JP2018070448A - シクロメタル化イリジウム錯体の製造方法、及び、有機イリジウム材料からなるシクロメタル化イリジウム錯体の前駆体 - Google Patents

シクロメタル化イリジウム錯体の製造方法、及び、有機イリジウム材料からなるシクロメタル化イリジウム錯体の前駆体 Download PDF

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Abstract

【課題】有機EL素子等の燐光材料であるシクロメタル化イリジウム錯体を、ハロゲン架橋イリジウムダイマーを副生することなく、高収率で製造する方法の提供。【解決手段】有機イリジウム材料からなるシクロメタル化イリジウム錯体の原料と、イリジウム−炭素結合ならびにイリジウム−窒素結合を形成しうる芳香族複素環2座配位子とを反応させて、シクロメタル化イリジウム錯体を製造する方法、並びに、前記原料となる有機イリジウム材料。【選択図】なし

Description

本発明は、有機電解発光(EL)素子、有機電気化学発光(ECL)素子、発光センサー、光増感色素、光触媒、発光プローブ、各種光源等に使用される燐光材料として用いられるシクロメタル化イリジウム錯体を高収率で、かつ、高純度で製造するための技術に関する。
燐光材料を用いた有機EL素子は、従来の蛍光材料を用いた有機EL素子よりも発光効率が3〜4倍高いことから、研究開発が活発に進められている。燐光材料としては、例えば、2−フェニルピリジンや1−フェニルイソキノリン等の芳香族複素環2座配位子が、イリジウム−炭素結合ならびにイリジウム−窒素結合を形成することでシクロメタル化したイリジウム錯体が知られている(化1参照)。
Figure 2018070448
上記シクロメタル化イリジウム錯体の製造法として、特許文献1には、原料であるイリジウム化合物としてビス(アセチルアセトナト)ジクロロイリジウム(III)酸ナトリウム(化2)を用い、このイリジウム化合物と、2−フェニルピリジンや1−フェニルイソキノリン等の芳香族複素環2座配位子とを反応させる方法が開示されている。
Figure 2018070448
国際公開2004/085449号パンフレット
しかしながら、本発明者の知見によれば、化1に示すシクロメタル化イリジウム錯体を製造する場合、芳香族複素環2座配位子を大量に使用する必要がある。具体的には、イリジウム原料1モルに対し、10倍モル以上も過剰量の芳香族複素環2座配位子を使用しなければ実用的な効率で所望のシクロメタル化イリジウム錯体を製造できないことが明らかになった。芳香族複素環2座配位子は高価なものが多く、この方法ではシクロメタル化イリジウム錯体のコストを大きく上昇させることとなる。
また、特許文献1記載の方法において、上記した芳香族複素環2座配位子の使用量の問題に関しては、当該配位子の使用量を相当過剰にしなくても、一応は所望とするシクロメタル化イリジウム錯体が生成できる。しかし、その場合、ハロゲン架橋イリジウムダイマー等の副生成物が生成し、所望のシクロメタル化イリジウム錯体のみを得ることができない。むしろ、副生成物の収率の方が高くなることが多く、所望とするシクロメタル化イリジウム錯体を収率良く、かつ、純度良く得ることができないという問題が明らかになった。
更に、本発明者の更なる検討によると、特許文献1記載の方法では、反応物の分解等の副反応が進行するケースがあることも明らかになった。このようなケースでは、たとえ芳香族複素環2座配位子の使用量を増やしたとしても、所望とするシクロメタル化イリジウム錯体の収率は向上しない。
本発明は、以上の事情を鑑みてなされたものであり、有機EL素子等の燐光材料として好適に用いられるシクロメタル化イリジウム錯体を、ハロゲン架橋イリジウムダイマーを副生することなく、高収率かつ高純度で製造することができる新たな方法を開示する。
上記課題を解決する本発明は、有機イリジウム材料からなるシクロメタル化イリジウム錯体の原料と、イリジウム−炭素結合ならびにイリジウム−窒素結合を形成しうる芳香族複素環2座配位子とを反応させて、シクロメタル化イリジウム錯体を製造する方法において、前記原料として下記一般式(1)で表される有機イリジウム材料を用いることを特徴とするシクロメタル化イリジウム錯体の製造方法である。
Figure 2018070448
(一般式(1)中、Irはイリジウム原子を表し、Oは酸素原子を表す。Lは、イリジウム−酸素結合を形成することができる配位子を表す。R、R、R、R、R、Rはアルキル基を表す。R、R、Rは水素原子又はアルキル基を表す。前記記載のアルキル基の水素原子が、一部又は全部がハロゲン原子で置換されても良い。)
本発明は、シクロメタル化イリジウム錯体の製造方法について、本発明者等が鋭意検討を重ねた結果、見出されたものであり、イリジウム原料として、一般式(1)で表される特定構造の有機イリジウム材料を用いることを特徴とする。
本発明に係るシクロメタル化イリジウム錯体の製造方法によれば、所望のシクロメタル化イリジウム錯体を収率良く製造することができる。その理由については、必ずしも明らかではないが、現時点で発明者は以下のように考えている。
本発明によってシクロメタル化イリジウム錯体を収率良く製造することができる理由としては、まず、ハロゲン架橋イリジウムダイマーの生成の有無が挙げられる。即ち、上記従来技術におけるイリジウム原料であるビス(アセチルアセトナト)ジクロロイリジウム(III)酸ナトリウムは、ハロゲン配位子を有する。そのため、望ましくない副生成物である、ハロゲン架橋イリジウムダイマーが生成し易いという問題がある。これに対して、本発明で原料として用いる一般式(1)の有機イリジウム材料は、ハロゲン配位子を含まない。従って、本発明に係る製造方法では、ハロゲン架橋イリジウムダイマーが全く生成しない。
また、本発明でイリジウム原料として適用される一般式(1)のイリジウム化合物は、配位子Lとイリジウムとの結合(イリジウム−酸素結合)が比較的弱く、このことも収率向上の要因と考えている。即ち、本発明においては、イリジウム原料の配位子Lが、従来技術のイリジウム原料(ビス(アセチルアセトナト)ジクロロイリジウム(III)酸ナトリウム)のハロゲン配位子よりも容易に脱離することができる。そのため、所望とするシクロメタル化イリジウム錯体の収率が劇的に向上するものと考えている。
そして、本発明者等によると、本発明に係るシクロメタル化イリジウム錯体の製造方法では、反応物の分解等の副反応は進行し難い。このこともシクロメタル化イリジウム錯体の収率は向上させる要因となっている。
更に、本発明に係るシクロメタル化イリジウム錯体の製造方法でも、イリジウム化合物と芳香族複素環2座配位子とを反応させることを要するが、一般式(1)のイリジウム化合物を原料とする本発明においては、過剰量の芳香族複素環2座配位子を使用することなくシクロメタル化イリジウム錯体を製造することができる。よって、高価な芳香族複素環2座配位子の使用量を低減して、低コストでシクロメタル化イリジウム錯体を製造することができる。
以下、本発明に係るシクロメタル化イリジウム錯体の製造方法について詳細に説明する。以下の説明においては、本発明を構成する(I)イリジウム原料、(II)芳香族複素環2座配位子、(III)好適な反応条件について説明する。
(I)イリジウム原料について
上記の通り、本発明で適用するイリジウム原料は、一般式(1)で表されるイリジウム化合物である。この一般式(1)中のIrはイリジウム原子を表し、Oは酸素原子を表す。
Lは、イリジウムに対して、イリジウム−酸素結合(以下、Ir−酸素結合と表記することがある)を形成することができる配位子を表す。Ir−酸素結合を形成することができる配位子としては、中性配位子が好ましい。例えば、HO配位子、アルコール配位子(炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜6がより好ましく、炭素数1〜3が特に好ましい)、酢酸配位子、トリフルオロ酢酸配位子、トリフルオロメタンスルホン酸配位子などが挙げられる。好ましくは、HO配位子、又は、アルコール配位子であり、より好ましくはHO配位子、又は、メタノール配位子であり、特に好ましくはHO配位子である。
一般式(1)中のR、R、R、R、R、Rは、各々独立に、アルキル基である。アルキル基の水素原子が、一部又は全部がハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)で置換されても良い。上記アルキル基の望ましい炭素数の範囲は、後述するCyA及びCyBに結合可能なアルキル基の範囲と同様である。
、R、R、R、R、Rは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、又は、トリフルオロメチル基が好ましく、メチル基、イソプロピル基、又は、トリフルオロメチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
、R、Rは、各々独立に、水素原子、又は、アルキル基であることが好ましく、水素原子、又は、メチル基であることがより好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
一般式(1)で表されるイリジウム化合物の例を化4に示す。但し、本発明における原料化合物は、これらのイリジウム化合物に限定されない。これらの中では、(Ir−1)、(Ir−5)〜(Ir−8)が好ましく、(Ir−1)、(Ir−5)〜(Ir−7)がより好ましく、(Ir−1)が特に好ましい。
Figure 2018070448
(II)芳香族複素環2座配位子について
本発明に係るシクロメタル化イリジウム錯体の製造方法は、上記で説明したイリジウム化合物(一般式(1))に、芳香族複素環2座配位子を反応させる。
本発明の製造方法における芳香族複素環2座配位子としては、一般式(2)で表されるものが好ましい。
Figure 2018070448
一般式(2)において、式中のNは窒素原子を表し、Cは炭素原子を表し、Hは水素原子を表す。
CyAは窒素原子を含む5員環又は6員環の環状基を表し、当該窒素原子を介してイリジウムと結合している。CyAは、5員環又は6員環の含窒素芳香族複素環であることが好ましい。
CyBは炭素原子を含む5員環又は6員環の環状基を表し、当該炭素原子を介してイリジウムと結合している。CyBは、5員環又は6員環の芳香族炭素環又は芳香族複素環であることが好ましく、5員環又は6員環の芳香族炭素環又は含窒素芳香族複素環であることがより好ましく、5員環又は6員環の芳香族炭素環であることが特に好ましい。
CyAとCyBとが結合し新たに環構造を形成しても良い。この場合、CyAとCyBとが結合し、新たな飽和環もしくは不飽和環を形成することが好ましく、不飽和環を形成することがより好ましい。
窒素原子を含む5員環又は6員環の環状基としては、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、シンノリン環、フタラジン環、キナゾリン環、ナフチリジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、チアゾール環、又は、チアジアゾール環が挙げられる。この中でも好ましくは、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、キノリン環、イソキノリン環、イミダゾール環、ピラゾール環、又は、トリアゾール環、であり、より好ましくは、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、又は、イミダゾール環であり、特に好ましくは、ピリジン環、イソキノリン環、又は、イミダゾール環である。
炭素原子を含む5員環又は6員環の環状基としては、具体的には、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、カルバゾール環、フルオレン環、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、シンノリン環、フタラジン環、キナゾリン環、ナフチリジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、チアゾール環、又は、チアジアゾール環が挙げられる。この中でも好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、又は、ピリミジン環であり、より好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環、又は、ピリミジン環であり、特に好ましくは、ベンゼン環である。
CyAとCyBとが結合することで生成した環は、CyAとCyBとが結合することでベンゾキノキサリン環、ベンゾキノリン環、ジベンゾキノキサリン環、ジベンゾキノリン環、フェナントリジン環を形成することが好ましく、ベンゾキノリン環、ジベンゾキノキサリン環、フェナントリジン環を形成することがより好ましい。ベンゾキノリン環としてはベンゾ[h]キノリン環が好ましい。ジベンゾキノキサリン環としては、ジベンゾ[f,h]キノキサリン環が好ましい。フェナントリジン環としては、イミダゾ[1,2−f]フェナントリジン環が好ましい。
CyA、CyB、及び、CyAとCyBとが結合することで生成した環は、置換基がついても良く、隣り合った置換基が結合し環構造を形成しても良く、更に置換されても良い。
CyA、CyB、及び、CyAとCyBとが結合することで生成した環に結合する置換基としては、例えば、以下のものがある。
・アルキル基(好ましくは炭素数1以上30以下、より好ましくは炭素数1以上20以下、特に好ましくは炭素数1以上10以下であり、例えばメチル、エチル、Iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。)
・アルケニル基(好ましくは炭素数2以上30以下、より好ましくは炭素数2以上20以下、特に好ましくは炭素数2以上10以下であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル等が挙げられる。)
・アルキニル基(好ましくは炭素数2以上30以下、より好ましくは炭素数2以上20以下、特に好ましくは炭素数2以上10以下であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニル等が挙げられる。)
・アリール基(好ましくは炭素数6以上30以下、より好ましくは炭素数6以上20以下、特に好ましくは炭素数6以上12以下であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、アントラニル等が挙げられる。)
・アミノ基(好ましくは炭素数0以上30以下、より好ましくは炭素数0以上20以下、特に好ましくは炭素数0以上10以下であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ等が挙げられる。)
・アルコキシ基(好ましくは炭素数1以上30以下、より好ましくは炭素数1以上20以下、特に好ましくは炭素数1以上10以下であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシ等が挙げられる。)
・アリールオキシ基(好ましくは炭素数6以上30以下、より好ましくは炭素数6以上20以下、特に好ましくは炭素数6以上12以下であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ等が挙げられる。)
・複素環オキシ基(好ましくは炭素数1以上30以下、より好ましくは炭素数1以上20以下、特に好ましくは炭素数1以上12以下であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシ等が挙げられる。)
・アシル基(好ましくは炭素数1以上30以下、より好ましくは炭素数1以上20以下、特に好ましくは炭素数1以上12以下であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル等が挙げられる。)
・アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2以上30以下、より好ましくは炭素数2以上20以下、特に好ましくは炭素数2以上12以下であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル等が挙げられる。)
・アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7以上30以下、より好ましくは炭素数7以上20以下、特に好ましくは炭素数7以上12以下であり、例えばフェニルオキシカルボニル等が挙げられる。)
・アシルオキシ基(好ましくは炭素数2以上30以下、より好ましくは炭素数2以上20以下、特に好ましくは炭素数2以上10以下であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシ等が挙げられる。)
・アシルアミノ基(好ましくは炭素数2以上30以下、より好ましくは炭素数2以上20以下、特に好ましくは炭素数2以上10以下であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等が挙げられる。)
・アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2以上30以下、より好ましくは炭素数2以上20以下、特に好ましくは炭素数2以上12以下であり、例えばメトキシカルボニルアミノ等が挙げられる。)
・アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7以上30以下、より好ましくは炭素数7以上20以下、特に好ましくは炭素数7以上12以下であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ等が挙げられる。)
・スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1以上30以下、より好ましくは炭素数1以上20以下、特に好ましくは炭素数1以上12以下であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノ等が挙げられる。)
・スルファモイル基(好ましくは炭素数0以上30以下、より好ましくは炭素数0以上20以下、特に好ましくは炭素数0以上12以下であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイル等が挙げられる。)
・カルバモイル基(好ましくは炭素数1以上30以下、より好ましくは炭素数1以上20以下、特に好ましくは炭素数1以上12以下であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイル等が挙げられる。)
・アルキルチオ基(好ましくは炭素数1以上30以下、より好ましくは炭素数1以上20以下、特に好ましくは炭素数1以上12以下であり、例えばメチルチオ、エチルチオ等が挙げられる。)
・アリールチオ基(好ましくは炭素数6以上30以下、より好ましくは炭素数6以上20以下、特に好ましくは炭素数6以上12以下であり、例えばフェニルチオ等が挙げられる。)
・複素環チオ基(好ましくは炭素数1以上30以下、より好ましくは炭素数1以上20以下、特に好ましくは炭素数1以上12以下であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオ等が挙げられる。)
・スルホニル基(好ましくは炭素数1以上30以下、より好ましくは炭素数1以上20以下、特に好ましくは炭素数1以上12以下であり、例えばメシル、トシル等が挙げられる。)
・スルフィニル基(好ましくは炭素数1以上30以下、より好ましくは炭素数1以上20以下、特に好ましくは炭素数1以上12以下であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニル等が挙げられる。)
・ウレイド基(好ましくは炭素数1以上30以下、より好ましくは炭素数1以上20以下、特に好ましくは炭素数1以上12以下であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイド等が挙げられる。)
・リン酸アミド基(好ましくは炭素数1以上30以下、より好ましくは炭素数1以上20以下、特に好ましくは炭素数1以上12以下であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミド等が挙げられる。)
・ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、複素環基(好ましくは炭素数1以上30以下、より好ましくは炭素数1以上12以下であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的にはイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ピペリジル、モルホリノ、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、カルバゾリル基、アゼピニル基等が挙げられる。)
・シリル基(好ましくは炭素数3以上40以下、より好ましくは炭素数3以上30以下、特に好ましくは炭素数3以上24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリル等が挙げられる。)
・シリルオキシ基(好ましくは炭素数3以上40以下、より好ましくは炭素数3以上30以下、特に好ましくは炭素数3以上24であり、例えばトリメチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシ等が挙げられる。)
以上の置換基の中で、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、複素環基、又は、シリル基が好ましく、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、又は、複素環基がより好ましく、アルキル基、又は、アリール基が特に好ましい。これらの置換基として望ましい範囲は前記の通りであり、上記置換基で更に置換されていてもよい。また隣り合った置換基は互いに結合し環構造を形成して良い。
アリール基や複素環基の望ましい形態として、デンドロン(原子又は環を分岐点とする規則的な樹枝状分岐構造を有する基)であることも好ましい。デンドロンの例としては、国際公開第02/067343号、特開2003−231692号公報、国際公開第2003/079736号、国際公開第2006/097717号、国際公開第2016/006523号等の文献に記載の構造が挙げられる。
本発明で用いられる一般式(2)で表される芳香族複素環2座配位子の具体的な好ましい構造としては、例えば、化6に示す一般式(4)〜(15)で表されるものが挙げられる。これらの中でも、一般式(4)〜(7)、(13)の構造を有するものが好ましく、一般式(4)、(6)、(7)、(13)の構造を有するものがより好ましい。
Figure 2018070448
(式(4)〜(15)中、R13〜R112は、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。隣り合った置換基は結合し、更に環構造を形成しても良い。R13〜R112の置換基は、CyA及びCyBに記載の置換基と同義であり、望ましい範囲も同じである。)
そして、本発明では、上述の一般式(1)で表されるイリジウム化合物と、上述の芳香族複素環2座配位子とを反応させてシクロメタル化イリジウム錯体を製造する。このシクロメタル化イリジウム錯体として好ましい構造は一般式(3)で表される。
Figure 2018070448
(一般式(3)中、Irはイリジウム原子を表し、Nは窒素原子を表し、Cは炭素原子を表し、CyAは窒素原子を含む5員環又は6員環の環状基を表し、当該窒素原子を介してイリジウムと結合しており、CyBは炭素原子を含む5員環又は6員環の環状基を表し、当該炭素原子を介してイリジウムと結合している。CyAとCyBとが結合し、更に環構造を形成しても良い。R10およびR12は各々独立にアルキル基を表し、R11は各々独立に、水素原子、又は、アルキル基であり、前記記載のアルキル基の水素原子が、一部又は全部がハロゲン原子で置換されても良い。m=2又は3であり、n=0又は1であり、m+n=3である。)
尚、一般式(3)における、N、C、CyA、CyBの意義は、一般式(2)と同義であり、それらの内容及び結合し得る置換基の範囲も同様となる。
(III)好適な反応条件について
本発明に係るシクロメタル化イリジウム錯体の製造方法において、好ましい反応条件について説明する。
本発明に係るシクロメタル化イリジウム錯体の製造方法では、溶媒を使用することが好ましい。溶媒として、例えば、アルコール類、飽和脂肪族炭化水素、エステル類、エーテル類、ニトリル類、非プロトン性極性溶媒、ケトン類、アミド類、芳香族炭化水素、含窒素芳香族化合物、イオン性液体、水が好ましい。この中でも、アルコール類、飽和脂肪族炭化水素、エステル類、エーテル類、非プロトン性極性溶媒、又は、アミド類がより好ましく、アルコール類、又は、非プロトン性極性溶媒(DMF、DMSOなど)が特に好ましく、アルコール類(好ましくは炭素数1以上30以下、より好ましくは炭素数1以上20以下、更に好ましくは炭素数1以上10以下)がより特に好ましく、アルコール類の中でもジオール(好ましくは炭素数1以上30以下、より好ましくは炭素数1以上20以下、更に好ましくは炭素数1以上10以下)が最も好ましい。具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオールが好ましい。
上記溶媒は、1種を単独で使用しても良いし、2種以上の溶媒を組み合わせて用いても良い。
本発明に係るシクロメタル化イリジウム錯体の製造方法では、一般式(1)で表されるイリジウム化合物の反応系内の濃度は特に制限されるものではないが、0.001モル/L以上10.0モル/L以下が好ましく、0.001モル/L以上1.0モル/L以下がより好ましく、0.01モル/L以上1.0モル/L以下が更に好ましく、0.05モル/L以上0.5モル/L以下が特に好ましい。
本発明に係るシクロメタル化イリジウム錯体の製造方法では、芳香族複素環2座配位子の使用量の好ましい範囲は以下の通りである。
一般式(3)において、m=3、n=0であるシクロメタル化イリジウム錯体を製造するケースでは、一般式(1)で表されるイリジウム化合物1モルに対し、芳香族複素環2座配位子を、3倍モル以上10倍モル未満とするのが好ましく、3倍モル以上6倍未満とするのがより好ましく、3倍モル以上4.5倍モル未満とするのが特に好ましい。
一般式(3)において、m=2、n=1であるシクロメタル化イリジウム錯体を製造するケースでは、一般式(1)で表されるイリジウム化合物1モルに対し、芳香族複素環2座配位子を、1.5倍モル以上3倍モル未満とするのが好ましく、1.5倍モル以上2.5倍モル未満とするのがより好ましく、2倍モル以上2.5倍未満とするのが特に好ましい。
上記のように、本発明においては、シクロメタル化イリジウム錯体を製造するために、過剰の芳香族複素環2座配位子を使用する必要はない。よって、高価な芳香族複素環2座配位子の使用量を低減でき、シクロメタル化イリジウム錯体の低コスト化を図ることができる。
本発明に係るシクロメタル化イリジウム錯体の製造方法では、イリジウム化合物と芳香族複素環2座配位子から構成される反応系を加熱することが好ましい。このときの反応温度は、50℃以上300℃未満とする。反応温度については、50℃以上250℃未満が好ましく、100℃以上250℃未満がより好ましく、140℃以上220℃未満が更に好ましく、140℃以上200℃未満が特に好ましい。尚、このときの加熱手段は特に限定されない。具体的には、オイルバス、サンドバス、マントルヒーター、ブロックヒーター、熱循環式ジャケットによる外部加熱、更にはマイクロ波照射による加熱等を利用できる。
本発明に係るシクロメタル化イリジウム錯体の製造方法では、反応時間は特に限定されない。但し、反応時間は、0.5時間以上72時間未満が好ましく、1時間以上48時間未満がより好ましく、1時間以上24時間未満が更に好ましい。
本発明に係るシクロメタル化イリジウム錯体の製造方法では、不活性ガス(窒素、アルゴン等)雰囲気下で行うことが好ましい。また、常圧(大気圧下)で行うことが好ましい。
そして、本発明の方法で製造されたシクロメタル化イリジウム錯体については、一般的な後処理方法で処理した後、必要があれば精製し、又は、精製せずに高純度品として用いることができる。後処理の方法としては、例えば、抽出、冷却、水や有機溶媒を添加することによる晶析、反応混合物からの溶媒を留去する操作等を、単独又は組み合わせて行うことができる。精製の方法としては、再結晶、蒸留、昇華又はカラムクロマトグラフィー等を、単独又は組み合わせて行うことができる。
以上説明した本発明に係る方法で製造されたシクロメタル化イリジウム錯体については、有機EL素子等の燐光材料として好適に用いることができる。
本発明によれば、有機EL素子等の燐光材料として好適に用いられるシクロメタル化イリジウム錯体を、高収率で製造することができ、かつ、高純度の錯体を製造できる。本発明では、上記一般式(1)のイリジウム化合物はハロゲン配位子を有しないため、望ましくない副生成物であるハロゲン架橋イリジウムダイマーを原理的に生成することはなく、所望とするシクロメタル化イリジウム錯体の製造効率を大きく向上させることができる。
尚、本発明に係る上記一般式(1)のイリジウム化合物は、シクロメタル化イリジウム錯体の製造のための原料として有用である。この一般式(1)のイリジウム化合物を使用することで、所望のシクロメタル化イリジウム錯体を純度・効率よく製造することできる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。本実施形態では、一般式(1)で表されるイリジウム化合物と芳香族複素環2座配位子とを反応させてシクロメタル化イリジウム錯体を製造した。尚、本実施形態は本発明の一例であり、本発明はこれに限定されない。
本実施形態では、イリジウム化合物原料として、下記のイリジウム化合物(Ir−1)を使用し、表1の各種シクロメタル化イリジウム錯体(T−1、T−2、T−3、T−4、B−2、B−4)を製造した(実施例1〜実施例5)。また、比較例として、ビス(アセチルアセトナト)ジクロロイリジウム(III)酸ナトリウム(比較化合物−A)を用いて、実施例1〜3と同じシクロメタル化イリジウム錯体(T−1、T−2、T−3)を製造の製造を試みた(比較例1〜比較例3)。イリジウム化合物(Ir−1)とイリジウム化合物(比較化合物−A)の製造は下記のようにした。
Figure 2018070448
[イリジウム化合物(Ir−1)の製造方法]
3塩化イリジウム三水和物85.1g(234.1mmol)をアセチルアセトン850.5ml(8.3mol)に添加し、更に、炭酸水素ナトリウム84.9g(1.0mol)を添加し、アルゴン雰囲気下で、110度で48時間反応させた。反応後、室温で一晩放冷し、ジクロロメタンを1L添加して、析出させ、ろ過、真空乾燥を経て、黄色い粗結晶を得た。粗結晶の洗浄のために、ジクロロメタンを400ml添加し、ろ過、真空乾燥を2回繰り返した。続いて純水を用いて再結晶し、イリジウム化合物(Ir−1)を16.4gの黄色い結晶を得た。
[イリジウム化合物(比較化合物−A)の製造方法]
3塩化イリジウム三水和物37.1g(105mmol)を純水200mlに溶解し、更に、1Mの炭酸水素ナトリウムを200mlと、アセチルアセトン20.5ml(200mmol)を添加して95℃10時間反応させた。反応後真空乾燥して乾固し、メタノールを400ml添加し、8時間還流後ろ過した。ろ液を濃縮し、冷メタノールを加えて、イリジウム化合物(比較化合物−A)の結晶13.0gを得た。
<実施例1>:シクロメタル化イリジウム錯体(T−1)の合成
イリジウム化合物(Ir−1)を104.2mg(0.2mmol)、2−フェニルピリジンを108.6mg(0.7mmol)、及び、エチレングリコール1.7mlを混合し、アルゴン雰囲気下、180℃で17時間加熱反応させた。反応終了後、反応溶液を室温まで冷却し、ここへメタノールを加えることで析出してきた黄色固体を回収した。
H−NMRの分析結果から、生成物は、所望のシクロメタル化イリジウム錯体(T−1)であり、収率は62%であった。このときの反応式を下記に示す。
Figure 2018070448
<比較例1>:シクロメタル化イリジウム錯体(T−1)の合成(比較化合物−A)
比較化合物−Aを145.3mg(0.3mmol)、2−フェニルピリジン配位子を163.0mg(1.05mmol)、及び、エチレングリコール2.5mlを混合し、アルゴン雰囲気下、180℃で17時間加熱反応させた。反応終了後、反応溶液を室温まで冷却し、ここへメタノールを加えることで析出してきた黄色固体を回収した。
H−NMRの分析結果から、生成物は、所望のシクロメタル化イリジウム錯体(T−1)と、ハロゲン架橋イリジウムダイマー(D−1)の混合物であることが確認された。そして、(T−1)と(D−1)の収率は、それぞれ22%と73%であった。このときの反応式を下記に示す。
Figure 2018070448
<実施例2>:シクロメタル化イリジウム錯体(T−2)の合成
イリジウム化合物(Ir−1)を104.2mg(0.2mmol)、1−フェニルイソキノリンを246.3mg(1.2mmol)、及び、エチレングリコール1.7mlを混合し、アルゴン雰囲気下、180℃で17時間加熱反応させた。反応終了後、反応溶液を室温まで冷却し、ここへメタノールを加えることで析出してきた赤色固体を回収した。
H−NMRの分析結果から、生成物は、所望のシクロメタル化イリジウム錯体(T−2)であり、収率は60%であった。このときの反応式を下記に示す。
Figure 2018070448
<比較例2>:シクロメタル化イリジウム錯体(T−2)の合成 (比較化合物−A)
比較化合物−Aを145.3mg(0.3mmol)、1−フェニルイソキノリンを369.5mg(1.8mmol)、及び、エチレングリコール2.5mlを混合し、アルゴン雰囲気下、180℃で17時間加熱反応させた。反応終了後、反応溶液を室温まで冷却し、ここへメタノールを加えることで析出してきた赤色固体を回収した。
H−NMRの分析結果から、生成物は、所望のシクロメタル化イリジウム錯体(T−2)と、ハロゲン架橋イリジウムダイマー(D−2)の混合物であることが確認された。そして、(T−2)と(D−2)の収率は、それぞれ24%と66%であった。このときの反応式を下記に示す。
Figure 2018070448
<実施例3>:シクロメタル化イリジウム錯体(T−3)の合成
イリジウム化合物(Ir−1)を208.4mg(0.4mmol)、1−メシチル−2−フェニル−1H−イミダゾールを367.3mg(1.4mmol)、及び、エチレングリコール0.5mlを混合し、アルゴン雰囲気下、180℃で17時間加熱反応させた。反応終了後、反応溶液を室温まで冷却し、ここへメタノールを加えることで析出してきた黄色固体を回収した。
H−NMRの分析結果から、生成物は、所望のシクロメタル化イリジウム錯体(T−3)であり、収率は54%であった。このときの反応式を下記に示す。
Figure 2018070448
<比較例3>:シクロメタル化イリジウム錯体(T−3)の合成 (比較化合物−A)
比較化合物−Aを145.3mg(0.3mmol)、1−メシチル−2−フェニル−1H−イミダゾールを275.5mg(1.05mmol)、及び、エチレングリコール2.5mlを混合し、アルゴン雰囲気下、180℃で17時間加熱反応させた。反応終了後、反応溶液を室温まで冷却し、ここへメタノールを加えることで析出してきた黄色固体を回収した。
H−NMRの分析結果から、生成物はハロゲン架橋イリジウムダイマー(D−3)のみであり、収率は23%であった。所望のシクロメタル化イリジウム錯体(T−3)は全く得られなかった。このときの反応式を下記に示す。
Figure 2018070448
<実施例4>:シクロメタル化イリジウム錯体(T−2)、(B−2)の合成
イリジウム化合物(Ir−1)を104.2mg(0.2mmol)、1−フェニルイソキノリンを82.1mg(0.4mmol)、及び、エチレングリコール1.7mlを混合し、アルゴン雰囲気下、140℃で17時間加熱反応させた。反応終了後、反応溶液を室温まで冷却し、ジクロロメタンで抽出し有機層を回収した。得られた赤色固体をジクロロメタンとメタノールで再結晶した。
H−NMRの分析結果から、生成物はシクロメタル化イリジウム錯体(T−2)とシクロメタル化イリジウム錯体(B−2)の混合物であった。(T−2)と(B−2)の収率は、それぞれ11%と66%であった。このときの反応式を下記に示す。
Figure 2018070448
<実施例5> シクロメタル化イリジウム錯体(T−4)、(B−4)の合成
イリジウム化合物(Ir−1)を104.2mg(0.2mmol)、2−メチルジベンゾ[f,h]キノキサリンを293.2mg(1.2mmol)、及び、ジエチレングリコール1.7mlを混合し、アルゴン雰囲気下、180℃で17時間加熱反応させた。反応終了後、反応溶液を室温まで冷却し、ここへメタノールを加えることで析出してきた赤色固体を回収した。
H−NMRの分析結果から、生成物はシクロメタル化イリジウム錯体(T−4)とシクロメタル化イリジウム錯体(B−4)の混合物であった。(T−4)と(B−4)の収率は、それぞれ54%と7%であった。このときの反応式を下記に示す。
Figure 2018070448
以上の実施例1〜5及び比較例1〜3におけるシクロメタル化イリジウム錯体の合成試験の結果について、下記の表1にまとめた。
Figure 2018070448
まず、実施例1〜実施例3の結果について検討すると、原料としてイリジウム化合物(Ir−1)を用いたことで、所望のシクロメタル化イリジウム錯体のみが得られることが確認された。一方、原料として従来の比較化合物−Aを用いた比較例1〜3では、望ましくないハロゲン架橋イリジウムダイマーが主生成物となり、所望のシクロメタル化イリジウム錯体の収率や純度が大きく低下する(比較例1、2)か、全く生成しない(比較例3)ことが明らかになった。
また、実施例4、5のように、シクロメタル化イリジウム錯体として、芳香族複素環2座配位子の配位数(m)が2のものも製造できることが確認された。実施例2と実施例4では、同じ芳香族複素環2座配位子(1−フェニルイソキノリン)を反応させているが、その添加量を調整することで、芳香族複素環2座配位子の配位数(m)が異なるシクロメタル化イリジウム錯体を製造することができる。本発明の広範な有用性が把握できたといえる。
更に、各実施例における反応条件から分かるように、本発明では過剰の芳香族複素環2座配位子の使用することなくシクロメタル化イリジウム錯体を製造できる。そして、高純度のシクロメタル化イリジウム錯体が得られることから、精製や製造に係るコストも大きく低下できると考えられる。
本発明によれば、有機EL素子等の燐光材料であるシクロメタル化イリジウム錯体を収率良く、かつ、純度良く製造することができる。更に、本発明の方法で製造したシクロメタル化イリジウム錯体を用いることで、高効率の有機EL素子等を製造することが可能になる。本発明は、有機電解発光(EL)素子、有機電気化学発光(ECL)素子、発光センサー、光増感色素、光触媒、発光プローブ、各種光源等に使用される燐光材料として用いられるシクロメタル化イリジウム錯体を製造方法として極めて有用である。

Claims (8)

  1. 有機イリジウム材料からなるシクロメタル化イリジウム錯体の原料と、イリジウム−炭素結合ならびにイリジウム−窒素結合を形成しうる芳香族複素環2座配位子とを反応させて、シクロメタル化イリジウム錯体を製造する方法において、前記原料として下記一般式(1)で表される有機イリジウム材料を用いることを特徴とするシクロメタル化イリジウム錯体の製造方法。
    Figure 2018070448
    (一般式(1)中、Irはイリジウム原子を表し、Oは酸素原子を表す。Lは、イリジウム−酸素結合を形成することができる配位子を表す。R、R、R、R、R、Rは、各々独立に、アルキル基を表す。R、R、Rは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。前記記載のアルキル基の水素原子が、一部又は全部がハロゲン原子で置換されても良い。)
  2. 芳香族複素環2座配位子は、一般式(2)で表され、
    シクロメタル化イリジウム錯体は、一般式(3)で表される請求項1に記載の製造方法。
    Figure 2018070448
    (一般式(2)中、Nは窒素原子を表し、Cは炭素原子を表し、Hは水素原子を表し、CyAは窒素原子を含む5員環又は6員環の環状基を表し、CyBは炭素原子を含む5員環又は6員環の環状基を表し、CyAとCyBとが結合し環構造を形成しても良い。)
    Figure 2018070448
    (一般式(3)中、Irはイリジウム原子を表し、Nは窒素原子を表し、Cは炭素原子を表し、CyAは窒素原子を含む5員環又は6員環の環状基を表し、当該窒素原子を介してイリジウムと結合しており、CyBは炭素原子を含む5員環又は6員環の環状基を表し、当該炭素原子を介してイリジウムと結合している。CyAとCyBとが結合し、更に環構造を形成しても良い。R10およびR12は各々独立にアルキル基を表し、R11は各々独立に、水素原子、又は、アルキル基であり、前記記載のアルキル基の水素原子が、一部又は全部がハロゲン原子で置換されても良い。m=2又は3であり、n=0又は1であり、m+n=3である。)
  3. 、R、R、R11は、水素原子である請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 配位子Lは、HOである請求項1〜請求項3のいずれかに記載の製造方法。
  5. m=3、n=0である請求項2〜請求項4のいずれかに記載の製造方法。
  6. m=2、n=1である請求項2〜請求項4のいずれかに記載の製造方法。
  7. CyAがピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、シンノリン環、フタラジン環、キナゾリン環、ナフチリジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環のいずれかであり、
    CyBがベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、カルバゾール環、フルオレン環、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、シンノリン環、フタラジン環、キナゾリン環、ナフチリジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環のいずれかであることを特徴とする請求項2〜請求項6のいずれかに記載の製造方法。
  8. シクロメタル化イリジウム錯体を製造するための有機イリジウム材料からなる前駆体であって、
    下記一般式(1)で表される有機イリジウム材料からなるシクロメタル化イリジウム錯体の前駆体。
    Figure 2018070448
    (一般式(1)中、Irはイリジウム原子を表し、Oは酸素原子を表す。Lは、イリジウム−酸素結合を形成することができる配位子を表す。R、R、R、R、R、Rは、各々独立に、アルキル基を表す。R、R、Rは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。前記記載のアルキル基の水素原子が、一部又は全部がハロゲン原子で置換されても良い。)
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