JP2018088380A - リチウムイオン二次電池用の電極活物質、およびそれを用いたリチウムイオン二次電池 - Google Patents
リチウムイオン二次電池用の電極活物質、およびそれを用いたリチウムイオン二次電池 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】全固体電池として使用した場合であっても、内部抵抗を抑制し、長期間にわたって充放電を高い効率で行うことができると共に、高いイオン伝導度も発揮できる新しいタイプのリチウムイオン二次電池用の電極活物質およびそれを用いたリチウムイオン二次電池を提供する。【解決手段】新たなリチウムイオン二次電池用の電極活物質は、リチウム含有リン酸塩LiyMxTi2−x(PO4)3(Mは金属元素であり、y=1+xまたはy=1+2x)から成る。【選択図】図2
Description
本発明は、二次電池の技術分野に属し、特に、全固体電池としても利用可能なリチウムイオン二次電池を構成する新規な電極活物質の製造方法およびそれを用いる二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、高電圧で高エネルギー密度を達成できる二次電池として、従来から盛んに研究が進められている分野である。従来から、リチウムイオン二次電池は、引火しやすいことから、安全性の面で不安がある点が指摘されてきたが、近年では特に、電池事故が相次いだことからも、さらに高い安全性が要求されている。安全性の高いリチウムイオン二次電池を実現するための手法として、電解質に不燃性無機固体電解質を用いることによって、これまでのような液体の電解液を用いないという構成の全固体電池が提案されている。
このような全固体電池としては、例えば、Li10GeP2S12(略称LGPS)を用いた単層全固体リチウムイオン電池が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
しかし、これまでの全固体電池では、電解質抵抗よりも大きな界面抵抗の存在が障壁となっており、未だに全固体電池の実用化までには至っていない。この界面抵抗が引き起こされる要因としては、電池合成の際の焼成における電極と電解質との化学反応が挙げられる。特に、酸化物系全固体電池では、界面形成を焼成に頼らざるを得なく、接合状態を向上させると部材間で化学反応が起こるというトレードオフのジレンマがある。
なお、リチウムイオン二次電池とは異なる系であるナトリウムイオン二次電池の技術ではあるが、電池特性を改良したものとして、酸化物系全固体電池が提案されており、例えば、ナシコン型(NASICON:Na Super Ionic Conductor)の結晶構造を有する電極活物質Na3V2(PO4)3(略称NVP)を正負極の両極に用いるシンメトリー型の単層全固体ナトリウムイオン電池が提案されている(例えば、非特許文献2、3参照)。
さらに、このようなナトリウムイオン二次電池の焼成時の界面の反応を低減するために、電極と電解質を同一材料で構成するという手法も提案されており、例えば、Na3V2(PO4)にZrをドープしたNa2.6V1.6Zr0.4(PO4)3を用いて、単一材料に正極、負極、固体電解質の全ての役割を担わせるという単層型全固体ナトリウムイオン二次電池(例えば、非特許文献4参照)も提案されているが、依然として、室温のイオン伝導度が10−6 S/cmオーダーという低い特性にとどまっており、電解質抵抗由来の電池抵抗も高く、実用化までには至っていない。
Fudong Han,Tao Gao,Yujie Zhu,Karen J. Gaskell,Chunsheng Wang, "A Battery Made from a Single Material", 2015, 27, 3473-3483
猪石篤、大牟田拓也、小林栄次、喜多條鮎子、岡田重人, ナシコン単層全固体リチウムイオン電池及びナトリウムイオン電池の電気化学特性, 第41回固体イオニクス討論会、2015年11月
猪石篤、大牟田拓也、小林栄次、喜多條鮎子、岡田重人, ナシコン単層全固体ナトリウムイオン電池の電気化学特性, 第56回電池討論会、2015年11月
A.Inoishi, E. Kobayashi, A. Kitajou, and S. Okada, "All-Solid-State Sodium-Ion Battery with Nasicon", PRiME 2016, Honolulu, Hawaii, I012-2988, 2016年, 第230回 ECS Meeting
このように、リチウムイオン二次電池に関しても、単層型全固体電池として実用化されたものは未だ知られていない。
その主な理由としては、全てが固体で構成されるという電池構造に起因して、本質的に電極と電解質間の界面抵抗が大きく、電池内の内部抵抗(インピーダンス)が高く、当該内部抵抗によって充放電効率が妨げられ、二次電池として実用化できるまでの特性が得られていないことが挙げられる。
本発明の目的は、上記課題を解決するために提案されたものであり、全固体電池として使用した場合であっても、内部抵抗を抑制し、長期間にわたって充放電を高い効率で行うことができると共に、高いイオン伝導度も発揮できる新しいタイプのリチウムイオン二次電池用の電極活物質およびそれを用いたリチウムイオン二次電池を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究の結果、これまでに電極活物質として使われていない材料を用いて、高いイオン伝導度を発揮できる電池特性の高い新たなリチウムイオン二次電池用の電極活物質を見出した。さらに、この新たな電極活物質を用いて、全固体電池を構築した際に、安全性および安定性の両立を実現できる新たなリチウムイオン二次電池が得られることも見出した。
かくして、本発明に従えば、リチウム含有リン酸塩LiyMxTi2−x(PO4)3(Mは金属元素であり、y=1+xまたはy=1+2x)から成ることを特徴とするリチウムイオン二次電池用の電極活物質が提供される。また、本発明に従えば、上記の電極活物質から構成される正極及び/又は負極を備えるリチウムイオン二次電池も提供される。また、本発明に従えば、リチウム含有リン酸塩LiyMxTi2−x(PO4)3を固体電解質として備える全固体電池のリチウムイオン二次電池も提供される。また、本発明に従えば、非水系溶媒を備える非水系のリチウムイオン二次電池も提供される。
本発明に係るナトリウムイオン二次電池用の電極活物質は、リチウム含有リン酸塩LiyMxTi2−x(PO4)3(Mは金属元素、y=1+xまたはy=1+2x)から成るものである。金属元素Mは、遷移金属であれば特に限定されないが、Cr、Ni、Co、およびMnから成る群から選択されることが好ましく、特に、電位と取り扱いの容易性からCrを使用することが好ましい。
上記のリチウム含有リン酸塩は、例えば、3価の金属元素Mを用いる場合には、y=1+xとして、Li1+xMxTi2−x(PO4)3として示され、例えば、3価の金属元素であるCrの場合には、Li1+xCrxTi2−x(PO4)3として示される。また、上記のリチウム含有リン酸塩は、例えば、2価の金属元素Mを用いる場合には、y=1+2xとして、Li1+2xMxTi2−x(PO4)3として示され、例えば、2価の金属元素であるNiの場合には、Li1+2xNixTi2−x(PO4)3として示される。
また、この金属元素Mの配合比であるxについては、特に限定されず、0<x<2とすることができるが、優れた放電特性を発揮しやすいという点から、0<x≦1.8であることが好ましく、より優れた放電特性を発揮しやすいという点から、より好ましくは、0.1≦x≦1.5である。
リチウム含有リン酸塩LiyMxTi2−x(PO4)3は、公知の手段を使用して製造することができ、例えば、簡素な手法として、このリチウム含有リン酸塩の構成元素の酸化物を出発源とする固相法を使用して製造することができる。固相法を使用する場合には、出発源として粉末状のLi2CO3、TiO2、M2O3、NH4H2PO4を混合(手混ぜ)し、大気中で200℃〜500℃(例えば300℃)で焼成し、さらに大気中で1000℃〜1500℃(例えば1100℃)で焼成することで、リチウム含有リン酸塩LiyMxTi2−x(PO4)3の焼結体を得ることができる。
本発明の製造方法の一例として、上記の金属元素Mがクロム(Cr)である場合には、出発源として粉末状のLi2CO3、TiO2、Cr2O3、NH4H2PO4を用いて、1000℃〜1100℃で大気中で加熱することで、リチウム含有リン酸クロムLi1+xCrxTi2−x(PO4)3を得ることができる。
上記の電極活物質を、リチウムイオン二次電池の電極としてそのまま用いてもよいが、電極のレート特性を向上させるために、公知の導電材との複合体を形成させてもよい。
すなわち、本発明に従えば、レート特性を向上させる観点から、上記で得られた電極活物質であるリチウム含有リン酸塩LiyMxTi2−x(PO4)3を、不活性ガス雰囲気下で炭素微粒子と共に粉砕・混合することにより、カーボンコートすることができる。該炭素微粒子としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等を使用することができるが、電極として使用する際の導電性の高さからアセチレンブラックが好適である。不活性ガスとしては、窒素ガスやアルゴンガス等を用いることができ、例えば、アルゴンガスを用いることができる。
カーボンコートの際の粉砕・混合に適用される具体的手段は、特に限定されるものではなく、固形物質の粉砕・混合の目的で従来から用いられている各種の手段が適用可能であるが、好ましいのは、ボールミルであり、そのうち特に、原料を充分に粉砕・混合することができる点から遊星型ボールミル(planetary ball milling)を用いることが好ましい。
本発明に従えば、以上のようにして得られた電極活物質であるリチウム含有リン酸塩LiyMxTi2−x(PO4)3を用いて、当該電極活物質から構成されるリチウムイオン二次電池電極、および該電極を組み合わせた非水系リチウムイオン二次電池、さらには、リチウム含有リン酸塩LiyMxTi2−x(PO4)3を固体電解質としても備える界面フリーの単層全固体リチウムイオン二次電池も簡易に構成することができる。
この界面フリーの単層全固体リチウムイオン二次電池の充電時の電極反応については、リチウム含有リン酸塩をLi1.5Cr0.5Ti1.5(PO4)3として例示すると、次の反応が考えられる。
本発明に従う電極を作製する際には、上記の電極活物質を用いるほかは公知の電極の作製方法に従えばよい。例えば、上記活物質の粉末を必要に応じてポリエチレン等の公知の結着材、さらに必要に応じてアセチレンブラック等の公知の導電材と混合した後、得られた混合粉末をステンレス鋼製等の支持体上に圧着成形したり、金属製容器に充填したりすることができる。このような電極の例として、ペレット電極がある。ペレット電極としては、例えば、図1(a)に示すように、ペレット電極10aと、スペーサー11aと、コインセル容器(下蓋)12と、チタン製のチタンメッシュ13とから構成することができる。ペレット電極10aは、例えば、10mmの厚さとすることができる。スペーサー11aは、チタンメッシュ13を載置し、このチタンメッシュ13上にペレット電極10aを載置する。
また、例えば、上記混合粉末をトルエン等の有機溶剤と混合して得られたスラリーをアルミニウム、ニッケル、ステンレス、銅等の金属基板上に塗布する等の方法によっても本発明の電極を作製することができる。このような電極の例として、塗布電極がある。塗布電極としては、例えば、図1(b)に示すように、塗布電極10bと、スペーサー11bと、コインセル容器(下蓋)12とから構成することができる。塗布電極10bは、例えば、10mmの電極径とすることができる。スペーサー11bは、上面中央部に塗布電極10bがスポット溶接される。
リチウム含有リン酸塩LiyMxTi2−x(PO4)3から構成される正極(または負極)に対向する負極(または正極)としては、従来から二次電池でよく用いられているものを構成要素として使用できる。また、その他の構成要素としても、公知のリチウムイオン二次電池に使用されるものを構成要素として使用できる。本発明のリチウムイオン二次電池において、電解液は、リチウム塩を主電解質とするものであれば特に限定されない。この主電解質となるリチウム塩としては、例えば、電解質LiClO4を、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)との混合溶媒に溶解させたものを電解液として使用することができる。
また、リチウム含有リン酸塩LiyMxTi2−x(PO4)3から構成される正極(または負極)に対向する負極(または正極)として、同じくリチウム含有リン酸塩LiyMxTi2−x(PO4)3を用いることもでき、この場合には、シンメトリー型のリチウムイオン二次電池が構築される。この場合の電解液も、上述したように、リチウム塩を主電解質とするものであれば特に限定されない。
さらに、リチウム含有リン酸塩LiyMxTi2−x(PO4)3から構成される正極(または負極)に対向する負極(または正極)として、リチウム含有リン酸塩LiyMxTi2−x(PO4)3を用いると共に、リチウム含有リン酸塩LiyMxTi2−x(PO4)3を固体電解質として用いることもでき、この場合には、単相全固体リチウムイオン二次電池が構築される。
例えば、本発明の単相全固体リチウムイオン二次電池の製造方法の一例としては、上記と同様に、上記の金属元素Mがクロム(Cr)である場合には、出発源として粉末状のLi2CO3、TiO2、Cr2O3、NH4H2PO4を用いて、1000℃または1100℃で大気中で加熱することで、リチウム含有リン酸クロムLi1+xCrxTi2−x(PO4)3を得ることができる。このLi1+xCrxTi2−x(PO4)3粉末を、一軸成形(例えばφ10mm)して、1100℃で大気中で焼結して得られたペレットの両面にスパッタ(両面、集電用)で白金をコートし、これをグローブボックス内でアルゴン雰囲気下でHSセルに封入することによって、図2(a)に示すようなφ9〜10 mm程度の単相電池ペレットを作成することができる。
この単相電池ペレットでは、図2(b)に示すような正極反応の領域、電解質領域、および負極反応の領域が含まれ、このペレットと白金集電体の界面で正極反応及び負極反応が起こる。すなわち、図2(c)に示すように、リチウム含有リン酸塩をLi1.5Cr0.5Ti1.5(PO4)3として例示すると、負極、正極、固体電解質が全て同一化合物である単相全固体リチウムイオン二次電池として、リチウムイオンを介したレドックス反応により繰り返しの充放電が可能となる。事実、室温で10-4 S/cmオーダーの高いイオン伝導度を示すと共に、このセルで充放電を行った場合には、0.1 mA/cm2での高速充放電を実現できる。
なお、本発明に係るリチウムイオン二次電池は、セパレータ、電池ケース他、構造材料等の要素についても従来公知の各種材料を使用することができ、特に制限はない。本発明に係るナトリウムイオン二次電池は、上記の電池要素を用いて公知の方法に従って組み立てればよい。この場合、電池形状についても特に制限されることはなく、例えば円筒状、角型、コイン型等種々の形状、サイズを適宜採用することができる。
以下に、本発明の特徴をさらに具体的に示すために実施例を記すが、本発明は以下の実施例によって制限されるものではない。
(実施例)
(1)電極活物質の合成
出発源としてLi2CO3、TiO2、Cr2O3、NH4H2PO4を用いて、固相法によりリチウム含有リン酸塩LiyCrxTi2-x(PO4)3 (y=1+x)の焼結体ペレットを合成した。サンプルとして、x=0.5、1.0、1.5の3つのサンプルを作製した。出発物質の混合物を300℃で2時間大気中で焼成後、得られた粉末を乳鉢混合後、1000℃で5時間焼成した。得られた粉末を再度乳鉢混合後、φ10 mmで1軸成形後、1100℃にて大気中で15時間焼結して得た。
(1)電極活物質の合成
出発源としてLi2CO3、TiO2、Cr2O3、NH4H2PO4を用いて、固相法によりリチウム含有リン酸塩LiyCrxTi2-x(PO4)3 (y=1+x)の焼結体ペレットを合成した。サンプルとして、x=0.5、1.0、1.5の3つのサンプルを作製した。出発物質の混合物を300℃で2時間大気中で焼成後、得られた粉末を乳鉢混合後、1000℃で5時間焼成した。得られた粉末を再度乳鉢混合後、φ10 mmで1軸成形後、1100℃にて大気中で15時間焼結して得た。
(2)X線回折結果
上記で得られた焼結体に対して、線源がFeKαのX線回折装置で取得したX線回折結果(XRD)を図3に示す。図3で得られたピーク値から、いずれのサンプルも、リチウム含有リン酸塩LiyCrxTi2-x(PO4)3 (y=1+x)が得られたことが確認され、特にx=0.5では、とりわけ完全なCrの固溶が確認された。得られたペレットの両面に白金スパッタを施して電池を作製した。
上記で得られた焼結体に対して、線源がFeKαのX線回折装置で取得したX線回折結果(XRD)を図3に示す。図3で得られたピーク値から、いずれのサンプルも、リチウム含有リン酸塩LiyCrxTi2-x(PO4)3 (y=1+x)が得られたことが確認され、特にx=0.5では、とりわけ完全なCrの固溶が確認された。得られたペレットの両面に白金スパッタを施して電池を作製した。
(3)充放電測定(ハーフセル)
最もイオン電導度が高かったリチウム含有リン酸塩Li1.5Cr0.5Ti1.5(PO4)3の材料について、非水電解液(1M LiPF6//EC-DMC)とリチウム対極を用いたハーフセルの充放電測定を行った。充放電測定は、25℃の室温にて、正極は4.9 V〜3.0 V、負極は1 V〜3 Vの電圧範囲にて、電流密度0.1 mA/cm2で行った。得られた結果を図4に示す。得られた結果から、正極反応としてCrの3価4価のレドックスと考えられる4.75 V(Cr3+/Cr4+)の電位が確認され、負極反応としてTiの4価3価のレドックスと考えられる2.55 V(Ti4+/Ti3+)の電位が確認された。これらの結果から、正負極の電位差は約2.2Vであることが確認された。また、0.1 mA/cm2での高速充放電に成功したことも確認された。
最もイオン電導度が高かったリチウム含有リン酸塩Li1.5Cr0.5Ti1.5(PO4)3の材料について、非水電解液(1M LiPF6//EC-DMC)とリチウム対極を用いたハーフセルの充放電測定を行った。充放電測定は、25℃の室温にて、正極は4.9 V〜3.0 V、負極は1 V〜3 Vの電圧範囲にて、電流密度0.1 mA/cm2で行った。得られた結果を図4に示す。得られた結果から、正極反応としてCrの3価4価のレドックスと考えられる4.75 V(Cr3+/Cr4+)の電位が確認され、負極反応としてTiの4価3価のレドックスと考えられる2.55 V(Ti4+/Ti3+)の電位が確認された。これらの結果から、正負極の電位差は約2.2Vであることが確認された。また、0.1 mA/cm2での高速充放電に成功したことも確認された。
(4)充放電測定(フルセル)
非水電解液を用いたフルセル(正負極ともにリチウム含有リン酸塩Li1.5Cr0.5Ti1.5(PO4)3)の充放電測定を行った。充放電測定は、電圧範囲2.4V〜0.0 1Vで電流密度0.1 mA/cm2で行った。得られた結果を図5に示す。得られた結果から、正負極の電位差は約2.2Vであることが確認された。また、0.1 mA/cm2での高速充放電に成功したことも確認された。
非水電解液を用いたフルセル(正負極ともにリチウム含有リン酸塩Li1.5Cr0.5Ti1.5(PO4)3)の充放電測定を行った。充放電測定は、電圧範囲2.4V〜0.0 1Vで電流密度0.1 mA/cm2で行った。得られた結果を図5に示す。得られた結果から、正負極の電位差は約2.2Vであることが確認された。また、0.1 mA/cm2での高速充放電に成功したことも確認された。
(5)充放電測定(全固体)
全固体電池(正負極、電解質ともにリチウム含有リン酸塩Li1.5Cr0.5Ti1.5(PO4)3)の充放電測定を行った。充放電測定は、充電容量10μAhで容量規制し、放電は10mVで電圧規制した。充放電は25℃にて、電流密度0.1 mA/cm2で行った。得られた結果を図6に示す。得られた結果から、正負極の電位差は約2.2Vであることが確認された。また、0.1 mA/cm2という極めて速い高速充放電に成功したことも確認された。
全固体電池(正負極、電解質ともにリチウム含有リン酸塩Li1.5Cr0.5Ti1.5(PO4)3)の充放電測定を行った。充放電測定は、充電容量10μAhで容量規制し、放電は10mVで電圧規制した。充放電は25℃にて、電流密度0.1 mA/cm2で行った。得られた結果を図6に示す。得られた結果から、正負極の電位差は約2.2Vであることが確認された。また、0.1 mA/cm2という極めて速い高速充放電に成功したことも確認された。
(6)自己放電(全固体)
全固体電池(正負極、電解質ともにリチウム含有リン酸塩LiyCrxTi2-x(PO4)3 (y=1+x)の自己放電について、25℃、0.1mA/cm2、10μAhにて、リチウム含有リン酸塩Li1.5Ti1.5Cr0.5(PO4)3単相型電池の充電後の開放電圧(OCV)の経時変化を測定した結果を図7に示す。得られた結果から、起電力は長時間にわたり高電圧を維持しており、極端に大きな電子リークによる自己放電はなかった。このことから、安定的に起電力は保持されることが確認された。
全固体電池(正負極、電解質ともにリチウム含有リン酸塩LiyCrxTi2-x(PO4)3 (y=1+x)の自己放電について、25℃、0.1mA/cm2、10μAhにて、リチウム含有リン酸塩Li1.5Ti1.5Cr0.5(PO4)3単相型電池の充電後の開放電圧(OCV)の経時変化を測定した結果を図7に示す。得られた結果から、起電力は長時間にわたり高電圧を維持しており、極端に大きな電子リークによる自己放電はなかった。このことから、安定的に起電力は保持されることが確認された。
(7)イオン電導度(全固体)
全固体電池(正負極、電解質ともにリチウム含有リン酸塩LiyCrxTi2-x(PO4)3 (y=1+x))のx=0.5、1.0、1.5の各サンプルに対して、交流インピーダンス法によってイオン伝導度を測定した結果を図8に示す。得られた結果から、いずれのサンプルも、室温で10−4 S/cmオーダーという従来の全固体電池(リチウム系のみならずナトリウム系の二次電池も含めて)では得られなかった高いイオン伝導度を示しており、特に、x=0.5において、極めて高い室温イオン電導度2.0×10−4S/cmを発現したことが確認された。
全固体電池(正負極、電解質ともにリチウム含有リン酸塩LiyCrxTi2-x(PO4)3 (y=1+x))のx=0.5、1.0、1.5の各サンプルに対して、交流インピーダンス法によってイオン伝導度を測定した結果を図8に示す。得られた結果から、いずれのサンプルも、室温で10−4 S/cmオーダーという従来の全固体電池(リチウム系のみならずナトリウム系の二次電池も含めて)では得られなかった高いイオン伝導度を示しており、特に、x=0.5において、極めて高い室温イオン電導度2.0×10−4S/cmを発現したことが確認された。
(8)電池抵抗(全固体)
比較例として、ナトリウム含有リン酸塩の充放電測定に関する結果を、図9に示す。図9(a)は、電極活物質Na3V2(PO4)3を正負極の両極に用いるシンメトリー型のナトリウムイオン電池(上述の非特許文献2、3に相当)についての充放電測定の結果(電解質にはNa3Zr2Si2(PO4)3を使用)であり、図9(b)は、電極活物質Na2.6V1.6Zr0.4(PO4)3から構成されるナトリウムイオン電池(上述の非特許文献4に相当)についての充放電測定の結果である。
比較例として、ナトリウム含有リン酸塩の充放電測定に関する結果を、図9に示す。図9(a)は、電極活物質Na3V2(PO4)3を正負極の両極に用いるシンメトリー型のナトリウムイオン電池(上述の非特許文献2、3に相当)についての充放電測定の結果(電解質にはNa3Zr2Si2(PO4)3を使用)であり、図9(b)は、電極活物質Na2.6V1.6Zr0.4(PO4)3から構成されるナトリウムイオン電池(上述の非特許文献4に相当)についての充放電測定の結果である。
得られた比較例の結果から、図9(a)からは、約130mVの過電圧が測定されたことから、電池抵抗としては、約50kΩ/cm2という高い抵抗値が確認され、図9(b)からは、約220mVの過電圧が測定されたことから、電池抵抗としては、約21kΩ/cm2という高い抵抗値が確認された。
これに対して、上記図6で示したように、本実施形態に係る全固体電池(正負極、電解質ともにリチウム含有リン酸塩LiyCrxTi2-x(PO4)3 (y=1+x))の充放電測定に関する結果から、図10(a)に示すように、約470mVの過電圧が測定されたことから、電池抵抗としては、約2.4kΩ/cm2という極めて低い抵抗値であることが確認された。また、正負極の電位差は約2.2Vであることが確認された。さらに、0.1 mA/cm2での高速充放電に成功したことも確認された。
上記の各充放電測定の結果から、、本実施形態に係る全固体電池は、図10(b)に示すように、界面抵抗および電解質抵抗が各々極めて低く、上述した比較例と比べても電池抵抗に1桁ものオーダーの違いがあることから、電池抵抗が極めて低いという優れた特性が確認された。
以上の結果から、新たなリチウムイオン二次電池用の電極活物質としてのリチウム含有リン酸塩LiyCrxTi2-x(PO4)3 は、いずれのサンプルも高い室温イオン伝導度が確認されており、特にx=0.5のサンプルで、2.0 ×10-4 S/cmもの高い室温イオン伝導度が確認された。また、リチウム含有リン酸塩Li1.5Cr0.5Ti1.5(PO4)3において2.55V(Ti4+/Ti3+)、4.75V(Cr3+/Cr4+)の正負極反応が確かに進行したことも確認された。また、リチウム含有リン酸塩Li1.5Cr0.5Ti1.5(PO4)3を用いた単相型電池で、その高いイオン伝導度と理想的界面の設計によって、室温で0.1 mA/cm2もの高速充放電が確認された。
10a ペレット電極
10b 塗布電極
11a スペーサー
11b スペーサー
12 コインセル容器(下蓋)
13 チタンメッシュ
10b 塗布電極
11a スペーサー
11b スペーサー
12 コインセル容器(下蓋)
13 チタンメッシュ
Claims (5)
- リチウム含有リン酸塩LiyMxTi2−x(PO4)3(Mは金属元素であり、y=1+xまたはy=1+2x)から成ることを特徴とする
リチウムイオン二次電池用の電極活物質。 - 請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用の電極活物質において、
Mが、Cr、Ni、Co、およびMnから成る群から選択されることを特徴とする
リチウムイオン二次電池用の電極活物質。 - 請求項1又は請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用の電極活物質であるリチウム含有リン酸塩LiyMxTi2−x(PO4)3から構成される正極及び/又は負極を備えることを特徴とする
リチウムイオン二次電池。 - 請求項3に記載のリチウムイオン二次電池において、
リチウム含有リン酸塩LiyMxTi2−x(PO4)3を固体電解質として備えることを特徴とする
リチウムイオン二次電池。 - 請求項3に記載のリチウムイオン二次電池において、
非水系溶媒を備えることを特徴とする
リチウムイオン二次電池。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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