JP2018090939A - 繊維と無機粒子の複合体 - Google Patents

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【課題】本発明の課題は、無機粒子と繊維との繊維複合体を含む製品を提供することである。【解決手段】本発明によって、無機粒子と繊維との繊維複合体を含む製品であって、前記製品が水性懸濁液、パルプ、シート、粉体、微小球形粒、顆粒、ペレット、モールド、糸、または、発泡体の形態である製品が提供される。また、繊維と無機粒子の複合体を含有する製品の製造方法であって、繊維の存在下で、溶液中で無機粒子を合成し、繊維と無機粒子の複合体を合成する工程、繊維と無機粒子の複合体の水分または粒子径を調整する工程、を含む方法を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、繊維と無機粒子の複合体を含む製品、およびその製造方法に関する。特に本発明は、繊維と無機粒子の複合体を含み、水性懸濁液、パルプ、シート、粉体、微小球形粒、顆粒、ペレット、ペースト、モールド、糸、または、発泡体の形態である製品、およびその製造方法に関する。
近年、繊維と無機粒子を結合させることによって、繊維と無機粒子の双方の特徴を持ち合わせたユニークな複合体を得ることができることがわかってきた。
例えば、特許文献1には、無機化合物と微細繊維状セルロースを混合することによって、透明性や光透過性、光拡散性を維持したままに無機化合物の特性(耐熱性、熱伝導性、抗菌性等)を付与することができることが記載されている。また、繊維上に無機粒子を析出させる技術について、特許文献2には、結晶質の炭酸カルシウムが繊維上に機械的に結合した複合体が記載されている。特許文献3には、パルプ懸濁液中で炭酸ガス法により炭酸カルシウムを析出させることによって、パルプと炭酸カルシウムの複合体を製造する技術が記載されている。特許文献4には、歩留まり向上剤によってパルプ繊維に付着した粒子材料を使用することによって、吸収性製品中の硫化水素を除去または低減する方法が記載されている。
特開2012−007247号公報 特開平06−158585号公報 米国特許第5679220号 特開2005−48351号公報
本発明の課題は、繊維と無機粒子の複合体を含む製品、およびその製造方法を提供することである。特に本発明は、繊維と無機粒子の複合体を含み、水性懸濁液、パルプ、シート、粉体、糸、微小球形粒、顆粒、ペレット、ペースト、モールド、または、発泡体の形態である製品、およびその製造方法を提供することを、その課題にする。
本発明は、これに制限されるものでないが、以下の発明を包含する。
(1) 繊維と無機粒子の複合体を含み、水性懸濁液、パルプ、シート、粉体、微小球形粒、顆粒、ペレット、モールド、糸、または、発泡体の形態である製品。
(2) 前記製品が水性懸濁液である、(1)に記載の製品。
(3) 前記水性懸濁液の水分率が90質量%以上99%質量以下である、(2)に記載の製品。
(4) 前記製品がパルプである、(1)に記載の製品。
(5) 前記パルプの水分率が10質量%以上90質量%未満である、(4)に記載の製品。
(6) 前記製品がシートである、(1)に記載の製品。
(7) 前記シートの水分率が10質量%未満である、(6)に記載の製品。
(8) 前記シートが前記複合体を内添填料として配合した紙である、(6)または(7)に記載の製品。
(9) 前記製品が粉体である、(1)に記載の製品。
(10) 前記粉体の平均粒子径が100μm未満である、(10)に記載の製品。
(11) 前記製品が微小球形粒である、(1)に記載の製品。
(12) 前記微小球形粒の平均粒子径が100μm以上、1000μm未満である、(11)に記載の製品。
(13) 前記製品が顆粒である、(1)に記載の製品。
(14) 前記顆粒の平均粒子径が1.0mm以上、10mm未満である、(13)に記載の製品。
(15) 前記製品がペレットである、(1)に記載の製品。
(16) 前記製品のペレット径が10mm以上、50mm以下である、(15)に記載の製品。
(17) 前記製品がモールドである、請求項1に記載の製品。
(18) 前記モールドの直径が5cm以上、100cm以下である、(17)に記載の製品。
(19) 前記製品が糸である、(1)に記載の製品。
(20) 前記糸の繊維径が1mm以上、10mm以下である、(19)に記載の製品。
(21) 前記製品が発泡体である、(1)に記載の製品。
(22) 前記発泡体の密度が0.01〜0.1g/cm以下である、(21)に記載の製品。
(23) 前記無機粒子の平均一次粒子径が200nm以下である、(1)〜(22)のいずれかに記載の製品。
(24) 前記無機粒子の少なくとも一部が、カルシウム、マグネシウムまたはバリウムの金属塩である、(6)〜(8)のいずれかに記載の製品。
(25) 前記無機粒子の少なくとも一部が、ケイ酸、またはアルミニウムの金属塩、あるいはチタン、銅、銀、鉄、マンガンまたは亜鉛を含む金属粒子である、(1)〜(5)、(9)〜(23)のいずれかに記載の製品。
(26) 前記繊維が、化学繊維、再生繊維または天然繊維である、(1)〜(25)のいずれかに記載の製品。
(27) 前記繊維が、木材由来のセルロース繊維である、(26)に記載の製品。
(28) 繊維と無機粒子の重量比が5/95〜95/5である、(1)〜(27)のいずれかに記載の製品。
(29) (1)〜(28)のいずれかに記載の製品を含む混合物。
(30) 繊維と無機粒子の複合体を含有する製品の製造方法であって、
繊維の存在下で、溶液中で無機粒子を合成し、繊維と無機粒子の複合体を合成する工程、
繊維と無機粒子の複合体の水分を調整する工程、
を含む上記方法。
(31) 繊維と無機粒子の複合体を含有する水性懸濁液の製造方法であって、
前記繊維と無機粒子の複合体の水分を調整する工程において、水分率を90質量%以上、99質量%以下に調整する、
(30)に記載の方法。
(32) 繊維と無機粒子の複合体を含有するパルプの製造方法であって、
前記繊維と無機粒子の複合体の水分を調整する工程において、水分率を10質量%以上、90質量%未満に調整する、
(30)に記載の方法。
(33) 繊維と無機粒子の複合体を含有するシートの製造方法であって、
前記繊維と無機粒子の複合体中の水分を調整する工程において、水分率10質量%未満に調整する、
(30)に記載の方法。
(34) 繊維と無機粒子の複合体を含有する製品の製造方法であって、
繊維の存在下で、溶液中で無機粒子を合成し、繊維と無機粒子の複合体を合成する工程、
繊維と無機粒子の複合体の粒子径を調整する工程、
を含む上記方法。
(35) 繊維と無機粒子の複合体を含有する粉体の製造方法であって、
前記繊維と無機粒子の複合体の粒子径を調整する工程において、繊維と無機粒子の複合体の平均粒子径を100μm未満に調整する、
(34)に記載の方法。
(36) 繊維と無機粒子の複合体を含有する微小球形粒の製造方法であって、
前記繊維と無機粒子の複合体の粒子径を調整する工程において、繊維と無機粒子の複合体の平均粒子径を100μm以上、1000μm未満でに調整する、
(34)に記載の方法。
(37) 繊維と無機粒子の複合体を含有する顆粒の製造方法であって、
前記繊維と無機粒子の複合体の粒子径を調整する工程において、繊維と無機粒子の複合体の平均粒子径を1.0mm以上、10mm未満に調整する、
(34)に記載の方法。
(38) 繊維と無機粒子の複合体を含有するペレットの製造方法であって、
繊維の存在下で、溶液中で無機粒子を合成し、繊維と無機粒子の複合体を合成する工程、
繊維と無機粒子の複合体をペレット化する工程、
を含む上記方法。
(39) 繊維と無機粒子の複合体の水分率を固液分離装置にて固液分離し、45質量%以上80質量%に調整する工程、
を含む、(38)に記載の方法。
(40) 繊維と無機粒子の複合体を含有するモールドの製造方法であって、
繊維の存在下で、溶液中で無機粒子を合成し、繊維と無機粒子の複合体を合成する工程、
繊維と無機粒子の複合体の水分率を固液分離装置にて固液分離し、10質量%以上35質量%に調整する工程、
を含む、上記方法。
(41) 繊維と無機粒子の複合体を含有する糸の製造方法であって、
繊維の存在下で、溶液中で無機粒子を合成し、繊維と無機粒子の繊維複合体を合成する工程、
繊維と無機粒子の複合体を撚糸加工する工程、
を含む、上記方法。
(42) 繊維と無機粒子の繊維複合体を撚糸加工する工程の前に、水分率10質量%未満に調整した繊維と無機粒子の繊維複合体を含むシートをスリット加工する工程、
を含む、(41)に記載上記方法。
(43) 繊維と無機粒子の繊維複合体を含有する発泡体の製造方法であって、
繊維の存在下で、溶液中で無機粒子を合成し、繊維と無機粒子の繊維複合体を合成する工程、
繊維と無機粒子の繊維複合体を攪拌機で撹拌する工程、
を含む、上記方法。
本発明によれば、繊維と無機粒子の繊維複合体を含む製品、およびその製造方法を提供することができる。特に本発明によれば、繊維と無機粒子の繊維複合体を含み、水性懸濁液、パルプ、シート、粉体、顆粒、微小球形粒、ペレット、ペースト 、モールド、糸、または、発泡体の形態である製品、およびその製造方法を提供することができる。
すなわち、繊維と無機粒子の繊維複合体を含み、水性懸濁液の形態である製品を得ることによって、繊維と無機粒子の繊維複合体に製造費が安価であり、かつ、製造プロセスが短く、繊維複合体を効率良く作製することができる。また、繊維と無機粒子の繊維複合体を含み、パルプ、シート、粉体、顆粒、微小球形粒の形態である製品を得ることによって、繊維と無機粒子の繊維複合体の移送や他の製品への配合が容易になる。さらに、繊維と無機粒子の繊維複合体を含み、ペレット、ペースト、モールド、糸、または、発泡体の形態である製品を得ることによって、ハンドリングが優れるとともに、単独で繊維と無機粒子の繊維複合体の機能(難燃性や不透明性、放射線遮蔽性、吸着性や抗菌性など)を有する製品が得られる。そして、繊維と無機粒子の繊維繊維複合体を含み、水性懸濁液、パルプ、シート、粉体、顆粒、微小球形粒、ペレット、ペースト、モールド、糸、または、発泡体の形態である製品を含有させることにより、繊維と無機粒子の繊維繊維複合体の機能(難燃性や不透明性、放射線遮蔽性、吸着性や抗菌性など)を付与した組成物を得ることが可能になる。
図1は、本発明のサンプル1の製造に用いた反応装置を示す概略図である。
本発明は、繊維と無機粒子の繊維複合体を含む製品、およびその製造方法に関する。特に本発明は、繊維と無機粒子の繊維複合体を含み、水性懸濁液、パルプ、シート、粉体、顆粒、微小球形粒、ペレット、ペースト、モールド、糸、または、発泡体の形態である製品、およびその製造方法に関する。
本発明においては、無機粒子と繊維とを繊維複合体化する。本発明において、繊維複合体とは、単に無機粒子と繊維とが混在しているのではなく、水素結合やファンデルワールス力等によって無機粒子が繊維の表面に結着しているものをいう。そのため、離解処理によっても無機粒子が繊維から脱落することが少ない。複合体における無機粒子と繊維の結着の強さは、例えば、灰分歩留(%、すなわち、シートの灰分÷離解前の複合体の灰分×100)といった数値によって評価することができる。具体的には、繊維複合体を水に分散させて固形分濃度0.2%に調整してJIS P 8220−1:2012に規定される標準離解機で5分間離解後、JIS P 8222:1998に従って150メッシュのワイヤーを用いてシート化した際の灰分歩留を評価に用いることができ、好ましい態様において灰分歩留は20質量%以上であり、より好ましい態様において灰分歩留は50質量%以上である。
繊維
繊維複合体を構成する繊維は、繊維であれば特に制限されないが、例えば、天然の繊維はもちろん、レーヨンやリヨセルなどの再生繊維(半合成繊維)や合成繊維などを制限なく使用することができる。繊維の原料としては、パルプ繊維(木材パルプや非木材パルプ)、セルロースナノファイバー、バクテリアセルロース、ホヤなどの動物由来セルロース、藻類が例示され、木材パルプは、木材原料をパルプ化して製造すればよい。木材原料としては、アカマツ、クロマツ、トドマツ、エゾマツ、ベニマツ、カラマツ、モミ、ツガ、スギ、ヒノキ、カラマツ、シラベ、トウヒ、ヒバ、ダグラスファー、ヘムロック、ホワイトファー、スプルース、バルサムファー、シーダ、パイン、メルクシマツ、ラジアータパイン等の針葉樹、及びこれらの混合材、ブナ、カバ、ハンノキ、ナラ、タブ、シイ、シラカバ、ハコヤナギ、ポプラ、タモ、ドロヤナギ、ユーカリ、マングローブ、ラワン、アカシア等の広葉樹及びこれらの混合材が例示される。
木材原料(木質原料)などの天然材料をパルプ化する方法は、特に限定されず、製紙業界で一般に用いられるパルプ化法が例示される。木材パルプはパルプ化法により分類でき、例えば、クラフト法、サルファイト法、ソーダ法、ポリサルファイド法等の方法により蒸解した化学パルプ;リファイナー、グラインダー等の機械力によってパルプ化して得られる機械パルプ;薬品による前処理の後、機械力によるパルプ化を行って得られるセミケミカルパルプ;古紙パルプ;脱墨パルプ等が挙げられる。木材パルプは、未晒(漂白前)の状態であってもよいし、晒(漂白後)の状態であってもよい。
非木材由来のパルプとしては、綿、ヘンプ、サイザル麻、マニラ麻、亜麻、藁、竹、バガス、ケナフ、サトウキビ、トウモロコシ、稲わら、楮(こうぞ)、みつまた等が例示される。
パルプ繊維は、未叩解及び叩解のいずれでもよく、繊維複合体シートの物性に応じて選択すればよいが、叩解を行う方が好ましい。これにより、シート強度の向上並びに無機粒子の定着促進が期待できる。
また、これらセルロース原料はさらに処理を施すことで、微粉砕セルロース、酸化セルロースなどの化学変性セルロース、およびセルロースナノファイバー:CNF(ミクロフィブリル化セルロース:MFC、TEMPO酸化CNF、リン酸エステル化CNF、カルボキシメチル化CNF、機械粉砕CNFなど)として使用することもできる。本発明で用いる微粉砕セルロースとしては、一般に粉末セルロースと呼ばれるものと、上記機械粉砕CNFのいずれも含む。粉末セルロースとしては、例えば、精選パルプを未処理のまま機械粉砕したもの、もしくは、酸加水分解した後に得られる未分解残渣を精製・乾燥し、粉砕・篩い分けするといった方法により製造される棒軸状である一定の粒径分布を有する結晶性セルロース粉末を用いてもよいし、KCフロック(日本製紙製)、セオラス(旭化成ケミカルズ製)、アビセル(FMC社製)などの市販品を用いてもよい。粉末セルロースにおけるセルロースの重合度は好ましくは100〜1500程度であり、X線回折法による粉末セルロースの結晶化度は好ましくは70〜90%であり、レーザー回折式粒度分布測定装置による体積平均粒子径は好ましくは1μm以下100μm以下である。本発明で用いる酸化セルロースは、例えばN−オキシル化合物、及び、臭化物、ヨウ化物若しくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物の存在下で酸化剤を用いて水中で酸化することで得ることができる。セルロースナノファイバーとしては、上記セルロース原料を解繊する方法が用いられる。解繊方法としては、例えばセルロースや酸化セルロース等の化学変性セルロースの水懸濁液等を、リファイナー、高圧ホモジナイザー、グラインダー、一軸または多軸混練機、ビーズミル等による機械的な磨砕、ないし叩解することにより解繊する方法を使用することができる。上記方法を1種または複数種類組み合わせてセルロースナノファイバーを製造してもよい。製造したセルロースナノファイバーの繊維径は電子顕微鏡観察などで確認することができ、例えば5nm〜1000nm、好ましくは5nm〜500nm、より好ましくは5nm〜300nmの範囲にある。このセルロースナノファイバーを製造する際、セルロースを解繊及び/又は微細化する前及び/又は後に、任意の化合物をさらに添加してセルロースナノファイバーと反応させ、水酸基が修飾されたものにすることもできる。修飾する官能基としては、アセチル基、エステル基、エーテル基、ケトン基、ホルミル基、ベンゾイル基、アセタール、ヘミアセタール、オキシム、イソニトリル、アレン、チオール基、ウレア基、シアノ基、ニトロ基、アゾ基、アリール基、アラルキル基、アミノ基、アミド基、イミド基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロピオニル基、プロピオロイル基、ブチリル基、2−ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、フロイル基、シンナモイル基等のアシル基、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアノイル基等のイソシアネート基、メチル基、エチル基、プロピル基、2−プロピル基、ブチル基、2−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基等のアルキル基、オキシラン基、オキセタン基、オキシル基、チイラン基、チエタン基等が挙げられる。これらの置換基の中の水素が水酸基、カルボキシ基等の官能基で置換されても構わない。また、アルキル基の一部が不飽和結合になっていても構わない。これらの官能基を導入するために使用する化合物としては特に限定されず、例えば、リン酸由来の基を有する化合物、カルボン酸由来の基を有する化合物、硫酸由来の基を有する化合物、スルホン酸由来の基を有する化合物、アルキル基を有する化合物、アミン由来の基を有する化合物等が挙げられる。リン酸基を有する化合物としては特に限定されないが、リン酸、リン酸のリチウム塩であるリン酸二水素リチウム、リン酸水素二リチウム、リン酸三リチウム、ピロリン酸リチウム、ポリリン酸リチウムが挙げられる。更にリン酸のナトリウム塩であるリン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウムが挙げられる。更にリン酸のカリウム塩であるリン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム、ポリリン酸カリウムが挙げられる。更にリン酸のアンモニウム塩であるリン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウムなどが挙げられる。これらのうち、リン酸基導入の効率が高く、工業的に適用しやすい観点から、リン酸、リン酸のナトリウム塩、リン酸のカリウム塩、リン酸のアンモニウム塩が好ましく、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムがより好ましいが、特に限定されない。カルボキシル基を有する化合物としては特に限定されないが、マレイン酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、イタコン酸等のジカルボン酸化合物やクエン酸、アコニット酸などトリカルボン酸化合物が挙げられる。カルボキシル基を有する化合物の酸無水物としては特に限定されないが、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、無水イタコン酸等のジカルボン酸化合物の酸無水物が挙げられる。カルボキシル基を有する化合物の誘導体としては特に限定されないが、カルボキシル基を有する化合物の酸無水物のイミド化物、カルボキシル基を有する化合物の酸無水物の誘導体が挙げられる。カルボキシル基を有する化合物の酸無水物のイミド化物としては特に限定されないが、マレイミド、コハク酸イミド、フタル酸イミド等のジカルボン酸化合物のイミド化物が挙げられる。カルボキシル基を有する化合物の酸無水物の誘導体としては特に限定されない。例えば、ジメチルマレイン酸無水物、ジエチルマレイン酸無水物、ジフェニルマレイン酸無水物等の、カルボキシル基を有する化合物の酸無水物の少なくとも一部の水素原子が置換基(例えば、アルキル基、フェニル基等)で置換されたものが挙げられる。上記カルボン酸由来の基を有する化合物のうち、工業的に適用しやすく、ガス化しやすいことから、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸が好ましいが、特に限定されない。また、化学的に結合させなくても、修飾する化合物がセルロースナノファイバーに物理的に吸着する形でセルロースナノファイバーを修飾してもよい。物理的に吸着する化合物としては界面活性剤等が挙げられ、アニオン性、カチオン性、ノニオン性いずれを用いてもよい。セルロースを解繊及び/又は粉砕する前に上記の修飾を行った場合、解繊及び/又は粉砕後にこれらの官能基を脱離させ、元の水酸基に戻すこともできる。以上のような修飾を施すことで、セルロースナノファイバーの解繊を促進したり、セルロースナノファイバーを使用する際に種々の物質と混合しやすくしたりすることができる。
合成繊維と繊維との複合繊維も本発明において使用することができ、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、アクリル繊維、ガラス繊維、炭素繊維、各種金属繊維などと繊維との複合繊維も使用することができる。
以上に示した繊維は単独で用いても良いし、複数を混合しても良い。中でも、木材パルプを含むか、若しくは、木材パルプと非木材パルプ及び/又は合成繊維との組み合わせを含むことが好ましく、木材パルプのみであることがより好ましい。
好ましい態様において、本発明の繊維複合体を構成する繊維はセルロース繊維、またはパルプ繊維である。また、例えば、製紙工場の排水から回収された繊維状物質を本発明の炭酸化反応に供給してもよい。このような物質を反応槽に供給することにより、種々の複合粒子を合成することができ、また、形状的にも繊維状粒子などを合成することができる。
本発明においては、繊維の他にも、炭酸化反応には直接的に関与しないが、生成物である無機粒子に取り込まれて複合粒子を生成するような物質を用いることができる。本発明にいては、パルプ繊維を始めとする繊維を使用するが、それ以外にも無機粒子、有機粒子、ポリマーなどを含む溶液中で無機粒子を合成することによって、さらにこれらの物質が取り込まれた複合粒子を製造することが可能である。
複合化する繊維の繊維長は特に制限されないが、例えば、平均繊維長が0.1μm〜15mm程度とすることができ、1μm〜12mm、100μm〜10mm、500μm〜8mmなどとしてもよい。
無機粒子
本発明において、繊維と複合化する無機粒子は特に制限されないが、水に不溶性または難溶性の無機粒子であることが好ましい。無機粒子の合成を水系で行う場合があり、また、繊維複合体を水系で使用することもあるため、無機粒子が水に不溶性または難溶性であると好ましい。
ここで言う無機粒子とは、金属もしくは金属化合物のことを言う。また金属化合物とは、金属の陽イオン(例えば、Na、Ca2+、Mg2+、Al3+、Ba2+など)と陰イオン(例えば、O2−、OH、CO 2−、PO 3−、SO 2−、NO−、Si 2−、SiO 2−、Cl、F、S2−など)がイオン結合によって結合してできた、一般に無機塩と呼ばれるものを言う。本発明において、無機粒子の少なくとも一部が、カルシウム、マグネシウムまたはバリウムの金属塩、または、無機粒子の少なくとも一部が、ケイ酸、またはアルミニウムの金属塩、あるいはチタン、銅、銀、鉄、マンガンまたは亜鉛を含む金属粒子であることが好ましい。
これら無機粒子の合成法は公知の方法によることができ、気液法と液液法のいずれでも良い。気液法の一例としては炭酸ガス法があり、例えば水酸化マグネシウムと炭酸ガスを反応させることで、炭酸マグネシウムを合成することができる。液液法の例としては、酸(塩酸、硫酸など)と塩基(水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなど)を中和によって反応させさたり、無機塩と酸もしくは塩基を反応させたり、無機塩同士を反応させたりする方法が挙げられる。例えば、水酸化バリウムと硫酸を反応させることで硫酸バリウムを得たり、硫酸アルミニウムと水酸化ナトリウムを反応させることで水酸化アルミニウムを得たり、炭酸カルシウムと硫酸アルミニウムを反応させることでカルシウムとアルミニウムが複合化した無機粒子を得ることができる。また、このようにして無機粒子を合成する際、反応液中に任意の金属や金属化合物を共存させることもでき、この場合はそれらの金属もしくは金属化合物が無機粒子中に効率よく取り込まれ、複合化できる。例えば、炭酸カルシウムにリン酸を添加してリン酸カルシウムを合成する際に、二酸化チタンを反応液中に共存させることで、リン酸カルシウムとチタンの複合粒子を得ることができる。
炭酸カルシウムを合成する場合であれば、例えば、炭酸ガス法、可溶性塩反応法、石灰・ソーダ法、ソーダ法などによって炭酸カルシウムを合成することができ、好ましい態様において、炭酸ガス法によって炭酸カルシウムを合成する。
一般に、炭酸ガス法によって炭酸カルシウムを製造する場合、カルシウム源として石灰(ライム)が使用され、生石灰CaOに水を加えて消石灰Ca(OH)2を得る消和工程と、消石灰に炭酸ガスCO2を吹き込んで炭酸カルシウムCaCO3を得る炭酸化工程とによって炭酸カルシウムが合成される。この際、生石灰に水を加えて調製した消石灰の懸濁液をスクリーンに通して、懸濁液中に含まれる低溶解性の石灰粒を除去してもよい。また、消石灰を直接カルシウム源としてもよい。本発明において炭酸ガス法によって炭酸カルシウムを合成する場合、キャビテーション気泡の存在下で炭酸化反応を行えばよい。
一般に、炭酸ガス法によって炭酸カルシウムを製造する際の反応容器(炭酸化反応機:カーボネーター)として、ガス吹き込み型カーボネーターと機械攪拌型カーボネーターが知られている。ガス吹き込み型カーボネーターでは、消石灰懸濁液(石灰乳)を入れた炭酸化反応槽に炭酸ガスを吹き込み、消石灰と炭酸ガスとを反応させるが、単純に炭酸ガスを吹き込むだけでは気泡の大きさを均一かつ微細に制御することが難しく、反応効率の点からは制限がある。一方、機械攪拌型カーボネーターでは、カーボネーター内部に攪拌機を設け、その攪拌機の近くに炭酸ガスを導入することによって、炭酸ガスを細かな気泡とし、消石灰と炭酸ガスとの反応効率を向上させている(『セメント・セッコウ・石灰ハンドブック』技報堂出版、1995年、495頁)。
しかし、機械攪拌型カーボネーターのように、炭酸化反応槽内部に設けた攪拌機で攪拌を行う場合、反応液の濃度が高かったり炭酸化反応が進むと反応液の抵抗が大きく十分な攪拌が困難になるため炭酸化反応を的確に制御することが難しかったり、十分な攪拌を行うには攪拌機に相当な負荷がかかりエネルギー的に不利となることがあった。また、ガスの吹込口がカーボネーターの下部にあり、攪拌をよくするために攪拌機の羽根がカーボネーターの底部の近くに設置されている。溶解性が低いライムスクリーン残渣は沈降が速いために、常に底部に滞留しており、ガス吹込口を塞いだり、攪拌機のバランスを崩したりする。さらに、従来の方法では、カーボネーターに加えて、攪拌機や、カーボネーターに炭酸ガスを導入するための設備が必要であり、設備面でもコストがかかるものであった。そして、機械攪拌型カーボネーターでは、攪拌機の近くに供給した炭酸ガスを攪拌機によって細かくすることによって消石灰と炭酸ガスとの反応効率を向上させるものの、反応液の濃度が高い場合などは十分に炭酸ガスを微細化できず、炭酸化反応の面でも、生成する炭酸カルシウムの形態等を正確に制御することが難しいことがあった。本発明においては、キャビテーション気泡の存在下で炭酸カルシウムを合成することによって、効率的に炭酸化反応を進行させ、均一な炭酸カルシウム微粒子を製造することが可能になる。特に噴流キャビテーションを用いることで、羽根などの機械的な攪拌機なしに、十分な攪拌を行うことができる。本発明においては、従来からの公知の反応容器を用いることができ、もちろん、上述したようなガス吹き込み型カーボネーターや機械攪拌型カーボネーターを問題なく使用することができ、これらの容器にノズルなどを用いた噴流キャビテーションを組合せても良い。
炭酸ガス法によって炭酸カルシウムを合成する場合、消石灰の水性懸濁液の固形分濃度は、好ましくは0.1〜40重量%、より好ましくは0.5〜30重量%、さらに好ましくは1〜20重量%程度である。固形分濃度が低いと反応効率が低く、製造コストが高くなり、固形分濃度が高すぎると流動性が悪くなり、反応効率が落ちる。本発明においては、キャビテーション気泡の存在下で炭酸カルシウムを合成するため、固形分濃度の高い懸濁液(スラリー)を用いても、反応液と炭酸ガスを好適に混合することができる。
消石灰を含む水性懸濁液としては、炭酸カルシウム合成に一般に用いられるものを使用でき、例えば、消石灰を水に混合して調製したり、生石灰(酸化カルシウム)を水で消和(消化)して調製することができる。消和する際の条件は特に制限されないが、例えば、CaOの濃度は0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、温度は20〜100℃、好ましくは30〜100℃とすることができる。また、消和反応槽(スレーカー)での平均滞留時間も特に制限されないが、例えば、5分〜5時間とすることができ、2時間以内とすることが好ましい。当然であるが、スレーカーはバッチ式であっても連続式であってもよい。なお、本発明においては炭酸化反応槽(カーボネーター)と消和反応槽(スレーカー)とを別々にしてもよく、また、1つの反応槽を炭酸化反応槽および消和反応槽として用いてもよい。
炭酸マグネシウムを合成する場合、炭酸マグネシウムの合成方法は、公知の方法によることができる。例えば、水酸化マグネシウムと炭酸ガスから重炭酸マグネシウムを合成し、重炭酸マグネシウムから正炭酸マグネシウムを経て塩基性炭酸マグネシウムを合成することができる。炭酸マグネシウムは合成方法によって重炭酸マグネシウム、正炭酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウムなどを得ることができるが、本発明の繊維複合体に係る炭酸マグネシウムは、塩基性炭酸マグネシムにすることが特に好ましい。なぜならば、重炭酸マグネシウムは安定性が比較的低く、柱状(針状)結晶である正炭酸マグネシウムは繊維へ定着しにくい場合があるためである。一方、繊維の存在下で塩基性炭酸マグネシウムにまで化学反応させることで、繊維表面をうろこ状などに被覆した炭酸マグネシウムと繊維の繊維複合体を得ることができる。
また本発明においては、反応槽の反応液を循環させて使用することができる。このように反応液を循環させて、反応液と炭酸ガスとの接触を増やすことにより、反応効率を上げ、所望の無機粒子を得ることが容易になる。
本発明においては、二酸化炭素(炭酸ガス)などのガスが反応容器に吹き込まれ、反応液と混合することができる。本発明によれば、ファン、ブロワなどの気体供給装置がなくとも炭酸ガスを反応液に供給することができ、しかも、キャビテーション気泡によって炭酸ガスが微細化されるため反応を効率よく行うことができる。
本発明において、二酸化炭素を含む気体の二酸化炭素濃度に特に制限はないが、二酸化炭素濃度が高い方が好ましい。また、インジェクターに導入する炭酸ガスの量に制限はなく適宜選択することができるが、例えば、消石灰1kgあたり100〜10000L/時の流量の炭酸ガスを用いると好ましい。
本発明の二酸化炭素を含む気体は、実質的に純粋な二酸化炭素ガスでもよく、他のガスとの混合物であってもよい。例えば、二酸化炭素ガスの他に、空気、窒素などの不活性ガスを含む気体を、二酸化炭素を含む気体として用いることができる。また、二酸化炭素を含む気体としては、二酸化炭素ガス(炭酸ガス)の他、製紙工場の焼却炉、石炭ボイラー、重油ボイラーなどから排出される排ガスを二酸化炭素含有気体として好適に用いることができる。その他にも、石灰焼成工程から発生する二酸化炭素を用いて炭酸化反応を行うこともできる。
硫酸バリウム(BaSO)を合成する場合、硫酸バリウム(BaSO)で表されるバリウムイオンと硫酸イオンからなるイオン結晶性の化合物であり、板状あるいは柱状の形態であることが多く、水には難溶性である。純粋な硫酸バリウムは無色の結晶であるが、鉄、マンガン、ストロンチウム、カルシウムなどの不純物を含むと黄褐色または黒灰色を呈し、半透明となる。天然の鉱物としても得られるが、化学反応によって合成することもできる。特に、化学反応による合成品は医薬用(X線造影剤)に用いられるほか、化学的に安定な性質を応用して塗料、プラスチック、蓄電池等に広く使用されている。
ハイドロタルサイトを合成する場合、ハイドロタルサイトの合成方法は公知の方法によることができる。例えば、反応容器内に中間層を構成する炭酸イオンを含む炭酸塩水溶液とアルカリ溶液(水酸化ナトリウムなど)に繊維を浸漬し、次いで、酸溶液(基本層を構成する二価金属イオン及び三価金属イオンとを含む金属塩水溶液)を添加し、温度、pHなどを制御して共沈反応により、ハイドロタルサイトを合成する。また、反応容器内において、酸溶液(基本層を構成する二価金属イオン及び三価金属イオンを含む金属塩水溶液)に繊維を浸漬し、次いで、中間層を構成する炭酸イオンを含む炭酸塩水溶液とアルカリ溶液(水酸化ナトリウム等)を滴下し、温度、pH等を制御して共沈反応により、ハイドロタルサイトを合成することもできる。常圧での反応が一般的ではるが、それ以外にも、オートクレーブなどを使用しての水熱反応により得る方法もある(特開昭60−6619号公報)。
本発明においては、基本層を構成する二価金属イオンの供給源として、マグネシウム、亜鉛、バリウム、カルシウム、鉄、銅、コバルト、ニッケル、マンガンの各種塩化物、硫化物、硝酸化物、硫酸化物を用いることができる。また、基本層を構成する三価金属イオンの供給源として、アルミニウム、鉄、クロム、ガリウムの各種塩化物、硫化物、硝酸化物、硫酸化物を用いることができる。
本発明においては、層間陰イオンとして陰イオンとして炭酸イオン、硝酸イオン、塩化物イオン、硫酸イオン、リン酸イオンなどを用いることができる。炭酸イオンを層間陰イオンとする場合、炭酸ナトリウムが供給源として使用される。ただし炭酸ナトリウムは、二酸化炭素(炭酸ガス)を含む気体で代替可能で、実質的に純粋な二酸化炭素ガスや、他のガスとの混合物であってもよい。例えば、製紙工場の焼却炉、石炭ボイラー、重油ボイラーなどから排出される排ガスを二酸化炭素含有気体として好適に用いることができる。その他にも、石灰焼成工程から発生する二酸化炭素を用いて炭酸化反応を行うこともできる。
繊維複合体の合成
本発明の繊維複合体は、繊維の存在下で無機粒子を合成することによって得ることができる。繊維表面が、無機粒子の析出における好適な場となるため、無機粒子と繊維との繊維複合体を合成しやすいためである。
本発明に係る繊維複合体の合成方法は、繊維を含む溶液において無機粒子を合成することを必須とするものである。例えば、繊維と無機粒子の前駆体を含む溶液を開放型の反応槽中で撹拌、混合して繊維複合体を合成しても良いし、繊維と無機粒子の前駆体を含む水性懸濁液を反応容器内に噴射することによって合成してもよい。無機物の前駆体の水性懸濁液を反応容器内に噴射する際に、キャビテーション気泡を発生させ、その存在下で無機粒子を合成してもよい。
無機粒子の前駆体の一方がアルカリ性の場合、あらかじめ繊維をアルカリ性前駆体の溶液に分散させておくと繊維を膨潤させることができるため、効率よく無機粒子と繊維の繊維複合体を得ることができる。混合後15分以上撹拌することで繊維の膨潤を促進してから反応を開始することもできるが、混合後すぐに反応を開始してもよい。また、硫酸アルミニウム(硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム等)のようにセルロースと相互作用しやすい物質を無機粒子の前駆体の一部として用いる場合には、硫酸アルミニウム側をあらかじめ繊維と混合しておくことで、無機粒子が繊維に定着する割合を向上させられることもある。
本発明においては、反応容器内にキャビテーション気泡を生じさせるような条件で液体を噴射してもよいし、キャビテーション気泡を生じさせないような条件で噴射してもよい。また、反応容器はいずれの場合においても圧力容器であることが好ましい。なお、本発明における圧力容器とは0.005MPa以上の圧力をかけることのできる容器のことである。キャビテーション気泡を生じさせないような条件の場合、圧力容器内の圧力は、静圧で0.005MPa以上0.9MPa以下であることが好ましい。
一つの好ましい態様として、本発明の繊維複合体における無機粒子の平均一次粒子径を、例えば、1μm以下とすることができるが、平均一次粒子径が500nm以下の無機粒子や平均一次粒子径が200nm以下の無機粒子、さらには平均一次粒子径が100nm以下の無機粒子、平均一次粒子径が50nm以下の無機粒子を用いることができる。また、無機粒子の平均一次粒子径は10nm以上とすることも可能である。なお、平均一次粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置や電子顕微鏡写真で測定することができる。
本発明の繊維複合体を製造する際には、さらに公知の各種助剤を添加することができる。例えば、キレート剤を添加することができ、具体的には、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸などのポリヒドロキシカルボン酸、シュウ酸などのジカルボン酸、グルコン酸などの糖酸、イミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸などのアミノポリカルボン酸およびそれらのアルカリ金属塩、ヘキサメタリン酸、トリポリリン酸などのポリリン酸のアルカリ金属塩、グルタミン酸、アスパラギン酸などのアミノ酸およびこれらのアルカリ金属塩、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸アリルなどのケトン類、ショ糖などの糖類、ソルビトールなどのポリオールが挙げられる。また、表面処理剤としてパルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪酸、オレイン酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸、脂環族カルボン酸、アビエチン酸等の樹脂酸、それらの塩やエステルおよびエーテル、アルコール系活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル類、アミド系やアミン系界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム、長鎖アルキルアミノ酸、アミンオキサイド、アルキルアミン、第四級アンモニウム塩、アミノカルボン酸、ホスホン酸、多価カルボン酸、縮合リン酸などを添加することができる。また、必要に応じ分散剤を用いることもできる。この分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、アクリル酸−マレイン酸共重合体アンモニウム塩、メタクリル酸−ナフトキシポリエチレングリコールアクリレート共重合体、メタクリル酸−ポリエチレングリコールモノメタクリレート共重合体アンモニウム塩、ポリエチレングリコールモノアクリレートなどがある。これらを単独または複数組み合わせて使用することができる。また、添加のタイミングは合成反応の前でも後でも良い。このような添加剤は、無機粒子に対して、好ましくは0.001〜20%、より好ましくは0.1〜10%の量で添加することができる。
本発明において繊維複合体を合成する場合、反応条件は特に制限されず、用途に応じて適宜設定することができる。例えば、合成反応の温度は0〜90℃とすることができ、10〜80℃とすることが好ましく、50〜70℃がより好ましく、60℃程度とすると特に好ましい。反応温度は、反応液の温度を温度調節装置によって制御することができ、温度が低いと反応効率が低下しコストが高くなる一方、90℃を超えると粗大な無機粒子が多くなる傾向がある。
また、本発明において反応はバッチ反応とすることもでき、連続反応とすることもできる。一般に、反応後の残存物を排出する便利さから、バッチ反応工程を行うことが好ましい。反応のスケールは特に制限されないが、100L以下のスケールで反応させてもよいし、100L超のスケールで反応させてもよい。反応容器の大きさは、例えば、10L〜100L程度とすることもできるし、100L〜1000L程度としてもよい。
さらに、反応は、例えば、反応液のpHをモニターすることにより制御することができ、反応液のpHプロファイルに応じて、炭酸カルシウムの炭酸化反応であれば、例えばpH9未満、好ましくはpH8未満、より好ましくはpH7のあたりに到達するまで反応を行うことができる。
一方、反応液の電導度をモニターすることにより反応を制御することも出来る。炭酸カルシウムの炭酸化反応であれば、例えば電導度が1mS/cm以下に低下するまで炭酸化反応を行うことが好ましい。
さらにまた、単純に反応時間によって反応を制御することができ、具体的には、反応物が反応槽に滞留する時間を調整して制御することができる。その他、本発明においては、反応槽の反応液を攪拌したり、反応を多段反応とすることによって反応を制御することもできる。
繊維と無機粒子の重量比は、5/95〜95/5とすることができ、10/90〜90/10、20/80〜80/20、30/70〜70/30、40/60〜60/40としてもよい。
本発明においては、反応生成物である繊維複合体が懸濁液として得られるため、必要に応じて、貯蔵タンクに貯蔵したり、濃縮、脱水、粉砕、分級、熟成、分散などの処理を行うことができる。これらは公知の工程によることができ、用途やエネルギー効率などを考慮して適宜決定すればよい。例えば濃縮・脱水処理は、遠心脱水機、沈降濃縮機などを用いて行われる。この遠心脱水機の例としては、デカンター、スクリューデカンターなどが挙げられる。濾過機や脱水機を用いる場合についてもその種類に特に制限はなく、一般的なものを使用することができるが、例えば、フィルタープレス、ドラムフィルター、ベルトプレス、チューブプレス等の加圧型脱水機、オリバーフィルター等の真空ドラム脱水機などを好適に用いて炭酸カルシウムケーキとすることができる。粉砕の方法としては、ボールミル、サンドグラインダーミル、インパクトミル、高圧ホモジナイザー、低圧ホモジナイザー、ダイノーミル、超音波ミル、カンダグラインダ、アトライタ、石臼型ミル、振動ミル、カッターミル、ジェットミル、離解機、叩解機、短軸押出機、2軸押出機、超音波攪拌機、家庭用ジューサーミキサー等が挙げられる。分級の方法としては、メッシュ等の篩、アウトワード型もしくはインワード型のスリットもしくは丸穴スクリーン、振動スクリーン、重量異物クリーナー、軽量異物クリーナー、リバースクリーナー、篩分け試験機等が挙げられる。分散の方法としては、高速ディスパーザー、低速ニーダーなどが挙げられる。
本発明によって得られた繊維複合体は、完全に脱水せずに懸濁液の状態で填料や顔料に配合することもできるが、乾燥して粉体とすることもできる。この場合の乾燥機についても特に制限はないが、例えば、気流乾燥機、バンド乾燥機、噴霧乾燥機などを好適に使用することができる。
本発明においては、懸濁液の調製などに水を使用するが、この水としては、通常の水道
水、工業用水、地下水、井戸水などを用いることができる他、イオン交換水や蒸留水、超
純水、工業廃水、製造工程中に得られる水を好適に用いることできる。
本発明によって得られる繊維複合体は、公知の方法によって改質することが可能である。例えば、ある態様においては、その表面を疎水化し、樹脂などとの混和性を高めたりすることが可能である。
本発明に係る繊維の繊維複合体は、繊維表面の15%以上が無機粒子で被覆されており、このような面積率で繊維表面が被覆されていると無機粒子に起因する特徴が大きく生じるようになる一方、繊維表面に起因する特徴が小さくなる。
本発明の繊維と無機粒子の繊維複合体は、単に繊維と無機粒子が混在しているのではなく、水素結合等によってある程度繊維と無機粒子が結着しているので、離解処理によっても無機粒子が脱落することが少ない。繊維複合体における繊維と無機粒子の結着の強さは、例えば、灰分歩留(%)、すなわち、(シートの灰分÷離解前の繊維複合体の灰分)×100といった数値によって評価することができる。具体的には、繊維複合体を水に分散させて固形分濃度0.2%に調整してJIS P 8220−1:2012に規定される標準離解機で5分間離解後、JIS P 8222:1998に従って150メッシュのワイヤーを用いてシート化した際の灰分歩留を評価に用いることができ、好ましい態様において灰分歩留は20質量%以上であり、より好ましい態様において灰分歩留は50質量%以上である。
繊維複合体の形態
本発明は、繊維と無機粒子の繊維複合体を含み、水性懸濁液、パルプ、シート、粉体、微小球形粒、顆粒、ペレット、モールド、糸、または、発泡体の形態にして用いる。
本発明において、水性懸濁液とは、液体と固体との混合物であって、水分率が90質量%以上99%質量以下をいう。パルプとは、液体と固体との混合物であって水性懸濁液より水分率が低く、水分率が10質量%以上90質量%のものをいう。シートとは、薄くて広いものをいい、水分率10質量%未満のものをいう。なお、水分率は下記の式で求めることができる。
水分率(%)=(乾燥前の重量(g)−乾燥後の重量(g))/乾燥後の重量(g)×100 本発明において、粉体とは、粉、粒などの集まったものをいい、平均粒子径が100μm未満であるものをいう。微小球形粒とは、繊維複合体を球状に成形した粒をいい、平均粒子径を100μm以上1000μm未満であるものをいう。顆粒とは、粉体よりも粒径の大きい粒をいい、平均粒子径が1mm以上、10mm未満であるものをいう。
ペレットとは、繊維複合体を圧縮成型した小粒の成形体のことをいう。
モールドとは、鋳型に繊維と無機粒子の繊維複合体を流し込んで脱水した成形体のことをいう。
糸とは繊維複合体を糸加工した糸状のものをいう。糸加工の例として抄繊糸が挙げられる。抄繊糸とは、紙からつくった糸のことをいう。具体的には、製紙されてロールに巻かれたものを輪切りにして1〜30mmくらいのテープとし、これに撚りをかけて糸にしたものをいう。糸加工の他の手段として、細い孔から押し出して連続した糸をつくる紡糸や、延伸、熱加工などの方法により製造することができる。
発泡体とは、気泡を含ませた繊維複合体のことをいう。
その際、一つの好ましい態様として、繊維と無機粒子の繊維複合体を含む製品は、繊維の存在下で、溶液中で無機粒子を合成し、繊維と無機粒子の繊維複合体を合成する工程、繊維と無機粒子の繊維複合体の水分を調整する工程、を含む方法により製造することができる。
繊維と無機粒子の繊維複合体の水分を調整する工程において、水分を調整する装置として、遠心脱水機、沈降濃縮機、固液分離装置などを用いて行われる。固液分離装置の例としては、デカンター、スクリューデカンター、ディスクフィルター、DNTウォッシャー、FUNDABACフィルタ、ニップウォッシャー、サクションフィルター等の濃縮・脱水機、フィルタープレス、コンパクトウォッシャー、ドラムフィルター、ベルトプレス、チューブプレス等の加圧型脱水機、オリバーフィルター等の真空ドラム脱水機などを用いることができる。
繊維と無機粒子の繊維複合体の水分を調整する工程において、水分率を90質量%以上99%質量以下に調整することにより、繊維と無機粒子の繊維複合体を含む水性懸濁液を得ることができる。その際、水分率を92%質量以上97質量%以下とすることや、水分率を94質量%以上95%質量以下に調整することもできる。
また、水分率を10質量%以上90質量%に調整することにより、繊維と無機粒子の繊維複合体を含むパルプを製造することができる。その際、水分率を20%質量以上80質量%以下とすることや、水分率を30%質量以上60質量%以下に調整することもできる。
さらに、水分率10質量%未満に調整することにより、繊維と無機粒子の繊維複合体を含むシートを製造することができる。その際、水分率を1質量%以上8%質量以下とすることや、水分率を3質量%以上6%質量以下に調整することもできる。
繊維と無機粒子の繊維複合体を含むシートを製造する工程においては、長網抄紙機、短網抄紙機、円網抄紙機、傾斜ワイヤー型抄紙機、ハイブリッド抄紙機などを用いることもできる。
また、一つの好ましい態様として、繊維と無機粒子の繊維複合体を含む製品は、繊維の存在下で、溶液中で無機粒子を合成し、繊維と無機粒子の繊維複合体を合成する工程、繊維と無機粒子の繊維複合体の粒子径を調整する工程、を含む方法により製造することができる。
繊維と無機粒子の繊維複合体の粒子径を調整する工程において、粒子径は電子顕微鏡による観察やレーザー回折式粒度分布測定により確認することができる。さらに、無機粒子を合成する際の条件を調整することによって、種々の大きさや形状を有する無機粒子を繊維と繊維複合体化することができる。
繊維と無機粒子の繊維複合体の粒子径を調整する方法としては、例えば、ボールミル、サンドグラインダーミル、インパクトミル、高圧ホモジナイザー、低圧ホモジナイザー、ダイノーミル、超音波ミル、カンダグラインダ、アトライタ、石臼型ミル、振動ミル、カッターミル、ジェットミル、離解機、叩解機、短軸押出機、2軸押出機、超音波攪拌機、家庭用ジューサーミキサー、ローラーコンパクター等が挙げられる。
繊維と無機粒子の繊維複合体の粒子径を調整する工程において、繊維と無機粒子の繊維複合体の平均粒子径を100μm未満に調整することによって、繊維と無機粒子の繊維複合体を含有する粉体を製造することができる。好ましくは、繊維と無機粒子の繊維複合体の平均粒子径を1μm以上90μm未満とすることや、繊維と無機粒子の繊維複合体の平均粒子径を10μm以上80μm未満とすることもできる。
繊維と無機粒子の繊維複合体の粒子径を調整する工程において、繊維と無機粒子の繊維複合体の平均粒子径を100μm以上1000μm未満に調整することにより、繊維と無機粒子の繊維複合体を含有する微小球形粒を製造することができる。好ましくは、繊維と無機粒子の繊維複合体の平均粒子径を200μm以上800μm未満とすることや、繊維と無機粒子の繊維複合体の平均粒子径を300μm以上、600μm未満とすることもできる。
繊維と無機粒子の繊維複合体の平均粒子径を調整する工程において、繊維と無機粒子の繊維複合体の平均粒子径を1mm以上、10mm未満に調整することにより、繊維と無機粒子の繊維複合体を含有する顆粒を製造することができる。好ましくは、繊維と無機粒子の繊維複合体の平均粒子径を2mm以上、8mm未満とすることや、繊維と無機粒子の繊維複合体の平均粒子径を3mm以上、6mm未満とすることもできる。
さらに、一つの好ましい態様として、繊維と無機粒子の繊維複合体を含むペレットは、繊維の存在下で、溶液中で無機粒子を合成し、繊維と無機粒子の繊維複合体を合成した後、繊維と無機粒子の繊維複合体をペレット化することにより製造することができる。ペレット化装置としては、ペレタイザーなどが挙げられる。
また、繊維と無機粒子の繊維複合体の水分率を上述の固液分離装置にて固液分離し、45質量%以上85質量%以下、好ましくは、50質量%以上70質量%以下に調整した後、ペレット化することもできる。
一つの好ましい態様として、繊維の存在下で、溶液中で無機粒子を合成し、繊維と無機粒子の繊維複合体を合成する工程、鋳型に繊維と無機粒子の繊維複合体を流し込んで脱水する工程、により、繊維と無機粒子の繊維複合体を含有するモールドを製造することができる。
一つの好ましい態様として、繊維の存在下で、溶液中で無機粒子を合成し、繊維と無機粒子の繊維複合体を合成する工程、繊維と無機粒子の繊維複合体を糸加工する工程、により繊維と無機粒子の繊維複合体を含有する糸を製造することができる。糸加工の例としては、抄繊(撚糸加工)、紡糸、延伸、熱加工などの方法が挙げられる。抄繊(撚糸加工)する場合、繊維と無機粒子の繊維複合体を撚糸加工する工程の前に、水分率10質量%未満に調整した繊維と無機粒子の繊維複合体を含むシートをスリット加工する工程を行うことが好ましい。また、糸としては、繊維径が1mm以上、10mm以下の糸とすることが好ましい。スリット化装置としては、スリッターなどが挙げられる。
一つの好ましい態様として、繊維の存在下で、溶液中で無機粒子を合成し、繊維と無機粒子の繊維複合体を合成する工程、繊維と無機粒子の繊維複合体を攪拌機で撹拌する工程、繊維複合体により、繊維と無機粒子の繊維複合体を含有する発泡体を製造方法することができる。
撹拌に用いる装置としては、ホモジナイザー、ディスパーザーなどが挙げられる。また、撹拌する際の速度としては、6000rpm以上、10000rpm未満とすることや、7000rpm以上、9000rpm未満とすることができる。
発泡体の密度は、0.01〜0.1g/cmの範囲であることが好ましい。なお、密度は下記の式で求めることができる。
密度(g/cm)=発泡体の質量(g)/発泡体の体積(cm
繊維と無機粒子の繊維複合体を乾燥する場合の乾燥機についても特に制限はないが、例えば、気流乾燥機、バンド乾燥機、噴霧乾燥機などを好適に使用することができる。
繊維複合体をの用途
本発明によって得られた繊維複合体を含む製品は、他の製品に混合し、混合物を得ることができる。本発明の製品または混合物は、種々の用途に用いることができ、例えば、紙、繊維、セルロース系複合材料、フィルター材料、塗料、プラスチックやその他の樹脂、ゴム、エラストマー、セラミック、ガラス、タイヤ、建築材料(アスファルト、アスベスト、セメント、ボード、コンクリート、れんが、タイル、合板、繊維板など)、各種担体(触媒担体、医薬担体、農薬担体、微生物担体など)、吸着剤(不純物除去、消臭、除湿など)、しわ防止剤、粘土、研磨材、改質剤、補修材、断熱材、防湿材、撥水材、耐水材、遮光材、シーラント、シールド材、防虫剤、接着剤、インキ、化粧料、医用材料、ペースト材料、変色防止剤、食品添加剤、錠剤賦形剤、分散剤、保形剤、保水剤、濾過助材、精油材、油処理剤、油改質剤、電波吸収材、絶縁材、遮音材、防振材、半導体封止材、放射線遮断材、化粧品、肥料、飼料、香料、塗料・接着剤用添加剤、難燃材料、衛生用品(使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁者用パッド、母乳パッドなど)等のあらゆる用途に広く使用することができる。また、前記用途における各種充填剤、コーティング剤などに用いることができる。本発明の繊維複合体は、製紙用途に適用してもよく、例えば、印刷用紙、新聞紙、インクジェット用紙、PPC用紙、クラフト紙、上質紙、コート紙、微塗工紙、包装紙、薄葉紙、色上質紙、キャストコート紙、ノンカーボン紙、ラベル用紙、感熱紙、各種ファンシーペーパー、水溶紙、剥離紙、工程紙、壁紙用原紙、不燃紙、難燃紙、積層板原紙、プリンテッドエレクトロニクス用紙、バッテリー用セパレータ、クッション紙、トレーシングペーパー、含浸紙、ODP用紙、建材用紙、化粧材用紙、封筒用紙、テープ用紙、熱交換用紙、化繊紙、減菌紙、耐水紙、耐油紙、耐熱紙、光触媒紙、化粧紙(脂取り紙など)、各種衛生紙(トイレットペーパー、ティッシュペーパー、ワイパー、おむつ、生理用品等)、たばこ用紙、板紙(ライナー、中芯原紙、白板紙など)、紙皿原紙、カップ原紙、ベーキング用紙、研磨紙、合成紙などが挙げられる。すなわち、本発明によれば、一次粒子径が小さくかつ粒度分布の狭い無機粒子と繊維との繊維複合体を得ることができるため、1μm超の粒子径を有していた従来の無機填料とは異なった特性を発揮させることができる。更には、単に無機粒子を繊維に単に配合した場合と異なり、無機粒子を繊維と繊維複合体化しておくと、無機粒子がシートに歩留易いだけでなく、凝集せずに均一に分散したシートを得ることができる。本発明における無機粒子は、好ましい態様において、繊維の外表面・ルーメンの内側に定着するだけでなく、ミクロフィブリルの内側にも生成することが電子顕微鏡観察の結果から明らかとなっている。
また、本発明によって得られる繊維複合体を使用する際には、一般に無機填料及び有機填料と呼ばれる粒子や、各種繊維を併用することができる。例えば、無機填料として、炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム)、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、クレー(カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン)、タルク、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、二酸化チタン、ケイ酸ナトリウムと鉱酸から製造されるシリカ(ホワイトカーボン、シリカ/炭酸カルシウム繊維複合体、シリカ/二酸化チタン繊維複合体)、白土、ベントナイト、珪藻土、硫酸カルシウム、ゼオライト、脱墨工程から得られる灰分を再生して利用する無機填料および再生する過程でシリカや炭酸カルシウムと繊維複合体を形成した無機填料などが挙げられる。炭酸カルシウム−シリカ複合物としては、炭酸カルシウムおよび/または軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物以外に、ホワイトカーボンのような非晶質シリカを併用しても良い。有機填料としては、尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子、アクリルアミド繊維複合体、木材由来の物質(微細繊維、ミクロフィブリル繊維、粉体ケナフ)、変性不溶化デンプン、未糊化デンプンなどが挙げられる。繊維としては、セルロースなどの天然繊維はもちろん、石油などの原料から人工的に合成される合成繊維、さらには、レーヨンやリヨセルなどの再生繊維(半合成繊維)、さらには無機繊維などを制限なく使用することができる。天然繊維としては上記の他にウールや絹糸やコラーゲン繊維等の蛋白系繊維、キチン・キトサン繊維やアルギン酸繊維等の複合糖鎖系繊維等が挙げられる。セルロース系の原料としては、パルプ繊維(木材パルプや非木材パルプ)、バクテリアセルロース、ホヤなどの動物由来セルロース、藻類が例示され、木材パルプは、木材原料をパルプ化して製造すればよい。木材原料としては、アカマツ、クロマツ、トドマツ、エゾマツ、ベニマツ、カラマツ、モミ、ツガ、スギ、ヒノキ、カラマツ、シラベ、トウヒ、ヒバ、ダグラスファー、ヘムロック、ホワイトファー、スプルース、バルサムファー、シーダ、パイン、メルクシマツ、ラジアータパイン等の針葉樹、及びこれらの混合材、ブナ、カバ、ハンノキ、ナラ、タブ、シイ、シラカバ、ハコヤナギ、ポプラ、タモ、ドロヤナギ、ユーカリ、マングローブ、ラワン、アカシア等の広葉樹及びこれらの混合材が例示される。木材原料をパルプ化する方法は、特に限定されず、製紙業界で一般に用いられるパルプ化法が例示される。木材パルプはパルプ化法により分類でき、例えば、クラフト法、サルファイト法、ソーダ法、ポリサルファイド法等の方法により蒸解した化学パルプ;リファイナー、グラインダー等の機械力によってパルプ化して得られる機械パルプ;薬品による前処理の後、機械力によるパルプ化を行って得られるセミケミカルパルプ;古紙パルプ;脱墨パルプ等が挙げられる。木材パルプは、未晒(漂白前)の状態であってもよいし、晒(漂白後)の状態であってもよい。非木材由来のパルプとしては、綿、ヘンプ、サイザル麻、マニラ麻、亜麻、藁、竹、バガス、ケナフ、サトウキビ、トウモロコシ、稲わら、楮(こうぞ)、みつまた等が例示される。木材パルプ及び非木材パルプは、未叩解及び叩解のいずれでもよい。また、これらセルロース原料はさらに処理を施すことで粉末セルロースなどの微粉砕セルロース、酸化セルロースなどの化学変性セルロース、およびセルロースナノファイバー:CNF(ミクロフィブリル化セルロース:MFC、TEMPO酸化CNF、リン酸エステル化CNF、カルボキシメチル化CNF、機械粉砕CNF)として使用することもできる。合成繊維としてはポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、アクリル繊維、半合繊維としてはレーヨン、アセテートなどが挙げられ、無機繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、各種金属繊維などが挙げられる。以上について、これらは単独でも2種類以上の組み合わせで用いても構わない。
また、繊維複合体の成形物に後からポリマーなどの各種有機物や顔料などの各種無機物を付与しても良い。
以下、具体的な実験例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実験例に限定されるものではない。また、本明細書において特に記載しない限り、濃度や部などは重量基準であり、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
サンプル1:炭酸マグネシウム微粒子と繊維との繊維複合体を含有する水性懸濁液
水酸化マグネシウム140g(和光純薬)と広葉樹晒クラフトパルプ140g(LBKP、CSF:370ml、平均繊維長:0.75mm)を含む水性懸濁液を準備した。この水性懸濁液14Lを、図1に示す45L容のキャビテーション装置に入れ、反応溶液を循環させながら、反応容器中に炭酸ガスを吹き込んで炭酸ガス法によって炭酸マグネシウム微粒子と繊維との繊維複合体を合成した。反応温度は約36℃、炭酸ガスは市販の液化ガスを供給源とし、炭酸ガスの吹き込み量は4L/minとした。反応液のpHが約7.8になった段階でCOの導入を停止し(反応前のpHは約9.5)、その後30分間、キャビテーションの発生と装置内でのスラリーの循環を続け、サンプル1(水分率:96質量%)を得た。また、得られた繊維複合体の繊維:無機粒子の重量比は、45:55であった。ここで、重量比は、繊維複合体を525℃で約2時間加熱した後、残った灰の重量と元の固形分との比率から求めた灰分に基づいて算出した(JIS P 8251:2003)。
繊維複合体の合成においては、図1に示すように反応溶液を循環させて反応容器内に噴射することよって、反応容器内にキャビテーション気泡を発生させた。具体的には、ノズル(ノズル径:1.5mm)を介して高圧で反応溶液を噴射してキャビテーション気泡を発生させたが、噴流速度は約70m/sであり、入口圧力(上流圧)は7MPa、出口圧力(下流圧)は0.3MPaだった。
サンプル2:炭酸マグネシウム微粒子と繊維との繊維複合体を含有する水性懸濁液(CVなし)
反応容器に3Lのステンレス製容器を用い、パルプの仕込み量を20g、炭酸ガスの吹き込み量を0.57L/minとし、炭酸化反応を35℃のウォーターバス中でスリーワンモーターで撹拌(800rpm)しながら行った以外は、サンプル1と同様にしてサンプル2(水分率:96質量%)を得た。得られた繊維複合体の繊維:無機粒子の重量比は、45:55であった。
サンプル3:硫酸バリウム粒子と繊維との繊維複合体を含有する水性懸濁液
1%のパルプスラリー(LBKP/NBKP=8/2、500g)と水酸化バリウム八水和物(和光純薬、5.82g)をスリーワンモーター(1000rpm)で混合後、硫酸(和光純薬、2.1g)を滴下した。滴下終了後、そのまま30分間撹拌を継続してサンプル3(水分率:96.0%)を得た。なお、用いた混合パルプの平均繊維長をファイバーテスター(Lorentzen&Wettre社)で測定したところ、1.21mmであった。得られた繊維複合体の繊維:無機粒子の重量比は56:44であった。
サンプル4:硫酸バリウム粒子とアラミド繊維との繊維複合体を含有する水性懸濁液
繊維分として0.8%のアラミド繊維(トワロンRD−1094、帝人、625g)のスラリーを用いた他は、サンプル1と同様に合成し、サンプル4(水分率:98.4%)を得た。
得られた繊維複合体スラリー(固形分換算で3g)をろ紙で吸引濾過した後、残渣をオーブンで乾燥し(105℃、2時間)、灰分を測定したところ、繊維複合体の繊維:無機粒子の重量比は55:45であった。
サンプル5:水酸化アルミニウム粒子と繊維との繊維複合体を含有する水性懸濁液
1%のパルプスラリー(LBKP/NBKP=8/2、500g)と硫酸アルミニウム水溶液(Al(SO)換算で11g)をスリーワンモーター(1000rpm)で混合後、水酸化ナトリウム(和光純薬、15.4g)の水溶液(濃度5%)を滴下した。滴下終了後、そのまま30分間撹拌を継続してサンプル5(水分率:98.0%)を得た。
得られた繊維複合体の繊維:無機粒子の重量比は58:42であった。
サンプル6:ハイドロタルサイトと繊維の繊維複合体を含有するパルプ
(1)アルカリ溶液と酸溶液の調製
ハイドロタルサイト(HT)を合成するための溶液を準備した。アルカリ溶液(A溶液)として、Na2CO3(和光純薬)およびNaOH(和光純薬)の混合水溶液を調製した。また、酸溶液(B溶液)として、MgCl(和光純薬)およびAlCl(和光純薬)の混合水溶液、ZnCl2(和光純薬)およびAlCl3(和光純薬)の混合水溶液を調製した。
・アルカリ溶液(A溶液、NaCO濃度:0.05M、NaOH濃度:0.8M)
・酸溶液(B溶液、Mg系、MgCl濃度:0.3M、AlCl濃度:0.1M)
・酸溶液(B溶液、Zn系、ZnCl濃度:0.3M、AlCl濃度:0.1M)
(2)繊維複合体の合成
アルカリ溶液を10L容の反応容器に入れ、撹拌しながら酸溶液(Mg系)を滴下してハイドロタルサイト微粒子(MgAl(OH)16CO・4HO)を合成した。反応温度は60℃、滴下速度は15ml/minであり、反応液のpHが約7になった段階で滴下を停止した。滴下終了後、30分間、反応液を撹拌し、約10倍量の水を用いて水洗して塩を除去した。
繊維複合体化する繊維として、セルロース繊維を使用した。具体的には、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP、日本製紙製)と針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP、日本製紙製)を8:2の重量比で含み、シングルディスクリファイナー(SDR)を用いてカナダ標準濾水度を390mlに調整したパルプ繊維を用いた。
アルカリ溶液にパルプ繊維を添加し、パルプ繊維を含む水性懸濁液を準備した(パルプ繊維濃度:1.56%、pH:約12.4)。この水性懸濁液(パルプ固形分30g)を10L容の反応容器に入れ、水性懸濁液を撹拌しながら、酸溶液(Mg系)を滴下してハイドロタルサイト微粒子と繊維との繊維複合体を合成した。図1に示すような装置を用いて、反応温度は60℃、滴下速度は15ml/minであり、反応液のpHが約7になった段階で滴下を停止した。滴下終了後、30分間、反応液を撹拌し、10倍量の水を用いて水洗して塩を除去した。
フィルタープレス(日本カラ-工業社製、)により、合成した繊維複合体からパルプを製造し、サンプル6(水分率62.5質量%)を得た。得られた繊維複合体の繊維:無機粒子の重量比は56:44であった。
サンプル7:硫酸バリウム粒子と繊維の繊維複合体を含有するパルプ
サンプル3を用いて、フィルタープレス(不二パウダル株式会社製)により、合成した繊維複合体からパルプを製造し、サンプル7(水分率65.0質量%)を得た。得られた繊維複合体の繊維:無機粒子の重量比は56:44であった。
サンプル8:炭酸カルシウム粒子と繊維との繊維複合体を含有するシート
水酸化カルシウム(消石灰:Ca(OH)、300g)と針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP、カナダ標準濾水度CSF:215mL、300g)を含む水性懸濁液30Lを準備した。この水性懸濁液を、40L容の密閉装置に入れ、反応容器中に炭酸ガスを吹き込んでキャビテーションを発生させ、炭酸ガス法によって炭酸カルシウム粒子と繊維との繊維複合体を合成した。反応温度は約25℃、炭酸ガスは市販の液化ガスを供給源とし、炭酸ガスの吹き込み量は12L/minであり、反応液のpHが約7になった段階で反応を停止した(反応前のpHは約12.8)。得られた繊維複合体の繊維:無機粒子の重量比は45:55であった。
繊維複合体の合成においては、図1に示すように反応溶液を循環させて反応容器内に噴射することよって、反応容器内にキャビテーション気泡を発生させた。具体的には、ノズル(ノズル径:1.5mm)を介して高圧で反応溶液を噴射してキャビテーション気泡を発生させ、噴流速度は約70m/sであり、入口圧力(上流圧)は7MPa、出口圧力(下流圧)は0.3MPaだった。
得られた繊維複合体(濃度:1%)に、カチオン性の歩留剤(ND300、ハイモ)とアニオン性の歩留剤(FA230、ハイモ)を対固形分で100ppmずつ添加して紙料スラリーを調製した。次いで、長網抄紙機を用いて、抄速10m/minの条件でこの紙料スラリーからシートを製造した。また、対照として、パルプスラリー(LBKP/NBKP=8/2、CSF=380mL、平均繊維長:1.5mm)にカチオン性歩留剤(ND300、ハイモ)とアニオン性歩留剤(FA230、ハイモ)を対固形分で100ppmずつ添加して、長網抄紙機を用いてシートを製造し、サンプル8(水分率8.0質量%)を得た。得られた繊維複合体の繊維:無機粒子の重量比は56:44であった。
サンプル9:炭酸マグネシウム粒子と繊維との繊維複合体を含有するシート
サンプル1をろ紙で吸引濾過した残渣を、水道水を用いて濃度約0.2%のスラリーを調製した。このスラリーをJIS P 8220−1:2012に規定される標準離解機で5分間離解後、JIS P 8222:1998に準じて150メッシュのワイヤーを用いて坪量60g/mの手抄きシートを作製し、サンプル9(水分率8.0質量%)を得た。得られた繊維複合体の繊維:無機粒子の重量比は56:44であった。
サンプル10:炭酸カルシウム微粒子と繊維との繊維複合体を含む粉体
<炭酸カルシウム・繊維繊維複合体の合成>
水酸化カルシウム(消石灰:Ca(OH)、和光純薬、2重量%)と繊維(0.5%、LBKP/NBKP=8/2、500g))を含む水性懸濁液を準備した。この水性懸濁液9.5Lを、45L容のキャビテーション装置に入れ、反応容器中に炭酸ガスを吹き込んで炭酸ガス法によって炭酸カルシウム微粒子と繊維との繊維複合体を合成した。反応温度は約25℃、炭酸ガスは市販の液化ガスを供給源とし、炭酸ガスの吹き込み量は12L/minであり、反応液のpHが約7になった段階で反応を停止した(反応前のpHは約12.8)。
繊維複合体の合成においては、図1に示すように反応溶液を循環させて反応容器内に噴射す
ることよって、反応容器内にキャビテーション気泡を発生させた。具体的には、ノズル(
ノズル径:1.5mm)を介して高圧で反応溶液を噴射してキャビテーション気泡を発生
させたが、噴流速度は約70m/sであり、入口圧力(上流圧)は7MPa、出口圧力(
下流圧)は0.3MPaだった。
得られた繊維複合体をスプレードライヤー(大川原化工機株式会社製)により乾燥して粉体を作製し、サンプル10を得た(粒子径:100μm)。繊維:無機粒子の重量比は45:55であった
サンプル11:炭酸カルシウム微粒子と繊維との繊維複合体を含む粉体
針葉樹晒クラフトパルプを粉末セルロース(KCフロック W−06MG、日本製紙製)に替えた以外は、サンプル10と同様にして粉体を作製し、サンプル11を得た。(粒子径:100μm)。繊維:無機粒子の重量比は43:57であった。
サンプル12:炭酸マグネシウム粒子と繊維との繊維複合体を含有する微小球形粒
サンプル1を用いて、押出混練造粒機(株式会社関西機器製作所製)により微小球形粒を作成してサンプル19を得た(粒子径:800μm)。繊維:無機粒子の重量比は47:53であった。
サンプル13:炭酸マグネシウム粒子と繊維との繊維複合体を含有する顆粒
サンプル1を用いて、ローラーコンパクター(株式会社マツボー製)により顆粒を作成してサンプル19を得た(粒子径:6mm)。繊維:無機粒子の重量比は44:56であった。
水分率の高い無機粒子と繊維との繊維複合体(サンプル1〜5)は、水分率の低い無機粒子と繊維との繊維複合体(サンプル6〜13)と比較して、製造費が安価であり、また、製造プロセスが短く、繊維複合体を効率良く作製することができた。一方、水分率の低い無機粒子と繊維との繊維複合体(サンプル6〜13)は、水分率の高い無機粒子と繊維との繊維複合体(サンプル1〜5)と比較して、張り合わせ工程のない繊維複合体シート(比較例1)と比較して、移送や製品への配合が容易であった。
サンプル14:炭酸マグネシウム粒子と繊維との繊維複合体を含有するペレット
サンプル1を用いて、ペレタイザー(不二パウダル株式会社製)によりペレット化した(絶乾4g、ペレット径35mm)。
サンプル15:炭酸マグネシウム粒子と粉末セルロースとの繊維複合体を含有するペレット
針葉樹晒クラフトパルプを粉末セルロース(KCフロック W−06MG、日本製紙製)に替えた以外は、サンプル14と同様にしてサンプル15を得た(絶乾4g、ペレット径:35mm)。
サンプル16:炭酸マグネシウム粒子と繊維との繊維複合体を含有するモールド
サンプル1を用いて、射出成型機(レオ・ラボ株式会社)によりモールドを作成してサンプル16を得た。
サンプル17:炭酸マグネシウム粒子と繊維との繊維複合体を含有する抄繊糸
サンプル9のシートをスリッターで幅8mmに加工後、撚糸機で加工することで1mmの抄紙糸を得た。
サンプル18:炭酸カルシウム粒子と繊維との繊維複合体を含有する発泡体
針葉樹晒クラフトパルプを粉末セルロース(KCフロック W−06MG、日本製紙製)に替えた以外は、サンプル10と同様にして炭酸カルシウム粒子と粉末セルロースとの繊維複合体を得た。得られた繊維複合体を、スリーワンモーターにて6000rpm、5分間撹拌した。その後、得られたサンプル(12g)をアルミカップに乾燥器にて60℃、24時間乾燥させ、発泡体(密度:0.06g/cm)を作製してサンプル18を得た。
ペレット、モールド、抄繊糸、発泡体の形態である無機粒子と繊維との繊維複合体(サンプル14〜18)は、ハンドリングが優れるとともに、単独で繊維と無機粒子の繊維複合体の機能(難燃性や不透明性、放射線遮蔽性、吸着性や抗菌性など)を有する製品が得られる。

Claims (43)

  1. 繊維と無機粒子の繊維複合体を含み、水性懸濁液、パルプ、シート、粉体、微小球形粒、顆粒、ペレット、モールド、糸、または、発泡体の形態である製品。
  2. 前記製品が水性懸濁液である、請求項1に記載の製品。
  3. 前記水性懸濁液の水分率が90質量%以上99%質量以下である、請求項2に記載の製品。
  4. 前記製品がパルプである、請求項1に記載の製品。
  5. 前記パルプの水分率が10質量%以上90質量%未満である、請求項4に記載の製品。
  6. 前記製品がシートである、請求項1に記載の製品。
  7. 前記シートの水分率が10質量%未満である、請求項6に記載の製品。
  8. 前記シートが前記複合体を配合した紙である、請求項6または7に記載の製品。
  9. 前記製品が粉体である、請求項1に記載の製品。
  10. 前記粉体の平均粒子径が100μm未満である、請求項9に記載の製品。
  11. 前記製品が微小球形粒である、請求項1に記載の製品。
  12. 前記微小球形粒の平均粒子径が100μm以上、1000μm未満である、請求項11に記載の製品。
  13. 前記製品が顆粒である、請求項1に記載の製品。
  14. 前記顆粒の平均粒子径が1.0mm以上、10mm未満である、請求項13に記載の製品。
  15. 前記製品がペレットである、請求項1に記載の製品。
  16. 前記製品のペレット径が10mm以上、50mm以下である、請求項15に記載の製品。
  17. 前記製品がモールドである、請求項1に記載の製品。
  18. 前記モールドの直径が5cm以上、100cm以下である、請求項17に記載の製品。
  19. 前記製品が糸である、請求項1に記載の製品。
  20. 前記糸の繊維径が1mm以上、10mm以下である、請求項19に記載の製品。
  21. 前記製品が発泡体である、請求項1に記載の製品。
  22. 前記発泡体の密度が0.01〜0.1g/cm以下である、請求項21に記載の製品。
  23. 前記無機粒子の平均一次粒子径が200nm以下である、請求項1〜22のいずれかに記載の製品。
  24. 前記無機粒子の少なくとも一部が、カルシウム、マグネシウムまたはバリウムの金属塩である、請求項6〜8のいずれかに記載の製品。
  25. 前記無機粒子の少なくとも一部が、ケイ酸、またはアルミニウムの金属塩、あるいはチタン、銅、銀、鉄、マンガンまたは亜鉛を含む金属粒子である、請求項1〜5、9〜23のいずれかに記載の製品。
  26. 前記繊維が、化学繊維、再生繊維または天然繊維である、請求項1〜25のいずれかに記載の製品。
  27. 前記繊維が、木材由来のセルロース繊維である、請求項26に記載の製品。
  28. 繊維と無機粒子の重量比が5/95〜95/5である、請求項1〜27のいずれかに記載の製品。
  29. 請求項1〜28のいずれかに記載の製品を含む混合物。
  30. 繊維と無機粒子の複合体を含有する製品の製造方法であって、
    繊維の存在下で、溶液中で無機粒子を合成し、繊維と無機粒子の複合体を合成する工程、
    繊維と無機粒子の複合体の水分を調整する工程、
    を含む上記方法。
  31. 繊維と無機粒子の複合体を含有する水性懸濁液の製造方法であって、
    前記繊維と無機粒子の複合体の水分を調整する工程において、水分率を90質量%以上、99質量%以下に調整する、
    請求項30に記載の方法。
  32. 繊維と無機粒子の複合体を含有するパルプの製造方法であって、
    前記繊維と無機粒子の複合体の水分を調整する工程において、水分率を10質量%以上、90質量%未満に調整する、
    請求項30に記載の方法。
  33. 繊維と無機粒子の複合体を含有するシートの製造方法であって、
    前記繊維と無機粒子の複合体中の水分を調整する工程において、水分率10質量%未満に調整する、
    請求項30に記載の方法。
  34. 繊維と無機粒子の複合体を含有する製品の製造方法であって、
    繊維の存在下で、溶液中で無機粒子を合成し、繊維と無機粒子の複合体を合成する工程、
    繊維と無機粒子の複合体の粒子径を調整する工程、
    を含む上記方法。
  35. 繊維と無機粒子の複合体を含有する粉体の製造方法であって、
    前記繊維と無機粒子の複合体の粒子径を調整する工程において、繊維と無機粒子の複合体の平均粒子径を100μm未満に調整する、
    請求項34に記載の方法。
  36. 繊維と無機粒子の複合体を含有する微小球形粒の製造方法であって、
    前記繊維と無機粒子の複合体の粒子径を調整する工程において、繊維と無機粒子の複合体の平均粒子径を100μm以上、1000μm未満でに調整する、
    請求項34に記載の方法。
  37. 繊維と無機粒子の複合体を含有する顆粒の製造方法であって、
    前記繊維と無機粒子の複合体の粒子径を調整する工程において、繊維と無機粒子の複合体の平均粒子径を1.0mm以上、10mm未満に調整する、
    請求項34に記載の方法。
  38. 繊維と無機粒子の複合体を含有するペレットの製造方法であって、
    繊維の存在下で、溶液中で無機粒子を合成し、繊維と無機粒子の複合体を合成する工程、
    繊維と無機粒子の複合体をペレット化する工程、
    を含む上記方法。
  39. 繊維と無機粒子の複合体の水分率を固液分離装置にて固液分離し、45質量%以上80質量%に調整する工程、
    を含む、請求項38に記載の方法。
  40. 繊維と無機粒子の複合体を含有するモールドの製造方法であって、
    繊維の存在下で、溶液中で無機粒子を合成し、繊維と無機粒子の複合体を合成する工程、
    鋳型に繊維と無機粒子の複合体を流し込んで脱水する工程、
    を含む、上記方法。
  41. 繊維と無機粒子の複合体を含有する糸の製造方法であって、
    繊維の存在下で、溶液中で無機粒子を合成し、繊維と無機粒子の複合体を合成する工程、
    繊維と無機粒子の複合体を糸加工する工程を含む、上記方法。
  42. 繊維と無機粒子の複合体を糸加工する工程の前に、水分率10質量%未満に調整した繊維と無機粒子の複合体を含むシートをスリット加工する工程、
    を含む、請求項41に記載の上記方法。
  43. 繊維と無機粒子の複合体を含有する発泡体の製造方法であって、
    繊維の存在下で、溶液中で無機粒子を合成し、繊維と無機粒子の複合体を合成する工程、
    繊維と無機粒子の複合体を攪拌機で撹拌する工程、
    を含む、上記方法。
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