JP2018085194A - 補強型電解質膜の製造方法 - Google Patents

補強型電解質膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電解質膜を多孔質膜に含浸させる際のエアー溜まりのより一層の抑制を図る。【解決手段】補強膜で補強された補強型電解質膜を製造するに当たり、電解質膜と該電解質膜を補強する補強膜としての多孔性膜とが積層された積層膜の両膜面にバックシートを積層する。そして、積層膜における電解質膜の多孔性膜への含浸を行う工程よりも前に、電解質膜とバックシートの少なくとも一方に、穿孔を設ける。【選択図】図4

Description

本発明は、補強型電解質膜の製造方法に関する。
補強膜である多孔性膜に電解質膜を溶融含浸させて補強した補強型電解質膜が知られている。こうした補強型電解質膜は、補強型電解質膜が組み込まれた燃料電池の耐久性向上に寄与する。補強型電解質膜の製造方法として、対向して回転するロール部材により、多孔性膜を電解質膜に押し付けて両者を貼り合わせ、多孔性膜の貼り合わせ済みの電解質膜を加熱ロールに接触させて加熱することで、溶融した電解質膜を多孔性膜に含浸させる手法が提案されている(例えば特許文献1等)。
特開2008−277288号公報 特開2016−149284号公報
ところで、溶融した電解質膜は、多孔性膜の細孔に入り込んで細孔を埋め、この際に、細孔内のエアーを追い出す。追い出されたエアーは、多孔性膜の端面から外気に放出されるが、多孔性膜に含浸しようとする電解質膜で取り囲まれ、いわゆるエアー溜まりが残り得る。エアー溜まりの部位には電解質膜が存在しないので、電解質膜としてのプロトン伝導性への悪影響が懸念される。こうしたことから、電解質膜を多孔質膜に含浸させる際のエアー溜まりのより一層の抑制が可能な補強型電解質膜の製造手法が要請されるに到った。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、補強膜で補強された補強型電解質膜の補強型電解質膜の製造方法が提供される。この補強型電解質膜の製造方法は、電解質膜と該電解質膜を補強する補強膜としての多孔性膜とが積層された積層膜の両膜面にバックシートを積層する工程と、前記積層膜における前記電解質膜の前記多孔性膜への含浸を行う工程とを備える。そして、前記含浸を行う工程よりも前に、少なくとも、前記バックシートに穿孔を設ける。
この形態の補強型電解質膜の製造方法は、多孔性膜への含浸により電解質膜が多孔性膜の細孔に入り込んで追い出された細孔内のエアーを、積層膜における多孔性膜の端面のみならず、バックシートから電解質膜に達する穿孔からも、外部に排出する。この結果、この形態の補強型電解質膜の製造方法によれば、電解質膜を多孔質膜に含浸させる際のエアー溜まりを高い確度で抑制することが可能となる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、補強型電解質膜の製造装置、或いは、補強型電解質膜を備える燃料電池やその製造方法等の形態で実現することができる。
本実施形態の補強型電解質膜の製造方法で得られる補強型電解質膜を単品の状態で断面視して示す説明図である。 本実施形態の補強型電解質膜の製造方法の各工程を示すフローチャートである。 積層膜の形成に用いられる積層膜製造装置の一例を示す説明図である。 積層膜への穿孔形成と電解質膜含浸とを順次実行する含浸装置の一例を概略斜視にて示す説明図である。 含浸装置を側面視して概略的に示す説明図である。 含浸装置を平面視して概略的に示す説明図である。 図5における7−7線に沿った積層膜の概略断面図である。 図5における8−8線に沿って積層膜を断面視した上で含浸過程におけるエアーの流れを概略的に示す説明図である。 図5における9−9線に沿った積層膜の概略断面図である。
図1は、本実施形態の補強型電解質膜の製造方法で得られる補強型電解質膜201を単品の状態で断面視して示す説明図である。図示するように、補強型電解質膜201は、多孔性膜231を電解質膜210の膜厚のほぼ中央域に備え、この多孔性膜231に電解質膜210が含浸することで、多孔性膜231で補強された電解質膜である。電解質膜210は、高分子膜であり、側鎖にスルホン酸基(−SOH)を備え、プロトン伝導性を有する。多孔性膜231は、多孔質の高分子膜であり、電解質膜210の補強膜として機能する。電解質膜210と多孔性膜231については後述する。
図2は、本実施形態の補強型電解質膜の製造方法の各工程を示すフローチャートである。本実施形態の補強型電解質膜の製造方法では、多孔性膜231で補強された電解質膜210を得るに当たり、ステップS100の積層膜の形成・搬送と、ステップS110の穿孔形成と、ステップS120の電解質膜含浸とを順次行う。以下、これら工程について詳述する。
ステップS100では、多孔性膜231と電解質膜210とバックシート220とを積層して積層膜200を形成すると共に、この積層膜200を後述の含浸装置30に搬送する。
図3は、積層膜200の形成に用いられる積層膜製造装置10の一例を示す説明図である。積層膜製造装置10は、ステップS100で用いられる装置であって、電解質膜製造部100と、バックシート貼合部110と、補強膜・電解質膜積層部120と、を備える。電解質膜製造部100は、電解質膜210を形成する。電解質としては、ナフィオン(Nafion:登録商標)の前駆体など、側鎖末端にフッ化スルフリル基(−SOF)を有するパーフルオロスルホン酸ポリマーの前駆体を用いることができる。本実施形態では、電解質膜製造部100は、IEC(イオン交換当量)が1.3〜1.8meg/gの電解質の前駆体を用い、厚さ2〜30μmの電解質膜210を形成する。本実施形態では、側鎖末端にフッ化スルフリル基を有する電解質の前駆体を用いたが、代わりに、側鎖末端に塩化スルフリル基(−SOCl)を有する電解質の前駆体、あるいは、側鎖末端にスルホン酸基(−SOH)基を有する電解質を用いても良い。なお、電解質の前駆体のハロゲン化スルフリル基(フッ化スルフリル基、塩化スルフリル基)は、加水分解処理により、スルホン酸基(−SOH)基に容易に変換できる。
バックシート貼合部110は、一対の貼合ロール112と、バックシート繰出ロール114と、を備えている。バックシート繰出ロール114は、バックシート220を繰り出す。バックシート220は、電解質膜210に対する剥離性を有するフッ素系の樹脂製シート、例えばテフロン(テフロンは登録商標)または炭化水素系の樹脂で20〜100μmの厚みに形成されたシート体である。バックシート貼合部110は、一対の貼合ロール112の2つのロールの間に、電解質膜210と、バックシート220とを挟んで通過させることにより、電解質膜210と、バックシート220とを積層し、両者を密着させる。
補強膜・電解質膜積層部120は、一対の積層ロール122と、ペースト押出機124と、延伸機126と、を備える。ペースト押出機124は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のファインパウダーとアイソパー(アイソパーは登録商標)とを混合し、帯状に押し出すことで帯状の補強膜230を形成する。延伸機126は、帯状の補強膜230を厚さ1〜5μm、気孔率40〜60%程度に延伸し、約350℃で焼成して、多孔性膜231を形成し、多孔性膜231を積層ロール122に送り出す。例えば、延伸機126は、一対のロールを用い、その間に補強膜230を通過させながら押圧することにより、補強膜230を延伸してもよい。本実施形態では、補強膜・電解質膜積層部120は、ペースト押出機124を有し、補強膜230を製造しているが、別途作成された補強膜230を用いてもよい。
本実施形態では、多孔性膜231を得るための補強膜230として、ポリテトラフルオロエチレンを用いたが、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、共重合成分を10モル%含むポリテトラフルオロエチレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂:、ポリシロキサン;ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのメタクリレート系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)などのスチレン系樹脂;ポリアミド;ポリイミド(PI);ポリエーテルイミド(PEI);ポリアミドイミド;ポリエステルイミド;ポリカーボネート(PC);ポリアセタール;ポリフェニレンエーテル(PPO)などのポリアリーレンエーテル;ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアリレート;ポリアリール;ポリスルホン(ポリサルホン);ポリエーテルスルホン(PES)(ポリエーテルサルホン);ポリウレタン類;ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)やポリエーテルケトンケトン(PEKK)などのポリエーテルケトン類;ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリル酸エチルなどのポリアクリル酸エステル類;ポリブトオキシメチレンなどのポリビニルエステル類;ポリシロキサン類;ポリサルファイド類;ポリフォスファゼン類;ポリトリアジン類;ポリカーボラン類;ポリノルボルネン;エポキシ系樹脂;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;ポリイソプレンやポリブタジエンなどのポリジエン類;ポリイソブチレンなどのポリアルケン類;フッ化ビニリデン系樹脂、ヘキサフルオロプロピレン系樹脂、ヘキサフルオロアセトン系樹脂などの樹脂(熱可塑性樹脂など)のいずれかを用いても良い。
一対の積層ロール122は、多孔性膜231の両膜面に、バックシート220が積層済みの電解質膜210を配置して、「バックシート220−電解質膜210−多孔性膜231−電解質膜210−バックシート220」の5層構造の積層膜200を形成する。つまり、積層膜200は、多孔性膜231の両膜面に電解質膜210とバックシート220とをこの順に積層された積層膜であり、各膜の膜幅は同じとされている。本実施形態の補強型電解質膜の製造方法では、積層膜製造装置10において、100〜500mmの膜幅の積層膜200を100〜500mの長さで連続形成し、その積層膜200を、次の工程が実行される後述の含浸装置30に搬送する。次工程への積層膜200の搬送は、搬送ローラーを用いたローラー搬送とできる他、積層膜200を巻取ロールに巻き取り、巻取ロール単位で行っても良い。
積層膜製造装置10を用いたステップS100に続くステップS110の穿孔形成と、ステップS120の電解質膜含浸とは、含浸装置30において、積層膜200を搬送しつつ、順次、実行される。
図4は、積層膜200への穿孔形成と電解質膜含浸とを順次実行する含浸装置30の一例を概略斜視にて示す説明図である。図5は、含浸装置30を側面視して概略的に示す説明図である。図6は、含浸装置30を平面視して概略的に示す説明図である。
含浸装置30は、積層膜加熱と電解質膜含浸を図る装置であり、搬送ローラー300と、第1ヒートロール310と、第2ヒートロール320と、搬送ローラー330と、穿孔ピン340と、穿孔補助治具350とを備える。搬送ローラー300は、積層膜200を第1ヒートロール310に搬送する。積層膜200は、第1ヒートロール310の円周面に沿って第2ヒートロール320に搬送される。第1ヒートロール310と第2ヒートロール320は、180℃〜300℃(好ましくは240℃〜260℃)に加熱されており、それぞれのロール表面に接触した積層膜200を加熱する。また、第1ヒートロール310と第2ヒートロール320は、搬送されてくる積層膜200をロール間に挟み込み、このロール間において、積層膜200を0.1〜0.8MPaの圧力(ニップ圧)で加圧する。上記のヒートローラの加熱を受けて積層膜200の電解質膜210は溶融して軟化し、溶融済みの電解質膜210は、多孔性膜231に含浸する。溶融・軟化した電解質膜210の多孔性膜231への含浸は、ロール間における加圧により起きると共に、搬送に際して加えられるテンションによりヒートロール表面に押し付けられつつ搬送される間にも起きる。
穿孔ピン340は、穿孔補助治具350と共に第1ヒートロール310より上流側に配設され、積層膜200の幅方向に対して等ピッチで複数配設されている。穿孔ピン340は、ピン径が5〜50μmであり、穿孔補助治具350で下支えされた状態の積層膜200に対して、図示しない駆動機構により上下動する。穿孔補助治具350は、穿孔ピン340と対向して配設され、搬送される積層膜200を案内しつつ、ピン案内孔352で、それぞれの穿孔ピン340をピン先側で案内する。本実施形態の補強型電解質膜の製造方法では、含浸装置30において、バックシート220が積層済みの積層膜200に対して、穿孔ピン340を積層膜200の搬送速度に応じたタイミングで上下動し、この穿孔ピン340により、積層膜200の搬送方向に沿って等ピッチで貫通孔200hを穿孔する。つまり、積層膜200への貫通孔200hの穿孔は、積層膜200の搬送過程でなされ、貫通孔200hは、100〜500mmの膜幅の積層膜200に対して、図6に示すように、50〜150mmの膜幅方向ピッチWpと、100〜500mmの搬送方向ピッチLpで、繰り返し穿孔される。膜幅方向ピッチWpと搬送方向ピッチLpとは、穿孔ピン340のピン径に合わせて適宜設定でき、例えば、ピン径が小さければ膜幅方向ピッチWpと搬送方向ピッチLpを短くし、ピン径が大きければ両ピッチを共に、或いは一方のピッチを長くしてもよい。
次に、含浸装置30でなされる貫通孔200hの穿孔の様子と多孔性膜231への電解質膜210の含浸の様子について説明する。図7は、図5における7−7線に沿った積層膜200の概略断面図である。図8は、図5における8−8線に沿って積層膜200を断面視した上で含浸過程におけるエアーの流れを概略的に示す説明図である。図9は、図5における9−9線に沿った積層膜200の概略断面図である。
図7に示す積層膜200は、第1ヒートロール310に到る手前に位置することから、加熱を受けておらず、初期膜厚Tsのままであり、貫通孔200hが穿孔済みである。この積層膜200は、貫通孔200hの穿孔後の搬送により、第1ヒートロール310のロール表面に密着し、第1ヒートロール310により加熱される。積層膜200は、ロール表面からの加熱を受けつつ搬送され、図4に示す第1ヒートロール310と第2ヒートロール320とのロール間に到達する。このロール間まで達するまでの間において、積層膜200の電解質膜210は、第1ヒートロール310のロール表面からの加熱により溶融・軟化し、多孔性膜231に含浸する。また、積層膜200は、ロール間に達した以降において、第2ヒートロール320のロール表面に密着してこの第2ヒートロール320により加熱されるので、この間においても、電解質膜210は、溶融・軟化して多孔性膜231に含浸する。この含浸の様子は、図8において黒塗りの矢印Aにて模擬的に示されており、軟化した電解質膜210は、膜厚中央域の多孔性膜231に含浸すると共に、電解質膜210の膜厚の範囲において貫通孔200hにも入り込む。
積層膜200には、その表裏面において、第1ヒートロール310と第2ヒートロール320とによるニップ圧が作用すると共に、搬送に際して加えられるテンションによりヒートロール表面への押し付け力が作用する。よって、積層膜200は、多孔性膜231への電解質膜210の含浸、およびニップ圧や押し付け力の作用により、初期膜厚Tsより薄い含浸過程膜厚Tmとなる。そして、溶融・軟化した電解質膜210が多孔性膜231の細孔に入り込んで追い出された細孔内のエアーは、図8において白塗りの矢印Bにて模擬的に示すように、積層膜200における多孔性膜231の膜端面200tのみならず、積層膜200のバックシート220の貫通孔200hからも、外部に排出する。第2ヒートロール320を通過した積層膜200は、多孔性膜231への電解質膜210の含浸の完了により、図9に示すように、含浸過程膜厚Tmより薄い最終膜厚Teとなる。この状態の積層膜200では、多孔性膜231が電解質膜210の膜厚のほぼ中央域に存在し、電解質膜210の厚み範囲において、貫通孔200hは電解質膜210で埋められ、バックシート220の厚み範囲に貫通孔200hが残る。図9に示す最終製品としての積層膜200は、図示しない燃料電池製造工程に送られ、両側のバックシート220が剥離された状態の電解質膜210、即ち図1に示す補強型電解質膜201として、燃料電池の膜電極接合体の電解質膜に利用される。
図9に示す最終製品としての積層膜200、つまり、本実施形態の補強型電解質膜の製造方法で製造された積層膜200について、エアー溜まりの有無について調べた。エアー溜まりは、多孔性膜231に含浸した電解質膜210の中に形成されたり、電解質膜210とバックシート220との界面或いはその付近に形成される。そして、エアー溜まりは、積層膜200から表裏のバックシート220が剥離された電解質膜210に、エアー貯まり形成箇所において膨らみやへこみをもたらす。よって、図9に示す最終製品としての積層膜200から表裏のバックシート220を剥離した状態において、電解質膜210の表面の凹凸の有無を目視或いは拡大鏡にて観察し、単位長さ(例えば1m)当たりのエアー溜まりの個数を計測した。その結果、本実施形態の補強型電解質膜の製造方法で製造された積層膜200では、エアー溜まりは確認できず、エアー溜まりによる不良率は0%であった。これに対し、貫通孔200hを穿孔していない積層膜200である比較例積層膜、即ち、図2におけるステップS110の穿孔形成を省略して製造した比較例積層膜は、エアー溜まりが単位長さ当たりに複数観察され、エアー溜まりによる不良率は40%であった。このように比較例積層膜にエアー溜まりが観察されたのは、多孔性膜231への電解質膜210の含浸に伴い多孔性膜231の細孔から追い出されたエアーが、膜端面200t(図8参照)からしか外気に放出されないため、多孔性膜231に含浸しようとする電解質膜210で取り囲まれて、エアー溜まりが形成されたと想定される。なお、比較例積層膜の製造の際には、図4に示す含浸装置30において、穿孔ピン340を停止した状態で積層膜200を加熱搬送しつつ、電解質膜210を多孔性膜231に含浸させた。
以上説明した本実施形態の補強型電解質膜の製造方法では、多孔性膜231への電解質膜210の含浸に伴い多孔性膜231の細孔から追い出されたエアーは、積層膜200における多孔性膜231の膜端面200tのみならず、バックシート220から電解質膜210に達する貫通孔200hからも、外部に排出する。この結果、本実施形態の補強型電解質膜の製造方法によれば、電解質膜210を多孔性膜231に含浸させる際のエアー溜まりを高い確度で抑制できるので、補強型電解質膜201の発電性能が高まる。
本実施形態の補強型電解質膜の製造方法では、多孔性膜231と電解質膜210の厚み範囲において、溶融した電解質膜210の多孔性膜231への含浸の際に、貫通孔200hを電解質膜210で埋める。このため、多孔性膜231に貫通孔200hが穿孔されていない場合と比べて、溶融した電解質膜210がバックシート220の貫通孔200hに浸入しない、または浸入が抑制される。こうしたバックシート220の厚み範囲の貫通孔200への電解質膜210の浸入抑制により、後工程においてバックシート220を剥離する際には、バックシート220が剥がしにくかったり、バックシート剥離に手間を要したりする、というような事態が起きないようにできるという利点がある。バックシート220の厚み範囲の貫通孔200への電解質膜210の浸入抑制は、ピン径の規定のみならず、既述したように膜幅方向ピッチWpと搬送方向ピッチLpを穿孔ピン340のピン径に合わせて設定することで、より確実に担保できる。
本実施形態の補強型電解質膜の製造方法では、電解質膜含浸に用いる既存の含浸装置30に穿孔ピン340と穿孔補助治具350とを設けた上で、所定のタイミングで穿孔ピン340を上下動させるに過ぎない。よって、本実施形態の補強型電解質膜の製造方法によれば、既存の含浸装置30の簡単な改造と簡便な機器制御を追加するだけで、エアー溜まりの無い電解質膜210を有する積層膜200、延いては、発電性能の高い補強型電解質膜201を容易に得ることができる。
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
既述した実施形態では、多孔性膜231の両膜面に電解質膜210を積層したが、多孔性膜231の一方の膜面に電解質膜210を積層し、多孔性膜231の他方の膜面と電解質膜210の膜面とにバックシート220をそれぞれ積層するようにしてもよい。この場合には、図3に示す積層膜製造装置10における一方のバックシート貼合部110から、電解質膜製造部100を省略すればよい。そして、多孔性膜231の一方の膜面には、大きな膜厚の電解質膜210を積層すればよい。
既述した実施形態では、積層膜200を加熱する手段として第1ヒートロール310と第2ヒートロール320を用いたが、これに限定されるものではなく、例えば、ヒーター等の種々の加熱手段を利用することも可能である。
既述した実施形態では、穿孔ピン340により積層膜200におけるバックシート220と電解質膜210と多孔性膜231とに貫通孔200hを設けたが、積層膜200におけるバックシート220と電解質膜210とに貫通孔200hを設けるように変形してもよい。この変形例では、多孔性膜231に貫通孔200hは無いが、貫通孔200hはバックシート220から電解質膜210に達しているので、貫通孔200hからのエアー排出により、エアー溜まりの抑制を図ることができる。また、多孔性膜231に貫通孔200hを穿孔しない場合であっても、電解質膜210の厚み範囲において、溶融した電解質膜210の多孔性膜231への含浸の際に、貫通孔200hを電解質膜210で埋める。このため、多孔性膜231に加えて電解質膜210にも貫通孔200hが穿孔されていない場合に比べて、溶融した電解質膜210がバックシート220の貫通孔200hに浸入しない、または浸入が抑制される。こうしたバックシート220の厚み範囲の貫通孔200への電解質膜210の浸入抑制により、後工程においてバックシート220を剥離する際には、バックシート220が剥がしにくかったり、バックシート剥離に手間を要したりする、というような事態が起きないようにできるという利点がある。バックシート220と電解質膜210とに貫通孔200hを設けるには、図3に示す積層膜製造装置10における積層ロール122の上流側において、穿孔ピン340により貫通孔200hを設ければよい。また、穿孔ピン340のピン径規定や、ピン径に応じた膜幅方向ピッチWpと搬送方向ピッチLpの設定により、バックシート220の厚み範囲の貫通孔200hへの電解質膜210の浸入抑制を図ることができる。
上記の変形例では、積層膜200におけるバックシート220と電解質膜210とに貫通孔200hを設けたが、積層膜200におけるバックシート220のみに貫通孔200hを設けるようにしてもよい。この場合には、多孔性膜231および電解質膜210に貫通孔200hは無いが、貫通孔200hは、電解質膜210の膜面に達しているので、バックシート220における貫通孔200hからのエアー排出が可能であり、エアー溜まりの抑制を図ることができる。なお、バックシート220の厚み範囲の貫通孔200への電解質膜210の浸入抑制は、穿孔ピン340のピン径規定や、ピン径に応じた膜幅方向ピッチWpと搬送方向ピッチLpの設定により可能となる。バックシート220にのみ貫通孔200hを設けるには、図3に示す積層膜製造装置10における貼合ロール112の上流側において、穿孔ピン340により貫通孔200hを設ければよい。
10…積層膜製造装置
30…含浸装置
100…電解質膜製造部
110…バックシート貼合部
112…貼合ロール
114…バックシート繰出ロール
120…補強膜・電解質膜積層部
122…積層ロール
124…ペースト押出機
126…延伸機
200…積層膜
200h…貫通孔
200t…膜端面
201…補強型電解質膜
210…電解質膜
220…バックシート
230…補強膜
231…多孔性膜
300…搬送ローラー
310…第1ヒートロール
320…第2ヒートロール
330…搬送ローラー
340…穿孔ピン
350…穿孔補助治具
352…ピン案内孔
Te…最終膜厚
Tm…含浸過程膜厚
Ts…初期膜厚
Lp…搬送方向ピッチ
Wp…膜幅方向ピッチ

Claims (1)

  1. 電解質膜と該電解質膜を補強する補強膜としての多孔性膜とが積層された積層膜の両膜面にバックシートを積層する工程と、
    前記積層膜における前記電解質膜の前記多孔性膜への含浸を行う工程とを備える補強型電解質膜の製造方法において、
    前記含浸を行う工程よりも前に、少なくとも、前記バックシートに穿孔を設ける
    補強型電解質膜の製造方法。
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