JP2018070535A - 有効成分含有粒子、製剤、外用薬、化粧品及び注射剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】有効成分の体内への吸収性に優れる、有効成分含有粒子を提供する。【解決手段】有効成分を含有する、粒子本体と、前記粒子本体の表面の少なくとも一部を覆っており、かつ界面活性剤を含有する、被覆層とを備え、前記粒子本体が固体であり、下記式(1)で表される親和性指数Xが、0.05<X<0.2の範囲にある、有効成分含有粒子。X=S0−S1…(1)[式(1)中、S1は、前記有効成分含有粒子の測定温度25℃での小角X線散乱により得られる散乱プロファイルにおいて、散乱強度の極大値における散乱ベクトルq(nm−1)を示し、S0は、前記界面活性剤の測定温度25℃での小角X線散乱により得られる散乱プロファイルにおいて、散乱強度の極大値における散乱ベクトルq(nm−1)を示す。]【選択図】なし
Description
本発明は、有効成分含有粒子、並びに該有効成分含有粒子を含む製剤、外用薬、化粧品及び注射剤に関する。
有効成分の体内への吸収性を向上させるべく、各種技術が提案されている。例えば、特許文献1,2では、親水性有効成分を含む相と界面活性剤を含む相とが結びついて集合体を形成してなる粒子(有効成分含有粒子)を用いた製剤、いわゆるS/O(Solid in Oil)製剤が開示されている。このS/O(Solid in Oil)製剤においては、界面活性剤によって、有効成分の体内への吸収性を向上させつつ、かつ有効成分の体内動態を制御することが可能である。
本発明者らは、有効成分含有粒子について解析を進めていたところ、有効成分を界面活性剤によって粒子化しても、体内への吸収性が向上しない、あるいは体内への吸収性が低下してしまう場合があることを見出した。
本発明の目的は、有効成分の体内への吸収性に優れる、有効成分含有粒子、並びに該有効成分含有粒子を含む製剤、外用薬、化粧品及び注射剤を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、有効成分含有粒子内の有効成分と界面活性剤の親和性が粒子によって異なること、さらにはこの親和性が体内への吸収性に関与していることを見出した。さらに、研究を進めた結果、体内への吸収性に関連付けられる親和性のパラメータを見出し、これが一定範囲内であれば、体内への吸収性をより高めることができることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいてさらなる試行錯誤を経て完成されたものであり、以下の態様を含む。
本発明に係る有効成分含有粒子は、有効成分を含有する、粒子本体と、前記粒子本体の表面の少なくとも一部を覆っており、かつ界面活性剤を含有する、被覆層とを備え、前記粒子本体が固体であり、下記式(1)で表される親和性指数Xが、0.05<X<0.2の範囲にある。
X=S0−S1 …(1)
[式(1)中、S1は、前記有効成分含有粒子の測定温度25℃での小角X線散乱により得られる散乱プロファイルにおいて、散乱強度の極大値における散乱ベクトルq(nm−1)を示し、S0は、前記界面活性剤の測定温度25℃での小角X線散乱により得られる散乱プロファイルにおいて、散乱強度の極大値における散乱ベクトルq(nm−1)を示す。]
本発明に係る有効成分含有粒子は、好ましくは、前記粒子本体がコア部であり、前記被覆層がシェル部であり、コアシェル構造を有している。
本発明に係る有効成分含有粒子は、好ましくは、前記有効成分含有粒子及び前記界面活性剤の前記極大値における散乱ベクトルqが、それぞれ、1.0〜3.0nm−1の範囲内にある。
本発明の製剤は、本発明に従って構成される有効成分含有粒子を含む。
本発明の製剤は、好ましくは、前記有効成分と前記界面活性剤との重量比(有効成分重量:界面活性剤重量)が、1:5〜1:100の範囲内にある。
本発明の外用薬は、本発明に従って構成される製剤を含む。
本発明の化粧品は、本発明に従って構成される製剤を含む。
本発明の注射剤は、本発明に従って構成される製剤を含む。
本発明によれば、有効成分の体内への吸収性に優れる、有効成分含有粒子を提供することができる。
以下、本発明の詳細を説明する。
本明細書において、「含有」なる表現については、「含む」、「実質的に〜からなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
本明細書において、「(体内への)吸収性」とは、例えば、「経皮吸収性(皮膚透過性)」、「皮膚以外を経由した吸収性、例えば、点眼、経鼻、膣内、直腸内(坐薬)、皮下、皮内、筋肉内などを経由した吸収性」という概念を包含する。
1.有効成分含有粒子
本発明の有効成分含有粒子(本明細書において、「粒子」と示すこともある)は、有効成分を含有し、固体である、粒子本体と、界面活性剤を含有する、被覆層とを備え、下記式(1)で表される親和性指数Xが0.05<X<0.2の範囲にある、粒子である。
本発明の有効成分含有粒子(本明細書において、「粒子」と示すこともある)は、有効成分を含有し、固体である、粒子本体と、界面活性剤を含有する、被覆層とを備え、下記式(1)で表される親和性指数Xが0.05<X<0.2の範囲にある、粒子である。
X=S0−S1 …(1)
粒子本体と被覆層とは、互いに結び付きあって集合体を形成していればよい。分子間力によって結び付きあって集合体を形成していることが好ましい。本発明の粒子においては、有効成分の吸収性及び徐放性の観点から、粒子本体の表面の一部又は全部が被覆層によって被覆されていることが好ましい。粒子本体の表面の好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上、さらに好ましくは85%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは99%以上が、被覆層によって直接又は間接的に被覆されていることが望ましい。粒子本体の表面は、被覆層によって直接被覆されていることが好ましい。粒子の態様の例としては、粒子本体がコア部、被覆層がコア部を包摂するシェル部に相当するコアシェル構造体が挙げられる。
式(1)中、S0及びS1の定義については、以下のとおりである。
S1は、有効成分含有粒子の測定温度25℃での小角X線散乱により得られる散乱プロファイルにおいて、散乱強度の極大値における散乱ベクトルq(nm−1)を示す。
S0は、界面活性剤の測定温度25℃での小角X線散乱により得られる散乱プロファイルにおいて、散乱強度の極大値における散乱ベクトルq(nm−1)を示す。
上記散乱プロファイルは、試料にX線を照射し、その散乱X線の位置や強度を検出器で検出することにより取得されるデータに基づいて、散乱強度I(q)を散乱ベクトルqに対してプロットすることにより得られる二次元グラフである。典型的には、横軸に散乱ベクトルq(nm−1)の大きさを表し、縦軸に散乱強度Iを表した二次元グラフである。なお、上記試料は、例えば、有効成分含有粒子からなる試料又は界面活性剤からなる試料である。また、散乱ベクトルq(nm−1)は、q=(4π/λ)sin(θ/2)(λをX線の波長とし、θを散乱角とする)である。有効成分含有粒子からなる試料、及び界面活性剤からなる試料の典型的な散乱プロファイルを図1に例示する。もっとも、図1は、後述する試験例1の小角X線散乱解析で得られた、実施例1〜2の粒子及びショ糖エルカ酸エステル(ER−290)の散乱プロファイルを示している。
上記散乱プロファイルは、試料の微細構造に関する情報を含んでいる。例えば、散乱強度の極大値における散乱ベクトルqから試料分子の分子間の距離を知ることができる。該極大値における散乱ベクトルqがより低角側(低q側)にあるほど、試料分子間の距離が長くなっていることを示す。界面活性剤の散乱強度の極大値における散乱ベクトルqに対して、有効成分含有粒子の界面活性剤由来の散乱強度の極大値における散乱ベクトルqが低角側にシフトしている場合、粒子化により粒子内の界面活性剤分子間の距離が長くなっていることを示している。特に、粒子中の有効成分分子と界面活性剤分子の親和性が高い場合、界面活性剤分子間に有効成分分子が存在でき、結果として界面活性剤分子間の距離が長くなる。つまり、界面活性剤の散乱強度の極大値における散乱ベクトルqに対して、粒子の界面活性剤由来の散乱強度の極大値における散乱ベクトルqが低角側にシフトしている場合、有効成分と界面活性剤の親和性が高くなっていることを示す。散乱プロファイルを解析することで、上記のような情報を取得することができる。
X線源としては、特に制限されず、シンクロトロン放射光X線や回転Cu陰極特性X線を用いることができる。なかでも、シンクロトロン放射光X線が好ましく用いられる。
なお、シンクロトロン放射光は、電子シンクロトロンに伴ってシンクロトロン放射される光である。シンクロトロン放射光は、単色、高輝度、あるいは指向性が高い等の特徴を有するさまざまな波長の電磁波を含んでおり、X線領域についても単色、高輝度、あるいは指向性の高いX線を含んでいる。そのため、このX線を用いることで、X線管等を用いた通常のX線を用いた場合に比べて、より多くの情報を含んだ散乱プロファイルを取得することができる。
このようなシンクロトロン放射光は、例えば、高輝度光科学研究センターのSPring−8、高エネルギー加速器研究機構のPFリング、分子科学研究所のUVSOR、広島大学放射光科学研究センターのHiSOR等の各放射光施設において測定することができる。
検出及びデータ解析は、小角X線散乱法において従来一般的に用いられている装置を用いて行うことができる。
散乱強度の極大値における散乱ベクトルqとは、散乱プロファイルにおいて、散乱ベクトルqの小さい側から散乱強度Iの変化を見た場合に、散乱強度Iの変化が増加から減少に転じる点(図1中、例えば、矢印Aで示される点)における散乱ベクトルqを意味する。上記極大値は、通常、散乱ベクトルqが1.0以上の範囲に現れる。本発明の効果をより一層確実に発揮できるという観点から、散乱強度の極大値を示す散乱ベクトルqは、1.0〜3.0nm−1の範囲内にあることが好ましい。なお、極大値が2つ以上存在する場合は、それらのうち、最も大きい極大値を採用することが好ましい。なお、有効成分が結晶化している場合、比較的高角領域、例えばq≧4.0において、結晶状態を示す特有のピークが現れるが、このピークは上記極大値には包含されない。
S0の定義中の「界面活性剤の測定温度25℃での小角X線散乱により得られる散乱プロファイル」の界面活性剤と、S1の定義中の「有効成分含有粒子の測定温度25℃での小角X線散乱により得られる散乱プロファイル」の有効成分含有粒子を構成する界面活性剤とは、異なっていてもよい。もっとも、本発明の効果をより一層確実に発揮できるという観点から、同じであることが好ましい。すなわち、前者の界面活性剤が界面活性剤Aである場合、後者の界面活性剤も界面活性剤Aであることが好ましい。
親和性指数Xは、界面活性剤の散乱強度の極大値における散乱ベクトルqと、有効成分含有粒子の散乱強度の極大値における散乱ベクトルqとの差である。よって、親和性指数Xが高い場合、有効成分含有粒子内における、有効成分分子と界面活性剤分子の分子間の親和性がより向上していることを意味すると考えられる。
本発明において、親和性指数Xは、0.2より小さい。本発明の効果をより一層確実に発揮できるという観点から、親和性指数Xは、好ましくは0.19以下、より好ましくは0.18以下、さらに好ましくは0.17である。
また、親和性指数Xは、0.05より大きい。本発明の効果をより一層確実に発揮できるという観点から、好ましくは0.06以上、より好ましくは0.07以上、さらに好ましくは0.08以上である。
本発明の粒子の個数平均粒子径は、特に制限されない。粒子の個数平均粒子径は、例えば1nm〜500nm、好ましくは1nm〜100nm、より好ましくは1nm〜50nmである。
なお、本発明において、粒子の個数平均粒子径とは、溶媒(例えば、スクワラン等)分散時の動的光散乱法により、数平均径を算出したものとする。
粒子の形状は、特に限定されない。粒子の形状としては、例えば、球状、ロッド状、キュービック状、レンズ状、又はウニ状等が挙げられる。
粒子の水分含有率は、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下、特に好ましくは1重量%以下、最も好ましくは粒子が実質的に水分を含有しない。すなわち、本発明の有効成分含有粒子は、W/Oエマルション中の粒子とは異なるものである。
1.1.粒子本体
本発明において、粒子本体は固体である。粒子本体が固体であるため、後述する基剤中での安定性がより一層向上する。そのため、有効成分含有粒子を油相である基剤相中に分散させることで、S/O(Solid in Oil)型の構造を有する製剤を形成することができる。
本発明において、粒子本体は固体である。粒子本体が固体であるため、後述する基剤中での安定性がより一層向上する。そのため、有効成分含有粒子を油相である基剤相中に分散させることで、S/O(Solid in Oil)型の構造を有する製剤を形成することができる。
また、本発明において、粒子本体は、少なくとも有効成分を含む。
有効成分は、生理活性を有する成分である限りにおいて特に限定されない。好ましくは、その生理活性の発揮を目的として配合される成分である。有効成分としては、例えば、医薬品や化粧品等に有効成分として配合される成分が挙げられる。医薬品や化粧品の有効成分の多くは有機物であることから、有効成分は有機物であってもよい。また、有効成分は、固体であることが好ましい。
医薬品に配合される有効成分としては、全身作用が求められるもの、及び局所作用が求められるもののいずれも用いることができる。
医薬品に配合される有効成分の具体例としては、特に限定されないが、例えば、認知症治療薬、抗てんかん薬、抗鬱薬、抗パーキンソン病薬、抗アレルギー薬、抗癌剤、糖尿病治療薬、降圧剤、ED治療薬、皮膚疾患薬、局所麻酔薬、ペプチド薬又はそれらの薬学上許容される塩等が挙げられる。より具体的には、メマンチン、ドネペジル、ジフェンヒドラミン、バルデナフィル、オクトレオチド、リバスチグミン、ガランタミン、ニトログリセリン、リドカイン、フェンタニル、男性ホルモン類、女性ホルモン類、ニコチン、クロミプラミン、ナルフラフィン、メトプロロール、フェソテロジン、バルデナフィル、ナルフラフィン、タンドスピロン、ベラプロストナトリウム、タルチレリン、ルラシドン、ネファゾドン、リファキシミン、ベニジピン、ドキサゾシン、ニカルジピン、フォルモテロール、ロメリジン、アムロジピン、テリパラチド、ブクラデシン、クロモグリク酸、リキセナチド、エキセナチド、リラグルチド、ランレオタイド、グルカゴン、オキシトシン、カルシトニン、エルカトニン、グラチラマー、リセドロン酸、ジクロフェナク、又はアスコルビン酸等や、これらの薬学上許容される塩等が挙げられる。
薬学上許容される塩としては、特に限定されるものではなく、酸性塩及び塩基性塩のいずれも採用することができる。酸性塩の例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩又はパラトルエンスルホン酸塩等の有機酸塩が挙げられる。また、塩基性塩の例としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、又はカルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。具体的な有効成分の塩としては、例えば、メマンチン塩酸塩、塩酸ドネペジル、酒石酸リバスチグミン、臭化水素酸ガランタミン、クロミプラミン塩酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ナルフラフィン塩酸塩、メトプロロール酒石酸塩、フェソテロジンフマル酸塩、バルデナフィル塩酸塩水和物、ナルフラフィン塩酸塩、タンドスピロンクエン酸塩、ベラプロストナトリウム、ルラシドン塩酸塩、ネファゾドン塩酸塩、ベニジピン塩酸塩、ドキサゾシンメシル酸塩、ニカルジピン塩酸塩、フォルモテロールフマル酸塩、ロメリジン塩酸塩、又はアムロジピンベシル酸塩等が挙げられる。
化粧品に配合される有効成分としては、皮膚透過が求められるものであれば特に限定されず、例えば、ビタミンC、ビタミンE等のビタミン成分、ヒアルロン酸、セラミド、コラーゲン等の保湿成分、トラネキサム酸、アルブチン等の美白成分、ミノキシジル等の発毛成分、FGF(線維芽細胞増殖因子)、EGF(表皮細胞増殖因子)等の美容成分、又はそれらの塩や誘導体等が挙げられる。
本発明の効果をより一層確実に発揮できるという観点から、有効成分として、好ましくは酸性塩又は塩基性塩が挙げられる。この場合、酸性塩としては、好ましくは無機酸塩が挙げられる。
有効成分としては、親水性のものが好ましい。
有効成分が親水性である場合、特に限定されないが、分子量が10000以下であり、かつオクタノール水分配係数が−6〜6であることが好ましい。
上記分子量は、好ましくは5000以下であり、より好ましくは2000以下であり、さらに好ましくは1000以下である。分子量の下限は特に限定されないが、通常、50である。
上記オクタノール水分配係数は、本発明の効果をより一層確実に発揮できるという観点から、好ましくは−6〜5であり、より好ましくは−6〜3であり、さらに好ましくは−5〜3である。
なお、本発明において、オクタノール水分配係数は、オクタノールとpH7の水系緩衝液を入れたフラスコ中に薬物を添加後、振とうし、それぞれの相の薬物濃度から以下の式で算出することができる。
オクタノール水分配係数=Log10(オクタノール相中薬物濃度/水相中薬物濃度)
本発明の粒子に含まれる有効成分の量は、有効成分の種類にもよるが、例えば、原料仕込み重量として、0.1〜30重量%(粒子に含まれる全原料の総重量を基準とする)とすることができる。
有効成分は、単独で用いることもできるし、任意の2種以上を組み合わせて用いることもできる。
粒子本体は、有効成分に加えてさらに他の成分を少なくとも1種含有していてもよい。他の成分としては、特に限定されないが、例えば、安定化剤、吸収促進剤、刺激低減剤又は防腐剤等が挙げられる。
安定化剤は、粒子の構造を安定化させる作用を有し、粒子の構造の意図せぬ早期の崩壊を防止し、有効成分の徐放効果を担保する役割を有する。
安定化剤としては、特に限定されないが、具体的には、多糖類、タンパク質又は親水性高分子材料等が挙げられる。安定化剤は、1種又は2種以上を含有してもよい。安定化剤の粒子本体における含有量は、その種類にもより適宜設定できるが、例えば、有効成分と安定化剤の重量比が、1:0.1〜1:10となるように配合することができる。
吸収促進剤としては、特に限定されないが、具体的には、高級アルコール、N−アシルサルコシン若しくはその塩、高級モノカルボン酸、高級モノカルボン酸エステル、芳香族モノテルペン脂肪酸エステル、炭素数2〜10の2価カルボン酸若しくはその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル若しくはその塩、乳酸、乳酸エステル、又はクエン酸等が挙げられる。吸収促進剤は、1種又は2種以上を含有してもよい。吸収促進剤の粒子本体における含有量は、その種類にもより適宜設定できるが、例えば、有効成分と吸収促進剤の重量比が、1:0.01〜1:50となるように配合することができる。
刺激低減剤としては、特に限定されないが、具体的には、ハイドロキノン配糖体、パンテチン、トラネキサム酸、レシチン、酸化チタン、水酸化アルミニウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸水素ナトリウム、大豆レシチン、メチオニン、グリチルレチン酸、BHT、BHA、ビタミンE若しくはその誘導体、ビタミンC若しくはその誘導体、ベンゾトリアゾール、没食子酸プロピル、又はメルカプトベンズイミダゾール等が挙げられる。刺激低減剤は、1種又は2種以上を含有してもよい。刺激低減剤の粒子本体における含有割合は、その種類にもより適宜設定できるが、例えば、0.1重量%〜50重量%となるように配合することができる。
防腐剤としては、特に限定されないが、具体的には、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、フェノキシエタノール又はチモール等が挙げられる。防腐剤の粒子本体における含有割合は、その種類にもより適宜設定できるが、例えば、0.01重量%〜10重量%となるように配合することができる。防腐剤は、1種又は2種以上を含有してもよい。
1.2.被覆層
被覆層は、少なくとも界面活性剤を含む。
被覆層は、少なくとも界面活性剤を含む。
界面活性剤としては、HLB値の加重平均値が10以下、好ましくは8以下、より好ましくは7以下のものを用いることができる。
本発明におけるHLB(Hydrophile Lypophile Balance)値は、乳化剤が親水性か親油性かを知る指標となるもので、0〜20の値をとる。HLB値が小さい程、親油性が強いことを示す。本発明においては下記Griffin式よりHLB値が算出される。
HLB値=20×{(親水部分の分子量)/(全分子量)}
HLB値の加重平均値は、以下のようにして算出する。
例えば、HLB値A、B、Cの界面活性剤原料があり、それぞれの粒子合成時の仕込み重量がx、y、zであったときの加重平均値の算出式は、(xA+yB+zC)÷(x+y+z)である。
界面活性剤は、特に限定されず、用途に応じて適宜選択できる。例えば、医薬品や化粧品として使用可能なもののなかから幅広く選択することができる。また、複数種の界面活性剤を併用してもよい。
界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤のいずれであってもよい。
非イオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、脂肪酸エステル、脂肪アルコールエトキシレート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルグリコシド若しくは脂肪酸アルカノールアミド、又はポリオキシエチレンヒマシ油若しくは硬化ヒマシ油等が挙げられる。
脂肪酸エステルとしては、特に限定されないが、糖脂肪酸エステルが好ましい。具体的には、エルカ酸、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸又はベヘニン酸等の脂肪酸と糖とのエステル等が挙げられる。糖としては、ショ糖が好ましい。
その他の脂肪酸エステルとしては、特に限定されないが、グリセリン、ポリグリセリン、ポリオキシエチレングリセリン、ソルビタン、又はポリオキシエチレンソルビットのうち少なくとも1種と脂肪酸とのエステル等が挙げられる。
陰イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸塩又はリン酸エステル塩等が挙げられる。
陽イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩又はアミン塩類等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、アルキルアミノ脂肪酸塩、アルキルベタイン又はアルキルアミンオキシド等が挙げられる。
界面活性剤としては、特に、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油又は硬化ヒマシ油を用いることが好ましい。
界面活性剤は、アルキル鎖、アルケニル鎖又はアルキニル鎖等の炭化水素鎖を有するものであってもよい。炭化水素鎖長は、特に限定されないが、主鎖上の炭素原子数が5〜30のなかから幅広く選択でき、特に6〜24であることが好ましい。
界面活性剤は、単独で用いることもできるし、任意の2種以上を組み合わせて用いることもできる。
被覆層は、界面活性剤に加えてさらに他の成分を少なくとも1種含有していてもよい。
他の成分としては、特に限定されないが、例えば、刺激低減剤、鎮痛剤、吸収促進剤、安定化剤又は防腐剤等が挙げられる。
刺激低減剤としては、特に限定されないが、具体的には、ハイドロキノン配糖体、パンテチン、トラネキサム酸、レシチン、酸化チタン、水酸化アルミニウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸水素ナトリウム、大豆レシチン、メチオニン、グリチルレチン酸、BHT、BHA、ビタミンE及びその誘導体、ビタミンC及びその誘導体、ベンゾトリアゾール、没食子酸プロピル、又はメルカプトベンズイミダゾール等が挙げられる。刺激低減剤は、1種又は2種以上を含有してもよい。刺激低減剤の被覆層における含有割合は、その種類にもより適宜設定できるが、例えば、0.1重量%〜50重量%となるように配合することができる。
鎮痛剤としては、特に限定されないが、具体的には、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、ジブカイン若しくはプリロカイン等の局所麻酔薬又はその塩等が挙げられる。鎮痛剤は、1種又は2種以上を含有してもよい。鎮痛剤の被覆層における含有割合は、その種類にもより適宜設定できるが、例えば、0.1重量%〜30重量%となるように配合することができる。
吸収促進剤としては、特に限定されないが、具体的には、高級アルコール、N−アシルサルコシン若しくはその塩、高級モノカルボン酸、高級モノカルボン酸エステル、芳香族モノテルペン脂肪酸エステル、炭素数2〜10の2価カルボン酸若しくはその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル若しくはその塩、乳酸、乳酸エステル、又はクエン酸等が挙げられる。吸収促進剤は、1種又は2種以上を含有してもよい。吸収促進剤の被覆層における含有割合は、その種類にもより適宜設定できるが、例えば、0.1重量%〜30重量%となるように配合することもできる。
安定化剤は、粒子がコアシェル構造を有する場合に、コアシェル構造を安定化させる作用を有し、コアシェル構造の意図せぬ早期の崩壊を防止し、有効成分の徐放効果を担保する役割を有する。
安定化剤としては、特に限定されないが、具体的には、脂肪酸若しくはその塩、メチルパラベン、プロピルパラベン等のパラヒドロキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ペンジルアルコール,フェニルエチルアルコール等のアルコール類、チメロサール、無水酢酸、ソルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、L−アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール、プチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、酢酸トコフェロール、dl−α−トコフェロール、タンパク質又は多糖類等が挙げられる。
安定化剤は、1種又は2種以上を含有してもよい。安定化剤の被覆層における含有量は、その種類にもより適宜設定できるが、例えば、界面活性剤がショ糖脂肪酸エステルである場合に、ショ糖脂肪酸エステルと安定化剤の重量比が、1:0.01〜1:50となるように配合することもできる。
防腐剤としては、特に限定されないが、具体的には、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、フェノキシエタノール又はチモール等が挙げられる。防腐剤は、1種又は2種以上を含有してもよい。防腐剤の被覆層における含有割合は、その種類にもより適宜設定できるが、例えば、0.01重量%〜10重量%となるように配合することができる。
2.製剤
本発明の製剤は、少なくとも本発明の有効成分含有粒子(粒子)を含有する。
本発明の製剤は、少なくとも本発明の有効成分含有粒子(粒子)を含有する。
製剤における上記粒子の含有割合は、特に限定されないが、貼付剤、軟膏剤、クリーム剤又はゲル剤の場合は、好ましくは10重量%以上、70重量%以下であり、より好ましくは20重量%以上、50重量%以下である。
本発明の製剤における、有効成分と界面活性剤との重量比(有効成分重量:界面活性剤重量)は、本発明の効果が奏される範囲内において適宜設定することができるが、例えば1:3〜1:100とすることができる。本発明の効果をより確実に発揮できるという観点から、上記重量比を1:5〜1:100とすることが好ましく、1:5〜1:70とすることがより好ましく、1:5〜1:50とすることがさらに好ましく、1:5〜1:40とすることが特に好ましく、1:5〜1:35とすることが最も好ましい。
本発明の製剤は、有効成分の種類に応じて、例えば皮膚外用薬、点眼薬、点鼻薬、座薬、口腔薬等の外用薬や、化粧品等の経皮吸収や経粘膜吸収を意図した製剤、あるいは注射剤等の幅広い用途に用いることができる。
本発明の製剤は、特に限定されないが、通常、1日〜1週間持続性であり、好ましい態様では1日〜1週間あたり1回適用されるように用いられる。
本発明の製剤が外用薬である場合、対象疾患は、有効成分の種類によって異なる。
本発明の製剤は、特に限定されず、プラスター剤若しくは硬膏剤等のテープ剤(リザーバー型、マトリックス型等)、パップ剤、パッチ剤、又はマイクロニードル等の貼付剤、軟膏剤、リニメント剤若しくはローション剤等の外用液剤、外用エアゾール剤若しくはポンプスプレー剤等のスプレー剤、クリーム剤、ゲル剤、点眼剤、眼軟膏剤、点鼻剤、坐剤、直腸用半固形剤又は注腸剤等として使用できる。
本発明の製剤は、好ましくは、水分含有率が20重量%以下であり、より好ましくは実質的に水分を含有しない。これにより、本発明の粒子の形状保持性をより一層高めることが可能であり、該粒子からの有効成分の漏出、ひいては有効成分の結晶化をさらに一層抑制することができる。結果としてさらに一層高い吸収性を発揮することが可能である。この観点から、本発明の製剤は、水分含有率が20重量%以下に調整される剤に用いられることが好ましく、実質的に水を含有しない剤に用いられることがより好ましい。具体的に本発明の製剤は、例えば、プラスター剤、パッチ剤、軟膏剤又はゲル剤等として使用されることが好ましい。
2.1.基剤相
本発明の製剤は、さらに基剤を含有する相(基剤相)を含有し、基剤相が粒子を含有するものであってもよい。このとき、粒子は、基剤相中に分散又は溶解していることが好ましい。
本発明の製剤は、さらに基剤を含有する相(基剤相)を含有し、基剤相が粒子を含有するものであってもよい。このとき、粒子は、基剤相中に分散又は溶解していることが好ましい。
基剤は、特に限定されず、特に外用薬などの医薬品や化粧品として使用可能なもののなかから幅広く選択することができる。
上述したように、本発明の粒子は、粒子本体が固体である。そのため、基剤相が油相である場合、粒子を油相である基剤相中に分散させることで、S/O(Solid in Oil)型の製剤を形成することができる。S/O型の製剤は、例えば、後述する製造方法により得られた粒子を、油相中に分散させることにより得ることができる。
基剤は、粒子を分散又は溶解させるのに適切なもののなかから使用目的等に応じて適宜選択することができ、特に限定されない。
また、複数種の基剤を併用してもよい。
基剤としては、特に限定されず、油性基剤や、水性基剤等が挙げられる。油性基剤としては、例えば、エラストマー、植物油、動物油、中性脂質、合成油脂、ステロール誘導体、ワックス類、炭化水素類、モノアルコールカルボン酸エステル類、オキシ酸エステル類、多価アルコール脂肪酸エステル類、シリコーン類、高級アルコール類、高級脂肪酸類又はフッ素系油剤類等が挙げられる。水性基剤としては、水や(多価)アルコール等が挙げられる。
エラストマーとしては、特に限定されないが、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、ポリイソブチレン(PIB)若しくはイソプレンゴム(IR)等のゴム系、シリコーンゴム等のシリコーン系、又はウレタン系のエラストマー等が挙げられる。
植物油としては、特に限定されないが、例えば、大豆油、ゴマ油、オリーブ油、やし油、バーム油、こめ油、綿実油、ひまわり油、コメヌカ油、カカオ脂、コーン油、べに花油、ひまし油又はなたね油等が挙げられる。
動物油としては、特に限定されないが、例えば、ミンク油、タートル油、魚油、牛油、馬油、豚油又は鮫スクワラン等が挙げられる。
中性脂質としては、特に限定されないが、例えば、トリオレイン、トリリノレイン、トリミリスチン、トリステアリン又はトリアラキドニン等が挙げられる。
合成油脂としては、特に限定されないが、例えば、リン脂質又はアゾン等が挙げられる。
ステロール誘導体としては、特に限定されないが、例えば、ジヒドロコレステロール、ラノステロール、ジヒドロラノステロール、フィトステロール、コール酸又はコレステリルリノレート等が挙げられる。
ワックス類としては、例えば、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、みつろう、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス又はエチレン・プロピレンコポリマー等が挙げられる。
炭化水素類としては、例えば、流動パラフィン(ミネラルオイル)、重質流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ポリブテン、スクワラン、オリーブ由来スクワラン、スクワレン、ワセリン又は固形パラフィン等が挙げられる。
モノアルコールカルボン酸エステル類としては、例えば、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ヘキシルデシル、イソステアリン酸オクチルドデシル、パリミチン酸セチル、パルミチン酸オクチルドデシル、オクタン酸セチル、オクタン酸ヘキシルデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸オクチル、イソノナン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオデカン酸オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、リシノレイン酸オクチルドデシル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、エルカ酸オクチルドデシル、イソステアリン酸硬化ヒマシ油、オレイン酸エチル、アボカド油脂肪酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、セバチン酸ジエチル、セバチン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジブチルオクチル、アジピン酸ジイソブチル、コハク酸ジオクチル又はクエン酸トリエチル等が挙げられる。
オキシ酸エステル類としては、例えば、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル又はモノイソステアリン酸水添ヒマシ油等が挙げられる。
多価アルコール脂肪酸エステル類としては、例えば、トリオクタン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、水添ロジントリグリセリド(水素添加エステルガム)、ロジントリグリセリド(エステルガム)、ベヘン酸エイコサン二酸グリセリル、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ジオレイン酸プロピレングリコール、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、水素添加ロジンペンタエリスリチル、トリエチルヘキサン酸ジトリメチロールプロパン、(イソステアリン酸/セバシン酸)ジトリメチロールプロパン、トリエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、テトライソステアリン酸ポリグリセリル、ノナイソステアリン酸ポリグリセリル−10、デカ(エルカ酸/イソステアリン酸/リシノレイン酸)ポリグリセリル−8、(ヘキシルデカン酸/セバシン酸)ジグリセリルオリゴエステル、ジステアリン酸グリコール(ジステアリン酸エチレングリコール)、ジネオペンタン酸3−メチル−1,5−ペンタンジオール又はジネオペンタン酸2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール等が挙げられる。
シリコーン類としては、例えば、ジメチコン(ジメチルポリシロキサン)、高重合ジメチコン(高重合ジメチルポリシロキサン)、シクロメチコン(環状ジメチルシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン)、フェニルトリメチコン、ジフェニルジメチコン、フェニルジメチコン、ステアロキシプロピルジメチルアミン、(アミノエチルアミノプロピルメチコン/ジメチコン)コポリマー、ジメチコノール、ジメチコノールクロスポリマー、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、アミノプロピルジメチコン又はアモジメチコン等のアミノ変性シリコーン、カチオン変性シリコーン、ジメチコンコポリオール等のポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、糖変性シリコーン、カルボン酸変性シリコーン、リン酸変性シリコーン、硫酸変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、アルキルエーテル変性シリコーン、アミノ酸変性シリコーン、ペプチド変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、カチオン変性若しくはポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性又はポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性若しくはポリエーテル変性シリコーン又はポリシロキサン・オキシアルキレン共重合体等が挙げられる。
高級アルコール類としては、例えば、セタノール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、ホホバアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール又はダイマージオール等が挙げられる。
高級脂肪酸類としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、イソヘキサデカン酸、アンテイソヘンイコサン酸、長鎖分岐脂肪酸、ダイマー酸又は水素添加ダイマー酸等が挙げられる。
フッ素系油剤類としては、例えば、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン又はパーフルオロポリエーテル等が挙げられる。
(多価)アルコールとしては、例えば、エタノール、イソプロパノール、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、又はポリエチレングリコール等が挙げられる。
また、その他の基剤としては、特に限定されないが、プラスター剤若しくは硬膏剤等のテープ剤(リザーバー型、マトリックス型等)、パップ剤、パッチ剤、マイクロニードル等の貼付剤、軟膏剤、リニメント剤やローション剤等の外用液剤、外用エアゾール剤やポンプスプレー剤等のスプレー剤、クリーム剤、ゲル剤、点眼剤、眼軟膏剤、点鼻剤、坐剤、直腸用半固形剤、又は注腸剤等に使用される基剤等が挙げられる。
2.2.その他の添加成分
本発明の製剤は、その剤形や使用目的等に応じて、その他の添加成分を含有していてもよい。
本発明の製剤は、その剤形や使用目的等に応じて、その他の添加成分を含有していてもよい。
添加成分としては、特に限定されないが、賦形剤、着色剤、滑沢剤、結合剤、乳化剤、増粘剤、湿潤剤、安定剤、保存剤、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、緩衝剤、pH調整剤、ゲル化剤、粘着剤、酸化防止剤、吸収促進剤、刺激緩和剤、防腐剤、キレート剤又は分散剤等が挙げられる。
また、本発明の製剤は、上記基剤相を含有しない場合は粒子が、又は上記基剤相を含有する場合は粒子を含有した状態の基剤相が(以下、これらを総称して「粒子含有基本成分」ということがある。)、さらに他の成分に分散されているものであってもよい。この場合、本発明の製剤は、粒子もしくは粒子含有基本成分が完全溶解しない成分に、粒子もしくは粒子含有基本成分を混合分散又はエマルション化等させることにより提供される。
剤型により適宜選択することができ、特に限定されないが、例えば、プラスター剤や硬膏剤等のテープ剤(リザーバー型、マトリックス型等)、パップ剤、パッチ剤、マイクロニードル等の貼付剤、軟膏剤、リニメント剤やローション剤等の外用液剤、外用エアゾール剤やポンプスプレー剤等のスプレー剤、クリーム剤、ゲル剤、点眼剤、眼軟膏剤、点鼻剤、坐剤、直腸用半固形剤又は注腸剤等として提供するため、それぞれの剤型に使用される基剤等に、粒子もしくは粒子含有基本成分を混合分散又はエマルション化等させることができる。
3.粒子及び製剤の製造方法
本発明の粒子は、特に限定されないが、例えば、水相に有効成分を含有するW/Oエマルションを乾燥する工程を含む方法によって、製造することができる。
本発明の粒子は、特に限定されないが、例えば、水相に有効成分を含有するW/Oエマルションを乾燥する工程を含む方法によって、製造することができる。
W/Oエマルションは、いわゆる油中水滴エマルション、具体的には水性溶媒の液滴が油性溶媒中に分散した状態のエマルションである限り特に限定されない。
水相に有効成分を含有するW/Oエマルションは、例えば、有効成分を含有する水や緩衝水溶液等の水性溶媒と、界面活性剤を含有するシクロヘキサン、ヘキサン、又はトルエン等の油性溶媒とを混合することによって得ることができる。有効成分を含有する水性溶媒は、有効成分の他に、必要に応じて安定化剤、吸収促進剤又は刺激低減剤等の添加成分を含有していてもよい。界面活性剤を含有する油性溶媒は、有効成分の他に、必要に応じて、刺激低減剤、鎮痛剤、吸収促進剤、又は安定化剤等の添加成分を含有していてもよい。
混合の方法としては、W/Oエマルションを形成できる方法である限り特に限定されず、例えばホモジナイザー等による撹拌が挙げられる。ホモジナイザー撹拌時の条件は、例えば、5000〜50000rpm程度、好ましくは、10000〜30000rpm程度である。
上記W/Oエマルションにおける有効成分と界面活性剤との重量比(有効成分重量:界面活性剤重量)は、特に限定されず、例えば1:3〜1:100とすることができる。本発明の効果をより確実に発揮できるという観点から、該重量比を1:5〜1:100とすることが好ましく、1:5〜1:70とすることがより好ましく、1:5〜1:50とすることがさらに好ましく、1:5〜1:40とすることが特に好ましく、1:5〜1:35とすることが最も好ましい。
上記W/Oエマルションの乾燥の方法としては、該エマルション中の溶媒(水性溶媒及び油性溶媒)を除去できる方法である限り特に限定されず、例えば凍結乾燥や減圧乾燥等が挙げられる。好ましくは凍結乾燥が挙げられる。
このように本実施形態の製造方法は、水相に有効成分を含有するW/Oエマルションを乾燥する工程を含むので、粒子本体が固体である有効成分含有粒子を得ることができる。粒子本体が固体であるので、上述した基剤中での安定性がより一層向上する。また、粒子本体が固体である有効成分含有粒子を油相である基剤相中に分散させることで、S/O(Solid in Oil)型の構造を有する製剤を形成することができる。
限定的な解釈を望むものではないが、粒子の親和性指数Xは、粒子形成時の有効成分と界面活性剤の重量比や、有効成分のオクタノール水分配係数、有効成分の塩の種類、あるいは有効成分がフリー体の場合は、それが形成可能な塩の種類等によって変動し得ると考えられる。例えば、有効成分と界面活性剤の重量比は、低すぎても、あるいは高すぎても、親和性指数Xが低くなる傾向にある。もっとも、適切な重量比は有効成分に応じて異なる。有効成分は、酸性塩又は酸性塩を形成可能なフリー体であるか、あるいはオクタノール水分配係数が適切な範囲であれば、所望の親和性指数Xが得られやすい。一方、この場合以外でも、例えば、上記重量比を適切な範囲に調整することや、上記粒子に適切な添加剤を加えることなどの条件を適切に設定することにより、所望の親和性指数Xを示す本発明の粒子を得ることが可能である。
本発明の粒子はそのまま用いてもよいが、上記基剤等に分散して用いてもよい。
また、本発明の粒子を用いて、例えば、溶液塗工法より製剤を製造できる。溶液塗工法では、本発明の粒子及び基剤に加えてさらに所望により吸収促進剤、増粘剤又はゲル化剤等の添加成分を所定の割合になるようにヘキサン、トルエン又は酢酸エチル等の溶剤に添加し、攪拌して均一な溶液を調製する。溶液中の固形分濃度は、好ましくは10〜80重量%、より好ましくは20〜60重量%である。
次に、各成分を含有する上記溶液を、例えばナイフコーター、コンマコーター又はリバースコーターなどの塗工機を用いて、シリコーン処理したポリエステルフィルム等の剥離ライナー上に均一に塗布する。塗布後、乾燥して薬剤含有層を完成させ、該薬剤含有層の上に支持体をラミネートすることにより、吸収型製剤を得ることができる。支持体の種類によっては、支持体に上記薬剤含有層を形成した後、上記薬剤含有層の表面に剥離ライナーをラミネートしてもよい。
また、別の方法としては、例えば、本発明の粒子に必要に応じて基剤や吸収促進剤、安定剤、増粘剤及びゲル化剤等の添加成分を加えて混合する。用途に応じて、ガーゼ若しくは脱脂綿等の天然織物部材、ポリエステル若しくはポリエチレン等の合成繊維織物部材、又はこれらを適宜組み合わせて織布若しくは不織布等に加工したもの、又は透過性膜等に積層や含浸等して保持させた状態する。さらに粘着カバー材等で覆って使用することもできる。
このようにして得られた吸収型製剤は、使用用途に応じて楕円形、円形、正方形、長方形などの形状に適宜裁断する。また、必要に応じて周辺に粘着剤相等を設けてもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1;(有効成分:界面活性剤=1:10)
オクトレオチド酢酸塩(BACHEM社製、オクタノール水分配係数:0.1)0.1gを40gの純水に溶解し、これに、ショ糖エルカ酸エステル(三菱化学フーズ社製、商品名「ER−290」、HLB値:2)1.0gをシクロヘキサン80gに溶解した溶液を加え、ホモジナイザー撹拌(10,000rpm)した。この後に2日間凍結乾燥し、粒子本体に有効成分を含有し、被覆層に界面活性剤を含有する粒子を得た。また、動的光散乱法(スペクトリス社製、品番「ゼータサイザーナノS」)により算出した個数平均粒子径は100nmであった。
オクトレオチド酢酸塩(BACHEM社製、オクタノール水分配係数:0.1)0.1gを40gの純水に溶解し、これに、ショ糖エルカ酸エステル(三菱化学フーズ社製、商品名「ER−290」、HLB値:2)1.0gをシクロヘキサン80gに溶解した溶液を加え、ホモジナイザー撹拌(10,000rpm)した。この後に2日間凍結乾燥し、粒子本体に有効成分を含有し、被覆層に界面活性剤を含有する粒子を得た。また、動的光散乱法(スペクトリス社製、品番「ゼータサイザーナノS」)により算出した個数平均粒子径は100nmであった。
実施例2;(有効成分:界面活性剤=1:15)
ショ糖エルカ酸エステルの量を1.5gにしたこと以外は実施例1と同様にして粒子を得た。
ショ糖エルカ酸エステルの量を1.5gにしたこと以外は実施例1と同様にして粒子を得た。
比較例1;(有効成分:界面活性剤=1:50)
オクトレオチド酢酸塩に代えてリセドロン酸−ナトリウム2.5水和物(東京化成工業社製、オクタノール水分配係数:−5.0)を用い、かつショ糖エルカ酸エステルの量を5.0gにしたこと以外は、実施例1と同様にして粒子を得た。
オクトレオチド酢酸塩に代えてリセドロン酸−ナトリウム2.5水和物(東京化成工業社製、オクタノール水分配係数:−5.0)を用い、かつショ糖エルカ酸エステルの量を5.0gにしたこと以外は、実施例1と同様にして粒子を得た。
比較例2;(有効成分:界面活性剤=1:100)
ショ糖エルカ酸エステルの量を10gにしたこと以外は、比較例1と同様にして粒子を得た。
ショ糖エルカ酸エステルの量を10gにしたこと以外は、比較例1と同様にして粒子を得た。
比較例3;(有効成分:界面活性剤=1:30)
オクトレオチド酢酸塩に代えてメマンチン塩酸塩(東京化成工業社製、オクタノール水分配係数:0.3)を用い、かつショ糖エルカ酸エステルの量を3.0gにしたこと以外は、実施例1と同様にして粒子を得た。
オクトレオチド酢酸塩に代えてメマンチン塩酸塩(東京化成工業社製、オクタノール水分配係数:0.3)を用い、かつショ糖エルカ酸エステルの量を3.0gにしたこと以外は、実施例1と同様にして粒子を得た。
比較例4;(有効成分:界面活性剤=1:50)
ショ糖エルカ酸エステルの量を5.0gにしたこと以外は、比較例3と同様にして粒子を得た。
ショ糖エルカ酸エステルの量を5.0gにしたこと以外は、比較例3と同様にして粒子を得た。
比較例5;(有効成分:界面活性剤=1:100)
ショ糖エルカ酸エステルの量を10.0gにしたこと以外は、比較例3と同様にして粒子を得た。
ショ糖エルカ酸エステルの量を10.0gにしたこと以外は、比較例3と同様にして粒子を得た。
試験例1;小角X線散乱解析
小角X線散乱法により、実施例及び比較例の粒子、並びに実施例及び比較例の粒子の調製に用いた界面活性剤(ショ糖エルカ酸エステル(ER−290))を解析した。解析条件は以下のとおりである。
小角X線散乱法により、実施例及び比較例の粒子、並びに実施例及び比較例の粒子の調製に用いた界面活性剤(ショ糖エルカ酸エステル(ER−290))を解析した。解析条件は以下のとおりである。
X線源:高輝度光科学研究センター、SPring−8、ビームラインBL40B2
カメラ長:約1.25m
X線波長:0.71Å
ビームサイズ(半値全幅):0.2mm×0.2mm
測定時間:10〜60秒/1検体
測定温度:25℃
カメラ長:約1.25m
X線波長:0.71Å
ビームサイズ(半値全幅):0.2mm×0.2mm
測定時間:10〜60秒/1検体
測定温度:25℃
得られたデータに基づいて、横軸に散乱ベクトルq(nm−1)の大きさを表し、縦軸に散乱強度Iを表した散乱プロファイルを作成した。なお、q=(4π/λ)sin(θ/2)(λをX線の波長とし、θを散乱角とする)である。散乱プロファイルを図1〜図3に示す。
さらに、粒子の散乱プロファイルにおいて、散乱ベクトルqが1.0〜3.0(nm−1)の範囲内の極大値における散乱ベクトルqから、界面活性剤の散乱プロファイルにおいて、散乱ベクトルqが1.0〜3.0(nm−1)の範囲内の極大値における散乱ベクトルqを引いた値を、親和性指数Xとして算出した。親和性指数Xを表1に示す。
試験例2;ヘアレスラット皮膚透過性試験
薬物皮膚透過試験セル(図4)にヘアレスラット皮膚(日本エスエルシー社、HWY/Slc、8週齢より摘出)をセットした。この装置の上部に実施例及び比較例の粒子、あるいは有効成分(オクトレオチド酢酸塩、リバスチグミン、リセドロン酸−ナトリウム2.5水和物、メマンチン塩酸塩、ロキソプロフェンナトリウム、及びジクロフェナクナトリウム)を、有効成分が製剤の全体重量に対して1重量%となるようにプラスチベース(大正製薬社製)に加え、混合、分散して製造した製剤を0.3g(約3.14cm2)適用した。下部のレセプター層においては、蒸留水中にNaH2PO4を5×10−4M、Na2HPO4を2×10−4M、NaClを1.5×10−4M、硫酸ゲンタマイシン(和光純薬社製、G1658)を10ppm、それぞれ、含有させた液をNaOHでpH7.2に調整した緩衝液を入れた。また、試験開始後より32℃に保たれた恒温槽中に装置を設置した。試験開始後、48時間後に下部のレセプター層より槽中の液のうち1mlを採取し、直後に同じ組成の液を1ml補充した。回収した各々のレセプター液試料にメタノールを添加して溶出脂質等を抽出し遠心分離した。遠心分離後、上清中の有効成分濃度を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により定量した(装置:システムコントローラー;島津製作所社製、品番「CBM−20A」、送液ユニット;島津製作所社製、品番「LC−20AD」、カラムオーブン;島津製作所社製、品番「CTO−20A」、検出器;島津製作所社製、品番「SPD−20A」、検出波長;271nm、使用カラム:Thermoscientific社製、商品名「Hypersi GOLD」、150×4.6mm、3μm)。
薬物皮膚透過試験セル(図4)にヘアレスラット皮膚(日本エスエルシー社、HWY/Slc、8週齢より摘出)をセットした。この装置の上部に実施例及び比較例の粒子、あるいは有効成分(オクトレオチド酢酸塩、リバスチグミン、リセドロン酸−ナトリウム2.5水和物、メマンチン塩酸塩、ロキソプロフェンナトリウム、及びジクロフェナクナトリウム)を、有効成分が製剤の全体重量に対して1重量%となるようにプラスチベース(大正製薬社製)に加え、混合、分散して製造した製剤を0.3g(約3.14cm2)適用した。下部のレセプター層においては、蒸留水中にNaH2PO4を5×10−4M、Na2HPO4を2×10−4M、NaClを1.5×10−4M、硫酸ゲンタマイシン(和光純薬社製、G1658)を10ppm、それぞれ、含有させた液をNaOHでpH7.2に調整した緩衝液を入れた。また、試験開始後より32℃に保たれた恒温槽中に装置を設置した。試験開始後、48時間後に下部のレセプター層より槽中の液のうち1mlを採取し、直後に同じ組成の液を1ml補充した。回収した各々のレセプター液試料にメタノールを添加して溶出脂質等を抽出し遠心分離した。遠心分離後、上清中の有効成分濃度を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により定量した(装置:システムコントローラー;島津製作所社製、品番「CBM−20A」、送液ユニット;島津製作所社製、品番「LC−20AD」、カラムオーブン;島津製作所社製、品番「CTO−20A」、検出器;島津製作所社製、品番「SPD−20A」、検出波長;271nm、使用カラム:Thermoscientific社製、商品名「Hypersi GOLD」、150×4.6mm、3μm)。
算出された48時間後累積透過量(μg/cm2)に基づいて、有効成分を粒子化することによって累積透過量が変化した倍率(粒子化透過量倍率)を求めた。具体的には、[粒子を適用した場合の48時間後累積透過量(μg/cm2)]を、[有効成分のみを適用した場合の48時間後累積透過量(μg/cm2)]で除して得られる値として、算出した。結果を表1及び図5に示す。なお、図5中、黒丸は実施例のプロットを示し、黒色の三角は比較例のプロットを示す。
表1及び図5に示されるように、比較例の粒子(親和性指数X≦0.05)は、有効成分の粒子化によって皮膚透過性が向上していなかった(粒子化透過量倍率≦2)。これに対して、実施例の粒子(親和性指数X>0.05)は、有効成分の粒子化によって皮膚透過性が向上していた(粒子化透過量倍率>2)。
1…パラフィルム
2…皮膚
3…製剤
4…レセプター液(pH=7.2リン酸緩衝液)
5…撹拌子
2…皮膚
3…製剤
4…レセプター液(pH=7.2リン酸緩衝液)
5…撹拌子
Claims (8)
- 有効成分を含有する、粒子本体と、
前記粒子本体の表面の少なくとも一部を覆っており、かつ界面活性剤を含有する、被覆層とを備え、
前記粒子本体が固体であり、
下記式(1)で表される親和性指数Xが、0.05<X<0.2の範囲にある、有効成分含有粒子。
X=S0−S1 …(1)
[式(1)中、S1は、前記有効成分含有粒子の測定温度25℃での小角X線散乱により得られる散乱プロファイルにおいて、散乱強度の極大値における散乱ベクトルq(nm−1)を示し、S0は、前記界面活性剤の測定温度25℃での小角X線散乱により得られる散乱プロファイルにおいて、散乱強度の極大値における散乱ベクトルq(nm−1)を示す。] - 前記粒子本体がコア部であり、前記被覆層がシェル部であり、コアシェル構造を有している、請求項1に記載の有効成分含有粒子。
- 前記有効成分含有粒子及び前記界面活性剤の前記極大値における散乱ベクトルqが、それぞれ、1.0〜3.0nm−1の範囲内にある、請求項1又は2に記載の有効成分含有粒子。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の有効成分含有粒子を含む、製剤。
- 前記有効成分と前記界面活性剤との重量比(有効成分重量:界面活性剤重量)が、1:5〜1:100の範囲内にある、請求項4に記載の製剤。
- 請求項4又は5に記載の製剤を含む、外用薬。
- 請求項4又は5に記載の製剤を含む、化粧品。
- 請求項4又は5に記載の製剤を含む、注射剤。
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