JP2018088619A - 探査装置用アンテナ、及びそれを備えた探査装置 - Google Patents
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Abstract
Description
当該ボータイアンテナから成る送信用アンテナ及び受信用アンテナは、平面視でボータイ形状の平板の電磁波放射面を有する。ここで、当該電磁波放射面から鉛直方向で下方側(地中側)を探査対象領域とし、鉛直方向で上方側(地上側)を非探査対象領域とすると、送信用アンテナから電磁波を送信する場合、当該電磁波は、電磁波放射面から探査対象領域と非探査対象領域の双方へ放射されることになる。
ここで、現状の探査装置では、送信用アンテナから非探査対象領域(鉛直方向で上方側の領域)への電磁波の不要放射を防止するため、アンテナは、その鉛直方向で上方に、レーダで用いられる超短波(VHF)や極超短波(UHF)の電磁波を吸収するフェライト等の電磁波吸収体を収容した筐体を配置して設けられている。
更に、超短波(VHF)や極超短波(UHF)の電磁波を吸収するフェライト等の電磁波吸収体は、比較的重いため、探査装置を移動させる場合には、その操作性が低下するという問題があった。また、フェライト等の電磁波吸収体は、比較的希少性が高く高価であることから、経済性の観点からも改善の余地があった。
XYZ空間において、以下の〔式1〕にて規定される放物線の焦点距離をFとして、前記放物線をX軸心方向に延ばして得られる形状のパラボラ反射面にて電磁波を反射するパラボラ反射板を備え、
前記放物線の焦点位置に配設され前記X軸心方向に延設されるダイポールを備える点にある。
Z=Y2/4F 〔式1〕
上記特徴構成の如く、所謂、略カマボコの上部形状のパラボラ反射面を有するパラボラ反射板を備えると共に、当該パラボラ反射面を形成する〔式1〕の放物線の焦点位置に、X軸心方向に延設される形態で設けられるダイポールを備えるから、ダイポールから放射される電磁波のうち、非探査対象領域(パラボラ反射板が設けられている領域)へ向けて放射された電磁波は、パラボラ反射板のパラボラ反射面にて反射され、探査対象領域へ向けて放射されることとなる。
これにより、探査対象領域へは、ダイポールから探査対象領域へ向けて放射された電磁波と、ダイポールから非探査対象領域へ向けて放射された電磁波との双方が、放射されることになり、利得の高いアンテナを実現できる。即ち、従来技術においてフェライト等の電磁波吸収体にて吸収されていた電磁波を、パラボラ反射板にて反射することで、探査の用に供することができるから、従来技術に比べ利得を向上できる。
更に、ダイポールは、パラボラ反射面に係る〔式1〕に示す放物線の焦点位置に設けられると共に、当該ダイポールとパラボラ反射板がX軸心方向に沿って延設されているから、ダイポールから非探査対象領域(パラボラ反射板が設けられる領域)へ放射されたパラボラ反射面にて反射された電磁波は、Z軸心に沿う併進波として、探査対象領域へ向けて放射されることとなり、指向性の高いアンテナを実現できる。
以上より、フェライト等の電磁波吸収体を用いなくとも良く、比較的軽量で経済性の高い構成において、所望の方向以外への不要な電磁波の放射を防止すると共に、高い指向性及び高い利得を発揮する探査装置用アンテナを実現できる。
尚、本発明において、XYZ空間は、Z軸心が鉛直方向に沿う空間に限らないものとする。
前記X軸心方向での前記ダイポールの長さは、前記X軸心方向における前記パラボラ反射板の長さ以下に構成されている点にある。
前記パラボラ反射板の前記X軸心方向における端部に、前記パラボラ反射板の前記X軸心方向における端部形状に沿う半月形状で電磁波を反射する一対の半月形状反射板を、前記パラボラ反射板に連接して備える点にある。
上記特徴構成の如く、半月形状反射板を設けることにより、当該半月形状反射板とパラボラ反射板との接続箇所に給電線の特性インピーダンスに等しい整合用抵抗を接続する構成を採用するのみで、広帯域に亘って、探査対象領域への進行波を良好に発生させることができる。
また、例えば、当該半月形状反射板により、非探査対象領域へ放射された電磁波のうち、パラボラ反射板へ向けて放射されない電磁波をも、探査対象領域へ向けて反射することができ、利得をより向上し得るアンテナを実現できる。
また、当該アンテナを、送信用アンテナと受信用アンテナとして併設して使用する場合、相互間の直接結合を抑制することができ、探査レーダ画像をより鮮明にできる効果が期待できる。
更には、ダイポールの先端部を当該半月形状反射板へ固定することができ、ダイポールを適切に支持することができる。
前記ダイポールは、一対の前記半月形状反射板の双方に装荷抵抗を介して電気的に接続される点にある。
具体的には、発明者らは、抵抗値が200Ωの装荷抵抗を備えた状態で、電圧を1Vとすると共に周波数をレーダで一般的に用いられる500MHzとして、ダイポールを励振した場合に、ダイポール上で振幅がほぼ一定の進行波を形成できることを実験的に確認している。尚、発明者らは、周波数を500MHzから1500MHzまでの間で変化させても同様の結果が得られることを実験的に確認している。
前記パラボラ反射板及び一対の前記半月形状反射板のZ軸心方向でZ軸心先端側の端部位置が、前記Z軸心方向での前記焦点位置に一致している点にある。
更に、上記特徴構成によれば、パラボラ反射板及び一対の半月形状反射板のZ軸心方向での端部位置を、Z軸心方向での焦点位置に一致させた形状、即ち、パラボラ反射板及び一対の半月形状反射板が探査対象領域へ延設されない形状を採用することで、パラボラ反射板と半月形状反射板とダイポールとを含むアンテナのZ軸心方向の厚みを必要最低限の厚みとすることができる。
これにより、非探査対象領域へ放射された電磁波のほぼすべてを探査対象領域へ反射する機能を発揮しつつも、Z軸心方向での厚みを最低限の厚みにしたコンパクトな形状を実現できる。
即ち、一対の半月形状反射板11a、11bのパラボラ反射板12に連接される部位は、〔式1〕に示す放物線に沿う形状となる。
パラボラ反射板12及び半月形状反射板11a、11bは、探査装置100にて一般的に用いられる超短波(VHF)や極超短波(UHF)の電磁波を好適に反射する金属板から成り、具体的には、軽量化の観点からアルミニウムを使用している。
尚、図1においては、後述する数値解析の手法を説明する関係で、パラボラ反射板12のパラボラ反射面、及び一対の半月形状反射板11a、11bの反射面(内面)を、501個の三角形に分割している。
パラボラ反射板12及び一対の半月形状反射板11a、11bは、両者のZ軸心方向でのZ軸心先端側の端部位置が、Z軸心方向での放物線の焦点位置に一致する形状としている。
更に、一対のダイポール13a、13bが給電点P1を介して電気的に接続されており、当該給電点P1には、パラボラ反射板12の開孔を介して設けられる給電線K1が電気的に接続されている。これにより、給電線K1及び一対のダイポール13a、13bが、一般的に知られるダイポールアンテナの如く、T字状に配設されることになる。
尚、一対のダイポール13a、13bの先端部(給電点P1の側とは反対側の端部)は、装荷抵抗R1a、R1bを介して、一対の半月形状反射板11a、11bに接続支持されている。当該構成により、X軸心方向において、パラボラ反射板12の長さと、一対のダイポール13a、13bとの長さ(両者を足し合わせた長さ)とが、略同等の長さに構成される。
即ち、受信用アンテナ20は、図2に示すように、XYZ空間において、上述の〔式1〕にて規定される放物線の焦点距離をFとして、放物線をX軸心方向に延ばして得られる形状のパラボラ反射面にて電磁波を反射するパラボラ反射板12を備え、放物線の焦点位置に配設されX軸心方向に延設される一対のダイポール23a、23bを備える。
更に、パラボラ反射板22のX軸心方向における端部には、パラボラ反射板22のX軸心方向における端部形状に沿う半月形状で電磁波を反射する一対の半月形状反射板21a、21bが、パラボラ反射板に溶接等により連接されている。
パラボラ反射板22には、X軸心方向及びY軸心方向での中央位置に、開孔(図示せず)が設けられている。
更に、X軸心方向及びY軸心方向においてパラボラ反射板22の中央位置で、一対のダイポール23a、23bが、受信点P2を介して電気的に接続されており、当該受信点P2には、パラボラ反射板22の開孔を介して設けられる受信線K2が電気的に接続されている。更に、一対のダイポール23a、23bの先端部(受信点P2の側とは反対側の端部)は、装荷抵抗R2a、R2bを介して、一対の半月形状反射板21a、21bに接続支持されている。
即ち、本実施形態の探査装置用アンテナ10、20を、地中の探査装置100に装備する場合、XYZ空間は、Z軸心が鉛直方向に沿う方向で、且つZ軸の先端が地中側へ向く方向に設定されることになる。
当該数値解析では、送信用アンテナ10のダイポール上の電流分布に関する積分方程式を、Rao−Wilton−Glisson(RWG)モーメント方法にて数値的に解くことにより解析した。説明を追加すると、図1に示す送信用アンテナ10において、パラボラ反射板12のパラボラ反射面、及び一対の半月形状反射板11a、11bの反射面を、501個の三角形に分割し、1487個の基底関数を用いて解析した。
放射電力は、図4に示すように、f=500MHz以下の低い周波数範囲では、送信用アンテナ10からの放射電力が少ないため、低くなっていることがわかる。また、利得は、励振周波数が高くなるに従って、送信用アンテナ10からの放射電力が増加するために、増加していることがわかる。
この場合、スミスチャートから読み取れる値を用いて、次の〔式2〕で示される送信機(図示せず)と送信用アンテナ10との間の反射係数が、広い周波数範囲で値が小さく、大きく変化しないこととなる。
図9に示す指向性パターンは、Z軸心方向において、ボータイアンテナからプラス側(探査対象領域の側に相当)とマイナス側(非探査対象領域の側に相当)の双方へ等しく広がるパターンである。これと比較して、図6、7、8に示す指向性パターンは、Z軸心方向において、ダイポールアンテナからプラス側(探査対象領域の側)への広がりが、マイナス側(非探査対象領域の側)への広がりに比べて強くなる傾向があり、従来技術に比べ、指向性を高められていることがわかる。
(1)上記実施形態の地中の探査装置100の例にあっては、Z軸心方向を鉛直方向に沿う方向として説明した。即ち、上記実施形態にあっては、地中の探査装置100として、鉛直方向で下方へ指向性が高いアンテナとした。
しかしながら、上記実施形態の如く、Z軸心方向は鉛直方向に沿う方向でなくても構わない。例えば、本願の探査装置用レーダは、地中探査装置のみに使用されるものではなく、壁部の内部の探査を行う探査装置としても利用可能である。
当該壁部の内部の探査を行う探査装置により、垂直方向に立設される壁部を探査する場合、Z軸心方向を水平方向に沿わせた方向とすることで、探査装置用アンテナ10、20は、Z軸心方向に沿う方向において、指向性の高いアンテナとして機能することになる。
しかしながら、当該一対の半月形状反射板11a、11bを設けない構成を採用しても構わない。当該構成にあっては、一対のダイポール13a、13bの先端部(給電点P1の側とは反対側の端部)は、例えば、パラボラ反射板12から延設される延設支持部位(図示せず)にて支持される構成が採用される。
尚、受信用アンテナ20でも同様の構成を採用できる。
しかしながら、本発明は当該構成に限定されるものではない。例えば、非探査対象領域へ放射される電磁波のうち、パラボラ反射板12及び一対の半月形状反射板11a、11bによる反射により、探査対象領域へ放射する割合を増加する観点からは、X軸心方向において、一対のダイポール13a、13bとの長さ(両者を足し合わせた長さ)が、パラボラ反射板12の長さ以下にされることが好ましい。
また、更に、パラボラ反射板12及び一対の半月形状反射板11a、11bのZ軸心方向でのZ軸心先端側の端部位置が、Z軸心方向での放物線の焦点位置に一致する形状にしなくても構わない。
11a :半月形状反射板
11b :半月形状反射板
12 :パラボラ反射板
13a :ダイポール
13b :ダイポール
20 :受信用アンテナ
21a :半月形状反射板
21b :半月形状反射板
22 :パラボラ反射板
23a :ダイポール
23b :ダイポール
100 :探査装置
F :焦点距離
R1a :装荷抵抗
R2a :装荷抵抗
Claims (7)
- 探査装置用アンテナであって、
XYZ空間において、以下の〔式1〕にて規定される放物線の焦点距離をFとして、前記放物線をX軸心方向に延ばして得られる形状のパラボラ反射面にて電磁波を反射するパラボラ反射板を備え、
前記放物線の焦点位置に配設され前記X軸心方向に延設されるダイポールを備える探査装置用アンテナ。
Z=Y2/4F 〔式1〕 - 前記X軸心方向での前記ダイポールの長さは、前記X軸心方向における前記パラボラ反射板の長さ以下に構成されている請求項1に記載の探査装置用アンテナ。
- 前記パラボラ反射板の前記X軸心方向における端部に、前記パラボラ反射板の前記X軸心方向における端部形状に沿う半月形状で電磁波を反射する一対の半月形状反射板を、前記パラボラ反射板に連接して備える請求項1又は2に記載の探査装置用アンテナ。
- 前記ダイポールは、一対の前記半月形状反射板の双方に装荷抵抗を介して電気的に接続される請求項3に記載の探査装置用アンテナ。
- 前記パラボラ反射板及び一対の前記半月形状反射板のZ軸心方向でZ軸心先端側の端部位置が、前記Z軸心方向での前記焦点位置に一致している請求項3又は4に記載の探査装置用アンテナ。
- 前記焦点距離は、60mmである請求項1〜5の何れか一項に記載の探査装置用アンテナ。
- 請求項1〜6の何れか一項に記載の探査装置用アンテナを備える探査装置。
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