以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、基板貼り合わせ装置10の全体構成図である。基板貼り合わせ装置10は、2枚の基板90、90を貼り合わせて、貼り合わせ基板95を製造する。尚、基板貼り合わせ装置10が、3枚以上の基板90を貼り合わせて、貼り合わせ基板95を製造してもよい。
図1に示すように、基板貼り合わせ装置10は、大気環境部14と、真空環境部16と、制御部18と、複数の基板カセット20とを備える。制御部18は、基板貼り合わせ装置10の全体の動作を制御する。
基板カセット20は、基板90及び貼り合わせ基板95を収容する。基板貼り合わせ装置10によって貼り合わされる基板90は、単体のシリコンウエハ、化合物半導体ウエハ、ガラス基板等の他、それらに素子、回路、端子等が形成されていてもよい。
大気環境部14は、環境チャンバ12と、基板ホルダラック22と、ロボットアーム24、30、31と、プリアライナ26と、アライメント装置28と、レール32と、分離ステージ39とを備える。環境チャンバ12は、大気環境部14を囲むように形成されている。環境チャンバ12に囲まれた領域は、空気調整機等に連通されて、温度管理される。
基板ホルダラック22は、重ね合わされた基板90及び貼り合わせ基板95を上下方向から保持する複数対の基板ホルダ94を収容する。基板ホルダ94は、基板90を静電吸着により保持する。尚、基板ホルダ94は、基板90を真空吸着により保持してもよい。
ロボットアーム24は、基板カセット20に装填されている基板90と、基板ホルダラック22に装填されている基板ホルダ94をプリアライナ26に搬送する。ロボットアーム24は、プリアライナ26の基板ホルダ94に保持された基板90をアライメント装置28へと搬送する。尚、ロボットアーム24は、連続して搬送される2組の基板ホルダ94及び基板90のうち、1組の基板ホルダ94及び基板90を裏返して搬送する。ロボットアーム24は、貼り合わされた後、基板ホルダラック22まで搬送された貼り合わせ基板95を基板カセット20の何れかに搬送する。
プリアライナ26は、基板ホルダ94に対して基板90を位置決めして、当該基板ホルダ94上に搭載する。高精度であるがゆえに狭いアライメント装置28の調整範囲にそれぞれの基板90が装填されるように、プリアライナ26は、基板90と基板ホルダ94との相対位置を合わせる。これにより、アライメント装置28は、迅速且つ正確に基板90同士の位置決めをできる。
アライメント装置28は、一方の基板90に形成された複数のアライメントマークの位置と、他方の基板90に形成された複数のアライメントマークの位置とによって、両基板90を位置合わせする。アライメント装置28は、ロボットアーム24とロボットアーム30との間に配置されている。アライメント装置28は、枠体34と、固定ステージ36と、移動ステージ38とを備える。
枠体34は、固定ステージ36及び移動ステージ38を囲むように形成されている。枠体34の基板カセット20側の面と、真空環境部16側の面には、開口が形成されている。これにより、一対の基板90を両側から挟持した一対の基板ホルダ94が重ね合わされた基板積層体93が、開口を通して搬入及び搬出される。
固定ステージ36は、移動ステージ38の上方に対向して設けられている。固定ステージ36の下面は、ロボットアーム24によって裏返して搬送された基板90を保持する基板ホルダ94を吸着する。
移動ステージ38の上面は、裏返されることなくロボットアーム24によって搬送された基板90を保持する基板ホルダ94を吸着する。移動ステージ38は、水平方向に移動して、固定ステージ36の基板90と、移動ステージ38の基板90とを位置合わせする。移動ステージ38は上昇して、一対の基板90を重ね合わせる。これにより、基板積層体93が形成される。基板90と基板90は、接着剤によって仮接合してもよく、プラズマによって仮接合してもよく、単に重ね合わせただけでもよい。
ロボットアーム30は、基板積層体93を真空吸着して、真空環境部16へと搬送する。ロボットアーム30は、貼り合わせ基板95を含む基板積層体93を真空環境部16から分離ステージ39へと搬送する。分離ステージ39は、貼り合わせ基板95と基板ホルダ94とを分離する。ロボットアーム31は、分離ステージ39にて分離された貼り合わせ基板95と基板ホルダ94を、レール32に沿って基板ホルダラック22へと搬送する。
真空環境部16は、基板貼り合わせ装置10の貼り合わせ工程において、真空状態に設定される。真空環境部16は、ロードロック室48と、アクセスドア50と、ゲートバルブ52と、ロボットチャンバ53と、ロボットアーム54と、3個の収容室55と、3個の加熱加圧装置56と、ロボットアーム58と、冷却室60とを備える。尚、加熱加圧装置56の個数は、3個に限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
ロードロック室48は、大気環境部14と真空環境部16とを連結する。ロードロック室48は、真空状態及び大気圧に設定できる。ロードロック室48の大気環境部14側及び真空環境部16側には、貼り合わせる前の一対の基板90を含む基板積層体93と、貼り合わせ基板95を含む基板積層体93を搬入及び搬出可能に、開口が形成されている。
アクセスドア50は、ロードロック室48の大気環境部14側の開口を開閉する。ゲートバルブ52は、ロードロック室48の真空環境部16側の開口を開閉する。ロボットアーム54は、ロボットチャンバ53の中心に回動可能に配置されている。ロボットアーム54は、ロボットアーム30によりロードロック室48に搬入された基板積層体93をいずれかの加熱加圧装置56へと搬入する。
収容室55はゲートバルブ57を有し、ゲートバルブ57を介してロボットチャンバ53と連結されている。収容室55は、基板積層体93を搬入及び搬出時に開閉されるゲートバルブ57を有する。
3個の加熱加圧装置56は、ロボットチャンバ53を中心として放射状に配置されている。加熱加圧装置56は、ゲートバルブ57を介してロボットチャンバ53と連結されている。加熱加圧装置56は、基板積層体93を挟みつつ加熱及び加圧して、一対の基板90を貼り合わせる。
ロボットアーム58は、ロボットチャンバ53の中心に回動可能に配置されている。これにより、ロボットアーム58は、基板積層体93を加熱加圧装置56から冷却室60へと搬送する。また、ロボットアーム58は、基板積層体93を冷却室60からロードロック室48へと搬送する。
冷却室60は、冷却機能を有する。これにより、冷却室60は、搬送された基板積層体93を冷却する。冷却室60は、ゲートバルブ57を介してロボットチャンバ53と連結されている。
図2から図5は、基板貼り合わせ装置10による貼り合わせ基板95の貼り合わせ工程を含む積層半導体装置96の製造方法を説明する図である。貼り合わせ工程において、ロボットアーム24は、基板ホルダ94を基板ホルダラック22から取り出して、プリアライナ26へ搬送する。次に、ロボットアーム24は、基板90を基板カセット20の何れかから取り出して、プリアライナ26へ搬送する。プリアライナ26は、基板90及び基板ホルダ94の外形を観察して位置合わせを行い、図2に示すように、基板90を基板ホルダ94上に載置する。基板ホルダ94は、載置された基板90を吸着して保持する。
図3に示すように、ロボットアーム24は、基板90及び基板ホルダ94を裏返して、固定ステージ36の下面へ搬送する。固定ステージ36は、基板90とともに基板ホルダ94を真空吸着により保持する。
ロボットアーム24は、次の基板90及び基板ホルダ94をプリアライナ26に搬送する。ロボットアーム24は、プリアライナ26で位置合わせされた基板90及び基板ホルダ94を裏返すことなく移動ステージ38へ搬送する。移動ステージ38は、基板90及び基板ホルダ94を保持する。移動ステージ38は、固定ステージ36の下方へと移動する。これにより、移動ステージ38の基板90と、固定ステージ36の基板90とが、アライメント装置28によって位置合わせされる。
次に、図4に示すように、移動ステージ38が上方へと移動して、移動ステージ38の基板90の上面と固定ステージ36の基板90の下面とが重ね合わされ、基板ホルダ94同士が磁力で吸着する。これにより、基板積層体93が形成される。固定ステージ36が基板積層体93の吸着を解除した後、ロボットアーム30が、移動ステージ38上の基板積層体93をロードロック室48へと搬送する。ロボットアーム54は、基板積層体93をロードロック室48から加熱加圧装置56へと搬入する。
加熱加圧装置56は、基板積層体93を結合温度まで加熱した後、結合温度を維持しつつ、基板積層体93を上下方向から加圧する。これにより、基板積層体93の一対の基板90が、貼り合わされて貼り合わせ基板95となる。この後、基板積層体93が一定の温度まで降温すると、ロボットアーム58が基板積層体93を冷却室60へと搬入する。冷却室60は、基板積層体93を更に冷却する。ロボットアーム58は、冷却された基板積層体93を、冷却室60からロードロック室48へと搬送する。
次に、ロボットアーム30が、基板積層体93をロードロック室48から分離ステージ39へと搬送する。分離ステージ39は、基板積層体93の貼り合わせ基板95を基板ホルダ94から分離する。ロボットアーム31は、基板ホルダ94、及び貼り合わせ基板95を基板ホルダラック22に搬送する。基板ホルダラック22は、基板ホルダ94を回収する。ロボットアーム24は、基板カセット20に貼り合わせ基板95を搬出する。これにより、基板貼り合わせ装置10による貼り合わせ工程が終了して、貼り合わせ基板95が完成する。この後、図5に示す点線に沿って、貼り合わせ基板95が個片化されて、積層半導体装置96が完成する。
図6は、アライメント装置28の側面図である。図6に矢印で示すXYZをアライメント装置28のXYZ方向とする。アライメント装置28は、上述した枠体34、固定ステージ36、及び、移動ステージ38に加えて、上顕微鏡70と、下顕微鏡72とを有する。
枠体34は、固定ステージ36及び移動ステージ38を囲むように形成されている。枠体34は、天板74と、底板75と、側壁76とを有する。天板74及び底板75は、互いが平行となるように水平に配置されている。側壁76は、天板74及び底板75を結合する。側壁76の基板カセット20側の面と、側壁76の真空環境部16側の面は、基板90及び貼り合わせ基板95を搬入及び搬出可能に開口されている。
固定ステージ36は、天板74の下面に固定されている。固定ステージ36は、移動ステージ38よりも高い位置に設けられている。固定ステージ36の下面は、基板90を保持した状態でロボットアーム24により裏返された基板ホルダ94を真空吸着する。尚、固定ステージ36の下面は基板ホルダ94を静電吸着してもよい。
移動ステージ38は、底板75の上面に載置されている。移動ステージ38は、ガイドレール78と、Xステージ80と、Yステージ82と、昇降部84と、微動ステージ85とを有する。
ガイドレール78は、底板75に固定されている。ガイドレール78は、X方向に延びる。Xステージ80は、ガイドレール78上に配置されている。Xステージ80は、ガイドレール78に案内されつつX方向に移動する。Yステージ82は、Xステージ80上に配置されている。Yステージ82は、Xステージ80上のガイドレールに沿ってY方向に移動する。昇降部84は、Yステージ82の上面に固定されている。昇降部84は、微動ステージ85を上下に昇降させる。
微動ステージ85は、昇降部84の上面に固定されている。微動ステージ85の上面は、基板90を保持した基板ホルダ94を真空吸着する。尚、微動ステージ85の上面は、基板ホルダ94を静電吸着してもよい。微動ステージ85に吸着された基板90に配されたバンプBaは、固定ステージ36に吸着された基板90に配されたバンプBaと電気的に接合される。微動ステージ85は、Xステージ80、Yステージ82及び昇降部84によって、XYZ方向に移動される。微動ステージ85は、吸着した基板ホルダ94及び基板90をXY方向に移動させるとともに、基板ホルダ94及び基板90を鉛直軸の周りで回転させる。尚、微動ステージ85のXY方向の移動は、Xステージ80及びYステージ82の移動に比べて、微小ピッチでありかつ可動範囲も小さい。これにより、移動ステージ38は、吸着した基板90を、固定ステージ36の基板90に対して位置合わせして、重ね合わせ合わせることができる。
上顕微鏡70は、天板74に固定されている。上顕微鏡70は、固定ステージ36と間隔をあけて配置されている。上顕微鏡70は、移動ステージ38の微動ステージ85に吸着された基板90に形成されたアライメントマークMを観察して撮像する。微動ステージ85に吸着された基板90に配されたアライメントマークMは、基板90の位置を算出して、固定ステージ36の基板90と貼り合わせにおける位置合わせに用いられる。アライメントマークMは、上顕微鏡70によって観察できる基板90の上面に形成されている。上顕微鏡70は、撮像したアライメントマークMの画像を出力する。
下顕微鏡72は、移動ステージ38のYステージ82上に固定されている。下顕微鏡72は、昇降部84と間隔をあけて配置されている。従って、下顕微鏡72は、昇降部84及び微動ステージ85とともに、XY方向に移動する。下顕微鏡72は、固定ステージ36に吸着された基板90に形成されたアライメントマークMを観察して撮像する。アライメントマークMは、下顕微鏡72によって観察できる基板90の下面に形成されている。下顕微鏡72は、撮像したアライメントマークMの画像を出力する。
図7は、アライメント装置28の制御系を説明するブロック図である。図7に示すように、アライメント装置28は、制御部100と、格納部102とを備える。制御部100の一例は、コンピュータである。制御部100は、格納部102に格納された位置合わせプログラムを読み込むことによって、取得部110、検出部112、及び、特定部114の機能を有する。以降の説明において、移動ステージ38に吸着されている基板を下側基板90dとして、固定ステージ36に吸着されている基板を上側基板90uとする。また、下側基板90dのアライメントマークを下側アライメントマークMdとして、上側基板90uのアライメントマークを上側アライメントマークMuとする。
取得部110は、上顕微鏡70を操作して、複数の下側アライメントマークMdを撮像させるとともに、下顕微鏡72を操作して、複数の上側アライメントマークMuを撮像させる。取得部110は、上顕微鏡70及び下顕微鏡72から複数の下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuの画像を取得する。ここで、取得部110は、下側基板90d及び上側基板90uに形成された全ての第1アライメントマーク及び全ての上側アライメントマークMuを撮像させなくてもよい。取得部110は、予め定められた撮像個数の下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuを上顕微鏡70及び下顕微鏡72に撮像させる。撮像個数は、格納部102に格納されている。撮像個数が増加すると、基板90同士の位置合わせの精度は向上する。しかしながら、撮像個数の増加に伴って、撮像に要する撮像時間が増加するが、位置合わせの精度の向上は小さくなる。従って、撮像個数は、位置合わせの精度と、撮像時間とを考慮して設定される。撮像個数の一例は、8個である。
検出部112は、上顕微鏡70及び下顕微鏡72が撮像した複数の下側アライメントマークMd及び複数の上側アライメントマークMuの画像を取得部110から取得する。検出部112は、取得した複数の下側アライメントマークMd及び複数の上側アライメントマークMuの画像から複数の下側アライメントマークMd及び複数の上側アライメントマークMuの実測位置を検出する。実測位置は、実際に観測された複数の下側アライメントマークMd及び複数の上側アライメントマークMuから検出される位置である。本実施形態では、実測位置は、固定ステージ36及び移動ステージ38の基準点からの、複数の下側アライメントマークMd及び複数の上側アライメントマークMuの位置である。基準点の一例は、固定ステージ36及び移動ステージ38の中心である。検出部112は、基準点からの上顕微鏡70及び下顕微鏡72の位置と、上顕微鏡70及び下顕微鏡72の視野の中心に対する下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuの位置から実測位置を検出する。
特定部114は、検出部112が複数の下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuの実測位置を検出した場合、実測位置によって位置合わせする。ここで、特定部114は、複数の下側アライメントマークMdまたは複数の上側アライメントマークMuのうち、実測位置が特異な特異点があると判定した場合、実測位置が特異な第1アライメントマーク及び第2アライメントマークを特異点として特定する。特定部114は、特異点として特定した場合、当該特異点として特定された下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuを除いた下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuによって基板90同士を位置合わせする。
図8は、アライメント装置28による位置合わせ処理を説明するフローチャートである。図9は、アライメントマークMに基づいて移動量を算出する方法を説明する図である。制御部100は、格納部102に格納された位置合わせプログラムを読み込むことによって、位置合わせ処理を実行する。
図8に示すように、位置合わせ処理では、まず、取得部110が、複数の下側アライメントマークMd及び複数の上側アライメントマークMuを上顕微鏡70及び下顕微鏡72に撮像させる。取得部110は、上顕微鏡70及び下顕微鏡72が撮像した下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuの画像を取得して、検出部112へと出力する(S10)。
次に、検出部112は、取得部110から下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuの画像を取得すると、当該画像から下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuのそれぞれの実測位置を検出して、特定部114へと出力する(S12)。
特定部114は、特異点の有無を判定する(S14)。ここでは、3組の下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuについて、特異点となる下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuがあるか否かを判定する例について説明する。
本実施形態では、まず、特定部114は、実測位置を取得した下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuの設計位置を格納部102から取得する。設計位置は、設計上の理想的な下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuの位置である。実測位置は、製造工程上の要因などによって、設計位置と異なる。
次に、特定部114は、実測位置にある3組の下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuをそれぞれの設計位置に移動させる下側基板90d及び上側基板90uの移動量を算出する。下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuの組数は適宜変更してよい。例えば、当該組数は、8組である。ここで、移動ステージ38が、XY方向及び鉛直軸の周りに回転可能なことを考慮して、図9に示すように、3個の下側アライメントマークMdのXY方向の並進の移動量、及び、鉛直軸の周りの回転の移動量を(Sdx、Sdy、θd)とする。下側アライメントマークMdの設計位置及び実測位置のXY座標を(Xdan、Ydan)、(Xdbn、Ydbn)とする。ただし、n=1、2、3とする。算出した移動量だけ実測位置から移動させた後の下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuの位置である移動位置を(Xdcn、Ydcn)とする。
特定部114は、式(1)に実測位置を代入して、移動位置を移動量の関数として算出する。
特定部114は、式(1)で算出した移動位置を式(2)に代入する。尚、下側アライメントマークMdの個数によって、式(2)のnの最終値は変化する。
特定部114は、式(2)の残差平方和が最小となる3個の下側アライメントマークMdの移動量を算出する。同様に、特定部114は、3個の下側アライメントマークMdに対応する3個の上側アライメントマークMuの移動量を算出する。下側アライメントマークMdに対応する上側アライメントマークMuとは、設計上、位置合わせ後の位置が下側アライメントマークMdと同じ位置となる上側アライメントマークMuのことである。
特定部114は、式(2)から算出される下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuの2個の最小の残差平方和の和を算出する。特定部114は、残差平方和の和が格納部102に格納されている残差平方和閾値以上か否かを判定する。残差平方和閾値は、特異点の有無を判定する閾値である。特定部114は、残差平方和の和が残差平方和閾値以下の場合、特異点なしと判定する(S14:No)。
特定部114は、特異点なしと判定すると、上述した3個の下側アライメントマークMdの移動量及び3個の上側アライメントマークMuの移動量の合計の移動量だけ移動するように移動ステージ38を制御する。ここでいう合計の移動量は、(Sdx+Sux、Sdy+Suy、θd+θu)である。これにより、特定部114は、基板90同士を位置合わせする(S18)。
一方、特定部114は、2個の最小の残差平方和の和が残差平方和閾値以上と判定すると、特異点ありと判定する(S14:Yes)。特定部114は、特異点ありと判定すると、特異点を特定する。本実施形態では、特定部114は、3個の下側アライメントマークMd及び3個の上側アライメントマークMuを組み合わせた3組のマーク組から、一つのマーク組を除いて、残りの2つのマーク組について位置合わせ後の位置を算出して、算出された位置合わせ後の下側アライメントマークMdの位置と上側アライメントマークMuの位置との位置ずれの合計を算出する。次に、特定部114は、除いた一つのマーク組とは別のマーク組を除いて、最初に除いたマーク組を含む二つのマーク組について上記した位置ずれの合計を算出する。特定部114は、3組のマーク組から一つずつマーク組を順次除いたときのそれぞれの位置ずれの合計が最も小さい組み合わせにおいて除かれているマーク組を特異点として特定する。つまり、特定部114は、N組(Nは2以上の整数)のマーク組から1組のマーク組を除く(N−1)組における位置ずれの合計を順次算出する。具体的には、特定部114は、3組の下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuから1組を除いた、2組の下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuについて移動量を算出する。2組の下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuの移動量の算出は、3組の場合と同様である。尚、特定部114は、複数の下側アライメントマークMd及び複数の上側アライメントマークMuを組み合わせた複数組のマーク組から、少なくとも一つのマーク組を順次除いて、それぞれにおいて位置合わせ後の位置を算出して、算出された位置合わせ後の下側アライメントマークMdの位置と上側アライメントマークMuの位置との位置ずれの合計が最も小さい組み合わせにおいて除かれているマーク組を特異点として特定してもよい。つまり、特定部114は、N個(Nは2以上の整数)のマークからn個(nは1以上の整数であり、N>n)のマークを除く(N−n)個における位置ずれの合計を順次算出する。また、特定部114は、複数の下側アライメントマークMd及び複数の上側アライメントマークMuを組み合わせた複数組のマーク組から、少なくとも一つのマーク組を順次除いて、それぞれにおいて位置合わせ後の位置を算出して、算出された位置合わせ後の下側アライメントマークMdの位置と上側アライメントマークMuの位置との位置ずれの合計が予め定められた値以下となる組み合わせにおいて除かれているマーク組を特異点として特定してもよい。つまり、特定部114は、N組(Nは2以上の整数)のマーク組からn組(nは1以上の整数であり、N>n)のマーク組を除く(N−n)組における位置ずれの合計を順次算出する。
特定部114は、算出した移動量から下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuの移動位置を算出する。特定部114は、2組の下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuについて、下側アライメントマークMdの移動位置と上側アライメントマークMuの移動位置との距離である位置ずれをそれぞれ算出する。特定部114は、2組の下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuの位置ずれの和を算出する。特定部114は、別の1組を除いた異なる2組の下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuの位置ずれの和をそれぞれ算出する。これにより、特定部114は、3個の位置ずれの和を算出する。
特定部114は、3個の位置ずれの和のうち、最も小さい位置ずれの和を特定する。特定部114は、特定した最も小さい位置ずれの和を算出した2組の下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuから除外されている組み合わせの下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuを特異点と特定する(S16)。
特定部114は、特異点を特定すると、特異点と特定された下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuの組み合わせが除かれた2組の下側アライメントマークMdの移動量及び上側アライメントマークMuの移動量の合計の移動量だけ移動するように移動ステージ38を制御する。これにより、特定部114は、基板90同士を位置合わせする(S18)。
この結果、アライメント装置28は、位置合わせ処理を終了する。
上述したように、アライメント装置28では、特定部114が基板90同士の位置合わせの精度を低下させる特異点を特定している。これにより、アライメント装置28では、特定部114が、特異点を除外して、基板90同士の位置合わせをすることができるので、基板90同士の位置合わせの精度を向上させることができる。
アライメント装置28では、特定部114が、特異点の有無を判定して、特異点がないと判定した場合、検出した全てのアライメントマークMを用いて位置合わせすることができる。これにより、アライメント装置28では、特定部114が、検出したアライメントマークMを可能な限り有効に使用するので、位置合わせの精度を維持できる。
次に、特定部114による特異点の別の特定方法の例について説明する。
特定部114は、上述した算出方法と同様の方法で、実測した全ての下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuを用いて、複数の下側アライメントマークMdの移動量及び複数の上側アライメントマークMuの移動量を算出する。特定部114は、算出した移動量によって、下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuのそれぞれの移動位置を算出する。次に、特定部114は、下側アライメントマークMdの移動位置と、当該下側アライメントマークMdに対応する上側アライメントマークMuの移動位置との位置ずれを算出する。特定部114は、移動位置の位置ずれの最も大きい組み合わせの下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuを特異点と特定する。特定部114は、特異点として特定した下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuを除く、残りの下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuによって、再度、下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuの移動量を算出して、当該移動量によって、基板90同士の位置合わせを実行する。
尚、本実施形態においても、特定部114は、下側アライメントマークMdの移動位置と上側アライメントマークMuの移動位置との位置ずれのうち、最も大きい位置ずれが位置ずれ閾値未満と判定すると、特異点なしと判定してもよい。この場合、最も大きい位置ずれが位置ずれ閾値以上と判定した場合のみ、特定部114は、最も大きい位置ずれの下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuを特異点として特定する。更に、特定部114は、1組または複数組の下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuの位置ずれが位置ずれ閾値以上と判定した場合、当該1組または複数組の下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuを特異点と特定してもよい。
更に、特定部114による別の特異点の特定方法の例について説明する。
特定部114は、複数の下側アライメントマークMdの実測位置から算出した位置合わせ後の移動位置と設計位置との位置ずれを算出する。特定部114は、位置ずれの最も大きい下側アライメントマークMdを特異点として特定する。尚、特定部114は、最も大きい位置ずれが位置ずれ閾値未満の場合、特異点なしと判定してもよい。この場合、特定部114は、最も大きい位置ずれが位置ずれ閾値以上の場合のみ、特異点を特定する。更に、特定部114は、1または複数の下側アライメントマークMdの位置ずれが位置ずれ閾値以上と判定した場合、当該1または複数の下側アライメントマークMdを特異点と特定してもよい。同様に、特定部114は、上側アライメントマークMuの特異点を特定する。上側アライメントマークMuにおいても、特定部114は、最も大きい位置ずれが位置ずれ閾値以上の場合、特異点を特定してもよい。この場合、特定部114は、下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuのいずれか一方のみについて、特異点を特定する場合がある。
次に、特定部114によるプリアライナ26のプリアライメントの成否判定を実行する場合の位置合わせ処理について説明する。図10は、プリアライメントの成否を判定する場合の位置合わせ処理のフローチャートである。
図10に示すように、取得部110は、上顕微鏡70及び下顕微鏡72を制御して、移動ステージ38の下側基板90dに形成された複数の第1サーチマークSMd及び固定ステージ36の上側基板90uに形成された複数の第2サーチマークSMuを撮像させる。取得部110は、複数の第1サーチマークSMd及び複数の第2サーチマークSMuの画像を取得して、検出部112へと出力する(S20)。第1サーチマークSMd及び第2サーチマークSMuは、それぞれ下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuよりも大きい。また、第1サーチマークSMd及び第2サーチマークSMuを撮像する上顕微鏡70及び下顕微鏡72の視野は、下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuを撮像する上顕微鏡70及び下顕微鏡72の視野よりも大きい。
次に、検出部112は、取得部110から取得した画像から第1サーチマークSMd及び第2サーチマークSMuの実測位置を検出して、特定部114へと出力する(S22)。尚、第1サーチマークSMd及び第2サーチマークSMuが、取得した画像に写っていない場合、検出部112は、第1サーチマークSMd及び第2サーチマークSMuを非検出として、非検出信号を出力する。
特定部114は、取得した第1サーチマークSMd及び第2サーチマークSMuの実測位置が、格納部102に格納された基準位置の範囲内か否かを判定する。特定部114は、実測位置が基準位置の範囲内と判定すると、プリアライメントが成功したと判定する(S24:Yes)。この場合、特定部114は、プリアライナ26によるプリアライメントが成功した旨を取得部110に出力する。これにより、取得部110は、上述したステップS10の処理を実行する。この後、検出部112及び特定部114が、上述したステップS12からS18を実行する。換言すれば、特定部114は、第1サーチマークSMd及び第2サーチマークSMuの実測位置が、基準位置の範囲内と判定すると、検出部112に下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuの実測位置を検出させる。
一方、特定部114は、取得した第1サーチマークSMd及び第2サーチマークSMuの実測位置が、基準範囲内にないと判定すると、プリアライメントが成功していないと判定して(S24:No)、位置合わせ処理を終了する。尚、特定部114は、検出部112から非検出信号を取得した場合も、プリアライメントが成功していないと判定する。
次に、特定部114が、特異点を特定した場合、特定後の別の処理について説明する。図11は、特異点を特定した後の処理が異なる位置合わせ処理のフローチャートである。本実施形態では、特定部114は、特異点を特定すると、検出部112に新たな下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuの実測位置を検出させる。
図11に示すように、特定部114が、特異点ありと判定した場合(S14:Yes)、特異点を特定する(S16)。特定部114は、特異点の下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuを位置合わせから除外するとともに(S28)、特定信号を取得部110へと出力する(S30)。取得部110は、特定信号を取得すると、移動ステージ38を移動させる。取得部110は、上顕微鏡70及び下顕微鏡72に新たな下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuを撮像させて、画像を取得して、検出部112へと出力する(S32)。
検出部112は、取得部110から画像を取得すると、新たな下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuの実測位置を検出して、特定部114へと出力する(S34)。特定部114は、新たに取得した下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuが特異点か否かを判定する(S36)。特定部114は、新たな下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuが特異点であると判定すると(S36:Yes)、ステップS16からS36を繰り返す。一方、特定部114は、新たな下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuが特異点でないと判定すると(S36:No)、移動ステージ38を移動させて、基板90同士を位置合わせする(S18)。
尚、本実施形態においては、特定部114が、下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuのいずれか一方のみを特異点と特定した場合、特異点と特定された方の下側アライメントマークMdまたは上側アライメントマークMuの実測位置のみを新たに検出してもよい。
上述の実施形態では、特定部114は、一度特異点と特定した下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuを位置合わせの対象から除外しているが、再度同じ下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuの実測位置を再検出して、特異点か否を再判定してもよい。この場合、特定部114は、特異点と特定された下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuの実測位置のみを検出部112に再検出させてもよく、一度検出した全ての下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuの実測位置を検出部112に再検出させて、特異点か否かを再度判定してもよい。尚、特定部114は、同じ下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuが特異点と特定した場合、当該下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuを特異点と特定して、上述したいずれかの処理を実行すればよい。
上述の実施形態では、アライメントマークMのそれぞれについて特異点を判定したが、基板90の全てのアライメントマークMが特異点か否かを判定してもよい。例えば、特定部114は、一方の基板90のアライメントマークMの実測位置から、基板90が位置ずれ閾値以上膨張または収縮していると判定した場合、基板90の倍率が大きいと判定して、当該基板90の全てのアライメントマークを特異点と判定してもよい。この場合、特定部114は、当該基板90を貼り合わせの対象から除外する。
上述の実施形態では、特定部114が、全ての状況において、下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuから特異点を特定する例を示したが、例えば、検出部112が下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuの実測位置を検出した場合のみ、特定部114が、特異点を特定するようにしてもよい。
上述の実施形態では、特定部114が特異点を特定しても、基板90同士の位置合わせをする例を示したが、特定部114が特異点を特定した場合、基板90同士の位置合わせを中止してもよい。
また、特定部114は、特異点を次の特定方法によって特定してもよい。
例えば、特定部114は、複数の下側アライメントマークMdから、少なくとも一個のマークを除いて、残りの複数の下側アライメントマークMdについて位置合わせ後の位置を算出して、算出された位置合わせ後の下側アライメントマークMdの位置と設計位置との位置ずれの合計を算出する。次に、特定部114は、除いた下側アライメントマークMdとは別の下側アライメントマークMdを除いて、最初に除いた下側アライメントマークMdを含む複数の下側アライメントマークMdについて上記した位置ずれの合計を算出する。特定部114は、複数の下側アライメントマークMdから少なくとも一個の下側アライメントマークMdを順次除いたときのそれぞれの位置ずれの合計が予め定められている値以下となる組み合わせにおいて除かれているマークを少なくとも特異点と特定してもよい。つまり、特定部114は、N個(Nは2以上の整数)のマークからn個(nは1以上の整数であり、N>n)のマークを除く(N−n)個における位置ずれの合計を順次算出する。尚、特定部114は、複数の下側アライメントマークMdから、少なくとも一個ずつマークを除いて、位置合わせ後の位置を算出して、算出された位置合わせ後の下側アライメントマークMdの位置と設計位置との位置ずれの合計が最も小さい組み合わせにおいて除かれているマークを少なくとも特異点と特定してもよい。また、特定部114は、複数の上側アライメントマークMuから、少なくとも一個のマークを順次除いて、それぞれにおいて位置合わせ後の位置を算出して、算出された位置合わせ後の上側アライメントマークMuの位置と設計位置との位置ずれの合計が予め定められている値以下となる組み合わせにおいて除かれているマークを少なくとも特異点と特定してもよい。尚、特定部114は、複数の上側アライメントマークMuから、少なくとも一個ずつマークを除いて、位置合わせ後の位置を算出して、算出された位置合わせ後の上側アライメントマークMuの位置と設計位置との位置ずれの合計が最も小さい組み合わせにおいて除かれているマークを少なくとも特異点と特定してもよい。
特定部114は、複数の下側アライメントマークMdのそれぞれの設計位置を取得して、複数の下側アライメントマークMdの実測位置から算出した位置合わせ後の移動位置と設計位置との位置ずれが最も大きい下側アライメントマークMdを少なくとも特異点と特定してもよい。尚、特定部114は、位置ずれを、複数の下側アライメントマークMdと顕微鏡の視野の中心との位置ずれから算出してもよい。この場合、特定部114は、いずれかの下側アライメントマークMdが顕微鏡の視野から外れている場合、当該下側アライメントマークMdを特異点としてもよい。また、特定部114は、複数の上側アライメントマークMuのそれぞれの設計位置を取得して、複数の上側アライメントマークMuの実測位置から算出した位置合わせ後の移動位置と設計位置との位置ずれが最も大きい上側アライメントマークMuを少なくとも特異点と特定してもよい。
上述の実施形態では、基板90の面上の実測位置によって、特異点を特定したが、実測位置はこれに限られない。例えば、実測位置は、基板90の面の法線方向における下側アライメントマークMdが実測された位置を含んでもよい。例えば、特定部114は、上顕微鏡70によって基板90を撮像したときのフォーカス位置によって、下側アライメントマークMdの法線方向における位置を実測してもよい。この場合、特定部114は、法線方向における実測位置が予め定められた値を超えている下側アライメントマークMdを特異点として特定してもよい。
図12及び図13は、法線方向における実測位置による特異点の特定を説明する図である。図12において、上図は基板90の表面の突部に下側アライメントマークMdが形成されている状態を説明する図である。図12において、下図は上図の状態から加圧されて、基板90が平坦になった状態を説明する図である。
図12の上図に示すように、法線方向における下側アライメントマークMdの実測位置Zは、一例として、基板90の表面からの距離である。基準とする基板90の表面の位置は、算術平均粗さ等によって算出してもよい。ここでいう予め定められた値とは、経験的に設定してもよい。例えば、図12の上図に示す実測位置Zから下図に示す実測位置に下側アライメントマークMdが移動した場合、下側アライメントマークMdの面内の位置は、突部の頂点から外側へと移動する。
一方、図13の上図に示すように、下側アライメントマークMdが突部の頂点に存在する場合、下図に示すように基板90が加圧によって平坦化されても、下側アライメントマークMdの面内の位置はほとんど移動しない。従って、特定部114は、平坦化による下側アライメントマークMdの面内の移動距離と、実測位置Z及び突部内での下側アライメントマークMdの面内の位置との関係を算出して格納部102に格納する。特定部114は、当該関係から平坦化した状態での下側アライメントマークMdの位置を算出して、当該位置に基づいて下側アライメントマークMdが特異点か否かを判定すればよい。
更に、特定部114は、基板90の平坦化により下側アライメントマークMdを適切に位置合わせできるか否かを判定してもよい。例えば、基板90に凹凸が生じる原因として次のことが考えられる。
(1)基板90が変形している場合であって、基板90自体に問題がある場合。
(2)基板90が変形している場合であって、基板90と基板ホルダ94との間にごみ等が入っている場合。
(3)基板ホルダ94が変形している場合であって、基板ホルダ94自体に問題がある場合。
(4)基板ホルダ94と固定ステージ36または移動ステージ38との間にごみ等が入っている場合。
これらのうち、(1)以外は、基板90を加圧によって平坦化することができるので、特定部114は、下側アライメントマークMdが特異点であっても、位置合わせができると判断する。特定部114は、予め測定した基板90及び基板ホルダ94との関係から、上記(2)から(4)の原因による凹凸か否かを判断すればよい。例えば、予め基板90及び基板ホルダ94の平坦度を計測して、格納部102に計測結果を格納して、特定部114は、上顕微鏡70のフォーカス位置から検出した基板90の凹凸と格納部102の計測結果とを比較して上記(1)から(4)の原因かを特定して、凹凸が解消可能な否かを判定すればよい。同様に、特定部114は、上側アライメントマークMuを特異点として特定してもよい。
特定部114は、実測位置に基板90の傾斜に関する情報を含めてもよい。特定部114は、上顕微鏡70による基板90上の数カ所のフォーカス位置の情報から基板90の傾斜を検出してもよい。また、特定部114は、撮像部によって撮像された基板90の側面の画像から傾斜を検出してもよい。特定部114は、基板90の傾斜が予め定められた値を超えている場合、当該基板90に形成されている全ての下側アライメントマークMdまたは全ての上側アライメントマークMuを特異点と特定してもよい。また、特定部114は、一方の基板90の傾斜と他方の基板90の傾斜との関係から、貼り合わせるか否かを判定してもよい。例えば、特定部114は、略同じ方向に略同じ角度傾斜している一対の基板90の場合、傾斜角度が大きくても位置合わせして貼り合わせが可能と判断する。また、特定部114は、上顕微鏡70または下顕微鏡72によって撮像する複数個所の中心点(例えば、移動ステージ38の回転中心)を基準に位置合わせしてもよい。
また、特定部114は、基板90に回路等を露光したときの複数のショットの傾きに関する情報を実測位置に含めてもよい。ここでいうショットは、例えばチップとなる回路領域を複数含む露光領域であり、この複数の回路領域が一括で基板90に露光されたものである。特定部114は、上顕微鏡70により検出された1つのショット内の数カ所の点の位置情報からその1つのショットの傾き検出してもよい。また、特定部114は、ショットの傾きが予め定められた値を超えている場合、当該ショットに形成されている全ての下側アライメントマークMdまたは全ての上側アライメントマークMuを特異点と特定してもよい。また、特定部114は、一方の基板90の各ショットの傾きと他方の基板90の各ショットの傾きとの関係から、貼り合わせるか否かを判定してもよい。例えば、特定部114は、一対の基板90の間で対応するショットが互いに対向した状態で略同じ方向に略同じ角度傾いている場合、傾斜角度が大きくても位置合わせして貼り合わせが可能と判断する。また、特定部114は、上顕微鏡70または下顕微鏡72によって撮像するショットの中心点(例えば、各ショットの回転中心)を基準に、一対の基板90の互いに対応するショットを位置合わせしてもよい。
特定部114は、特異点か否かの判定対象である下側アライメントマークMd及び上側アライメントマークMuの個数が増加するにつれて、特異点を判定するために予め定められた値の例である各閾値を大きく設定してもよい。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。