JP2018072670A - 静電荷像現像用トナー及び画像形成方法。 - Google Patents

静電荷像現像用トナー及び画像形成方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】経時変化が低減された、シリコーンオイル処理無機微粉体を構成成分として含有する無機微粒子を含む静電荷像現像用トナーを提供する。【解決手段】結着樹脂と着色剤とワックス成分とを少なくとも含む着色粒子と、シリコーンオイル処理無機微粉体を構成成分として含有する無機微粒子を含む静電荷像現像用トナーにおいて、前記静電荷像現像用トナーは、前記着色粒子の表面に、前記無機微粒子を付着及び/または固定化してなり、前記無機微粒子中のシリコーンオイルの含有率が1.5mg/g以上25mg/g以下であり、前記無機微粒子を150℃で10分間、加熱した際に発生する低分子量シロキサンの発生量が10μg/g以下であることを特徴とする、静電荷像現像用トナー。【選択図】図1

Description

本発明は、静電荷像現像用トナー及び画像形成方法に関するものである。
本発明のトナーは、電子写真方式を用いて記録材(記録媒体)に画像を形成する複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、ワードプロセッサー及びこれらを複数備える複合機等の画像形成装置に用いられるものである。
静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう)中に、シリコーンオイルで処理された無機微粉体(以下、「シリコーンオイル処理無機微粉体」と称す)を存在させることにより、静電潜像担持体の表面にシリコーンオイルの皮膜を迅速且つ継続的に形成することが可能である(特許文献1参照)。
その結果、シリコーンオイルは、静電潜像担持体の表面へのトナー等の固着や汚染を防止しつつ、静電潜像担持体表面の磨滅や摺擦傷の発生を軽減し、静電潜像担持体の長寿命化に寄与する。特に、静電潜像担持体が有機感光体である場合には、上記の如き効果は、一層顕著となる。
ところが、本発明者等が検討したところ、上記の如きシリコーンオイル処理無機微粉体を含有するトナーを未使用のまま長期保管したり、画像形成装置の休止期間が長期に及んだりした場合、トナーが経時変化し、上記のような効果が消失するだけでなく、非画像領域のトナー汚れや画質の低下といった潜在的且つ重大な問題を引き起こす可能性を有することを知見した。
特開2014−106489号公報
本発明者は、上記の問題点を解決するために鋭意研究した結果、シリコーンオイル処理無機微粉体を含有するトナーにおいて、前記シリコーンオイル処理無機微粉体に使用されるシリコーンオイルと、前記シリコーンオイル中に必然的に混在する低分子量オルガノシロキサンが、上記の問題の原因であることを見出した。経時変化に関する明確なメカニズムは、未だ不明の部分もあるが、前記シリコーンオイルと低分子量シロキサンが、長期放置期間中に着色粒子を可塑化させ、着色粒子の機械的強度を低下させると共に、着色粒子表面に付着及び/または固定化されていた無機微粒子の静電付着力を奪い去った結果、画質の低下や画像形成装置とのマッチング性に問題を生じたものと推定している。
更に、上記のような問題は、トナー中のトナー微粉の組成とも密接な関係があり、結着樹脂やワックス成分の組成や分散状態の影響を受けることが判明した。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、シリコーンオイル処理無機微粉体の添加効果を活かしながら、トナーの経時変化を防止し、優れた画像を長期にわたって安定して形成することが可能なトナー及び画像形成方法を提供することを目的とする。
本発明は、結着樹脂と着色剤とワックス成分とを少なくとも含む着色粒子と、シリコーンオイル処理無機微粉体を構成成分として含有する無機微粒子を含む静電荷像現像用トナーであって、前記トナーは、前記着色粒子の表面に、前記無機微粒子を付着及び/または固定化してなり、前記無機微粒子中のシリコーンオイルの含有率が1.5mg/g以上25mg/g以下であり、前記無機微粒子を150℃で10分間、加熱した際に発生する低分子量シロキサンの発生量が10μg/g以下であることを特徴とする。
更に本発明は、上記トナーを用いることを特徴とした画像形成方法であり、特に、ブレードクリーニング方式を具備した静電潜像担持体を用いる画像形成方法である。
本発明によれば、シリコーンオイル処理無機微粉体を構成成分として含有する無機微粒子を含むトナーにおいて、前記無機微粒子中のシリコーンオイルの含有率を調整すると共に、前記無機微粒子を150℃で10分間、加熱した際に発生する低分子量シロキサンの発生量を制御することによって、トナーを長期保管した際に発生する経時変化を防止すると共に、優れた画像を長期にわたって安定して形成することが出来る。
本発明の画像形成方法に用いる画像形成装置の模式図である。 「シリコーンオイル処理無機微粉体−1」に含まれる低分子量シロキサンの検出結果を示す図(a)及び表(b)である。 「シリコーンオイル処理無機微粉体−7」に含まれる低分子量シロキサン及び低分子量アミンの検出結果を示す図(a)及び表(b)である。
以下、本発明の好適な実施の形態について、詳細に説明する。
<トナー>
先ず、本発明のトナーについて説明する。
本発明のトナーは、結着樹脂と着色剤とワックス成分とを少なくとも含む着色粒子と、シリコーンオイル処理無機微粉体を構成成分として含有する無機微粒子を含んでおり、前記着色粒子の表面に、前記無機微粒子が付着及び/または固定化されている。
更に、前記無機微粒子中のシリコーンオイルの含有率は、1.5〜25mg/gとなるように調整され、前記無機微粒子を150℃で10分間、加熱した際に発生する低分子量シロキサンの発生量が10μg/g以下となるように制御されていることを特徴とする。
本発明のトナーは、負帯電性または正帯電性のいずれにも適応可能であるが、特に負帯電性トナーとして用いた際、シリコーンオイル処理無機微粉体の添加効果が一層顕著となる。
[シリコーンオイル処理無機微粉体を構成成分として含有する無機微粒子]
本発明のトナーに係るシリコーンオイル処理無機微粉体を構成成分として含有する無機微粒子は、無機微粉体の表面をシリコーンオイルで処理したシリコーンオイル処理無機微粉体を単独或いは他の無機微粉体と共に着色粒子の表面に付着及び/または固定化された状態で存在する。
トナー中にシリコーンオイル処理無機微粉体を存在させることにより、トナーに好ましい帯電特性と粉体特性を付与するだけではなく、画像形成プロセスの進行に伴い、トナーが接触する各部分にシリコーンオイル皮膜が形成され、画像形成装置を好ましい状態に保護することが出来る。
本発明のトナーに係る無機微粒子としては、金属酸化物の微粉体であることが好ましく、特に、シリカ、アルミニウム、チタン等の酸化物やそれ等の複合化合物から選択され、平均一次粒径が5〜500nm、好ましくは10〜300nmの範囲であるものが好ましく用いられる。
平均一次粒径が5nm未満の場合には、画像形成プロセスの進行に伴って、無機微粒子が着色粒子の表面に必要以上に埋没してしまうばかりか、無機微粒子と共に埋没したシリコーンオイルが、着色粒子の表面だけでなく内部にも悪影響を与えてしまう。他方、平均一次粒径が500nmを超える場合には、着色粒子の表面での均一な帯電付与が困難となるばかりか、画像形成装置とのマッチングに問題を生じ易くなる。
本発明に係るシリコーンオイル処理無機微粉体は、上記無機微粒子の構成成分として単独或いは他の無機微粉体と共に着色粒子と乾式混合される。
本発明に係るシリコーンオイル処理無機微粉体は、上記金属酸化物を処理母体(被処理物)とし、シリコーンオイルで処理を施すことで製造することが出来る。この時、処理母体となる無機微粉体の表面を、予めシリル化剤等で疎水化処理を施しておくことが好ましく、シリコーンオイルによる表面処理を均一に施すことが出来る。その結果、上記シリコーンオイルの使用量を減ずることも可能となり、放置劣化の程度を低減化出来るだけでなく、トナーの帯電性や粉体特性を大幅に改善することが出来る。
本発明に係る無機微粉体として、シリコーンオイル処理無機微粉体以外に他の無機微粉体を併用することが可能である。この場合には、上記のようなシリル化剤等で疎水化処理を施した無機微粉体が好ましく用いられる。
本発明に係る無機微粒子は、着色粒子100質量部に対して、1〜20質量部の範囲で用いられることが好ましい。1質量部未満の場合には、無機微粒子の添加効果が発揮され難く、20質量部を超える場合には、画像形成装置とのマッチング性や定着性に問題を生じる。
着色粒子の表面に、シリコーンオイル処理無機微粉体を構成成分として含有する無機微粒子を付着及び/または固定化させる方法としては、乾式混合装置を用いた多段階混合法が好ましい。例えば、着色粒子に、シリコーンオイル処理無機微粉体と他の疎水性無機微粉体を付着及び/または固定化させる場合、先ず、着色粒子と他の疎水性無機微粉体等を乾式混合し、次いで、シリコーンオイル処理無機微粉体等を追加添加し、乾式混合してトナーとする。これにより、シリコーンオイル処理無機微粉体の機能を効率的に発現させると共に、経時変化を軽減することが可能となる。
本発明に係る無機微粒子やシリコーンオイル処理無機微粉体の平均一次粒径は、以下の方法によって決定することが出来る。先ず、測定対象とする無機微粒子やシリコーンオイル処理無機微粉体の拡大写真を撮影した後、得られた拡大写真中の測定対象物の画像の輪郭が明瞭になるように画像コントラストを調整し、個数平均粒径の測定用画像を作成する。その後、前記測定用画像を適宜拡大等した上で、50個以上の無機微粉体を無作為に選択し、その一次粒子の長径をノギスや定規等を用いて計測し、個数平均粒径を算出することが出来る。
具体的には、無機微粉体やシリコーンオイル処理無機微粉体の電子顕微鏡写真を撮影し、その写真を「ニコレ社製画像処理解析装置ルーゼックスIID」により画像処理解析し、各粒子の投影面積に対する円相当径を算出し、その算術平均値をもって平均一次粒径とする。その際、フレーム面積に対する粒子の面積率は2%を超えないようにし、100〜150個の粒子の画像処理を行う。
尚、上記測定方法は、無機微粉体等の平均一次粒径だけでなく、本実施形態に係る他の粒子の平均一次粒径の測定にも適応することが可能である。
本発明に係る無機微粉体は、シリコーンオイルで処理される表面を十分に有する必要があることから、BET比表面積が28〜300m/gを呈するものが好ましく用いられ、特に40〜100m/gを呈するものがトナーに好ましい粉体特性を付与することが出来るので好ましく用いられる。
無機微粉体の比表面積は、例えば、比表面積測定装置「オートソーブ1」(湯浅アイオニクス社製)を用いて測定することが可能で、試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法により比表面積を算出する。
シリコーンオイル処理無機微粉体に用いられるシリコーンオイルとしては、一般式(1)で表せるものが好ましい。
Figure 2018072670
(式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表わし、R’はアルキル、ハロゲン変性アルキル、フェニル、変性フェニル等のシリコーンオイル変性基を表わし、R”は炭素数1〜3のアルキル基またはアルコキシ基を表わし、m、nは整数を表わす。)
上記シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、ビニル基含有シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が挙げられる。これらのシリコーンオイルは、単独または他のシリコーンオイルと混合して使用することが出来る。
ところで、上記の如きシリコーンオイル処理無機微粉体に用いられるシリコーンオイルは、一般式(1)で示されるように、様々な重合度を呈するシリコーンと低分子量シロキサンの混合物である。
前述したように、本発明者等は、シリコーンオイルとシリコーンオイル中に存在する低分子量シロキサンが現像剤の経時変化を引き起こす原因物質であることを見出した。
この理由に関し、本発明者等は以下のように考えている。即ち、着色粒子を構成する結着樹脂は、着色粒子の製造過程等の影響により、その高分子鎖の配向にはストレスを生じている。そのような状態の着色粒子に対して、特に低分子量シロキサンが作用すると、上記ストレスが緩和され、高分子鎖が再配向する。その際、結着樹脂の高分子鎖間に低分子量シロキサンが入り込みながら、シリコーンオイルをも取り込み、着色粒子は可塑化する。高分子鎖が再配向し、可塑化した着色粒子は、機械的強度が低下するだけではなく、無機微粒子を着色粒子表面に付着及び/または固定化する為に要した静電付着力を消失し、着色粒子表面から無機微粒子の遊離を招く。その結果、トナーに必要な機械的強度に加え、粉体特性と帯電特性が大きく損なわれ、不可逆的な品質劣化に至るものと推定している。
上記のようなストレスの緩和や可塑化に起因する現象は、非常にゆっくりとした速度で進行する為、トナーを長期間静置した場合に発生する。また、着色粒子やトナーの微粒子化により促進される。
尚、上記の如き長期放置劣化の評価には、アレニウス式加速試験を適応することが可能であり、着色粒子がブロッキングしない程度の温度に加熱することによって、劣化現象を加速させることが出来る。
低分子量シロキサンは、着色粒子に対して、無機微粉体を介して作用する。従って、無機微粉体の総質量に対する低分子量シロキサンの含有量が増加する程、上記のような着色粒子の経時変化への影響度が大きくなる。
しかしながら、本発明のトナーは、前記無機微粒子中のシリコーンオイルの含有率を1.5〜25mg/gの範囲に調整し、前記無機微粒子を150℃で10分間、加熱した際に発生する低分子量シロキサンの発生量が10μg/g以下となるように制御しているので、上記のようなトナーの経時変化を未然に防止し、画像形成装置とのマッチング性を良好に維持することが出来る。
本発明において、経時変化の原因物質である上記の「低分子量シロキサン」とは、相対的に重合度が低いオルガノポリシロキサン等であって、その中でも特に、重合度が2〜10のオルガノポリシロキサンの存在量を、経時変化の発生予測の指標として用いることが出来る。
上記低分子量シロキサンとしては、例えば、鎖状メチルシロキサン2〜10量体や環状メチルシロキサン3〜10量体が挙げられ、各成分の発生量の定量には、ガスクロマトグラフ−質量分析計(GC−MS)が用いられ、トルエンを標準物質とした時の相対値(トルエン換算値)として求められる。
具体的には、先ず、測定対象となる無機微粒子を精秤後、150℃で10分間加熱し、発生した揮発成分を捕集する。次いで、捕集した揮発成分を熱分解GC−MSに導入し、揮発成分の定性分析を行い、上記低分子量シロキサンに該当する成分を選別し、それらの検出量をトルエン換算値として求めた後に合算し、得られた合算値を無機微粒子の質量で除した値を「低分子量シロキサンの発生量」とし、経時変化防止の指標として用いる。
尚、無機微粒子の入手が困難な場合には、同様にして捕集した現像剤からの揮発成分の内、上記低分子量シロキサンに該当する成分を選別して定量し、これを別の分析手法により決定した無機微粒子の質量で除した値を低分子量シロキサンの発生量とすることも出来る。
ところで、負帯電性トナーにシリコーンオイル処理無機微粉体を用いる場合には、窒素原子を含有するシリコーンオイルで処理されたものを用いることが好ましい。窒素原子を有するシリコーンオイルによる皮膜が画像形成装置の表面に形成され、トナーに好ましい負帯電性を安定して付与することが可能となる。
このような窒素原子を有するシリコーンオイルとしては、例えば、少なくとも一般式(2)で表わされる構造を分子鎖内や分子鎖末端に有したアミノ変性シリコーンオイルであって、これを単独または他のシリコーンオイルと混合して使用することが出来る。尚、一般式(2)で表わされる構造はシリコーンオイル末端に有していてもよい
Figure 2018072670
(式中、Rは水素、アルキル基、アリール基またはアルコキシ基を示し、Rはアルキレン基またはフェニレン基を示し、Rはアルキル基またはアリール基を示し、Rは水素、アルキル基またはアリール基を示し、Rは含窒素複素環をその構造に有する化合物を示す。但し、上記アルキル基、アリール基、アルキレン基およびフェニレン基はアミンを含有していても良いし、また帯電性を損ねない範囲で、ハロゲン等の置換基を有していても良い。)
ところで、アミノ変性シリコーンオイルを用いた場合には、上記の低分子量シロキサンに加え、シリコーンオイルをアミノ変性する際に用いた原料や反応副生成物に由来する低分子量アミンによって同様の経時変化が引き起こされる。
しかしながら、本発明においては、負帯電性トナーに窒素原子を含有するシリコーンオイル処理無機微粉体を用いる場合には、低分子量シロキサンの発生量に加え、前記無機微粒子を150℃で10分間、加熱した際に発生する低分子量アミンの発生量を3μg/g以下となるように制御することで、負帯電性トナーに一層優れた帯電特性を付与しつつ、経時変化を未然に防止することが出来る。
上記低分子量アミンの発生量は、上記低分子量シロキサンの発生量の測定と同時にGC−MSで行うことが可能であり、現像剤に用いられる無機微粒子を150℃で10分間、加熱した際に発生した揮発成分の内、環状オルガノシロキサン10量体よりも溶出時間が短い範囲に検出される低分子量アミン成分に該当する成分を選択し、その検出量をトルエン換算値として求めた後に合算し、得られた合算値を無機微粒子の質量で除した値を低分子量アミンの発生量とし、経時変化防止の第2の指標として用いることが出来る。
アミノ変性シリコーンオイルのアミン当量は、300〜10,000g/molが好ましい。アミン当量が300g/mol未満の場合には、アミノ変性の効果が発現しない。またアミン当量が10,000g/molを超える場合には、十分な負帯電性を得ることが出来なくなるばかりか、無機微粉体の凝集体が発生し、画像形成装置とのマッチング性に問題を引き起こす場合がある。より好ましくは、アミン当量が300〜8,000g/molであって、上記の如き低分子量アミンの存在量を減じることが出来るので、長期放置によるトナーの経時変化を軽減することが可能となる。
尚、アミノ変性シリコーンオイルのアミン当量は、母体となるシリコーンオイルへの直接的な変性率を制御することで調整するだけでなく、アミノ変性シリコーンオイルをそれ以外のシリコーンオイルで希釈混合することで調整することも可能である。更には、予め、アミノ変性シリコーンオイルで処理した無機微粉体とそれ以外のシリコーンオイルで処理した無機微粉体を乾式混合した結果、上記アミン当量を満足するように調整することも可能である。
本発明に用いられるシリコーンオイル処理無機微粉体の製造方法としては、例えば、無機微粉体とシリコーンオイルとを乾式混合機で直接混合して調製する方法や、乾式混合機に投入した無機微粉体に対し、予め適当な溶剤に希釈しておいたシリコーンオイルを噴霧しながら撹拌混合した後、溶剤を加熱除去して調製する方法が挙げられる。
また、トナーの経時劣化の原因物質である低分子量シロキサンや低分子量アミン(以下、単に「原因物質」とも称す)の発生量を低減化する為には、予め、用いるシリコーンオイルを精製して、上記原因物質を減じておく方法、原因物質と有機溶剤との共沸現象を利用して、シリコーンオイル処理無機微粉体を加熱する際に減じる方法、シリコーンオイル処理無機微粉体を強熱したり減圧したりして、原因物質を減じる方法等を、単独もしくは適宜組み合わせて用いることが出来る。
本発明に好適な一例としては、広く市販されているシリコーンオイルを用い、既存の製造設備を大きく改造することなく、効率良く原因物質を減じたシリコーンオイル処理無機微粉体を製造する為には、シリコーンオイルをヘキサン等の有機溶剤に希釈した後、母体となる未処理の無機微粉体に噴霧しながら撹拌混合し、処理物の流動性を落とさないように気流中で加熱し、原因物質とヘキサンを同時に除去した後、更に、減圧下で強熱して、所望のシリコーンオイル処理無機微粉体に仕上げる方法を挙げることが出来る。
無機微粉体を処理するために用いられるシリコーンオイルの粘度は、25℃における動粘度が30〜500mm/sの範囲にあるものが好ましく用いられる。動粘度が30mm/s未満の場合、シリコーンオイルから発生する揮発成分が多く、現像剤に対して後述するような悪影響を及ぼす。また、500mm/sを超える場合には、静電潜像担持体の表面へのシリコーンオイル皮膜の成膜性に問題を生じる。
無機微粉体に対するシリコーンオイルの処理量としては、被処理物である無機微粉体の比表面積等との関係があるので一概に限定することは出来ないが、無機微粉体100質量部に対して、シリコーンオイルは1〜30質量部の範囲で用いられる。1質量部未満だと処理効果が発現せず、30質量部を超えると現像剤の流動性が著しく低下し、帯電性や現像性に悪影響を生じる。静電潜像担持体の表面に上記の如き機能を付与し、現像剤に好ましい現像特性や粉体特性を付与するには3〜10質量部の範囲で処理することが好ましい。
[着色粒子]
本実施形態の着色粒子は、少なくとも結着樹脂と着色剤とワックス成分とを含む粒子であって、所謂、粉砕法やケミカル法といった従来公知の方法によって製造される。
本発明に係る着色粒子に含有される結着樹脂としては、具体的には、スチレン−(メタ)アクリル共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体を挙げることができる。これらの中でも、スチレン−アクリル共重合体は、乳化凝集法や懸濁重合法といったケミカル法によって直接、着色粒子を製造する場合に好適である。スチレン−アクリル共重合体を製造するための単量体としては、スチレン;o−(m−,p−)メチルスチレン、m−(p−)エチルスチレンなどのスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸エステル系単量体;ブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン、(メタ)アクリロニトリル、アクリル酸アミドなどのエン系単量体が好ましく用いられる。これらは、単独で、または一般的にはポリマーハンドブック第2版III−P139〜192(JohnWiley&Sons社製)に記載の理論ガラス転移温度(Tg)が40〜75℃を示すように単量体を適宜混合して用いられる。理論ガラス転移温度(Tg)が40℃未満の場合にはトナーの保存安定性や耐久安定性の面から問題が生じやすく、一方、75℃を超える場合はトナーの定着点の上昇をもたらす。
更に、着色粒子の機械的強度を高めるために結着樹脂の製造時に架橋剤を用いてもよい。結着樹脂の製造時に用いられる架橋剤のうち2官能の架橋剤として、ジビニルベンゼン、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート、及び上記のジアクリレートをジメタクリレートに代えたものが挙げられる。
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシ、ポリエトキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート及びトリアリルトリメリテートが挙げられる。
これらの架橋剤は、結着樹脂を構成する重合性単量体100質量部に対して、0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部が使用される。
一方、結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いる際には、アルコールとカルボン酸、もしくはカルボン酸無水物、カルボン酸エステル等を原料モノマーとして使用出来る。
具体的には、例えば、2価のアルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
また、3価以上のアルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
一方、酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸類またはその無水物、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類またはその無水物、炭素数6〜12のアルキル基で置換されたコハク酸またはその無水物、フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類またはその無水物等が挙げられる。
それらの中でも、特に、ビスフェノール誘導体をジオール成分とし、2価以上のカルボン酸若しくはその酸無水物、またはその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)を酸成分として、これらを縮重合したポリエステル樹脂が、良好な帯電特性を有するので好ましい。
結着樹脂としてスチレン−アクリル共重合体を用いる場合には、係る樹脂が耐湿性に優れることから、帯電安定性に優れるトナーを製造することが可能となる。また、ポリエステル樹脂を用いる場合には、係る樹脂が透明性に優れることから、カラー画像の色再現性に優れるトナーを製造することが可能となる。
なお、これ等の結着樹脂を組み合わせて用いることで、其々の長所を生かしつつ、欠点を補完し合うことが出来る。例えば、スチレン−アクリル共重合体とポリエステル樹脂、架橋型ポリエステル樹脂と直鎖型ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂、等の組み合わせが挙げられ、トナーに求められる諸特性を高度に満足することが可能である。
更に、本発明に係る着色粒子に含有される結着樹脂には、予め極性を有する置換基を導入しておくことにより、トナーに好ましい帯電特性を付与することが可能である。例えば、負帯電性トナーの場合には、カルボキシル基、カルボニル基、スルホ基等挙げられ、酸価が1〜30mgKOH/gの範囲となるように調製される。また、正帯電性トナーの場合には、アミノ基、アミド基等が挙げられ、アミン価が0.5〜10mgKOH/gの範囲となるように調製される。
一般に、上記のように複数の結着樹脂を組み合わせたり、極性を有する置換基が導入された結着樹脂を用いた場合、これらの結着樹脂は着色粒子内でミクロ相分離を起こす傾向にある。その為、そのような状態の着色粒子に、シリコーンオイルや低分子量シロキサンが作用すると、ミクロ相分離が緩和され、結果として、上記のような経時変化を引き起こし易くなる。
しかしながら、本発明のトナーは、前記無機微粒子中のシリコーンオイルの含有率を1.5〜25mg/gの範囲に調整し、前記無機微粒子を150℃で10分間、加熱した際に発生する低分子量シロキサンの発生量が10μg/g以下となるように制御しているので、上記のようなトナーの経時変化を未然に防止し、トナーに求められる諸特性を高度に満足しながら、トナーの画像形成装置とのマッチング性を良好に維持することが出来る。
ところで、本発明に係る着色粒子に含有される着色剤としては、カーボンブラック、ランプブラック、マグネタイト、チタンブラック、クロムイエロー、群青、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6G、カルコオイルブルー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、マラカイトグリーンレーキ、キノリンイエロー、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド184、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ソルベント・イエロー162、C.I.ピグメント・ブルー5:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等の染料及び顔料を、単独または組み合わせて用いることが出来る。
これらの着色剤は、結着樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上20質量部以下の範囲で用いる。但し、マグネタイト等を着色剤を兼ねた磁性材料として用いる場合には、結着樹脂100質量部に対して、30質量部以上120質量部以下の範囲で用いる。
更に、本発明に係る着色粒子には、加熱定着時のホットオフセットの防止(離型効果)と低温定着性の改善(迅速溶融促進効果)を目的として、ワックス成分を単独または組み合わせて用いる。ワックス成分の含有量は、特に限定しないが、通常、結着樹脂100質量部に対して、3質量部以上20質量部以下の範囲で用いる。
着色粒子に含有されるワックス成分としては、パラフィンワックス、マイクロワックス、マイクロクリスタリンワックス、キャデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、モンタンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス等が使用可能である。これらのワックス成分の中でも、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、カルナウバワックス、エステルワックス等を、単独または組み合わせて用いることが出来る。特に、差走査熱量測定(DSC)で測定される最大吸熱ピーク温度が50〜110℃の領域に吸熱ピークを呈するものが好ましく、トナーに求められる低温定着性や現像安定性等の諸特性をバランス良く実現することが可能である。
ワックス成分の最大吸熱ピークは、「ASTM D3418−82」に準じて、例えば、「DSC−50」(島津製作所社製)により測定される。標準物質にはイリジウムを用い、測定に際しては、アルミニウム製のサンプルセルを用い、室温〜180℃の測定領域を昇温速度10℃/minで昇温した時に得られるDSC曲線から最大吸熱ピークのピーク温度を求めることが出来る。尚、ワックス成分のみを測定する場合には、測定時と同一条件で昇温−降温を行って前履歴を取り除いた後に測定を開始する。また、トナー中に含まれた状態のワックス成分を測定する場合には、前履歴を取り除く操作を行わず、そのままの状態で測定を行う。
ところで、本来、ワックス成分は、加熱定着時に求められる特性が発現され、且つトナーの現像特性や機械的強度等に悪影響を及ぼさないように着色粒子中に含有される。その為、ワックス成分を結着樹脂中に微分散させた状態で存在させる必要がある。
ワックス成分が結着樹脂と相溶すると、結着樹脂は可塑化し、ワックス成分の離型効果は消失する。その結果、耐オフセット性が悪化するばかりか、着色粒子自身の機械的強度も著しく低下するので、画像形成装置とのマッチング性に新たな問題を生じる。逆に、ワックス成分の分散性が悪いと、トナーの流動性の低下を招いたり、画像形成装置とのマッチング性に問題を生じる。
一方、本発明に係る着色粒子は、適応する画像形成装置の構成や利用目的に応じて、粒径や粒度分布を調整したり、粒子形状を制御することが可能である。例えば、高品位の画像形成やトナーの使用量低減を目的とした場合、微小粒径を呈する着色粒子が好ましく適応される。
そのような微小粒径を呈する着色粒子を粉砕法で製造する場合、結着樹脂中に微分散していたワックス成分が遊離し、トナー中にワックス成分の微細遊離物(以下、「ワックス遊離物」と称す)が混在するようになる。トナー中にワックス遊離物が混在すると、画像品質の低下や画像形成装置とのマッチング性に問題を生じる。このような問題は、ポリエステル樹脂のような極性を有する置換基が導入された結着樹脂を用いた場合に発生し易い。
これに対し、微小粒径を呈する着色粒子を、ケミカル法を用いて水中で製造した場合、比較的容易にワックス遊離物の混在を防止することが出来るものの、新たに結着樹脂の原材料に起因する樹脂微粒子(以下、「樹脂微粒子」と称す)の混在を招くようになる。
上記の如き樹脂微粒子としては、例えば、スチレン−アクリル樹脂やポリエステル樹脂のサブミクロン粒子が挙げられ、水中で懸濁重合したり、乳化重合粒子を凝集させたりして製造する際に発生し、比較的親水性を帯びている。いずれの場合も結着樹脂の組成に類似した組成を呈するものの、多くの場合が、単に粒径が着色粒子よりも小さいだけではなく、結着樹脂と比較して、極性基を多く含んでいたり、Tgが低い場合が多い。その為、主に画像形成装置とのマッチング性に問題を生じる。
上記のようなワックス遊離物や樹脂微粒子に纏わる技術的課題は、トナーの製造技術や用いる原材料の改良によって解決されつつあるものの、シリコーンオイル処理無機微粉体を用いた際に発生する放置劣化に関しては、未だ解決されていない。
即ち、微小粒径を呈する着色粒子は、相対的に微粉の存在量や比表面積が増える為、着色粒子間の付着力が強くなり、必然的に前記無機微粒子の使用量が増加する傾向にある。その結果、シリコーンオイル処理無機微粉体の使用量も相対的に多くなる為、長期放置によるトナーの劣化の程度が激しくなる。
また、着色粒子に混在しているワックス遊離物や樹脂微粒子に対し、放置劣化の原因物質が作用した場合、着色粒子よりも短時間で影響を及ぼすことが可能であり、前述の如き経時変化が加速され易く、トナーの品質問題として顕在化する傾向にある。
上記のような傾向は、トナーもしくは着色粒子の重量平均粒径が7.0μm以下であって、且つ個数基準の粒径頻度分布における3μm以下の微粉の存在量が5個数%以上となった場合に顕著となる。
しかしながら、本発明のトナーは、微小粒径を呈するトナーであっても、トナー全体の平均的な組成に対する微粉部分の組成の偏りを最小化することによって、上記の如き経時変化を抑制することが出来る。
具体的には、重量平均粒径が7.0μm以下であって、且つ、個数基準の粒径頻度分布における3μm以下の微粉量が5個数%以上存在する微小粒径を有するトナーであっても、トナー全体の有機成分中に占めるワックス成分量W1(質量%)と、個数基準の粒径頻度分布における3μm以下の微粉の有機成分中に占めるワックス成分量W2(質量%)の比(W2/W1)が、0.90≦W2/W1<2.0の関係を満足するように調整することで、微小粒径を呈するトナーの経時変化を改善することが出来る。
この時、W2/W1が0.90未満の場合は、微粉中のワックス成分以外の結着樹脂等が多いことを意味し、例えば、ケミカル法により着色粒子を製造した際に、着色粒子表面に樹脂微粒子が付着しているような場合が該当する。逆に、W2/W1が2.0以上の場合は、微粉中のワックス成分が多いことを意味し、例えば、粉砕法により着色粒子を製造した際に、ワックス遊離物が発生している場合が該当する。
本発明において、着色粒子やトナーの重量平均粒径や個数基準の粒径頻度分布における3μm以下の粒子数は、例えば、精密粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)を用い、該測定装置の操作説明書に従い、ベックマン・コールター社のインターネットのホームページに記載されている「トナー粒子径分布の測定方法(http://www.beckmancoulter.co.jp/product/product03/toner/04.html)」等を参考にして測定することが出来る。
具体的な測定方法としては、懸濁液作成用ビーカーに電解液「アイソトンII−pc」(ベックマン・コールター社製)100mlを用意し、ここに分散剤としての界面活性剤(好ましくはLAS;直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩)0.1gを加えた後、測定試料(着色粒子またはトナー)5mgを加え、懸濁液とする。次いで、該懸濁液中の測定試料の分散性を高めるために、超音波バス等を用いて外部からの超音波照射処理を2分間行い、測定サンプルを調製する。アパーチャーチューブには50μmの開口径を有するものを用い、測定試料の体積及び個数を、チャンネル毎に測定して、測定試料の体積分布と個数分布を算出する。算出された分布から測定試料の重量平均粒径と個数基準の粒径頻度分布における3μm以下の微粉の粒子数を求める。
ところで、トナー全体の有機成分中に占めるワックス成分量W1(質量%)と、個数基準の粒径頻度分布における3μm以下の微粉(以下、「3μm以下の微粉」と称す)の有機成分中に占めるワックス成分量W2(質量%)の比を求める場合、先ず、全てのトナー粒子の中から3μm以下の微粉を選別回収する必要がある。選別回収方法には特段の制限はなく、風力分級法や静電捕集法を用いた小型の卓上分級装置を用い、分析に必要な質量を選別回収し、分析用微粉を調製する。この時、前記分析用微粉は、個数基準の粒径頻度分布における3μm超の粒子(3μm以下の微粉以外の粒子)の存在量が10個数%以下となるようにする。
トナー全体の有機成分中に占めるワックス成分量W1(質量%)と、3μm以下の微粉の有機成分中に占めるワックス成分量W2(質量%)の比は、トナーや3μm以下の微粉中からワックス成分を抽出したり、クロマトグラフィーを測定し、その質量比や濃度比から算出したり、上述の如きワックス成分の融点測定時に得られるDSC曲線を用い、トナー全体と3μm以下の微粉のワックス成分の溶解熱から含有量の比を求めることで算出することが出来る。
本発明に係る着色粒子には、サリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸等のカルボン酸の金属化合物;スルホン酸またはカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物;ホウ素化合物;尿素化合物;ケイ素化合物;カリークスアレーン等のネガ系荷電制御剤や、四級アンモニウム塩;該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物等のポジ系荷電制御剤を添加することにより、帯電速度や帯電量を調整することが出来る。
これらの荷電制御剤は、必要に応じて添加すれば良く、例えば、結着樹脂100質量部に対して、0.05質量部以上5質量部以下の範囲で用いることが出来る。
[その他]
本発明のトナーは、トナーのみで構成される一成分現像剤や、トナーと磁性キャリアを混合してなる二成分現像剤として、画像形成装置に用いられる。
一成分現像剤として用いる場合、着色粒子に、シリコーンオイル処理無機微粉体を構成成分として含有する無機微粒子以外の添加剤を付着及び/または固定化させることが可能であり、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、及びステアリン酸リチウムなどの金属石鹸、メタクリル酸メチル、スチレンやその他重合性モノマーを構成成分として重合されたアクリル系樹脂、スチレン系樹脂、及びポリフッ化ビニリデンやポリテトラフロロエチレンなどのフッ素系樹脂を構成成分とした樹脂微粒子等を、経時変化に影響を及ぼさないように適用することが出来る。
一方、二成分現像剤として用いる場合、上記磁性キャリアには、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、クロムから選択される元素を含有するフェライトを芯材とし、上記芯材の表面に、アクリル樹脂、メタクリル樹脂またはスチレン−アクリル樹脂から選択される樹脂材料にカーボンブラック等の導電材料を分散させた樹脂被覆層を被覆した、所謂、樹脂被覆キャリアが好ましく用いられる。この時、トナーと磁性キャリアの混合には、例えば、V型混合機、ナウターミキサーに代表される円錐スクリュー型の混合機が用いられる。トナーとキャリアの混合比は、適用する画像形成装置によって異なるが、磁性キャリア100質量部に対して、トナーを3〜15質量部の範囲で混合する。
<画像形成方法について>
次いで、本発明の画像形成方法を説明する。
本発明の画像形成方法は、少なくとも(a)帯電部材に電圧を印加して静電潜像担持体に帯電を行う帯電工程;(b)前記帯電工程で帯電された静電潜像担持体に静電潜像を形成する潜像形成工程;(c)前記静電潜像を、現像装置が有しているトナーによって現像し、前記静電潜像担持体の表面にトナー像を形成する現像工程;(d)前記静電潜像担持体の表面に形成されたトナー像を、中間転写体を介して、または、介さずに被転写体に転写する転写工程;及び(e)転写工程後に前記静電潜像担持体の表面上に残存している転写残余のトナーをクリーニング部材によって除去するクリーニング工程を有する画像形成方法でおいて、
前記トナーは、結着樹脂と着色剤とワックス成分とを少なくとも含む着色粒子と、シリコーンオイル処理無機微粉体を構成成分として含有する無機微粒子を含むトナーであって、前記トナーは、前記着色粒子の表面に、前記無機微粒子を付着及び/または固定化してなり、前記無機微粒子中のシリコーンオイルの含有率が1.5mg/g以上25mg/g以下であり、且つ、前記無機微粒子を150℃で10分間、加熱した際に発生する低分子量シロキサンの発生量が10μg/g以下であることを特徴とする。
図1は、本発明の画像形成方法に用いる電子写真装置100の模式図である。電子写真装置100は、像露光手段として半導体レーザ(像露光装置)10を備える。制御回路11により画像情報によって信号変調されたレーザ光は、放出後に補正光学系12を介して平行化され、回転多面鏡13により反射されて走査運動を行う。レーザ光は、f−θレンズ14により、電子写真感光体20の表面上に集光されて画像情報の露光を行う。電子写真感光体(静電潜像担持体)20は、あらかじめ帯電手段(帯電部材)である帯電装置30により帯電されているので、この露光によって表面に静電潜像が形成される。次いで、現像手段である現像装置40により、電子写真感光体20上に形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成することで可視画像化が行われる。この可視画像は、転写手段である転写装置50により紙のような被転写体55に転写され、定着手段である定着装置60で定着されてプリント物として提供される。電子写真感光体20は、転写工程後に表面に残存するトナーやトナーの成分をクリーニング手段(クリーニング部材)であるクリーニング装置70により除去して反復して使用される。
以下、画像形成装置における静電潜像担持体、帯電手段、像露光手段、現像手段、転写手段、定着手段、クリーニング手段について説明する。
[静電潜像担持体]
静電潜像担持体は、少なくとも静電潜像(静電荷像)が形成される機能を有する。静電潜像担持体としては、電子写真感光体が好適に挙げられ、有機感光体、セレン感光体、アモルファスシリコン感光体等がある。有機感光体には、円筒状の導電性の基体外周面に、下地となる下引き層、電荷発生材料を含む電荷発生層、電荷輸送材料を含む電荷輸送層等を積層させた「積層型」と、前記下引き層と電荷発生・電荷輸送層からなる「単層型」がある。近年、有機感光体は、製造の容易さから、静電潜像担持体として広く用いられている。
図1に示すドラム状の電子写真感光体20(以下、「感光体ドラム」と称す)は、静電潜像担持体の一例であって、軸を中心に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体20は、回転過程において、後述する帯電手段により、その周面に正または負の所定電位の帯電を受ける。ここでは感光体ドラムを説明したが、シート状またはベルト状の電子写真感光体を用いることも出来る。
ところで、感光体ドラムの表面層には、帯電や転写、並びにトナー付着やそのクリーニング処理等によって、様々な電気的ストレスや機械的ストレスが加わる。特に、感光体ドラムに有機感光体を用いた場合(以下、「有機感光体ドラム」と称す)、有機感光体ドラムの表面層にそれらのストレスが加わると、磨滅や摺擦傷等が発生し、画質や寿命の低下につながる。近年では、プリントアウトの高速化や画像形成装置の小型化に伴う感光体ドラムの小径化/高曲率化に伴い、上記の如き問題点は一層深刻なものとなっており、有機感光体ドラムの表面を長期に亘って良好に維持する必要性が増している。上記のような問題は、外径40mm以下の有機感光体ドラムを画像形成速度180m/s以上の条件で使用した場合、一層顕著となる。
しかしながら、本発明の画像形成方法においては、画像形成プロセスの進行に伴って、本発明のトナー中から静電潜像担持体の表面にシリコーンオイルを供給し、前記静電潜像担持体の表面にシリコーンオイルの薄膜を形成することが出来る。これにより、上記の如き様々なストレスから有機感光体ドラムの表面を保護することが出来るので、長期に亘って、良好な画像を形成し続けることが出来る。
[帯電手段]
帯電手段には、導電性または半導電性の帯電ローラや帯電ブラシなどの帯電部材を静電潜像担持体の表面に接触させて電荷を与える接触式の帯電装置、または、非接触方式の帯電ローラ、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等の非接触式の帯電装置を用いることが出来る。なお、前記帯電ローラは、単層構造であってもよく、多重構造であってもよい。また、前記帯電ローラの表面をクリーニングする機構を更に設けてもよい。
図1に示す帯電装置30に、接触式の帯電装置として帯電ローラを用いた場合、前記帯電ローラは、静電潜像担持体である感光体ドラム20の表面に押圧され、感光体ドラムに従動するように回転可能に設けられる。そして、前記帯電ローラには、高圧電源装置(不図示)によって、直流電圧もしくは直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧が印加される。これによって、帯電ローラと電子写真感光体20との接触部近傍の微小空間には放電が発生し、電子写真感光体20の表面が帯電する。この時、電子写真感光体20が有機感光体ドラムであった場合、接触する帯電ローラから受ける電気的ストレスや機械的ストレスによって、有機感光体ドラムの表面の磨滅状態は加速する。
しかしながら、本発明の画像形成方法においては、画像形成プロセスの進行に伴って、本発明のトナー中から静電潜像担持体の表面にシリコーンオイルを供給し、前記静電潜像担持体の表面にシリコーンオイルの薄膜を形成することが出来る。これにより、上記の如き様々なストレスから有機感光体ドラムの表面を保護することが出来るので、長期に亘って、良好な画像を形成し続けることが出来る。特に、帯電ローラに直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧が印加される場合、シリコーンオイルが有機感光体ドラムの表面に、迅速且つ均一に塗膜されていくので、特に好ましい。
[像露光手段]
像露光手段である像露光装置としては、特に制限はなく、例えば、静電潜像担持体表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光源を、所望の像様に露光出来る光学系機器等が挙げられる。
例えば、図1のように、像露光装置としてレーザビーム光を用いたデジタル式電子写真複写機の場合、電子写真感光体20の表面は、帯電装置30により負電荷を付与され、レーザビーム光によりドット状にデジタル潜像が形成され、レーザビーム光の当たった部分に現像部によりトナーが付与され可視像化される。
[現像手段]
現像手段である現像装置40は、少なくとも、現像剤担持体(例えば、現像ローラ)と、現像剤(トナー)及び現像剤規制部材を有し、必要に応じて、現像剤担持体に現像剤を供給するための現像剤供給部材や撹拌搬送部材とを有する。現像剤担持体は、電子写真感光体の周面上に形成された静電潜像に対して現像剤を供給するものであり、例えば、非磁性の金属や高分子材料からなる円柱状または筒状部材である。現像剤担持体は、電子写真感光体と対向して回転可能に設置され、現像バイアスを印加する現像バイアス印加部が設けられている。
また、現像剤担持体と電子写真感光体とが対向する位置を基準として現像剤担持体の回転方向上流側には、現像剤規制部材が設けられている。現像剤規制部材は、現像剤担持体の周面上に担持した現像剤の層厚に均す部材であって、例えば、金属製のブレードから構成することが出来る。
現像剤が非磁性一成分トナーである場合には、撹拌搬送部材等により搬送された現像剤が、直接及び/または現像剤供給部材によって現像剤担持体の表面に供給される。現像剤担持体と電子写真感光体との間には、所定の現像バイアスが印加され、現像剤担持体上の現像剤は、静電潜像に応じて電子写真感光体上に飛翔し、トナー像(可視像)となる。この時、本発明のトナーは、シリコーンオイル処理無機微粉体を含有しているので、電子写真感光体表面には継続的にシリコーンオイルが供給され、シリコーンオイルの薄膜が形成される。
[転写手段]
転写手段である転写装置としては、例えば、被転写体の裏側からトナーとは逆極性の電荷を被転写体に与え、静電気力によりトナー像を被転写体に転写するもの、または、被転写体の表面に被転写体を介して直接接触して転写する導電性または半導電性のローラ等を用いた転写ローラ及び転写ローラ押圧装置を用いることが出来る。
転写ローラに付与する転写電流としては、直流を印加してもよいし、交流を重畳させて印加してもよい。転写ローラは、帯電すべき画像領域幅、転写帯電器の形状、開口幅、プロセススピード等により、任意に設定することが出来る。また、低コスト化のため、転写ローラとして単層の発泡ローラ等が好適に用いられる。
転写方式としては、紙等の転写材(被転写体)に直接転写する方式でも、中間転写体を介して被転写体に転写する方式でもよい。
中間転写体としては、公知の中間転写体を用いることが出来る。中間転写体に用いられる材料としては、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアルキレンフタレート、PC/ポリアルキレンテレフタレート(PAT)のブレンド材料、エチレンテトラフロロエチレン共重合体(ETFE)/PC、ETFE/PAT、PC/PATのブレンド材料等が挙げられるが、機械的強度の観点から熱硬化ポリイミド樹脂を用いた中間転写ベルトが好ましい。
[定着手段]
定着手段である定着装置60としては、被転写体55に転写されたトナー像を加熱及び/または加圧により定着するものであり、ローラ状やベルト状の定着部材を備えるものである。
[クリーニング手段]
必要に応じて、転写工程の後に静電潜像担持体や中間転写体等の表面に残存したトナー等の残存物を除去または回収するクリーニング手段であるクリーニング装置を更に備えていてもよい。尚、接触現像方式を用いる場合には、現像バイアス電位の印加条件を適当に設定することにより、トナー等の残存物を現像装置内に回収する手段を用いることも可能である。
ところで、図1のクリーニング装置70には、ブレード型、ブラシ型及びローラ型等の接触部材を用いることが可能であり、感光体ドラム表面に残留したトナーや紙粉、並びに、帯電工程によって生じる親水性物質等を除去する。特に、近年では、有機感光体ドラムの表面にウレタン系ゴムの弾性ブレードを当接させるクリーニング方法が広く用いられている。
有機感光体ドラム表面を弾性ブレードでクリーニングする場合、弾性ブレードを強く当接させると摩擦抵抗が大きくなり、弾性ブレードの反転や微小震動による異音の発生といった不具合を生じる。また、使用中に徐々に弾性ブレード自身がダメージを受け、トナー等の残存物が弾性ブレードをすり抜けるなどして、画像欠陥等の原因となる。
本発明の画像形成方法では、クリーニング部材として弾性ブレードを用いた場合、転写残余のトナーを回収する際に、本発明のトナー中から供給されるシリコーンオイルを、静電潜像担持体の表面に均一に塗布することが出来るので、有機感光体ドラム表面とクリーニング部材に加わるストレスを軽減すると共に、両者の当接状態を長期に亘って良好な状態に保つことが可能となる。即ち、トナーの構成成分である無機微粒子中のシリコーンオイルの含有率を1.5mg/g以上25mg/g以下とすることで、有機感光体ドラム表面とクリーニング部材の当接状態を好ましい状態にすることが出来る。無機微粒子中のシリコーンオイルの含有率が1.5mg/g未満の場合、シリコーンオイルの添加効果が発揮されないだけか、無機微粉体による感光体ドラム表面に摺擦傷等を生じる。また、無機微粒子中のシリコーンオイルの含有率が25mg/gを超える場合、トナーの現像性に悪影響を及ぼす。
ところで、従来のシリコーンオイル処理無機微粉体を含むトナーは、製造直後や頻繁に使用している場合には、上記の如き優れた性能を発揮することが可能であるが、長期間に亘って静置しておいた場合、経時変化を引き起こす。即ち、未使用の期間が長期化したり、使用間隔が長くなった場合には、トナー中の着色粒子が経時変化により可塑化を引き起こしているので、クリーニングブレード等によってクリーニングを試みると、感光体ドラムの表面にトナーの固着やフィルミングを引き起こす。
しかしながら、本発明の画像形成方法では、トナーの構成成分である無機微粒子から発生する低分子量シロキサン等の発生量を10μg/g以下に調整しているので、上記の如き問題を未然に防ぐことが可能である。低分子量シロキサンの発生量が10μg/gを超えるとトナーの経時劣化による画像不良やフィルミング等の重大な品質問題を生じる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定され
るものではない。
<シリコーンオイル処理無機微粉体の製造例>
[シリコーンオイル処理無機微粉体の製造例1]
乾式法で製造されたシリカ微粉末母体(比表面積50m/g)100質量部を撹拌機に投入し、撹拌しながら、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(以下、γ−APSと略す)2質量部、ヘキサメチルジシラザン(以下、HMDSと略す)2質量部及びヘキサン5質量部からなる混合溶液を噴霧し、混合処理を行った後、撹拌を継続しながら、120℃迄昇温し、溶剤を除去して乾燥させ、シラン処理物とした。
次いで、アミノ変性シリコーンオイル(アミン当量=1,900g/mol、25℃における粘度=250mm/s)25質量%を含有するジメチルシリコーンオイル(25℃における粘度=3,000mm/s)4質量部をヘキサン10質量部に希釈した混合溶液を前記シラン処理物100質量部に撹拌しながら噴霧し、混合処理を行った後、撹拌を継続しながら、120℃迄昇温し、溶剤を除去して乾燥させ、シリコーンオイル処理物とした。
更に、得られたシリコーンオイル処理物を120℃の熱風中で6時間、流動させながら加熱処理(キュア処理)を施した後、解砕処理をして「シリコーンオイル処理無機微粉体−1」を得た。
得られた「シリコーンオイル処理無機微粉体−1」を150℃で10分間、加熱した際に発生した揮発成分を捕集し、熱分解GC−MSを用いて分析を行ったところ、図2(a)に示すクロマトグラムを得た。図2(a)中、横軸は溶出時間(分)であり、縦軸は検出信号の強度である。
前記クロマトグラムを定法により定性分析したところ、経時変化の発生予測の指標として用いられる低分子量シロキサンに該当する成分として、ピークP1〜P8に対応する成分が選別された。なお、低分子量アミンは検出されなかった。
前記ピークP1〜P8に対応する成分の定性結果と、トルエン換算による定量結果は、図2(b)の通りで、「シリコーンオイル処理無機微粉体−1」から検出された低分子量シロキサンの発生量は11.2μg/gで、低分子量アミンの発生量は0μg/gであった。
上記「シリコーンオイル処理無機微粉体−1」の内容を、以下の表1にまとめて示す。
[シリコーンオイル処理無機微粉体の製造例2〜9]
用いるシリカ微粉末母体、γ−APS量、HMDS量、シリコーンオイルの内容及び硬化処理の条件を変更する以外は、前記「シリコーンオイル処理無機微粉体の製造例1」と同様にして、「シリコーンオイル処理無機微粉体−2〜9」を得た。
[比較用無機微粉体の製造例]
用いるγ−APS量やHMDS量を増量する以外は、前記「シリコーンオイル処理無機微粉体の製造例2〜9」と同様にしてシラン処理物を得た後、シリコーンオイルを混合しないまま、100℃の熱風中で3時間流動させて硬化処理を施した後、解砕処理をして「比較用無機微粉体」を得た。
前記「シリコーンオイル処理無機微粉体の製造例2〜9」及び「比較用無機微粉体の製造例」で得られた「シリコーンオイル処理無機微粉体−2〜9」及び「比較用無機微粉体」の内容を、以下の表1にまとめて示す。
Figure 2018072670
また、分析結果の一例として、「シリコーンオイル処理無機微粉体−7」を150℃で10分間、加熱した際に発生した揮発成分のクロマトグラムを図3(a)に示す。図3(a)中、縦軸は検出強度であり、横軸は溶出時間(分)である。
低分子量シロキサン成分に該当する成分として、ピークP3、P6、P8及びP10〜14が選別され、同様に、低分子量アミン成分に該当する成分として、ピークP1、P2、P4、P5、P7及びP9が選別された。
前記ピークP1〜P14の成分の定性結果と、トルエン換算による定量結果は、図3(b)の通りで、「シリコーンオイル処理無機微粉体−7」から検出された低分子量シロキサン成分の発生量は26.1μg/gで、低分子量アミン成分の発生量は21.9μg/gであった。
〈現像剤の製造例〉
[着色粒子の製造例1]
下記成分を乾式混合した後、二軸混練機で混練した。
・ポリエステル樹脂A 60質量部
「BPA−PO/BPA−EO/TPA」の反応物
(Tg=60℃、酸価=3mgKOH/g)
・ポリエステル樹脂B 40質量部
「BPA−PO/BPA−EO/TPA/DSA/TMAN」の反応物
(Tg=70℃、酸価=25mgKOH/g)
・カーボンブラック(平均粒径=35nm) 5質量部
・負帯電性荷電制御剤 3質量部
(ボントロン E−108、オリエント化学工業社製)
・炭化水素系ワックス 5質量部
(HNP−10、mp=75℃、日本精蝋社製)
得られた混練物を冷却し、大凡1mm以下に粗粉砕した後、更に機械式粉砕機を用いて微粉砕し、得られた微粉砕物を分級して、「着色粒子−1」を得た。
得られた「着色粒子−1」の重量平均粒径は5.3μmであった。また、「着色粒子−1」を光学顕微鏡で偏光観察したところ、炭化水素系ワックスの微細遊離物の存在を確認することが出来た。
[着色粒子の製造例2及び3]
前記ポリエステル樹脂Aと前記ポリエステル樹脂Bの添加量を変更すると共に、二軸混練機と機械式粉砕機の運転条件及び分級条件を調整する以外は、前記「着色粒子の製造例1」と同様にして、「着色粒子−2及び3」を得た。
得られた「着色粒子−2」の重量平均粒径は5.3μmであり、「着色粒子−3」の重量平均粒径は4.5μmであった。また、「着色粒子の製造例1」と同様に、「着色粒子−2及び3」を光学顕微鏡で偏光観察したところ、炭化水素系ワックスの微細遊離物の存在を確認することが出来た。「着色粒子−1〜3」の中に確認された炭化水素系ワックスの微細遊離物の存在量を比較したところ、最も少なかったのは「着色粒子−1」で、最も多かったのは「着色粒子−3」であった。
[着色粒子の製造例4]
下記成分を予備混合した後、メディア分散機を用いて顔料分散液を調製した。
・スチレン 30質量部
・カーボンブラック(上記「着色粒子の製造例1」と同じ) 5質量部
・負帯電性荷電制御剤(上記「着色粒子の製造例1」と同じ) 1質量部
一方、下記成分を予備混合し、樹脂分散液を調製した。
・ポリエステル樹脂A(上記「着色粒子の製造例1」と同じ) 5質量部
・カルボキシル基を側鎖に有するスチレン系樹脂 15質量部
「St/MMA/MA」の反応物
(Tg=90℃、酸価=15mgKOH/g)
・スチレン 40質量部
・n−ブチルアクリレート 30質量部
・ジビニルベンゼン 0.05質量部
次いで、前記顔料分散液と前記樹脂分散液を混合し、60℃に加温した後、撹拌しながら、炭化水素系ワックス(上記「着色粒子の製造例1」と同じ)10質量部と重合開始剤(V−65、和光純薬工業)7.5質量部を添加した。これを、事前に分散剤が調製された60℃の水中に投入し、ホモジナイザーを用いて高速剪断撹拌を行い、懸濁液とした。その後、ホモジナイザーを撹拌装置に換え、穏やかに撹拌しながら、60℃のまま5時間反応を継続した後、80℃に昇温して、更に5時間反応を継続し、反応を完了させた。
反応終了後、懸濁液を室温まで冷却し、前記懸濁液中から懸濁粒子を濾別し、それを洗浄・乾燥した後、得られた懸濁粒子を分級して「着色粒子−4」を得た。
得られた「着色粒子−4」の重量平均粒径は、6.5μmであった。また、「着色粒子−1」と同様に、光学顕微鏡で偏光観察を行ったが、炭化水素系ワックスの微細遊離物の存在は確認されなかった。更に、「着色粒子−4」を電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM)で観察したところ、非常に良好な球状粒子を呈していた。
[着色粒子の製造例5]
分散剤の調製濃度やホモジナイザーの運転条件や分級条件を調整する以外は、前記[着色粒子の製造例4]と同様にして、「着色粒子−5」を得た。
得られた「着色粒子−5」の重量平均粒径は、7.2μmであった。また、炭化水素系ワックスの微細遊離物の存在は確認されなかった。更に、「着色粒子−5」をFE−SEMで観察したところ、「着色粒子−5」の表面には、粒径が1μm以下の微粒子が多数付着していることを確認することが出来た。前記微粒子の成分分析を行ったところ、主成分はスチレン−n−ブチルアクリレート樹脂であった。
[二成分現像剤の製造例1]
下記の成分を乾式混合装置中に投入して、低回転速度で予備混合を行った後、更に高回転速度で4分間の乾式混合を行った。
・前記着色粒子−1 100質量部
・疎水化処理シリカ微粉体(平均一次粒径=100nm) 0.5質量部
・疎水化処理チタニア微粉体(平均一次粒径=20nm) 1.0質量部
更に、下記の成分を追加投入し、高回転速度で4分間の乾式混合を行った。
・前記シリコーンオイル処理無機微粉体−1 0.5質量部
・HMDS処理シリカ微粉体(平均一次粒径=15nm) 1.0質量部
乾式混合の後、篩掛けにより粗大粒子を除去し、ブラック色の「トナー−1」を得た。
更に、「トナー−1」を、カーボンブラックを分散した樹脂成分で被覆された磁性キャリアと混合し、「二成分現像剤−1」とした。
尚、得られた「トナー−1」をFE−SEMで観察したところ、「着色粒子−1」の表面には、乾式混合された上記無機微粉体が粒子状に均一に付着及び/または固定化されており、無機微粒子(疎水化処理シリカ微粉体、疎水化処理チタニア微粉体、シリコーンオイル処理無機微粉体−1、及びHMDS処理シリカ微粉体)の総量は、「着色粒子−1」(100質量部)に対して、3.0質量部であった。
また、前記無機微粒子は、シリコーンオイルを6.4mg/g含有しており、150℃で10分間、加熱した際に発生する低分子量シロキサンの発生量は1.9μg/gで、低分子量アミン成分の発生量は0μg/gであった。
更に、「トナー−1」の粒度分布を計測したところ、重量平均粒径が5.3μmで、個数基準の粒径頻度分布における3μm以下の微粉の存在量が22個数%であった。
また、「トナー−1」の有機成分中に占めるワックス成分量W1と、前記3μm以下の微粉の有機成分中に占めるワックス成分量W2の比(W2/W1)を求めたところ、1.2であった。尚、3μm以下の微粉の選別回収には、アンダ効果を利用した多分割分級装置(日鉄鉱業社製エルボジェット分級機)を用いた。
前記「トナー−1」及び「二成分現像剤−1」の内容を、以下の表2と表3にまとめて示す。
[二成分現像剤の製造例2〜8]
「着色粒子−1」と「シリコーンオイル処理無機微粉体−1」に代えて、「着色粒子−2または3」と「シリコーンオイル処理無機微粉体−1〜7」を、適宜組み合わせて製造した以外は、前記「二成分現像剤の製造例1」と同様にして、「トナー2〜8」並びに「二成分現像剤−2〜8」を得た。
[二成分現像剤の製造例9]
「着色粒子−1」と「シリコーンオイル処理無機微粉体−1」(0.5質量部)に代えて、「着色粒子−3」と「シリコーンオイル処理無機微粉体−8」(0.25質量部)を用いた以外は、前記「二成分現像剤の製造例1」と同様にして、「トナー9」並びに「二成分現像剤−9」を得た。
[二成分現像剤の製造例10]
「着色粒子−1」、「シリコーンオイル処理無機微粉体−1」及び「HMDS処理シリカ微粉体」に代えて、「着色粒子−3」と「シリコーンオイル処理無機微粉体−9」(1.5質量部)を用いた以外は、前記「二成分現像剤の製造例1」と同様にして、「トナー10」と「二成分現像剤−10」を得た。
[二成分現像剤の製造例11]
「着色粒子−1」と「シリコーンオイル処理無機微粉体−1」に代えて、「着色粒子−4」と「シリコーンオイル処理無機微粉体−2」を用いると共に、「疎水化処理シリカ微粉体」の添加量を1.0質量部に変更した以外は、前記「二成分現像剤の製造例1」と同様にして、「トナー11」及び「二成分現像剤−11」を得た。
[二成分現像剤の製造例12]
「シリコーンオイル処理無機微粉体−2」(0.5質量部)に代えて、「シリコーンオイル処理無機微粉体−8」(0.3質量部)を用いる以外は、前記「二成分現像剤の製造例11」と同様にして、「トナー12」及び「二成分現像剤−12」を得た。
[二成分現像剤の製造例13]
「シリコーンオイル処理無機微粉体−2」(0.5質量部)に代えて、「シリコーンオイル処理無機微粉体−9」(0.7質量部)を用いる以外は、前記「二成分現像剤の製造例11」と同様にして、「トナー13」及び「二成分現像剤−13」を得た。
[比較用二成分現像剤の製造例1]
「着色粒子−1」と「シリコーンオイル処理無機微粉体−1」に代えて、「着色粒子−2」と「比較用無機微粉体」を用いた以外は、前記「二成分現像剤の製造例1」と同様にして、「比較用トナー1」と「比較用二成分現像剤−1」を得た。
[比較用二成分現像剤の製造例2]
「着色粒子−1」と「シリコーンオイル処理無機微粉体−1」に代えて、「着色粒子−2」と「シリコーンオイル処理無機微粉体−8」を用いた以外は、前記「二成分現像剤の製造例1」と同様にして、「比較用トナー2」及び「比較用二成分現像剤−2」を得た。
前記「二成分現像剤の製造例2〜13」並びに「比較用二成分現像剤の製造例1、2」で得られた「トナー2〜13」と「比較用トナー1、2」並びに「二成分現像剤−2〜13」と「比較用二成分現像剤−1、2」の内容を、以下の表2と表3にまとめて示す。
Figure 2018072670
Figure 2018072670
<実施例1>
画像形成装置として、モノクロ多機能プリンタである「SL−K7400LX」(サムスン電子社製、画像形成速度=187mm/s)を用いた。前記画像形成装置のイメージングユニットには、有機感光体ドラム(直径=30mm)と当接するように、ブレードクリーニングと帯電ローラが具備されている。
前記画像形成装置の現像ユニットに、「二成分現像剤の製造例1」で得られた「二成分現像剤−1」を投入し、現像条件を再調整した後、「トナー−1」を逐次補給しながら、100,000枚分のテキスト画像(印字比率;5%)をプリントアウトする試験(耐久性試験)を行った。
プリントアウト試験の試験環境は、評価項目に応じて、常温常湿(23℃/55%Rh)、低温低湿(15℃/10%Rh)、及び高温高湿(32℃/80%Rh)の各試験環境の中から選択され、転写材には、富士ゼロックス社製「フルカラー複写機用紙C2」(70g/cm、A4サイズ)を用い、得られたプリントアウト画像の画質評価と画像形成装置とのマッチング性評価を実施した。
以下に、評価テストの評価項目及び評価基準を示す。
[プリントアウト画像の画質評価]
[1.画像濃度]
常温常湿、低温低湿、及び高温高湿の各試験環境においてプリントアウト試験を実施し、その際、一辺5mmの正方形のソリッドパッチを四隅付近と中央部分に有する画像を1,000枚間隔でプリントアウトし、得られた画像のソリッドパッチの反射濃度を分光光度計スペクトロアイ(グレタグマクベス社製)で計測後、平均値を算出し、以下の基準に従って評価した。
A:1.30以上 (非常に良好である)
B:1.15以上1.30未満 (良好である)
C:1.00以上1.15未満 (本発明において許容レベルである)
D:1.00未満 (本発明において不可レベルである)
[2.小径ドットの再現性]
常温常湿下において、潜像電界によって電界が閉じ易く、再現しにくい小径(60μm)の孤立ドットパターンの画像をプリントアウトし、得られたドットの再現性を、以下の基準に従い評価した。
A:100個中の欠損が2個以下 (非常に良好である)
B:100個中の欠損が3以上5個以下 (良好である)
C:100個中の欠損が6以上10個以下(本発明において許容レベルである)
D:100個中の欠損が11個以上(本発明において不可レベルである)
[3.非画像部分(印刷背景)のトナー汚れ]
低温低湿下において、ベタ白画像形成時、現像工程後から転写工程に移行する間に感光体ドラム上に存在するトナーをメンディングテープ(住友3M社製)の粘着面に移し取り、それを紙上に貼ったものの反射濃度を分光光度計スペクトロアイ(グレタグマクベス社製)で計測し、得られた反射濃度からメンディングテープをそのまま紙上に貼った時の反射濃度(ブランク)を差し引いた数値を求め、以下の基準に従って評価した。数値が小さい程、非画像部分のトナー汚れが抑制されていることを示す。
A:0.03未満 (非常に良好である)
B:0.03以上0.07未満 (良好である)
C:0.07以上1.00未満 (本発明において許容レベルである)
D:1.00以上 (本発明において不可レベルである)
[4.非画像部分(印刷背景)のブラックスポット(黒点)]
高温高湿下において、ベタ白画像形成時、紙上に発生したブラックスポット(黒点)の個数を数え、以下の基準に従って評価した。
A:未発生 (非常に良好である)
B:1箇所以上3箇所未満 (良好である)
C:3箇所以上7箇所未満 (本発明において許容レベルである)
D:7箇所以上10箇所未満 (悪化傾向にあるが許容レベルである)
E:10箇所以上 (本発明において不可レベルである)
[画像形成装置とのマッチング性評価]
[1.感光体ドラムの表面状態]
プリントアウト試験終了後、感光体ドラム表面の状態を顕微鏡下で観察し、以下の基準に従って評価した。
A:平滑に削れていて、摺擦傷が非常に少ない
(非常に良好である)
B:軽微な摺擦傷を生じている
(良好である)
C:辛うじて目視で確認出来る程度の摺擦傷を生じている
(本発明において許容レベルである)
D:目視でも確認出来る大きな摺擦傷を多数生じている
(本発明において不可レベルである)
[2.感光体ドラム表面のフィルミング]
プリントアウト試験終了後、感光体ドラム表面の状態を顕微鏡下で観察し、以下の基準に従って評価した。
A:未発生 (非常に良好である)
B:非常に軽微なフィルミングが発生 (良好である)
C:筋状に成長したフィルミングが確認出来るが、画像への影響はない
(本発明において許容レベルである)
D:画像不良を発生させる程度にフィルミングが成長
(本発明において不可レベルである)
プリントアウト試験終了後、得られたプリントアウト画像を、上記に従って評価したところ、画像濃度や小径ドットの再現性に優れ、非画像部分のトナー汚れやブラックスポットの発生も未然に防止されていた。
また、感光体ドラムの表面は平滑に削れており、摺擦傷も非常に少なく、フィルミングの発生も防止されていた。
即ち、帯電付与が困難である微小粒径のトナーであっても、トナー中にアミノ変性シリコーンオイル処理を施したシリコーンオイル処理無機微粉体を含有しているので、現像剤に好ましい負帯電性を付与することが可能となった。その結果、長期にわたって、あらゆる使用条件での現像特性が格段に改善され、非常に良好な画質を呈するプリントアウト画像を得ることが出来る。
また、トナー中のシリコーンオイル処理無機微粉体は、感光体ドラムの表面にシリコーンオイル皮膜を迅速且つ継続的に形成し、トナー等の固着や汚染を防止しつつ、感光体ドラム表面の磨滅や摺擦傷の発生を軽減し、感光体ドラムの性能維持や長寿命化にも寄与することが出来る。
更に、別途準備した「二成分現像剤−1」と「トナー−1」をそれぞれのポリカップ中に量り取り、これをポリカップごとポリ袋内に収め、密封した状態で50℃に設定したオーブン中に10日間放置し、上記現像剤とトナーの経時変化を加速させた。
放置後の「二成分現像剤−1」と「トナー−1」を用いて、上記と同様の手順でプリントアウト試験を実施し、得られたプリントアウト画像の画質や画像形成装置とのマッチング性を評価した。
その結果、現像剤やトナーの経時変化による画質や画像形成装置とのマッチング性の悪化は確認されず、当初の性能が維持されていた。
即ち、トナー中にシリコーンオイル処理無機微粉体を存在させ、トナー中のシリコーンオイル量を好ましい範囲に制御すると共に、前記シリコーンオイルに起因する低分子量シロキサン成分や低分子量アミン成分の揮発量を所定量以下に抑制することにより、着色粒子に対すケミカルアタックを防止することが可能となり、特に、トナー中の微粉の可塑化に伴う固着や帯電特性の変動に起因する現像剤の経時変化を未然に防ぐことが出来る。
これらの結果を、以下の表4にまとめて示す。
<実施例2〜13>
「二成分現像剤−1」と「トナー−1」に代え、前記「二成分現像剤の製造例2〜13」で得られた「二成分現像剤−2〜13」と「トナー−2〜13」を用いる以外は、「実施例1」と同様にプリントアウト試験を実施し、得られたプリントアウト画像の画質や画像形成装置とのマッチング性を評価したところ、概ね良好な結果を得た。
これらの結果を、以下の表4にまとめて示す。
<比較例1>
「二成分現像剤−1」と「トナー−1」に代え、前記「比較用二成分現像剤の製造例1」で得られた「比較用二成分現像剤−1」と「比較用トナー1」を用いる以外は、「実施例1」と同様にプリントアウト試験を実施し、得られたプリントアウト画像の画質や画像形成装置とのマッチング性を評価した。
その結果、トナー中にシリコーンオイル処理無機微粉体が存在しないため、現像剤に好ましい負帯電性を付与することが出来ず、画像濃度や小径ドットの再現性等が悪化した。特に、高温高湿下での画像濃度の低下や低温低湿下での非画像部分のトナー汚れが著しく悪化した。しかしながら、二成分現像剤やトナーの経時変化による画質への影響は軽微であった。
一方、感光体ドラムの表面には、目視でも確認出来るほどの大きな摺擦傷を多数生じ、フィルミングを生じていた。その中の幾つかは、画像上に縦スジ状の画像欠陥として現れた。トナー中にシリコーンオイル処理無機微粉体が存在しないため、感光体ドラムの表面にシリコーンオイル皮膜が形成されず、保護効果が得られなかったのである。
このような試験結果であったため、放置後の「比較用二成分現像剤−1」と「比較用トナー−1」による画像形成装置とのマッチング性評価は中止した。
これらの結果を、以下の表4にまとめて示す。
<比較例2>
「二成分現像剤−1」と「トナー−1」に代え、前記「比較用二成分現像剤の製造例1」で得られた「比較用二成分現像剤−2」と「比較用トナー2」を用いる以外は、「実施例1」と同様にプリントアウト試験を実施し、得られたプリントアウト画像の画質や画像形成装置とのマッチング性を評価した。
その結果、トナー中にシリコーンオイル処理無機微粉体を含有しているため、感光体ドラム表面の摺擦状態やフィルミングに対しては良好なレベルであったが、所定量以上のシリコーンオイルや低分子量シロキサンを含有しているため、帯電付与性に問題を生じており、画像濃度、小径ドットの再現性及び非画像部分のトナー汚れは、許容出来る限界レベルにまで悪化していた。
その後、放置後の「比較用二成分現像剤−2」と「比較用トナー−2」を用いて、同様のプリントアウト試験を行ったところ、著しい画像欠陥や画像形成装置との深刻なマッチング不良を生じた。即ち、「比較用二成分現像剤−2」と「比較用トナー−2」には、所定量以上のシリコーンオイルや低分子量シロキサンが存在するため、現像剤とトナーが経時変化した。特に、トナー中に存在する3μm以下の微粉の経時変化が著しく、その中でも、前記微粉中に混在する炭化水素系ワックスの微細遊離物が起点となって、ブラックスポットやフィルミングの発生を助長していることが確認された。また、クリーニングブレードや帯電ローラの状態を観察したところ、トナー微粉の固着も発生していた。
これらの結果を、以下の表4にまとめて示す。
Figure 2018072670
10…半導体レーザ(露光手段)
11…制御回路
12…補正光学系
13…回転多面鏡
14…f−θレンズ
20…電子写真感光体
30…帯電装置(帯電手段)
40…現像装置(現像手段)
50…転写装置(転写手段)
55…被転写体
60…定着装置(定着手段)
70…クリーニング装置(クリーニング手段)
100…電子写真装置

Claims (10)

  1. 結着樹脂と着色剤とワックス成分とを少なくとも含む着色粒子と、シリコーンオイル処理無機微粉体を構成成分として含有する無機微粒子を含む静電荷像現像用トナーにおいて、
    前記静電荷像現像用トナーは、前記着色粒子の表面に、前記無機微粒子を付着及び/または固定化してなり、
    前記無機微粒子中のシリコーンオイルの含有率が1.5mg/g以上25mg/g以下であって、
    且つ、前記無機微粒子を150℃で10分間、加熱した際に発生する低分子量シロキサンの発生量が10μg/g以下であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 前記静電荷像現像用トナーは、重量平均粒径が7.0μm以下であり、且つ、個数基準の粒径頻度分布における3μm以下の微粉の存在量が5個数%以上であり、
    前記静電荷像現像用トナーの有機成分中に占めるワックス成分量W1(質量%)と、前記3μm以下の微粉の有機成分中に占めるワックス成分量W2(質量%)の比(W2/W1)が、0.90≦W2/W1<2.0の関係を満足することを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記結着樹脂が、ポリエステル系樹脂を50質量%以上含有することを特徴とする請求項1または2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 前記静電荷像現像用トナーが負帯電性静電荷像現像用トナーであり、
    前記シリコーンオイル処理無機微粉体は、アミノ変性シリコーンオイルまたはアミノ変性シリコーンオイルを含有するシリコーンオイルで処理されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 前記無機微粒子を150℃で10分間、加熱した際に発生する低分子量アミンの発生量が、3μg/g以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
  6. 少なくとも(a)帯電部材に電圧を印加して静電潜像担持体に帯電を行う帯電工程;(b)前記帯電工程で帯電された静電潜像担持体に静電潜像を形成する潜像形成工程;(c)前記静電潜像を、現像装置が有しているトナーによって現像し、前記静電潜像担持体の表面にトナー像を形成する現像工程;(d)前記静電潜像担持体の表面に形成されたトナー像を、中間転写体を介して、または、介さずに被転写体に転写する転写工程;及び(e)転写工程後に前記静電潜像担持体の表面上に残存している転写残余のトナーをクリーニング部材によって除去するクリーニング工程を有する画像形成方法において、
    前記トナーは、結着樹脂と着色剤とワックス成分とを少なくとも含む着色粒子と、シリコーンオイル処理無機微粉体を構成成分として含有する無機微粒子を含むトナーであって、前記トナーは、前記着色粒子の表面に、前記無機微粒子を付着及び/または固定化してなり、前記無機微粒子中のシリコーンオイルの含有率が1.5mg/g以上25mg/g以下であり、前記無機微粒子を150℃で10分間、加熱した際に発生する低分子量シロキサンの発生量が10μg/g以下であることを特徴とする画像形成方法。
  7. 前記静電潜像担持体が、直径40mm以下の有機感光体ドラムであって、前記有機感光体が180mm/s以上の画像形成速度で使用されると共に、前記有機感光体ドラムの表面には、画像形成プロセスの進行に伴って、前記トナー中から供給されるシリコーンオイルの薄膜が形成されることを特徴とする請求項6に記載の画像形成方法。
  8. 前記帯電工程において、静電潜像担持体の表面と接して回転可能に設けられた帯電部材に直流電圧と交流電圧を重畳して印加し、前記静電潜像担持体を帯電させると共に、トナー中から供給されるシリコーンオイルを、上記静電潜像担持体の表面に塗布することを特徴とする請求項6または7に記載の画像形成方法。
  9. 前記クリーニング工程において、クリーニング部材として静電潜像担持体に当接して設けられた弾性ブレードが、転写残余のトナーを回収すると共に、トナー中から供給されるシリコーンオイルを、上記静電潜像担持体の表面に塗布することを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の画像形成方法。
  10. 前記トナーが請求項2〜5の何れかに記載のトナーであることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の画像形成方法。
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