JP2018070664A - セルロースの製造方法 - Google Patents

セルロースの製造方法

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裕哉 佐藤
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高嘉 浜口
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Takamitsu Tsuruga
貴光 敦賀
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Abstract

【課題】
平均重合度が350以下で高白色度なセルロースを経済的に製造する方法を提供すること。
【解決手段】
鉱酸および過酸化物を含む水溶液からなる処理液により、化学パルプを低重合度化処理して、処理済液を再生処理液として再利用することを特徴とするセルロースを製造する方法により、本課題を解決した。すなわち、上述の方法によって、処理済液を再利用することにより経済性を高められ、さらに高品質のセルロースが得られた。
【選択図】 なし

Description

本発明は、セルロースの製造方法に関するものである。
セルロースは、食品、医薬品、工業用途などの種々の用途に使用されている。
例えば、食品用途においては、セルロースを添加することにより増粘および分散効果が得られるため、食感が向上する。また、その吸水性および吸油性は、揚げ物等の食感改善にも有効である。
医薬品用途においては、錠剤、散剤(粉薬)、顆粒剤などの固形製剤に、成型、増量、希釈を目的とする賦形剤として添加される。
工業用途においては、スラリーに添加してろ過性を向上させるろ過助剤としても用いられている。
さらには、被覆アーク溶接棒の溶接作業性を改善する等、優れた機械的特性を与えるためにセルロースが添加されることもある。セルロースは、石綿の代替として自動車の摩擦材の基材等に利用されることもある。
上記のような用途で使用されるセルロースの特徴として、流動性および崩壊性に優れた、白色状の粉末であることが求められる。セルロースの流動性および崩壊性は、重合度の影響を受けることが知られている。
セルロースの製造方法として、例えば特許文献1〜3や非特許文献1に記載されている方法が公知となっている。
特許文献1には、精製木材パルプなどを鉱酸、塩化第二鉄などにより低重合度化処理と呼ばれる加水分解処理を行い、レベルオフ重合度のセルロース製品を製造する方法が開示されている。
非特許文献1には、高純度の天然セルロースを鉱酸により低重合度化処理し、精製および乾燥して、微結晶セルロースを得る方法が開示されている。
特許文献2には、非漂白クラフトパルプ、又は漂白クラフトパルプを原料として使用した白色度の高い微結晶性セルロースの製造方法が開示されている。この方法は、塩酸や硫酸などの鉱酸のみによる処理ではなく、ペルオキシ酸による処理を利用している。ペルオキシ一硫酸は、硫酸と過酸化水素を混合することにより生成し、硫酸、過酸化水素と供に平衡状態となる。本特許文献の技術は、高濃度の過酸化物を混合することにより高濃度のペルオキシ一硫酸を生成させ、平衡状態に達する前にパルプの低重合度化処理に使用するものである。すなわち、微結晶セルロースを分離した後のペルオキシ一硫酸を含む混合溶液は、希釈された上、平衡に達しており、高濃度の硫酸や過酸化水素を添加しても、ペルオキシ一硫酸の濃度が低く、パルプの低重合度化処理に再利用できない。
特許文献3には、粉末セルロースを製造する方法として、硫酸などの鉱酸を用い、パルプセルロースの低重合度化処理を行う際に、オゾン処理や過酸化水素等の過酸化物を添加する方法が記載されている。しかし、低重合度化処理後の鉱酸溶液を再利用する技術に関しては記載がなく、しかも、重合度350以下の結晶セルロースを得ることはできない。
一方、特許文献4には、パルプを鉱酸で低重合度化処理した後の鉱酸溶液にオゾン発生装置で発生したオゾン、又はパルプ漂白工程のオゾン漂白段から排出されるオゾン排ガスを添加して鉱酸溶液を再生する方法が開示されている。特許文献5には、低重合度化処理後の鉱酸溶液に、紫外線を照射しながらオゾンを添加することにより、鉱酸溶液を脱色し、低重合度化処理に再利用する方法が開示されている。しかし、これらの方法は、オゾン発生に比較的大きなエネルギーを必要とし、工業スケールでのセルロースの製造には不向きである。
米国特許第2978446号明細書 特表2003−504427号公報 特開2005−029627号公報 特開2003−342301号公報 特開2004−11071号公報
紙パルプ技術タイムス、昭和60年8月、5ページ
特許文献2を参考に、非漂白クラフトパルプ、又は漂白パルプを活性酸素により低重合度化処理したセルロースの製造を試みたところ、次の様な問題があることがわかった。特許文献2の方法では、活性酸素は、例えばペルオキシ酸から誘導され、ペルオキシ酸は、例えば、高濃度の硫酸と高濃度の過酸化水素とを反応させることにより得られる。過酸化水素の希釈液を使用する場合、その濃度は50%以上であることが求められる。過酸化水素は、安全性、輸送性および保存性等の観点から、高濃度から低濃度のものまで流通している。そのため、種々の濃度の過酸化水素が利用できないと不便である。また、高濃度のペルオキシ酸は、ステンレス材質に対して腐食性が認められるため、ペルオキシ酸を調製する際に一般的に使用されている材質が利用できないという問題もある。
また特許文献2における活性酸素、例えばペルオキシ一硫酸の場合について検討した。ペルオキシ一硫酸は、硫酸と過酸化水素の平衡関係にある。もし本特許文献においてパルプの低重合度化処理に使用しているペルオキシ一硫酸を含む処理液が平衡組成であるならば、ペルオキシ一硫酸の原料である硫酸や過酸化水素の濃度はパルプの低重合度化処理には影響を及ぼさず、水での希釈後の硫酸および過酸化水素の濃度のみが該処理に影響を及ぼすはずである。そこで、本発明者らが検討したところ、高濃度の(例えば、50%以上の濃度の)過酸化水素と硫酸とを反応させてペルオキシ一硫酸を生成させ、その後水で希釈しても、直ちに平衡組成にならず、ペルオキシ一硫酸の生成量は、原料の過酸化水素の濃度が高いほど向上することが分かった。すなわち、本特許文献記載の技術は、非平衡状態の混合溶液中に存在する高濃度のペルオキシ一硫酸をパルプの低重合度化処理に使用していることが分かった。このようなペルオキシ一硫酸の濃度は、徐々に平衡組成へと変化するため、安定したセルロースを製造しにくい欠点を持つ。
また、低重合度化処理の間に平衡組成に達したペルオキシ一硫酸溶液は、再利用することが難しいという問題がある。すなわち、特許文献2の方法においては、パルプの低重合度化処理に高濃度の過酸化物と高濃度の酸との反応によって得られる高濃度のペルオキシ酸が必要とされ、また水で希釈されていることから、再度高濃度の硫酸と高濃度の過酸化水素を加えても、高濃度のペルオキシ一硫酸が生成せず、同じ処理に再利用できない。再利用するには、低重合度化処理後のペルオキシ一硫酸溶液から蒸留設備等で各成分に分離、回収し、再度調製する必要があり、経済的ではない。
パルプの低重合度化処理に使用する処理液は高濃度の鉱酸を含むため、廃棄するために大量のアルカリ剤で中和しなければならず、製造コストが増大するという問題がある。そのため、処理液を再利用することが経済的に望まれていた。また、低重合度化処理後の処理液を再使用しようとすると、セルロース本来の白色度を維持できず着色してしまうことから、特許文献4や特許文献5の方法が開示されているが、上述したようにオゾン発生に大量のエネルギーが必要で経済的でなく、経済的に有利な処理液の再利用法が求められていた。
本発明が解決しようとする課題は、鉱酸および過酸化物を含む水溶液からなる処理液を用いて化学パルプからセルロースを製造する方法であって、回収された処理液を再利用して、平均重合度が350以下で高白色度なセルロースを製造する方法を提供することである。
本発明者らは、鉱酸および過酸化物を含む水溶液からなる処理液により化学パルプを低重合度化処理してセルロースを製造する方法において、処理済液を再生処理液として再利用し、かつ平均重合度が350以下でハンター白色度が92以上と高白色度なセルロースを製造する方法を提供する。すなわち、本願は以下の発明を包含する。
<1>
鉱酸および過酸化物を含む水溶液からなる処理液により化学パルプからセルロースを製造する方法であって、少なくとも以下の(a)〜(c)工程を有し、(c)工程で調製された再生処理液を(a)工程の処理液として再利用することを特徴とするセルロースを製造する方法。
(a)鉱酸および過酸化物を含む水溶液からなる処理液で化学パルプを加水分解により低重合度化処理してセルロースを得る工程
(b)(a)工程で得られたセルロースと処理済液を分離する工程
(c)(b)工程で分離した処理済液に、少なくとも鉱酸、又は過酸化物のいずれかを添加して再生処理液を調製する工程
<2>
処理液中の過酸化物の濃度が、0.05〜40重量%未満である、<1>記載のセルロースを製造する方法。
<3>
処理液中の鉱酸の濃度が0.05〜35重量%である、<1>又は<2>記載のセルロースを製造する方法。
<4>
上記鉱酸が硫酸である、<1>〜<3>いずれか記載のセルロースを製造する方法。
<5>
上記過酸化物が過酸化水素である、<1>〜<4>いずれか記載のセルロースを製造する方法。
<6>
上記化学パルプが漂白パルプである、<1>〜<5>いずれか記載のセルロースを製造する方法。
<7>
上記セルロースの平均重合度が350以下であり、ハンター白色度が92以上である、<1>〜<6>いずれかに記載のセルロースを製造する方法。
本発明の、セルロースを製造する方法は、下記(a)、(b)および(c)の工程を含み、さらに下記(d)、(e)、(f)、(g)および(h)のいずれかの工程を含んでも良い。
(a)鉱酸および過酸化物を含む水溶液からなる処理液で化学パルプを加水分解により低重合度化処理してセルロースを製造する工程
(b)(a)工程で得られたセルロースと処理済液とを分離する工程
(c)(b)工程で分離した処理済液に、少なくとも鉱酸、又は過酸化物のいずれか一方を添加して再生処理液を調製する工程
(d)(b)工程で得られたセルロースを中和する工程
(e)得られたセルロースを洗浄する工程
(f)得られたセルロースを乾燥する工程
(g)得られたセルロースを粉砕する工程
(h)得られたセルロースを分級する工程
(c)工程で鉱酸および過酸化物の濃度が調製された再生処理液を(a)工程の処理液として再使用する。
<原材料>
(1)鉱酸
(a)および(c)工程で用いることができる鉱酸は、硫酸、塩酸、硝酸、亜硫酸、リン酸などが挙げられ、単独、又は2種類以上の鉱酸を混ぜて用いても良い。中でも好ましい鉱酸は硫酸である。
硫酸の製法としては、二酸化硫黄からの製造、硝酸式製造法、接触式製造法があり、いずれを使用しても構わない。
硫酸としては、濃度が90〜98重量%の濃硫酸や濃度が90重量%未満の希硫酸が流通しているが、処理液を所望の濃度に調節することができれば、使用する硫酸の濃度は限定されない。処理液を所定の濃度とするために硫酸を希釈して使用しても良い。
なお、硫酸の流通品には、工業用硫酸と精製硫酸があり、いずれを使用することもでき、またこれらの混合液も使用できる。
(2)過酸化物
(a)および(c)工程で用いることができる過酸化物は、過酸化水素、過酢酸、有機過酸化物、モノ過硫酸、過酸化塩素等が挙げられ、単独、又は2種類以上の過酸化物を混ぜても良い。中でも好ましい過酸化物は過酸化水素である。
過酸化水素の製法としては、アンスラキノン等を出発原料とした有機法、硫酸を原料とする電解法、酸素および水素を用いた直接法があるが、いずれを使用することもでき、複数の方法を組み合わせで使用しても良い。
過酸化水素は、一般に30〜70重量%の濃度で流通しているが、処理液を所望の濃度に調節できれば、使用する過酸化水素の濃度は限定されない。処理液を所定の濃度とするために過酸化水素を希釈して使用しても良い。
なお過酸化水素の流通品には、工業用、電子工業用および食品添加物用などがあり、いずれを使用することもでき、複数種を組み合わせて使用することもできる。複数種を組み合わせて使用する場合、その組み合わせはなんら限定されるものではない。
(3)処理液・処理済液・再生処理液
本発明でいう処理液、処理済液、再生処理液とは、硫酸、過酸化水素および水を含有する混合液をいう。本発明の処理液の調製には、50重量%未満の過酸化物を利用する。鉱酸および過酸化物の濃度によりペルオキシ酸が生成することもあるが、ペルオキシ酸濃度に関わらず、所定の濃度範囲内になるように鉱酸、過酸化物を添加する。すなわち、50重量%未満の、又は希釈されて50重量%未満の過酸化物を利用できる。これらを混合する順序は特に限らない。また、混合装置に特に制限はなく、槽型の容器に撹拌装置を使用して混合しても良いし、容器に外部循環装置を接続する外部循環方式でも良い。また、ラインミキサーを使用して混合しても良い。混合温度は鉱酸、過酸化物、および水を混合した際に発熱するが、沸騰しない範囲で行なう。また、経済的な時間で均一に混合できれば、混合時間に制限はない。
また、低重合度化処理後のろ過工程で回収される処理済液に、少なくとも鉱酸、又は過酸化物の一方を添加して、所定の濃度範囲に合わせ再生処理液を調製する。再生処理液を調製する際に添加する鉱酸および過酸化物は、最初の処理液調製で用いた鉱酸および過酸化物と同一の物質を使うのが好ましい。本再生処理液は再度低重合度化処理に利用する。すなわち、上記(c)工程で調製された再生処理液を上記(a)工程の処理液として再利用する。再利用の回数は、多いほど経済的に有利であり、特に制限は無いが、50回以上、好ましくは100回以上、さらに好ましくは1000回以上、再利用する。
(4)化学パルプ
化学パルプはパルプチップから製造される。パルプチップの原料としては、ラジアータパイン、スプルースに代表される針葉樹、ならびにユーカリ、アカシアに代表される広葉樹が挙げられる。これら針葉樹および広葉樹のパルプをそれぞれ単独で使用することもできるし、複数種を組み合わせて使用することもできる。複数種を組み合わせて使用する場合、その組み合わせはなんら限定されるものではない。
化学パルプは、上記パルプチップを原料として、サルファイト蒸解法、又はクラフト蒸解法、あるいはこれら方法を組み合わせることにより製造される。
上記方法で製造された化学パルプは、非漂白パルプ、又は漂白パルプのいずれでも良く、これらの組み合わせであっても良い。
また、化学パルプには、製紙用パルプと製精度の高い溶解パルプがあるが、いずれも使用することができ、これらを組み合わせて使用することもできる。
化学パルプは、蒸解、又は漂白後の含水状態で使用しても良く、乾燥された板状のパルプを使用しても良い。
本発明に使用される化学パルプは、上記のいずれの種類のパルプでも良いが、好ましくは蒸解後に酸素晒工程、又は漂白工程の少なくとも一方を組合せて製造された漂白パルプが使用される。
<製造工程>
以下、製造工程(a)〜(h)について、順に説明する。
(a)工程
(a)工程では、原材料である化学パルプを、処理液で低重合度化処理し、目的の重合度のセルロースを製造する。
(1)処理液の調製
処理液は、鉱酸および過酸化物から調製される。鉱酸および過酸化物は単独、又は2種類以上を用いても良い。処理液中の鉱酸濃度は、0.05〜35.0重量%、好ましくは1.0〜30.0重量%、より好ましくは1.0〜24.0重量%、特に好ましくは2.0〜20.0重量%である。また処理液中の過酸化物濃度は、0.05〜40.0重量%、好ましくは0.05〜24.0重量%、より好ましくは0.05〜15.0重量%である。ここで、鉱酸および過酸化物の濃度は、希釈されていない、すなわち100%の鉱酸および過酸化物として、処理液全体に対する割合(重量%)を意味する。また、鉱酸と過酸化物を除く成分は、基本的には水である。
上記範囲の値で示されるような鉱酸および過酸化物の割合で調製された処理液を使用する場合、平均重合度が350以下もしくはハンター白色度が92以上のセルロースを製造することができる。
(2)硫酸、過酸化水素および水を含む処理液の調製方法
上述したような割合になるように、鉱酸として硫酸、過酸化物として過酸化水素、および水を反応器に入れ、混合する。投入順序は特に限らない。混合温度は0〜100℃以下で良く、好ましくは20〜90℃である。
硫酸、過酸化水素および水の混合は、低重合度化処理に用いる反応タンクで行っても良く、別のタンクで混合した後、反応タンクに移送しても良い。また、低重合度化処理に使用される化学パルプは、処理液を調製してから反応タンクに投入しても良く、最初から反応タンクに入れておき、そこに処理液を入れても良い。また、処理液の調製途中にも投入することができ、いずれかの薬品の添加前後に投入しても良い。
硫酸および過酸化水素の混合により生成するペルオキシ一硫酸について追記すると、ペルオキシ一硫酸の初期濃度は、水、硫酸、および過酸化水素の使用量および濃度のみならず、混合方法によっても影響を受ける。例えば、比較的高濃度の硫酸、又は比較的高濃度の過酸化水素の少なくとも一方を使用し、硫酸と過酸化水素とを混合した後に水で希釈する場合は、ペルオキシ一硫酸の初期濃度(すなわち、混合直後の濃度)は、平衡溶液におけるペルオキシ一硫酸の濃度よりも高くなる傾向にある。一方、例えば、予め希釈した硫酸、又は予め希釈した過酸化水素の少なくとも一方を使用して硫酸と過酸化水素を混合した場合は、ペルオキシ一硫酸の初期濃度は、平衡溶液におけるペルオキシ一硫酸の濃度よりも低くなる傾向にある。混合溶液の組成は、その後の処理条件によっては平衡組成に向けて変化し始める。十分な温度で十分な時間混合することにより、混合溶液は平衡状態になる。例えば、混合溶液の温度を60℃とした場合は、10〜180分間、該温度を70℃とした場合は、10〜120分間、該温度を90℃とした場合は、10〜90分間混合することにより、混合溶液は平衡状態になる。
本発明の方法において、鉱酸として硫酸を、過酸化物として過酸化水素を用いた場合、生成するペルオキシ一硫酸の濃度にかかわらず実施することができる。
水、硫酸および過酸化水素を含む処理液のpHは、処理液中の各成分の重量比によって決定されるが、pHは2以下が好ましく、より好ましくは1以下である。
(3)低重合度化処理
低重合度化処理とは、処理液を用いて、パルプの重合度を低減する処理である。好ましくは、化学パルプを所定の時間、所定の温度で上述した範囲の処理液(例えば、硫酸:1.0〜30.0重量%、過酸化水素:0.05〜40.0重量%、水:50.0〜94.0重量%)で処理される。
処理液とパルプとを含む反応溶液中のパルプの割合は、0.1〜20重量%の範囲が良く、より好ましくは1〜15重量%である。20重量%よりも高い場合は、処理液がパルプに十分に浸透しないため好ましくない。0.1重量%よりも低い場合は、反応効率が悪く経済的に問題がある。
反応温度は、20℃〜130℃の範囲が良く、より好ましくは50℃〜120℃、更に好ましくは60℃〜110℃である。
反応時間は、5分〜240分の範囲が良く、より好ましくは15分〜180分、さらに好ましくは30〜120分である。
<設備>
低重合度化処理は、反応チューブやタワーを用いた連続装置、又はバッチでの反応槽を用いて実施することができる。処理液が十分に循環できるよう、撹拌翼を用いても良く、処理液を抜出ラインを経由して循環させても良い。
<添加剤、その他>
使用する薬品のパルプへの浸透を早めるため、浸透剤として界面活性剤を用いることができる。界面活性剤としては、カチオン性、アニオン性、双性、ノニオン性等があるが、特に限定されない。これらのいずれかを単独で使用しても良く、組み合わせて使用しても良い。
(b)工程
(b)工程は、遠心分離機、フィルタープレス、ベルトプレス、オリバー型フィルター、ヤングフィルター等により、低重合度化処理後のセルロースと処理済液とを分離する工程であり、セルロースは(d)工程に送られ、分離した処理済液は回収され、(c)工程で使用される。
(c)工程
(b)工程で分離した処理済液に、(a)工程で消費された鉱酸、又は過酸化物の少なくとも一方を添加し、再生処理液を調製する。
また、(c)工程では、必要に応じて鉱酸、過酸化物および水を追加しても良い。これは、(b)工程でセルロースと分離できず失った処理済液を、(a)工程で必要な液量を確保するために、新たな鉱酸、過酸化物および水を追加することができる。本工程で調製される再生処理液中の処理済液の割合は、10重量%以上、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上である。(b)工程で回収された処理済液量が少ないと、新たに追加しなければならない薬剤量が増え、経済的でない。ここで特に重要なのは、(a)工程で使用する処理液の過水濃度が、0.05〜40重量%になるように添加することである。
(c)工程で鉱酸、過酸化物よび水を添加するために、(b)工程で回収された処理済液中の鉱酸および過酸化物濃度を分析しておくことが好ましい。例えば、酸濃度は、水酸化ナトリウム標準溶液で中和滴定を行って算出し、過酸化水素濃度は過マンガン酸カリウム標準溶液で酸化還元滴定、又はヨウ化カリウムを加え、遊離したヨウ素をチオ硫酸ナトリウム標準溶液で滴定することにより算出できる。
(d)中和工程
(b)工程で得られたセルロース中には、まだ鉱酸および過酸化物が残留している。これらを除去するために、中和工程を行う。
本工程は、アルカリ剤を使用して、セルロース中に残留している酸を中和する工程である。中和で使用するアルカリ剤は、水溶液中の濃度として好ましくは0.01重量%〜50重量%で使用するが、更に好ましくは0.1重量%〜25重量%である。アルカリ剤水溶液と中和処理するセルロースの合計重量に対する該セルロースの割合は、1重量%〜15重量%が好適である。アルカリ剤としては、NaOH、KOH、アンモニア水等の無機アルカリ性物質、トリメチルアンモニウムヒドロキサイド等の有機アルカリ性物質が使用できるが、中和処理後のアルカリ水溶液の処理の容易性から無機アルカリ性物質が好適に使用される。使用するアルカリ剤を低減するため、本工程に先立ち、(e)工程を数回行っても良い。
(e)洗浄工程
(e)工程は、セルロースを水と接触させることにより、セルロースに付着している薬剤を除去する工程である。使用できる装置は特に限定されず、例えば、インペラー式撹拌機を有した撹拌槽を使用することができる。(d)工程を経ずに、(b)工程で得られたセルロースを直接洗浄しても良い。なお、遠心ろ過、オリバー型フィルター、ヤングフィルター等を用いることにより、脱水と同時に洗浄をすることもできる。洗浄工程は、繰り返し行っても良い。
(f)乾燥工程
乾燥方法としては、一般的な乾燥機を用いる方法だけでなく、溶媒で置換する方法が利用できる。乾燥機を用いる方法としては、熱風式乾燥機、スチーム・チューブドライヤー、通期型乾燥装置、噴霧乾燥機、気流乾燥装置、ドラムドライヤー、連続流動層乾燥装置、赤外線乾燥器、高周波加熱乾燥器、凍結乾燥機、ラピッドドライヤーなどを使用する方法が挙げられる。溶媒で置換する方法としては、例えば、セルロース中の水分をエタノールで置換した後、風乾する方法が挙げられる。
乾燥温度は30〜220℃が好ましい。220℃を超える温度で乾燥を行うとセルロースの熱分解が進行する可能性があり好ましくない。乾燥は、加圧下、常圧下、減圧下のいずれで行っても良い。
(g)粉砕工程
粉砕工程は機械的処理で行われ、例えば、衝撃式ミル、又は気流式ミルの少なくとも一方を使用して、さらには、同機種で複数回処理することにより行うことができる。
(h)分級工程
分級工程とは、乾式分級、湿式分級、又はふるい分け分級方法により、セルロースを粒子径によって分別する操作である。(g)工程で得られたセルロースは、必要により分級して使用することができる。スプレードライヤーを使用すると、乾燥、微細化、および分級を同時に行うことができる。
<セルロース>
(1)ハンター白色度
本発明の方法で製造されるセルロースのハンター白色度は、92以上であり、より好ましくは95以上、特に好ましくは97以上である。
(2)平均重合度
本発明の方法で製造されるセルロースの平均重合度は、350以下であり、好ましくは300以下であり、特に好ましくは250以下である。
以下に実施例、比較例および参考例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<使用した水>
以下の実施例、比較例および参考例においては、ヤマト科学製超純水製造装置オートピュアWR−7000により得られたイオン交換水を使用した。イオン交換水の電気伝導度は18.2MΩ(25.0℃)、TOC含有量は5ppbであった。
<pH測定>
特に言及する場合を除き、pHは、本体(堀場製作所製、D−51)およびpH電極(堀場製作所製、9615−10D)を用いて測定した。
<過酸化水素の定量方法>
過酸化水素の定量は、ヨウ素還元滴定法により行った。例えば、低重合度化処理後、回収した処理済液を1g秤量し、20重量%硫酸溶液で約20mLとした後、ヨウ化カリウムの粉末を加えて、遊離したヨウ素を、0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム標準溶液を滴下し、指示薬にでんぷんを使用して液の青紫色が消失し無色となったところを終点とした。
<酸濃度の定量方法>
酸濃度の定量は中和滴定により行った。低重合度化処理後、回収した処理済液を0.5g秤量し、イオン交換水で約10mLに希釈した後、指示薬であるフェノールフタレイン溶液を数滴加えて、0.1mol/L水酸化ナトリウム標準溶液を滴下し、溶液が赤紫色となるまで滴定した。
<処理済液の色度>
低重合度化処理後、回収した処理済液について、紫外可視分光光度計を用い、420nmの波長の吸光度を測定した。
<条件>
装置:UV−2450(島津製作所)
測光モード:吸光度
スリット幅:2.0mm
スキャンモード:高速
セル:石英セル10mm
参照セル:16重量%硫酸
試料セル:(b)工程で回収した処理済液
希釈率:1
<ハンター白色度>
色差計を用い、粉体およびペースト用試料台上の試料の表面色を測定してハンター白色度を求めた。ハンター白色度の算出には、次式を使用した。
W(Lab)=100−[(100−L)+a+b1/2
W(Lab):セルロースのハンター白色度
L:明度指数
a:青−黄次元を示す色座標
b:緑−赤次元を示す色座標
<平均重合度>
平均重合度は、第16改正日本薬局方解説書、結晶セルロース確認試験(3)記載の銅エチレンジアミンを用いた粘度測定法により測定した。
<実施例、比較例および参考例>
実施例および比較例で用いた硫酸/過酸化水素/水の処理液組成を表1に示す。表1における硫酸(重量%)および過酸化水素(重量%)の数値は、硫酸、過酸化水素、および水を含む処理液中の硫酸および過酸化水素の濃度であって、希釈されていない(すなわち100%の)硫酸および過酸化水素として計算した。
<実施例1>
イオン交換水354.2gに、95重量%硫酸75.8g(実質硫酸重量72.0g)と45重量%過酸化水素20.0g(実質過酸化水素重量9.0g)を順次添加し、硫酸16重量%、過酸化水素2.0重量%を含む処理液を450g調製した。この処理液に、4mm角状に細断した漂白針葉樹パルプ(白色度95.1%、重合度1,566)30g(絶乾重量)を投入し、反応容器を91±1℃の湯浴に浸し、120分間加熱して低重合度化処理を行った。なお、該処理では、反応容器に攪拌機付500mLセパラブルフラスコを用い、撹拌速度は700±50rpmで行った。該処理後、反応容器を氷水浴に30分間浸して冷し、ブフナー漏斗で濾紙(No.5C)を用いて吸引ろ過を行い、処理済液を400g回収した(No.1―1)。ろ過された後に得られたセルロースを、イオン交換水で3回洗浄した。なお、水洗最後の3回目では、セルロースを含む懸濁液中に1%アンモニア水を滴下して懸濁液のpHが7.0±0.5になるよう調製した後、吸引ろ過した。上述のように水洗したセルロースは、減圧乾燥器で、70℃、13.3kPa以下で乾燥した後、衝撃式小型粉砕機(大阪ケミカル株式会社製 ワンダーブレンダー)で粉砕して、セルロース粉末を得た。得られたセルロース粉末はハンター白色度と重合度を測定し、また、処理済液は、過酸化水素濃度、酸濃度および色度の分析を行い、その結果を表2に示した(No.1―1)。
上記処理済液(No.1―1)360g(硫酸重量59.8g、過酸化水素重量6.2gを含有)に、95重量%硫酸12.9g(実質硫酸重量12.3g)、45重量%過酸化水素6.2g(実質過酸化水素重量2.8g)、イオン交換水70.9gを添加して硫酸16重量%、過酸化水素2.0重量%を含む再生処理液450gを調製した。該再生処理液に、4mm角状に細断した漂白針葉樹パルプ(白色度95.1%、重合度1,566)30g(絶乾重量)を投入し、反応容器を91±1℃の湯浴に浸し、120分間加熱して低重合度化処理を行った。なお、該処理では、反応容器に攪拌機付500mLセパラブルフラスコを用い、撹拌速度は700±50rpmで行った。該処理後、反応容器を氷水浴に30分間浸して冷し、ブフナー漏斗で濾紙(No.5C)を用いて吸引ろ過を行い、処理済液を400g回収した(No.1―2)。ろ過された後に得られたセルロースを、イオン交換水で3回洗浄した。なお、水洗最後の3回目では、セルロースを含む懸濁液中に1%アンモニア水を滴下して懸濁液のpHが7.0±0.5になるよう調製した後、吸引ろ過した。上述のように水洗したセルロースは、減圧乾燥器で、70℃、13.3kPa以下で乾燥した後、衝撃式小型粉砕機(大阪ケミカル株式会社製 ワンダーブレンダー)で粉砕して、セルロース粉末を得た。得られたセルロースはハンター白色度と重合度を測定し、また、処理済液は、過酸化水素濃度、酸濃度および色度分析を行って、その結果を表2に示した(No.1―2)。
上記処理済液(No.1―2)360g(硫酸重量59.4g、過酸化水素重量5.2gを含有)に、95重量%硫酸13.3g(実質硫酸重量12.6g)、45重量%過酸化水素8.4g(実質過酸化水素重量3.8g)、イオン交換水68.3gを添加して硫酸16重量%、過酸化水素2.0重量%を含む再生処理液450gを調製した。該再生処理液に、4mm角状に細断した漂白針葉樹パルプ(白色度95.1%、重合度1,566)30g(絶乾重量)を投入し、反応容器を91±1℃の湯浴に浸し、120分間加熱して低重合度化処理を行った。なお、該処理では、反応容器に攪拌機付500mLセパラブルフラスコを用い、撹拌速度は700±50rpmで行った。該処理後、反応容器を氷水浴に30分間浸して冷し、ブフナー漏斗で濾紙(No.5C)を用いて吸引ろ過を行い、処理済液を400g回収した(No.1―3)。ろ過された後に得られたセルロースを、イオン交換水で3回洗浄した。なお、水洗最後の3回目では、セルロースを含む懸濁液中に1%アンモニア水を滴下して懸濁液のpHが7.0±0.5になるよう調製した後、吸引ろ過した。上述のように水洗したセルロースは、減圧乾燥器で、70℃、13.3kPa以下で乾燥した後、衝撃式小型粉砕機(大阪ケミカル株式会社製 ワンダーブレンダー)で粉砕して、セルロース粉末を得た。得られたセルロースはハンター白色度と重合度を測定し、また、処理済液は、過酸化水素濃度、酸濃度および色度分析を行って、その結果を表2に示した(No.1―3)。
さらに同様の操作を繰り返した(No.1―4〜1−16)。
<実施例2>
イオン交換水369.2gに、95重量%硫酸75.8g(実質硫酸重量72.0g)と45重量%過酸化水素5.0g(実質過酸化水素重量2.3g)を順次添加し、硫酸16重量%、過酸化水素0.5重量%を含む処理液を450g調製した。この処理液を用いた以外は、実施例1と同様の処理を行った。なお繰り返し処理は2回とした。得られたセルロース粉末はハンター白色度と重合度を測定し、また、処理済液は、過酸化水素濃度、酸濃度および色度分析を行って、その結果を表2に示した(No.2―1〜2−3)。
<実施例3>
イオン交換水373.2gに、95重量%硫酸75.8g(実質硫酸重量72.0g)と45重量%過酸化水素1.0g(実質過酸化水素重量0.5g)を順次添加し、硫酸16重量%、過酸化水素0.1重量%を含む処理液を450g調製した。この処理液を用いた以外は、実施例1と同様の処理を行った。なお繰り返し処理は2回とした。得られたセルロース粉末はハンター白色度と重合度を測定し、また、処理済液は、過酸化水素濃度、酸濃度および色度分析を行って、その結果を表2に示した(No.3―1〜3−3)。
表2には、最初の処理液、すなわち再生処理液を含まない処理液を用いて製造したセルロース(No.1―1、No.2−1、No.3−1)のハンター白色度を各々100として、再生処理液を処理液として再利用して製造したセルロース(No.1―2〜No.1−17、No.2−2およびNo.2−3、No.3−2およびNo.3−3)のハンター白色度を相対白色度として示した。実施例1〜3の結果から、相対白色度の低下は認められず、処理液を繰り返し利用することができる。
<比較例1>
イオン交換水374.2gに、95重量%硫酸75.8g(実質硫酸重量72.0g)を添加し、過酸化水素を含まず、硫酸16重量%を含む処理液を450g調製した。この処理液を用いた以外は、実施例1と同様の処理を行った。なお、処理済液の再生は硫酸のみ添加した。繰り返し処理は2回行った。得られたセルロース粉末はハンター白色度と重合度を測定し、また、処理済液は、酸濃度および色度分析を行って、その結果を表2に示した(No.4―1〜4−3)。
比較例1の相対白色度の結果から、過酸化水素を添加しない再生処理液を処理液として繰り返し使用する場合、セルロースのハンター白色度が低下し、処理液を繰り返し使用することができない。
<比較例2>
過酸化水素を含まず、16重量%硫酸を含む1800gの処理液に、4mm角状に細断した漂白針葉樹パルプ(白色度95.1%、重合度1,566)120g(絶乾重量)を加え、反応容器を90±1℃の湯浴に浸し、180分間加熱し、パルプの低重合度化処理を行った。該処理は、反応容器は攪拌機付2000mLセパラブルフラスコを用い、撹拌速度は700±50rpmで行った。加熱処理後、反応容器を氷水浴に30分間浸して冷し、ブフナー漏斗に濾紙(No.5C)を用いて吸引ろ過を行い、処理済液を1600g回収した(No.5―1)。セルロースを含むパルプ分解物は、イオン交換水で水洗と吸引ろ過の操作を2回繰返した。なお、2回目の水洗では、水洗中に1%アンモニア水を滴下してセルロースとイオン交換水を含む懸濁液中のpHが7.0±0.5になるよう調整した後、吸引ろ過した。得られたセルロースは、減圧乾燥器で、70℃、13.3kPa以下で乾燥した後、衝撃式小型粉砕機(株式会社セイシン製、サンプルミル)で粉砕して、セルロース粉末を得た。得られたセルロース粉末はハンター白色度と重合度を測定し、また、処理済液は、過酸化水素濃度、酸濃度および色度の分析を行い、その結果を表2に示した(No.5―1)。
処理済液(No.5―1)450gに、45重量%過酸化水素5.0g(実質過酸化水素重量2.3g)を添加し、過酸化水素0.5重量%を含む溶液を調製した。この溶液を90±1℃で120分間加熱した。該処理は、容器は攪拌機付500mLセパラブルフラスコを用い、撹拌速度は300±50rpmで行った。該処理後、室温まで放冷した後、白金を利用して該溶液に残留する過酸化水素を分解した(分解後過酸化水素濃度0.014ppm)。また、この溶液の色度測定し、表2の(No.5―2)に示した。
該溶液(No.5―2)360gに95重量%硫酸を添加して、16重量%硫酸を含む再生処理液450gを調製し、この再生処理液を処理液として、4mm角状に細断した漂白針葉樹パルプ(白色度95.1%、重合度1,566)30g(絶乾重量)を投入し、反応容器を91±1℃の湯浴に浸し、120分間加熱して低重合度化処理を行った。なお、該処理では、反応容器に攪拌機付500mLセパラブルフラスコを用い、撹拌速度は700±50rpmで行った。該処理後、反応容器を氷水浴に30分間浸して冷し、ブフナー漏斗で濾紙(No.5C)を用いて吸引ろ過を行い、処理済液を400g回収した(No.1―2)。ろ過後に得られたセルロースを、イオン交換水で3回洗浄した。なお、水洗最後の3回目では、セルロースを含む懸濁液中に1%アンモニア水を滴下して懸濁液のpHが7.0±0.5になるよう調製した後、吸引ろ過した。上述のように水洗したセルロースは、減圧乾燥器で、70℃、13.3kPa以下で乾燥した後、衝撃式小型粉砕機(大阪ケミカル株式会社製 ワンダーブレンダー)で粉砕して、セルロース粉末を得た。処理済液は回収し、セルロース粉末を得た。得られたセルロース粉末はハンター白色度と重合度を測定し、また、処理済液は、過酸化水素濃度、酸濃度および色度分析を行って、その結果を表2に示した(No.5―3)。
着色した処理済液を脱色しても、過酸化水素を添加しない再生処理液を処理液として再使用すると、相対白色度が低下し、処理液を繰り返し使用することができなかった。
Figure 2018070664
Figure 2018070664

Claims (7)

  1. 鉱酸および過酸化物を含む水溶液からなる処理液により化学パルプからセルロースを製造する方法であって、少なくとも以下の(a)〜(c)工程を有し、(c)工程で調製された再生処理液を(a)工程の処理液として再利用することを特徴とするセルロースを製造する方法。
    (a)鉱酸および過酸化物を含む水溶液からなる処理液で化学パルプを加水分解により低重合度化処理してセルロースを得る工程
    (b)(a)工程で得られたセルロースと処理済液を分離する工程
    (c)(b)工程で分離した処理済液に、少なくとも鉱酸、又は過酸化物のいずれかを添加して再生処理液を調製する工程
  2. 処理液中の過酸化物の濃度が、0.05〜40重量%未満である、請求項1記載のセルロースを製造する方法。
  3. 処理液中の鉱酸の濃度が0.05〜35重量%である、請求項1又は2記載のセルロースを製造する方。
  4. 前記鉱酸が硫酸である、請求項1〜3いずれか記載のセルロースを製造する方法。
  5. 上記過酸化物が過酸化水素である、請求項1〜4いずれか記載のセルロースを製造する方法。
  6. 前記化学パルプが漂白パルプである、請求項1〜5いずれか記載のセルロースを製造する方法。
  7. 前記セルロースの平均重合度が350以下であり、ハンター白色度が92以上である、請求項1〜6いずれかに記載のセルロースを製造する方法。

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