JP2015121307A - ディスクブレーキ - Google Patents
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Abstract
【課題】簡素な構造により、ピストンを良好に引き戻すことができる、ディスクブレーキを提供する。【解決手段】シリンダボディ21の内周壁面24は、第1内周壁面241と、第1内周壁面241に対してフルード出入口25側に形成され、第1内周壁面241よりも内径の小さい第2内周壁面242と、第1内周壁面241と第2内周壁面242とに接続される第3内周壁面243とを含む。ピストン22は、第1内周壁面241と間隔を空けて対向する第1側面271と、第2内周壁面242と間隔を空けて対向する第2側面272と、第3内周壁面243と間隔を空けて対向する第3側面273とを含む。ピストンシール23は、第1内周壁面241および第1側面271に液密的に当接する第1ピストンシール231と、第2内周壁面242および第2側面272に液密的に当接する第2ピストンシール232とを含む。【選択図】図1
Description
本発明は、自動車などに搭載されるディスクブレーキに関する。
従来、自動車などに搭載されるブレーキとして、ディスクブレーキが広く知られている。ディスクブレーキは、車輪とともに回転するディスクロータ(ブレーキロータ)にその両側からブレーキパッドを押圧させて、ディスクロータを摩擦抵抗により制動する機構である。
ディスクブレーキは、ブレーキパッドをディスクロータに押圧させるために、シリンダボディ(キャリパボディ)およびピストンを備えている。ピストンは、シリンダボディに内装され、ブレーキパッドに対してディスクロータと反対側に、ブレーキパッドとディスクロータとの対向方向に移動可能に設けられている。ピストンの周囲には、ピストンシールが設けられ、シリンダボディとピストンとの間は、ピストンシールで封止されている。
ブレーキが作動されるときには、シリンダボディとピストンとの間にブレーキフルードが供給される。これにより、ピストンに加わる油圧が上がり、ピストンシールの弾性変形を伴って、ピストンがディスクロータ側に進出する。ブレーキパッドは、その進出するピストンに押されて、ディスクロータに押圧される。ブレーキ(制動)の解除の際には、シリンダボディとピストンとの間からブレーキフルードが抜けて、ピストンに加わる油圧が下がり、ピストンシールの復元により、ピストンがシリンダボディ側に引き戻される。その結果、ディスクロータに対するブレーキパッドの押圧が解除される。
ピストンは、ピストンシールが接触する1箇所において、ピストンシールにより支持されている。そのため、ブレーキパッドの偏摩耗などが原因で、ピストンがピストンシールを支点にディスクロータの回転軸線に対して傾き、ピストンがシリンダの内壁面に接触するおそれがある。ピストンがシリンダの内壁面に接触していると、ピストンの移動時に、ピストンがシリンダの内壁面から摺動抵抗を受け、ピストンの動きが悪くなる。その結果、ピストンに加わる油圧が下がっても、ピストンの引き戻し量が不十分なために、ブレーキパッドがディスクロータから離間せず、ディスクロータにブレーキパッドによる引きずり抵抗が加わるおそれがある。
そこで、ピストンシールに対してディスクロータ側と反対側に間隔を空けた位置に、弾性部材からなる支持材を設けて、ピストンシールおよび支持材により、ピストンを2箇所で支持する構成が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。この構成では、ピストンがディスクロータの回転軸線に対して傾くことを抑制できる。しかしながら、支持材の両側でブレーキフルードを相互に流通させて、ピストンが支持材から受ける摺動抵抗の増大を防止するために、支持材がピストンに液密的ではなく当接している。そのため、支持材の復元によりピストンに付与される引き戻し力(支持材の復元によるピストンの引き戻し効果)は小さい。また、支持材によりピストンを支持する力も小さいため、ピストンの傾きの抑止力も小さい。
また、ブレーキパッドをディスクロータから離間させる方向のばね力をブレーキパッドに付与するパッドクリップを設け、ブレーキの解除の際に、そのばね力により、ブレーキパッドをディスクロータから良好に離間させる構成が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
かかる2つの構成を組み合わせれば、ピストンの傾きを抑制できながら、ピストンに十分な引き戻し力を付与することが可能な構成を得ることができるが、構造が複雑になり、ディスクブレーキのコストが増大する。
本発明の目的は、簡素な構造により、ピストンを良好に引き戻すことができる、ディスクブレーキを提供することである。
前記の目的を達成するため、本発明の一の局面に係るディスクブレーキは、ディスクロータにブレーキパッドを押圧させて、ディスクロータを摩擦抵抗により制動するディスクブレーキであって、流体を出入りさせるための流体出入口が形成されたシリンダボディと、シリンダボディ内に往復移動可能に設けられたピストンと、シリンダボディとピストンとの間に介在されたピストンシールとを備え、シリンダボディは、ピストンの移動方向に延び、移動方向と直交する方向の寸法が相対的に大きい第1内周壁面と、第1内周壁面に対して流体出入口側に形成され、ピストンの移動方向に延び、移動方向と直交する方向の寸法が相対的に小さい第2内周壁面と、第1内周壁面と第2内周壁面とに接続され、移動方向と交差する方向に延びる第3内周壁面とを有し、ピストンは、第1内周壁面と間隔を空けて対向する第1側面と、第2内周壁面と間隔を空けて対向する第2側面と、第3内周壁面と間隔を空けて対向する第3側面とを有し、ピストンシールは、第1内周壁面および第1側面に液密的に当接する第1ピストンシールと、第2内周壁面および第2側面に液密的に当接する第2ピストンシールとを含む。
この構成によれば、シリンダボディとピストンとの間に流体が供給されると、ピストンに加わる流体圧が上がり、ピストンシールの弾性変形を伴って、ピストンがディスクロータ側に進出する。シリンダボディとピストンとの間から流体が抜けると、ピストンに加わる流体圧が下がり、ピストンシールの復元に伴って、ピストンがシリンダボディ側に退避する。
ピストンシールは、第1ピストンシールおよび第2ピストンシールを含む。第1ピストンシールおよび第2ピストンシールは、互いに異なる位置において、ピストンに当接し、ピストンを支持する。これにより、ピストンが移動方向に異なる2箇所で支持されるので、ピストンがディスクロータの回転軸線に対して傾くことを抑制できる。
また、第1ピストンシールおよび第2ピストンシールは、ピストンに液密的に当接している。そのため、流体出入口からシリンダボディ内に流入する流体は、シリンダボディとピストンとの間における第2ピストンシールよりも流体出入口側の部分に留まり、第2ピストンシールよりも第1ピストンシール側に流入しない。これにより、シリンダボディとピストンとの間には、第1ピストンシールと第2ピストンシールとにより密閉された空間である空気室が形成されている。
シリンダボディとピストンとの間に流体が供給されて、ピストンがディスクロータ側に進出すると、シリンダボディの第3内周壁面とピストンの第3側面との間隔が広がり、空気室の体積が増えて、空気室内が負圧になる。シリンダボディとピストンとの間から流体が抜け、ピストンに加わる流体圧が下がると、空気室内の負圧がピストンを退避方向に移動させる引き戻し力としてピストンに加わる。その結果、ピストンには、第1ピストンシールおよび第2ピストンシールの復元による引き戻し力と空気室内の負圧による引き戻し力とが付与される。そのため、ピストンに十分な引き戻し力を付与することができる。
よって、ピストンにばね力を引き戻し力として付与する部材などを追加することなく、簡素かつ低コストな構成により、ブレーキの作動が解除されたときに、ピストンを良好に引き戻すことができる。
その結果、ピストンの退避に伴って、ブレーキパッドをディスクロータから良好に引き離すことができる。これにより、ブレーキパッドからディスクロータに加わる引きずり抵抗を低減することができ、ブレーキパッドの摩耗を抑制することができる。ディスクブレーキが自動車などの車両に搭載される場合には、ブレーキパッドからディスクロータに加わる引きずり抵抗の低減により、車両の走行燃費を向上させることができる。
また、第3内周壁面および第3側面の面積を変更して、空気室の体積を変更することにより、ピストンがディスクロータ側に進出したときに生じる負圧の大きさを調整することができ、ひいては、ピストンに付与される引き戻し力を調整することができる。
本発明の他の局面に係るブレーキキャリパは、ディスクロータにブレーキパッドを押圧させて、ディスクロータを摩擦抵抗により制動するディスクブレーキであって、流体を出入りさせるための流体出入口が形成されたシリンダボディと、シリンダボディ内に往復移動可能に設けられたピストンと、シリンダボディとピストンとの間に介在されたピストンシールとを備え、シリンダボディは、ピストンの移動方向に延び、移動方向と直交する方向の寸法が相対的に大きい第1内周壁面と、第1内周壁面に対して流体出入口側に形成され、ピストンの移動方向に延び、移動方向と直交する方向の寸法が相対的に小さい第2内周壁面と、第1内周壁面と第2内周壁面とに接続され、移動方向と交差する方向に延びる第3内周壁面とを有し、ピストンは、第1内周壁面と間隔を空けて対向する第1側面と、第2内周壁面と間隔を空けて対向する第2側面と、第3内周壁面と間隔を空けて対向する第3側面とを有し、ピストンシールは、第1内周壁面および第1側面に液密的に当接する第1ピストンシールと、第2内周壁面および第2側面に液密的に当接する第2ピストンシールとを含む。
このブレーキキャリパがディスクブレーキに用いられることにより、前述した作用効果と同様の作用効果を発揮することができる。
本発明によれば、ピストンにばね力を引き戻し力として付与する部材などを追加することなく、簡素な構成により、ブレーキの作動が解除されたときに、ピストンを良好に引き戻すことができる。
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1および図2は、本発明の一実施形態に係るディスクブレーキ1の断面図である。
ディスクブレーキ1は、フローティングタイプ(浮動型)のディスクブレーキであり、たとえば、自動車などの車両に搭載される。ディスクブレーキ1は、車輪と一体的に回転するディスクロータ2と、ブレーキ作動時(制動時)にディスクロータ2に押圧されるブレーキパッド3と、ブレーキパッド3をディスクロータ2に押圧させるブレーキキャリパ4とを含む。
ブレーキパッド3は、バックプレート(裏金)11の一方面にライニング12を貼り合わせた構成を有している。ブレーキパッド3は、ブレーキキャリパ4に保持されており、ディスクロータ2の左右両側(車幅方向の外側および内側)に、それぞれライニング12をディスクロータ2に向けて配置されている。ブレーキ作動時には、各ブレーキパッド3のライニング12がディスクロータ2に押圧されることにより、ブレーキパッド3からディスクロータ2に摩擦抵抗が付与され、その摩擦抵抗により、ディスクロータ2が制動される。ブレーキパッド3の新品時におけるライニング12の厚さは、たとえば、10mmであり、その場合におけるブレーキパッド3(ライニング12)の摩耗限界は、たとえば、ライニング12の厚さが残り2mmまで減ったときである。
ブレーキキャリパ4は、シリンダボディ21、ピストン22およびピストンシール23を備えている。
シリンダボディ21は、金属からなり、たとえば、ディスクロータ2に対する車幅方向の内側であって、内側のブレーキパッド3のさらに内側に配置されている。シリンダボディ21は、車両に保持されて、スライドピン(図示せず)に沿って車幅方向に移動可能に設けられている。
シリンダボディ21は、ディスクロータ2側(車幅方向の外側)に開放され、その反対側に閉塞されており、中心線が車幅方向に延びる筒状の内周壁面24を有している。
内周壁面24は、第1内周壁面241、第2内周壁面242および第3内周壁面243を含む。第1内周壁面241は、中心線が車幅方向に延びる円筒状をなしている。第2内周壁面242は、第1内周壁面241に対してディスクロータ2と反対側(車幅方向の内側)に形成されている。第2内周壁面242は、中心線が車幅方向に延び、第1内周壁面241より小さい内径を有する円筒状をなしている。第3内周壁面243は、第1内周壁面241おける車幅方向内側の端縁と第2内周壁面242における車幅方向外側の端縁とに接続され、内周壁面24の中心線と直交する方向に延びている。
シリンダボディ21の車幅方向内側の端部には、フルード出入口25が形成されている。フルード出入口25は、たとえば、シリンダボディ21を車幅方向に貫通して形成されている。フルード出入口25には、フルード供給管26が接続されている。シリンダボディ21内には、ブレーキフルードがフルード出入口25およびフルード供給管26を介して出入りする。
ピストン22は、たとえば、金属からなり、シリンダボディ21の内周壁面24の内側に、車幅方向(内周壁面24の中心線方向)に往復移動可能に設けられている。ピストン22は、ディスクロータ2側に開放され、その反対側が閉塞されており、シリンダボディ21の内周壁面24に対応した形状の周壁27を備えている。
周壁27の外側面は、第1側面271、第2側面272および第3側面273を含む。第1側面271は、シリンダボディ21の第1内周壁面241よりも小さい外径を有する円筒状をなし、シリンダボディ21の第1内周壁面241と間隔を空けて対向している。第2側面272は、シリンダボディ21の第2内周壁面242よりも小さい外径を有する円筒状をなし、シリンダボディ21の第2内周壁面242と間隔を空けて対向している。第3側面273は、第1側面271の車幅方向内側の端縁と第2側面272の車幅方向外側の端縁とに接続され、内周壁面24の中心線と直交する方向に延び、シリンダボディ21の第3内周壁面243に対して車幅方向外側から間隔を空けて対向している。
周壁27におけるディスクロータ2側の端面28には、複数個(たとえば、2〜4個)の突出部29がディスクロータ2側に突出して形成されている。複数個の突出部29は、たとえば、等角度間隔で配置されている。各突出部29は、周壁27の周方向に幅を有し、周壁27の径方向に延びる平面で切断したときの断面形状が先細りとなるように形成されている。具体的には、各突出部29は、先端に近づくにつれて径が小さくなる略円筒形状(円錐台形状)に形成されている。
ピストン22側のブレーキパッド3(以下、「インナパッド3」という。)には、ピストン22の各突出部29に対応して、複数個の凹部32が形成されている。各凹部32は、バックプレート11を貫通し、ライニング12に掘り下がっている。各凹部32は、突出部29の先端における外径とほぼ等しい径を有する円柱状に形成されている。ピストン22の各突出部29は、凹部32に圧入されており、これにより、インナパッド3とピストン22とが一体化されている。
各突出部29のディスクロータ2側の端部の位置は、インナパッド3の摩耗限界に応じた位置に設定されている。すなわち、ライニング12の厚さが残り2mmで摩耗限界に達する場合、突出部29のディスクロータ2側の端部の位置は、バックプレート11とライニング12との接合面から2mm離れた位置に設定されている。
ピストンシール23は、第1ピストンシール231および第2ピストンシール232を含む。
第1ピストンシール231は、ゴムなどの弾性部材からなり、ピストン22の第1側面271の周囲を取り囲む円環状をなしている。シリンダボディ21の第1内周壁面241には、凹状のシール嵌合部30がその全周にわたって形成されている。第1ピストンシール231は、シール嵌合部30に嵌合されて、第1内周壁面241に対して突出している。第1ピストンシール231は、第1内周壁面241および第1側面271に液密的に当接し、ピストン22を支持している。
第2ピストンシール232は、ゴムなどの弾性部材からなり、ピストン22の第2側面272の周囲を取り囲む円環状をなしている。シリンダボディ21の第2内周壁面242には、凹状のシール嵌合部31がその全周にわたって形成されている。第2ピストンシール232は、シール嵌合部31に嵌合されて、第2内周壁面242に対して突出している。第2ピストンシール232の先端部は、第2内周壁面242および第2側面272に液密的に当接し、ピストン22を支持している。
車両のブレーキペダル(図示せず)が踏まれると、フルード供給管26からフルード出入口25を介してシリンダボディ21とピストン22との間に、ブレーキフルードが供給される。第2ピストンシール232がシリンダボディ21の第2内周壁面242およびピストン22の第2側面272に液密的に当接しているので、ブレーキフルードは、シリンダボディ21とピストン22との間における第2ピストンシール232よりもフルード出入口25側の部分に留まり、第2ピストンシール232よりも第1ピストンシール231側に流入しない。これにより、ディスクブレーキ1では、シリンダボディ21とピストン22との間に、第1ピストンシール231と第2ピストンシール232とにより密閉された空間である空気室33が形成されている。
シリンダボディ21内にブレーキフルードが供給されると、ピストン22におけるディスクロータ2と反対側の端面に加わる油圧が上がり、図2に示されるように、第1ピストンシール231および第2ピストンシール232の弾性変形を伴って、ピストン22がディスクロータ2側に進出する。ピストン22がディスクロータ2側に進出すると、シリンダボディ21の第3内周壁面243とピストン22の第3側面273との間隔が広がり、空気室33の体積が増えて、空気室33内が負圧になる。
ピストン22の各突出部29がインナパッド3の凹部32に圧入されているので、インナパッド3は、ピストン22と一体的に移動し、そのライニング12の先端面がディスクロータ2に押圧される。油圧がさらに上がると、インナパッド3がそれ以上に移動不能なため、インナパッド3がディスクロータ2に押圧された状態のまま、ブレーキキャリパ4がスライドピンに沿ってピストン22の進出方向と逆方向に移動する。この移動により、ピストン22側と反対側のブレーキパッド3(以下、「アウタパッド3」という。)がディスクロータ2側に移動し、そのライニング12の先端面がディスクロータ2に押圧される。その結果、ディスクロータ2がインナパッド3およびアウタパッド3に両側から挟まれて、ディスクロータ2が制動される。
ブレーキペダルの踏み込みが解除されると、シリンダボディ21内からフルード出入口25を介してフルード供給管26にブレーキフルードが抜ける。これにより、ピストン22に加わる油圧が下がる。ピストン22に加わる油圧が下がると、空気室33内の負圧がピストン22を退避方向に移動させる引き戻し力としてピストン22に作用する。また、第1ピストンシール231および第2ピストンシール232の復元力が引き戻し力としてピストン22に作用する。そのため、ピストン22には、十分に大きな引き戻し力が付与される。この十分な引き戻し力により、ピストン22がシリンダボディ21側に良好に退避させることができる。また、ブレーキキャリパ4をスライドピンに沿ってピストン22の退避方向と逆方向に移動させることができる。
また、第1ピストンシール231および第2ピストンシール232は、それぞれピストン22の第1側面271および第2側面272に当接し、ピストン22を支持している。これにより、ピストン22がディスクロータ2の回転軸線の方向に異なる2箇所で支持されるので、ピストン22がディスクロータ2の回転軸線に対して傾くことを抑制できる。
よって、ピストン22にばね力を引き戻し力として付与する部材などを追加することなく、簡素な構成により、ブレーキの作動が解除されたときに、ピストン22を良好に引き戻すことができる。その結果、ピストン22の退避に伴って、インナパッド3およびアウタパッド3をディスクロータ2から良好に引き離すことができる。これにより、インナパッド3およびアウタパッド3からディスクロータ2に加わる引きずり抵抗を低減することができ、インナパッド3およびアウタパッド3の摩耗を抑制することができる。ひいては、インナパッド3およびアウタパッド3からディスクロータ2に加わる引きずり抵抗の低減により、車両の走行燃費を向上させることができる。
また、ディスクブレーキ1では、第3内周壁面243および第3側面273の面積を変更して、空気室33の体積を変更することにより、ピストン22がディスクロータ2側に進出したときに空気室33に生じる負圧の大きさを調整することができ、ひいては、ピストン22に付与される引き戻し力を調整することができる。
ピストン22の突出部29がインナパッド3に圧入されているので、ピストン22が移動すると、インナパッド3がピストン22と一体的に移動する。そのため、ピストン22の退避に伴って、インナパッド3をディスクロータ2から良好に引き離すことができる。これにより、インナパッド3からディスクロータ2に加わる引きずり抵抗を低減することができる。その結果、インナパッド3の摩耗を抑制することができ、ひいては、車両の走行燃費を向上させることができる。
また、突出部29がインナパッド3に圧入されているので、インナパッド3の摩耗が進むと、突出部29の先端がインナパッド3におけるディスクロータ2との接触面に露出し、ブレーキ作動時に、その露出した突出部29の先端がディスクロータ2に摺擦して、摺擦音が発生する。これにより、突出部29がバッドウェアインジケータを兼ねることができ、インナパッド3の摩耗限界を運転者に知らせて、インナパッド3の交換を運転者に促すことができる。
そのうえ、ピストン22の突出部29がインナパッド3に圧入される構造は、簡素であり、加工および組立てが容易であるので、低コストで実現することができる。すなわち、ピストン22の突出部29をインナパッド3の凹部32に圧入することにより、インナパッド3をピストン22と容易に一体化させることができる。一方、ピストン22の突出部29をインナパッド3の凹部32から抜くことにより、インナパッド3をピストン22から容易に分離させることができる。よって、インナパッド3の交換も容易に行うことができる。
また、突出部29が断面先細り形状に形成され、凹部32が突出部29の先端における外径とほぼ等しい径を有する円柱状に形成されているので、突出部29の基端に近づくにつれて、突出部29とインナパッド3との接触圧が高くなる。そのため、突出部29を凹部32に容易に圧入することができながら、インナパッド3とピストン22との高い接続強度を安定して発揮することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、シリンダボディ21の第1内周壁面241および第2内周壁面242ならびにピストン22の第1側面271および第2側面272は、円筒状に限らず、角筒状をなしていてもよい。
また、シリンダボディ21の第3内周壁面243およびピストン22の第3側面273は、内周壁面24の中心線と直交する方向に延びているとしたが、内周壁面24の中心線に対して傾斜して交差する方向に延びていてもよい。
前述の構成では、シリンダボディ21の内周壁面24が第1内周壁面241および第2内周壁面242の内径の相違による1つの段差(第3内周壁面243)を有しているが、内周壁面24は、第1内周壁面241および第2内周壁面242以外に、中心線が車幅方向に延び、第1内周壁面241および第2内周壁面242と車幅方向と直交する方向の寸法が異なる内周壁面をさらに備えることにより、2つ以上の段差を有していてもよい。
また、シリンダボディ21にシール嵌合部30,31が形成され、そのシール嵌合部30,31にそれぞれ第1ピストンシール231および第2ピストンシール232が嵌合されている構成を取り上げたが、第1ピストンシール231および第2ピストンシール232がそれぞれ嵌合されるシール嵌合部の一方または両方がピストン22に形成されていてもよい。
ディスクブレーキ1は、自動車などの車両に限らず、航空機など、制動対象の車輪を有する乗物に広く搭載することができる。
また、本発明は、フローティングタイプのディスクブレーキ1に限らず、オポーズドタイプ(対向ピストン型)のディスクブレーキに適用することもできる。
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
1 ディスクブレーキ
2 ディスクロータ
3 ブレーキパッド
21 シリンダボディ
22 ピストン
23 ピストンシール
25 フルード出入口(流体出入口)
33 空気室
231 第1ピストンシール
232 第2ピストンシール
241 第1内周壁面
242 第2内周壁面
243 第3内周壁面
271 第1側面
272 第2側面
273 第3側面
2 ディスクロータ
3 ブレーキパッド
21 シリンダボディ
22 ピストン
23 ピストンシール
25 フルード出入口(流体出入口)
33 空気室
231 第1ピストンシール
232 第2ピストンシール
241 第1内周壁面
242 第2内周壁面
243 第3内周壁面
271 第1側面
272 第2側面
273 第3側面
Claims (1)
- ディスクロータにブレーキパッドを押圧させて、ディスクロータを摩擦抵抗により制動するディスクブレーキであって、
流体を出入りさせるための流体出入口が形成されたシリンダボディと、
前記シリンダボディ内に往復移動可能に設けられたピストンと、
前記シリンダボディと前記ピストンとの間に介在されたピストンシールとを備え、
前記シリンダボディは、前記ピストンの移動方向に延び、前記移動方向と直交する方向の寸法が相対的に大きい第1内周壁面と、前記第1内周壁面に対して前記流体出入口側に形成され、前記ピストンの移動方向に延び、前記移動方向と直交する方向の寸法が相対的に小さい第2内周壁面と、前記第1内周壁面と前記第2内周壁面とに接続され、前記移動方向と交差する方向に延びる第3内周壁面とを有し、
前記ピストンは、前記第1内周壁面と間隔を空けて対向する第1側面と、前記第2内周壁面と間隔を空けて対向する第2側面と、前記第3内周壁面と間隔を空けて対向する第3側面とを有し、
前記ピストンシールは、前記第1内周壁面および前記第1側面に液密的に当接する第1ピストンシールと、前記第2内周壁面および前記第2側面に液密的に当接する第2ピストンシールとを含む、ディスクブレーキ。
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JP2013266756A JP2015121307A (ja) | 2013-12-25 | 2013-12-25 | ディスクブレーキ |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2015121307A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111133217A (zh) * | 2017-09-29 | 2020-05-08 | 日立汽车系统株式会社 | 电动盘式制动器 |
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2013
- 2013-12-25 JP JP2013266756A patent/JP2015121307A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111133217A (zh) * | 2017-09-29 | 2020-05-08 | 日立汽车系统株式会社 | 电动盘式制动器 |
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