JP2008285843A - トンネル覆工コンクリートの施工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】天端部の品質をより向上させることができる覆工コンクリートの施工方法を提供する。
【解決手段】覆工コンクリートの施工地点に型枠(1)を移動し据え付ける工程と、該施工地点にコンクリートを運搬する工程と、該型枠(1)と被覆面(2)との間隙(3)にコンクリートを打ち込む工程と、該打ち込んだコンクリートを締め固める工程と、該型枠(1)を該被覆面(2)から取り外す工程と、該打ち込んだコンクリートを養生する工程とを有する。該コンクリートのスランプまたはスランプフローが所定値の範囲でかつ、流動性能及び充填性能が所定値以上で、該型枠(1)は、該被覆面(2)の天端部(2a)から肩部(2b)または側壁部(2c)にかけて対向する位置に、周方向(R)及び長さ方向(Z)に間隔を保って配置された複数の型枠振動機(4)を備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】覆工コンクリートの施工地点に型枠(1)を移動し据え付ける工程と、該施工地点にコンクリートを運搬する工程と、該型枠(1)と被覆面(2)との間隙(3)にコンクリートを打ち込む工程と、該打ち込んだコンクリートを締め固める工程と、該型枠(1)を該被覆面(2)から取り外す工程と、該打ち込んだコンクリートを養生する工程とを有する。該コンクリートのスランプまたはスランプフローが所定値の範囲でかつ、流動性能及び充填性能が所定値以上で、該型枠(1)は、該被覆面(2)の天端部(2a)から肩部(2b)または側壁部(2c)にかけて対向する位置に、周方向(R)及び長さ方向(Z)に間隔を保って配置された複数の型枠振動機(4)を備えている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、トンネル内面のライニング等に使用される覆工コンクリートの施工方法に関するものである。
トンネル工事において、掘削により露出したトンネル内面の地肌には、防水シートが設置され、覆工コンクリートが打設される。そして、この覆工コンクリートは、まず、覆工コンクリートの施工地点に型枠を移動し据え付け、その施工地点にコンクリートを運搬し、続いて型枠と被覆面(防水シートが設置された地肌)との間隙にコンクリートを打ち込み、打ち込んだコンクリートを締め固めた後、型枠を被覆面から取り外して打ち込んだコンクリートを養生することにより打設される。
コンクリートの打ち込みはポンプを利用して行われるが、この際、トンネル内の最高部(以下「天端部」と称す)の高さの3分2程度の高さとなる部分(以下「肩部」と称す)付近までは型枠の左右両側の打設窓より縦断方向(トンネルの長さ方向)および横断方向(周方向)において打込み高さが均等になるように打ち上げていく。しかしながら、肩部から天端部にかけては、コンクリートを打ち込むための窓からのコンクリート流出を防ぐため、肩部付近からは、型枠天端部の既設側の1箇所に設けられた吹上口から奥(妻板側)ヘ向かって、コンクリートを充填させていくことになる。
一方、このような覆工コンクリートの打設に使用されるコンクリートのスランプは15cm程度であり、流動性に乏しいため、自然に硬化させた場合は層状に打ち込まれたコンクリートが一体化せず、乾燥収縮などによるひび割れを生じる原因になる等して、品質の低下につながってしまう。そのため、振動機を用いて締固めを十分に行う必要がある。また、有筋区間にあっては、スランプ15cm程度のコンクリートでは、更に充填が困難なものとなっている。ところが、天端部付近のコンクリートについては、締固めの作業を行うための十分な空間が確保できず、また、振動機の挿入口からコンクリートが流出する問題などもあり、実質的には締固めがされていないに等しい状況であった。そして、覆工コンクリートの天端部はその品質において懸念される部位となっていた。
そこで、覆工コンクリートの天端部を締め固めるための様々な手法が提案されており、そのような手法として、例えば、特開2001−262986号公報や特開2002−235496号公報に開示されているコンクリート締固め方法がある。
特開2001−262986号公報
特開2002−235496号公報
しかしながら、従来のコンクリート締固め方法は、覆工コンクリートの天端部の締固めを可能にするものではあっても、十分な効果は期待できず、覆工コンクリートの天端部の強度を十分に高めるものとはいえなかった。
そこで、本発明の目的は、天端部の品質をより向上させることができる覆工コンクリートの施工方法を提供することにある。
本発明にかかる覆工コンクリートの施工方法は、覆工コンクリートの施工地点に型枠を移動し据え付ける工程と、該施工地点にコンクリートを運搬する工程と、該型枠と被覆面との間隙にコンクリートを打ち込む工程と、該打ち込んだコンクリートを型枠振動機により締め固める工程と、該型枠を該被覆面から取り外す工程と、該打ち込んだコンクリートを養生する工程とを有する。該コンクリートは、そのスランプまたはスランプフローが所定値の範囲でかつ、流動性能及び充填性能が所定値以上のものとなっている。該型枠は、該被覆面の天端部から肩部または側壁部に対向する位置に、周方向及び長さ方向に間隔を保って配置された複数の振動機を備えている。なお、本発明において側壁部とは、トンネル内壁面が水平面と直交する向きになる部分をいうものとする。
該スランプの所定値が18.5〜23.5cmまたは該スランプフローの所定値が35〜50cm、該流動性能の所定値が無振動のときが26cm以上で有振動のときが50cmから75cmまでの到達速度が6.4cm/sec以上、該充填性能の所定値が28cm以上であってもよい。
なお、該有振動のときの振動はいずれも、振動数が8000rpm、振幅が1.6mm以上で、JISA8610に定める種類及び公称径BM32のバイブレータによるものである。また、本発明においてスランプとはJISA1101によるスランプを、スランプフローとはJISA1150によるスランプフローを意味する。更に、流動性能とは、JSCE−F514による到達距離を、充填性能とはJSCE−F511による充填高さを意味する。
本発明にかかる覆工コンクリートの施工方法によれば、スランプまたはスランプフローが所定値の範囲でかつ、流動性能および充填性能が所定値以上のコンクリートと、被覆面の天端部から肩部または側壁部にかけて対向する位置に、トンネルの周方向及び長さ方向に間隔を保って配置された複数の型枠振動機を備えた型枠とを組み合わせて使用することで、天端部近傍における型枠と被覆面との間隙にコンクリートを均一に打込み、締め固めることができる。そのため、天端部近傍のコンクリートを一体化させ、覆工コンクリートの天端部の品質をより向上させることができる。
コンクリートの流動性については、これを高めることによりコンクリートを均一に打込むという発想は従来もあった。しかしながら、従来の発想では、コンクリートをより流動し易いものとするためにコンクリートの配合において水分を増やす傾向となり、締固め不足だけでなく、材料分離によるジャンカ発生、不均一な強度の部位の発生、ブリーディング水の発生や空気溜りによる背面空洞の発生などを招いていた。これに対し、本発明は、コンクリートの選択に関していえば、その流動性のみではなく充填性能にも着眼している点を特徴とする。そして、本発明において、スランプ、スランプフロー、流動性能そして充填高さは、これらの性質を満たすための指標となっている。なお、コンクリートの選択に関し自己充填性能に優れた高流動コンクリートの選択も考えられてはいたが、この場合、施工速度が遅くなり高価となるという問題があった。これに対し、本発明ではより速くそして安価な施行が可能となるため、高流動コンクリートを選択する場合と比べてもなお、優れた特徴があるといえる。
本発明にかかる覆工コンクリートの施工方法の具体例を、図1を参照しながら説明する。図1は施工対象となるトンネルに設置される型枠を示し、(a)は型枠が設置された状態の正面図、(b)は型枠の側面図である。
本施工方法では、まず、覆工コンクリートの施工地点に型枠1を移動し据え付け、図1に示す状態とし、この施工地点にコンクリートを運搬する。そして、型枠1と被覆面2との間隙3にコンクリートを打ち込む。なお、これらの工程の大部分は、従来の覆工コンクリート打設方法と同様に行えばよい。ただし、型枠1と被覆面2との間隙3にコンクリートを打ち込む工程は、従来の打設方法と異なり、まず、圧送速度は、次に説明するコンクリートを使用し、14〜16m3/h程度とすることが好ましい。一般的に,コンクリートの打設速度は約18m3/hで実施されることが多いが、本施工方法で使用されるコンクリートの性状では、振動をかけ過ぎると型枠に作用する側圧が上昇し構造的な負荷が大きくなる。そこで、振動時間を少なくしてゆっくりと時間をかけ打上げること、すなわち圧送速度を一般よりも下げることにより、この負荷の増大に対処することができる。なお、増大する負荷に対し、型枠の強度をより強くする方法も考えられるが、その場合はコストが高くなるため、圧送速度を下げることが好ましい。また、一般的に側壁部では、コンクリートの圧送は型枠構造の安定を考慮してバランスを保つために各側交互に打込むが、さらに本施工方法において、コンクリートは天端を除き縦断方向に型枠中央で左右に振り分けて、具体的には、生コン車1台分のコンクリートを天端部1aを通る鉛直線を境とした各側(図1(a)における左右各側)に2.25m3ずつ圧送する。上記の通り本施工方法では振動時間を少なくしてゆっくりと時間をかけ打上げることが必要となるため、型枠中央で左右に振り分けて圧送することで、片側づつのコンクリートの流れる距離を短くし振動時間も短くする。
型枠1と被覆面2との間隙3に打ち込むコンクリートとして、スランプまたはスランプフローが所定値の範囲でかつ、流動性能及び充填性能が所定値以上のものを使用する。コンクリートの流動性及び自己充填性は配合材料により変化し、また、配合される材料は、その配合が行われる場所によって異なるが、スランプまたはスランプフローが所定値の範囲でかつ、流動性能及び充填性能が所定値以上となる配合を行えば、本施工方法において必要となる流動性及び自己充填性を備えたコンクリートを得ることが出来る。80kg/m3程度の混和材(石粉、石炭灰)を用いた場合のコンクリートの配合決定のための基準例を表1に示す。
続いて、型枠1と被覆面2との間隙3に打ち込んだコンクリートの締め固めを行うが、この締め固めは、コンクリートが打ち込まれる位置によって異なる。すなわち、肩部2b付近までの打ち込み時には、型枠1の左右両側の打設窓(図示せず)を使用して締め固めを行い、型枠1天端部1aの既設側の1箇所に設けられた吹上口(図示せず)から打ち込みが行われる段階においては、型枠1の天端部1aから肩部1bに設けられた型枠振動機4を使用して締め固めを行う。ただし、型枠振動機4を型枠1に可動自在に設けた場合、これら型枠振動機4を周方向Rに移動させて被覆面2の肩部2bより下に打ち込まれたコンクリートの締め固めを行ってもよい。その場合の型枠振動機4の移動は下から移動させて行うことになるが、周方向における型枠振動機配置予定箇所のそれぞれの中間付近にコンクリートが達した時点で上方ヘ移動させればよく、こうすることにより、コンクリートの流動をより効率的に補助することができ、また、より高い締固め効果を得ることができる。また、締固めは、天端部1aを通る鉛直線を境とした各側(図1(a)における左右各側)において天端部1aから地面に至る全長に亘って等間隔で4箇所、計8箇所で行うことが好ましい。この際、左右の型枠振動機は、天端部1aを通る鉛直線を中心に対称の位置とする。なお、左右両側の型枠振動機を用いて同時に締め固めを行うと、振動が大きくなりすぎ型枠の接合に用いているボルト・ナットの緩みを生じ、施工上危険を伴うことになる。そのため、締め固めは、各側交互に行うことが好ましい。
型枠振動機4は、周方向R及び長さ方向Zに間隔を保って配置されている。それぞれの設置間隔は、使用状況に応じて適宜決めればよいが、最大でも3m程度とすることが好ましい。また、この型枠1に設置される型枠振動機の設置台数にも制限はなく、必要に応じて増減すればよい。
振動時間及び振動間隔は、材料分離を起こさない程度に適宜決めればよいが、例えば、生コン車一台分のコンクリートを左右各側に2.25m3ずつ振り分けた場合、投入終了側から15秒間程度で1回だけ振動させることが好ましい。過度な振動は型枠に作用する側圧が上昇し構造的な負荷が大きくなるばかりでなく、コンクリートの材料分離を引き起こし、空気を多く含んだモルタルを生成するため、仕上り品質の低下を招くこととなる。本施工方法で使用するコンクリートの特性を最大限引き出すためには、自己充填性能を補助する程度、すなわち、振動を与えることなく流し込んだコンクリートの動きが止まった後、コンクリートの打込み対象面積全体が水平になる程度の振動を与えるだけで良い。一方、型枠振動機は、始動開始後定常状態の振動数に至るまでに数秒(7秒程度)のロスがあり、これらを勘案すると15秒程度とすることが好ましい。また、天端部1aについては、最期の生コン車4台分に対して左右の型枠振動機を各々15秒程度づつ振動を繰り返して行うことが好ましい。天端部1aは、肩部2bや側壁部2cと異なり対象面積が広く肩部1bより下方の型枠の振幅に比較して低下し、また吹上げ口からの片押し施工となり、10m程度の長距離を流動させる必要がある。そこで、振動を繰り返すことで、空隙を残すことなく完全充填させることが可能となる。
使用する型枠振動機4は、使用状況に応じ最適なものを選択すればよいが、本施工方法においては振動数50〜120Hz程度のものを好適に使用できる。なお、振動時間を上記の通り(肩部2bや側壁部2cで15秒程度を1回、天端部1aで15秒程度を繰り返し)とした場合には、特に80〜100Hz程度のものが好ましい。
コンクリートの締め固めが終了し、コンクリートが自立できる程度まで硬化したら、型枠1を被覆面2から取り外し、打ち込んだコンクリートを養生すれば施工完了となる。
上記のように、この施工方法は、スランプまたはスランプフローが所定値の範囲でかつ、流動性能及び充填性能が所定値以上のコンクリートと、被覆面2の天端部2aから肩部2bにかけて対向する位置に、周方向R及び長さ方向Zに間隔を保って配置された複数の型枠振動機4を備えた型枠1とを組み合わせて使用するので、被覆面2の天端部2a近傍における型枠1と被覆面2との間隙3にコンクリートを均一に打込み、締め固めることができる。そのため、天端部2a近傍のコンクリートを一体化させ、覆工コンクリートの天端部の品質をより向上させることができる。
なお、この具体例において型枠振動機4は、被覆面2の天端部2aから肩部2bに対向する位置に配置されているが、必要に応じて、天端部2aから側壁部2cにかけて対向する位置にまで設置範囲を広げてもよい。
1 型枠
2 被覆面
2a 天端部
2b 肩部
2c 側壁部
3 間隙
4 型枠振動機
R 周方向
Z 長さ方向
2 被覆面
2a 天端部
2b 肩部
2c 側壁部
3 間隙
4 型枠振動機
R 周方向
Z 長さ方向
Claims (2)
- 覆工コンクリートの施工地点に型枠(1)を移動し据え付ける工程と、該施工地点にコンクリートを運搬する工程と、該型枠(1)と被覆面(2)との間隙(3)にコンクリートを打ち込む工程と、該打ち込んだコンクリートを締め固める工程と、該型枠(1)を該被覆面(2)から取り外す工程と、該打ち込んだコンクリートを養生する工程とを有し、
該コンクリートのスランプまたはスランプフローが所定値の範囲でかつ、流動性能及び充填性能が所定値以上で、
該型枠(1)は、該被覆面(2)の天端部(2a)から肩部(2b)または側壁部(2c)にかけて対向する位置に、周方向(R)及び長さ方向(Z)に間隔を保って配置された複数の型枠振動機(4)を備えていることを特徴とする覆工コンクリートの施工方法。 - 該スランプの所定値が18.5〜23.5cmまたは該スランプフローの所定値が35〜50cm、該流動性能の所定値が無振動のときが26cm以上で有振動のときが50cmから75cmまでの到達速度が6.4cm/sec以上、該充填性能の所定値が28cm以上であり、該有振動のときの振動は振動数が8000rpm、振幅が1.6mm以上である請求項1に記載の覆工コンクリートの施工方法。
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