JP5727202B2 - 鋳型の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、粘結剤コーテッド耐火物(レジンコーテッドサンド)を用いた鋳型の製造方法に関するものである。
鋳型の製造方法には従来から各種のものがあるが、その一つにシェルモールド法がある。シェルモールド法は、硅砂など鋳型用の耐火骨材を粘結剤で結合させて造型することによって得られるものであり、寸法精度が良好な鋳型が得られる等の優れた特性を有するため、従来から多用されている。
このシェルモールド用の粘結剤としては、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂が一般に用いられており、耐火骨材と熱硬化性樹脂とを混合して耐火骨材の表面に熱硬化性樹脂を被覆した粘結剤コーテッド耐火物(一般にレジンコーテッドサンドと呼ばれる)を調製し、この粘結剤コーテッド耐火物を加熱された金型内に充填し、熱硬化性樹脂粘結剤を溶融・硬化させることによって、鋳型を造型するようにしている。
このような粘結剤コーテッド耐火物において、耐火骨材の表面を被覆する熱硬化性樹脂粘結剤としては、上記のようにフェノール樹脂が一般的であり、フェノール樹脂のなかでもノボラック型フェノール樹脂がよく使用されている。このノボラック型フェノール樹脂は加熱しても硬化しないために、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを配合して使用するのが普通である。そしてノボラック型フェノール樹脂を粘結剤として調製される粘結剤コーテッド耐火物を250〜350℃に加熱した金型に充填すると、金型からの熱伝達で加熱されてヘキサメチレンテトラミンがホルムアルデヒドとアンモニアに分解され、ホルムアルデヒドの大部分はノボラック型フェノール樹脂と反応してフェノール樹脂を不融状態に硬化させることができるものである。
しかし、反応に寄与しなかったホルムアルデヒドや、殆どのアンモニアは、大気中に揮散することになり、このホルムアルデヒドやアンモニアによって、作業者の健康に対してだけでなく、環境が汚染されるという問題が発生するものであった。フェノール樹脂としてレゾール型フェノール樹脂を用いる場合には、このような問題は幾分か低減できるが、レゾール型フェノール樹脂においても未反応のホルムアルデヒドが放出されるので、有害ガスによる問題を解消することはできないものである。
一方、本出願人は特許文献1等で、水蒸気を用いた鋳型の製造方法を提案している。すなわち、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂粘結剤を被覆した粘結剤コーテッド耐火物を型内に充填し、この型内に水蒸気を吹き込むことによって、水蒸気の凝縮潜熱で粘結剤コーテッド耐火物を瞬時に加熱するようにしたものであり、熱硬化性樹脂粘結剤を短時間で硬化させて鋳型を製造することができるものである。
このように水蒸気を用いて加熱する方法で鋳型を製造するようにすれば、ホルムアルデヒド等の有害ガスが放出されても、水蒸気の水分に有害ガスを吸収させて洗い流すことができ、作業環境の悪化を低減することができるものである。
そして本出願人は、上記のように粘結剤コーテッド耐火物を水蒸気で加熱して鋳型を製造するにあたって、粘結剤として糖類を用いて調製した粘結剤コーテッド耐火物を使用する発明を、特願2009−209123として特許出願した。
すなわち、糖類を粘結剤として被覆した粘結剤コーテッド耐火物を型内に充填し、この型内に水蒸気を吹き込むと、水蒸気の凝縮潜熱で粘結剤コーテッド耐火物が加熱されると共に、水蒸気の凝縮水で粘結剤コーテッド耐火物の表面の糖類が湿って粘着性を有する糊状になるものであり、接触している粘結剤コーテッド耐火物同士をこの糊状の糖類で付着させることができる。そして水蒸気による加熱で糖類から水分が蒸発し、糖類が乾燥して固化することによって、糖類からなる粘結剤で耐火骨材が結合した鋳型を製造することができるものである。
そしてこの発明において、糖類は加熱分解されても、有害なガスを多量に放出するようなことがないので、環境を汚染するようなおそれがないという効果を有するものであり、また糖類は分解温度が低いために、鋳型に溶湯を注入する際に容易に加熱分解されるものであって、崩壊性の良好な鋳型を得ることができるという効果を有するものである。
特許第3563973号公報
上記のように、糖類を粘結剤として被覆した粘結剤コーテッド耐火物を型内に充填し、この型内に水蒸気を吹き込んで鋳型を製造するにあたって、得られた鋳型を切断して切断面を観察すると、粘結剤コーテッド耐火物を充填して鋳型を成形する型の面に接していない内部では耐火骨材は強固に結合しているが、型の面に接している鋳型の表層部では耐火骨材の結合力が弱い部分が生じるという現象がみられることがある。そしてこの結合力が弱い部分の鋳型の表面を擦ると、耐火骨材がボロボロと剥離してボロつくものであった。
このように型の面に接する鋳型の表層部にボロつきの現象が発生する理由を検討したところ、鋳型を成形する型は上記したように高温に加熱されていることによるものではないかと考えられる。すなわち、型内に吹き込む水蒸気のうち、型の面から離れた内部を通過する水蒸気は粘結剤コーテッド耐火物によって温度が低下し、水蒸気から凝縮水が生成されるものであり、この水分で粘結剤コーテッド耐火物の糖類を湿らせて粘着性を有する糊状にすることができる。一方、型がこのように高温であると、型の面の近くを通過する水蒸気は型の熱の影響で温度があまり低下せず、多くの水蒸気が凝縮することなく型から排出されてしまう。このように高温の型の面の近傍では水蒸気から凝縮水が生成され難いものであり、また凝縮水が生成されても直ぐに蒸発してしまうものであり、このため、型の面に接する部分の粘結剤コーテッド耐火物には糖類が糊状になるように十分な水分が供給されず、糖類に十分な粘着性が生じることがないまま、乾燥固化してしまい、耐火骨材の結合力が不足してボロつきの現象が発生するものと考えられる。
そしてこのように鋳型の表層部にボロつき現象が発生すると表面が粗くなり、鋳型の表面を平滑に形成することができなくなる。このため、この鋳型を用いて鋳造を行なうにああたって、鋳物の表面が粗くなるので、精密な鋳造を行なうことが難しくなるという問題を有するものであった。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、鋳型の表層部をボロつき現象なく強固に形成することができる鋳型の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明に係る鋳型の製造方法は、耐火骨材の表面に、糖類、水溶性無機化合物、水溶性熱可塑性樹脂から選ばれる粘結剤を含有する固形のコーティング層が被覆された粘結剤コーテッド耐火物を用い、この粘結剤コーテッド耐火物を充填した型内に水蒸気を吹き込んで、水蒸気の凝縮潜熱で粘結剤コーテッド耐火物を加熱すると共に水蒸気の凝縮水で粘結剤コーテッド耐火物のコーティング層の上記の粘結剤を湿らせて粘着性を与えた後、粘結剤を乾燥して固化させることによって、耐火骨材を粘結剤で結合させて鋳型を製造するにあたって、型の温度を130℃以下に設定した型内に水蒸気を吹き込むことを特徴とするものである。
糖類、水溶性無機化合物、水溶性熱可塑性樹脂を粘結剤とするコーティング層が被覆された粘結剤コーテッド耐火物を充填した型内に水蒸気を吹き込んで鋳型を製造するにあたって、糖類は水蒸気の凝縮水に膨潤乃至溶解して、水溶性無機化合物や水溶性熱可塑性樹脂は水蒸気の凝縮水に溶解して、粘着性を有する糊状になり、これらの粘結剤で耐火骨材を結合して鋳型を製造することができるものであり、このとき上記のように型の温度を130℃以下に設定することによって型の熱の影響を小さくすることができ、型内に吹き込まれた水蒸気のうち、型の面の近くを通過する水蒸気から凝縮水が生成され難くなるようなことがなくなるものであって、型の面に接する部分においても粘結剤コーテッド耐火物の粘結剤が糊状になるように水分を十分に供給できるものであり、鋳型の表層部の耐火骨材をこの粘結剤の粘着性で強固に結合させることができ、鋳型の表層部にボロつき現象が生じることなく、高い強度で鋳型を作製することができるものである。また糖類は比較的低い温度で容易に加熱分解され、水溶性無機化合物や水溶性熱可塑性樹脂は水に容易に溶解するものであり、崩壊性の良好な鋳型を製造することができるものである。
また本発明は、粘結剤コーテッド耐火物を充填した型内に水蒸気を吹き込んで、水蒸気の凝縮潜熱で粘結剤コーテッド耐火物を加熱すると共に水蒸気の凝縮水で粘結剤コーテッド耐火物のコーティング層の粘結剤を湿らせて粘着性を与え、型内に引き続いて吹き込まれる水蒸気で、粘結剤コーテッド耐火物を加熱して粘結剤を乾燥固化させることを特徴とするものである。
水蒸気を型内に吹き込むと、水蒸気が粘結剤コーテッド耐火物に接触して熱を奪われて発生する凝縮水が粘結剤に供給され、固形状態の粘結剤をこの凝縮水によって湿らせて粘着性を与え、耐火骨材を粘結剤のこの粘着力で結合させることができるものであり、次いで水蒸気の凝縮潜熱で粘結剤コーテッド耐火物が加熱されて水分を急速に蒸発させ、粘結剤を乾燥固化させることができるものであり、型内に水蒸気を吹き込むという工程だけで短時間で鋳型を製造することができるものである。
また本発明は、粘結剤コーテッド耐火物を充填した型内に水蒸気を吹き込んで、水蒸気の凝縮潜熱で粘結剤コーテッド耐火物を加熱すると共に水蒸気の凝縮水で粘結剤コーテッド耐火物のコーティング層の粘結剤を湿らせて粘着性を与え、次に型内に水蒸気より水分量の少ない乾燥気体を吹き込んで粘結剤を乾燥固化させることを特徴とするものである。
水蒸気を型内に吹き込んで、上記のように水蒸気の凝縮水で粘結剤に粘着性を与えて耐火骨材を結合させた後、乾燥気体を型内に吹き込むことによって、水蒸気で加熱された粘結剤コーテッド耐火物の熱で水分を効率良く蒸発させて、粘結剤を乾燥固化させることができるものであり短時間で鋳型を製造することができるものである。
また本発明は、上記の乾燥気体が空気であることを特徴とするものであり、空気をそのまま利用して粘結剤の乾燥固化を効率良く行なうことができるものである。
また本発明は、粘結剤コーテッド耐火物を充填した型内に水蒸気を吹き込んで、水蒸気の凝縮潜熱で粘結剤コーテッド耐火物を加熱すると共に水蒸気の凝縮水で粘結剤コーテッド耐火物のコーティング層の粘結剤を湿らせて粘着性を与え、次に型内に加熱した気体を型内に吹き込んで、型内の凝縮水を蒸発させて粘結剤コーテッド耐火物の粘結剤を乾燥固化させることを特徴とするものである。
水蒸気を型内に吹き込んで、上記のように水蒸気の凝縮水で粘結剤に粘着性を与えて耐火骨材を結合させた後、加熱した乾燥気体を型内に吹き込むことによって、水分を効率良く蒸発させて粘結剤を乾燥固化させることができるものであり短時間で鋳型を製造することができるものである。
また本発明は、上記の加熱した気体が、加熱した空気であることを特徴とするものであり、空気をそのまま利用して粘結剤の乾燥固化を効率良く行なうことができるものである。
また本発明は、上記の加熱した気体が、水蒸気と空気の混合気体であることを特徴とするものであり、鋳型の製造に用いる水蒸気と空気をそのまま利用して粘結剤の乾燥固化を効率良く行なうことができるものである。
また本発明は、予備加熱した粘結剤コーテッド耐火物を型内に充填することを特徴とするものである。
このように粘結剤コーテッド耐火物を予備加熱して用いることによって、夏季や冬季など季節の気温差に伴う粘結剤コーテッド耐火物の温度差を小さくすることができ、品質の安定した鋳型の製造を行なうことができるものである。
また本発明は、糖類、水溶性無機化合物、水溶性熱可塑性樹脂の他に、熱硬化性樹脂を粘結剤として含有する固形のコーティング層が被覆された粘結剤コーテッド耐火物を用い、粘結剤コーテッド耐火物を充填した型内に吹き込まれる水蒸気の凝縮潜熱で熱硬化性樹脂を加熱して硬化させることを特徴とするものである。
このように熱硬化性樹脂を粘結剤として併用することによって、糖類、水溶性無機化合物、水溶性熱可塑性樹脂を粘結剤として用いることによる耐熱性や強度の低さを熱硬化性樹脂で補うことができ、耐熱性や強度に優れた鋳型を製造することができるものである。
本発明によれば、糖類、水溶性無機化合物、水溶性熱可塑性樹脂を粘結剤とするコーティング層が被覆された粘結剤コーテッド耐火物を充填した型内に水蒸気を吹き込んで鋳型を製造するにあたって、型の温度を130℃以下に設定するようにしたので、型の熱の影響を小さくすることができ、型内に吹き込まれた水蒸気のうち、型の面の近くを通過する水蒸気から凝縮水が生成され難くなるようなことがなくなるものであり、型の面に接する部分においても粘結剤コーテッド耐火物の粘結剤が糊状になるように水分を十分に供給できるものであって、鋳型の表層部の耐火骨材を粘結剤の粘着性で強固に結合させることができ、鋳型の表層部にボロつき現象が生じることなく、鋳型の表層部を強固に形成して、高い強度の鋳型を作製することができるものである。
本発明に係る鋳型の製造方法の一例を示すものであり、(a)(b)はそれぞれ各工程での断面図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明において耐火骨材としては、特に限定されるものではないが、硅砂、山砂、アルミナ砂、オリビン砂、クロマイト砂、ジルコン砂、ムライト砂、その他、人工砂などを例示することができるものであり、これらを1種単独で用いる他、複数種を混合して用いることもできる。
本発明に係る粘結剤コーテッド耐火物は、この耐火骨材の粒子の表面を、粘結剤を含有するコーティング層で被覆することによって形成されるものである。そして本発明では、糖類、水溶性無機化合物、水溶性熱可塑性樹脂から選ばれる粘結剤を用いてコーティング層を形成した粘結剤コーテッド耐火物を用いるものである。糖類は水に膨潤あるいは溶解して糊状になって粘着性を示すようになり、水溶性無機化合物や水溶性熱可塑性樹脂は水に溶解して糊状になって粘着性を示すようになるものであり、これらの粘結剤はいずれも水で湿らせることによって粘着性を生じる水粘着性の粘結剤である。
ここで、本発明において上記の糖類としては、単糖類、少糖類、多糖類を用いることができ、各種の単糖類、少糖類、多糖類のなかから、1種を選んで単独で用いる他、複数種を選んで併用することもできる。
本発明において使用される単糖類としては、特に限定されるものではないが、グルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)、ガラクトースなどを挙げることができる。
また少糖類としては、マルトース(麦芽糖)、スクロース(ショ糖)、ラクトース(乳糖)、セロビオースなどの二糖類を挙げることができる。
さらに多糖類としては、でんぷん糖、デキストリン、ザンサンガム、カードラン、プルラン、シクロアミロース、キチン、キトサン、セルロース、でんぷんなどがあり、これらのうち一種を選択して、あるいは複数種を併用して、用いることができる。またでんぷんとしては、未加工でんぷん及び加工でんぷんが挙げられる。具体的には馬鈴薯でんぷん、コーンスターチ、ハイアミロース、甘藷でんぷん、タピオカでんぷん、サゴでんぷん、米でんぷん、アマランサスでんぷんなどの未加工でんぷん、及びこれらの加工でんぷん(焙焼デキストリン、酵素変性デキストリン、酸処理でんぷん、酸化でんぷん)、ジアルデヒド化でんぷん、エーテル化でんぷん(カルボキシメチルでんぷん、ヒドロキシアルキルでんぷん、カチオンでんぷん、メチロール化でんぷんなど)、エステル化でんぷん(酢酸でんぷん、リン酸でんぷん、コハク酸でんぷん、オクテニルコハク酸でんぷん、マレイン酸でんぷん、高級脂肪酸エステル化でんぷんなど)、架橋でんぷん、クラフト化でんぷん、及び湿熱処理でんぷんなどが挙げられる。これらのなかでも、焙焼デキストリン、シクロデキストリン、酵素変性デキストリン、酸処理でんぷん、酸化でんぷんのように低分子化されたもの、及び架橋でんぷんなどの粘度の低いでんぷんが好ましい。さらに糖類を含有する植物、例えば麦、米、馬鈴薯、トウモロコシ、タピオカ、甘藷、サゴ、アマランサス等の粉末などを用いることができる。また食用に供するために市販されている糖、例えば白粗、中粗、グラニュ糖、転化糖、上白糖、中白糖、三温糖などを用いることもできる。さらに、糖類とフェノール類とを反応させたフェノール変性糖類を用いることもできる。
上記のコーティング層には、糖類、特に多糖類の硬化剤として、カルボン酸を含有するようにしてもよい。カルボン酸としては、特に限定されるものではないが、シュウ酸、マレイン酸、コハク酸、クエン酸、ブタンテトラジカルボン酸、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体などの多価カルボン酸を挙げることができる。コーティング層中のカルボン酸の含有量は、糖類に対するカルボン酸の配合量が、糖類100質量部に対してカルボン酸0.1〜10質量部となる範囲が好ましい。カルボン酸は予め水に溶解させた状態で糖類と混合するのが、硬化剤としての効果を高く発揮するので好ましい。
また本発明において水溶性無機化合物としては、特に限定されるものではないが、水ガラス、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、バナジン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、酸化アルミニウムナトリウム、塩化カリウム、炭酸カリウム、硫酸化合物を用いることができる。これらは一種を単独で用いる他、任意の複数種を選んで併用することもできる。
上記の水ガラスは無水珪酸(SiO)と酸化ナトリウム(NaO)の混合物であり、珪酸ナトリウムともいい、JIS K1408に示される一般式NaO・nSiO・xHOであらわされる、粉末状、液体状、結晶状のものを用いることができる。また珪酸カリ(KO・nSiO)を使用することもできる。
水ガラスは水に極めて溶解し易いものであり、乾燥させることによって固化する。このため、水ガラスを粘結剤として用いることによって、水で容易に崩壊する鋳型を製造することができるものである。また水ガラスは安価に入手できるため、コスト安価に鋳型を製造することができるものである。さらにNaSiOは融点が1088℃と比較的高いので、耐熱性の高い鋳型を製造することができるものである。
上記の塩化ナトリウムは(NaCl)は食塩といわれるように可食性であって人体に無害であると共に安価であり、使用することが容易である。そして水に容易に溶解するので、塩化ナトリウムを粘結剤として用いることによって、水で容易に崩壊する鋳型を製造することができるものである。特に0〜100℃の温度範囲の水に対する塩化ナトリウムの溶解度は、水100gに対して35.7〜39.1gと、水温による変化が小さいので、作業性が良いものである。さらにNaClは融点が1413℃と比較的高いので、耐熱性の高い鋳型を製造することができるものである。
上記のリン酸ナトリウムとしては、リン酸一ナトリウム水和物(NaHPO・xHO)、リン酸二ナトリウム水和物(NaHPO・xHO)、リン酸三ナトリウム水和物(NaPO・xHO)などを用いることができる。そしてリン酸三ナトリウム水和物は、水100gに対する溶解量が1.5g(0℃)であるように、リン酸ナトリウムは水に可溶性であり、またリン酸二ナトリウム水和物の融点が1340℃であるように、リン酸ナトリウムの融点は比較的高い。このため、水で容易に崩壊し、耐熱性が高い鋳型を製造することができるものである。
上記の炭酸ナトリウム(KCO)は、水100gに対する溶解量が7.1g(0℃)であるように、水に溶解し易く、しかも安価である。また融点は851℃と比較的高い。このため、水で容易に崩壊し、耐熱性が高い鋳型を製造することができるものである。
上記のバナジン酸ナトリウム(NaVO)は水に可溶であり、融点は866℃と比較的高い。このため、水で容易に崩壊し、耐熱性が高い鋳型を製造することができるものである。
上記のホウ酸ナトリウム(Na・xHO)は、水100gに対する溶解量が1.6g(10℃)であるように、水に溶解し易く、しかも安価である。また融点は741℃と比較的高い。このため、水で容易に崩壊し、耐熱性が高い鋳型を製造することができるものである。
上記の酸化アルミニウムナトリウム(NaAlO)は、水に可溶であり、また融点1700℃以上と高い。このため、水で容易に崩壊し、耐熱性が高い鋳型を製造することができるものである。
上記の塩化カリウム(KCl)は、水100gに対する溶解量が28.1g(0℃)であるように、水に溶解し易く、しかも安価である。また融点は776℃と比較的高い。このため、水で容易に崩壊し、耐熱性が高い鋳型を製造することができるものである。
上記の炭酸カリウム(KCO)は、水100gに対する溶解量が129.4g(0℃)であるように、水に溶解し易く、また融点が891℃であるように比較的高い。このため、水で容易に崩壊し、耐熱性が高い鋳型を製造することができるものである。
また、上記の硫酸化合物としては、特に限定されるものではないが、MgSO,NaSO・xHO,Al(SO・xHO,KSO,NiSO・xHO,ZnSO・xHO,MnSO・xHO,KMg(SO・xHOなどを挙げることができる。
硫酸化合物は水に溶解し易く、しかも安価である。例えば、水100gに対する溶解量は、硫酸マグネシウム(MgSO)は26.9g(0℃)、硫酸ナトリウム・10水和物(NaSO・10HO)は19.4g(20℃)、硫酸アルミニウム・12水和物(Al(SO・12HO)は36.2g(20℃)、硫酸カリウム(KSO)は10.3g(0℃)、硫酸ニッケル・7水和物(NiSO・7HO)は39.7g(20℃),硫酸マンガン・5水和物(MnSO・5HO)は75.3g(25℃)である。このため、硫酸化合物を粘結剤として用いることによって、水で容易に崩壊する鋳型を、安価に製造することができるものである。また硫酸化合物の融点は、例えば硫酸マグネシウム(MgSO)は1185℃、硫酸ナトリウム・10水和物(NaSO・10HO)は884℃、硫酸アルミニウム・12水和物(Al(SO・12HO)は770℃、硫酸カリウム(KSO)は1067℃、硫酸ニッケル・7水和物(NiSO・7HO)は840℃、硫酸亜鉛・7水和物(ZnSO・7HO)は740℃、硫酸マンガン・5水和物(MnSO・5HO)は850℃、硫酸マグネシウムカリウム(KMg(SO・6HO)は927℃と比較的高いので、耐熱性の高い鋳型を製造することができるものである。
水溶性無機化合物は、上記のように挙げたものの中から任意の一種を選んで単独で用いる他、任意の複数種を選んで併用することもできる。
さらに本発明において水溶性熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではないが、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリイタコン酸、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、メチルセルロース、メトキシ化ナイロンなどを挙げることができる。水溶性熱可塑性樹脂はこれらから任意の一種を選んで単独で用いる他、任意の複数種を選んで併用することもできる。
上記の糖類、水溶性無機化合物、水溶性熱可塑性樹脂はそれぞれを単独で用いるようにしてもよいが、任意の組み合わせで併用するようにしてもよい。例えば糖類と水溶性無機化合物、糖類と水溶性熱可塑性樹脂、水溶性無機化合物と水溶性熱可塑性樹脂、糖類と水溶性無機化合物と水溶性熱可塑性樹脂の組み合わせで併用することができる。このように2種以上を併用する場合、併用の配合比率は任意に設定することができる。
また本発明においてコーティング層には、上記の糖類、水溶性無機化合物、水溶性熱可塑性樹脂から選ばれる水粘着性の粘結剤と併用して、熱硬化性樹脂を粘結剤として含有させるようにしてもよい。熱硬化性樹脂としては、鋳型の粘結剤に用いられるものであれば何でも良く、特に限定されないが、フェノール樹脂、フラン樹脂、イソシアネート樹脂などを使用することができる。なかでもフェノール樹脂が最も好ましく、フェノール樹脂としては、レゾール型フェノール樹脂とノボラック型フェノール樹脂のいずれでもよく、両者を併用してもよい。
粘結剤としてコーティング層に含有される熱硬化性樹脂の量は、特に限定されるものではないが、粘結剤の全量に対して10〜90質量%の範囲に設定するのが好ましく、10〜70質量%の範囲がより好ましい。熱硬化性樹脂は鋳型の耐熱性や強度を補うために含有されているものであるが、フェノール樹脂など熱硬化性樹脂は熱分解されると有害ガスを発生するおそれがある。このため、有害ガスの発生を抑制しつつ、耐熱性や強度を補うことができるように、熱硬化性樹脂の含有量を上記の範囲に設定するのが好ましいものである。
さらに、粘結剤コーテッド耐火物の流動性を良くするために、コーティング層に滑剤を含有させるようにしてもよい。滑剤としては、パラフィンワックスやカルナバワックス等の脂肪族炭化水素系滑剤、高級脂肪族系アルコール、エチレンビスステアリン酸アマイドやステアリン酸アマイド等の脂肪族アマイド系滑剤、金属石けん系滑剤、脂肪酸エステル系滑剤、複合滑剤などを用いることができるが、なかでも金属石けん系滑剤が好ましい。金属石けん系滑剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウムなどや、これらを複数種組み合わせたものを用いることができる。
そして、耐火骨材の粒子に糖類、水溶性無機化合物、水溶性熱可塑性樹脂から選ばれる水粘着性の粘結剤、また必要に応じて、熱硬化性樹脂粘結剤、カルボン酸、滑剤などを配合して混合することによって、耐火骨材の表面に粘結剤を含有するコーティング層を被覆して、本発明に係る粘結剤コーテッド耐火物を得ることができるものである。
耐火骨材に被覆するコーティング層の量は、成分や用途などに応じて異なり一概に規定できないが、耐火骨材100質量部に対して粘結剤が0.5〜6.0質量部、滑剤が固形分で0.02〜0.15質量部の範囲になるように設定するのが一般的に好ましい。耐火骨材の表面にコーティング層を被覆する方法としては、ホットコート法、コールドコート法、セミホットコート法、粉末溶剤法などがある。
ホットコート法は、110〜180℃に加熱した耐火骨材に固形の粘結剤を添加して混合し、耐火骨材による加熱で固形の粘結剤を溶融させることによって、溶融した粘結剤で耐火骨材の表面を濡らして被覆させ、この後、この混合を保持したまま冷却することによって、粒状でさらさらした粘結剤コーテッド耐火物を得る方法である。あるいは、110〜180℃に加熱した耐火骨材に、水などの溶剤に溶解又は分散させた粘結剤を混合して被覆し、溶剤を揮散させることによって、粘結剤コーテッド耐火物を得る方法である。
コールドコート法は、粘結剤を水やメタノールなどの溶剤に分散乃至溶解して液状になし、これを耐火骨材の粒子に添加して混合し、溶剤を揮発させることによって、粘結剤コーテッド耐火物を得る方法である。
セミホットコート法は、上記の溶剤に分散乃至溶解した粘結剤を、50〜90℃に加熱した耐火骨材の粒子に添加して混合し、溶剤を揮発させることによって、粘結剤コーテッド耐火物を得る方法である。
粉末溶剤法は、固形の粘結剤を粉砕し、この粉砕粘結剤を耐火骨材の粒子に添加してさらに水やメタノールなどの溶剤を添加し、これを混合して溶剤を揮発させることによって、粘結剤コーテッド耐火物を得る方法である。
以上のいずれの方法においても、耐火骨材の表面を常温(30℃)で固形のコーティング層で被覆して、粒状でさらさらした粘結剤コーテッド耐火物を得ることができるが、作業性などの点においてホットコート法が好ましい。また上記のように耐火骨材に粘結剤を混合する際に、必要に応じて硬化剤や、耐火骨材と粘結剤とを親和させるためのシランカップリング剤など各種のカップリング剤や、また黒鉛等の炭素質材料などを配合することもできる。
ここで、上記のように粘結剤として糖類、水溶性無機化合物、水溶性熱可塑性樹脂から選ばれる水粘着性の粘結剤と、熱硬化性樹脂を併用するにあたって、水粘着性粘結剤と熱硬化性樹脂粘結剤とを同時に耐火骨材に被覆することによって、水粘着性粘結剤と熱硬化性樹脂粘結剤とが混在したコーティング層を形成する方法、耐火骨材の表面に、水粘着性粘結剤を被覆した後、熱硬化性樹脂粘結剤を被覆することによって、水粘着性粘結剤と熱硬化性樹脂粘結剤の2層構成のコーティング層を形成する方法、耐火骨材の表面に熱硬化性樹脂粘結剤を被覆した後、水粘着性粘結剤を被覆することによって、熱硬化性樹脂粘結剤と水粘着性粘結剤の2層構成のコーティング層を形成する方法などがあり、いずれの方法であってもよい。
上記のように調製した粘結剤コーテッド耐火物を用いて鋳型を製造するにあたっては、型内に粘結剤コーテッド耐火物を充填し、次にこの型内に水蒸気を吹き込んで、水蒸気の凝縮潜熱で粘結剤コーテッド耐火物を加熱することによって行なうことができる。
すなわち、粘結剤コーテッド耐火物を充填した型内に水蒸気を吹き込むと、まず水蒸気が粘結剤コーテッド耐火物に接触することで熱を奪われて凝縮水が生成され、粘結剤コーテッド耐火物のコーティング層の粘結剤に凝縮水が作用する。そしてコーティング層の固形状態の粘結剤に凝縮水が作用すると、粘結剤が糖類であるときは、この凝縮水を吸収して膨潤あるいは溶解して糊化し、粘結剤が水溶性無機化合物や水溶性熱可塑性樹脂であるときは、この凝縮水に溶解して液状になって糊化し、糖類、水溶性無機化合物、水溶性熱可塑性樹脂からなる粘結剤はいずれも糊状になって粘着性が生じる。このようにコーテッド層の粘結剤に粘着性が生じることによって、型内に充填された粘結剤コーテッド耐火物の耐火骨材はこの粘結剤の粘着性で結合される。次いで、引き続いて型内に吹き込まれる水蒸気の凝縮潜熱で粘結剤コーテッド耐火物が加熱され、粘結剤に作用した水分が蒸発して乾燥するものであり、糖類、水溶性無機化合物、水溶性熱可塑性樹脂からなる粘結剤を乾燥固化させることができ、耐火骨材をこの固化した粘結剤によって結合させて、鋳型を成形することができるものである。
このように粘結剤コーテッド耐火物のコーティング層の粘結剤を水蒸気で加熱して鋳型を製造するにあたって、粘結剤として含有されている糖類や水溶性無機化合物は、加熱されて固化するときに有害なガスを多量に発生するようなことはないものであり、また粘結剤として含有されている水溶性熱可塑性樹脂からガスが発生しても、水蒸気に吸収されて大気に放出されることを低減することができるものであり、環境を汚染するようなことなく鋳型を製造することができるものである。
そして上記のように製造した鋳型に高温の溶湯を注湯して鋳物を鋳込むことによって、鋳造を行なうことができるが、鋳型の耐火骨材を結合している粘結剤の糖類は比較的低温で熱分解するので、溶湯の熱で容易に熱分解する。また粘結剤の水溶性無機化合物や水溶性熱可塑性樹脂は水に容易に溶けるので、鋳型を水に浸漬したりすることによって、水溶性無機化合物や水溶性熱可塑性樹脂による結合力がなくなる。従って、鋳型を容易に崩壊させることができるものであり、鋳物を鋳型から取り出すために、鋳型に衝撃を加えたり、高温で長時間加熱して粘結剤を分解させたりするような必要がなくなり、鋳造物を鋳型から脱型する作業を容易に行なうことができるものである。
ここで、糖類は包接化合物といわれるものであり、低分子化合物を包み込み、徐々に放出する性質がある。そして粘結剤として糖類と、水溶性無機化合物や水溶性熱可塑性樹脂とを併用する場合、上記のように粘結剤コーテッド耐火物を充填した型に水蒸気を吹き込んで通すと、水蒸気の凝縮水に水溶性無機化合物や水溶性熱可塑性樹脂が溶けて水蒸気の移動と共に流されるおそれがある。すなわち、型内に充填されている粘結剤コーテッド耐火物のコーティング層に含まれる水溶性無機化合物や水溶性熱可塑性樹脂が、型内に吹き込まれた水蒸気の流れによって上流側から下流側へと移動し、上流側に充填されている粘結剤コーテッド耐火物よりも下流側に充填されている粘結剤コーテッド耐火物の水溶性無機化合物や水溶性熱可塑性樹脂が多くなり、製造された鋳型において水溶性無機化合物や水溶性熱可塑性樹脂が偏在することになって、不均質な鋳型になるおそれがある。これに対して糖類が存在することによって、水溶性無機化合物や水溶性熱可塑性樹脂を包接化合物の糖類で包み込んで、水溶性無機化合物や水溶性熱可塑性樹脂が水蒸気と共に流されることを防ぐことができるものであり、水溶性無機化合物や水溶性熱可塑性樹脂が偏在するようなことを防いで均質な鋳型を製造することができるものである。
また、型内に水蒸気を吹き込んで、型内に充填した粘結剤コーテッド耐火物の粘結剤を固化させるにあたって、型内にCOガスを吹き込むようなことは行なわれない。このため、水溶性無機化合物として水ガラスを用いるにあたって、COプロセスで鋳型を製造する場合のように、水ガラスがCOと反応して硬化することは実質的に起こらない。従って、粘結剤として水ガラスを用いる場合であっても、水ガラスは硬化ではなく固化した状態で粘結剤コーテッド耐火物を結合しているものであり、硬化していない水ガラスは水に容易に溶解するので、鋳型を容易に崩壊させることができるものである。
一方、粘結剤コーテッド耐火物のコーテッド層に糖類、水溶性無機化合物、水溶性熱可塑性樹脂の水粘着性の粘結剤の他に、粘結剤として熱硬化性樹脂を含有している場合、上記のように型内に水蒸気を吹き込んで粘結剤コーテッド耐火物を加熱することによって、糖類、水溶性無機化合物、水溶性熱可塑性樹脂の水粘着性粘結剤が乾燥固化するときに、熱硬化性樹脂は溶融・硬化し、この熱硬化性樹脂粘結剤によっても耐火骨材を結合することができるものであり、強度の高い鋳型を製造することができるものである。
このように粘結剤コーテッド耐火物を加熱して熱硬化性樹脂を硬化させる際に熱硬化性樹脂から有害ガスが発生するおそれがあるが、熱硬化性樹脂は、水粘着性の粘結剤を単独で用いる場合の鋳型の耐熱性や強度を補うために使用されるものであり、コーティング層中に多量に含有させる必要はない。このため、熱硬化性樹脂から発生する有害ガスの量は少ないものであり、環境汚染が発生することを抑制することができるものである。
また、粘結剤として熱硬化性樹脂を併用することによって、鋳型の耐熱性や強度が増すので、鋳型の崩壊性は低下するものの、熱硬化性樹脂は糖類、水溶性無機化合物、水溶性熱可塑性樹脂と併用されるものであって、熱硬化性樹脂の含有量は上記のように多くないので、鋳型を加熱する時間を若干長くしたり、水に浸漬する時間を若干長くしたりすることによって、鋳型を容易に崩壊させることができるものであり、鋳型の崩壊性を特に損なうようなことはない。
次に、水蒸気を用いた鋳型の製造の一例を、図1を参照して説明する。図1(a)に示すように、内部にキャビティ3を設けて形成した型1の上面に注入口4が設けてあり、型1の下面には金網等の網5で塞いだ排出口6が設けてある。この型は縦割りあるいは横割に割ることができるようになっている。また粘結剤コーテッド耐火物2はホッパー7内に貯蔵してあり、ホッパー7にはコック8付きの空気供給管9が接続してある。そしてホッパー7の下端のノズル口7aを型1の注入口4に合致させた後、コック8を閉から開に切り代えることによって、ホッパー7内に空気を吹き込んで加圧し、ホッパー7内の粘結剤コーテッド耐火物2を型1内に吹き込んで、型1のキャビティ3内に粘結剤コーテッド耐火物2を充填する。排出口6は網5で塞いであるので、粘結剤コーテッド耐火物2が排出口6から洩れ出すことはない。注入口4や排出口6を図1の実施の形態のように型1に複数設ける場合、複数の注入口4のうち一箇所あるいは複数箇所から粘結剤コーテッド耐火物2を入れるようにすればよい。
ここで、粘結剤コーテッド耐火物2のコーティング層は固形の粘結剤からなるものであるので、粘結剤コーテッド耐火物2は表面に粘着性を有することがなく、流動性が良好である。従って上記のように型1に粘結剤コーテッド耐火物2を充填するにあたって、型1のキャビティ3内へスムーズに粘結剤コーテッド耐火物2を流し込むことができ、充填性良く型1内に粘結剤コーテッド耐火物2を充填することができるものであり、充填不良が発生することを防ぐことができるものである。
上記のように型1内に粘結剤コーテッド耐火物2を充填した後、型1の注入口4からホッパー7を外すと共に、図1(b)のように各注入口4に給気パイプ10を接続する。給気パイプ10には水蒸気と、加熱気体とを選択的に供給することができるようにしてあり、給気パイプ10のコック11を開いて、まず水蒸気を型1のキャビティ3内に吹き込む。
そしてこのように型1内に水蒸気を吹き込むと、水蒸気を吹き込む初期の工程では、粘結剤コーテッド耐火物2の表面に水蒸気が接触することによって、水蒸気から潜熱が粘結剤コーテッド耐火物2に奪われて水蒸気が凝縮し、粘結剤コーテッド耐火物2の表面で凝縮水が生成されることになる。粘結剤コーテッド耐火物2の表面のコーティング層の糖類、水溶性無機化合物、水溶性熱可塑性樹脂の水粘着性の粘結剤は固形であるので、固形のままでは粘結剤コーテッド耐火物2同士を結合させることはできないが、このように粘結剤コーテッド耐火物2の表面に凝縮水が供給されると、上記したように、固形の水粘着性粘結剤はこの凝縮水によって糊状になって粘着性が生じ、粘結剤の粘着性で耐火骨材を結合させることができるものである。
このとき、型1内のキャビティ3に吹き込まれる水蒸気は、型1の表面から離れた内部を通過して排出口4から排出されるものや、型1の表面の近くを通過して排出口4から排出されるものがある。そして型1が高温に加熱されている場合、型1の表面から離れた内部を通過して排出される水蒸気には、型1の高温は作用しないので、上記のように水蒸気の潜熱が粘結剤コーテッド耐火物2に奪われて温度が低下し、水蒸気が凝縮して凝縮水が生成される。そしてこの凝縮水でコーテッド層の水粘着性の粘結剤が湿って粘着性を有する糊状になる。しかし、型1の表面の近傍を通過して排出される水蒸気には、型1の高温が作用するので、水蒸気が粘結剤コーテッド耐火物2に接触しても、型1のこの高温の影響で水蒸気の温度はあまり低下せず、水蒸気の多くが凝縮することなく型1から排出されてしまうことになる。従って、高温の型1の表面の近傍を通過する水蒸気から凝縮水が生成され難いものであり、また凝縮水が生成されても直ぐに蒸発してしまうものであり、このため、型1の表面に接する部分の粘結剤コーテッド耐火物2には水粘着性の粘結剤が糊状になるまで十分な水分が供給されず、水粘着性粘結剤に十分な粘着性が生じることがないまま、水粘着性粘結剤は乾燥固化してしまうことになる。この結果、型1の表面に接する部分の粘結剤コーテッド耐火物2の耐火骨材は粘結剤で十分に結合することができなくなり、結合力が不足する耐火骨材が鋳型の表面からボロボロと剥離するボロつきの現象が発生するおそれがある。
そこで本発明では、型1の温度を、130℃以下に設定するようにしている。型1の温度が130℃以下であることによって、型1の表面の近傍を通過して排出される水蒸気に型1の高温が作用するようなことがなくなり、水蒸気が粘結剤コーテッド耐火物2に接触する際の温度低下が抑制されることを低減でき、型1の表面の近傍においても水蒸気から凝縮水が容易に生成されるようになるものである。このため、型1の表面に接する部分の粘結剤コーテッド耐火物2においても、水粘着性の粘結剤が糊状になるように水分を十分に供給することができ、型1の表面に接する部分の粘結剤コーテッド耐火物2の耐火骨材をこの粘結剤で十分に結合することができるものであって、鋳型の表面層においても耐火骨材を強固に結合させて表面の強度を高く得ることができるものであり、鋳型の表面にボロつきの現象が発生することを防ぐことができるものである。
型1の温度は130℃以下であることが必要であるが、より好ましくは110℃以下であり、さらに好ましくは90℃以下である。このように型1の温度が低くなる程、鋳型の表面の強度が向上し、ボロつき現象をより改善することができるものである。しかし型1の温度が低すぎると、型1内に吹き込んだ水蒸気の凝縮潜熱で粘結剤コーテッド耐火物2を加熱して鋳型を製造する生産性が低下するおそれがあるので、型1の温度は20℃以上に設定するものであり、30℃以上であることが好ましく、より好ましくは40℃以上、さらに好ましくは50℃以上である。
ここで、本発明において型1の温度は、粘結剤コーテッド耐火物2を充填して鋳型を成形するキャビティ3内の表面温度をいうものであり、また水蒸気を型1内に吹き込み始める直前の時点での温度をいう。型1のキャビティ3内には水蒸気を吹き込む前に粘結剤コーテッド耐火物2を充填するので、粘結剤コーテッド耐火物2の充填後に型1の温度が若干変化することがあるが、このときには粘結剤コーテッド耐火物2を充填した後の温度が上記の範囲になるように、粘結剤コーテッド耐火物2の温度に応じて型1の温度を高めにあるいは低めに調整しておくのが好ましい。
上記のように粘結剤コーテッド耐火物2を充填した型1内に水蒸気を吹き込んで、粘結剤コーテッド耐火物2の水粘着性の粘結剤を糊化して、この粘結剤で耐火骨材を粘着結合させた後、引き続いて型1内に吹き込まれる水蒸気の凝縮潜熱で粘結剤コーテッド耐火物2が加熱される。水蒸気は高い潜熱を有するので、水蒸気が凝縮する際に伝熱されるこの潜熱で粘結剤コーテッド耐火物2の温度は100℃付近にまで急速に上昇する。このように水蒸気の潜熱の伝熱によって粘結剤コーテッド耐火物2が100℃付近にまで加熱される時間は、水蒸気の温度や型1内への吹き込み流量、型1内の粘結剤コーテッド耐火物2の充填量などで変動するが、通常、3〜30秒程度の短時間である。型1内に注入口4から吹き込まれた水蒸気は、型1内の粘結剤コーテッド耐火物2を加熱した後、排出口6から排気される。このとき、粘結剤コーテッド耐火物2の表面の水粘着性の粘結剤に含まれる水分を蒸発させて乾燥することができるものであり、この水粘着性の粘結剤を固化させることができるものである。そして水粘着性の粘結剤の粘着作用による耐火骨材の結合は、粘結剤が固化することによって強固なものとなり、強度の高い鋳型を得ることができるものである。また糖類、水溶性無機化合物、水溶性熱可塑性樹脂の水粘着性粘結剤の他に熱硬化性樹脂が粘着剤として含有されているときは、水蒸気によるこの急速な加熱で熱硬化性樹脂を溶融・硬化させ、熱硬化性樹脂の結合作用でより強度の高い鋳型を得ることができるものである。
また、粘結剤コーテッド耐火物2の温度が100℃付近にまで上昇した後、給気パイプ10への供給を加熱気体に切り換え、加熱気体を型1内に吹き込むようにしてもよい。加熱気体は水分含有率が上記の水蒸気より低いものであればよく、加熱した空気を用いることができる。例えば、大気中の空気を加熱して給気パイプ10に加熱気体として供給すればよい。また上記の水蒸気に加熱空気を混合して含有水分量を低くすることによって、この混合気体を加熱気体として用いることもできる。この加熱気体の温度は特に限定されるものではなく、100℃以上であり、且つ粘結剤コーテッド耐火物2の粘結剤が固化乃至硬化する温度以上のものであればよい。加熱気体の温度の上限は、粘結剤を分解させる温度以下であればよく、特に設定されない。
上記のように型1内に水蒸気を吹き込むと、水蒸気が凝縮する際に伝熱される潜熱で粘結剤コーテッド耐火物2の温度を100℃付近にまで急速に上昇させることができるが、さらに100℃以上の温度に上昇させるには、粘結剤コーテッド耐火物2の表面の凝縮水を蒸発させる必要がある。そしてこの凝縮水はその後に吹き込まれる水蒸気による加熱で蒸発されるが、既述のように、水蒸気は水分を多く含むので、凝縮水を蒸発させる効率が低い。そこで上記のように加熱気体を型1内に吹き込むようにしたものであり、加熱気体は水蒸気よりも含有される水分量が少なく、湿度の低い乾燥気体であるので、型1内で生成された凝縮水を短時間で蒸発させて乾燥することができるものである。ここで、水蒸気及び加熱空気の気流で水の蒸発実験を行なった場合、温度が170℃付近以下では、水蒸気中への水の蒸発速度より、加熱空気中への水の蒸発が大きくなることが報告されている(T.Yosida,Hyodo,T.,Ind.Eng.Chem.Process Des.Dev.,9(2),207-214(1970))。この報告にもみられるように、加熱気体を型1内に吹き込むことによって、水蒸気を吹き込み続ける場合よりも、短時間で凝縮水を蒸発させて乾燥することができるものである。
従って、加熱気体を型1内に吹き込み始めてから短時間で、100℃以上に粘結剤コーテッド耐火物2の温度を上昇させることができるものであり、粘結剤コーテッド耐火物2の粘結剤が固化乃至硬化する温度以上にまで型1内の温度を上昇させる速度を速めることができるものである。そしてこの結果、短い加熱時間で強度の高い鋳型を製造することが可能になるものである。
また、既述のように水蒸気で凝縮水を加熱して蒸発させる場合、この水蒸気は凝縮によって体積が小さくなり、圧力が低下して型1内に凝縮水が滞留したり、乾燥や温度上昇が遅くなったりするが、加熱気体は凝縮による体積収縮がなく、圧力低下が殆どないので、注入口4から排出口6に至るまで加熱気体が型1内に行き渡り、型1内の全体で均一に加熱気体の温度を作用させて、乾燥や温度上昇が速やかに行なわれるものである。
加熱気体を型1内に吹き込む時間は、加熱気体の温度や型1内への吹き込み流量、型1内の粘結剤コーテッド耐火物2の充填量、型1内の凝縮水の量などで変動するが、通常、5〜30秒程度の短時間である。従って、水蒸気を型1内に吹き込み始めてから、10秒〜1分程度の短時間で、鋳型を製造することが可能である。
ここで、型1に吹き込む水蒸気としては飽和水蒸気をそのまま用いることができるが、本発明では過熱水蒸気を用いるのが好ましい。過熱水蒸気は、飽和水蒸気をさらに加熱して、沸点以上の温度とした完全気体状態の水蒸気であり、100℃以上の乾き蒸気である。飽和水蒸気を加熱して得られる過熱水蒸気は、圧力を上げないで定圧膨張させたものであってもよく、あるいは膨張させないで圧力を上げた加圧水蒸気であってもよい。型1内に吹き込む過熱水蒸気の温度は特に限定されるものではなく、過熱水蒸気は900℃程度にまで温度を高めることができるので、100〜900℃の間で必要に応じた温度に設定すればよい。過熱水蒸気はこのように高温の乾き蒸気であるので、上記のような加熱気体を用いることを不要にすることもできるものである。
また、図1(a)から(b)へのように、型1のキャビティ3に粘結剤コーテッド耐火物2を充填するにあたって、粘結剤コーテッド耐火物2を予め加熱しておき、この予備加熱した粘結剤コーテッド耐火物2を型1に供給してキャビティ3に充填するようにしてもよい。このように粘結剤コーテッド耐火物2を予備加熱しておくことによって、鋳型の造型時間を短縮する効果を高く得ることができるものである。また粘結剤コーテッド耐火物2の温度が夏季や冬季のように雰囲気温度の変化などで変動すると、製造した鋳型の品質にばらつきが生じるおそれがあるが、粘結剤コーテッド耐火物2を予熱して一定の温度にして使用するようにすれば、安定した品質で鋳型を製造することができるものである。
粘結剤コーテッド耐火物2の予備加熱は、例えば、粘結剤コーテッド耐火物2を貯蔵するホッパー7内で行なうことができる。粘結剤コーテッド耐火物2を予備加熱する温度は、特に限定されるものではないが、30〜100℃程度の範囲が好ましい。
また、粘結剤コーテッド耐火物2のコーティング層に熱硬化性樹脂を粘結剤として含有しない場合には、上記のように粘結剤コーテッド耐火物2を充填した型1内に水蒸気を吹き込んで、粘結剤コーテッド耐火物2の水粘着性の粘結剤を糊化して、この粘着性を有する粘結剤で耐火骨材を結合させた後、給気パイプ10への供給を乾燥気体に切り換え、乾燥気体を型1内に吹き込むようにしてもよい。
糖類、水溶性無機化合物、水溶性熱可塑性樹脂の水粘着性の粘結剤は、上記のように水分を吸収したときの粘着力で粘結剤コーテッド耐火物2の耐火骨材を付着させ、この後に水分を蒸発させて乾燥固化させることで、耐火骨材を強固に結合させることができるものである。従って、型1内に水蒸気を吹き込んで水粘着性の粘結剤に凝縮水を供給して糊化した後は、特に加熱しなくても、型1内に乾燥気体を吹き込んで、乾燥空気で凝縮水の水分を蒸発させることによって、水粘着性の粘結剤を乾燥させることができ、粘着剤を固化させることができるものである。
乾燥気体は水分含有率が水蒸気より低いものであればよく、特に水分含有量を下げるために気体を乾燥処理するような必要はなく、大気中の空気をそのまま用いることができるものである。また、空気を加熱して使用する必要もないものであり、エネルギーの消費を最小限に抑えることができるものである。乾燥気体の水分含有量は4.8〜82.8g/m程度、乾燥気体の温度は0〜50℃程度であればよく、勿論この範囲に限定されるものではない。また乾燥気体を型1内に吹き込む時間は特に限定されるものではなく、型1内の鋳型に含まれる水分が乾燥するまで適宜設定されるものである。
尚、糖類、水溶性無機化合物、水溶性熱可塑性樹脂の水粘着性の粘結剤は、型1内で固形状になるように乾燥されればよく、鋳型として形状を保持できる状態であれば、粘結剤の乾燥が不十分で若干の水分を含まれていてもよい。粘結剤に水分が含まれている場合には、鋳型を型1から取り出した後、自然乾燥するか、あるいはオーブン等で強制乾燥すればよい。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(粘結剤コーテッド耐火物No1,2の調製)
130℃に加熱したフラタリー硅砂30kgをワールミキサーに入れ、これに表1に示す糖類を水450gに溶解乃至分散させた水溶液を加え、約90秒間混練した。崩壊した後、滑剤としてステアリン酸カルシウム30gを添加して15秒間混練し、さらにエアーレーションを行なうことによって、粘結剤として糖類を含有するコーティング層で被覆した粘結剤コーテッド耐火物No1,2を得た。この粘結剤コーテッド耐火物No1,2はさらさらとした粒状物であり、コーティング層の質量比率は2.0質量%であった。
(粘結剤コーテッド耐火物No3,4の調製)
140℃に加熱したフラタリー硅砂30kgをワールミキサーに入れ、これに表1に示すフェノール樹脂を加えて30秒間混合した後、さらに表1の糖類を水450gに溶解した水溶液を加え、約90秒間混練した。崩壊した後、滑剤としてステアリン酸カルシウム30gを添加して15秒間混練し、さらにエアーレーションを行なうことによって、粘結剤として糖類及びフェノール樹脂を含有するコーティング層で被覆した粘結剤コーテッド耐火物No3,4を得た。この粘結剤コーテッド耐火物No3,4はさらさらとした粒状物であり、コーティング層の質量比率は2.0質量%であった。
ここで、表1のように糖類として、デキストリン(日澱化學(株)製「ND−S」)、酵素変性デキストリン(日澱化學(株)製「アミコールNo6−H」)を用いた。またフェノール樹脂として、ノボラック型フェノール樹脂(リグナイト(株)製「#4800」;軟化点91℃)、レゾール型フェノール樹脂(リグナイト(株)製「LT−9」;軟化点90℃、ゲル化時間120秒(at150℃))を用いた。
Figure 0005727202
(粘結剤コーテッド耐火物No5,6の調製)
140℃に加熱したフラタリー硅砂30kgをワールミキサーに入れ、これに表2に示す水溶性無機化合物を水450gに溶解乃至分散させた水溶液を加え、約90秒間混練した。崩壊した後、滑剤としてステアリン酸カルシウム30gを添加して15秒間混練し、さらにエアーレーションを行なうことによって、粘結剤として水溶性無機化合物を含有するコーティング層で被覆した粘結剤コーテッド耐火物No5,6を得た。この粘結剤コーテッド耐火物No5,6はさらさらとした粒状物であり、コーティング層の質量比率は4.0質量%であった。
(粘結剤コーテッド耐火物No7,8の調製)
130℃に加熱したフラタリー硅砂30kgをワールミキサーに入れ、これに表2に示す糖類と水溶性無機化合物を水450gに溶解乃至分散させた水溶液を加え、約90秒間混練した。崩壊した後、滑剤としてステアリン酸カルシウム30gを添加して15秒間混練し、さらにエアーレーションを行なうことによって、粘結剤として糖類と水溶性無機化合物を含有するコーティング層で被覆した粘結剤コーテッド耐火物No7,8を得た。この粘結剤コーテッド耐火物No7,8はさらさらとした粒状物であり、コーティング層の質量比率は4.0質量%であった。
(粘結剤コーテッド耐火物No9,10の調製)
140℃に加熱したフラタリー硅砂30kgをワールミキサーに入れ、これに表2に示すフェノール樹脂を加えて30秒間混合した。次に、表2の水溶性無機化合物を水450gに溶解した水溶液を加え、砂粒が崩壊するまで混練した。崩壊した後、滑剤としてステアリン酸カルシウム30gを添加して15秒間混練し、さらにエアーレーションを行なうことによって、粘結剤としてフェノール樹脂及び水溶性無機化合物を含有するコーティング層で被覆した粘結剤コーテッド耐火物No9,10を得た。この粘結剤コーテッド耐火物No9,10はさらさらとした粒状物であり、コーティング層の質量比率は2.0質量%であった。
ここで表2のように、水溶性無機化合物として、水ガラス(富士化学(株)製珪酸ソーダ1号;固形分50質量%)、硫酸ナトリウム(JIS K 8987の試薬の無水ボウ硝(NaSO))を用い、また糖類として、デキストリン(日澱化學(株)製「No102S」)を用いた。さらにフェノール樹脂として、レゾール型フェノール樹脂(リグナイト(株)製「LT−9」;軟化点90℃、ゲル化時間120秒(at150℃))を用いた。
Figure 0005727202
(粘結剤コーテッド耐火物No11の調製)
130℃に加熱したフラタリー硅砂30kgをワールミキサーに入れ、これに表3に示す水溶性熱可塑性樹脂を水450gに溶解乃至分散させた水溶液を加え、約90秒間混練した。崩壊した後、滑剤としてステアリン酸カルシウム30gを添加して15秒間混練し、さらにエアーレーションを行なうことによって、粘結剤として水溶性熱可塑性樹脂を含有するコーティング層で被覆した粘結剤コーテッド耐火物No11を得た。この粘結剤コーテッド耐火物No11はさらさらとした粒状物であり、コーティング層の質量比率は2.0質量%であった。
(粘結剤コーテッド耐火物No12の調製)
130℃に加熱したフラタリー硅砂30kgをワールミキサーに入れ、これに表3に示す水溶性無機化合物、水溶性熱可塑性樹脂を水450gに溶解乃至分散させた水溶液を加え、約90秒間混練した。崩壊した後、滑剤としてステアリン酸カルシウム30gを添加して15秒間混練し、さらにエアーレーションを行なうことによって、粘結剤として水溶性無機化合物と水溶性熱可塑性樹脂を含有するコーティング層で被覆した粘結剤コーテッド耐火物No12を得た。この粘結剤コーテッド耐火物No12はさらさらとした粒状物であり、コーティング層の質量比率は2.0質量%であった。
(粘結剤コーテッド耐火物No13の調製)
130℃に加熱したフラタリー硅砂30kgをワールミキサーに入れ、これに表3に示す糖類、水溶性無機化合物、水溶性熱可塑性樹脂を水450gに溶解乃至分散させた水溶液を加え、約90秒間混練した。崩壊した後、滑剤としてステアリン酸カルシウム30gを添加して15秒間混練し、さらにエアーレーションを行なうことによって、粘結剤として糖類と水溶性無機化合物と水溶性熱可塑性樹脂を含有するコーティング層で被覆した粘結剤コーテッド耐火物No13を得た。この粘結剤コーテッド耐火物No13はさらさらとした粒状物であり、コーティング層の質量比率は2.0質量%であった。
(粘結剤コーテッド耐火物No14〜16の調製)
140℃に加熱したフラタリー硅砂30kgをワールミキサーに入れ、これに表3に示すフェノール樹脂を加えて30秒間混合した後、さらに表3に示す、糖類、水溶性無機化合物、水溶性熱可塑性樹脂を水450gに溶解した水溶液を加え、約90秒間混練した。崩壊した後、滑剤としてステアリン酸カルシウム30gを添加して15秒間混練し、さらにエアーレーションを行なうことによって、粘結剤としてフェノール樹脂及び糖類、水溶性無機化合物、水溶性熱可塑性樹脂を含有するコーティング層で被覆した粘結剤コーテッド耐火物No14〜16を得た。この粘結剤コーテッド耐火物No14〜16はさらさらとした粒状物であり、コーティング層の質量比率は2.0質量%であった。
ここで表3のように、糖類として、デキストリン(日澱化學(株)製「No102S」)を用い、水溶性無機化合物として、水ガラス(富士化学(株)製珪酸ソーダ1号;固形分50質量%)を用いた。また水溶性熱可塑性樹脂として、ポリビニルアルコール((株)クラレ製「PVA205」)を用いた。さらにフェノール樹脂として、レゾール型フェノール樹脂(リグナイト(株)製「LT−9」;軟化点90℃、ゲル化時間120秒(at150℃))を用いた。
Figure 0005727202
上記のように調製した粘結剤コーテッド耐火物No1〜16を用いて鋳型を作製した。キャビティの大きさが20mm×10mm×80mmに形成された型を予熱して、50℃、70℃、90℃、110℃、130℃、150℃にそれぞれ加熱して用いた。そしてまず、25℃の温度に調整した粘結剤コーテッド耐火物No1〜No16を、ゲージ圧力0.1MPaの空気圧で型内に吹き込んで充填した。次に、型に給気パイプを接続し、ボイラーで発生させたゲージ圧力0.4MPa、温度143℃の飽和水蒸気を過熱蒸気発生装置(野村技工(株)製「GE−100」)で加熱して調製される、350℃、ゲージ圧力0.45MPaの過熱水蒸気を、60kg/hの流量で供給し、型内に30秒間吹き込んだ。
このようにして、曲げ試験用の20mm×10mm×80mmの鋳型を造型し、この鋳型について曲げ強さをJIS K6910に準拠して測定した。結果を表4に示す。
また上記のように成形した曲げ試験用の鋳型について、鋳型の表面の強度(ぼろつき)をJIS K5600−5−4「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第4節;引っかき硬度(鉛筆法)」に準拠して測定した。このとき、硬さの差をみるため、旧JIS K5400に記載されていた鉛筆硬度6B〜9Hまでを行ない、結果を表4に示す。表4において「×」は表面のボロつきが試験できない程度に大きいことを意味する。ここで、鋳型の表面の鉛筆硬度が3H以上であれば、鋳肌の良い鋳物を鋳造することができるので、合格と評価することができる。
Figure 0005727202
表4にみられるように、型の温度が150℃では殆どが3H未満の鉛筆硬度であって、鋳型の表面にボロ付きが発生しているが、型の温度を130℃以下に設定することによって、多くが3H以上の鉛筆硬度になって、鋳型の表面が改善されることが確認される。そして型の温度が110℃の温度では鋳型の表面がさらに良くなり、型の温度が90℃以下であると、鋳型の問題がなくなることが確認される。
次に、キャビティの大きさが縦150mm×横100mm×厚さ20mmに形成された型を予熱して、50℃、70℃、90℃、110℃、130℃、150℃にそれぞれ加熱して用いた。そして、25℃の温度に調整した粘結剤コーテッド耐火物No1,No5,No7,No11,No12,No13を上記と同様に型内に吹き込んで充填し、次いで上記と同じ過熱水蒸気を型内に40秒間吹き込んで、鋳型を造型した。
この鋳型を型から取り出して室温まで冷却した後、鋳型の表面を指で触ってボロつき状態を観察した。結果を、指で強く擦っても砂粒の剥離が全くないものをボロつきがないとして「○」、指で強く擦ると砂粒が少し剥離するものをややボロつきがあるとして「△」、指で触るだけで砂粒がボロボロと剥離するものをボロつきが大きいとして「×」とそれぞれ評価し、表5に示す。
Figure 0005727202
表5にみられるように、型の温度が150℃ではすべて「×」であるが、型の温度を130℃以下に設定することによって、多くが「○」あるいは「△」になっている。そして型の温度が110℃の温度では「×」がなくなり、型の温度が90℃以下であるとすべて「○」の評価が得られた。
上記の表4及び表5の結果を総合すると、型の温度を130℃以下に設定することによって、鋳型の表層部のボロつき現象を改善して強固な鋳型を形成することができ、また型の温度が110℃以下であれば、この改善効果が高く、特に鋳型の温度が90℃以下であれば、表面に問題がなく強度が高い鋳型を製造できることが確認される。
(実施例1〜3)
キャビティの大きさが20mm×10mm×80mmに形成された型を予熱して90℃に加熱して用いた。そしてまず、25℃の温度に調整した粘結剤コーテッド耐火物No1,No3,No7を、ゲージ圧力0.1MPaの空気圧で型内に吹き込んで充填した。次に、型に給気パイプを接続し、ボイラーで発生させたゲージ圧力0.4MPa、温度143℃の飽和水蒸気を過熱蒸気発生装置(野村技工(株)製「GE−100」)で加熱して調製される、350℃、ゲージ圧力0.45MPaの過熱水蒸気を、60kg/hの流量で供給し、型内に20秒間吹き込んだ。
次に、過熱水蒸気の吹き込みを停止し、乾燥気体の吹き込みに切り換え、水蒸気量23.0g/m の25℃の空気を、ゲージ圧力0.2MPaで20秒間吹き込んだ。
このようにして、曲げ試験用の20mm×10mm×80mmの鋳型を造型し、この鋳型について曲げ強さを上記と同様にして測定し、また鋳型の表面の強度(ぼろつき)を上記と同様に引っかき硬度(鉛筆法)で測定した。結果を表6に示す。
Figure 0005727202
表6にみられるように、鋳型の表層部にボロつき現象が発生することがなく、強度の高い鋳型を形成することができるものであった。
(実施例4〜6)
上記の実施例1〜3において、乾燥気体の空気の代わりに、加熱気体として、300℃に加熱した空気をゲージ圧力0.25MPaで20秒間吹き込むようにして、曲げ試験用の20mm×10mm×80mmの鋳型を造型した。そして同様に曲げ強さと表面の強度(ぼろつき)を測定し、結果を表7に示す。
Figure 0005727202
表7にみられるように、鋳型の表層部にボロつき現象が発生することがなく、強度の高い鋳型を形成することができるものであった。
1 型
2 粘結剤コーテッド耐火物
3 キャビティ

Claims (10)

  1. 耐火骨材の表面に、糖類、水溶性無機化合物、水溶性熱可塑性樹脂から選ばれる粘結剤を含有する固形のコーティング層が被覆された粘結剤コーテッド耐火物を用い、この粘結剤コーテッド耐火物を充填した型内に水蒸気を吹き込んで、水蒸気の凝縮潜熱で粘結剤コーテッド耐火物を加熱すると共に水蒸気の凝縮水で粘結剤コーテッド耐火物のコーティング層の上記の粘結剤を湿らせて粘着性を与えた後、粘結剤を乾燥して固化させることによって、耐火骨材を粘結剤で結合させて鋳型を製造するにあたって、型の温度を130℃以下に設定した型内に水蒸気を吹き込むことを特徴とする鋳型の製造方法。
  2. 粘結剤コーテッド耐火物を充填した型内に水蒸気を吹き込んで、水蒸気の凝縮潜熱で粘結剤コーテッド耐火物を加熱すると共に水蒸気の凝縮水で粘結剤コーテッド耐火物のコーティング層の粘結剤を湿らせて粘着性を与え、型内に引き続いて吹き込まれる水蒸気で、粘結剤コーテッド耐火物を加熱して粘結剤を乾燥固化させることを特徴とする請求項1に記載の鋳型の製造方法。
  3. 粘結剤コーテッド耐火物を充填した型内に水蒸気を吹き込んで、水蒸気の凝縮潜熱で粘結剤コーテッド耐火物を加熱すると共に水蒸気の凝縮水で粘結剤コーテッド耐火物のコーティング層の粘結剤を湿らせて粘着性を与え、次に型内に水蒸気より水分量の少ない乾燥気体を吹き込んで粘結剤を乾燥固化させることを特徴とする請求項1に記載の鋳型の製造方法。
  4. 上記の乾燥気体が空気であることを特徴とする請求項3に記載の鋳型の製造方法。
  5. 粘結剤コーテッド耐火物を充填した型内に水蒸気を吹き込んで、水蒸気の凝縮潜熱で粘結剤コーテッド耐火物を加熱すると共に水蒸気の凝縮水で粘結剤コーテッド耐火物のコーティング層の粘結剤を湿らせて粘着性を与え、次に型内に加熱した気体を型内に吹き込んで、型内の凝縮水を蒸発させて粘結剤コーテッド耐火物の粘結剤を乾燥固化させることを特徴とする請求項1に記載の鋳型の製造方法。
  6. 上記の加熱した気体が、加熱した空気であることを特徴とする請求項5に記載の鋳型の製造方法。
  7. 上記の加熱した気体が、水蒸気と空気の混合気体であることを特徴とする請求項5に記載の鋳型の製造方法。
  8. 上記の水蒸気が、過熱水蒸気であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の鋳型の製造方法。
  9. 予備加熱した粘結剤コーテッド耐火物を型内に充填することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の鋳型の製造方法。
  10. 糖類、水溶性無機化合物、水溶性熱可塑性樹脂の他に、熱硬化性樹脂を粘結剤として含有する固形のコーティング層が被覆された粘結剤コーテッド耐火物を用い、粘結剤コーテッド耐火物を充填した型内に吹き込まれる水蒸気の凝縮潜熱で熱硬化性樹脂を加熱して硬化させることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の鋳型の製造方法。
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