以下、添付図面を参照して、本願の開示する付着物検出装置および付着物検出方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
また、以下では、本実施形態に係る付着物検出方法の概要について図1A〜図1Dを用いて説明した後に、実施形態に係る付着物検出方法を適用した付着物検出装置10について、図2A以降を用いて説明する。
まず、本実施形態に係る付着物検出方法の概要について図1A〜図1Dを用いて説明する。図1A〜図1Dは、実施形態に係る付着物検出方法の概要説明図(その1)〜(その4)である。
図1Aに示すように、車両Cには、かかる車両Cの周辺を撮像するために、たとえばフロントカメラ21、バックカメラ22、右サイドカメラ23、左サイドカメラ24などの車載カメラが搭載される。なお、以下では、これら車載カメラを総称する場合、「カメラ2」と記載するものとする。
カメラ2は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を備え、かかる撮像素子によって車両C周辺を撮像する。そして、カメラ2は、撮像した映像を、たとえば本実施形態に係る付着物検出装置10を含む付着物除去システム1へ出力する。
なお、カメラ2のレンズ2a(図1B参照)には魚眼レンズなどの広角レンズが採用され、カメラ2はそれぞれ180度以上の画角を有し、これらを利用することで車両Cの全周囲を撮像することが可能である。
また、図1Bに示すように、本実施形態に係る付着物除去システム1は、カメラ2のレンズ2aに付着した雨滴や雪片、埃、泥などの付着物を除去する付着物除去装置3を備える。
付着物除去装置3は、ノズル3aを備える。ノズル3aは吐出口をレンズ2aへ向けて設けられ、たとえば圧縮空気供給源3bおよびバルブ3cを介して供給される圧縮空気と、洗浄液供給源3dおよびバルブ3eを介して供給される洗浄液とをレンズ2aへ向けて噴射することによって付着物を除去する。
なお、かかる付着物除去装置3の動作制御は、付着物除去システム1が備える除去判定装置5によって行われる。除去判定装置5は、付着物検出装置10による検出結果に基づき、レンズ2aに付着物が付着し、かつ、その付着物を除去する必要があるか否かを自動的に判定し、除去が必要である場合に、付着物除去装置3に除去動作を行わせる。
そして、本実施形態に係る付着物検出装置10は、かかる自動判定に資する付着物の検出精度をより高めるため、付着物の存否の判定対象エリアにつき、各画素の少なくともエッジ強度、輝度および彩度のヒストグラムを生成し、かかるヒストグラムの各階級の度数に基づいて付着物を判定することとした。
具体的には、図1Cに示すように、付着物検出装置10は、カメラ2のカメラ画像から、たとえば複数の検出アルゴリズムを用いて検出された、付着物の存在が推定されるエリアである検出エリアを取得する(ステップS1)。
そして、付着物検出装置10は、取得した検出エリアのエッジ強度、輝度および彩度それぞれにつき、たとえば「弱」、「中」、「強」である3階級に分類されたヒストグラムを生成する(ステップS2)。なお、エッジ強度、輝度および彩度の求め方の具体例については、ヒストグラム生成部11b(後述)の説明に際して述べる。
そして、付着物検出装置10は、生成した各ヒストグラムの階級それぞれの度数の「割合」に基づき、検出エリアに存在すると推定される付着物が本当に付着物であるか否かを判定する(ステップS3)。具体的には、かかる度数の「割合」が、付着物としては除外される所定の除外条件を満たすならば、検出エリアで推定された付着物は付着物でないと判定する。
たとえば、図1Cでは、他車両のタイヤ部分が検出エリアと検出されている場合を示しているが、付着物検出装置10は、かかる検出エリアについての上記ヒストグラムを生成し、その各ヒストグラムの各度数の「割合」を所定の除外条件に照らす。
そして、その結果、タイヤ部分である検出エリアは、所定の除外条件を満たすこととなるので、付着物検出装置10は、かかる検出エリアで推定された付着物は付着物ではないと判定する。なお、除外条件の具体例については、図4A〜図4Cなどを用いて後述する。
そして、付着物検出装置10は、付着物ではないと判定した検出エリアは誤検出分であるとして、後段の除去判定装置5の処理対象からは除外する。すなわち、付着物検出装置10は、かかる検出エリアを、除去判定装置5に対して通知しない。
これにより、除去判定装置5における除去判定処理の処理負荷を軽減することができる。また、このように、複数の検出アルゴリズムを用いて検出された検出エリアに対し、付着物検出装置10による誤検出判定処理を行うことで、各検出アルゴリズムによる誤検出を補うことができ、付着物の検出精度をより高めるのに資することができる。
なお、ここでは、検出エリアの要素のうち、エッジ強度、輝度および彩度に着目する例を挙げているが、色相や標準偏差などでもよく、ヒストグラムの生成対象となる要素を限定するものではない。また、階級も「弱」、「中」、「強」の3つに限られるものではない。
ところで、図1Cでは、付着物検出装置10を各検出アルゴリズムの補佐的な位置付けとした場合を例に挙げたが、付着物検出装置10は、各検出アルゴリズムの一つを実行するものとしても構成することができる。
かかる場合、具体的には、図1Dに示すように、付着物検出装置10は、カメラ2のカメラ画像の1フレーム分について複数の分割エリアを設定し、かかる分割エリアのそれぞれを取得する(ステップS1’)。
そして、付着物検出装置10は、取得した各分割エリアのエッジ強度、輝度および彩度それぞれのヒストグラムを生成する(ステップS2’)。かかるヒストグラムを含む情報は、現フレーム分だけでなく、1世代分以上の過去フレーム分についても保持される。
そして、付着物検出装置10は、現フレーム分および過去フレーム分のフレーム間における「変化量」に基づき、分割エリアごとの付着物の存否を判定する(ステップS3’)。なお、図1Dでは、エッジ強度についての例を図示している。付着物検出装置10は、たとえばかかるエッジ強度の現変化量、過去1世代前変化量、過去2世代前変化量の推移が示す傾向に基づいて付着物の存否を判定する。
かかるフレーム間の「変化量」による判定を行うことによって、たとえば輪郭がにじんでしまい、エッジとしては検出しにくい雨滴の場合であっても、「変化量」にあらわれる雨滴の特徴に基づき、付着物として検出しやすくすることができる。すなわち、付着物の検出精度をより高めるのに資することができる。また、分割エリアごとの判定を行うことによって、フレーム全体を対象とするよりも言わば分解能を高めた付着物の検出を行うことができる。したがって、やはり、付着物の検出精度をより高めるのに資することができる。
また、かかる「変化量」による検出条件は、分割エリアごとに設定することができる。これにより、たとえば変化のあらわれやすさといった、分割エリアごとの特性に応じた適正な判定を行うことが可能となる。
かかる「変化量」を用いた場合の検出条件など、処理の詳細については、図9〜図13などを用いて後述する。
以下、上述した付着物検出方法を適用した付着物検出装置10の実施形態について、さらに具体的に説明する。
なお、以下では、図1Cに示した例を第1の実施形態として、また、図1Dに示した例を第2の実施形態として説明を進めるが、説明を分かりやすくする観点から、図2Aおよび図2Bに以下の説明の概略を示す。
図2Aに示すように、第1の実施形態の説明では、付着物検出装置10が、付着物検出アルゴリズム−1,−2,…―nを実行する外部付着物検出装置4(図3参照)を前段とし、除去判定処理を実行する除去判定装置5を後段として、誤検出判定処理(誤検出分の除外)を行う構成を例に挙げる(図1C参照)。
また、図2Bに示すように、第2の実施形態の説明では、付着物検出装置10が、付着物検出アルゴリズム−1,−2,…―nの一つを実行する構成を例に挙げる(図1D参照)。なお、破線で示した誤検出判定処理は、第1の実施形態の構成で行われてもよいし、省略されてもよい。
(第1の実施形態)
図3は、本実施形態に係る付着物除去システム1のブロック図である。なお、図3では、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを機能ブロックで表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
換言すれば、図3に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各機能ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
図3に示すように、付着物除去システム1は、カメラ2と、付着物除去装置3と、1つ以上の外部付着物検出装置4(たとえば、外部付着物検出装置4−1,−2,−3…)と、除去判定装置5と、付着物検出装置10とを含む。
なお、図3に示すように、外部付着物検出装置4、付着物検出装置10および除去判定装置5は、付着物の検出から付着物を除去するまでの全体処理を制御する除去制御装置50の構成要素とすることができる。かかる除去制御装置50の具体的な構成については、本実施形態、第2の実施形態に付いて述べた後、第3の実施形態において後述する。
カメラ2および付着物除去装置3については既に述べたため、ここでの説明を省略する。外部付着物検出装置4は、カメラ2からカメラ画像を1フレーム分ずつ取得し、それぞれに対応付けられた検出アルゴリズムを用いてカメラ画像の中から付着物が存在すると推定される検出エリアを抽出し、抽出した検出エリアを付着物検出装置10へ通知する。
除去判定装置5は、既に述べた通り、付着物検出装置10による検出結果に基づき、付着物の除去が必要である場合に、付着物除去装置3に除去動作を行わせる。
付着物検出装置10は、制御部11と、記憶部12とを備える。制御部11は、対象エリア取得部11aと、ヒストグラム生成部11bと、付着物判定部11cと、条件調整部11dとを備える。
記憶部12は、ハードディスクドライブや不揮発性メモリ、レジスタといった記憶デバイスであって、条件情報12aを記憶する。
制御部11は、付着物検出装置10全体を制御する。対象エリア取得部11aは、外部付着物検出装置4から通知される検出エリアを判定対象エリアとして取得する。なお、後述する第2の実施形態では、対象エリア取得部11aは、カメラ2のカメラ画像から分割エリアを判定対象エリアとして取得することとなる。
ヒストグラム生成部11bは、対象エリア取得部11aによって取得された検出エリアのそれぞれにつき、各画素の少なくともエッジ強度、輝度および彩度のヒストグラムを予め分類された所定の階級数で生成する。所定の階級数は、既に述べたように、たとえば「弱」、「中」、「強」の3つである。
具体的には、エッジ強度につき、ヒストグラム生成部11bは、検出エリアに対応する画像をグレースケール化することによりグレースケール画像へ変換する。なお、グレースケール化とは、カメラ画像における各画素を輝度に応じて白から黒までの各階調で表現するように変換する処理である。
また、ヒストグラム生成部11bは、グレースケール画像にソベルフィルタを用いることで、グレースケール画像における各画素のエッジ情報を抽出する。ここで、エッジ情報とは、各画素のX軸方向およびY軸方向におけるエッジ強度を指す。なお、ソベルフィルタに代えてたとえばラプラシアンフィルタ等の他のエッジ抽出法を用いることにしてもよい。
また、ヒストグラム生成部11bは、抽出した各画素のエッジ情報に基づき、グレースケール画像の各画素の代表値としてのエッジ強度を算出する。具体的には、エッジ情報であるX軸方向およびY軸方向のエッジ強度をそれぞれ2乗した後に加算した値を各画素のエッジ強度の代表値として算出する。
そして、ヒストグラム生成部11bは、算出した各画素のエッジ強度の代表値に基づいてエッジ強度のヒストグラムを生成する。具体的には、ヒストグラム生成部11bは、算出したエッジ強度の各代表値をたとえば0〜1の間の値をとるように正規化し、所定の階級数が上述のように「弱」、「中」、「強」の3つであれば、たとえば「弱」は0以上0.3未満、「中」は0.3以上0.7未満、「強」は0.7以上1以下であるようなヒストグラムを生成する。
また、輝度につき、ヒストグラム生成部11bは、前述のグレースケール化に際し、各画素のRGB値(R:0〜255,G:0〜255,B:0〜255)に基づいて算出した各画素の輝度を用いる。たとえば、ヒストグラム生成部11bは、各画素のR、G、Bのうちの1つの要素値のみを代表値として抽出し、これを各画素の輝度とすることができる。
また、たとえば、ヒストグラム生成部11bは、R、G、Bの各要素値の単純な平均値を輝度として算出することができる。また、たとえば、ヒストグラム生成部11bは、式「輝度=0.298912×R+0.586611×G+0.114478×B」によるいわゆるNTSC(National Television System Committee)系加重平均法などを用いて重み付けされた平均値を輝度として算出することができる。
そして、ヒストグラム生成部11bは、算出した各画素の輝度に基づいて輝度のヒストグラムを生成する。輝度の正規化や所定の階級数の分け方は、エッジ強度の場合と同様である。
また、彩度につき、ヒストグラム生成部11bはたとえば、HSV色空間に基づく場合は、R、G、Bの最大値をImax、最小値をIminとしたときに、明度(V)=Imax、彩度(S)=(Imax−Imin)/Imaxにより彩度を算出することができる。
また、たとえば、ヒストグラム生成部11bは、HSL色空間に基づく場合は、明度(L)=(Imax+Imin)/2とし、L≦0.5のとき、彩度(S)=(Imax−Imin)/(Imax+Imin)、L>0.5のとき、彩度(S)=(Imax−Imin)/(2−Imax−Imin)により彩度を算出することができる。なお、明度(V)または明度(L)は、前述の輝度として用いられてもよい。
そして、ヒストグラム生成部11bは、算出した各画素の彩度に基づいて彩度のヒストグラムを生成する。彩度の正規化や所定の階級数の分け方は、エッジ強度および輝度の場合と同様である。
なお、ヒストグラム生成部11bは、ヒストグラムの生成に際し、検出エリアのサイズを基準となるサイズに拡縮することが好ましい。これにより、それぞれサイズが異なることが考えられる検出エリアにおける各要素の度数の割合を所定の除外条件に照らすうえで、サイズの違いによる検出精度のばらつきを抑えることができる。すなわち、付着物の検出精度をより高めるのに資することができる。
付着物判定部11cは、ヒストグラム生成部11bによって生成された各ヒストグラムの階級それぞれの度数の割合に基づき、検出エリアに存在すると推定される付着物が本当に付着物であるか否かを所定の除外条件に照らし、判定する。所定の除外条件は、付着物の特徴に適合しないように、エッジ強度、輝度および彩度それぞれの3階級(「弱」、「中」、「強」)ごとの割合が組み合わされた条件であり、条件情報12aに予め含まれる。
ここで、図4A〜図4Cに所定の除外条件の具体例を示す。図4A〜図4Cは、除外条件の具体例を示す図(その1)〜(その3)である。
図4Aに示すように、たとえば「除外条件−1」としては、「エッジ強度」の「強」が50%以上、「輝度」の「弱」が30%以上、かつ、「彩度」の「強」が50%以上である場合を挙げることができる。
また、図4Bに示すように、たとえば「除外条件−2」としては、「エッジ強度」の「強」が50%以上、「輝度」の「中」が50%以上、かつ、「彩度」の「弱」が50%以上である場合を挙げることができる。
また、図4Cに示すように、たとえば「除外条件−3」としては、「輝度」の「中」が80%以上、かつ、「彩度」の「強」が80%以上である場合を挙げることができる。
これら図4A〜図4Cの除外条件は、検証試験等によって得られた、いずれも雨滴の特徴に適合しない条件であり、これら図4A〜図4Cの除外条件を用いることにより、付着物のうち、特に雨滴の検出精度をより高めるのに資することができる。
図3の説明に戻る。また、付着物判定部11cは、かかる所定の除外条件を満たし、付着物でないと判定された検出エリアを、後段の処理対象から除外する。また、付着物判定部11cは、所定の除外条件を満たさずに、付着物であると判定された検出エリアを、後段の処理対象とするために、除去判定装置5へ通知する。
ところで、これまでは、除外条件を構成する要素が、「エッジ強度」、「輝度」および「彩度」である場合を例に挙げたが、既に述べたように、これら以外の他の要素を付加することとしてもよい。
かかる除外条件の変形例について、図5A〜図5Cを用いて説明する。図5A〜図5Cは、除外条件の変形例の説明図(その1)〜(その3)である。
たとえば、除外条件には、検出エリアと所定のテンプレートとのマッチングによって得られる類似度などを含むことができる。
かかる変形例では、検出エリアの各画素のベクトル向きに着目した場合を例に挙げる。具体的には、図5Aに示すように、かかる変形例では、たとえばヒストグラム生成部11bが、検出エリアDaをベクトル向き画像化してベクトル向き画像Vdを生成する。
より具体的には、ヒストグラム生成部11bが、検出エリアDaから各画素のベクトル向きを算出し、かかるベクトル向きをたとえば色相環に基づいて色付けしたベクトル向き画像Vdを生成し、生成したベクトル向き画像Vdを付着物判定部11cへ通知する。
そして、付着物判定部11cは、通知されたベクトル向き画像Vdと、同じく色相環に基づいて予め設けられたテンプレートTiとを用いたテンプレートマッチングによって、たとえば全対象画素分の相互相関係数を算出し、かかる相互相関係数が示す類似度を含めた条件判定を行う。
なお、図5Aに示すテンプレートTiは、たとえば内向きに明るい雨滴の特徴を示すものである。テンプレートTiには、図5Bに示すように、検出エリアDaのサイズや形、雨滴の光り方の特徴などに応じて、図5B(a)のテンプレートTi−1や、同(b)のテンプレートTi−2のように種々のバリエーションを設けておけば、多様な付着物の形態に対応することができる。
そして、上述の相互相関係数を用いた場合、類似度は−1〜1の範囲で示されるので、たとえばかかる変形例の除外条件には、図5Cに示すように、+αの要件として「類似度<閾値」や「類似度<0」といった条件が含まれることとなる。
このように、ヒストグラムの度数の割合だけでなく、テンプレートマッチング結果の類似度を除外条件に含むことによって、付着物の検出精度をより高めるのに資することができる。
図3の説明に戻る。条件調整部11dは、除外条件を調整するのに適した所定のトリガが生じている場合に、除外条件を調整し、条件情報12aを適宜更新する処理を行う。
かかる具体例について図6を用いて説明する。図6は、除外条件の調整の具体例を示す図である。図6に示すように、除外条件の調整のためのトリガとしては、たとえば「シーン切り替わり時」を挙げることができる。
シーン切り替わり時は、たとえばカメラ2からのカメラ画像を解析することによって判断可能となる昼夜や風景の変化を検出した場合などに対応する。
かかる場合、調整内容例としては、たとえば夜の市街地へのシーン切り替わりが検出された場合に、付着物としての雨滴は、たとえば街に多数存在する光源により強く反射し、輪郭も鮮明になる(エッジ強度「強」の割合が増す)ことが考えられる。したがって、このような場合の雨滴を除外する除外条件としては、たとえばエッジ強度「強」の割合を下げる(図中の「↓」参照)調整が一例として挙げられる。
また、別の除外条件調整トリガとしては、たとえば「検出エリア位置」を挙げることができる。これは、たとえば検出エリアが空に該当する位置であれば、ドライバの運転中の視認には影響が少ないと考えられることから、この場合には、たとえば条件調整部11dは、調整内容例としてかかる位置の検出エリアは無条件に除外するという調整を行う。
また、さらに別の除外条件調整トリガとしては、たとえば「複数フレーム間での連続性」を挙げることができる。これは、たとえば検出エリアが1フレーム単独で検出されたものであれば、付着物の可能性は低いと考えられることから、この場合には、たとえば条件調整部11dは、調整内容例として1フレーム単独の検出エリアは無条件に除外するという調整を行う。
このように、除外条件を調整するのに適した所定のトリガが生じている場合に、除外条件を調整することによって、車両Cの走行時の状況に応じた適切な付着物の検出を行うことが可能となる。すなわち、付着物の検出精度をより高めるのに資することができる。
次に、本実施形態に係る付着物検出装置10が実行する処理手順について、図7を用いて説明する。図7は、第1の実施形態に係る付着物検出装置10が実行する処理手順を示すフローチャートである。
まず、対象エリア取得部11aが、外部付着物検出装置4の各検出アルゴリズムの検出エリアDaを取得する(ステップS101)。そして、ヒストグラム生成部11bが、対象エリア取得部11aによって取得された検出エリアDaのエッジ強度、輝度および彩度それぞれにつき、ヒストグラムを生成する(ステップS102)。
そして、付着物判定部11cが、ヒストグラム生成部11bによって生成された各ヒストグラムの階級それぞれの度数の割合に基づき、付着物であるか否かを判定する(ステップS103)。
ここで、付着物でないと判定された場合(ステップS104,Yes)、付着物判定部11cは、当該検出エリアDaを除外する(ステップS105)。また、付着物であると判定された場合(ステップS104,No)、付着物判定部11cは、除去判定装置5へ当該検出エリアを通知する(ステップS106)。
そして、制御部11が、処理終了イベントがあるか否かを判定する(ステップS107)。処理終了イベントは、たとえばIGオフやACCオフなどに対応する。ここで、処理終了イベントがないと判定された場合(ステップS107,No)、ステップS101からの処理を繰り返す。また、処理終了イベントがあると判定された場合(ステップS107,Yes)、付着物検出装置10は、処理を終了する。
上述してきたように、第1の実施形態に係る付着物検出装置10は、対象エリア取得部11a(「取得部」の一例に相当)と、ヒストグラム生成部11b(「生成部」の一例に相当)と、付着物判定部11c(「判定部」の一例に相当)とを備える。
対象エリア取得部11aは、カメラ画像(「撮像画像」の一例に相当)中における付着物の検出エリアDa(「判定対象エリア」の一例に相当)を取得する。ヒストグラム生成部11bは、対象エリア取得部11aによって取得された検出エリアDaにつき、少なくともエッジ強度、輝度および彩度のヒストグラムを生成する。付着物判定部11cは、ヒストグラム生成部11bによって生成されたヒストグラムそれぞれの各階級の度数の割合に基づき、検出エリアDaにおける付着物の存否を判定する。
したがって、本実施形態に係る付着物検出装置10によれば、付着物の検出精度をより高めることができる。また、無用な検出エリアDaを後段の処理対象から除外することができるので、システム全体の処理負荷を抑えるという効果も奏することができる。
(第2の実施形態)
次に、図3および図8A〜図14を用いて第2の実施形態について説明する。上述の通り、第2の実施形態は、付着物検出装置10が、付着物検出アルゴリズム−1,−2,…―nの一つを実行する構成であり(図2B参照)、分割エリアごとの各分割エリアのエッジ強度、輝度および彩度それぞれのヒストグラムの、フレーム間における「変化量」に基づいて付着物の存否を判定する場合である(図1D参照)。
なお、第2の実施形態に係る付着物検出装置10のブロック構成については、第1の実施形態のブロック図を用いて説明することができるので、説明の便宜上、既に示した図3のブロック図を用い、第1の実施形態と異なる部分を主に説明することとする。
図3に示すように、第2の実施形態に係る付着物検出装置10では、対象エリア取得部11aは、カメラ2のカメラ画像の1フレーム分について複数の分割エリアを設定し、かかる分割エリアのそれぞれを判定対象エリアとして取得する。
ここで、分割エリアの設定例について図8A〜図8Dを用いて説明しておく。図8A〜図8Dは、分割エリアの設定例を示す図(その1)〜(その4)である。図8Aに示すように、分割エリアは、1フレーム分のカメラ画像全体を、たとえば3×3の9つの分割エリアに区切って設定することができる。
なお、以下では、かかる図8Aの場合を主たる例に挙げるものとし、画面の「上」、「中」、「下」と言った場合は、図中の「上」、「中」、「下」にそれぞれ対応する上段、中段、下段の領域をそれぞれ指すものとする。
また、ここでは、3×3の9領域としているが、分割数を限定するものではなく、4×4の16領域などであってもよい。分割エリアをより細かくすることで、小さな雨滴などの検出精度を向上させるのに資することができる。
また、図8Bに示すように、分割エリアのサイズは、すべて同一でなくともよい。たとえば図8Bに示すように、中央付近など、付着物が付着した場合に運転者の視認に影響が大きいと考えられる領域については、分割エリアをより細かくしてもよい。これにより、安全面などから高い視認性が求められる領域について、変化量を検出するための感度を高めることが可能となる。
また、図8Cに示すように、分割エリアは矩形に限らず、付着物の形状に応じて、たとえば雨滴の形状に合わせた円形などに設定することができる。これにより、その形状に応じた変化量をとらえやすくすることができる。
また、図8Dに示すように、分割エリアは、たとえば運転者の視認性に影響が少ないと判断される領域については、予め対象外となるように設定されてもよい。また、かかる対象外の領域は、走行状況の変化などに応じて、可変に設定されてもよい。
また、同じく走行状況の変化などに応じて、分割数などが変更されてもよい。たとえば、昼と夜では、エッジ強度や輝度などの変化量が夜の方が少ないと考えられるので、夜になったことを画像解析などにより検出した場合に、動的に分割数を増やして変化量を検出するための感度を高めてもよい。
図3の説明に戻る。第2の実施形態に係る付着物検出装置10では、ヒストグラム生成部11bは、取得した各分割エリアのエッジ強度、輝度および彩度それぞれのヒストグラムを生成する。かかるヒストグラムを含む情報は、現フレーム分だけでなく、1世代分以上の過去フレーム分についても保持される。
その保持される保持情報の詳細について、図9を用いて説明する。図9は、第2の実施形態に係る保持情報の具体例を示す図である。図9に示すように、第2の実施形態では、生成されたヒストグラムは、たとえば現フレーム分、過去1世代前分および過去2世代前分が保持される。また、かかるヒストグラムから算出される変化量なども、あわせて保持される。
より具体的には、図9に保持情報として示すように、現フレーム分のデータ数(各度数)と、過去2世代各々分のデータ数と、単純移動平均(SMA)と、現フレーム分と単純移動平均との変化量と、過去2世代各々分と単純移動平均との変化量とが少なくとも保持される。
なお、図中の「※」印では、本実施形態に係るSMAの考え方を、同じく「※※」印では、本実施形態に係る変化量の考え方を、それぞれ示した。
図3の説明に戻る。そして、第2の実施形態に係る付着物検出装置10では、付着物判定部11cが、上述の保持情報に基づき、少なくともヒストグラムの各階級の現変化量および過去1世代前変化量の推移を所定の検出条件に照らし、かかる検出条件を満たす場合に、付着物が存在すると判定する。所定の検出条件は、条件情報12aに予め含まれる。
ここで、図10に所定の検出条件の具体例を示す。図10は、検出条件の具体例を示す図である。
図10に示すように、たとえば第2の実施形態に係る「検出条件」としては、「エッジ強度」の「強」が所定量減少および「弱」が所定量増加し、「輝度」の「中」が所定量増加し、「彩度」の「弱」が所定量増加する場合を挙げることができる。
そして、かかる検出条件を構成する増加/減少の閾値などは、分割エリアごとのパラメータとして設定可能である。たとえば、図11は、パラメータ設定画面の一例を示す図である。なお、かかるパラメータ設定画面は、分割エリアごとのパラメータ設定が可能であることを説明するために便宜上示すものであり、システム上必須となるものではない。
図11に示すように、パラメータ設定画面では、ヒストグラムの各要素(「エッジ強度」、「輝度」、「彩度」)と、かかる要素それぞれの階級ごとに、チェックボックスやスライダー等のウィジェットを用いて「所定量」に対応する閾値を設定可能となっている。
たとえば「エッジ強度」では、「強」と「弱」のチェックボックスにチェックを入れてスライダーを左右に動かし、「強」の場合には閾値をマイナス値とすることで「減少」の条件を設定できることをあらわしている。また、「弱」の場合には閾値をプラス値とすることで「増加」の条件を設定できることをあらわしている。
また、かかるパラメータ設定画面では、画面の「上」、「中」、「下」(図8A参照)に対応する領域で、それぞれ個別に閾値を設定可能となっている。たとえば、図11では、破線の閉曲線で囲まれた画面の「下」に対応する領域について、他の「上」や「中」とは異なる設定がなされている例を示している。
これは、車両Cに搭載されるカメラ2からのカメラ画像については、画面の「下」の方が変化量が激しい傾向があることから、かかる特性に応じたパラメータ設定を個別に行っているものである。このように、分割エリアの各特性に応じた変化量のパラメータ設定を可能とすることによって、付着物の検出精度をより高めるのに資することができる。
なお、第2の実施形態に係る付着物判定部11cは、ヒストグラムの各階級の現変化量および過去1世代前変化量の推移に加えて、さらに過去2世代前変化量を含めた推移の判定を行うことで、さらに付着物の検出精度を高めることができる。
かかる場合の具体例について、図12Aおよび図12Bを用いて説明する。図12Aおよび図12Bは、過去2世代前変化量まで含めた場合の判定方法の具体例を示す図(その1)および(その2)である。なお、図12Aには付着物の場合のエッジ強度の変化量の推移を、図12Bには白線の場合のエッジ強度の変化量の推移を、それぞれ示している。
図12Aの場合、図12Bの場合のいずれでも、現変化量および過去1世代前変化量の推移には、それほど大きな差は見られない。こうした場合、さらに過去の過去2世代前変化量まで含めた推移を判定することによって、付着物の検出精度を高めることができる。
具体的には、図12Aを見ると、付着物の場合、破線の閉曲線M1で囲んだ部分に示した過去2世代前変化量および過去1世代前変化量の推移はほぼ変化がないと言える。そして、図12Aでは、かかる推移を経て過去1世代前変化量および現変化量の推移で不意に変化量が減少していることが分かる。
これは、不意に付着してカメラ画像をぼやかせ、「強」のエッジ強度を減少させてしまう雨滴の特徴を示すものである。したがって、図12Aのような変化量の推移を辿る場合には、付着物であると判定することができる。
一方、図12Bを見ると、白線の場合、破線の閉曲線M2で囲んだ部分に示した過去2世代前変化量および過去1世代前変化量の推移は、「+」側から徐々に減少していることが分かる。かかる推移は、図12Aに示した雨滴の場合の特徴とは異なるものである。したがって、図12Bのような変化量の推移を辿る場合には、付着物でないと判定することができる。
このように、より過去の世代前変化量まで含めた変化量の推移を判定することによって、付着物の検出精度をより高めることができる。また、エッジ強度を含めたヒストグラムの変化量の時間的推移に基づいて付着物の付着を判定するので、たとえばレンズ2aの撥水コートなどが低下して、輪郭のはっきりしないにじんだ雨滴などが付着した場合でも、精度よく検出することが可能となる。
図3の説明に戻る。第2の実施形態に係る付着物検出装置10では、条件調整部11dは、検出条件を調整するのに適した所定のトリガが生じている場合に、検出条件を調整し、条件情報12aを適宜更新する処理を行う。
かかる具体例について図13を用いて説明する。図13は、検出条件の調整の具体例を示す図である。図13に示すように、検出条件の調整のためのトリガとしては、たとえば「分割エリア位置」を挙げることができる。
かかる場合、調整内容例としては、既に述べたように、画面の「下」の方が変化量が激しい傾向にあることから、たとえば条件調整部11dは、「分割エリア位置」が画面の「下」の方であれば、これに応じて検出のための感度が高すぎるものとならないよう条件を強化する調整を行う。
また、別の検出条件調整トリガとしては、たとえば「走行状態」を挙げることができる。かかる場合、たとえば車両Cが停止中なら雨滴などの付着物は走行中に比べて付着しやすいと考えられることから、この場合には、たとえば条件調整部11dは、調整内容例として、検出のための感度が高まるよう条件を緩和する調整を行う。
また、別の検出条件調整トリガとしては、たとえば「ワイパー動作」や、「レインセンサ」、「降雨情報受信」などを挙げることができる。これらは、いずれも降雨などにより付着物が付着しやすい状況を示すものであることから、これらの場合には、たとえば条件調整部11dは、調整内容例として、検出のための感度が高まるよう条件を緩和する調整を行う。
また、別の検出条件調整トリガとして、たとえば「空の色」を挙げることができる。カメラ画像の画像解析により、空の色から曇天あるいは雨天が検出されたならば、上述の「ワイパー動作」などと同様に、たとえば条件調整部11dは、調整内容例として、条件を緩和する調整を行う。
また、さらに別の除外条件調整トリガとしては、たとえば「ジャイロセンサ」を挙げることができる。これは、たとえばジャイロセンサから、車両Cが下り坂走行中であることが検出されたならば、やはり上述の「ワイパー動作」などと同様に、条件調整部11dは、検出のための感度が高まるよう条件を緩和する調整を行う。
なお、これは、下り坂走行中であれば、たとえばバックカメラ22のレンズ2aは通常時より上方を向くことから、降雨などがあれば雨滴が付着しやすい状況であると言えるためである。
次に、本実施形態に係る付着物検出装置10が実行する処理手順について、図14を用いて説明する。図14は、第2の実施形態に係る付着物検出装置10が実行する処理手順を示すフローチャートである。
まず、対象エリア取得部11aが、カメラ2のカメラ画像の1フレーム分から各分割エリアを取得する(ステップS201)。そして、ヒストグラム生成部11bが、対象エリア取得部11aによって取得された各分割エリアのエッジ強度、輝度および彩度それぞれのヒストグラムを生成する(ステップS202)。
そして、付着物判定部11cが、ヒストグラム生成部11bによって生成された各ヒストグラムのフレーム間の変化量に基づき、分割エリアごとの付着物の存否を判定する(ステップS203)。
ここで、付着物ありと判定された場合(ステップS204,Yes)、付着物判定部11cは、たとえば除去判定装置5へ当該分割エリアを通知する(ステップS205)。また、付着物なしと判定された場合(ステップS204,No)、付着物判定部11cは、ステップS206へ制御を移す。
そして、制御部11が、処理終了イベントがあるか否かを判定する(ステップS206)。処理終了イベントは、たとえばIGオフやACCオフなどに対応する。ここで、処理終了イベントがないと判定された場合(ステップS206,No)、ステップS201からの処理を繰り返す。また、処理終了イベントがあると判定された場合(ステップS206,Yes)、付着物検出装置10は、処理を終了する。
上述してきたように、第2の実施形態に係る付着物検出装置10は、付着物判定部11cが、ヒストグラム生成部11bによって生成されたヒストグラムの現フレーム分と過去フレーム分との間の変化量に基づいて付着物の存否を判定する。
したがって、第2の実施形態に係る付着物検出装置10によれば、付着物が、たとえば輪郭がにじんでしまい、エッジとしては検出しにくい雨滴などの場合であっても、フレーム間の変化量にあらわれる雨滴の特徴に基づき、付着物として検出しやすくすることができる。すなわち、付着物の検出精度をより高めることができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態として、これまで説明してきた付着物検出装置10の機能を含んで構成され、付着物の検出から付着物を除去するまでの全体処理を制御する除去制御装置50の構成について、図15〜図19を用いて説明する。
図15は、本実施形態に係る付着物除去システム1のブロック図である。なお、図15では、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを機能ブロックで表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
換言すれば、図15に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。たとえば、各機能ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
また、図16Aは、付着物検出部51aからの通知内容の一例を示す図である。また、図16Bは、検出情報DB(データベース)52aに含まれる検出エリアDaに関するデータ内容の一例を示す図である。また、図16Cは、検出エリアDaの状態の説明図である。
図15に示すように、付着物除去システム1は、カメラ2と、付着物除去装置3と、除去制御装置50とを含む。カメラ2および付着物除去装置3については既に述べたため、ここでの説明を省略する。
除去制御装置50は、制御部51と、記憶部52とを備える。制御部51は、複数の付着物検出部51a(たとえば付着物検出部51a−1,−2,−3…)と、除外部51bと、アルゴリズム間重なり判定部51cと、フレーム間重なり判定部51dと、付着判定部51eと、除去要否判定部51fと、指示部51gとを備える。
記憶部52は、ハードディスクドライブや不揮発性メモリ、レジスタといった記憶デバイスであって、検出情報DB52aを記憶する。
制御部51は、除去制御装置50全体を制御する。複数の付着物検出部51aは、それぞれカメラ2からカメラ画像を1フレーム分ずつ取得し、それぞれに対応付けられた検出アルゴリズムを用いてカメラ画像の中から付着物が存在すると推定される検出エリアDaを抽出する。また、付着物検出部51aは、抽出した検出エリアDaを除外部51bへ通知する。
なお、上述した第2の実施形態に係る付着物検出装置10は、かかる本実施形態の複数の付着物検出部51aのいずれかに対応する。
ここで、付着物検出部51aからの通知内容には、図16Aに示すように、たとえば矩形で抽出された検出エリアDaの左上座標(x,y)と、幅wと、高さhとが含まれる。
除外部51bは、付着物検出部51aから通知される検出エリアDaのそれぞれについて画像解析を行い、かかる検出エリアDaに存在すると推定される付着物が本当に付着物であるか否かを判定する。
また、除外部51bは、その判定結果により付着物であると判定される検出エリアDaについては、かかる検出エリアDaをアルゴリズム間重なり判定部51cへ通知する。一方、除外部51bは、その判定結果により付着物でないと判定される検出エリアDaについては、アルゴリズム間重なり判定部51cへの通知を行わず、後段の処理対象から除外する。このように、無用の画像領域を除外することにより、付着物の検出の精度を高められるとともに、後段の処理の処理負荷を軽減することができる。
なお、上述した第1の実施形態に係る付着物検出装置10は、かかる本実施形態の除外部51bに対応する。
アルゴリズム間重なり判定部51cは、現フレームでの複数アルゴリズム間での検出エリアDaの重なり、すなわち、付着物検出部51aのそれぞれで抽出された検出エリアDa間の重複部分の存否を判定する。また、アルゴリズム間重なり判定部51cは、その判定結果を各検出エリアDaの「得点」として反映する。反映結果は、検出情報DB52a上で管理される。アルゴリズム間重なり判定部51cが実行する判定処理の詳細については、図17A〜図17Dを用いて後述する。
フレーム間重なり判定部51dは、現フレームに関するアルゴリズム間重なり判定部51cの処理結果すべてに対し、過去フレームで抽出済みである検出エリアDaとの重なりの存否を判定する。また、フレーム間重なり判定部51dは、その判定結果を各検出エリアDaの「得点」および「状態」に反映する。反映結果は、検出情報DB52a上で管理される。
ここで、検出情報DB52aは、図16Bに示すように、たとえば「検出エリアID」項目と、「エリア情報」項目と、「得点」項目と、「状態」項目とを含む。「検出エリアID」項目には、検出エリアDaの識別子が格納され、検出情報DB52aは、かかる検出エリアIDごとに管理される。
「エリア情報」項目には、図16Aで示した検出エリアDaの左上座標(x,y)や、幅w、高さhなどが格納される。「得点」項目には、検出エリアDaそれぞれの現状の得点が格納される。「状態」項目には、検出エリアDaそれぞれの現状の状態(ステート)が格納される。
図16Cにステートマシン図として示すように、各検出エリアDaは、「IDLE」、「潜伏」、「観察」、「ペナルティ」という4つの状態に遷移し得る。「IDLE」は、「未検出状態」、すなわち付着物が付着していない状態を指す。「潜伏」は、「付着物付着の可能性あり」の状態を指す。
「観察」は、付着物除去装置3による付着物の除去動作が行われた「除去処理後の観察状態」を指す。「ペナルティ」は、「除去処理後も当該エリアで付着物が検出され続けている状態」、すなわち、除去不良か誤検出の状態を指す。
フレーム間重なり判定部51dは、判定した判定結果に応じ、検出情報DB52a上で各検出エリアDaの「得点」を更新し、「状態」を遷移させる。
図15の説明に戻る。付着判定部51eは、検出情報DB52aの検出エリアDaの「状態」と「得点」に応じ、付着物の「付着確定」を判定する。
除去要否判定部51fは、付着判定部51eによって「付着確定」と判定された場合に、実際に付着物除去装置3に付着物の除去動作を行わせるか否かを判定する。フレーム間重なり判定部51d、付着判定部51eおよび除去要否判定部51fが実行する処理の詳細については、図18A〜図18Eを用いて後述する。
指示部51gは、除去要否判定部51fによって、付着物の除去が必要と判定された場合に、付着物除去装置3に除去動作を行わせる指示信号を生成して、かかる指示信号を付着物除去装置3へ送出する。
なお、上述した第1および第2の実施形態に係る除去判定装置5は、本実施形態のアルゴリズム間重なり判定部51c、フレーム間重なり判定部51d、付着判定部51e、除去要否判定部51fおよび指示部51gに対応する。
次に、アルゴリズム間重なり判定部51cが実行する判定処理の詳細について、図17A〜図17Dを用いて説明する。図17A〜図17Dは、アルゴリズム間重なり判定部51cの処理説明図(その1)〜(その4)である。
上でも既に述べたが、図17Aに示すように、アルゴリズム間重なり判定部51cは、現フレームでの複数アルゴリズム間での検出エリアDaの重なりの存否を判定する。具体的には、図17Aに示すように、たとえば付着物検出アルゴリズム−1の検出エリアDa−1のすべてと、付着物検出アルゴリズム−2の検出エリアDa−2のすべてとの重なりを判定する。これは、付着物検出アルゴリズム−1と付着物検出アルゴリズム−nとの間、または、付着物検出アルゴリズム−2と付着物検出アルゴリズム−nとの間についても同様である。
なお、図17Bに示すように、たとえば検出エリアDa−1と検出エリアDa−2との重なりは、それぞれの重心からの距離dによって判定される。
そして、図17Cに示すように、アルゴリズム間重なり判定部51cは、たとえば検出エリアDa−1と検出エリアDa−2との間に重なりがあると判定した場合に、検出エリアDa−1および検出エリアDa−2それぞれの得点に加点する。
これにより、重なりが存在しない検出エリアDaに対し、重なりが存在する検出エリアDa−1および検出エリアDa−2の方が、付着物の存在する可能性が高いことを示すことができる。
また、図17Dに示すように、たとえば検出エリアDa−1および検出エリアDa−2に重なりが存在する場合に、アルゴリズム間重なり判定部51cは、これら検出エリアDa−1および検出エリアDa−2のエリア情報を更新する。
たとえば図17Dの(a)に示すように、検出エリアDa−1を優先して、検出エリアDa−1にエリア情報を統合する。また、図17Dの(b)に示すように、逆に検出エリアDa−2を優先して、検出エリアDa−2にエリア情報を統合する。
また、図17Dの(c)に示すように、論理積をとって、重なり部分のみの検出エリアDa−Aにエリア情報を統合する。また、図17Dの(d)に示すように、検出エリアDa−1および検出エリアDa−2の論理和に対応する検出エリアDa−Sにエリア情報を統合してもよい。
また、図17Dの(e)に示すように、検出エリアDa−1および検出エリアDa−2のいずれをも含むように拡張した検出エリアDa−Eにエリア情報を統合してもよい。
次に、フレーム間重なり判定部51d、付着判定部51eおよび除去要否判定部51fが実行する処理の詳細について、図18A〜図18Eを用いて説明する。図18A〜図18Cは、フレーム間重なり判定部51dの処理説明図(その1)〜(その3)である。
また、図18Dは、フレーム間重なり判定部51dおよび付着判定部51eの処理説明図である。また、図18Eは、除去要否判定部51fの処理説明図である。
上でも既に述べたが、図18Aに示すように、フレーム間重なり判定部51dは、現フレームに関するアルゴリズム間重なり判定部51cの処理結果すべてに対し、過去フレームで抽出済みである各検出エリアDaとの重なりの存否を判定する。
具体的には、図18Bに示すように、現フレームの検出エリアDa−Cのすべてと、過去フレームの検出エリアDa−Pのすべてとの重なりを判定する。なお、重なりについての考え方は、アルゴリズム間重なり判定部51cの場合と同様であってよい。
そして、図18Bに示すように、フレーム間重なり判定部51dは、現フレームの検出エリアDa−Cと過去フレームの検出エリアDa−Pとの間に重なりがあると判定した場合に、検出エリアDa−Cおよび検出エリアDa−Pそれぞれの得点に加点する。
これにより、フレーム間重なり判定部51dは、たとえば、フレームを隔ててなおレンズ2aのほぼ同一の領域に存在する付着物を示すことができる。
一方、図18Cに示すように、フレーム間重なり判定部51dは、過去フレームの検出エリアDa−Pにつき、現フレームの検出エリアDa−Cのいずれとも重なりが存在しないものについては、得点を減点する。
また、フレーム間重なり判定部51dは、現フレームの検出エリアDa−Cにつき、過去フレームの検出エリアDa−Pのいずれとも重なりが存在しないものについては、新規の検出エリアDaであるとして、検出情報DB52aへ新規登録する。
新規登録される検出エリアDaは、図18Dに示すように、「潜伏」状態となり、所定の得点を付与される。そして、かかる「潜伏」状態から、前述の「加点」や「減点」を経ることで変化する検出エリアDaの得点に応じ、フレーム間重なり判定部51dおよび付着判定部51eは、検出エリアDaの状態を遷移させる。
たとえば、図18Dに示すように、フレーム間重なり判定部51dは、「潜伏」状態にある検出エリアDaの得点が所定点以下となった場合、かかる検出エリアDaの状態を「潜伏」から「IDLE」へ遷移させる(ステップS11)。これにより、たとえば流れ落ちるなどして移動し、除去するまでもない雨滴等の付着物に対し、除去処理を行ってしまう誤反応を防止することができる。
また、「潜伏」状態にある検出エリアDaの得点が所定点以上となった場合、付着判定部51eは、当該エリアに対する付着物の付着を確定(付着確定)させる(ステップS12)。
また、付着判定部51eは、付着確定後、「潜伏」状態にあるすべての検出エリアDaを「観察」状態へ遷移させる(ステップS13)。これは、仮に1つの検出エリアDaの付着確定に応じて除去処理が行われた場合、付着確定されていなかった「潜伏」状態の他の検出エリアDaについても、通常であれば付着物は除去されたと推定されるためである。
なお、フレーム間重なり判定部51dは、除去処理が行われて「観察」状態にある検出エリアDaの得点が所定点以上となった場合、検出エリアDaを「ペナルティ」状態へ遷移させる(ステップS14)。これにより、除去処理後も付着物が検出され続けている除去不良または誤検出を把握することができる。
また、フレーム間重なり判定部51dは、「観察」状態または「ペナルティ」状態にある検出エリアDaの得点が所定点以下となった場合、検出エリアDaを「IDLE」状態へ遷移させる(ステップS15)。
なお、図18Dにおいて「加点」および「減点」を示している矢印の傾きを調整することによって、付着確定までの反応速度を制御してもよい。たとえば加点量および減点量を大きくして上記矢印の傾きを急にすることによって、付着物の検出から除去処理までの反応速度を上げることができる。
また、付着確定がなされた検出エリアDaであっても、あえて除去動作を行わないようにしてもよい。たとえば、除去要否判定部51fは、図18Eに示すように、付着確定がなされた検出エリアDaが、画面の外周にほぼ沿ったスキップ領域に存在するならば、除去処理の実行を不要と判定することができる。
このように、搭乗者の視認や運転動作に影響の少ない画像領域に付着した付着物についてはその除去処理自体をスキップすることで、システム全体の処理負荷を軽減することができる。
次に、本実施形態に係る付着物除去システム1が実行する処理手順について、図19を用いて説明する。図19は、付着物除去システム1が実行する処理手順を示すフローチャートである。
まず、複数の付着物検出部51aが、それぞれ1フレーム分のカメラ画像を取得する(ステップS301)。そして、たとえば付着物検出部51a−1は、付着物検出アルゴリズム−1を用いて検出エリアDa−1を抽出する(ステップS302)。
また、たとえば付着物検出部51a−2は、付着物検出アルゴリズム−2を用いて検出エリアDa−2を抽出する(ステップS303)。また、たとえば付着物検出部51a−nは、付着物検出アルゴリズム−nを用いて検出エリアDa−nを抽出する(ステップS304)。
そして、除外部51bが、付着物検出部51aによって抽出され、通知される検出エリアDaのそれぞれにつき、除外処理を行う(ステップS305)。すなわち、除外部51bは、検出エリアDaに存在すると推定される付着物が本当に付着物であるか否かを判定し、付着物でなければ、これに対応する検出エリアDaを後段の処理対象から除外する。
なお、かかる除外処理自体は、たとえば省略されてもよい。これにより、システム全体に対する処理負荷を軽減することができる。
つづいて、アルゴリズム間重なり判定部51cが、アルゴリズム間重なり判定処理を行う(ステップS306)。すなわち、アルゴリズム間重なり判定部51cは、現フレームでの複数アルゴリズム間での検出エリアDaの重なりの存否を判定し、その判定結果に応じて検出エリアDaの得点を更新する。
そして、フレーム間重なり判定部51dが、フレーム間重なり判定処理を行う(ステップS307)。すなわち、フレーム間重なり判定部51dは、アルゴリズム間重なり判定部51cの処理結果すべてに対し、過去フレームで抽出済みである各検出エリアDaとの重なりの存否を判定し、その判定結果に応じて検出エリアDaの得点および状態を更新する。
そして、付着判定部51eが、付着判定処理を行う(ステップS308)。すなわち、付着判定部51eは、フレーム間重なり判定部51dによって更新された検出情報DB52aの検出エリアDaの得点および状態に応じ、付着物の付着確定を判定する。
そして、除去要否判定部51fが、付着判定部51eによって「付着確定」と判定された場合に、実際に付着物除去装置3による付着物の除去が必要か否かを判定する(ステップS309)。
ここで、「除去要」であると判定された場合(ステップS309,Yes)、指示部51gが、付着物除去装置3へ指示信号を送出して、付着物除去装置3に除去動作を行わせる除去処理を実行する(ステップS310)。一方、「除去要」でないと判定された場合(ステップS309,No)、指示部51gは、除去処理を実行しない。
そして、制御部51が、処理終了イベントがあるか否かを判定する(ステップS311)。処理終了イベントは、たとえばIGオフやACCオフなどに対応する。ここで、処理終了イベントがないと判定された場合(ステップS311,No)、ステップS301からの処理を繰り返す。また、処理終了イベントがあると判定された場合(ステップS311,Yes)、付着物除去システム1は、処理を終了する。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。