JP2018078688A - 電力変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】スイッチング素子の温度を精度よく測定してスイッチング素子を過熱から保護し、スイッチング素子の温度を検出するための検温回路の故障を速やかに検出する。【解決手段】定電流電源回路221により温度検出用ダイオード素子部212を駆動してスイッチング素子211の温度を測定する際に、定電流電源回路221と温度検出用ダイオード素子部212との間に監視用抵抗器223を配置した検温回路230の両端の電位値V1,V2を電圧変換器224により測定することで、スイッチング素子211の温度を得るだけでなく、検温回路230が正常か故障かを常時監視する。【選択図】図1

Description

本発明は電力変換装置に関し、特に、例えば電動機、発電機などの回転電機に用いられる電力変換装置に関する。
一般に、車両に搭載された多相モータを通電制御するための電力変換装置には、複数のスイッチ素子から形成されたブリッジ回路が設けられている場合が多い。
その場合、ブリッジ回路を構成する全てのスイッチ素子の温度を、安価かつ確実な方法で検出することで、スイッチ素子を過熱から保護することを実現させることが要求されている。
例えば特許文献1に記載の温度検出方法では、ブリッジ回路を構成するスイッチ素子のそれぞれに対し、同一チップ上に温度検出用ダイオード素子を設け、当該温度検出用ダイオード素子の両端電圧を測定することでスイッチ素子の温度を検出している。
特許文献1では、複数のスイッチ素子から、予め設定した個数のスイッチ素子を選択し、選択した各スイッチ素子の温度検出用ダイオード素子を直列接続して、それらのスイッチ素子の温度を検出している。
特開2011−133420号公報
上述した特許文献1の温度検出方法のように、温度検出用ダイオード素子を用いてスイッチ素子の温度を検出するためには、温度検出用ダイオード素子を一定の安定した電流で駆動する必要がある。温度検出用ダイオード素子を駆動する電流が変動すると、当該変動に起因した測定誤差が発生し、精度よくスイッチ素子の温度を測定することはできない。これを防止するためには、温度検出用ダイオード素子を駆動する電流を監視する必要があるが、特許文献1においては、温度検出用ダイオード素子を駆動する電流を監視することについては記載されておらず、全く意図していない。さらには、温度検出用ダイオード素子に電力を供給する電力線または温度検出用ダイオード素子自体に故障が発生していても、それを検出する機構が備わっていないため、スイッチ素子に温度が正しく検出できていない場合にも、ユーザが当該故障を認識することができないという問題点があった。
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、スイッチング素子の温度を精度よく測定してスイッチング素子を過熱から保護し、かつ、スイッチング素子の温度を検出するための検温回路の故障を速やかに検出することが可能な、電力変換装置を得ることを目的としている。
本発明は、スイッチング素子により構成される電力変換部と、前記スイッチング素子を制御するスイッチング制御部と、前記スイッチング素子の温度を検出する検温回路とを備え、前記検温回路は、ダイオードから構成され、前記スイッチング素子に対して同一チップ上に設けられた温度検出用ダイオード素子部と、前記温度検出用ダイオード素子部に対して定電流を出力して前記温度検出用ダイオード素子部を駆動する定電流電源回路と、前記定電流電源回路と前記温度検出用ダイオード素子部との間に直列に接続された監視用抵抗器と、前記監視用抵抗器の両端の電位値を測定するとともに、前記両端の電位値の差である電位差を求める電圧検出部と、前記電圧検出部により測定された前記監視用抵抗器の前記両端の電位値のうち、前記温度検出用ダイオード素子部側の一端の電位値に基づいて、前記温度検出用ダイオード素子部の順方向電圧を求め、前記順方向電圧の温度特性に基づいて前記スイッチング素子の温度を検出する温度検出部と、前記電圧検出部により求められた前記監視用抵抗器の前記両端の電位差に基づいて、前記検温回路の動作が正常か否かを判定する故障判定部とを備えた、電力変換装置である。
本発明の電力変換装置によれば、定電流電源回路により温度検出用ダイオード素子部を駆動してスイッチング素子の温度を測定する際に、定電流電源回路と温度検出用ダイオード素子部との間に監視用抵抗器を配置した検温回路の両端の電位値を検出することで、スイッチング素子の温度を得るだけでなく、検温回路が正常か故障かを常時監視できるようにしたので、スイッチング素子の温度を精度よく測定してスイッチング素子を過熱から保護し、かつ、スイッチング素子の温度を検出するための検温回路の故障を速やかに検出することができる。
本発明の実施の形態1に係る電力変換装置の構成を示した構成図である。 本発明の実施の形態2に係る電力変換装置の構成を示した構成図である。 本発明の実施の形態3に係る電力変換装置の故障判定の判定基準をまとめた表を示した図である。
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態に係る電力変換装置について説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る電力変換装置の構成を示した図である。図1に示す電力変換装置200は、例えば自動車等の車両に搭載される車両用電力変換装置である。
電力変換装置200は、車両用多相回転電機100に接続されている。電力変換装置200は、車両用多相回転電機100への通電を制御する。車両用多相回転電機100は、例えば、電動機、発電機等の多相交流回転電機から構成されている。以下では、車両用多相回転電機100が三相交流回転電機から構成されている場合を例に挙げて説明するが、本発明は、これに限定されず、車両用多相回転電機100は、任意の相数の回転電機であってよい。
電力変換装置200は、電力変換部210とスイッチング制御部220とから構成されている。電力変換部210には、車両用多相回転電機100が接続されている。電力変換部210は、車両用多相回転電機100への給電を制御することで、車両用多相回転電機100を駆動または回生させる。また、電力変換部210には、スイッチング制御部220が接続されている。スイッチング制御部220は、電力変換部210を制御する。
図1に示すように、電力変換部210は、直列に接続された2つのスイッチング素子211からなる直列回路から構成されている。電力変換部210の当該直列回路は、車両用多相回転電機100の各相に対応させて設けられている。従って、図1の例では、車両用多相回転電機100がU相、V相、W相の三相を有しているので、それらの各相に対応させて直列回路が1つずつ設けられている。各直列回路は、それぞれ、1つの放熱体213上に設置されている。なお、以下では、当該直列回路において、上側のスイッチング素子211を上アーム側スイッチング素子211または単にスイッチング素子211と呼び、下側のスイッチング素子211を下アーム側スイッチング素子211または単にスイッチング素子211と呼ぶこととする。上アーム側スイッチング素子211と下アーム側スイッチング素子211との接続点には、車両用多相回転電機100のU,V,Wの各相の巻線が接続されている。上アーム側スイッチング素子211及び下アーム側スイッチング素子211は、スイッチング制御部220により、ON/OFFの切り替えが制御される。
なお、以下の説明においては、各直列回路のうち、代表として、U相の巻線に接続された直列回路について説明する。V相及びW相の巻線に接続された直列回路の構成及び動作については、U相のものと同じであるため、ここでは、その説明を省略する。
直列回路において、下アーム側スイッチング素子211は、同一チップ上に形成された温度検出用ダイオード素子部212を備えている。従って、下アーム側スイッチング素子211は、スイッチング素子211からなるスイッチング素子部と、温度検出用ダイオード素子からなる温度検出用ダイオード素子部212とから構成されている。温度検出用ダイオード素子部212は、図1に示すように、1以上の温度検出用ダイオード素子が直列接続されて構成されている。なお、図1においては、符号212で示される矩形の領域が温度検出用ダイオード素子部212であり、下アーム側スイッチング素子211のそれ以外の領域がスイッチング素子部である。
一方、上アーム側スイッチング素子211は、温度検出用ダイオード素子部212を備えていない。従って、上アーム側スイッチング素子211は、スイッチング素子211からなるスイッチング素子部のみから構成されている。上アーム側スイッチング素子については、直接温度検出を行わずに、下アーム側スイッチング素子211の検出結果に基づいて、過熱か否かの判定を行う。その理由としては、上アーム側スイッチング素子211及び下アーム側スイッチング素子211は、共に、同一の1つの放熱体213上に配置されているため、下アーム側スイッチング素子211に、上アーム側スイッチング素子211の温度も反映される。そのため、上アーム側スイッチング素子211については間接的な温度検出を行っている。これにより、製造コストが抑えられる。但し、この場合に限らず、上アーム側スイッチング素子211にも、温度検出用ダイオード素子部212を設けて、直接、温度検出を行うようにしてもよい。
スイッチング制御部220は、上アーム側スイッチング素子211及び下アーム側スイッチング素子211に接続されるとともに、温度検出用ダイオード素子部212に接続されている。スイッチング制御部220は、定電流電源回路221、定電流回路用電源222、監視用抵抗器223、および、電圧変換器224を備えている。なお、図1においては、スイッチング制御部220の構成として、符号221〜224で示されるこれらの構成要素しか図示しておらず、上アーム側スイッチング素子211及び下アーム側スイッチング素子211との接続線および上アーム側スイッチング素子211及び下アーム側スイッチング素子211のON/OFFを切り替えるPWMスイッチング部については、図示を省略している。しかしながら、実際には、上アーム側スイッチング素子211及び下アーム側スイッチング素子211をON/OFFを切り替えてPWM制御するための当該接続線および当該PWMスイッチング部が設けられている。
なお、図1の一点鎖線で示されるように、温度検出用ダイオード素子部212、定電流電源回路221、定電流回路用電源222、および、監視用抵抗器223は、下アーム側スイッチング素子211の温度を測定するための検温回路230を構成している。
定電流電源回路221は、定電流回路用電源222に接続されている。定電流電源回路221は、定電流回路用電源222からの電力を用いて、温度検出用ダイオード素子部212に駆動電流を供給し、温度検出用ダイオード素子部212を駆動する。以下では、当該駆動電流を、電流iと呼ぶ。
監視用抵抗器223は、定電流電源回路221と温度検出用ダイオード素子部212との間に接続されている。
電圧変換器224は、監視用抵抗器223の両端の電位値V1,V2を測定するとともに、電位値V1,V2の差である電位差Vdも求める。そうして、電圧変換器224は、測定した電位値V1に基づいてスイッチング素子211の温度を取得すると共に、求めた電位差Vdに基づいて検温回路230の動作が正常か否かを常時監視する。
従って、電圧変換器224は、監視用抵抗器223の両端の電位値V1,V2を測定するとともに、当該電位値V1,V2の差である電位差Vdを求める電圧検出部と、電圧検出部により測定された監視用抵抗器223の両端の電位値V1,V2のうち、温度検出用ダイオード素子部212側の一端の電位V1に基づいて、温度検出用ダイオード素子部212の順方向電圧VFを求め、順方向電圧VFの温度特性に基づいてスイッチング素子211の温度を検出する温度検出部と、電圧検出部により求められた監視用抵抗器223の両端の電位差Vdに基づいて、検温回路230の動作が正常か否かを判定する故障判定部とを構成している。
スイッチング制御部220は、以上のように構成され、スイッチング素子211の温度を測定するために、定電流電源回路221により温度検出用ダイオード素子部212に電流iを供給することで、温度検出用ダイオード素子部212を構成するダイオードの順方向電圧VFの温度特性により、スイッチング素子211の温度を取得することができる。また、このときに、定電流電源回路221と温度検出用ダイオード素子部212との間に監視用抵抗器223を直列接続して、電圧変換器224により、監視用抵抗器223の両端の電位値V1,V2及びその電位差Vdを測定することで、スイッチング素子211の温度が測定できるとともに、検温回路230の動作が正常か否かを常時監視することができる。詳細については、後述する。
一般的に、電力変換部210に使われるスイッチング素子211には、IGBT、MOS−FETなどの半導体素子が使われる。スイッチング素子211がON状態の際に発生する定常損失と、スイッチング素子211のONからOFFへの切替またはOFFからONへの切替時の過渡状態の際に発生するスイッチング損失とにより、スイッチング素子211のジャンクション温度が上昇する。こうして、スイッチング素子211のジャンクション温度が、絶対最大定格以上になると、スイッチング素子211の寿命が著しく劣化する。また、場合によっては、スイッチング素子211がショート故障し、その結果、大電流が電力変換部210に流れる可能性がある。
このため、本実施の形態においては、電力変換装置200において、スイッチング素子211の同一チップ上に温度検出用ダイオード素子部212を実装し、温度検出用ダイオード素子部212の順方向電圧VFを測定することで、スイッチング素子211のジャンクション温度を測定する。また、測定したジャンクション温度が、予め設定した閾値よりも高い場合には、スイッチング素子211のスイッチング周波数を遅くする、または、車両用多相回転電機100の駆動・回生時の電流を小さくして、スイッチング素子211を保護するための制御を行う。当該制御については、電力変換装置200に設けられた図示しないマイクロプロセッサーにより行われる。マイクロプロセッサーは、図示しないメモリに予め格納されたプログラムを実行することにより、当該制御を実現する。
温度検出用ダイオード素子部212の順方向電圧VFは、温度検出用ダイオード素子部212に流す順方向電流を電流iとし、温度検出用ダイオード素子部212の温度をTとすると、下記の式1で表すことが可能である。ここで、V、k、q、Aは、半導体の組成、製造条件などにより決まる定数である。
VF=V−T×(k/q)×ln(A×i) (式1)
式1より、電流iの値が一定の場合、順方向電圧VFは、温度Tの関数になることが判る。さらに具体的に述べると、順方向電圧VFと温度Tとは、比例関係にあり、その傾きは負の値である。従って、順方向電圧VFの変化量は、温度Tの変化量に対して、負特性を有し、温度Tの上昇に伴って、順方向電圧VFが減少する。この原理を利用して、順方向電圧VFを測定することで、温度Tの測定が可能である。また、温度検出用ダイオード素子部212とスイッチング素子211とは同一チップ上に配置されているため、スイッチング素子211からの熱伝導によって、温度検出用ダイオード素子部212の温度Tが上昇する。そのため、温度Tを検出することで、スイッチング素子211のジャンクション温度の測定が可能になる。
スイッチング素子211のジャンクション温度を精度よく測定するためには、順方向電流の電流iの値を一定とする必要がある。本実施の形態においては、電流iを一定とするために、図1に示すように、一定の電流値の電流を出力する定電流電源回路221を用いて、温度検出用ダイオード素子部212を駆動する。このような定電流電源回路221を用いているため、定電流電源回路221から出力される電流値は、理論的には一定である。しかしながら、実際には、様々な要因により、定電流電源回路221の電流値が一定とならない可能性がある。定電流電源回路221の電流値が変化すると、スイッチング素子211の正常な温度測定ができず、不要なディレーティング処理によるトルク低下による商品性の低下が発生し、あるいは、必要な際にディレーティング処理ができなくなり、最悪は、スイッチング素子211を破壊することが考えられる。
このため、本実施の形態では、定電流電源回路221と温度検出用ダイオード素子部212との間に、監視用抵抗器223を配置した検温回路230を用いている。これにより、監視用抵抗器223の既知である抵抗値をRとすると、監視用抵抗器223の両端の電位差Vdは、オームの法則により、下記の式2で表すことが可能である。
Vd=R×i (式2)
但し、上記の式1より、電流iが増加する程、絶対温度Tに対する順方向電圧VFの変化量は大きくなるが、温度検出用ダイオード素子部212に電流iを流すことで、温度検出用ダイオード素子部212自体の発熱が増加する。その結果、温度検出用ダイオード素子部212の目的であるスイッチング素子211の温度測定ができなくなる可能性がある。そのため、電流iの値は、高すぎても、低すぎても、良好な温度測定ができないため、温度検出用ダイオード素子部212の特性に合わせて適宜決められた値となる。
図1では、監視用抵抗器223の両端の電位値V1,V2を、電圧変換器224によりそれぞれ測定する。監視用抵抗器223の定電流電源回路221側の一端の電位値をV2とし、監視用抵抗器223の温度検出用ダイオード素子部212側の一端の電位値をV1とすると、監視用抵抗器223の両端の電位差Vdは、下記の式3となる。
Vd=V2−V1 (式3)
正常状態では、式2の右辺の値と式3の右辺の値とは等しくなるが、一方、定電流電源回路221が正常に動作しない場合は、式2の右辺の値と式3の右辺の値とが等しくならない。そのため、電圧変換器224の測定により得られた電位差Vdの値が、式2の計算式から得られる値と一致しない場合に、検温回路230が正常でないと判定することができる。その結果、温度検出用ダイオード素子部212によるジャンクション温度測定が正常に機能していないことが判断可能となる。
なお、検温回路230が正常な場合であっても、実際には、式2と式3とが完全一致することはなく、定電流電源回路221の制御誤差及び監視用抵抗器223の抵抗誤差を考慮した範囲で、検温回路230の正常か否かの判定が必要になることは言うまでもない。従って、具体的には、式2のオームの法則に基づく計算式から得られるVdの計算値に基づいて、正常と判定する範囲を予め設定しておき、電圧変換器224の測定により得られた電位差Vdの値が当該範囲内であるときに、検温回路230は正常であると判定し、一方、電圧変換器224の測定により得られた電位差Vdの値が、当該範囲外の場合に、検温回路230が異常であると判定する。
電力変換装置200は、検温回路230が異常であると判定した場合には、車両のドライバに対し、警告メッセージを表示して、当該異常を通知する。なお、当該表示は、例えば、車両に搭載された既存の計器盤のディスプレイ装置により行う。
また、監視用抵抗器223の温度検出用ダイオード素子部212側の一端の電位値V1は、キルヒホッフの第2法則により、温度検出用ダイオード素子部212の順方向電圧VFと一致する。従って、電圧変換器224の測定により得られた電位値V1の値が、そのまま、順方向電圧VFとなる。また、温度検出用ダイオード素子部212に流れる電流iが一定の場合、上記式1で示されるように、順方向電圧VFと、温度検出用ダイオード素子部212の温度Tとは、一次関数の関係が成立するため、順方向電圧VFを測定することで、温度検出用ダイオード素子部212の温度Tが検出可能である。また、温度検出用ダイオード素子部212とスイッチング素子211とは同一チップ上に配置されているため、スイッチング素子211からの熱伝導によって、温度検出用ダイオード素子部212の温度Tが上昇するため、温度Tを検出することで、スイッチング素子211のジャンクション温度の測定が可能になる。
以上のように、本実施の形態に係る電力変換装置200は、車両用多相回転電機100を駆動または回生させるためのスイッチング素子211により構成される電力変換部210と、スイッチング素子211を制御するスイッチング制御部220と、スイッチング素子211の温度を検出する検温回路230とを備えている。また、検温回路230は、1以上のダイオードから構成され、スイッチング素子211に対して同一チップ上に設けられた温度検出用ダイオード素子部212と、温度検出用ダイオード素子部212に対して、一定の電流値の電流を出力する定電流電源回路221と、定電流電源回路221と温度検出用ダイオード素子部212との間に直列に接続された監視用抵抗器223と、監視用抵抗器223の両端の電位値V1,V2を測定し、両端の電位値V1,V2の電位差Vdを求め、電圧変換器224により測定された監視用抵抗器223の両端の電位値V1,V2のうち、温度検出用ダイオード素子部212側の一端の電位値V1に基づいて、温度検出用ダイオード素子部212の順方向電圧VFを求め、順方向電圧VFの温度特性に基づいてスイッチング素子211の温度を検出するとともに、電圧変換器224により求められた監視用抵抗器223の両端の電位差Vdに基づいて、検温回路230の動作が正常か否かを判定する電圧変換器224とを備えている。当該構成により、本実施の形態に係る電力変換装置においては、定電流電源回路221により温度検出用ダイオード素子部212を電流ドライブすることで、ダイオードの順方向電圧VFの温度特性によりスイッチング素子211の温度を取得する際に、定電流電源回路221と温度検出用ダイオード素子部212との間に監視用抵抗器223を配置した検温回路230において、監視用抵抗器223の両端電圧を測定することで、スイッチング素子211の温度を得るだけでなく、検温回路230の動作の健全性を常時監視することができる。
このように、本実施の形態によれば、検温回路230に監視用抵抗器223を追加し、監視用抵抗器223の両端の電位値V1,V2を電圧変換器224で測定することで、検温回路230の健全性が監視でき、温度検出用ダイオード素子部212による温度測定の正当性が担保できるようになる。
その結果、定電流電源回路221から出力される電流iが変動せずに一定であることを監視しながら、スイッチング素子211の温度を測定することができるので、スイッチング素子211の温度を精度よく測定して、スイッチング素子を過熱から保護することができる。また、監視用抵抗器223の両端電圧から検温回路230が正常か否かを常に監視できるので、検温回路230の故障を速やかに検出することができる。
実施の形態2.
図2は、本発明の実施の形態2に係る電力変換装置の構成を示した図である。図2に示す電力変換装置200の構成は、基本的には、実施の形態1に係る電力変換装置の構成と同じであるため、同一の構成については、同一符号を付して示し、ここでは、その説明を省略し、以下では、実施の形態1との相違点について主に説明する。
本実施の形態と実施の形態1との相違点は、本実施の形態においては、図1の電圧変換器224の代わりに、2つの電圧変換器224a,224bが設けられている点である。本実施の形態においては、検温回路230の監視用抵抗器223の両端の電位値V1,V2を、それぞれ、電圧変換器224a,224bで別個に測定する。
電圧変換器224aは、監視用抵抗器223の温度検出用ダイオード素子部212側の一端に接続され、当該一端の電位値V1を測定する。電圧変換器224aは、例えば、マイクロプロセッサーに内蔵されたアナログデジタル変換器(ADコンバータ)から構成される。マイクロプロセッサーは、図示しないメモリ内に予め格納されているプログラムを実行することにより、測定した電位値V1をスイッチング素子211の温度に変換する演算を行うとともに、ディレーティング処理の判断を行う。
電圧変換器224bは、監視用抵抗器223の定電流電源回路221側の他端に接続され、当該他端の電位値V2を測定する。電圧変換器224bは、例えば、定電流電源回路221と一体に成形された半導体素子240のアナログデジタル変換器(ADコンバータ)から構成される。電圧変換器224b、定電流回路用電源222、及び、定電流電源回路221は、同一チップ上に一体で構成され、1つの半導体素子240を構成している。
半導体素子240とマイクロプロセッサー250とは、例えばシリアル通信回線などの通信回線260を介して接続されている。半導体素子240の電圧変換器224bで測定した電位値V2は、通信回線260を介して、マイクロプロセッサー250に送信される。
マイクロプロセッサー250は、電圧変換器224aで測定した電位値V1と、半導体素子240から受信した電位値V2との電位差Vdを演算する。また、マイクロプロセッサー250は、監視用抵抗器223の既知の抵抗Rの値と、定電流電源回路221から出力された電流iの値とから、オームの法則に基づく上記の式(2)を用いて、監視用抵抗器223の両端の電位差Vdを演算する。マイクロプロセッサー250は、電位値V1、V2から求めた電位差Vdと、オームの法則に基づいて抵抗Rと電流iとの値から求めた電位差Vdとを比較して、両者が一致していれば、検温回路230が正常であると判定し、一方、両者が一致していなければ、検温回路230が正常でないと判定する。マイクロプロセッサー250の当該判定により、定電流電源回路221から出力される電流iの値を監視することが可能である。
また、電圧変換器224a,224bのいずれか一方に故障が発生した場合においても、故障していない側の電圧変換器224aまたは224bで測定した電位値V1またはV2により、スイッチング素子211の温度の取得が継続できる。以下に、そのことについて説明する。
一例として、図2において、例えば電圧変換器224aで故障が発生した場合、故障が発生していない側の電圧変換器224bで測定した電位値V2だけを用いて、温度検出用ダイオード素子部212の順方向電圧VFを求める。その場合の演算式は、下記の式4になる。
VF=V2−R×i (式4)
順方向電圧VFが直接測定可能な電位値V1から求めたVFよりも、式4で求めたVFの値の方が誤差要因が多くなるが、例えば定電流電源回路221の制御誤差を2%とし、監視用抵抗器223の抵抗値の誤差を1%とし、上記の式2でのR・i積が0.5V程度とした場合、その誤差は、下記の式5で示される値となる。
0.5V×±3%=±15mV (式5)
温度検出用ダイオード素子部212は、複数のダイオードが直列に接続されて構成されている。それらのダイオードは、−4mV/K〜−8mV/Kの温度勾配を有しており、上記の式5の回路的な誤差要因誤差は、下記の式6で示す程度となる。
±15mV/(−4mV/K)=±3.75V (式6)
そのため、高精度な定電流電源回路221及び監視用抵抗器223を使うことで、温度測定誤差を低減することが可能になり、電力変換装置としての機能を維持可能となる。
以上のように、本実施の形態においても、上記の実施の形態1と同様の効果が得られる。さらに、本実施の形態においては、検温回路230内の監視用抵抗器223の両端の電位値V1,V2をそれぞれ別々の電圧変換器224a,224bで測定し、例えば、一方の電圧変換器224aには、測定した電位値V1よりプログラムによりスイッチング素子211の温度変換やディレーティング処理の判断を行うためのマイクロプロセッサー250に内蔵されたアナログデジタル変換器(ADコンバータ)を使い、他方の電圧変換器224bには、検温回路230にて電流ドライブするための定電流電源回路221と一体になった半導体素子240のADコンバータを用い、半導体素子240とマイクロプロセッサー250との間はシリアル通信などの通信回線260で接続して、半導体素子240にて測定した電位値V1をマイクロプロセッサー250に送り、マイクロプロセッサー250のADコンバータで測定した電位値V2との差分である電位差Vdと、既知の監視用抵抗器223の抵抗値とから、定電流電源回路221が電流ドライブしている電流iの値を監視することが可能であるとともに、もしどちらかの電圧変換器224aまたは224bに故障があった場合も、故障が発生していない正常な側の電圧変換器224bまたは224aの測定値により、スイッチング素子211の温度取得が継続できるため、電力変換装置としての機能を維持することが実現できる。
実施の形態3.
図1及び図2に示した電力変換装置200において、検温回路230内の監視用抵抗器223の両端の電位値V1,V2に基づいて、例えば図3に示す表に示した判定基準に基づいて、故障部位及び故障種別の判定が可能になる。なお、当該判定は、電力変換装置200のスイッチング制御部220に設けられた図示しないマイクロプロセッサーにより行う。マイクロプロセッサーは、図示しないメモリの中に、プログラムを格納するとともに、図3の判定基準を格納しており、当該プログラムを実行することにより、上記判定を実現する。また、マイクロプロセッサーは、必要に応じて、故障部位及び故障種別を示すメッセージをドライバに対して表示する。
なお、本実施の形態における電力変換装置の構成及び動作は、基本的に、実施の形態1,2と同じであるため、ここでは、その説明を省略し、以下では、故障判定動作についてのみ説明する。
以下、図3の表の判定基準に基づく故障判定動作について、例を挙げて説明する。なお、図3に示されるように、判定基準には、監視用抵抗器223の両端の電位値V1,V2及びそれらの電位差Vd(=V2−V1)と、検温回路230の故障の種別及び故障部位との対応関係が予め定められている。
一つの故障例として、例えば、監視用抵抗器223の両端の電位差Vd(=V2−V1)が0Vで、かつ、電位値V1,V2が共にゼロ電位であった場合には、マイクロプロセッサーは、図3の表の判定基準に従って、定電流電源回路221と監視用抵抗器223との間に断線箇所があるか、または、定電流電源回路221が電流iを出力できていないかのいずれかであるとして、故障部位と故障の種別を判定する。
また、他の故障例として、監視用抵抗器223の両端の電位差Vd(=V2−V1)が0Vで、かつ、電位値V1,V2が共に定電流回路用電源222の電源電圧Vccであった場合には、マイクロプロセッサーは、図3の表の判定基準に従って、温度検出用ダイオード素子部212がオープン状態か、または、監視用抵抗器223から温度検出用ダイオード素子部212を経由してGNDに至るまでの閉回路中のいずれかの箇所に断線箇所があるとして、故障部位と故障の種別を判定する。
また、他の故障例として、監視用抵抗器223の両端の電位差Vd(=V2−V1)が定電流回路用電源222の電源電圧Vccで、かつ、電位値V1がゼロ電位で、電位値V2が定電流回路用電源222の電源電圧Vccであった場合には、マイクロプロセッサーは、図3の表の判定基準に従って、監視用抵抗器223がオープン故障か、または、定電流回路用電源222から監視用抵抗器223に至るまでの経路中のいずれかの箇所に断線箇所があるとして、故障部位と故障の種別を判定する。
一方、監視用抵抗器223の両端の電位差Vd(=V2−V1)が、オームの法則に基づいて抵抗Rと電流iとの値に基づいて演算で求めた電位差Vdと一致し、かつ、電位値V1がゼロ電位でなければ、マイクロプロセッサーは、図3の表の判定基準に従って、検温回路230が正常に機能していると判定する。このとき、電位値V1の値が、温度検出用ダイオード素子部212の順方向電圧VFとなる。
しかしながら、監視用抵抗器223の両端の電位差Vd(=V2−V1)が、オームの法則に基づいて抵抗Rと電流iとの値に基づいて演算で求めた電位差Vdと一致している場合においても、電位値V1がゼロ電位であった場合には、マイクロプロセッサーは、図3の表の判定基準に従って、温度検出用ダイオード素子部212の両端がショート状態か、あるいは、監視用抵抗器223から温度検出用ダイオード素子部212に至る経路において断線箇所があるかGNDに地絡しているかのいずれかであるとして、故障部位と故障の種別を判定する。
以上のように、本実施の形態においても、実施の形態1及び2と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施の形態においては、図3の表に示される判定基準に従って、検温回路230内の監視用抵抗器223の両端の電位値V1,V2に基づいて、検温回路230が故障か否かの判定を行うようにしたので、容易にかつ的確に、故障部位と故障の種別を判定することができる。
100 車両用多相回転電機、200 電力変換装置、210 電力変換部、211 スイッチング素子、212 温度検出用ダイオード素子部、220 スイッチング制御部、221 定電流電源回路、222 定電流回路用電源、223 監視用抵抗器、224,224a,224b 電圧変換器、230 検温回路、240 半導体素子、250 マイクロプロセッサー、260 通信回線。
本発明は、スイッチング素子により構成される電力変換部と、前記スイッチング素子を制御するスイッチング制御部と、前記スイッチング素子の温度を検出する検温回路とを備え、前記検温回路は、ダイオードから構成され、前記スイッチング素子に対して同一チップ上に設けられた温度検出用ダイオード素子部と、前記温度検出用ダイオード素子部に対して定電流を出力して前記温度検出用ダイオード素子部を駆動する定電流電源回路と、前記定電流電源回路と前記温度検出用ダイオード素子部との間に直列に接続された監視用抵抗器と、前記監視用抵抗器の両端の電位値を測定するとともに、前記両端の電位値の差である電位差を求める電圧検出部と、前記電圧検出部により測定された前記監視用抵抗器の前記両端の電位値のうち、前記温度検出用ダイオード素子部側の一端の電位値に基づいて、前記温度検出用ダイオード素子部の順方向電圧を求め、前記順方向電圧の温度特性に基づいて前記スイッチング素子の温度を検出する温度検出部と、前記電圧検出部により求められた前記監視用抵抗器の前記両端の電位差に基づいて、前記検温回路の動作が正常か否かを判定する故障判定部と、前記監視用抵抗器の前記両端の前記電位値及び前記電位差と前記検温回路の故障の種別及び故障部位との対応関係が予め定められた判定基準を予め格納しているメモリとを備え、前記故障判定部は、前記メモリに格納されている前記判定基準を用いて、前記電圧検出部により得られる前記監視用抵抗器の前記両端の前記電位値および前記電位差に基づいて前記検温回路の故障の種別と故障部位とを判定する、電力変換装置である。

Claims (3)

  1. スイッチング素子により構成される電力変換部と、
    前記スイッチング素子を制御するスイッチング制御部と、
    前記スイッチング素子の温度を検出する検温回路と
    を備え、
    前記検温回路は、
    ダイオードから構成され、前記スイッチング素子に対して同一チップ上に設けられた温度検出用ダイオード素子部と、
    前記温度検出用ダイオード素子部に対して定電流を出力して前記温度検出用ダイオード素子部を駆動する定電流電源回路と、
    前記定電流電源回路と前記温度検出用ダイオード素子部との間に直列に接続された監視用抵抗器と、
    前記監視用抵抗器の両端の電位値を測定するとともに、前記両端の電位値の差である電位差を求める電圧検出部と、
    前記電圧検出部により測定された前記監視用抵抗器の前記両端の電位値のうち、前記温度検出用ダイオード素子部側の一端の電位値に基づいて、前記温度検出用ダイオード素子部の順方向電圧を求め、前記順方向電圧の温度特性に基づいて前記スイッチング素子の温度を検出する温度検出部と、
    前記電圧検出部により求められた前記監視用抵抗器の前記両端の電位差に基づいて、前記検温回路の動作が正常か否かを判定する故障判定部と
    を備えた、
    電力変換装置。
  2. 前記電圧検出部は、
    前記監視用抵抗器の前記両端のうち、前記温度検出用ダイオード素子部側の一端に接続され、当該一端の電位値を測定する第1の電圧検出部と、
    前記監視用抵抗器の前記両端のうち、前記定電流電源回路側の他端に接続され、当該他端の電位値を測定する第2の電圧検出部と
    を有する、
    請求項1に記載の電力変換装置。
  3. 前記監視用抵抗器の前記両端の前記電位値及び前記電位差と前記検温回路の故障の種別及び故障部位との対応関係が予め定められた判定基準を予め格納しているメモリを備え、
    前記故障判定部は、
    前記メモリに格納されている前記判定基準を用いて、前記電圧検出部により得られる前記監視用抵抗器の前記両端の前記電位値および前記電位差に基づいて前記検温回路の故障の種別と故障部位とを判定する、
    請求項1または2に記載の電力変換装置。
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