JP2018080781A - フローティングシール及びフローティングシールを備えた変速機 - Google Patents
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Abstract
【課題】フローティングシールのシール機能の変化を検知する。
【解決手段】回転ハウジング20と固定ハウジング10との間の隙間Gをシールするフローティングシール50,150,250は、回転側Oリング51を介して回転ハウジング20に支持される第1シールリング53と、第1シールリング53と摺接可能な第2シールリング54と、隙間Gから離れる方向への回転側Oリング51の変位量に応じて移動する第1移動体61,68と、回転ハウジング20に対して相対回転し、変位量が所定量以上となったときに第1移動体61,68が接触する被接触体62,67,3aと、を備える。
【選択図】図2
【解決手段】回転ハウジング20と固定ハウジング10との間の隙間Gをシールするフローティングシール50,150,250は、回転側Oリング51を介して回転ハウジング20に支持される第1シールリング53と、第1シールリング53と摺接可能な第2シールリング54と、隙間Gから離れる方向への回転側Oリング51の変位量に応じて移動する第1移動体61,68と、回転ハウジング20に対して相対回転し、変位量が所定量以上となったときに第1移動体61,68が接触する被接触体62,67,3aと、を備える。
【選択図】図2
Description
本発明は、フローティングシール及びフローティングシールを備えた変速機に関するものである。
油圧ショベルなどのクローラ式作業機では、クローラベルト(無限軌道帯)の車軸部に、フローティングシールを備えた変速機が設けられる。
特許文献1には、固定ハウジングと回転ハウジングとの間に、一対の弾性リングと弾性リングに押圧される一対のシールリングとにより構成されるフローティングシールが設けられた変速機が開示されている。この変速機では、フローティングシールの一対のシールリング同士が摺接することによって、変速機内の潤滑油が外部に漏れることが防止されるとともに、変速機内に外部から異物が侵入することが防止される。
特許文献1に開示される変速機では、長期間使用されるうちに泥などの異物が一対の弾性リングの間に入り込み、一対の弾性リングの間の間隔が徐々に拡がる。一対の弾性リングの間の間隔が拡がると弾性リングからシールリングに付与される押圧力が変化するため、一対のシールリングの間の接触面圧も変化する。例えば、接触面圧が低くなると、一対のシールリングの間から外部へ潤滑油が漏れ出したり、一対のシールリングの間から異物が侵入することによって変速機が故障したりするおそれがある。また、接触面圧が高くなると、一対のシールリングが焼き付くおそれがある。
このようにフローティングシールのシール機能の低下は、外部への潤滑油の漏れ出しや変速機の故障を招き、さらに潤滑油が外部へ漏れ出すと変速機が使用される環境が汚染され、変速機が故障すると修理等のために作業機による作業の中断を余儀なくされる。したがって、このような事態に至る前にフローティングシールのシール機能の低下を検出する必要がある。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、フローティングシールのシール機能の低下を検知することを目的とする。
第1の発明は、フローティングシールが、第1ハウジングに設けられる第1弾性リングと、第1弾性リングを介して第1ハウジングに支持される第1シールリングと、第2ハウジングに支持され、第1シールリングと摺接可能な第2シールリングと、隙間から離れる方向への第1弾性リングの第1変位量に応じて移動する第1移動体と、第1ハウジングに対して相対回転し、第1変位量が所定量以上となったときに第1移動体が接触する被接触体と、を備えることを特徴とする。
第1の発明では、第1弾性リングの第1変位量に応じて移動する第1移動体が、第1弾性リングの第1変位量が所定量以上となったときに被接触体に接触する。このように第1移動体が被接触体に接触すると接触音が発生する。したがって、接触音の発生の有無によって、第1弾性リングの変位、すなわち、フローティングシールのシール機能の低下を検知することができる。
第2の発明は、第1移動体が、第1シールリングに固定された軸を中心として回動するレバー部材であり、レバー部材の一端は、第1弾性リングに当接しており、レバー部材の他端は、被接触体に接触可能であることを特徴とする。
第2の発明では、第1弾性リングの変位量に応じてレバー部材が回動し、第1弾性リングの変位量が所定量以上となったときにレバー部材の他端が被接触体に接触する。このように簡易な構成によって、第1弾性リングの変位量、すなわち、フローティングシールのシール機能の低下に応じて接触音を発生させることができる。
第3の発明は、第2ハウジングと第2シールリングとの間に介装される第2弾性リングをさらに備え、被接触体は、隙間から離れる方向への第2弾性リングの第2変位量に応じて移動する第2移動体であり、第1弾性リングの第1変位量と第2弾性リングの第2変位量とを合わせた量が所定量以上となったとき、第1移動体は第2移動体に接触することを特徴とする。
第3の発明では、第1弾性リングの変位量と第2弾性リングの変位量とを合わせた量が所定量以上となったときに、第1移動体と第2移動体とが接触する。このように、第1移動体と第2移動体とは、何れか一方の弾性リングの変位量ではなく、二つの弾性リングの変位量に応じて接触音を発生させる。このため、フローティングシールのシール機能の低下を精度よく検出することができる。
第4の発明は、第1移動体が、隙間とは反対側において第1弾性リングに一端が結合される棒状部材であり、棒状部材の他端は、被接触体に接触可能であることを特徴とする。
第4の発明では、第1弾性リングの変位量に応じて棒状部材が移動し、第1弾性リングの変位量が所定量以上となったときに棒状部材の他端が被接触体に接触する。このように簡易な構成によって、第1弾性リングの変位量、すなわち、フローティングシールのシール機能の低下に応じて接触音を発生させることができる。
第5の発明は、第1移動体が、第1シールリングの周方向に沿って等間隔に複数配置されることを特徴とする。
第5の発明では、複数の第1移動体が、第1シールリングの周方向に沿って等間隔に配置される。このように、複数の第1移動体が等間隔で配置されることで、フローティングシールに対して不特定の方向から異物が侵入しシール機能が低下したとしても、シール機能が低下した箇所の近くに配置される第1移動体が被接触体に接触することで接触音が発生する。したがって、フローティングシールのシール機能の低下を精度よく検出することができる。
第6の発明は、第1から第4の発明のフローティングシールを備えた変速機であって、第1ハウジングは、駆動源を収容する固定ハウジングであり、第2ハウジングは、第1ハウジングとの間に駆動源の出力回転を変速する変速機構を収容し、駆動源の回転に応じて回転駆動される回転ハウジングであり、第1移動体は、第2ハウジングの回転軸が略水平となるように変速機が配置されるとき、第1ハウジングの鉛直方向下側の部分に位置するように設けられることを特徴とする。
第6の発明では、第1移動体は、固定ハウジングに設けられる弾性リングの変位量に応じて移動するものであって、固定ハウジングの鉛直方向下側の部分に配置される。ここで、固定ハウジングに設けられる弾性リングを押圧する異物は、弾性リングの鉛直方向下側の部分において流入しやすい。したがって、第1移動体を固定ハウジングの鉛直方向下側の部分に配置しておくことで弾性リングの変位、すなわち、フローティングシールのシール機能の低下を精度よく検出することができる。
第7の発明は、第3の発明のフローティングシールを備えた変速機であって、第2ハウジングは、駆動源を収容する固定ハウジングであり、第1ハウジングは、第2ハウジングとの間に駆動源の出力回転を変速する変速機構を収容し、駆動源の回転に応じて回転駆動される回転ハウジングであり、第2移動体は、第1ハウジングの回転軸が略水平となるように変速機が配置されるとき、第2ハウジングの鉛直方向下側の部分に位置するように設けられることを特徴とする。
第7の発明では、第2移動体は、固定ハウジングに設けられる弾性リングの変位量に応じて移動するものであって、固定ハウジングの鉛直方向下側の部分に配置される。ここで、固定ハウジングに設けられる弾性リングを押圧する異物は、弾性リングの鉛直方向下側の部分において流入しやすい。したがって、第2移動体を固定ハウジングの鉛直方向下側の部分に配置しておくことで弾性リングの変位、すなわち、フローティングシールのシール機能の低下を精度よく検出することができる。
本発明によれば、フローティングシールのシール機能の低下を検知することができる。
<第1実施形態>
以下、図1から図4を参照して、本発明の第1実施形態に係るフローティングシール50およびフローティングシール50を備える変速機100について説明する。
以下、図1から図4を参照して、本発明の第1実施形態に係るフローティングシール50およびフローティングシール50を備える変速機100について説明する。
変速機100は、例えば、油圧ショベルなどのクローラ式作業機の車軸部に設けられてクローラベルトを駆動する走行モータに用いられる。駆動装置としての走行モータは、駆動源としての油圧モータ1と、油圧モータ1のシャフト31の出力回転を減速する変速機100と、を備える。
変速機100は、第2ハウジングとしての固定ハウジング10と、固定ハウジング10に対して相対的に回転作動する円筒状の第1ハウジングとしての回転ハウジング20と、を備える。回転ハウジング20の外周面にはスプロケット(図示せず)が連結される。回転ハウジング20とスプロケットとが共に回転することで、スプロケットに噛み合うクローラベルト(図示せず)が循環して車両が走行する。
固定ハウジング10及び回転ハウジング20は、クローラベルトが循環する経路の内側に配置される。回転ハウジング20は、車体6に連結される固定ハウジング10に対してベアリング3を介して回転自在に支持され、回転軸Oを中心として回転作動する。
固定ハウジング10の本体部11の内部には、油圧モータ1が設けられる。油圧モータ1は、例えば、斜板式ピストンモータである。なお、駆動源は油圧モータに限定されず、例えば、電動モータなどであってもよい。固定ハウジング10は、本体部11の外周面から突出して形成され車体6に取り付けられる固定フランジ部12を有する。固定フランジ部12には、複数のねじ穴15が形成される。
図1に示すように、回転ハウジング20の内部には、変速機構30が収容される。変速機構30は、遊星歯車機構である。変速機構30は、油圧モータ1のシャフト31に設けられるサンギヤ32と、回転ハウジング20の内壁に設けられるインナーギヤ33と、サンギヤ32とインナーギヤ33との双方に噛み合う複数のプラネタリギヤ34と、各プラネタリギヤ34を支持するプラネタリキャリア35と、プラネタリキャリア35と噛み合う2段目のサンギヤ36と、サンギヤ36とインナーギヤ33との双方に噛み合う複数のプラネタリギヤ37と、を備える。変速機構30は、油圧モータ1のシャフト31の出力回転を減速して回転ハウジング20に伝達する。
回転ハウジング20の開口端20aの内周には、開口端20aを閉塞する円盤状の開口端カバー2が着脱可能に取り付けられる。
回転ハウジング20の内面と、固定ハウジングの本体部11の外面と、開口端カバー2と、によって変速機構30を収容するギヤ室4が画成される。ギヤ室4には、変速機構30を潤滑する潤滑油が充填される。
回転ハウジング20には、外周面22から環状に突出する回転フランジ部29が形成される。回転フランジ部29には、複数のねじ孔28が形成される。上述のスプロケットは、ねじ孔28にボルト(図示せず)を螺合することによって回転フランジ部29に締結され、回転ハウジング20と共に回転作動する。
固定ハウジング10は、固定フランジ部12に形成され回転ハウジング20に向かって延びる環状の固定側突起部13をさらに備える。回転ハウジング20の回転フランジ部29の基端側には、固定側突起部13の径方向内側において固定ハウジング10に向かって延びる環状の回転側突起部23が形成される。
固定ハウジング10と回転ハウジング20の間には、固定ハウジング10と回転ハウジング20との間の隙間Gをシールするフローティングシール50が設けられる。
フローティングシール50は、回転ハウジング20の回転側突起部23の内周面21に装着される第1弾性リングとして回転側Oリング51と、固定側突起部13の内周面14に装着される第2弾性リングとしての固定側Oリング52と、回転側Oリング51を介して回転ハウジング20に外周面が支持される第1シールリング53と、固定側Oリング52を介して固定ハウジング10に外周面が支持される第2シールリング54と、を有する。第1シールリング53及び第2シールリング54は、ともに金属製の環状部材であり、対向する側面に形成された接触面を介して接触状態にある。
フローティングシール50は、一対のシールリング53,54が互いに摺接することによって変速機100内の作動油が隙間Gを通じて外部に漏出することを防止するとともに、隙間Gを通じて外部から異物が変速機100内に侵入することを防止する。
また、固定ハウジング10と回転ハウジング20の間には、フローティングシール50によりシールされる隙間Gが外部に直接露出することを防止するためにラビリンスシール5が設けられる。
ラビリンスシール5は、固定ハウジング10と回転ハウジング20の互いに対向する端面同士の間隙によって形成される。具体的には、ラビリンスシール5は、固定側突起部13の端面と回転フランジ部29の端面との間に形成される間隙や固定側突起部13の端面と回転側突起部23の端面との間に形成される間隙によって構成される。ラビリンスシール5が設けられることで、隙間Gを通じて、特にフローティングシール50の一対のOリング51,52の間に外部から泥などの異物が容易に侵入することが抑制される。
しかしながら、ラビリンスシール5が設けられていても、変速機100が長期間にわたって使用されるうちに、一対のOリング51,52の間には、外部から泥などの異物が隙間Gを通じて徐々に入り込む。一対のOリング51,52の間の間隔が拡がると各Oリング51,52から各シールリング53,54に付与される押圧力が変化するため、一対のシールリング53,54の間の接触面圧も変化する。例えば、接触面圧が低くなると、一対のシールリング53,54の間に隙間が生じ、接触面圧が高くなると、一対のシールリング53,54の間に焼き付きが生じ、結果として、フローティングシール50のシール機能が低下する。
フローティングシール50のシール機能の低下は、外部への潤滑油の漏れ出しや変速機の故障を招く。さらに、潤滑油が外部へ漏れ出すと変速機が使用される環境が汚染され、また、変速機が故障すると修理等のために作業機による作業の中断を余儀なくされる。したがって、このような事態に至る前にフローティングシール50のシール機能の変化を検出する必要がある。
このため、本実施形態では、フローティングシール50のシール機能の低下を事前に検出する検出機構60がフローティングシール50に設けられる。
検出機構60は、固定ハウジング10と回転ハウジング20との間の隙間Gから離れる方向への各Oリング51,52の変位量が大きくなると警告音を発生させる機構であって、各Oリング51,52から各シールリング53,54に付与される押圧力が変化しフローティングシール50のシール機能が低下した状態にあることを音によって知らせるものである。
以下に、検出機構60の具体的な構成について、図2及び図3を参照して説明する。
検出機構60は、図2に示されるように、第1シールリング53に設けられ、回転ハウジング20とともに回転する接触側機構60aと、第2シールリング54に設けられ、固定ハウジング10とともに固定される被接触側機構60bと、を有する。
接触側機構60aは、隙間Gから離れる方向への回転側Oリング51の変位に応じて移動する第1移動体としての第1レバー部材61と、第1シールリング53に固定される第1ベース部材63と、第1ベース部材63に対して第1レバー部材61を軸支する第1連結ピン65と、を有する。
第1レバー部材61は、第1シールリング53の内周面と第2シールリング54と摺接する側面とは反対側の第1シールリング53の側面に沿って配置される略円弧状または略L字状に成形される部材である。第1レバー部材61は、第1連結ピン65が挿入される貫通孔61bが設けられる本体部61aと、本体部61aの一端側に設けられ回転側Oリング51に当接する当接面61eが形成される当接部61dと、本体部61aの他端側に設けられ被接触体に接触する接触部61cと、を有し、金属または樹脂によって一体的に形成される。
本体部61aは、第1シールリング53の内周側において回転軸O方向に延在するように設けられる部分であり、当接部61dは、本体部61aから第1シールリング53の径方向外側に向かって第1シールリング53の側面に沿って延び回転側Oリング51に至る部分である。接触部61cは、第2シールリング54の内周側に設けられる後述の第2レバー部材62の被接触部62cに向かって本体部61aから延出して形成される部分であり、先細り状に形成される。
第1ベース部材63は、円筒状に形成される円筒部63aと、円筒部63aから径方向内側に突出して形成される一対の支持部63bと、を有する。一対の支持部63bには、図3に示されるように、第1連結ピン65が挿入される挿通孔63cがそれぞれ形成される。
第1連結ピン65は、円柱状部材であり、第1レバー部材61の貫通孔61bと第1ベース部材63の挿通孔63cとに挿入され、図示しない抜け止め部材によって抜け止めされる。このように、第1レバー部材61は、第1連結ピン65の軸心を中心として第1ベース部材63により回動自在に支持される。
上記構成の接触側機構60aは、第1ベース部材63の円筒部63aが第1シールリング53の内周面に形成された段部53aに回転軸O方向に沿って嵌合されることによって第1シールリング53に固定される。なお、第1ベース部材63の一対の支持部63bは、第1シールリング53の内周面に直接形成されていてもよい。
被接触側機構60bは、隙間Gから離れる方向への固定側Oリング52の変位に応じて移動する第2移動体としての第2レバー部材62と、第2シールリング54に固定される第2ベース部材64と、第2ベース部材64に対して第2レバー部材62を軸支する第2連結ピン66と、を有する。
第2レバー部材62は、第1レバー部材61と同様に、本体部62aと、本体部62aの一端側に設けられる当接部62dと、を有するが、接触部61cに代えて被接触部62cが設けられる点で第1レバー部材61とは形状が異なっている。被接触部62cは、本体部62aの他端側に設けられ先端における断面が矩形状に形成されており、第1レバー部材61の接触部61cに対向するように配置される。
第2ベース部材64及び第2連結ピン66の形状は、第1ベース部材63及び第1連結ピン65と同じであるため、その説明を省略する。
上記構成の被接触側機構60bは、接触側機構60aと同様に、第2ベース部材64の円筒部64aが第2シールリング54の内周面に形成された段部に回転軸O方向に沿って嵌合されることによって第2シールリング54に固定される。
次に、上記構成の検出機構60において警告音が発生する状態について、図2及び図4を参照して説明する。
図2には、固定ハウジング10と回転ハウジング20との間の隙間Gを通じて一対のOリング51,52の間に泥等の異物が侵入していない状態が示されている。この状態では、第1レバー部材61の接触部61cと第2レバー部材62の被接触部62cとは、回転軸O方向に離れている。このため、固定ハウジング10に対して回転ハウジング20が回転したとしても、接触部61cが被接触部62cに接触することはない。したがって、この状態では、接触部61cと被接触部62cとが接触することに起因する音は発生しない。
一方、固定ハウジング10と回転ハウジング20との間の隙間Gを通じて一対のOリング51,52の間に泥等の異物が侵入すると、一対のOリング51,52の間の間隔が徐々に拡がり、やがて、図4に示されるように、回転側Oリング51の変位に応じて第1レバー部材61が移動し、固定側Oリング52の変位に応じて第1レバー部材61が移動した状態となる。
具体的には、隙間Gを通じて一対のOリング51,52の間に泥等の異物が侵入すると、各Oリング51,52は、隙間Gから離れる方向へと移動する。そして、回転側Oリング51が隙間Gから離れる方向へと移動すると、回転側Oリング51に当接面61eを介して当接する第1レバー部材61の当接部61dも隙間Gから離れる方向、すなわち、第1シールリング53から離れる方向へと移動する。
ここで、上述のように、第1レバー部材61は、第1シールリング53の内周側に固定される第1連結ピン65の軸心を中心として回動自在である。したがって、第1レバー部材61は、当接部61dが第1シールリング53から離れると、第1連結ピン65を挟んで当接部61dと反対側に設けられる接触部61cが第1シールリング53に近づくように回動する。この結果、接触部61cは、被接触部62cとの間の距離を狭める方向へと移動することになる。
同様に、固定側Oリング52が隙間Gから離れる方向へと移動すると、固定側Oリング52に当接面62eを介して当接する第2レバー部材62の当接部62dも隙間Gから離れる方向、すなわち、第2シールリング54から離れる方向へと移動する。このように当接部62dが第2シールリング54から離れると、第2レバー部材62は、第2連結ピン66を挟んで当接部62dと反対側に設けられる被接触部62cが第2シールリング54に近づくように回動する。この結果、被接触部62cは、接触部61cとの間の距離を狭める方向へと移動することになる。
そして、回転側Oリング51の変位量(第1変位量)と固定側Oリング52の変位量(第2変位量)とを合わせた変位量が所定量以上になるか、回転側Oリング51の変位量と固定側Oリング52の変位量との何れか一方の変位量が所定量以上になると、固定ハウジング10に対して回転ハウジング20が回転し、第1レバー部材61が第2レバー部材62に対向した位置にくる毎に、接触部61cが被接触部62cに接触し、接触音を発生させる。このように、検出機構60は、接触部61cが被接触部62cに断続的に接触することで発生する接触音を周期的な警告音として発生させる。
したがって、変速機100を操作するオペレータや変速機100を整備する整備者は、検出機構60が発する警告音の有無によってフローティングシール50のシール機能の変化を容易に検知することができる。
以上の第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
フローティングシール50では、回転側Oリング51の変位量に応じて移動する第1レバー部材61の接触部61cが、回転側Oリング51の変位量が所定量以上となったときに第2レバー部材62の被接触部62cに断続的に接触する。このように接触部61cが被接触部62cに断続的に接触すると周期的な接触音が発生する。したがって、接触音の発生の有無によって、回転側Oリング51の変位、すなわち、フローティングシール50のシール機能の低下を検知することができる。
次に上記第1実施形態の変形例について説明する。
上記第1実施形態では、接触部61cを有する第1レバー部材61は、回転ハウジング20側に設けられる。これに代えて、接触部61cを有する第1レバー部材61を固定ハウジング10側に設け、被接触部62cを有する第2レバー部材62を回転ハウジング20側に設けた構成としてもよい。この場合、固定ハウジング10が第1ハウジングに相当し、回転ハウジング20が第2ハウジングに相当する。
また、上記第1実施形態において第1シールリング53に設けられる第1レバー部材61の数は、単数であってもよいが、回転側Oリング51の変位を精度よく検出するためには、複数設けることが好ましい。
また、回転ハウジング20とともに回転する第1レバー部材61が複数設けられる場合には、各第1レバー部材61は、第1シールリング53の周方向に等間隔で配置されることが好ましい。ここで、回転側Oリング51は回転ハウジング20とともに回転するため、回転側Oリング51を押圧する泥等の異物は、周方向においてほぼ等しく流入する。したがって、第1レバー部材61を第1シールリング53の周方向に等間隔で配置しておくことで回転側Oリング51の変位を精度よく検出することができる。なお、第1レバー部材61に代えて第2レバー部材62を第1シールリング53に設けた場合も同様である。
また、回転ハウジング20とともに回転する第1レバー部材61が複数設けられる場合には、各第1レバー部材61の接触部61cの長さを異ならせてもよい。各第1レバー部材61の接触部61cの長さが異なると、それぞれの接触部61cが被接触部62cに接触するときの回転側Oリング51の移動量が異なる。つまり、回転側Oリング51の移動量が小さいときには、被接触部62cに接触する接触部61cの数が少ないため、回転ハウジング20が1回転する毎に発生する接触音の回数が少ない一方、回転側Oリング51の移動量が大きくなるにつれて、被接触部62cに接触する接触部61cの数が多くなるため、接触音の回数が増大する。したがって、回転ハウジング20が1回転する毎に発生する接触音の回数によって、フローティングシール50のシール機能がどの程度変化したかを判別することが可能となる。
また、上記第1実施形態において第2シールリング54に設けられる第2レバー部材62の数は単数であってもよいが、固定側Oリング52の変位を精度よく検出するためには、複数設けることが好ましい。
また、上記第1実施形態において固定ハウジング10に対する第2レバー部材62の位置は、どのような位置であってもよいが、第2レバー部材62は、回転ハウジング20の回転軸Oが略水平となるように変速機100が配置された状態において、固定ハウジング10の鉛直方向下側の部分に配置されることが好ましい。ここで、固定側Oリング52は固定ハウジング10に対して固定された状態にあるため、固定側Oリング52を押圧する泥等の異物は、鉛直方向下側の部分において流入しやすくなる。したがって、第2レバー部材62を固定ハウジング10の鉛直方向下側の部分に配置しておくことで固定側Oリング52の変位を精度よく検出することができる。なお、第2レバー部材62に代えて第1レバー部材61を固定ハウジング10側に設けた場合も同様である。
<第2実施形態>
図5を参照して、本発明の第2実施形態に係るフローティングシール150を備えた変速機100について説明する。以下では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
図5を参照して、本発明の第2実施形態に係るフローティングシール150を備えた変速機100について説明する。以下では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
図5に示されるフローティングシール150では、回転側Oリング51の変位量に応じて移動する第1レバー部材61が接触可能な被接触体が、第2シールリング55に設けられた被接触ピン67である点で、第1実施形態に係るフローティングシール50と相違する。
フローティングシール150は、回転ハウジング20の回転側突起部23の内周面21に装着される第1弾性リングとして回転側Oリング51と、回転側Oリング51を介して回転ハウジング20に外周面が支持される第1シールリング53と、固定側突起部13の内周面16に摺動自在に支持される第2シールリング55と、第2シールリング55と固定フランジ部12との間に配置されるシール部材56と、を有する。第1シールリング53及び第2シールリング55は、ともに金属製の環状部材であり、対向する側面に形成された接触面を介して接触状態にある。フローティングシール150は、回転ハウジング20側の第1シールリング53のみが回転側Oリング51を介して支持される片側フローティングシールである。
フローティングシール150は、回転ハウジング20の回転作動時に、一対のシールリング53,55が互いに摺接することによって変速機100内の作動油が隙間Gを通じて外部に漏出することを防止するとともに、隙間Gを通じて外部から異物が変速機100内に侵入することを防止する。なお、第2シールリング55は、第1シールリング53が摺接可能な形状を有していればよく、固定フランジ部12に一体的に形成されていてもよい。なお、第2シールリング55が固定フランジ部12に一体的に形成される場合は、シール部材56を廃止することができる。
第2実施形態においてフローティングシール150に設けられる検出機構160は、第1シールリング53に設けられ、回転ハウジング20とともに回転する接触側機構60aと、第2シールリング55に設けられる被接触ピン67と、を有する。
接触側機構60aは、上記第1実施形態のものと同じ構成であるためその説明を省略する。
被接触ピン67は、円柱状部材であり、第2シールリング55の内周面に設けられた穴55aに端部が挿入固定される。被接触ピン67の穴55aから露出する部分の長さは、第1シールリング53に設けられた第1レバー部材61の接触部61cよりも被接触ピン67の先端が第2シールリング55の径方向内側に位置するように設定される。
次に、上記構成の検出機構160において警告音が発生する状態について説明する。
図5には、固定ハウジング10と回転ハウジング20との間の隙間Gを通じて回転側Oリング51を変位させる泥等の異物が侵入していない状態が示されている。この状態では、第1レバー部材61の接触部61cと被接触ピン67とは、回転軸O方向に離れている。このため、固定ハウジング10に対して回転ハウジング20が回転したとしても、接触部61cが被接触ピン67に接触することはない。したがって、この状態では、接触部61cと被接触ピン67とが接触することに起因する音は発生しない。
一方、固定ハウジング10と回転ハウジング20との間の隙間Gを通じて回転側Oリング51を変位させる程度に泥等の異物が侵入すると、回転側Oリング51は、隙間Gから離れる方向へと移動する。回転側Oリング51が隙間Gから離れる方向へと移動すると、回転側Oリング51に当接面61eを介して当接する第1レバー部材61の当接部61dも隙間Gから離れる方向、すなわち、第1シールリング53から離れる方向へと移動する。当接部61dが第1シールリング53から離れると、第1レバー部材61は、第1連結ピン65を挟んで当接部61dと反対側に設けられる接触部61cが第1シールリング53に近づくように回動する。この結果、接触部61cは、被接触ピン67との間の距離を狭める方向へと移動することになる。
そして、回転側Oリング51の変位量が所定量以上となると、固定ハウジング10に対して回転ハウジング20が回転し、第1レバー部材61が被接触ピン67に対向した位置にくる毎に、接触部61cが被接触ピン67に接触し、接触音を発生させる。このように、検出機構160は、接触部61cが被接触ピン67に断続的に接触することで発生する接触音を周期的な警告音として発生させる。
したがって、変速機100を操作するオペレータや変速機100を整備する整備者は、検出機構160が発する警告音の有無によってフローティングシール150のシール機能の変化を容易に検知することができる。
以上の第2実施形態によれば、以下の効果を奏する。
フローティングシール150では、回転側Oリング51の変位量に応じて移動する第1レバー部材61の接触部61cが、回転側Oリング51の変位量が所定量以上となったときに被接触ピン67に断続的に接触する。このように接触部61cが被接触ピン67に断続的に接触すると周期的な接触音が発生する。したがって、接触音の発生の有無によって、回転側Oリング51の変位、すなわち、フローティングシール150のシール機能の低下を検知することができる。
なお、上記第2実施形態では、フローティングシール150が片側フローティングシールであるが、上記第1実施形態と同様に両側フローティングシールとしてもよい。
また、上記第2実施形態では、被接触ピン67は、第2シールリング55に設けられている。これに代えて、被接触ピン67は、第1レバー部材61の接触部61cが接触可能な位置であれば、固定ハウジング10に設けられていてもよい。
また、上記第2実施形態では、第1レバー部材61が回転ハウジング20側に設けられ、被接触ピン67が固定ハウジング10側に設けられている。これに代えて、第1レバー部材61を固定ハウジング10側に設け、被接触ピン67を回転ハウジング20側に設けた構成としてもよい。
また、上記第2実施形態では、被接触体は、第2シールリング55に設けられた円柱状の被接触ピン67である。これに代えて、被接触ピン67と同様に第2シールリング55から径方向内側に突出するように、第2シールリング55に設けられた円環状の部材を被接触体として用いてもよい。
この場合も回転側Oリング51の変位量が所定量以上となると、第1レバー部材61の接触部61cは、第2シールリング55に設けられた円環状の部材に接触することになる。なお、この場合、接触部61cは円環状の部材に対して摺接するため、連続的に擦れるような接触音が発生する。したがって、連続的な接触音の発生の有無によって、回転側Oリング51の変位、すなわち、フローティングシール150のシール機能の低下を検知することができる。
<第3実施形態>
図6及び図7を参照して、本発明の第3実施形態に係るフローティングシール250を備えた変速機100について説明する。以下では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
図6及び図7を参照して、本発明の第3実施形態に係るフローティングシール250を備えた変速機100について説明する。以下では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
図6に示されるフローティングシール250では、回転側Oリング51の変位量に応じて移動する移動体が、一端が回転側Oリング51に結合され、他端に接触部68bが設けられる棒状部材68である点で、第1実施形態に係るフローティングシール50と相違する。
フローティングシール250は、上記第1実施形態のフローティングシール50と同様に、回転ハウジング20の回転側突起部23の内周面21に装着される第1弾性リングとして回転側Oリング51と、固定側突起部13の内周面14に装着される第2弾性リングとしての固定側Oリング52と、回転側Oリング51を介して回転ハウジング20に外周面が支持される第1シールリング53と、固定側Oリング52を介して固定ハウジング10に外周面が支持される第2シールリング54と、を有する。
第3実施形態においてフローティングシール250に設けられる検出機構260は、回転側Oリング51に結合される第1移動体としての棒状部材68と、被接触体としてのベアリング3の転動体3aと、を有する。
棒状部材68は、樹脂によって形成され、断面が矩形状に形成される本体部68aと、本体部68aの一端側に設けられ回転側Oリング51に結合される結合部68cと、本体部68aの他端側に設けられる接触部68bと、を有する。なお、棒状部材68は、その全部または一部が回転側Oリング51と一体的に形成されてもよい。また、接触部68bは、被接触体に接触するため、硬質樹脂により形成されることが好ましい。
棒状部材68は、第2シールリング54とは反対側の第1シールリング53の側面に沿って配置される。棒状部材68が配置される第1シールリング53の側面には、図7に示されるように、側面から突出して形成される一対のガイド部53bが設けられる。棒状部材68は、一対のガイド部53bの間に配置されることで周方向へ移動が制限される。
次に、上記構成の検出機構260において警告音が発生する状態について説明する。
図6には、固定ハウジング10と回転ハウジング20との間の隙間Gを通じて一対のOリング51,52の間に泥等の異物が侵入していない状態が示されている。この状態では、棒状部材68の接触部68bは、いずれの部材にも接触していないため、接触部68bと他の部材とが接触することに起因する音は発生しない。
一方、固定ハウジング10と回転ハウジング20との間の隙間Gを通じて一対のOリング51,52の間に泥等の異物が侵入すると、一対のOリング51,52の間の間隔が徐々に拡がり、やがて、図8に示されるように、回転側Oリング51の変位に応じて棒状部材68が回転軸O方向に移動する。
そして、回転側Oリング51の変位量が所定量以上となると、棒状部材68の接触部68bがベアリング3の転動体3aに接触する状態となる。ここで、ベアリング3の転動体3aは、ベアリング3の外輪が固定される回転ハウジング20の回転数よりも遅い回転数で回転している。つまり、棒状部材68の接触部68bは、非同期回転する転動体3aに断続的に接触することで周期的な接触音を発生させる。このように、検出機構260は、接触部68bが転動体3aに断続的に接触することで発生する接触音を周期的な警告音として発生させる。
したがって、変速機100を操作するオペレータや変速機100を整備する整備者は、検出機構260が発する警告音の有無によってフローティングシール50のシール機能の変化を容易に検知することができる。
以上の第3実施形態によれば、以下の効果を奏する。
フローティングシール250では、回転側Oリング51の変位量に応じて移動する棒状部材68の接触部68bが、回転側Oリング51の変位量が所定量以上となったときにベアリング3の転動体3aに断続的に接触する。このように接触部68bが転動体3aに断続的に接触すると周期的な接触音が発生する。したがって、接触音の発生の有無によって、回転側Oリング51の変位、すなわち、フローティングシール250のシール機能の低下を検知することができる。
なお、上記第3実施形態では、棒状部材68の接触部68bがベアリング3の転動体3aに接触しているが、接触部68bが接触する部材としては転動体3aに限定されず、接触部68bと非同期回転または相対回転する部材であればどのような部材であってもよい。
また、上記第3実施形態では、棒状部材68が回転ハウジング20側のみに設けられる。これに代えて、棒状部材68を固定ハウジング10側と回転ハウジング20側との両方または固定ハウジング10側のみに設けた構成としてもよい。この場合も、棒状部材68の接触部68bの近傍には、棒状部材68に対して相対回転する部材であって、接触部68bが接触可能な部材が被接触体として設けられる。
以上のように構成された本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
相対回転する回転ハウジング20と固定ハウジング10との間の隙間Gをシールするフローティングシール50,150,250は、回転ハウジング20に設けられる回転側Oリング51と、回転側Oリング51を介して回転ハウジング20に支持される第1シールリング53と、固定ハウジング10に支持され、第1シールリング53と摺接可能な第2シールリング54と、隙間Gから離れる方向への回転側Oリング51の変位量に応じて移動する第1移動体61,68と、回転側Oリング51が設けられる回転ハウジング20に対して相対回転し、変位量が所定量以上となったときに第1移動体61,68が接触する被接触体62,67,3aと、を備える。
この構成では、回転側Oリング51の変位量に応じて移動する第1移動体61,68が、回転側Oリング51の変位量が所定量以上となったときに被接触体62,67,3aに接触する。このように第1移動体61,68が、回転ハウジング20に対して相対回転する被接触体62,67,3aに接触すると、正常時には発生しない周期的な接触音や連続的に擦れるような接触音が発生する。したがって、接触音の発生の有無によって、回転側Oリング51の変位、すなわち、フローティングシール50,150,250のシール機能の低下を検知することができる。この結果、一対のシールリング53,54の間から外部へ潤滑油等が漏れ出したり、一対のシールリング53,54の間から異物が侵入したりする前に、フローティングシール50,150,250を交換することが可能となる。なお、第1移動体61,68が固定側Oリング52の変位量に応じて移動するものである場合も同様の効果が得られる。
また、第1移動体は、第1シールリング53に固定された第1連結ピン65を中心として回動する第1レバー部材61であり、第1レバー部材61の一端は、回転側Oリング51に当接しており、第1レバー部材61の他端は、被接触体62,67に接触可能である。
この構成では、回転側Oリング51の変位量に応じて第1レバー部材61が回動し、回転側Oリング51の変位量が所定量以上となったときに第1レバー部材61の他端が被接触体62,67に接触する。このように簡易な構成によって、回転側Oリング51の変位量、すなわち、フローティングシール50,150のシール機能の低下に応じて接触音を発生させることができる。
また、フローティングシール50は、固定ハウジング10と第2シールリング54との間に介装される固定側Oリング52をさらに備え、被接触体は、隙間Gから離れる方向への固定側Oリング52の変位量に応じて移動する第2レバー部材62であり、回転側Oリング51の変位量と固定側Oリング52の変位量とを合わせた量が所定量以上となったとき、第1レバー部材61は第2レバー部材62に接触する。
この構成では、回転側Oリング51の変位量と固定側Oリング52の変位量とを合わせた量が所定量以上となったときに、第1レバー部材61と第2レバー部材62とが接触する。このように、第1レバー部材61と第2レバー部材62とは、何れか一方のOリングの変位量ではなく、二つのOリングの変位量に応じて接触音を発生させる。このため、フローティングシール50のシール機能の低下を精度よく検出することができる。
また、第1移動体は、隙間Gとは反対側において回転側Oリング51に一端が結合される棒状部材68であり、棒状部材68の他端は、転動体3a(被接触体)に接触可能である。
この構成では、回転側Oリング51の変位量に応じて棒状部材68が移動し、回転側Oリング51の変位量が所定量以上となったときに棒状部材68の他端が転動体3a(被接触体)に接触する。このように簡易な構成によって、回転側Oリング51の変位量、すなわち、フローティングシール250のシール機能の低下に応じて接触音を発生させることができる。
また、第1移動体61,68は、第1シールリング53の周方向に沿って等間隔に複数配置される。
この構成では、複数の第1移動体61,68が、第1シールリング53の周方向に沿って等間隔に配置される。このように、複数の第1移動体61,68が等間隔で配置されることで、フローティングシール50,150,250に対して泥等の異物がどのような方向から侵入する場合であっても、異物の侵入によりシール機能が低下した箇所の近くに配置される第1移動体61,68が被接触体62,67,3aに接触することで接触音が発生する。したがって、第1移動体61,68が1つのみ設けられる場合と比較し、フローティングシール50,150,250のシール機能の低下を精度よく検出することができる。なお、第1移動体61,68が固定側Oリング52の変位量に応じて移動するものである場合も同様の効果が得られる。
また、例えば、フローティングシール50,150,250が、油圧モータ1を収容する固定ハウジング10と、固定ハウジング10との間に油圧モータ1の出力回転を変速する変速機構30を収容し、油圧モータ1の回転に応じて回転駆動される回転ハウジング20と、の間の隙間をシールするように設けられる場合、回転側Oリング51は回転ハウジング20とともに回転するため、回転側Oリング51を押圧する泥等の異物は回転側Oリング51の周方向においてほぼ等しく流入する。したがって、第1移動体61,68を第1シールリング53の周方向に等間隔で配置しておくことで回転側Oリング51の変位、すなわち、フローティングシール50,150,250のシール機能の低下を精度よく検出することができる。
また、第1ハウジングは、油圧モータ1を収容する固定ハウジング10であり、第2ハウジングは、固定ハウジング10との間に油圧モータ1の出力回転を変速する変速機構30を収容し、油圧モータ1の回転に応じて回転駆動される回転ハウジング20であり、第1移動体61,68は、回転ハウジング20の回転軸Oが略水平となるように変速機100が配置されるとき、固定ハウジング10の鉛直方向下側の部分に位置するように設けられる。
この構成では、第1移動体61,68は、固定ハウジング10に設けられる固定側Oリング52の変位量に応じて移動するものであって、固定ハウジング10の鉛直方向下側の部分に配置される。ここで、固定ハウジング10に設けられる固定側Oリング52を押圧する泥等の異物は、固定側Oリング52の鉛直方向下側の部分において流入しやすい。したがって、第1移動体61,68を固定ハウジング10の鉛直方向下側の部分に配置しておくことで固定側Oリング52の変位、すなわち、フローティングシール50,150,250のシール機能の低下を精度よく検出することができる。
また、第2ハウジングは、油圧モータ1を収容する固定ハウジング10であり、第1ハウジングは、固定ハウジング10との間に油圧モータ1の出力回転を変速する変速機構30を収容し、油圧モータ1の回転に応じて回転駆動される回転ハウジング20であり、第2レバー部材62(第2移動体)は、回転ハウジング20の回転軸Oが略水平となるように変速機100が配置されるとき、固定ハウジング10の鉛直方向下側の部分に位置するように設けられる。
この構成では、第2レバー部材62(第2移動体)は、固定ハウジング10に設けられる固定側Oリング52の変位量に応じて移動するものであって、固定ハウジング10の鉛直方向下側の部分に配置される。ここで、固定ハウジング10に設けられる固定側Oリング52を押圧する泥等の異物は、固定側Oリング52の鉛直方向下側の部分において流入しやすい。したがって、第2レバー部材62(第2移動体)を固定ハウジング10の鉛直方向下側の部分に配置しておくことで固定側Oリング52の変位、すなわち、フローティングシール50,150,250のシール機能の低下を精度よく検出することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
例えば、上記実施形態では、駆動装置として、走行モータを例に説明したが、駆動装置は、旋回装置やウインチなどを駆動するモータであってもよい。
100・・・変速機、50,150,250・・・フローティングシール、1・・・油圧モータ、3・・・ベアリング、3a・・・転動体(被接触体)、10・・・固定ハウジング(第1ハウジング,第2ハウジング)、20・・・回転ハウジング(第1ハウジング,第2ハウジング)、30・・・変速機構、51・・・回転側Oリング(第1弾性リング,第2弾性リング)、52・・・固定側Oリング(第1弾性リング,第2弾性リング)、53・・・第1シールリング、54,55・・・第2シールリング、60,160,260・・・検出機構、61・・・第1レバー部材(第1移動体)、62・・・第2レバー部材(被接触体,第2移動体)、67・・・被接触ピン(被接触体)、68・・・棒状部材(第1移動体)
Claims (7)
- 相対回転する第1ハウジングと第2ハウジングとの間の隙間をシールするフローティングシールであって、
前記第1ハウジングに設けられる第1弾性リングと、
前記第1弾性リングを介して前記第1ハウジングに支持される第1シールリングと、
前記第2ハウジングに支持され、前記第1シールリングと摺接可能な第2シールリングと、
前記隙間から離れる方向への前記第1弾性リングの第1変位量に応じて移動する第1移動体と、
前記第1ハウジングに対して相対回転し、前記第1変位量が所定量以上となったときに前記第1移動体が接触する被接触体と、を備えることを特徴とするフローティングシール。 - 前記第1移動体は、前記第1シールリングに固定された軸を中心として回動するレバー部材であり、
前記レバー部材の一端は、前記第1弾性リングに当接しており、前記レバー部材の他端は、前記被接触体に接触可能であることを特徴とする請求項1に記載のフローティングシール。 - 前記第2ハウジングと前記第2シールリングとの間に介装される第2弾性リングをさらに備え、
前記被接触体は、前記隙間から離れる方向への前記第2弾性リングの第2変位量に応じて移動する第2移動体であり、
前記第1弾性リングの前記第1変位量と前記第2弾性リングの前記第2変位量とを合わせた量が所定量以上となったとき、前記第1移動体は前記第2移動体に接触することを特徴とする請求項1または2に記載のフローティングシール。 - 前記第1移動体は、前記隙間とは反対側において前記第1弾性リングに一端が結合される棒状部材であり、
前記棒状部材の他端は、前記被接触体に接触可能であることを特徴とする請求項1に記載のフローティングシール。 - 前記第1移動体は、前記第1シールリングの周方向に沿って等間隔に複数配置されることを特徴とする請求項1から4の何れか1つに記載のフローティングシール。
- 請求項1から4の何れか1つに記載のフローティングシールを備えた変速機であって、
前記第1ハウジングは、駆動源を収容する固定ハウジングであり、
前記第2ハウジングは、前記第1ハウジングとの間に前記駆動源の出力回転を変速する変速機構を収容し、前記駆動源の回転に応じて回転駆動される回転ハウジングであり、
前記第1移動体は、前記第2ハウジングの回転軸が略水平となるように前記変速機が配置されるとき、前記第1ハウジングの鉛直方向下側の部分に位置するように設けられることを特徴とする変速機。 - 請求項3に記載のフローティングシールまたは請求項3を引用する請求項5に記載のフローティングシールを備えた変速機であって、
前記第2ハウジングは、駆動源を収容する固定ハウジングであり、
前記第1ハウジングは、前記第2ハウジングとの間に前記駆動源の出力回転を変速する変速機構を収容し、前記駆動源の回転に応じて回転駆動される回転ハウジングであり、
前記第2移動体は、前記第1ハウジングの回転軸が略水平となるように前記変速機が配置されるとき、前記第2ハウジングの鉛直方向下側の部分に位置するように設けられることを特徴とする変速機。
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JP2016224254A JP2018080781A (ja) | 2016-11-17 | 2016-11-17 | フローティングシール及びフローティングシールを備えた変速機 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110242734A (zh) * | 2019-05-28 | 2019-09-17 | 龙工(上海)精工液压有限公司 | 一种防护浮动油封的行走马达减速机结构 |
-
2016
- 2016-11-17 JP JP2016224254A patent/JP2018080781A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN110242734A (zh) * | 2019-05-28 | 2019-09-17 | 龙工(上海)精工液压有限公司 | 一种防护浮动油封的行走马达减速机结构 |
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