以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。図1は、本実施例のパチンコ機GMを示す斜視図である。このパチンコ機GMは、島構造体に着脱可能に装着される矩形枠状の木製外枠1と、木製外枠1に固着されたヒンジ2を介して開閉可能に枢着される前枠3とで構成されている。
この前枠3には、遊技盤5が、裏側からではなく、表側からワンタッチコネクタを利用して着脱自在に装着され、その前側には、ガラス扉6と前面板7とが夫々開閉自在に枢着されている。ここで、ワンタッチコネクタとは、一の装着操作で複数の接点が接続状態となり、一の分離操作で複数の接点が分離状態となる接続コネクタC1〜C3(図3参照)を意味する。
ガラス扉6の外周には、LEDランプなどによる電飾ランプが、略C字状に配置されている。一方、ガラス扉6の下側には、スピーカが配置されている。
前面板7には、発射用の遊技球を貯留する上皿8が装着され、前枠3の下部には、上皿8から溢れ出し又は抜き取った遊技球を貯留する下皿9と、発射ハンドル10とが設けられている。発射ハンドル10は、その回動角度に応じた強度で動作する打撃槌によって遊技球が発射される。
ここで、打撃槌は、発射ソレノイドSLeによって駆動されており、打撃槌が機能するまでの発射準備のため、球送りソレノイドSLfが機能している。また、発射ハンドル10には、図3に示すように、発射ソレノイドSLeの発射強度を調整可能な強度ボリュームVRと、遊技者が発射ハンドル10に触れているか否かを検出するタッチセンサTCHと、遊技者が発射停止を指示する発射停止スイッチSTOPと、が配置されている。
そして、強度ボリュームVRの出力であって、発射ハンドル10の回転位置を示す発射強度信号VRと、タッチセンサTCHのタッチセンサ信号TCHと、停止スイッチ信号STOPは、払出制御基板の発射制御回路30に伝送されるよう構成されている(図3、図4参照)。
一方、上皿8の外周面には、チャンスボタン11が設けられている。このチャンスボタン11は、遊技者の左手で操作できる位置に設けられており、遊技者は、発射ハンドル10から右手を離すことなくチャンスボタン11を操作できる。このチャンスボタン11は、通常時には機能していないが、ゲーム状態がボタンチャンス状態となると内蔵ランプが点灯されて操作可能となる。なお、ボタンチャンス状態は、必要に応じて設けられるゲーム状態である。
上皿8の右部には、カード式球貸し機に対する球貸し操作用の操作パネル12が設けられ、カード残額を3桁の数字で表示する度数表示部NUM(図4)と、所定金額分の遊技球の球貸しを指示する球貸しスイッチと、ゲーム終了時にカードの返却を指令する返却スイッチとが設けられている。
図2に示すように、遊技盤5の表面には、金属製の外レールと内レールとからなるガイドレール13が環状に設けられ、その略中央には、背面側に延びる中央開口HOが設けられている。そして、中央開口HOの奥底には、液晶カラーディスプレイで構成された表示装置DSが配置されている。
また、表示装置DSの前面に形成される空間には、演出可動体AMU(可動役物)が昇降自在に配置されている。演出可動体AMUは、昇降機構ALVに保持されて昇降される固定部材FIXと、固定部材FIXに支持されて回転する回転部材ROTとで構成されている。
昇降機構ALVの昇降動作や、回転部材ROTの回転動作は、ステッピングモータで構成された演出モータM1〜Mnの回転によって実現される。なお、通常時には、演出可動体AMUは、昇降機構ALVに吊り上げられた状態で待機している。
遊技領域の適所には、図柄始動口15、大入賞口16、普通入賞口17、ゲート18が配設されている。これらの入賞口15〜18は、それぞれ内部に検出スイッチを有しており、遊技球の通過を検出できるようになっている。
表示装置DSは、大当り状態に係わる特定図柄を変動表示すると共に背景画像や各種のキャラクタなどをアニメーション的に表示する装置である。この表示装置DSは、中央部に特別図柄表示部Da〜Dcと右上部に普通図柄表示部19を有している。そして、特別図柄表示部Da〜Dcでは、大当り状態の招来を期待させるリーチ演出が実行されたり、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、当否結果を不確定に報知する予告演出などが実行される。
普通図柄表示部19は普通図柄を表示するものであり、ゲート18を通過した遊技球が検出されると、普通図柄が所定時間だけ変動し、遊技球のゲート18の通過時点において抽出された抽選用乱数値により決定される停止図柄を表示して停止するようになっている。
図柄始動口15は、左右一対の開閉爪を備えた電動式チューリップで開閉されるよう構成され、普通図柄表示部19の変動後の停止図柄が当り図柄を表示した場合には、開閉爪が所定時間だけ、若しくは、所定個数の遊技球を検出するまで開放されるようになっている。
電動式チューリップは、制御信号CLT2がLレベルになるタイミングで、パワートランジスタによるスイッチ回路PSを経由して、第2ソレノイドSL2が通電状態となって開放する(図4参照)。なお、図2の構成とは異なり、普通入賞口17を開閉可能に構成する場合には、制御信号CTL3で通電制御される第3ソレノイドSL3によって普通入賞口が開閉される。
図柄始動口15に遊技球が入賞すると、特別図柄表示部Da〜Dcの表示図柄が所定時間だけ変動し、図柄始動口15への遊技球の入賞タイミングに応じた抽選結果に基づいて決定される停止図柄で停止する。なお、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、一連の図柄演出の間に、予告演出が実行される場合がある。また、予告演出の一種として、演出可動体AMUが中央開口HOの位置に降下してくることがある。そして、降下した演出可動体AMUは、時計方向又は反時計方向に回転した後、元の位置に上昇する。
大入賞口16は、例えば前方に開放可能な開閉板16aで開閉制御されるが、特別図柄表示部Da〜Dcの図柄変動後の停止図柄が「777」などの大当り図柄のとき、「大当りゲーム」と称する特別遊技が開始され、開閉板16aが開放されるようになっている。開閉板16aは、制御信号CTL1がLレベルになるタイミングで、第1ソレノイドSL1が通電状態となって開放する(図4参照)。
大入賞口16の開閉板16aが開放された後、所定時間が経過し、又は所定数(例えば10個)の遊技球が入賞すると開閉板16aが閉じる。このような動作は、最大で例えば15回まで特別遊技が継続され、遊技者に有利な状態に制御される。なお、特別図柄表示部Da〜Dcの変動後の停止図柄が特別図柄のうちの特定図柄であった場合には、特別遊技の終了後のゲームが高確率状態となるという特典が付与される。
図3は、上記した各動作を実現するパチンコ機GMの全体回路構成を示すブロック図であり、ホールコンピュータHCと、球貸し機LENに接続され、AC24Vを受けて動作する遊技機が示されている。なお、ホールコンピュータHCには、各種の遊技情報INFや異常情報が伝送され、球貸し機LENと遊技機GMとの間では、球貸し動作時に、各種の情報が送受信される。
図示の通り、この遊技機GMは、AC24Vを受けて3種類の直流電圧(5V,12V,35V)を出力する電源基板20と、遊技制御動作を中心統括的に担う主制御基板21と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMDに基づいてランプ演出及び音声演出などを実行する演出制御基板22と、演出制御基板22から受けた制御コマンドCMD’に基づいて表示装置DSを駆動する画像制御基板23と、主制御基板21から受けた制御コマンドSYOに基づいて、払出モータMoを制御して遊技球を払い出す払出制御基板24と、を中心に構成されている。
主制御基板21が出力する制御コマンドCMDは、先ず、演出制御基板22に伝送され、演出制御基板22から出力される制御コマンドCMD’は、1ビット長のストローブ信号STBと共に、画像インタフェイス基板37を経由して、画像制御基板23に伝送される。一方、主制御基板21が出力する賞球用の制御コマンドSYOは、主基板中継基板34を経由して、払出制御基板24に伝送される。
制御コマンドCMDと制御コマンドCMD’は、16ビット長のパラレルデータであり、主制御基板21から画像制御基板23には、8ビット長毎に2回に分けてパラレル送信される。したがって、主制御基板21から画像制御基板23に向かうコマンド伝送路は、ストローブ信号STBを含めて合計9ビット長となる。
一方、演出制御基板22から画像制御基板23に伝送される制御コマンドCMD’は、16ビット長をまとめてパラレル伝送される。そのため、演出制御基板22から画像制御基板23に向かうコマンド伝送路は、ストローブ信号STB’を含めて合計17ビット長となるが、多数の制御コマンドを連続的に送受信しても迅速にその処理を終えることができる利点がある。
本実施例では、主制御基板21から払出制御基板24に伝送される制御コマンド(賞球コマンド)SYOは、8ビット長のパラレルデータで構成されている。この賞球コマンドSYOは、スタートビットSTARTと、ストップビットSTOPとが前後に付加されることで合計10ビットとなり、伝送クロックを伝送しない非同期方式でシリアル伝送される(図10(a)参照)。
これら主制御基板21、演出制御基板22、画像制御基板23、及び払出制御基板24には、ワンチップマイコンMCOM1〜MCOM4を備えるコンピュータ回路がそれぞれ搭載されている。そこで、制御基板21〜24とインタフェイス基板37に搭載された回路、及びその回路によって実現される動作を機能的に総称して、本明細書では、主制御部21、演出制御部22、画像制御部23、及び払出制御部24と言うことがある。すなわち、この実施例では、画像制御基板23と画像インタフェイス基板37とで画像制御部23を構成している。なお、演出制御部22、画像制御部23、及び払出制御部24の全部又は一部がサブ制御部である。
ところで、本実施例では、電源基板20の回路構成を簡素化して、公的検査が不要な電源基板の部品化を実現している。具体的には、電源基板20は、AC24Vを整流する整流回路と、整流回路の出力を受ける力率改善回路と、力率改善回路の出力を受けて3種類の直流電圧(35V,12V,5V)を生成する降圧型のDC/DCコンバータとで構成され、電源の投入や遮断を示す電源リセット信号RSTや、電断信号ABNが出力されない構成となっている。
本実施例では、電源リセット信号RSTは、払出制御基板24、主制御基板21、及び、演出制御基板22に配電された直流電圧に基づいて各々で生成され(RST1〜RST3)、また、電断信号ABNは、払出制御基板24に配電された交流電圧AC24Vに基づいて、払出制御基板24において生成され、ワンチップマイコンMCOM4と、主制御基板21のワンチップマイコンMCOM1に伝送される。
このように、実施例では、遊技制御動作に影響を与える電源リセット信号RSTや電断信号ABNが、電源基板20から出力されないので、事実上、電源基板20の悪用や改変のおそれがなく、公的機関における確認検査が不要となる。
この構成に対応して、本実施例の払出制御基板24には、電源基板20から直流電圧(12V,5V)を受ける電源関連回路29が配置されており、電源関連回路29において、電源リセット信号RST1と電断信号ABNを生成している。
また、電気二重層コンデンサCbkを配置したバックアップ電源基板27が、電源基板20や払出制御基板24とは別に設けられており、払出制御基板24は、電源基板20から受ける直流電圧VBB(5V)を、給電ラインVBBを通してバックアップ電源基板27に給電して、電気二重層コンデンサCbkを充電している(図4参照)。なお、電断後は、電気二重層コンデンサCbkの充電電圧VBBが、払出制御基板24と主制御基板21に搭載されたワンチップマイコンMCOM4,MCOM1のバックアップ電源VBBとして機能し、各ワンチップマイコンの内蔵RAMの記憶内容が確実に維持される。
図4に示す通り、払出制御基板24からバックアップ電源基板27に対して、逆流防止用のダイオードD1を経由して5Vが供給されている。また、払出制御基板24には、発光ダイオードD2と電流制限抵抗rを経由して、バックアップ電源基板27のグランドに至る検査ラインLNが形成されており、払出制御基板24とバックアップ電源基板27が正常に接続されている場合には、発光ダイオードD2が点灯するよう構成されている。
上記の回路構成を採るので、払出制御基板24とバックアップ電源基板27の正常接続時には、検査ラインLNの電位がグランドレベルであり、一方、非接続状態では、5Vレベルとなる。そこで、本実施例では、電源投入時に、検査ラインLNの電位を判定することで、バックアップ電源基板27との正常接続状態を確認し、正常な接続状態が確認できない場合には、遊技動作を開始しないようにしている。なお、遊技動作が開始されない状態では、発光ダイオードD2が消灯状態であるので、係員は、直ちに、異常内容を把握することができる。
上記の構成を有するので、本実施例では、払出制御基板24とバックアップ電源基板27の接続異常が見逃されるおそれがなく、停電時に遊技状態が記憶保存されないなど、遊技者の利益が保護されないおそれがない。すなわち、本実施例では、バックアップ電源基板27を別基板構成としたことに伴う弊害が解消されている。
バックアップ電源として使用する電気二重層コンデンサCbkの静電容量Cは、0.3F〜1F程度が適当であり、本実施例では、0.45Fとしている。そのため、仮に、定電流の充電電流0.5Aで充電したとしても、0Vから5Vまで充電するのに、t=C*V/I=0.45*5/0.5=4.5秒を要することになる。そこで、電源投入時、給電ラインVBBの電位を素早く判定して、コンデンサCbkが使用限界に達していることを判定することもできる。
次に、直流電圧の配電関係について整理しておく。電源基板20で生成された3種類の直流電圧(35V,12V,5V)は、先ず、払出制御基板24に配電される。そして、2種類の直流電圧(12V,5V)が、払出制御基板24を経由した後、接続コネクタC1と主基板中継基板34とを経由して、主制御基板21に配電される。
また、電源基板20で生成された3種類の直流電圧(35V,12V,5V)は、接続コネクタC2と電源中継基板35を経由して、演出制御基板22に配電され、画像制御基板23には、演出制御基板22と画像インタフェイス基板37を経由して、2種類の直流電圧(12V,5V)が配電されるようなっている。
上記の構成に対応して、払出制御基板24と主制御基板21では、配電された2種類の直流電圧(12V,5V)に基づいて、各々、電源リセット信号RST1,RST2を生成して内部回路を電源リセットしている。同様に、演出制御基板22と画像制御基板23でも、配電された2種類の直流電圧(12V,5V)に基づいて、電源リセット信号RST3を生成し、演出制御基板22と画像制御基板23の内部回路を電源リセットしている。
ところで、この遊技機GMは、図3の破線で囲む枠側部材GM1と、遊技盤5の背面に固定された盤側部材GM2とに大別される。そして、枠側部材GM1と盤側部材GM2とは、一箇所に集中配置された接続コネクタC1〜C3によって電気的に接続されている。各接続コネクタC1〜C3は、各々、複数の接点を有するが、これら全体C1〜C3の接点が、一の装着操作で接続状態となり、一の分離操作で分離状態となるワンタッチコネクタである。
枠側部材GM1には、ガラス扉6や前面板7が枢着された前枠3と、その外側の木製外枠1とが含まれており、機種の変更に拘わらず、長期間にわたって遊技ホールに固定的に設置される。一方、盤側部材GM2は、機種変更に対応して交換され、新たな盤側部材GM2が、元の盤側部材の代わりに枠側部材GM1に取り付けられる。なお、枠側部材GM1を除く全てが、盤側部材GM2である。
図3の破線枠に示す通り、枠側部材GM1には、電源基板20と、払出制御基板24と、信号中継基板25と、発射中継基板26と、バックアップ電源基板27と、外部端子基板28と、枠中継基板31と、ランプ駆動基板32とが含まれており、これらの回路基板が、前枠3の適所に各々固定されている。
払出制御基板24には、8ビットを処理単位とするCPUを内蔵したワンチップマイコンMCOM4と、電源リセット信号RST1と電断信号ABNを生成する電源関連回路29と、払出モータMoを回転駆動するための駆動信号Φ1〜Φ4を生成する払出駆動回路DRと、遊技球を発射制御する球送りソレノイドSLfと発射ソレノイドSLeの駆動信号を生成する発射制御回路SHとが搭載されている。
信号中継基板25は、払出駆動回路DRから受ける駆動信号Φ1〜Φ4を、払出モータMoに転送して払出モータMoを回転駆動している。また、信号中継基板25は、各種の検知センサからの検出信号を受けて、払出制御基板24のワンチップマイコンMCOM4に転送している。
信号中継基板25が受ける検出信号は、特に限定されないが、この実施例では、ガラス扉6や前枠7が開放されたことを示す扉枠開放信号、遊技球が詰まって払出不能状態であることを示す球詰り検出信号、払出すべき遊技球が無いこと示す補給切れ検出信号、及び、遊技球の払出しを検知したことを示す計数スイッチ信号が含まれる。
次に、発射中継基板26は、発射制御回路SHから受けるソレノイド信号SLfを、球送りソレノイドSLfに供給して、発射ソレノイドSLeと共に発射制御動作を実現している。また、発射中継基板26には、遊技者が操作する発射ハンドル10に関して、遊技球の発射停止を指示する発射停止スイッチSTOP、遊技者が発射ハンドル10に触れていることを示すタッチセンサTCH、及び、発射ハンドル10の回転位置を示す強度ボリュームVRからの信号を受けて、受けた各信号を、払出制御基板24のワンチップマイコンMCOM4に転送している。
外部端子基板28は、ホールコンピュータHCに伝送すべき遊技情報INFを中継する回路基板であり、遊技情報INFは、主制御基板21で生成され、主基板中継基板34と、接続コネクタC1と、払出制御基板24とを経由して、外部端子基板28に至るよう回路接続されている(図4参照)。
ランプ駆動基板33には、複数のLEDが接続されており、これらのLED群を駆動する駆動データは、シリアル信号として、演出制御基板22のワンチップマイコンMCOM2→枠中継基板36→接続コネクタC3→枠中継基板31を経由して、ランプ駆動基板32に搭載された複数のLEDドライバに伝送されている。同様に、演出制御基板22で生成された音声演出用の音声信号も、枠中継基板36→接続コネクタC3→枠中継基板31を経由して、複数のスピーカに供給されている。
また、枠中継基板31は、チャンスボタン11からのスイッチ信号を受けており、他の信号と纏めたシリアル信号として、接続コネクタC3→枠中継基板36を経由して演出制御基板22のワンチップマイコンMCOM2に伝送される。
以上、枠側部材GM1を中心に説明したが、遊技盤5の背面には、盤側部材GM2として、主制御基板21、演出制御基板22、画像制御基板23、及び画像インタフェイス基板37が、表示装置DSやその他の回路基板と共に固定されている。
図3に示す通り、主制御基板21には、係員が操作する初期化スイッチSWが接続されている。初期化スイッチSWは、主制御部21と払出制御部24のワンチップマイコンMCOM1,MCOM4の内蔵RAMの作業領域を初期設定するか否かを決定するスイッチである。そして、初期化スイッチSWがON操作されたことを示すRAMクリア信号CLRは、主制御部21のワンチップマイコンMCOM1と、払出制御部24のワンチップマイコンMCOM4に共通的に伝送される(図4参照)。
また、主制御部21は、遊技盤中継基板33を経由して、遊技盤5の各遊技部品に接続されている。そして、遊技盤上の各入賞口15〜18に内蔵された検出スイッチのスイッチ信号を受ける一方、電動式チューリップなどのソレノイド類SL1〜SL3を駆動している。
演出制御基板22には、音声演出・ランプ演出・演出可動体による可動演出などの演出動作を制御するワンチップマイコンMCOM2と、ワンチップマイコンMCOM2からの指示に基づいて音声信号を再生して出力する音声合成回路(音声プロセッサ)SNDと、再生される音声信号の元データである圧縮音声データを記憶する音声メモリと、音声合成回路SNDのデジタル音声信号を受けてD級増幅するデジタルアンプAMPなどが配置されている。
また、演出制御基板22には、ランプ駆動基板38と、ランプモータ駆動基板39とが接続されており、各駆動基板38,39に接続されたランプ群やモータ群M1〜Mxが適宜に駆動されることで、ランプ演出と可動演出が実現される。
一方、画像制御基板23には、演出制御基板22から制御コマンドCMD’を受けるワンチップマイコンMCOM3と、ワンチップマイコンMCOM3からの指示に基づいて、表示装置DSの一フレーム分の画像データを生成して出力する画像プロセッサVDPと、画像演出用の基礎データを記憶するCGメモリなどが配置されている。そして、ワンチップマイコンMCOM3が、制御コマンドCMD’に基づいて画像プロセッサVDPを制御することで、演出制御部22におけるランプ演出、音声演出、可動演出に同期した画像演出が実現される。
次に、図4は、主制御部21と払出制御部24の内部構成をやや詳細に図示したブロック図である。図示の通り、電源基板20で生成された35Vは、払出制御部24の発射制御回路SHに配電されて、発射ソレノイドSLeや球送りソレノイドSLfの電源電圧となる。また、払出制御部24を経由して、主制御基板21に配電された35Vは、ソレノイドSL1〜SL3の電源電圧となる。
主制御基板21に配置された各ソレノイドSL1〜SL3は、制御信号CTL1〜CTL3に基づいてON/OFF制御されるパワートランジスタを内蔵した電力スイッチPSが接続されている。そして、ワンチップマイコンMCOM1が制御信号CTL1〜CTL3を適宜に制御することで、各ソレノイドSL1〜SL3が電動式チューリップや大入賞口16が適宜に開閉する。
一方、発射ソレノイドSLeや球送りソレノイドSLfについては、ワンチップマイコンMCOM4の制御に基づかず、発射制御回路SHへの初期設定値や、発射強度ボリュームVRの出力信号に基づいて、その通電時間や通電タイミングや通電周期などが発射制御回路SHにおいて制御される。但し、発射制御回路SHが発射制御動作を開始するためには、(1)球貸し機LENが正常に接続されており、且つ、(2)主制御部21から発射許可信号SHOOTを受けることが動作開始条件となる。また、(3)遊技者が発射ハンドル10から手を離した場合や、(4)遊技者が発射停止を指示した場合には、発射制御回路SHは、当然に発射動作を停止する(動作停止条件)。
上記した動作開始条件について説明を追加すると、図4に示す通り、発射制御回路SHは、球貸中継部LK1と中継基板LK2を経由して、球貸し機LENに接続されており(図6参照)、球貸し機LENとの接続状態を示す通電信号POUTを受けるようになっている。また、発射制御回路SHは、主制御部21のワンチップマイコンMCOM1から発射許可信号SHOOTを受けるよう回路接続されている。
図7(a)は、発射制御回路SHの内部構成を図示したものであり、発射制御回路SHには、通電信号POUTと、論理反転された発射許可信号SHOOTと、論理反転された停止スイッチ信号STOPと、タッチセンサ信号TCHと、を受けるAND回路が内蔵されている。ここで、球貸し機LENとの接続が確立すると通電信号がPOUT=Hとなり(図6参照)、主制御部21が発射を許可すれば発射許可信号がSHOOT=Hとなり(図8のST15)、停止スイッチの操作が無いと停止スイッチ信号がSTOP=Hとなり、遊技者が発射ハンドル10に触れるとタッチセンサ信号がTCH=Lとなるよう構成されている。
図7(b)は、タッチセンサの内部構成を図示したものであり、遊技者が発射ハンドル10を握っていると、センストランジスタQsはON状態であり、タッチセンサ信号TCH=Lとなる。そして、通電信号POUT=H、発射許可信号SHOOT=H、停止スイッチ信号STOP=H、タッチセンサ信号TCH=Lの条件で、AND回路の出力がHレベルとなり、分周器の分周動作が許可され、その出力信号の周波数で決まる法的の所定周期で遊技球が間欠的に発射されることになる。
一方、上記の何れかの条件が不成立であると、遊技球が発射されることはない。なお、遊技球の発射動作は、発射ソレノイドSLeが間欠的に通電することで実現されるが、発射強度VRに値に基づいて規定される発射ソレノイドSLeの通電電流に対応して発射強度が制御される。また、発射周期に対応して、球送りソレノイドSLfが通電して、発射球が所定位置にセットされる。
図4に関して説明を続けると、払出制御基板24の電源関連回路29は、電源基板20から交流24Vを受ける交流検知回路DETと、電源基板20から直流12Vと5Vを受ける直流判定回路JG1と、を有して構成されている。ここで、交流検知回路DETは、交流電源が投入状態であるか、遮断状態であるかを検出する回路である。また、直流判定回路JG1は、直流電圧(12V,5V)に基づいて電源リセット信号RST1を生成すると共に、交流電源(AC24V)が遮断されたことを検知して、電断信号ABNを生成するよう構成されている。
先に説明した通り、払出制御基板24に配電された2種類の直流電圧(12V,5V)は、主制御基板21に転送されて、ワンチップマイコンMCOM1を含む電子素子や、入賞口15〜18に内蔵された検出スイッチの電源電圧となる。また、本実施例では、主制御基板21にも、直流判定回路JG1が設けられており、直流判定回路JG1は、2種類の直流電圧(12V,5V)に基づいて、主制御基板用の電源リセット信号RST2を生成している。このように本実施例では、電源リセット信号RSTiを伝送しないので、ノイズなどの影響でワンチップマイコンMCOMiが異常リセットされるおそれがない。
図4には、主制御基板21と払出制御基板24との間で送受信される重要な制御信号についても記載されている。図示の通り、本実施例では、払出制御基板24から主制御基板21には、4ビット長のエラー情報と、1ビット長の通知信号PWON/Errが伝送される。通知信号は、電源投入時においては、払出制御基板24の払出制御動作の準備が完了したことを、Hレベルで示す電源投入信号PWONであり、主制御基板21のワンチップマイコンMCOM1に伝送される。また、この1ビット長の通知信号は、電源リセット後は、賞球コマンドSYOの通信異常を示す通信異常信号Errとして機能し、賞球コマンドSYOの受信処理で異常が検出されると、主制御基板21のワンチップマイコンMCOM1に、Lレベルの通信異常信号Errが伝送される。
一方、4ビット長のエラー情報は、具体的には、補給切れ検出信号、球詰り検出信号、扉枠開放信号、計数エラー信号である。ここで、補給切れ検出信号、球詰り検出信号、及び、扉枠開放信号は、各々、信号中継基板25が受ける同種の検知信号に対応している。すなわち、信号中継基板25が受ける補給切れ検出信号、球詰り検出信号、及び、扉枠開放信号は、先ず、ワンチップマイコンMCOM4に伝送されて、しかるべき異常対応処理がされた後、同種のエラー情報として、主制御基板21のワンチップマイコンMCOM1に伝送される。
また、計数エラー信号は、信号中継基板25が受ける計数スイッチ信号に関連しており、ワンチップマイコンMCOM4において、払出した筈の遊技球の個数と、計数スイッチ信号の累積値との整合判定がされ、整合しない場合に、ワンチップマイコンMCOM4からワンチップマイコンMCOM1に、計数エラー信号として伝送される。
主制御基板21から払出制御基板24には、初期化スイッチSWが操作されたことを示すRAMクリア信号CLRと、遊技球の発射動作を許可する発射許可信号SHOOTと、遊技球の払出数を特定する賞球コマンドSYOとが各1ビット長の信号線で伝送される。図示の通り、賞球コマンドSYOは、ワンチップマイコンMCOM1のシリアル送信ポートSIOTXから、ワンチップマイコンMCOM4のシリアル受信ポートSIORXに対して、一方向に伝送される。
なお、図3に関して説明した通り、外部端子基板28は、主制御基板21のワンチップマイコンMCOM1から、10ビット程度の遊技情報INFを受けると共に、払出制御基板24のワンチップマイコンMCOM4から、賞球数を特定する賞球信号と、扉枠開放信号などのエラー情報を受けて、ホールコンピュータHCに転送している。
図5(a)は、払出制御基板24の電源関連回路29を構成する交流検知回路DETと、直流判定回路JG1と、を示す回路図であり、ワンチップマイコンMCOM4との接続関係も図示されている。また、図5(c)は、主制御基板21の直流判定回路JG2を示す回路図であり、図5(b)は、直流判定回路JG1,JG2の動作を説明するタイムチャートである。
図5(a)に示す通り、交流検知回路DETは、交流24Vを整流する全波整流回路と、全波整流回路の整流出力を受けるフォトカプラPH1とを中心に構成されている。そして、フォトカプラPH1のフォトダイオードDには、逆方向電圧を保護ダイオードD3が吸収する状態で、電流制限抵抗R1で制限された検知電流が流れるよう構成されている。
したがって、電源投入状態では、フォトカプラPH1のフォトトランジスタTrがON動作して、出力抵抗R2には5V程度の検出電圧Vscが出力される。なお、フォトダイオードDが整流出力(脈流)を受けることで、検知電流が変動することがあっても、検出電圧Vscの変動は、平滑コンデンサC1によって吸収される。
一方、電源が遮断された場合には、フォトカプラPH1のフォトトランジスタTrがOFF動作することで、検出電圧Vscが、グランドレベルに降下する。もっとも、実施例のフォトカプラPHは、ON状態からOFF状態に移行するに要するターンオフ時間が0.1mS程度であるので、交流電源が一時的に遮断される瞬停状態では、フォトトランジスタTrがOFF動作することはない。すなわち、本実施例では、交流検知回路DETにフォトカプラPH1を使用することで、電源ノイズなどの影響を排除している。
次に、直流判定回路JG1と、直流判定回路JG2は、各々、細枠で示される電源電圧監視用のICで構成されている。図示の通り、直流判定回路JG1の異常出力端子OUTcは、電流制限抵抗R8を通して電源電圧5Vを受けている。この直流判定回路JG1において、異常出力端子OUTcは、反転電断信号ABNバーの出力端子であり、NANDゲートG3を通して電断信号ABNに論理反転された後、ワンチップマイコンMCOM4の入力ポートとバッファ回路BUFに伝送されている。
実施例のバッファ回路BUFは、Inverting Schmitt Trigerタイプであるが、電断信号ABNについては、バッファ回路BUFで一巡させて論理反転を解消させた上で、主制御基板21のワンチップマイコンMCOM1の入力ポートに伝送されている(図4参照)。なお、補給切れ検出信号、球詰り検出信号、計数エラー信号、扉枠開放信号、及び、電源投入信号PWON/通信異常信号Errは、論理反転された状態でワンチップマイコンMCOM4の出力ポートから出力され、Inverting Schmitt Trigerタイプのバッファ回路BUFで論理反転された後、主制御基板21のワンチップマイコンMCOM1の入力ポートに伝送される(図4参照)。
一方、直流判定回路JG1のリセット端子RST1は、ノイズ吸収コンデンサC4を経由してグランドに接続されると共に、電流制限抵抗R9を通して電源電圧5Vを受けている。そして、直流判定回路JG1のリセット端子RST1は、NANDゲートG4,G5を通して、ワンチップマイコンMCOM4のリセット端子に接続されることで、電源リセット信号RST1を供給している。また、リセット端子RST1は、NANDゲートG4,G6を通して、ラッチ回路LTのクリア端子CLR端子にも接続され、IOリセット信号IORST1を供給している。
ラッチ回路LTは、D型フリップフロップで構成されており、ワンチップマイコンMCOM4のデータバスを経由して、EXS信号、PRDY信号、エラーランプ信号ERR、及び、賞球信号を取得するよう構成されている。そして、チップセレクト信号CSに基づき、ラッチ回路LTに取得されたEXS信号とPRDY信号は、玉貸し機LENに伝送され、ラッチ回路LTに取得された賞球信号は、ホールコンピュータHCに伝送される。また、エラーランプ信号ERRは、不図示のエラーランプを駆動して、異常時にはエラーランプを点灯させる。
図5(c)に示す通り、主制御基板21に配置される直流判定回路JG2の回路構成は、上記した払出制御基板24の直流判定回路JG1とほぼ同様であり、直流判定回路JG2が、反転電断信号ABNバーを生成しない点、つまり、異常出力端子OUTcを使用しない点を除けば、直流判定回路JG1と同一構成である。
すなわち、直流判定回路JG2から出力される電源リセット信号RST2は、ワンチップマイコンMCOM1のリセット端子に供給され、また、同じ信号がIOリセット信号IORST2として、ラッチ回路LTのクリア端子CLR端子にも供給されている。図示の通り、主制御部21のラッチ回路LTの出力には、発射許可信号SHOOTが含まれており、電源投入時にラッチ回路LTが電源リセットされることで、発射許可信号SHOOTは、このタイミングで確実にLレベルとなる。
以上を踏まえて、図5(a)に戻って、払出制御部24の回路構成について説明を続ける。図示の通り、電源電圧監視用ICは、3個の監視端子Vsa,Vsb,Vscを有しており、各監視端子Vsa,Vsb,Vscに対応してコンパレータCMa,CMb,CMcが内蔵されている。そして、コンパレータCMcの出力値に基づいてON動作するトランジスタQ3が内蔵されており、トランジスタQ3のオープンコレクタ端子たる異常出力端子OUTcに、反転電断信号ABNバーが出力される構成となっている。
ここで、第3端子の入力電圧Vscは、交流検知回路DETの交流検出電圧Vscであり、電源投入直後から有意値となる。そのため、コンパレータCMcの出力は、電源投入直後からHレベルとなり、トランジスタQ3は素早くON動作することで、反転電断信号ABNバーは、電源投入直後からLレベルとなる。そのため、ワンチップマイコンMCOM4に供給される電断信号ABNは、電源投入直後からHレベルとなる。
このように、本実施例では、ワンチップマイコンMCOM4に供給される電断信号ABNは、電源投入直後からHレベルとなり、この動作状態は、交流電源が遮断されない限り変わらない。一方、交流電源が遮断されると、第3端子の電圧Vscが素早くゼロボルトに向けて降下するので、コンパレータCMcの出力がLレベルに変化する。その結果、トランジスタQ3がOFF遷移して、反転電断信号ABNバーがHレベルに上昇する。
先に説明した通り、反転電断信号ABNバーは、NANDゲートG3を経由して、電断信号ABNとして、ワンチップマイコンMCOM4の入力ポートに伝送される。また、反転電断信号ABNバーは、NANDゲートG3とバッファ回路BUFを経由して、電断信号ABNとして、MCOM1の入力ポートに伝送される。
そのため、二つのワンチップマイコンMCOM1,MCOM4は、ほぼ同じタイミングで交流電源の遮断状態を知ることができ、直流電源が遮断するまでの間に、素早く必要な電断処理を終えることができる。そして、直流電源が完全に遮断された後は、バックアップ電源VBBが機能して、各ワンチップマイコンMCOM1,MCOM4の内蔵RAMの記憶内容が維持される。なお、交流検知回路DETにフォトカプラPH1を使用しているので、交流電源の瞬停状態では、電断信号ABNが生じないことは先に説明した通りである。
続いて、直流電源に関する電源リセット信号RST1に関して説明する。図5(a)や図5(c)に示す通り、第1端子Vsaは、コンデンサC3でグランドに接続されることで事実上開放状態となっている。そのため、直流電圧5Vが規定レベルである定常状態では、素子内部の分圧抵抗R6,R7の分圧比に基づき、第1端子Vsbは、1.4V程度になる。この第1端子Vsaの電圧は、コンパレータCMaに供給されるが、コンパレータCMaの他方側の入力電圧が1.24V程度であるので、直流電圧5Vが規定レベルである定常状態では、コンパレータCMaの出力がLレベルとなる。
一方、第2端子Vsbには、直流電圧12Vを、分圧抵抗R4,R5で分圧した検知電圧が供給されるよう構成されている。そして、直流電圧12Vが規定レベルである定常状態では、第2端子Vsbは、1.6V程度になるよう分圧抵抗R4,R5の抵抗値が設定されている。この第2端子Vsbの電圧は、コンパレータCMbに供給されるが、コンパレータCMbの他方側の入力電圧が1.24V程度であるので、定常状態では、コンパレータCMbの出力がLレベルとなる。
以上の定常動作に基づき、5Vと12Vの直流電圧が規定レベルである定常状態では、ORゲートG1の出力がLレベルとなり、RSフリップフロップFFのS入力端子にLレベルの電圧が供給されることになる。後述するように、この定常状態では、RSフリップフロップFFのR入力端子にLレベルの電圧が供給されている。
以上、5Vと12Vの直流電圧が規定レベルである定常状態について説明したが、電源投入状態であって、直流電圧5V,12Vが漸次上昇する過渡タイミングでは、必ず、第1端子Vsaや第2端子Vsbの電圧が、1.24Vを下回る状態が生じるので、この時、ORゲートG1の出力がHレベルとなる。そして、RSフリップフロップFFのS入力端子に、Hレベルの電圧が供給され、R入力端子に、Lレベルの電圧が供給されることで、RSフリップフロップFFがセットされてQ出力がHレベルになる。
そのため、電源投入直後に、素早くトランジスタQ1がON動作し、この結果、コンパレータCM2の出力もHレベルとなり、トランジスタQ2はON動作する。図5(b)のタイミングT1は、この遷移動作を示しており、電源リセット信号RST1は、電源投入時に素早くLレベルとなる。
直流電圧5V,12Vが上昇する過渡タイミングについて説明を続けると、その後、直流電圧5V,12Vが更に上昇して規定レベルに近づくと、ORゲートG1の出力であるRSフリップフロップFFのS入力端子が、Lレベルに変化し、これに対応してR入力端子が、Hレベルに変化する。そのため、このタイミングでRSフリップフロップFFがリセットされ、その結果、トランジスタQ1がOFF遷移することになり、コンデンサCTへの充電動作が開始される。
図5(b)のタイミングT2やタイミングT5は、コンデンサCTの充電開始時を示しており、その後、コンパレータCM1,CM2の反転入力端子(−)の電位は、漸次、上昇することになる。そして、適度な充電時間Tpoが経過すると(タイミングT2、T6)、コンパレータCM2の出力がLレベルに遷移することで、トランジスタQ2がOFF動作し、その結果、電源リセット信号RST1は、Hレベルに変化する。なお、この動作に対応して、コンパレータCM1の出力もLレベルとなり、RSフリップフロップFFのS入力端子とR入力端子は共にLレベルとなる。
以上の通り、タイミングT2からタイミングT3まで電源リセット信号RST1がLレベルに維持されることで、最適なリセット期間Tpoが確保される。本実施例では、払出制御基板24のリセット期間Tpoは、470mS程度であるのに対して、主制御基板21のリセット期間Tpoは、それより十分に長い1S程度で設定されており、払出制御基板24が素早く起動することになる。
以上の通り、主制御基板21と払出制御基板24では、電源リセット信号RST2,RST1に関し、ワンチップマイコンMCOM1,MCOM4の正常起動に必要な最適なリセット期間Tpoが確保されており、その後の正常動作が担保される。
ところで、直流電圧5V、12Vについて、少なくとも何れか一方が低下すると、ORゲートG1の出力がHレベルに変化することで、RSフリップフロップFFがセットされる。その結果、トランジスタQ1がON遷移することで、電源リセット信号RST1がLレベルとなる。図5(b)のタイミングT4とタイミングT7は、この動作状態を示しており、このタイミングで電源リセット信号RST1がLレベルに変化して、ワンチップマイコンMCOM4は動作停止状態となる。したがって、交流電源が供給されている正常給電状態において、直流電圧5Vと直流電圧12Vの何れか一方が異常降下しても、ワンチップマイコンが暴走状態になることはない。
一方、交流電源の遮断時には、タイミングT7の直流電圧の降下開始に先行して、交流検知回路DETが交流電源の遮断を検知して、電断信号ABNを出力している。そして、電断信号ABNを受けたワンチップマイコンMCOM4、MCOM1では、必要な電断処理を終えているので、その後に電源リセット信号RST1がLレベルに変化しても何の問題も生じない。
電源リセット信号RST1の意義について説明を続けると、図5(a)に示す通り、払出制御基板24の電源リセット信号RST1は、IOリセット信号IORST1として、ラッチ回路LTのクリア端子CLRにも供給されている。そのため、球貸し機LENに伝送されるEXS信号やPRDY信号、及び、ホールコンピュータHCに伝送される賞球信号が、電源リセット信号RST1(IORST1)によって確実にクリアされ、しかも、電源リセット期間Tpoの間は、如何なるノイズ環境下でもクリア状態が維持される。
その結果、ホールコンピュータHCが賞球実績を誤認することや、球貸し機LENがエラー対応動作を開始ことが確実に防止される。なお、本実施例の構成を採らない場合には、電源投入直後の電源が不安定な時間帯、つまり、電源リセット期間Tpoに対応する時間帯に、異常レベルの信号や異常パルスが出力されるおそれがあるが、本実施例ではその可能性が皆無となる。また、電源リセット信号RST1でクリアされるデータには、エラーランプを点灯させる駆動データが含まれているので、不合理にエラーランプが点灯することがなく、遊技ホールの係員を混乱させることもない。
図6(a)は、玉貸し機LENと制御信号を送受信する中継基板LK2(図4参照)と、払出制御基板24との関係を図示したものであり、払出制御基板24に搭載されたラッチ回路LT(図5参照)と、球貸中継部LK1(図4)とが示されている。また、図6(b)は、玉貸し機LENと、払出制御基板24との通信プロトコルを示している。
図示の通り、払出制御基板24は、玉貸し機LENから、直流電圧である導通確認信号VLと、BRDY信号と、BRQ信号とを受ける一方、玉貸し機LENに対して、PRDY信号と、EXS信号を出力している。図6(b)に示す通り、例えば、25個を払出単位とする球貸し動作は、払出制御基板24が、玉貸し機LENに対して、HレベルのPRDY信号を出力することが動作開始の条件となる(動作(a))。そして、その後、動作(b)〜動作(f)によって、一単位の遊技球が払出され、その後、動作(c’)〜動作(f’)を繰り返す毎に25球の遊技球が払出され、最後に、動作(g)が実行されて一連の球貸し動作が終了する。
上記の球貸し動作を正確に実行するため、実施例の中継基板LK2には、直流電圧12Vで動作する5個のフォトカプラPH2〜PH6と、各フォトダイオードの電流制限抵抗rと、各フォトトランジスタの電流制限抵抗Rと、が配置されている。そして、図6(b)に示す適宜なタイミングで、ラッチ回路LTに出力されるPRDY信号やEXS信号は、シンクドライバSK1を経由して、フォトカプラPH2、PH3に伝えられ、玉貸し機LENに伝送される。ここで、シンクドライバSK1は、直流電圧12Vから電流制限抵抗rに流入するON電流を、素子内部に引き込むシンク動作(sink)を実行するスイッチング素子である。
上記の動作に対応して、玉貸し機LENは、定常的に導通確認信号(直流電圧)VLを給電すると共に、図6(b)に示す適宜なタイミングで、BRDY信号と、BRQ信号を払出制御基板に出力する。そして、導通確認信号VLと、BRDY信号と、BRQ信号は、フォトカプラPH4〜PH6を経由して、シンクドライバSK2に伝送される。実施例の場合、シンクドライバSK2は、電源電圧5Vから負荷抵抗RLに流入するON電流を、素子内部に引き込むシンク動作を実行するスイッチング素子であり、過電圧を吸収するクランプ回路Clamp などが内蔵されている。
シンクドライバSK2を経由することで、電圧レベルが12Vから、ワンチップマイコンMCOM4に対応する5Vに修正されるが、レベル変換されたBRDY信号とBRQ信号は、各々、ワンチップマイコンMCOM4に伝送される。また、導通確認信号VLは、シンクドライバSK2を経由することで、Hレベルの通電信号POUTとなり、発射制御回路SHに伝送される。図7に関して説明した通り、Hレベルの通電信号POUTは、遊技球の発射動作の許可条件となる。したがって、玉貸し機LENと払出制御基板24とが電源投入時から接続されていない場合や、遊技動作中に、払出制御基板24と玉貸し機LENの接続が途絶えたような異常時には、遊技球の発射が開始されず、異常事態の発生が遊技者に対して直ちに明らかとなる。
続いて、主制御部21と払出制御部24の制御動作について説明する。図8は、主制御部の動作を説明するフローチャートであり、CPUリセット後に実行されるメインルーチン(図8(a))と、所定時間τm(=4mS)毎に起動されるタイマ割込みルーチン(図8(b))と、を示している。
電源リセット信号RST2に基づき、ワンチップマイコンMCOM1のCPUがリセットされると、CPUが割込み禁止状態に設定された後(ST1)、ワンチップマイコンMCOM1の内部レジスタが初期設定される(ST2)。なお、図5(c)に関して説明した通り、電源リセット信号RST2に基づいて、CPUが電源リセットされるとき、IOリセット信号IORST2に基づいて、ラッチ回路LTの出力がクリアされる。そのため、発射許可信号SHOOTは、電源リセット時にOFF(=L)レベルとなり、この発射許可信号SHOOTが払出制御部24に伝送される。図4や図7に示す通り、Lレベルの発射許可信号SHOOTは、払出制御部24の発射制御回路SHに伝送されるので、このタイミングで遊技球の発射が禁止される。
次に、初期化スイッチSWが操作されたことを示すRAMクリア信号CLRを取得して一時記憶し、ワンチップマイコンMCOM1に内蔵されたウォッチドッグタイマWDTをクリアしつつ(ST4)、電源投入信号PWONがHレベルになるのを待機する(ST5)。
電源投入信号PWONは、払出制御部24において、払出動作の準備が完了したことを示す信号であり(図11のST50)、主制御部21と払出制御部24の制御動作を整合させるための信号である。なお、主制御部21の電源リセット信号RST2のリセット期間Tpoが1S程度であるのに対して、払出制御部24の電源リセット信号RST1のリセット期間Tpoは、その半分程度に設定されているので、通常、ステップST5の判定時には、主制御部21はON(=H)レベルの電源投入信号PWONを受けており、直ちに、ステップST6の処理に移行する。
そして、初期化スイッチSWがON操作されたことで、RAMクリア信号CLRがONレベルの場合(ST6)や、電源監視処理で記憶されたバックアップフラグBFLが破壊されている場合(ST7)や、内蔵RAMのチェックサム値が電断前の値と一致しない場合(ST7〜ST9)には、内蔵RAMの記憶内容が維持されていないと判定して、内蔵RAMをゼロクリアする(ST10)。
また、内蔵RAMがゼロクリアされたことを示す制御コマンドであるRAMクリアコマンドCMDを演出制御部22に送信する(ST11)。そして、演出制御部22は、受けたRAMクリアコマンドCMDに対応する制御コマンドCMD’を画像制御部23に送信する。なお、払出制御部24には、RAMクリアコマンドCMDが伝送されない。しかし、払出制御部24は、主制御部21に伝送されるRAMクリア信号CLRを、共通的に受けるよう構成されているため(図4)、このRAMクリア信号CLRに基づいて、同種のRAMクリア処理を実行することができる(図11のST42〜ST48)。
一方、内蔵RAMの記憶内容が正しく維持されていると判定される場合には(ST9がY判定)、バックアップフラグBFLと通信異常フラグTXerをクリアし(ST12)、ワンチップマイコンMCOM1の内蔵CTC回路を初期設定した上で、タイマ割込み動作を開始するべく、CPUを割込み許可状態に設定する(ST14)。
以上の処理によって、主制御部21では遊技制御動作が開始可能となるのでして、遊技球の発射を許可するべくONレベルの発射許可信号SHOOTを出力して(ST15)、無限ループ処理を開始する。
続いて、4mS毎に起動されるタイマ割込み処理について説明する。まず、払出制御部24から伝送される電断信号ABNのレベルに基づいて(図4参照)、交流電源が遮断されていないかを判定し、交流電源が遮断されたと判定される場合には、必要なバックアップ処理を実行して、バックアップフラグBFLを所定値(5AH)にセットした上で、CPUがリセットされること、及び、直流電源が遮断状態となることを待つ(ST20)。なお、バックアップ処理には、チェックサム値を算出して記憶する処理が含まれている。
一方、電断異常が判定されない場合には、抽選処理用の乱数値を更新し(ST21)、各種の遊技動作用のタイマ値を減算して更新する(ST22)。また、入賞口15〜18に内蔵された検出スイッチのスイッチ信号や、払出制御部24から伝送される通信異常信号Errや、払出制御部24から伝送される払出に関する異常信号を含む各種のスイッチ信号を取得する(ST23)。図4に関して説明した通り、通信異常信号Errは、賞球コマンドSYOの通信異常の有無を示しており、ステップST5で判定される電源投入信号PWONと同一の伝送線で伝送される。
次に、ステップST23の処理で取得したスイッチ信号に基づいて異常判定処理を実行し、異常判定値には、異常報知用の異常フラグをセットすると共に、その他の必要な処理を実行する(ST24)。例えば、通信異常信号Errが異常レベルの場合には、通信異常フラグTXerをON状態にセットすると共に、発射許可信号SHOOTを禁止レベル(=L)に変更する。
後述するように、本実施例では、賞球コマンドSYOの通信異常時には、払出制御部24において遊技球の払出を停止するが(図11(c)参照)、この払出停止動作に合わせて、発射許可信号SHOOTを禁止レベル(=L)に変更することで、遊技球の発射を禁止している。
次に、遊技球の入賞時には、賞球数を特定した賞球コマンドSYOiが、図9(b)に示すコマンドバッファBUFFに作成される(ST25)。そして、コマンドバッファBUFFから読み出された賞球コマンドSYOiが、図9(c)の手順を経て、払出制御部24に向けてシリアル伝送される(ST26)。
なお、通信異常が生じた結果(Err=L)、通信異常フラグTXerがON状態となって発射動作が禁止された後も(ST24)、必要な賞球コマンドSYOiがコマンドバッファBUFFに繰り返し格納される(ST25)。そして、このコマンドバッファBUFFの記憶内容は、電源遮断後もバックアップ電源VBBによって維持されるので、通信異常発生時までの遊技球の入賞状態が消滅することはない。すなわち、入賞状態は、コマンドバッファBUFFに記憶される賞球コマンドとして記憶維持される。
図9(a)は、賞球コマンドSYOiの構成を図示したものであり、入賞口の検出スイッチの出力に基づき、1バイト長のSY01〜SY15の何れかの賞球コマンドが、図9(b)に示すコマンドバッファBUFFに記憶される。なお、15種類の賞球コマンドSY01〜SY15が用意されているが、必ずしも、その全てが使用される必要はない。
また、本実施例では、全ての賞球コマンドSYOiにおいて、所定の有意ビットと、残りのダミービットを対応させることで、通信異常や、不正コマンドの伝送を容易に検出できるようにしている。図9(a)は、説明の便宜上、単純な構成を例示しており、上位4ビットと下位4ビットをビット加算すると、16進数FFHとなるよう、上位4ビット(ダミービット)と下位4ビット(有意ビット)を対応付けている。
図9(a)の構成例では、下位4ビット(1〜15)が賞球数を特定しており、払出制御部24において、上位4ビットと下位4ビットをビット加算(整合演算)することで、通信異常の発生を判定することができる。また、送信される筈がない賞球コマンドSYOjが伝送された場合には、それが、不正コマンドであると判定することができる。なお、本実施例では、パリティビットを設けていないが、パリティビットを設けた場合は、パリティビットを除くダミービットと、有意ビットとの整合演算に基づいて不正コマンドを検出する。
このような構成の賞球コマンドSYOiは、ワンチップマイコンMCOM1のシリアル送信ポートSIOTXからシリアル出力され、ワンチップマイコンMCOM4のシリアル受信ポートSIORXでシリアル受信されるようになっている。なお、図9(c)にシリアル送信ポートSIOTXの構成を図示し、図9(d)に、シリアル受信ポートSIORXの構成を図示している。
図9(c)に示す通り、シリアル送信ポートSIOTXは、CPUが1バイトデータを書き込む送信データレジスタRPtと、送信データレジスタRPtから転送される1バイトデータを、所定の通信速度で1ビットずつ出力する送信シフトレジスタRStと、送信データレジスタRPtへの書込みが可能か否か(エンプティ状態/フル状態)などを特定するステイタスレジスタSTtを有して構成されている。
一方、シリアル受信ポートSIORXは、図9(d)に示す通り、シリアル信号(賞球コマンドSYOi)を1ビットずつ取得する受信シフトレジスタRSrと、受信シフトレジスタRSrから1バイトデータが転送される受信データレジスタRPrと、受信動作の異常に関する情報などを特定するステイタスレジスタSTrとを有して構成されている。
後述するように、受信動作の異常には、ノイズエラーと、オーバーランエラーと、フレーミングエラーとが含まれており、検出された異常に対応して、ステイタスレジスタSTrの該当ビットがセットされる。また、ステイタスレジスタSTrの所定ビット(受信データフルビット)に基づき、受信シフトレジスタRSrから受信データレジスタRPrに1バイトデータが転送されたことが特定される。
実施例のシリアル信号は、図10(a)に示す通り、LレベルのスタートビットSTART(1ビット)と、8ビット長の賞球コマンドと、HレベルのストップビットSTOP(1ビット)と、を連続させた全10ビットである。そして、この10ビットが、本実施例では、9600bps(bit per second)程度の通信速度(ボーレート)でシリアル伝送されている。
図示の通り、本実施例は、伝送クロックを伝送しない非同期式のシリアル伝送方式を採っており、非通信idle状態では、シリアル信号線はHレベルである。そして、idle状態でHレベルのシリアル信号線が、スタートビットSTARTによってLレベルに立下がり、その後、8ビットのデータが伝送された後、ストップビットSTOPによって、シリアル信号線がHレベルに立上ることで、元のidle状態に戻る。
本実施例では、シリアル送信ポートSIOTXと、シリアル受信ポートSIORXとは、ボーレート(9600bps)の16倍の同一周波数の判定クロックRTに基づいて、シリアル送信とシリアル受信の動作を整合させている。図10(c)〜図10(e)は、スタートビットSTARTと、データビットと、ストップビットSTOPについて、判定クロックRTとの関係を図示したものである。
図10(c)に示す通り、シリアル受信ポートSIORXは、シリアル信号線の立下がりエッジを検知すると、判定クロックRTのカウント動作を開始し、その後、例えば、3番目と、5番目と、7番目の判定クロックRTに同期して、スタートビットSTARTビットを整合判定している。この場合、通常は、全てLレベルが検出されるが、何れかでHレベルが検出されるとノイズエラーとしてステイタスレジスタSTrのノイズエラービットがセットされる。その後、16番目の判定クロックRTを検出すると、その後は、賞球コマンドSYOiが伝送されると判断される。
図10(c)に示す通り、シリアル受信ポートSIORXは、スタートビットSTARTを受けた後、1番目から開始される判定クロックRTにおいて、例えば、8番目と、9番目と、10番目の判定クロックRTに同期して、賞球コマンドの第1ビットの論理値を判定する。8番目と9番目と10番目の3回の判定値は、共通して0か1の筈であるが、万一、不一致の場合には、多数決論理で決まる値を受信シフトレジスタRSrに取得すると共に、ノイズエラーとしてステイタスレジスタSTrのノイズエラービットをセットする。
その後の処理も同じであり、16番目の判定クロックRTを検出すると、その後は、賞球コマンドSYOiの次ビットが開始されるとして、同様の判定処理と取得処理を繰り返す。このように、本実施例では、1番目から16番目まで続く、16個の判定クロックRTの中央付近で、賞球コマンドSYOiのデータビットを取得しているので、シリアル送信ポートSIOTXと、シリアル受信ポートSIORXとで、判定クロックRTの周波数に多少のずれが生じても、10ビット程度で完了する一単位の送受信動作において、不合理な動作が発生することはない。
このようにして、8ビット長の賞球コマンドSYOiを取得した後は、図10(e)に示す動作を実行する。すなわち、賞球コマンドの最終ビットを受けた後、1番目から開始される判定クロックRTにおいて、例えば、8番目と、9番目と、10番目の判定クロックRTに同期して、ストップビットSTOPがHレベルであることを確認する。この場合、通常は、全てHレベルが検出されるが、何れかでLレベルが検出されるとノイズエラーとしてステイタスレジスタSTrのノイズエラービットがセットされる。
また、多数決論理の結果、Lレベルが選択される場合には、重要な通信異常が生じたとして、ステイタスレジスタSTrのフレーミングエラービットがセットされる。
以上の通りに動作するので、ステイタスレジスタSTrに記憶される通信異常には、スタートビット、データビット、ストップビットの何れかに異常が検出されたことを示すノイズエラーと、ストップビットを検出できないフレーミングエラーとが含まれることになる。また、ステイタスレジスタSTrには、受信データレジスタRPrのデータがCPUに読み出される以前に、次の8ビットを受信シフトレジスタRSrが受けたことを示すオーバーランエラーも記憶される。
以上説明したように、シリアル伝送において各種の異常の発生が懸念されるが、本発明者の繰り返し実験によれば、ノイズエラーやフレーミングエラーは、事実上発生しないことが確認されている。また、主制御部21のタイマ割込み周期τm(4mS)と、払出制御部24のタイマ割込み周期τs(=2ms)とが適切に設定さているので、オーバーランエラーが生じることもない。
図9(e)や図10(b)は、この関係を図示したものであり、主制御部21において、賞球コマンドSYOiが連続的に送信される場合を示している。図示の通り、賞球コマンドSYOiの送信終了から、次の賞球コマンドSYOi+1の送信終了までの経過時間は、平均的にτmであり、タイマ割込み処理(図8(b)及び図11(b))の他の処理の影響によって、ずれる可能性のある最大ずれ時間をδと見積もると、賞球コマンドSYOiの送信終了から、次の賞球コマンドSYOi+1の送信終了までの経過時間の最低値は、τm−2*δとなる。
一方、払出制御部24において賞球コマンドSYOiの受信開始から、次の賞球コマンドSYOi+1の受信開始までの経過時間は、平均的にτsであり、タイマ割込み処理(図10(b))の他の処理の影響によって、ずれる可能性のある最大ずれ時間をδと見積もると、賞球コマンドSYOiの受信開始から、次の賞球コマンドSYOi+1の受信開始終了までの経過時間の最大値は、τs+2*δとなる。
したがって、τm−2*δ≦τs+2*δの場合には、オーバーランエラーの可能性があるが、本実施例では、主制御部21と払出制御部24のタイマ割込み周期(τm,τs)が、τm>>τs+4*δとなるよう設計されているので、(τm−2*δ)−(τs+2*δ)=τm−τs−4*δ>>0であって、オーバーランエラーの恐れはない。すなわち、賞球コマンドSYOに関し、シリアル受信割込みなどを起動させるまでもなく、タイマ割込み処理における定時的な受信処理(図11(b)のST73))によって、正常に賞球コマンドSYOiを取得することができる。
次に、図9(c)に基づいて、賞球コマンド伝送処理(ST26)について更に具体的に説明する。先ず、通信異常フラグTXerを判定し(ST35)、通信異常状態の場合(TXer=ON)には何もしないで処理を終える。このように、本実施例では、通信異常状態が発生した後は、賞球コマンドSYOを送信しないので、コマンドバッファBUFFの賞球コマンドSYOが消滅することはなく、遊技球の入賞状態が正しく記憶維持される。
一方、通信異常状態でない場合(TXer=OFF)には、次に、ステイタスレジスタSTtを参照して、送信データレジスタRPtが空か(Empty )否かを、ステイタスレジスタSTtのEmpty ビットで判定する(ST36)。図9(e)に関して説明した通り、本実施例では、主制御部と払出制御部のタイマ割込み周期(τm,τs)が、τm=4mS、τs=2mSであって、τm>>τs+4*δの条件を満たすので、ステップST36の判定は、必ず、Empty 判定となる筈である。しかし、万一、Nonempty判定となる場合は、重大な機器トラブルと判定して、通信異常フラグTXerをON状態に設定する。その結果、その後は、賞球コマンドSYOが払出制御部24に伝送されることはない。
但し、通常の場合は、送信データレジスタRPtが、必ず、Empty 状態となるので、この場合には、コマンドバッファBUFFに記憶されている最古の賞球コマンドSYOを、送信データレジスタRPtに書込む(ST38)。すると、その後は、シリアル送信ポートSIOTXが自動的に送信動作を開始して、図10(a)に示す10ビットのシリアル送信動作を開始して、約10/9600≒1mS後に送信動作を終え、ステイタスレジスタSTtのEmpty ビットを、ON状態(Empty )に設定する。
上記の動作は、シリアル送信ポートSIOTXにおいて自動的に実行されるので、CPUは、ステップST38の処理に続いて、送信済みの賞球コマンドSYOをコマンドバッファBUFFから消去して、コマンドバッファBUFFを整理して処理を終える(ST39)。その結果、次のタイマ割込みでは、残っている最古の賞球コマンドSYOが、払出制御部24に向けてシリアル送信されることになる。
以上、図9に関して説明したので、図8に戻って主制御部21のタイマ割込み処理の説明を続ける。ステップST26の処理が終われば、普通図柄表示部19が変動する当り中か否かに応じて、適宜な普通図柄処理(ST28)と普通電動役物処理(ST30)を実行し、図柄始動口15に関する特別図柄処理を実行する(ST31)。そして、大当り中であれば、大入賞口16を開閉させ特別電動役物処理を実行する(ST33)。
そして、最後に、演出制御部24に対して必要な制御コマンドCMDを伝送する(ST34)。この時、通信異常フラグTXerがON状態であれば、音声報知及び画像表示により、『通信異常が発生したので、係員を呼んで下さい。』と遊技者に連絡するための通信異常報知コマンドCMDが伝送される。
本実施例の場合、一旦ON状態にセットされた通信異常フラグTXerは、再度の電源リセット時まで消滅しない構成を採っているので(ST12参照)、ステップST34の処理によって通信異常報知コマンドが繰り返し送信されることになり、演出制御部22や画像制御部23では、異常解消まで音声報知や画像報知を消滅させることはない。なお、その後は、係員による交流電源の遮断と、接続コネクタC1などの接続確認と、その後の電源復帰などによって通信異常の解消が図られるが、本発明の繰返し実験では、不正コマンドの伝送以外では、このような通信異常が生じることは事実上ないことを確認している。
続いて、払出制御部24の動作について説明する。図11は、払出制御部24の動作を説明するフローチャートであり、CPUリセット後に実行されるメインルーチン(図11(a))と、所定時間τs(=2mS)毎に起動されるタイマ割込みルーチン(図11(b))と、を示している。
電源リセット信号RST1に基づき、ワンチップマイコンMCOM4のCPUがリセットされると、CPUが割込み禁止状態に設定された後(ST1)、ワンチップマイコンMCOM4の内部レジスタが初期設定される(ST2)。その結果、ワンチップマイコンMCOM4に内部された出力ポートの出力がクリアされ、図5(a)のバッファ回路BUFに出力される補給切れ検出信号、球詰り検出信号、計数エラー信号、及び扉枠開放信号は、全て正常Lレベルとなり、また、電源投入信号PWONもLレベルとなる。
次に、バックアップ電源基板27との正常接続を判定するべく、検査ラインLNの電位を判定する(ST42)。正常時には、検査ラインLNの電位はLレベルであるが(図4参照)、万一、断線状態(非接続状態)であればHレベルとなる。そこで、非接続状態と判定される場合には、そのまま無限ループ処理を開始する。このステップST42のタイミングでは、CPUが割込み禁止状態であるので、図11(b)の動作が実行されることはない。
しかも、払出制御部24から出力される電源投入信号PWONは、Lレベルのままであるので、主制御部21は、ステップST4〜ST4の処理から抜けることができず遊技機が起動しない。そのため、バックアップ電源基板27との非接続異常が、営業開始前に、係員に検出されることになり、バックアップ電源VBBの異常状態が何日も継続されるおそれがない。
一方、ステップST42において正常接続が確認された場合には、ステップST43〜ST49の処理を経てCPUが割込み許可状態となり、電源投入信号がON状態とされる(ST50)。なお、ステップST43〜ST49の処理は、主制御部21における図8のステップST6〜ST14の処理と、ステップST11を除いてほぼ同じである。
続いて、図11(b)に基づいて、タイマ割込み処理について説明する。先ず、電断信号ABNを判定して、電断異常時には、必要なバックアップ処理を実行する電源監視処理が実行される(ST70)。なお、具体的な動作内容は、主制御部21におけるステップST20の処理と同じである。
次に、補給切れ検出信号、球詰り検出信号、計数エラー信号、及び扉枠開放信号などに関するスイッチ信号が取得され(ST71)、払出動作に関するタイマ値を減算して更新する(ST72)。
次に、シリアル受信ポートSIORXをアクセスして、もし、賞球コマンドSYOが受信されていれば、これを取得する(ST73)。図11(c)は、この賞球コマンド受信処理を示すフローチャートである。先ず、ステイタスレジスタSTrの該当ビット(受信データフルビット)が参照され、1バイトデータの取得済みであるか(Data Full )、それとも、受信済みのデータが存在しないか(Not Full)が判定される(ST60)。
ここで、Not Full状態であれば何もしないで処理を終える。一方、Data Full 状態であれば、ステイタスレジスタSTrのノイズエラービットや、フレーミングエラービットを参照して、通信異常の有無を判定する(ST61)。先に説明した通り、ノイズエラービットは、賞球コマンドSYOである1バイトのデータ取得中に、図10(c)〜図10(e)に示す何れかの通信異常が発生したか否かを示している。また、フレーミングエラービットは、賞球コマンドである1バイトのデータ取得後、ストップビットを検出できない通信異常が発生したか否かを示している。
そして、何らかの通信異常が発生したと判定される場合には、通信異常信号ErrをLレベルに変更する(ST65)。その結果、主制御部21では、賞球コマンドが正常に伝送されなかったことを把握して、発射許可信号SHOOTを、OFF状態に制御すると共に(図8(b)のST24)、その後の賞球コマンドSYOの送信を停止する(図9(c)のST35)。なお、Lレベルに変更された通信異常信号Errは、その後の電源リセット後のステップST50の処理で、正常Hレベルに戻される。
図11(c)に示す通り、何らかの通信異常が発生したと判定される場合には、賞球開始処理(ST64)がスキップされるので、遊技球が遊技者に払出されることはない。このことは、一見、遊技者に不利な取り扱いにも感じられるが、(1)通信異常の発生可能性が非常に低いこと(実験的にほぼゼロ)、(2)通信異常が発生すると、係員による保守作業の後の電源リセットを経て、入賞口に係員が遊技球を投入する顧客サービスがされると期待されること、(3)もし、このような顧客サービスが無いと、通信異常時に仮に賞球動作を実行したとしても、その実行が確認できない遊技者としては不満が残ること、などに鑑みると、通信異常時に賞球開始処理(ST64)をスキップさせるのが最も合理的であると考えられる。
以上、遊技球を遊技者に払出されないことの意味について説明したが、ステップST65の処理に続いて、通信異常に関わる1バイト取得データの読み込み処理(Read access )や、ステイタスレジスタSTrへの書込み処理(Write access)によって、全てのノイズエラービットをクリアする。
これは、主制御部21において、賞球コマンドSYOの送信停止処理(図9(c)のST35)を実行する以前に、送信済みであった賞球コマンドSYOを、払出制御部24において読み落さないための処理である。すなわち、ノイズエラービットがクリアされたことで(ST66)、払出制御部24の次のタイマ割込み時には、次の賞球コマンドを取得することができ、通信異常が発生しない限り(ST61:Normal)、この賞球コマンドに対応する払出動作を実行することができる(ST62〜ST64)。
次に、通信異常が発生しない通常時の動作を説明する。ステップST62のタイミングは、受信データレジスタRPrに受信データが記憶さているData Full 状態であるので、CPUは、受信データレジスタRPrから賞球コマンドSYOを読み出す(ST62)。次に、賞球コマンドSYOについて、ダミービットと、有意ビットとの間で整合演算を実行して、不正コマンドでないことを確認する(ST63)。なお、賞球コマンドSYOが、図9(a)の構成である場合には、上位4ビットと下位4ビットをビット加算結果がFFHとなるか否かが判定される。また、送信される筈のない賞球コマンドSYOを受信したか否かも判定される。
そして、これらの整合演算によって、万一、所定の演算結果が得られない場合には、ステップST65の処理に移行して、発射動作と、賞球動作とを停止し、通信異常報知動作を開始する(ST34)。これは、違法行為の発生に適切に対応するためである。なお、ノイズエラーや、フレーミングエラーなどの通信異常が発生しない状態で、正当な賞球コマンドの1ビットが丸ごとビット化けして整合演算に失敗することは、事実上考えられないので、整合演算に失敗した場合の異常報知の内容は、違法行為の発生の可能性を考慮した内容にしても良い。
以上、賞球コマンド受信処理(ST73)を説明したので、図11(b)に戻って説明を続ける。賞球コマンド受信処理(ST73)が終われば、球貸し動作に関する処理(ST74,ST75)を実行し、図11(c)のステップST64の処理において開始設定された賞球動作や、必要とされている球貸し動作を実行するため、払出モータMoの駆動データΦ1〜Φ4を適宜に更新する(ST76)。
次に、球詰りや、補給切れなどの払出動作についての異常が検出されている場合は、その旨を主制御部21に送信し(ST77)、ステップST76で更新された駆動データΦ1〜Φ4を払出モータMoに出力して割込み処理を終える(ST78)。
以上、実施例について詳細に説明したが、具体的な記載内容は特に本発明を限定せず、適宜に変更可能である。