JP2018071125A - 鋼板コンクリート構造体の充填状況測定方法および鋼板コンクリート構造体の構築方法 - Google Patents
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Abstract
Description
免震基礎は、以下の手順で構築される。すなわち、免震基礎の配筋を行い、その後、免震基礎の外周側面に沿って型枠を建て込む。次に、鉄筋の上にベースプレートを設置する。この状態で、ベースプレートの中央の開口から型枠内にコンクリートを圧入する。
第1に、特許文献1には、免震基礎に打設したコンクリートの硬化前に、超音波をこのコンクリートに照射し、測定される波形変化によってコンクリートの状況を判定する充填状況測定方法が提案されている。
具体的には、試験体のコンクリートを圧入した後、ベースプレートを取り外す。すると、ベースプレート下面であるコンクリート表面の一部には、気泡である凹部が形成されている。そこで、このコンクリート表面を撮影し、この画像を画像処理することで凹部の面積を算出して、コンクリートの充填率を算出する。
本発明の鋼板コンクリート構造体の充填状況測定方法は、鋼板を取り除いたコンクリート表面に形成される凹部分をペンキ等で着色するのではなく、コンクリート表面に粒状体を散布し、凹部分に留まった粒状体の投影面積を算出してコンクリートの充填率を求めるものである。
また、本発明の鋼板コンクリート構造体の構築方法は、先ず、試験体の施工を行い、その試験体を対象に本発明の充填状況測定方法によって得られた充填率が所定の閾値を超えるように、コンクリートまたはグラウト材の調合を決定した後、実施工を行うことを特徴とする。
なお、粒状体の投影面積を求める場合、構造体の鋼板を取り除いた上面を撮影し、この撮影した画像を画像処理することで、粒状体の投影面積を求めてもよい。
充填状況測定方法は、鋼板を取り除いた鋼板コンクリート構造体の上面に粒状体を散布し、その上面に形成された凹部分に留まる粒状体の投影面積を算出して、鋼板コンクリート構造体におけるコンクリートまたはグラウト材の充填率を求める第1実施形態(図1〜図6)がある。他に、透過性を有する粒状体を用いる点が第1実施形態と異なる第2実施形態(図7)と、熱可塑性樹脂の粒状体を用いる点が第1実施形態と異なる第3実施形態(図8)と、がある。
また、本明細書でいう調合とは、調合強度、水セメント比、単位水量、混和剤量、単位セメント量などを決定するとともに、混和材料、細骨材、粗骨材量などを決定し、コンクリート等に要求される性能を実現するために行う調合設計と定義する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る鋼板コンクリート構造体の構築方法が適用される鋼板コンクリート構造体としての免震基礎1の縦断面図である。
免震基礎1は、免震装置10を介して基礎2で建物3を支持する免震構造に用いられる。免震基礎1は、基礎2の上に設けられており、免震装置10は、この免震基礎1の上に設置される。
積層ゴム12は、鋼板とゴムとが交互に積層されたものである。
上下のフランジ11、13には、周縁部に沿って所定間隔おきに、ボルトを挿通するためのボルト挿通孔14、15が設けられている。
また、建物3の下面には、ベースプレート30が打ち込まれているが、このベースプレート30は、ベースプレート20と略同一の構造である。
試験体40のコンクリートの充填状況が合格である場合には、この試験体に用いたコンクリートの調合および打設方法を用いて、免震基礎1を実施工する。
試験体40は、免震基礎1と同様に、コンクリートが充填された鉄筋コンクリート造の構造体であり、この試験体40の上面には、免震装置を取り付けるための鋼板としてのベースプレート20が打ち込まれる。
ステップS2では、配筋した鉄筋の上にベースプレート20を設置し、内側型枠42を建て込む。
ステップS5では、図6に示すように、刷毛60でベースプレート支持面45を掃くことで、粒状体50のうち凹部46以外の部分に位置するものを除去する。
具体的には、凹部46は粒状体50が溜まって着色されているので、ベースプレート支持面45をカメラ等で撮影し、この撮影画像をパーソナルコンピュータのソフトウェアに取り込んで画像処理することで、粒状体50で着色された部分の投影面積を算出して、凹部46の面積とする。
具体的には、撮影画像を画像処理することで、ベースプレート支持面45の面積を算出する。次に、ベースプレート支持面45のうち凹部46以外の部分の面積(つまり、ベースプレート支持面45の面積から凹部46の面積を減算した値)をベースプレート支持面45の面積で除算した値を、コンクリートの充填率として算出する。
具体的には、凹部46に溜まった粒状体50を図示しない吸引器で吸引して、この吸引した粒状体50の体積を計測し、この計測した体積を凹部46の面積で除算した値を、凹部46の平均深さとして算出する。
ステップS10では、試験施工で使用したコンクリートの調合および打設方法が良好であったため、今回のコンクリートの調合および打設方法で複数の免震基礎1を実施工で構築する。
ステップS11では、試験施工で使用したコンクリートの調合および打設方法が良好ではなかったため、コンクリートの調合および打設方法のうち少なくとも一方を変更してステップS1に戻り、再度、試験施工を行う。このようにして、良好なコンクリートの調合とコンクリートの打設方法の選定を行う。具体的には、コンクリートの充填率を向上させるために、試験施工時のコンクリートの配合設計をベースとし、コンクリートの流動性を確保するために主にスランプフロー値を調整して、新たに試験施工用の調合を行う。また、グラウト材の場合は、主に水量でフロー調整を行う。
(1)凹部46にのみ粒状体50が留まるので、この粒状体50の投影面積を求めることで、凹部46の面積を簡単に求めることができる。よって、免震基礎の試験体40のベースプレート支持面45の面積に対する、ベースプレート支持面45のうち凹部46以外の部分の面積の割合を求めることで、コンクリートの充填率を高精度で求めることができる。また、従来のようにベースプレート支持面45の凹部46を手作業で着色する必要がないので、作業手間を軽減できる。
図7は、本発明の第2実施形態に係る充填状況測定方法により試験体40のコンクリートの充填状況を測定する手順の説明図である。
本実施形態では、粒状体50Aが着色されて透過性を有している点が、第1実施形態と異なる。
本実施形態では、図7に示すように、凹部46の深度に応じて色が変化する。つまり、凹部46の深い部分は色が濃くなり、浅い部分は、色が薄くなる。
(4)透過性を有する粒状体50Aを用いることで、凹部46の色の濃淡に基づいて凹部46の深さを容易に目視で確認できる。
図8は、本発明の第3実施形態に係る充填状況測定方法により試験体40のコンクリートの充填状況を測定する手順の説明図である。
本実施形態では、図8に示すように、粒状体50Bが着色された直径略5mmの円盤状の熱可塑性樹脂である点が、第1実施形態と異なる。
本実施形態では、凹部46の面積を算出する際、凹部46内の粒状体50Bに熱風を当てて溶かして、凹部46内に充実させておき、この状態で、ベースプレート支持面45をカメラ等で撮影し、この撮影画像を画像処理して、粒状体50で着色された部分の投影面積を凹部46の面積として算出する。
(5)粒状体50Bを直径略5mmの円盤状としたので、粒状体50Bが直径5mm未満の凹部46に入り込むことはない。よって、直径5mm以上のある程度大きな凹部46についてのみ、面積を求めることができる。
また、粒状体50Bを熱風で溶かして凹部46内に充実させたので、凹部46の面積をより高精度で算出できる。
例えば、上述の実施形態は、鋼板下にコンクリートが充填される免震基礎1を対象としたが、これに限らず、コンクリートの打継面や、ダイヤフラム(補剛板)を有するコンクリート充填鋼管柱についても、適用可能である。
10…免震装置 11…フランジ 12…積層ゴム 13…フランジ
14…ボルト挿通孔 15…ボルト挿通孔 16…ボルト 17…ボルト
20…ベースプレート(鋼板) 21…貫通孔 22…雌ねじ 30…ベースプレート
40…試験体 41…外側型枠 42…内側型枠 43…コンクリート打設配管
44…コンクリート上面 45…ベースプレート支持面 46…凹部
50、50A、50B…粒状体 60…刷毛
Claims (3)
- コンクリートまたはグラウト材が充填されて上面に鋼板が打ち込まれた鋼板コンクリート構造体の充填状況を測定する方法であって、
前記鋼板コンクリート構造体の鋼板を取り除いた上面に粒状体を散布する工程と、
前記粒状体のうち当該鋼板コンクリート構造体の上面に形成された凹部以外の部分に位置するものを除去する工程と、
前記凹部内に留まった粒状体の投影面積を算出し、前記鋼板コンクリート構造体におけるコンクリートまたはグラウト材の充填率を算出する工程と、を備えることを特徴とする鋼板コンクリート構造体の充填状況測定方法。 - 前記粒状体は、透過性を有していることを特徴とする請求項1に記載の鋼板コンクリート構造体の充填状況測定方法。
- 鋼板コンクリート構造体の構築方法であって、
所定のコンクリートまたはグラウト材の調合で、鋼板コンクリート構造体の試験体を構築し、請求項1または2に記載の鋼板コンクリート構造体の充填状況測定方法を用いて、当該試験体の充填率を求める工程と、
当該求めた充填率が所定の閾値を超える場合には、当該試験体に用いたコンクリートまたはグラウト材の調合で、鋼板コンクリート構造体を実施工する工程と、を含むことを特徴とする鋼板コンクリート構造体の構築方法。
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