JP2018069112A - 排ガスの減圧除害方法及びその装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】希釈用の窒素ガスの使用を極小化でき、エネルギーの利用効率に優れた排ガスの除害方法とその装置とを提供する。【解決手段】真空ポンプを介して発生源より供給される排ガスを、減圧状態を保ちプラズマで分解処理することを特徴とする排ガスの減圧除害方法及びその装置であり、上記の減圧状態は、1Torr以上で且つ700Torr以下の範囲内であることが好ましい。【選択図】図1
Description
本発明は、主として電子産業の製造プロセスより排出される可燃性ガス、有毒ガス、温室効果ガスなどの有害ガスの処理に好適な排ガスの除害方法とその装置とに関する。
半導体や液晶などの電子産業で使われるシリコン系薄膜の形成には、爆発性や毒性を有するシラン系ガスを用いたCVD法が多く使われている。このCVD法で使用された上記シラン系ガスを含むプロセスガスは、CVDプロセスで使用された後、排ガスとして下記の特許文献1に記載のような除害装置で無害化されるが、従来より、かかる除害装置の手前で、排ガス中のシラン系ガスを爆発限界以下まで希釈するために大量の希釈用窒素ガスが投入されていた。
例えば、典型的なシリコン窒化膜CVDでは、SiH4/NH3/N2O=1slm/10slm/10slm(slm;standard liter per minute,1atm、0℃における1分間辺りの流量をリットルで表示した単位)が使われるが、SiH4の爆発範囲が1.3%〜100%であるため、CVDプロセスから排出されたこのようなガスは、直ちに希釈用窒素ガスで約76倍程度希釈をする必要がある。かかる希釈を行えば、従来の燃焼方式や大気圧プラズマ方式の熱分解装置で安全且つ確実に除害処理をすることができる。
例えば、典型的なシリコン窒化膜CVDでは、SiH4/NH3/N2O=1slm/10slm/10slm(slm;standard liter per minute,1atm、0℃における1分間辺りの流量をリットルで表示した単位)が使われるが、SiH4の爆発範囲が1.3%〜100%であるため、CVDプロセスから排出されたこのようなガスは、直ちに希釈用窒素ガスで約76倍程度希釈をする必要がある。かかる希釈を行えば、従来の燃焼方式や大気圧プラズマ方式の熱分解装置で安全且つ確実に除害処理をすることができる。
しかしながら、上記の従来技術には、次のような問題があった。
すなわち、上述のように窒素ガスで希釈されたシラン系ガスを含む排ガス全体を分解温度まで加熱するのに必要なエネルギーは、希釈前のシラン系ガスを含む排ガスのみを加熱する場合の約76倍のエネルギーが必要となる。つまり、従来の窒素ガスでの希釈が必要な除害プロセスでは、多量な窒素ガスの使用に伴うコストアップのみならず、排ガスの除害に直接関係が無い窒素ガスも加熱しなければならないため、エネルギー効率が低く、電力或いは燃料などのコストアップも招いていた。
すなわち、上述のように窒素ガスで希釈されたシラン系ガスを含む排ガス全体を分解温度まで加熱するのに必要なエネルギーは、希釈前のシラン系ガスを含む排ガスのみを加熱する場合の約76倍のエネルギーが必要となる。つまり、従来の窒素ガスでの希釈が必要な除害プロセスでは、多量な窒素ガスの使用に伴うコストアップのみならず、排ガスの除害に直接関係が無い窒素ガスも加熱しなければならないため、エネルギー効率が低く、電力或いは燃料などのコストアップも招いていた。
それゆえに、本発明の主たる目的は、希釈用の窒素ガスの使用を極小化でき、エネルギーの利用効率に優れた排ガスの除害方法とその装置とを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明は、排ガスの除害を減圧下で行なう事により対処している。
すなわち、本発明における第1の発明は、真空ポンプを介して排ガス発生源より供給される排ガスを、減圧状態に保ちプラズマで分解処理する、ことを特徴とする排ガスの減圧除害方法である。
すなわち、本発明における第1の発明は、真空ポンプを介して排ガス発生源より供給される排ガスを、減圧状態に保ちプラズマで分解処理する、ことを特徴とする排ガスの減圧除害方法である。
この第1の発明は、例えば、次の作用を奏する。
真空ポンプを介して排ガス発生源より供給される排ガスを、減圧状態に保ちプラズマにて分解処理するため、希釈用の窒素ガスが不要か極少量で足りる。また、このように窒素ガスでの希釈が不要か極少量で足りるため、プラズマとして供給されるエネルギーのほぼ全てを直接的に排ガスの分解に使用することができる。加えて、排ガスの発生源から処理部までが減圧下にあるため、排ガス中に人体にとって有毒なものが含まれる場合であっても、プラズマで分解処理される前に当該排ガスが系外へ漏れ出す心配はない。
真空ポンプを介して排ガス発生源より供給される排ガスを、減圧状態に保ちプラズマにて分解処理するため、希釈用の窒素ガスが不要か極少量で足りる。また、このように窒素ガスでの希釈が不要か極少量で足りるため、プラズマとして供給されるエネルギーのほぼ全てを直接的に排ガスの分解に使用することができる。加えて、排ガスの発生源から処理部までが減圧下にあるため、排ガス中に人体にとって有毒なものが含まれる場合であっても、プラズマで分解処理される前に当該排ガスが系外へ漏れ出す心配はない。
ここで、前記第1の発明においては、前記の減圧状態が、1Torr以上で且つ700Torr以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは、15Torr以上で且つ685Torr以下の範囲内であり、さらに好ましいのは100±50Torrの範囲内である。
減圧状態が1Torr未満の場合には、高度な真空環境を実現するために高価で大掛かりな装置が必要になり、逆に、減圧状態が700Torrを超える場合には、大気圧との差が小さくなるため、排ガスを多量の窒素ガスで希釈しなければならなくなる。
減圧状態が1Torr未満の場合には、高度な真空環境を実現するために高価で大掛かりな装置が必要になり、逆に、減圧状態が700Torrを超える場合には、大気圧との差が小さくなるため、排ガスを多量の窒素ガスで希釈しなければならなくなる。
本発明における第2の発明は、上記の排ガスの減圧除害方法を実施するための装置であって、例えば図1及び図2で示すように、排ガスの減圧除害装置10を次のように構成した。
排ガスの減圧除害装置10は、真空ポンプ14を介して排ガス発生源12より供給される排ガスEをプラズマで分解処理する反応筒16を有する。その反応筒16の排ガス出口側には、上記真空ポンプ14のデリベリから上記反応筒16の内部に亘って減圧する後段真空ポンプ18が接続される。
排ガスの減圧除害装置10は、真空ポンプ14を介して排ガス発生源12より供給される排ガスEをプラズマで分解処理する反応筒16を有する。その反応筒16の排ガス出口側には、上記真空ポンプ14のデリベリから上記反応筒16の内部に亘って減圧する後段真空ポンプ18が接続される。
この第2の発明においては、前記反応筒16の内部に分解助剤として水分,空気,O2,H2又は炭化水素ガスからなる群より選ばれる少なくとも1種を供給する分解助剤供給手段20を設けることが好ましい。
この場合、排ガスE中にSiH4やNF3などと言った可燃性の物質や有害な物質が主体で且つ多量に含まれる場合であっても、上記の分解助剤を加えることにより、これらの物質を無害化したりで安定な状態にまで容易に分解することができる。
この場合、排ガスE中にSiH4やNF3などと言った可燃性の物質や有害な物質が主体で且つ多量に含まれる場合であっても、上記の分解助剤を加えることにより、これらの物質を無害化したりで安定な状態にまで容易に分解することができる。
また、第2の発明において、上記反応筒16内に、円柱状の第1電極22と、その第1電極22と同軸にて配置されると共に所定の間隔を置いて上記第1電極22を囲繞する筒状の第2電極24とからなり、両電極22,24間に交流又は直流電圧を印加することによって両電極22,24に挟まれた円筒状の排ガス処理空間26にプラズマを発生させるプラズマ発生装置28を設けるのが好ましい。
この場合、準真空とも言うべき減圧環境下にある反応筒16の内部において、排ガスEが長い時間滞留でき、プラズマのエネルギーを十分に受けることが可能な排ガス処理空間26を確保することができる。
この場合、準真空とも言うべき減圧環境下にある反応筒16の内部において、排ガスEが長い時間滞留でき、プラズマのエネルギーを十分に受けることが可能な排ガス処理空間26を確保することができる。
また、この発明において、前記第1電極22又は第2電極24のうち、カソードとなる方の電極表面に、両電極22,24間で発生し、プラズマの生成に寄与しなかった電磁波が滞留する周方向溝30を、軸方向に1又は複数列堀設することが好ましい。
この場合、従来であればプラズマの放電に寄与できずに捨てられていた電磁波が、周方向溝30で滞留することによってホロカソード放電し、プラズマの生成に寄与することができるようになる。
この場合、従来であればプラズマの放電に寄与できずに捨てられていた電磁波が、周方向溝30で滞留することによってホロカソード放電し、プラズマの生成に寄与することができるようになる。
さらに、上記の発明において、前記第1電極22又は前記第2電極24の少なくとも一方を、その中心軸周りに回動又は回転駆動するよう設けると共に、上記第1電極22又は第2電極24の少なくとも一方に、前記排ガス処理空間26に堆積する粉塵などの堆積物を除去する堆積物除去手段32を取り付けるのが好ましい。
排ガスEを除害する際に反応生成物としてSiO2などからなる粉塵が発生し、これが各電極22及び24の表面を厚く覆うと、電極近傍での電界強度が下がりガスを絶縁破壊できなくなると共に、排ガス処理空間26を閉塞させてしまうと言った弊害が生じる。そこで、上述のように、第1電極22又は第2電極24の少なくとも一方をその中心軸周りに回動又は回転駆動させると共に、上記の堆積物除去手段32を取り付けることで、そのような弊害を防ぐことができる。
排ガスEを除害する際に反応生成物としてSiO2などからなる粉塵が発生し、これが各電極22及び24の表面を厚く覆うと、電極近傍での電界強度が下がりガスを絶縁破壊できなくなると共に、排ガス処理空間26を閉塞させてしまうと言った弊害が生じる。そこで、上述のように、第1電極22又は第2電極24の少なくとも一方をその中心軸周りに回動又は回転駆動させると共に、上記の堆積物除去手段32を取り付けることで、そのような弊害を防ぐことができる。
また、前記第2の発明においては、前記プラズマを点火するためのプラズマジェットを発生させるプラズマジェット発生装置60を取り付けるのが好ましい。
一般的に、本発明における減圧状態では、ガスの圧力が高くなると最初にプラズマを生成させるいわゆる点火が困難になる場合があり、特にPFC(パーフルオロカーボン)、NF3、SF6のような分子中にフッ素を含む電気的な負性ガスや水分を含んでいるガスの場合にはより点火が困難になる場合がある。
ここで、高い電界によりガスを絶縁破壊するには、電極電圧を高くするか、または電極間距離を小さくする必要がある。例えば電極間電圧が1kVでは、電極間距離は0.5mm以下でないと点火不良が生じる場合が多いが、このように電極間距離が狭いとプラズマの生成領域が狭くなってしまう。逆に、プラズマ生成領域を大きくしようとすると、電極間電圧を30kV以上にするのが望ましく、パルス電源を使用したとしても高価になり実用が難しい。
そこで、この発明では、外部から電子を供給しプラズマ生成できるプラズマジェットを使用する。これにより、減圧環境下においてもより一層安定してプラズマを点火させることができるようになる。
なお、プラズマジェットを発生させるプラズマジェット発生装置60には、様々な方式のものがあるが、本発明ではその方式は特に限定されるものではなく、例えばICP(誘導結合プラズマ)やDCプラズマなどの何れも採用することができる。
一般的に、本発明における減圧状態では、ガスの圧力が高くなると最初にプラズマを生成させるいわゆる点火が困難になる場合があり、特にPFC(パーフルオロカーボン)、NF3、SF6のような分子中にフッ素を含む電気的な負性ガスや水分を含んでいるガスの場合にはより点火が困難になる場合がある。
ここで、高い電界によりガスを絶縁破壊するには、電極電圧を高くするか、または電極間距離を小さくする必要がある。例えば電極間電圧が1kVでは、電極間距離は0.5mm以下でないと点火不良が生じる場合が多いが、このように電極間距離が狭いとプラズマの生成領域が狭くなってしまう。逆に、プラズマ生成領域を大きくしようとすると、電極間電圧を30kV以上にするのが望ましく、パルス電源を使用したとしても高価になり実用が難しい。
そこで、この発明では、外部から電子を供給しプラズマ生成できるプラズマジェットを使用する。これにより、減圧環境下においてもより一層安定してプラズマを点火させることができるようになる。
なお、プラズマジェットを発生させるプラズマジェット発生装置60には、様々な方式のものがあるが、本発明ではその方式は特に限定されるものではなく、例えばICP(誘導結合プラズマ)やDCプラズマなどの何れも採用することができる。
さらに、前記第2の発明においては、前記後段真空ポンプ18が水封ポンプであることが好ましい。
後段真空ポンプ18は、真空ポンプ14のデリベリから上記反応筒16の内部に亘って減圧するのに加え、反応筒16内で除害処理された排ガスを吸い込み、吐出するためのものでもある。ここで、水封ポンプ(=水封式真空ポンプ)とは、ケーシング内に適当量の封水を入れて羽根車を回転させる構造のポンプで、遠心力でケーシング内壁に押しつけられた封水液と羽根車で囲まれた空間の変化を利用し、吸込み・吐出作用を行う真空ポンプである。それゆえ、反応筒16内で除害処理された排ガスEは、水封ポンプの内部を通過する際に封水と接触するようになる。そうすると、除害処理によって副成された排ガスE中の水溶性成分は封水に溶解して排ガスE中から除去されるようになる。このため、湿式スクラバー等の排ガス水洗装置を省略することができる。
後段真空ポンプ18は、真空ポンプ14のデリベリから上記反応筒16の内部に亘って減圧するのに加え、反応筒16内で除害処理された排ガスを吸い込み、吐出するためのものでもある。ここで、水封ポンプ(=水封式真空ポンプ)とは、ケーシング内に適当量の封水を入れて羽根車を回転させる構造のポンプで、遠心力でケーシング内壁に押しつけられた封水液と羽根車で囲まれた空間の変化を利用し、吸込み・吐出作用を行う真空ポンプである。それゆえ、反応筒16内で除害処理された排ガスEは、水封ポンプの内部を通過する際に封水と接触するようになる。そうすると、除害処理によって副成された排ガスE中の水溶性成分は封水に溶解して排ガスE中から除去されるようになる。このため、湿式スクラバー等の排ガス水洗装置を省略することができる。
本発明によれば、希釈用の窒素ガスの使用を極小化でき、エネルギーの利用効率に優れた排ガスの除害方法とその装置とを提供することができる。
以下、本発明の一実施形態を図1及び図2によって説明する。
図1は、本発明の一実施形態の排ガスの減圧除害装置10の概要を示す図である。この図が示すように、本実施形態の排ガスの減圧除害装置10は、CVD装置などの排出源12より真空ポンプ14を介して供給される排ガスEを除害するための装置であり、反応筒16と後段真空ポンプ18とを有する。
ここで、図1の実施形態では、排ガスの発生源12としてシリコン窒化膜CVD装置の例を示している。典型的なシリコン窒化膜CVD装置ではプロセスガスとしてSiH4/NH3/N2O=1slm/10slm/10slmが、又、クリーニングガスとしてNF3/Ar=15slm/10slmがそれぞれ使用されており、またクリーニング反応の生成物としてSiF4が約10slmほど排出されるとみられる。使用済みとなったこれらのガスが排ガスEとして真空ポンプ14を介して減圧除害装置10へと供給される。なお、シリコン窒化膜CVDのような半導体デバイスの製造プロセスでは、真空ポンプ14として主にドライポンプが使用される。したがって、この真空ポンプ14に供給されているN2(窒素ガス)は、当該ポンプ14の軸シールのために供給されるパージN2である。
図1は、本発明の一実施形態の排ガスの減圧除害装置10の概要を示す図である。この図が示すように、本実施形態の排ガスの減圧除害装置10は、CVD装置などの排出源12より真空ポンプ14を介して供給される排ガスEを除害するための装置であり、反応筒16と後段真空ポンプ18とを有する。
ここで、図1の実施形態では、排ガスの発生源12としてシリコン窒化膜CVD装置の例を示している。典型的なシリコン窒化膜CVD装置ではプロセスガスとしてSiH4/NH3/N2O=1slm/10slm/10slmが、又、クリーニングガスとしてNF3/Ar=15slm/10slmがそれぞれ使用されており、またクリーニング反応の生成物としてSiF4が約10slmほど排出されるとみられる。使用済みとなったこれらのガスが排ガスEとして真空ポンプ14を介して減圧除害装置10へと供給される。なお、シリコン窒化膜CVDのような半導体デバイスの製造プロセスでは、真空ポンプ14として主にドライポンプが使用される。したがって、この真空ポンプ14に供給されているN2(窒素ガス)は、当該ポンプ14の軸シールのために供給されるパージN2である。
反応筒16は、ハステロイ(登録商標)などの耐食性に優れる金属材料で形成され、その軸が上下方向を向くように立設された略円筒状のチャンバー34を有する(図2参照)。このチャンバー34の側周壁上端部には、配管36を介して真空ポンプ14のデリベリ(吐出口)に連通する排ガス入口38が設けられる。一方、当該チャンバー34の下部は、その内部容積が水平方向に拡大されると共に、拡大された部分の側壁に、後段真空ポンプ18のサクション(吸込口)に直結する排ガス出口40が設けられる。
また、チャンバー34の排ガス入口38の近傍には、分解助剤供給手段20より供給される水分などの分解助剤を必要に応じてチャンバー34内に導入するためのノズル42が取り付けられている(図2参照)。
さらに、チャンバー34の下部にも、KOH(水酸化カリウム)水溶液やNaOH(水酸化ナトリウム)水溶液などのアルカリ性水溶液をチャンバー34内に供給するためのノズル44が取着されており、このノズル44の位置から排ガス出口40までが下り勾配となるようにチャンバー34内部の底面が形成されている。
そして、チャンバー34の天面中央部にはシャフト挿通孔46が穿設されると共に、このチャンバー34の内部にプラズマ発生装置28が設けられる。
また、チャンバー34の排ガス入口38の近傍には、分解助剤供給手段20より供給される水分などの分解助剤を必要に応じてチャンバー34内に導入するためのノズル42が取り付けられている(図2参照)。
さらに、チャンバー34の下部にも、KOH(水酸化カリウム)水溶液やNaOH(水酸化ナトリウム)水溶液などのアルカリ性水溶液をチャンバー34内に供給するためのノズル44が取着されており、このノズル44の位置から排ガス出口40までが下り勾配となるようにチャンバー34内部の底面が形成されている。
そして、チャンバー34の天面中央部にはシャフト挿通孔46が穿設されると共に、このチャンバー34の内部にプラズマ発生装置28が設けられる。
プラズマ発生装置28は、チャンバー34内でプラズマを発生させて排ガスEを分解処理するためのものであり、高耐熱性のステンレス、タングステンまたはハステロイ(登録商標)などの導電性を有する高耐熱性金属で形成された円柱状の第1電極22と、同じく高耐熱性金属で形成され、第1電極22と同軸にて配置されると共に所定の間隔を置いて上記第1電極22を囲繞する筒状の第2電極24とを有する。
第1電極22は、本実施形態においてはアノードとして働く電極である。この第1電極22にはシャフト48が同軸にて連結される。このシャフト48は、シャフト挿通孔46に挿通され、その上部がチャンバー34の外に配置される。
シャフト46のチャンバー34外に配置された部分には、シャフト挿通孔46を塞ぐ位置に、水冷シールなどのシール部材50が取り付けられる。又、シャフト46の上端部には、例えばシャフトに連結した第1電極22を200°で反転往復回動するように駆動させるモーター52が接続される。
シャフト46のチャンバー34外に配置された部分には、シャフト挿通孔46を塞ぐ位置に、水冷シールなどのシール部材50が取り付けられる。又、シャフト46の上端部には、例えばシャフトに連結した第1電極22を200°で反転往復回動するように駆動させるモーター52が接続される。
第2電極24は、本実施形態においてはカソードとして働く電極である。この第2電極24の背面にはアルミナ溶射膜54が成膜されると共に、セラミックブランケット56を介してチャンバー34の内周壁面に固定される。
また、この第2電極24の表面(内表面)には、電磁波が滞留するよう垂直断面形状が略コ字状に形成された周方向溝30が上下方向に1又は複数列堀設されている。
また、この第2電極24の表面(内表面)には、電磁波が滞留するよう垂直断面形状が略コ字状に形成された周方向溝30が上下方向に1又は複数列堀設されている。
以上の様に構成された第1電極22と第2電極24とは電源58に接続されており(図1参照)、この電源58から電極間に電圧を印加することによって、両電極22,24で挟まれた円筒状の排ガス処理空間26にプラズマが発生する。
ここで、電源58としては、高周波,直流又は交流パルス(パルス電源),パルスDCなどを使用できるが、反応筒16稼動中はチャンバー34内が減圧されることや、排ガス処理空間26を確保するため電極22,24間にある程度の距離があること等を考慮すると、パルス電源或いはパルスDCを用いるのが好ましい。
ここで、電源58としては、高周波,直流又は交流パルス(パルス電源),パルスDCなどを使用できるが、反応筒16稼動中はチャンバー34内が減圧されることや、排ガス処理空間26を確保するため電極22,24間にある程度の距離があること等を考慮すると、パルス電源或いはパルスDCを用いるのが好ましい。
なお、本実施形態の排ガスの減圧除害装置10では、反応筒16の上部に、電極22,24間にプラズマを点火させる際のトリガーとなるプラズマジェットを発生させるICP方式のプラズマジェット発生装置60が取り付けられている。
また、上記第1電極22には、堆積物除去手段32として、第2電極24の表面に向けて径方向に伸ばされた左右一対の羽根板が取り付けられる。なお、この羽根板からなる堆積物除去手段32の先端には、第2電極24の周方向溝30内部に達する突起32aが設けられている。
したがって、モーター52を作動させてシャフト48を200°反転回動させると、第1電極22に取り付けられた堆積物除去手段32も排ガス処理空間26内で回動し、周方向溝30を含む排ガス処理空間26内に堆積した粉塵や膜などの堆積物が払い落とされることになる。
なお、堆積物除去手段32は、上述した羽根板に限定されるものではなく、ブラシ状の物や棒状の物等であってもよい。
したがって、モーター52を作動させてシャフト48を200°反転回動させると、第1電極22に取り付けられた堆積物除去手段32も排ガス処理空間26内で回動し、周方向溝30を含む排ガス処理空間26内に堆積した粉塵や膜などの堆積物が払い落とされることになる。
なお、堆積物除去手段32は、上述した羽根板に限定されるものではなく、ブラシ状の物や棒状の物等であってもよい。
後段真空ポンプ18は、真空ポンプ14のデリベリから反応筒16の内部に亘って所定の真空度まで減圧すると共に、反応筒16で除害処理した排ガスEを吸引して排出するためのポンプである。本実施形態では、この後段真空ポンプ18として水封ポンプを用いる。このため、後段真空ポンプ18のデリベリ側には、この後段真空ポンプ18から混ざった状態で排出される処理済の排ガスEと封水とを分離させる気液分離コアレッサーなどのようなセパレーター62が装着されている(図1参照)。
ここで、後段真空ポンプ18によって作り出される真空ポンプ14のデリベリから反応筒16の内部に亘る排ガス通流領域の減圧状態は、1Torr以上で且つ700Torr以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは、15Torr以上で且つ685Torr以下の範囲内であり、さらに好ましいのは100±50Torrの範囲内である。減圧状態が1Torr未満の場合には、高度な真空環境を実現するために高価で大掛かりな装置が必要になり、逆に、減圧状態が700Torrを超える場合には、大気圧との差が小さくなるため、排ガスEを多量の窒素ガスで希釈しなければならなくなる。
なお、本実施形態の排ガスの減圧除害装置10には、図示しないが、プラズマ発生装置28や後段真空ポンプ18などの作動に必要な各種検出機器や制御機器などが備えられていることは言うまでもない。
次に、以上のように構成された排ガスの減圧除害装置10を用いた排ガスEの減圧除害方法について説明すると、排ガス発生源12から排出される排ガスEは真空ポンプ14を介して反応筒16へと送られる。ここで、後段真空ポンプ18を作動させることにより、排ガスEは所定の減圧状態に保たれ反応筒16内の排ガス処理空間26へと導入され、この排ガス処理空間26で電極22,24間に発生するプラズマによって分解処理される。
本実施形態の排ガスの減圧除害方法によれば、排ガスEを減圧状態に保ちプラズマにて分解処理するため、希釈用の窒素ガスが不要か極少量で足りる。また、このように窒素ガスでの希釈が不要か極少量で足りるため、プラズマとして供給されるエネルギーのほぼ全てを直接的に排ガスEの分解に使用することができる。したがって、これら2つの作用が相俟って、排ガスEの除害装置を非常にコンパクトな構成にすることができるようになる。
さらに、排ガスの発生源から処理部までが減圧下にあるため、排ガス中に人体にとって有毒なものが含まれる場合であっても、プラズマで分解処理される前に当該排ガスが系外へ漏れ出す心配はない。
さらに、排ガスの発生源から処理部までが減圧下にあるため、排ガス中に人体にとって有毒なものが含まれる場合であっても、プラズマで分解処理される前に当該排ガスが系外へ漏れ出す心配はない。
上記の実施形態は次のように変更可能である。
前記プラズマ発生装置28の第1電極22をアノードとし、第2電極24をカソードとする場合を示したが、第1電極22をカソードとし、第2電極24をアノードとするようにしてもよい。この場合、堆積物除去手段32は第2電極24側へ取り付けるのが好ましい。
また、第1電極22を回動駆動させる場合を示したが、この第1電極22を中心軸周りに回転駆動させるようにしてもよいし、第1電極22を固定とし、第2電極24を回動或いは回転駆動させるようにしてもよい。
前記プラズマ発生装置28の第1電極22をアノードとし、第2電極24をカソードとする場合を示したが、第1電極22をカソードとし、第2電極24をアノードとするようにしてもよい。この場合、堆積物除去手段32は第2電極24側へ取り付けるのが好ましい。
また、第1電極22を回動駆動させる場合を示したが、この第1電極22を中心軸周りに回転駆動させるようにしてもよいし、第1電極22を固定とし、第2電極24を回動或いは回転駆動させるようにしてもよい。
前記分解助剤供給手段20より供給される分解助剤として水分を挙げたが、例えば、排ガスE中にNF3のようなPFCs(パーフルオロコンパウンド)が多量に含まれ、分解生成物として多量のHFが生成されるような場合には、分解助剤としてKOH水溶液やNaOH水溶液などのアルカリ水溶液を添加するのが好ましい。また、酸化処理する場合には、空気、酸素を添加する場合、或いは還元性のH2やCH4のような炭化水素系ガスを入れる場合もある。
前記後段真空ポンプ18として水封ポンプを使用する場合を示したが、排ガスE除害処理後の分解生成物に水洗の必要がない場合には、この水封ポンプに代えてドライポンプなどを用いるようにしてもよい。
前記真空ポンプ14と反応筒16の排ガス入口38とを配管36で連結する場合を示したが、この真空ポンプ14のデリベリと排ガス入口38とを直結するようにしてもよい。また、反応筒16の排ガス出口40と後段真空ポンプ18のサクションとを直結する場合を示しているが、反応筒16の排ガス出口40と後段真空ポンプ18とを配管を介して接続するようにしてもよい。
10:排ガスの減圧除害装置,12:排ガス発生源,14:真空ポンプ,16:反応筒,18:後段真空ポンプ,20:分解助剤供給,22:第1電極,24:第2電極,26:排ガス処理空間,28:プラズマ発生装置,30:周方向溝,32:堆積物除去手段,60:プラズマジェット発生装置,E:排ガス.
Claims (9)
- 真空ポンプを介して排ガス発生源より供給される排ガスを、減圧状態に保ちプラズマで分解処理する、ことを特徴とする排ガスの減圧除害方法。
- 請求項1の排ガスの減圧除害方法において、
前記減圧状態が、1Torr以上で且つ700Torr以下の範囲内である、ことを特徴とする排ガスの減圧除害方法。 - 真空ポンプ(14)を介して排ガス発生源(12)より供給される排ガス(E)をプラズマで分解処理する反応筒(16)と、
上記反応筒(16)の排ガス出口側に接続され、上記真空ポンプ(14)のデリベリから上記反応筒(16)の内部に亘って減圧する後段真空ポンプ(18)とを備える、
ことを特徴とする排ガスの減圧除害装置。 - 請求項3の排ガスの減圧除害装置において、
前記反応筒(16)の内部に分解助剤として水分,空気,O2,H2又は炭化水素ガスからなる群より選ばれる少なくとも1種を供給する分解助剤供給手段(20)を設けた、ことを特徴とする排ガスの減圧除害装置。 - 請求項3又は4の排ガスの減圧除害装置において、
前記反応筒(16)内には、円柱状の第1電極(22)と、その第1電極(22)と同軸にて配置されると共に所定の間隔を置いて上記第1電極(22)を囲繞する筒状の第2電極(24)とからなり、両電極(22)(24)間に交流又は直流電圧を印加することによって両電極(22)(24)に挟まれた円筒状の排ガス処理空間(26)にプラズマを発生させるプラズマ発生装置(28)が設けられている、ことを特徴とする排ガスの減圧除害装置。 - 請求項5の排ガスの減圧除害装置において、
前記第1電極(22)又第2電極(24)のうち、カソードとなる方の電極表面に、両電極(22)(24)間で発生し、プラズマの生成に寄与しなかった電磁波を滞留させる周方向溝(30)が、軸方向に1又は複数列堀設されている、ことを特徴とする排ガスの減圧除害装置。 - 請求項5又は6の排ガスの減圧除害装置において、
前記第1電極(22)又は前記第2電極(24)の少なくとも一方は、その中心軸周りに回動又は回転駆動するよう設けられると共に、
上記第1電極(22)又は第2電極(24)の少なくとも一方に、前記排ガス処理空間(26)に堆積する粉塵などの堆積物を除去する堆積物除去手段(32)が取り付けられている、ことを特徴とする排ガスの減圧除害装置。 - 請求項3乃至7の何れかの排ガスの減圧除害装置において、
前記プラズマを点火するためのプラズマジェットを発生させるプラズマジェット発生装置(60)が取り付けられている、ことを特徴とする排ガスの除害装置装置。 - 請求項3乃至8の何れかの排ガスの減圧除害装置において、
前記後段真空ポンプ(18)が水封ポンプである、ことを特徴とする排ガスの減圧除害装置。
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WO2018221021A1 (ja) * | 2017-05-29 | 2018-12-06 | カンケンテクノ株式会社 | 排ガスの減圧除害方法及びその装置 |
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2016
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