JP2004270916A - 二重管及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 緩く曲げた箇所でも、外管と内管の当たりを強くすることができ、ビビリ音の発生を防止することのできる製作簡単な二重管を提供する。
【解決手段】 第1流体を流す外管1の内部に第2流体を流す内管2を配設した二重管を得るに当たり、予め内管2を螺旋状または波状に加工し、その螺旋状または波状に加工した内管2を外管1の内部に挿入し、その状態で外管1を所定形状に曲げ変形させることにより、外管1の曲げ変形部分で内管2と外管1を圧接させた。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車両用空調装置の冷媒配管などに使用される二重管及びその製造方法に関する。
冷媒を循環させるための配管部材として、外管の内部に内管を設けて二重の流路が得られるようにした二重管を用いる試みがなされている。
このような二重管を用いると、配管部材の引き回しをシンプル且つコンパクトに行うことができるので、特に車両用空調装置のように車体の構造等によって配管レイアウトが大きく制限される場合には非常に有利である。また、二重管を用いることで、空調装置の組み立て作業も簡素化されることになり、製造コストの低減も可能となる。
従来の二重管としては、図15に示すように、第1流体を流す外管1の内部に第2流体を流す内管2を配設すると共に、外管1と内管2の間に連結リブ3を設けることで、両管1、2を接続した構造のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような二重管は、一般的には、外管1と内管2と連結リブ3とを、アルミニウム材からの押し出し加工または引き抜き加工により一体成形することで作製している。
特開平2001−341027号公報
しかし、上記従来の連結リブ3を備えた二重管は、押し出し加工または引き抜き加工により製作する必要があるので、コスト高であった。また、管端の加工をする場合に、連結リブ3の切断工程が必要となるため、配管作業時の工数が多くなるという問題もあった。
そこで、大径の外管に後から小径の内管を挿入することで二重管を構成することが考えられる。そうできれば、外管と内管を独立管として製作できてコスト安となるからである。だが、単に外管の内部に内管を挿入しただけでは、如何に外管と内管の端部をしっかりと固定したとしても、途中で内管と外管が接触した場合に車両振動などによりビビリ音が発生する可能性がある。
例えば、図16に示すように、外管1内に内管2を挿入した状態で、求める配管レイアウトに対応した形状に二重管を曲げ加工すると、内管2と外管1が接触する箇所A、B、C、Dが生じ、その箇所で車両振動によりビビリ音が発生する可能性がある。特に配管の長さが長い場合、外管1の中で内管2がたるむ部分Eが生じるため、そのたるみ部分Eでの接触箇所Cにおいて大きなビビリ音が発生する可能性がある。
これを解消するため、図17に示すように曲げの曲率を小さくし(つまり、きつく曲げ)、接触箇所A、Bにおいて内管2が外管1の内壁に強く当たるようにすれば、ビビリ音の発生を抑えることができる。しかし、必ずしも全部の部分を小さい曲率で曲げられるとは限らず、図18に示すような緩い曲がり箇所があると、その接触部分Aの当たりが弱くなってしまい、ビビリ音の発生が避けられない可能性がある。
本発明は、上記事情を考慮し、小さく曲げた箇所でも、外管と内管の当たりを強くすることができ、ビビリ音の発生を防止することのできる製作簡単な二重管及びその製造方法を提供することを目的とする。
請求項1の発明の二重管は、第1流体を流す外管の内部に第2流体を流す内管を配設した二重管において、前記内管を螺旋状に形成した上で前記外管の内部に挿入し、内管と外管を圧接させたことを特徴とする。
請求項2の発明の二重管は、請求項1記載の二重管であって、前記内管の螺旋外径を前記外管の内径と等しいか小さくした上で、内管を外管の内部に挿入し、しかる後に前記外管を曲げ変形させ、その曲げ変形部分で内管と外管を圧接させたことを特徴とする。
請求項3の発明の二重管は、請求項1記載の二重管であって、前記内管の螺旋外径を前記外管の内径より等しいか小さくした上で、内管を外管の内部に挿入し、しかる後に、外管を局部的または全体的に内側に変形させ、その変形部分で内管と外管を圧接させたことを特徴とする。
請求項4の発明の二重管は、請求項1記載の二重管であって、前記内管の螺旋外径を前記外管の内径よりも大きくした上で、内管を外管の内部に挿入することにより、内管と外管を圧接させたことを特徴とする。
請求項5記載の二重管の製造方法は、第1流体を流す外管の内部に第2流体を流す内管を配設した二重管の製造方法において、予め前記内管をその螺旋外径が前記外管の内径と等しいか小さい螺旋状に加工し、その螺旋状に加工した内管を前記外管の内部に挿入し、その状態で外管を所定形状に曲げ変形させ、その曲げ変形部分で内管と外管を圧接させることを特徴とする。
請求項6の発明の二重管の製造方法は、第1流体を流す外管の内部に第2流体を流す内管を配設した二重管の製造方法において、予め前記内管をその螺旋外径が前記外管の内径と等しいか小さい螺旋状に加工し、その螺旋状に加工した内管を前記外管の内部に挿入し、その状態で外管を局部的または全体的に内側に変形させ、その変形部分で内管と外管を圧接させることを特徴とする。
請求項7の発明の二重管の製造方法は、第1流体を流す外管の内部に第2流体を流す内管を配設した二重管の製造方法において、予め前記内管をその螺旋外径が前記外管の内径よりも大きい螺旋状に加工し、その螺旋状に加工した内管を前記外管の内部に挿入することにより、螺旋状に加工した内管のバネ反力で内管と外管を圧接させることを特徴とする。
請求項8の発明の二重管の製造方法は、請求項5〜7の何れか1項記載の二重管の製造方法において、2本の直線状の内管を互いに螺旋状に巻き付けた後、相互に解いて、内管を螺旋状に加工したことを特徴とする。
請求項9の発明の二重管の製造方法は、請求項5〜7の何れか1項記載の二重管の製造方法において、直線状の内管を円柱形の芯材に螺旋状に巻き付けた後、解いて、内管を螺旋状に加工したことを特徴とする。
請求項10の発明の二重管の製造方法は、請求項5〜7の何れか1項記載の二重管の製造方法において、直線状の内管を円柱形の芯材に螺旋状に巻き付けた後、解いて、内管を所望の螺旋外径よりも大きな螺旋状にし、しかる後に、内管を螺旋軸方向に引き伸ばすことで所望の螺旋外径に加工したことを特徴とする。
請求項11の発明の二重管は、第1流体を流す外管の内部に第2流体を流す内管を配設した二重管において、前記内管を波状に形成した上で前記外管の内部に挿入し、内管と外管を圧接させたことを特徴とする。
請求項12の発明の二重管は、請求項11記載の二重管であって、前記内管の振幅を前記外管の内径と等しいか小さくした上で、内管を外管の内部に挿入し、しかる後に前記外管を曲げ変形させ、その曲げ変形部分で内管と外管を圧接させたことを特徴とする。
請求項13の発明の二重管は、請求項11記載の二重管であって、前記内管の振幅を前記外管の内径より等しいか小さくした上で、内管を外管の内部に挿入し、しかる後に、外管を局部的または全体的に内側に変形させ、その変形部分で内管と外管を圧接させたことを特徴とする。
請求項14の発明の二重管は、請求項11記載の二重管であって、前記内管の振幅を前記外管の内径よりも大きくした上で、内管を外管の内部に挿入することにより、内管と外管を圧接させたことを特徴とする。
請求項15の発明の二重管の製造方法は、第1流体を流す外管の内部に第2流体を流す内管を配設した二重管の製造方法において、予め前記内管をその振幅が前記外管の内径と等しいか小さい波状に加工し、その波状に加工した内管を前記外管の内部に挿入し、その状態で外管を所定形状に曲げ変形させ、その曲げ変形部分で内管と外管を圧接させることを特徴とする。
請求項16の発明の二重管の製造方法は、第1流体を流す外管の内部に第2流体を流す内管を配設した二重管の製造方法において、予め前記内管をその振幅が前記外管の内径と等しいか小さい波状に加工し、その波状に加工した内管を前記外管の内部に挿入し、その状態で外管を局部的または全体的に内側に変形させ、その変形部分で内管と外管を圧接させることを特徴とする。
請求項17の発明の二重管は、第1流体を流す外管の内部に第2流体を流す内管を配設した二重管の製造方法において、
予め前記内管をその振幅が前記外管の内径よりも大きい波状に加工し、その波状に加工した内管を前記外管の内部に挿入することにより、波状に加工した内管のバネ反力で内管と外管を圧接させることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、内管を螺旋状に形成した上で外管内に挿入して、内管と外管を圧接させたので、外管を緩やかに曲げ加工した箇所でも、確実に内管と外管を強く圧接させることができ、従って、車両振動等の際のビビリ音の発生を防止することができる。また、螺旋状に加工した内管は、直管に比べて剛性が高まるので、振動しづらくなり、それによってもビビリ音が発生しにくくなる。また、内管と外管は独立管として製作した上で組み合わせることができ、内管と外管の間には余計な連結リブが存在しないので、製作が容易であり、また、管端の加工に手間がかかることもない。
請求項2の発明によれば、外管を曲げ変形させ、その曲げ変形部分で内管と外管を圧接させたので、例えば、配管レイアウトに従って外管を曲げ加工するだけで、曲げ加工部分の外管断面の扁平化あるいは縮径化により内管と外管を強く圧接させることができ、同部分におけるビビリ音の発生を簡単に防ぐことができる。
請求項3の発明によれば、外管を局部的または全体的に内側に変形させ、その変形部分で内管と外管を圧接させたので、例えば、ほとんど曲げ加工しない直管に近い部分でも、内管と外管の強い圧接を実現することができ、ビビリ音の発生を防止することができる。
請求項4の発明によれば、内管の螺旋外径を外管の内径よりも大きくした上で、内管を外管の内部に挿入することにより、内管を外管の内壁に圧接させたので、例えば、ほとんど曲げ加工しない直管に近い部分でも、内管と外管の強い圧接を実現することができ、ビビリ音の発生を防止することができる。
請求項5の発明によれば、予め内管を螺旋状に加工し、その螺旋状に加工した内管を外管の内部に挿入し、その状態で外管を所定形状に曲げ変形させることにより、その曲げ変形部分で内管と外管を圧接させるので、外管を緩やかに曲げ加工した箇所においても、確実に内管と外管を強く圧接させることができ、車両振動等の際のビビリ音の発生を防止することができる。また、内管と外管は独立管として製作した上で組み合わせることができる上、内管と外管の間に設けていた連結リブが不要であるから、製作が容易で、管端の加工に手間がかかることもない。また、螺旋状に加工した内管を隙間をもって緩めの状態で外管に挿入した場合は、独立管として製作した内管を外管内に挿入する際に、余計な力を加える必要がなく製作が容易である。
請求項6の発明によれば、予め前記内管を螺旋状に加工し、その螺旋状に加工した内管を前記外管の内部に挿入し、その状態で外管を局部的または全体的に内側に変形させることにより、その変形部分で内管と外管を圧接させるので、例えば、ほとんど曲げ加工しない直管に近い部分でも内管と外管の強い圧接を実現することができ、車両振動等の際のビビリ音の発生を防止することができる。また、内管と外管は独立管として製作した上で組み合わせることができる上、内管と外管の間には余計な連結リブが存在しないので、製作が容易で、管端の加工に手間がかかることもない。また、螺旋状に加工した内管を隙間をもって緩めの状態で外管に挿入した場合は、独立管として製作した内管を外管内に挿入する際に、余計な力を加える必要がなく製作が容易である。
請求項7の発明によれば、予め内管をその螺旋外径が外管の内径よりも大きい螺旋状に加工し、その螺旋状に加工した内管を外管の内部に挿入することにより、螺旋状に加工した内管のバネ反力で内管と外管を圧接させるので、例えば、ほとんど曲げ加工しない直管に近い部分でも内管と外管の強い圧接を実現することができ、車両振動等の際のビビリ音の発生を防止することができる。また、内管と外管は独立管として製作した上で組み合わせることができる上、内管と外管の間には余計な連結リブが存在しないので、製作が容易で、管端の加工に手間がかかることもない。
請求項8の発明によれば、2本の直線状の内管を互いに螺旋状に巻き付けた後、相互に解いて、内管を螺旋状に加工したため、螺旋状の内管を加工するにあたり複雑な金型が不要となり、安価に螺旋状の内管を加工できる。
請求項9の発明によれば、直線状の内管を円柱形の芯材に螺旋状に巻き付けた後、解いて、内管を螺旋状に加工したため、螺旋状の内管を加工するにあたり複雑な金型が不要となり、安価に螺旋状の内管を加工できる。
請求項10の発明によれば、直線状の内管を円柱形の芯材に螺旋状に巻き付けた後、解いて、内管を所望の螺旋外径よりも大きな螺旋状にし、しかる後に、内管を螺旋軸方向に引き伸ばすことで所望の螺旋外径に加工したため、螺旋状の内管を加工するにあたり複雑な金型が不要となり、安価に螺旋状の内管を加工できる。しかも、内管を所望の螺旋外径よりも大きな螺旋状にしておき、その状態から螺旋ピッチを大きくするように引き伸ばすことで所望の螺旋外径に加工するため、外管の内部に納めた後に、内管のスプリングバックによって内管がより外管に密着することが期待される。
請求項11の発明によれば、内管を波状に形成した上で外管内に挿入して、内管と外管を圧接させたので、外管を緩やかに曲げ加工した箇所でも、確実に内管と外管を強く圧接させることができ、従って、車両振動等の際のビビリ音の発生を防止することができる。また、波状に加工した内管は、直管に比べて剛性が高まるので、振動しづらくなり、それによってもビビリ音が発生しにくくなる。また、内管と外管は独立管として製作した上で組み合わせることができ、内管と外管の間には余計な連結リブが存在しないので、製作が容易であり、また、管端の加工に手間がかかることもない。
請求項12の発明によれば、外管を曲げ変形させ、その曲げ変形部分で内管と外管を圧接させたので、例えば、配管レイアウトに従って外管を曲げ加工するだけで、曲げ加工部分の外管断面の扁平化あるいは縮径化により内管と外管を強く圧接させることができ、同部分におけるビビリ音の発生を簡単に防ぐことができる。
請求項13の発明によれば、外管を局部的または全体的に内側に変形させ、その変形部分で内管と外管を圧接させたので、例えば、ほとんど曲げ加工しない直管に近い部分でも、内管と外管の強い圧接を実現することができ、ビビリ音の発生を防止することができる。
請求項14の発明によれば、内管の振幅を外管の内径よりも大きくした上で、内管を外管の内部に挿入することにより、内管を外管の内壁に圧接させたので、例えば、ほとんど曲げ加工しない直管に近い部分でも、内管と外管の強い圧接を実現することができ、ビビリ音の発生を防止することができる。

請求項15の発明によれば、予め内管を波状に加工し、その波状に加工した内管を外管の内部に挿入し、その状態で外管を所定形状に曲げ変形させることにより、その曲げ変形部分で内管と外管を圧接させるので、外管を緩やかに曲げ加工した箇所においても、確実に内管と外管を強く圧接させることができ、車両振動等の際のビビリ音の発生を防止することができる。また、内管と外管は独立管として製作した上で組み合わせることができる上、内管と外管の間に設けていた連結リブが不要であるから、製作が容易で、管端の加工に手間がかかることもない。また、波状に加工した内管を隙間をもって緩めの状態で外管に挿入した場合は、独立管として製作した内管を外管内に挿入する際に、余計な力を加える必要がなく製作が容易である。
請求項16の発明によれば、予め前記内管を波状に加工し、その波状に加工した内管を前記外管の内部に挿入し、その状態で外管を局部的または全体的に内側に変形させることにより、その変形部分で内管と外管を圧接させるので、例えば、ほとんど曲げ加工しない直管に近い部分でも内管と外管の強い圧接を実現することができ、車両振動等の際のビビリ音の発生を防止することができる。また、内管と外管は独立管として製作した上で組み合わせることができる上、内管と外管の間には余計な連結リブが存在しないので、製作が容易で、管端の加工に手間がかかることもない。また、波状に加工した内管を隙間をもって緩めの状態で外管に挿入した場合は、独立管として製作した内管を外管内に挿入する際に、余計な力を加える必要がなく製作が容易である。
請求項17の発明によれば、予め内管をその振幅が外管の内径よりも大きい波状に加工し、その波状に加工した内管を外管の内部に挿入することにより、波状に加工した内管のバネ反力で内管と外管を圧接させるので、例えば、ほとんど曲げ加工しない直管に近い部分でも内管と外管の強い圧接を実現することができ、車両振動等の際のビビリ音の発生を防止することができる。また、内管と外管は独立管として製作した上で組み合わせることができる上、内管と外管の間には余計な連結リブが存在しないので、製作が容易で、管端の加工に手間がかかることもない。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第1実施形態の二重管及びその製造方法の説明図である。この二重管10は、第1流体を流す外管1の内部に第2流体を流す内管2を配設したもので、外管1と内管2の間に両者間の隙間を一定に保つ連結リブを有しない構造のものである。
この二重管10を得るには、図1(a)に示すように、予め独立管である小径の内管2を、外管1の内径よりも僅かに小さいか等しい螺旋外径の螺旋状に形成した上で、同じく独立管である大径の外管1の内部に挿入する。そして、その状態で、図1(b)に示すように、外管1を配管レイアウトに従って所定形状に曲げ変形させて、その曲げ変形部分で内管2を外管1の内壁に圧接させる。
このようにすることで、図2に曲げ方向に沿った断面を示すように、内管2と外管1が、曲げ変形部分における外管1の断面の扁平化や縮径化などによって互いに強く圧接することになる。従って、外管1を緩やかに曲げ加工した箇所においても、確実に内管2と外管1を強く圧接させることができるようになり、車両振動等の際のビビリ音の発生を防止することができる。また、螺旋状に加工した内管2は、直管1に比べてそれ自体の剛性が高まるので、振動しづらくなり、それによってもビビリ音の発生が抑えられる。
また、螺旋状に加工した内管2を隙間をもって緩めの状態で外管1内に挿入した場合でも、配管レイアウトに従って外管1を曲げるだけで、内管2と外管1を強く圧接させることができるので、独立管として製作した内管2を外管1内に挿入する際に余計な力を加える必要がなく製作が容易にできる。
また、内管2と外管1は独立管として製作した上で互いに組み合わせるので、内管2と外管と連結リブとを、引き抜き加工や押し出し加工などにより一体に成形する場合と比べて、製作コストがかからないし、また、内管2と外管1の間には余計な連結リブが存在しないので、管端の加工に手間がかかることもない。
なお、螺旋状に加工した内管2と外管1を強く圧接させる他の方法として、例えば図3〜図6のように、外管1を局部的または全体的に内側に変形させることで、内管2と外管1とを圧接させてもよい。
図3では、外管1の管壁の一部を押し潰して断面を扁平化することにより、内管2と外管1を圧接させた場合を示している。符号5で示す部分が押し潰した部分である。
図4では、外管1を扱(しご)いて縮径化させ、それにより縮径した部分で内管2と外管1を強く圧接させている。具体的には、扱き治具21に対して外管1を矢印方向に引っ張ることにより、外管1を縮径化させ、それにより縮径した部分で内管2と外管1を強く圧接させている。
図5では、外管1を絞り加工して縮径化させ、それにより縮径した部分で内管2と外管1を強く圧接させている。具体的には、外管1をローラー22で絞り加工している。
図6では、外管1の管壁を周方向の複数箇所で加締め治具などにより押し潰して内側に突出させることで、外管1と内管2を圧接させている。符号5で示す部分が押し潰した部分であり、外管1の周方向に複数個設けられている。部分的な押し潰しは、加締め治具を用いたり、転造工具を用いたりして簡単に行うことができる。
このように外管1を局部的または全体的に内側に変形させて内管2に圧接させた場合には、後から外管1を曲げ加工するかしないかに拘わらず、内管2と外管1を強く圧接させることができる。即ち、曲げ加工しない直管部分を含めて全ての部分で、内管2と外管1の強い圧接を実現することができ、それにより、車両振動等の際のビビリ音の発生を防止することができる利点がある。しかも、螺旋状に加工した内管を隙間をもって緩めの状態で外管に挿入できるため、独立管として製作した内管を外管内に挿入する際に、余計な力を加える必要がなく製作が容易である利点もある。
次に第2実施形態の二重管の製造方法について説明する。
この製造方法では、図7に示すように、予め内管2を螺旋状に加工する際に、内管2の螺旋外径D1を、外管1の内径D2よりも大きくしておく。このように内管2を螺旋状に加工した上で、内管2を外管1の内部に挿入することにより、内管2を外管1の内壁に圧接させることができる。つまり、内管2を外管1の内部に挿入するには、内管2のバネ性を利用して螺旋の径を小さくしながら内管2を外管1の内部に押し込まなければならないから、挿入し終わった状態において、内管2のバネ反力で内管2と外管1が強く圧接することになる。つまり、D1とD2の寸法差は嵌め合い代のようなもので、この寸法差に応じた力で内管2と外管1が圧接することになる。
従って、後から外管1を曲げ加工するかしないかに拘わらず、内管2と外管1を強く圧接させることができる。即ち、曲げ加工しない直管部分を含めて全ての部分で、内管2と外管1の強い圧接を実現することができ、それにより、車両振動等の際のビビリ音の発生を防止することができる。また、内管2と外管1は独立管として製作した上で組み合わせることができる上、内管2と外管1の間には余計な連結リブが存在しないので、製作が容易であり、しかも管端の加工に手間がかかることもない。
ここで、内管2を螺旋状に加工する方法としては、例えば図8〜図10に示すような方法がある。
図8に示す方法は、(a)に示すように内管2を2本用意して両者を螺旋状に巻いていき、巻いた後に、(b)に示すように2本の回転を戻しながら1本づつにばらして、螺旋状の内管2を得る方法である。後は上記実施形態で詳説した如く(c)のように、螺旋加工した内管2を外管1の内部に挿入し、内管2と外管1を圧接する。
図9に示す方法は、図9(a)に示すように内管2と円柱形の芯材31を用意して、(b)のように芯材31に内管2を螺旋状に巻いていき、巻いた後に、芯材31から内管2を外して螺旋状の内管2を得る方法である。後は上記実施形態で詳説した如く(d)のように、螺旋加工した内管2を外管1の内部に挿入し、内管2と外管1を圧接する。
図10に示す方法は、まず、図10(a)に示すように内管2と求める螺旋外径D1よりも大きな螺旋外径D0となるように大径の芯材32を用意して、(b)のように芯材32に内管2を狭いピッチで螺旋状に巻いていき、巻いた後に、芯材32から内管2を外して、螺旋状の内管2を得る。次に、この螺旋状の内管2を、(c)に示すように螺旋軸方向に引き伸ばし、所望の螺旋外径D1で所望の螺旋ピッチの内管2を得る。後は、後は上記実施形態で詳説した如く(d)のように、螺旋加工した内管2を外管1の内部に挿入し、内管2と外管1を圧接する。
この図10に示す方法では、内管2を所望の螺旋外径D1よりも大きな螺旋状にしておき、その状態から螺旋ピッチを大きくするように内管2を引き伸ばすことで所望の螺旋外径D1に加工するため、内管2を外管1の内部に納めた後に内管2はそのスプリングバックによって外管1に密着することが期待される。
このような図8〜図10に示すような内管2の螺旋加工にあっては、特別な金型などが不要であるため、螺旋内管2を安価に製造できる利点がある。
なお、本発明にあっては図11に示すように、押し出し加工型23を用いて直管材(内管2)を押し出すことで螺旋化することもできるし、図12に示すように、熱間成形型24を用いて螺旋化したり、図13に示すように、モノコックベンダー25を用いて螺旋化したりすることもできる。
次に第3実施形態の二重管の製造方法を図14を参照しつつ説明する。
この製造方法では、図14(a)(b)に示すようにプレス型41により予め内管2を波状に加工した上で、(c)に示すように内管2を外管1の内部に挿入し、内管2を外管1の内壁に圧接させるものである。内管2と外管1との圧接方法は、波状内管2の振幅H(波形の高さ)の設定により上記第1、2実施形態のいずれの方法を選択してもよく、詳細な説明は省略する。なお、内管2の波形加工はもちろんプレス型以外であってもよい。
以上要するに本発明にあっては、第1流体を流す外管の内部に第2流体を流す内管を配設した二重管において、内管を螺旋状または波形状に形成した上で外管内に挿入して内管と外管を圧接させたので、外管を緩やかに曲げ加工した箇所でも、確実に内管と外管を強く圧接させることができ、従って、車両振動等の際のビビリ音の発生を防止することができる。また、螺旋状に加工した内管は、直管に比べて剛性が高まるので、振動しづらくなり、それによってもビビリ音が発生しにくくなる。また、内管と外管は独立管として製作した上で組み合わせることができ、内管と外管の間には余計な連結リブが存在しないので、製作が容易であり、また、管端の加工に手間がかかることもない。
本発明の第1実施形態の二重管及びその製造方法の説明図で、(a)は螺旋状に加工した内管を外管の内部に挿入しようとしている状態を示す図、(b)は挿入後に外管を曲げ変形させることで、内管と外管を圧接させた状態を示す図である。 図1(b)の曲げ加工部分の断面図である。 図1(b)に示した曲げ加工の代わりに、外管の管壁を押し潰した場合の例を示す断面図である。 螺旋状に加工した上で挿入した内管と外管を圧接させるために、外管を扱き治具により扱き加工している状態を示す図である。 螺旋状に加工した上で挿入した内管と外管を圧接させるために、外管をローラーにより絞り加工している状態を示す図である。 螺旋状に加工した上で挿入した内管と外管を圧接させるために、外管の管壁を周方向の複数箇所で押し潰した場合の例を示す断面図である。 本発明の第2実施形態の二重管の製造方法の説明図である。 本発明の二重管を得るために内管を螺旋状に加工する場合の一例を示す説明図で、(a)は2本の内管を螺旋に巻き付けた状態を示す図、(b)はそのうちの1本をばらした状態を示す図、(c)はそのばらした内管を外管に挿入した状態を示す図である。 内管を螺旋状に加工する他の方法の説明図である。 内管を螺旋状に加工する他の方法の説明図である。 内管を螺旋状に加工する他の方法の説明図である。 内管を螺旋状に加工する他の方法の説明図である。 内管を螺旋状に加工する他の方法の説明図である。 本発明の第3実施形態の二重管の製造方法の説明図であり、(a)はプレス型により内管を波状に加工する前の状態を示す図、(b)は内管のプレス時の状態を示す図、(c)は波状加工された内管を外管に挿入した状態を示す図である。 従来の二重管の構成を示す斜視図である。 外管の内部に内管を単純に挿入した場合の問題点の説明図である。 外管の内部に内管を挿入して、外管をきつく曲げ加工した場合の問題点の説明図である。 外管の内部に内管を挿入して、外管を緩く曲げ加工した場合の問題点の説明図である。
符号の説明
1 外管
2 内管
31 芯材
32 芯材
D0 内管の螺旋外径
D1 内管の螺旋外径
D2 外管の内径
h 内管の振幅

Claims (17)

  1. 第1流体を流す外管(1)の内部に第2流体を流す内管(2)を配設した二重管において、前記内管(2)を螺旋状に形成した上で前記外管(1)の内部に挿入し、内管(2)と外管(1)を圧接させたことを特徴とする二重管。
  2. 請求項1記載の二重管であって、
    前記内管(2)の螺旋外径(D1)を前記外管(1)の内径(D2)と等しいか小さくした上で、内管(2)を外管(1)の内部に挿入し、しかる後に前記外管(1)を曲げ変形させ、その曲げ変形部分で内管(2)と外管(1)を圧接させたことを特徴とする二重管。
  3. 請求項1記載の二重管であって、
    前記内管(2)の螺旋外径(D1)を前記外管(1)の内径(D2)より等しいか小さくした上で、内管(2)を外管(1)の内部に挿入し、しかる後に外管(2)を局部的または全体的に内側に変形させ、その変形部分で内管(2)と外管(1)を圧接させたことを特徴とする二重管。
  4. 請求項1記載の二重管であって、
    前記内管(2)の螺旋外径(D1)を前記外管(1)の内径(D2)よりも大きくした上で、内管(2)を外管(1)の内部に挿入することにより、内管(2)と外管(1)を圧接させたことを特徴とする二重管。
  5. 第1流体を流す外管(1)の内部に第2流体を流す内管(2)を配設した二重管の製造方法において、
    予め前記内管(2)をその螺旋外径(D1)が前記外管(1)の内径(D2)と等しいか小さい螺旋状に加工し、その螺旋状に加工した内管(2)を前記外管(1)の内部に挿入し、その状態で外管(1)を所定形状に曲げ変形させ、その曲げ変形部分で内管(2)と外管(1)を圧接させることを特徴とする二重管の製造方法。
  6. 第1流体を流す外管(1)の内部に第2流体を流す内管(2)を配設した二重管の製造方法において、
    予め前記内管(2)をその螺旋外径(D1)が前記外管(1)の内径(D2)と等しいか小さい螺旋状に加工し、その螺旋状に加工した内管(2)を前記外管(1)の内部に挿入し、その状態で外管(1)を局部的または全体的に内側に変形させ、その変形部分で内管(2)と外管(1)を圧接させることを特徴とする二重管の製造方法。
  7. 第1流体を流す外管(1)の内部に第2流体を流す内管(2)を配設した二重管の製造方法において、
    予め前記内管(2)をその螺旋外径(D1)が前記外管(1)の内径(D2)よりも大きい螺旋状に加工し、その螺旋状に加工した内管(2)を前記外管(1)の内部に挿入することにより、螺旋状に加工した内管(2)のバネ反力で内管(2)と外管(1)を圧接させることを特徴とする二重管の製造方法。
  8. 請求項5〜7の何れか1項記載の二重管の製造方法において、
    2本の直線状の内管(2)を互いに螺旋状に巻き付けた後、相互にぼどいて、内管(2)を螺旋状に加工したことを特徴とする二重管の製造方法。
  9. 請求項5〜7の何れか1項記載の二重管の製造方法において、 直線状の内管(2)を円柱形の芯材(31)に螺旋状に巻き付けた後、外して、内管(2)を螺旋状に加工したことを特徴とする二重管の製造方法。
  10. 請求項5〜7の何れか1項記載の二重管の製造方法において、
    直線状の内管(2)を円柱形の芯材(32)に螺旋状に巻き付けた後、外して、内管(2)を所望の螺旋外径(D1)よりも大きな螺旋状にし、しかる後に、内管(2)を螺旋軸方向に引き伸ばすことで所望の螺旋外径(D1)に加工したことを特徴とする二重管の製造方法。
  11. 第1流体を流す外管(1)の内部に第2流体を流す内管(2)を配設した二重管において、前記内管(2)を波状に形成した上で前記外管(1)の内部に挿入し、内管(2)と外管(1)を圧接させたことを特徴とする二重管。
  12. 請求項11記載の二重管であって、
    前記内管(2)の振幅(H)を前記外管(1)の内径(D2)と等しいか小さくした上で、内管(2)を外管(1)の内部に挿入し、しかる後に前記外管(1)を曲げ変形させ、その変形部分で内管(2)と外管(1)を圧接させたことを特徴とする二重管。
  13. 請求項11記載の二重管であって、
    前記内管(2)の振幅(H)を前記外管(1)の内径(D2)より等しいか小さくした上で、内管(2)を外管(1)の内部に挿入し、しかる後に外管(2)を局部的または全体的に内側に変形させ、その変形部分で内管(2)と外管(1)を圧接させたことを特徴とする二重管。
  14. 請求項11記載の二重管であって、
    前記内管(2)の振幅(H)を前記外管(1)の内径(D2)よりも大きくした上で、内管(2)を外管(1)の内部に挿入することにより、内管(2)と外管(1)を圧接させたことを特徴とする二重管。
  15. 第1流体を流す外管(1)の内部に第2流体を流す内管(2)を配設した二重管の製造方法において、
    予め前記内管(2)をその振幅(H)が前記外管(1)の内径(D2)と等しいか小さい波状に加工し、その波状に加工した内管(2)を前記外管(1)の内部に挿入し、その状態で外管(1)を所定形状に曲げ変形させ、その曲げ変形部分で内管(2)と外管(1)を圧接させることを特徴とする二重管の製造方法。
  16. 第1流体を流す外管(1)の内部に第2流体を流す内管(2)を配設した二重管の製造方法において、
    予め前記内管(2)をその振幅(H)が前記外管(1)の内径(D2)と等しいか小さい波状に加工し、その波状に加工した内管(2)を前記外管(1)の内部に挿入し、その状態で外管(1)を局部的または全体的に内側に変形させ、その変形部分で内管(2)と外管(1)を圧接させることを特徴とする二重管の製造方法。
  17. 第1流体を流す外管(1)の内部に第2流体を流す内管(2)を配設した二重管の製造方法において、
    予め前記内管(2)をその振幅(H)が前記外管(1)の内径(D2)よりも大きい波状に加工し、その波状に加工した内管(2)を前記外管(1)の内部に挿入することにより、波状に加工した内管(2)のバネ反力で内管(2)と外管(1)を圧接させることを特徴とする二重管の製造方法。
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