JP2018091367A - ディスクブレーキ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡素な構成により付勢部材の配置自由度及び組み付け性を向上させ、引き摺りの発生を効果的に抑制することができるディスクブレーキ装置を提供する。
【解決手段】本発明は、キャリパ20と、ディスクロータ1を介して対向配置され、キャリパ20に対してディスクロータ1の軸方向であるロータ軸方向に移動可能に組み込まれた一対のブレーキパッド4と、キャリパ20に組み付けられブレーキパッド4をディスクロータ1に向けて押圧するピストン3と、ブレーキパッド4を付勢する付勢部材8と、を備え、付勢部材8は、ブレーキパッド4に固定される固定部81と、キャリパ20に一体的に形成されたロータ軸方向に延びる支持部242、243に当接する当接部82と、固定部81と当接部82を接続するとともにディスクロータ1から離れる方向に固定部81を付勢する付勢部83と、を備える。
【選択図】図2
Description
本発明は、ディスクブレーキ装置に関する。
車両のディスクブレーキ装置は、ディスクロータとキャリパアセンブリとで構成されている。ディスクブレーキ装置は、例えば特開2009−264413号公報に記載されている。このディスクブレーキ装置には、ブレーキパッドとディスクロータとの間の引き摺り発生を抑制するために、ブレーキパッドをディスクロータから離間させるパッドスプリングが設けられている。
しかしながら、上記パッドスプリングでは、構造が複雑となり、キャリパへの組み付け性の面で改良の余地がある。また、上記パッドスプリングでは、複数の部材との係合関係を考慮した複雑な構成により、パッドスプリングの付勢力の作用点を狙いの場所に配置する配置自由度が低く、引き摺り発生の効果的な抑制の点でも改良の余地がある。特に、キャリパがブレーキパッドを支持する支持軸を有する構成において、上記パッドスプリングでは、ブレーキパッドに対する付勢力の作用点と支持軸とが離れてしまう可能性がある。これによれば、ブレーキパッドと支持軸との摺動抵抗により、ブレーキパッドを効果的にディスクロータから離間させることが困難となる。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、簡素な構成により付勢部材の配置自由度及び組み付け性を向上させ、引き摺りの発生を効果的に抑制することができるディスクブレーキ装置を提供することを目的とする。
本発明のディスクブレーキ装置は、ディスクロータの外周部の一部分を跨ぐように配置されるキャリパと、前記ディスクロータを介して対向配置され、前記キャリパに対して前記ディスクロータの軸方向であるロータ軸方向に移動可能に組み付けられた一対のブレーキパッドと、前記キャリパに組み付けられ前記ブレーキパッドを前記ディスクロータに向けて押圧するピストンと、前記ブレーキパッドを付勢する付勢部材と、を備え、前記付勢部材は、前記ブレーキパッドに固定される固定部と、前記キャリパに一体的に形成された前記ロータ軸方向に延びる支持部に当接する当接部と、前記固定部と前記当接部を接続するとともに前記ディスクロータから離れる方向に前記固定部を付勢する付勢部と、を備える。
本発明によれば、ブレーキパッドとの固定を担当する固定部、キャリパの支持部に対する付勢力の作用点となる当接部、及び付勢力を生じさせる付勢部による簡素な構成であるため、固定における他部材からの制限が低減され、配置自由度及び組み付け性は向上する。また、配置自由度が向上することで、例えばブレーキパッドの移動に対する摺動抵抗が大きい場所など、適切な場所に付勢部材を配置することができる。これにより、引き摺りの発生を効果的に抑制することができる。
以下、本実施形態のディスクブレーキ装置について、図面を参照して、車両用のピストン対向型のディスクブレーキ装置を例に説明する。図1に示すように、ディスクブレーキ装置Aは、ディスクロータ1と、キャリパアセンブリ2と、を備えている。ディスクロータ1は、図示しない車軸ハブに組み付けられて車輪と一体的に回転する円盤部材である。なお、説明において、ディスクロータ1の径方向を「ロータ径方向」と称し、ディスクロータ1の周方向を「ロータ周方向」と称し、ディスクロータ1の軸方向を「ロータ軸方向」と称する。また、「ロータ軸方向のピストン3側」の「ピストン3」は、一方側の部位(ブレーキパッドセット等)の説明における一方側のピストン3を意味する。また、説明に用いる各図は概念図であり、各部の形状は必ずしも厳密なものではない場合がある。図2は、ディスクブレーキ装置Aをロータ軸方向及びロータ径方向に広がる平面で切断した断面図であり、シリンダ211、221、ピストン3、ブリッジ231、及び板バネ5等が省略された概念図である。
キャリパアセンブリ2は、ディスクロータ1の回転に対して制動力を発生させる装置である。図1〜図4に示すように、キャリパアセンブリ2は、キャリパ20と、複数のピストン3と、一対のブレーキパッド4と、一対の板バネ5と、内シム6と、外シム7と、付勢部材8と、を備えている。一対の部材については、一方の部材を説明して他方の部材の説明は省略する。
キャリパ20は、車両の支持体(図示せず)に固定される金属部材であって、主にキャリパアセンブリ2のハウジングを構成している。キャリパ20は、ディスクロータ1の外周部の一部分を跨ぐように配置されている。具体的に、キャリパ20は、インナーハウジング部21と、アウターハウジング部22と、連結部23と、支持軸部24と、を備えている。まず、支持軸部24は、キャリパ20内でブレーキパッド4をロータ軸方向に移動可能に支持する部材である。詳細は後述するが、支持軸部24は、外周支持軸241と、内周支持軸(「支持部」及び「支持軸」に相当する)242、243で構成されている。
インナーハウジング部21とアウターハウジング部22は、ディスクロータ1を介して対向配置されている。インナーハウジング部21は、ディスクロータ1のロータ軸方向内側に配置されている。インナーハウジング部21には、複数のピストン3に対応して複数のシリンダ211が形成されている。また、インナーハウジング部21のロータ径方向外側部位には、外周支持軸241の一端を支持する支持部位212が形成されている。インナーハウジング部21のロータ径方向内側部位には、内周支持軸242の一端を支持する支持部位213が形成されている。
アウターハウジング部22は、ディスクロータ1のロータ軸方向外側に配置されている。アウターハウジング部22には、複数のピストン3に対応して複数のシリンダ221が形成されている。また、アウターハウジング部22のロータ径方向外側部位には、外周支持軸241の他端を支持する支持部位222が形成されている。アウターハウジング部22のロータ径方向内側部位には、内周支持軸243の一端を支持する支持部位223が形成されている。支持部位212、213、222、223は、それぞれ支持対象が挿通される貫通孔を構成している。
連結部23は、インナーハウジング部21とアウターハウジング部22を連結する部位である。連結部23は、複数のブリッジ231を有している。複数のブリッジ231は、ブリッジ231同士の隙間からキャリパアセンブリ2の内部を露出させている。
外周支持軸241は、一端がインナーハウジング部21の支持部位212に支持され、他端がアウターハウジング部22の支持部位222に支持された棒状部材である。外周支持軸241は、軸方向がロータ軸方向と平行になるように、キャリパ20のロータ径方向外側部位に配置されている。外周支持軸241は、インナーハウジング部21とアウターハウジング部22に組み付けられている。
内周支持軸242は、一端がインナーハウジング部21の支持部位213に支持された棒状部材である。内周支持軸242は、軸方向がロータ軸方向と平行になるように、キャリパ20のロータ径方向内側部位に配置されている。内周支持軸242は、インナーハウジング部21に組み付けられている。内周支持軸243は、一端がアウターハウジング部22の支持部位223に支持された円柱状部材である。内周支持軸243は、軸方向がロータ軸方向と平行になるように、キャリパ20のロータ径方向内側部位に配置されている。内周支持軸243は、アウターハウジング部22に組み付けられている。内周支持軸242、243は、対応するブレーキパッド4のロータ径方向の内側部位に当接している。各支持軸部241、242、243は、対応する支持部位212、222、213、223に固定(ねじ止め)されている。
ここで、内周支持軸243についてさらに説明する。内周支持軸242は、内周支持軸243と同構成であるため説明は省略する。内周支持軸243は、図2及び図5〜図7に示すように、小径部243aと、係合部243bと、大径部243cと、突出部243dと、ネジ部243eと、を備えている。
小径部243aは、円柱状の部位であって、支持部位223の貫通孔に挿通されている。係合部243bは、小径部243aよりも小径の円柱状の部位であって、小径部243aのディスクロータ1側の端部に同軸的に接続されている。係合部243bは、キャリパ20(アウターハウジング部22)の内面に当接している。
大径部243cは、係合部243bよりも小径の円柱状の部位であって、係合部243bのディスクロータ1側の端部に同軸的に接続されている。本実施形態の大径部243cは、小径部243aよりも大径の円柱状に形成されている。大径部243cは、ブレーキパッド4の後述する第二凹部422に当接している。
突出部243dは、大径部243cからディスクロータ1に向けて突出した部位である。突出部243dは、円柱の周面の一部に係合面24Aが設けられた略円柱状の部位であって、大径部243cから同軸的に延びている。係合面24Aは、摩擦材41のロータ径方向内側の端面に対向して配置されている。係合面24Aは、摩擦材41のロータ径方向内側の端面に対面しているともいえる。係合面24Aは、突出部243dのロータ径方向外側の部位である。係合面24Aは、ロータ軸方向一端部からロータ軸方向他端部に至るまでに複数の突起24A1を有する波形状に形成されている。係合面24Aは、波状面ともいえる。
具体的に、本実施形態において、係合面24Aは、ロータ径方向外側に露出し、ロータ軸方向に並んでロータ径方向外側に突出した複数の突起24A1により波形状に形成された面である。換言すると、内周支持軸243の中心軸Yを含みロータ径方向に延びる平面(以下「仮想平面」という)Zで突出部243dを切断した断面において、係合面24Aは波形状となっている。さらに換言すると、係合面24Aは、仮想平面Zに直交する平面上に、当該平面と平行で且つロータ軸方向に直交する方向に延びる溝24A2がロータ軸方向に複数並んで形成されて構成されている(図7参照)。後述するが、係合面24Aは、付勢部材8と係合している。なお、係合面24Aと同様の形状が、突出部243dのロータ径方向内側部位にも設けられている。
ネジ部243eは、キャリパ20(アウターハウジング部22)の外面に当接し、小径部243aの一端部に螺合している。内周支持軸243は、ネジ部243eと係合部243bとによりキャリパ20に固定されている。小径部243a、係合部243b、大径部243c、及び突出部243dは、軸状部材240として一体的に形成されている。内周支持軸242は、小径部243aに相当する小径部242aと、係合部243bに相当する係合部242bと、大径部243cに相当する大径部242cと、突出部243dに相当する突出部242dと、ネジ部243eに相当するネジ部242eと、を備えている。
図3に示すように、ピストン3は、キャリパ20に組み付けられ、ブレーキパッド4をディスクロータ1に向けて押圧するための部材である。ピストン3は、図3に示すように、ブレーキパッド4側が開口し、シリンダ211、221の底面側に底面を有する有底筒状部材である。キャリパ20内には、6つのピストン3が配置されている。インナーハウジング部21側の3つのピストン3は、対応するシリンダ211に配置されている。アウターハウジング部22側の3つのピストン3は、対応するシリンダ221に配置されている。ピストン3は、シリンダ211、221に液密的に且つロータ軸方向に摺動可能に組み付けられている。ピストン3とシリンダ211、221の間には油室3aが形成されている。ピストン3は、制動時(ブレーキ作動時)、油室3aに供給される作動液によってロータ軸方向に前進し、一対のブレーキパッド4をディスクロータ1に向けて押圧する。なお、各油室3aは、図示しない油路により連通している。また、油室3aへの作動液の供給は、例えばマスタシリンダやアクチュエータ等により行われる。油室3aの圧力を低下させる際には、油室3aがリザーバに接続される。
一対のブレーキパッド4は、図2に示すように、ディスクロータ1を介して対向配置され、キャリパ20に対してロータ軸方向に移動可能に組み込まれている。一対のブレーキパッド4は、インナーハウジング部21側に配置されたブレーキパッド4と、アウターハウジング部22側に配置されたブレーキパッド4で構成されている。インナーハウジング部21に配置されるブレーキパッド4と、アウターハウジング部22に配置されるブレーキパッド4は、同様の構成であり、一方のブレーキパッド4について説明する。
ブレーキパッド4は、ディスクロータ1に対して摺接して摩擦力を発生させるための摩擦材41と、摩擦材41の裏面を支持する裏板42と、を備えている。本実施形態の摩擦材41は、全体として長手方向がロータ周方向なるように形成されている。摩擦材41は、市場においてライニングと呼ばれる場合もある。
裏板42は、裏板本体部420と、第一凹部421と、第二凹部422と、溝部423と、係合部424と、を備えている。裏板本体部420は、ディスクロータ1側の第一面420aに摩擦材41が固定され、ピストン3側の第二面420bに内シム6が配置されている板状の金属部材である。
第一凹部421は、裏板42のロータ径方向外側のロータ周方向中央部分に形成されている。第一凹部421は、外周支持軸241と係合可能に、ロータ径方向内側に凹んだ凹形状(例えばV字状又はU字状)に形成されている。換言すると、第一凹部421は、裏板本体部420からロータ径方向外側に凹形状に突出した部位である。第一凹部421は、ブレーキパッド4が内周支持軸242、243の軸心回りに所定量回転可能となるように、外周支持軸241のロータ周方向の少なくとも一方側に対して離間して配置されている。つまり、ブレーキパッド4は、ロータ軸方向(キャリパ20の厚み方向ともいえる)に平行な内周支持軸242、243の中心軸を回転軸として、キャリパ20に対して所定量回転可能に配置されている。制動時、第一凹部421はトルク受け面を構成する。第一凹部421はトルク受け部ともいえる。
第二凹部422は、裏板42のロータ径方向内側のロータ周方向中央部分に形成されている。第二凹部422は、対応する内周支持軸242、243と係合可能に、ロータ径方向外側に凹んだ凹形状(例えばV字状又はU字状)に形成されている。第二凹部422は、裏板本体部420からロータ径方向内側に凹形状に突出した部位ともいえる。第二凹部422は、対応する内周支持軸242、243に対して摺動可能に配置されている。このように、本実施形態のブレーキパッド4は、内周支持軸242、243の軸心回りに所定量(微量)回転可能に、支持軸部24に組み付けられる。
溝部423は、図4、図5、及び図7に示すように、裏板本体部420の第一面420aにおけるロータ径方向内側のロータ周方向中央部分に形成されている。溝部423は、第二凹部422の底面に対応する位置に設けられている。溝部423は、第一面420aにおいてロータ軸方向に窪んだ溝状(凹状)の部位である。溝部423は、裏板本体部420のロータ径方向内側の端部にまで達している。溝部423内には、付勢部材8が配置されている。溝部423と付勢部材8とはロータ周方向に係合している。溝部423は、後述する付勢部材8の固定部81の形状に応じた形状に形成されている。本実施形態の溝部423は、ロータ周方向中央部分が深く、当該中央部分のロータ周方向両側の部位が比較的浅く形成されている。また、溝部423の比較的浅い2つの底面(ロータ周方向両端部の底面)には、それぞれロータ軸方向に窪んだ係合部423a(係合溝)が形成されている。
係合部424は、図8に示すように、裏板本体部420の第二面420bにおけるロータ径方向内側のロータ周方向中央部分に形成された溝状(凹状)の部位である。係合部424は、裏板本体部420のロータ径方向内側の端部から離間している。
板バネ5は、一対のブレーキパッド4に対応して配置されている。板バネ5は、図4に示すように、ブレーキパッド4のロータ径方向外側に配置されている。板バネ5は、ブレーキパッド4をロータ径方向内側に付勢している。板バネ5は、外周支持軸241とその両側に位置するブリッジ231とに係合している。板バネ5の付勢により、内周支持軸242、243は、楕円状の第二凹部422における対向するロータ周方向両側の内周面に当接している。板バネ5は、インナー側のブレーキパッド4及びアウター側のブレーキパッド4をロータ径方向内側に向けて付勢している。さらに本実施形態の板バネ5は、前進時におけるブレーキパッド4の回入側部位が回出側部位に比してロータ径方向外側となるように、ブレーキパッド4を付勢している。つまり、ブレーキパッド4は、板バネ5により、中央位置に対して、ロータ周方向一方側(ブレーキパッド4の回転方向の前進側)に回転した位置で、トルク受け面(第一凹部421)に当接した状態でキャリパ20に組み込まれる。本実施形態のブレーキパッド4は、車両前進中にブレーキが作動した場合には回転せず、車両後進中にブレーキが作動した場合に板バネ5を押し上げつつ回転する。なお、板バネ5は、別の付勢部材(例えば棒バネ等)でも良い。
内シム6及び外シム7は、ブレーキパッド4とピストン3の間に配置されている。
内シム6及び外シム7は、ブレーキパッド4とピストン3の間に配置されている。
付勢部材8は、ブレーキパッド4をディスクロータ1から離間する方向に付勢する部材である。本実施形態の付勢部材8は、金属板で形成された戻りバネである。具体的に、付勢部材8は、図5、図7、及び図9〜図12に示すように、固定部81と、当接部82と、付勢部83と、を備えている。固定部81は、全体で略U字状に形成された部位であり、裏板42のロータ径方向内側端部に嵌合して、裏板42に固定されている。固定部81は、裏板42の端部を把持する形状ともいえる。詳細に、固定部81は、裏板42の第二面420bに当接する第一部位811と、裏板42のロータ径方向内側の端面に当接する第二部位812と、溝部423の底面に当接する第三部位813、814と、係合部424内に配置される第一爪部815と、係合部423a内に配置される第二爪部816と、を備えている。
第一部位811は、第二面420bと平行に形成されている。第二部位812は、第一部位811のロータ径方向内側端部からロータ軸方向のディスクロータ1側に延びている。第二部位812のロータ周方向中央部は、その両側の部位よりもロータ軸方向の長さが短くなっている。第三部位813は、第二部位812のロータ周方向一方側の部位から第一面420aと平行に延びている。第三部位814は、第二部位812のロータ周方向他方側の部位から第一面420aに平行に延びている。第一爪部815は、第一部位811から第三部位813、814側(ロータ軸方向のディスクロータ1側)に突出した部位である。第二爪部816は、第三部位813、814から第一部位811側(ロータ軸方向のディスクロータ1から離れる方向)に突出した部位である。
当接部82は、キャリパ20に一体的に形成されロータ軸方向に延びる内周支持軸24に当接する部位であって、付勢部83の先端部に形成されている。当接部82は、対応する内周支持軸242、243の係合面24Aに当接している。さらに詳細に、当接部82は、突起24A1に当接し、溝24A2内に配置されている。つまり、本実施形態において、当接部82は、キャリパ20の一部(ここでは対応する内周支持軸242、243)に当接且つ係合している。キャリパ20は、キャリパ20に一体的に形成されロータ軸方向に延びる「支持部」として、内周支持軸242、243を有している。本実施形態では、キャリパ20に一体的に形成された支持部(242、243)が、ブレーキパッド4を支持するとともに、付勢部材8も支持している。
付勢部83は、固定部81からロータ径方向内側に突出した部位であり、板バネを構成している。付勢部83は、固定部81と当接部82を接続するとともにディスクロータ1から離れる方向に固定部81を付勢する。付勢部83は、固定部81のディスクロータ1側への移動、すなわちブレーキパッド4のディスクロータ1側への移動に対して反力(付勢力)を付与する。付勢部83は、第二部位812のロータ周方向中央部に設けられている。
具体的に、付勢部83は、第二部位812から第一面420aに平行に延びる第一部位831と、第一部位831と対向配置され第一部位831と平行に延びる第二部位832と、第一部位831と第二部位832とを接続するU字状に湾曲した第三部位833と、第二部位832のロータ径方向内側端部からディスクロータ1側に湾曲した凸弧状の湾曲部位834と、を備えている。第二部位832は、第一部位831よりもロータ径方向の長さが大きく、固定部81よりもロータ径方向内側にまで延びている。湾曲部位834と当接部82とが接続されている。第一部位831、第二部位832(ロータ径方向内側端部を除く)、及び第三部位833は、溝部423内に収容されている。
湾曲部位834は、ロータ軸方向において、第一面420aよりもディスクロータ1側に位置している。付勢部83のロータ軸方向のディスクロータ1側の端部、すなわち湾曲部位834のロータ軸方向のディスクロータ1側の端部は、摩擦材41の厚さが所定値未満になった場合に、ディスクロータ1に接触して警告音を発生させる警告部83Aを構成している。
本実施形態によれば、固定部81のディスクロータ1側への移動に対し、付勢部83が固定部81をディスクロータ1から離れる方向に付勢する。これにより、制動状態から非制動状態になった際、ブレーキパッド4をディスクロータ1から離間させることができる。なお、このように付勢部83が固定部81を付勢する構成では、当接部82とキャリパ20との間で係合関係が成立し又は所定の摩擦力が生じていることになる。所定の摩擦力は、付勢部83が付勢力を発揮することができる値であって、例えばブレーキパッド4がディスクロータ1から離れる側に移動する際に生じる摺動抵抗より大きい値に設定される。摩擦力は、当接部82の当接形態や係合面24Aの面状態によっても調整可能である。
本実施形態によれば、ブレーキパッド4との固定を担当する固定部81、キャリパ20に対する付勢力の作用点となる当接部82、及び付勢力を生じさせる付勢部83による簡素な構成であるため、固定における他部材からの制限が低減され、配置自由度及び組み付け性は向上する。付勢部材8の固定は、他の部材を必要とせず、固定部81とブレーキパッド4との間でのみ行うことができる。つまり、付勢部材8は、ブレーキパッド4(裏板42)に直接固定されるため、他の部材との関係で設置位置に大きな制限を受けることなく、付勢力付与の観点で適切な位置、又は所望の位置に設置可能となる。つまり、ブレーキパッド4の適切な部位に付勢力を付与でき、引き摺りの発生を効果的に抑制することができる。
本実施形態では、ブレーキパッド4との間に摺動抵抗を生じさせる内周支持軸242、243に近接する裏板42の端部に固定部81が配置されるため、摺動抵抗により比較的戻りにくいブレーキパッド4のロータ径方向内側部位を効果的に押し戻すことができる。つまり、制動状態から非制動状態に切り替わった際、付勢部材8は、ブレーキパッド4のロータ径方向内側部位を、ディスクロータ1から離れる方向に移動させることができる。また、当接部82を内周支持軸242、243に当接させることで、スペース効率よく、付勢力を発生させることができる。
また、当接部82が係合面24Aに当接していることで、係合関係によって付勢力の作用点が形成され、より確実にブレーキパッド4を押し戻すことができる。また、係合面24Aがロータ軸方向に連続した複数の突起24A1で構成された波形状に形成されているため、摩擦材41の厚さに応じて係合位置が変化可能であり、適切な係合状態を維持することができる。摩擦材41が薄くなるにつれて、制動時の裏板42の位置がディスクロータ1側となる。これにより、当接部82が突起24A1を乗り越え、当接部82と係合面24Aとの係合位置は、ディスクロータ1側の突起24A1に移動していく。付勢部材8は、摩擦材41の厚さに応じて係合位置を変化させ、ブレーキパッド4に対して適切な付勢力を付与する。
また、第一爪部815と係合部424とがロータ径方向に係合することで、付勢部材8が裏板42から外れることが抑制される。また、同様に、第二爪部816と係合部423aとがロータ径方向に係合することで、付勢部材8が裏板42から外れることが抑制される。また、溝部423が付勢部材8の一部を収容しているため、スペース効率の向上が可能となり、さらに付勢部材8のロータ周方向の位置決め精度を向上させることができる。溝部423により、組み付け作業が容易となり、組み付け性も向上する。
また、付勢部材8が警告部83Aを有するため、摩擦材41の取り換え忘れを防止することができる。付勢部材8のディスクロータ1側への突出量により、警告部83Aがディスクロータ1に接触する摩擦材41の厚さ(所定値)を調整することができる。溝部423が裏板42のディスクロータ側の表面(第一面420a)に形成されているため、警告部83Aの突出量を溝部423の深さでも調整することができる。
(その他)
本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、付勢部材8の形状は、上記に限られない。例えば付勢部83の形状は、第二部位832からディスクロータ1側に突出するとともに、ディスクロータ1側に凸となるように湾曲した形状であっても良い。また、付勢部83の形状は、第二部位832からディスクロータ1側に突出するとともに、内周支持軸242、243側に凸となるように湾曲した形状であっても良い。これらの形状であっても、付勢力が発揮され、上記同様の効果が発揮される。また、係合面24Aは、1つの突起24A1又は溝24A2を有するものでも良い。
本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、付勢部材8の形状は、上記に限られない。例えば付勢部83の形状は、第二部位832からディスクロータ1側に突出するとともに、ディスクロータ1側に凸となるように湾曲した形状であっても良い。また、付勢部83の形状は、第二部位832からディスクロータ1側に突出するとともに、内周支持軸242、243側に凸となるように湾曲した形状であっても良い。これらの形状であっても、付勢力が発揮され、上記同様の効果が発揮される。また、係合面24Aは、1つの突起24A1又は溝24A2を有するものでも良い。
また、係合面24Aは、平面状でも良い。この場合、当接部82及び係合面24Aは、両者間(当接部分)の摩擦力が、付勢部83が付勢力を発揮可能な値(所定値)以上となるように構成されている。また、係合面24Aが平面状である場合、例えば、係合面24Aがディスクロータ1に向かうほどロータ径方向外側に位置するように傾斜させても良い。
また、付勢部材8は、内周支持軸242、243周辺以外の部位に配置されても良い。付勢部材8は、ブレーキパッド4のロータ軸方向への移動に対する摺動抵抗が高い部位周辺に設置されることが好ましい。付勢部材8は、外周支持軸241に対して設けられても良い。この場合、当接部82を外周支持軸241に当接させることができる。また、ブレーキパッド4を支持軸部24で支持する構成でないキャリパアセンブリに対しても、当接部82とキャリパ20の支持部とを当接させることで、配置自由度及び組み付け性の向上と、引き摺り発生の抑制とを両立させることができる。本発明の支持部は、内周支持軸242、243に限らず、キャリパ20の他の部位であっても良い。例えば支持部は、ロータ軸方向に延びている部位であって、キャリパ20に設けられた肉厚部分であっても良い。また、内シム6の第一爪部815に対応する位置に凹部又は貫通孔が設けられても良い。なお、ロータ軸方向に移動可能(又は摺動可能)とは、ロータ軸方向に延びる直線に沿って移動可能(又は摺動可能)ともいえる。
A…ディスクブレーキ装置、1…ディスクロータ、2…キャリパアセンブリ、242、243…内周支持軸(支持部、支持軸)、3…ピストン、4…ブレーキパッド、41…摩擦材、42…裏板、423…溝部、423a…係合部、424…係合部、5…板バネ、6…内シム、7…外シム、8…付勢部材、81…固定部、815…第一爪部、816…第二爪部、82…当接部、83…付勢部。
Claims (6)
- ディスクロータの外周部の一部分を跨ぐように配置されるキャリパと、
前記ディスクロータを介して対向配置され、前記キャリパに対して前記ディスクロータの軸方向であるロータ軸方向に移動可能に組み付けられた一対のブレーキパッドと、
前記キャリパに組み付けられ前記ブレーキパッドを前記ディスクロータに向けて押圧するピストンと、
前記ブレーキパッドを付勢する付勢部材と、
を備え、
前記付勢部材は、前記ブレーキパッドに固定される固定部と、前記キャリパに一体的に形成された前記ロータ軸方向に延びる支持部に当接する当接部と、前記固定部と前記当接部を接続するとともに前記ディスクロータから離れる方向に前記固定部を付勢する付勢部と、を備えるディスクブレーキ装置。 - 前記キャリパは、前記支持部として前記ブレーキパッドを前記ロータ軸方向に移動可能に支持する支持軸を有し、
前記当接部は、前記支持軸に当接する請求項1に記載のディスクブレーキ装置。 - 前記支持軸は、前記ブレーキパッドの前記ディスクロータの径方向であるロータ径方向の内側部位に当接する請求項2に記載のディスクブレーキ装置。
- 前記支持軸は、前記当接部に係合する波形状に形成された係合面を有する請求項2又は3に記載のディスクブレーキ装置。
- 前記ブレーキパッドは、摩擦材と、前記摩擦材を支持する裏板と、を備え、
前記裏板は、前記固定部に設けられた爪部と係合する係合部を有する請求項1〜4の何れか一項に記載のディスクブレーキ装置。 - 前記ブレーキパッドは、摩擦材と、前記摩擦材を支持する裏板と、を備え、
前記裏板は、前記固定部の一部を収容する溝部を備える請求項1〜5の何れか一項に記載のディスクブレーキ装置。
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Family Applications (1)
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JP2016233331A Abandoned JP2018091367A (ja) | 2016-11-30 | 2016-11-30 | ディスクブレーキ装置 |
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JP (1) | JP2018091367A (ja) |
-
2016
- 2016-11-30 JP JP2016233331A patent/JP2018091367A/ja not_active Abandoned
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