JP2018088214A - 搬送車 - Google Patents
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Abstract
【課題】周囲の構造物等との接触を抑制しつつ、走行位置のズレを補正できる搬送車を提供すること。【解決手段】ズレ補正中の無人搬送車1の走行速度が速い程、無人搬送車1はズレが補正されるまでに長い距離を移動することとなり、無人搬送車1が周囲のものと接触する可能性が高くなる。そこで、本実施形態の無人搬送車1は、磁気ガイドGに対するズレ量が大きい場合に、無人搬送車1の最高速度を制限するようにしている。その結果、ズレが補正されるまでに無人搬送車1が走行する距離を短くできるので、無人搬送車1が周囲のものと接触することを抑制できる。【選択図】図8
Description
本発明は、搬送車に関し、特に、周囲のものとの接触を抑制しつつ、走行位置のズレを補正できる搬送車に関するものである。
従来、工場等において、搬送物を積載し、自律走行により運搬する無人搬送車が知られている。特許文献1には、走行路上に設置された磁気ガイドなどの誘導マーカに沿って自動走行する無人搬送車が開示されている。
さて、本来、磁気ガイドに沿って走行する無人搬送車であっても、劣化等により走行路の舗装面に凹凸が生じている場合、かかる凹凸部分を無人搬送車が走行すると、無人搬送車の走行位置にズレが生じることがある。また、無人搬送車の積載物に偏りがある場合や、無人搬送車がカーブを走行する場合、更には走行路に埋設された磁気ガイドが局所的にズレている場合などにも、無人搬送車の走行位置にズレが生じることがある。
特許文献2の無人搬送車では、走行位置のズレを補正するために、無人搬送車の前部と後部の走行中心線上に車体幅方向の位置のズレ量を検知する方位検知器を設けるとともに、無人搬送車の中央部に絶対位置情報を検知するIDタグ検知器を設け、走行経路中の所定位置に、方位検知器とIDタグ検知器に対向させて方位標識と絶対位置情報を記憶したIDタグを設け、両方位検知器の検知情報から無人搬送車の方位のズレ角と絶対位置とのズレ量を演算して、走行位置のズレを補正している(特許文献2の段落0029等)。
また特許文献3の無人搬送車では、無人搬送車の走行位置と走行ラインデータとから目標姿勢角を算出すると共に、この算出した目標姿勢角に達するまで、予め設定した所定走行距離毎に徐々に角度が変化する姿勢角指令を算出し、この算出した姿勢角指令に基づいて操舵輪に出力する操舵角指令を算出し、更にこれに基づいて走行修正のための操舵輪の操舵を行って、走行位置のズレを補正している(特許文献3の段落0019等)。
しかしながら、上記特許文献2,3の走行位置の補正処理を施したとしても、無人搬送車が高速走行している状態で走行位置のズレ量が大きくなった場合には、そのズレ量が補正されるまでに、高速走行中の無人搬送車は長い距離を移動することとなる。よって、かかる場合には、無人搬送車が周囲の構造物等と接触する危険性が高くなるという問題点があった。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、周囲のものとの接触を抑制しつつ、走行位置のズレを補正できる搬送車を提供することを目的としている。
この目的を達成するために本発明の搬送車は、車体と、その車体に操舵自在に配設される複数の車軸と、それら複数の車軸をそれぞれ個別に操舵する複数の操舵手段と、前記複数の車軸にそれぞれ取着される車輪と、その車輪を回転駆動させる駆動手段とを備え、更に、走行路に設けられたガイドを検知可能なガイドセンサと、前記搬送車を前記ガイドに沿って走行させるように、前記ガイドセンサによる前記ガイドの検知結果に基づいて前記複数の操舵手段をそれぞれ個別に制御する操舵制御手段と、前記ガイドセンサにより前記ガイドを検知した結果、前記搬送車の前記ガイドに対するズレ量が第1閾値より大きい第2閾値以上である場合に、前記駆動手段の許容最高速度を、前記ズレ量が前記第1閾値以内である場合の第1速度より遅い第2速度に設定する駆動制御手段とを備えている。
請求項1記載の搬送車によれば、走行路に設けられたガイドに沿って搬送車を走行させるように、ガイドセンサによるガイドの検知結果に基づいて、操舵制御手段により、複数の操舵手段がそれぞれ個別に制御される。ここで、搬送車のガイドに対するズレ量が第1閾値より大きい第2閾値以上である場合には、駆動制御手段によって、駆動手段の許容最高速度がズレ量が第1閾値以内である場合の第1速度より遅い第2速度に設定される。このように、搬送車のガイドに対するズレ量が大きい場合には、搬送車の最高速度は遅く設定されるので、ズレ量が補正されるまでに搬送車が走行する距離を短くできる。よって、走行中の搬送車が何らかの要因でガイドからズレた場合にも、搬送車と周囲のものとの接触を抑制しつつ、かかる走行位置のズレを補正できるという効果がある。
請求項2記載の搬送車によれば、請求項1が奏する効果に加え、次の効果を奏する。ガイドセンサは搬送車の前方部および後方部に少なくとも1ずつ配設され、その前方部または後方部のいずれかのガイドセンサが第2閾値以上のズレ量を検知する場合に、駆動制御手段によって、駆動手段の許容最高速度が、第1速度より遅い第2速度に設定される。よって、何らかの原因で搬送車の前方又は後方の一方の走行位置のズレ量が大きくなった場合にも、搬送車の移動距離を短くでき、搬送車が周囲のものと接触することを抑制しつつ、走行位置のズレを補正できるという効果がある。しかも、ガイドセンサは搬送車の前方部と後方部とに配設されている。走行位置のズレ量は、ガイドセンサの配設間隔が大きい程、正確に検知できるので、搬送車の走行位置のズレ量をより細かく検知できるという効果がある。
請求項3記載の搬送車によれば、請求項2が奏する効果に加え、次の効果を奏する。前方部および後方部の双方のガイドセンサが第1閾値以内のズレ量を検知する場合に、駆動制御手段によって、駆動手段の許容最高速度が、第2速度より速い第1速度に設定される。何らかの原因で搬送車の前方又は後方の少なくとも一方の走行位置のズレ量が大きくなって、許容最高速が第1速度より遅い第2速度に制限された場合でも、その解除(復帰)は、前方部および後方部の双方のガイドセンサが第1閾値以内のズレ量を検知してなされる。このように、一旦制限された許容最高速度の制限解除(復帰)は、搬送車の前方部および後方部の双方のズレ量が小さくなった場合になされるので、ズレ補正中の走行距離を短くできるという効果がある。
請求項4記載の搬送車によれば、請求項2又は3が奏する効果に加え、次の効果を奏する。前方部または後方部のいずれかのガイドセンサが第4閾値以上のズレ量を検知する場合に、駆動制御手段によって、駆動手段の許容最高速度が、第2速度より遅い第3速度に設定され、その一方で、前方部および後方部の双方のガイドセンサが第2閾値以上第3閾値以内のズレ量を検知する場合に、駆動手段の許容最高速度が、第2速度に設定される。このように、搬送車の走行位置のズレ量に応じて、最高許容速度を2段階に制限することで、ズレ量が補正されるまでの搬送車の移動距離を一層短くして、搬送車と周囲のものとの接触を一層抑制できるという効果がある。
請求項5記載の搬送車によれば、請求項1から4のいずれかが奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、予め設定された設定速度を記憶する設定速度記憶手段を備えているので、許容最高速度が設定速度より遅い速度に設定(制限)された結果、走行速度が設定速度から許容最高速度に切り替えられた場合にも、許容最高速度が設定速度より速い速度に設定(制限解除または復帰)されれば、走行速度を、予め設定された設定速度に復帰させることができるという効果がある。
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず図1を参照して第1実施形態における無人搬送車1について説明する。図1(a)は本発明の第1実施形態における無人搬送車1の側面図であり、図1(b)は図1(a)の矢印Ib方向から見た無人搬送車1の底面図であり、図1(c)は図1(a)の矢印Ic方向から見た無人搬送車1の正面図である。なお、図1(a)及び図1(b)では、紙面左側を無人搬送車1の前側とする。
第1実施形態における無人搬送車1は、磁気ガイドG(図3(b)参照)に対するズレが大きい場合に最高速度に上限を定める制御装置5を搭載した車両である。図1に示す通り、無人搬送車1は、車体2と、走行装置3と、第1LCD4aと、第1入力装置4bと、制御装置5と、磁気ガイド検知センサ30とを備えている。車体2は、その上面に積載物を載置するための荷台が、無人搬送車1の前後方向に亘って平らに形成される。
図1(b)に示す通り、車体2の下方には、無人搬送車1を走行させるための車輪を備える走行装置3が車体2の左右に6個ずつ、計12個設けられる。車体2の左側の前端の走行装置3には、その前後に磁気ガイド検知センサ30a,30bが設けられる。車体2の左側の後端の走行装置3には、その前後に磁気ガイド検知センサ30c,30dが設けられる。これらの磁気ガイド検知センサ30a,30b,30c,30dの幅は、走行装置3の車輪の車軸と平行に延びる。なお、磁気ガイド検知センサ30a,30b,30c,30dをそれぞれ区別せず表記、説明する場合には、磁気ガイド検知センサ30として表記、説明する。
磁気ガイド検知センサ30は、走行装置3に対して進行方向の前側が使用され、進行方向の後側が使用されない。即ち、無人搬送車1が前進する場合には、走行装置3の前側の磁気ガイド検知センサ30a,30cが使用される。一方、無人搬送車1が後進する場合には、走行装置3の後側の磁気ガイド検知センサ30b,30dが使用される。なお、これ以降、磁気ガイド検知センサ30のうち進行方向の前側を「前側の磁気ガイド検知センサ30」とし、進行方向の後側を「後側の磁気ガイド検知センサ30」として説明する。
図1(c)に示す通り、無人搬送車1の前端面および後端面には、第1LCD4a及び第1入力装置4bがそれぞれ設けられる。第1LCD4aは、無人搬送車1の車両状態を示す画面や、無人搬送車1へ走行指示を与えるための画面が表示されるディスプレイである。第1入力装置4bは、操作者Hによる指示を入力するためのものであり、本実施形態では、第1LCD4aに重ね合わせて配設されるタッチパネルで構成される。
車体2の前端側には、制御装置5が配設される。制御装置5は、磁気ガイド検知センサ30等の各種センサの状態を検知すると共に、無人搬送車1の各部を制御するための装置である。制御装置5には、その制御装置5に各種指示を入力するためのペンダントスイッチ6が接続される。また、無人搬送車1の制御装置5は、無線通信装置26(図2参照)を介して上位のプロセスコンピュータ(以下「上位プロコン」と称す)と接続される。
無人搬送車1は、第1入力装置4bやペンダントスイッチ6、上位プロコンからの入力により各種設定がなされて動作する。これらの装置により無人搬送車1を操作するための操作モードが自動モードと手動モードとに切り替えられる。
自動モードは、オペレータが操作する上位プロコンからの指令に基づいて無人搬送車1を自動走行させるモードである。一方、手動モードは、操作者Hが操作するペンダントスイッチ6からの入力に基づいて無人搬送車1を手動走行させるモードである。これら自動モード及び手動モードには、走行路に埋設された帯状の磁気ガイドG(図3(b)参照)を磁気ガイド検知センサ30で検知し、磁気ガイドGに沿って無人搬送車1を走行させる倣いモードがある。
次に図2を参照して、無人搬送車1の電気的構成について説明する。図2は無人搬送車1の電気的構成を示すブロック図である。無人搬送車1の制御装置5は、無人搬送車1の各部を制御するための装置であり、CPU21と、フラッシュメモリ22と、RAM23とを備え、これらはバスライン24を介して互いに接続されている。
またCPU21は、入出力ポート25に接続され、その入出力ポート25には、無線通信装置26と、第1LCD4aと、第1入力装置4bと、ペンダントスイッチ6と、磁気ガイド検知センサ30と、回転駆動装置31と、操舵駆動装置32とがそれぞれ接続されている。
CPU21は、バスライン24により接続された各部を制御する演算装置である。フラッシュメモリ22は、CPU21により実行される走行制御プログラム22a(例えば、図5に図示される走行制御処理)や固定値データ等を格納した書き換え可能な不揮発性のメモリである。
RAM23は、CPU21が制御プログラムの実行時に各種のワークデータやフラグ等を記憶する書き換え可能な揮発性のメモリであり、前ガイド検知値メモリ23aと、後ガイド検知値メモリ23bと、走行速度メモリ23cと、設定速度メモリ23dと、最高速度メモリ23eとが設けられている。
前ガイド検知値メモリ23aは、無人搬送車1の進行方向前側の磁気ガイド検知センサ30の検知値が記憶されるメモリである。後ガイド検知値メモリ23bは、無人搬送車1の進行方向後側の磁気ガイド検知センサ30の検知値が記憶されるメモリである。前ガイド検知値メモリ23a及び後ガイド検知値メモリ23bの各値は、電源投入時に0クリアされ、その後、後述する磁気ガイド検知処理中に、その時点で検知された検知値で更新される。
走行速度メモリ23cは、無人搬送車1の走行速度である1速〜8速のいずれかが記憶されるメモリである。走行速度メモリ23cは、電源投入時の初期状態では1速が設定される。走行速度メモリ23cには、後述する走行制御処理中に、設定速度メモリ23dの値と最高速度メモリ23eの値とのうち小さい値が記憶される。なお、設定速度メモリ23dの値と最高速度メモリ23eの値とが同一である場合には、設定速度メモリ23dの値が記憶される。無人搬送車1を走行させる走行指示が制御装置5に入力されたときに、このように設定された走行速度メモリ23cの値に応じて無人搬送車1が走行する。
設定速度メモリ23dは、上位プロコンからの指令に基づいて設定された無人搬送車1の速度や、ペンダントスイッチ6の操作者H等が設定した無人搬送車1を走行させたい速度である設定速度が記憶される。設定速度メモリ23dは、電源投入時の初期状態では1速が設定される。設定速度メモリ23dは、第1入力装置4bや、ペンダントスイッチ6、上位プロコンから入力があった場合に、その入力に基づいて更新される。
最高速度メモリ23eは、無人搬送車1の許容最高速度が記憶されるメモリである。最高速度メモリ23eは、電源投入時の初期状態では、無人搬送車1の速度の最大値である8速が設定される。本実施形態における最高速度メモリ23eは、磁気ガイドGからの無人搬送車1のズレ量が大きくなった場合に最高速度を制限するために3速に更新され、磁気ガイドGからの無人搬送車1のズレ量が小さくなった場合に速度の最大値である8速に更新される。なお、最高速度の制限は3速に限らず、第1入力装置4bからの入力に基づいて1,2,4〜7速に適宜変更することが可能である。
回転駆動装置31は、各走行装置3(図1参照)にそれぞれ設けられ、回転駆動モータ31aからの動力により各走行装置3の車輪をそれぞれ独立して回転させる。回転駆動モータ31aは、走行指示が制御装置5に入力されたときに回転し、その回転数が走行速度メモリ23cの値に基づいて設定される。回転駆動モータ31aの回転数には1速〜8速がある。
無人搬送車1の速度は、回転駆動モータ31aの回転数が1速で約1m/分、2速で約3m/分、3速で約5m/分、4速で約10m/分、5速で約15m/分、6速で約20m/分、7速で約25m/分、8速で約30m/分となる。無人搬送車1の速度と回転駆動モータ31aの回転数とは密接に関係するので、回転駆動モータ31aの回転数をそのまま無人搬送車1の速度として説明する。例えば、回転駆動モータ31aの回転数が2速のとき、無人搬送車1の速度を2速とする。
操舵駆動装置32は、各走行装置3(図1参照)にそれぞれ設けられ、操舵駆動モータ32aからの動力により各走行装置3をそれぞれ独立して旋回させる。操舵駆動装置32により各走行装置3の操舵角を適切に設定することで、無人搬送車1を前進および後進させることができ、所望の方向へ旋回させることや、スピンさせることもできる。また、全ての走行装置3を同じ操舵角に保って横行させることもできる。
次に図3及び図4を参照して無人搬送車1の倣いモードについて説明する。図3(a)は磁気ガイド検知センサ30の検知位置と検知値との関係を示す模式図であり、図3(b)は倣いモードで走行中の無人搬送車1の模式図である。図4(a)はガイド検知位置が左の場合の無人搬送車1の動きを示した模式図であり、図4(b)はガイド検知位置が右の場合の無人搬送車1の動きを示した模式図である。なお、図3(a)は、無人搬送車1の進行方向の前側を紙面上側とし、進行方向の後側を紙面下側とした場合の磁気ガイド検知センサ30を示している。
図3(a)及び図3(b)に示す通り、磁気ガイド検知センサ30は、磁気ガイドGを検知するセンサである。磁気ガイド検知センサ30は、幅が長く形成され、その幅方向(図3(a)左右方向)に磁気ガイドGを検知する複数のセンサ素子(図示せず)が一列に並んだ検知部30eを有している。
複数のセンサ素子を一列に並べた長さは、図3(b)に図示されるように、磁気ガイドGの横幅よりも十分に大きく設けられる。磁気ガイド検知センサ30は、検知部30eの何れの領域で磁気ガイドGが検知されているかの検知結果を電圧値(検知値)として制御装置5へ出力する。具体的に、磁気ガイド検知センサ30の幅方向の中央で磁気ガイドGを検知したときは、磁気ガイド検知センサ30から制御装置5へ5Vの検知値が出力される。図3(a)に図示される通り、磁気ガイド検知センサ30の検知値は、磁気ガイドGの検知位置が無人搬送車1の進行方向の左側になる程2Vに近づき、逆に右側になる程8Vに近づいていく。検知値の下限値は2Vであり、上限値は8Vである。
無人搬送車1の倣いモードでは、無人搬送車1を前進または後進させることができる。なお、これ以降、2つの磁気ガイド検知センサ30のうち進行方向の前側を「前の磁気ガイド検知センサ30」とし、進行方向の後側を「後ろの磁気ガイド検知センサ30」として説明する。
また、無人搬送車1の倣いモードには、使用する磁気ガイド検知センサ30を選択するための2つの操舵モードがある。2つの操舵モードには、前後の磁気ガイド検知センサ30の両方を使用する「前後」と、前の磁気ガイド検知センサ30のみを使用する「前倣い」とがある。本実施形態では指定がない限り、操舵モードが「前後」の場合について説明する。なお、無人搬送車1の各種モードは、図2におけるRAM23内のメモリに記憶されるが、そのメモリの図示は省略している。
図3(b)に示す通り、倣いモードの無人搬送車1が磁気ガイドGに沿って矢印F方向へ前進する場合について説明する。無人搬送車1は走行中に磁気ガイドGに対してズレることがある。このズレは、劣化等により走行路の舗装面に生じた凹凸を無人搬送車1が踏むことや、無人搬送車1の車体2上に載置された積載物の偏り、無人搬送車1のカーブ時、走行路に埋設された磁気ガイドGが局所的にズレているとき等に生じる。
図3(b)のズレ位置の図では、前側の磁気ガイド検知センサ30aの検知値が7Vであり、後側の磁気ガイド検知センサ30cの検知値が5Vである。このとき、制御装置5は、前後の磁気ガイド検知センサ30a,30cの中央でそれぞれ磁気ガイドGを検知するように、即ち、前後の磁気ガイド検知センサ30a,30cの検知値がそれぞれ5Vになるように操舵駆動装置32を駆動させる。
適切に操舵駆動装置32を駆動させながら矢印F方向へ無人搬送車1が移動していくことで、前側の磁気ガイド検知センサ30aの検知値が7Vから6Vそして5Vとなり、磁気ガイドGに対する無人搬送車1のズレが補正される。このようにして無人搬送車1の制御装置5は、前後の磁気ガイド検知センサ30a,30cの検知値が5Vを維持するように操舵駆動装置32を駆動させる。
このとき、ズレ補正中の無人搬送車1の走行速度が速い程、無人搬送車1はズレが補正されるまでに長い距離を移動することとなり、無人搬送車1が周囲のものと接触する可能性が高くなる。そこで、本実施形態の無人搬送車1は、磁気ガイドGに対するズレ量が大きい場合に、無人搬送車1の最高速度を制限するようにしている。その結果、ズレが補正されるまでに無人搬送車1が走行する距離を短くできるので、無人搬送車1が周囲のものと接触することを抑制できる。なお、本明細書における磁気ガイドGに対する無人搬送車1のズレ量とは、磁気ガイド検出センサ30の検知値と、基準となる5Vとの差の絶対値である。
図4(a)及び図4(b)に示す通り、走行路上には、磁気ガイドGが二手に分かれる分岐がある。制御装置5は、無人搬送車1の走行距離から分岐の位置を認識したり、分岐の直前の走行路に埋設される磁気マーク(図示せず)を無人搬送車1に設けた磁気マークセンサ(図示せず)で読み取ることで分岐の位置を認識したりする。また、制御装置5は、無人搬送車1の走行距離から分岐が終わったことを認識する。
制御装置5は、無人搬送車1が分岐の直前に至ったときに、分岐が終わるまで、磁気ガイド検知センサ30毎に設定されたガイド検知位置に基づいて、磁気ガイド検知センサ30の機能を一部制限し、分岐した磁気ガイドGのいずれを検知するかを決定する。なお、前後の磁気ガイド検知センサ30では、同一のガイド検知位置(「右」又は「左」)が設定され、前後の磁気ガイド検知センサ30は同一の挙動を示す。そこで、前の磁気ガイド検知センサ30のガイド検知位置について説明し、後ろの磁気ガイド検知センサ30のガイド検知位置についての説明は省略する。また、無人搬送車1が前進する場合も後進する場合も同一の挙動を示すので、無人搬送車1が前進する場合について説明し、後進する場合についての説明は省略する。
磁気ガイド検知センサ30の機能を一部制限することについて説明する。図4(a)に示す通り、無人搬送車1が矢印F方向へ前進するときに、前側の磁気ガイド検知センサ30aのガイド検知位置が「左」に設定されている場合、制御装置5は、進行方向の左側の磁気ガイドGのみを検知するために、磁気ガイド検知センサ30aの検知可能領域を5V以下に制限する。磁気ガイド検知センサ30aの検知値が5Vを維持するように無人搬送車1は走行しているので、磁気ガイド検知センサ30aの検知可能領域が5V以下に制限されることによって、進行方向の左側の磁気ガイドGに関する磁気ガイド検知センサ30aの検知値を読み込み、右側の磁気ガイドGに関する検知値を無視できる。そして、制御装置5は、左側の磁気ガイドGに関する磁気ガイド検知センサ30aの検知値が5Vになるように操舵駆動装置32を駆動させるので、矢印F方向へ前進する無人搬送車1は左側の磁気ガイドGに沿って移動する。
一方、図4(b)に示す通り、無人搬送車1が矢印F方向へ前進するときに、前側の磁気ガイド検知センサ30aのガイド検知位置が「右」に設定されている場合、制御装置5は、進行方向の右側の磁気ガイドGのみを検知するために、磁気ガイド検知センサ30aの検知可能領域を5V以上に制限する。磁気ガイド検知センサ30aの検知値が5Vを維持するように無人搬送車1が走行しているので、磁気ガイド検知センサ30aの検知可能領域が5V以上に制限されることによって、進行方向の右側の磁気ガイドGに関する磁気ガイド検知センサ30aの検知値を読み込み、左側の磁気ガイドGに関する検知値を無視できる。そして、制御装置5は、右側の磁気ガイドGに関する磁気ガイド検知センサ30aの検知値が5Vになるように操舵駆動装置32を駆動させるので、矢印F方向へ前進する無人搬送車1は右側の磁気ガイドGに沿って移動する。
なお、磁気ガイド検知センサ30aの検知値が5Vでない状態で分岐に突入したり、分岐が終わるまでに磁気ガイド検知センサ30aの検知値が5Vでなくなったりすることで、検知可能領域を制限した磁気ガイド検知センサ30aがいずれの磁気ガイドGも検知できなくなった場合には、無人搬送車1を停止し、操作者H等に異常を通知する。また、磁気ガイド検知センサ30aの検知値が5Vでない状態で分岐に突入することで、検知可能領域を制限した磁気ガイド検知センサ30aが2つの磁気ガイドGを検知した場合にも、無人搬送車1を停止し、操作者H等に異常を通知する。
次に、図5及び図6を参照して、無人搬送車1の制御装置5で実行される走行制御処理と、最高速度判定処理(S7)とについて説明する。図5は走行制御処理を示すフローチャートであり、図6は最高速度判定処理(S7)を示すフローチャートである。走行制御処理は、無人搬送車1の走行中に定期的(例えば10ms毎)に行われる処理である。
図5に示す通り、制御装置5のCPU21は走行制御処理においては、まず前側の磁気ガイド検知センサ30の検知値を前ガイド検知値メモリ23aに記憶する(S1)。これは、無人搬送車1の操舵モードには、「前後」と「前倣い」とがあり、進行方向の前側の磁気ガイド検知センサ30の検知値は必ず使用するためである。
S1の処理の後、操舵モードが「前後」であるかを確認する(S2)。操舵モードが「前後」である場合には(S2:Yes)、後ろの磁気ガイド検知センサ30の検知値も使用するので、その検知値を後ガイド検知値メモリ23bに記憶する(S3)。
一方、S2の処理で、操舵モードが「前倣い」である場合には(S2:No)、後ろの磁気ガイド検知センサ30の検知値は使用しないので、後ガイド検知値メモリ23bに5Vを記憶させる(S4)。上述したように制御装置5は、磁気ガイド検知センサ30の検知値が5Vになるように操舵駆動装置32を駆動させる。そのため、後ガイド検知値メモリ23bに5Vを記憶させることで、後ガイド検知値メモリ23b(後ろの磁気ガイド検知センサ30)の値を、操舵駆動装置32の操舵角の算出(S5の処理)や最高速度判定処理(S7の処理)に影響しなくできる。
S3,S4の処理により前ガイド検知値メモリ23a及び後ガイド検知値メモリ23bの値が更新されたので、その値に基づき、前後の磁気ガイド検知センサ30の検知値が5Vになるように走行装置3の操舵角を算出する(S5)。次いで、S5で算出された操舵角に応じて操舵駆動装置32の操舵駆動モータ32aを駆動させる(S6)。これにより、無人搬送車1は走行しながら磁気ガイドGに対するズレを補正できる。なお、操舵角の算出方法は公知技術であるため、その説明を省略する。
S6の処理後は、前ガイド検知値メモリ23a及び後ガイド検知値メモリ23bの値に基づいて最高速度を制限するか、その制限を解除するかを判定するために、最高速度判定処理を行う(S7)。
ここで、図6を参照しつつ、最高速度判定処理(S7)を説明する。制御装置5のCPU21は、最高速度判定処理(S7)において、まず前ガイド検知値メモリ23aの値(以下「前側検知値」と称す)が3.5V以上、且つ、前側検知値が6.5V以下であるかを確認する(S21)。前側検知値が3.5Vより小さい、又は、前側検知値が6.5Vより大きい場合には(S21:No)、前側検知値が3V以下、又は、前側検知値が7V以上であるかを確認する(S22)。
前側検知値が3Vより大きい、且つ、前側検知値が7Vより小さい場合には(S22:No)、後ガイド検知値メモリ23bの値(以下「後側検知値」と称す)が3V以下、又は、後側検知値が7V以上であるかを確認する(S23)。後側検知値が3Vより大きい、且つ、後側検知値が7Vより小さい場合には(S23:No)、最高速度を制限したり、最高速度の制限を解除したりする程、磁気ガイドGに対する無人搬送車1のズレ量が変化してないので、最高速度メモリ23eの値を変更せずに本処理を終了する。
一方、S22やS23の処理において、前側検知値が3V以下、若しくは、前側検知値が7V以上である場合(S22:Yes)、又は、後側検知値が3V以下、若しくは、後側検知値が7V以上である場合には(S23:Yes)、前後の磁気ガイド検知センサ30の少なくとも一方における磁気ガイドGに対するズレ量が大きいので、最高速度を制限するために最高速度メモリ23eに3速を記憶する(S24)。
一方、S21の処理において、前側検知値が3.5V以上、且つ、前側検知値が6.5V以下である場合には(S21:Yes)、後側検知値が3.5V以上、且つ、後側検知値が6.5V以下であるかを確認する(S25)。後側検知値が3.5Vより小さい、又は、後側検知値が6.5Vより大きい場合には(S25:No)、S22の処理へ移行する。
一方、S25の処理において、後側検知値が3.5V以上、且つ、後側検知値が6.5V以下である場合には(S25:Yes)、前後の磁気ガイド検知センサ30のいずれも磁気ガイドGに対する無人搬送車1のズレ量が小さいので、最高速度を制限しないために最高速度メモリ23eに8速を記憶する(S26)。
以上の通り、最高速度判定処理(S7)によれば、前側検知値および後側検知値のいずれか一方が3V以下となるか、7V以上となれば(S22:Yes又はS23:Yes)、最高速度を3速に制限する。一方、最高速度を制限した状態で、前側検知値および後側検知値のいずれもが3.5V〜6.5Vの範囲内にあれば(S21:Yes且つS25:Yes)、最高速度の制限を解除する。
ここで、前後の磁気ガイド検知センサ30の検知値(前ガイド検知値メモリ23a及び後ガイド検知値メモリ23bの値)において、最高速度を制限する値と、最高速度の制限を解除する値とが同一の3Vである場合、前後の磁気ガイド検知センサ30の検知値が3V付近で前後すると、最高速度の制限と制限の解除とが連続的に切り替わって煩わしい。本実施形態では、最高速度を制限する値と、最高速度の制限を解除する値とに差を設けることで、最高速度の制限と制限の解除とが連続的に切り替わることを防止できる。
最高速度判定処理(S7)の終了後は、図5のS8の処理へ移行する。S8の処理では、設定速度メモリ23dの値が最高速度メモリ23eの値よりも大きいかを確認する(S8)。設定速度メモリ23dの値が大きい場合には(S8:Yes)、S7の処理で制限された最高速度で無人搬送車1を走行させる必要があるので、走行速度メモリ23cに最高速度メモリ23eの値を記憶する(S9)。一方、最高速度メモリ23eの値が大きい場合には(S8:No)、最高速度よりも低速で無人搬送車1を走行させているので、設定速度メモリ23dの値のまま無人搬送車1を走行させれば良い。そのため、走行速度メモリ23cに設定速度メモリ23dの値を記憶する(S10)。S9,S10の処理後、走行速度メモリ23cの値に応じて回転駆動装置31の回転駆動モータ31aを駆動させる(S11)。これにより、無人搬送車1は、走行速度メモリ23cに設定された値(速度)に応じて走行する。
次に図7及び図8を参照して、走行制御処理が実行される無人搬送車1の動きについて説明する。図7は出発地点であるS地点から、到着地点であるG地点までの無人搬送車1の走行速度の変化を示すグラフである。また、図8(a)はS地点からA地点までの無人搬送車1の状態を示す模式図であり、図8(b)はB地点の直前における無人搬送車1の状態を示す模式図であり、図8(c)はB地点における無人搬送車1の状態を示す模式図であり、図8(d)はC地点の直前における無人搬送車1の状態を示す模式図であり、図8(e)はC地点における無人搬送車1の状態を示す模式図であり、図8(f)はD地点からG地点までの無人搬送車1の状態を示す模式図である。
なお、図8には無人搬送車1が前進する場合が記載されている。そのため、本説明では無人搬送車1が前進する場合について説明するが、無人搬送車1が後進する場合も同様である。
図7の横軸は無人搬送車1の位置と、その位置での最高速度メモリ23e、設定速度メモリ23d及び走行速度メモリ23cの値であり、縦軸は無人搬送車1の走行速度である。本説明では、無人搬送車1はS地点からA地点にかけて停止状態から5速まで段階的に加速し、A地点からD地点までは5速で移動し、D地点からG地点にかけて5速から停止状態まで段階的に減速するように設定速度メモリ23dの値(設定速度)が設定されるものとして説明する。なお、この設定速度メモリ23dの値は適宜変更可能である。
図7及び図8に示す通り、S地点からA地点までは、前後の磁気ガイド検知センサ30a,30cの検知値がそれぞれ5Vである(図8(a))。さらに、B地点の直前までは、前側の磁気ガイド検知センサ30aの検知値が6.9Vであり、後側の磁気ガイド検知センサ30cの検知値が3.1Vである(図8(b))。このように、S地点からB地点の直前までは、磁気ガイド検知センサ30a,30cの検知値がそれぞれ3V〜7Vの範囲内であるので、最高速度メモリ23eの値は最大値の8速である。そのため、A地点からB地点の直前までは設定速度メモリ23dの値が走行速度メモリ23cに設定され、その値(設定速度)に応じて無人搬送車1が走行する。
B地点では、磁気ガイド検知センサ30aの検知値が7Vになり、磁気ガイド検知センサ30cの検知値が3Vになったので(図8(c))、即ち、磁気ガイド検出センサ30a,30cの検知値と、その検知値の基準である5Vとの差の絶対値で表される、磁気ガイドGに対する無人搬送車1のズレ量が、第2閾値である2V(7V又は3Vと5Vとの差)以上となったので、最高速度メモリ23eの値を3速にして、無人搬送車1の最高速度を8速(第1速度)から3速(第2速度)に制限する。
図5のS8〜S11の処理により、最高速度メモリ23eの値と設定速度メモリ23dの値とのうち小さい方の値を走行速度メモリ23cに設定し、その走行速度メモリ23cの値に応じて無人搬送車1を走行させるので、B地点では無人搬送車1の速度が5速から3速へ急減速する(図7のB地点以降の急減速を参照)。
この急減速は、回転駆動装置31の回転駆動モータ31aの回転速度を5速から3速へ落とすことで生じる回生ブレーキによるものである。即ち、無人搬送車1が可能とする最大限の減速スピードで5速から3速へ急減速する。これにより、磁気ガイドGに対する無人搬送車1のズレ量が大きくなった時、早急に無人搬送車1の速度を落とすことで、ズレが補正されるまでの無人搬送車1の移動距離を短くできる。その結果、無人搬送車1が周囲のものと接触することを一層抑制できる。
B地点で前後の磁気ガイド検知センサ30a,30cの検知値がそれぞれ3V以下または7V以上になり無人搬送車1の最高速度が3速に制限された後は、図6の最高速度判定処理(S7)でも説明したように、最高速度を制限する値と制限を解除する値とを異ならせることで、最高速度メモリ23eの値(最高速度)が連続的に切り替わることを防止できる。これにより、前後の磁気ガイド検知センサ30a,30cの検知値は、B地点からC地点の直前までそれぞれ3.5Vよりも小さい又は6.5Vよりも大きい値で推移し、C地点の直前でそれぞれ3.4V、6.6Vとなり(図8(d))、最高速度メモリ23eの値は3速に維持される。
図5のS8〜S11の処理により、最高速度メモリ23eの値と設定速度メモリ23dの値とのうち小さい方の値に応じて無人搬送車1を走行させるので、最高速度メモリ23eの値が連続的に切り替わると、無人搬送車1も加速と減速とを連続的に繰り返す必要がある。しかし、本実施形態では最高速度メモリ23eの値が3速に維持されるので、無人搬送車1の加速と減速とが連続的に繰り返されることを防止できる。その結果、回転駆動モータ31a等の回転駆動装置31の耐久性を確保できる。
C地点では、磁気ガイド検知センサ30aの検知値が6.5Vになり、磁気ガイド検知センサ30cの検知値が3.5Vになったので(図8(e))、即ち、磁気ガイドGに対する無人搬送車1のズレ量が、第1閾値である1.5V(3.5V又は6.5Vと5Vとの差)以内となったので、最高速度メモリ23eの値の制限を解除して、その値を8速(第1速度)にする。図5のS8〜S11の処理により、最高速度メモリ23eの値と、設定速度メモリ23dの値とをそれぞれ維持しながら、小さい方の値を走行速度メモリ23cに設定して、その設定した値に応じて無人搬送車1を走行させている。よって、前後の磁気ガイド検知センサ30a,30cの検知値がそれぞれ3.5V〜6.5Vの範囲内になった場合に、無人搬送車1の速度を3速から、設定速度メモリ23dの値である5速へ加速できる。この加速は、回転駆動装置31の回転駆動モータ31aの回転速度を3速から5速へ切り替えることで、回転駆動モータ31aにかかる負荷と釣り合うようにして急加速するものである。
このように、設定速度メモリ23dの値と、最高速度メモリ23eの値とをそれぞれ有すことで、磁気ガイドGに対する無人搬送車1のズレ量が小さくなった場合に、無人搬送車1を操作者Hが設定した速度、又は、上位プロコンからの指令に基づく速度まで急加速できる。その結果、S地点からG地点まで無人搬送車1の最高速度を制限しなかった場合と比べて、最高速度を制限した無人搬送車1のG地点への到着遅れを最小限にできる。
前後の磁気ガイド検知センサ30a,30cは、C地点でそれぞれ6.5V、3.5Vとなった後、D地点からG地点までそれぞれ5Vで維持される(図8(f))。即ち、C地点からG地点までは、前後の磁気ガイド検知センサ30a,30cの検知値がそれぞれ3V〜7Vの範囲内に維持される。このように、磁気ガイドGに対する無人搬送車1のズレ量は十分に小さくなっているので、最高速度メモリ23eの値を、無人搬送車1の最高速度である8速に維持する。よって、この区間は、操作者Hが設定した速度、又は、上位プロコンからの指令に基づく速度、即ち設定速度メモリ23dに記憶される速度で、無人搬送車1は走行する。
以上の通り、第1実施形態の無人搬送車1によれば、磁気ガイドGが分岐するときには、その分岐が終わるまで、磁気ガイド検知センサ30の機能を一部制限し、分岐した磁気ガイドGのうち一方のみを検知して他方を検知しない。これにより、例えば、左の磁気ガイドGに沿って無人搬送車1が移動しているにも関わらず、右の磁気ガイドGを磁気ガイド検知センサ30の幅方向の端部側で検知し、その検知値が7V以上となって、意図せず無人搬送車1の最高速度が制限されることを防止できる。
S21〜S26の処理では、磁気ガイドGに対する前後の磁気ガイド検知センサ30の一方のズレ量が大きかった場合に無人搬送車1の最高速度を制限し、前後の磁気ガイド検知センサ30の両方のズレ量が小さくなった場合に最高速度の制限を解除する。これにより、例えば、磁気ガイドGに対する無人搬送車1の進行方向における前方のズレ量が小さくても、無人搬送車1の進行方向における後方のズレ量が大きい場合には最高速度を制限できる。よって、無人搬送車1の部分的なズレ量が大きい場合でも、無人搬送車1の最高速度を制限するので、かかる場合の無人搬送車1の移動距離を短くでき、無人搬送車1が周囲のものと接触することを一層抑制できる。さらに、前後の磁気ガイド検知センサ30の間隔が大きい程、無人搬送車1のズレ量を正確に検知できる。
次に図9を参照して、第2実施形態における無人搬送車1の制御装置5で実行される最高速度判定処理(S7)について説明する。第1実施形態では、磁気ガイドGに対する無人搬送車1のズレ量が大きい場合に、無人搬送車1の最高速度を1段階で制限する場合について説明した。これに対し第2実施形態では、無人搬送車1のズレ量が大きい場合に、最高速度を最大2段階で制限する場合について説明する。なお、第1実施形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図9は第2実施形態における最高速度判定処理(S7)を示すフローチャートである。制御装置5は、最高速度判定処理(S7)において、まず前ガイド検知値メモリ23aの検知値(前側検知値)が3.5V以上、且つ、前側検知値が6.5V以下であるかを確認する(S31)。前側検知値が3.5Vより小さい、又は、前側検知値が6.5Vより大きい場合には(S31:No)、前側検知値が3V以下、又は、前側検知値が7V以上であるかを確認する(S32)。
前側検知値が3V以下、又は、前側検知値が7V以上である場合には(S32:Yes)、S34の処理に移行する。一方、前側検知値が3Vより大きく、且つ、前側検知値が7Vより小さい場合には(S32:No)、後ガイド検知値メモリ23bの検知値(後側検知値)が3V以下、又は、後側検知値が7V以上であるかを確認する(S33)。後側検知値が3V以下、又は、後側検知値が7V以上である場合には(S33:Yes)、S34の処理に移行する。
このように、前後の磁気ガイド検知センサ30の少なくとも一方における磁気ガイドGに対する無人搬送車1のズレ量が大きい場合には(S32:Yes又はS33:Yes)、最高速度を制限するために最高速度メモリ23eに3速を記憶する(S34)。
一方、後側検知値が3Vより大きい、且つ、後側検知値が7Vより小さい場合には(S33:No)、最高速度メモリ23eの値が3速であるかを確認する(S35)。最高速度メモリ23eの値が3速であれば(S35:Yes)、最高速度の制限を解除する程、磁気ガイドGに対する無人搬送車1のズレ量が変化してないので、最高速度メモリ23eの値を変更せずに本処理を終了する。
S35の処理で、最高速度メモリ23eの値が5速や8速である場合には(S35:No)、磁気ガイドGに対する無人搬送車1のズレ量が、最高速度を3速に制限する程でもないが、比較的大きいので、最高速度メモリ23eに5速を記憶する(S36)。
一方、S31の処理において、前側検知値が3.5V以上、且つ、前側検知値が6.5V以下である場合には(S31:Yes)、後側検知値が3.5V以上、且つ、後側検知値が6.5V以下であるかを確認する(S37)。後側検知値が3.5Vより小さい、又は、後側検知値が6.5Vより大きい場合には(S37:No)、S32の処理へ移行する。
S37の処理で、後側検知値が3.5V以上、且つ、後側検知値が6.5V以下である場合には(S37:Yes)、前側検知値が4.5V以上、且つ、前側検知値が5.5V以下であるかを確認する(S38)。前側検知値が4.5Vより小さい、又は、前側検知値が5.5Vより大きい場合には(S38:No)、前側検知値が4V以下、又は、前側検知値が6V以上であるかを確認する(S39)。
前側検知値が4V以下、又は、前側検知値が6V以上である場合には(S39:Yes)、S36の処理に移行する。一方、前側検知値が4Vより大きい、且つ、前側検知値が6Vより小さい場合には(S39:No)、後側検知値が4V以下、又は、後側検知値が6V以上であるかを確認する(S40)。後側検知値が4V以下、又は、後側検知値が6V以上である場合には(S40:Yes)、S36の処理に移行する。
このように、前後の磁気ガイド検知センサ30の少なくとも一方における磁気ガイドGに対するズレ量が、最高速度を3速に制限する程でもないが、比較的大きいので、最高速度メモリ23eに5速を記憶する(S36)。
S40の処理で、後側検知値が4Vより大きい、且つ、後側検知値が6Vより小さい場合には(S40:No)、最高速度メモリ23eの値が8速であるかを確認する(S41)。最高速度メモリ23eの値が8速であれば(S41:Yes)、最高速度を制限する程、磁気ガイドGに対する無人搬送車1のズレ量が大きくないので、最高速度メモリ23eの値を変更せずに本処理を終了する。
一方、最高速度メモリ23eの値が3速や5速であれば(S41:No)、磁気ガイドGに対する無人搬送車1のズレ量が、最高速度を3速に制限する程でもないが、比較的大きいので、最高速度メモリ23eに5速を記憶する(S36)。
S38の処理で、前側検知値が4.5V以上、且つ、前側検知値が5.5V以下である場合には(S38:Yes)、後側検知値が4.5V以上、且つ、後側検知値が5.5V以下であるかを確認する(S42)。後側検知値が4.5Vより小さい、又は、後側検知値が5.5Vより大きい場合には(S42:No)、S39の処理へ移行する。
一方、後側検知値が4.5V以上、且つ、後側検知値が5.5V以下である場合には(S42:Yes)、前後の磁気ガイド検知センサ30のいずれも磁気ガイドGに対する無人搬送車1のズレ量が小さいので、最高速度を制限しないために最高速度メモリ23eに8速を記憶する(S43)。
以上の通り、第2実施形態の最高速度判定処理(S7)によれば、磁気ガイド検出センサ30の検知値と、その検知値の基準である5Vとの差の絶対値で表される、磁気ガイドGに対する無人搬送車1のズレ量が、第2閾値である1V以上となった場合には(S39:Yes又はS40:Yes)、無人搬送車1の最高速度が5速(第2速度)に制限される。
さらに、磁気ガイドGに対する無人搬送車1のズレ量が大きくなってズレ量が、第4閾値である2V以上となった場合には(S32:Yes又はS33:Yes)、無人搬送車1の最高速度が3速(第3速度)に制限される。
また、無人搬送車1の最高速度が3速に制限されている状態で、磁気ガイドGに対する無人搬送車1のズレ量が、第3閾値である1.5V以内で(S31:Yes且つS37:Yes)、第1閾値である0.5V以上となった場合には(S38:No又はS42:No)、無人搬送車1の最高速度の制限が3速(第3速度)から5速(第2速度)へ緩和される。
また、無人搬送車1の最高速度が5速に制限されている状態で、磁気ガイドGに対する無人搬送車1のズレ量が、第1閾値である0.5V以内となった場合には(S38:Yes且つS42:Yes)、無人搬送車1の最高速度の制限が5速(第2速度)から8速(第1速度)へ緩和される。
上述した通り磁気ガイドGに対する無人搬送車1のズレ量の大小に応じて、無人搬送車1の最高速度(最高速度メモリ23eの値)を2段階で制限できる。最高速度の制限が1段階である第1実施形態に比べて、磁気ガイドGに対するズレ量が補正されるまでの無人搬送車1の移動距離を短くできる。
例えば、8速で走行中の無人搬送車1のズレ量が大きくなった場合について、第1実施形態と第2実施形態とを比較する。前後の磁気ガイド検知センサ30の値が3Vよりも大きく4V以下、又は、6V以上かつ7Vよりも小さいとき、第1実施形態では最高速度は制限されず、無人搬送車1は8速で走行するが、第2実施形態では最高速度が5速に制限されて無人搬送車1は5速で走行する。そのため、第1実施形態に比べて第2実施形態では磁気ガイドGに対するズレが補正されるまでの無人搬送車1の移動距離を短くできるので、無人搬送車1が周囲のものと接触することを抑制できる。
上記第1実施形態において、各請求項に記載の第1閾値としては、磁気ガイド検知センサ30の中心である5Vからのズレ量である1.5Vが該当する。同様に、第2閾値としては2Vが該当する。また、第1速度としては8速が、第2速度としては3速が、それぞれ該当する。上記第2実施形態において、各請求項に記載の第1閾値としては0.5Vが、第2閾値としては1Vが、第3閾値としては1.5Vが、第4閾値としては2Vが、それぞれ該当する。また、第1速度としては8速が、第2速度としては5速が、第3速度としては3速が、それぞれ該当する。
以上、各実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した各実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
上記各実施形態では、搬送車の例として、無人搬送車1を用いて説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、本発明を、ユニットキャリアなどに適用しても良い。即ち、本発明は、ペンダントスイッチにより走行操作を行う搬送車または無線により走行操作を行う搬送車等、いずれの搬送車に対しても適用することができる。
上記第1実施形態では、無人搬送車1の左側の前後端の走行装置3に磁気ガイド検知センサ30が設けられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。無人搬送車1の右側の前後端の走行装置3に磁気ガイド検知センサ30を設けても良い。また、無人搬送車1の左右両側に計4つの磁気ガイド検知センサ30を設けても良い。この場合、4つの磁気ガイド検知センサ30の内、進行方向の右側または左側における2つの磁気ガイド検知センサ30を選択する必要が生じる。
無人搬送車1の左右片側にしか磁気ガイド検知センサ30がない場合には、無人搬送車1を横行させたときに、進行方向の前後の一方にしか磁気ガイド検知センサ30がない。これに対し、無人搬送車1の左右両側に計4つの磁気ガイド検知センサ30がある場合には、無人搬送車1を横行させたときも進行方向の前後に磁気ガイド検知センサ30があるので、前後の磁気ガイド検知センサ30の検知値に基づいて最高速度の制限や操舵角の制御を行うことができる。
また、走行装置3と共に磁気ガイド検知センサ30を旋回させる場合に限らず、車体2の下方であって前後両端かつ左右方向の中央に磁気ガイド検知センサ30をそれぞれ設け、磁気ガイド検知センサ30の幅方向を車体2の左右方向とすることで、倣いモードの無人搬送車1を前後進させることができる。また、車体2の下方であって左右両端かつ前後方向の中央に磁気ガイド検知センサ30をそれぞれ設け、磁気ガイド検知センサ30の幅方向を車体2の前後方向とすることで、倣いモードの無人搬送車1を横行させることができる。
上記第1実施形態では、図5の走行制御処理で操舵モードが「前倣い」である場合に後ガイド検知値メモリ23bに5Vを記憶する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。操舵モードが「前倣い」である場合に後ガイド検知値メモリ23bの値を更新せず、図5のS2の処理や図6のS23,S25の処理において後ガイド検知値メモリ23bの値を無視する構成にしても良い。
上記第1実施形態では、回転駆動装置31の回転駆動モータ31aの回転数が1〜8速のいずれかから選択される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものでない。回転駆動モータ31aの回転数を連続的に変化させて、無人搬送車1の走行速度を比較的自由に設定しても良い。また、回転駆動モータ31aの回転数を一定にし、回転駆動モータ31aから走行装置3の車輪へ駆動力を伝達するギヤ等の速度伝達比を変更することで、無人搬送車1の走行速度を変更しても良い。
上記第1実施形態では、無人搬送車1の最高速度を1段階で制限する場合について説明し、上記第2実施形態では、無人搬送車1の最高速度を2段階で制限する場合について説明した。しかし、必ずしもこれに限られるものでなく、無人搬送車1の最高速度を3段階以上に制限することは可能である。最高速度を制限する段階が多い程、磁気ガイドGに対して無人搬送車1がズレたときの移動距離を短くできるので、無人搬送車1が周囲のものと接触することをより抑制できる。
1 無人搬送車(搬送車)
2 車体
23c 走行速度メモリ
23d 設定速度メモリ(設定速度記憶手段)
23e 最高速度メモリ(最高速度記憶手段)
30 磁気ガイド検知センサ(ガイドセンサ)
31 回転駆動装置(駆動手段)
32 操舵駆動装置(操舵手段)
G 磁気ガイド(ガイド)
S5,S6 操舵制御手段
S7 最高速度判定処理(駆動制御手段の一部)
S8〜S11 走行速度指示手段
2 車体
23c 走行速度メモリ
23d 設定速度メモリ(設定速度記憶手段)
23e 最高速度メモリ(最高速度記憶手段)
30 磁気ガイド検知センサ(ガイドセンサ)
31 回転駆動装置(駆動手段)
32 操舵駆動装置(操舵手段)
G 磁気ガイド(ガイド)
S5,S6 操舵制御手段
S7 最高速度判定処理(駆動制御手段の一部)
S8〜S11 走行速度指示手段
Claims (5)
- 車体と、その車体に操舵自在に配設される複数の車軸と、それら複数の車軸をそれぞれ個別に操舵する複数の操舵手段と、前記複数の車軸にそれぞれ取着される車輪と、その車輪を回転駆動させる駆動手段とを備えた搬送車において、
走行路に設けられたガイドを検知可能なガイドセンサと、
前記搬送車を前記ガイドに沿って走行させるように、前記ガイドセンサによる前記ガイドの検知結果に基づいて前記複数の操舵手段をそれぞれ個別に制御する操舵制御手段と、
前記ガイドセンサにより前記ガイドを検知した結果、前記搬送車の前記ガイドに対するズレ量が第1閾値より大きい第2閾値以上である場合に、前記駆動手段の許容最高速度を、前記ズレ量が前記第1閾値以内である場合の第1速度より遅い第2速度に設定する駆動制御手段とを備えていることを特徴とする搬送車。 - 前記ガイドセンサは前記搬送車の前方部および後方部に少なくとも1ずつ配設され、
前記駆動制御手段は、その前方部または後方部のいずれかのガイドセンサが前記第2閾値以上のズレ量を検知する場合に、前記駆動手段の許容最高速度を、前記第2速度に設定するものであることを特徴とする請求項1記載の搬送車。 - 前記駆動制御手段は、前記前方部および後方部の双方のガイドセンサが前記第1閾値以内のズレ量を検知する場合に、前記駆動手段の許容最高速度を、前記第1速度に設定するものであることを特徴とする請求項2記載の搬送車。
- 前記ズレ量の閾値として、前記第2閾値より大きい第3閾値と、その第3閾値より更に大きい第4閾値とを有しており、
前記駆動制御手段は、前記前方部または後方部のいずれかのガイドセンサが前記第4閾値以上のズレ量を検知する場合に、前記駆動手段の許容最高速度を、前記第2速度より遅い第3速度に設定する一方、前記前方部および後方部の双方のガイドセンサが前記第2閾値以上前記第3閾値以内のズレ量を検知する場合に、前記駆動手段の許容最高速度を、前記第2速度に設定するものであることを特徴とする請求項2又は3に記載の搬送車。 - 予め設定された設定速度を記憶する設定速度記憶手段と、
前記駆動手段の許容最高速度を記憶する最高速度記憶手段と、
前記設定速度記憶手段に記憶される設定速度と前記最高速度記憶手段に記憶される許容最高速度とのうち遅い方の速度を、走行速度として前記駆動手段へ指示する走行速度指示手段とを備え、
前記許容最高速度が前記設定速度より遅い速度に設定された結果、前記走行速度が前記設定速度から前記許容最高速度に切り替えられた場合にも、前記許容最高速度が前記設定速度より速い速度に設定されれば、前記走行速度を、予め設定された設定速度に復帰できるものであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の搬送車。
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- 2016-11-30 JP JP2016232118A patent/JP2018088214A/ja active Pending
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