JP2018091678A - 分析方法及び分析用具 - Google Patents
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Abstract
【課題】高感度に被分析物質を検出することが可能な分析方法及び分析用具を提供する。【解決手段】サンプル、及び前記サンプル中に含まれ得る被分析物質と複合体を形成する酵素標識化物質を、前記被分析物質を直接又は間接的に捕捉する捕捉物質が固定化されている測定部を備える展開層に少なくとも展開させ、次に、前記酵素標識化物質中の酵素と反応する酵素基質を前記展開層に展開させてから前記酵素基質の展開を抑制し、前記測定部にて前記複合体における前記酵素標識化物質中の酵素と前記酵素基質との反応の有無を検出することにより、前記サンプル中の前記被分析物質の有無を検出する分析方法。【選択図】図3
Description
本発明は、分析方法及び分析用具に関する。
従来から、例えば、感染症の診断等において、細菌、ウイルス等の病原体の抗原を、免疫反応を利用して検出する検体分析用具が普及している。検体分析用具では、簡便かつ迅速に、定量分析、半定量分析、定性分析等が可能なことから、イムノクロマト法が用いられている。
例えば、酵素標識した抗体又は抗原を用いて検体中の抗原又は抗体を測定するイムノクロマト法(酵素免疫アッセイ方法)、及び検体分析用具として酵素免疫アッセイ装置が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
イムノクロマト法の原理としては、例えば以下の通りである。まず、試験片(展開層)を構成するニトロセルロース膜に検出目的の抗原と結合する抗体をライン状に予め塗布しておき、抗原を含有する検体及び酵素標識抗体をニトロセルロース膜に展開させる。ニトロセルロース膜に展開される抗原及び酵素標識抗体は複合体を形成し、形成された複合体は抗原を介してライン上の抗体と結合することにより、酵素標識抗体を含む複合体がライン上に捕捉される。次に、酵素基質を含有する基質液を展開させることで、酵素基質と酵素標識抗体とが反応し、ラインに発色が出現する。また、試験片を構成するニトロセルロース膜の端部には吸収パッドが接続されており、基質液をニトロセルロース膜に通常約10分〜20分展開させると、ラインの発色は徐々に強くなる。
特許文献1、2に記載のイムノクロマト法は、例えば、感染症の抗原検出に応用されている。感染症では発症初期の抗原量が少ない状態により測定法の検出限界以下になることで偽陰性が発生し、患者の見逃しに繋がることがある。また、抗原量の少ない検査項目では感度が足りず、イムノクロマト法を応用できない項目もある。したがって、抗原等の被分析物質を高感度で検出することが可能な分析方法(イムノクロマト法)及び分析用具が望まれている。
本発明は、高感度に被分析物質を検出することが可能な分析方法及び分析用具を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するための具体的な手段は、以下の通りである。
<1> 本発明の一態様は、サンプル、及び前記サンプル中に含まれ得る被分析物質と複合体を形成する酵素標識化物質を、前記被分析物質を直接又は間接的に捕捉する捕捉物質が固定化されている測定部を備える展開層に少なくとも展開させ、次に、前記酵素標識化物質中の酵素と反応する酵素基質を前記展開層に展開させてから前記酵素基質の展開を抑制し、前記測定部にて前記複合体における前記酵素標識化物質中の酵素と前記酵素基質との反応の有無を検出することにより、前記サンプル中の前記被分析物質の有無を検出する分析方法である。
<2> 本発明の一態様は、前記複合体は、前記被分析物質と、前記酵素標識化物質と、前記測定部に固定化されている前記捕捉物質に捕捉される標識物質を有する物質と、を含んで構成され、前記酵素基質を前記展開層に展開させる前に、前記標識物質を有する物質を前記展開層に展開させる、<1>に記載の分析方法である。
<3> 本発明の一態様は、前記標識物質はビオチンである、<2>に記載の分析方法である。
<4> 本発明の一態様は、前記被分析物質は抗原であり、前記酵素標識化物質は酵素標識抗体であり、前記標識物質を有する物質は標識抗体である、<2>又は<3>に記載の分析方法である。
<5> 本発明の一態様は、前記捕捉物質はアビジン又はストレプトアビジンである、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の分析方法である。
<6> 本発明の一態様は、前記複合体は、前記被分析物質と前記酵素標識化物質とを含んで構成され、前記捕捉物質は前記被分析物質と結合する物質である、<1>に記載の分析方法である。
<7> 本発明の一態様は、前記被分析物質は抗原であり、前記酵素標識化物質は酵素標識抗体であり、前記捕捉物質は抗体である、<6>に記載の分析方法である。
<8> 本発明の一態様は、少なくとも前記測定部まで前記酵素基質を展開させた後に前記酵素基質の展開を抑制する、<1>〜<7>のいずれか1つに記載の分析方法である。
<9> 本発明の一態様は、前記展開層は、前記酵素基質の展開方向において、前記測定部の外側に前記酵素標識化物質と結合する物質が固定化されている参照部を更に備え、前記参照部まで前記酵素基質を展開させた後に前記酵素基質の展開を抑制する、<1>〜<8>のいずれか1つに記載の分析方法である。
<10> 本発明の一態様は、前記酵素基質は、前記酵素標識化物質中の前記酵素と反応して発色又は発光が生じる基質であり、前記測定部にて前記酵素基質と前記酵素標識化物質中の前記酵素とが反応して生じる発色又は発光の有無を検出することにより、前記サンプル中の前記被分析物質の有無を検出する<1>〜<9>のいずれか1つに記載の分析方法である。
<11> 本発明の一態様は、前記酵素標識化物質中の酵素は、パーオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ又はβ−D−ガラクトシダーゼである<1>〜<10>のいずれか1つに記載の分析方法である。
<12> 本発明の一態様は、前記酵素基質は、BCIP(5−ブロモ−4クロロ−3−インドリル−リン酸)又はその塩である<1>〜<11>のいずれか1つに記載の分析方法である。
<1> 本発明の一態様は、サンプル、及び前記サンプル中に含まれ得る被分析物質と複合体を形成する酵素標識化物質を、前記被分析物質を直接又は間接的に捕捉する捕捉物質が固定化されている測定部を備える展開層に少なくとも展開させ、次に、前記酵素標識化物質中の酵素と反応する酵素基質を前記展開層に展開させてから前記酵素基質の展開を抑制し、前記測定部にて前記複合体における前記酵素標識化物質中の酵素と前記酵素基質との反応の有無を検出することにより、前記サンプル中の前記被分析物質の有無を検出する分析方法である。
<2> 本発明の一態様は、前記複合体は、前記被分析物質と、前記酵素標識化物質と、前記測定部に固定化されている前記捕捉物質に捕捉される標識物質を有する物質と、を含んで構成され、前記酵素基質を前記展開層に展開させる前に、前記標識物質を有する物質を前記展開層に展開させる、<1>に記載の分析方法である。
<3> 本発明の一態様は、前記標識物質はビオチンである、<2>に記載の分析方法である。
<4> 本発明の一態様は、前記被分析物質は抗原であり、前記酵素標識化物質は酵素標識抗体であり、前記標識物質を有する物質は標識抗体である、<2>又は<3>に記載の分析方法である。
<5> 本発明の一態様は、前記捕捉物質はアビジン又はストレプトアビジンである、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の分析方法である。
<6> 本発明の一態様は、前記複合体は、前記被分析物質と前記酵素標識化物質とを含んで構成され、前記捕捉物質は前記被分析物質と結合する物質である、<1>に記載の分析方法である。
<7> 本発明の一態様は、前記被分析物質は抗原であり、前記酵素標識化物質は酵素標識抗体であり、前記捕捉物質は抗体である、<6>に記載の分析方法である。
<8> 本発明の一態様は、少なくとも前記測定部まで前記酵素基質を展開させた後に前記酵素基質の展開を抑制する、<1>〜<7>のいずれか1つに記載の分析方法である。
<9> 本発明の一態様は、前記展開層は、前記酵素基質の展開方向において、前記測定部の外側に前記酵素標識化物質と結合する物質が固定化されている参照部を更に備え、前記参照部まで前記酵素基質を展開させた後に前記酵素基質の展開を抑制する、<1>〜<8>のいずれか1つに記載の分析方法である。
<10> 本発明の一態様は、前記酵素基質は、前記酵素標識化物質中の前記酵素と反応して発色又は発光が生じる基質であり、前記測定部にて前記酵素基質と前記酵素標識化物質中の前記酵素とが反応して生じる発色又は発光の有無を検出することにより、前記サンプル中の前記被分析物質の有無を検出する<1>〜<9>のいずれか1つに記載の分析方法である。
<11> 本発明の一態様は、前記酵素標識化物質中の酵素は、パーオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ又はβ−D−ガラクトシダーゼである<1>〜<10>のいずれか1つに記載の分析方法である。
<12> 本発明の一態様は、前記酵素基質は、BCIP(5−ブロモ−4クロロ−3−インドリル−リン酸)又はその塩である<1>〜<11>のいずれか1つに記載の分析方法である。
<13> 本発明の一態様は、サンプル中に含まれ得る被分析物質を直接又は間接的に捕捉する捕捉物質が固定化されている測定部を備え、前記サンプル、前記被分析物質と複合体を形成する酵素標識化物質、及び前記酵素標識化物質中の酵素と反応する酵素基質が少なくとも展開される展開層と、前記展開層における前記酵素基質の展開を抑制する展開抑制部と、を備える分析用具。
<14> 前記複合体は、前記被分析物質と、前記酵素標識化物質と、前記測定部に固定化されている前記捕捉物質に捕捉される標識物質を有する物質とを含んで構成され、前記展開層は前記標識物質を有する物質が展開される層である、<13>に記載の分析用具。
<14> 前記複合体は、前記被分析物質と、前記酵素標識化物質と、前記測定部に固定化されている前記捕捉物質に捕捉される標識物質を有する物質とを含んで構成され、前記展開層は前記標識物質を有する物質が展開される層である、<13>に記載の分析用具。
本発明の一態様によれば、高感度に被分析物質を検出することが可能な分析方法及び分析用具を提供することができる。
以下、本発明の一態様の分析方法及び分析用具について説明する。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
〔分析方法〕
本発明の一態様の分析方法では、サンプル、及び前記サンプルに含まれ得る被分析物質と複合体を形成する酵素標識化物質を、前記被分析物質を直接又は間接的に捕捉する捕捉物質が固定化されている測定部を備える展開層に少なくとも展開させ、次に、前記酵素標識化物質中の酵素と反応する酵素基質を前記展開層に展開させてから前記酵素基質の展開を抑制し、前記測定部にて前記複合体における前記酵素標識化物質中の酵素と前記酵素基質との反応の有無を検出することにより、前記サンプル中の前記被分析物質の有無を検出する。
本発明の一態様の分析方法では、サンプル、及び前記サンプルに含まれ得る被分析物質と複合体を形成する酵素標識化物質を、前記被分析物質を直接又は間接的に捕捉する捕捉物質が固定化されている測定部を備える展開層に少なくとも展開させ、次に、前記酵素標識化物質中の酵素と反応する酵素基質を前記展開層に展開させてから前記酵素基質の展開を抑制し、前記測定部にて前記複合体における前記酵素標識化物質中の酵素と前記酵素基質との反応の有無を検出することにより、前記サンプル中の前記被分析物質の有無を検出する。
本態様の分析方法では、サンプル及び酵素標識化物質を展開層に展開させ、そして、展開層に酵素基質を展開させてから酵素基質の展開を抑制する。サンプル中に被分析物質が含まれる場合、展開層の測定部に固定化された捕捉物質が被分析物質を直接又は間接的に捕捉することで複合体(少なくとも被分析物質と酵素標識化物質とを含んで構成される複合体)を捕捉する。捕捉された複合体における酵素標識化物質中の酵素と酵素基質との反応の有無を検出することにより、サンプル中の被分析物質の有無を検出することが可能である。ここで、酵素標識化物質中の酵素と反応する酵素基質を展開層に展開させてから所定の時間経過後、好ましくは測定部まで酵素基質を展開させた後、酵素基質の展開を抑制する。これにより、本態様の分析方法では、酵素基質の展開を抑制せずにそのまま展開させ続けた場合と比較して、高感度に被分析物質を検出することが可能である。したがって、低濃度の被分析物質を検出することが可能となり、例えば、これまで検出が困難であった病原体の検出及びこれまで検出できなかった病原体の検出が可能となるため、感染症の発症初期で病原体を検出できることにより、早期の治療が可能となる。
酵素基質の展開を抑制せずにそのまま展開させ続けた場合、酵素基質の展開とともに測定部に捕捉されている複合体における酵素標識化物質と反応した酵素基質が測定部外に一部流れてしまい、測定部における被分析物質の検出感度が低下する。一方、本態様の分析方法では、酵素基質を展開層に展開させてから酵素基質の展開を抑制することで、測定部に捕捉されている複合体における酵素標識化物質と反応した酵素基質が測定部外に流れてしまうことが抑制され、その結果、測定部における被分析物質の検出感度の低下が抑制される。このため、本態様の分析方法にて高感度に被分析物質を検出することが可能であると考えられる。
(サンプル)
分析方法で用いるサンプル(検体)としては、特に制限されず、例えば、生体試料、食品等が挙げられる。サンプルは、被分析物質を含み得るもの、例えば、被分析物質が存在するか否か検査が必要なものであってもよく、液状であってもよく、固体状であってもよい。また、サンプルを緩衝液等に溶解、懸濁、分散等させてもよい。生体試料としては、例えば、喀痰、鼻腔吸引液、鼻腔洗浄液、鼻腔ぬぐい液、鼻汁、咽頭ぬぐい液、含漱液、唾液、全血、血清、血漿、汗、尿、細胞、糞便等が挙げられる。食品としては、例えば、動物、植物等の食物、加工食品等が挙げられる。
分析方法で用いるサンプル(検体)としては、特に制限されず、例えば、生体試料、食品等が挙げられる。サンプルは、被分析物質を含み得るもの、例えば、被分析物質が存在するか否か検査が必要なものであってもよく、液状であってもよく、固体状であってもよい。また、サンプルを緩衝液等に溶解、懸濁、分散等させてもよい。生体試料としては、例えば、喀痰、鼻腔吸引液、鼻腔洗浄液、鼻腔ぬぐい液、鼻汁、咽頭ぬぐい液、含漱液、唾液、全血、血清、血漿、汗、尿、細胞、糞便等が挙げられる。食品としては、例えば、動物、植物等の食物、加工食品等が挙げられる。
(被分析物質)
被分析物質は、本態様の分析方法における分析対象物であり、後述の酵素標識化物質と複合体を形成し、かつ、後述の測定部に固定化されている捕捉物質に直接又は間接的に捕捉されるものであれば特に制限されない。被分析物質としては、例えば、抗原が挙げられ、この場合、酵素標識化物質としては酵素標識抗体が挙げられる。
被分析物質は、本態様の分析方法における分析対象物であり、後述の酵素標識化物質と複合体を形成し、かつ、後述の測定部に固定化されている捕捉物質に直接又は間接的に捕捉されるものであれば特に制限されない。被分析物質としては、例えば、抗原が挙げられ、この場合、酵素標識化物質としては酵素標識抗体が挙げられる。
なお、被分析物質が捕捉物質に直接捕捉される構成としては、例えば、被分析物質が捕捉物質と結合する構成が挙げられる。また、被分析物質が捕捉物質に間接的に捕捉される構成としては、例えば、標識物質を有する物質を介して被分析物質が捕捉物質に捕捉される構成が挙げられる。被分析物質が捕捉物質に直接捕捉される構成では、複合体としては、例えば、被分析物質と酵素標識化物質とを含んで構成されるものが挙げられる。また、被分析物質が捕捉物質に間接的に捕捉される構成では、複合体としては、例えば、被分析物質と、酵素標識化物質と、標識物質を有する物質と、を含んで構成されるものが挙げられる。
被分析物質である抗原としては、特に制限されず、例えば、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、C型インフルエンザウイルス、アデノウイルス、RSウイルス、コロナウイルス、アストロウイルス、ノロウイルス、麻疹ウイルス、ロタウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV−1)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヘルペスウイルス、マイコプラズマ、梅毒トレポネーマ、クラミジア・トラコマチス、結核菌、大腸菌群、A群溶連菌、B群溶連菌、肺炎球菌、ブドウ球菌、MRSA、レジオネラ、腸管出血性大腸菌O157、ベロ毒素、サルモネラ、クロストリジウム・ディフィシル、ヘリコバクター・ピロリ、C反応性タンパク(CRP)、HBs抗原、HBs抗体、HBc抗原、HBc抗体、HBe抗原、HBe抗体、前立腺特異抗原(PSA)、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)、黄体形成ホルモン(LH)、トロポニンT、トロポニンI、ミオグロビン、D−ダイマー、便中ヘモグロビン、ヘモグロビンA1c、IgE抗体等の病原体抗原、抗体、癌マーカー、ホルモン等の生体成分、残留農薬、環境ホルモン、食品中のアレルギー物質等が挙げられる。
サンプルを緩衝液等に溶解、懸濁、分散等させてサンプル液としてもよく、サンプル液は、例えば、界面活性剤、抗菌剤、安定化剤等を含有していてもよい。緩衝液としては、特に制限されず、例えば、トリス緩衝液、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、ホウ酸緩衝液等が挙げられる。緩衝液のpHは、特に制限されず、例えば、4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9の範囲であることがより好ましい。界面活性剤としては、特に制限されず、例えば、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。抗菌剤としては、特に制限されず、例えば、アジ化ナトリウム、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。
(酵素標識化物質)
酵素標識化物質は、前述の被分析物質と複合体を形成し、かつ、好ましくは後述の参照部に固定化されている物質と結合するものであれば特に制限されない。酵素標識化物質としては、例えば、酵素標識した抗体である酵素標識抗体が挙げられ、この場合、被分析物質としては前述の抗原が挙げられる。酵素標識化物質が酵素標識抗体である場合、酵素標識抗体としては、例えば、前述の各種抗原等に対する抗体が挙げられ、抗原に応じて適宜設定できる。被分析物質が抗原であり、かつ、酵素標識化物質が酵素標識抗体である場合、抗原抗体反応により、抗原と酵素標識抗体とを含んで構成される複合体が形成される。
酵素標識化物質は、前述の被分析物質と複合体を形成し、かつ、好ましくは後述の参照部に固定化されている物質と結合するものであれば特に制限されない。酵素標識化物質としては、例えば、酵素標識した抗体である酵素標識抗体が挙げられ、この場合、被分析物質としては前述の抗原が挙げられる。酵素標識化物質が酵素標識抗体である場合、酵素標識抗体としては、例えば、前述の各種抗原等に対する抗体が挙げられ、抗原に応じて適宜設定できる。被分析物質が抗原であり、かつ、酵素標識化物質が酵素標識抗体である場合、抗原抗体反応により、抗原と酵素標識抗体とを含んで構成される複合体が形成される。
酵素標識抗体となる抗体としては、例えば、生体由来の抗体であってもよく、人工合成された抗体であってもよい。生体由来の抗体としては、例えば、免疫グロブリン(Ig)、抗体フラグメント、キメラ抗体等が挙げられる。免疫グロブリンとしては、例えば、IgG、IgA、IgM、IgE、IgD等が挙げられる。抗体フラグメントとしては、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2等が挙げられる。キメラ抗体としては、例えば、ヒト化抗体等が挙げられる。抗体は、例えば、マウス、ウサギ、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ等の哺乳動物、ニワトリ等の鳥類、ヒト等の動物種由来のものでもよく、特に制限されない。また、抗体としては、例えば、動物種由来の血清から、従来公知の方法により作製してもよく、あるいは市販の各種抗体を利用してもよく、特に制限されない。抗体としては、例えば、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体のいずれを用いてもよい。人工合成された抗体としては、例えば、アフィボディー等が挙げられる。
酵素標識化物質中の酵素、好ましくは酵素標識抗体中の酵素としては、特に制限されず、例えば、パーオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼ等が挙げられる。酵素標識抗体の調製方法は、特に制限されず、例えば、従来公知の方法を用いてもよい。
酵素標識化物質を緩衝液等に溶解、懸濁、分散等させた酵素標識液としてもよく、酵素標識液は、例えば、界面活性剤、抗菌剤、安定化剤等を含有していてもよい。緩衝液としては、特に制限されず、前述の緩衝液が挙げられる。
(捕捉物質)
捕捉物質は、前述の被分析物質、及び前述の被分析物質と前述の酵素標識化物質との複合体における被分析物質を直接又は間接的に捕捉する物質であり、後述の展開層における測定部に固定化されている。
捕捉物質は、前述の被分析物質、及び前述の被分析物質と前述の酵素標識化物質との複合体における被分析物質を直接又は間接的に捕捉する物質であり、後述の展開層における測定部に固定化されている。
捕捉物質としては、例えば、サンプル中に含まれ得る被分析物質が前述の抗原である場合、抗原と結合する抗体、アビジン、ストレプトアビジン等が挙げられる。抗原と結合する抗体としては、前述の各種抗原等に対して結合する抗体が挙げられ、例えば、前述の酵素標識抗体となる抗体として例示したものから適宜選択される。アビジン及びストレプトアビジンは、たんぱく質の一種であり、このとき、標識物質を有する物質としては、標識物質としてビオチンを有し、被分析物質と結合するビオチン標識物質が好ましい。被分析物質が抗原である場合、標識物質を有する物質としては、標識物質としてビオチンを有し、かつ抗原と結合するビオチン標識抗体であることが好ましい。
(標識物質を有する物質)
標識物質を有する物質は、測定部に固定化されている捕捉物質に捕捉される標識物質を含む物質であり、標識物質を介して捕捉物質に捕捉される。
標識物質を有する物質は、測定部に固定化されている捕捉物質に捕捉される標識物質を含む物質であり、標識物質を介して捕捉物質に捕捉される。
標識物質を有する物質としては、例えば、サンプル中に含まれ得る被分析物質が前述の抗原である場合、抗原と結合する標識抗体が挙げられる。本態様の分析方法において、標識物質を有する物質を用いる場合、複合体は、被分析物質と、酵素標識化物質と、標識物質を有する物質と、を含んで構成される。例えば、被分析物質が前述の抗原、酵素標識物質が前述の酵素標識抗体及び標識物質を有する物質が標識抗体の場合、抗原と酵素標識抗体とが結合し、かつ抗原と標識抗体とが結合することにより複合体が形成され、形成された複合体は標識物質を介して捕捉物質に捕捉される。
捕捉物質がアビジン、ストレプトアビジン等である場合、捕捉物質に捕捉される標識物質としては、アビジン、ストレプトアビジン等と高い親和性を有するビオチンが好ましい。
標識物質を有する物質を緩衝液等に溶解、懸濁、分散等させた標識液としてもよく、標識液は、例えば、界面活性剤、抗菌剤、安定化剤等を含有していてもよい。緩衝液としては、特に制限されず、前述の緩衝液が挙げられる。
(酵素基質)
酵素基質は、酵素標識化物質中の酵素と反応する基質であり、好ましくは、酵素標識化物質中の酵素と反応して発色又は発光が生じる基質である。後述するように、展開層に酵素基質を展開させることにより、測定部に捕捉された複合体における酵素標識化物質中の酵素と酵素基質とが反応するため、その反応を検出することで被分析物質の検出が可能となる。このとき、酵素基質が酵素標識化物質中の酵素と反応して発色又は発光が生じる基質であれば、その反応により得られる発色又は発光を検出することにより、被分析物質の検出がより容易に可能となる。発色又は発光の検出は、測定部の目視により行ってもよく、測定部の吸光度、反射率等を測定して行ってもよい。
酵素基質は、酵素標識化物質中の酵素と反応する基質であり、好ましくは、酵素標識化物質中の酵素と反応して発色又は発光が生じる基質である。後述するように、展開層に酵素基質を展開させることにより、測定部に捕捉された複合体における酵素標識化物質中の酵素と酵素基質とが反応するため、その反応を検出することで被分析物質の検出が可能となる。このとき、酵素基質が酵素標識化物質中の酵素と反応して発色又は発光が生じる基質であれば、その反応により得られる発色又は発光を検出することにより、被分析物質の検出がより容易に可能となる。発色又は発光の検出は、測定部の目視により行ってもよく、測定部の吸光度、反射率等を測定して行ってもよい。
酵素基質は、酵素標識化物質中の酵素と反応する基質であれば特に制限されず、例えば、2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)(ABTS)、3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジン(TMB)、ジアミノベンチジン(DAB)、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸(BCIP)、4−メチルウムベリフェニル−β−D−ガラクトシド(4MUG)、3−(2’−スピロアダマンタン)−4−メトキシ−4−(3’’−β−D−ガラクトピラノシル)フェニル−1,2−ジオキセタン(AMGPD)、これらの塩(好ましくは金属塩)等が挙げられる。中でも視認性に優れる点から、BCIP又はその塩が好ましい。
酵素基質を緩衝液等に溶解、懸濁、分散等させた基質液としてもよく、基質液は、例えば、界面活性剤、抗菌剤、安定化剤等を含有していてもよい。緩衝液としては、特に制限されず、前述の緩衝液が挙げられる。
(展開層)
展開層は、サンプル、酵素標識化物質、標識物質を有する物質、酵素基質等が展開される層であればよく、例えば、毛細管現象を奏する多孔質構造の層が挙げられる。展開層の形成材料としては、例えば、多孔質膜、粒状物質、微粒子粉末等が挙げられる。多孔質膜としては、例えば、セルロース膜、酢酸セルロース、ニトロセルロース等のセルロース誘導体膜、ガラスフィルター、濾紙等が挙げられる。粒状物質又は微粒子粉末としては、例えば、ポリマービーズ、ガラスビーズ、二酸化チタン、セルロース、塩類、疎水化多糖類等が挙げられる。なお、展開層は、形状を安定的に保つ観点から、支持体上に多孔質膜、粒状物質、微粒子粉末等が形成されたものであってもよい。支持体の材質としては、例えば、後述する支持基材の材質と同様である。
展開層は、サンプル、酵素標識化物質、標識物質を有する物質、酵素基質等が展開される層であればよく、例えば、毛細管現象を奏する多孔質構造の層が挙げられる。展開層の形成材料としては、例えば、多孔質膜、粒状物質、微粒子粉末等が挙げられる。多孔質膜としては、例えば、セルロース膜、酢酸セルロース、ニトロセルロース等のセルロース誘導体膜、ガラスフィルター、濾紙等が挙げられる。粒状物質又は微粒子粉末としては、例えば、ポリマービーズ、ガラスビーズ、二酸化チタン、セルロース、塩類、疎水化多糖類等が挙げられる。なお、展開層は、形状を安定的に保つ観点から、支持体上に多孔質膜、粒状物質、微粒子粉末等が形成されたものであってもよい。支持体の材質としては、例えば、後述する支持基材の材質と同様である。
(測定部)
展開層は測定部を備える。測定部には、被分析物質を直接又は間接的に捕捉する捕捉物質が固定化されており、固定化された捕捉物質が展開層に展開させた前述の複合体における被分析物質を直接又は間接的に捕捉することにより、測定部に複合体が捕捉される。また、展開層に酵素基質を展開させることにより、測定部に捕捉された複合体における酵素標識化物質中の酵素と、酵素基質と、が反応する。
展開層は測定部を備える。測定部には、被分析物質を直接又は間接的に捕捉する捕捉物質が固定化されており、固定化された捕捉物質が展開層に展開させた前述の複合体における被分析物質を直接又は間接的に捕捉することにより、測定部に複合体が捕捉される。また、展開層に酵素基質を展開させることにより、測定部に捕捉された複合体における酵素標識化物質中の酵素と、酵素基質と、が反応する。
測定部に捕捉物質、好ましくは前述の抗体、アビジン、ストレプトアビジン等を固定化する方法としては、例えば、塗布装置を用いて多孔質膜等の展開層に、前記捕捉物質、好ましくは前述の抗体、アビジン、ストレプトアビジン等を含む液を塗布し、乾燥機等により風乾させる方法等が挙げられる。
(支持基材)
展開層は、その形状を安定に保つ観点及び展開層と後述の吸収パッド(吸収部)とを接続させた状態で好適に保持する観点から、支持基材上に形成されていてもよい。支持基材の材質としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエステル、酢酸セルロース等が挙げられる。支持基材の形状としては、展開層を支持可能な形状であれば特に制限されず、例えば、フィルム状、シート状、板状等が挙げられる。支持基材上への展開層の形成は、例えば、両面テープ、接着剤等を用いて支持基材上に展開層を固定すればよい。
展開層は、その形状を安定に保つ観点及び展開層と後述の吸収パッド(吸収部)とを接続させた状態で好適に保持する観点から、支持基材上に形成されていてもよい。支持基材の材質としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエステル、酢酸セルロース等が挙げられる。支持基材の形状としては、展開層を支持可能な形状であれば特に制限されず、例えば、フィルム状、シート状、板状等が挙げられる。支持基材上への展開層の形成は、例えば、両面テープ、接着剤等を用いて支持基材上に展開層を固定すればよい。
また、サンプル、酵素標識化物質、標識物質を有する物質、これらの複合体、酵素基質が展開層に展開されることを促進する観点から、これらの展開方向における測定部の外側にて展開層と接触する吸収パッドが配置されていてもよい。また吸収パッドは、少なくとも一部が支持基材上に形成されていてもよい。また、例えば、両面テープ、接着剤を用いて、支持基材上に吸収パッドの少なくとも一部を固定してもよく、展開層と接触させて吸収パッドを固定してもよい。
吸収パッドの材質としては、特に制限されず、例えば、ポリエチレン、グラスファイバー、レーヨン、ナイロン、紙、セルロース等が挙げられる。吸収パッドの形状及び大きさは、特に制限されず、例えば、展開層の形状等に応じて適宜設定できる。
(分析方法の具体例1)
以下、本態様の分析方法の具体例1について、図1を用いて説明する。図1は、本発明の一態様の分析用具の断面図であり、(b)は本発明の一態様の分析用具の上面図である。分析方法の具体例1では、図1に示すように、測定部であるテストライン1aを備える展開層1、吸収パッド2及び支持基材3を備える分析用具10を用いる。以下では、被分析物質が抗原、酵素標識化物質が酵素標識抗体、及び捕捉物質が抗原と結合する抗体であり、サンプル中に抗原が含まれている場合について説明する。
以下、本態様の分析方法の具体例1について、図1を用いて説明する。図1は、本発明の一態様の分析用具の断面図であり、(b)は本発明の一態様の分析用具の上面図である。分析方法の具体例1では、図1に示すように、測定部であるテストライン1aを備える展開層1、吸収パッド2及び支持基材3を備える分析用具10を用いる。以下では、被分析物質が抗原、酵素標識化物質が酵素標識抗体、及び捕捉物質が抗原と結合する抗体であり、サンプル中に抗原が含まれている場合について説明する。
まず、サンプル中の抗原、及び抗原と複合体を形成する酵素標識抗体を、抗原と結合する抗体が固定化されているテストライン1aを備える展開層1に展開させる。例えば、抗原を含有するサンプル液、及び酵素標識抗体を含有する標識抗体液(酵素標識液)を展開層1に付与する場合、展開層1の展開方向(図1(b)の矢印X方向)において、サンプル液及び標識抗体液が付与される領域、テストライン1aならびに吸収パッド2がこの順となる、すなわち、サンプル液及び標識抗体液が付与される領域と吸収パッド2との間にテストライン1aが位置するように、サンプル液及び標識抗体液を付与すればよい。また、サンプル液及び標識抗体液を展開層1に付与する方法としては、例えば、サンプル液及び標識抗体液を展開層1に滴下、塗布等したり、サンプル液及び標識抗体液を展開層1に含浸させたりすればよい。展開層1に付与されたサンプル液及び標識抗体液は、毛細管現象により、テストライン1a及び吸収パッド2側に展開されるため、抗原及び酵素標識抗体もテストライン1a及び吸収パッド2側に展開される。
抗原及び酵素標識抗体は複合体を形成し、形成された複合体も吸収パッド2が配置されている側に展開される。展開層1に展開される抗原は、テストライン1aに固定化された抗体と結合する。そのため、展開層1に展開される抗原は、テストライン1aに固定化された抗体に捕捉され、展開層1に展開される複合体は、複合体における抗原を介してテストライン1aに固定化された抗体に捕捉される。また、展開層1に展開される酵素標識抗体は、テストライン1aに捕捉された抗原と複合体を形成し、その結果、複合体がテストライン1aに固定化された抗体に捕捉されることになってもよい。
なお、抗原を含有するサンプル液、及び酵素標識抗体を含有する標識抗体液を、展開層1に別々に付与する構成の代わりに、抗原を含有するサンプルと、酵素標識抗体とを混合した混合液を、展開層1に付与する構成であってもよい。
また、酵素標識抗体を含有する標識抗体液を展開層1に付与する代わりに、展開層1に酵素標識抗体が予め付与されていてもよい。これにより、抗原を含有するサンプル液を展開層1に付与することで展開される抗原と、予め付与された酵素標識抗体との複合体が展開層1にて捕捉される。このとき、酵素標識抗体は、展開層1において、サンプル液が付与される領域とテストライン1aとの間の少なくとも一部に予め付与されていればよい。
また、サンプル液を付与、好ましくは滴下するためのサンプルパッド及びサンプルパッドと展開層との間に酵素標識抗体が予め付与されたコンジュゲートパッドを更に備える分析用具を本態様の分析方法にて用いてもよい。例えば、サンプルパッドに抗原を含有するサンプル液を付与し、付与されたサンプル液中の抗原がサンプルパッドからコンジュゲートパッドに展開され、コンジュゲートパッドにてサンプル液中の抗原と酵素標識抗体との複合体が形成されてもよい。コンジュゲートパッドにて形成された複合体は、コンジュゲートパッドから展開層に展開され、展開層における測定部に固定された抗体に捕捉される。また、サンプルパッドを配置せずにコンジュゲートパッドにサンプル液を付与してもよい。
また、図1に示すように、分析用具10は、展開層1にてコントロールライン1b(参照部)を備えていてもよい。コントロールライン1bには、酵素標識抗体と結合する抗体(酵素標識化物質と結合する物質)が固定化されており、展開層1に展開される酵素標識抗体がコントロールライン1bに固定化された抗体と結合することにより、コントロールライン1bに酵素標識抗体が捕捉される。
酵素標識抗体と結合する抗体としては、一次抗体である酵素標識抗体に対する二次抗体が挙げられ、酵素標識抗体に応じて適宜選択される。
抗原を含有するサンプル及び酵素標識抗体を展開層1に展開させた後、酵素標識抗体中の酵素と反応する酵素基質は展開層1に展開される。例えば、酵素基質を含有する基質液を、展開層1のテストライン1a及び吸収パッド2側に展開させればよい。
展開層1に展開される酵素基質は、テストライン1aに捕捉された複合体における酵素標識抗体中の酵素と反応する。このとき、酵素標識抗体中の酵素と酵素基質との反応を検出することにより、サンプル中の抗原の検出が可能となる。酵素標識抗体中の酵素と反応して発色又は発光が生じる酵素基質を用いた場合、酵素標識抗体中の酵素と当該酵素基質との反応により得られる発色又は発光を検出することにより、サンプル中の抗原の検出がより容易に可能となる。
本態様の分析方法では、酵素基質を展開層1に展開させてから所定の時間経過後、好ましくはテストライン1aまで酵素基質を展開させた後、より好ましくはコントロールライン1bまで酵素基質を展開させた後に、酵素基質の展開を抑制する。これにより、酵素基質の展開を抑制せずにそのまま展開させ続けた場合と比較して、高感度に抗原を検出することが可能である。例えば、酵素標識抗体中の酵素と反応して発色又は発光が生じる酵素基質を用いた場合、酵素基質が展開された後に酵素基質の展開を抑制することで、テストライン1aにてより濃い発色又は発光を検出することができる。
ここで、酵素基質を展開層1に展開させる方法としては、展開層1に酵素基質を含有する基質液を付与する、例えば、基質液を滴下、塗布等したり、基質液を含浸させたりすればよい。酵素基質を含有する基質液を付与する代わりに、展開層1に酵素基質を予め付与し、酵素基質が予め付与された領域に前述の緩衝液等を含む展開液を供給する構成としてもよい。これにより、展開層1に予め付与された酵素基質に展開液を供給することにより、酵素基質を展開層1に展開させる。このとき、テストライン1aにて酵素標識抗体中の酵素と酵素基質との反応をより好適に検出する観点から、展開層1の展開方向において、酵素基質が予め付与されている領域、抗原を含有するサンプル液、酵素標識抗体を含有する標識抗体液等が付与される領域、テストライン1a及び吸収パッド2がこの順になるように、酵素基質が展開層1に予め付与されていることが好ましい。
酵素基質を展開層1に展開させてから所定の時間経過後に酵素基質の展開を抑制する方法としては、例えば、吸収パッド2を分析用具10から除去する、テストライン1aと吸収パッド2との間、好ましくは、コントロールライン1bと吸収パッド2との間に位置する領域1cに止水剤を付与する等の疎水化処理を施す、領域1cに疎水性の部材を配置する等の方法が挙げられる。
酵素基質を展開層1に展開させてから所定の時間経過後としては、酵素基質を展開層1に展開させてから、1分後〜5分後が好ましく、2分後〜4分後がより好ましく、2分後〜3分後が更に好ましい。なお、酵素基質の展開を抑制せずにそのまま展開させ続ける場合、通常は10分〜20分程度、酵素基質を展開層に展開させる。
(分析方法の具体例2)
以下、本態様の分析方法の具体例2について、図1を用いて説明する。以下では、被分析物質が抗原、酵素標識化物質が酵素標識抗体、標識物質を有する物質がビオチン標識抗体、及び捕捉物質がアビジン又はストレプトアビジン(以下、「アビジン等」とも称する。)であり、サンプル中に抗原が含まれている場合について説明する。なお、前述の分析方法の具体例1と共通する事項、例えば、酵素基質を展開層1に展開させる方法等についてはその詳細な説明を省略する。
以下、本態様の分析方法の具体例2について、図1を用いて説明する。以下では、被分析物質が抗原、酵素標識化物質が酵素標識抗体、標識物質を有する物質がビオチン標識抗体、及び捕捉物質がアビジン又はストレプトアビジン(以下、「アビジン等」とも称する。)であり、サンプル中に抗原が含まれている場合について説明する。なお、前述の分析方法の具体例1と共通する事項、例えば、酵素基質を展開層1に展開させる方法等についてはその詳細な説明を省略する。
まず、サンプル中の抗原、酵素標識抗体、及びビオチン標識抗体を、ビオチンと結合するアビジン等が固定化されているテストライン1aを備える展開層1に展開させる。例えば、ビオチン標識抗体を含有するビオチン標識抗体液、抗原を含有するサンプル液、及び酵素標識抗体を含有する標識抗体液をこの順番で展開層1に付与すればよい。ビオチン標識抗体液が付与される領域及びビオチン標識抗体液を展開層1に付与する方法としては、前述の分析方法の具体例1におけるサンプル液が付与される領域及びサンプル液を展開層1に付与する方法と同様である。
抗原、酵素標識抗体及びビオチン標識抗体は複合体を形成し、形成された複合体も吸収パッド2が配置されている側に展開される。展開層1に展開されるビオチン標識抗体は、ビオチンを介してテストライン1aに固定化されたアビジン等と結合する。そのため、展開層1に展開されるビオチン標識抗体は、テストライン1aに固定化されたアビジン等に捕捉され、展開層1に展開される複合体は、複合体におけるビオチン標識抗体を介してテストライン1aに固定化されたアビジン等に捕捉される。また、展開層1に展開される抗原はテストライン1aに捕捉されたビオチン標識抗体と結合し、かつ、展開層1に展開される酵素標識抗体はテストライン1aに間接的に捕捉された抗原と結合することにより複合体を形成し、その結果、複合体がテストライン1aに固定化されたアビジン等に捕捉されることになってもよい。
なお、ビオチン標識抗体を含有するビオチン標識抗体液、抗原を含有するサンプル液、及び酵素標識抗体を含有する標識抗体液を、展開層1に別々に付与する構成の代わりに、ビオチン標識抗体と、抗原を含有するサンプルと、酵素標識抗体とを混合した混合液を、展開層1に付与する構成であってもよい。
また、ビオチン標識抗体を含有するビオチン標識抗体液及び酵素標識抗体を含有する標識抗体液を展開層1に付与する代わりに、展開層1にビオチン標識抗体及び酵素標識抗体が予め付与されていてもよい。これにより、抗原を含有するサンプル液を展開層1に付与することで展開される抗原と、予め付与されたビオチン標識抗体及び酵素標識抗体と、の複合体が展開層1にて捕捉される。このとき、ビオチン標識抗体及び酵素標識抗体は、展開層1において、サンプル液が付与される領域とテストライン1aとの間の少なくとも一部に予め付与されていればよい。また、前述のコンジュゲートパッドにビオチン標識抗体及び酵素標識抗体が予め付与されていてもよい。
展開層1に展開される酵素基質は、テストライン1aに捕捉された複合体における酵素標識抗体中の酵素と反応する。このとき、酵素標識抗体中の酵素と酵素基質との反応を検出することにより、サンプル中の抗原の検出が可能となる。
〔分析用具〕
本発明の一態様の分析用具は、サンプル中に含まれ得る被分析物質を直接又は間接的に捕捉する捕捉物質が固定化されている測定部を備え、前記サンプル、前記被分析物質と複合体を形成する酵素標識化物質、及び前記酵素標識化物質中の酵素と反応する酵素基質が少なくとも展開される展開層と、前記展開層における前記酵素基質の展開を抑制する展開抑制部と、を備える。なお、本態様の分析用具では、前述の本態様の分析方法と共通する事項についてはその説明を省略する。
本発明の一態様の分析用具は、サンプル中に含まれ得る被分析物質を直接又は間接的に捕捉する捕捉物質が固定化されている測定部を備え、前記サンプル、前記被分析物質と複合体を形成する酵素標識化物質、及び前記酵素標識化物質中の酵素と反応する酵素基質が少なくとも展開される展開層と、前記展開層における前記酵素基質の展開を抑制する展開抑制部と、を備える。なお、本態様の分析用具では、前述の本態様の分析方法と共通する事項についてはその説明を省略する。
本態様の分析用具は、酵素基質を展開層に展開させた後、展開層における酵素基質の展開を抑制する展開抑制部を備える。これにより、本態様の分析方法と同様、酵素標識化物質中の酵素と反応する酵素基質を展開層に展開させてから所定の時間経過後、好ましくは測定部、例えばテストラインまで酵素基質を展開させた後に、酵素基質の展開を抑制することができる。これにより、本態様の分析用具では、酵素基質の展開を抑制せずにそのまま展開させ続けた場合と比較して、高感度に被分析物質を検出することが可能である。
分析用具は、サンプル、酵素標識化物質、これらの複合体及び酵素基質が展開層に展開されることを促進する観点から、これらの展開方向における測定部の外側にて展開層と接触する吸収部が配置されていてもよい。吸収部としては前述の吸収パッドが挙げられる。
分析用具は、展開層における酵素基質の展開を抑制する展開抑制部を備える。展開抑制部の具体的な構成としては、分析用具が展開層と接触する吸収部を備える場合、展開層と吸収部との接触を解除する構成、例えば、吸収部を展開層から取り外す構成、展開層と吸収部が接触している部位を切断する構成、展開層と吸収部が接触している領域近傍にて展開層又は吸収部を切断する構成等が挙げられる。
また、展開抑制部の具体的な構成としては、測定部と吸収部との間、好ましくは参照部と吸収部との間に位置する領域に、止水剤を付与する構成、疎水性の部材を配置する構成等が挙げられる。
さらに、分析用具は、サンプルが付与(好ましくは滴下)されるサンプル付与部を備えていてもよく、サンプル付与部と展開層との間に酵素標識化物質が予め付与され、酵素標識化物質を含有する標識化物質含有部を備えていてもよい。分析用具では、例えば、展開層の展開方向において、サンプル付与部、標識化物質含有部、展開層の測定部、及び吸収部がこの順になるように配置されていることが好ましい。例えば、サンプル付与部としては前述のサンプルパッド、標識化物質含有部としては前述のコンジュゲートパッドが挙げられる。なお、標識化物質含有部にサンプルを付与する構成、すなわち、標識化物質含有部がサンプル付与部を兼ねていてもよい。
標識化物質含有部を配置する代わりに、展開層に酵素標識化物質が予め付与されていてもよい。このとき、酵素標識化物質は、分析用具において、サンプルが付与される領域と測定部との間の少なくとも一部に予め付与されていればよい。
さらに、分析用具は、展開層に酵素基質が予め付与されていてもよく、酵素基質が予め付与させた領域に前述の緩衝液等を含む展開液を供給する展開液供給部を備えていてもよい。測定部にて酵素標識化物質中の酵素と酵素基質との反応をより好適に検出する観点から、展開層の展開方向において、酵素基質が予め付与されている領域、サンプル液、酵素標識抗体を含有する標識抗体液等が付与される領域、測定部及び吸収部がこの順になるように、酵素基質が展開層に予め付与されていることが好ましい。
分析用具は、サンプル、酵素標識化物質、これらの複合体及び酵素基質の展開方向において、展開層は、測定部の外側に参照部、例えばコントロールラインを備えていてもよい。例えば、分析用具が吸収部を備える場合、測定部と吸収部との間に参照部が位置する。参照部には、酵素標識化物質と結合する物質が固定化されている。なお、参照部は、例えば、測定部の内側に位置していてもよい。
また、分析用具の展開層は、前述の分析方法にて用いる展開層と同様、標識物質を有する物質が展開される層であってもよい。このとき、被分析物質は標識物質を有する物質を介して捕捉物質に捕捉され、かつ、捕捉物質に捕捉される複合体は、被分析物質と、酵素標識化物質と、標識物質を有する物質と、を含んで構成されることになる。
分析用具は、サンプル付与部と展開層との間に標識物質を有する物質が予め付与され、標識物質を有する物質を含有する物質含有部を備えていてもよい。物質含有部を配置する代わりに、展開層に標識物質を有する物質が予め付与されていてもよい。
次に、本発明の一態様を以下の実施例に基づき説明するが、本発明は実施例に制限されるものではない。
〔実施例1〕
まず、テストラインとして抗CRPポリクローナル抗体(DAKO社製)、及びコントロールラインとして抗マウスIgGポリクローナル抗体(イムノプローブ社製)をライン状に塗布したニトロセルロース膜を準備した。準備したニトロセルロース膜及び吸収パッド(GEヘルスケア・ジャパン社製 CF6)を支持基材上に貼り付けて試験片を作製した。
まず、テストラインとして抗CRPポリクローナル抗体(DAKO社製)、及びコントロールラインとして抗マウスIgGポリクローナル抗体(イムノプローブ社製)をライン状に塗布したニトロセルロース膜を準備した。準備したニトロセルロース膜及び吸収パッド(GEヘルスケア・ジャパン社製 CF6)を支持基材上に貼り付けて試験片を作製した。
実施例1にて用いる各種反応試薬は以下の通りである。
サンプル液:CRP抗原 0ng/mL、3ng/mL(BSA1質量%含有PBS、BSA:ウシ血清アルブミン、PBS:リン酸緩衝生理食塩水)Capricorn社製 C-reactive protein antigen
ALP(アルカリホスファターゼ)標識抗CRPモノクローナル抗体:イムノプローブ社製CRPマウスモノクローナル抗体と同仁化学研究所製Alkaline Phosphatase Labeling Kit-SHとを用いて調製を行った。調製した酵素標識抗体は以下の希釈液で希釈し、標識抗体液とした。
希釈液:50mM Tris-HCl(pH7.4)、0.9質量% NaCl、0.05質量% BSA、1mM MgCl2、0.5mM ZnCl2
BCIP(酵素基質):5-Bromo-4-chloro-3-indolyl phosphate disodium salt(Bio Vectra社製)が1mg/mLになるように以下の希釈液で希釈し、基質液とした。
希釈液:100mM CAPSO-NaOH(pH10.3)、1mM MgCl2、0.005質量% Triton X-100
サンプル液:CRP抗原 0ng/mL、3ng/mL(BSA1質量%含有PBS、BSA:ウシ血清アルブミン、PBS:リン酸緩衝生理食塩水)Capricorn社製 C-reactive protein antigen
ALP(アルカリホスファターゼ)標識抗CRPモノクローナル抗体:イムノプローブ社製CRPマウスモノクローナル抗体と同仁化学研究所製Alkaline Phosphatase Labeling Kit-SHとを用いて調製を行った。調製した酵素標識抗体は以下の希釈液で希釈し、標識抗体液とした。
希釈液:50mM Tris-HCl(pH7.4)、0.9質量% NaCl、0.05質量% BSA、1mM MgCl2、0.5mM ZnCl2
BCIP(酵素基質):5-Bromo-4-chloro-3-indolyl phosphate disodium salt(Bio Vectra社製)が1mg/mLになるように以下の希釈液で希釈し、基質液とした。
希釈液:100mM CAPSO-NaOH(pH10.3)、1mM MgCl2、0.005質量% Triton X-100
実施例1での反応手順は以下の通りである。
(1)まず、75μLのサンプル液を容器に分注し、容器内のサンプル液に試験片を10分間浸漬し、サンプル液をニトロセルロース膜に展開させた。
(2)次に、75μLの標識抗体液を別の新しい容器に分注し、容器内の標識抗体液に試験片を10分間浸漬し、標識抗体液をニトロセルロース膜に展開させた。
(3)次に、75μLの基質液を別の新しい容器に分注し、容器内の基質液に試験片を2分又は4分浸漬し、基質液をニトロセルロース膜に展開させた。
(4)容器内の基質液に試験片を2分又は4分浸漬した後に容器から試験片を抜き出し、吸収パッドを除去した状態で8分又は6分静置し、目視でテストラインの濃さを観察した。
結果を図2、3に示す。
(1)まず、75μLのサンプル液を容器に分注し、容器内のサンプル液に試験片を10分間浸漬し、サンプル液をニトロセルロース膜に展開させた。
(2)次に、75μLの標識抗体液を別の新しい容器に分注し、容器内の標識抗体液に試験片を10分間浸漬し、標識抗体液をニトロセルロース膜に展開させた。
(3)次に、75μLの基質液を別の新しい容器に分注し、容器内の基質液に試験片を2分又は4分浸漬し、基質液をニトロセルロース膜に展開させた。
(4)容器内の基質液に試験片を2分又は4分浸漬した後に容器から試験片を抜き出し、吸収パッドを除去した状態で8分又は6分静置し、目視でテストラインの濃さを観察した。
結果を図2、3に示す。
〔比較例1〕
実施例1と同様の試験片及び同様の反応試薬を用いた。比較例1での反応手順としては、実施例1の反応手順における(3)及び(4)を下記(3’)に変更したこと以外は実施例1と同様である。
(3’)75μLの基質液を別の新しい容器に分注し、容器内の基質液に試験片を10分浸漬し、基質液をニトロセルロース膜に展開させた。その後、目視でテストラインの濃さを観察した。
結果を図2、3に示す。
実施例1と同様の試験片及び同様の反応試薬を用いた。比較例1での反応手順としては、実施例1の反応手順における(3)及び(4)を下記(3’)に変更したこと以外は実施例1と同様である。
(3’)75μLの基質液を別の新しい容器に分注し、容器内の基質液に試験片を10分浸漬し、基質液をニトロセルロース膜に展開させた。その後、目視でテストラインの濃さを観察した。
結果を図2、3に示す。
図2に示すように、CRP抗原 0ng/mLのサンプル液を用いた場合、実施例1及び比較例1にてテストラインに目視可能なラインが出現しなかった。一方、CRP抗原 3ng/mLのサンプル液を用いた場合、図3に示すように、実施例1及び比較例1ではテストラインに目視可能なラインが出現した。ここで、比較例1で得られたテストラインの濃さに比較して、実施例1で得られたテストラインの色は明らかに濃く、より高感度で被分析物質であるCRP抗原を検出できた。
〔実施例2〕
テストラインに抗MPT64マウスモノクローナル抗体(BMRI社製)、及びコントロールラインに抗マウスIgGポリクローナル抗体(イムノプローブ社製)をライン状に塗布したニトロセルロース膜を準備した。そして、実施例1と同様にして試験片を作製した。
テストラインに抗MPT64マウスモノクローナル抗体(BMRI社製)、及びコントロールラインに抗マウスIgGポリクローナル抗体(イムノプローブ社製)をライン状に塗布したニトロセルロース膜を準備した。そして、実施例1と同様にして試験片を作製した。
実施例2にて用いる各種反応試薬は以下の通りである。
サンプル液:MPT64抗原 0ng/mL、1ng/mL、5ng/mL、10ng/mL(BSA1質量%含有PBS)BMRI社製リコンビナント
ALP標識抗MPT64モノクローナル抗体:BMRI社製抗MPT64モノクローナル抗体と同仁化学研究所製Alkaline Phosphatase Labeling Kit-SHを用いて調製を行った。調製した酵素標識抗体は以下の希釈液で希釈し、標識抗体液とした。
希釈液: 50mM Tris-HCl(pH7.4)、0.9質量% NaCl、0.05質量% BSA、1mM MgCl2、0.5mM ZnCl2
BCIP(酵素基質):5-Bromo-4-chloro-3-indolyl phosphate disodium salt(Bio Vectra社製)が1mg/mLになるように以下の希釈液で希釈し、基質液とした。
希釈液:100mM CAPSO-NaOH(pH10.3)、1mM MgCl2、0.005質量% Triton X-100
サンプル液:MPT64抗原 0ng/mL、1ng/mL、5ng/mL、10ng/mL(BSA1質量%含有PBS)BMRI社製リコンビナント
ALP標識抗MPT64モノクローナル抗体:BMRI社製抗MPT64モノクローナル抗体と同仁化学研究所製Alkaline Phosphatase Labeling Kit-SHを用いて調製を行った。調製した酵素標識抗体は以下の希釈液で希釈し、標識抗体液とした。
希釈液: 50mM Tris-HCl(pH7.4)、0.9質量% NaCl、0.05質量% BSA、1mM MgCl2、0.5mM ZnCl2
BCIP(酵素基質):5-Bromo-4-chloro-3-indolyl phosphate disodium salt(Bio Vectra社製)が1mg/mLになるように以下の希釈液で希釈し、基質液とした。
希釈液:100mM CAPSO-NaOH(pH10.3)、1mM MgCl2、0.005質量% Triton X-100
実施例2での反応手順は以下の通りである。
(1)まず、75μLのサンプル液を容器に分注し、容器内のサンプル液に試験片を10分間浸漬し、サンプル液をニトロセルロース膜に展開させた。
(2)次に、75μLの標識抗体液を別の新しい容器に分注し、容器内の標識抗体液に試験片を10分間浸漬し、標識抗体液をニトロセルロース膜に展開させた。
(3)次に、75μLの基質液を別の新しい容器に分注し、容器内の基質液に試験片を2分浸漬し、基質液をニトロセルロース膜に展開させた。
(4)容器内の基質液に試験片を2分浸漬した後に容器から試験片を抜き出し、吸収パッドを除去した状態で8分静置し、目視でテストラインの濃さを観察した。そのあと速やかにスポットケムIL(SL−4720、アークレイ社製)でテストラインの反射率を測定した。
結果を図5に示す。
(1)まず、75μLのサンプル液を容器に分注し、容器内のサンプル液に試験片を10分間浸漬し、サンプル液をニトロセルロース膜に展開させた。
(2)次に、75μLの標識抗体液を別の新しい容器に分注し、容器内の標識抗体液に試験片を10分間浸漬し、標識抗体液をニトロセルロース膜に展開させた。
(3)次に、75μLの基質液を別の新しい容器に分注し、容器内の基質液に試験片を2分浸漬し、基質液をニトロセルロース膜に展開させた。
(4)容器内の基質液に試験片を2分浸漬した後に容器から試験片を抜き出し、吸収パッドを除去した状態で8分静置し、目視でテストラインの濃さを観察した。そのあと速やかにスポットケムIL(SL−4720、アークレイ社製)でテストラインの反射率を測定した。
結果を図5に示す。
〔比較例2〕
実施例2と同様の試験片及び同様の反応試薬を用いた。比較例2での反応手順としては、実施例2の反応手順における(3)及び(4)を下記(3’)に変更したこと以外は実施例2と同様である。
(3’)75μLの基質液を別の新しい容器に分注し、容器内の基質液に試験片を10分浸漬し、基質液をニトロセルロース膜に展開させた。その後、目視でテストラインの濃さを観察した。そのあと速やかにスポットケムIL(SL−4720、アークレイ社製)でテストラインの反射率を測定した。
結果を図4に示す。
実施例2と同様の試験片及び同様の反応試薬を用いた。比較例2での反応手順としては、実施例2の反応手順における(3)及び(4)を下記(3’)に変更したこと以外は実施例2と同様である。
(3’)75μLの基質液を別の新しい容器に分注し、容器内の基質液に試験片を10分浸漬し、基質液をニトロセルロース膜に展開させた。その後、目視でテストラインの濃さを観察した。そのあと速やかにスポットケムIL(SL−4720、アークレイ社製)でテストラインの反射率を測定した。
結果を図4に示す。
図4、5に示すように、MPT64抗原 1ng/mL、5ng/mL、10ng/mLのサンプル液を用いた場合、実施例2及び比較例2ではテストラインに目視可能なラインが出現した。ここで、比較例2で得られたテストラインの濃さに比較して、実施例2で得られたテストラインの色は濃く、また、図6に示すように、実施例2では比較例2よりもテストラインの反射率が低く、より濃く発色していることが示された。したがって、実施例2では、より高感度で被分析物質であるMPT64抗原を検出できた。
1 展開層
1a テストライン(測定部)
1b コントロールライン(参照部)
1c 領域
2 吸収パッド(吸収部)
3 支持基材
10 分析用具
1a テストライン(測定部)
1b コントロールライン(参照部)
1c 領域
2 吸収パッド(吸収部)
3 支持基材
10 分析用具
Claims (14)
- サンプル、及び前記サンプル中に含まれ得る被分析物質と複合体を形成する酵素標識化物質を、前記被分析物質を直接又は間接的に捕捉する捕捉物質が固定化されている測定部を備える展開層に少なくとも展開させ、
次に、前記酵素標識化物質中の酵素と反応する酵素基質を前記展開層に展開させてから前記酵素基質の展開を抑制し、
前記測定部にて前記複合体における前記酵素標識化物質中の酵素と前記酵素基質との反応の有無を検出することにより、前記サンプル中の前記被分析物質の有無を検出する分析方法。 - 前記複合体は、前記被分析物質と、前記酵素標識化物質と、前記測定部に固定化されている前記捕捉物質に捕捉される標識物質を有する物質と、を含んで構成され、
前記酵素基質を前記展開層に展開させる前に、前記標識物質を有する物質を前記展開層に展開させる、請求項1に記載の分析方法。 - 前記標識物質はビオチンである、請求項2に記載の分析方法。
- 前記被分析物質は抗原であり、
前記酵素標識化物質は酵素標識抗体であり、
前記標識物質を有する物質は標識抗体である、請求項2又は請求項3に記載の分析方法。 - 前記捕捉物質はアビジン又はストレプトアビジンである、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の分析方法。
- 前記複合体は、前記被分析物質と前記酵素標識化物質とを含んで構成され、
前記捕捉物質は前記被分析物質と結合する物質である、請求項1に記載の分析方法。 - 前記被分析物質は抗原であり、
前記酵素標識化物質は酵素標識抗体であり、
前記捕捉物質は抗体である、請求項6に記載の分析方法。 - 少なくとも前記測定部まで前記酵素基質を展開させた後に前記酵素基質の展開を抑制する、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の分析方法。
- 前記展開層は、前記酵素基質の展開方向において、前記測定部の外側に前記酵素標識化物質と結合する物質が固定化されている参照部を更に備え、
前記参照部まで前記酵素基質を展開させた後に前記酵素基質の展開を抑制する、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の分析方法。 - 前記酵素基質は、前記酵素標識化物質中の前記酵素と反応して発色又は発光が生じる基質であり、
前記測定部にて前記酵素基質と前記酵素標識化物質中の前記酵素とが反応して生じる発色又は発光の有無を検出することにより、前記サンプル中の前記被分析物質の有無を検出する請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の分析方法。 - 前記酵素標識化物質中の酵素は、パーオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ又はβ−D−ガラクトシダーゼである請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の分析方法。
- 前記酵素基質は、BCIP(5−ブロモ−4クロロ−3−インドリル−リン酸)又はその塩である請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の分析方法。
- サンプル中に含まれ得る被分析物質を直接又は間接的に捕捉する捕捉物質が固定化されている測定部を備え、前記サンプル、前記被分析物質と複合体を形成する酵素標識化物質、及び前記酵素標識化物質中の酵素と反応する酵素基質が少なくとも展開される展開層と、
前記展開層における前記酵素基質の展開を抑制する展開抑制部と、
を備える分析用具。 - 前記複合体は、前記被分析物質と、前記酵素標識化物質と、前記測定部に固定化されている前記捕捉物質に捕捉される標識物質を有する物質とを含んで構成され、
前記展開層は前記標識物質を有する物質が展開される層である、請求項13に記載の分析用具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016233887A JP2018091678A (ja) | 2016-12-01 | 2016-12-01 | 分析方法及び分析用具 |
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JP2016233887A JP2018091678A (ja) | 2016-12-01 | 2016-12-01 | 分析方法及び分析用具 |
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JP (1) | JP2018091678A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020003477A (ja) * | 2019-05-09 | 2020-01-09 | 株式会社ニチレイバイオサイエンス | メンブランシートのブロッキング方法 |
JP2020003315A (ja) * | 2018-06-27 | 2020-01-09 | 株式会社ニチレイバイオサイエンス | メンブランシートのブロッキング方法 |
-
2016
- 2016-12-01 JP JP2016233887A patent/JP2018091678A/ja active Pending
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JP2020003315A (ja) * | 2018-06-27 | 2020-01-09 | 株式会社ニチレイバイオサイエンス | メンブランシートのブロッキング方法 |
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