JP2018086661A - 鋳型用粘結材料、粘結剤コーテッド耐火物及びその製造方法、鋳型の製造方法、鋳造方法 - Google Patents

鋳型用粘結材料、粘結剤コーテッド耐火物及びその製造方法、鋳型の製造方法、鋳造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】塗型剤を用いる必要なく、鋳造を行なうことができるようにすることを目的とする。【解決手段】粘結剤と炭化ケイ素とを含有する鋳型用粘結材料を用い、耐火骨材の表面を鋳型用粘結材料からなる粘結剤層で被覆する。成形して得られた鋳型の表面には粘結剤層に含有される炭化ケイ素が存在し、溶融金属との濡れが悪い炭化ケイ素によって鋳造の際に焼き付きが発生することを防ぐことができ、塗型剤を用いる必要なく鋳造を行なうことが可能になる。【選択図】図1

Description

本発明は、鋳型用の粘結材料、この鋳型用粘結材料を用いた粘結剤コーテッド耐火物及びその製造方法、この粘結剤コーテッド耐火物を用いた鋳型の製造方法、この鋳型を用いた鋳造方法に関するものである。
鋳型に溶湯を注湯して鋳造を行なうにあたって、鋳型の表面に高温の溶融金属である溶湯が接触するために、鋳造により得られる鋳物の表面に鋳型の砂が焼き付いて付着するいわゆる焼き付きが生じる等の問題がある。そこで従来から鋳型を溶湯の高温から保護し、焼き付きが発生することを防ぐために、黒鉛、ジルコン、酸化アルミニウムなどを含有して形成される塗型剤を鋳型の表面に塗布することが行なわれている(特許文献1〜4等参照)。
特公昭58−28015号公報 特公昭58−19376号公報 特公昭58−47251号公報 特公昭58−47252号公報
しかし、塗型剤は水に分散させたりアルコールなどの溶剤に分散させたりして使用されるものであり、分散の作業や、鋳型への塗布・乾燥など、煩雑な作業が必要であるという問題があった。またアルコールの揮散による臭気の発生など作業環境を悪化させるおそれがあるという問題もあった。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、塗型剤を用いる必要なく、鋳造を行なうことができるようにすることを目的とするものである。
本発明は、炭化ケイ素は溶湯(溶融金属)との濡れが悪いという現象を見出したことに基づいてなされたものであり、本発明に係る鋳型用粘結材料は、粘結剤と炭化ケイ素とを含有して成ることを特徴とするものである。
鋳型用粘結材料の粘結剤による粘結作用で耐火骨材を結合して鋳型を製造するにあたって、鋳型の表面には鋳型用粘結材料に含有される炭化ケイ素が存在するものであり、溶融金属との濡れが悪い炭化ケイ素によって鋳造の際に焼き付きが発生することを防ぐことができ、塗型剤を用いる必要なく鋳造を行なうことが可能になるものである。
本発明に係る粘結剤コーテッド耐火物は、耐火骨材の表面に、粘結剤と炭化ケイ素とを含有する鋳型用粘結材料からなる粘結剤層が被覆されていることを特徴とするものである。
粘結剤と炭化ケイ素とを含有する粘結剤層が被覆された粘結剤コーテッド耐火物を成形して鋳型を製造するにあたって、鋳型の表面には粘結剤層に含有される炭化ケイ素が存在するものであり、溶融金属との濡れが悪い炭化ケイ素によって鋳造の際に焼き付きが発生することを防ぐことができ、塗型剤を用いる必要なく鋳造を行なうことが可能になるものである。
上記の粘結剤としては、熱硬化性樹脂、糖類、水溶性無機化合物から選ばれるものを用いることができる。
熱硬化性樹脂は加熱することによって硬化して、耐火骨材を強固に結合させることができ、強度の高い鋳型を製造することができるものである。また糖類や水溶性無機化合物は水分の供給で粘結作用を発揮すると共に乾燥により固化して耐火骨材を結合させることで、鋳型を製造することができるものであり、糖類や水溶性無機化合物は鋳造の際に溶湯の高温が作用しても有害あるいは悪臭物質を発生することが少なく、作業環境を悪化させることがないと共に、糖類や水溶性無機化合物は水に容易に溶けるので鋳造後の崩壊性が良い鋳型を得ることができるものである。
本発明に係る粘結剤コーテッド耐火物の製造方法は、耐火骨材に粘結剤と炭化ケイ素の粉体とを配合し、これを混合することによって、耐火骨材の表面に粘結剤と炭化ケイ素とを含有する鋳型用粘結材料からなる粘結剤層を被覆することを特徴とするものである。
このように耐火骨材に粘結剤と炭化ケイ素粉体とをそれぞれ配合して混合するようにすれば、粘結剤と炭化ケイ素粉体の比率を調整して耐火骨材に配合することができ、要求される性能に適応した粘結剤コーテッド耐火物を製造することが容易になるものである。
また本発明に係る粘結剤コーテッド耐火物の製造方法は、粘結剤と炭化ケイ素の粉体を混合し、この混合物を耐火骨材に配合して混合することによって、耐火骨材の表面に粘結剤と炭化ケイ素とを含有する鋳型用粘結材料からなる粘結剤層を被覆することを特徴とするものである。
このように予め粘結剤と炭化ケイ素粉体を混合しておけば、粘結剤と炭化ケイ素粉体を均一に分散させることができるものであり、耐火骨材にこれを混合することによって、炭化ケイ素粉体が均一に分散した状態で耐火骨材の表面に粘結剤層を形成することができるものである。
また本発明に係る粘結剤コーテッド耐火物の製造方法は、耐火骨材と炭化ケイ素の粉体を混合した後、これに粘結剤を配合して混合することによって、耐火骨材の表面に粘結剤と炭化ケイ素とを含有する鋳型用粘結材料からなる粘結剤層を被覆することを特徴とするものである。
このように予め耐火骨材と炭化ケイ素粉体を混合しておけば、耐火骨材に炭化ケイ素粉体を均一に分散させることができるものであり、炭化ケイ素粉体が均一に分散した状態で耐火骨材の表面に粘結剤層を形成することができるものである。
また本発明に係る粘結剤コーテッド耐火物の製造方法は、耐火骨材と粘結剤を混合した後、これに炭化ケイ素の粉体を配合して混合することによって、耐火骨材の表面に粘結剤と炭化ケイ素とを含有する鋳型用粘結材料からなる粘結剤層を被覆することを特徴とするものである。
このように予め耐火骨材と粘結剤を混合しておけば、耐火骨材に粘結剤を均一に分散させることができるものであり、粘結剤が均一に付着した状態で耐火骨材の表面に粘結剤層を形成することができるものである。
本発明に係る鋳型の製造方法は、粘結剤として熱硬化性樹脂を用いた上記の粘結剤コーテッド耐火物を、熱硬化性樹脂の溶融・硬化温度以上の温度に加熱した成形型に供給し、成形型の熱で粘結剤層中の粘結剤を硬化させることを特徴とするものである。
粘結剤として熱硬化性樹脂を用いた粘結剤コーテッド耐火物を加熱した成形型に供給すると、粘結剤の熱硬化性樹脂は溶融・硬化し、熱硬化性樹脂の硬化物で耐火骨材を結合した鋳型を得ることができるものである。
また本発明に係る鋳型の製造方法は、粘結剤として糖類、水溶性無機化合物から選ばれるものを用いた上記の粘結剤コーテッド耐火物を成形型内に充填し、成形型内に水分を供給して粘結剤層中の粘結剤に粘着性を付与し、次いで成形型内を乾燥して粘結剤を固化させることを特徴とするである。
粘結剤として糖類や水溶性無機化合物を用いた粘結剤コーテッド耐火物を成形型内に充填して水分を供給すると、粘結剤の糖類や水溶性無機化合物は水分を吸収して粘着性になり、耐火骨材を糖類や水溶性無機化合物の粘着力で結合することができるものであり、次いでこれを乾燥・固化させることによって、固化した糖類や水溶性無機化合物で耐火骨材を結合した鋳型を得ることができるものである。
また本発明に係る鋳型の製造方法は、上記の粘結剤コーテッド耐火物を成形型内に充填し、成形型内に水蒸気を通して、粘結剤を固化乃至硬化させることによって、粘結剤で耐火骨材を結合させることを特徴とするものである。
粘結剤コーテッド耐火物を充填した成形型内に水蒸気を通すと、水蒸気の高い潜熱と顕熱の作用で粘結剤コーテッド耐火物を効率よく加熱することができ、粘結剤を迅速に固化乃至硬化させることができるものであり、短時間で生産性高く鋳型を製造することができるものである。
上記の水蒸気としては、過熱水蒸気を用いることができる。
過熱水蒸気は高温の乾き蒸気であり、加熱効率が高いと共に、成形型内で過剰な水蒸気が生成されることが少なく、成形型内の粘結剤コーテッド耐火物の温度上昇の速度を速めて生産性をより高めることができるものである。
また成形型に水蒸気を通した後、成形型に乾燥用気体を通すようにすることができる。
成形型に水蒸気を通すことによって生成される凝縮水を乾燥用気体で気化させて、成形した鋳型を成形型内で乾燥することができるものである。
また本発明に係る鋳造方法は、上記のようにして製造した鋳型を塗型剤を塗布しないで用いて、鋳型に溶湯を注湯して鋳造することを特徴とするものである。
鋳型の表面には上記のように鋳型用粘結材料に含有される炭化ケイ素が存在するものであり、溶湯との濡れが悪い炭化ケイ素によって鋳造の際に焼き付きが発生することを防ぐことができ、塗型剤を用いる必要なく鋳造を行なうことが可能になるものである。従って塗型剤を使用する場合のような、塗型剤の分散の作業や、鋳型への塗布・乾燥など煩雑な作業が不要になると共にアルコールの揮散による臭気の発生などの作業環境の問題もなくなるものである。
本発明によれば、鋳型用粘結材料に含有される炭化ケイ素によって、鋳造の際に焼き付きが発生することを防ぐことができ、塗型剤を用いる必要なく鋳造を行なうことが可能になるものである。
本発明に係る鋳型の製造方法の一例を示すものであり、(a)(b)(c)はそれぞれ各工程での断面図である。 鋳込み試験に用いる鋳型を示す斜視図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
炭化ケイ素(SiC)は炭素とケイ素が1:1で結合した共有結合性の化合物であり、従来から研磨・研削材、耐火材、発熱体などに使用されている。そして本発明者らは、炭化ケイ素の表面に対する溶融金属の接触角を測定したところ、炭化ケイ素は溶融金属との濡れが悪いという現象を見出した。
本発明は炭化ケイ素は溶融金属との濡れが悪いというこの現象を利用するものであり、本発明に使用する鋳型用粘結材料は、鋳型用の粘結剤と、上記のように溶融金属との濡れが悪い炭化ケイ素とを含有して形成されるものである。
鋳型用粘結剤に含有される粘結剤としては、鋳型の製造に用いられるものであれば制限されることなく使用することができるが、本発明では熱硬化性樹脂、糖類、水溶性無機化合物から選ばれるものを用いるのが好ましい。これらは一種を単独で用いる他、二種以上を併用することもできる。
熱硬化性樹脂としては、レゾール型、ノボラック型、ベンジリックエーテル型などのフェノール樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂、イソシアネート化合物、アミンポリオール樹脂、ポリエーテルポリオール樹脂などを挙げることができるものであり、これらに硬化剤としてイソシアネート化合物、有機エステル類、ヘキサメチレンテトラミンなどを、硬化触媒として第三級アミン、ピリジン誘導体、有機スルホン酸などをそれぞれ配合し、熱硬化性にして使用することができるものである。これらは一種を単独で用いる他、複数種を併用することもできる。
粘結剤としてフェノール樹脂を用いる場合、フェノール樹脂はフェノール類とホルムアルデヒド類を反応触媒の存在下で反応させることによって調製することができる。ここで、フェノール類はフェノール及びフェノールの誘導体を意味するものであり、例えばフェノールの他にm−クレゾール、レゾルシノール、3,5−キシレノールなどの3官能性のもの、ビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニルメタンなどの4官能性のもの、o−クレゾール、p−クレゾール、p−ter−ブチルフェノール、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノール、p−ノニルフェノール、2,4又は2,6−キシレノールなどの2官能性のo−又はp−置換のフェノール類を挙げることができ、さらに塩素又は臭素で置換されたハロゲン化フェノールなども用いることができる。勿論、これらから一種を選択して用いる他、複数種のものを混合して用いることもできる。
またアルデヒド類としては、水溶液の形態であるホルマリンが最適であるが、パラホルムアルデヒドやアセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、トリオキサン、テトラオキサンのような形態のものを用いることもでき、その他、ホルムアルデヒドの一部を2−フルアルデヒドやフルフリルアルコールに置き換えて使用することも可能である。
上記のフェノール類とアルデヒド類の配合比率は、モル比で1:0.5〜1:3.5の範囲になるように設定するのが好ましい。また反応触媒としては、ノボラック型フェノール樹脂を調製する場合は、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸、あるいはシュウ酸、パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、キシレンスルホン酸などの有機酸、さらに酢酸亜鉛などを用いることができる。レゾール型フェノール樹脂を調製する場合は、アルカリ土類金属の酸化物や水酸化物を用いることができ、さらにジメチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ジエチレントリアミン、ジシアンジアミドなどの脂肪族の第一級、第二級、第三級アミン、N,N−ジメチルベンジルアミンなどの芳香環を有する脂肪族アミン、アニリン、1,5−ナフタレンジアミンなどの芳香族アミン、アンモニア、ヘキサメチレンテトラミンなどや、その他二価金属のナフテン酸や二価金属の水酸化物を用いることもできる。
ノボラック型フェノール樹脂とレゾール型フェノール樹脂は、それぞれ単独で使用しても、両者を任意の割合で混合して使用してもいずれでもよい。また希釈して使用する場合は、アルコール類、ケトン類、エステル類、多価アルコール類などの溶剤を用いることができる。
次に糖類としては、単糖類、少糖類、多糖類を用いることができ、各種の単糖類、少糖類、多糖類のなかから、1種を選んで単独で用いる他、複数種を選んで併用することもできる。
単糖類としては、特に限定されるものではないが、グルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)、ガラクトースなどを挙げることができる。
また少糖類としては、マルトース(麦芽糖)、スクロース(ショ糖)、ラクトース(乳糖)、セロビオースなどの二糖類を挙げることができる。
さらに多糖類としては、でんぷん糖、デキストリン、ザンサンガム、カードラン、プルラン、シクロアミロース、キチン、キトサン、セルロース、でんぷんなどがあり、これらのうち一種を選択して、あるいは複数種を併用して、用いることができる。またでんぷんとしては、未加工でんぷん及び加工でんぷんが挙げられる。具体的には馬鈴薯でんぷん、コーンスターチ、ハイアミロース、甘藷でんぷん、タピオカでんぷん、サゴでんぷん、米でんぷん、アマランサスでんぷんなどの未加工でんぷん、及びこれらの加工でんぷん(焙焼デキストリン、酵素変性デキストリン、酸処理でんぷん、酸化でんぷん)、ジアルデヒド化でんぷん、エーテル化でんぷん(カルボキシメチルでんぷん、ヒドロキシアルキルでんぷん、カチオンでんぷん、メチロール化でんぷんなど)、エステル化でんぷん(酢酸でんぷん、リン酸でんぷん、コハク酸でんぷん、オクテニルコハク酸でんぷん、マレイン酸でんぷん、高級脂肪酸エステル化でんぷんなど)、架橋でんぷん、クラフト化でんぷん、及び湿熱処理でんぷんなどが挙げられる。これらのなかでも、焙焼デキストリン、シクロデキストリン、酵素変性デキストリン、酸処理でんぷん、酸化でんぷんのように低分子化されたもの、及び架橋でんぷんなどの粘度の低いでんぷんが好ましい。さらに糖類を含有する植物、例えば麦、米、馬鈴薯、トウモロコシ、タピオカ、甘藷、サゴ、アマランサス等の粉体などを用いることができる。また食用に供するために市販されている糖、例えば白粗、中粗、グラニュ糖、転化糖、上白糖、中白糖、三温糖などを用いることもできる。さらに、糖類とフェノール類とを反応させたフェノール変性糖類を用いることもできる。
糖類には、特に多糖類の硬化剤として、カルボン酸を配合するようにしてもよい。カルボン酸としては、特に限定されるものではないが、シュウ酸、マレイン酸、コハク酸、クエン酸、ブタンテトラジカルボン酸、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体などの多価カルボン酸を挙げることができる。カルボン酸の配合量は、糖類100質量部に対してカルボン酸0.1〜10質量部となる範囲が好ましい。カルボン酸は予め水に溶解させた状態で糖類と混合するのが、硬化剤としての効果を高く発揮するので好ましい。
また水溶性無機化合物としては、特に限定されるものではないが、水ガラス、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、バナジン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、酸化アルミニウムナトリウム、塩化カリウム、炭酸カリウム、硫酸化合物を用いることができる。これらは一種を単独で用いる他、任意の複数種を選んで併用することもできる。
上記の水ガラスは無水珪酸(SiO)と酸化ナトリウム(NaO)の混合物であり、珪酸ナトリウムともいい、JIS K1408に示される一般式NaO・nSiO・xHOであらわされる、粉体状、液体状、結晶状のものを用いることができる。また珪酸カリ(KO・nSiO)を使用することもできる。
水ガラスは水に極めて溶解し易いものであり、乾燥させることによって固化する。このため、水ガラスを粘結剤として用いることによって、水で容易に崩壊する鋳型を製造することができるものである。また水ガラスは安価に入手できるため、コスト安価に鋳型を製造することができるものである。さらにNaSiOは融点が1088℃と比較的高いので、耐熱性の高い鋳型を製造することができるものである。
上記の塩化ナトリウムは(NaCl)は食塩といわれるように可食性であって人体に無害であると共に安価であり、使用することが容易である。そして水に容易に溶解するので、塩化ナトリウムを粘結剤として用いることによって、水で容易に崩壊する鋳型を製造することができるものである。特に0〜100℃の温度範囲の水に対する塩化ナトリウムの溶解度は、水100gに対して35.7〜39.1gと、水温による変化が小さいので、作業性が良いものである。さらにNaClは融点が1413℃と比較的高いので、耐熱性の高い鋳型を製造することができるものである。
上記のリン酸ナトリウムとしては、リン酸一ナトリウム水和物(NaHPO・xHO)、リン酸二ナトリウム水和物(NaHPO・xHO)、リン酸三ナトリウム水和物(NaPO・xHO)などを用いることができる。そしてリン酸三ナトリウム水和物は、水100gに対する溶解量が1.5g(0℃)であるように、リン酸ナトリウムは水に可溶性であり、またリン酸二ナトリウム水和物の融点が1340℃であるように、リン酸ナトリウムの融点は比較的高い。このため、水で容易に崩壊し、耐熱性が高い鋳型を製造することができるものである。
上記の炭酸ナトリウム(KCO)は、水100gに対する溶解量が7.1g(0℃)であるように、水に溶解し易く、しかも安価である。また融点は851℃と比較的高い。このため、水で容易に崩壊し、耐熱性が高い鋳型を製造することができるものである。
上記のバナジン酸ナトリウム(NaVO)は水に可溶であり、融点は866℃と比較的高い。このため、水で容易に崩壊し、耐熱性が高い鋳型を製造することができるものである。
上記のホウ酸ナトリウム(Na・xHO)は、水100gに対する溶解量が1.6g(10℃)であるように、水に溶解し易く、しかも安価である。また融点は741℃と比較的高い。このため、水で容易に崩壊し、耐熱性が高い鋳型を製造することができるものである。
上記の酸化アルミニウムナトリウム(NaAlO)は、水に可溶であり、また融点1700℃以上と高い。このため、水で容易に崩壊し、耐熱性が高い鋳型を製造することができるものである。
上記の塩化カリウム(KCl)は、水100gに対する溶解量が28.1g(0℃)であるように、水に溶解し易く、しかも安価である。また融点は776℃と比較的高い。このため、水で容易に崩壊し、耐熱性が高い鋳型を製造することができるものである。
上記の炭酸カリウム(KCO)は、水100gに対する溶解量が129.4g(0℃)であるように、水に溶解し易く、また融点が891℃であるように比較的高い。このため、水で容易に崩壊し、耐熱性が高い鋳型を製造することができるものである。
また、上記の硫酸化合物としては、特に限定されるものではないが、MgSO,NaSO・xHO,Al(SO・xHO,KSO,NiSO・xHO,ZnSO・xHO,MnSO・xHO,KMg(SO・xHOなどを挙げることができる。
硫酸化合物は水に溶解し易く、しかも安価である。例えば、水100gに対する溶解量は、硫酸マグネシウム(MgSO)は26.9g(0℃)、硫酸ナトリウム・10水和物(NaSO・10HO)は19.4g(20℃)、硫酸アルミニウム・12水和物(Al(SO)3・12HO)は36.2g(20℃)、硫酸カリウム(KSO)は10.3g(0℃)、硫酸ニッケル・7水和物(NiSO・7HO)は39.7g(20℃),硫酸マンガン・5水和物(MnSO・5HO)は75.3g(25℃)である。このため、硫酸化合物を粘結剤として用いることによって、水で容易に崩壊する鋳型を、安価に製造することができるものである。また硫酸化合物の融点は、例えば硫酸マグネシウム(MgSO)は1185℃、硫酸ナトリウム・10水和物(NaSO4・10HO)は884℃、硫酸アルミニウム・12水和物(Al(SO・12HO)は770℃、硫酸カリウム(KSO)は1067℃、硫酸ニッケル・7水和物(NiSO・7HO)は840℃、硫酸亜鉛・7水和物(ZnSO・7HO)は740℃、硫酸マンガン・5水和物(MnSO・5HO)は850℃、硫酸マグネシウムカリウム(KMg(SO・6HO)は927℃と比較的高いので、耐熱性の高い鋳型を製造することができるものである。
水溶性無機化合物は、上記のように挙げたものの中から任意の一種を選んで単独で用い
る他、任意の複数種を選んで併用することもできる。
上記の熱硬化性樹脂、糖類、水溶性無機化合物はそれぞれを単独で用いるようにしてもよいが、任意の組み合わせで併用するようにしてもよい。例えば熱硬化性樹脂と糖類、熱硬化性樹脂と水溶性無機化合物、糖類と水溶性無機化合物、熱硬化性樹脂と糖類と水溶性無機化合物の組み合わせで併用することができる。このように2種以上を併用する場合、併用の配合比率は任意に設定することができる。
本発明に使用する鋳型用粘結材料は、炭化ケイ素とこれらの粘結剤とを含有して形成されるものである。炭化ケイ素は粉体として使用するものであり、粉体の粒度は特に制限されるものではないが、例えば粒径が0.1〜300μmの範囲であることが好ましい。また鋳型用粘結材料に含まれる粘結剤と炭化ケイ素の比率は、特に制限されるものではないが、粘結剤(固形分)100質量部に対して炭化ケイ素0.5〜200質量部が好ましく、特に50〜150質量部の範囲が好ましい。
鋳型用粘結材料を用いて鋳型を製造するにあたっては、例えば、耐火骨材に鋳型用粘結材料を混合し、これを鋳型成形用の成形型に充填して成形することによって行なうことができる。
ここで、鋳型用粘結材料の粘結剤が熱硬化性樹脂である場合、高温に加熱した成形型に耐火骨材と鋳型用粘結材料の混合物を充填すると、熱硬化性樹脂が溶融・硬化するので、熱硬化性樹脂の硬化物で耐火骨材を結合した鋳型を得ることができる。
また鋳型用粘結材料の粘結剤が糖類や水溶性無機化合物の場合、耐火骨材と鋳型用粘結材料の混合物に水分を混ぜた状態で成形型に充填する。あるいは耐火骨材と鋳型用粘結材料の混合物を成形型に充填した後に、成形型内に水分を供給する。鋳型用粘結材料に水分が作用すると、鋳型用粘結材料中の糖類は水分を吸収して湿潤状態になり、また水溶性無機化合物は水分に溶解して湿潤状態になり、いずれも糊化して粘着性が生じ、耐火骨材はこの粘着作用で結合される。次いで、成形型を加熱したり、成形型に乾燥気体を供給したりして、糖類や水溶性無機化合物を乾燥し、糖類や水溶性無機化合物を固化させることによって、糖類や水溶性無機化合物の固化物で耐火骨材を結合した鋳型を得ることができるものである。
上記の耐火骨材としては、特に限定されるものではないが、硅砂、山砂、アルミナ砂、オリビン砂、クロマイト砂、ジルコン砂、ムライト砂、その他、人工砂などを例示することができるものであり、これらを1種単独で用いる他、複数種を混合して用いることもできる。
本発明において、鋳型用粘結材料は上記のように耐火骨材と混合して使用するようにしてもよいが、耐火骨材の表面に鋳型用粘結材料を被覆して使用するようにしてもよい。耐火骨材の粒子の表面に鋳型用粘結材料を被覆して粘結剤層を形成することによって粘結剤コーテッド耐火物(いわゆるレジンコーテッドサンド)として使用することができるものである。鋳型用粘結材料からなる粘結剤層は、鋳型用粘結材料が保管・使用される雰囲気温度(例えば20〜40℃)において固形であることが好ましい。粘結剤層が固形であることによって、粘結剤コーテッド耐火物はさらさらした粒状となり、流動性が良好であって作業性が良くなるものである。
耐火骨材に被覆する鋳型用粘結材料の量は、鋳型用粘結材料の成分や鋳型の用途などに応じて異なり一概に規定できないが、耐火骨材100質量部に対して粘結剤層中の粘結剤が0.5〜6.0質量部の範囲になるように設定するのが一般的に好ましい。
粘結剤コーテッド耐火物の流動性を良くするために、粘結剤層に滑剤を含有させるようにしてもよい。滑剤としては、パラフィンワックスやカルナバワックス等の脂肪族炭化水素系滑剤、高級脂肪族系アルコール、エチレンビスステアリン酸アマイドやステアリン酸アマイド等の脂肪族アマイド系滑剤、金属石けん系滑剤、脂肪酸エステル系滑剤、複合滑剤などを用いることができるが、なかでも金属石けん系滑剤が好ましい。金属石けん系滑剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウムなどや、これらを複数種組み合わせたものを用いることができる。滑剤は耐火骨材100質量部に対して固形分で0.02〜0.15質量部の範囲で配合するのが一般的に好ましい。
耐火骨材の表面に鋳型用粘結材料からなる粘結剤層を形成するにあたっては、耐火骨材に粘結剤と炭化ケイ素の粉体とをそれぞれ配合し、これを混合する方法、予め粘結剤と炭化ケイ素の粉体を混合しておき、この混合物を耐火骨材に配合して混合する方法、耐火骨材と炭化ケイ素の粉体を混合した後、これに粘結剤を配合して混合する方法、耐火骨材と粘結剤を混合した後、これに炭化ケイ素の粉体を配合して混合する方法がある。いずれの方法でも、粘結剤と炭化ケイ素の粉体を含有する鋳型用粘結材料からなる粘結剤層を耐火骨材の表面に形成することができる。
まず、耐火骨材に粘結剤と炭化ケイ素の粉体とをそれぞれ配合し、これを混合して粘結剤コーテッドサンドを製造する方法について、代表的な方法を説明する。
粘結剤が熱硬化性樹脂である場合、熱硬化性樹脂が溶融する温度、例えば110〜180℃に加熱した耐火骨材に、固形の熱硬化性樹脂の粉粒体と炭化ケイ素の粉体をそれぞれ添加し、攪拌して混合する。耐火骨材による加熱で固形熱硬化性樹脂は溶融し、溶融した熱硬化性樹脂と炭化ケイ素粉体とが混合された状態で耐火骨材の表面を被覆することができる。そしてこの後に、攪拌混合を保持しながら冷却あるいは自然放冷させて熱硬化性樹脂を固化させることによって、熱硬化性樹脂と炭化ケイ素を含有する鋳型用粘結材料からなる固形の粘結剤層で耐火骨材を被覆した粘結剤コーテッド耐火物を得ることができる。
粘結剤が糖類や水溶性無機化合物である場合は、糖類や水溶性無機化合物の粉粒体を水に溶解乃至分散させた状態で使用する。そして耐火骨材にこの糖類や水溶性無機化合物の水溶液あるいは分散液と、炭化ケイ素の粉体をそれぞれ配合し、これを攪拌して混合する。このように攪拌すると、糖類や水溶性無機化合物の水溶液あるいは分散液が耐火骨材に混錬される際に炭化ケイ素の粉体も同時に練り合わされることになり、耐火骨材に糖類や水溶性無機化合物の水溶液あるいは分散液と炭化ケイ素の粉体とを均一に混合することができるものである。この後、この攪拌混合を保持しながら水を蒸発させることによって、糖類や水溶性無機化合物と炭化ケイ素を含有する鋳型用粘結材料からなる固形の粘結剤層で耐火骨材を被覆した粘結剤コーテッド耐火物を得ることができる。このとき、耐火骨材を予め上記と同様に加熱しておいて、これに糖類や水溶性無機化合物の水溶液あるいは分散液と、炭化ケイ素の粉体を配合して混合することによって、耐火骨材の熱で水を蒸発させることができるものである。また外部から加熱を行ないながら混合することによって、水を蒸発させるようにしてもよい。
次に、粘結剤と炭化ケイ素の粉体を混合し、この混合物を耐火骨材に配合して混合することによって、粘結剤コーテッド耐火物を製造する方法について、代表的な方法を説明する。
粘結剤が熱硬化性樹脂である場合、熱硬化性樹脂を加熱して溶融させ、この溶融して液状になった熱硬化性樹脂に炭化ケイ素の粉体を配合し、これを攪拌混錬する。次にこの熱硬化性樹脂と炭化ケイ素粉体の混錬物を冷却して固化させ、粉砕して粉粒状にする。そして熱硬化性樹脂が溶融する温度、例えば110〜180℃に加熱した耐火骨材に、熱硬化性樹脂と炭化ケイ素の粉体を含有する粉粒体を添加し、攪拌混合すると、耐火骨材による加熱で熱硬化性樹脂は溶融し、炭化ケイ素粉体が混入された状態で溶融した熱硬化性樹脂で耐火骨材の表面を被覆することができる。そしてこの後に、攪拌混合を保持しながら冷却あるいは自然放冷させて熱硬化性樹脂を固化させることによって、熱硬化性樹脂と炭化ケイ素を含有する鋳型用粘結材料からなる固形の粘結剤層で耐火骨材を被覆した粘結剤コーテッド耐火物を得ることができる。
結合剤が糖類や水溶性無機化合物である場合は、糖類や水溶性無機化合物の粉粒体を水に溶解乃至分散させた状態で使用する。そして糖類や水溶性無機化合物の水溶液あるいは分散液に炭化ケイ素の粉体を配合し、これを攪拌して混合することによって、糖類や水溶性無機化合物と炭化ケイ素との混合液を得る。次に耐火骨材にこの混合液を添加して攪拌混合する。この後、この攪拌混合を保持しながら水を蒸発させることによって、糖類や水溶性無機化合物と炭化ケイ素を含有する鋳型用粘結材料からなる固形の粘結剤層で耐火骨材を被覆した粘結剤コーテッド耐火物を得ることができる。このとき、耐火骨材を予め上記と同様に加熱しておいて、これに糖類や水溶性無機化合物と炭化ケイ素との混合液を配合して混合することによって、耐火骨材の熱で水を蒸発させることができるものである。また外部から加熱を行ないながら混合することによって、水を蒸発させるようにしてもよい。
尚、上記のように粘結剤と炭化ケイ素の粉体を混合した混合物を予め調製しておき、この混合物を耐火骨材に混合することによって粘結剤コーテッド耐火物を製造するにあたって、粘結剤と炭化ケイ素粉体の混合物と、炭化ケイ素粉体を含有しない粘結剤とを併用し、両者を炭化骨材に混合して粘結剤コーテッド耐火物を製造するようにしてもよい。この場合、粘結剤と炭化ケイ素の混合物を、一般に必要とされる炭化ケイ素の含有率よりも高めに設定しておき、併用する炭化ケイ素粉体を含有しない粘結剤の量を調整することによって、耐火骨材に被覆した粘結剤層に含有される炭化ケイ素の量を必要に応じた量に調整することが可能になる。従って、粘結剤と炭化ケイ素の混合物として、粘結剤と炭化ケイ素の比率が異なる多数種のものを予め用意してしておく必要がなくなるものである。
次に、耐火骨材と炭化ケイ素の粉体を混合した後、これに粘結剤を配合して混合することによって粘結剤コーテッド耐火物を製造する方法について、代表的な方法を説明する。
まず、耐火骨材の粒子と炭化ケイ素の粉体を攪拌して混合することによって、耐火骨材に炭化ケイ素の粉体を均一に分散させる。次に、粘結剤が熱硬化性樹脂である場合、熱硬化性樹脂が溶融する温度、例えば110〜180℃に耐火骨材と炭化ケイ素の混合物を加熱しておき、これに固形の熱硬化性樹脂の粉粒体をそれぞれ添加し、攪拌して混合する。耐火骨材による加熱で固形の熱硬化性樹脂は溶融し、耐火骨材に分散した炭化ケイ素粉体が溶融した熱硬化性樹脂と混合され、この状態で耐火骨材の表面を溶融した熱硬化性樹脂により被覆することができる。そしてこの後に、攪拌混合を保持しながら冷却して熱硬化性樹脂を固化させることによって、熱硬化性樹脂と炭化ケイ素を含有する鋳型用粘結材料からなる固形の粘結剤層で耐火骨材を被覆した粘結剤コーテッド耐火物を得ることができる。耐火骨材は炭化ケイ素粉体と混合する最初の段階で上記温度に加熱しておいてもよい。
結合剤が糖類や水溶性無機化合物である場合は、糖類や水溶性無機化合物を水に溶解乃至分散させた状態で使用する。そして上記の耐火骨材と炭化ケイ素の粉体の混合物に、この糖類や水溶性無機化合物の水溶液あるいは分散液を添加し、攪拌して混合する。このように攪拌混合することによって、耐火骨材に分散した炭化ケイ素粉体が糖類や水溶性無機化合物の水溶液あるいは分散液と混合され、この状態で耐火骨材の表面を炭化ケイ素粉体が糖類や水溶性無機化合物の水溶液あるいは分散液により被覆することができる。この後、この攪拌混合を保持しながら水を蒸発させることによって、糖類や水溶性無機化合物と炭化ケイ素を含有する鋳型用粘結材料からなる固形の粘結剤層で耐火骨材を被覆した粘結剤コーテッド耐火物を得ることができる。このとき、耐火骨材を予め上記と同様に加熱しておいて、これに糖類や水溶性無機化合物の水溶液あるいは分散液と、炭化ケイ素の粉体を配合して混合することによって、耐火骨材の熱で水を蒸発させることができるものである。また外部から加熱を行ないながら混合することによって、水を蒸発させるようにしてもよい。
次に、耐火骨材と粘結剤を混合した後、これに炭化ケイ素の粉体を配合して混合することによって、粘結剤コーテッド耐火物を製造する方法について、代表的な方法を説明する。
粘結剤が熱硬化性樹脂である場合、熱硬化性樹脂が溶融する温度、例えば110〜180℃に加熱した耐火骨材に、固形の熱硬化性樹脂の粉粒体を添加し、攪拌して混合する。耐火骨材による加熱で固形の熱硬化性樹脂は溶融し、溶融した熱硬化性樹脂を耐火骨材に均一に混合することができる。このように溶融した熱硬化性樹脂を耐火骨材に均一に混合した後、熱硬化性樹脂が溶融状態である間に炭化ケイ素の粉体を添加して、攪拌混合する。溶融した熱硬化性樹脂に炭化ケイ素粉体は均一に混合され、炭化ケイ素粉体が混入された状態で溶融した熱硬化性樹脂で耐火骨材の表面を被覆することができる。そしてこの後に、攪拌混合を保持しながら冷却あるいは自然放冷させて熱硬化性樹脂を固化させることによって、熱硬化性樹脂と炭化ケイ素を含有する鋳型用粘結材料からなる固形の粘結剤層で耐火骨材を被覆した粘結剤コーテッド耐火物を得ることができる。
結合剤が糖類や水溶性無機化合物である場合は、糖類や水溶性無機化合物を水に溶解乃至分散させた状態で使用する。そして耐火骨材にこの糖類や水溶性無機化合物の水溶液あるいは分散液を配合し、攪拌して混合することによって、糖類や水溶性無機化合物の水溶液あるいは分散液を耐火骨材に均一に混合することができる。このように糖類や水溶性無機化合物の水溶液あるいは分散液を耐火骨材に均一に混合した後、攪拌を保持しつつ、炭化ケイ素の粉体を添加して混合する。糖類や水溶性無機化合物の水溶液あるいは分散液に炭化ケイ素粉体は均一に混合され、炭化ケイ素粉体が混入された状態で糖類や水溶性無機化合物の水溶液あるいは分散液で耐火骨材の表面を被覆することができる。この後、この攪拌混合を保持しながら水を蒸発させることによって、糖類や水溶性無機化合物と炭化ケイ素を含有する鋳型用粘結材料からなる固形の粘結剤層で耐火骨材を被覆した粘結剤コーテッド耐火物を得ることができる。このとき、耐火骨材を予め上記と同様に加熱しておいて、これに糖類や水溶性無機化合物の水溶液あるいは分散液と、炭化ケイ素の粉体を配合して混合することによって、耐火骨材の熱で水を蒸発させることができるものである。また外部から加熱を行ないながら混合することによって、水を蒸発させるようにしてもよい。
上記の各方法では、糖類や水溶性無機化合物を水に溶解乃至分散させるようにしたが、糖類や水溶性無機化合物を水に溶解乃至分散させる溶剤としては、上記のように水が最も好ましいものの、アルコール等の有機溶剤などを使用することも可能である。また、上記の各方法は代表的な一例を挙げているに過ぎないものであり、本発明は上記の方法に制限されるものではない。
上記のようにして調製した粘結剤コーテッド耐火物を用いて、鋳型を製造することができる。例えば、粘結剤として熱硬化性樹脂を用いた粘結剤コーテッド耐火物の場合、加熱した成形型に粘結剤コーテッド耐火物を供給することによって鋳型を成形することができる。
成形型の加熱温度は、粘結剤の熱硬化性樹脂が溶融・硬化する温度以上に設定されるものである。例えば熱硬化性樹脂がフェノール樹脂である場合、フェノール樹脂の種類にもよるが、150℃以上の温度に成形型を加熱するのが望ましい。成形型のキャビティ内に粘結剤コーテッド耐火物を供給して充填することによって鋳型を成形する場合、キャビティ内の粘結剤コーテッド耐火物に伝熱して脱型できる強度に達するまでに時間を要するので、鋳型の大きさにもよるが、成形時間は20秒〜5分程度に設定するのがよい。
このように熱硬化性樹脂が溶融・硬化する温度以上の温度に加熱した成形型に粘結剤コーテッド耐火物を供給すると、粘結剤層中の熱硬化性樹脂が成形型の熱で溶融すると共に硬化する。従って、溶融した熱硬化性樹脂で耐火骨材を付着させることができるものであり、さらに硬化した熱硬化性樹脂で耐火骨材を結合することができるものであり、このようにして成形型内で鋳型を成形することができるものである。
尚、上記の例では、加熱した成形型のキャビティ内に粘結剤コーテッド耐火物を充填して鋳型を成形する場合を説明したが、加熱した成形型の表面に振りかけるように粘結剤コーテッド耐火物を供給し、成形型の表面で粘結剤コーテッド耐火物を加熱して鋳型を成形することもできる。
次に、粘結剤として糖類や水溶性無機化合物を用いた粘結剤コーテッド耐火物の場合について説明する。この場合は、まず成形型に粘結剤コーテッド耐火物を充填し、次に成形型内に水分を供給する。水分の供給は成形型に通水するなど任意の方法で行なうことができる。このように水分を供給すると粘結剤の糖類や水溶性無機化合物は水分を吸収して粘着性が生じ、耐火骨材をこの粘着力により粘結させることができる。
次に成形型内を乾燥して水分を除去すると、糖類や水溶性無機化合物は乾燥固化するので、この固化した糖類や水溶性無機化合物で耐火骨材を結合させることができ、鋳型を成形することができるものである。成形型内を乾燥させる方法は任意であり、例えば加熱した空気などの乾燥気体を成形型に通気して水分を蒸発させる方法や、成形型を加熱して水分を蒸発させる方法などがある。また後述するように、粘結剤コーテッド耐火物を充填した成形型内に水蒸気を通気することによって、水蒸気からの凝縮水で水分の供給を行なうことができると共に、このまま水蒸気の通気を継続することによって、水蒸気の凝縮潜熱と顕熱による加熱で成形型内を乾燥させることができるものである。
また本発明において、成形型内に粘結剤コーテッド耐火物を充填した後、成形型内に水蒸気を供給することによって、鋳型を成形することができるものであり、以下この方法について説明する。
図1は水蒸気を用いた鋳型の製造の一例を示すものであり、図1(a)のように、成形型1の内部にはキャビティ3が設けてあって、成形型1の上面に注入口4が、成形型1の下面に排気口6がそれぞれ形成してある。排気口6は粘結剤コーテッド耐火物2が通過できない小さい口径に形成するか、あるいは金網等の網5で塞いで、粘結剤コーテッド耐火物2が排気口6から洩れ出ないようにしてある。この成形型1は縦割りあるいは横割に割ることができるようになっている。また粘結剤コーテッド耐火物2はホッパー7内に貯蔵してあり、ホッパー7にはコック8付きの空気供給管9が接続してある。
そしてホッパー7の下端のノズル口7aを型1の注入口4に合致させた後、コック8を閉から開に切り代えることによって、ホッパー7内に空気を吹き込んで加圧し、ホッパー7内の粘結剤コーテッド耐火物2を成形型1内に吹き込んで、成形型1のキャビティ3内に粘結剤コーテッド耐火物2を充填する。注入口4や排気口6を図1の実施の形態のように型1に複数設ける場合、複数の注入口4のうち一箇所あるいは複数箇所から粘結剤コーテッド耐火物2を入れるようにすればよい。
ここで粘結剤コーテッド耐火物2において、耐火骨材に被覆された粘結剤層は固形であり、粘結剤コーテッド耐火物2は表面に粘着性を有することがなく、流動性が良好である。従って上記のように成形型1に粘結剤コーテッド耐火物2を充填するにあたって、成形型1のキャビティ3内へスムーズに粘結剤コーテッド耐火物2を流し込むことができ、充填性良く成形型1内に粘結剤コーテッド耐火物2を充填することができるものであり、充填不良が発生することを防ぐことができるものである。
上記のように成形型1内に粘結剤コーテッド耐火物2を充填した後、成形型1の注入口4からホッパー7を外すと共に、図1(b)のように各注入口4に給気パイプ10を接続し、給気パイプ10のコック11を開いて水蒸気を成形型1のキャビティ3内に吹き込んで、成形型1に水蒸気を通す。
ここで、水蒸気としては飽和水蒸気をそのまま用いることができるが、本発明では過熱水蒸気を用いるのが好ましい。過熱水蒸気は、飽和水蒸気をさらに加熱して、沸点以上の温度とした完全気体状態の水蒸気であり、100℃以上の乾き蒸気である。飽和水蒸気を加熱して得られる過熱水蒸気は、圧力を上げないで定圧膨張させたものであってもよく、あるいは膨張させないで圧力を上げた加圧水蒸気であってもよい。成形型1内に吹き込む過熱水蒸気の温度は特に限定されるものではなく、過熱水蒸気は900℃程度にまで温度を高めることができるので、100〜900℃の間で必要に応じた温度に設定すればよい。
そしてこのように成形型1内に水蒸気を吹き込んで通すと、粘結剤コーテッド耐火物2の表面に水蒸気が接触することによって、水蒸気は潜熱が粘結剤コーテッド耐火物2に奪われて凝縮するが、水蒸気は高い潜熱と顕熱を有するので、水蒸気が凝縮する際に伝熱されるこの潜熱と顕熱で粘結剤コーテッド耐火物2の温度は100℃付近にまで急速に上昇する。このように水蒸気の潜熱と顕熱の伝熱によって粘結剤コーテッド耐火物2が100℃付近にまで加熱される時間は、水蒸気の温度や成形型1内への吹き込み流量、成形型1内の粘結剤コーテッド耐火物2の充填量などで変動するが、通常、3〜30秒程度の短時間である。成形型1内に注入口4から吹き込まれた水蒸気は、成形型1内の粘結剤コーテッド耐火物2を加熱した後、排気口6から排出される。
上記のように成形型1内に吹き込んだ水蒸気の凝縮潜熱と顕熱で粘結剤コーテッド耐火物2の温度を急速に上昇させることができるものであり、水蒸気の凝縮で成形型1内に生成される凝縮水は、その後に成形型1内に吹き込まれる水蒸気による加熱で蒸発されることにより、成形型1内の温度は水蒸気の温度付近にまで急速に上昇し、この温度で粘結剤コーテッド耐火物2を加熱することができるものである。
そして粘結剤コーテッド耐火物2の粘結剤が熱硬化性樹脂である場合、成形型1内に充填した粘結剤コーテッド耐火物2を水蒸気の凝縮潜熱と顕熱で加熱して、熱硬化性樹脂の硬化温度以上の温度に上昇させることによって、熱硬化性樹脂を溶融・硬化させることができるものであり、耐火骨材を硬化した熱硬化性樹脂で結合した状態で鋳型を成形することができるものである。
このように、成形型1に水蒸気を供給して粘結剤コーテッド耐火物2の加熱を行なうことによって、水蒸気の高い凝縮潜熱と顕熱で粘結剤コーテッド耐火物2を瞬時に加熱して、粘結剤層の熱硬化性樹脂を硬化させることができ、成形型1を予め高温に加熱しておくような必要なく、短時間で鋳型を製造することができるものであり、鋳型の生産性を向上することができるものである。また加熱の際に仮に粘結剤の熱硬化性樹脂から有毒ガスが発生しても水蒸気の凝縮水に吸収させることができ、環境が汚染されることを低減することができるものである。
また粘結剤コーテッド耐火物2の粘結剤が糖類や水溶性無機化合物の場合、成形型1内に水蒸気を吹き込み始める際に、上記のように水蒸気が粘結剤コーテッド耐火物2に接触することで熱を奪われて凝縮水が生成されるので、粘結剤コーテッド耐火物2の粘結剤に凝縮水が作用する。そして粘結剤コーテッド耐火物2の固形状態の粘結剤層中の糖類や水溶性無機化合物に凝縮水が作用すると、粘結剤が糖類であるときは、この凝縮水を吸収して膨潤あるいは溶解して糊化し、また粘結剤が水溶性無機化合物であるときは、この凝縮水に溶解して液状になって糊化し、糖類や水溶性無機化合物からなる粘結剤はいずれも糊状になって粘着性が生じる。このように粘結剤に粘着性が生じることによって、成形型1内に充填された粘結剤コーテッド耐火物2の耐火骨材はこの粘結剤の粘着性で結合されるものである。次いで、引き続いて成形型1内に吹き込まれる水蒸気の凝縮潜熱と顕熱で粘結剤コーテッド耐火物2が加熱され、粘結剤に作用した水分が蒸発して乾燥するものであり、糖類や水溶性無機化合物からなる粘結剤を乾燥固化させることができ、耐火骨材をこの固化した粘結剤によって結合させて、鋳型を成形することができるものである。
このように粘結剤コーテッド耐火物2の粘結剤層中の粘結剤を水蒸気で加熱して鋳型を製造するにあたって、粘結剤として含有されている糖類や水溶性無機化合物は、加熱されて固化するときに有害なガスを多量に発生するようなことはないものであり、環境を汚染するようなことなく鋳型を製造することができるものである。
上記のようにして、粘結剤コーテッド耐火物2を充填した成形型1内に水蒸気を通して、水蒸気の凝縮潜熱と顕熱で粘結剤コーテッド耐火物2を加熱して固化乃至硬化させ、鋳型を製造するにあたって、成形型1内に生成される凝縮水は、上記のように後から吹き込まれる水蒸気によって加熱されて気化され、排気口6から排出されるが、成形型1のキャビティ3の形状などによっては、凝縮水の気化が十分にされずに、凝縮水の一部が成形型1内に残留することがある。このように成形型1内に凝縮水が残留していると、成形型1から脱型した鋳型内にこの残留凝縮水が水分として浸透した状態で含有されることになる。そして鋳型に水分が含有されていると、この鋳型を用いて鋳造を行なう際に、高温の溶湯を鋳型に注湯すると、鋳型に含まれる水分が溶湯の高温で加熱されて急速に気化し、鋳型が爆裂するなどの極めて危険な事故が起こるおそれがある。
そこでこの場合には、上記のように粘結剤コーテッド耐火物2を充填した成形型1内に水蒸気を通して、粘結剤コーテッド耐火物2を加熱して鋳型を成形した後、水蒸気の供給を停止し、この水蒸気の替りに乾燥気体を成形型1内に通すようにするのがよい。乾燥気体は成形型1内に注入口4から供給されるものであり、このように成形型1内に供給された乾燥空気は成形型1内で成形された鋳型の粘結剤コーテッド耐火物2の粒子間を通過し、排気口6から排出される。従って成形型1内で成形された鋳型内に残留凝縮水が水分として残っているときには、この水分は乾燥気体中に気化し、乾燥気体と共に排気口6から排出されるものであり、鋳型を乾燥させることができるものである。
ここで、本発明において乾燥気体とは、気体中の水分含有量(率)が成形型1に供給される蒸気の水分含有量(率)より低い乾いた気体という意味であり、乾燥処理をした気体という意味ではなく、水分含有量(率)が低ければ乾燥処理を行なうような必要はない。乾燥気体の水分含有量は特に限定されるものではないが、水分含有量は200g/m以下であることが好ましく、より好ましくは100g/m以下であり、特に好ましくは50g/m以下である。このような水分含有量が低い乾燥気体を成形型1に供給することによって、鋳型の乾燥を効率良く行なうことができるものである。また乾燥気体は加熱して使用する必要はない。乾燥気体を加熱して使用すると、加熱するための設備やエネルギーコストが必要となるので好ましくないものであり、このため本発明では、乾燥気体を加熱も冷却もしないそのままの温度で、すなわち上記した鋳型を製造する工程の雰囲気温度、例えば鋳型の製造設備を設置した工場内の雰囲気温度のまま、乾燥気体を使用するようにしている。この雰囲気温度は、季節や時刻などによって異なるが、通常、0℃から50℃程度の範囲である。
また、乾燥気体の種類は、特に限定されるものではなく、空気や、窒素等の不活性気体などを用いることができる。なかでも、大気中の空気はコストを要することなくそのまま用いることができるので、好ましい。
上記のように成形型1への水蒸気の供給を停止した後、成形型1内に乾燥気体を通して鋳型の乾燥を行なうにあたって、成形型1内に乾燥気体を通す時間は、鋳型の大きさや乾燥気体の供給量などに応じて変動するものであって特に限定されるものではないが、通常、10〜90秒程度である。乾燥気体を通す時間が10秒未満であると、成形型1内の鋳
型の乾燥が不十分になるおそれがある。逆に乾燥気体を通す時間が90秒を超える場合、乾燥品質が過剰になるばかりでなく、成形型1への粘結剤コーテッド耐火物2の充填から、鋳型を脱型するまでの成形サイクルが長くなり、生産性に問題が生じるおそれがある。
成形型1への水蒸気の供給を停止した後に、成形型1内に乾燥気体を通すにあたっては、水蒸気供給用の給気パイプ10のコック11を閉じた後に、成形型1の注入口4に図1(b)のように接続したこの給気パイプ10を外し、図1(c)に示すように、乾燥気体供給用の給気パイプ13を成形型1の注入口4に接続し、給気パイプ13のコック14を開いて、給気パイプ13から成形型1内に乾燥気体を供給することによって、行なうことができる。このとき、乾燥気体として大気中の空気を用いる場合、コンプレッサーや給気ファンなどの送風機器を給気パイプ13に接続し、鋳型製造工程の雰囲気の空気をそのまま送風機器から給気パイプ13を通して成形型1に吹き込むことができる。
上記のように、粘結剤コーテッド耐火物2の粘結剤層中の粘結剤で耐火骨材を結合することによって、鋳型を製造するにあたって、粘結剤層中には粘結剤の他に炭化ケイ素の粉体が含有されているので、鋳型の表面にはこの炭化ケイ素の粉体が露出した状態で存在することになる。
そして上記のように製造した鋳型に高温の溶融金属である溶湯を注湯して鋳込むことによって、鋳造を行なうことができるものである。このとき、粘結剤がフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂である場合、熱硬化性樹脂は耐火骨材の結合強度が高く、耐熱性も高いので、比較的高温の金属を用いた鋳造が可能になるものである。また粘結剤が糖類や水溶性無機化合物である場合、糖類は比較的低温で熱分解するので、溶湯の熱で容易に熱分解するものであり、また糖類や水溶性無機化合物は水に容易に溶けるので、鋳造を行なった後に鋳型を水に浸漬したりすることによって、糖類や水溶性無機化合物による結合力はなくなる。従って、鋳型を容易に崩壊させることができるものであり、鋳物を鋳型から取り出すために、鋳型に衝撃を加えたり、高温で長時間加熱して粘結剤を分解させたりするような必要がなくなり、鋳造物を鋳型から脱型する作業を容易に行なうことができるものである。
ここで、炭化ケイ素は溶融金属である溶湯との濡れが悪いという現象は本発明者により見出しされたものであるが、上記のように鋳型の表面には炭化ケイ素の粉体が露出した状態で存在している。このため、鋳型に溶湯を流し込んで鋳造を行なう際に、溶湯は炭化ケイ素の粉体ではじかれて耐火骨材の粒子間に侵入し難くなり、溶湯が耐火骨材の粒子間に侵入する差し込みを低減することができる。従って、鋳造の際に溶湯の差し込みにより発生する焼き付きを防止することができるものである。この結果、焼き付きの発生を防ぐために鋳型の表面に塗型剤を塗布するような必要がなくなり、塗型剤レスで鋳造を行なうことが可能になるものである。
尚、上記のように炭化ケイ素を含有する粘結剤層を被覆した粘結剤コーテッド耐火物を用いて鋳型を製造するにあたって、炭化ケイ素を含有する粘結剤層を被覆した粘結剤コーテッド耐火物に、炭化ケイ素を含有しない粘結剤層を被覆した粘結剤コーテッド耐火物とを混合して併用するようにしてもよい。この場合、炭化ケイ素を含有する粘結剤層の炭化ケイ素含有率を高く設定しておき、併用する炭化ケイ素を含有しない粘結剤層を被覆した粘結剤コーテッド耐火物の混合量を調整することによって、要求される焼き付き防止効果に合わせて炭化ケイ素の量を現場で調節することが可能になるものである。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
135℃に加熱したACIけい砂10kgをワールミキサーに仕込み、これに表1に示すフェノール樹脂と炭化ケイ素の粉体を表1に示す量で加えた。これを30秒間混錬した後、30gのヘキサメチレンテトラミンを450gの水に溶解乃至分散させた液を必要に応じて添加し、砂粒の塊が崩壊するまで混錬した。次いで、滑剤としてステアリン酸カルシウム10gを加えて30秒間混錬した後、ワールミキサーから払い出し、エアレーションして冷却することによって、けい砂に対して2.0質量%のフェノール樹脂と、表1に示す量の炭化ケイ素粉体を含有する固形の粘結剤層でけい砂の表面が被覆された粘結剤コーテッド耐火物(実施例1−1〜1−5)を得た。
(比較例1)
炭化ケイ素を用いないようにした他は、実施例1と同様にして粘結剤コーテッド耐火物を得た。
上記のように調製した実施例1や比較例1の粘結剤コーテッド耐火物の粘結剤層の融着点をJACT試験法C−1「融着点試験法」に準拠して測定した。結果を表1に示す。
また実施例1や比較例1の粘結剤コーテッド耐火物を用い、鋳型の造型を想定して試験片を成形した。すなわち、幅10mm×長さ70mm×厚さ10mmの試験片を成形できる成形金型を240℃±5℃に加熱し、この成形金型に実施例1や比較例1の粘結剤コーテッド耐火物をゲージ圧0.1MPaの空気圧で吹き込んで充填し、60秒後に脱型することによって、鋳型を想定した試験片を成形した。
この試験片の曲げ強さをJACT試験法SM−1に準拠して測定した。結果を表1に示す。
Figure 2018086661
表1にみられるように、粘結剤層の融着点は、実施例1と比較例1において殆ど差はみられなかった。また曲げ強さについては、実施例1のものは比較例1よりもやや低いものの有意な差はみられず、粘結剤コーテッド耐火物の粘結剤層に炭化ケイ素を含有することによって、鋳型としての強度に問題が生じないことが確認された。
また図2に示す形状で寸法が直径109mm、高さ74mmの鋳型を成形するキャビティを有する成形金型を用い、上記と同様にして実施例1や比較例1の粘結剤コーテッド耐火物を成形することによって、鋳込み試験に供するための鋳型(中子)を造型した。そしてこの鋳型を200℃に設定した乾燥機に入れて60分間熱処理した後、鋳込み試験に供した。鋳込み試験については後述する。
(実施例2)
予め125℃に加熱したACIけい砂10kgをワールミキサーに仕込み、水150gにデキストリン200gとその硬化剤のクエン酸30gを分散乃至溶解させた液を加え、さらに炭化ケイ素粉体を表2に示す量で加え、混錬した。砂粒の塊が崩壊するまで混錬した後、滑剤としてステアリン酸カルシウム10gを加えて30秒間混錬し、これをワールミキサーから払い出した。これをエアレーションして冷却することによって、けい砂に対して2.0質量%のデキストリンと、表4に示す量の炭化ケイ素粉体を含有する固形の粘結剤層でけい砂の表面が被覆された粘結剤コーテッド耐火物(実施例2−1〜2−4)を得た。
(比較例2)
炭化ケイ素を用いないようにした他は、実施例2と同様にして粘結剤コーテッド耐火物を得た。
上記のように調製した実施例2や比較例2の粘結剤コーテッド耐火物を用い、鋳型の造型を想定して試験片を成形した。すなわち、キャビティの大きさが20mm×10mm×80mmの成形金型を120℃に予熱して用い、実施例2や比較例2の粘結剤コーテッド耐火物をゲージ圧力0.1MPaの空気圧で成形金型内に吹き込んで充填した。次に成形金型に蒸気パイプを接続し、ボイラーで発生させたゲージ圧力0.4MPa、温度143℃の飽和水蒸気を過熱蒸気発生装置(野村技工(株)製「GE−100」)で加熱して調製される、350℃、ゲージ圧力0.45MPaの過熱水蒸気を60kg/hの流量で供給し、成形金型内に過熱水蒸気を60秒間通気した。この後に脱型することによって、鋳型を想定した試験片を得た。
このように成形して得た試験片の曲げ強さをJIS K 6910に準拠して測定した。また、別の試験片を、予め250℃に設定した加熱乾燥機に入れて60分間熱処理をした、冷却した後に曲げ強さをJIS K 6910に準拠して測定した。これらの結果を表2に示す。
Figure 2018086661
表2にみられるように、実施例2のものは比較例2のものより曲げ強さが大きく低下することはなく、粘結剤コーテッド耐火物の粘結剤層に炭化ケイ素を含有することによって、鋳型としての強度に問題が生じないことが確認された。
また図2に示す形状で寸法が直径109mm、高さ74mmの鋳型を成形するキャビティを有する成形金型を用い、上記と同様にして実施例2や比較例2の粘結剤コーテッド耐火物を成形することによって、鋳込み試験に供するための鋳型(中子)を造型した。そしてこの鋳型を200℃に設定した乾燥機に入れて60分間熱処理した後、鋳込み試験に供した。鋳込み試験については後述する。
(実施例3)
140℃に加熱したACIけい砂10kgをワールミキサーに仕込み、これに表3に示す種類と量の水溶性無機化合物を水150gに溶解した溶液と、200gの炭化ケイ素粉体とを加え、これを90秒間混錬した。砂粒が崩壊した後、滑剤としてステアリン酸カルシウム10gを加えて15秒間混錬し、次にこれをワールミキサーから払い出し、エアレーションして冷却することによって、けい砂に対して4.0質量%の水溶性無機化合物と、2.0質量%の炭化ケイ素粉体を含有する固形の粘結剤層でけい砂の表面が被覆された粘結剤コーテッド耐火物(実施例3−1〜3−4)を得た。
ここで、水ガラスとしては、富士化学株式会社製珪酸ソーダ1号(固形分50質量%)を、塩化ナトリウムとしては、海水から製塩した塩化ナトリウム含有量98.3質量%の市販の食塩を、リン酸二ナトリウムとしてはキシダ化学株式会社製試薬を、それぞれ使用した。
(比較例3)
表3に示す水溶性無機化合物を表3に示す量で用い、炭化ケイ素を用いないようにした他は、実施例3と同様にして粘結剤コーテッド耐火物(比較例3−1〜3−3)を得た。
上記のように調製した実施例3や比較例3の粘結剤コーテッド耐火物を用い、鋳型の造型を想定して試験片を成形した。すなわち、キャビティの大きさが20mm×10mm×80mmの成形金型を120℃に予熱して用い、実施例3や比較例3の粘結剤コーテッド耐火物をゲージ圧力0.1MPaの空気圧で成形金型内に吹き込んで充填した。次に成形金型に蒸気パイプを接続し、ボイラーで発生させたゲージ圧力0.4MPa、温度143℃の飽和水蒸気を過熱蒸気発生装置(野村技工(株)製「GE−100」)で加熱して調製される、350℃、ゲージ圧力0.45MPaの過熱水蒸気を60kg/hの流量で供給し、成形金型内に過熱水蒸気を50秒間通気した。この後に脱型することによって、鋳型を想定した試験片を得た。
このように成形して得た試験片について、成形型から脱型した直後の臭いを嗅いだところ、異臭は感じられなかった。またこの試験片の曲げ強さをJIS K 6910に準拠して測定した。結果を表3に示す。
Figure 2018086661
表3にみられるように、水溶性無機化合物が対応する実施例3と比較例3を比較すると、表3にみられるように、実施例3のものは比較例3のものより曲げ強さが大きく低下することはなく、粘結剤コーテッド耐火物の粘結剤層に炭化ケイ素を含有することによって、鋳型としての強度に問題が生じないことが確認された。
また図2に示す形状で寸法が直径109mm、高さ74mmの鋳型を成形するキャビティを有する成形金型を用い、上記と同様にして実施例3や比較例3の粘結剤コーテッド耐火物を成形することによって、鋳込み試験に供するための鋳型(中子)を造型した。そしてこの鋳型を200℃に設定した乾燥機に入れて60分間熱処理した後、鋳込み試験に供した。鋳込み試験については後述する。
(実施例4)
攪拌機を有する四ツ口フラスコにノボラック型フェノール樹脂(リグナイト株式会社製「#4800」)を仕込み、マントルヒーターで加熱しつつ攪拌して溶融させ、攪拌を継続して内温が160℃になった時点で表4の配合量となるように炭化ケイ素粉体を少しずつ添加した。さらに30分間攪拌混合した後、四ツ口フラスコから払い出して冷却することによって固化させた。これを粗砕機で0.1〜5mmの粒径に粉砕することによって、ノボラック型フェノール樹脂と炭化ケイ素粉体を含有する粘結剤粒体1〜3を得た。
上記のようにして得た粘結剤粒体1〜3について、JIS K 6910に準拠して軟化点を測定した。結果を表4に示す。
Figure 2018086661
ノボラック型フェノール樹脂「#4800」の軟化点は94.5℃であり、粘結剤粒体1〜3の軟化点はノボラック型フェノール樹脂の軟化点とさほど大きな差異がないことが確認された。
135℃に加熱したACIけい砂10kgをワールミキサーに仕込み、これに上記の粒体1〜3を表5に示す量で加えた。これを30秒間混錬し、さらに砂粒の塊が崩壊するまで混錬した。次いで、滑剤としてステアリン酸カルシウム10gを加えて30秒間混錬した後、ワールミキサーから払い出し、エアレーションして冷却することによって、けい砂に対して2.0質量%のフェノール樹脂と、表5に示す量の炭化ケイ素粉体を含有する固形の粘結剤層でけい砂の表面が被覆された粘結剤コーテッド耐火物(実施例4−1〜4−4)を得た。
(比較例4)
炭化ケイ素を用いず、ノボラック型フェノール樹脂をそのまま用いるようにした他は、実施例4と同様にして粘結剤コーテッド耐火物を得た。
上記のように調製した実施例4や比較例4の粘結剤コーテッド耐火物を用い、鋳型の造型を想定して試験片を成形した。すなわち、幅10mm×長さ70mm×厚さ10mmの試験片を成形できる成形金型を240℃±5℃に加熱し、この成形金型に実施例1や比較例1の粘結剤コーテッド耐火物をゲージ圧0.1MPaの空気圧で吹き込んで充填し、60秒後に脱型することによって、鋳型を想定した試験片を成形した。
このように成形して得た試験片の質量を測定し、質量と容積からかさ比重を算出した。また曲げ強さをJIS K 6910に準拠して測定した。これらの結果を表5に示す。
Figure 2018086661
表5にみられるように、実施例4のものは比較例4のものより曲げ強さが大きく低下することはなく、粘結剤コーテッド耐火物の粘結剤層に炭化ケイ素を含有することによって、鋳型としての強度に問題が生じないことが確認された。
また図2に示す形状で寸法が直径109mm、高さ74mmの鋳型を成形するキャビティを有する成形金型を用い、上記と同様にして実施例4や比較例4の粘結剤コーテッド耐火物を成形することによって、鋳込み試験に供するための鋳型(中子)を造型した。そしてこの鋳型を200℃に設定した乾燥機に入れて60分間熱処理した後、鋳込み試験に供した。鋳込み試験については後述する。
(実施例5)
水150gにデキストリン200gとその硬化剤のクエン酸30gを加え、さらに炭化ケイ素粉体を表6の量で加え、これを攪拌して分散乃至溶解させることによって、デキストリンと炭化ケイ素の混合液を調製した。そして、予め125℃に加熱したACIけい砂10kgをワールミキサーに仕込み、この混合液を加えて混錬し、砂粒の塊が崩壊するまで混錬した。次に滑剤としてステアリン酸カルシウム10gを加えて30秒間混錬した後に、これをワールミキサーから払い出し、エアレーションして冷却することによって、けい砂に対して2.0質量%のデキストリンと、表6に示す量の炭化ケイ素粉体を含有する固形の粘結剤層でけい砂の表面が被覆された粘結剤コーテッド耐火物(実施例5−1〜5−4)を得た。
(比較例5)
炭化ケイ素を用いないようにした他は、実施例5と同様にして粘結剤コーテッド耐火物を得た。
上記のように調製した実施例5や比較例5の粘結剤コーテッド耐火物を用い、鋳型の造型を想定して試験片を成形した。すなわち、キャビティの大きさが20mm×10mm×80mmの成形金型を120℃に予熱して用い、実施例5や比較例5の粘結剤コーテッド耐火物をゲージ圧力0.1MPaの空気圧で成形金型内に吹き込んで充填した。次に成形金型に蒸気パイプを接続し、ボイラーで発生させたゲージ圧力0.4MPa、温度143℃の飽和水蒸気を過熱蒸気発生装置(野村技工(株)製「GE−100」)で加熱して調製される、350℃、ゲージ圧力0.45MPaの過熱水蒸気を60kg/hの流量で供給し、成形金型内に過熱水蒸気を60秒間通気した。この後に脱型することによって、鋳型を想定した試験片を得た。
このように成形して得た試験片の曲げ強さをJIS K 6910に準拠して測定した。また、別の試験片を、予め250℃に設定した加熱乾燥機に入れて60分間熱処理をした、冷却した後に曲げ強さをJIS K 6910に準拠して測定した。これらの結果を表6に示す。
Figure 2018086661
表6にみられるように、実施例5のものは比較例5のものより曲げ強さが大きく低下することはなく、粘結剤コーテッド耐火物の粘結剤層に炭化ケイ素を含有することによって、鋳型としての強度に問題が生じないことが確認された。
また図2に示す形状で寸法が直径109mm、高さ74mmの鋳型を成形するキャビティを有する成形金型を用い、上記と同様にして実施例5や比較例5の粘結剤コーテッド耐火物を成形することによって、鋳込み試験に供するための鋳型(中子)を造型した。そしてこの鋳型を200℃に設定した乾燥機に入れて60分間熱処理した後、鋳込み試験に供した。鋳込み試験については後述する。
(実施例6)
表7に示す種類と量の水溶性無機化合物と200gの炭化ケイ素粉体を水150gに加えて攪拌することによって、これらを溶解乃至分散させた混合液を得た。そして140℃に加熱したACIけい砂10kgをワールミキサーに仕込み、これにこの混合液を加えて90秒間混錬した。砂粒が崩壊した後、滑剤としてステアリン酸カルシウム10gを加えて15秒間混錬し、次にこれをワールミキサーから払い出し、エアレーションして冷却することによって、けい砂に対して4.0質量%の水溶性無機化合物と、2.0質量%の炭化ケイ素粉体を含有する固形の粘結剤層でけい砂の表面が被覆された粘結剤コーテッド耐火物(実施例6−1〜6−4)を得た。
(比較例6)
表7に示す水溶性無機化合物を表7に示す量で用い、炭化ケイ素を用いないようにした他は、実施例6と同様にして粘結剤コーテッド耐火物(比較例6−1〜6−3)を得た。
上記のように調製した実施例6や比較例6の粘結剤コーテッド耐火物を用い、鋳型の造型を想定して試験片を成形した。すなわち、キャビティの大きさが20mm×10mm×80mmの成形金型を120℃に予熱して用い、実施例6や比較例6の粘結剤コーテッド耐火物をゲージ圧力0.1MPaの空気圧で成形金型内に吹き込んで充填した。次に成形金型に蒸気パイプを接続し、ボイラーで発生させたゲージ圧力0.4MPa、温度143℃の飽和水蒸気を過熱蒸気発生装置(野村技工(株)製「GE−100」)で加熱して調製される、350℃、ゲージ圧力0.45MPaの過熱水蒸気を60kg/hの流量で供給し、成形金型内に過熱水蒸気を50秒間通気した。この後に脱型することによって、鋳型を想定した試験片を得た。
このように成形して得た試験片について、成形型から脱型した直後の臭いを嗅いだところ、異臭は感じられなかった。またこの試験片の曲げ強さをJIS K 6910に準拠して測定した。結果を表7に示す。
Figure 2018086661
表7にみられるように、水溶性無機化合物が対応する実施例6と比較例6を比較すると、表7にみられるように、実施例6のものは比較例6のものより曲げ強さが大きく低下することはなく、粘結剤コーテッド耐火物の粘結剤層に炭化ケイ素を含有することによって、鋳型としての強度に問題が生じないことが確認された。
また図2に示す形状で寸法が直径109mm、高さ74mmの鋳型を成形するキャビティを有する成形金型を用い、上記と同様にして実施例6や比較例6の粘結剤コーテッド耐火物を成形することによって、鋳込み試験に供するための鋳型(中子)を造型した。そしてこの鋳型を200℃に設定した乾燥機に入れて60分間熱処理した後、鋳込み試験に供した。鋳込み試験については後述する。
(実施例7)
135℃に加熱したACIけい砂10kgをワールミキサーに仕込み、これに炭化ケイ素の粉体を表8に示す量で加え、30秒間攪拌した。次に表8に示すフェノール樹脂を表8に示す量で加えると共に、30gのヘキサメチレンテトラミンを450gの水に溶解乃至分散させた液を必要に応じて添加し、砂粒の塊が崩壊するまで混錬した。次いで、滑剤としてステアリン酸カルシウム10gを加えて30秒間混錬した後、ワールミキサーから払い出し、エアレーションして冷却することによって、けい砂に対して2.0質量%のフェノール樹脂と、表1に示す量の炭化ケイ素粉体を含有する固形の粘結剤層でけい砂の表面が被覆された粘結剤コーテッド耐火物(実施例7−1〜7−5)を得た。
(比較例7)
炭化ケイ素を用いないようにした他は、実施例7と同様にして粘結剤コーテッド耐火物を得た。
上記のように調製した実施例7や比較例7の粘結剤コーテッド耐火物を用い、鋳型の造型を想定して試験片を成形した。すなわち、キャビティの大きさが20mm×10mm×80mmの成形金型を120℃に予熱して用い、実施例7や比較例7の粘結剤コーテッド耐火物をゲージ圧力0.1MPaの空気圧で成形金型内に吹き込んで充填した。次に成形金型に蒸気パイプを接続し、ボイラーで発生させたゲージ圧力0.4MPa、温度143℃の飽和水蒸気を過熱蒸気発生装置(野村技工(株)製「GE−100」)で加熱して調製される、350℃、ゲージ圧力0.45MPaの過熱水蒸気を60kg/hの流量で供給し、成形金型内に過熱水蒸気を50秒間通気した。この後に脱型することによって、鋳型を想定した試験片を得た。
この試験片の曲げ強さをJACT試験法SM−1に準拠して測定した。結果を表8に示す。
Figure 2018086661
表8にみられるように、実施例7の曲げ強さは比較例7よりもやや低いものの有意な差はみられず、粘結剤コーテッド耐火物の粘結剤層に炭化ケイ素を含有することによって、鋳型としての強度に問題が生じないことが確認された。
また図2に示す形状で寸法が直径109mm、高さ74mmの鋳型を成形するキャビティを有する成形金型を用い、上記と同様にして実施例7や比較例7の粘結剤コーテッド耐火物を成形することによって、鋳込み試験に供するための鋳型(中子)を造型した。そしてこの鋳型を200℃に設定した乾燥機に入れて60分間熱処理した後、鋳込み試験に供した。鋳込み試験については後述する。
(実施例8)
予め125℃に加熱したACIけい砂10kgをワールミキサーに仕込み、さらに炭化ケイ素の粉体を表9に示す量で加え、30秒間攪拌した。次にこれに、水150gにデキストリン200gとその硬化剤のクエン酸30gを加えて分散乃至溶解させた液を加えて混錬し、砂粒の塊が崩壊するまで混錬した。次に滑剤としてステアリン酸カルシウム10gを加えて30秒間混錬した後に、これをワールミキサーから払い出し、エアレーションして冷却することによって、けい砂に対して2.0質量%のデキストリンと、表9に示す量の炭化ケイ素粉体を含有する固形の粘結剤層でけい砂の表面が被覆された粘結剤コーテッド耐火物(実施例8−1〜8−4)を得た。
(比較例8)
炭化ケイ素を用いないようにした他は、実施例8と同様にして粘結剤コーテッド耐火物を得た。
上記のように調製した実施例8や比較例8の粘結剤コーテッド耐火物を用い、鋳型の造型を想定して試験片を成形した。すなわち、キャビティの大きさが20mm×10mm×80mmの成形金型を120℃に予熱して用い、実施例8や比較例8の粘結剤コーテッド耐火物をゲージ圧力0.1MPaの空気圧で成形金型内に吹き込んで充填した。次に成形金型に蒸気パイプを接続し、ボイラーで発生させたゲージ圧力0.4MPa、温度143℃の飽和水蒸気を過熱蒸気発生装置(野村技工(株)製「GE−100」)で加熱して調製される、350℃、ゲージ圧力0.45MPaの過熱水蒸気を60kg/hの流量で供給し、成形金型内に過熱水蒸気を60秒間通気した。この後に脱型することによって、鋳型を想定した試験片を得た。
このように成形して得た試験片の曲げ強さをJIS K 6910に準拠して測定した。結果を表9に示す。
Figure 2018086661
表9にみられるように、実施例8のものは比較例8のものより曲げ強さが大きく低下することはなく、粘結剤コーテッド耐火物の粘結剤層に炭化ケイ素を含有することによって、鋳型としての強度に問題が生じないことが確認された。
また図2に示す形状で寸法が直径109mm、高さ74mmの鋳型を成形するキャビティを有する成形金型を用い、上記と同様にして実施例8や比較例8の粘結剤コーテッド耐火物を成形することによって、鋳込み試験に供するための鋳型(中子)を造型した。そしてこの鋳型を200℃に設定した乾燥機に入れて60分間熱処理した後、鋳込み試験に供した。鋳込み試験については後述する。
(実施例9)
140℃に加熱したACIけい砂10kgをワールミキサーに仕込み、さらに炭化ケイ素の粉体を表10に示す量で加え、30秒間攪拌した。次にこれに、表10に示す種類と量の水溶性無機化合物を水150gに加えて溶解乃至分散させた液を加えて混錬し、砂粒の塊が崩壊するまで混錬した。次に滑剤としてステアリン酸カルシウム10gを加えて30秒間混錬した後に、これをワールミキサーから払い出し、エアレーションして冷却することによって、けい砂に対して4.0質量%の水溶性無機化合物と、2.0質量%の炭化ケイ素粉体を含有する固形の粘結剤層でけい砂の表面が被覆された粘結剤コーテッド耐火物(実施例9−1〜9−4)を得た。
(比較例9)
表10に示す水溶性無機化合物を表10に示す量で用い、炭化ケイ素を用いないようにした他は、実施例9と同様にして粘結剤コーテッド耐火物(比較例9−1〜9−3)を得た。
上記のように調製した実施例9や比較例9の粘結剤コーテッド耐火物を用い、鋳型の造型を想定して試験片を成形した。すなわち、キャビティの大きさが20mm×10mm×80mmの成形金型を120℃に予熱して用い、実施例9や比較例9の粘結剤コーテッド耐火物をゲージ圧力0.1MPaの空気圧で成形金型内に吹き込んで充填した。次に成形金型に蒸気パイプを接続し、ボイラーで発生させたゲージ圧力0.4MPa、温度143℃の飽和水蒸気を過熱蒸気発生装置(野村技工(株)製「GE−100」)で加熱して調製される、350℃、ゲージ圧力0.45MPaの過熱水蒸気を60kg/hの流量で供給し、成形金型内に過熱水蒸気を50秒間通気した。この後に脱型することによって、鋳型を想定した試験片を得た。
このように成形して得た試験片について、成形型から脱型した直後の臭いを嗅いだところ、異臭は感じられなかった。またこの試験片の曲げ強さをJIS K 6910に準拠して測定した。結果を表10に示す。
Figure 2018086661
表10にみられるように、水溶性無機化合物が対応する実施例9と比較例9を比較すると、表10にみられるように、実施例9のものは比較例9のものより曲げ強さが大きく低下することはなく、粘結剤コーテッド耐火物の粘結剤層に炭化ケイ素を含有することによって、鋳型としての強度に問題が生じないことが確認された。
また図2に示す形状で寸法が直径109mm、高さ74mmの鋳型を成形するキャビティを有する成形金型を用い、上記と同様にして実施例9や比較例9の粘結剤コーテッド耐火物を成形することによって、鋳込み試験に供するための鋳型(中子)を造型した。そしてこの鋳型を200℃に設定した乾燥機に入れて60分間熱処理した後、鋳込み試験に供した。鋳込み試験については後述する。
(実施例10)
135℃に加熱したACIけい砂10kgをワールミキサーに仕込み、これにフェノール樹脂を表11に示す量で加え、また30gのヘキサメチレンテトラミンを450gの水に溶解乃至分散させた液を必要に応じて添加し、30秒間混錬した。次にこれに炭化ケイ素の粉体を表1に示す量で加え、砂粒の塊が崩壊するまで混錬した。次いで、滑剤としてステアリン酸カルシウム10gを加えて30秒間混錬した後、ワールミキサーから払い出し、エアレーションして冷却することによって、けい砂に対して2.0質量%のフェノール樹脂と、表11に示す量の炭化ケイ素粉体を含有する固形の粘結剤層でけい砂の表面が被覆された粘結剤コーテッド耐火物(実施例10−1〜10−5)を得た。
(比較例10)
炭化ケイ素を用いないようにした他は、実施例10と同様にして粘結剤コーテッド耐火物を得た。
上記のように調製した実施例10や比較例10の粘結剤コーテッド耐火物を用い、鋳型の造型を想定して試験片を成形した。すなわち、キャビティの大きさが20mm×10mm×80mmの成形金型を120℃に予熱して用い、実施例10や比較例10の粘結剤コーテッド耐火物をゲージ圧力0.1MPaの空気圧で成形金型内に吹き込んで充填した。次に成形金型に蒸気パイプを接続し、ボイラーで発生させたゲージ圧力0.4MPa、温度143℃の飽和水蒸気を過熱蒸気発生装置(野村技工(株)製「GE−100」)で加熱して調製される、350℃、ゲージ圧力0.45MPaの過熱水蒸気を60kg/hの流量で供給し、成形金型内に過熱水蒸気を50秒間通気した。この後に脱型することによって、鋳型を想定した試験片を得た。
この試験片の曲げ強さをJACT試験法SM−1に準拠して測定した。結果を表11に示す。
Figure 2018086661
表11にみられるように、実施例10の曲げ強さは比較例10よりもやや低いものの有意な差はみられず、粘結剤コーテッド耐火物の粘結剤層に炭化ケイ素を含有することによって、鋳型としての強度に問題が生じないことが確認された。
また図2に示す形状で寸法が直径109mm、高さ74mmの鋳型を成形するキャビティを有する成形金型を用い、上記と同様にして実施例10や比較例10の粘結剤コーテッド耐火物を成形することによって、鋳込み試験に供するための鋳型(中子)を造型した。そしてこの鋳型を200℃に設定した乾燥機に入れて60分間熱処理した後、鋳込み試験に供した。鋳込み試験については後述する。
(実施例11)
125℃に加熱したACIけい砂10kgをワールミキサーに仕込み、これに水150gにデキストリン200gとその硬化剤のクエン酸30gを加えて分散乃至溶解させた液を加えて30秒間混錬した。次にこれに炭化ケイ素の粉体を表12に示す量で加え、砂粒の塊が崩壊するまで混錬した。次いで、滑剤としてステアリン酸カルシウム10gを加えて30秒間混錬した後、ワールミキサーから払い出し、エアレーションして冷却することによって、けい砂に対して2.0質量%のフェノール樹脂と、表12に示す量の炭化ケイ素粉体を含有する固形の粘結剤層でけい砂の表面が被覆された粘結剤コーテッド耐火物(実施例11−1〜11−4)を得た。
(比較例11)
炭化ケイ素を用いないようにした他は、実施例11と同様にして粘結剤コーテッド耐火物を得た。
上記のように調製した実施例11や比較例11の粘結剤コーテッド耐火物を用い、鋳型の造型を想定して試験片を成形した。すなわち、キャビティの大きさが20mm×10mm×80mmの成形金型を120℃に予熱して用い、実施例8や比較例8の粘結剤コーテッド耐火物をゲージ圧力0.1MPaの空気圧で成形金型内に吹き込んで充填した。次に成形金型に蒸気パイプを接続し、ボイラーで発生させたゲージ圧力0.4MPa、温度143℃の飽和水蒸気を過熱蒸気発生装置(野村技工(株)製「GE−100」)で加熱して調製される、350℃、ゲージ圧力0.45MPaの過熱水蒸気を60kg/hの流量で供給し、成形金型内に過熱水蒸気を60秒間通気した。この後に脱型することによって、鋳型を想定した試験片を得た。
このように成形して得た試験片の曲げ強さをJIS K 6910に準拠して測定した。結果を表12に示す。
Figure 2018086661
表12にみられるように、実施例11のものは比較例11のものより曲げ強さが大きく低下することはなく、粘結剤コーテッド耐火物の粘結剤層に炭化ケイ素を含有することによって、鋳型としての強度に問題が生じないことが確認された。
また図2に示す形状で寸法が直径109mm、高さ74mmの鋳型を成形するキャビティを有する成形金型を用い、上記と同様にして実施例11や比較例11の粘結剤コーテッド耐火物を成形することによって、鋳込み試験に供するための鋳型(中子)を造型した。そしてこの鋳型を200℃に設定した乾燥機に入れて60分間熱処理した後、鋳込み試験に供した。鋳込み試験については後述する。
(実施例12)
125℃に加熱したACIけい砂10kgをワールミキサーに仕込み、これに表13に示す種類と量の水溶性無機化合物を水150gに加えて溶解乃至分散させた液を加えて30秒間混錬した。次にこれに炭化ケイ素粉体を表13に示す量で加え、砂粒の塊が崩壊するまで混錬した。次いで、滑剤としてステアリン酸カルシウム10gを加えて30秒間混錬した後、ワールミキサーから払い出し、エアレーションして冷却することによって、けい砂に対して4.0質量%の水溶性無機化合物と、2.0質量%の炭化ケイ素粉体を含有する固形の粘結剤層でけい砂の表面が被覆された粘結剤コーテッド耐火物(実施例12−1〜12−4)を得た。
(比較例12)
表13に示す水溶性無機化合物を表13に示す量で用い、炭化ケイ素を用いないようにした他は、実施例12と同様にして粘結剤コーテッド耐火物(比較例12−1〜12−3)を得た。
上記のように調製した実施例12や比較例12の粘結剤コーテッド耐火物を用い、鋳型の造型を想定して試験片を成形した。すなわち、キャビティの大きさが20mm×10mm×80mmの成形金型を120℃に予熱して用い、実施例12や比較例12の粘結剤コーテッド耐火物をゲージ圧力0.1MPaの空気圧で成形金型内に吹き込んで充填した。次に成形金型に蒸気パイプを接続し、ボイラーで発生させたゲージ圧力0.4MPa、温度143℃の飽和水蒸気を過熱蒸気発生装置(野村技工(株)製「GE−100」)で加熱して調製される、350℃、ゲージ圧力0.45MPaの過熱水蒸気を60kg/hの流量で供給し、成形金型内に過熱水蒸気を50秒間通気した。この後に脱型することによって、鋳型を想定した試験片を得た。
このように成形して得た試験片について、成形型から脱型した直後の臭いを嗅いだところ、異臭は感じられなかった。またこの試験片の曲げ強さをJIS K 6910に準拠して測定した。結果を表13に示す。
Figure 2018086661
表13にみられるように、水溶性無機化合物が対応する実施例12と比較例12を比較すると、表13にみられるように、実施例12のものは比較例12のものより曲げ強さが大きく低下することはなく、粘結剤コーテッド耐火物の粘結剤層に炭化ケイ素を含有することによって、鋳型としての強度に問題が生じないことが確認された。
また図2に示す形状で寸法が直径109mm、高さ74mmの鋳型を成形するキャビティを有する成形金型を用い、上記と同様にして実施例12や比較例12の粘結剤コーテッド耐火物を成形することによって、鋳込み試験に供するための鋳型(中子)を造型した。そしてこの鋳型を200℃に設定した乾燥機に入れて60分間熱処理した後、鋳込み試験に供した。鋳込み試験については後述する。
上記の実施例1〜12、比較例1〜13で作製した鋳込み試験用の鋳型を中子として用いて、鋳込み試験を行なった。すなわち、鋳型を生型の主型中に中子としてセットし、ここに鋳込み温度1250〜1300℃の鋳鉄(FC200に相当)の溶湯を鋳込んだ。冷却後、鋳型に振動を与えて崩壊させ、鋳物から鋳型砂(けい砂)を取り除いた。そして鋳物に上記鋳型(中子)が接していた面を目視で観察し、焼き付きの有無を検査した。また、鋳込み温度800〜850℃のアルミニウム合金(AC3A相当)の溶湯についても、同様に鋳込みを行ない、鋳物の表面の焼き付きの有無を検査した。
焼き付きの検査結果を表14及び表15に示す。表14及び表15において、焼き付きが全くみられないものを「◎」、鋳物として問題がない程度に焼き付きが僅かにみられるものを「○」、焼き付きが少し発生しているものを「△」、焼き付きが多く発生しているものを「×」と評価して示した。
Figure 2018086661
Figure 2018086661

表14及び表15にみられるように、各実施例のものは焼き付きが全くないか、僅かであり、塗型剤を鋳型に塗布する必要なく、鋳造することが可能であることが実証された。
1 成形型
2 粘結剤コーテッド耐火物

Claims (13)

  1. 粘結剤と炭化ケイ素とを含有して成ることを特徴とする鋳型用粘結材料。
  2. 耐火骨材の表面に、粘結剤と炭化ケイ素とを含有する鋳型用粘結材料からなる粘結剤層が被覆されていることを特徴とする粘結剤コーテッド耐火物。
  3. 粘結剤が熱硬化性樹脂、糖類、水溶性無機化合物から選ばれるものであることを特徴とする請求項2に記載の粘結剤コーテッド耐火物。
  4. 耐火骨材に粘結剤と炭化ケイ素の粉体とを配合し、これを混合することによって、耐火骨材の表面に粘結剤と炭化ケイ素とを含有する鋳型用粘結材料からなる粘結剤層を被覆することを特徴とする粘結剤コーテッド耐火物の製造方法。
  5. 粘結剤と炭化ケイ素の粉体を混合し、この混合物を耐火骨材に配合して混合することによって、耐火骨材の表面に粘結剤と炭化ケイ素とを含有する鋳型用粘結材料からなる粘結剤層を被覆することを特徴とする粘結剤コーテッド耐火物の製造方法。
  6. 耐火骨材と炭化ケイ素の粉体を混合した後、これに粘結剤を配合して混合することによって、耐火骨材の表面に粘結剤と炭化ケイ素とを含有する鋳型用粘結材料からなる粘結剤層を被覆することを特徴とする粘結剤コーテッド耐火物の製造方法。
  7. 耐火骨材と粘結剤を混合した後、これに炭化ケイ素の粉体を配合して混合することによって、耐火骨材の表面に粘結剤と炭化ケイ素とを含有する鋳型用粘結材料からなる粘結剤層を被覆することを特徴とする粘結剤コーテッド耐火物の製造方法。
  8. 粘結剤として熱硬化性樹脂を用いた請求項3に記載の粘結剤コーテッド耐火物を、熱硬化性樹脂の溶融・硬化温度以上の温度に加熱した成形型に供給し、成形型の熱で粘結剤層中の粘結剤を硬化させることを特徴とする鋳型の製造方法。
  9. 粘結剤として糖類、水溶性無機化合物から選ばれるものを用いた請求項3に記載の粘結剤コーテッド耐火物を成形型内に充填し、成形型内に水分を供給して粘結剤層中の粘結剤に粘着性を付与し、次いで成形型内を乾燥して粘結剤を固化させることを特徴とする鋳型の製造方法。
  10. 請求項2又は3に記載の粘結剤コーテッド耐火物を成形型内に充填し、成形型内に水蒸気を通して、粘結剤を固化乃至硬化させることによって、粘結剤で耐火骨材を結合させることを特徴とする鋳型の製造方法。
  11. 水蒸気として過熱水蒸気を用いることを特徴とする請求項10に記載の鋳型の製造方法。
  12. 成形型に水蒸気を通した後、成形型に乾燥用気体を通すことを特徴とする請求項10又は11に記載の鋳型の製造方法。
  13. 請求項8乃至13のいずれかに記載の方法で鋳型を製造し、この鋳型を塗型剤を塗布しないで用いて、鋳型に溶湯を注湯して鋳造することを特徴とする鋳造方法。
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