JP2018083216A - 段付管部材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】組み立て作業性と組み付け精度に優れる段付管部材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】段付管部材3は、大径管部材1の軸方向の一端に、大径管部材1より小径な小径管部材2を固定する接続部13が設けられる。接続部13は、縮径管部121と、縮径管部121から径方向外側に延びる少なくとも1つのフランジ部122とを有する。小径管部材2が接続部13に拡管かしめ固定されている。
【選択図】図1
【解決手段】段付管部材3は、大径管部材1の軸方向の一端に、大径管部材1より小径な小径管部材2を固定する接続部13が設けられる。接続部13は、縮径管部121と、縮径管部121から径方向外側に延びる少なくとも1つのフランジ部122とを有する。小径管部材2が接続部13に拡管かしめ固定されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、径の異なる管を接合した段付管部材及びその製造方法に関する。
自動車の構造部品は、コストや溶接等の施工性の観点から鋼部材が多く用いられている。近年の燃費向上の要求から、鋼部材の一部を軽量な部材で置き換えることが行われており、パネル部材の他、フレーム部材にもそのような軽量化部材を適用することが検討されている。フレームやレインフォース等の部材は、異なる径の管状部材を直列に接合した段付状の部材を構造の一部分に用いることがある。このような部材を、ここでは「段付管部材」と称する。
段付管部材の製造方法として、大径管部材の一端を、大径管大径管の内径が小径管部材の外径に合うように絞り込む加工を適用するものがあり、例えば、スエージ加工により絞込みを行う技術(特許文献1)が知られている。
また、大径管部材の一端を、径方向からプレス成形して複数のフランジを有する接合部を形成し、プレス部の一部に孔を開けて小径管部材に溶接することで、段付管部材を製造する技術も検討されている(特許文献2)。
ところで、特許文献1の技術によれば、大径管部材の絞り込んだ先端部における寸法や特に内径側の管形状が不安定となる。そのため、大径管部材の先端部に小径管部材を挿入する際、引っかかりが生じて組み立て作業性が低下する場合がある。また、加工条件によっては大径管部材に割れが生じる場合もある。
一方、特許文献2に記載の技術による接合部では、スエージ加工で生じる先端部の形状や寸法精度の問題は生じない。しかし、特許文献2に記載の技術では、小径管部材を接合部に挿入し、大径管部材に設けた孔を用いて大径管部材と小径管部材とを溶接している。そのため、孔開け加工や溶接加工の工数が増えると共に、溶接条件によっては接合部分への入熱量が大きくなってしまう。その結果、各部に生じる熱歪により全体の寸法精度が低下し、段付管部材を取り付ける被取り付け部材側への組み付けが困難になる場合があった。
本発明は、上記の問題を解決するもので、組み立て作業性と組み付け精度に優れる段付管部材及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の段付管部材は、大径管部材の軸方向の一端に、前記大径管部材より小径な小径管部材を固定する接続部が設けられた段付管部材であって、
前記接続部は、縮径管部と、該縮径管部から径方向外側に延びる少なくとも1つのフランジ部とを有し、
前記小径管部材が、前記接続部に拡管かしめ固定されている。
前記接続部は、縮径管部と、該縮径管部から径方向外側に延びる少なくとも1つのフランジ部とを有し、
前記小径管部材が、前記接続部に拡管かしめ固定されている。
本発明の段付管部材の製造方法は、大径管部材の軸方向の一端に、縮径管部と該縮径管部から径方向外側に延びる少なくとも1つのフランジ部を有する接続部を形成する工程と、
前記接続部の前記縮径管部の内側に、前記大径管部材より小径な小径管部材を挿入する工程と、
前記小径管部材を少なくとも前記縮径管部との対向領域で拡管する工程と、
をこの順で行う。
前記接続部の前記縮径管部の内側に、前記大径管部材より小径な小径管部材を挿入する工程と、
前記小径管部材を少なくとも前記縮径管部との対向領域で拡管する工程と、
をこの順で行う。
本発明によれば、段付管部材を、組み立て作業性と組み付け精度に優れた構成にできる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態の段付管部材3を示す斜視図である。段付管部材3は、大径管部材1の長手方向(以下、軸方向と称する)の一端に、大径管部材1より小径な小径管部材2の一端を挿入して接合して形成される。以下、段付管部材3の各部の構成を説明する。
図1は、本実施形態の段付管部材3を示す斜視図である。段付管部材3は、大径管部材1の長手方向(以下、軸方向と称する)の一端に、大径管部材1より小径な小径管部材2の一端を挿入して接合して形成される。以下、段付管部材3の各部の構成を説明する。
<大径管部材の接続部>
図2は一端に接続部13が形成された大径管部材1を示す斜視図である。
大径管部材1は、円筒形状に形成され軸方向の一端に接続部13を有する。接続部13は、軸方向に関して軸方向断面形状が略一定となる端部12と、端部12から大径管部材1の最大径までの間で、徐々に絞られた形状にされた遷移部14と、を有する。
図2は一端に接続部13が形成された大径管部材1を示す斜視図である。
大径管部材1は、円筒形状に形成され軸方向の一端に接続部13を有する。接続部13は、軸方向に関して軸方向断面形状が略一定となる端部12と、端部12から大径管部材1の最大径までの間で、徐々に絞られた形状にされた遷移部14と、を有する。
端部12は、大径管部材1の最大径よりも径の小さい縮径管部121と、縮径管部121の軸方向に直交する両脇側から径方向外方に突出した一対のフランジ部122とを有する。ここで、フランジ部122とは、管部材の周壁の一部が互いに平行になるまで押し潰され、径方向外側に向かって延びる平坦状の部位をいう。つまり、大径管部材1の最大径の縁部から縮径管部121及びフランジ部122までの間は、径方向に押し潰されて軸方向に滑らかに形状が変化する絞り形状となっている。なお、図示例では1対のフランジ部122を備えた構成を例示しているが、これに限らず、フランジ部122が1つ又は3つ以上有する構成であってもよい。
端部12は、必要に応じてフランジ部122の径方向先端に、リング部123を設けてもよい。リング部123とは、1つのフランジ部122を構成する一対の略平坦状の部位同士が、径方向端部において軸方向直交断面が円弧状に形成された屈曲部をいう。屈曲部は、円弧状の互いに対面する内壁面同士の間に中空部を有し、環状に形成されている。
フランジ部122は、詳細を後述する小径管部材2との拡管かしめ固定に伴って、フランジ根元部124が開くように変形可能に構成される。これにより、小径管部材2の拡管量を増加できる。更に、フランジ部122の対向するフランジ根元部124は、管内壁側に、管内壁同士が当接していない領域であるスリット部125を有する。
更に、フランジ部122の径方向先端にリング部123を設けることにより、リング部123自体の弾性変形を利用してフランジ部122がより開き易くなり、後述する小径管部材2の拡管量を増加できる。
<大径管部材>
大径管部材1は、円管に限らず、断面が正方形又は長方形の四角管、断面が六角形の六角管、断面が八角形の八角管であってもよく、押出や板材の溶接により製造できる。小径管部材2の断面形状が円形である場合には、縮径管部121も同様に円形断面にする等互いに形状を合せて成形することが好ましいが、異形断面同士を組み合わせてもよい。
大径管部材1は、円管に限らず、断面が正方形又は長方形の四角管、断面が六角形の六角管、断面が八角形の八角管であってもよく、押出や板材の溶接により製造できる。小径管部材2の断面形状が円形である場合には、縮径管部121も同様に円形断面にする等互いに形状を合せて成形することが好ましいが、異形断面同士を組み合わせてもよい。
フランジ部122は、大径管部材1の周方向に1箇所又は複数箇所設けることができる。大径管部材1の材質は、鋼材(普通鋼、高張力鋼)、アルミニウム合金(JIS6000系、7000系等)、樹脂等、適宜選択可能である。
<小径管部材>
小径管部材2は、円管に限らず、断面が正方形又は長方形の四角管、断面が六角形の六角管、断面が八角形の八角管であってもよく、押出や板材の溶接により製造できる。また、押出材の場合は、外側に突出するリブ等を設けてもよい。ただし、小径管部材2がリブを有する場合には、接続部13に挿入される側の端部については、リブが外側に突出しないようにカットされていることが好ましい。小径管部材2の材質は、アルミニウム合金(JIS6000系、7000系等)が好適な材料として挙げられる。
小径管部材2は、円管に限らず、断面が正方形又は長方形の四角管、断面が六角形の六角管、断面が八角形の八角管であってもよく、押出や板材の溶接により製造できる。また、押出材の場合は、外側に突出するリブ等を設けてもよい。ただし、小径管部材2がリブを有する場合には、接続部13に挿入される側の端部については、リブが外側に突出しないようにカットされていることが好ましい。小径管部材2の材質は、アルミニウム合金(JIS6000系、7000系等)が好適な材料として挙げられる。
<支持部材>
段付管部材3には、段付管部材3を支持する支持部材を取り付けできる。図3に示すように、大径管部材1の端部12を取り囲むキャビティ411を有する支持部材41を取り付けてもよい。支持部材41のキャビティ411は、大径管部材1の端部12の外周面に沿った内周面を有する断面形状を有する。支持部材41と大径管部材1とは、大径管部材1のフランジ部122が支持部材41のキャビティ411に係合することで、軸線回りの相対回転が抑制される。支持部材41は、大径管部材1を取り囲む任意の位置に配置できる。例えば、図6に示すように、大径管部材1の他の軸方向位置に、支持部材42,42等を配置できる。支持部材41,42の材質としては、鋼、アルミ押出材、アルミ鋳物、樹脂射出成形材等が好適な材料として挙げられる。
段付管部材3には、段付管部材3を支持する支持部材を取り付けできる。図3に示すように、大径管部材1の端部12を取り囲むキャビティ411を有する支持部材41を取り付けてもよい。支持部材41のキャビティ411は、大径管部材1の端部12の外周面に沿った内周面を有する断面形状を有する。支持部材41と大径管部材1とは、大径管部材1のフランジ部122が支持部材41のキャビティ411に係合することで、軸線回りの相対回転が抑制される。支持部材41は、大径管部材1を取り囲む任意の位置に配置できる。例えば、図6に示すように、大径管部材1の他の軸方向位置に、支持部材42,42等を配置できる。支持部材41,42の材質としては、鋼、アルミ押出材、アルミ鋳物、樹脂射出成形材等が好適な材料として挙げられる。
<大径管部材の接続部を成形する製造方法>
次に、大径管部材1の接続部を成形する製造方法について、図4A〜図4Cを用いて説明する。
接続部13の成形に当たり、例えば、図4A〜図4Cに軸方向直交断面を示す分割金型51,52とマンドレル55,56とを準備する。分割金型51は、接続部成形前の大径管部材1の外形に対応する内側加工面511を有する。一方、分割金型52は、図2に示す大径管部材1の端部12の外形に対応する内側加工面521を有する。
次に、大径管部材1の接続部を成形する製造方法について、図4A〜図4Cを用いて説明する。
接続部13の成形に当たり、例えば、図4A〜図4Cに軸方向直交断面を示す分割金型51,52とマンドレル55,56とを準備する。分割金型51は、接続部成形前の大径管部材1の外形に対応する内側加工面511を有する。一方、分割金型52は、図2に示す大径管部材1の端部12の外形に対応する内側加工面521を有する。
図4Bに示すマンドレル55は、図示例における下側半分が大径管部材1の管内側の形状に対応して形成され、上側半分が大径管部材1の端部12の管外側の形状に対応して形成された外側加工面551を有する。一方、図4Cに示すマンドレル56は、下側半分及び上側半分のいずれも大径管部材1の端部12の管外側の形状に対応する外側加工面561を有し、下側半分と上側半分との境界となる中央部には、それぞれ径方向へ曲面状を呈してはみ出した膨出面562が形成される。
まず、図4Aに示すように、分割金型51の内側加工面511に大径管部材1の端部を載置する。そして、図4Bに示すように、マンドレル55を挿入した後、大径管部材1の上方から分割金型52を押し当ててプレス成形(潰し成形)する。すると、大径管部材1の上側の周壁は、マンドレル55の外側加工面551と、分割金型52の内側加工面521の形状に倣って成形される。
次に、分割金型51とマンドレル55を取り外し、代わりに、大径管部材1の内部へマンドレル56を挿入する。その後、大径管部材1の下方から分割金型53の内側加工面521を当ててプレス成形を行う。すると、大径管部材1の下側の周壁はマンドレル56の外側加工面561と、分割金型53の内側加工面521の形状に倣って成形される。これにより大径管部材1には、図2に示す縮径管部121と、フランジ部122と、リング部123とを有する端部12,及び遷移部14が成形される。なお、図4Bに示す状態から上下反転させて、分割金型51に代えて大径管部材1の上方から分割金型53の内側加工面521を押し当ててプレス成形してもよい。
このように、大径管部材1の端部12を成形するのにプレス成形を採用することにより、縮径管部121は、スエージ加工のような肉厚変化や、硬化等の機械的性質の変化が生じないため、小径管部材2を大径管部材1に挿入する際の組み立て性が損なわれることなく、また、段付管部材3の被取り付け部材側への組み付け精度を向上できる。
なお、上記の分割金型51,52,53に替えて大径管部材1の内部にマンドレル56を配置し、不図示のコイルで大径管部材1の周囲を囲い、電磁成形を用いた縮管成形を行ってもよい。また、分割金型52,53の内側加工面521は、大径管部材1の遷移部14を成形する加工面を有していてもよい。
<部材配置、小径管部材の挿入工程>
次に、大径管部材1と小径管部材2とを接合する工程について、図5A〜図5Cを用いて説明する。
図5Aに示すように、大径管部材1のプレス成形等により縮径した端部12内に、小径管部材2の端部を挿入する。小径管部材2の挿入にあたっては、小径管部材2の軸方向一方の先端が、大径管部材1の端部12の軸方向位置を超えて大径管部材1の内部側である遷移部14側に突出するように配置するのが好ましい(図6参照)。この状態で、小径管部材2の先端を拡管かしめ固定、つまり、小径管部材2を拡管して大径管部材1の縮径管部121にかしめることにより、小径管部材2が端部12に強固に固定される。
次に、大径管部材1と小径管部材2とを接合する工程について、図5A〜図5Cを用いて説明する。
図5Aに示すように、大径管部材1のプレス成形等により縮径した端部12内に、小径管部材2の端部を挿入する。小径管部材2の挿入にあたっては、小径管部材2の軸方向一方の先端が、大径管部材1の端部12の軸方向位置を超えて大径管部材1の内部側である遷移部14側に突出するように配置するのが好ましい(図6参照)。この状態で、小径管部材2の先端を拡管かしめ固定、つまり、小径管部材2を拡管して大径管部材1の縮径管部121にかしめることにより、小径管部材2が端部12に強固に固定される。
具体的には、図6に示すように、大径管部材1や小径管部材2の任意の軸方向位置に、必要な部材を支持又は保持するための支持部材41,42を配置して、大径管部材1や小径管部材2を拡管かしめ固定する。これにより、各支持部材41,42が大径管部材1に確実に固定される。
<拡管かしめ固定>
拡管かしめ固定は、前述した分割マンドレルを用いたメカニカル拡管や、ゴムの膨出によって、かしめを実施するゴムバルジにより成形することもできる。この拡管かしめ固定は、特に電磁成形(拡管)による方式が生産性等の観点から好ましい。以下、電磁成形による、拡管かしめ工程を説明する。
拡管かしめ固定は、前述した分割マンドレルを用いたメカニカル拡管や、ゴムの膨出によって、かしめを実施するゴムバルジにより成形することもできる。この拡管かしめ固定は、特に電磁成形(拡管)による方式が生産性等の観点から好ましい。以下、電磁成形による、拡管かしめ工程を説明する。
<コイル挿入・配置工程>
図6は電磁成形コイルの挿入工程を説明する工程説明図で、大径管部材1及び小径管部材2の軸方向の模式的な断面図である。同図においては、軸方向の寸法に関しては適宜短縮して示してある。
図6は電磁成形コイルの挿入工程を説明する工程説明図で、大径管部材1及び小径管部材2の軸方向の模式的な断面図である。同図においては、軸方向の寸法に関しては適宜短縮して示してある。
図6に示すように、小径管部材2の内部に、一方の端部からコイル62を挿入する。このコイル62は、絶縁性樹脂に導体素線を巻き回したもので、導体素線の回りを絶縁性樹脂で更に取り囲んだ構造となっている。コイル62は、樹脂製の支持管72の端部に固着されており、支持管72の内部に導線が通されて外部の電源(不図示)に接続される。支持管72は軸方向へ移動できるようになっており、コイル62を所定の被拡管部位の位置に移動できる。支持管72に対して軸方向に移動する荷重がかかる場合は、ストッパ82を用いて支持管72の軸方向位置を固定することが好ましい。
同様に、大径管部材1の内部には、他方の端部からコイル61を挿入できる。コイル62と同様な構成であるコイル61は、樹脂製の支持管71の端部に固着されており、支持管71の内部に導線が通されて外部の電源(不図示)に接続される。支持管71は軸方向に移動できるようになっており、コイル61を所定の被拡管部位の位置に移動できる。支持管71に対して軸方向に移動する荷重がかかる場合は、ストッパ81を用いて支持管71の軸方向位置を固定することが好ましい。
<拡管工程>
図5Aに示すように、大径管部材1の端部12内に小径管部材2の端部を挿入した後、コイル(図示略)に通電を行うと、電磁成形のローレンツ力により図5Bに示すように小径管部材2が拡管し、大径管部材1の縮径管部121との対向領域に拡管かしめ固定される。このとき、フランジ部122がリング部123を有する場合には、各フランジ部122の一対の平坦部が開き、小径管部材2の端部12を締め付ける弾性力が強められる。また、縮径管部121の外側に支持部材41が配置された場合には、リング部123が広がることで小径管部材2の拡管量が増え、支持部材41への径方向力が増加する。これにより、支持部材41との接合強度を高められる。
図5Aに示すように、大径管部材1の端部12内に小径管部材2の端部を挿入した後、コイル(図示略)に通電を行うと、電磁成形のローレンツ力により図5Bに示すように小径管部材2が拡管し、大径管部材1の縮径管部121との対向領域に拡管かしめ固定される。このとき、フランジ部122がリング部123を有する場合には、各フランジ部122の一対の平坦部が開き、小径管部材2の端部12を締め付ける弾性力が強められる。また、縮径管部121の外側に支持部材41が配置された場合には、リング部123が広がることで小径管部材2の拡管量が増え、支持部材41への径方向力が増加する。これにより、支持部材41との接合強度を高められる。
また、拡管工程においては、図6に示すように、端部12よりも軸方向に長いコイル62を配置して周方向にわたって拡管させることが好ましい。これにより、端部12の軸方向両側に径方向外側に膨らむ膨径部21が形成されるため、小径管部材2と大径管部材1との軸方向の相対移動を抑制できる。膨径部21は、端部12に対して少なくとも軸方向片側に形成すれば足りる。なお、縮径管部121に貫通孔を開けておくことで、この貫通孔に対して拡管時に同様な膨径部が進入するようになるため、小径管部材2と大径管部材1との固定をより確実に行える。また、貫通孔以外にも、有底の穴を設けてもよい。
更に、大径管部材1や小径管部材2が長尺部材であって、複数箇所で拡管かしめ固定を行いたい場合は、一箇所を拡管かしめ固定した後、支持管71、72を操作して、コイル61,63を所望の位置に移動させた上で、再度拡管かしめ固定すればよい。これにより、任意の軸方向位置で小径管部材2を精度よく拡管できる。
また、投入エネルギーである電磁力を更に向上させると、図5Cに示すように、フランジ部122の管内壁側の隙間であるスリット部125に、小径管部材2の径方向外側に膨らんだ膨出部22が更に入り込んで係合する。この係合によって、小径管部材2と大径管部材1との回転方向荷重による緩みを抑制でき、回転方向の耐荷重性が向上する。
<部材の調質>
小径管部材が熱処理型アルミニウム合金である場合は、押出材の場合は押出後に急冷するT1(JIS H 0011)調質状態で拡管し、拡管後に人工時効処理を施すのが好ましい。T1調質により拡管量を大きくすることができ、拡管量が大きい状態で人工時効することにより材料強度が向上するため、接合部の強度がより向上する。
小径管部材が熱処理型アルミニウム合金である場合は、押出材の場合は押出後に急冷するT1(JIS H 0011)調質状態で拡管し、拡管後に人工時効処理を施すのが好ましい。T1調質により拡管量を大きくすることができ、拡管量が大きい状態で人工時効することにより材料強度が向上するため、接合部の強度がより向上する。
このように、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1)大径管部材の軸方向の一端に、前記大径管部材より小径な小径管部材を固定する接続部が設けられた段付管部材であって、
前記接続部は、縮径管部と、該縮径管部から径方向外側に延びる少なくとも1つのフランジ部とを有し、
前記小径管部材が、前記接続部に拡管かしめ固定された段付管部材。
この段付管部材によれば、縮径管部と小径管部材とを拡管かしめ固定することで、その加工が煩雑とならず、縮径管部の肉厚変化や機械的性質の変化を少なく押さえ、且つ、溶接等による熱歪みを生じることなく高精度な接合が実現できる。これにより、段付管部材の被取り付け部材への組み付けを高精度に行える。
(1)大径管部材の軸方向の一端に、前記大径管部材より小径な小径管部材を固定する接続部が設けられた段付管部材であって、
前記接続部は、縮径管部と、該縮径管部から径方向外側に延びる少なくとも1つのフランジ部とを有し、
前記小径管部材が、前記接続部に拡管かしめ固定された段付管部材。
この段付管部材によれば、縮径管部と小径管部材とを拡管かしめ固定することで、その加工が煩雑とならず、縮径管部の肉厚変化や機械的性質の変化を少なく押さえ、且つ、溶接等による熱歪みを生じることなく高精度な接合が実現できる。これにより、段付管部材の被取り付け部材への組み付けを高精度に行える。
(2)前記フランジ部は、前記縮径管部から延びる一対の平坦板部と、一対の前記平坦板部が径方向外側で中空部を有して軸方向直交断面が円弧状に形成されたリング部とを備える(1)に記載の段付管部材。
この段付管部材によれば、拡管接合時にフランジ部の平坦板部同士がリング部の存在によって拡開しやすくなり、小径管部材の拡管量を増加できる。
この段付管部材によれば、拡管接合時にフランジ部の平坦板部同士がリング部の存在によって拡開しやすくなり、小径管部材の拡管量を増加できる。
(3)前記フランジ部の前記縮径管部に接続される根元部における、前記縮径管部内から径方向外側に向かって形成されたスリット部に、前記小径管部材の径方向外側に膨らむ膨出部が係合している(1)又は(2)に記載の段付管部材。
この段付管部材によれば、膨出部がスリットに係合することで、接合部における小径管部材の回転方向荷重による緩みが生じにくくなる。
この段付管部材によれば、膨出部がスリットに係合することで、接合部における小径管部材の回転方向荷重による緩みが生じにくくなる。
(4)前記小径管部材は、前記接続部の軸方向一端側と他端側の少なくとも一方に、径方向外側に突出する膨径部を有する(1)〜(3)のいずれか一つに記載の段付管部材。
この段付管部材によれば、膨径部によって接続部の軸方向端が規制され、小径管部材の軸方向の移動を抑制できる。
この段付管部材によれば、膨径部によって接続部の軸方向端が規制され、小径管部材の軸方向の移動を抑制できる。
(5)大径管部材の軸方向の一端に、縮径管部と該縮径管部から径方向外側に延びる少なくとも1つのフランジ部を有する接続部を形成する工程と、
前記接続部の前記縮径管部の内側に、前記大径管部材より小径な小径管部材を挿入する工程と、
前記小径管部材を少なくとも前記縮径管部との対向領域で拡管する工程と、
をこの順で行う段付管部材の製造方法。
この段付管部材の製造方法によれば、縮径管部と小径管部材とを拡管かしめ固定することで、その加工が煩雑とならず、縮径管部の肉厚変化や機械的性質の変化を少なく押さえ、且つ、溶接等による熱歪みを生じることなく高精度な接合が実現できる。これにより、段付管部材の被取り付け部材への組み付けを高精度に行える。
前記接続部の前記縮径管部の内側に、前記大径管部材より小径な小径管部材を挿入する工程と、
前記小径管部材を少なくとも前記縮径管部との対向領域で拡管する工程と、
をこの順で行う段付管部材の製造方法。
この段付管部材の製造方法によれば、縮径管部と小径管部材とを拡管かしめ固定することで、その加工が煩雑とならず、縮径管部の肉厚変化や機械的性質の変化を少なく押さえ、且つ、溶接等による熱歪みを生じることなく高精度な接合が実現できる。これにより、段付管部材の被取り付け部材への組み付けを高精度に行える。
(6)前記小径管部材はアルミニウム合金であり、前記小径管部材の内側にコイルを挿入して電磁成形により前記小径管部材を拡管する(5)に記載の段付管部材の製造方法。
この段付管部材の製造方法によれば、コイルを被拡管部位に配置して拡管させることにより、小径管部材の局所的な拡管が容易に可能となり、拡管品質も安定する。
この段付管部材の製造方法によれば、コイルを被拡管部位に配置して拡管させることにより、小径管部材の局所的な拡管が容易に可能となり、拡管品質も安定する。
(7)前記コイルを前記小径管部材の軸方向に移動させ、前記小径管部材の複数箇所を順次に拡管する(6)に記載の段付管部材の製造方法。
この段付管部材の製造方法によれば、複数箇所の拡管を一度に行う場合よりも拡管設備を簡略化でき、任意位置の拡管が容易に行える。
この段付管部材の製造方法によれば、複数箇所の拡管を一度に行う場合よりも拡管設備を簡略化でき、任意位置の拡管が容易に行える。
(8)前記フランジ部の管内側に形成されたスリット部に、前記電磁成形により形成された前記小径管部材の膨出部を係合させる(6)又は(7)に記載の段付管部材の製造方法。
この段付管部材の製造方法によれば、膨出部がスリットに係合することで、接合部における小径管部材の回転方向荷重による緩みが生じにくくなる。
この段付管部材の製造方法によれば、膨出部がスリットに係合することで、接合部における小径管部材の回転方向荷重による緩みが生じにくくなる。
(9)前記小径管部材は、熱処理型アルミニウム合金であり、T1調質状態で拡管し、拡管後に人工時効処理を施す(5)〜(8)のいずれか一つに記載の段付管部材の製造方法。
この段付管部材の製造方法によれば、小径管部材の材料強度が向上でき、接合部における接合強度が更に向上する。
この段付管部材の製造方法によれば、小径管部材の材料強度が向上でき、接合部における接合強度が更に向上する。
1 大径管部材
2 小径管部材
3 段付管部材
12 端部
13 接続部
14 遷移部
21 膨径部
22 膨出部
61,62 コイル
121 縮径管部
122 フランジ部
123 リング部
124 フランジ根元部
125 スリット部
2 小径管部材
3 段付管部材
12 端部
13 接続部
14 遷移部
21 膨径部
22 膨出部
61,62 コイル
121 縮径管部
122 フランジ部
123 リング部
124 フランジ根元部
125 スリット部
Claims (9)
- 大径管部材の軸方向の一端に、前記大径管部材より小径な小径管部材を固定する接続部が設けられた段付管部材であって、
前記接続部は、縮径管部と、該縮径管部から径方向外側に延びる少なくとも1つのフランジ部とを有し、
前記小径管部材が、前記接続部に拡管かしめ固定された段付管部材。 - 前記フランジ部は、前記縮径管部から延びる一対の平坦板部と、一対の前記平坦板部が径方向外側で中空部を有して軸方向直交断面が円弧状に形成されたリング部とを備える請求項1に記載の段付管部材。
- 前記フランジ部の前記縮径管部に接続される根元部における、前記縮径管部内から径方向外側に向かって形成されたスリット部に、前記小径管部材の径方向外側に膨らむ膨出部が係合している請求項1又は請求項2に記載の段付管部材。
- 前記小径管部材は、前記接続部の軸方向一端側と他端側の少なくとも一方に、径方向外側に膨らむ膨径部を有する請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の段付管部材。
- 大径管部材の軸方向の一端に、縮径管部と該縮径管部から径方向外側に延びる少なくとも1つのフランジ部を有する接続部を形成する工程と、
前記接続部の前記縮径管部の内側に、前記大径管部材より小径な小径管部材を挿入する工程と、
前記小径管部材を少なくとも前記縮径管部との対向領域で拡管する工程と、
をこの順で行う段付管部材の製造方法。 - 前記小径管部材はアルミニウム合金であり、前記小径管部材の内側にコイルを挿入して電磁成形により前記小径管部材を拡管する請求項5に記載の段付管部材の製造方法。
- 前記コイルを前記小径管部材の軸方向に移動させ、前記小径管部材の複数箇所を順次に拡管する請求項6に記載の段付管部材の製造方法。
- 前記フランジ部の管内側に形成されたスリット部に、前記電磁成形により形成された前記小径管部材の膨出部を係合させる請求項6又は請求項7に記載の段付管部材の製造方法。
- 前記小径管部材は、熱処理型アルミニウム合金であり、T1調質状態で拡管し、拡管後に人工時効処理を施す請求項5〜請求項8のいずれか一項に記載の段付管部材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016227915A JP2018083216A (ja) | 2016-11-24 | 2016-11-24 | 段付管部材及びその製造方法 |
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JP2016227915A Pending JP2018083216A (ja) | 2016-11-24 | 2016-11-24 | 段付管部材及びその製造方法 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2018083216A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020025983A (ja) * | 2018-08-08 | 2020-02-20 | 株式会社神戸製鋼所 | 管部材のかしめ接合方法 |
-
2016
- 2016-11-24 JP JP2016227915A patent/JP2018083216A/ja active Pending
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