JP2018078201A - アルミニウム電解コンデンサ用陽極箔及びその製造方法、ならびに、アルミニウム箔の交流電解処理方法。 - Google Patents

アルミニウム電解コンデンサ用陽極箔及びその製造方法、ならびに、アルミニウム箔の交流電解処理方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】化成処理後における層間密着性に優れたアルミニウム電解コンデンサ用陽極箔を提供する。【解決手段】99.99%以上のアルミニウム純度を有する第1のアルミニウム箔と、当該第1のアルミニウム箔の上に積層された熱可塑性ポリイミドフィルムと、当該熱可塑性ポリイミドフィルムの上に積層された99.99%以上のアルミニウム純度を有する第2のアルミニウム箔とを備えることを特徴とするアルミニウム電解コンデンサ用陽極箔及びその製造方法、ならびに、アルミニウム箔の交流電解処理方法。【選択図】なし

Description

本発明は、アルミニウム電解コンデンサ用陽極箔に監視、詳細には、化成処理後における層間密着性に優れたアルミニウム電解コンデンサ用陽極箔及びその製造方法、ならびに、アルミニウム箔の交流電解処理方法に関する。
一般に、アルミニウム電解コンデンサ用陽極箔は厚さが50〜110μmのものが用いられているが、高い静電容量を得る為に、実効表面積を拡大する処理が施されている。すなわち、交流電流又は直流電流を用いて、電解エッチングが施されている。そして、高い静電容量を得る為には、電解エッチングの際に発生するエッチングピットを箔の芯部まで侵入させる必要がある。そのため、芯部における未エッチング部は少なくなり、箔が脆くなって折曲強度が低下する。この折曲強度が低下すると、コンデンサに組み立てる際において箔切れを発生する問題となる。
最近になって、コンデンサの小型化の要請が強くなってきていることから、箔巻コンデンサでは巻込半径を小さくするため、折曲強度の向上が益々要請されている。一方、静電容量についても、同時に高容量化が要請されている。しかるに、高静電容量と高折曲強度は、相反する物性である。
このような高静電容量と高折曲強度の両立のために、複合箔の検討が試みられてきた。例えば、特許文献1には、純度99.4〜99.88%のAl/合成樹脂フィルム/純度99.4〜99.88%のAlといったように芯層にAlとは無関係な合成樹脂材料を用いた電解コンデンサ陰極用アルミニウム複合箔が記載されている。
また、特許文献2には、アルミニウム箔/アルミニウム以外の金属からなる耐酸性の金属箔/アルミニウム箔からなる三層構造の複合箔や、アルミニウム箔/樹脂含浸されてなるガラス繊維布/アルミニウム箔からなる三層構造の複合箔、アルミニウム箔/樹脂含浸されてなる耐熱紙/アルミニウム箔からなる三層構造の複合箔が開示されている。
特開平2−66928号公報 特開平7−22292号公報
特許文献1に記載されている構成において、Alとして純度の高いものを用い、例えば純度99.9%の高純度Alを用い、すなわち純度99.9%Al/合成樹脂フィルム/純度99.9%Alといったアルミニウム複合箔を電解コンデンサ陽極材料とし、これを用いて電解コンデンサとしたところ、高温熱処理の為に芯層が劣化し、強度的に実用に耐え得ないという問題点が残った。
特許文献2に記載されている複合箔は、エッチングした後に化成処理すると、層間剥離が発生するという問題点が残った。
本発明は、上記問題点を解決するために、樹脂が積層されたアルミニウム箔を化成処理した後でも、層間で剥離が発生しない密着性に優れたアルミニウム電解コンデンサ用陽極箔及びその製造方法、ならびに、アルミニウム箔の交流電解処理方法の提供を目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を有する。すなわち、本発明は請求項1において、99.99mass%以上のアルミニウム純度を有する第1のアルミニウム箔と、当該第1のアルミニウム箔の上に積層された熱可塑性ポリイミドフィルムと、当該熱可塑性ポリイミドフィルムの上に積層された99.99mass%以上のアルミニウム純度を有する第2のアルミニウム箔とを備えることを特徴とするアルミニウム電解コンデンサ用陽極箔とした。
本発明は請求項2では請求項1において、前記熱可塑性ポリイミドフィルムが、2.7〜4.4GPaのヤング率と、250〜320℃のガラス転移温度と、2〜10μmの厚さを有するものとした。
更に本発明は請求項3では請求項1又は2において、前記第1及び第2のアルミニウム箔の熱可塑性ポリイミドフィルム側の表層に交流電解酸化皮膜が形成されており、当該交流電解酸化皮膜は、表面側に形成された厚さ20〜500nmのポア構造層と素地側に形成された厚さ3〜30nmのバリア層とから成り、前記ポア構造層には直径5〜20nmの小孔が形成されているものとした。
本発明は請求項4において、請求項3に記載の第1及び第2のアルミニウム箔の交流電解処理方法であって、表面処理される第1又は第2のアルミニウム箔の電極と対電極とを用い、pH9〜13で液温35〜80℃のアルカリ性水溶液を電解溶液とし、周波数20〜100Hz、電流密度4〜50A/dm及び電解時間5〜60秒間の条件で交流電解処理することを特徴とする交流電解処理方法とした。
また、本発明は請求項5において、請求項1〜3のいずれか一項に記載のアルミニウム電解コンデンサ用陽極箔の製造方法であって、330〜380℃の加熱温度、2〜8MPaの加圧力及び1〜50分間の条件で、前記第1及び第2のアルミニウム箔と熱可塑性ポリイミドフィルムとを真空加熱プレスすることを特徴とするルミニウム電解コンデンサ用陽極箔の製造方法とした。
99.99%以上のアルミニウム純度を有する第1及び第2のアルミニウム箔の間に、芯材として熱可塑性ポリイミドフィルムを用いることにより、化成処理後においても、これら両アルミニウム箔と熱可塑性ポリイミドフィルムとの密着性に優れる。
特定範囲のヤング率及びガラス転移温度を有する、薄膜の熱可塑性ポリイミドフィルムでは、化成処理時の温度変化に伴う熱膨張や熱収縮が抑制されるので、化成処理後においても、これら両アルミニウム箔との密着性が一層向上する。
両アルミニウム箔の表面に、小孔が形成されたポア構造層を備える酸化皮膜を設けることにより、酸化皮膜の表面積が増大し、小孔中に熱可塑性ポリイミドフィルムが取り込まれた構造によって酸化皮膜と熱可塑性ポリイミドフィルムとの接触面積が増大する。その結果、両アルミニウム箔と熱可塑性ポリイミドフィルムとの密着性が更に向上する。
A.アルミニウム電解コンデンサ用陽極箔
本発明に用いられるアルミニウム電解コンデンサ用陽極箔は、純度99.99%以上のアルミニウム純度を有する第1のアルミニウム箔の上に、熱可塑性ポリイミドフィルムが積層され、更にその上に純度99.99%以上のアルミニウム純度を有する第2のアルミニウム箔が積層された構造を有する。
B.99.99mass%以上のアルミニウム純度を有するアルミニウム箔
B−1.アルミニウム箔の組成
本発明に用いられる第1及び第2のアルミニウム箔には、99.99mass%(以下、単に「%」と記す)以上のアルミニウム純度を有するアルミニウム素材が用いられる。このように、高純度のアルミニウム素材を用いる理由は、アルミニウム純度が99.99%未満では、アルミニウム以外の元素の総含有量が0.01%を超えることになり、エッチング時における表層領域の表面積の拡大が抑制されてしまい、高静電容量が達成されないからである。なお、アルミニウム純度の上限については特に限定するものではないが、精製コストの観点から99.9999999%以上とすることは好ましくない。
アルミニウム素材のアルミニウム純度が99.99%以上ということは、アルミニウム以外の元素を0.01%未満含有することを許容するものである。アルミニウム以外の元素を含有する場合には、Cu:20ppm以上50ppm未満、Cr:1〜10ppm、Zr:1〜10ppm、Pb:0.8〜1.5ppm、Fe:10〜30ppm及びSi:10〜30ppmから選択される1種又は2種以上を含有するのが好ましい。以下に、その理由を詳述する。
Cuを含有する場合は、20ppm以上50ppm未満とするのが好ましく、25〜45ppmとするのがより好ましい。これにより、エッチング時に孔食反応が生じ易くなり、全面溶解し難くなる。Cu含有量が20ppm未満では、エッチング時に全面溶解が生じ易くなるため、表層領域の表面積が効率的に拡大しない。また、最終焼鈍時において、結晶粒界の移動抑制効果が減少して結晶粒が粗大化してしまう。一方、Cu含有量が50ppm以上では、孔食反応が生起し易く、ピットの発生が生じ易くなる。
Crを含有する場合は、1〜10ppmとするのが好ましく、2〜9ppmとするのがより好ましい。また、Zrが含有する場合も、1〜10ppmとするのが好ましく、2〜
9ppmとするのがより好ましい。Cr、Zrの含有量がそれぞれ1ppm未満では、エッチングピットの開始点が制限される。一方、Cr、Zrの含有量がそれぞれ10ppmを超えると、剥離状の溶解が多く発生するため、必要以上に表層領域が溶解して有効な表面積拡大領域が制限される。
Pbを含有する場合は、0.8〜1.5ppmとするのが好まく、0.9〜1.4ppmとするのがより好ましい。Pb含有量が0.8ppm未満では、皮膜中の欠陥量が少なくなるためピットの分散性が小さくなり好ましくない。Pb含有量が1.5ppmを超えると、酸化皮膜の欠陥量が過度になり全面溶解し、それに影響してメタル側表面の微小剥離状溶解も過度になるため、表面の無効溶解が増加する。
Feを含有する場合は、10〜30ppmとするのが好ましく、11〜29ppmとするのがより好ましい。Fe含有量が30ppmを超えると、Al−Fe系の析出物を形成し、エッチング時の溶解減量を増加させるとともに、エッチングピットの発生分布を不均一にする。一方、Fe含有量が10ppm未満では、精製コストの面で不利となる。
Siを含有する場合は、10〜30ppmとするのが好ましく、11〜29ppmとするのがより好ましい。Si含有量が10ppm未満では、再結晶時の結晶粒の粗大化を防止する効果が十分に得られない。一方、Si含有量が30ppmを超えると、エッチングピットの発生分布が不均一になる。
B−2.酸化皮膜
本発明に用いる99.99%以上のアルミニウム純度を有する第1及び第2のアルミニウム箔は、熱可塑性ポリイミドフィルム側の表層に交流電解酸化皮膜が形成されているのが好ましく、この交流電解酸化皮膜は、表面側に形成された厚さ20〜500nmのポア構造層と素地側に形成された厚さ3〜30nmのバリア層とから成り、ポア構造層には直径5〜20nmの小孔が形成されているのが好ましい。このような交流電解酸化皮膜を設けることで、第1及び第2のアルミニウム箔と熱可塑性ポリイミドフィルムとの接着力を向上させることができる。この接着力は、引張速度100mm/分で、90度剥離試験により測定することができる。
上記酸化皮膜は、アルミニウム素地側の緻密なバリア層と表面側のポア構造層から構成される。ポア構造層の厚さは20〜500nmであり、20nm未満では厚さが不十分となり、後述する小孔構造が形成され難くなり、熱可塑性ポリイミドフィルムとの密着性が低下する。一方、500nmを超えると、ポア構造層自体が凝集破壊し易くなり、熱可塑性ポリイミドフィルムとの密着性が低下する。
また、バリア層の厚さは3〜30nmであり、3nm未満では、介在層としてポア構造層とアルミニウム素地との結合に十分な結合力を付与することができない。一方、30nmを超えると、その緻密性ゆえにバリア層自体が凝集破壊し易くなり、熱可塑性ポリイミドフィルムとの密着力が低下する。
このポア構造層はその表面から深さ方向に向かう小孔を有し、小孔の直径は5〜20nmであるのが好ましい。ポア構造層とは、酸化皮膜の表面全体にわたって形成され深さ方向においてバリア層に達する多数の小孔から成る構造を指す。このポア構造層は、後述する熱可塑性ポリイミドフィルムと酸化皮膜との接触面積を増大させる。ポア構造層の小孔の直径が5nm未満の場合には、熱可塑性ポリイミドフィルムとの接触面積が十分に確保されず、密着力が低下する。一方、小孔の直径が20nmを超える場合には、酸化皮膜自身の強度が失われることによる凝集破壊が発生し易くなり、密着力が低下する。
B−3.アルミニウム箔の作製
本発明で用いるアルミニウム箔は、上記特定の化学成分からなるアルミニウム合金を常法に従い溶解、鋳造し、得られた鋳塊を面削した後、熱間圧延を行う。熱間圧延を行った後、冷間圧延、箔圧延を行い、更に焼鈍を行うことにより、箔状のものが作製される。
このようにして作製された箔状のアルミニウム材の表面に、上述の酸化皮膜が形成されることが好ましい。この酸化皮膜は、例えば、pH9〜13で液温35〜80℃であるアルカリ性水溶液を電解溶液とし、第1又は第2のアルミニウム箔を一方の電極として、周波数20〜100Hz、電流密度4〜50A/dm、電解時間5〜60秒条件下においてアルカリ交流電解を行うことによって形成される。ここで、他方の電極としては、黒鉛電極等が用いられる。
電解溶液として用いるアルカリ性水溶液は、りん酸ナトリウム、りん酸水素カリウム、ピロりん酸ナトリウム、ピロりん酸カリウム及びメタりん酸ナトリウム等のりん酸塩や;水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等の水溶液を用いることができる。このようなアルカリ成分の濃度は、後述する電解溶液のpHが所望の値になるように調整されるが、通常、好ましくは1×10−4〜1モル/リットル、より好ましくは1×10−3〜0.8モル/リットルである。なお、これらのアルカリ性水溶液には、汚れ成分に対する除去能力の向上のために界面活性剤を添加してもよい。
電解溶液のpHは9〜13とするのが好ましく、9.5〜12とするのがより好ましい。pHが9未満の場合には、電解溶液のアルカリエッチング力が弱いため酸化皮膜が不定形皮膜となる。その結果、ポア構造層及びバリア層が形成されない。一方、pHが13を超えると、アルカリエッチング力が過剰になるため酸化皮膜が成長し難くなり、更にバリア層形成も阻害される。熱可塑性ポリイミドフィルム
電解溶液温度は35℃〜80℃とするのが好ましく、40℃〜70℃とするのがより好ましい。電解溶液温度が35℃未満では、アルカリエッチング力が不足するため酸化皮膜のポア構造層が不完全となる。一方、80℃を超えるとアルカリエッチング力が過剰になるため、バリア層及びポア構造層ともに成長が阻害される。
アルカリ交流電解においては、バリア層とポア構造層を含めた酸化皮膜全体の厚みは電気量、すなわち電流密度と電解時間の積によって制御され、基本的に電気量が多いほど酸化皮膜全体の厚みが増加する。一定の電解条件の下に、電解の初期において電極上にバリア層が形成され、次いで、形成されたバリア層上にポア層が形成されるものと考えられる。
用いる周波数は、20〜100Hzとするのが好ましい。周波数が20Hz未満では、電気分解としては直流的要素が高まる結果、ポア構造層の小孔の直径が小さくなり過ぎ、5nm以上の直径の小孔が達成されない。一方、周波数が100Hzを超えると、陽極と陰極の反転が速すぎるために粗大な小孔が形成され、20nm以下の小孔直径が達成されない。
電流密度は、4〜50A/dmとするのが好ましい。電流密度が4A/dm未満では、バリア層のみが優先的に形成されるためにポア構造層が得られない。一方、50A/dmを超えると、電流が過大になるため酸化皮膜の厚みの制御が困難となり処理ムラが起こり易い。
電解時間は、5〜60秒とするのが好ましい。5秒未満の処理時間では、酸化皮膜の形成が急激過ぎるためポア構造層もバリア層も十分に形成されず、不定形のアルミニウム酸化物から構成される酸化皮膜となるためである。一方、電解時間が60秒を超えると、酸化皮膜が厚くなり、再溶解し、生産性も低下する。
C.熱可塑性ポリイミドフィルム
本発明に用いられる熱可塑性ポリイミドフィルムの特性として、2.7〜4.4GPaのヤング率、250〜320℃のガラス転移温度、2〜10μmの厚さを有するのが好ましい。
この熱可塑性ポリイミド樹脂は、エーテルジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを原料として、これらを有機溶媒の存在下又は非存在下において反応させ、得られたポリアミド酸を化学的に又は熱的にイミド化して製造される。回転自由度の高い連結基(カルボニル基、チオ基、オキシ基等)を主鎖に導入することにより、又は、主鎖に含まれるベンゼン環の連結をm−やo−として構造の対称性の低下を図ることにより、又は、主鎖に含まれるベンゼン環の側鎖として化学的に安定でかさ高いフェニル基やメチル基等を導入することにより、上述の特性を有する熱可塑性ポリイミド樹脂を得ることができる。このような熱可塑性ポリイミド樹脂の具体例としては、Ultem(Sabic社製)、Aurum(三井化学社製)などが挙げられる。
熱可塑性ポリイミド樹脂から熱可塑性ポリイミドフィルムを作製するには、以下のような方法が採用される。熱可塑性ポリイミド樹脂のペレット又はパウダーを、二軸混錬押出機で溶融・混練及び押出することによりストランドとし、これを水中で冷却し、カットしてフィルム成形用のペレットを得る。ここで、熱可塑性ポリイミドフィルムの機械的性質を調整するために、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等を二軸混練押出機に添加しても良い。次いで、得られたペレットを加熱乾燥して吸着水分を除去した後に、単軸又は二軸のスクリュー押出機によって加熱溶融させ、押出機の先端に設けられたTダイから平膜状に吐出し、冷却ロールに圧着させて冷却・固化して熱可塑性ポリイミドフィルムを得る。
このようにして得られる熱可塑性ポリイミドフィルムを、更に二軸延伸処理することが好ましい。二軸延伸処理することによって、熱可塑性ポリイミド樹脂がフィルムの面方向において等方的に分子配向して熱膨張率が低減するが、この際に、延伸温度、延伸速度、及び延伸倍率を調整することにより熱膨張率を調整することができるからである。二軸延伸後に制御収縮しながら加熱して分子配向を固定することにより、延伸前の熱可塑性ポリイミド樹脂のガラス転移温度Tgを超えた温度領域においても延伸前の熱膨張率に戻ることなく、ガラス転移温度Tg以上で、かつ、融点以下の温度範囲において、低減した熱膨張率を維持したまま加熱接着が可能となる。
延伸工程は、同時二軸延伸及び逐次二軸延伸のどちらでも可能であり、延伸温度は250〜275℃の範囲が好ましく、255〜272℃の範囲がより好ましい。延伸温度が250℃未満の場合には、延伸時の応力が強過ぎて延伸が不可能となるか、或いは、延伸工程の際にフィルムの破れや不均一な延伸となる。一方、延伸温度が275℃を超える場合には、分子配向が小さく、延伸による熱膨張率低減の効果が発現しない。
本発明に用いられる熱可塑性ポリイミドフィルムの厚さは、2〜10μmであるのが好ましく、4〜8μmであるのがより好ましい。この厚さが2μm未満では、折曲強度が不足して、強く折り曲げた際に剥離する虞がある。一方、この厚さが10μmを超える場合も、強く折り曲げた際に剥離する虞がある。
本発明に用いられる熱可塑性ポリイミドフィルムのヤング率は、2.7〜4.4GPaであるのが好ましく、2.8〜4.2GPaであるのがより好ましい。ヤング率が4.4GPaを超えると、複合箔を強く折り曲げた際に剥離する虞がある。ヤング率が2.7GPa未満の場合も、複合箔を強く折り曲げた際に剥離する虞がある。なお、ヤング率は、引張試験により測定する。引張試験は、JIS K7161−1に準拠して行う。
本発明に用いられる熱可塑性ポリイミドフィルムのガラス転移温度は、250〜320℃であるのが好ましい。このガラス転移温度が250℃未満では、複合箔を強く折り曲げた際に剥離する虞がある。一方、このガラス転移温度が320℃を超える場合も、複合箔を強く折り曲げた際に剥離する虞がある。ガラス転移温度は、動的粘弾性測定装置により測定する。測定条件は、例えば、周波数1Hz、昇温速度2℃/分である。
D.アルミニウム箔と熱可塑性ポリイミドフィルムの接合方法
本発明における第1、第2のアルミニウム箔と熱可塑性ポリイミドフィルムの接合は、真空加熱プレスを用いて行うことが好ましい。通常のラミネーター、又は、加熱プレスでは、第1(第2)のアルミニウム箔と熱可塑性ポリイミドフィルムとの間に、エアーを巻き込み、接着力の低下により化成処理後の密着性が劣ることになる。真空加熱プレス装置は、試料を真空中で加熱・加圧を行って接着する装置であり、例えば、330〜380℃の加熱温度の減圧下で、2〜8MPaの加圧力、10〜50分の処理時間の条件が用いられ、エアーの巻き込みを最小限に抑制することができる。
本発明例1〜12及び比較例1〜10
表1に示す組成からなるアルミニウム合金を常法に従い溶解、鋳造し、得られた鋳塊を面削した後、熱間圧延を行い、冷間圧延、箔圧延、焼鈍を行い、厚さ100μmの箔状のアルミニウム材を作製した。
Figure 2018078201
次に、本発明例9〜12に関しては、得られた箔状のアルミニウム材を縦20cm×横40cmに切り出して一方の電極とし、黒鉛板(縦30cm×横50cm×厚さ2.0mmを他方の電極として、表2に示す条件で交流電解処理を行ない、アルミニウム箔の一方の表面に酸化皮膜を形成した。本発明例9は表2のB1、本発明例10は表2のB2、本発明例11は表2のB3、本発明例12は表2のB4の条件で電解処理した。
Figure 2018078201
表3、4に示すように、第1及び第2の二枚のアルミニウム箔の間に熱可塑性ポリイミドフィルムを挟んで三層構造体とした。ここで、酸化皮膜が形成されている場合には、第1及び第2のアルミニウム箔の熱可塑性ポリイミドフィルム側がそれぞれ、酸化皮膜が形成されている表面とした。なお、作製した三層構造体はいずれも、第1と第2のアルミニウム箔を同じものとした。次いで、三層構造体を真空加熱プレス装置にかけて(330℃の加熱温度の減圧下、3MPaの加圧力、10分間の処理時間)、第1及び第2のアルミニウム箔と熱可塑性ポリイミドフィルムとを接合してアルミニウム電解コンデンサ用陽極箔の試料とした。
Figure 2018078201
Figure 2018078201
得られた試料について、接合性、密着力、化成処理後の密着性を評価した。各評価において○、△を合格とし、×を不合格とした。結果を、表3、4に示す。
<接合性>
得られた試料の接合状態を、下記の基準で接合性を評価した。
○:強く折り曲げても剥離が認められない。
△:強く折り曲げると部分的に(折り曲げ部の10%以下の割合で)剥離が認められるが、アルミニウム電解コンデンサ用陽極箔としての実用上の使用に問題がなかった。
×:第1及び第2のアルミニウム箔の少なくとも一方と熱可塑性ポリイミドフィルムとを接合できなかった。
<密着性>
得られた試料において、両アルミニウム箔は同じものなので、一方のアルミニウム箔と樹脂フィルム間における90度剥離試験を行って接着強度を測定し、下記の基準で密着性を評価した。
○:10N/20mm以上
△: 8N/20mm以上10N/20mm未満
×: 8N/20mm未満
<化成処理後の密着性>
得られた試料を、12.5容量%塩酸、0.5容量%硝酸及び0.6容量%りん酸からなる32℃の電解液中において、0.2A/cmの電流密度で25Hzの交流電解を450s行いエッチング処理した。次いで、60℃の3%アジピン酸アンモニウム溶液中において20Vで化成処理した後に、450℃及び490℃で4分間加熱した。加熱処理後の外観を確認し、下記の基準で化成処理後の密着性を評価した。
○:剥離なし
×:剥離あり
本発明例1〜12では、接合性、密着性及び化成処理後の密着性が合格であった。
比較例1では、熱可塑性ポリイミドフィルムを用いずに、表面に熱融着層を有する熱硬化性芳香族ポリイミドフィルムを用いたために、化成処理後の密着性が劣った。
比較例2では、熱可塑性ポリイミドフィルムを用いずに、熱可塑性全芳香族ポリエステルフィルムを用いたために、化成処理後の密着性が劣った。
比較例3及び4では、熱可塑性ポリイミドフィルムを用いずに、熱可塑性ポリエーテルエーテルケトンフィルムを用いたために、接合できなかった。
比較例5では、ガラス転移温度が320℃を超えるために、化成処理後の密着性が劣った。
比較例6では、ヤング率が4.4GPaを超えるために、化成処理後の密着性が劣った。
比較例7では、膜厚が2μm未満のために、化成処理後の密着性が劣った。
比較例8では、膜厚が10μmを超えるために、化成処理後の密着性が劣った。
比較例9では、ガラス転移温度が250℃未満のために、化成処理後の密着性が劣った。
比較例10では、ヤング率が2.7GP未満のために、化成処理後の密着性が劣った。
樹脂フィルムが積層されたアルミニウム箔を化成処理した後でも、層間で剥離が発生しない密着性に優れたアルミニウム電解コンデンサ用陽極箔が得られる。

Claims (5)

  1. 99.99mass%以上のアルミニウム純度を有する第1のアルミニウム箔と、当該第1のアルミニウム箔の上に積層された熱可塑性ポリイミドフィルムと、当該熱可塑性ポリイミドフィルムの上に積層された99.99mass%以上のアルミニウム純度を有する第2のアルミニウム箔とを備えることを特徴とするアルミニウム電解コンデンサ用陽極箔。
  2. 前記熱可塑性ポリイミドフィルムが、2.7〜4.4GPaのヤング率と、250〜320℃のガラス転移温度と、2〜10μmの厚さを有する、請求項1に記載のアルミニウム電解コンデンサ用陽極箔。
  3. 前記第1及び第2のアルミニウム箔の熱可塑性ポリイミドフィルム側の表層に交流電解酸化皮膜が形成されており、当該交流電解酸化皮膜は、表面側に形成された厚さ20〜500nmのポア構造層と素地側に形成された厚さ3〜30nmのバリア層とから成り、前記ポア構造層には直径5〜20nmの小孔が形成されている、請求項1又は2に記載のアルミニウム電解コンデンサ用陽極箔。
  4. 請求項3に記載の第1及び第2のアルミニウム箔の交流電解処理方法であって、表面処理される第1又は第2のアルミニウム箔の電極と対電極とを用い、pH9〜13で液温35〜80℃のアルカリ性水溶液を電解溶液とし、周波数20〜100Hz、電流密度4〜50A/dm及び電解時間5〜60秒間の条件で交流電解処理することを特徴とする交流電解処理方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のアルミニウム電解コンデンサ用陽極箔の製造方法であって、330〜380℃の加熱温度、2〜8MPaの加圧力及び1〜50分間の条件で、前記第1及び第2のアルミニウム箔と熱可塑性ポリイミドフィルムとを真空加熱プレスすることを特徴とするルミニウム電解コンデンサ用陽極箔の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114635097A (zh) * 2022-03-14 2022-06-17 上海兰钧新能源科技有限公司 锂电池用铝箔及其制备方法

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