JP2018071631A - 粘弾性制振ダンパー - Google Patents
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この種の粘弾性制振ダンパーとして、例えば下記非特許文献1に示すような、上下方向に間隔をあけて配置された一対の支柱(建築構造物)に各別に取付けられた第1部材および第2部材のうち、第1部材は、表裏面が鉛直方向に沿って建築構造物に取付けられる第1本体板と、第1本体板を、その表裏面が向く一方向に挟んだ状態で第1本体板に連結される一対の接続板と、を備え、第2部材は、第1本体板と上下方向の位置を異ならせて配置された状態で建築構造物に取り付けられ、一対の接続板に前記一方向に挟まれる第2本体板を備え、粘弾性体が、一対の接続板と第2部材とを各別に連結するように第2本体板を前記一方向に挟んで一対配設された構成(以下、「間柱タイプ」という。)が知られている。
また、この種の粘弾性制振ダンパーとして、例えば下記非特許文献1に示すような、第1部材および第2部材が長尺状をなし、第1部材は、筒状をなす第2部材の内側に挿入されるとともに、第1部材が、第2部材の内面に粘弾性体を介して配置され、第1部材および第2部材が、上下方向に対して傾斜した状態で、第1部材の長手方向における一方側の端部と、第2部材の長手方向における他方側の端部と、が建築構造物に各別に取付けられた構成(以下、「ブレースタイプ」という。)も知られている。
またブレースタイプでは、粘弾性制振ダンパーを据え付ける際にピン接合で仮付けすることが多く、第1部材および第2部材が、それぞれの長手方向の端部を中心に相対的に回動することで位置ずれを起こし、第1部材および第2部材の自重が粘弾性体に直接作用することがあった。これにより、特に夏場等の高温環境下で粘弾性体がへたって大きく変形した場合には、例えば、第1部材が第2部材に対して傾いて(せって)しまい、第1部材の外面と、第2部材の内面と、が部分的に接触することがある等し、そのまま本接続されてしまうと、粘弾性制振ダンパーの据え付け精度が低下するおそれがあった。
以上のように、粘弾性体が大きく変形した状態で、粘弾性制振ダンパーが据え付けられることによって、所期した制振性能が発揮されないおそれがあった。
この場合、支持部材が、接続板および第2部材のうちのいずれか一方における外周縁部に各別に配設されているので、接続板と第2部材との間に、広範囲にわたって、前記一方向の隙間を確保することが可能になる。このため、粘弾性体が大きく変形するのを効果的に抑えることができる。
この場合、支持部材が、前記他方向で互いに対向する位置に各別に配設されているので、接続板および第2部材が、前記沿面方向のうち、水平方向の一方側に位置する部分を互いに離間させながら、他方側に位置する部分を互いに接近させるように相対変位するのを規制することが可能になり、粘弾性体が大きく変形するのを確実に抑えることができる。
この場合、支持部材が、前記ナット部材および前記ボルト部材を備えているので、簡易な構成で前述の各作用効果を確実に奏功させることができる。
また、ナット部材の雌ねじ部と、ボルト部材の雄ねじ部と、が互いに螺合しているので、ボルト部材を回転させることで、支持部材の、前記一方から前記他方に向けた突出量を容易に調整することができる。
以下、図1から図4を参照し、本発明の第1実施形態に係る粘弾性制振ダンパー10について説明する。本実施形態に係る粘弾性制振ダンパー10は、間柱タイプである。
図1に示すように、本実施形態に係る粘弾性制振ダンパー10は、図示しない建築構造物に取付けられる第1部材11および第2部材12と、第1部材11と第2部材12とを連結し、建築構造物から第1部材11又は第2部材12に伝達される振動エネルギーを吸収する粘弾性体13と、を備えている。
なお、以下の説明において、粘弾性制振ダンパー10のうち、第1本体板11A側を下側、第2本体板12A側を上側という。また、前記一方向を板厚方向いい、第1本体板11Aおよび第2本体板12Aの表裏面に沿う方向を沿面方向という。また、板厚方向に直交し、水平方向に沿う他方向を左右方向という。
第1本体板11Aおよび第2本体板12Aそれぞれの左右方向の大きさは、互いに同等となっている。第1本体板11Aおよび第2本体板12Aそれぞれの左右方向の位置は、互いに一致している。第1本体板11Aおよび第2本体板12Aそれぞれの厚み寸法は、互いに同等となっている。
側板16a、16bは、左右方向から見た側面視で一対の辺が板厚方向に延び、かつ残り一対の辺が上下方向に延びる矩形状を呈する。側板16a、16bそれぞれの板厚方向の大きさは、互いに同等となっている。側板16a、16bそれぞれの板厚方向の位置は、互いに一致している。側板16a、16bそれぞれの厚み寸法は、互いに同等となっている。
図2に示すように、第1本体板11Aの下端部、および第2本体板12Aの上端部にはそれぞれ、建築構造物に取付けられる際に用いられる取付け孔14a、14bが、左右方向に間隔をあけて複数配置されている。
接続板11Bは、第1本体板11Aおよび第2本体板12Aに、上下方向に跨って配設されている。
第1本体板11Aと接続板11Bとの間には、スペーサとしてのフィラープレート17が配設されている。フィラープレート17は、第1本体板11Aと接続板11Bとの間に配設されている。
図2に示すように、連結板12Bは、板厚方向から見て、一対の辺が左右方向に延び、かつ残り一対の辺が上下方向に延びる矩形状を呈する。連結板12Bは、接続板11B、および第2本体板12Aに、上下方向に跨って配設されている。
図1に示すように、連結板12Bおよび第2本体板12Aは、複数の連結部材を介して互いに連結されている。連結板12Bの上端部および第2部材にはそれぞれ、互いが板厚方向に連通する貫通孔14dが複数形成されている。連結部材は、一対の連結板12Bおよび第2本体板12Aを、貫通孔14dを通して一体に貫いている。
連結板12Bと第2本体板12Aとの間には、スペーサとしてのフィラープレート18が配設されている。フィラープレート18は、連結板12Bと第2本体板12Aとの間における上端部に配設されている。
粘弾性体13は、一対の接続板11Bと第2部材12とを各別に連結するように第2本体板12Aを板厚方向に挟んで一対配設され、左右方向に入力された振動エネルギーを吸収する。
粘弾性体13は、接続板11Bに配設されている。粘弾性体13は、一対の接続板11Bの表裏面に各別に配設され、連結板12Bと接続板11Bとの間、並びに接続板11Bと第2本体板12Aとの間にそれぞれ配設されている。
図示の例では、支持部材19は、第1本体板11Aにおける接続板11Bに配設されている。支持部材19は、沿面方向と直交する板厚方向に向けて突出し、第2本体板12A上を摺動する。支持部材19は、粘弾性制振ダンパー10における上下方向の中央部に配設されている。なお、支持部材19は、上下方向の中央部から上下方向に位置をずらして配設されていてもよい。
図示の例では、ナット部材19aは、第1本体板11Aの接続板11Bに配設され、ボルト部材19bは、第1本体板11Aと第2本体板12Aとが沿面方向に相対変位をした際に、第2本体板12A上を摺動する。なお、ナット部材19aが、第2本体板12Aに配設され、ボルト部材19bが、接続板11B上を摺動してもよい。
なお、ナット部材19aおよびボルト部材19bを形成する材質としてはこれらに限られず、ナット部材19aを合成樹脂材料等で形成してもよいし、ボルト部材19bを金属材料等で形成してもよい。
また、ナット部材19aの雌ねじ部と、ボルト部材19bの雄ねじ部と、が互いに螺合しているので、ボルト部材19bを回転させることで、接続板11Bから第2本体板12Aに向けた支持部材19の突出量を容易に調整することができる。
次に、図5および図6を参照し、本発明に係る第2実施形態に係る粘弾性制振ダンパー20について説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
以下の説明において、第2部材22の中心軸線Oに沿う方向を長手方向といい、長手方向から見て、中心軸線Oと交差する方向を径方向という。
分割管22aは、前記横断面視で径方向の内側に向けて開口するC字状を呈する。図5に示すように、分割管22aの長手方向における他方側の端部E4には、建築構造物に取付けられる取付け孔22cが複数形成されている。
一対の分割管22aの内周面のうち、径方向で互いに対向する内側底面22dは、第1部材21におけるフランジ21aの表面のうち、径方向の外側を向く外側面21dと対向している。
また、図5に示すように、粘弾性体23は、前記隙間のうち、第2部材22の長手方向における一方側の端部E3が位置する部分、および第1部材21の長手方向における他方側の端部E2が位置する部分に、各別に配設されている。粘弾性体23は、第2部材22の内側に配設されるとともに、一対のフランジ21aが互いに対向する方向から見て、長手方向に長い長方形状を呈する。
粘弾性体23の厚み寸法は、第1部材21におけるウェブ21bの厚み寸法よりも小さくなっている。
図示の例では、支持部材29は、第1部材21の外面に配設され、第2部材22の内面に向けて突出し、第2部材22の内面を摺動する。このため、支持部材29は、粘弾性体23が制振する長手方向と交差する方向に向けて突出している。なお、支持部材29は、第2部材22の内面に配設され、第1部材21の外面を摺動してもよい。
また、図6に示すように、支持部材29は、粘弾性制振ダンパー20の前記横断面視において、中心軸線Oを径方向に挟んで互いに反対となる位置に各別に配置されている。
膨出部21fに、ナット部材29aが固着されている。ナット部材29aの外周面が、固定板21eの膨出部21fのうち、長手方向の内側を向く内側面に固着されている。
ナット部材29aは、例えば溶接等により固定板21eに固着されている。なお、支持部材29は、固定板21eを介さずに、第1部材21の外面および第2部材22の内面のうち、いずれか一方に配設されてもよい。
図7に示すように、変形例の粘弾性制振ダンパー30では、第2部材22の径方向の外側に、径方向に互いに対向して配置され、第2部材22を径方向に囲繞する一対の囲繞分割管31が配設されている。一対の囲繞分割管31は、径方向のうち、前記横断面視でウェブ21bが延びる方向に対向している。囲繞分割管31は、例えば金属材料等により形成されている。囲繞分割管31は、前記横断面視で径方向の内側に向けて開口するU字状を呈する。
囲繞分割管31と第2部材22との径方向の隙間には、粘弾性体23が中心軸線Oを挟んで一対各別に配設されている。
このように、粘弾性制振ダンパー30に囲繞分割管31が配設されている場合には、粘弾性制振ダンパー30に配設される粘弾性体23の数量を増やすことができ、粘弾性制振ダンパー30の制振性能を向上することができる。
また、支持部材は、第2部材12の第2本体板12Aから板厚方向に向けて突出し、接続板11B上を摺動してもよいし、第2部材12の連結板12Bから板厚方向に向けて突出し、接続板11B上を摺動してもよい。
さらにまた、粘弾性制振ダンパーが、これらの支持部材を複数備えていてもよい。
また、上記第1実施形態においては、支持部材19が一対配設された構成を示したが、このような態様に限られず、支持部材は、3つ以上配設されていてもよい。
11、21 第1部材
11A 第1本体板
11B 接続板
12、22 第2部材
12A 第2本体板
13、23 粘弾性体
19、29 支持部材
19a、29a ナット部材
19b、29b ボルト部材
Claims (6)
- 建築構造物に取付けられる第1部材および第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材とを連結し、前記建築構造物から入力される振動エネルギーを吸収する粘弾性体と、を備えた粘弾性制振ダンパーであって、
前記第1部材および前記第2部材のうちの少なくとも一方から、前記粘弾性体が制振する方向と交差する方向に向けて突出し、他方上を、前記制振する方向に摺動する支持部材を複数備えることを特徴とする粘弾性制振ダンパー。 - 前記第1部材は、表裏面が鉛直方向に沿って前記建築構造物に取付けられる第1本体板と、前記第1本体板を、その表裏面が向く一方向に挟んだ状態で前記第1本体板に連結される一対の接続板と、を備え、
前記第2部材は、前記第1本体板と上下方向の位置を異ならせて配置された状態で前記建築構造物に取り付けられ、前記一対の接続板に前記一方向に挟まれる第2本体板を備え、
前記粘弾性体は、前記一対の接続板と前記第2部材とを各別に連結するように前記第2本体板を前記一方向に挟んで一対配設され、前記一方向に直交し、水平方向に沿う他方向に入力された前記振動エネルギーを吸収し、
前記支持部材は、前記接続板および前記第2部材のうちの少なくとも一方から他方に向けて突出していることを特徴とする請求項1に記載の粘弾性制振ダンパー。 - 前記支持部材は、前記接続板および前記第2部材のうちのいずれか一方における外周縁部に各別に配設されていることを特徴とする請求項2に記載の粘弾性制振ダンパー。
- 前記支持部材は、前記他方向で互いに対向する位置に各別に配設されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の粘弾性制振ダンパー。
- 前記第1部材および前記第2部材は長尺状をなし、
前記第1部材は、筒状をなす前記第2部材の内側に挿入されるとともに、前記第1部材が前記第2部材の内面に、前記粘弾性体を介して配置され、
前記第1部材の長手方向における一方側の端部と、前記第2部材の長手方向における他方側の端部と、が前記建築構造物に各別に取付けられ、
前記支持部材は、前記第1部材の外面および前記第2部材の内面のうち、いずれか一方からいずれか他方に向けて突出し、
前記支持部材は、前記第2部材の内側において、前記第1部材が配置されている領域における長手方向の両端部に各別に配設され、
これらの支持部材は、長手方向に直交する横断面視において、前記第2部材の中心軸線を径方向に挟んで互いに反対となる位置に各別に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の粘弾性制振ダンパー。 - 前記支持部材は、内周面に雌ねじ部が形成されたナット部材と、外周面に前記雌ねじ部と螺合する雄ねじ部が形成されたボルト部材と、を備え、
前記第1部材および前記第2部材のうちの少なくとも一方に前記ナット部材が配設され、他方上を前記ボルト部材が摺動することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の粘弾性制振ダンパー。
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