材(IGS―743)の全抵抗は120μΩ、曲げ強度は57.3MPaであるが、比較例の接合物の全抵抗と曲げ強度を測定したところ、Fe粉末と炭素源であるフェノール樹脂を炭化したときに残る炭素量(フェノライト5900の重量×不揮発分×残炭率)の比Fe/Cが0.77以上(比較例9〜11)において基材同等の全抵抗値を示したが、0.77未満(比較例5〜8)では、基材の全抵抗値より大きかった。
基材である黒鉛材に対する触媒効果が小さく、カーバイド化が十分におこなわれず、接合部に空隙が多数形成されて電気抵抗の上昇を招いたものと考えられる。
一方、曲げ強度は、Fe/C=0.77(比較例5〜8)迄はFe量の増加と共に大きく増加したが、0.77以上(比較例9〜11)では微増に留まり、基材強度である57.3MPaには届かなかった。
<実施例11〜16>
黒鉛粉末添加
実施例11〜13は、平均粒子径12μm、最大粒子径55μmのJFEケミカル株式会社製の鉄粉JIP−280、不揮発分60%、残炭率58%DIC株式会社製のレゾール型フェノール樹脂フェノライト5900、平均粒子径27μm、最大粒子径150μmの日本カーボン株式会社製人造黒鉛粉末EG-1C、希釈剤としてイソプロピルアルコールを表5に示す割合で撹拌羽根付き混合機に投入し、1000回転/分で10分間混合して塗料化して接合剤を得た他は、等方性黒鉛材(IGS−743)を基材として実施例1と同様の方法にて処理した。
実施例14〜16は、フェノライト5900に換えて不揮発分83%、残炭率59%住友ベークライト株式会社製のノボラック型フェノール樹脂PR−50404を用いて、PR−50404と黒鉛粉末との合計重量100g当たり硬化剤HP-44を5ml加え、25℃で24時間放置した以外は、実施例11〜13と同様に行った。
各実施例について接合部の厚さ、曲げ強度を測定した。最大粒子径150μmの黒鉛粉末を骨材として添加したことにより、接合部の厚さは約0.1mm前後増加した。フェノール樹脂種の違いによる差は無かった。骨材の添加量およびフェノール樹脂種が異なるものであっても強度の低下は認められず、全ての試料は基材部分で破断した。
本実施例によって、接合面の平面度が十分でなく、基材同志を合わせた際に隙間が存在する場合、接合剤に黒鉛粉末を骨材として添加することによって強固な接合部が得られることが判明した。
<実施例17〜18>
実施例2の接合剤を用いてC/C複合材料(商品名CCM−190C、CCM−400C、日本カーボン株式会社製)の接合を行い図2〜4に示す試験片を作製し、強度測定を行った。CCM−190Cの曲げ強度は160MPa、引張強度は260MPa、せん断強度は6MPa、CCM-400Cではそれぞれ140MPa、95MPa、12MPaである。
端面同士の接合強度を測定する曲げ及び引張試験において、接合部は炭素繊維で強化されていないため、接合強度は基材以下となった。しかし、曲げ強度は基材強度の約80%の値を示しており、実用的には問題がないといえる。
一方、表面同士の接合強度を測定したせん断強度は基材同等以上を示した。試験片は基材で破断されており、表面同士の接合強度は基材強度以上であった。
表6は、C/C複合材料の特性値を示すものである。
<実施例19>
実施例2の接合剤のみを硬化後、非酸化性雰囲気の減圧下にて2000℃で3時間保持し熱処理を行い、灰分を測定したところ230ppmであり、実施例2の接合剤に使用したフェノール樹脂のみを同様に熱処理して灰分測定を実施した結果の250ppmと同等であった。
<実施例20>
実施例2と同様にして接合し、同様の熱処理を行い、40mm×40mm×5mmに切り出した。接合面は40mm×40mmの面である。この接合品を、塩化水素ガスの流量35l/minの雰囲気中、2000℃で3時間保持して純化処理を行った。灰分測定をしたところ、等方性黒鉛材(IGS−743)のみを同様に純化処理した場合の3ppmと同様3ppmであった。一方、等方性黒鉛材(IGS−743)の灰分は、351ppm、接合品は411ppmであった。
また、接合品を純化処理したものの曲げ強度は、54.1MPaであり、未純化品と同様に基材部分で破断し、接合部は十分な接合強度を保持していることが確認された。純化処理前後で強度及び灰分に差は無いことから、本発明によって製造された炭素材料の接合品は高純度化処理が必須である半導体製造用途にも使用可能であることが確認できた。

Claims (6)

  1. カーバイド生成触媒である金属粉末、炭素源の熱硬化性樹脂及び分散媒を兼ねた希釈剤としてのアルコールとの混合物である炭素材料用の接合剤。
  2. 請求項1において、カーバイド生成触媒の金属粉末がFe粉末である炭素材料用の接合剤。
  3. 請求項2において、カーバイド生成触媒として用いる金属粉末の平均粒径が20μm以下である炭素材料用の接合剤。
  4. 請求項2〜3のいずれかにおいて、最大粒子径が150μm以下の黒鉛粉末又は炭素繊維粉末が加えてある炭素材料用の接合剤。
  5. 請求項1〜4のいずれかにおいて、カーバイド生成用触媒である金属粉末と炭素源である熱硬化性樹脂中の炭素との配合比率が、モル比で6以上である炭素材料用の接合剤。
  6. 炭素材料の接合すべき面に請求項1〜5のいずれかの接合剤を接合すべき一方の炭素材料の接合面に塗布して他方の炭素材料を塗布面に重ね合わせて圧着し、希釈剤を蒸発除去させて150〜250℃で硬化させた後、非酸化性雰囲気中で2000℃以上で熱処理することを特徴とする炭素材料の接合方法。
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JPH07187834A (ja) * 1993-11-09 1995-07-25 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 炭素材料接合体及びその製造方法
JP2010248060A (ja) * 2009-03-23 2010-11-04 Toyota Central R&D Labs Inc 耐高温部材およびその製造方法と耐高温接着剤
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