JP2018084224A - 点火制御装置 - Google Patents

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圭一 大澤
Keiichi Osawa
圭一 大澤
中野 悌丞
Teijou Nakano
悌丞 中野
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Abstract

【課題】内燃機関の運転に影響を与えることなく、点火コイルの温度の上昇を抑制する。【解決手段】点火コイルの一次コイルに一次電流を通電した後、点火時期に一次電流を遮断することによって、点火コイルの二次コイルに、点火プラグへ供給される電圧を発生させる内燃機関の点火制御装置は、外部から、通電の開始時期と点火時期とを示す通電信号を取得する通電信号取得部と、内燃機関の回転速度を取得する回転速度取得部と、回転速度に基づいて、一次電流の目標値を決定する目標値決定部と、目標値に基づいて、開始時期から点火時期までの一次電流の通電時間に対する調整量を決定する調整量決定部と、通電信号によって示される開始時期を調整量に従って調整することによって、一次コイルに流れる一次電流の通電時間を調整する調整部と、を備える。【選択図】 図2

Description

本明細書は、点火プラグに放電を行わせるための点火コイルを制御する技術に関する。
点火コイルの一次コイルに通電した後、点火時期(点火のタイミング)に点火コイルの一次電流が遮断される。この結果、点火コイルの二次コイルに誘導起電力が発生し、該誘導起電力を点火プラグに印加し、点火プラグの放電が行われる。
特許文献1に記載の技術では、一次コイルに印加される電源電圧と一次電流から、点火コイルの温度が許容範囲にあるか否かが推測される。点火コイルの温度が許容範囲内にある場合には、正常に点火動作が行われ、点火コイルの温度が許容範囲外にある場合には、次回以降の一次電流の通電が停止される。これによって、点火コイルの発煙や焼損を防ぐことができる、とされている。
特開2005−42643号公報
しかしながら、上記技術では、点火コイルの温度が許容範囲外にある場合には、正常な点火動作が行われないので、内燃機関の運転に支障がある可能性があった。
本明細書は、内燃機関の運転に影響を与えることなく、点火コイルの温度の上昇を抑制できる技術を開示する。
本明細書に開示された技術は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
[適用例1]点火コイルの一次コイルに一次電流を通電した後、点火時期に前記一次電流を遮断することによって、前記点火コイルの二次コイルに、前記点火プラグへ供給される電圧を発生させる内燃機関の点火制御装置であって、
外部から、前記通電の開始時期と前記点火時期とを示す通電信号を取得する通電信号取得部と、
前記内燃機関の回転速度を取得する回転速度取得部と、
前記回転速度に基づいて、前記一次電流の目標値を決定する目標値決定部と、
前記目標値に基づいて、前記開始時期から前記点火時期までの前記一次電流の通電時間に対する調整量を決定する調整量決定部と、
前記通電信号によって示される前記開始時期を前記調整量に従って調整することによって、前記一次コイルに流れる前記一次電流の前記通電時間を調整する調整部と、
を備える、点火制御装置。
回転速度によって内燃機関の温度等の条件が異なるために、点火プラグに求められる着火性能も回転速度によって異なる。上記構成によれば、一次電流の通電時間が、内燃機関の回転速度に基づく調整量に従って調整される。この結果、求められる着火性能から見て過度に長い通電時間に亘って一次電流が流されることや、過度に大きな一次電流が流されることを抑制することができる。また、点火プラグの放電が停止されることもない。したがって、内燃機関の運転に影響を与えることなく、点火コイルの温度の上昇を抑制できる。
[適用例2]適用例1に記載の点火制御装置であって、さらに、
前記点火コイルが接続された電源の電圧を取得する電圧取得部を備え、
前記目標値決定部は、前記電源の電圧と、前記回転速度と、に基づいて、前記一次電流の前記目標値を決定する、点火制御装置。
電源の電圧が低いほど、所定の一次電流値に到達するために要する通電時間が長くなる。このため、電源の電圧が比較的低い場合には、一次電流の目標値が過度に高いと、通電時間が過度に長くなり点火コイルの温度が上昇しやすい。上記構成によれば、一次電流の通電時間が、電源の電圧と回転速度とに基づく調整量に従って調整される。この結果、求められる着火性能および電源の電圧から見て過度に長い通電時間に亘って、一次コイルに電流が流されることを抑制することができる。したがって、点火コイルの温度の上昇を、さらに、抑制できる。
[適用例3]適用例1または2に記載の点火制御装置であって、さらに、
前回の点火時の前記一次電流の実測値を取得する実測値取得部を備え、
前記調整量決定部は、前記実測値と、前記目標値と、に基づいて、前記調整量を決定する、点火制御装置。
上記構成によれば、前回の点火時の一次電流の実測値と、目標値と、に基づいて調整量を決定するので、一次電流が目標値に近づくように適切な調整量を決定できる。
[適用例4]適用例3に記載の点火制御装置であって、
前記目標値が前記実測値より小さい場合には、次回の点火時の前記通電時間が、前回の点火時の前記通電時間より短くなるように、次回の点火時の前記通電時間に対する前記調整量を決定する、点火制御装置。
上記構成によれば、目標値が実測値より小さい場合に、次回の点火時の通電時間を前回より短くするので、一次電流が過度に大きくなることを適切に抑制できる。この結果、点火コイルの温度の上昇を、適切に抑制できる。
[適用例5]適用例3または4に記載の点火制御装置であって、
前記目標値が前記実測値より大きい場合には、次回の点火時の前記通電時間が、前回の点火時の前記通電時間より長くなるように、次回の点火時の前記通電時間に対する前記調整量を決定する、点火制御装置。
上記構成によれば、目標値が実測値より大きい場合に、次回の点火時の通電時間を前回より長くするので、一次電流が過度に小さくなることを適切に抑制できる。この結果、内燃機関の失火を抑制できる。
[適用例6]適用例1〜5のいずれかに記載の点火制御装置であって、
前記目標値決定部は、前記回転速度が第1の速度である場合に、前記目標値を第1の値に決定し、前記回転速度が前記第1の速度より高い第2の速度である場合に、前記目標値を前記第1の値より小さな第2の値に決定する、点火制御装置。
上記構成によれば、回転速度が第1の速度より高い第2の速度である場合に、目標値が第1の値より低い第2の値に決定されるので、求められる着火性能から見て過度に高い一次電流が流されることを抑制できる。
[適用例7]適用例2に記載の点火制御装置であって、
前記目標値決定部は、前記回転速度が第3の速度であり、かつ、前記電源の電圧が第1の電圧である場合に、前記目標値を第3の値に決定し、前記回転速度が前記第3の速度より高い第4の速度であり、かつ、前記電源の電圧が前記第1の電圧より低い第2の電圧である場合に、前記目標値を前記第3の値より小さな第4の値に決定する、点火制御装置。
上記構成によれば、回転速度が第3の速度より高い第4の速度であり、かつ、電源の電圧が第1の電圧より低い第2の電圧である場合に、目標値が第3の値より低い第4の値に決定される。この結果、求められる着火性能および電源の電圧から見て過度に高い一次電流が流されることを抑制できる。
[適用例8]適用例2および7に記載の点火制御装置であって、さらに、
前記回転速度と前記電源の電圧との複数個の組み合わせと、複数個の前記目標値と、の対応関係を規定したマップが格納されたメモリを備え、
前記目標値決定部は、前記マップを参照して、前記目標値を決定する、点火制御装置。
上記構成によれば、マップを参照することにより、容易に適切な目標値を決定できる。
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、点火コイルを含む点火装置、点火プラグと点火コイルを含む点火システム、点火コイルの制御方法、上記の装置、システム、方法を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、等の形態で実現することができる。
本実施形態の点火システム1000の構成を示すブロック図である。 主制御回路110が実行する制御処理のフローチャートである。 マップMPの一例を示す概念図である。 各種の信号と一次電流および一次電圧の一例を示す図である。 電源電圧VDと通電時間Tとの関係を説明する図である。 変形例のマップの一例を示す図である。
A.実施形態:
A−1.点火システムの構成:
図1は本実施形態の点火システム1000の構成を示すブロック図である。点火システム1000は、点火制御装置100と、点火コイル200と、点火プラグ10と、エンジンコンピュータ(ECU)300と、内燃機関400と、バッテリー500と、を備えている。点火システム1000は、本実施形態では、図示しない車両に搭載されている。
内燃機関400は、燃焼室内で、燃料と空気の混合気を燃焼させて、当該燃焼のエネルギーをクランクシャフトの回転エネルギーに変換する装置である。
点火プラグ10は、内燃機関400に取り付けられ、内燃機関400の燃焼室内の混合気に着火するために用いられる。点火プラグ10は、プラグコードに接続される中心電極12と、接地される接地電極13と、を備え、中心電極12と接地電極13との間に形成された間隙(火花ギャップ)に、火花放電を発生させる。発生した火花放電によって混合気に着火される。点火プラグ10に火花放電を発生させることを、「点火プラグ10の点火」とも表現する。
バッテリー500は、公知の蓄電池であり、点火制御装置100、点火コイル200、ECU300に、動作のための電力を供給する電源である。
点火コイル200は、一次コイル210と二次コイル220とを備え、昇圧トランスとして機能する。一次コイル210の一端は、バッテリー500と接続されており、他端は後述する点火制御装置100に接続されている。二次コイル220の一端は、バッテリー500と接続されており、他端は、プラグコードを介して、点火プラグ10の中心電極12に接続されている。一次コイル210を流れる電流を一次電流I1と呼び、接地電位に対する一次コイル210の接地側の電位(図1の点P1における電位)を一次電圧V1と呼ぶ。
ECU300は、CPUとメモリとを備えるマイクロコンピュータであり、内燃機関400を制御する。ECU300は、点火制御装置100と通信線を介して通信可能に接続されている。ECU300は、内燃機関400に装着されたクランク角センサ410から出力されるクランク角信号CAを取得する。ECU300は、クランク角信号CAによって、内燃機関400のクランクシャフトの動作を検知することで、内燃機関400のクランクシャフトの回転速度R(単位は、例えば、rpm)を取得する。ECU300は、点火制御装置100に、内燃機関400の回転速度Rを示す回転速度信号ERを、所定間隔で定期的に供給する。ECU300は、内燃機関400を動作させる際に、点火制御装置100に、点火プラグ10の点火を指示するための通電信号CS1を供給する。通電信号CS1については後述する。
点火制御装置100は、点火コイル200の一次コイル210に流れる一次電流I1を制御することによって、点火コイル200に接続された点火プラグ10の点火を行う。すなわち、点火制御装置100は、点火プラグ10の点火時期に先立って、一次コイル210に一次電流I1を流す。そして、点火制御装置100は、点火時期に一次コイル210に流れる一次電流I1を遮断する。この結果、一次コイル210および二次コイル220に誘導起電力(ピーク電圧)が発生し、二次コイル220に発生した誘導起電力が点火プラグ10に供給される。供給された誘導起電力によって点火プラグの点火が行われる。これらの制御処理の詳細は後述する。
点火制御装置100は、主制御回路110と、通電時間制御回路120と、ドライブ回路130と、一次電流検出回路140と、スイッチ150と、を備えている。
通電時間制御回路120には、ECU300から通電信号CS1が入力され、主制御回路110から調整信号AS(後述)が入力される。通電時間制御回路120は、調整信号ASを用いて通電信号CS1を調整することによって、調整済通電信号CS2を生成する。通電時間制御回路120は、調整済通電信号CS2をドライブ回路130に供給する。
ドライブ回路130は、受信した調整済通電信号CS2に基づいて、スイッチ150を通電状態と遮断状態とのいずれかに制御するための駆動信号DSを生成して、スイッチ150に供給する。
スイッチ150は、パワートランジスタ、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。スイッチ150は、一次コイル210を接地する配線上に配置されている。スイッチ150は、ドライブ回路130と接続されており、駆動信号DSが入力される。スイッチ150は、駆動信号DSに従って、通電状態と遮断状態のいずれかに制御される。通電状態では、一次コイル210への一次電流I1の通電が許容され、遮断状態では、一次コイル210への一次電流I1の通電が遮断される。
一次電流検出回路140は、一次コイル210を接地する配線上に配置され、一次コイル210に流れる一次電流I1を検出する。一次電流検出回路140は、一次電流I1の大きさを示す一次電流検出信号SSを主制御回路110に供給する。
主制御回路110は、図示しないCPUと、メモリ112と、を備えるマイクロコンピュータである。メモリ112には、コンピュータプログラムPGと、マップMPと、が格納されている。コンピュータプログラムPGおよびマップMPは、製造時に、メモリ112に予めインストールされる形態で提供される。
主制御回路110は、コンピュータプログラムPGを実行することによって、後述する制御処理を実行する。主制御回路110には、ECU300から通電信号CS1と、回転速度信号ERと、が入力される。主制御回路110には、一次電流検出回路140から一次電流検出信号SSが入力され、バッテリー500から電源電圧VDが入力される。主制御回路110は、A/Dコンバータを備えており、入力される電源電圧VDや、一次電流検出信号SSから、電源電圧VDおよび一次電流I1を取得することができる。また、詳細は後述するが、主制御回路110は、入力される信号CS1、ER、SS、VDに基づいて、調整信号ASを生成して、通電時間制御回路120に供給する。
A−2.点火システム1000の動作:
図2を参照して点火システム1000の動作を、点火制御装置100の動作を中心に説明する。図2は、点火制御装置100の主制御回路110が実行する制御処理のフローチャートである。主制御回路110は、図2の制御処理を、常時、繰り返し実行している。
S10では、主制御回路110は、内燃機関400の現在の回転速度Rを取得する。具体的には、定期的に入力される回転速度信号ERのうち、最後に入力された回転速度信号ERによって示される回転速度を、現在の回転速度Rとして取得する。
S15では、主制御回路110は、入力される電源電圧VDを測定することによってバッテリー500の現在の電源電圧VDを取得する。
S20では、主制御回路110は、回転速度Rと、電源電圧VDと、に基づいて、マップMPを参照して、一次電流I1の目標値Itを決定する。
図3は、マップMPの一例を示す概念図である。マップMPは、電源電圧VDと回転速度RとのM個(Mは2以上の整数)の組み合わせと、M個の目標値Itと、の対応関係を規定している。図3のハッチングされた面は、目標値Itが位置する面である。ハッチングされた面のうち、領域A1では、目標値Itは、一定の値Icに規定されている。領域A2では、目標値Itは、領域A1における一定の値Icより小さな値に規定されている。領域A2では、電源電圧VDが一定であるとすると、回転速度Rが高くなるに連れて、対応する目標値Itは小さくなる。領域A2では、回転速度Rが一定であるとすると、電源電圧VDが低くなるに連れて、対応する目標値Itは小さくなる。
例えば、領域A1と領域A2との境界線を基準線L1とすると、基準線L1より電源電圧VDが高く、かつ、回転速度Rが低い場合には、目標値Itは、一定の値Icに決定される。また、基準線L1より電源電圧VDが低く、かつ、回転速度Rが高い場合には、目標値Itは、一定の値Icより小さな値に決定される。
また、領域A1に含まれる点Paに対応する電源電圧VD、回転速度R、目標値Itを、それぞれ、VDa、Ra、Itaとする。領域A2に含まれる点Pbに対応する電源電圧VD、回転速度R、目標値Itを、それぞれ、VDb、Rb、Itbとする。図3に示すように、VDa=VDb、Ra<Rb、Ita>Itbである。これらの2点Pa、Pbの関係から、主制御回路110は、現在の回転速度Rが第1の速度Raである場合に、目標値Itを第1の値Itaに決定し、現在の回転速度Rが第1の速度Raより高い第2の速度Rbである場合に、目標値Itを第1の値Itaより小さな第2の値Itbに決定する、場合があることが解る。
さらに、領域A1に含まれる点Pcに対応する電源電圧VD、回転速度R、目標値Itを、それぞれ、VDc、Rc、Itcとする。領域A2に含まれる点Pdに対応する電源電圧VD、回転速度R、目標値Itを、それぞれ、VDd、Rd、Itdとする。図3に示すように、VDc>VDd、Rc<Rd、Itc>Itdである。これらの2点Pc、Pdの関係から、主制御回路110は、現在の回転速度Rが第3の速度Rcであり、かつ、現在の電源電圧VDが第1の電圧VDcである場合に、目標値Itを第3の値Itcに決定し、現在の回転速度Rが第3の速度Rcより高い第4の速度Rdであり、かつ、現在の電源電圧VDが第1の電圧VDcより低い第2の電圧VDdである場合に、目標値Itを第3の値Itcより小さな第4の値Itdに決定する、場合があることが解る。
このようなマップMPは、例えば、内燃機関400を用いた実機試験において、一次電流I1、電源電圧VD、回転速度Rを変更しながら、点火コイル200の温度と、失火の有無を評価し、当該評価の結果に基づいて、予め作成される。本実施例では、実験の結果から、一次電流I1を一定の値Icとした場合に、点火コイル200が基準温度以上となる電源電圧VDおよび回転速度Rの範囲について、失火が起きず、かつ、一定の値Icより低い一次電流I1を特定することで、マップMPが作成されている。
目標値Itが決定されると、S25では、決定された目標値Itと、前回の点火時の一次電流I1の実測値Ipreとに基づいて、調整量AJを決定する。前回の点火時の一次電流I1の実測値Ipreは、前回の点火時に後述するS50で取得された値である。初回の点火時には、実測値Ipreは存在しないので、例えば、調整量AJは、ゼロに決定される。
2回目以降の点火時には、調整量AJは、以下のように決定される。目標値Itが、前回の一次電流I1の実測値Ipreより小さい場合、すなわち、(It<Ipre)が満たされる場合には、調整量AJは、前回の調整量AJpreに刻み量ΔAJを加算した値に決定される(AJ=AJpre+ΔAJ)。ここで、AJpreは、前回の点火時の調整量、すなわち、前回のS25にて決定された調整量である。刻み量ΔAJは、予め決定された値であり、例えば、指定通電時間T0の0.0002%〜0.004%程度の値である。このように、目標値Itが実測値Ipreより小さい場合には、調整量AJは、前回の調整量AJpreより大きな値に決定される。
目標値Itが、前回の一次電流I1の実測値Ipreより大きい場合、すなわち、(It>Ipre)が満たされる場合には、調整量AJは、前回の調整量AJpreから刻み量ΔAJを減算した値に決定される(AJ=AJpre−ΔAJ)。このように、目標値Itが実測値Ipreより大きい場合には、調整量AJは、前回の調整量AJpreより小さな値に決定される。
目標値Itが、前回の一次電流I1の実測値Ipreと等しい場合、すなわち、(It=Ipre)が満たされる場合には、調整量AJは、前回の調整量AJpreと等しい値に決定される(AJ=AJpre)。
指定通電時間T0は、基本的には、同じ値であり、少なくとも急激には変化しないので、このように、調整量AJが決定されることによって、最終的な通電時間Tは、点火時期における一次電流I1が目標値Itに近づくように調整される。例えば、指定通電時間T0を採用した場合には、点火時期における一次電流I1が目標値Itと大幅に異なる値となる場合でも、段階的に、目標値Itに近づくように、通電時間Tが調整される。
S30では、主制御回路110は、決定された調整量AJをメモリ112に記憶する。S35では、主制御回路110は、通電信号CS1を受信したか否かを判断する。主制御回路110は、通電信号CS1を受信していない場合には(S35:NO)、通電信号CS1を受信するまで待機し、通電信号CS1を受信した場合には(S35:YES)、S40に処理を進める。
図4は、各種の信号と、一次電流I1および一次電圧V1の一例を示す図である。図4では、横軸を時間軸として、n(nは1以上の整数)回目から(n+2)回目までの3回分の点火について、上述した各種の信号CS1、AS、CS2、DS、および、一次電流I1、一次電圧V1が図示されている。1回分の通電信号CS1は、1個のパルス信号であり、ECU300によって指定された点火プラグ10の点火時期と、一次電流I1の通電時間(指定通電時間T0と呼ぶ)と、を示す。1回分の通電信号CS1の開始エッジSE1は、一次電流I1の通電の開始時期を示し、1回分の通電信号CS1の終了エッジEE1は、一次電流I1の通電の遮断時期、すなわち、点火時期を示す。開始エッジSE1から終了エッジEE1までの時間、すなわち、1回分の通電信号CS1においてON状態に維持される時間は、指定通電時間T0を示す。S35では、主制御回路110は、ECU300から開始エッジSE1が入力されたときに、通電信号CS1を受信したと判断する。
S40では、主制御回路110は、調整量AJに従って、一次電流I1の通電の開始時期を調整する。具体的には、主制御回路110は、調整量AJを示すパルス信号である調整信号ASを生成して、通電時間制御回路120に供給する。調整信号ASでは、開始エッジSE2が、対応する通電信号CS1の開始エッジSE1と同時期に設定される。調整信号ASでは、終了エッジEE2が、開始エッジSE2から終了エッジEE2までの時間が調整量AJを示すように設定される。図4の例では、n回目の調整信号ASは、調整量AJがゼロである場合を示しており、調整信号ASは、常時OFF状態に維持されている。また、図4の例では、(n+1)回目の調整信号ASは、所定の調整量AJ(n+1)を示すパルス信号であり、(n+2)回目の調整信号ASは、調整量AJ(n+1)より短い調整量AJ(n+2)を示すパルス信号である。
通電時間制御回路120は、調整信号ASが入力されると、通電信号CS1と調整信号ASとに基づいて、調整済通電信号CS2を生成して、ドライブ回路130に供給する。調整済通電信号CS2は、開始エッジSE3が一次電流I1の通電の開始時期tsを示し、終了エッジEE3が一次電流I1の遮断時期(すなわち、点火時期te)を示すパルス信号である。調整済通電信号CS2では、開始エッジSE3が、調整信号ASの終了エッジEE1と同じ時期に設定され、終了エッジEE3が、通電信号CS1の終了エッジEE1と同じ時期に設定される。すなわち、点火プラグ10の点火時期teは、ECU300に指定された点火時期(通電信号CS1の終了エッジEE1の時期)から変更されない。そして、一次電流I1の通電の開始時期tsは、ECU300に指定された開始時期(通電信号CS1の開始エッジSE1の時期)より調整量AJ分(調整信号ASの幅分)だけ遅くされる。これによって、点火時期teが変更されることなく、一次電流I1の通電時間Tが、指定通電時間T0より調整量AJ分だけ短い時間に調整される(T=T0−AJ)。通電時間Tは、図4に示すように、調整済通電信号CS2の開始エッジSE3から終了エッジEE3までの時間である。n回目の通電時間T(n)は、調整量AJ(n)がゼロであるので、指定通電時間T0(n)と同じである。(n+1)回目、および、(n+2)回目の通電時間T(n+1)、T(n+2)は、指定通電時間T0(n+1)、T0(n+2)より、それぞれ、調整量AJ(n+1)、AJ(n+2)分だけ短い(T(n+1)=T0(n+1)−AJ(n+1)、T(n+2)=T0(n+2)−AJ(n+2))。
ドライブ回路130は、調整済通電信号CS2が入力されると、調整済通電信号CS2をスイッチ150の制御に適した電位に増幅することによって、駆動信号DSを生成する。図4に示すように、駆動信号DSの開始エッジSE4および終了エッジEE4の時期は、調整済通電信号CS2の開始エッジSE3および終了エッジEE3の時期と、同一である。生成された駆動信号DSは、スイッチ150(本実施形態では、IGBTのゲート)に供給される。スイッチ150は、駆動信号DSがON状態のときに、通電状態、すなわち、一次電流I1の通電が許容される状態となる。スイッチ150は、駆動信号DSがON状態のときに、遮断状態、すなわち、一次電流I1の通電が遮断される状態となる。
図4に示すように、一次電流I1は、通電の開始時期ts(調整済通電信号CS2の開始エッジSE3)から、点火時期te(調整済通電信号CS2の終了エッジEE3)にかけて、直線的に増加する。このために、電源電圧VDが同じであれば、通電時間Tが長いほど、点火時期teにおける一次電流I1は、大きくなる。例えば、図4の例では、通電時間Tは、T(n)>T(n+2)>T(n+1)であるので、点火時期teにおける一次電流I1は、I1(n)>I1(n+2)>I1(n+1)である。点火コイル200に蓄えられるエネルギーは、一次電流I1の二乗に比例する。したがって、点火時期teの一次電流I1が大きいほど、点火時期teに点火プラグ10に供給される電気エネルギーが大きくなり、点火時の点火プラグ10の着火性能も高くなる。
ここで、図4の一次電圧V1について説明する。一次電圧V1は、スイッチ150が遮断状態にある場合には、点火時期teの直後を除いて、電源電圧VDとなる。一次電圧V1は、スイッチ150が通電状態にある場合には、接地電圧(0V)となる。そして、一次電圧V1は、点火時期teの直後(スイッチ150が通電状態から遮断状態に遷移した直後)には、点火時期teの一次電流I1(正確には、スイッチ150が通電状態から遮断状態に遷移する直前の一次電流I1)に応じたピーク電圧になる。
S45では、主制御回路110は、点火時期teに到達したか否かを判断する。具体的には、主制御回路110は、ECU300からの通電信号CS1の終了エッジEE1を受信した場合には、点火時期teに到達したと判断する。主制御回路110は、点火時期teに到達していない場合には(S45:NO)、点火時期teに到達するまで待機し、点火時期teに到達した場合には(S45:YES)、S50に処理を進める。
S50では、主制御回路110は、点火時期teにおける一次電流I1、正確には、スイッチ150が通電状態から遮断状態に遷移する直前の一次電流I1を取得する。主制御回路110は、常時、一次電流検出回路140からの一次電流検出信号SSを測定して、一次電流I1をモニターしている。主制御回路110は、点火時期teに到達したと判断したときに、その直前の一次電流I1を、点火時期teにおける一次電流I1として取得する。一次電流I1は、図4に示すように、点火時期teの直前がピークであり、点火時期teの直後に、ゼロになる。このために、主制御回路110は、一次電流I1をモニターし、点火時期teがゼロになったときに、その直前のピーク電流を、点火時期teにおける一次電流I1として取得しても良い。
なお、点火時期teに到達すると、主制御回路110が何ら処理を行わなくても、ECU300が供給する通電信号CS1に基づいて、通電時間制御回路120およびドライブ回路130によって、スイッチ150が通電状態から遮断状態に切り替えられる。この結果、点火プラグ10の点火が行われる。
S50の後に、主制御回路110は、S10に戻って、上述したS10〜S50までの処理を繰り返す。これによって、点火プラグ10の点火が行われるごとに、通電時間の調整が行われる。
以上説明した本実施形態によれば、点火制御装置100は、外部から、本実施形態では、ECU300から、一次電流検出回路140の通電の開始時期tsと点火時期teとを示す通電信号CS1を取得する(図1)。点火制御装置100の主制御回路110は、内燃機関400の回転速度Rを取得する(図2のS10)。主制御回路110は、回転速度Rに基づいて、一次コイル210に流すべき一次電流I1の目標値Itを決定する(図2のS20)。そして、主制御回路110は、目標値Itに基づいて、一次電流I1の指定通電時間T0に対する調整量AJを決定する(図2のS25)。そして、主制御回路110と通電時間制御回路120とドライブ回路130とは、通電信号CS1によって示される開始時期(図4の開始エッジSE1の時期)を調整量AJに従って調整することによって、一次コイル210に流れる一次電流I1の通電時間Tを調整する(図2のS40)。このように、本実施形態によれば、一次電流I1の通電時間Tが、内燃機関400の回転速度Rに基づく調整量AJに従って調整される。この結果、点火プラグ10に求められる着火性能から見て過度に長い通電時間Tに亘って一次電流I1が流されることや、過度に大きな一次電流I1が流されることを抑制することができる。また、点火プラグ10の点火が停止されることもない。したがって、内燃機関400の運転に影響を与えることなく、点火コイル200の温度の上昇を抑制できる。
回転速度Rによって内燃機関400の温度等の条件が異なるために、点火プラグ10に求められる着火性能も回転速度Rによって異なる。例えば、回転速度Rが高いほど、混合気の燃焼が行われる頻度が高くなり、内燃機関400が冷却される時間が短くなる。したがって、回転速度Rが高いほど内燃機関400は高温となる。内燃機関400が高温になるほど、点火プラグ10も高温となるので、点火プラグ10の火花ギャップの抵抗が小さくなる。また、混合気も高温になるので、混合気の着火に必要なエネルギーも小さくなる。この結果、点火プラグ10に求められる着火性能が低下するので、点火プラグ10に供給すべき電気エネルギーも低下する。この結果、回転速度Rが高いほど、点火時期teにおいて必要な一次電流I1も小さくなる。
また、回転速度Rが低いほど、内燃機関400の温度が低温になるため、点火プラグ10の火花ギャップの抵抗が大きくなり、また、混合気の温度も低温になる。この結果、内燃機関400の着火が不安定になり、失火などの不具合が生じやすい。このため、回転速度Rが高いほど、点火時期teにおいて必要な一次電流I1は大きくなる。
一方で、回転速度Rが大きいほど点火コイル200への通電頻度が高くなるので、点火コイル200で発生する熱量(ジュール熱)は、回転速度Rが高いほど大きくなる。また、点火コイル200で発生する熱量は、通電時間Tが長くなるほど大きくなり、かつ、一次電流I1が大きくなるほど大きくなる。このため、回転速度Rが高い場合において、一次電流I1が過度に大きくなると、通電時間Tも長くなるので、点火コイル200が過度に加熱し得る。点火コイル200が過度に加熱すると、点火コイル200の導電線を被覆する絶縁材が劣化して、導電線のショートなどの不具合が発生して、点火コイル200の寿命が極端に低下する可能性がある。そして、回転速度Rが低い場合には、点火コイル200への通電頻度が低いために、点火コイル200の温度はそれほど上昇しない。
以上の説明から解るように、回転速度Rが高いほど必要な一次電流I1が低くなるので、回転速度Rが高い領域では、点火時期teにおける一次電流I1を小さくしても、混合気への着火(すなわち、内燃機関400への運転)への問題はない。また、回転速度Rが高い領域では、点火時期teにおける一次電流I1を小さくすることで、通電時間Tも短くなり、その結果、点火コイル200の温度の上昇を抑制できる。そして、回転速度Rが低い場合には、点火時期teにおける一次電流I1を低くすると、混合気への着火が安定せず、失火等の不具合が起こりえるので、一次電流I1をある程度高くする必要性が高い。また、回転速度Rが低い場合には、一次電流I1を比較的大きくしても、点火コイル200の温度上昇が問題になりにくい。このことから、回転速度Rに応じて適切な一次電流I1の目標値Itを決定して、通電時間Tを調整することで、内燃機関400の運転に影響を与えることなく、点火コイル200の温度の上昇を抑制できることが解る。
本実施形態では、さらに、主制御回路110は、点火コイル200が接続されたバッテリー500の現在の電源電圧VDを取得する(図2のS15)。そして、主制御回路110は、電源電圧VDと、回転速度Rと、に基づいて、一次電流I1の目標値Itを決定する(図2のS20)。この結果、求められる着火性能および電源電圧VDから見て過度に長い通電時間Tに亘って、一次コイル210に電流が流されることを抑制することができる。したがって、点火コイル200の温度の上昇を、さらに、抑制できる。
図5は、電源電圧VDと、通電時間Tと、の関係を説明する図である。図5において、実線で示すラインEX1は、電源電圧VDが特定の電圧VDaである場合における一次電流I1の変化を示す。破線で示すラインEX2は、電源電圧VDが、特定の電圧VDaより低い電圧VDbである場合における一次電流I1の変化を示す。図5に示すように、一次電流I1は、電源電圧VDが低いほど、通電の開始時期tsから緩やかに上昇し、電源電圧VDが高いほど、通電の開始時期tsから急激に上昇する。したがって、特定の点火時期teにおいて特定の一次電流I1に到達するためには、電源電圧VDが低いほど、開始時期tsを早くして、通電時間Tを長くする必要がある。図5の例では、電源電圧VDが電圧VDbである場合における開始時期ts2は、電源電圧VDが電圧VDaである場合の開始時期ts1より早い時期である。また、電源電圧VDが電圧VDbである場合における通電時間T2は、電源電圧VDが電圧VDaである場合の通電時間T1より長い。
このように、電源電圧VDが低いほど、所定の一次電流I1に到達するために要する通電時間Tが長くなる。このため、電源電圧VDが比較的低い場合には、一次電流I1の目標値Itが過度に高いと、通電時間Tが過度に長くなり点火コイル200の温度が上昇しやすい。本実施形態では、電源電圧VDが比較的低く、かつ、回転速度Rが比較的高い場合には、電源電圧VDが比較的高い、あるいは、回転速度Rが比較的低い場合と比較して、目標値Itが小さな値に設定される(図3参照)。この結果、点火コイル200の温度の上昇をより適切に抑制できる。
さらに、本実施形態によれば、主制御回路110は、前回の点火時期teにおける一次電流I1の実測値Ipreと、目標値Itと、に基づいて、調整量AJを決定する(図2のS25)。通電信号CS1によって指定される指定通電時間T0は、点火時期teに到達するまで主制御回路110には解らないが、指定通電時間T0は急激に変化することはほとんど無いために、次回の指定通電時間T0と、前回の指定通電時間T0とは、ほぼ同じであると考えられる。このために、前回の一次電流I1の実測値Ipreを基準に、次回の一次電流I1に到達するための調整量AJを決定すれば、次回の点火時期teにおける一次電流I1が目標値Itに近づくように適切な調整量AJを決定できる。
さらに、本実施形態によれば、調整量AJは、目標値Itが前回の実測値Ipreより小さい場合には、前回の調整量AJpreに刻み量ΔAJを加算した値に決定される(AJ=AJpre+ΔAJ)。従って、この場合には、前回の指定通電時間T0が次回の指定通電時間T0と等しいと仮定すれば、次回の点火時の通電時間(T0−AJ)が、前回の点火時の通電時間(T0−AJpre)より短くなるように、次回の点火時の通電時間Tに対する調整量AJが決定される。この結果、目標値Itが実測値Ipreより小さい場合に、一次電流I1がさらに大きくなることを適切に抑制できる。この結果、点火コイル200の温度の上昇を、適切に抑制できる。
さらに、本実施例によれば、調整量AJは、目標値Itが実測値Ipreより大きい場合には、調整量AJは、前回の調整量AJpreから刻み量ΔAJを減算した値に決定される(AJ=AJpre−ΔAJ)。従って、この場合には、前回の指定通電時間T0が次回の指定通電時間T0と等しいと仮定すれば、次回の点火時の通電時間(T0−AJ)が、前回の点火時の通電時間(T0−AJpre)より長くなるように、次回の点火時の通電時間Tに対する調整量AJpreが決定される。この結果、目標値Itが実測値Ipreより大きい場合に、一次電流I1がさらに小さくなることを適切に抑制できる。この結果、内燃機関400の失火を抑制できる。
さらに、本実施形態によれば、図3を参照して説明したように、主制御回路110は、現在の回転速度Rが第1の速度Raである場合に、目標値Itを第1の値Itaに決定し、現在の回転速度Rが第1の速度Raより高い第2の速度Rbである場合に、目標値Itを第1の値Itaより小さな第2の値Itbに決定する。この結果、回転速度Rが第1の速度Raより高い第2の速度Rbである場合に、目標値Itが第1の値Itaより低い第2の値Itbに決定されるので、求められる着火性能から見て過度に高い一次電流I1が流されることを抑制できる。
さらに、本実施形態によれば、図3を参照して説明したように、主制御回路110は、現在の回転速度Rが第3の速度Rcであり、かつ、現在の電源電圧VDが第1の電圧VDcである場合に、目標値Itを第3の値Itcに決定し、現在の回転速度Rが第3の速度Rcより高い第4の速度Rdであり、かつ、現在の電源電圧VDが第1の電圧VDcより低い第2の電圧VDdである場合に、目標値Itを第3の値Itcより小さな第4の値Itdに決定する。この結果、回転速度Rが第3の速度Rcより高い第4の速度Rdであり、かつ、電源電圧VDが第1の電圧VDcより低い第2の電圧VDdである場合に、目標値Itが第3の値Itcより低い第4の値Itdに決定される。この結果、求められる着火性能および電源電圧VDから見て過度に高い一次電流I1が流されることを抑制できる。
さらに、本実施形態によれば、点火制御装置100は、回転速度Rと電源電圧VDとの複数個の組み合わせと、複数個の目標値Itと、の対応関係を規定したマップMP(図3)が格納されたメモリ112(図1)を備える。そして、主制御回路110は、マップMPを参照して、目標値Itを決定する。この結果、マップMPを参照することにより、容易に適切な目標値Itを決定できる。
B.変形例
(1)上記実施形態では、回転速度Rと、電源電圧VDと、に基づいて、目標値Itが決定されている。これに代えて、回転速度Rに基づいて、電源電圧VDを用いずに、目標値Itが決定されても良い。図6は、変形例のマップMPbの一例を示す図である。図6のマップMPbでは、回転速度Rに対して、目標値Itが対応付けられている。このマップMPbでは、基準速度Rth以下の回転速度Rに対しては、一定の値Icが対応付けられている。そして、基準速度Rthより大きな回転速度Rに対しては、一定の値Icより小さな値が対応付けられている。基準速度Rthより大きな回転速度Rの範囲では、回転速度Rが高くなるに連れて、対応する目標値Itは小さくなる。本変形例では、図2のS20にて、当該マップMPbを参照して、目標値Itが決定される。この場合には、図2のS15は、省略される。
(2)上記実施形態では、目標値Itと実測値Ipreとに基づいて、調整量AJが決定されている。これに代えて、例えば、複数個の目標値Itのそれぞれに、調整量AJが予め対応付けられており、目標値Itのみに基づいて、調整量AJが決定されても良い。例えば、目標値Itが一定の値Icである場合には、調整量AJは比較的小さな値(例えば、ゼロ)に決定され、目標値Itが一定の値Icより小さな値である場合には、調整量AJは比較的大きな値(例えば、(Ic−It)に比例する値)に決定されても良い。
(3)上記実施形態では、調整量AJは、目標値Itが実測値Ipreより小さい場合には、前回の調整量AJpreに刻み量ΔAJを加算した値に決定され、目標値Itが実測値Ipreより大きい場合には、前回の調整量AJpreから刻み量ΔAJを減算した値に決定される。これに代えて、調整量AJは、目標値Itが実測値Ipreより閾値Ith(Ith>0)以上小さい場合には、前回の調整量AJpreに刻み量ΔAJを加算した値に決定され、目標値Itが実測値Ipreより閾値Ith以上大きい場合には、前回の調整量AJpreから刻み量ΔAJを減算した値に決定されても良い。そして、目標値Itと実測値Ipreとの差の絶対値が、閾値Ith未満である場合には、調整量AJは、前回の調整量AJpreに決定されても良い。
(4)上記実施形態の図3のマップMPは、一例であり、これに限られない。例えば、回転速度Rが基準より低く、かつ、電源電圧VDが基準より高い範囲では、点火コイル200の温度上昇が問題になりにくい。このために、マップMPでは、回転速度Rが基準より低く、かつ、電源電圧VDが基準より高い範囲では、内燃機関400の運転の安定化を優先して、一定の値Icより大きな目標値Itが設定されていても良い。また、内燃機関では、回転速度Rによって空燃比等の運転条件が異なるために、点火プラグ10に高い着火性能が求められる回転速度Rの範囲と、点火プラグ10に高い着火性能が求められない回転速度R範囲と、が存在し得る。このため、マップMPでは、内燃機関の特性に応じて、点火プラグ10に高い着火性能が求められる回転速度Rの範囲内では、比較的高い目標値Itが設定され、当該範囲外では、比較的低い目標値Itが設定されても良い。
(5)上記実施形態では、回転速度Rと電源電圧VDとの組み合わせと、目標値Itと、の対応関係は、マップMPによって規定されている。これに代えて、回転速度Rと電源電圧VDとの組み合わせと、目標値Itと、の対応関係は、回転速度Rと電源電圧VDを入力値とし、目標値Itを出力値とする関数(数式)によって規定されていても良い。
(6)上記実施形態では、図2の制御処理を常時行っている。これに代えて、基準より回転速度Rが低い場合には、図2の制御処理を行わず、基準より回転速度Rが高い場合にのみ、図3の制御処理を行っても良い。
(7)上記実施形態では、主制御回路110は、ECU300から回転速度Rを示す回転速度信号ERを取得することで、内燃機関400の回転速度Rを取得している。これに代えて、ECU300から入力される通電信号CS1の入力頻度を計算して、回転速度Rを特定することによって、回転速度Rを取得しても良い。また、主制御回路110は、電源電圧VDを自ら測定することで、電源電圧VDを取得しているが、ECU300から電源電圧VDを示す信号を取得することで、電源電圧VDを取得しても良い。
(8)また、本発明の機能の一部または全部がコンピュータプログラムで実現される場合には、そのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体(例えば、一時的ではない記録媒体)に格納された形で提供することができる。プログラムは、提供時と同一または異なる記録媒体(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)に格納された状態で、使用され得る。「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」は、例えば、各種ROMやRAM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスクドライブ等のコンピュータに接続されている外部記憶装置も含み得る。
以上、実施例、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。
10...点火プラグ、12...中心電極、13...接地電極、50...主体金具、100...点火制御装置、110...主制御回路、112...メモリ、120...通電時間制御回路、130...ドライブ回路、140...一次電流検出回路、150...スイッチ、200...点火コイル、210...一次コイル、220...二次コイル、300...ECU、400...内燃機関、410...クランク角センサ、500...バッテリー、1000...点火システム、PG...コンピュータプログラム、MP、MPb...マップ

Claims (8)

  1. 点火コイルの一次コイルに一次電流を通電した後、点火時期に前記一次電流を遮断することによって、前記点火コイルの二次コイルに、前記点火プラグへ供給される電圧を発生させる内燃機関の点火制御装置であって、
    外部から、前記通電の開始時期と前記点火時期とを示す通電信号を取得する通電信号取得部と、
    前記内燃機関の回転速度を取得する回転速度取得部と、
    前記回転速度に基づいて、前記一次電流の目標値を決定する目標値決定部と、
    前記目標値に基づいて、前記開始時期から前記点火時期までの前記一次電流の通電時間に対する調整量を決定する調整量決定部と、
    前記通電信号によって示される前記開始時期を前記調整量に従って調整することによって、前記一次コイルに流れる前記一次電流の前記通電時間を調整する調整部と、
    を備える、点火制御装置。
  2. 請求項1に記載の点火制御装置であって、さらに、
    前記点火コイルが接続された電源の電圧を取得する電圧取得部を備え、
    前記目標値決定部は、前記電源の電圧と、前記回転速度と、に基づいて、前記一次電流の前記目標値を決定する、点火制御装置。
  3. 請求項1または2に記載の点火制御装置であって、さらに、
    前回の点火時の前記一次電流の実測値を取得する実測値取得部を備え、
    前記調整量決定部は、前記実測値と、前記目標値と、に基づいて、前記調整量を決定する、点火制御装置。
  4. 請求項3に記載の点火制御装置であって、
    前記目標値が前記実測値より小さい場合には、次回の点火時の前記通電時間が、前回の点火時の前記通電時間より短くなるように、次回の点火時の前記通電時間に対する前記調整量を決定する、点火制御装置。
  5. 請求項3または4に記載の点火制御装置であって、
    前記目標値が前記実測値より大きい場合には、次回の点火時の前記通電時間が、前回の点火時の前記通電時間より長くなるように、次回の点火時の前記通電時間に対する前記調整量を決定する、点火制御装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の点火制御装置であって、
    前記目標値決定部は、前記回転速度が第1の速度である場合に、前記目標値を第1の値に決定し、前記回転速度が前記第1の速度より高い第2の速度である場合に、前記目標値を前記第1の値より小さな第2の値に決定する、点火制御装置。
  7. 請求項2に記載の点火制御装置であって、
    前記目標値決定部は、前記回転速度が第3の速度であり、かつ、前記電源の電圧が第1の電圧である場合に、前記目標値を第3の値に決定し、前記回転速度が前記第3の速度より高い第4の速度であり、かつ、前記電源の電圧が前記第1の電圧より低い第2の電圧である場合に、前記目標値を前記第3の値より小さな第4の値に決定する、点火制御装置。
  8. 請求項2または7に記載の点火制御装置であって、さらに、
    前記回転速度と前記電源の電圧との複数個の組み合わせと、複数個の前記目標値と、の対応関係を規定したマップが格納されたメモリを備え、
    前記目標値決定部は、前記マップを参照して、前記目標値を決定する、点火制御装置。
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