JP2018072602A - 画像形成装置および寿命予測方法 - Google Patents
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Abstract
Description
電子写真方式に従う画像形成装置は、トナー像を担持する像担持体としての感光体ドラム(以下、単に「感光体」ともいう)、中間転写体等の被転写体を介して、像担持体に対向する転写部材としての1次転写ローラ、および、2次転写ローラ等の導電部材を含み得る。1次転写ローラは、中間転写ベルトを介して感光体ローラに当接する。画像形成装置では、1次転写ローラに電流が供給されることにより、一次転写ローラ、中間転写ベルト、および、感光体を通して一次転写電流が流れる。これにより、感光体と中間転写ベルトとの間に転写電界が形成され、感光体上のトナー像が、被転写体としての中間転写ベルトに転写される。
式(1)において、Qは、1次転写ローラから感光体へ与えられる電荷量(「転写電流量」と近い)である。Cは、感光体の静電容量である。Vは、転写部電圧(1次転写ローラから感光体にかけての電位差)である。
C=εS/d …(2)
式(2)において、εは、感光体の誘電率である。Sは、転写における接触面積である。dは、感光体の膜厚である。
Q=εSV/d …(3)
式(3)によれば、感光体の使用が進むことによりdの値が低下すると、Qの値が増加することが理解され得る。これにより、転写部では、感光体の使用が進むことにより1次転写ローラから感光体に電流が流れやすくなる。したがって、上述した特許文献1等に記載されるような、転写部電圧から1次転写ローラの抵抗を求め、これにより1次転写ローラの寿命を算出する技術によっては、1次転写ローラの寿命が正確に算出できない場合があり得る。1次転写ローラの使用に従った1次転写ローラの抵抗の上昇が、感光体の膜厚の低下によるQの値の増加に相殺され得るからである。
(概略的な構成)
図2は、ある実施形態に従う画像形成装置200の構成例を説明する図である。ある実施形態において、画像形成装置200は、レーザプリンタやLED(Light Emitting Diode)プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置である。図2に示されるように、画像形成装置200は、内部のほぼ中央部にベルト部材として中間転写ローラ1を備えている。中間転写ローラ1の下部水平部の下には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色にそれぞれ対応する4つの作像ユニット2Y,2M,2C,2Kが中間転写ローラ1に沿って並んで配置される。これらの作像ユニット2Y,2M,2C,2Kは、トナー像を担持可能に構成される感光体3Y,3M,3C,3Kをそれぞれ有している。
次に、画像形成装置200の概略的な動作について説明する。外部装置(たとえば、パソコン等)から画像形成装置200の制御部70に画像信号が入力されると、制御部70ではこの画像信号をイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックに色変換したデジタル画像信号を作成し、入力されたデジタル信号に基づいて、各作像ユニット2Y,2M,2C,2Kの各プリントヘッド部5Y,5M,5C,5Kを発光させて露光を行なう。
図3は、図2の画像形成装置200の部分的なハードウェア構成の一例を示す図である。
図4は、図2の画像形成装置200における、1次転写ローラ7Y,7M,7C,7K近傍の構成例を示す図である。
図5は、画像形成装置200において1次転写ローラ7Y,7M,7C,7K(のそれぞれ)の寿命の予測態様の一例を説明するための図である。
図6は、1次転写ローラの寿命の予測のためにCPU310によって実行される処理のフローチャートである。
W=(第2初期電圧値−第1初期電圧値)/(寿命用閾値−第1初期電圧値)…(4)
={(800V−500V)/(1500V−500V)}×100
=30%
(予測結果の出力形式)
CPU310は、1次転写ローラの寿命の予測結果として、感光体の交換可能回数を示す情報を生成し出力してもよい。出力態様の一例は、メッセージ「1次転写ローラ交換タイミング:5本目の感光体の使用前」である。他の例は、メッセージ「1次転写ローラ交換タイミング:4回目の感光体の交換前」である。さらに他の例は、メッセージ「1次転写ローラ交換タイミング:3回目の感光体の交換時」である。
(1次転写ローラの寿命の予測態様)
図8は、画像形成装置200における1次転写ローラの寿命の予測態様の他の例を説明するための図である。図8のグラフにおいて、縦軸は1次転写電圧を示す。横軸は、画像形成装置200における印刷枚数を示す。点P31は、第1初期電圧値に対応するプロットである。点P32は、第2初期電圧値に対応するプロットである。点P31は、1次転写電圧値500Vおよび印刷枚数(第1印刷枚数:0枚)に対応する。点P32は、2次転写電圧値800Vおよび印刷枚数(第2印刷枚数:300k枚)に対応する。
=(800V−500V)/(300k枚−0枚)
=0.001V/枚
CPU310は、線L31に従って、寿命用閾値に対応する印刷枚数を特定する。図8の例では、当該印刷枚数として1000k枚が特定される。CPU310は、寿命として、このように特定された印刷枚数を出力する。すなわち、CPU310は、印刷枚数が1000k枚に到達するときに、1次転写ローラが寿命を迎えると予測する。
CPU310は、ステップS100で第1初期電圧値を取得する。CPU310は、ステップS110で感光体の交換を検出した後、ステップS120で第2初期電圧値を取得する。CPU310は、ステップS130で、たとえば線L31を利用して、寿命用閾値に対応する印刷枚数を特定することにより、1次転写ローラの寿命を予測する。なお、点P31と点P32によって特定される比例関係が用いられれば、CPU310は、線L31を特定する必要はない。
=(1500V−800V)/(0.001V/枚)
=700,000枚
[第3の実施の形態]
(1次転写ローラの寿命の予測態様)
図10は、画像形成装置200における1次転写ローラの寿命の予測態様のさらに他の例を説明するための図である。図10のグラフにおいて、縦軸は、1次転写電圧を示す。横軸は、画像形成装置における印刷枚数を示す。
以下に、図10の例を、数値の具体例を用いて説明する。
点P41は、1次転写電圧値(505V)と印刷枚数(5k枚)を示す。
線L41の傾きR(L41)は、次の式(7)に従って0.001V/枚と導出される。
=0.001V/枚
第1初期電圧値は、線L41の切片A1として、次の式(8)または式(9)に従って、500Vと導出される。
=505V−0.001V/枚×5000枚
=500V
A1=(点P42の電圧値)−{R(L41)×(点P42の印刷枚数)} …(9)
=530V−0.001V/枚×30000枚
=500V
次に、第2初期電圧値の予測について説明する。
点P45は、1次転写電圧値(950V)と印刷枚数(400k枚)を示す。
=0.0015V/枚
第2初期電圧値A2は、次の式(11)または式(12)に従って、800Vと導出される。第2初期電圧値は、線L42における2本目の感光体の装着時(印刷枚数300k枚)の1次転写電圧値である。
=830V−0.0015V/枚×20,000枚
=800V
A3=(点P45の電圧値)−R(L42)×(点P45の印刷枚数‐300k枚)…(12)
=950V−0.0015V/枚×100,000枚
=800V
(初期電圧値の予測態様)
CPU310は、3点以上のプロットの一次回帰分析に基づいて初期電圧値を予測してもよい。図11は、初期電圧値の予測態様の他の例を説明するための図である。図11のグラフにおいて、縦軸は、1次転写電圧を示す。横軸は、画像形成装置における印刷枚数を示す。
(予測された1次転写ローラの寿命の補正)
画像形成装置200では、一度予測された1次転写ローラの寿命が、使用状況に応じて補正されてもよい。図12は、1次転写ローラの寿命の補正態様の一例を説明するための図である。図12のグラフにおいて、縦軸は、1次転写電圧を示す。横軸は、画像形成装置における印刷枚数を示す。
たとえば、当初の寿命に対応する印刷枚数が1500k枚と予測され、△V1が120Vであり、△V2が140Vである場合、次の式(14)および式(15)に従って、寿命に対応する印刷枚数は1275k枚へと補正される。
≒0.85
補正後の印刷枚数=1500k枚×(120V/140V) …(15)
≒1275k枚
第1の感光体の使用時よりも第2の感光体の使用時において1次転写ローラの劣化が激しい場合、△V2は△V1よりも大きくなることが予測される。この場合、寿命L(2)は、寿命L(1)よりも短くなるように補正される。
図13は、図12の例に従った1次転写ローラの寿命の予測のために実行される処理の一例のフローチャートである。
(1次転写ローラの寿命の予測態様)
図12を参照して説明された予測の補正では、CPU310は、1本目の感光体の使用中の複数の実測値(図12の点P61と点P62)と、2本目の感光体の使用中の複数の実測値(図12の点P64と点P65)とは、同じ印刷枚数の間隔(図12中の差c)で取得されていた。このような印刷枚数の間隔は、1本目と2本目の感光体について異なっていてもよい。
CPU310は、次の式(17)に従って、2本目の感光体についての係数r2を導出する。
そして、CPU310は、係数r1および係数r2を使用して、1次転写ローラの寿命の予測を補正する。CPU310は、たとえば、上記の式(15)の代わりに、次の式(18)に従って、寿命に対応する印刷枚数を補正する。
図14の例では、△V1は、25V(530V−505V)である。△c1は、25000枚(30000枚−5000枚)である。これにより、r1は、0.001(25/25000)である。
=625k枚
[第6の実施の形態]
(概略的な構成)
1次転写ローラの電気的特性は、当該1次転写ローラの稼働時(電圧印加時)の温度および湿度によって影響され得る。そこで、ある実施形態に従う画像形成装置は、温湿度を考慮して1次転写ローラの寿命を予測する。
図16は、ある実施形態に従う温湿度テーブル1600を説明する図である。温湿度テーブル1600は、たとえば、記憶装置370のデータ記憶部374に格納され得る。温湿度テーブル1600において、縦軸は絶対湿度(%)を示し、横軸は温度(℃)を示す。なお、説明を容易にするために、図16では温湿度テーブル1600が2次元テーブルとして記載されているが、実際には、温度範囲と湿度範囲とに関連付けられて係数が保持される。
図17は、図15および図16の例に従った寿命の予測のために実行される処理のフローチャートである。
Claims (14)
- 交換可能に設置された像担持体と、
被転写体を介して前記像担持体に対向して配置され、前記像担持体上に作像されたトナー像が前記被転写体に転写させる転写部材と、
前記転写部材が前記被転写体を介して前記像担持体に圧接された状態における前記転写部材の電気的状態として、前記転写部材の電圧値および電流値の少なくとも一方を計測するように構成された計測部と、
前記像担持体として第1の像担持体が装着されたときの前記転写部材の電気的状態である第1の電気的状態と、前記第1の像担持体を装着して所定回数の画像形成を行った後に、前記像担持体として前記第1の像担持体とは別の第2の像担持体が装着されたときの前記転写部材の電気的状態である第2の電気的状態とに基づいて、前記転写部材の寿命を予測する制御部とを備える、画像形成装置。 - 前記制御部は、前記第1の電気的状態と前記第2の電気的状態との差異に基づいて、前記転写部材の寿命を予測する、請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記制御部は、前記第1の電気的状態と前記第2の電気的状態との差異に基づいて、前記転写部材の寿命に対応する前記像担持体の交換可能回数を示す情報を生成する、請求項2に記載の画像形成装置。
- 前記制御部は、前記第1の電気的状態および当該第1の電気的状態に対応するトナー像が転写された記録媒体の量である第1の記録媒体量、ならびに、前記第2の電気的状態および当該第2の電気的状態に対応するトナー像が転写された記録媒体の量である第2の記録媒体量を用いた一次回帰分析に基づいて、前記転写部材の寿命を予測する、請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記像担持体の交換回数をカウントする交換回数カウンタをさらに備え、
前記制御部は、前記交換回数カウンタのカウント値が更新される際に、前記第1の電気的状態を取得し、前記交換回数カウンタのカウント値が更新される際に、前記第2の電気的状態を取得する、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。 - 前記像担持体の交換を検出する検出手段をさらに備え、
前記交換回数カウンタは、前記検出手段が前記像担持体の交換を検出したことに応じてカウント値を更新する、請求項5に記載の画像形成装置。 - 前記制御部は、
前記像担持体として第1の像担持体が装着されているときの前記転写部材の複数の電気的状態とそれぞれに対応するトナー像が転写された記録媒体の量を用いた一次回帰分析に基づいて、前記第1の電気的状態を取得する動作、及び、
前記像担持体として第2の像担持体が装着されているときの前記転写部材の複数の電気的状態とそれぞれに対応するトナー像が転写された記録媒体の量を用いた一次回帰分析に基づいて、前記第2の電気的状態を取得する動作の少なくとも一方を行う、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。 - 前記制御部は、前記第1の像担持体が装着されたときの前記転写部材の前記電気的状態、および、前記第2の像担持体が装着されたときの前記転写部材の前記電気的状態を用いて、前記予測された転写部材の寿命を補正する、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記制御部は、前記転写部材の寿命の補正において、
前記第1の像担持体が装着されたときの前記転写部材の前記電気的状態として、前記第1の像担持体が装着されている期間における、予め定められた量の記録媒体にトナー像が転写される間の前記電気的状態の変化量を使用し、
前記第2の像担持体が装着されたときの前記転写部材の前記電気的状態として、前記第2の像担持体が装着されている期間における、前記予め定められた量の記録媒体にトナー像が転写される間の前記電気的状態の変化量を使用する、請求項8に記載の画像形成装置。 - 前記制御部は、前記転写部材の寿命の補正において、
前記第1の像担持体が装着されたときの前記転写部材の前記電気的状態として、前記第1の像担持体が装着されている期間における、第1の量の記録媒体にトナー像が転写される間の前記電気的状態の第1の変化量を使用し、
前記第2の像担持体が装着されたときの前記転写部材の前記電気的状態として、前記第2の像担持体が装着されている期間における、第2の量の記録媒体にトナー像が転写される間の前記電気的状態の第2の変化量を使用し、
前記第1の変化量と前記第2の変化量とを用いた、前記トナー像を転写された記録媒体の量と前記転写部材の前記電気的状態との間の関係の一次回帰分析に基づいて、前記予測された寿命を補正する、請求項8に記載の画像形成装置。 - 前記制御部は、前記画像形成装置が設置された環境に関する環境情報に基づいて前記寿命を補正する、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記環境情報は、温度および湿度のデータを含み、
前記制御部は、前記環境情報によって示される環境が低温低湿であるほど寿命を短く予測し、前記環境情報によって示される環境が高温多湿であるほど寿命を長く予測する、請求項11に記載の画像形成装置。 - 交換可能に設置された像担持体と、被転写体を介して前記像担持体に対向して配置され、前記像担持体上に作像されたトナー像を被転写体上に転写する転写部材とを備える画像形成装置のコンピュータによって実行される、前記転写部材の寿命を予測する方法であって、
前記像担持体として第1の像担持体が装着されたときの前記転写部材の電圧値または電流値の少なくとも一方を含む第1の電気的状態を取得し、
前記第1の像担持体を装着して所定回数の画像形成を行った後に、前記像担持体として前記第1の像担持体とは別の第2の像担持体が装着されたときの前記転写部材の電圧値または電流値の少なくとも一方を含む第2の電気的状態を取得し、
前記第1の電気的状態と前記第2の電気的状態とに基づいて、前記転写部材の寿命を予測する、寿命予測方法。 - 前記第1の電気的状態と前記第2の電気的状態とを用いて、前記予測された転写部材の寿命を補正する、請求項13に記載の寿命予測方法。
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