[A]止水パネルの全体構成
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本実施形態に係る止水パネルが設置された建物開口部の正面図である。図示の態様では、止水パネルは、2枚のスライド扉体1からなる自動ドアによって開閉される建物開口部の下方部位の室外側に設置される。建物開口部は、左右の壁ないし固定パネル2の端部に設けた左右の縦枠(方立て)3間に形成されている(図3(B)参照)。縦枠3は、断面視方形状を有しており、室外側の第1見付面30、室内側の第2見付面31、建物開口部に面する第1見込面32、第1見込面32と反対側の第2見込面33を備えている(図14、図15参照)。
図1、図3、図4に示すように、止水パネルは、開口幅方向に横長の長方形のパネル本体4を備えている。パネル本体4は、建物開口部に設置した時に室外側に面する第1面部40と、第1面部40の反対側の第2面部41と、上面42と、下面43と、左右の側面44と、を備えており、第2面部41を室内側に向けて、建物開口部の下方部位の室外側に取り付けられる。パネルの側面44は密閉されている。パネル本体4の上面42には取手45が設けてある。本明細書において、パネル本体4の幅方向とは、左右方向、すなわち横幅方向を意味する。幅方向外側は、パネル本体4の左右の端部に近い側を意味し、幅方向内側は、パネル本体4の幅方向中央に近い側を意味する。止水パネルは、さらに、パネル本体4の第2面部41の幅方向両端部位に設けた左右の側方水密部材5と、パネル本体4の下面43に設けた下方水密部材6と、左右の側方水密部材5にそれぞれ隣接してパネル本体4の第2面部41に設けた左右の当接部材7と、パネル本体4の第2面部41の幅方向両端にそれぞれ設けた固定手段8と、パネル本体4の第2面部41の幅方向両端にそれぞれ設けた垂直押し込み量判定手段9と、を備えている。
図7に示すように、固定手段8は、帯状のベルト80と、ベルト80の第1端部800に設けた掛止部81と、ベルト80の第2端部801に設けた締め具82と、からなる。止水パネルは、下方水密部材6を床面FLに圧接し、固定手段8の掛止部81を建物開口部両端の縦枠3の室内側角部に掛止させた状態で、固定手段8の締め具82によってベルト80を引張することで、下方水密部材6を床面FLに圧接させ、かつ、側方水密部材5を縦枠3の第1見付面30に圧接した状態で、建物開口部の室外側下方部位に取り付けられる。固定手段8の締め具82を締めた後で、さらに、パネル本体4を上から下方向に押し付けて下方水密部材6を床面FLに圧接することで、良好な水密性能が得られる。
開口部全閉時(図3(A)参照)において、扉体1の戸尻側縦框1aと縦枠3との間には隙間が存在しており、また、開口部全開時(図3(B)参照)において、扉体1の戸先側縦枠1bと縦枠3との間には隙間が存在しており、この隙間を利用して固定手段8の掛止部81を縦枠3の室内側角部に掛止させることができ、また、止水パネルを取り付けた状態において、掛止状態にある掛止部81が妨げとなることなく、扉体1の開閉が可能であり、建物開口部を開放して止水パネルを跨いで出入りすることができる。なお、止水パネルの設置対象は、スライド式のドアに限定されるものではなく、2枚の扉体からなる両開きドアによって開閉される建物開口部の下方部位の室外側に設置されてもよい。この場合、側方水密部材5、当接部材7を、パネル本体4の第2面部41に固定したスペーサ(特許文献1参照)に設けてもよい。
パネル本体4の幅寸法は、止水パネルが設置される開口幅寸法(左右の縦枠3の第1見込面32間の距離)よりも幾分(例えば+100mm)大きい寸法を備えており、パネル本体4の第2面部41の幅方向両端部位が左右の縦枠3の第1見付面30に対向するようになっている。パネル本体4は、想定水位(例えば、床面から400mm)よりも大きい高さ寸法(例えば、500mm)を備えている。図示の態様では、パネル本体4は、低背の2枚のパネル4A、4Bを高さ方向に重ねて連結することで構成されている。パネル4Aの下端とパネル4Bの上端との間には全幅に亘って防水テープ(図示せず)が設けてあり、パネル本体4の正面(高さ方向中央部位)からの水の浸入が防止されている。図示の態様では、パネル4A、4Bの2部材を高さ方向に連結してパネル本体4を形成しているが、パネル本体4を一部材から一体的に形成してもよい。
図4、図5に示すように、パネル本体4の第2面部41は、高さ方向の2箇所(各パネル4A、4Bの高さ方向中間部位)において幅方向に亘って切り欠かれており横長の開口410が形成されている。開口410は上側垂直片411と下側垂直片412との間に形成されている。図9、図10に示すように、パネル4A、4Bの内部には、2つの水平状の中間壁46、47が高さ方向に間隔を存して形成されており、上下の中間壁46、47間に開口410が形成されている。上側垂直片411は上側の中間壁46の第2面部41寄りの部位から垂下しており、下側垂直片412は下側の中間壁47の第2面部41寄りの部位から立ち上がり形成されている。上側垂直片411及び下側垂直片412は、第2面部41に対してパネル4A、4Bの内方に位置している。なお、図示の態様では、パネル本体4の第2面部41に開口410を形成しているが、第2面部41は必ずしも開口を備えていなくてもよい。
パネル本体4の第2面部41の幅方向両端部には、全高に亘って側方水密部材5が突設されており、側方水密部材5の下端面は、パネル本体4の下面43を超えて下方に突出している。パネル本体4の下面43には、全幅に亘って下方水密部材6が設けてある。側方水密部材5の下端面と下方水密部材6の下端部は略同一水平面上にある。パネル本体4には、幅方向両端の側方水密部材5及び下端の下方水密部材6の三方において水密部材が連続状に設けられている。側方水密部材5及び下方水密部材6は、弾性部材であり、止水パネルの取付時の押圧力である程度圧縮され、圧縮状態で縦枠3の第1見付面30、床面FLに密着して三方連続状の水密構造を提供する。本実施形態では、側方水密部材5、下方水密部材6は、シリコーンスポンジから形成されているが、その他、クロロプレンゴム、EPDM等から形成してもよい。図14、図19、図32に示すように、パネル本体4の下面43の室内側端部(第2面部41側)には、下面43よりも下方に垂直に延びる垂直片430が形成されている。下方水密部材6は水平面と垂直面と傾斜面とから断面視直角三角形の形状を有し、水平面を下面43に当接させ、垂直面の上半部を垂直片430に当接させてパネル本体4の下面43に取り付けられている。垂直片430は、下方水密部材6の垂直面の上半部に当接支持することで、下方水密部材6が倒れることを防止している。下方水密部材6の下端は、垂直面と傾斜面から形成されており、下方水密部材6が床面FLに圧接された状態において垂直片430の下端は床面FLから上方に離間している。
第2面部41の幅方向両端部には、側方水密部材5の内側(開口幅方向端部から離間する側)に隣接して、側方水密部材5よりも低い突出寸法の当接部材7が突設されている。当接部材7は、前面、後面、左右の側面を備え、後面が第2面部41に固定されたベース70と、ベース70の前面に設けたズレ止め部材(本実施形態では、ズレ止め緩衝ゴム)71からなる。ズレ止め部材71は、縦枠3の第1見付面30に圧接ないし密着した時に、密着力ないし摩擦力によって、縦枠3の第1見付面30に対する止水パネルの持ち上がりを防止する。ズレ止め部材71は典型的には弾性を備えているが、当接部材7のベース70は非弾性部材であり、止水パネルの取り付け時の押圧力によって圧縮されない。なお、当接部材7は、ベース70の側面が側方水密部材5の隣接する立ち上がり面に接触することで、側方水密部材5の倒れ防止の役割も有する。当接部材7のベース70は、例えば、螺子によってパネル本体4の第2面部41に固定される。
止水パネルは、下方水密部材6を床面FLに押し込んで圧接した状態で、建物開口部の室外側下方部位に取り付けられるが、下方への適切な押し込み量が必ずしも明確ではなく、下方水密部材6の押し込み量が不十分であると良好な防水性能が得られないおそれがある。本実施形態では、垂直押し込み量判定手段9によって、下方水密部材6の適切な圧縮程度を検知する。
図5に示すように、垂直押し込み量判定手段9は、垂直ロッド(中実でも中空でもよい)90と、パネル本体4の第2面部41の上下に設けられた上側ガイド部91と、下側ガイド部92と、を有する。上側ガイド部91は左右の固定片910、911と、中央の中空状の凸部912と、から断面視ハット形状を有し、凸部912の中空部に垂直ロッド90の上方部位を移動可能に受け入れるようになっている。下側ガイド部92は左右の固定片920、921と、中央の中空状の凸部922と、から断面視ハット形状を有し、凸部922の中空部に垂直ロッド90の下方部位を移動可能に受け入れるようになっている。
上側ガイド部91の凸部912には縦長のガイド孔913が形成されており、垂直ロッド90の上方部位の所定位置から水平方向に突設した突起(一つの態様では、螺子頭部から形成される)900がガイド孔913の下縁に当接することで、垂直ロッド90は上側ガイド部91から上動可能に吊持されている。この状態から垂直ロッド90が上動し、また、上動した状態から下動する時には、突起900がガイド孔913に沿って案内されて上下動する。
図5、図14(B)に示すように、下方水密部材6が押圧される前の状態では、垂直ロッド90はガイド孔913の下縁から吊持されており、垂直ロッド90の下端は、下方水密部材6の下端(パネル本体4の下端に設けた下方水密部材6を床面FLに接地した場合には床面FL)から所定量だけ上方に離間した位置にあり、垂直ロッド90の上端901(図32参照)は、パネル本体4の上面42と略同じ高さ位置にある。止水パネルの設置時に、パネル本体4を下方に押し付けて下方水密部材6を圧縮していくと、垂直ロッド90の下端902(図32参照)が床面FLに当接して、垂直ロッド90の上端部位がパネル本体4の上面42よりも上方に突出する。なお、図14(B)、図32(B)に示す態様では、垂直ロッド90の下端902は床面FLに対して上方に位置しているが、下方水密部材6が押圧される前の状態において、垂直ロッド902の下端902が下方水密部材6の下端とほぼ同じ位置にあってもよい。この場合、下方水密部材6を圧縮と同時に垂直ロッド9が上動することになる。図14、図19、図32に示すように、本実施形態では、下方水密部材6は断面視三角形状であり、垂直面の上半部は、パネル本体4の下面43から垂下する垂直片430に支持されており、垂直ロッド90の下端902は、垂直片430の下端よりも下方に位置している。また、垂直ロッド90の下端902は、パネル本体4の見込方向ないし開口部前後方向(屋内外方向)において、下方水密部材6の下端(図示の態様では、垂直面と傾斜面の角部)近傍に位置しており、下方水密部材6の押し込み量をより正確に検知するようになっている(床面FLに不陸等があったとしても)。なお、図32(G)に示すように、垂直ロッド90の下端902´を傾斜面として、下方水密部材6の下端(図示の態様では、垂直面と傾斜面の角部)に近接して尖った形状としてもよい。
下方水密部材6の適切な最低圧縮量(垂直距離)に基づいて、図14(B)における垂直ロッド90の下端と下方水密部材6の下端との距離を設定しておくことで、垂直ロッド90の上端が不動部材として例示するパネル本体4の上面42(側方水密部材5の上端、当接部材7の上端、上側ガイド部91の上端)から突出したことを目視して下方水密部材6の押し込み量が十分であると判断する。あるいは、下方水密部材6の垂直方向の必要な圧縮量に対応して視認可能なマークを予め垂直ロッド90の上端部位に設けておくことで、設置者はマークによって下方への押し込み量が十分であることを目視で認識することができる。視認可能なマークとしては、予め設定した所定量上動した時に現れるような色マーク93(図32(C)、(D))や目盛94(図32(E))を例示することができる。また、図32(F)に示すように、垂直ロッド90の下端に検知スイッチ95を設け、垂直ロッド90が下方水密部材6の適切な圧縮量まで下降した時点で検知スイッチ95がONとなるように設定し、検知スイッチ95がONとなった時に、音発生手段から音を発生させたり、あるいは、発光手段から発光させたりしてもよい。設置者は、音発生あるいは発光を知覚することで、下方への押し込み量が十分であることを判断する。この場合、発光部を設ける位置は限定されないが、パネルの下方押し込み作業中の設置者が認識できる部位に設けることが望ましく、例えば、垂直ロッド90の上端に発光部(例えば、LED発光部)を設けて、垂直ロッド90の上端が発光するようにしてもよい。
止水パネルは、パネル本体4に設けた固定手段8によって、建物開口部の下方部位に室外側から取り付けられる。図6、図7に示すように、固定手段8は、帯状のベルト80と、ベルト80の第1端部800に設けた掛止部81と、ベルト80の第2端部801に設けた締め具82と、からなる。本実施形態では、図4に示すように、止水パネルは、各左右端部に上下に離間して合計4つの固定手段8を備えている。なお、固定手段8は、少なくとも左右に1つずつあればよく、その数は4つに限定されない。
本実施形態では、固定手段8は、第2面部41の横長の開口410に位置して設けてある。より具体的には、締め具82の取付ベース820は、パネル本体4の幅方向端部から内側に離間した位置で開口410を跨ぐように第2面部41に取り付けられており、第2端部が締め具82に連結されたベルト80は、締め具82から開口410に沿ってパネル本体4の幅方向端部に向かって延びている。第2面部41の幅方向端部に近い部位には、ベルト80のガイド部(後述するガイドプレート10のガイド片100)が設けてある。締め具82から開口410に沿って水平方向にパネル本体4の幅方向端部に向かって延びるベルト80は、ベルトのガイド部によって折り曲げられて変向して第2面部41から離間するように室内側に延びるようになっている。
本実施形態では、締め具82は、いわゆるキャッチクリップであり、第2面部41に固定された取付ベース820と、支軸を介して取付ベース820に回動可能に連結された回動操作レバー821と、一端が回動操作レバー821に連結され、他端がベルト80の第2端部801に連結されたアーム822と、アーム822に外装したコイルスプリング823と、を備えており、回動操作レバー821は、第2面部41に近接対向した第1姿勢と、第2面部41に対して垂直状の第2姿勢との間で回動可能である。このようなキャッチクリップ自体は公知であるので、さらなる詳細な説明は省略する。回動操作レバー821を第2姿勢から第1姿勢とすることで、ベルト80を引っ張って緊張状態で締め付けるようになっている。
本実施形態では、ガイド部は、当接部材7に隣接して、開口410を跨ぐように固定されたガイドプレート10からなる。図11に示すように、ガイドプレート10は、第1面と第2面を有する方形状のプレートであり、第1面を室内側に向けて開口410を跨ぐように設けられ、締め具82から離間する側(幅方向外側)の縁部には第2面部41から離間するようにプレートから湾曲状に立ち上がるガイド片100が形成されている。プレートには4つの螺子12の螺子孔(雌螺子)101が形成されている。
ガイドプレート10は取付プレート11、取付用の螺子12を用いて、パネル本体4の第2面部41の幅方向の所定位置に固定される。図12に示すように、取付プレート11は、第1面と第2面を有する方形状のプレートである。プレートには4つの螺子12の挿通孔110が形成されている。ガイドプレート10と取付プレート11を対向させた時には、取付プレート11の螺子孔101と取付プレート11の挿通孔110が一致するようになっている。
ガイドプレート10の高さ寸法は、開口410の縦幅寸法よりも大きく、上側の中間壁46の下面と下側の中間壁47の上面間の高さ寸法と略同じである。ガイドプレート10は、開口410を跨ぐようにして、ガイドプレート10の第1面の上側部位(上側の螺子孔101より上側の部位)、下側部位(下側の螺子孔101より下側の部位)を、上側垂直片411、下側垂直片412の後面(パネル本体4の第2面部41から遠い側の面)4111、4121に当接させて仮配置される。この時、ガイドプレート10は下側の中間壁47に載置した状態で仮配置されている。
取付プレート11の高さ寸法は、開口410の縦幅寸法よりも大きく、上側の中間壁46の下面と下側の中間壁47の上面間の高さ寸法と略同じである。また、取付プレート11の厚さは、第2面部41と上側垂直片411、下側垂直片412との段差に対応している。取付プレート11は、第1面を室内側に向けて開口410を跨ぐようにして、取付プレート11の第2面の上側部位(上側の挿通孔110よりも上側の部位)、下側部位(下側の挿通孔110よりも下側の部位)を、上側垂直片411、下側垂直片412の前面(パネル本体4の第2面部41に近い側の面)前面4110、4120に当接させて仮配置される。この時、ガイドプレート10は下側の中間壁47に載置した状態で仮配置されている。取付プレート11の第1面とパネル本体4の第2面部41とは面一となっている。
ガイドプレート10及び取付プレート11の仮配置状態において、ガイドプレート10の上側の2つの螺子孔101と取付プレート11の上側の2つの挿通孔110は、上側垂直片411の下方、すなわち、開口410に位置して対向一致しており、ガイドプレート10の下側の2つの螺子孔101と取付プレート11の下側の2つの挿通孔110は、下側垂直片412の上方、すなわち、開口410に位置して対向一致している。
4本の螺子12を取付プレート11の挿通孔110からガイドプレート10の螺子孔101に締め込むことで、ガイドプレート10の上側部位と取付プレート11の上側部位で上側垂直片411を前後から挟持し、ガイドプレート10の下側部位と取付プレート11の下側部位で下側垂直片412を前後から挟持し、螺子12を締めることで、ガイドプレート10がパネル本体4の第2面部41の幅方向の所定位置に固定される。
第2面部41の幅方向の所定位置にガイドプレート10が固定された状態において、第2面部41の幅方向において、ガイド部(ガイドプレート10のガイド片100)の位置を変更したい場合には、螺子12を緩めることで、ガイドプレート10、取付プレート11を上側垂直片411、下側垂直片412に沿って第2面部41の幅方向に移動させることができ、所望の位置にガイドプレート10、取付プレート11を移動させた状態で螺子12を締めることで、ガイドプレート10を固定することができる。
ベルト80は、締め具82からパネル本体4の幅方向端部に向かって、横長の開口410に沿ってパネル本体4の幅方向に延び(第1部分80A)、ガイドプレート10の裏側を通って、ガイド片100に掛け回され、ガイド片100によって、パネル本体4の第2面部41から離れる方向に引き出されて延びる(第2部分80B)。なお、ベルト80の長さは現場において調整可能となっている。
ベルト80の第1端部800に連結された掛止部81は、基端がベルト80の第1端部800に連結された第1片810と、第1片810の延びる方向に対して垂直状に延びる第2片811と、を備え、略L形状に形成されており、いわば引掛金具を構成している。第1片810、第2片811は共に所定幅を備えた板状体であり、第2片811の内面には、滑り止め要素(本実施形態では、滑り止めゴム)812が設けてある。図示の態様では、第1片810の傾斜状の先端部と第2片811の基端部からV形状の突出部Vが突成されており、掛止部81の角部の内側には空間Sが形成されている。より具体的には、第2片811は、第1片810を通る面に対して第1側に延びており、第1片810の先端部は、前記面に対して第2側に傾斜しており、第2片811の基端部は、前記面を越えて第2側に延びており、第1片810の先端部と第2片811の基端部が接続されている。
図15に示すように、止水パネルが取り付けられた状態において、掛止部81の第2片811が滑り止め要素812を介して縦枠3の第2見付面31に当接しており、縦枠3の第2見付面31と第1見込面32で形成される角部は空間Sに対向している。出願人が鋭意研究したところ、掛止部81の角部の内側には空間Sを形成する形状の掛止部81を採用することで、掛止部81が縦枠3からより外れ難いことがわかった。また、角が出ているような縦枠(方立て)に対しても、空間Sによって掛止部81と角との干渉を防止して良好に掛止することができる。なお、空間Sを備えた図示の掛止部81は掛止部の例示態様であって、空間Sを備えないL形状の掛止部であってもよく、あるいは、第1片810と第2片811の角度を90度よりも僅かに鋭角にして、第1片810が第1見込面32に対してより密着するようにしてもよい。
本実施形態に係る止水パネルの取付について説明する。止水パネルのパネル本体4は、建物開口部の開口幅寸法よりもやや大きい幅寸法を備えており、建物開口部の室外側に位置して、左右の縦枠3間に当該縦枠3を跨ぐように左右の縦枠3間に取り付けられる。止水パネルは、下面43の下方水密部材6を床面FLに圧接した状態で、第2面部41の幅方向両端部に設けた側方水密部材5を、建物開口部左右の縦枠3の第1見付面30に当接させ(この状態では、当接部材7と第1見付面30は離間している)、固定手段8の掛止部81の第1片810を縦枠3の第1見込面32に当接ないし近接させると共に、第2片811を縦枠3の第2見付面31に当接させることで、当該掛止部81を縦枠3の室内側の角部に掛止させた状態とし(締め具82による固定を確実に行うために、必要に応じてベルト80の長さを調整する)、その状態から、締め具82の回動操作レバー821を回動して、ベルト80を引っ張って緊張状態に締め付けて固定する。
掛止部81が縦枠3の室内側の角部(第2見付面31と見込面32)に掛止した状態で、ベルト80を引っ張ることで、縦枠3に対してパネル本体4が押圧され、側方水密部材5は縦枠3の第1見付面30に圧接され、側方水密部材5が圧縮されることで、第2面部41に側方水密部材5に隣接して設けた当接部材7のズレ止め部材71が縦枠3の第1見付面30に圧接される(図15参照)。
固定手段8の締め具82を締めた後で、さらに、パネル本体4を上から下方向に押し付けて下方水密部材6を圧縮することで、良好な水密性能が得られる。この時の下方水密部材6の適切な圧縮の程度は、垂直ロッド90の上端部位に設けたマークで判断することができる。止水パネルを取り付けた状態において、当接部材7のズレ止め部材71が縦枠3の第1見付面30に圧接されることで、止水パネルの持ち上がりを可及的に防止し、止水パネルの下方水密部材6と床面FLとの水密状態を維持する。
止水パネルを取り付けた状態において、ベルト80は、ガイド部(ガイドプレート10のガイド片100)によって折り曲げられた状態(第2面部41に沿って幅方向に延びる第1部分80Aと第2面部41から離間するように室内側へ向かって延びる第2部分80B)で緊張状態にあり、掛止部81の第1片810は、第2部分80Bと略直線状にある。
図15に示すように、止水パネルが取り付けられた状態において、ベルト80の第2部分80B(第2面部41から離間するように室内側へ向かって延びる)と掛止部81の第1片810は直線状にあり、かつ、縦枠3の第1見込面32に沿って延びている。より安定した掛止状態を得るためには、このように、第2部分80Bと第1片810が縦枠3の第1見込面32に沿って延びることが望ましいが、そのためには、ガイドプレート10のガイド片100と縦枠3の第1見込面32との位置関係が重要である。
実際の現場では寸法誤差もあり、掛止部81は左右両側に存在することから、そのためには、ガイドプレート10のガイド片100と縦枠3の第1見込面32との位置関係が設計通りではない場合もある。例えば、図16に示す態様では、ガイドプレート10のガイド片100の位置が、掛止部81が掛止する縦枠3の室内側角部よりも所定量内側に位置しており、ベルト80の第2部分80Bは平面視において傾斜状に延びている。掛止部81の第2片811と縦枠3の第2見付面31が十分に密着していないことから、この掛止状態は不安定であり、場合によっては、掛止部81と縦枠3との掛止状態が外れてしまうおそれがある。
この場合、ベルト80の第2部分80B及び掛止部81の第1片810を、縦枠3の第1見込面32に沿って延びるように配置するためには、縦枠3の第1見込面32を延長した仮想面とパネル本体4の第2面部41が交わる位置にベルト80の第2部分80Bの基端800Bを位置させる必要がある。また、図示の例では、止水パネルの取付状態において、パネル本体4の第2面部41と縦枠3の第1見込面32は垂直状に延びているが、実際の現場では、図16のように、縦枠3の第1見込面32が第2面部41に対して僅かに斜めに延びることも起こり得る。この場合も、ベルト80の第2部分80B及び掛止部81の第1片810を、縦枠3の第1見込面32に沿って延びるように配置するためには、縦枠3の第1見込面32を延長した仮想面とパネル本体4の第2面部41が交わる位置にベルト80の第2部分80Bの基端800Bを位置させる必要がある。なお、ベルト80の第2部分80Bの基端800Bが縦枠3の第1見込面32よりも幅方向外側(当接部材7側)に寄っていてもよい(この場合は、掛止部81と縦枠3との掛止状態が維持される)。
本発明では、ガイドプレート10のガイド片100の位置を、パネル本体4の幅方向において調節可能とすることで、固定手段8のベルト80の第2部分80Bの基端800Bの位置を、パネル本体4の幅方向に調整可能となっており、現場における位置調整を可能としている。図16に示す態様において、現場において、螺子12を緩めて、ガイドプレート10と取付プレート11による上側垂直片411、下側垂直片412の挟持状態を解除し、ガイドプレート10、取付プレート11、螺子12をセットで矢印方向に所定位置まで移動させ、螺子12を締めることによって、ガイドプレート10のガイド片100の位置をパネル本体4の幅方向の端部側に位置調整し、図15に示す態様を得ることができる。このように、固定手段8のベルト80の第2部分80Bの基端800Bの位置を、パネル本体4の幅方向に調整可能とすることで、ベルト80の第2部分80Bの第1部分80Aに対する引き出し方向(第1部分80Aないし第2面部41に対する第2部分80Bの角度)が調整可能となっている。
ガイドプレート10のガイド片100の位置を調整する構成はこのものには限定されない。図13にガイドプレートの他の取付態様を示す。図13(A)では、ガイドプレート10´の上側部位、下側部位は、それぞれ、上側垂直片411、下側垂直片412の後面4111、4121(図9参照)に当接させて螺子12´で固定されている。図13(B)では、ガイドプレート10´´の上側部位、下側部位は、それぞれ、上側垂直片411、下側垂直片412の前面4110、4120(図9参照)に当接させて螺子12´´で固定されている。すなわち、開口410を跨ぐようにガイドプレート10´、10´´が設けられており、ガイド部100´、100´´は、ガイドプレート10´、10´´の側方水密部材に近い側に形成されており、ベルト80の第1部分80Aはガイドプレート10´、10´´の裏側を通り、ガイド部100´、100´´に案内されて第2部分80Bとして引き出される。上側垂直片411、下側垂直片412あるいは/およびガイドプレート10´あるいは10´´に横長孔(図示せず)を形成することで、横長孔の範囲内でガイドプレート10´、10´´(ガイド片100´、100´´)の取付位置を可変とすることができる。また、図13(B)に示すものにおいて、上側垂直片411、下側垂直片412の後面4111、4121に取付プレート(図示せず)を配置し、ガイドプレート10´´と取付プレート(図示せず)で上側垂直片411、下側垂直片412を挟んで固定し(図9の実施形態の取付構造参照)、開口410に位置して前側のガイドプレート10´´と取付プレート(図示せず)の間でベルト80の第1部分80Aが延びるようにしてもよい。
[B]パネルの下方押し込み手段
止水パネルの水密性能において、側方水密部材5、下方水密部材6によって扉体1と建物開口部の隙間を閉塞することが重要であり、これらの水密部材5、6の押し付け作業は重要である。この止水パネルの設置時には、側方水密部材5、下方水密部材6を縦枠3、床面FLに密着させるためのパネルの押し付け、固定手段8の掛止部81の引っ掛け、固定手段の締め具82によるパネルの固定といった複数の作業を両手で行う必要があることから、必ずしも設置が簡単ではなかった。特に、設置者が一人の場合、設置者が非力の場合には尚更である。また、設置者において、下方水密部材6の下方への適切な押し込み量が把握に難く、下方水密部材6の押し込み量が不十分であると良好な防水性能が得られないおそれがある。次に、下方水密部材6を床面FLに圧接させるためのパネルの下方押し込み手段について説明する。
[B−1]パネルの下方押し込み手段1
図17〜図23を参照しつつ、パネルの下方押し込み手段1について説明する。図17〜図19に第1実施形態を示し、図20〜23に第2実施形態を示す。パネルの下方押し込み手段1は、パネル本体4の面部に設けた下方押し込み要素13を用いて(下方押し込み要素13に足をかけて荷重する)パネル本体4を下方に押し込むものである。図17〜図23において、既述の説明における要素と同等の要素については同一の参照番号が付してあり、同一の参照番号が付された要素の説明については、既述の記載を適宜援用することができる。
図17〜図19に基づいて、パネルの下方押し込み手段1の第1実施形態について説明する。パネル本体4の第1面部40、第2面部41の下方部位には、下方押し込み要素13が設けてある。図示の例では、第2面部41に設けられた下方押し込み要素13は、上側のパネル4Aと下側のパネル4Bからなるパネル本体4の下側のパネル4Bにおいて、固定手段8及び開口410が形成された部位の下方に位置して設けてあり、第1面部40に設けられた下方押し込み要素13も同じ高さ位置に設けてある。なお、第1面部40に設けた下方押し込み要素13と第2面部41に設けた下方押し込み要素13を異なる高さ位置に設けてもよい。図示の例では、パネル本体4の第1面部40、第2面部41の両側に下方押し込み要素13が設けてあるが、下方押し込み要素13を第1面部40、第2面部41のいずれか一方に設けたものでもよい。設置者が一人の場合には、下方押し込み要素13は少なくとも第2面部41に設けることが好ましい。また、下方押し込み要素13を設ける位置は限定されず、パネル本体4の上方部位に位置させて設けてもよい。
下方押し込み要素13は、垂直状の取付部130と、水平状の足載せ部131と、から断面視L形状を有しており、取付部130がパネル本体4の第1面部40、第2面部41の下方部位にそれぞれ固定されており、足載せ部131は、第1面部40、第2面部41から持ち出し状に水平に延びている。足載せ部131の上面が下向きの力をパネル本体4に作用させる押し込み面となっている。下方押し込み要素13の形状は断面視L形状に限定されるものではなく、例えば、断面視横長方形状であってもよく、例えば、一方の垂直状の短辺においてパネル本体4の第1面部40および/あるいは第2面部41に固定され、上側の水平状の長辺が押し込み面として機能する。下方押し込み要素13は、パネル本体4と一体で成形してもよく、この場合は、例えば、足載せ部がパネル本体4の第1面部40および/あるいは第2面部41から持ち出し状に一体で突出することになる。なお、図示の足載せ部131の上面の押し込み面はフラット面であるが、この押し込み面を粗面としたり、滑り止め加工を施したり、凹部を形成したりしてもよい。
図17に示す態様では、下方押し込み要素13は、パネル本体4の幅方向左右の垂直押し込み量判定手段9の垂直ロッド90間に位置して、第1面部40、第2面部41の幅方向に亘って延びているが、下方押し込み要素13の長さ寸法は限定されず、また、パネル本体4の幅方向に複数本設けてもよい。下方押し込み要素13の足載せ部131の突出寸法(図18に示す寸法α)は、限定されないものの、一つの態様では、設置者が足載せ部131の長さ方向に沿って足を載せることができる程度の寸法(想定される足幅寸法、ないし、例えば10mm以上)となっている。
設置者は、固定手段8の掛止部81の引っ掛け、及び、締め具82の固定を両手を用いて作業できる一方、パネル本体4の下方への押し付けを足載せ部131に足を載せて行うことができ、止水パネルの側方水密部材5、下方水密部材6の押し付け作業及び縦枠3への取り付け作業の融通性が向上する。下方押し込み要素13は、パネル本体4において、固定手段8による止水パネルの縦枠3の取付作業を行う設置者が足を足載せ部131の上面に載せやすいような位置に設けられることが望ましい。
図18、図19(A)、(B)に示すように、下方押し込み要素13の足載せ部131の下面は、パネル本体4の下面43よりも上方に位置している。図19(A)に示すように、パネル本体4を下方に押し込んで下方水密部材6を圧縮させた状態においても、下方押し込み要素13の足載せ部131の下面は床面FLから上方に離間している。
パネル本体4の第2面部41の幅方向両端には、それぞれ垂直押し込み量判定手段9が設けてある。図19(B)に示すように、パネル本体4の垂直方向押圧前の状態において、垂直ロッド90の下端部位は、下方押し込み要素13の足載せ部131の下面よりも下方に突出しており、垂直ロッド90の下端は床面FLから僅かに上方に離間している。
垂直ロッド90の上端はパネル本体4の上面42と略同じ高さに位置している。
図19(B)の状態において、下方押し込み要素13の足載せ部131の上面に足を載せて体重をかけてパネル本体4を押し込むと、下方水密部材6が圧縮されて、パネル本体4が下方に移動し、垂直ロッド90の下端が床面FLに当接して、垂直ロッド90の上端部位が上昇し、垂直ロッド90の上端がパネル本体4の上面42から上方に突出する。設置者は、垂直ロッド90の上端がパネル本体4の上面42から突出したことを目視で認識することで下方水密部材6の押し込み量が十分であると判断する。なお、パネルの下方押し込み手段1の第1実施形態として、パネル本体4の第1面部40および/あるいは第2面部41から持ち出し状に突出した下方押し込み要素13を示したが、パネルの下方押し込み手段1の第1実施形態の変形として、図18右図に示すように、パネル本体4の第1面部40および/あるいは第2面部41の面内に凹成された下方押し込み要素13´を設けてもよい。下方押し込み要素13´の凹部の下面が足載せ部131´(押し込み面)として機能する。下方押し込み要素13´の断面形状は、下方への力を加えることができる押し込み面を備えていれば限定されない。
図20〜図23に基づいて、パネルの下方押し込み手段1の第2実施形態について説明する。パネル本体4の第1面部40、第2面部41の下方部位には、下方押し込み要素13が設けてある。図示の例では、第2面部41に設けられた下方押し込み要素13は、上側のパネル4Aと下側のパネル4Bからなるパネル本体4の下側のパネル4Bにおいて、固定手段8及び開口410が形成された部位の下方に位置して設けてあり、第1面部40に設けられた下方押し込み要素13も同じ高さ位置に設けてある。図示の例では、パネル本体4の第1面部40、第2面部41の両側に下方押し込み要素13が設けてあるが、下方押し込み要素13を第1面部40、第2面部41のいずれか一方に設けたものでもよい。設置者が一人の場合には、下方押し込み要素13は少なくとも第2面部41に設けることが好ましい。
下方押し込み要素13は、垂直状の取付部130と、水平状の足載せ部131と、から断面視L形状を有しており、取付部130がパネル本体4の第1面部40、第2面部41の下方部位にそれぞれ固定されており、足載せ部131は、第1面部40、第2面部41から持ち出し状に水平に延びている。足載せ部131の上面が下向きの力をパネル本体4に作用させる押し込み面となっている。下方押し込み要素13の形状は断面視L形状に限定されるものではなく、例えば、断面視横長方形状であってもよく、例えば、一方の短辺においてパネル本体4の第1面部40および/あるいは第2面部41に固定され、上側の長辺が押し込み面として機能する。下方押し込み要素13は、パネル本体4と一体で成形してもよく、この場合は、例えば、足載せ部がパネル本体4の第1面部40および/あるいは第2面部41から持ち出し状に一体で突出することになる。なお、図示の足載せ部131の上面の押し込み面はフラット面であるが、この押し込み面を粗面としたり、滑り止め加工を施したり、凹部を形成したりしてもよい。
図20に示す態様では、下方押し込み要素13は、パネル本体4の幅方向左右の両側にそれぞれ設けられている。図21に示す態様では、下方押し込み要素13は、第1面部40、第2面部41の幅方向略全体に亘って延びている。下方押し込み要素13の長さ寸法や本数は、これらに限定されない。下方押し込み要素13の足載せ部131の突出寸法(第1実施例の寸法α参照)は、限定されないものの、一つの態様では、設置者が足載せ部131の長さ方向に沿って足を載せることができる程度の寸法(想定される足幅寸法、ないし、例えば10mm以上)となっている。
設置者は、固定手段8の掛止部81の引っ掛け、及び、締め具82の固定を両手を用いて作業できる一方、パネル本体4の下方への押し付けを足載せ部131に足を載せて行うことができ、止水パネルの側方水密部材5、下方水密部材6の押し付け作業及び縦枠3への取り付け作業の融通性が向上する。下方押し込み要素13は、パネル本体4において、固定手段8による止水パネルの縦枠3の取付作業を行う設置者が足を足載せ部131の上面に載せやすいような位置に設けられることが望ましい。
図22(A)、図23(A)、(B)に示すように、下方押し込み要素13の足載せ部131の下面1310は、パネル本体4の下面43よりも下方に位置しており、側方水密部材5の下端、下方水密部材6の下端よりも上方に位置している。図23(B)に示すように、下方水密部材6が圧縮される前の状態では、下方押し込み要素13の足載せ部131の下面1310は床面FLから上方に離間している。図23(A)に示すように、パネル本体4を下方に押し込んで下方水密部材6を圧縮させた時に、下方押し込み要素13の足載せ部131の下面1310は床面FLに当接するようになっている。
図22(B)に示すように、下方水密部材6が圧縮される前の状態では、下方押し込み要素13の足載せ部131の下面1310と床面FLとの垂直方向の距離dは、下方水密部材6の必要な圧縮量に相当する距離に設定されている。すなわち、下方押し込み要素13は、下方水密部材6の下端から距離dだけ上方に離間した位置に足載せ部131の下面(当接部)が位置するように、パネル本体4に取り付けられている。図23(B)の状態において、下方押し込み要素13の足載せ部131の上面に足を載せて体重をかけてパネル本体4を押し込むと、下方水密部材6が圧縮されて、パネル本体4が下方に移動し、下方押し込み要素13の足載せ部131の下面1310が床面FLに当接したことを認識することで下方水密部材6の押し込み量が十分であると判断する。
図23では、下方押し込み要素13の足載せ部131の下面1310が床面FLに当接するまで足載せ部131を踏み込むようにしたが、図22(C)に示すように、下方押し込み要素13の足載せ部131の下面1310から下方に突出する当接部132を設けてもよい。図22(C)に示すように、下方水密部材6が圧縮される前の状態では、下方押し込み要素13の足載せ部131の下面1310に設けた当接部132の下端と床面FLとの垂直方向の距離dは、下方水密部材6の必要な圧縮量に相当する距離に設定されている。すなわち、下方押し込み要素13は、下方水密部材6の下端から距離dだけ上方に離間した位置に足載せ部131の下面の当接部132が位置するように、パネル本体4に取り付けられている。下方押し込み要素13の足載せ部131の上面に足を載せて体重をかけてパネル本体4を押し込むと、下方水密部材6が圧縮されて、パネル本体4が下方に移動し、下方押し込み要素13の足載せ部131の下面1310の当接部132が床面FLに当接したことを認識することで下方水密部材6の押し込み量が十分であると判断する。図22(C)では、足載せ部131の下面1310から膨出状の断面視下向き湾曲の当接部132を示したが、当接部132の形状、寸法(下面1310の幅寸法及び長さ寸法に対する)、個数は限定されない。また、パネルの下方押し込み手段1として示した下方押し込み要素13はパネル本体4を下方に押し込むための手段であるが、パネル本体4の第1面部40に下方押し込み要素13を備えたものにおいて、当該下方押し込み要素13を足で床面FLのみならず縦枠3の第1見付面30の下方部位に押し付けることで、下方水密部材6及び側方水密部材の下方部位を床面FL及び第1見付面30の下方部位に密着させることができる。
[B−2]パネルの下方押し込み手段2
図24〜図31を参照しつつ、パネルの下方押し込み手段2について説明する。図24〜図27に第1実施形態を示し、図28〜31に第2実施形態を示す。下方押し込み手段2は、パネル本体4とは独立した別体の下方押し付け具を用いてパネル本体4を下方に押し込むものである。図24〜図31において、既述の説明における要素と同等の要素については同一の参照番号が付してあり、同一の参照番号が付された要素の説明については、既述の記載を適宜援用することができる。
図24〜図27に基づいて、パネルの下方押し込み手段2の第1実施形態について説明する。下方押し付け具は、縦枠3の掴持部である第1要素14と、第1要素14の支持部である第2要素15と、第2要素15に設けた螺子部16と、を備えている。
図27に示すように、第1要素14は、対向状の第1辺140、第2辺141と、第1辺140と第2辺141とを連結する第3辺142と、から断面視コ字形状を備える。図示の態様では、第1辺140は第2辺141よりも短いが、逆に長くても、あるいは同寸でもよい。第1要素14が縦枠3を掴持した時には、第1辺140が縦枠3の第2見付面31に当接し、第2辺141が縦枠3の第1見付面30に当接し、第3辺142が縦枠3の第1見込面32に近接ないし当接する(図24〜図26参照)。第1辺140と第2辺141による縦枠3の第2見付面31、第1見付面30の掴持の詳細については後述する。第1辺140の内面、第2辺141の内面には、第1辺140及び第2辺141を形成する部材(スチール等の金属)よりも柔軟な材質からなり、ズレ止め機能及び縦枠3の保護機能を備えた当接シート143、144がそれぞれ設けてある。図示の態様では、当接シート143、144は、第1辺140、第2辺141の全面(第1辺140の下端部1400、第2辺141の上端部1410を含む)に亘って設けてあるが、縦枠3と当接部(下端部1400、上端部1410)を含む部分面に設けてもよい。あるいは、当接シート143、144は当接部(下端部1400、上端部1410)を越えて延ばしてもよいが、その場合には、当接シート143、144の破損を防止するために当接部(下端部1400、上端部1410)を面取りしてもよい。1つの態様では、当接シートはウレタンシート等のゴムである。なお、第3辺142の内面に当接シートを設けてもよい。図27に示すように、第2要素15は、基端が掴持部14の第1辺141に固定(例えば、溶接)されており、先端に向かって下向き傾斜状の上壁150と対向状の側壁151とからなる。
図27に示すように、螺子部16は、円板状のハンドル160と、軸部161と、傾斜状の上壁150の下面に固定されたナット162と、からなり、傾斜姿勢で支持部15に取り付けられている。螺子部16のハンドル160を回転させると、支持部15に対して、軸部161は傾斜姿勢(軸部161の先端が掴持部14に近づく方向に傾斜)で斜め下方に移動する。また、図27上図の平面視において、軸部161の中心を通る線上(ボルト162の中心線のうちの水平線の延長線上)に第1見付辺140、第2見付辺141が位置している。
本実施形態では、下方押し付け具は、当接ピース163を介してパネル本体4の上面42を押し付けるようになっている。当接ピース163は、側面視直角三角形状の長辺の第1傾斜片1630、短辺の第2傾斜片1631と、からなり、第1傾斜片1630の先端、第2傾斜片1631の先端がパネル本体4の上面42に当接し、螺子部16の軸部161の下端が第1傾斜片1630に当接するようになっている(図24参照)。
パネル本体4の上面42には、第1面部40側の第1立ち上がり辺420と、第2面部41側の第2立ち上がり辺421が対向状に形成されている(図24参照)。当接ピース163は、第1立ち上がり辺420と第2立ち上がり辺421との間に位置して上面42に設けられるので、現場での当接ピース163の設置が容易であり、また、押し付け時に当接ピース163が室内外方向にずれた場合であっても、第1立ち上がり辺420あるいは第2立ち上がり辺421に当接することでパネル本体4の上面42から外れるこがなく、押し付け力を斜め下方に伝達することができる。また、下方押し付け具はパネル本体4とは別部材でありパネル本体4に固定されていないので、パネル本体4の幅方向への移動調整が可能である。本実施形態では、当接ピース163は、螺子部16及びパネル本体4とは独立した別体で用意されているが、螺子部16の軸部161の下端に第1傾斜片1630を固定してもよく、あるいは、パネル本体4の上面42に一体形成してもよい。
図25(B)、図26に示すように、第1要素14の第1辺140、第2辺141、第3辺142を、縦枠3の第2見付面31、第1見付面30、第1見込面32にそれぞれ近接対向させた状態において、第1要素14の第1辺140と縦枠3の第2見付面31の間の遊び(クリアランス)、第1要素14の第2辺141と縦枠3の第1見付面30の間の遊び(クリアランス)が存在する。なお、ここでのクリアランスは極力小さくてもよい。図25(B)の状態において、第1要素14及び第2要素15が第1要素14の自重で傾動することで、第1辺140の下端1400が縦枠3の第2見付面31に当接し、第2辺141の上端1410が縦枠3の第1見付面30に当接する。あるいは、螺子部16のハンドル160の回転始動時に、止水パネルの設置者が第1要素14及び第2要素15を僅かに傾けることによって、第1辺140の下端1400を縦枠3の第2見付面31に当接させ、第2辺141の上端1410を縦枠3の第1見付面30に当接させてもよい。ここで、螺子部16のハンドル160を回転させると、軸部161が斜め下方に移動し、パネル本体4を斜め下方へ押し付ける力が発生すると同時に、パネル本体4からの反力が軸部161に作用し、この力がナット162を介して第2要素15の上壁150の先端側(第1要素14から遠い側)を持ち上げようとする力として働き、第1要素15に固定されている第2要素14を傾動(第2要素14の下端側がパネル本体4に近づく方向)させる方向の力を作用させる点に留意されたい。
第1辺140の下端1400が縦枠3の第2見付面31に当接し、第2辺141の上端1410が縦枠3の第1見付面30に当接した初期の傾動姿勢から、螺子部16のハンドル160を回転させることで、軸部161が斜め下方に移動し、パネル本体4を斜め下方へ押し付ける。この時、パネル本体4から反力によって、第1要素15の先端側を持ち上げようとする力を作用させながらパネル本体4を斜め下方に押し付けるが、第1要素15の先端側を持ち上げようとする力は、第1要素14を傾動させて、第1要素14と縦枠3との当接部分(第1辺140の下端1400と縦枠3の第2見付面31との当接、第2辺141の上端1410と縦枠3の第1見付面30との当接)をさらに押し付ける力として作用し、第1要素14と縦枠3の当接部分に摩擦が発生し、第1要素14(第1辺140、第2辺141)が縦枠3を掴持した状態となって、軸部161が斜め下方に移動する力がより確実にパネル本体4に作用してパネル本体4を斜め下方に押し付ける。
螺子部16の軸部161は、先端(ハンドル160から遠い側)が第1要素14(掴持部)に近づくような傾斜姿勢となっている。下方押し付け具は、パネル本体4の上面42に斜め(第1面部40から第2面部41に向かう)下方の力を作用させるため、下方水密部材6の床面FLへの押し付けに加えて、側方水密部材5の縦枠3の第1見付面30への押し付けの効果もある。なお、下方押し付け具によって下向きのみを力をパネル本体4に作用させる場合には、螺子部16の軸部161は垂直姿勢であってもよい。
パネル本体4の第2面部41の幅方向両端には、それぞれ垂直押し込み量判定手段9が設けてある。図25(B)に示すように、パネル本体4の垂直方向押圧前の状態において、垂直ロッド90の下端部位は床面FLから僅かに上方に離間している。垂直ロッド90の上端はパネル本体4の上面42と略同じ高さに位置している。図25(B)の状態において、下方押し付け具を用いてパネル本体4を下方に押し込むと、下方水密部材6が圧縮されて、パネル本体4が下方に移動し、垂直ロッド90の下端が床面FLに当接して、垂直ロッド90の上端部位が上昇し、垂直ロッド90の上端がパネル本体4の上面42から上方に突出する。設置者は、垂直ロッド90の上端がパネル本体4の上面42から突出したことを目視で認識することで下方水密部材6の押し込み量が十分であると判断する。
図28〜図31に基づいて、パネルの下方押し込み手段2の第2実施形態について説明する。下方押し付け具は、第1要素14´と、第2要素15´と、第2要素15´に設けた螺子部16と、第1要素14´と第2要素15´を連結する螺子部17と、を備えている。
図31に示すように、第1要素14´は、対向状の第1辺140、第2辺141´と、第1辺140と第2辺141´とを連結する第3辺142と、から断面視コ字形状を備える。下方押し付け具を縦枠3に取り付けた時には、第1要素14´の第1辺140が縦枠3の第2見付面31に当接し、第2辺141´が縦枠3の第1見付面30に離間対向し、第3辺142が縦枠3の第1見込面32に近接ないし当接する(図30参照)。第3辺142の見込幅は、縦枠3の第1見込面32の見込幅よりも大きい。第1辺140の内面には、第1辺140を形成する部材(スチール等の金属)よりも柔軟な材質からなり、ズレ止め機能を備えた当接シート143が設けてある。1つの態様では、当接シートはウレタンシート等のゴムである。なお、第3辺142の内面に当接シートを設けてもよい。
図31に示すように、第2要素15´は、先端に向かって下向き傾斜状の上壁150と、対向状の側壁151と、上壁150及び側壁151の基端に立ち上がり状に形成された垂直部152と、からなる。第2要素15´の垂直部152は、第2辺141´寄りに位置して、第1要素14´の第1辺140、第2辺141´に対向している。第2要素15´の垂直部152の第1要素14´の第1辺140に対向する垂直面1520は、縦枠3の第1見付面30に近接対向する(図30参照)。
第1要素14´の第1辺140と第2要素15´の垂直部152は離間対向しており、第1要素14´の第1辺140と第2要素15´の垂直部152の垂直面1520から縦枠3の掴持部が形成されている。なお、掴持部を形成する第1辺140と垂直面1520の見付幅の大小は限定されない。垂直部152の垂直面1520には、垂直部152を形成する部材(スチール等の金属)よりも柔軟な材質からなり、ズレ止め機能を備えた当接シート153が設けてある。1つの態様では、当接シートはウレタンシート等のゴムである。
螺子部16は、円板状のハンドル160と、軸部161と、傾斜状の上壁150の下面に固定されたナット162と、からなり、傾斜姿勢で第2要素15´に取り付けられている。螺子部16のハンドル160を回転させると、第2要素15´に対して、軸部161は傾斜姿勢で斜め下方に移動する。
螺子部17は、円板状のハンドル170と、軸部171と、垂直状の第2辺141´の内面に固定されたナット172と、からなり、水平姿勢で第1要素14´に取り付けられている。第2要素15´の垂直部152には、垂直面1520の裏面(第1辺140と反対側に位置する面)に対向して、螺子部17の軸部171の先端側部位を挿通させるプレート1521(図31参照)を備えており、螺子部17の軸部171の先端側部位はプレート1521に形成された挿通孔を通って、軸部171の先端が垂直面1520の裏面に当接している。螺子部17のハンドル170を回転させると、第1要素14´の第2辺141´に対して軸部171が水平方向に移動し、第2要素15´の垂直部152の垂直面1520と第1要素14´の第1辺140との間の距離が可変となっている。なお、螺子部17の軸部171の先端側部位を第2要素15´の垂直部152の上方部位に連結(軸部171の回転を許容する態様)させて、軸部171の水平方向の往復動と一体で第2要素15´の垂直部152が往復動するようにしてもよい。
本実施形態では、下方押し付け具は、当接ピース163を介してパネル本体4の上面42を押し付けるようになっている。当接ピース163は、側面視直角三角形状の長辺の第1傾斜片1630、短辺の第2傾斜片1631と、からなり、第1傾斜片1630の先端、第2傾斜片1631の先端がパネル本体4の上面42に当接し、螺子部16の軸部161の下端が第1傾斜片1630に当接するようになっている。
パネル本体4の上面42には、第1面部40側の第1立ち上がり辺420と、第2面部41側の第2立ち上がり辺421が対向状に形成されている(図28参照)。当接ピース163は、第1立ち上がり辺420と第2立ち上がり辺421との間に位置して上面42に設けられるので、現場での当接ピース163の設置が容易であり、また、押し付け時に当接ピース163が室内外方向にずれた場合であっても、第1立ち上がり辺420あるいは第2立ち上がり辺421に当接することでパネル本体4の上面42から外れるこがなく、押し付け力を斜め下方に伝達することができる。また、下方押し付け具はパネル本体4とは別部材でありパネル本体4に固定されていないので、パネル本体4の幅方向への移動調整が可能である。本実施形態では、当接ピース163は、螺子部16及びパネル本体4とは独立した別体で用意されているが、螺子部16の軸部161の下端に第1傾斜片1630を固定してもよく、あるいは、パネル本体4の上面42に一体形成してもよい。
止水パネルを設置する建物開口部の両側の縦枠3の見込寸法に合わせるように、螺子部17のハンドル170を回転させて、第1要素14´の第1辺140と第2要素15´の垂直部152の垂直面1520との間の寸法を調整して、第1要素14´の第1辺140、第2要素15´の垂直面1520を縦枠3の第2見付面31、第1見付面30に密着させ、第1要素14´の第3辺142を第1見込面32近接ないし当接させる(図29、図30参照)。
図29の状態から、螺子部16のハンドル160を回転させると、軸部161が斜め下方に移動し、パネル本体4を斜め下方へ押し付ける力が発生すると同時に、パネル本体4からの反力が軸部161に作用し、この力がナット162を介して第2要素15´の上壁150の先端側(第1要素14´から遠い側)を持ち上げようとする力として働き、第1要素15´の垂直部152を傾動(垂直面1520の上端1522が縦枠3の第1見付面30に押し付けられ、垂直面1520の下端1523が縦枠3の第1見付面30の下端から離れる方向)させるように作用する。ここで、螺子部17の軸部171はナット172を介して第1要素14´の第2辺141´に連結されている一方、軸部171は第2要素15´の垂直部152のプレート1521の挿通孔を挿通しているので、第2要素15´(垂直部152)は、挿通孔と軸部171のクリアランスの範囲内で、第1要素14´に対して傾動することができる。
下方押し付け具の第1要素14´の第1辺140、第2要素15´の垂直面1520を縦枠3の第2見付面31、第1見付面30に密着させた状態から、螺子部16のハンドル160を回転させることで、軸部161が斜め下方に移動し、パネル本体4を斜め下方へ押し付ける。この時、パネル本体4から反力によって、第1要素15´の先端側を持ち上げようとする力を作用させながらパネル本体4を斜め下方に押し付けるが、第1要素15´の先端側を持ち上げようとする力は、第1要素15´を傾動させて、垂直面1520の上端1522と縦枠3の第1見付面30との当接部分をさらに押し付ける力として作用して当該当接部分に摩擦が発生し、縦枠3の第2見付面31に密着した第1要素14´の第1辺140とで縦枠3を掴持した状態となって、軸部161が斜め下方に移動する力がより確実にパネル本体4に作用してパネル本体4を斜め下方に押し付ける。
螺子部16の軸部161は、先端(ハンドル160から遠い側)が掴持部(第1辺140と垂直面1520)に近づくような傾斜姿勢となっている。下方押し付け具は、パネル本体4の上面42に斜め(第1面部40から第2面部41に向かう)下方の力を作用させるため、下方水密部材6の床面FLへの押し付けに加えて、側方水密部材5の縦枠3の第1見付面30への押し付けの効果もある。なお、下方押し付け具によって下向きのみを力をパネル本体4に作用させる場合には、螺子部16の軸部161は垂直姿勢であってもよい。
パネル本体4の第2面部41の幅方向両端には、それぞれ垂直押し込み量判定手段9が設けてある。図29に示すように、パネル本体4の垂直方向押圧前の状態において、垂直ロッド90の下端部位は床面FLから僅かに上方に離間している。垂直ロッド90の上端はパネル本体4の上面42と略同じ高さに位置している。図29の状態において、下方押し付け具を用いてパネル本体4を下方に押し込むと、下方水密部材6が圧縮されて、パネル本体4が下方に移動し、垂直ロッド90の下端が床面FLに当接して、垂直ロッド90の上端部位が上昇し、垂直ロッド90の上端がパネル本体4の上面42から上方に突出する。設置者は、垂直ロッド90の上端がパネル本体4の上面42から突出したことを目視で認識することで下方水密部材6の押し込み量が十分であると判断する。
図33は、パネルの下方押し込み手段2の第1実施形態の変形例を示し、第1要素14の形状を除いて、図24〜図27に示す第1実施形態と同一であり、上記第1実施形態の説明を援用することができる。図33に示すように、第1要素14は、対向状の第1辺140、第2辺141と、第1辺140と第2辺141とを連結する第3辺142と、から断面視コ字形状を備える。第1要素14が縦枠3を掴持した時には、第1辺140が縦枠3の第2見付面31に当接し、第2辺141が縦枠3の第1見付面30に当接し、第3辺142が縦枠3の第1見込面32に近接ないし当接する。第1辺140は第2辺141に対して高さ方向に短辺であり、第1辺140の下端1400の高さ位置は、螺子部16の軸部161と第2要素15の上壁150との連結部1500の高さ位置よりも上方に位置している(図27に示す態様では、第1辺140の下端1400の高さ位置は、螺子部16の軸部161と第2要素15の上壁150との連結部1500の高さ位置よりも下方に位置している)。第1辺140の下端1400を連結部1500よりも上方に位置させることで、第1要素15の先端側を持ち上げようとする力が、第1辺140の下端1400と縦枠3の第2見付面31との当接部を押し付ける力として良好に作用し、第1要素14(第1辺140、第2辺141)が縦枠3を掴持した状態となって、軸部161が斜め下方に移動する力がより確実にパネル本体4に作用してパネル本体4を斜め下方に押し付ける。
図34、図35に、パネルの下方押し込み手段2の第1実施形態のさらなる変形例を示す。下方押し付け具の基本的な構成は、図24〜図27に示す第1実施形態と同一であるが、図24〜図27に示す態様では、第1要素14の第1辺140、第2辺141が縦枠3の第2見付面31、第1見付面30に当接して、縦枠3を掴持するのに対して、図34、図35に示す態様では、第1要素14の第1辺140、第2辺141が縦枠3の第2見込面33、第1見込面32に当接して、縦枠3を掴持するようになっている。螺子部16の軸部161は、先端が縦枠3(第1見込面32)に近づく方向に下向きに傾斜している。パネル本体4の第2面部41の上方部位には、幅方向両端部にそれぞれ位置して、被押し付け部(図示の態様ではプレートであるが、被押し付け部の形状は限定されない)18が持ち出し状に設けてある。下方押し付け具は、螺子部16の軸部161の先端が被押し付け部18上に当接するようにセットされる。第1辺140の下端1400が縦枠3の第2見込面33に当接し、第2辺141の上端1410が縦枠3の第1見込面32に当接した初期の傾動姿勢から、螺子部16のハンドル160を回転させることで、軸部161が斜め下方に移動し、被押し付け部18を介してパネル本体4を斜め下方へ押し付ける。この時、パネル本体4から反力によって、第1要素15の先端側を持ち上げようとする力を作用させながらパネル本体4を斜め下方に押し付けるが、第1要素15の先端側を持ち上げようとする力は、第1要素14を傾動させて、第1要素14と縦枠3との当接部分(第1辺140の下端1400と縦枠3の第2見込面33との当接、第2辺141の上端1410と縦枠3の第1見込面32との当接)をさらに押し付ける力として作用し、第1要素14と縦枠3の当接部分に摩擦が発生し、第1要素14(第1辺140、第2辺141)が縦枠3を掴持した状態となって、軸部161が斜め下方に移動する力がより確実にパネル本体4に作用してパネル本体4を斜め下方に押し付ける。なお、傾斜姿勢の軸部161を示したが、軸部161は垂直姿勢でもよい。なお、パネルの下方押し込み手段2として下方押し付け具の幾つかの実施形態について説明したが、これらの下方押し付け具は、固定手段8によりパネル本体4を固定するまでのパネル本体4の仮固定手段としても機能する。また、本実施形態では、パネル本体4に対して着脱自在に設けられる下方押し付け具について説明したが、下方押し付け具をパネル本体4に一体的に固定してもよい。
図36〜図39に、パネルの下方押し込み手段2の第1実施形態のさらなる変形例を示す。下方押し付け具は、縦枠3の掴持部である第1要素14と、第1要素14の支持部である第2要素15と、第2要素15に設けた螺子部16と、を備えており、基本的な構成は、図24〜図27に示す第1実施形態と同じであり、既述の説明における要素と同等の要素については同一の参照番号が付してあり、同一の参照番号が付された要素の説明については、既述の記載を適宜援用することができる。
図24〜図27に示す態様では、第1要素14の第1辺140、第2辺141、第3辺142の上端、下端がそれぞれ同一高さにあって一致しているが、図36〜図39に示す態様では、図36に示すように、第1要素14の第1辺140の下端部位には、第2辺141の下端1412、第3辺142の下端1421を越えて下方に延びる下側延長部1401が形成されており、第2要素141の上端部位には、第1辺140の上端1402、第3辺142の上端1420を越えて上方に延びる上側延長部1411が形成されている。第1辺140(下側延長部1401)の下端を参照番号1400´で示し、第2辺141(上側延長部1411)の上端を参照番号1410´で示す。なお、図示の態様では、第3辺142の下端1421と、第2要素15の側壁151の下端1510と同一高さにあるが、これらは違う高さにあってもよい。
第1要素14が縦枠3を掴持した時には、第1辺140が縦枠3の第2見付面31に当接し、第2辺141が縦枠3の第1見付面30に当接し、第3辺142が縦枠3の第1見込面32に近接ないし当接する。第1辺140の内面、第2辺141の内面には、第1辺140及び第2辺141を形成する部材(スチール等の金属)よりも柔軟な材質からなり、ズレ止め機能及び縦枠3の保護機能を備えた当接シート143、144がそれぞれ設けてある。当接シート143は第1辺140の下側延長部1401の内面にも設けてあり、当接シート144は第2辺141の上側延長部1411の内面にも設けてある。
第1辺140の下側延長部1401は、第2辺141から離間するように下側に向かって外側に緩やかに傾斜しており、下側延長部1401の内面(当接シート143)は傾斜面となっている。第2辺141の上側延長部1411は、第1辺140から離間するように上側に向かって外側に緩やかに傾斜しており、上側延長部1411の内面(当接シート144)は傾斜面となっている。
図37(B)、図39に示すように、第1要素14の第1辺140、第2辺141、第3辺142を、縦枠3の第2見付面31、第1見付面30、第1見込面32にそれぞれ近接対向させた状態において、第1要素14の第1辺140と縦枠3の第2見付面31の間の遊び(クリアランス)、第1要素14の第2辺141と縦枠3の第1見付面30の間の遊び(クリアランス)が存在する。図37(B)の状態において、第1辺140の下側延長部1401は縦枠3の第2見付面(垂直面)31から離間するように下側に向かって外側に緩やかに傾斜しており、第2辺141の上側延長部1411の内面は縦枠3の第1見付面(垂直面)30から離間するように上側に向かって外側に緩やかに傾斜している。
図37(B)の状態において、第1要素14及び第2要素15が傾くことで、第1辺140の下側延長部1401(当接シート143)が縦枠3の第2見付面31に当接し、第2辺141の上側延長部1411(当接シート144)が縦枠3の第1見付面30に当接する。この時、第1辺140の下側延長部1401の内面(傾斜面)がほぼ垂直姿勢となって、縦枠3の第2見付面(垂直面)31に面接触し、第2辺141の上側延長部1411の内面(傾斜面)がほぼ垂直姿勢となって、縦枠3の第1見付面(垂直面)30に面接触する(図38参照)。
第1辺140の下側延長部1401が縦枠3の第2見付面31に面接触し、第2辺141の上側延長部1411が縦枠3の第1見付面30に面接触した初期の傾動姿勢から、螺子部16のハンドル160を回転させることで、軸部161が斜め下方に移動し、パネル本体4を斜め下方へ押し付ける。この時、パネル本体4から反力によって、第1要素15の先端側を持ち上げようとする力を作用させながらパネル本体4を斜め下方に押し付けるが、第1要素15の先端側を持ち上げようとする力は、第1要素14を傾動させて、第1要素14と縦枠3との当接部分(第1辺140の下側延長部1401と縦枠3の第2見付面31との当接、第2辺141の上側延長部1411と縦枠3の第1見付面30との当接)をさらに押し付ける力として作用し、第1要素14と縦枠3の当接部分に摩擦が発生し、第1要素14(第1辺140、第2辺141)が縦枠3を掴持した状態となって、軸部161が斜め下方に移動する力がより確実にパネル本体4に作用してパネル本体4を斜め下方に押し付ける。
本態様では、下方押し付け具を用いた下方への押し付け操作時に、第1辺140の下側延長部1401の内面(当接シート143)が縦枠3の第2見付面31に面接触し、第2辺141の上側延長部1411の内面(当接シート144)が縦枠3の第1見付面30に面接触しているので、図24〜図27に示す態様に比べて、第1辺140と第2見付面31との接触面積、第2辺141と第1見付面30の接触面積が大きく、内面に貼り付けられた滑り難い当接シート143、144と相俟って、より大きな下方への押し付け力でパネル本体4を下方に押圧することができ、より安定した防水性能を得ることができる。
図示の態様では、第1辺140の下側延長部1401の内面、第2辺141の上側延長部1411の内面は平面状の傾斜面であるが、第1辺140の下側延長部1401の内面、第2辺141の上側延長部1411の内面を湾曲面としてよい。図示の態様では、第1辺140の傾斜状の下側延長部1401の内面、第2辺141の傾斜状の上側延長部1411の内面を接触面としたが、第1辺140、第2辺141の上端、下端を同じ高さ位置とし(図27参照)、第1辺140の下端部位の内面、第2辺141の上端部位の内面を傾斜面としてもよい。