JP2018095178A - 車体後部構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】スポイラとリヤヘッダとの間のスペースを、バルジを設けることなく減らすことができ、車体後部において凹部がルーフ後部からスポイラにかけて前後方向に延びるデザインの連続性を確保しつつ、補機配設スペースを確保しながら間接後方上方視界を拡大すること。【解決手段】車体後部の車幅方向の中央部に、ルーフ凹部16及びスポイラ凹部46が前後方向に連続して設けられ、スポイラ凹部46の車幅方向両外側にヒンジ60が設けられ、スポイラ40には、その上面43によってスポイラ凹部46の底面47を形成するスポイラ本体部44を備え、スポイラ本体部44は、スポイラ凹部46の底面47が後方程浅くなるように側面断面視で後方程上下に拡幅して形成され、その拡幅された後部の内部に、ストップランプ配設スペース50を設けた。【選択図】図2

Description

この発明は、車体後部の後方開口を開閉するリフトゲートと、該リフトゲートの上部に車幅方向に延設されたリヤスポイラ(以下、「スポイラ」という。)とを備えた車体後部構造に関する。
車体後部の後方開口を閉塞するリフトゲートを備えたハッチバックタイプの車両には、リフトゲートを跳ね上げるようにして後方開口を開く所謂跳ね上げ式に構成されたものが広く知られており、その中には、車体のルーフ部が、外観意匠性等の観点で車幅方向の外側から中央部へ向けて上方に緩やかに膨出する後面視アーチ形状(所謂、蒲鉾形状)に形成されたものが存在する。
また、ハッチバックタイプの車両の車体後部構造として、リフトゲートにスポイラが取り付けられたものもよく知られている。なお、このスポイラはリフトゲートの上部に自動車の揚力を減らすという機能上、通常、ルーフ後部の後方に該ルーフ後部と略同じ高さに配置されるとともにルーフ後部の上面と同じ上面形状に形成されていることが好ましい。
このようなスポイラを備えた車体後部構造は一般に、スポイラの下方に設けられたヒンジを介してリフトゲートが車幅方向に延びる軸周りに回動するように車体後部の上辺に軸支されている。
さらに、車体後部構造は、ルーフ後部およびヒンジの下方に、リヤヘッダが車幅方向に延設されており、このリヤヘッダは車幅方向の中央前部においてはルーフ後部を下側から支持するとともに、車幅方向の両外側後部においてはヒンジを下側から支持する車体剛性部材として車幅方向に延びている。
このような車体後部構造によれば、図8(a)に示すように、リヤヘッダ130は、左右各側に配設されたヒンジ160の高さ(h1)分だけ、ルーフ後部112及びスポイラ140に対して下方に離間して配置されることになる。なお、図8(a)は従来の車両の後部構造の要部を模式的に示した前後方向の直交断面図である。
そして、ルーフ後部112が、その車幅方向において中央部が外側よりも膨出する後面視アーチ形状に形成されているが故に、リヤヘッダ130は、ルーフ後部112の車幅方向において中央部が最も下方に(すなわち高さ(h1+h2)分だけ)離間して配置されることになる。
そうすると、リヤヘッダによってルーフ後部をその車幅方向の中央において下方から支持するために、該リヤヘッダをルーフ後部側に、より近接する高い位置に設けようとしてもヒンジと干渉するため、上下に離間したルーフ後部とリヤヘッダとの隙間分だけリヤヘッダを厚肉化する等の対策が必要となる。
しかしその場合には、リヤヘッダの重量効率が悪化することや、車幅方向の中央において、ルーフ後部(スポイラ)との間に大きな冗長な空間が構成されるため、車両後部の室内空間が狭くなるという課題があった。
このような課題に対して特許文献1〜3の先行技術が提案されている。
特許文献1のものは、ルーフ後部の車幅方向における、左右各側のヒンジ配設位置よりも中央部に下方へ凹んだルーフ凹部を設けるとともに、スポイラにルーフ凹部と連続するようにスポイラ凹部を設けたものである。
これにより、スポイラ凹部に対して車幅方向外側に有するとともに、車幅方向の中央へ向けて徐々に隆起する隆起部の下方空間にヒンジを配置することにより、ルーフ後部の車幅方向の中央部における膨出高さを抑制することができるため、車体後部の車幅方向の中央部におけるルーフ後部(及びスポイラ)とリヤヘッダとの間の空間(上下方向の間隔)をコンパクト化して上記課題を解消できると考えられる。
さらに、特許文献1の車体後部は、ルーフ凹部とスポイラ凹部とが前後方向に連続して延びる優れたデザインとすることができる。
ところでスポイラの後部は、ハイマウントストップランプ等の補機が設けられることが多い。
しかし特許文献1のように車体後部においてルーフ凹部とスポイラ凹部とが前後方向に連続して延びる構成においては、スポイラ凹部の後部に補機を設けるスペースを確保することが困難になるという別の問題が生じる。
また特許文献2のものは、スポイラの上面に、バルジとも称される上方へ膨出する2つの膨出部(14,14)が車幅方向に間隔をあけて形成されている。これら膨出部は、ヒンジに対応して設けられたものである。この構成によれば、膨出部の内部空間へ下方から入り込むようにしてスポイラに干渉することがなくヒンジをより高い位置に配置して、上方に有するスポイラに近接させることに伴ってリヤヘッダとスポイラとの間隔を小さくすることができるため、上記問題を解消できると考えられる。
しかし、特許文献2のスポイラは、その上面の車幅方向両外側において局所的に上方へ膨出する2つの膨出部を有するため、人によっては見栄えが悪いと感じることもあり、目立ち易く凹凸感が際立った特徴的なデザインとなるため、好き嫌いがはっきりと分かれ易いデザインであるとともに例えば、凹凸感の少ない流線形状のデザインの車両に適合させ難い等の問題がある。
さらに特許文献2のスポイラは、2つの膨出部の車幅方向の間に位置する中央部を膨出させていないため、特許文献1と同様にハイマウントストップランプ等の補機の配設スペースを確保することが困難となる。また、特許文献2において車体後部に備えたハイマウントストップランプを構成するストップランプユニット(15)は、透光部(16)を含めたその主要部品の殆どがスポイラ部(12)ではなく該スポイラ部(12)よりも下方のバックドア(1)に設けられた構成としている(図6参照)。
そうすると、ストップランプユニット(15)によって、バックドア(1)に設けられたリヤウインドウとしての窓部(13)の上辺の高さが制限されるため、バックミラー越しに窓部(13)から間接的に見える後方視界(以下、「間接後方視界」という。)の上限位置が低くなり、間接後方視界が減少するという別の問題が生じることになる。
また特許文献3のものは、車体のルーフ後部に、その車幅方向の中央部に対して後方に離間するように平面視コ字状のスポイラが装着されており、その前方の車体のルーフ後部には後方程下方へ凹んだ凹部が形成されている。そして、この凹部はスポイラ前部においてスポイラの下方へ沈み込むように形成されている。
この構成によればスポイラをリヤヘッダに上方で対向させずに後方に配置することができるため上述した課題を解消できると考えられる。
しかし、この構成においては、スポイラとその前方のルーフ後部との間に前後方向の隙間が形成されるため、その隙間分だけ車室が狭くなるとともに、その隙間によってスポイラとルーフ後部との各上面の前後方向の連続性が途切れてしまいルーフ後部からスポイラまで凹部が連続して延びるデザインの連続性が悪化するという問題がある。
特開2010−030465号公報 特開2013−56669号公報 実公平06−30561号公報
そこでこの発明は、リフトゲートの開閉に必要なスポイラとリヤヘッダとの間のスペース(リヤヘッダの厚み)を、バルジを設けることなく減らすことができ、車体後部において凹部がルーフ後部からスポイラにかけて前後方向に延びるデザインの連続性を確保しつつ、このような凹部をスポイラに設けても、補機配設スペースを確保しながら間接後方上方視界の拡大を両立させることを目的とする。
この発明は、車幅方向において中央部上側へ傾斜しながら膨出する膨出形状にルーフ後部が形成されるとともに、該ルーフ後部の下方にリヤヘッダが車幅方向に延設された車体後部と、上記車体後部の後方開口を開閉するリフトゲートと、上記リフトゲートの上部に備え、上記ルーフ後部の後方且つ上記リヤヘッダの上部に配設されたスポイラと、上記リヤヘッダと上記スポイラとの間で上記リフトゲートを上記車体後部に軸支するヒンジと、を備えた車体後部構造であって、上記ルーフ後部の車幅方向の中央部に下方へ凹んだルーフ凹部が設けられ、上記スポイラの車幅方向における上記ルーフ凹部と連続する部位に、スポイラ凹部が設けられ、上記スポイラ凹部の車幅方向両外側に上記ヒンジが設けられ、上記スポイラには、その上面によって上記スポイラ凹部の底面を形成するスポイラ本体部を備え、上記スポイラ本体部が、上記スポイラ凹部の底面が後方程浅くなるように側面断面視で後方程上下に拡幅して形成され、上記スポイラ本体部の拡幅された後部の内部には、補機配設スペースが設けられたものである。
上記構成によれば、リフトゲートの開閉に必要なスポイラとリヤヘッダとの間のスペース(リヤヘッダの厚み)を、バルジを設けることなく減らすことができ、車体後部において凹部がルーフ後部からスポイラにかけて前後方向に延びるデザインの連続性を確保しつつ、このような凹部をスポイラに設けても、補機配設スペースをスポイラに確保しながら間接後方上方視界の拡大を両立することができる。
この発明の態様として、上記スポイラ凹部が上記スポイラの後端まで形成されたものである。
上記構成によれば、整流効果とデザイン性とを両立することができる。
またこの発明の態様として、上記ルーフ後部の車幅方向における上記スポイラ本体部の両外側に、上記スポイラ凹部の側壁を形成するように上記スポイラ凹部の底面に対して上方に隆起する隆起部が形成され、上記隆起部の上面は、上記膨出形状に形成され、上記スポイラ凹部の底面は、その車幅方向中央部が車幅方向両外側よりも上方に膨出する膨出形状に形成されるとともに、該底面の頂部が上記隆起部の頂部と同等以下の高さに設定したものである。
上記構成によれば、リヤヘッダ薄肉化による後方上方視界と車幅方向のルーフデザインの連続性とを両立することができる。
この発明によれば、リフトゲートの開閉に必要なスポイラとリヤヘッダとの間のスペース(リヤヘッダの厚み)を、バルジを設けることなく減らすことができ、車体後部において凹部がルーフ後部からスポイラにかけて前後方向に延びるデザインの連続性を確保しつつ、このような凹部をスポイラに設けても、補機配設スペースを確保しながら間接後方上方視界の拡大を両立させることができる。
本実施形態の車両の後部構造を示す背面図。 本実施形態の車両の後部構造を示す斜視図。 本実施形態の車両の後部構造を示す平面図。 本実施形態の車両の後部構造を示す左側面図。 図3中のA−A線の拡大断面図。 図3中のB−B線の拡大断面図。 図3中のC−C線の拡大断面図。 従来の車両の後部構造の要部を示す横断面図(a)、及び斜視図(b)。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
図1は本実施形態の車両の後部構造を示す背面図、図2は本実施形態の車両の後部構造を示す斜視図、図3は本実施形態の車両の後部構造を示す平面図、図4は本実施形態の車両の後部構造を示す左側面図である。図5は図3中のA−A線の拡大断面図、図6は図3中のB−B線の拡大断面図、図7は図3中のC−C線の拡大断面図、図8(b)はルーフ後部上面およびスポイラ上面に凹部を設けた図8(a)とは別の従来の車両の後部構造を示す斜視図である。なお、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両右方を示し、矢印Lは車両左方を示し、矢印Uは車両上方を示すものとする。
[車両V全体の構成について]
図1〜図4に示すように、この車両Vは、本実施形態では、フロントドア1,1、リアドア2,2及びリフトゲート20(バックドア20)を有する5ドアのハッチバックタイプの車両である。
車両Vは、車両前後方向に延びて車室の上面となるルーフ部上面11を形成するルーフ部10と、車体の後部に設けた後方開口Sを開閉するリフトゲート20と、リフトゲート20の上部に設けられ、車幅方向に延設されたスポイラ40とを備える。
後方開口Sは、該後方開口Sの上辺を構成するとともにルーフ部10の後部を形成するルーフ後部12と、左右両辺を構成する左右一対のリヤピラー3,3と、下辺を構成するリヤクロスメンバ4とによって後面視略方形状に形成されている。
なお、リヤピラー33は、リヤピラーアウタ3aとリヤピラーインナ3bとリヤピラーレインフォースメント3cとで閉断面状に構成されており(図7参照)、図1、図3、図4に示すように、リヤピラー3の側部には、サイドアウタパネル5が連結されている。
ルーフ部10は、薄板鋼板等の金属材料をプレス加工することにより形成されたルーフパネルで形成されており、図1に示すように、外観意匠性等の観点で車幅方向の外側から中央部へ向けて上方に湾曲しながら膨出する膨出形状、すなわち後面視アーチ形状(所謂、蒲鉾形状)に形成されている。
図6、図7に示すように、リフトゲート20は車幅方向に延びる軸63を有するヒンジ60を介してルーフ後部12に取り付けられる跳ね上げ式のドアである。図1、図5〜図7に示すように、リフトゲート20は、上部にウインドウ21が配設されており、該ウインドウ21よりも上方に、アウタパネル23とインナパネル24とで形成されたリフトゲート上面部22が形成されている。
同図に示すように、リフトゲート上面部22のアウタパネル23及びインナパネル24は、薄板鋼板等の金属材料をプレス加工することにより成形され、図5、図6に示すように、リフトゲート20の上部前端22aは、リフトゲート上面部22におけるアウタパネル23及びインナパネル24の上前端22aをヘム加工により接合することにより形成されている。またリフトゲート20のリフトゲート上面部22よりも後下側には、図1、図3、図4に示すように、ウインドウ21を一部に備えるとともに、後下方へリフトゲート上面部22よりもより下方へ傾斜する後面部25が形成されている。
また図5、図6に示すように、リフトゲート上面部22の下後端22bは、アウタパネル23及びインナパネル24の下後端を互いに重合した状態で溶接等により接合され、緩衝部材27を介してウインドウ21の上縁部21aが接合されている。
図5〜図7に示すように、スポイラ40は、共にポリプロピレン等の樹脂材料により形成されたアウタパネル41及びインナパネル42を備え、リフトゲート20のリフトゲート上面部22に装着されており、ルーフ後部12と略連続する平面を形成するスポイラ上面部43を有する。このスポイラ上面部43はスポイラ40のアウタパネル41の外面によって形成されている。
なお、図7中においてはスポイラ40のインナパネル42は図示省略している。
図1〜図3に示すように、ルーフ後部上面13及びスポイラ上面部43には、車幅方向中央部において、車両Vの前後方向に略連続して延びる凹部6が形成されている。なお、ルーフ後部上面13に設けられた凹部6をルーフ凹部16、スポイラ上面部43に設けられた凹部6をスポイラ凹部46と呼ぶこととする。
[車両Vの後部構造の詳細について]
図5、図6に示すように、ルーフ後部12は、ルーフ後部上面13と、該ルーフ後部上面13の車両前後方向後方側の端部13aにおいて、下方に折り曲げて形成された縦壁部15と、縦壁部15を後方に折り曲げて形成され、ドアヒンジ60,60を取り付けるための座面部17と、座面部17の車両前後方向後方に設けられ、車室内への雨水の浸入を防止する雨樋部18と、雨樋部18の車両前後方向後方端部18aに設けられ、リフトゲート20とルーフ部10との間の密閉性を確保するシール部19とが設けられる。
縦壁部15は、リフトゲート上面部22の上前端22a(すなわち、ヘム部)との干渉を防止するために、例えば、90度以上に折り曲げて形成される。雨樋部18は、座面部17の後端部を、例えば、断面U字形状に折り曲げることにより形成される。シール部19としては、例えば、ゴムやウレタン等の弾性部材を用いることができる。
図7に示すように、ルーフ後部12の下方には車体剛性部材としてのリヤヘッダ30が車幅方向に延設されている。このリヤヘッダ30は、車幅方向の両端部においてリヤピラーインナパネル3bに接合されている。
図5、図6に示すように、リヤヘッダ30は、ルーフ後部上面13と座面部17及び雨樋部18とに跨る前後方向の幅を有しており、上下方向に延びる縦壁部31と、該縦壁部31の上端から前方に略水平に延びる前方延設部32と、該縦壁部31の下端から後方に略水平に延びる後方延設部33とで段状に一体に形成している。
リヤヘッダ30の縦壁部31は、ルーフ部10の縦壁部15とその前方で対向するように配置され、リヤヘッダ30の前方延設部32は、ルーフ後部上面13の下方に配置され、該ルーフ後部上面13の車幅方向における少なくとも中央部を含めた複数箇所にゴムやウレタン等の弾性部材で形成した緩衝部材35を介して接合されている。また、リヤヘッダ30の後方延設部33は、座面部17及び雨樋部18の下方に配置され、雨樋部18の下面に溶接等によって接合されている。
また図6、図7に示すように、上記のヒンジ60は、後方視上方に開口した後面視コ字状の固定側ヒンジ部61と、コ字状の固定側ヒンジ部61の開口に差し込まれるように突き出した可動側ヒンジ部62と、車幅方向に延びる軸63とで構成されている。
また同図に示すように、ルーフ後部12の車幅方向の凹部6(特にスポイラ凹部46に相当する部位)よりも左右各側には、固定側ヒンジ部61を取り付ける剛性部材としてのヒンジガセット9(ヒンジブラケット9)を備えている。
このヒンジガセット9は、図6に示すように、リヤヘッダ30とルーフ後部12との間に介在し、その前側部位9bがリヤヘッダ30の前方延設部32および縦壁部31に、後側部位9cが雨樋部18に、夫々溶接等によって接合されている。さらに、ヒンジガセット9の前後方向の間部分には、座面部17の下面に当接して該座面部17を支持する支持面部9aが形成されている。
また図7に示すように、ヒンジガセット9は、車幅方向の内側部位がリヤヘッダ30に接合されるとともに車幅方向の外側部位が、リヤヘッダ3と共にリヤピラーウタパネル3aを挟み込むようにしてこれら3枚を重ね合わせて接合されている。
そして固定側ヒンジ部61は、図6に示すように、座面部17に設置された状態で該座面部17、支持面部9aと共にボルトB1およびナットN1により共締めされている。
また可動側ヒンジ部62は、図6に示すように、リフトゲート上面部22に取り付けられている。具体的には、可動側ヒンジ部62は、リフトゲート上面部22のインナパネル42における固定側ヒンジ60に対向する部位にボルトB2およびナットN2で締結固定されており、これにより、可動側ヒンジ部62は、固定側ヒンジ部61に対して軸63を介して枢動可能に支持されている。
上述した左右各ヒンジ60,60は、スポイラ凹部46の車幅方向外側に取り付けられる。
さらにヒンジ60は、左右共に、少なくとも上部をリフトゲート上面部22のアウタパネル23及びインナパネル24とスポイラ40のインナパネル42の高さと同等又はより高い位置になるように配設されている。
一方、上述したように、リフトゲート20の上前端22aは、アウタパネル23及びインナパネル24の上前端22aをヘム加工により接合しているが、車幅方向のヒンジ60に対応する部位においては、図6に示すように、上述したように極力高い位置に配置したヒンジ60に干渉しないように該ヒンジ60手前までに留めて他の部位(例えば、車幅方向中央部(図5参照))と比較して前方への延出長さを短く形成している。
また図1〜図3、図7に示すように、スポイラ40には、その上面部43によってスポイラ凹部46の底面47を形成するスポイラ本体部44(スポイラ基底部)と、車幅方向におけるスポイラ本体部44の両外側に形成された隆起部45,45とを備えている。
これにより本実施形態においては、ヒンジ60を、その上方から覆うスポイラ40のアウタパネル41に出来るだけ近接するようにリフトゲート上面部22の上前端22aと略同じ高さまで高い位置に配設するとともに、リヤヘッダ30を1枚のパネルで形成することにより、図6に示すように、間接後方視界Zの上限Phを極力高い位置に確保する構成としている。
なお、図6中の符号7はルーフ部10に備えたルーフトリムを示し、符号8はリフトゲート20に備えたリフトゲートトリムを示す。
また図5に示すように、スポイラ40は、そのインナパネル42が、リフトゲート上面部22におけるアウタパネル23に複数のスタッドボルト28及びファスナ29により取り付けられることでリフトゲート20の上部に装着されている。また図6に示すように、スポイラ40のインナパネル42は、上述したように、極力高い位置に配置したヒンジ60に干渉しないように、ヒンジ60に対応する部位を開口した逃げ部42aを形成している。
図2、図3、図7に示すように、上記スポイラ凹部46は、底面47と車幅方向の両側に位置する側壁48,48とを有し、上記スポイラ40の前端から後端まで連続して形成されている。すなわちスポイラ凹部46は、スポイラ上面部43の車幅方向中央部において前端47bと後端47cとの間の全域に渡って形成され、双方の端部が開口端部を形成している(図2参照)。
また図7に示すように、上記スポイラ凹部46の底面47は、その車幅方向中央部が車幅方向両外側よりも上方に膨出する膨出形状に形成されるとともに、該底面47の頂部47aが隆起部45の頂部45aと同等以下の高さに設定されている。本実施形態では、両頂部47a,45aは略同等の高さに設定されている(図7中の仮想線で示したラインLh参照)。
上記スポイラ本体部44は、図5に示すように、上記スポイラ凹部46の底面47が後方程徐々に浅くなるように図3中のA−A線断面視(側面断面視)で後方程上下に拡幅して形成されており、上記スポイラ本体部44の拡幅された後部には、補機として制動操作時に点灯して後方の車両に制動操作を行ったことを知らせるハイマウントストップランプ51(以下、「ストップランプ51」という。)を配設するストップランプ配設部50が設けられている。
具体的には、図8(b)に示すように、スポイラ凹部460が設けられたスポイラ400を備えた従来の車両Vにおいては、スポイラ凹部460の底面470が、図5中に仮想線で示すような前後方向に延びる稜線L100を描くのに対して本実施形態におけるスポイラ凹部46の底面47は、図5に示すように、より緩やかな勾配で後方程下方に傾斜する稜線Lとなるように構成している。
ストップランプ配設部50の内部には、ストップランプ配設スペース50Sが設けられ、ストップランプ51が配設されている。ストップランプ配設部50には、ストップランプ配設スペース50Sを後方および上方から覆うとともに、ストップランプ51の光を透過させるレンズ機能を備えた透明カバー54が設けられている。
すなわち、スポイラ本体部44のストップランプ配設部50に対応する後面50a及び上面50bは、ストップランプ配設部50に備えた透明カバー54によって形造られている。これにより図5に示すように、ストップランプ配設部50は、その後面50aだけでなく上面50bにおいてもストップランプ51の光を透過できるようにして、後面50aだけでなく前上後下状に傾斜した上面50bの上下方向の成分も含めて後面視における上下幅(H)を確保してストップランプ51の光の車両後方への透過性(投影性)を高めている。
図7に示すように、隆起部45は、スポイラ凹部46の車幅方向の両側において上記スポイラ凹部46の側壁48,48を形成するようにスポイラ凹部46の底面47に対して上方に隆起している。隆起部45は、車幅方向において中央部程上側へ傾斜しながら膨出(隆起)する膨出形状に形成している。
このようにスポイラ上面部43は、その車幅方向両外側に有する隆起部45,45を膨出形状に形成するとともに、上述したようにスポイラ凹部46の底面47についても膨出形状を形成することにより、車幅方向の中央部にスポイラ凹部46を設けながらも車幅方向全体として中央部が膨出するデザインとしている。
また図2に示すように、ルーフ凹部16は、ルーフ後部上面13における車幅方向の中央において、該ルーフ凹部16を形成していないルーフ部10の上面11と略同じ高さから後方下方に一定の傾斜角度で傾斜し(すなわち、後方に向かうにつれてルーフ凹部16の底面位置が低くなるように傾斜し)、車両後方に向かうに従って深さが深く形成している。
一方、スポイラ凹部46は、上述したように、その前端と後端との間の全域に渡って形成されている。
このようなルーフ凹部16とスポイラ凹部46とが車両前後方向に略連続することにより、ルーフ凹部16の前方側から走行風を取り入れ、スポイラ凹部46の後方側の開口端部47cから走行風を後方へ逃がすことが可能となる。これにより、走行風を車体近傍でよどませることなく、効率良く車体後方に通過させることができるため、空力特性を向上することができる。
また、ルーフ後部上面13は、その車幅方向中央部に、上述したようにルーフ凹部16を形成しているが、ルーフ凹部16の底面16Aは、スポイラ凹部46の底面47と同様にその車幅方向中央部が車幅方向両外側よりも上方に膨出する膨出形状に形成されている。さらにルーフ後部上面13の車幅方向の両外側についても、スポイラ上面部43と同様に車幅方向の中央部程上側へ傾斜しながら膨出(隆起)する隆起部14,14を形成している(図1〜図3参照)。
これにより、ルーフ後部上面13は、車幅方向の中央部にルーフ凹部16を設けながらも後面視アーチ形状に形成したルーフ部上面11の一部として、車幅方向全体として中央部が膨出するデザインを踏襲して、スポイラ上面部43と略面一、すなわち前後方向で連続する形状としている。
このように、ルーフ後部上面13とスポイラ上面部43とは、いずれも車幅方向中央に向けて膨出するデザインとしながらルーフ凹部16及びスポイラ凹部46の各底面16A,47は、図2に示すように、共に頂部14a,45aが隆起部14,45の頂部14a,45aと同等以下の高さに設定することで、図6に示すように、リヤヘッダ3の厚み、すなわちリヤヘッダ3の縦壁部31の上下幅や、スポイラ40と、リヤヘッダ30の後方延設部33との上下方向の間隔をできるだけ短く設定することで間接後方視界Zの上限の位置Phを高めた構成としている。
上述した本実施例の車体後部構造は、車幅方向において中央部上側へ傾斜しながら膨出する膨出形状にルーフ後部12が形成されるとともに、該ルーフ後部12の下方にリヤヘッダ30が車幅方向に延設された車体後部と、車体後部の後方開口Sを開閉するリフトゲート20と、リフトゲート20の上部に備え、ルーフ後部12の後方且つリヤヘッダ30の上部に配設されたスポイラ40と、リヤヘッダ30とスポイラ40との間でリフトゲート20を車体後部に軸支するヒンジ60と、を備えた車体後部構造であって、ルーフ後部12の車幅方向の中央部に下方へ凹んだルーフ凹部16が設けられ(図1〜図3参照)、スポイラ40の車幅方向におけるルーフ凹部16と連続する部位に、スポイラ凹部46が設けられ(同図参照)、スポイラ凹部46の車幅方向両外側にヒンジ60が設けられ(図6、図7参照)、スポイラ40には、その上面43によってスポイラ凹部46の底面47を形成するスポイラ本体部44を備え(図2、図5、図7参照)、スポイラ本体部44が、スポイラ凹部46の底面47が後方程浅くなるように側面断面視で後方程上下に拡幅して形成され(図5参照)、スポイラ本体部44の拡幅された後部の内部には、補機としてのストップランプ51を配設するストップランプ配設スペース50Sが設けられたものである(同図参照)。
上記構成によれば、スポイラ40の車幅方向における、ルーフ凹部16と連続する部位に、スポイラ凹部46を設けるとともに、スポイラ凹部46の車幅方向両外側にヒンジ60を配設することにより、局所的に上方に膨出したバルジを設けることなく(すなわち、バルジを目立たなくすることができ)、ルーフ部10とスポイラ40の両凹部16,46にてスポイラ40とリヤヘッダ30との間のスペース(リヤヘッダ30の厚み)を減らすことができる。
これにより、アーチ形状のルーフ後部12をその車幅方向の中央部にて支持するリヤヘッダ30を厚く形成する必要がないため、リヤヘッダ30の重量効率を高めることができ、また車体後部の特に車幅方向中央部における、リヤヘッダ30とルーフ後部12およびスポイラ40との間の冗長な空間を減らして広い車室内空間を確保することができる。
さらに、スポイラ本体部44を、スポイラ凹部46の底面47が後方程浅くなるように側面断面視で後方程上下に拡幅して形成し(図5参照)、スポイラ本体部44の上下に拡幅された後部の内部には、ストップランプ配設スペース50を設けたため、ルーフ後部12からスポイラ40にかけて凹部6が前後方向に連続するデザインの連続性を確保しながら(図2参照)、スポイラ本体部44にストップランプ配設スペース50を確保することができる。しかも、車両V後方の上部に補機としてのストップランプ51を設けることによって例えば、図8(b)に示すように、スポイラ400の下方にストップランプ510を設けた構成と比較して間接後方上方視界Zの上限位置Ph(図5、図6参照)が低くなることがなくスポイラ本体部44の後部にストップランプ配設スペース50を設けながら上方に広い間接後方上方視界Zを確保することができる。
この発明の態様として、スポイラ凹部46がスポイラ40の後端47cまで形成されたものである(図1〜図3、図5参照)。
上記構成によれば、ルーフ後部12とスポイラ40との両凹部6はスポイラ40の後端47cまで前後方向に連続して形成されるとともにスポイラ凹部46の後端47cが後方へ向けて開口するように形成されるため、整流効果を高めることができる。また、前後方向に連続するデザインとするとともに、連続する凹部6が車両V後方からも見え易くなるため、デザイン性を高めることができる。
またこの発明の態様として、ルーフ後部12の車幅方向におけるスポイラ本体部44の両外側に、スポイラ凹部46の側壁48,48を形成するようにスポイラ凹部46の底面47に対して上方に隆起する隆起部45が形成され(図1、図2、図7参照)、隆起部45の上面45Aは、膨出形状に形成され、スポイラ凹部46の底面47は、その車幅方向中央側程上方に膨出する膨出形状に形成されるとともに、スポイラ凹部46の底面47の頂部47aが隆起部45の頂部45aと同等以下の高さLhに設定したものである(図7参照)。
上記構成によれば、リヤヘッダ30薄肉化による後方上方視界Zと車幅方向のルーフデザインの連続性とを両立することができる。
詳述すると、上記構成によれば、スポイラ凹部46の底面47を、その車幅方向中央部が車幅方向両外側よりも上方に膨出する膨出形状に形成したため、スポイラ40の車幅方向において隆起部45の頂部45aからスポイラ凹部46の底面47に至るまでに側壁48,48において一旦下降するもののスポイラ凹部46の底面47を含めてスポイラ40の上面50bが車幅方向全体として中央部上側へ傾斜しながら膨出する膨出形状に形成することができる。
従って、スポイラ40の車幅方向の中央部にスポイラ凹部46を設けながらもスポイラ40の車幅方向全体として車幅方向の中央部が外側よりも上方に膨出するデザインとすることができ車幅方向においてもデザインの連続性を確保することができる。
また、スポイラ凹部46の底面47は、その車幅方向中央部が車幅方向両外側よりも上方に膨出する膨出形状に形成しても、その底面47の頂部47aを隆起部45の頂部45aと同等以下の高さに留めて形成し、さらにスポイラ40の車幅方向における隆起部45に対応する部位、すなわち隆起部45の内部空間にヒンジ60を配置している(図7参照)。
以上により、スポイラ40とリヤヘッダ30との特に車幅方向の中央部におけるこれら30,40の間の空間(上下方向の間隔)をコンパクト化することができ、ひいてはルーフ後部12とリヤヘッダ30との車幅方向の中央部におけるこれら12,30の空間(上下方向の間隔)をコンパクト化することができる。
従って、ルーフ後部12を幅方向の中央部をリヤヘッダ30により支持するために、リヤヘッダ30の車幅方向の中央部を、上方に隆起させないで(すなわち厚肉に形成せずに)薄肉化することができるとともに、ヒンジ60と干渉することがなくより高い位置に配置することができるため、後方上方視界Zの上限位置Phを高めることができる(図5、図6参照)。
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく様々な実施形態で形成することができる。
具体的には本発明の補機は、本実施形態のストップランプ51に限らず、例えば、各種センサ等(バックカメラ、光電センサ、レーダ(レーザレーダ、ミリ波レーダ等)を採用することができ、これらのうち少なくとも1つを補機配設スペースに配設することができる。
10…ルーフ部
16…ルーフ凹部
20…バックドア
30…リヤヘッダ
40…スポイラ
44…スポイラ本体部
45…隆起部
45A…隆起部の上面
45…隆起部の頂部
46…スポイラ凹部
47…スポイラ凹部の底面
47a…底面の頂部
48…スポイラ凹部の側壁
51…ストップランプ(補機)
50S…ストップランプ配設スペース(補機配設スペース)
60…ヒンジ
S…後方開口部

Claims (3)

  1. 車幅方向において中央部上側へ傾斜しながら膨出する膨出形状にルーフ後部が形成されるとともに、該ルーフ後部の下方にリヤヘッダが車幅方向に延設された車体後部と、
    上記車体後部の後方開口を開閉するリフトゲートと、
    上記リフトゲートの上部に備え、上記ルーフ後部の後方且つ上記リヤヘッダの上部に配設されたスポイラと、
    上記リヤヘッダと上記スポイラとの間で上記リフトゲートを上記車体後部に軸支するヒンジと、を備えた車体後部構造であって、
    上記ルーフ後部の車幅方向の中央部に下方へ凹んだルーフ凹部が設けられ、
    上記スポイラの車幅方向における上記ルーフ凹部と連続する部位に、スポイラ凹部が設けられ、
    上記スポイラ凹部の車幅方向両外側に上記ヒンジが設けられ、
    上記スポイラには、その上面によって上記スポイラ凹部の底面を形成するスポイラ本体部を備え、
    上記スポイラ本体部が、上記スポイラ凹部の底面が後方程浅くなるように側面断面視で後方程上下に拡幅して形成され、
    上記スポイラ本体部の拡幅された後部の内部には、補機配設スペースが設けられた
    車体後部構造。
  2. 上記スポイラ凹部が上記スポイラの後端まで形成された
    請求項1に記載の車体後部構造。
  3. 上記ルーフ後部の車幅方向における上記スポイラ本体部の両外側に、上記スポイラ凹部の側壁を形成するように上記スポイラ凹部の底面に対して上方に隆起する隆起部が形成され、
    上記隆起部の上面は、上記膨出形状に形成され、
    上記スポイラ凹部の底面は、その車幅方向中央部が車幅方向両外側よりも上方に膨出する膨出形状に形成されるとともに、該底面の頂部が上記隆起部の頂部と同等以下の高さに設定した
    請求項1又は2に記載の車体後部構造。
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