JP2018087340A - 粘着シート - Google Patents

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Abstract

【課題】製品の小型化及び軽量化の要求より、固定化に用いる粘着シートを細幅化が求められており、細幅化による性能低下が少ない発泡基材を備えた粘着シートの提供。
【解決手段】発泡体基材15の少なくとも一方の面に粘着剤層11又は12を有する粘着シート1であって、粘着シート1の100%モジュラスM[N/mm基材]と、発泡体基材15の密度D[g/cm]との関係が、式:9.0≦(M/D)を満たす粘着シート1。粘着シート1の100%モジュラスMが4.0N/mm2基材より高く、発泡体基材の厚さHsが0.06〜0.30mmである粘着シート1。
【選択図】図1

Description

本発明は、発泡体基材を備えた粘着シートに関する。
一般に、粘着剤(感圧接着剤ともいう。以下同じ。)は、室温付近の温度域において柔らかい固体(粘弾性体)の状態を呈し、圧力により簡単に被着体に接着する性質を有する。このような性質を活かして、粘着剤は、例えば基材の少なくとも一方の面に粘着剤層を設けた基材付き粘着シートの形態で、様々な分野において接合や固定などの目的で広く利用されている。
気泡構造を有する発泡体を基材に用いた基材付き粘着シート(発泡体基材付き粘着シート)は、気泡構造を有しないプラスチックフィルムを基材とする粘着シートに比べて、衝撃吸収性や凹凸追従性等の点で有利なものとなり得る。また、不織布を基材とする粘着シートに比べて、防水性やシール性等の点で有利なものとなり得る。このため、発泡体基材付き粘着シートは、携帯電子機器における部品の接合や固定等に好ましく適用され得る。発泡体基材付き粘着シートに関する技術文献として特許文献1,2が挙げられる。
国際公開第2013/154137号 特開2013−213104号公報
近年、製品の小型化や軽量化の観点から、部品の接合等に用いられる粘着シートの細幅化が要求されている。例えば携帯電子機器の表示部保護部材(例えばカバーガラス)の固定に用いられる粘着シートでは、情報表示部の大画面化、デザイン性の向上、設計自由度の向上等の観点からも、粘着シートを細幅化することは有意義である。
しかし、粘着シートを細幅化すると部品の接合性能(例えば押圧接着力)は低下する傾向にある。この点に関し本発明者は、粘着シートの幅が1mm程度またはそれ以下になると、細幅化に伴う接着面積の減少から予想される程度を超えて接合性能が低下する現象がみられる点に着目した。本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、細幅化による性能低下が少ない粘着シートを提供することを目的とする。
本明細書により提供されるひとつの粘着シートは、発泡体基材の少なくとも一方の面に粘着剤層を有し、上記粘着シートの100%モジュラスM[N/mm基材]と上記発泡体基材の密度D[g/cm]との関係が9.0≦(M/D)を満たす。このように密度Dの割に100%モジュラスMが高い粘着シートは、細幅化による性能低下の程度が抑えられたものとなり得る。なお、上記式中のMは、粘着シートの100%モジュラスをN/mm基材(ここで「/mm基材」とは、「発泡体基材の断面積1mm当たり」を意味する。)の単位で表したときの数値部分であって、M自体は無次元数である(本明細書に記載された他の式中のMにおいて同じ。)。また、上記式中のDは、発泡体基材の密度をg/cmの単位で表したときの数値部分であって、D自体は無次元数である(本明細書に記載された他の式中のDにおいて同じ。)。ただし、本明細書中においてMやDの好ましい数値範囲等を記載する際には、読みやすさのために、これらの数値に確認的に単位を付けて表記することがある(他の記号についても同様)。
本明細書により提供される他のひとつの粘着シートは、発泡体基材の少なくとも一方の面に粘着剤層を有し、上記粘着シートの100%モジュラスM[N/mm基材]と上記発泡体基材の厚さHs[mm]との関係との関係が0.75<M×Hsを満たす。このような特性を有する粘着シートは、伸び(引張変形)に対して強い抵抗を示す。このため、細幅化しても衝撃による接合部の損傷(粘着シートの剥がれ、発泡体基材の千切れ等)が生じにくい傾向にあるので好ましい。
他の好ましい一態様において、上記粘着シートは、100%モジュラスMが4.0N/mm基材より高いことが好ましい。このような100%モジュラスMを示す粘着シートは、細幅化しても衝撃による接合部の損傷等が生じにくい傾向にあるので好ましい。
ここに開示される粘着シートは、上記発泡体基材の厚さHsが0.06mm〜0.30mm(例えば0.10mm〜0.30mm)である態様で好ましく実施され得る。このような厚さの発泡体基材を備えた粘着シートによると、接合部の厚さ低減と良好な耐衝撃性とがバランスよく両立され得る。
好ましい一態様に係る粘着シートは、幅1.0mmにおける押圧接着力S1.0[N]と幅0.3mmにおける押圧接着力S0.3[N]との関係が次式:0.3≦S0.3/S1.0;を満たす。このように粘着シートの細幅化に伴う押圧接着力の低下が少ない粘着シートは、例えば、少なくとも一部に幅1.0mm未満の部分(典型的には、幅1.0mm未満の線状部分)を有する接合部材の形態で好適に利用され得る。
ここに開示される粘着シートは、典型的には、上記発泡体基材の両面に粘着剤層を有する両面粘着シートとして構成されている。このような形態の粘着シート(発泡体基材付き両面粘着シート)は、該粘着シートを用いて部品の接合や固定を行う際の作業性がよいという利点を有する。
ここに開示される粘着シートは、上述のように細幅化による性能低下が少ないことから、携帯電子機器の部品を接合する用途に好適である。ここに開示される粘着シートは、例えば、携帯電子機器の表示部または表示部保護部材と筐体とを液密に接合して該筐体に収容された電子機器を水や塵埃から保護するための固定部材として好ましく利用され得る。
一実施形態に係る粘着シートの構成を示す模式的断面図である。 押圧接着力の測定に用いる評価用サンプルを示す説明図である。 押圧接着力の測定方法を示す説明図である。 落下耐久性試験に用いる評価用サンプルを示す説明図である。 防塵性評価試験装置の概略構成を示す分解斜視図である。 防塵性評価試験装置の概略構成を示す断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。
ここで、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、本明細書に記載された発明の実施についての教示と出願時の技術常識とに基づいて当業者に理解され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明することがあり、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、図面に記載の実施形態は、本発明を明瞭に説明するために模式化されており、製品として実際に提供される本発明の粘着シートのサイズや縮尺を正確に表したものではない。
この明細書において「粘着剤」とは、前述のように、室温付近の温度域において柔らかい固体(粘弾性体)の状態を呈し、圧力により簡単に被着体に接着する性質を有する材料をいう。ここでいう粘着剤は、「C. A. Dahlquist, “Adhesion: Fundamental and Practice”, McLaren & Sons, (1966) P. 143」に定義されているように、一般的に、複素引張弾性率E(1Hz)<10dyne/cmを満たす性質を有する材料(典型的には、25℃において上記性質を有する材料)であり得る。また、粘着剤の「ベースポリマー」とは、該粘着剤に含まれるゴム状ポリマー(室温付近の温度域においてゴム弾性を示すポリマー)のうちの主成分(すなわち、該ゴム状ポリマーの50重量%以上を占める成分)をいう。なお、本明細書において「主成分」とは、特記しない場合、50重量%以上を占める成分をいう。
<発泡体基材>
ここに開示される粘着シートを構成する発泡体基材は、気泡(気泡構造)を有する部分を備えた基材であって、典型的には、層状の発泡体(発泡体層)を少なくとも1層含む基材である。上記発泡体基材は、1層または2層以上の発泡体層により構成された基材であり得る。上記発泡体基材は、例えば、1層または2層以上の発泡体層のみにより実質的に構成された基材であり得る。特に限定するものではないが、ここに開示される技術における発泡体基材の一好適例として、単層(1層)の発泡体層からなる発泡体基材が挙げられる。
発泡体基材の厚さHsは、特に限定されず、粘着シートの強度や柔軟性、使用目的等に応じて適宜設定することができる。接合部を薄型化する観点から、発泡体基材の厚さHsとしては、通常、0.70mm以下が適当であり、0.40mm以下が好ましく、0.30mm以下がより好ましい。ここに開示される技術は、粘着シートを細幅に加工する際の加工性等の観点から、発泡体基材の厚さHsが0.20mm以下(典型的には0.18mm以下、例えば0.16mm以下)である態様で好ましく実施され得る。また、粘着シートの耐衝撃性等の観点から、発泡体基材の厚さHsとしては、0.05mm以上が適当であり、0.06mm以上が好ましく、0.07mm以上(例えば0.08mm以上)がより好ましい。ここに開示される技術は、発泡体基材の厚さHsが0.10mm以上(典型的には0.10mm超、好ましくは0.12mm以上、例えば0.13mm以上)である態様で好ましく実施され得る。発泡体基材の厚さが大きくなると、より細幅においても所望の耐衝撃性が発揮される傾向にある。なお、粘着シートの耐衝撃性は、例えば、後述する落下耐久性試験や落下後防水性試験により評価することができる。
発泡体基材の密度D(見掛け密度をいう。以下、特記しない場合において同じ。)は特に限定されず、例えば0.1〜0.9g/cmであり得る。耐衝撃性の観点から、発泡体基材の密度Dは、0.8g/cm以下が適当であり、0.7g/cm以下(例えば0.6g/cm以下)が好ましい。一態様において、発泡体基材の密度Dは、0.5g/cm未満であってよく、0.4g/cm未満(例えば0.5g/cm以下)であってもよい。また、耐衝撃性の観点から、発泡体基材の密度Dは、0.12g/cm以上が好ましく、0.15g/cm以上がより好ましく、0.2g/cm以上(例えば0.3g/cm以上)がさらに好ましい。一態様において、発泡体基材の密度Dは、0.4g/cm以上であってよく、0.5g/cm以上(例えば0.5g/cm超)であってもよく、さらには0.55g/cm以上であってもよい。なお、発泡体基材の密度D(見掛け密度)はJIS K 6767に準拠して測定することができる。
好ましい一態様において、上記発泡体基材の密度Dは、0.3〜0.8g/cmであり得る。密度が上記範囲にある発泡体基材は、衝撃吸収性がよく、かつ(M/D)の値の高いものが得られやすい。したがって、このような発泡体基材を備える粘着シートは、接合部の耐衝撃性がよく、かつ細幅化による性能低下の程度が抑えられたものとなり得る。
発泡体基材の平均気泡径は特に限定されないが、細幅化による性能低下を抑制する観点からは、300μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましく、150μm以下がさらに好ましい。より高性能な防水性や防塵性を発揮する観点からは、発泡体基材の平均気泡径は、120μm以下であることが好ましく、100μm以下(典型的には90μm以下、例えば80μm以下、さらには70μm以下)がより好ましい。ここに開示される技術において、発泡体基材の平均気泡径を小さくすることにより、例えば後述する落下後防水性のように細幅において衝撃を受けても防水性や防塵性が維持されやすくなる傾向にある。また、平均気泡径を小さくすることは、上述したM/Dの値を大きくするひとつの手法としても有効となり得るので好ましい。平均気泡径の下限は特に限定されないが、耐衝撃性の観点から、通常は10μm以上が適当であり、20μm以上が好ましく、30μm以上がより好ましく、40μm以上(例えば50μm以上)がさらに好ましい。一態様において、平均気泡径は、55μm以上であってよく、60μm以上であってもよい。なお、ここでいう平均気泡径は、発泡体基材の断面を電子顕微鏡で観察して得られる、真球換算の平均気泡径をいう。
発泡体基材に含まれる気泡は、該発泡体基材の平面視において比較的円に近い形状であることが好ましい。すなわち、発泡体基材の流れ方向(以下「MD」ともいう。)の平均気泡径と幅方向(以下「CD」ともいう。)の平均気泡径とが異なりすぎないことが好ましい。上記気泡の形状の円形状からの隔たりの程度は、該発泡体基材のCDについての平均気泡径(CD平均気泡径)に対するMDについての平均気泡径(MD平均気泡径)の比、すなわち下記式で表される「アスペクト比(MD/CD)」を指標として把握され得る。このアスペクト比(MD/CD)がより1に近ければ、発泡体基材に含まれる気泡の平面視における形状がより円に近いといえる。
アスペクト比(MD/CD)=MD平均気泡径/CD平均気泡径
ここに開示される技術の一態様において、発泡体基材に含まれる気泡のアスペクト比(MD/CD)は、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.75以上、さらに好ましくは0.8以上であり、例えば0.85以上であり得る。一態様において、アスペクト比は、0.9以上であってよく、0.95以上(例えば凡そ1.0以上)であってもよい。また、上記アスペクト比(MD/CD)は、好ましくは1.3以下、より好ましくは1.25以下、さらに好ましくは1.2以下であり、例えば1.15以下であり得る。上記アスペクト比(MD/CD)が1より小さすぎないことにより、上記発泡体基材を用いた粘着シートの取扱性が向上し得る。また、上記アスペクト比(MD/CD)が1より大きすぎないことにより、上記発泡体基材を用いた粘着シートの防水性(例えば、後述する落下後防水性)や防塵性が向上し得る。後述するように細幅部を有する形態(特に、細幅部を有する環状部材の形態)で利用され得る粘着シートを構成する発泡体基材では、上記アスペクト比(MD/CD)が1に近いことが特に有意義である。
ここで、発泡体基材のMDとは、該発泡体基材の製造工程における押出方向を指す。特に限定するものではないが、テープ状等の長尺状の発泡体基材におけるMDは、通常、その長尺方向に一致する。また、発泡体基材のCDとは、該発泡体基材のMDに直交し、かつ該発泡体基材の表面に沿う方向を指す。この発泡体基材の厚さ方向(以下「VD」ともいう。)は、上記MDと上記CDのいずれとも直交する方向となる。
発泡体基材のMD平均気泡径は、以下のようにして測定される。
すなわち、上記発泡体基材を、そのCDにおけるほぼ中央部において、MDおよびVDに平行する平面(すなわち垂線の向きがCDと一致するような平面)に沿って切断し、その切断面の中央部を走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影する。撮影した画像をA4サイズの用紙に印刷し、画像上にMDに平行する長さ60mmの直線を一本、描く。このとき、60mmの直線上に気泡が10〜20個程度存在するようにSEMの拡大倍率を調整する。上記直線上に存在する気泡数を目視により数え、下記の式によりMD平均気泡径を算出する。
MD平均気泡径(μm)=60(mm)×10/(気泡数(個)×拡大倍率)
発泡体基材のCD平均気泡径は、以下のようにして測定される。
すなわち、上記発泡体基材を、そのCDおよびVDに平行する平面(すなわち垂線の向きがMDと一致するような平面)に沿って切断し、その切断面の中央部をSEMにて撮影する。撮影した画像をA4サイズの用紙に印刷し、画像上にCDに平行する長さ60mmの直線を一本、描く。このとき、60mmの直線上に気泡が10〜20個程度存在するようにSEMの拡大倍率を調整する。上記直線上に存在する気泡数を目視により数え、下記の式によりCD平均気泡径を算出する。
CD平均気泡径(μm)=60(mm)×10/(気泡数(個)×拡大倍率)
なお、直線を描くにあたっては、できるだけ直線が気泡に点接触することなく貫通した状態となるようにする。一部の気泡が直線に点接触してしまう場合には、この気泡を1個として数える。さらに、直線の両端部が気泡を貫通することなく、気泡内に位置した状態となる場合には、この気泡を0.5個として数える。
発泡体基材の各方向の平均気泡径は、例えば、該発泡体基材の組成(発泡剤の使用量等)や製造条件(発泡工程、延伸工程等における条件)を調整することにより制御することができる。
ここに開示される技術における発泡体基材としては、10%圧縮強度C10[kPa]と30%圧縮強度C30[kPa]との関係が次式:(C30/C10)≦5.0;を満たすものを好ましく採用することができる。ここで、発泡体基材の10%圧縮強度は、該発泡体基材を30mm角の正方形状にカットしたものを積み重ねて約2mmの厚さとした測定試料を一対の平板で挟み、それを当初の厚さの10%に相当する厚さ分だけ圧縮したときの荷重(圧縮率10%における荷重)をいう。すなわち、上記測定試料を当初の厚さの90%に相当する厚さまで圧縮したときの荷重をいう。30%圧縮強度C30[kPa]および後述する25%圧縮強度C25[kPa]についても同様に、測定試料を当初の厚さの30%または25%に相当する厚さ分だけ圧縮したときの荷重をいう。
発泡体基材の任意の圧縮率における圧縮強度は、JIS K 6767に準拠して測定される。具体的な測定手順としては、上記一対の平板の中央部に上記測定試料をセットし、上記平板の間隔を狭めることで連続的に任意の圧縮率まで圧縮し、そこで平板を停止させて10秒経過後の荷重を測定する。発泡体基材の圧縮強度は、例えば、発泡体基材を構成する材料の架橋度や密度、気泡のサイズや形状等により制御することができる。
圧縮強度比(C30/C10)が小さいということは、圧縮の程度の違いが圧縮強度に及ぼす影響が小さいことを意味する。例えば、粘着シートによる接合面に段差やキズ等の凹凸がある場合や、粘着シートの幅が部分的に異なっている場合、あるいは粘着シートによる接合部の一部が他部よりも大きな応力を受けた場合等において、粘着シートの一部が他部よりも大きく圧縮されることがあり得る。粘着シートを細幅化すると、上記段差や部分的な幅の違い等による圧縮の程度の違いはより顕著になる傾向にある。圧縮の程度の違いによる圧縮強度の違いが大きすぎると、圧縮の程度が変化する部分に歪が集中し、当該部分が粘着シートの剥がれや発泡体基材の損傷の起点となることがあり得る。(C30/C10)が小さい発泡体基材を用いた粘着シートは、上記圧縮の程度の違いに起因する圧縮強度の違いが小さいことから、上記剥がれや発泡体基材の損傷が生じにくい。このことは耐衝撃性向上の観点から有利となり得る。より良好な効果を得る観点から、(C30/C10)は、4.5以下であることがより好ましく、4.0以下であることがさらに好ましい。(C30/C10)が3.5以下であってもよい。(C30/C10)の下限は特に限定されないが、例えば2.5以上が適当であり、3.0以上であってもよい。
発泡体基材の25%圧縮強度C25は特に限定されず、例えば20kPa以上(典型的には40kPa以上)であり得る。C25は、通常、250kPa以上が適当であり、300kPa以上(例えば400kPa以上)が好ましい。このような発泡体基材を備える粘着シートは、細幅であっても、落下等の衝撃に対して良好な耐久性を発揮するものとなり得る。例えば、衝撃による粘着シートの千切れがよりよく防止されたものとなり得る。C25の上限は特に制限されないが、通常は1300kPa以下(例えば1200kPa以下)が適当である。一態様において、C25は、1000kPa以下であってもよく、800kPaであってもよく、さらには600kPa以下(例えば500kPa以下)であってもよい。C25[kPa]と見掛け密度D[g/cm]との関係が次式:150≦C25×D≦400(例えば200≦C25×D≦350、好ましくは240≦C25×D≦300);を満たす発泡体基材を備える粘着シートによると、より良好な結果が実現され得る。
好ましい他の一態様において、発泡体基材のC25は、20kPa〜200kPa(典型的には30kPa〜150kPa、例えば40kPa〜120kPa)とすることができる。このような発泡体基材を備える粘着シートは、密度の割に圧縮強度が低いことから、細幅であってもクッション性に優れたものとなり得る。例えば、落下衝撃を発泡体基材が吸収することにより、粘着シートの剥がれがよりよく防止され得る。C25[kPa]と見掛け密度D[g/cm]との関係が次式:100≦C25/D≦400(例えば150≦C25/D≦350、好ましくは200≦C25/D≦300);を満たす発泡体基材を備える粘着シートによると、より良好な結果が実現され得る。
発泡体基材の引張伸度は特に限定されない。例えば、流れ方向(MD)の引張伸度が200%〜800%(より好ましくは400%〜600%)である発泡体基材を好適に採用し得る。また、幅方向(TD)の引張伸度が50%〜800%(より好ましくは200%〜500%)である発泡体基材が好ましい。発泡体基材の伸びは、JIS K 6767に準拠して測定される。発泡体基材の伸びは、例えば、架橋度や見掛け密度(発泡倍率)等により制御することができる。
発泡体基材の引張強さ(引張強度)は特に限定されない。例えば、流れ方向(MD)の引張強さが5MPa〜35MPa(好ましくは10MPa〜30MPa)である発泡体基材を好適に採用し得る。また、幅方向(TD)の引張強さが1MPa〜25MPa(より好ましくは5MPa〜20MPa)である発泡体基材が好ましい。発泡体基材の引張強さは、JIS K 6767に準拠して測定される。発泡体基材の引張強さは、例えば、架橋度や見掛け密度(発泡倍率)等により制御することができる。
発泡体基材の材質は特に制限されない。通常は、プラスチック材料の発泡体(プラスチック発泡体)により形成された発泡体層を含む発泡体基材が好ましい。プラスチック発泡体を形成するためのプラスチック材料(ゴム材料を包含する意味である。)は、特に制限されず、公知のプラスチック材料のなかから適宜選択することができる。プラスチック材料は、1種を単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
プラスチック発泡体の具体例としては、ポリエチレン製発泡体、ポリプロピレン製発泡体等のポリオレフィン系樹脂製発泡体;ポリエチレンテレフタレート製発泡体、ポリエチレンナフタレート製発泡体、ポリブチレンテレフタレート製発泡体等のポリエステル系樹脂製発泡体;ポリ塩化ビニル製発泡体等のポリ塩化ビニル系樹脂製発泡体;酢酸ビニル系樹脂製発泡体;ポリフェニレンスルフィド樹脂製発泡体;脂肪族ポリアミド(ナイロン)樹脂製発泡体、全芳香族ポリアミド(アラミド)樹脂製発泡体等のアミド系樹脂製発泡体;ポリイミド系樹脂製発泡体;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)製発泡体;ポリスチレン製発泡体等のスチレン系樹脂製発泡体;ポリウレタン樹脂製発泡体等のウレタン系樹脂製発泡体;等が挙げられる。また、プラスチック発泡体として、ポリクロロプレンゴム製発泡体等のゴム系樹脂製発泡体を用いてもよい。
好ましい発泡体として、ポリオレフィン系樹脂製発泡体(以下「ポリオレフィン系発泡体」ともいう。)が例示される。ポリオレフィン系発泡体を構成するプラスチック材料(すなわちポリオレフィン系樹脂)としては、公知または慣用の各種ポリオレフィン系樹脂を特に限定なく用いることができる。例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。LLDPEの例としては、チーグラー・ナッタ触媒系直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒系直鎖状低密度ポリエチレン等が挙げられる。このようなポリオレフィン系樹脂は、1種を単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
ここに開示される技術における発泡体基材の好適例としては、耐衝撃性や防水性、防塵性等の観点から、ポリエチレン系樹脂の発泡体から実質的に構成されるポリエチレン系発泡体基材、ポリプロピレン系樹脂の発泡体から実質的に構成されるポリプロピレン系発泡体基材等のポリオレフィン系発泡体基材が挙げられる。ここでポリエチレン系樹脂とは、エチレンを主モノマー(すなわち、モノマーのなかの主成分)とする樹脂を指し、HDPE、LDPE、LLDPE等の他、エチレンの共重合割合が50重量%を超えるエチレン−プロピレン共重合体やエチレン−酢酸ビニル共重合体等を包含し得る。同様に、ポリプロピレン系樹脂とは、プロピレンを主モノマーとする樹脂を指す。ここに開示される技術における発泡体基材としては、ポリエチレン系発泡体基材を好ましく採用し得る。
上記プラスチック発泡体(典型的にはポリオレフィン系発泡体)の製造方法は特に限定されず、公知の各種方法を適宜採用し得る。例えば、上記プラスチック材料、もしくは上記プラスチック発泡体の成形工程、架橋工程および発泡工程を含む方法により製造し得る。また、必要に応じて延伸工程を含み得る。
上記プラスチック発泡体を架橋させる方法としては、例えば、有機過酸化物などを用いる化学架橋法、または電離性放射線を照射する電離性放射線架橋法などが挙げられ、これらの方法は併用され得る。上記電離性放射線としては、電子線、α線、β線、γ線などが例示される。電離性放射線の線量は特に限定されず、発泡体基材の目標物性(例えば架橋度)等を考慮して適切な照射線量に設定することができる。
上記発泡体基材には、必要に応じて、充填剤(無機充填剤、有機充填剤等)、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、難燃剤、界面活性剤等の各種添加剤が配合されていてもよい。
ここに開示される技術における発泡体基材は、該発泡体基材を備える粘着シートにおいて所望の意匠性や光学特性(例えば、遮光性、光反射性等)を発現させるために、着色されていてもよい。この着色には、公知の有機または無機の着色剤を、1種を単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
例えば、ここに開示される粘着シートを遮光用途に用いる場合、発泡体基材の可視光透過率は、特に限定されないが、後述の粘着シートの可視光透過率と同様に、0%〜15%であることが好ましく、より好ましくは0%〜10%である。また、ここに開示される粘着シートを光反射用途に用いる場合、発泡体基材の可視光反射率は、粘着シートの可視光反射率と同様に、20%〜100%が好ましく、より好ましくは25%〜100%である。
発泡体基材の可視光透過率は、分光光度計(例えば、株式会社日立ハイテクノロジーズ製の分光光度計、型式「U−4100」)を用いて、波長550nmにおいて、発泡体基材の一方の面側から照射して他方の面側に透過した光の強度を測定することにより求めることができる。発泡体基材の可視光反射率は、上記分光光度計を用いて、波長550nmにおいて、発泡体基材の一方の面に照射して反射した光の強度を測定することにより求めることができる。なお、粘着シートの可視光透過率や可視光反射率も、同様の方法により求めることができる。
ここに開示される粘着シートを遮光用途に用いる場合、上記発泡体基材は黒色に着色されていることが好ましい。黒色としては、L*a*b*表色系で規定されるL*(明度)で、35以下(例えば、0〜35)が好ましく、より好ましくは30以下(例えば、0〜30)である。なお、L*a*b*表色系で規定されるa*やb*は、それぞれ、L*の値に応じて適宜選択することができる。a*やb*としては、特に限定されないが、両方とも−10〜10(より好ましくは−5〜5、さらに好ましくは−2.5〜2.5)の範囲であることが好ましい。例えば、a*およびb*がいずれも0または略0であることが好ましい。
なお、本明細書において、L*a*b*表色系で規定されるL*、a*、b*は、色彩色差計(例えば、ミノルタ社製の色彩色差計、商品名「CR−200」)を用いて測定することにより求められる。なお、L*a*b*表色系は、国際照明委員会(CIE)が1976年に推奨した色空間であり、CIE1976(L*a*b*)表色系と称される色空間のことを意味している。また、L*a*b*表色系は、日本工業規格では、JIS Z 8729に規定されている。
発泡体基材を黒色に着色する際に用いられる黒色着色剤としては、例えば、カーボンブラック(ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等)、グラファイト、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、ペリレンブラック、チタンブラック、シアニンブラック、活性炭、フェライト(非磁性フェライト、磁性フェライト等)、マグネタイト、酸化クロム、酸化鉄、二硫化モリブデン、クロム錯体、複合酸化物系黒色色素、アントラキノン系有機黒色色素等を用いることができる。コストや入手性の観点から好ましい黒色着色剤として、カーボンブラックが例示される。黒色着色剤の使用量は特に限定されず、所望の光学特性を付与できるように適宜調整した量とすることができる。
ここに開示される粘着シートを光反射用途に用いる場合、上記発泡体基材は白色に着色されていることが好ましい。白色としては、L*a*b*表色系で規定されるL*(明度)で、87以上(例えば、87〜100)が好ましく、より好ましくは90以上(例えば、90〜100)である。L*a*b*表色系で規定されるa*やb*は、それぞれ、L*の値に応じて適宜選択することができる。a*やb*としては、例えば、両方とも−10〜10(より好ましくは−5〜5、さらに好ましくは−2.5〜2.5)の範囲であることが好ましい。例えば、a*およびb*がいずれも0または略0であることが好ましい。
発泡体基材を白色に着色する際に用いられる白色着色剤としては、例えば、酸化チタン(ルチル型二酸化チタン、アナターゼ型二酸化チタン等の二酸化チタン)、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化スズ、酸化バリウム、酸化セシウム、酸化イットリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム等)、炭酸バリウム、炭酸亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、亜鉛華、硫化亜鉛、タルク、シリカ、アルミナ、クレー、カオリン、燐酸チタン、マイカ、石膏、ホワイトカーボン、珪藻土、ベントナイト、リトポン、ゼオライト、セリサイト、加水ハロイサイト等の無機系白色着色剤や、アクリル系樹脂粒子、ポリスチレン系樹脂粒子、ポリウレタン系樹脂粒子、アミド系樹脂粒子、ポリカーボネート系樹脂粒子、シリコーン系樹脂粒子、尿素−ホルマリン系樹脂粒子、メラミン系樹脂粒子等の有機系白色着色剤等が挙げられる。白色着色剤の使用量は特に限定されず、所望の光学特性を付与できるように適宜調整した量とすることができる。
発泡体基材の表面には、必要に応じて、適宜の表面処理が施されていてもよい。この表面処理は、例えば、隣接する材料(例えば粘着剤層)に対する密着性を高めるための化学的または物理的な処理であり得る。かかる表面処理の例としては、コロナ放電処理、クロム酸処理、オゾン曝露、火炎曝露、紫外線照射処理、プラズマ処理、下塗り剤(プライマー)の塗布等が挙げられる。
<粘着剤>
ここに開示される粘着シートは、発泡体基材の少なくとも一方の面に粘着剤層を有する。粘着剤層を構成する粘着剤の種類は特に限定されない。上記粘着剤は、例えば、アクリル系、ポリエステル系、ウレタン系、ポリエーテル系、ゴム系、シリコーン系、ポリアミド系、フッ素系等の各種ポリマー(粘着性ポリマー)から選択される1種または2種以上をベースポリマー(ポリマー成分のなかの主成分、すなわち50重量%以上を占める成分)として含む粘着剤組成物から形成された粘着剤であり得る。ここに開示される技術は、例えば、アクリル系粘着剤を備えた粘着シートの形態で好ましく実施され得る。
ここで「アクリル系粘着剤」とは、アクリル系ポリマーをベースポリマーとする粘着剤を指す。「アクリル系ポリマー」とは、一分子中に少なくともひとつの(メタ)アクリロイル基を有するモノマー(以下、これを「アクリル系モノマー」ということがある。)を主構成単量体成分(モノマーの主成分、すなわちアクリル系ポリマーを構成するモノマーの総量のうち50重量%以上を占める成分)とするポリマーを指す。また、本明細書中において「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基およびメタクリロイル基を包括的に指す意味である。同様に、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートを包括的に指す意味である。
上記アクリル系ポリマーは、典型的には、アルキル(メタ)アクリレートを主構成単量体成分とするポリマーである。上記アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、下記式(1)で表される化合物を好適に用いることができる。
CH=C(R)COOR (1)
ここで、上記式(1)中のRは水素原子またはメチル基である。Rは炭素原子数1〜20のアルキル基である。粘着特性に優れた粘着剤が得られやすいことから、Rが炭素原子数2〜14(以下、このような炭素原子数の範囲をC2−14と表わすことがある。)のアルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。C2−14のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソアミル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、イソデシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、等が挙げられる。
好ましい一態様では、アクリル系ポリマーの合成に用いられるモノマーの総量のうち、凡そ50重量%以上(典型的には50〜99.9重量%)、より好ましくは70重量%以上(典型的には70〜99.9重量%)、例えば凡そ85重量%以上(典型的には85〜99.9重量%)が、上記式(1)におけるRがC2−14のアルキル(メタ)アクリレート(より好ましくはC4−10のアルキル(メタ)アクリレート。特に好ましくは、n−ブチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートの一方または両方)から選択される1種または2種以上により占められる。このようなモノマー組成から得られたアクリル系ポリマーによると、良好な粘着特性を示す粘着剤が形成されやすいので好ましい。
特に限定するものではないが、アクリル系ポリマーとしては、水酸基(−OH)を有するアクリル系モノマー(水酸基含有アクリル系モノマー)が共重合されたものを好ましく用いることができる。かかる共重合組成のアクリル系ポリマーによると、粘着力と凝集力とのバランスに優れ、再剥離性に優れた粘着剤が得られやすいので好ましい。
水酸基含有アクリル系モノマーは、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。水酸基含有アクリル系モノマーの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシへキシル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシへキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。さらに、(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチルアクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド等が例示される。なかでもヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、上記ヒドロキシアルキル基におけるアルキル基が炭素原子数2〜4の直鎖状であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
水酸基含有アクリル系モノマーは、アクリル系ポリマーの合成に用いられるモノマーの総量のうち凡そ0.001〜10重量%の範囲で使用されることが好ましい。このことによって、上記粘着力と凝集力とをより高レベルでバランスさせた粘着シートが実現され得る。水酸基含有アクリル系モノマーの使用量を凡そ0.01〜5重量%(例えば0.05〜2重量%)とすることにより、さらに良好な結果が達成され得る。あるいは、ここに開示される技術におけるアクリル系ポリマーは、水酸基含有アクリル系モノマーが共重合されていないものであってもよい。
ここに開示される技術におけるアクリル系ポリマーには、本発明の効果を顕著に損なわない範囲で、上記以外のモノマー(その他モノマー)が共重合されていてもよい。かかるモノマーは、例えば、アクリル系ポリマーのガラス転移温度の調整、粘着性能(例えば剥離性)の調整等の目的で使用することができる。例えば、粘着剤の凝集力や耐熱性を向上させ得るモノマーとして、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、ビニルエステル類、芳香族ビニル化合物等が挙げられる。また、アクリル系ポリマーに架橋基点となり得る官能基を導入し、あるいは接着力の向上に寄与し得るモノマーとして、カルボキシル基含有モノマー、酸無水物基含有モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、イミド基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、(メタ)アクリロイルモルホリン、ビニルエーテル類等が挙げられる。例えば、上記その他モノマーとしてカルボキシル基含有モノマーが共重合されたアクリル系ポリマーが好ましい。
スルホン酸基含有モノマーとしては、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム等が例示される。
リン酸基含有モノマーとしては、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートが例示される。
シアノ基含有モノマーとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が例示される。
ビニルエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル等が例示される。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、その他の置換スチレン等が例示される。
カルボキシル基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等が例示される。
酸無水物基含有モノマーとしては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、上記カルボキシル基含有モノマーの酸無水物体等が挙げられる。
アミド基含有モノマーとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等が例示される。
アミノ基含有モノマーとしては、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等が例示される。
イミド基含有モノマーとしては、シクロへキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド、N−シクロへキシルマレイミド、イタコンイミド等が例示される。
エポキシ基含有モノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が例示される。
ビニルエーテル類としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等が例示される。
このような「その他モノマー」は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、上記その他モノマーの総量は、アクリル系ポリマーの合成に用いられるモノマーの総量のうち凡そ40重量%以下(典型的には、0.001〜40重量%)とすることが好ましく、凡そ30重量%以下(典型的には0.01〜30重量%、例えば0.1〜10重量%)とすることがより好ましい。上記その他モノマーとしてカルボキシル基含有モノマーを用いる場合、その含有量は、上記モノマー総量のうち例えば0.1〜10重量%とすることができ、通常は0.2〜8重量%、例えば0.5〜5重量%とすることが適当である。また、上記その他モノマーとしてビニルエステル類(例えば酢酸ビニル)を用いる場合、その含有量は、上記モノマー総量のうち例えば0.1〜20重量%とすることができ、通常は0.5〜10重量%とすることが適当である。
アクリル系ポリマーの共重合組成は、該アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)が−15℃以下(典型的には−70℃〜−15℃)となるように設計されていることが適当であり、好ましくは−25℃以下(例えば−60℃〜−25℃)、より好ましくは−40℃以下(例えば−60℃〜−40℃)である。アクリル系ポリマーのTgを上述した上限値以下とすることは、粘着シートの耐衝撃性等の観点から好ましい。アクリル系ポリマーのTgは、モノマー組成(すなわち、該ポリマーの合成に用いられるモノマーの種類や使用量比)を適宜変えることにより調整することができる。
ここで、本明細書においてポリマーのTgとは、該ポリマーの共重合組成に基づいて、Foxの式により求められるTgをいう。Foxの式とは、以下に示すように、共重合体のTgと、該共重合体を構成するモノマーのそれぞれを単独重合したホモポリマーのガラス転移温度Tgiとの関係式である。
1/Tg=Σ(Wi/Tgi)
なお、上記Foxの式において、Tgは共重合体のガラス転移温度(単位:K)、Wiは該共重合体におけるモノマーiの重量分率(重量基準の共重合割合)、Tgiはモノマーiのホモポリマーのガラス転移温度(単位:K)を表す。
Tgの算出に使用するホモポリマーのガラス転移温度としては、公知資料に記載の値を用いるものとする。例えば、以下に挙げるモノマーについては、該モノマーのホモポリマーのガラス転移温度として、以下の値を使用する。
2−エチルヘキシルアクリレート −70℃
n−ブチルアクリレート −55℃
エチルアクリレート −22℃
メチルアクリレート 8℃
メチルメタクリレート 105℃
シクロヘキシルメタクリレート 66℃
2−ヒドロキシエチルアクリレート −15℃
酢酸ビニル 32℃
スチレン 100℃
アクリル酸 106℃
メタクリル酸 228℃
上記で例示した以外のモノマーのホモポリマーのガラス転移温度については、「Polymer Handbook」(第3版、JohnWiley&Sons,Inc、1989年)に記載の数値を用いるものとする。本文献に複数種類の値が記載されているモノマーについては、最も高い値を採用する。
上記文献にもホモポリマーのガラス転移温度が記載されていないモノマーについては、以下の測定方法により得られる値を用いるものとする(特開2007−51271号公報参照)。具体的には、温度計、攪拌機、窒素導入管および還流冷却管を備えた反応器に、モノマー100重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部および重合溶媒として酢酸エチル200重量部を投入し、窒素ガスを流通させながら1時間攪拌する。このようにして重合系内の酸素を除去した後、63℃に昇温し10時間反応させる。次いで、室温まで冷却し、固形分濃度33重量%のホモポリマー溶液を得る。このホモポリマー溶液を剥離ライナー上に流延塗布し、乾燥して厚さ約2mmの試験サンプル(シート状のホモポリマー)を作製する。この試験サンプルを直径7.9mmの円盤状に打ち抜き、パラレルプレートで挟み込み、粘弾性試験装置(ティー・エー・インスツルメント社製、ARES)を用いて周波数1Hzのせん断歪みを与えながら、温度領域−70〜150℃、5℃/分の昇温速度でせん断モードにより粘弾性を測定し、tanδ(損失正接)のピークトップ温度をガラス転移温度とする。
特に限定するものではないが、上記アクリル系ポリマーは、該アクリル系ポリマーの合成に用いられるモノマーの総量のうち、ホモポリマーのガラス転移温度が−45℃以下のモノマーの占める割合が50重量%以上(より好ましくは70重量%以上、例えば85重量%以上)であることが好ましい。このような共重合組成のアクリル系ポリマーによると耐衝撃性が向上する傾向にある。上記割合の上限は特に制限されず、上記モノマー総量の100重量%であってもよい。粘着剤の凝集性等の観点から、通常は、ホモポリマーのガラス転移温度が−45℃以下のモノマーが上記モノマー総量に占める割合を99重量%以下とすることが適当であり、97重量%以下とすることが好ましい。
ここに開示される技術において、アクリル系ポリマーを得る方法は特に限定されず、溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法等の、アクリル系ポリマーの合成手法として知られている各種の重合方法を適宜採用することができる。例えば、溶液重合法を好ましく用いることができる。溶液重合を行う際のモノマー供給方法としては、全モノマー原料を一度に供給する一括仕込み方式、連続供給(滴下)方式、分割供給(滴下)方式等を適宜採用することができる。重合温度は、使用するモノマーおよび溶媒の種類、重合開始剤の種類等に応じて適宜選択することができ、例えば20℃〜170℃(典型的には40℃〜140℃)程度とすることができる。
重合に用いる開始剤は、重合方法の種類に応じて、公知ないし慣用の重合開始剤から適宜選択することができる。例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド等のアゾ系重合開始剤を好ましく使用し得る。重合開始剤の他の例としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素等の過酸化物系開始剤;フェニル置換エタン等の置換エタン系開始剤;芳香族カルボニル化合物;等が挙げられる。重合開始剤のさらに他の例として、過酸化物と還元剤との組み合わせによるレドックス系開始剤が挙げられる。かかるレドックス系開始剤の例としては、過酸化水素水等の過酸化物とアスコルビン酸との組み合わせ、過酸化水素水等の過酸化物と鉄(II)塩との組み合わせ、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムとの組み合わせ等が挙げられる。重合開始剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。重合開始剤の使用量は、通常の使用量であればよく、例えば、全モノマー成分100重量部に対して0.005〜1重量部(典型的には0.01〜1重量部)程度の範囲から選択することができる。
溶液重合に用いる溶媒(重合溶媒)は、公知ないし慣用の有機溶媒から適宜選択することができる。例えば、トルエン、キシレン等の芳香族化合物類(典型的には芳香族炭化水素類);酢酸エチル等の酢酸エステル類;ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族または脂環式炭化水素類;1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化アルカン類;イソプロピルアルコール、1−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等の低級アルコール類(例えば、炭素原子数1〜4の一価アルコール類);tert−ブチルメチルエーテル等のエーテル類;メチルエチルケトン、アセチルアセトン等のケトン類;等から選択されるいずれか1種の溶媒、または2種以上の混合溶媒を用いることができる。例えば、沸点が40℃〜150℃(好ましくは60℃〜150℃、典型的には70℃〜130℃)の範囲にある重合溶媒(混合溶媒であり得る。)を使用することができる。
溶液重合によると、アクリル系ポリマーが有機溶媒に溶解した形態の重合反応液が得られる。ここに開示される技術における粘着剤層は、上記重合反応液または該反応液に適当な後処理を施したアクリル系ポリマー溶液を含む粘着剤組成物から形成されたものであり得る。上記アクリル系ポリマー溶液としては、上記重合反応液を必要に応じて適当な濃度に調製したものを使用し得る。あるいは、溶液重合以外の重合方法(例えば、エマルション重合、光重合、バルク重合等)でアクリル系ポリマーを合成し、該アクリル系ポリマーを有機溶媒に溶解させて調製したアクリル系ポリマー溶液を用いてもよい。
アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は特に限定されず、例えば10×10〜500×10の範囲であり得る。粘着特性のバランスをとりやすいことから、アクリル系ポリマーのMwは、10×10〜150×10の範囲にあることが好ましく、15×10〜100×10の範囲がより好ましく、20×10〜75×10の範囲がさらに好ましい。なお、アクリル系ポリマーのMwは、該アクリル系ポリマーの溶媒可溶分(例えば、テトラヒドロフラン可溶分)についてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を行うことにより、標準ポリスチレン換算の値として求められる。
ここに開示される技術における粘着剤組成物(例えばアクリル系粘着剤組成物)は、粘着付与樹脂を含み得る。粘着付与樹脂としては、特に制限されず、例えばロジン系、テルペン系、炭化水素系、エポキシ系、ポリアミド系、エラストマー系、フェノール系、ケトン系等の各種の粘着付与樹脂を、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ロジン系粘着付与樹脂の具体的としては、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等の未変性ロジン(生ロジン);これらの未変性ロジンを水添化、不均化、重合等により変性した変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、その他の化学的に修飾されたロジン等);その他の各種ロジン誘導体;等が挙げられる。上記ロジン誘導体の例としては、未変性ロジンをアルコール類によりエステル化したもの(すなわち、ロジンのエステル化物)、変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン等)をアルコール類によりエステル化したもの(すなわち、変性ロジンのエステル化物)等のロジンエステル類;未変性ロジンや変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン等)を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジン類;ロジンエステル類を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類;未変性ロジン、変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン等)、不飽和脂肪酸変性ロジン類または不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類におけるカルボキシル基を還元処理したロジンアルコール類;未変性ロジン、変性ロジン、各種ロジン誘導体等のロジン類(特に、ロジンエステル類)の金属塩;ロジン類(未変性ロジン、変性ロジン、各種ロジン誘導体等)にフェノールを酸触媒で付加させ熱重合することにより得られるロジンフェノール樹脂;等が挙げられる。
テルペン系粘着付与樹脂の例としては、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体、ジペンテン重合体などのテルペン樹脂;これらのテルペン樹脂を変性(フェノール変性、芳香族変性、水素添加変性、炭化水素変性等)した変性テルペン樹脂;等が挙げられる。上記変性テルペン樹脂の例としては、テルペンフェノール樹脂、スチレン変性テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水素添加テルペン樹脂等が挙げられる。
炭化水素系粘着付与樹脂の例としては、脂肪族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、脂肪族系環状炭化水素樹脂、脂肪族・芳香族系石油樹脂(スチレン−オレフィン系共重合体等)、脂肪族・脂環族系石油樹脂、水素添加炭化水素樹脂、クマロン系樹脂、クマロンインデン系樹脂等の各種の炭化水素系の樹脂が挙げられる。脂肪族系炭化水素樹脂としては、炭素原子数4〜5程度のオレフィンおよびジエンから選択される1種または2種以上の脂肪族炭化水素の重合体等が例示される。上記オレフィンの例としては、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン等が挙げられる。上記ジエンの例としては、ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン等が挙げられる。芳香族系炭化水素樹脂の例としては、炭素原子数8〜10程度のビニル基含有芳香族系炭化水素(スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、インデン、メチルインデン等)の重合体等が挙げられる。脂肪族系環状炭化水素樹脂の例としては、いわゆる「C4石油留分」や「C5石油留分」を環化二量体化した後に重合させた脂環式炭化水素系樹脂;環状ジエン化合物(シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、ジペンテン等)の重合体またはその水素添加物;芳香族系炭化水素樹脂または脂肪族・芳香族系石油樹脂の芳香環を水素添加した脂環式炭化水素系樹脂;等が挙げられる。
ここに開示される技術では、上記粘着付与樹脂として、軟化点(軟化温度)が凡そ100℃以上(好ましくは凡そ120℃以上、より好ましくは凡そ135℃以上)であるものを好ましく使用し得る。上述した下限値以上の軟化点をもつ粘着付与樹脂を含む粘着剤によると、より耐反撥性に優れた粘着シートが実現され得る。上記で例示した粘着付与樹脂のうち、このような軟化点を有するテルペン系粘着付与樹脂(例えばテルペンフェノール樹脂)、ロジン系粘着付与樹脂(例えば、重合ロジンのエステル化物)等を好ましく用いることができる。上記粘着付与樹脂は、例えば、軟化点135℃以上のテルペンフェノール樹脂を含む態様で好ましく用いられ得る。また、軟化点140℃以上の粘着付与樹脂を含む粘着剤によると、特に優れた耐反撥性が実現され得る。例えば、軟化点が140℃以上のテルペンフェノール樹脂を好ましく使用し得る。粘着付与樹脂の軟化点の上限は特に制限されず、例えば凡そ200℃以下(典型的には凡そ180℃以下)とすることができる。なお、粘着付与樹脂の軟化点は、JIS K2207に規定する軟化点試験方法(環球法)に基づいて測定することができる。
粘着付与樹脂の使用量は特に制限されず、目的とする粘着性能(接着力等)に応じて適宜設定することができる。例えば、固形分基準で、アクリル系ポリマー100重量部に対して、粘着付与樹脂を凡そ10〜100重量部(より好ましくは15〜80重量部、さらに好ましくは20〜60重量部)の割合で使用することが好ましい。
ここに開示されるアクリル系粘着剤の好適な組成の例として、アクリル系ポリマー100重量部に対して軟化点120℃以上の粘着付与樹脂を20〜60重量部の割合で含む組成、アクリル系ポリマー100重量部に対して軟化点135℃以上の粘着付与樹脂を10〜50重量部の割合で含む組成、等が挙げられる。このような組成のアクリル系粘着剤によると、耐反撥性と柔軟性とが好適に両立される傾向にある。
粘着剤組成物には、必要に応じて架橋剤が用いられていてもよい。架橋剤の種類は特に制限されず、公知ないし慣用の架橋剤(例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、アミン系架橋剤等)から適宜選択して用いることができる。架橋剤は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。架橋剤の使用量は特に制限されず、例えば、アクリル系ポリマー100重量部に対して凡そ10重量部以下(例えば凡そ0.005〜10重量部、好ましくは凡そ0.01〜5重量部)程度の範囲から選択することができる。
粘着剤組成物は、必要に応じて、レベリング剤、架橋助剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、着色剤(顔料、染料等)、帯電防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤等の、粘着剤組成物の分野において一般的な各種の添加剤を含有するものであり得る。このような各種添加剤については、従来公知のものを常法により使用することができ、特に本発明を特徴づけるものではないので、詳細な説明は省略する。
<粘着シート>
ここに開示される粘着シート(テープ状等の長尺状の形態であり得る。)は、発泡体基材と、該発泡体基材の少なくとも一方の面に配置された粘着剤層とを含んで構成されている。かかる粘着シートは、発泡体基材の一方の面にのみ粘着剤層を有し、該一方の面のみが粘着性表面(粘着面)となっている片面粘着シートの形態であってもよい。このような片面粘着シートは、例えば、粘着剤層を有しない側の面を粘着以外の手法(例えば、接着剤を用いる方法、熱融着させる方法等)で被着体に固定することにより、部品の接合や固定に用いられ得る。ここに開示される粘着シートは、典型的には、発泡体基材の両面に粘着剤層を有する両面粘着シート(発泡体基材付き両面粘着シート)の形態で好ましく実施される。このような両面粘着シートは、例えば、部品の接合操作の簡便性や接合品質の安定性等の観点から有利である。
ここに開示される粘着シートは、例えば、図1に模式的に示す断面構造を有する両面粘着シートであり得る。この両面粘着シート1は、シート状の発泡体基材15と、その基材15の両面にそれぞれ支持された第1粘着剤層11および第2粘着剤層12とを備える。より詳しくは、基材15の第1面15Aおよび第2面15B(いずれも非剥離性)に、第1粘着剤層11および第2粘着剤層12がそれぞれ設けられている。使用前(被着体への貼り付け前)の両面粘着シート1は、図1に示すように、前面17Aおよび背面17Bがいずれも剥離面である剥離ライナー17と重ね合わされて渦巻き状に巻回された形態であり得る。かかる形態の両面粘着シート1は、第2粘着剤層12の表面(第2粘着面12A)が剥離ライナー17の前面17Aにより保護され、また第1粘着剤層11の表面(第1粘着面11A)が剥離ライナー17の背面17Bにより保護されている。あるいは、第1粘着面11Aおよび第2粘着面12Aが、2枚の独立した剥離ライナーによりそれぞれ保護された形態であってもよい。
剥離ライナーとしては、慣用の剥離紙等を使用することができ、特に限定されない。例えば、プラスチックフィルムや紙等のライナー基材の表面に剥離処理層を有する剥離ライナー;フッ素系ポリマー(ポリテトラフルオロエチレン等)やポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)のような低接着性材料からなる剥離ライナー;等を用いることができる。上記剥離処理層は、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離処理剤により上記ライナー基材を表面処理して形成されたものであり得る。
発泡体基材上に粘着剤層を形成する方法としては、従来公知の種々の方法を適用し得る。例えば、粘着剤組成物を発泡体基材に直接塗布する方法(直接法)、適当な剥離面上に粘着剤組成物を塗布して該剥離面上に粘着剤層を形成し、その粘着剤層を発泡体基材に貼り合せて転写する方法(転写法)等が挙げられる。これらの方法を組み合わせて用いてもよい。また、第1粘着剤層と第2粘着剤層とで異なる方法を採用してもよい。粘着剤組成物の塗布は、例えば、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター等の、公知ないし慣用のコーターを用いて行うことができる。溶媒を含む粘着剤組成物を用いる場合には、架橋反応の促進、製造効率向上等の観点から、該粘着剤組成物を加熱下で乾燥させることが好ましい。
粘着剤層の厚さは特に限定されず、粘着シートの使用目的や目標性能に応じて設定することができる。例えば、粘着剤層の厚さを凡そ5μm〜150μmとすることができる。粘着シートの薄型化と粘着性能とを高レベルでバランスさせる観点から、粘着剤層の厚さとしては、通常、凡そ10μm以上(好ましくは凡そ15μm以上、より好ましくは凡そ20μm以上、例えば凡そ25μm以上)が適当であり、また、凡そ100μm以下(好ましくは凡そ90μm以下、より好ましくは凡そ80μm以下、例えば凡そ60μm以下)程度が適当である。一態様において、粘着剤層の厚さは、例えば10μm〜100μm程度(好ましくは15μm〜90μm程度、より好ましくは20μm〜80μm程度)であり得る。粘着シートの薄型化等の観点から、粘着剤層の厚さを凡そ50μm以下としてもよく、さらには凡そ40μm以下(例えば凡そ35μm以下)としてもよい。
ここに開示される粘着シートの総厚は特に限定されないが、通常は、凡そ0.07mm以上(典型的には凡そ0.08mm以上、好ましくは凡そ0.09mm以上、より好ましくは凡そ0.10mm以上、例えば凡そ0.12mm以上)が適当であり、凡そ0.15mm以上であってもよい。また、粘着シートの総厚は、通常、凡そ0.80mm以下(典型的には凡そ0.50mm以下、好ましくは凡そ0.40mm以下、より好ましくは凡そ0.35mm以下)が適当であり、凡そ0.30mm以下(例えば凡そ0.25mm以下、さらには凡そ0.20mm以下)であってもよい。粘着シートの総厚を上述した上限値以下にすることにより、製品の薄膜化、小型化、軽量化、省資源化等の点で有利となり得る。また、粘着シートの総厚を上述した下限値以上にすることにより、優れた耐衝撃性や防水性、防塵性等を示すものとなり得る。一態様において、粘着シートの総厚は、0.07mm〜0.80mm程度(例えば0.08mm〜0.50mm程度)の範囲であってよく、0.09mm〜0.40mm(典型的には0.10mm〜0.35mm程度、例えば0.12mm〜0.30mm程度、さらには0.12mm〜0.25mm程度)の範囲であってもよく、あるいは0.15mm〜0.35mm程度の範囲であってもよい。
ここに開示される粘着シートにおいて、該粘着シートの総厚Ht[mm]に占める発泡体基材の厚さHs[mm]の割合は特に限定されない。耐衝撃性と粘着性能を効果的に両立しやすくする観点から、通常は、Hs/Htを20〜80%程度とすることが適当であり、30〜70%程度(例えば40〜60%程度)とすることが好ましい。
なお、粘着面が剥離ライナーで保護された形態の粘着シートの場合、ここでいう粘着シートの総厚には剥離ライナーの厚さは含めないものとする。したがって、例えば図1に示すような両面粘着シートでは、第1粘着面11Aから第2粘着面12Aまでの厚さHt(すなわち一方の粘着面から他方の粘着面までの厚さ)を粘着シートの総厚とする。
ここに開示される粘着シートは、本発明の効果を大きく損なわない範囲で、発泡体基材および粘着剤層以外の層(中間層、下塗り層等。以下「他の層」ともいう。)をさらに含んでもよい。例えば、発泡体基材と粘着剤層の表面(粘着面)との間に上記他の層が設けられていてもよい。このような構成の粘着シートでは、上記他の層の厚みは粘着シートの総厚に含まれる。
ここに開示される技術の好ましい一態様に係る粘着シートは、該粘着シートの100%モジュラスM[N/mm基材]と、該粘着シートを構成する発泡体基材の密度D[g/cm]との関係が、9.0≦(M/D)を満たす。このような関係を満たす粘着シートは、細幅化による性能低下の程度が抑制されたものとなり得る。その理由を解明する必要はないが、例えば以下のように考えられる。すなわち、粘着シートのM/Dが大きいということは、引張変形に対して該粘着シートが発泡体基材の密度の割に高い抵抗を示すことを意味する。ここで、粘着シートが引張応力により変形すると、一般に該粘着シートと被着体との接触面積(粘着面積)は減少する。細幅の粘着シートでは粘着面積が当初から小さいため、引張変形による粘着面積の減少が粘着性能に及ぼす影響が殊に大きくなる傾向にある。M/Dが大きい粘着シートは引張応力に対して粘着面積の減少が生じにくく、このことが細幅化による性能低下の程度の抑制に有利に寄与していると考えられる。
好ましい一態様において、M/Dの値は、9.5以上であってもよく、10.0超、さらには10.5超(例えば11.0以上)であってもよい。M/Dの値が大きくなると、細幅化による性能低下の程度がよりよく抑制される傾向にある。M/Dの上限は特に制限されないが、発泡体基材の製造容易性または入手容易性等の観点から、通常は50以下が適当であり、40以下が好ましく、30以下(例えば25以下)がより好ましい。好ましい一態様において、M/Dが20以下であってもよく、15以下であってもよい。
ここで、粘着シートの100%モジュラスM[N/mm基材]は、次のようにして測定される。すなわち、測定対象のサンプル(粘着シート)を幅10mm、長さ40mmのサイズにカットして試験片を作製する。このとき、試験片の長さ方向がサンプルの流れ方向(MD)と一致する向きとなるようにする。この試験片を、温度23℃、50%RHの測定環境下において、試験長(チャック間長さ)を10mmとして引張試験機に垂直にセットし、50mm/分の引張速度で垂直方向に引き伸ばす。上記試験長の変化率が100%となったとき(20mmまで伸びたとき)の強度を発泡体基材の断面積当たりの強度に換算した値[N/mm基材]を、上記サンプルのMDについての100%モジュラスとする(以下「MDモジュラス」ともいう。)。
試験片の長さ方向をサンプルのMDと直交する幅方向(TD)とする他は上記MDモジュラスの測定と同様にして、該サンプルのTDについての100%モジュラス[N/mm基材]を求める(以下「TDモジュラス」ともいう。)。
上記MDモジュラスおよび上記TDモジュラスを平均することにより、上記サンプルの100%モジュラスM[N/mm基材]が求められる。
耐衝撃性の方向依存性を低減する観点からは、MDモジュラスとTDモジュラスとが極端には異ならないことが好ましい。特に限定するものではないが、TDモジュラス[N/mm基材]に対するMDモジュラス[N/mm基材]の比は、例えば0.3〜3とすることができ、通常は0.5〜2の範囲にあることが好ましく、0.6〜1.5の範囲にあることがより好ましい。
ここに開示される粘着シートの100%モジュラスMは特に限定されず、例えば2.5N/mm基材以上であり得る。粘着シートの100%モジュラスMが高いと、細幅の粘着シートにおいても衝撃等の外力による発泡体基材の損傷がよりよく防止される傾向にある。また、細幅化に伴う性能低下を抑制しやすくなる傾向にある。かかる観点から、100%モジュラスMは、4.0N/mm基材よりも高いことが好ましく、より好ましくは4.5N/mm基材以上、さらに好ましくは5.0N/mm基材以上(典型的には5.0N/mm基材超、例えば5.5N/mm基材以上)である。好ましい一態様に係る粘着シートの100%モジュラスMは、6.0N/mm基材以上であり得る。また、柔軟性等の観点から、粘着シートの100%モジュラスMは、通常、12.0N/mm基材以下が適当であり、10.0N/mm基材以下が好ましく、8.0N/mm基材以下がより好ましい。粘着シートの100%モジュラスMは、例えば、発泡体基材の架橋度や密度(見掛け密度)、気泡のサイズや形状等により制御することができる。
なお、粘着シートの100%モジュラスMを発泡体基材の断面積当たり(/mm基材)の数値として表す理由は、ここに開示される粘着シートの100%引き伸ばし強度に占める粘着剤層の寄与は通常極めて小さいため、上記引き伸ばし強度を断面積当たりに換算する際に粘着剤層の断面積を含めると、本願の目的に適う粘着シートの特性の把握が却って困難となるためである。
ここに開示される粘着シートは、100%モジュラスM[N/mm基材]と、発泡体基材の密度D[g/cm]と、発泡体基材の平均気泡径P[μm]との関係が、次式:70≦(M/D)/(P×10−3);を満たすことが好ましい。上記式を満たす粘着シートは、細幅化による性能低下(例えば、押圧接着力の低下)が少なく、かつ密度の割に気泡数の多い発泡体基材を備えることから、例えば後述する落下後防水性のように細幅において衝撃を受けても防水性や防塵性を維持する性能に優れたものとなり得る。より好適な効果を得る観点から、(M/D)/(P×10−3)の値は、90以上が好ましく、120以上がより好ましく、150以上がさらに好ましく、170以上であってもよい。(M/D)/(P×10−3)の値の上限は特に制限されないが、材料の入手容易性または製造容易性等の観点から、通常は700以下であり、500以下が適当であり、典型的には300以下であり、250以下であってもよい。なお、上記式中のPは、上述した真球換算の平均気泡径を[μm]の単位で表したときの数値部分であって、P自体は無次元数である(本明細書に記載された他の式中のPにおいて同じ。)。
好ましい一態様に係る粘着シートは、100%モジュラスM[N/mm基材]と、発泡体基材の25%圧縮強度C25[kPa]との関係が、次式:35≦M/(C25×10−3);を満たす。このような粘着シートは、圧縮応力に対しては良好なクッション性を示し、かつ伸びに対して強い抵抗を示すことから、細幅であっても衝撃吸収性がよく、かつ細幅化による性能低下の少ないものとなり得る。M/(C25×10−3)が40以上(より好ましくは45以上、さらに好ましくは50以上、例えば55以上)である粘着シートによると、より良好な結果が実現され得る。M/(C25×10−3)の上限は特に制限されず、例えば300以下(好ましくは200以下、より好ましくは150以下、典型的には100以下)であり得る。
好ましい他の一態様に係る粘着シートは、100%モジュラスM[N/mm基材]と、発泡体基材のC25[kPa]と、発泡体基材の密度D[g/cm]との関係が、次式:10≦(M×D)/(C25×10−3)を満たす。このような粘着シートは、圧縮強度および密度の割に100%モジュラスMが高いことから、圧縮応力に対しては良好なクッション性を示し、かつ伸びに対して強い抵抗を示す傾向にある。したがって、細幅であっても衝撃吸収性がよく、かつ細幅化による性能低下の少ないものとなり得る。(M×D)/(C25×10−3)が15以上(例えば18以上)である粘着シートによると、より良好な結果が実現され得る。(M×D)/(C25×10−3)の上限は特に限定されず、例えば50以下(好ましくは40以下、典型的には30以下)であり得る。
ここに開示される技術の好ましい他の一態様に係る粘着シートは、該粘着シートの100%モジュラスM[N/mm基材]と、該粘着シートを構成する発泡体基材の厚さHs[mm]との関係が、0.50≦M×Hsを満たす。このような粘着シートは、細幅化しても良好な耐衝撃性(例えば、落下衝撃に対する耐久性)を発揮する傾向にある。これは、M×Hsの値が0.50以上である粘着シートは概して引張変形に対して高い抵抗を示し、引張応力による粘着面積の減少が生じにくいためと考えられる。特に限定するものではないが、細幅における耐衝撃性をより向上させる観点から、M×Hsの値は、0.60以上であることが好ましく、0.70以上(例えば0.75超)であることがより好ましく、0.80以上(例えば0.90以上)であることがさらに好ましい。M×Hsの値の上限は特に制限されないが、柔軟性等の観点から、通常は10.0以下が適当であり、3.0以下が好ましく、2.0以下(例えば1.5以下)がより好ましい。
ここに開示される粘着シートの押圧接着力は、特に限定されない。好ましい一態様に係る粘着シートは、幅1.0mmにおける押圧接着力が70N以上(より好ましくは100N以上、さらに好ましくは130N以上、例えば170N以上)である。このような粘着シートは接着信頼性が高いので好ましい。
上記押圧接着力は、横59cm、縦113cm、幅1.0mmの窓枠状(「額縁状」または単に「枠状」ともいう。)の粘着シート(典型的には両面粘着シート)により、ステンレス鋼(SUS)板とガラス板とを50Nの荷重で10秒間圧着して貼り合わせることにより評価用サンプルを作製し、この評価用サンプルにおいて上記ガラス板を10mm/分の負荷速度で内部から外部に向かってガラス板の厚み方向に押圧して、ガラス板とステンレス板とが分離するまでの間に観測される最大応力として定義される。より具体的には、後述する実施例に記載の手順に従って押圧接着力を測定することができる。なお、片面粘着シートの押圧接着力は、粘着面をガラス板に貼り付け、粘着剤層を有しない面を粘着以外の手法であって十分な接着強度が得られる手法でSUS板に固定して測定すればよい。
なお、以下の説明において、このように横59mm、縦113mm、幅1.0mmの窓枠状粘着シートを用いて測定される押圧接着力を、「幅1.0mmにおける押圧接着力」または「押圧接着力(1.0mm幅)」と表記することがある。同様に、横59mm、縦113mm、幅Ammの窓枠状両面粘着シートを用いて測定された押圧接着力を、「幅Ammにおける押圧接着力」または、「押圧接着力(Amm幅)」のように表記することがある。押圧接着力(Amm幅)は、横59mm、縦113mm、幅Ammの窓枠状粘着シートを用いる他は、押圧接着力(1.0mm幅)と同様にして測定することができる。
好ましい一態様に係る粘着シートは、幅1.0mmにおける押圧接着力S1.0[N]を100%として、幅0.3mmにおける押圧接着力S0.3[N]がS1.0の27%以上である。すなわち、S0.3/S1.0が27%以上である。S0.3/S1.0が30%以上(例えば30%超)であることがより好ましい。S0.3/S1.0の値は、100%に近いほど好ましいため上限は特に限定されないが、通常は50%以下、典型的には40%以下である。
なお、上記S0.3は、幅0.3mmにおける押圧接着力を[N](ニュートン)の単位で表した数値であって、S0.3自体は無次元数である。S1.0および後述するS0.5,S0.7についても同様である。
好ましい他の一態様に係る粘着シートは、幅1.0mmにおける押圧接着力S1.0[N]を100%として、幅0.5mmにおける押圧接着力S0.5[N]がS1.0の50%以上、より好ましくは50%超(例えば52%以上)である。S0.5/S1.0の値は、100%に近いほど好ましいため上限は特に限定されないが、通常は70%以下、典型的には60%以下である。
このように、幅の減少割合との対比において押圧接着力の減少割合が同等以下(好ましくは1.1倍以下、より好ましくは1.0倍以下、例えば1.0倍未満)である粘着シートは、細幅化に伴う押圧接着力の低下が少ないことから、例えば、少なくとも一部に幅1.0mm未満の部分(典型的には、幅1.0mm未満の線状部分)を有する接合部材の形態で好適に使用され得る。
また、粘着シートの細幅化に伴う押圧接着力の低下が少ないということは、幅の変動(特に、幅1mm以下の範囲での変動)に対する押圧接着力の変動が少ないことを意味する。このような粘着シートは、少なくとも一部に線状部分を有し、かつ上記線状部分の幅が一部と他部とで異なる接合部材の形態で好適に使用され得る。上記のように幅の異なる部分を有する粘着シート(特に、上記線状部分の少なくとも一部の幅が1.0mm未満である接合部材)では、幅の違いによる粘着性能(例えば押圧接着力)の違いが大きすぎると、幅が変化する部分に歪が集中し、当該部分が粘着シートの剥がれや発泡体基材の損傷の起点となることがあり得る。幅の変動に対する押圧接着力の変動が小さい粘着シートは、上記剥がれや損傷が生じにくいことから、耐衝撃性に優れたものとなり得る。
特に限定するものではないが、ここに開示される粘着シートは、以下の条件:
押圧接着力(0.7mm幅)が50N以上(より好ましくは70N以上、さらに好ましくは90N以上、例えば120N以上)である;
押圧接着力(0.5mm幅)が35N以上(より好ましくは50N以上、さらに好ましくは65N以上、例えば85N以上)である;および
押圧接着力(0.3mm幅)が20N以上(より好ましくは30N以上、さらに好ましくは40N以上、例えば50N以上)である;
の少なくともひとつを満たすことが好ましい。このような粘着シートは、接着信頼性に優れ、細幅化にも適したものとなり得る。
ここに開示される粘着シートは、所望の光学特性(透過率、反射率等)を有するものであり得る。例えば、遮光用途に用いられる粘着シートは、可視光透過率が0%以上15%以下(より好ましくは0%以上10%以下)であることが好ましい。また、光反射用途に用いられる粘着シートは、可視光反射率が20%以上100%以下(より好ましくは25%以上100%以下)であることが好ましい。粘着シートの光学特性は、例えば、上述のように発泡体基材を着色すること等により調整することができる。
ここに開示される粘着シートは、金属の腐食防止等の観点から、ハロゲンフリーであることが好ましい。粘着シートがハロゲンフリーであることは、例えば、この粘着シートが電気・電子部品の固定に用いられ得る場合において、有利な特徴となり得る。また、燃焼時におけるハロゲン含有ガスの発生を抑制し得るので、環境負荷軽減の観点からも好ましい。ハロゲンフリーの粘着シートは、ハロゲン化合物を発泡体基材や粘着剤の原料として意図的に用いないこと、ハロゲン化合物を意図的に配合しない発泡体基材を用いること、添加剤を用いる場合にハロゲン化合物由来の添加剤を用いないこと、等の手段を単独で、あるいは適宜組み合わせて採用することにより得ることができる。
ここに開示される粘着シートの貼付け対象物(被着体)は特に限定されない。ここに開示される粘着シートは、例えば、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム等の金属材料;ガラス、セラミックス等の無機材料;ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体樹脂(ABS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、PC−ABSブレンド樹脂、PC−HIPSブレンド樹脂等の樹脂材料;天然ゴム、ブチルゴム等のゴム材料;およびこれらの複合材料等からなる被着体に貼り付けられる態様で用いることができる。
ここに開示される粘着シートは、細幅化による性能低下が少ないことから、細幅化の要請の強い携帯機器において、接合や固定等の目的で用いられる粘着シートとして好適なものとなり得る。また、ここに開示される粘着シートは、発泡体基材を含むことから、衝撃吸収性や防水性、防塵性等に優れたものとなり得る。このような特長を活かして、電子機器用途、例えば、携帯電子機器の表示部固定用、携帯電子機器の表示部保護部材固定用、携帯電話のキーモジュール部材固定用、テレビのデコレーションパネル固定用、パソコンのバッテリーパック固定用、デジタルビデオカメラのレンズ防水等の用途に好ましく適用され得る。特に好ましい用途として、携帯電子機器用途が挙げられる。特に、液晶表示装置を有する携帯電子機器に好ましく使用され得る。例えば、このような携帯電子機器において、表示部(液晶表示装置の表示部であり得る。)または表示部保護部材と筐体とを接合する用途等に好適である。
なお、上記表示部保護部材は、典型的には厚さ方向への光透過性を示す領域を有する部材(以下「光透過性部材」ともいう。)であり、レンズと称されることもある。ここで、本明細書において「レンズ」とは、光の屈折作用を示すものと光の屈折作用を示さないものとの両方を包含する概念である。つまり、本明細書における「レンズ」には、屈折作用がない光透過性部材、例えば携帯電子機器の表示部を単に保護する保護パネル等も含まれる。上記保護パネルは、光透過性を有する表示部保護部材または表示部カバー部材としても把握され得る。上記保護パネルの材質がガラスである場合、該保護パネルは「カバーガラス」とも称することができる。ただし、上記保護パネルまたは上記レンズの材質はガラスに限定されず、光透過性を示し得る材質であればよい。
また、本明細書において携帯電子機器とは、携帯して使用する電子機器一般のことをいい、それ以外特に限定されない。ここで「携帯」とは、単に携帯することが可能であるだけでは十分ではなく、個人(標準的な成人)が相対的に容易に持ち運び可能なレベルの携帯性を有することを意味するものとする。ここでいう「携帯電子機器」の例には、携帯電話、スマートフォン、タブレット型PC、ノートPC等が含まれる。このような携帯電子機器は、いわゆるウェアラブル型(例えば、腕時計型等のリストバンド型、メガネ型等のヘッドマウント型等)の端末であってもよい。上記携帯電子機器は、例えば、電話、時計、カメラ、メガネ、パソコンその他の情報端末、血圧計や脈拍計、歩数計等の健康管理ツール、音楽プレーヤー、動画プレーヤー、録音、録画等の1または2以上の機能を有するものであり得る。
ここに開示される粘着シートは、種々の外形に加工された接合部材の形態で、携帯電子機器を構成する部品の接合や固定(例えば表示部または表示部保護部材と筐体との接合、好ましくは光透過性を有する表示部保護部材(典型的には保護パネル)と筐体との接合)に利用され得る。このような接合部材の好ましい形態として、幅2.0mm未満の細幅部を有し、該細幅部の平均幅W[mm]が1.0mm未満(より好ましくは0.7mm以下、さらに好ましくは0.5mm以下、例えば0.3mm以下)である形態が挙げられる。ここに開示される粘着シートによると、このような細幅部を含む形状(例えば枠状)の接合部材として用いられる場合にも、良好な性能(押圧接着力、衝撃吸収性等)が発揮され得る。なお、粘着シートの細幅部の平均幅W[mm]は、当該粘着シートに含まれる細幅部の合計面積を合計長さで除算して得られる。細幅部の幅が一定である場合、該細幅部の幅と上記平均幅とは一致する。
上記細幅部は、典型的には線状である。ここで線状とは、直線状、曲線状、折線状(例えばL字型)等の他、枠状や円状等の環状や、これらの複合的または中間的な形状を包含する概念である。上記環状とは、曲線により構成されるものに限定されず、例えば四角形の外周に沿う形状(枠状)や扇型の外周に沿う形状のように、一部または全部が直線状に形成された環状を包含する概念である。上記細幅部の長さは特に限定されない。例えば、上記細幅部の長さが10mm以上(典型的には20mm以上、例えば30mm以上)である形態において、ここに開示される技術を適用することの効果が好適に発揮され得る。上記細幅部の幅は、一定であってもよく、部分的に異なってもよい。
ここに開示される粘着シートは、該粘着シートの100%モジュラスM[N/mm基材]および発泡体基材の厚さHs[mm]との関係で、上記細幅部の平均幅W[mm]が0.4/(M×Hs)以上となる形状で好ましく利用され得る。このような形状の粘着シートによると、上記細幅部においても被着体との間に耐衝撃性のよい接合部を形成することができる。細幅部の平均幅W[mm]が0.5/(M×Hs)以上(さらに好ましくは0.6/(M×Hs)以上、例えば0.7/(M×Hs)以上)である形状の粘着シートによると、より良好な性能(例えば、落下衝撃を受けても防水性や防塵性が損なわれ難い接合部を形成し得る性能)が実現され得る。
ここに開示される粘着シートは、細幅化しても良好な接合性能、防水性能(例えば、落下後防水性)、防塵性能等を発揮しやすいという特長を活かして、上記細幅部を有する環状の接合部材の形態で、例えば、携帯電子機器の表示部または表示部保護部材と筐体とを液密に接合して該筐体に収容された電子機器を水や塵埃から保護するための固定部材として好適に利用され得る。したがって、この明細書によると、ここに開示されるいずれかの粘着シートを含む、携帯電子機器の表示部または表示部保護部材を筐体に固定するための固定部材が提供される。上記固定部材は、典型的には環状の平面形状を呈する。このような環状の固定部材の環形状は特に限定されず、例えば矩形(枠状)、円形、矩形以外の多角形(例えば三角形)、その他異形状等であり得る。また、上記環状の概念には、1枚のシートからなり完全に閉じた環状(すなわち、継ぎ目のない環状)の他、1枚のシートまたは複数枚のシートの端と端とを重ね合わせることで閉じた環を形成し得る形状や、1枚のシートまたは複数枚のシートの端と端とを近接するように配置し、上記近接して配置した箇所を必要に応じて封止することで閉じた環を形成し得る形状が含まれ得る。なお、ここで近接とは、当接(距離がゼロである状態)を含む概念であり、例えば、互いの距離が0〜10mm(典型的には0.1〜10mm)、好ましくは0〜5mm(典型的には0.1〜5mm)、より好ましくは0〜2mm(典型的には0.1〜2mm)、さらに好ましくは0〜1mm(典型的には0.1〜1mm)であることをいう。上記重ね合わせた箇所や近接(例えば当接)させた箇所を封止する方法としては、接着剤等の封止材で塞ぐ方法や、端同士を溶着(例えば熱溶着)する方法等を採用することができる。
また、ここに開示される粘着シートは、幅の変動(特に、幅1mm以下の範囲での変動)に対する粘着性能(例えば押圧接着力)の変動が少ないという特長を活かして、第1の幅を有するW1部分と該第1の幅より大きい第2の幅を有するW2部分とを連続して有する形状(典型的には環状)であって上記第1の幅が1mm未満である形態で、上述のような接合部材(例えば、携帯電子機器の表示部または表示部保護部材を筐体に固定するための固定部材)として好適に利用され得る。このような接合部材は、幅が変化する部分(W1部分とW2部分との変わりめ)への歪の集中が緩和されているので、当該部分を起点とする粘着シートの剥がれや発泡体基材の損傷が生じにくい。したがって、耐衝撃性に優れたものとなり得る。
なお、この明細書により開示される事項には、以下のものが含まれる。
(1)発泡体基材の少なくとも一方の面に粘着剤層を有する粘着シートであって、
上記粘着シートの100%モジュラスM[N/mm基材]と上記発泡体基材の密度D[g/cm]との関係が9.0≦(M/D)を満たす、粘着シート。
(2)発泡体基材の少なくとも一方の面に粘着剤層を有する粘着シートであって、
上記粘着シートの100%モジュラスM[N/mm基材]と、該粘着シートを構成する発泡体基材の厚さHs[mm]との関係が、0.75<M×Hsを満たす、粘着シート。
(3)上記粘着シートの100%モジュラスMが4.0N/mm基材より高い、上記(1)または(2)に記載の粘着シート。
(4)上記発泡体基材の厚さHsが0.10mm〜0.30mmである、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の粘着シート。
(5)上記粘着シートの可視光透過率が0%以上15%以下である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の粘着シート。
(6)上記発泡体基材は黒色に着色されている、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の粘着シート。
(7)上記発泡体基材は、ポリオレフィン系発泡体基材である、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の粘着シート。
(8)上記発泡体基材は、ポリエチレン系発泡体基材である、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の粘着シート。
(9)上記発泡体基材の両面に粘着剤層を有する両面粘着シートとして構成されている、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の粘着シート。
(10)上記粘着剤層の厚さが20μm〜80μmである、上記(1)〜(9)のいずれかに記載の粘着シート。
(11)上記粘着シートの総厚Htが0.10mm〜0.35mm(例えば0.15mm〜0.35mm)である、上記(1)〜(10)のいずれかに記載の粘着シート。
(12)上記粘着シートの総厚Ht[mm]に占める上記発泡体基材の厚さHs[mm]の割合が30〜70%である、上記(1)〜(11)のいずれかに記載の粘着シート。
(13)上記粘着剤層は、アクリル系ポリマーをベースポリマーとする粘着剤層である、上記(1)〜(12)のいずれかに記載の粘着シート。
(14)上記粘着剤層は、アクリル系ポリマーをベースポリマーとする粘着剤層であり、
上記アクリル系ポリマーのTgが−40℃以下である、上記(1)〜(13)のいずれかに記載の粘着シート。
(15)上記粘着剤層は、アクリル系ポリマーをベースポリマーとする粘着剤層であり、
上記アクリル系ポリマーの合成に用いられるモノマーの総量のうち、ホモポリマーのTgが−45℃以下のモノマーの占める割合が70重量%以上(好ましくは85重量%以上)である、上記(1)〜(14)のいずれかに記載の粘着シート。
(16)上記粘着剤層は、アクリル系ポリマーをベースポリマーとする粘着剤層であり、
上記アクリル系ポリマーの合成に用いられるモノマーの総量のうち0.2〜8重量%はカルボキシル基含有モノマーである、上記(1)〜(15)のいずれかに記載の粘着シート。
(17)上記粘着剤層は、該粘着剤層のベースポリマー100重量部に対して、粘着付与樹脂を20〜80重量部含む、上記(1)〜(16)のいずれかに記載の粘着シート。
(18)上記粘着剤層は、該粘着剤層のベースポリマー100重量部に対して、軟化点120℃以上の粘着付与樹脂を20〜60重量部含む、上記(1)〜(17)のいずれかに記載の粘着シート。
(19)上記粘着剤層は、イソシアネート系架橋剤により架橋されている、上記(1)〜(18)のいずれかに記載の粘着シート。
(20)幅1.0mmにおける押圧接着力S1.0[N]と幅0.3mmにおける押圧接着力S0.3[N]との関係が次式:0.3≦S0.3/S1.0;を満たす、上記(1)〜(19)のいずれかに記載の粘着シート。
(21)発泡体基材の少なくとも一方の面に粘着剤層を有する粘着シートであって、
上記発泡体基材の両面に粘着剤層を有する両面粘着シートとして構成されており、
上記発泡体基材はポリエチレン系発泡体基材であり、
上記粘着剤層は、アクリル系ポリマーをベースポリマーとする粘着剤層であって、上記アクリル系ポリマーの合成に用いられるモノマーの総量のうち85重量%以上はホモポリマーのTgが−45℃以下のモノマーであり、
上記粘着剤層は、上記ベースポリマー100重量部に対して粘着付与樹脂20〜80重量部を含み、
上記発泡体基材の厚さHsが0.06mm〜0.30mm(例えば0.10mm〜0.30mm)であり、
上記粘着シートの総厚Htが0.10mm〜0.35mm(例えば0.15mm〜0.35mm)であり、
上記粘着シートの100%モジュラスM[N/mm基材]と上記発泡体基材の密度D[g/cm]との関係が9.0≦(M/D)を満たす、粘着シート。
(22)発泡体基材の少なくとも一方の面に粘着剤層を有する粘着シートであって、
上記発泡体基材の両面に粘着剤層を有する両面粘着シートとして構成されており、
上記発泡体基材はポリエチレン系発泡体基材であり、
上記粘着剤層は、アクリル系ポリマーをベースポリマーとする粘着剤層であって、上記アクリル系ポリマーの合成に用いられるモノマーの総量のうち85重量%以上はホモポリマーのTgが−45℃以下のモノマーであり、
上記粘着剤層は、上記ベースポリマー100重量部に対して粘着付与樹脂20〜80重量部を含み、
上記発泡体基材の厚さHsが0.06mm〜0.30mm(例えば0.10mm〜0.30mm)であり、
上記粘着シートの総厚Htが0.15mm〜0.35mmであり、
上記粘着シートの100%モジュラスM[N/mm基材]と、該粘着シートを構成する発泡体基材の厚さHs[mm]との関係が、0.75<M×Hsを満たす、粘着シート。
(23)携帯電子機器の部品を接合するために用いられる、上記(1)〜(22)のいずれかに記載の粘着シート。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明において「部」および「%」は、特に断りがない限り重量基準である。
<粘着シートの作製>
(例1)
攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下装置および窒素導入管を備えた反応容器に、アクリル酸2.9部、酢酸ビニル5部、n−ブチルアクリレート92部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.1部、および重合溶媒として酢酸エチル30部、トルエン120部を投入し、窒素ガスを導入しながら2時間攪拌した。
このようにして重合系内の酸素を除去した後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2部を加え、60℃に昇温して6時間重合反応を行って、ポリマーを含むポリマー溶液を得た。このポリマー溶液の固形分は40.0%であり、ポリマーのMwは50×10であった。
上記ポリマー溶液に、該ポリマー溶液中のポリマー100部に対して、荒川化学工業株式会社製の商品名「ペンセルD−125」(ロジン系粘着付与樹脂、固形分100%)10部、荒川化学工業株式会社製の商品名「スーパーエステルA−100」(ロジン系粘着付与樹脂、固形分100%)10部、イーストマンケミカル社製の商品名「フォーラリン8020F」(ロジン系粘着付与樹脂、固形分100%)5部、および荒川化学工業株式会社製の商品名「タマノル803L」(テルペンフェノール樹脂、固形分100%)15部を添加し、溶解するまで十分に攪拌した。さらに、上記ポリマー溶液中のポリマー100部に対して2.0部となる割合で、架橋剤としての芳香族ポリイソシアネート(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン工業株式会社製、固形分75%)を添加し、十分に攪拌して、溶剤型粘着剤組成物を得た。
市販の剥離ライナー(商品名「SLB−80W3D」、住化加工紙株式会社製)を2枚用意した。それらの剥離ライナーのそれぞれ一方の面(剥離面)に上記粘着剤組成物を、乾燥後の厚さが50μmとなるように塗布し、100℃で2分間乾燥させることにより、上記2枚の剥離ライナーの剥離面上にそれぞれ粘着剤層を形成した。これらの粘着剤層を、両面にコロナ放電処理が施されたポリエチレン系発泡体シート(厚さ0.15mm、密度0.56g/cm、10%圧縮強度(C10)167kPa、25%圧縮強度(C25)468kPa、30%圧縮強度(C30)627kPa、平均気泡径55μm;以下「基材1A」という。)の両面にそれぞれ貼り合わせた。上記剥離ライナーは、そのまま粘着剤層上に残し、該粘着剤層の表面(粘着面)の保護に使用した。得られた構造体を80℃のラミネータ(0.3MPa、速度0.5m/分)に1回通過させた後、50℃のオーブン中で1日間養生した。このようにして例1に係る両面粘着シートを得た。
(例2)
基材1Aに代えて、両面にコロナ放電処理が施されたポリエチレン系発泡体シート(厚さ0.15mm、密度0.56g/cm、10%圧縮強度(C10)100kPa、25%圧縮強度(C25)365kPa、30%圧縮強度(C30)515kPa、平均気泡径155μm;以下「基材1B」という。)を使用した他は例1と同様にして、例2に係る両面粘着シートを得た。
(例3)
基材1Aに代えて、両面にコロナ放電処理が施されたポリエチレン系発泡体シート(厚さ0.15mm、密度0.37g/cm、10%圧縮強度(C10)34kPa、25%圧縮強度(C25)92kPa、30%圧縮強度(C30)117kPa、平均気泡径90μm;以下「基材2A」という。)を使用した他は例1と同様にして、例3に係る両面粘着シートを得た。
(例4)
基材1Aに代えて、両面にコロナ放電処理が施されたポリエチレン系発泡体シート(厚さ0.20mm、密度0.20g/cm、10%圧縮強度(C10)19kPa、25%圧縮強度(C25)47kPa、30%圧縮強度(C30)59kPa、平均気泡径90μm;以下「基材3A」という。)を使用した他は例1と同様にして、例4に係る両面粘着シートを得た。
(例5)
基材1Aに代えて、両面にコロナ放電処理が施されたポリエチレン系発泡体シート(厚さ0.08mm、密度0.56g/cm、10%圧縮強度(C10)148kPa、25%圧縮強度(C25)448kPa、30%圧縮強度(C30)617kPa、平均気泡径55μm;以下「基材4A」という。)を使用した点、および該基材4Aの両面に貼り合わせる粘着剤層の厚さをいずれも35μmとした点以外は例1と同様にして、例5に係る両面粘着シートを得た。
各例に係る両面粘着シート(固定部材作製用の粘着シート原反)について、上述した方法でMDモジュラスおよびTDモジュラスを測定したところ、例1のMDモジュラスは6.5N/mm基材、TDモジュラスは6.2N/mm基材、例2のMDモジュラスは5.6N/mm基材、TDモジュラスは4.5N/mm基材、例3のMDモジュラスは4.5N/mm基材、TDモジュラスは6.5N/mm基材、例4のMDモジュラスは6.1N/mm基材、TDモジュラスは3.1N/mm基材、例5のMDモジュラスは6.4N/mm基材、TDモジュラスは6.2N/mm基材であった。これらの値から各例に係る粘着シートの100%モジュラスM[N/mm基材]、M/DおよびM×Hsを求めた結果を表1に示す。
Figure 2018087340
<押圧接着力測定>
両面粘着シートを、図2に示すような横59mm、縦113mm、幅1.0mmの窓枠状(額縁状)にカットして、窓枠状両面粘着シートを得た。この窓枠状両面粘着シートを用いて、横59mm、縦113mm、厚さ1mmのガラス板(コーニング社製Gorillaガラスを使用した。以下同じ。)と、中央部に直径15mmの貫通孔を有するステンレス鋼板(SUS板)(横70mm、縦130mm、厚さ2mm)とを、50Nの荷重で10秒間圧着することにより貼り合わせて、評価用サンプルを得た。
図2は、上記評価用サンプルの概略図であって、(a)は上面図、(b)はそのA−A’断面図である。図2において、符号2は窓枠状両面粘着シート、符号21はSUS板、符号22はガラス板、符号21AはSUS板21に設けられた貫通孔を示している。
これらの評価用サンプルを万能引張圧縮試験機(装置名「引張圧縮試験機、TG−1kN」ミネベア(株)製)にセットした。そして、SUS板の貫通孔に丸棒を通過させ、この丸棒を10mm/分の速度で下降させることにより、ガラス板をSUS板から離れる方向に押圧した。そして、ガラス板とSUS板とが分離するまでの間に観測された最大応力を押圧接着力として測定した。なお、測定は23℃、50%RHの環境下で行った。
図3は、押圧接着力の測定方法を示す概略断面図であり、符号2は窓枠状の両面粘着シート、符号21はSUS板、符号22はガラス板、符号23は丸棒、符号24は支持台を示す。評価用サンプルは、上記試験機の支持台24に図3に示すように固定され、評価用サンプルのガラス板22は、SUS板21の貫通孔21Aを通過した丸棒23により押圧される。なお、上記押圧接着力測定において、SUS板21は、ガラス板22が丸棒23で押圧されることにより加わる負荷によって撓んだり破損したりすることはなかった。
上記窓枠状粘着シートの幅を0.7mm、0.5mmおよび0.3mmに変更した他は上記と同様にして評価用サンプルを作製し、同様にして押圧接着力測定を行った。
得られた結果を表2に示す。表中の「−」は、未評価であることを示している。
Figure 2018087340
表2に示されるように、基材A1を使用した例1の粘着シートと基材B1を使用した例2の粘着シートとを比較すると、例1のほうが幅0.5mmにおける押圧接着力の維持率(S0.5/S1.0)が高く、幅0.3mmにおける押圧接着力の維持率(S0.3/S1.0)では例1の優位性がさらに顕著であった。その結果、幅1.0mmにおける押圧接着力は例1と例2とで同程度であったが、幅0.5mmの押圧接着力は例1の粘着シートのほうが約10%高く、幅0.3mmの押圧接着力は例1のほうが20%以上高かった。なお、アクリル系粘着剤層からなり発泡体基材を有しない市販の粘着シートについて、上記の各サンプル幅における押圧接着力を同様に測定し、その結果から(S0.5/S1.0)および(S0.3/S1.0)を算出したところ、(S0.5/S1.0)は46%、(S0.3/S1.0)は20%であった。
<落下耐久性試験>
両面粘着シートを、図4(a),(b)に示すような横59mm、縦113mm、幅1.0mmの窓枠状(額縁状)にカットして、窓枠状両面粘着シートを得た。この窓枠状両面粘着シートを用いて、ポリカーボネート板(横70mm、縦130mm、厚さ2mm)とガラス板(横59mm、縦113mm、厚さ0.5mm)とを50Nの荷重で10秒間圧着することにより貼り合わせて、評価用サンプルを得た。
図4(a),(b)は、上記評価用サンプルの概略図であって、(a)は上面図、(b)はそのB−B’断面図である。図4において、符号3は窓枠状の両面粘着シート、符号31はポリカーボネート板、符号32はガラス板を示している。
上記評価用サンプルのポリカーボネート板の背面(ガラス板と貼り合わされた面とは反対側の面)に、160gの錘を取り付けた。上記錘付きの評価用サンプルにつき、常温(23℃程度)において、1.2mの高さからコンクリート板に60回自由落下させる落下試験を行った。このとき、上記評価用サンプルの6面が順次下方となるように、落下の向きを調節した。すなわち、6面につきそれぞれ1回の落下パターンを10サイクル行った。
そして、1回落下させる毎にポリカーボネート板とガラス板との接合が維持されているか否かを目視で確認し、ポリカーボネート板とガラス板とが剥がれる(分離する)までの落下回数を、常温における落下耐久性として評価した。60回落下させた後にも剥がれが認められなかった場合には「60超」と評価した。
上記窓枠状粘着シートの幅を0.7mm、0.5mmおよび0.3mmに変更した他は上記と同様にして評価用サンプルを作製し、同様にして落下耐久性試験を行った。
<落下後防水性試験>
IPX7規格(JIS C 0920/IEC60529)に基づいて、上記落下耐久性試験後(60回落下させた後)の評価用サンプルの防水性を評価した。すなわち、上記落下耐久性試験後の評価用サンプルを標準状態(23℃、50%RH)において水深1mの水槽に30分間沈め、内部への浸水の有無を確認した。
得られた結果を表3に示す。
<防塵性試験>
図5,6に示す防塵性評価試験装置を用いて防塵性試験を行った。ここで、図5は防塵性評価試験装置の概略構成を示す分解斜視図であり、図6は該防塵性評価試験装置の断面図である。図5,6において、符号120は防塵性評価試験装置、符号121は天井板、符号122はスペーサー、符号123は枠形状に窓枠状に打ち抜き加工をした両面粘着シート、符号125は評価用箱体、符号127は開口部(一辺の長さが52mmの正方形状)、符号128は空間部を示す。防塵性評価試験装置120は、略四角形の平板状の天井板121と評価用箱体125とをねじ止めすることによって、内部に略直方体状の密閉可能な空間部128を形成することができる。なお、開口部127は、空間部128の開口部である。また、天井板121は、開口部となる平面視四角形(台形)の切り込みを有する。
天井板121の開口部127に対向する下面には、開口部127より大きい四角形平板状のスペーサー122が、開口部127の全面に対向するように取り付けられる。スペーサー122の下面の開口部127に対向する位置には、開口部127とほぼ同じ大きさの窓部を有する両面粘着シート123が取り付けられる。このため、天井板121をねじ止めすることによって、両面粘着テープ123は、スペーサー122と開口部127の周縁部との間に固定される。したがって、天井板121と評価用箱体125とをねじ止めすることによって、評価用箱体125内の空間部128は、粘着テープ123およびスペーサー122によって密閉される。スペーサー122の厚さは、評価対象の粘着シートの総厚に応じて、各例に係る粘着シートの総厚の違いを埋め合わせるように選択される。
評価用箱体125内の開口部127から空間部128に粉塵としてのコーンスターチを0.1g入れ、窓枠状両面粘着テープ123を介してスペーサー122を配置し、その上から天井板121を評価用箱体125にねじ止めすることにより、窓枠状両面粘着テープ123でシールされた空間部128に上記粉塵(図示せず)が収容された防塵性評価試験装置120を作製した。この防塵性評価試験装置120をドラム式落下試験器(回転式落下装置)に入れ、3rpmの速度で回転させた。10回転毎に装置を停止させて防塵性評価試験装置120を取り出し、空間部128に収容した粉塵が窓枠状両面粘着テープ123によるシールから漏れて防塵性評価試験装置120の外面に付着しているか否かを目視で観察し、粉塵の付着が認められるまでの回転数を記録した。
各例に係る両面粘着シートを、一辺の長さが52mmの正方形状の開口部を有し、幅が1mmの枠状(すなわち、外周形状が一辺54mmの正方形状)または幅が0.5mmの枠状(すなわち、外周形状が一辺53mmの正方形状)となるように打ち抜いた窓枠状両面粘着テープ123を用いて、上記防塵性試験を行った。結果を表3に示す。
Figure 2018087340
表3に示されるように、幅1.0mmにおける評価では、例1,例2の粘着シートはいずれも良好な落下耐久性および落下後防水性を示し、特に性能差はみられなかった。一方、幅0.5mmおよび幅0.3mmでは、例1の粘着シートのほうが落下耐久性が明らかに高かった。また、幅0.7mmにおける評価では、落下耐久性には差がみられなかったが、例2に係る粘着シートは落下後防水性試験において浸水がみられ、粘着シートに損傷が生じていることが判明した。これに対して、例1の粘着シートは、幅0.7mmにおいて、落下耐久性試験後にも良好な防水性を示した。また、例5の粘着シートは、幅0.5mm以上で例1の粘着シートと同様に良好な落下耐久性と落下後防水性を示し、幅0.3mmにおいても例2の粘着シートに比べて高い落下耐久性を示した。また、例1,5に係る粘着シートの防塵性は、幅1.0mmおよび幅0.5mmのいずれにおいても、例2に係る粘着シートより優れていた。
以上の評価結果から、例2の粘着シートに比べて例1および例5の粘着シートでは細幅化に伴う性能低下が少ないことがわかる。幅0.7mmにおける落下後防水性の違いには、例1および例5に係る粘着シートでは例2に係る粘着シートに比べて平均気泡径の小さい発泡体基材を使用していることが有利に寄与していると考えられる。なお、平均気泡径P[μm]に対するM/Dの値の比として求められる(M/D)/(P×10−3)の値は、例1では207.8、例2では57.6、例3では165.2、例4では255.6、例5では201.3であった。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1 両面粘着シート
11 第1粘着剤層
11A 第1粘着面
12 第2粘着剤層
12A 第2粘着面
15 発泡体基材
15A 第1面
15B 第2面
17 剥離ライナー
17A 剥離ライナーの前面
17B 剥離ライナーの背面
2 両面粘着シート
21 ステンレス鋼板
21A 貫通孔
22 ガラス板
23 丸棒
24 支持台
3 両面粘着シート
31 ポリカーボネート板
32 ガラス板
120 防塵性評価試験装置
121 天井板
122 スペーサー
123 両面粘着シート
125 評価用箱体
127 開口部
128 空間部

Claims (10)

  1. 発泡体基材の少なくとも一方の面に粘着剤層を有する粘着シートであって、
    前記粘着シートの100%モジュラスM[N/mm基材]と前記発泡体基材の密度D[g/cm]との関係が9.0≦(M/D)を満たす、粘着シート。
  2. 前記粘着シートの100%モジュラスMが4.0N/mm基材より高い、請求項1に記載の粘着シート。
  3. 前記発泡体基材の厚さHsが0.06mm〜0.30mmである、請求項1または2に記載の粘着シート。
  4. 幅1.0mmにおける押圧接着力S1.0[N]と幅0.3mmにおける押圧接着力S0.3[N]との関係が次式:0.3≦S0.3/S1.0;を満たす、請求項1から3のいずれか一項に記載の粘着シート。
  5. 前記発泡体基材の両面に粘着剤層を有する両面粘着シートとして構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の粘着シート。
  6. 前記粘着シートの総厚Htが0.10mm〜0.35mmである、請求項1から5のいずれか一項に記載の粘着シート。
  7. 前記粘着シートの総厚Ht[mm]に占める前記発泡体基材の厚さHs[mm]の割合が30〜70%である、請求項1から6のいずれか一項に記載の粘着シート。
  8. 前記発泡体基材は、ポリオレフィン系発泡体基材である、請求項1から7のいずれか一項に記載の粘着シート。
  9. 前記粘着剤層は、アクリル系ポリマーをベースポリマーとする粘着剤層である、請求項1から8のいずれか一項に記載の粘着シート。
  10. 携帯電子機器の部品を接合するために用いられる、請求項1から9のいずれか一項に記載の粘着シート。
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