JP2018091679A - 分析用具及び分析方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】被分析物質を高感度で検出することが可能な分析用具及び分析方法を提供する。
【解決手段】サンプル中に含まれ得る被分析物質直接又は間接的に捕捉する捕捉物質が固定化されている測定部を備え、前記サンプル、前記被分析物質と複合体を形成する酵素標識化物質、及び前記酵素標識化物質中の酵素と反応する酵素基質が少なくとも展開される展開層と、水分と接触することで発熱反応が生じる発熱性物質を含有し、前記発熱性物質が水分と接触することで発生した熱により少なくとも前記測定部を加熱する発熱部と、を備え、前記サンプル中の前記被分析物質の有無を検出する分析用具
【選択図】図1
【解決手段】サンプル中に含まれ得る被分析物質直接又は間接的に捕捉する捕捉物質が固定化されている測定部を備え、前記サンプル、前記被分析物質と複合体を形成する酵素標識化物質、及び前記酵素標識化物質中の酵素と反応する酵素基質が少なくとも展開される展開層と、水分と接触することで発熱反応が生じる発熱性物質を含有し、前記発熱性物質が水分と接触することで発生した熱により少なくとも前記測定部を加熱する発熱部と、を備え、前記サンプル中の前記被分析物質の有無を検出する分析用具
【選択図】図1
Description
本発明は、分析用具及び分析方法に関する。
従来から、例えば、感染症の診断等において、細菌、ウイルス等の病原体の抗原を、免疫反応を利用して検出する検体分析用具が普及している。検体分析用具では、簡便かつ迅速に、定量分析、半定量分析、定性分析等が可能なことから、イムノクロマト法が用いられている。イムノクロマト法は、例えば、妊娠診断薬、感染症のインフルエンザウイルス検出等に応用されている。
例えば、酵素標識した抗体又は抗原を用いて検体中の抗原又は抗体を測定するイムノクロマト法(免疫クロマトグラフィーを用いた測定方法)及び検体分析用具が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
イムノクロマト法の原理としては、例えば以下の通りである。まず、試験片(展開層)を構成するニトロセルロース膜に検出目的の抗原と結合する抗体をライン状に予め塗布しておき、抗原を含有する検体及び酵素標識抗体をニトロセルロース膜に展開させる。ニトロセルロース膜に展開される抗原及び酵素標識抗体は複合体を形成し、形成された複合体は抗原を介してライン上の抗体と結合することにより、酵素標識抗体を含む複合体がライン上に捕捉される。次に、酵素基質を含有する基質液を展開させることで、酵素基質と酵素標識抗体とが反応し、ラインに発色が出現する。基質液をニトロセルロース膜に通常約10分〜20分展開させると、ラインの発色は徐々に強くなる。
特許文献1、2に記載のイムノクロマト法は、例えば、感染症の抗原検出に応用されている。感染症では発症初期の抗原量が少ない状態により測定法の検出限界以下になることで偽陰性が発生し、患者の見逃しに繋がることがある。また、抗原量の少ない検査項目では感度が足りず、イムノクロマト法を応用できない項目もある。したがって、抗原等の被分析物質を高感度で検出することが可能な分析用具及び分析方法(イムノクロマト法)が望まれている。
本発明は、被分析物質を高感度で検出することが可能な分析用具及び分析方法を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するための具体的な手段は、以下の通りである。
<1> 本発明の一態様は、サンプル中に含まれ得る被分析物質を直接又は間接的に捕捉する捕捉物質が固定化されている測定部を備え、前記サンプル、前記被分析物質と複合体を形成する酵素標識化物質、及び前記酵素標識化物質中の酵素と反応する酵素基質が少なくとも展開される展開層と、水分と接触することで発熱反応が生じる発熱性物質を含有し、前記発熱性物質が水分と接触することで発生した熱により少なくとも前記測定部を加熱する発熱部と、を備え、前記サンプル中の前記被分析物質の有無を検出する分析用具である。
<2> 本発明の一態様は、前記発熱性物質が、塩化カルシウム、酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、塩化バリウム、塩化鉄(III)、硫酸銅及び炭酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも一つである<1>に記載の分析用具である。
<3> 本発明の一態様は、少なくとも前記測定部を覆うことにより前記発熱部にて生じた熱の放熱を抑制する放熱抑制部を更に備える<1>又は<2>に記載の分析用具である。
<4> 本発明の一態様は、前記発熱部における単位面積当たりの前記発熱性物質の含有量は、50mg/cm2〜150mg/cm2である<1>〜<3>のいずれか1つに記載の分析用具である。
<1> 本発明の一態様は、サンプル中に含まれ得る被分析物質を直接又は間接的に捕捉する捕捉物質が固定化されている測定部を備え、前記サンプル、前記被分析物質と複合体を形成する酵素標識化物質、及び前記酵素標識化物質中の酵素と反応する酵素基質が少なくとも展開される展開層と、水分と接触することで発熱反応が生じる発熱性物質を含有し、前記発熱性物質が水分と接触することで発生した熱により少なくとも前記測定部を加熱する発熱部と、を備え、前記サンプル中の前記被分析物質の有無を検出する分析用具である。
<2> 本発明の一態様は、前記発熱性物質が、塩化カルシウム、酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、塩化バリウム、塩化鉄(III)、硫酸銅及び炭酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも一つである<1>に記載の分析用具である。
<3> 本発明の一態様は、少なくとも前記測定部を覆うことにより前記発熱部にて生じた熱の放熱を抑制する放熱抑制部を更に備える<1>又は<2>に記載の分析用具である。
<4> 本発明の一態様は、前記発熱部における単位面積当たりの前記発熱性物質の含有量は、50mg/cm2〜150mg/cm2である<1>〜<3>のいずれか1つに記載の分析用具である。
<5> 本発明の一態様は、サンプル、前記サンプル中に含まれ得る被分析物質と複合体を形成する酵素標識化物質、及び前記酵素標識化物質中の酵素と反応する酵素基質を、前記被分析物質を直接又は間接的に捕捉する捕捉物質が固定化されている測定部を備える展開層に少なくとも展開させるときに、水分と接触することで発熱反応が生じる発熱性物質を水分と接触させることにより熱を発生させて少なくとも前記測定部を加熱し、前記サンプル中の前記被分析物質の有無を検出する分析方法である。
<6> 本発明の一態様は、前記複合体は、前記被分析物質と、前記酵素標識化物質と、前記測定部に固定化されている前記捕捉物質に捕捉される標識物質を有する物質と、を含んで構成され、前記標識物質を有する物質を前記展開層に展開させる、<5>に記載の分析方法である。
<7> 本発明の一態様は、前記標識物質はビオチンである、<6>に記載の分析方法である。
<8> 本発明の一態様は、前記被分析物質は抗原であり、前記酵素標識化物質は酵素標識抗体であり、前記標識物質を有する物質は標識抗体である、<6>又は<7>に記載の分析方法である。
<9> 本発明の一態様は、前記捕捉物質はアビジン又はストレプトアビジンである、<5>〜<8>のいずれか1つに記載の分析方法である。
<10> 本発明の一態様は、前記複合体は、前記被分析物質と前記酵素標識化物質とを含んで構成され、前記捕捉物質は前記被分析物質と結合する物質である、<5>に記載の分析方法である。
<11> 本発明の一態様は、前記被分析物質は抗原であり、前記酵素標識化物質は酵素標識抗体であり、前記捕捉物質は抗体である、<10>に記載の分析方法である。
<12> 本発明の一態様は、前記酵素基質は、前記酵素標識化物質中の前記酵素と反応して発色又は発光が生じる基質であり、前記測定部にて前記酵素基質と前記酵素標識化物質中の前記酵素とが反応して生じる発色又は発光の有無を検出することにより、前記サンプル中の前記被分析物質の有無を検出する<5>〜<11>のいずれか1つに記載の分析方法である。
<13> 本発明の一態様は、前記酵素標識化物質中の酵素は、パーオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ又はβ−D−ガラクトシダーゼである<5>〜<12>のいずれか1つに記載の分析方法である。
<14> 本発明の一態様は、前記酵素基質は、BCIP(5-Bromo-4-chloro-3-indolyl phosphate)又はその塩である<5>〜<13>のいずれか1つに記載の分析方法である。
<6> 本発明の一態様は、前記複合体は、前記被分析物質と、前記酵素標識化物質と、前記測定部に固定化されている前記捕捉物質に捕捉される標識物質を有する物質と、を含んで構成され、前記標識物質を有する物質を前記展開層に展開させる、<5>に記載の分析方法である。
<7> 本発明の一態様は、前記標識物質はビオチンである、<6>に記載の分析方法である。
<8> 本発明の一態様は、前記被分析物質は抗原であり、前記酵素標識化物質は酵素標識抗体であり、前記標識物質を有する物質は標識抗体である、<6>又は<7>に記載の分析方法である。
<9> 本発明の一態様は、前記捕捉物質はアビジン又はストレプトアビジンである、<5>〜<8>のいずれか1つに記載の分析方法である。
<10> 本発明の一態様は、前記複合体は、前記被分析物質と前記酵素標識化物質とを含んで構成され、前記捕捉物質は前記被分析物質と結合する物質である、<5>に記載の分析方法である。
<11> 本発明の一態様は、前記被分析物質は抗原であり、前記酵素標識化物質は酵素標識抗体であり、前記捕捉物質は抗体である、<10>に記載の分析方法である。
<12> 本発明の一態様は、前記酵素基質は、前記酵素標識化物質中の前記酵素と反応して発色又は発光が生じる基質であり、前記測定部にて前記酵素基質と前記酵素標識化物質中の前記酵素とが反応して生じる発色又は発光の有無を検出することにより、前記サンプル中の前記被分析物質の有無を検出する<5>〜<11>のいずれか1つに記載の分析方法である。
<13> 本発明の一態様は、前記酵素標識化物質中の酵素は、パーオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ又はβ−D−ガラクトシダーゼである<5>〜<12>のいずれか1つに記載の分析方法である。
<14> 本発明の一態様は、前記酵素基質は、BCIP(5-Bromo-4-chloro-3-indolyl phosphate)又はその塩である<5>〜<13>のいずれか1つに記載の分析方法である。
本発明の一態様によれば、被分析物質を高感度で検出することが可能な分析用具及び分析方法を提供することができる。
以下、本発明の一態様の分析用具及び分析方法について図1を用いて説明する。図1は、本発明の一態様の分析用具の断面図であり、(b)は本発明の一態様の分析用具の上面図である。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
〔分析用具〕
本態様の分析用具10は、サンプル中に含まれ得る被分析物質を直接又は間接的に捕捉する捕捉物質が固定化されているテストライン1a(測定部)を備え、前記サンプル、前記被分析物質と複合体を形成する酵素標識化物質、及び前記酵素標識化物質中の酵素と反応する酵素基質が少なくとも展開される展開層1と、水分と接触することで発熱反応が生じる発熱性物質を含有し、前記発熱性物質が水分と接触することで発生した熱により少なくともテストライン1aを加熱する発熱パッド4(発熱部)と、を備え、これにより、前記サンプル中の前記被分析物質の有無を検出するものである。また、分析用具10は、図1に示すように、展開層1及び発熱パッド4以外に、吸収パッド2(吸収部)、支持基材3、サンプルパッド5(サンプル付与部)及び透明フィルム6を備えていてもよい。
本態様の分析用具10は、サンプル中に含まれ得る被分析物質を直接又は間接的に捕捉する捕捉物質が固定化されているテストライン1a(測定部)を備え、前記サンプル、前記被分析物質と複合体を形成する酵素標識化物質、及び前記酵素標識化物質中の酵素と反応する酵素基質が少なくとも展開される展開層1と、水分と接触することで発熱反応が生じる発熱性物質を含有し、前記発熱性物質が水分と接触することで発生した熱により少なくともテストライン1aを加熱する発熱パッド4(発熱部)と、を備え、これにより、前記サンプル中の前記被分析物質の有無を検出するものである。また、分析用具10は、図1に示すように、展開層1及び発熱パッド4以外に、吸収パッド2(吸収部)、支持基材3、サンプルパッド5(サンプル付与部)及び透明フィルム6を備えていてもよい。
本態様の分析用具10では、サンプル、酵素標識化物質及び酵素基質が展開層1に少なくとも展開される。サンプル中に被分析物質が含まれる場合、展開層1のテストライン1aに固定化された捕捉物質が被分析物質を直接又は間接的に捕捉することで複合体(少なくとも被分析物質と酵素標識化物質とを含んで構成される複合体)を捕捉する。捕捉された複合体における酵素標識化物質中の酵素と酵素基質との反応の有無を検出することにより、サンプル中の被分析物質の有無を検出することが可能である。ここで、分析用具10は、少なくともテストライン1aを加熱する発熱パッド4を備えており、サンプル、酵素標識化物質及び酵素基質を展開層1に展開させるとき、発熱パッド4に含有される発熱性物質が例えば空気中の水分と接触することで熱が発生する。発生した熱により、少なくともテストライン1aが加熱されるため、抗原等の被分析物質と酵素標識抗体等の酵素標識化物質との反応性及び酵素標識化物質中の酵素と酵素基質との反応性の少なくとも一方を向上させることができ、その結果、被分析物質を高感度で検出することが可能となる。したがって、低濃度の被分析物質を検出することが可能となり、例えば、これまで検出が困難であった病原体の検出及びこれまで検出できなかった病原体の検出が可能となるため、感染症の発症初期で病原体を検出できることにより、早期の治療が可能となる。
さらに、本態様の分析用具10では、水分との接触、例えば、空気中の水分との接触により熱を発生させる発熱性物質を含有する発熱パッド4を、少なくともテストライン1aを加熱する熱源として用いている。そのため、熱源としてヒータ等の加熱手段を採用した場合と比較して、分析用具の構成を小型化及び簡略化することができる。また、発熱性物質を発熱パッド4に含有させ、発熱パッド4と展開層1とを別々に設けることにより、サンプル、酵素標識化物質及び酵素基質を展開層1に少なくとも展開させるとき、これらと発熱性物質との混在が抑制される。このため、抗原等の被分析物質と酵素標識抗体等の酵素標識化物質との反応が阻害されること、及び酵素標識化物質中の酵素と酵素基質との反応が阻害されることが抑制される。
以下、本態様で用いるサンプル、酵素標識化物質、酵素基質等、及び本態様の分析用具における各構成について説明する。
(サンプル)
分析用具で用いるサンプル(検体)としては、特に制限されず、例えば、生体試料、食品等が挙げられる。サンプルは、被分析物質を含み得るもの、例えば、被分析物質が存在するか否か検査が必要なものであってもよく、液状であってもよく、固体状であってもよい。また、サンプルを緩衝液等に溶解、懸濁、分散等させてもよい。生体試料としては、例えば、喀痰、鼻腔吸引液、鼻腔洗浄液、鼻腔ぬぐい液、鼻汁、咽頭ぬぐい液、含漱液、唾液、全血、血清、血漿、汗、尿、細胞、糞便等が挙げられる。食品としては、例えば、動物、植物等の食物、加工食品等が挙げられる。
分析用具で用いるサンプル(検体)としては、特に制限されず、例えば、生体試料、食品等が挙げられる。サンプルは、被分析物質を含み得るもの、例えば、被分析物質が存在するか否か検査が必要なものであってもよく、液状であってもよく、固体状であってもよい。また、サンプルを緩衝液等に溶解、懸濁、分散等させてもよい。生体試料としては、例えば、喀痰、鼻腔吸引液、鼻腔洗浄液、鼻腔ぬぐい液、鼻汁、咽頭ぬぐい液、含漱液、唾液、全血、血清、血漿、汗、尿、細胞、糞便等が挙げられる。食品としては、例えば、動物、植物等の食物、加工食品等が挙げられる。
(被分析物質)
被分析物質は、分析用具10における分析対象物であり、後述の酵素標識化物質と複合体を形成し、かつ、テストライン1aに固定化されている捕捉物質に直接又は間接的に捕捉されるものであれば特に制限されない。被分析物質としては、例えば、抗原が挙げられ、この場合、酵素標識化物質としては酵素標識抗体が挙げられる。
被分析物質は、分析用具10における分析対象物であり、後述の酵素標識化物質と複合体を形成し、かつ、テストライン1aに固定化されている捕捉物質に直接又は間接的に捕捉されるものであれば特に制限されない。被分析物質としては、例えば、抗原が挙げられ、この場合、酵素標識化物質としては酵素標識抗体が挙げられる。
なお、被分析物質が捕捉物質に直接捕捉される構成としては、例えば、被分析物質が捕捉物質と結合する構成が挙げられる。また、被分析物質が捕捉物質に間接的に捕捉される構成としては、例えば、標識物質を有する物質を介して被分析物質が捕捉物質に捕捉される構成が挙げられる。被分析物質が捕捉物質に直接捕捉される構成では、複合体としては、例えば、被分析物質と酵素標識化物質とを含んで構成されるものが挙げられる。また、被分析物質が捕捉物質に間接的に捕捉される構成では、複合体としては、例えば、被分析物質と、酵素標識化物質と、標識物質を有する物質と、を含んで構成されるものが挙げられる。
被分析物質である抗原としては、特に制限されず、例えば、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、C型インフルエンザウイルス、アデノウイルス、RSウイルス、コロナウイルス、アストロウイルス、ノロウイルス、麻疹ウイルス、ロタウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV−1)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヘルペスウイルス、マイコプラズマ、梅毒トレポネーマ、クラミジア・トラコマチス、結核菌、大腸菌群、A群溶連菌、B群溶連菌、肺炎球菌、ブドウ球菌、MRSA、レジオネラ、腸管出血性大腸菌O157、ベロ毒素、サルモネラ、クロストリジウム・ディフィシル、ヘリコバクター・ピロリ、C反応性タンパク(CRP)、HBs抗原、HBs抗体、HBc抗原、HBc抗体、HBe抗原、HBe抗体、前立腺特異抗原(PSA)、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)、黄体形成ホルモン(LH)、トロポニンT、トロポニンI、ミオグロビン、D−ダイマー、便中ヘモグロビン、ヘモグロビンA1c、IgE抗体等の病原体抗原、抗体、癌マーカー、ホルモン等の生体成分、残留農薬、環境ホルモン、食品中のアレルギー物質等が挙げられる。
サンプルを緩衝液等に溶解、懸濁、分散等させてサンプル液としてもよく、サンプル液は、例えば、界面活性剤、抗菌剤、安定化剤等を含有していてもよい。緩衝液としては、特に制限されず、例えば、トリス緩衝液、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、ホウ酸緩衝液等が挙げられる。緩衝液のpHは、特に制限されず、例えば、4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9の範囲であることがより好ましい。界面活性剤としては、特に制限されず、例えば、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。抗菌剤としては、特に制限されず、例えば、アジ化ナトリウム、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。
(酵素標識化物質)
酵素標識化物質は、前述の被分析物質と複合体を形成し、かつ、好ましくは後述の参照部であるコントロールライン1bに固定化されている物質と結合するものであれば特に制限されない。酵素標識化物質としては、例えば、酵素標識した抗体である酵素標識抗体が挙げられ、この場合、被分析物質としては前述の抗原が挙げられる。酵素標識化物質が酵素標識抗体である場合、酵素標識抗体としては、例えば、前述の各種抗原等に対する抗体が挙げられ、抗原に応じて適宜設定できる。被分析物質が抗原であり、かつ、酵素標識化物質が酵素標識抗体である場合、抗原抗体反応により、抗原と酵素標識抗体とを含んで構成される複合体が形成される。
酵素標識化物質は、前述の被分析物質と複合体を形成し、かつ、好ましくは後述の参照部であるコントロールライン1bに固定化されている物質と結合するものであれば特に制限されない。酵素標識化物質としては、例えば、酵素標識した抗体である酵素標識抗体が挙げられ、この場合、被分析物質としては前述の抗原が挙げられる。酵素標識化物質が酵素標識抗体である場合、酵素標識抗体としては、例えば、前述の各種抗原等に対する抗体が挙げられ、抗原に応じて適宜設定できる。被分析物質が抗原であり、かつ、酵素標識化物質が酵素標識抗体である場合、抗原抗体反応により、抗原と酵素標識抗体とを含んで構成される複合体が形成される。
酵素標識抗体となる抗体としては、例えば、生体由来の抗体であってもよく、人工合成された抗体であってもよい。生体由来の抗体としては、例えば、免疫グロブリン(Ig)、抗体フラグメント、キメラ抗体等が挙げられる。免疫グロブリンとしては、例えば、IgG、IgA、IgM、IgE、IgD等が挙げられる。抗体フラグメントとしては、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2等が挙げられる。キメラ抗体としては、例えば、ヒト化抗体等が挙げられる。抗体は、例えば、マウス、ウサギ、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ等の哺乳動物、ニワトリ等の鳥類、ヒト等の動物種由来のものでもよく、特に制限されない。また、抗体としては、例えば、動物種由来の血清から、従来公知の方法により作製してもよく、あるいは市販の各種抗体を利用してもよく、特に制限されない。抗体としては、例えば、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体のいずれを用いてもよい。人工合成された抗体としては、例えば、アフィボディー等が挙げられる。
酵素標識化物質中の酵素、好ましくは酵素標識抗体中の酵素としては、特に制限されず、例えば、パーオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼ等が挙げられる。酵素標識抗体の調製方法は、特に制限されず、例えば、従来公知の方法を用いてもよい。
酵素標識化物質を緩衝液等に溶解、懸濁、分散等させた標識液としてもよく、標識液は、例えば、界面活性剤、抗菌剤、安定化剤等を含有していてもよい。緩衝液としては、特に制限されず、前述の緩衝液が挙げられる。
(捕捉物質)
捕捉物質は、前述の被分析物質、及び前述の被分析物質と前述の酵素標識化物質との複合体における被分析物質を直接又は間接的に捕捉する物質であり、展開層1におけるテストライン1aに固定化されている。
捕捉物質は、前述の被分析物質、及び前述の被分析物質と前述の酵素標識化物質との複合体における被分析物質を直接又は間接的に捕捉する物質であり、展開層1におけるテストライン1aに固定化されている。
捕捉物質としては、例えば、サンプル中に含まれ得る被分析物質が前述の抗原である場合、抗原と結合する抗体、アビジン、ストレプトアビジン等が挙げられる。抗原と結合する抗体としては、前述の各種抗原等に対して結合する抗体が挙げられ、例えば、前述の酵素標識抗体となる抗体として例示したものから適宜選択される。アビジン及びストレプトアビジンは、たんぱく質の一種であり、このとき、標識物質を有する物質としては、標識物質としてビオチンを有し、被分析物質と結合するビオチン標識物質が好ましい。被分析物質が抗原である場合、標識物質を有する物質としては、標識物質としてビオチンを有し、かつ抗原と結合するビオチン標識抗体であることが好ましい。
(標識物質を有する物質)
標識物質を有する物質は、測定部に固定化されている捕捉物質に捕捉される標識物質を含む物質であり、標識物質を介して捕捉物質に捕捉される。
標識物質を有する物質は、測定部に固定化されている捕捉物質に捕捉される標識物質を含む物質であり、標識物質を介して捕捉物質に捕捉される。
標識物質を有する物質としては、例えば、サンプル中に含まれ得る被分析物質が前述の抗原である場合、抗原と結合する標識抗体が挙げられる。本態様の分析用具及び後述する本態様の分析方法において、標識物質を有する物質を用いる場合、複合体は、被分析物質と、酵素標識化物質と、標識物質を有する物質と、を含んで構成される。例えば、被分析物質が前述の抗原、酵素標識物質が前述の酵素標識抗体及び標識物質を有する物質が標識抗体の場合、抗原と酵素標識抗体とが結合し、かつ抗原と標識抗体とが結合することにより複合体が形成され、形成された複合体は標識物質を介して捕捉物質に捕捉される。
捕捉物質がアビジン、ストレプトアビジン等である場合、捕捉物質に捕捉される標識物質としては、アビジン、ストレプトアビジン等と高い親和性を有するビオチンが好ましい。
標識物質を有する物質を緩衝液等に溶解、懸濁、分散等させた標識液としてもよく、標識液は、例えば、界面活性剤、抗菌剤、安定化剤等を含有していてもよい。緩衝液としては、特に制限されず、前述の緩衝液が挙げられる。
(酵素基質)
酵素基質は、酵素標識化物質中の酵素と反応する基質であり、好ましくは、酵素標識化物質中の酵素と反応して発色又は発光が生じる基質である。後述するように、展開層1に酵素基質を展開させることにより、テストライン1aに捕捉された複合体における酵素標識化物質中の酵素と酵素基質とが反応するため、その反応を検出することで被分析物質の検出が可能となる。このとき、酵素基質が酵素標識化物質中の酵素と反応して発色又は発光が生じる基質であれば、その反応により得られる発色又は発光を検出することにより、被分析物質の検出がより容易に可能となる。発色又は発光の検出は、テストライン1aの目視により行ってもよく、テストライン1aの吸光度、反射率等を測定して行ってもよい。
酵素基質は、酵素標識化物質中の酵素と反応する基質であり、好ましくは、酵素標識化物質中の酵素と反応して発色又は発光が生じる基質である。後述するように、展開層1に酵素基質を展開させることにより、テストライン1aに捕捉された複合体における酵素標識化物質中の酵素と酵素基質とが反応するため、その反応を検出することで被分析物質の検出が可能となる。このとき、酵素基質が酵素標識化物質中の酵素と反応して発色又は発光が生じる基質であれば、その反応により得られる発色又は発光を検出することにより、被分析物質の検出がより容易に可能となる。発色又は発光の検出は、テストライン1aの目視により行ってもよく、テストライン1aの吸光度、反射率等を測定して行ってもよい。
酵素基質は、酵素標識化物質中の酵素と反応する基質であれば特に制限されず、例えば、2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)(ABTS)、3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジン(TMB)、ジアミノベンチジン(DAB)、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸(BCIP)、4−メチルウムベリフェニル−β−D−ガラクトシド(4MUG)、3−(2’−スピロアダマンタン)−4−メトキシ−4−(3’’−β−D−ガラクトピラノシル)フェニル−1,2−ジオキセタン(AMGPD)、これらの塩(好ましくは金属塩)等が挙げられる。中でも視認性に優れる点から、BCIP又はその塩が好ましい。
酵素基質を緩衝液等に溶解、懸濁、分散等させた基質液としてもよく、基質液は、例えば、界面活性剤、抗菌剤、安定化剤等を含有していてもよい。緩衝液としては、特に制限されず、前述の緩衝液が挙げられる。
(展開層)
展開層1は、サンプル、酵素標識化物質、標識物質を有する物質、酵素基質等が展開される層であればよく、例えば、毛細管現象を奏する多孔質構造の層が挙げられる。展開層1の形成材料としては、例えば、多孔質膜、粒状物質、微粒子粉末等が挙げられる。多孔質膜としては、例えば、セルロース膜、酢酸セルロース、ニトロセルロース等のセルロース誘導体膜、ガラスフィルター、濾紙等が挙げられる。粒状物質又は微粒子粉末としては、例えば、ポリマービーズ、ガラスビーズ、二酸化チタン、セルロース、塩類、疎水化多糖類等が挙げられる。なお、展開層は、形状を安定的に保つ観点から、支持体上に多孔質膜、粒状物質、微粒子粉末等が形成されたものであってもよい。支持体の材質としては、例えば、後述する支持基材の材質と同様である。
展開層1は、サンプル、酵素標識化物質、標識物質を有する物質、酵素基質等が展開される層であればよく、例えば、毛細管現象を奏する多孔質構造の層が挙げられる。展開層1の形成材料としては、例えば、多孔質膜、粒状物質、微粒子粉末等が挙げられる。多孔質膜としては、例えば、セルロース膜、酢酸セルロース、ニトロセルロース等のセルロース誘導体膜、ガラスフィルター、濾紙等が挙げられる。粒状物質又は微粒子粉末としては、例えば、ポリマービーズ、ガラスビーズ、二酸化チタン、セルロース、塩類、疎水化多糖類等が挙げられる。なお、展開層は、形状を安定的に保つ観点から、支持体上に多孔質膜、粒状物質、微粒子粉末等が形成されたものであってもよい。支持体の材質としては、例えば、後述する支持基材の材質と同様である。
(測定部)
展開層1は測定部としてテストライン1aを備える。テストライン1aには、被分析物質を直接又は間接的に捕捉する捕捉物質が固定化されており、固定化された捕捉物質が展開層1に展開させた前述の複合体における被分析物質を直接又は間接的に捕捉することにより、テストライン1aに複合体が捕捉される。また、展開層1に酵素基質を展開させることにより、テストライン1aに捕捉された複合体における酵素標識化物質中の酵素と、酵素基質と、が反応する。
展開層1は測定部としてテストライン1aを備える。テストライン1aには、被分析物質を直接又は間接的に捕捉する捕捉物質が固定化されており、固定化された捕捉物質が展開層1に展開させた前述の複合体における被分析物質を直接又は間接的に捕捉することにより、テストライン1aに複合体が捕捉される。また、展開層1に酵素基質を展開させることにより、テストライン1aに捕捉された複合体における酵素標識化物質中の酵素と、酵素基質と、が反応する。
測定部に捕捉物質、好ましくは前述の抗体、アビジン、ストレプトアビジン等を固定化する方法としては、例えば、塗布装置を用いて多孔質膜等の展開層に、前記捕捉物質、好ましくは前述の抗体、アビジン、ストレプトアビジン等を含む液を塗布し、乾燥機等により風乾させる方法等が挙げられる。
(発熱部)
発熱部は、水分と接触することで発熱反応が生じる発熱性物質を含有し、発熱性物質が水分と接触することで発生した熱により少なくとも測定部を加熱するものであればよく、例えば、発熱性物質を含有する発熱パッドが挙げられる。
発熱部は、水分と接触することで発熱反応が生じる発熱性物質を含有し、発熱性物質が水分と接触することで発生した熱により少なくとも測定部を加熱するものであればよく、例えば、発熱性物質を含有する発熱パッドが挙げられる。
本態様の分析用具において、少なくとも展開層における測定部を加熱できる位置であれば、発熱部の配置場所は特に限定されない。例えば、展開層1におけるテストライン1aと対面する位置に発熱パッド4を配置することが好ましく、多孔質膜、粒状物質、微粒子粉末等とそれを支持する支持体とから構成される展開層1では、当該支持体と接触するように発熱パッド4を配置することが好ましい。
また、被分析物質と酵素標識化物質との反応性及び酵素標識化物質中の酵素と酵素基質との反応性の少なくとも一方をより向上させる点から、発熱部は展開層を加熱する構成が好ましく、発熱部は展開層及びサンプル付与部(例えば、サンプルパッド)を加熱する構成がより好ましい。
発熱性物質としては、水分と接触することで発熱反応が生じる物質であれば特に限定されず、例えば、塩化カルシウム、酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、塩化バリウム、塩化鉄(III)、硫酸銅、炭酸ナトリウム等が挙げられ、発熱性に優れる点から、塩化カルシウムが好ましい。また、発熱性物質としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
発熱部における単位面積当たりの発熱性物質の含有量は、被分析物質と酵素標識化物質との反応性及び酵素標識化物質中の酵素と酵素基質との反応性の少なくとも一方を好適に向上させる観点から、50mg/cm2〜150mg/cm2であることが好ましく、70mg/cm2〜130mg/cm2であることがより好ましく、80mg/cm2〜120mg/cm2であることがさらに好ましい。
(支持基材)
図1に示すように、展開層1は、その形状を安定に保つ観点及び展開層1と吸収パッド2とを接続させた状態で好適に保持する観点から、支持基材3上に形成されていてもよい。支持基材の材質としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエステル、酢酸セルロース等が挙げられる。支持基材の形状としては、展開層を支持可能な形状であれば特に制限されず、例えば、フィルム状、シート状、板状等が挙げられる。支持基材3上への展開層1の形成は、例えば、両面テープ、接着剤等を用いて支持基材3上に展開層1を固定すればよい。
図1に示すように、展開層1は、その形状を安定に保つ観点及び展開層1と吸収パッド2とを接続させた状態で好適に保持する観点から、支持基材3上に形成されていてもよい。支持基材の材質としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエステル、酢酸セルロース等が挙げられる。支持基材の形状としては、展開層を支持可能な形状であれば特に制限されず、例えば、フィルム状、シート状、板状等が挙げられる。支持基材3上への展開層1の形成は、例えば、両面テープ、接着剤等を用いて支持基材3上に展開層1を固定すればよい。
(吸収部)
また、図1に示すように、サンプル、酵素標識化物質、標識物質を有する物質、これらの複合体、酵素基質が展開層1に展開されることを促進する観点から、これらの展開方向におけるテストライン1aの外側にて展開層1と接触する吸収パッド2(吸収部)が配置されていてもよい。また吸収パッド2は、少なくとも一部が支持基材3上に形成されていてもよい。また、例えば、両面テープ、接着剤を用いて、支持基材3上に吸収パッド2の少なくとも一部を固定してもよく、展開層1と接触させて吸収パッド2を固定してもよい。
また、図1に示すように、サンプル、酵素標識化物質、標識物質を有する物質、これらの複合体、酵素基質が展開層1に展開されることを促進する観点から、これらの展開方向におけるテストライン1aの外側にて展開層1と接触する吸収パッド2(吸収部)が配置されていてもよい。また吸収パッド2は、少なくとも一部が支持基材3上に形成されていてもよい。また、例えば、両面テープ、接着剤を用いて、支持基材3上に吸収パッド2の少なくとも一部を固定してもよく、展開層1と接触させて吸収パッド2を固定してもよい。
吸収部の材質としては、特に制限されず、例えば、ポリエチレン、グラスファイバー、レーヨン、ナイロン、紙、セルロース等が挙げられる。吸収部の形状及び大きさは、特に制限されず、例えば、展開層の形状等に応じて適宜設定できる。
(参照部)
図1に示すように、分析用具10は、展開層1にてコントロールライン1b(参照部)を備えていてもよい。コントロールライン1bには、酵素標識化物質と結合する物質が固定化されており、展開層1に展開される酵素標識化物質がコントロールライン1bに固定化された物質と結合することにより、コントロールライン1bに酵素標識化物質が捕捉される。コントロールライン1bは、展開層1の展開方向において、一例として、テストライン1aの外側に配置されており、テストライン1aと吸収パッド2との間にコントロールライン1bが位置する。なお、コントロールラインは、例えば、テストラインの内側に位置していてもよい。
図1に示すように、分析用具10は、展開層1にてコントロールライン1b(参照部)を備えていてもよい。コントロールライン1bには、酵素標識化物質と結合する物質が固定化されており、展開層1に展開される酵素標識化物質がコントロールライン1bに固定化された物質と結合することにより、コントロールライン1bに酵素標識化物質が捕捉される。コントロールライン1bは、展開層1の展開方向において、一例として、テストライン1aの外側に配置されており、テストライン1aと吸収パッド2との間にコントロールライン1bが位置する。なお、コントロールラインは、例えば、テストラインの内側に位置していてもよい。
酵素標識化物質と結合する物質としては、酵素標識抗体と結合する抗体が挙げられる。酵素標識抗体と結合する抗体としては、一次抗体である酵素標識抗体に対する二次抗体が挙げられ、酵素標識抗体に応じて適宜選択される。
(サンプル付与部)
図1に示すように、分析用具10は、サンプルが付与(好ましくは滴下)されるサンプルパッド5(サンプル付与部)を備えていてもよい。サンプルパッド5は、展開層1の長手方向において、吸収パッド2が展開層1と接触するように配置されている側とは反対側にて展開層1と接触するように配置されていればよい。また、サンプルパッド5は、展開層1の展開方向において、サンプルパッド5、テストライン1a、及び吸収パッド2がこの順番となるように配置されていることが好ましい。これにより、サンプルパッド5に付与されたサンプルは、サンプルパッド5から展開層1に展開される。サンプルパッド5は、サンプルの他、酵素標識化物質、標識物質を有する物質、酵素基質等が付与されてもよい。
図1に示すように、分析用具10は、サンプルが付与(好ましくは滴下)されるサンプルパッド5(サンプル付与部)を備えていてもよい。サンプルパッド5は、展開層1の長手方向において、吸収パッド2が展開層1と接触するように配置されている側とは反対側にて展開層1と接触するように配置されていればよい。また、サンプルパッド5は、展開層1の展開方向において、サンプルパッド5、テストライン1a、及び吸収パッド2がこの順番となるように配置されていることが好ましい。これにより、サンプルパッド5に付与されたサンプルは、サンプルパッド5から展開層1に展開される。サンプルパッド5は、サンプルの他、酵素標識化物質、標識物質を有する物質、酵素基質等が付与されてもよい。
また、分析用具10は、サンプルパッド5と展開層1との間に、酵素標識化物質が予め付与され、酵素標識化物質を含有する標識化物質含有部を備えていてもよい。分析用具10では、例えば、展開層1の展開方向において、サンプルパッド5、標識化物質含有部、テストライン1a、及び吸収パッド2がこの順になるように配置されていてもよい。例えば、標識化物質含有部としてはコンジュゲートパッドが挙げられる。また、サンプルパッド5に酵素標識化物質が予め付与されている構成、すなわち、サンプルパッド5が標識化物質含有部を兼ねていてもよい。
標識化物質含有部を分析用具10に配置する代わりに、展開層1に酵素標識化物質が予め付与されていてもよい。このとき、酵素標識化物質は、サンプルが付与されるサンプルパッド5とテストライン1aとの間の少なくとも一部に予め付与されていればよい。
また、分析用具の展開層が標識物質を有する物質が展開される層である場合、被分析物質は標識物質を有する物質を介して捕捉物質に捕捉され、かつ、捕捉物質に捕捉される複合体は、被分析物質と、酵素標識化物質と、標識物質を有する物質と、を含んで構成されることになる。この場合、分析用具は、サンプル付与部と展開層との間に標識物質を有する物質が予め付与され、標識物質を有する物質を含有する物質含有部を備えていてもよい。例えば、標識化物質含有部としてはコンジュゲートパッドが挙げられる。また、物質含有部を配置する代わりに、展開層に標識物質を有する物質が予め付与されていてもよい。
さらに、分析用具10は、展開層1に酵素基質を供給する構成を有していてもよく、例えば、酵素基質を含有する酵素基質含有部及び前述の緩衝液等を含む展開液を酵素基質含有部に供給する展開液供給部を備えていてもよい。展開層1の展開方向において、展開液供給部、酵素基質含有部、サンプルパッド5、テストライン1a及び吸収パッド2がこの順に各構成が配置されていてもよい。これにより、酵素基質含有部に供給された展開液により、酵素基質がサンプルパッド5からテストライン1a側に展開され、テストライン1aにて酵素標識化物質中の酵素と酵素基質との反応を好適に検出することができる。
(放熱抑制部)
図1に示すように、分析用具10は、少なくともテストライン1aを覆うことにより発熱パッド4にて生じた熱の放熱を抑制する透明フィルム6(放熱抑制部)を備えていてもよい。透明フィルム6は、発熱パッド4にて生じた熱の放熱をより抑制する点から、発熱パッド4と対面し、かつ展開層1を覆うように配置されていることが好ましい。透明フィルム6は、展開層1を保護する保護フィルムとしても機能しうる。
図1に示すように、分析用具10は、少なくともテストライン1aを覆うことにより発熱パッド4にて生じた熱の放熱を抑制する透明フィルム6(放熱抑制部)を備えていてもよい。透明フィルム6は、発熱パッド4にて生じた熱の放熱をより抑制する点から、発熱パッド4と対面し、かつ展開層1を覆うように配置されていることが好ましい。透明フィルム6は、展開層1を保護する保護フィルムとしても機能しうる。
放熱抑制部の材質としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリカーボネート、酢酸セルロース等が挙げられる。
〔分析方法〕
以下、本態様の分析方法について説明する。本態様の分析方法は、サンプル、前記サンプル中に含まれ得る被分析物質と複合体を形成する酵素標識化物質、及び前記酵素標識化物質中の酵素と反応する酵素基質を、前記被分析物質を直接又は間接的に捕捉する捕捉物質が固定化されている測定部を備える展開層に少なくとも展開させるときに、水分と接触することで発熱反応が生じる発熱性物質を水分と接触させることにより熱を発生させて少なくとも前記測定部を加熱し、前記サンプル中の前記被分析物質の有無を検出する方法である。
以下、本態様の分析方法について説明する。本態様の分析方法は、サンプル、前記サンプル中に含まれ得る被分析物質と複合体を形成する酵素標識化物質、及び前記酵素標識化物質中の酵素と反応する酵素基質を、前記被分析物質を直接又は間接的に捕捉する捕捉物質が固定化されている測定部を備える展開層に少なくとも展開させるときに、水分と接触することで発熱反応が生じる発熱性物質を水分と接触させることにより熱を発生させて少なくとも前記測定部を加熱し、前記サンプル中の前記被分析物質の有無を検出する方法である。
本態様の分析方法では、サンプル、酵素標識化物質及び酵素基質を展開層に少なくとも展開させるとき、発熱性物質が例えば空気中の水分と接触することで熱が発生する。発生した熱により、少なくとも展開層の測定部が加熱されるため、抗原等の被分析物質と酵素標識抗体等の酵素標識化物質との反応性及び酵素標識化物質中の酵素と酵素基質との反応性の少なくとも一方を向上させることができ、その結果、被分析物質を高感度で検出することが可能となる。また、本態様の分析方法では、例えば、発熱性物質を空気中の水分と接触させることで熱が発生するため、別途水分を発熱性物質に供給しなくてもよい。
<分析方法の具体例1>
以下では、前述の本態様の分析用具10を用いた分析方法の具体例1について説明する。また、被分析物質が抗原、酵素標識化物質が酵素標識抗体、及び被分析物質を直接又は間接的に捕捉する捕捉物質が抗原と結合する抗体であり、サンプル中に抗原が含まれている場合について説明する。
以下では、前述の本態様の分析用具10を用いた分析方法の具体例1について説明する。また、被分析物質が抗原、酵素標識化物質が酵素標識抗体、及び被分析物質を直接又は間接的に捕捉する捕捉物質が抗原と結合する抗体であり、サンプル中に抗原が含まれている場合について説明する。
まず、サンプル中の抗原、及び抗原と複合体を形成する酵素標識抗体を、サンプルパッド5に付与し、サンプルパッド5から、抗原と結合する抗体が固定化されているテストライン1aを備える展開層1に抗原及び酵素標識抗体を展開させる。例えば、抗原を含有するサンプル液、及び酵素標識抗体を含有する標識抗体液(酵素標識液)をこの順番でサンプルパッド5に付与し、抗原及び酵素標識抗体を展開層1に展開させてもよい。サンプル液及び標識抗体液をサンプルパッド5に付与する方法としては、例えば、サンプル液及び標識抗体液をサンプルパッド5に滴下、塗布等すればよい。サンプルパッド5に付与されたサンプル液及び標識抗体液は、毛細管現象により、サンプルパッド5からテストライン1a及び吸収パッド2側に展開されるため、抗原及び酵素標識抗体もテストライン1a及び吸収パッド2側に展開される。
抗原及び酵素標識抗体は複合体を形成し、形成された複合体も展開層1にて吸収パッド2が配置されている側に展開される。展開層1に展開される抗原は、テストライン1aに固定化された抗体と結合する。そのため、展開層1に展開される抗原は、テストライン1aに固定化された抗体に捕捉され、展開層1に展開される複合体は、複合体における抗原を介してテストライン1aに固定化された抗体に捕捉される。また、展開層1に展開される酵素標識抗体は、テストライン1aに捕捉された抗原と複合体を形成し、その結果、複合体がテストライン1aに固定化された抗体に捕捉されることになってもよい。
ここで、発熱性物質を含有する発熱パッド4を空気中に曝すことにより、発熱性物質が空気中の水分と接触することで熱が発生する。発生した熱により、少なくとも展開層1のテストライン1a、好ましくは展開層1が加熱されるため、抗原と酵素標識抗体との反応性が向上しうる。その結果、抗原を高感度で検出することが可能になると考えられる。
なお、抗原を含有するサンプル液、及び酵素標識抗体を含有する標識抗体液を、サンプルパッド5に別々に付与する構成の代わりに、抗原を含有するサンプルと、酵素標識抗体とを混合した混合液を、サンプルパッド5に付与する構成であってもよい。
また、酵素標識抗体を含有する標識抗体液をサンプルパッド5に付与する代わりに、サンプルパッド5に酵素標識抗体が予め付与されていてもよい。これにより、抗原を含有するサンプル液をサンプルパッド5に付与することで展開される抗原と、予め付与された酵素標識抗体との複合体がサンプルパッド5にて形成され、形成された複合体がサンプルパッド5から展開層1に展開される。
抗原を含有するサンプル及び酵素標識抗体をサンプルパッド5に付与し、サンプル及び酵素標識抗体をサンプルパッド5から展開層1に展開させた後、酵素標識抗体中の酵素と反応する酵素基質をサンプルパッド5に付与することが好ましい。例えば、酵素基質を含有する基質液をサンプルパッド5に付与し、基質液をサンプルパッド5から展開層1のテストライン1a及び吸収パッド2側に展開させればよい。
展開層1に展開される酵素基質は、テストライン1aに捕捉された複合体における酵素標識抗体中の酵素と反応する。このとき、酵素標識抗体中の酵素と酵素基質との反応を検出することにより、サンプル中の抗原の検出が可能となる。酵素標識抗体中の酵素と反応して発色又は発光が生じる酵素基質を用いた場合、酵素標識抗体中の酵素と当該酵素基質との反応により得られる発色又は発光を検出することにより、サンプル中の抗原の検出がより容易に可能となる。
ここで、発熱パッド4は、発熱性物質が空気中の水分と接触することで熱を発生しており、発生した熱により、少なくとも展開層1のテストライン1a、好ましくは展開層1が加熱される。このため、酵素標識抗体中の酵素と酵素基質との反応性が向上しうる。その結果、抗原を高感度で検出することが可能になると考えられる。
<分析方法の具体例2>
以下では、前述の本態様の分析用具10を用いた分析方法の具体例2について説明するまた、被分析物質が抗原、酵素標識化物質が酵素標識抗体、標識物質を有する物質がビオチン標識抗体、及び捕捉物質がアビジン又はストレプトアビジン(以下、「アビジン等」とも称する。)であり、サンプル中に抗原が含まれている場合について説明する。なお、前述の分析方法の具体例1と共通する事項、例えば、酵素基質を展開層1に展開させる方法等についてはその詳細な説明を省略する。
以下では、前述の本態様の分析用具10を用いた分析方法の具体例2について説明するまた、被分析物質が抗原、酵素標識化物質が酵素標識抗体、標識物質を有する物質がビオチン標識抗体、及び捕捉物質がアビジン又はストレプトアビジン(以下、「アビジン等」とも称する。)であり、サンプル中に抗原が含まれている場合について説明する。なお、前述の分析方法の具体例1と共通する事項、例えば、酵素基質を展開層1に展開させる方法等についてはその詳細な説明を省略する。
まず、サンプル中の抗原、酵素標識抗体、及びビオチン標識抗体を、サンプルパッド5に付与し、サンプルパッド5から、ビオチンと結合するアビジン等が固定化されているテストライン1aを備える展開層1に抗原、酵素標識抗体、及びビオチン標識抗体を展開させる。例えば、ビオチン標識抗体を含有するビオチン標識抗体液、抗原を含有するサンプル液、及び酵素標識抗体を含有する標識抗体液をこの順番でサンプルパッド5に付与し、ビオチン標識抗体、抗原及び酵素標識抗体を展開層1に展開させてもよい。ビオチン標識抗体液をサンプルパッド5に付与する方法としては、前述の分析方法の具体例1におけるサンプル液をサンプルパッド5に付与する方法と同様である。
抗原、酵素標識抗体及びビオチン標識抗体は複合体を形成し、形成された複合体も吸収パッド2が配置されている側に展開される。展開層1に展開されるビオチン標識抗体は、ビオチンを介してテストライン1aに固定化されたアビジン等と結合する。そのため、展開層1に展開されるビオチン標識抗体は、テストライン1aに固定化されたアビジン等に捕捉され、展開層1に展開される複合体は、複合体におけるビオチン標識抗体を介してテストライン1aに固定化されたアビジン等に捕捉される。また、展開層1に展開される抗原はテストライン1aに捕捉されたビオチン標識抗体と結合し、かつ、展開層1に展開される酵素標識抗体はテストライン1aに間接的に捕捉された抗原と結合することにより複合体を形成し、その結果、複合体がテストライン1aに固定化されたアビジン等に捕捉されることになってもよい。
なお、ビオチン標識抗体を含有するビオチン標識抗体液、抗原を含有するサンプル液、及び酵素標識抗体を含有する標識抗体液を、展開層1に別々に付与する構成の代わりに、ビオチン標識抗体と、抗原を含有するサンプルと、酵素標識抗体とを混合した混合液を、サンプルパッド5に付与する構成であってもよい。
また、ビオチン標識抗体を含有するビオチン標識抗体液及び酵素標識抗体を含有する標識抗体液をサンプルパッド5に付与する代わりに、サンプルパッド5にビオチン標識抗体及び酵素標識抗体が予め付与されていてもよい。これにより、抗原を含有するサンプル液をサンプルパッド5に付与することで展開される抗原と、予め付与されたビオチン標識抗体及び酵素標識抗体と、の複合体がサンプルパッド5にて形成され、形成された複合体がサンプルパッド5から展開層1に展開される。
ビオチン標識抗体、抗原を含有するサンプル及び酵素標識抗体をサンプルパッド5に付与し、ビオチン標識抗体、サンプル及び酵素標識抗体をサンプルパッド5から展開層1に展開させた後、酵素標識抗体中の酵素と反応する酵素基質をサンプルパッド5に付与することが好ましい。例えば、酵素基質を含有する基質液をサンプルパッド5に付与し、基質液をサンプルパッド5から展開層1のテストライン1a及び吸収パッド2側に展開させればよい。
展開層1に展開される酵素基質は、テストライン1aに捕捉された複合体における酵素標識抗体中の酵素と反応する。このとき、酵素標識抗体中の酵素と酵素基質との反応を検出することにより、サンプル中の抗原の検出が可能となる。
前述の本態様の分析用具10を用いた分析方法の具体例1、2について説明したが、本発明はこれに限定されない。
次に、本発明の一態様を以下の実施例に基づき説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
まず、テストラインとして抗CRPポリクローナル抗体(DAKO社製)、及びコントロールラインとして抗マウスIgGポリクローナル抗体(イムノプローブ社製)をライン状に塗布したニトロセルロース膜を準備した。コントロールライン側にて支持基材を介して吸収パッド(GEヘルスケア・ジャパン社製 CF6)とニトロセルロース膜とを接続させ、テストライン側にてサンプルパッド(日本ポール社製 Glass fiber filter8964)とニトロセルロース膜とを接続させた。さらに、PETフィルムで裏打ちされたニトロセルロース膜の裏面に発熱パッドを接触させ、分析用具を作製した。
まず、テストラインとして抗CRPポリクローナル抗体(DAKO社製)、及びコントロールラインとして抗マウスIgGポリクローナル抗体(イムノプローブ社製)をライン状に塗布したニトロセルロース膜を準備した。コントロールライン側にて支持基材を介して吸収パッド(GEヘルスケア・ジャパン社製 CF6)とニトロセルロース膜とを接続させ、テストライン側にてサンプルパッド(日本ポール社製 Glass fiber filter8964)とニトロセルロース膜とを接続させた。さらに、PETフィルムで裏打ちされたニトロセルロース膜の裏面に発熱パッドを接触させ、分析用具を作製した。
実施例1にて用いる各種反応試薬は以下の通りである。
サンプル液:CRP抗原 0ng/mL、3ng/mL(BSA1質量%含有PBS、BSA:ウシ血清アルブミン、PBS:リン酸緩衝生理食塩水)Capricorn社製 C-reactive protein antigen
ALP(アルカリホスファターゼ)標識抗CRPモノクローナル抗体:イムノプローブ社製CRPマウスモノクローナル抗体と同仁化学研究所製Alkaline Phosphatase Labeling Kit-SHとを用いて調製を行った。調製した酵素標識抗体は以下の希釈液で希釈し、標識抗体液とした。
希釈液:50mM Tris-HCl(pH7.4)、0.9質量% NaCl、0.05質量% BSA、1mM MgCl2、0.5mM ZnCl2
BCIP(酵素基質):5-Bromo-4-chloro-3-indolyl phosphate disodium salt(Bio Vectra社製)が1mg/mLになるように以下の希釈液で希釈し、基質液とした。
希釈液:100mM CAPSO-NaOH(pH10.3)、1mM MgCl2、0.005質量% Triton X-100
発熱パッド:50質量%塩化カルシウム水溶液をセルロースパッドPALL#165(20mm×4mm)に160μL含浸させた後、セルロースパッドを乾燥機にて70℃で2時間乾燥させた。その後、使用するまで乾燥剤(モレキュラーシーブ)の入ったアルミ袋で密閉して保管した。なお、セルロースパッドは計算上80mgの塩化カルシウムを含んでおり、発熱パッドにおける単位面積当たりの塩化カルシウムの含有量は、100mg/cm2である。
サンプル液:CRP抗原 0ng/mL、3ng/mL(BSA1質量%含有PBS、BSA:ウシ血清アルブミン、PBS:リン酸緩衝生理食塩水)Capricorn社製 C-reactive protein antigen
ALP(アルカリホスファターゼ)標識抗CRPモノクローナル抗体:イムノプローブ社製CRPマウスモノクローナル抗体と同仁化学研究所製Alkaline Phosphatase Labeling Kit-SHとを用いて調製を行った。調製した酵素標識抗体は以下の希釈液で希釈し、標識抗体液とした。
希釈液:50mM Tris-HCl(pH7.4)、0.9質量% NaCl、0.05質量% BSA、1mM MgCl2、0.5mM ZnCl2
BCIP(酵素基質):5-Bromo-4-chloro-3-indolyl phosphate disodium salt(Bio Vectra社製)が1mg/mLになるように以下の希釈液で希釈し、基質液とした。
希釈液:100mM CAPSO-NaOH(pH10.3)、1mM MgCl2、0.005質量% Triton X-100
発熱パッド:50質量%塩化カルシウム水溶液をセルロースパッドPALL#165(20mm×4mm)に160μL含浸させた後、セルロースパッドを乾燥機にて70℃で2時間乾燥させた。その後、使用するまで乾燥剤(モレキュラーシーブ)の入ったアルミ袋で密閉して保管した。なお、セルロースパッドは計算上80mgの塩化カルシウムを含んでおり、発熱パッドにおける単位面積当たりの塩化カルシウムの含有量は、100mg/cm2である。
実施例1での反応手順は以下の通りである。
(1)まず、サンプルパッドに100μLのサンプル液を滴下し、10分間サンプル液を展開させた。
(2)次に、サンプルパッドに100μLの標識抗体液を滴下し、10分間標識抗体液を展開させた。
(3)次に、サンプルパッドに100μLの基質液を滴下し、10分間基質液を展開させた。
(4)スポットケムIL(SL−4720、アークレイ社製)を用いてテストラインの反射率を測定した。
結果を表1及び図2に示す。
(1)まず、サンプルパッドに100μLのサンプル液を滴下し、10分間サンプル液を展開させた。
(2)次に、サンプルパッドに100μLの標識抗体液を滴下し、10分間標識抗体液を展開させた。
(3)次に、サンプルパッドに100μLの基質液を滴下し、10分間基質液を展開させた。
(4)スポットケムIL(SL−4720、アークレイ社製)を用いてテストラインの反射率を測定した。
結果を表1及び図2に示す。
また、サンプル液滴下前(発熱パッドが水分に接触する前、図3中の「測定前」)、サンプル液展開後(前述の(1)終了後、図3中の「サンプル」)、標識抗体液展開後(前述の(2)終了後、図3中の「標識抗体」)及び基質液展開後(前述の(3)終了後、図3中の「基質液」)において、ニトロセルロース膜の発熱パッドと接触している箇所における表面温度をそれぞれ測定した。
結果を表2及び図3に示す。
結果を表2及び図3に示す。
〔比較例1〕
ニトロセルロース膜の裏面に発熱パッドを設けていない点以外は、実施例1と同様にして分析用具を作製した。また、分析用具以外は実施例1と同様にして、テストラインの反射率を測定した。また、サンプル液滴下前(図3中の「測定前」)、サンプル液展開後(前述の(1)終了後、図3中の「サンプル」)、標識抗体液展開後(前述の(2)終了後、図3中の「標識抗体」)及び基質液展開後(前述の(3)終了後、図3中の「基質液」)において、ニトロセルロース膜における表面温度をそれぞれ測定した。
結果を表1、2及び図2、3に示す。
ニトロセルロース膜の裏面に発熱パッドを設けていない点以外は、実施例1と同様にして分析用具を作製した。また、分析用具以外は実施例1と同様にして、テストラインの反射率を測定した。また、サンプル液滴下前(図3中の「測定前」)、サンプル液展開後(前述の(1)終了後、図3中の「サンプル」)、標識抗体液展開後(前述の(2)終了後、図3中の「標識抗体」)及び基質液展開後(前述の(3)終了後、図3中の「基質液」)において、ニトロセルロース膜における表面温度をそれぞれ測定した。
結果を表1、2及び図2、3に示す。
実施例1及び比較例1では、CRP抗原が0ng/mLのサンプル液を用いてテストラインの反射率を測定したとき、100%近い反射率を示した。一方、CRP抗原が3ng/mLのサンプル液を用いてテストラインの反射率を測定したとき、実施例1では比較例1よりも低い反射率を示し、より濃く発色していることが示された。また、実施例1ではニトロセルロース膜の表面温度が比較例1よりも約6℃高かった。したがって、実施例1では、発熱パッドにより反応温度が上昇したため反応性が向上し、より高感度で被分析物質であるCRP抗原を検出できたことが示された。
〔実施例2〕
テストラインに抗MPT64マウスモノクローナル抗体(BMRI社製)、及びコントロールラインに抗マウスIgGポリクローナル抗体(イムノプローブ社製)をライン状に塗布したニトロセルロース膜を準備した。そして、実施例1と同様にして分析用具を作製した。
テストラインに抗MPT64マウスモノクローナル抗体(BMRI社製)、及びコントロールラインに抗マウスIgGポリクローナル抗体(イムノプローブ社製)をライン状に塗布したニトロセルロース膜を準備した。そして、実施例1と同様にして分析用具を作製した。
実施例2にて用いる各種反応試薬は以下の通りである。
サンプル液:MPT64抗原 0ng/mL、1ng/mL(BSA1質量%含有PBS)BMRI社製リコンビナント
ALP標識抗MPT64モノクローナル抗体:BMRI社製抗MPT64モノクローナル抗体と同仁化学研究所製Alkaline Phosphatase Labeling Kit-SHを用いて調製を行った。調製した酵素標識抗体は以下の希釈液で希釈し、標識抗体液とした。
希釈液: 50mM Tris-HCl(pH7.4)、0.9質量% NaCl、0.05質量% BSA、1mM MgCl2、0.5mM ZnCl2
BCIP(酵素基質):5-Bromo-4-chloro-3-indolyl phosphate disodium salt(Bio Vectra社製)が1mg/mLになるように以下の希釈液で希釈し、基質液とした。
希釈液:100mM CAPSO-NaOH(pH10.3)、1mM MgCl2、0.005質量% Triton X-100
発熱パッド:実施例1と同様
サンプル液:MPT64抗原 0ng/mL、1ng/mL(BSA1質量%含有PBS)BMRI社製リコンビナント
ALP標識抗MPT64モノクローナル抗体:BMRI社製抗MPT64モノクローナル抗体と同仁化学研究所製Alkaline Phosphatase Labeling Kit-SHを用いて調製を行った。調製した酵素標識抗体は以下の希釈液で希釈し、標識抗体液とした。
希釈液: 50mM Tris-HCl(pH7.4)、0.9質量% NaCl、0.05質量% BSA、1mM MgCl2、0.5mM ZnCl2
BCIP(酵素基質):5-Bromo-4-chloro-3-indolyl phosphate disodium salt(Bio Vectra社製)が1mg/mLになるように以下の希釈液で希釈し、基質液とした。
希釈液:100mM CAPSO-NaOH(pH10.3)、1mM MgCl2、0.005質量% Triton X-100
発熱パッド:実施例1と同様
実施例2での反応手順は、前述の実施例1と同様である。
結果を表3及び図4に示す。
結果を表3及び図4に示す。
〔比較例2〕
ニトロセルロース膜の裏面に発熱パッドを設けていない点以外は、実施例2と同様にして分析用具を作製した。また、分析用具以外は実施例2と同様にして、テストラインの反射率を測定した。
結果を表3及び図4に示す。
ニトロセルロース膜の裏面に発熱パッドを設けていない点以外は、実施例2と同様にして分析用具を作製した。また、分析用具以外は実施例2と同様にして、テストラインの反射率を測定した。
結果を表3及び図4に示す。
実施例2及び比較例2では、MPT64抗原が0ng/mLのサンプル液を用いてテストラインの反射率を測定したとき、100%近い反射率を示した。一方、MPT64抗原が1ng/mLのサンプル液を用いてテストラインの反射率を測定したとき、実施例2では比較例2よりも低い反射率を示し、より濃く発色していることが示された。したがって、実施例2では、発熱パッドにより反応温度が上昇したため反応性が向上し、より高感度で被分析物質であるMPT64抗原を検出できたことが示された。
1 展開層
1a テストライン(測定部)
1b コントロールライン(参照部)
2 吸収パッド(吸収部)
3 支持基材
4 発熱パッド(発熱部)
5 サンプルパッド(サンプル付与部)
6 透明フィルム(放熱抑制部)
10 分析用具
1a テストライン(測定部)
1b コントロールライン(参照部)
2 吸収パッド(吸収部)
3 支持基材
4 発熱パッド(発熱部)
5 サンプルパッド(サンプル付与部)
6 透明フィルム(放熱抑制部)
10 分析用具
Claims (14)
- サンプル中に含まれ得る被分析物質を直接又は間接的に捕捉する捕捉物質が固定化されている測定部を備え、前記サンプル、前記被分析物質と複合体を形成する酵素標識化物質、及び前記酵素標識化物質中の酵素と反応する酵素基質が少なくとも展開される展開層と、
水分と接触することで発熱反応が生じる発熱性物質を含有し、前記発熱性物質が水分と接触することで発生した熱により少なくとも前記測定部を加熱する発熱部と、
を備え、前記サンプル中の前記被分析物質の有無を検出する分析用具。 - 前記発熱性物質が、塩化カルシウム、酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、塩化バリウム、塩化鉄(III)、硫酸銅及び炭酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも一つである請求項1に記載の分析用具。
- 少なくとも前記測定部を覆うことにより前記発熱部にて生じた熱の放熱を抑制する放熱抑制部を更に備える請求項1又は請求項2に記載の分析用具。
- 前記発熱部における単位面積当たりの前記発熱性物質の含有量は、50mg/cm2〜150mg/cm2である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の分析用具。
- サンプル、前記サンプル中に含まれ得る被分析物質と複合体を形成する酵素標識化物質、及び前記酵素標識化物質中の酵素と反応する酵素基質を、前記被分析物質を直接又は間接的に捕捉する捕捉物質が固定化されている測定部を備える展開層に少なくとも展開させるときに、水分と接触することで発熱反応が生じる発熱性物質を水分と接触させることにより熱を発生させて少なくとも前記測定部を加熱し、
前記サンプル中の前記被分析物質の有無を検出する分析方法。 - 前記複合体は、前記被分析物質と、前記酵素標識化物質と、前記測定部に固定化されている前記捕捉物質に捕捉される標識物質を有する物質と、を含んで構成され、
前記標識物質を有する物質を前記展開層に展開させる、請求項5に記載の分析方法。 - 前記標識物質はビオチンである、請求項6に記載の分析方法。
- 前記被分析物質は抗原であり、
前記酵素標識化物質は酵素標識抗体であり、
前記標識物質を有する物質は標識抗体である、請求項6又は請求項7に記載の分析方法。 - 前記捕捉物質はアビジン又はストレプトアビジンである、請求項5〜請求項8のいずれか1項に記載の分析方法。
- 前記複合体は、前記被分析物質と前記酵素標識化物質とを含んで構成され、
前記捕捉物質は前記被分析物質と結合する物質である、請求項5に記載の分析方法。 - 前記被分析物質は抗原であり、
前記酵素標識化物質は酵素標識抗体であり、
前記捕捉物質は抗体である、請求項10に記載の分析方法。 - 前記酵素基質は、前記酵素標識化物質中の前記酵素と反応して発色又は発光が生じる基質であり、
前記測定部にて前記酵素基質と前記酵素標識化物質中の前記酵素とが反応して生じる発色又は発光の有無を検出することにより、前記サンプル中の前記被分析物質の有無を検出する請求項5〜請求項11のいずれか1項に記載の分析方法。 - 前記酵素標識化物質中の酵素は、パーオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ又はβ−D−ガラクトシダーゼである請求項5〜請求項12のいずれか1項に記載の分析方法。
- 前記酵素基質は、BCIP(5-Bromo-4-chloro-3-indolyl phosphate)又はその塩である請求項5〜請求項13のいずれか1項に記載の分析方法。
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JP2016233888A JP2018091679A (ja) | 2016-12-01 | 2016-12-01 | 分析用具及び分析方法 |
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