JP2018068268A - 染色体の構造異常を迅速に検出するための方法、促進剤およびそれを含むキット - Google Patents

染色体の構造異常を迅速に検出するための方法、促進剤およびそれを含むキット Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は迅速に染色体の構造異常を検出するための方法を提供する。【解決手段】本方法は核酸と結合する標識されたプローブにベタイン、カルニチンおよびトリメチルグリシンからなる群から選ばれる1種類またはそれぞれの組み合わせ、すなわち2種類または3種類同時含む溶液に溶解した混合物を使用する。本設計により間期細胞中の標的となる染色体DNAを染色し、染色体の構造異常が存在するか否かを決定するために要する時間が16−72時間から4時間以内で検出可能になるため、診断に要する時間は大幅に短縮される。【選択図】 図1

Description

本発明は、染色体の構造異常を検出するための方法、促進剤及びそれを含むキットに関する。より詳しくは、核酸と結合する標識されたプローブを使用して染色体の構造異常を迅速に検出するための方法、ハイブリダイゼーション促進剤及びそれを含むキットに関するものである。
染色体の構造異常は遺伝性疾患や癌などで起こることが知られている。染色体の構造異常には数種類あり、例えば、個々に過剰または欠如のある染色体、1個の染色体の部分的過剰または欠如、切断、環および染色体再配列などがある。また、染色体再配列の中には、転座、2動原体、逆位、挿入、増幅および欠失がある。これらの染色体異常は、インシトゥ ハイブリダイゼーション(in situ hybridization)により検出することができる。
従来は、例えば下記の文献1にあるように染色体構造異常に伴う遺伝子転座と関連するプローブをホルムアミドおよび硫酸デキストランを基本とした溶液に溶解してin situ hybridizationに使用されていた。しかしながら、間期細胞中の標的となる染色体DNAを染色し、染色体の構造異常が存在するか否かを決定するために16−72時間程度必要としていた。
そこで、in situ hybridizationにより染色体構造異常を検出するまでの時間を短縮する方法、促進剤およびキットが求められていた。
特願2009−110602
Hum Pathol. 2010 Jun 29 41:1394-404.
本発明は、上述のような従来例の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、遺伝子構造異常を迅速に検出できるよう時間を短縮するために、核酸と結合する標識されたプローブにベタイン、カルニチンおよびトリメチルグリシンからなる群から選ばれる1種類またはそれぞれの組み合わせ、すなわち2種類または3種類同時に添加したハイブリダイゼーション溶液を使用して染色体の構造異常を検出するための方法、促進剤およびキットを提供することにある。
本発明は、染色体異常を検出する方法において、複数の核酸プローブの混合物にベタイン、カルニチンおよびトリメチルグリシンからなる群から選ばれる1種類またはそれぞれの組み合わせ、すなわち2種類または3種類同時に添加したハイブリダイゼーション溶液を使用することにより間期細胞中の標的となる染色体DNAを染色し、染色体の構造異常が存在するか否かを決定するために要する時間を大幅に短縮することにより前記課題を解決するものである。
すなわち、本明細書によれば、以下の発明が提供される。
(1)染色体の構造が異常である遺伝子異常を検出する方法であって、複数の核酸プローブを、ベタイン、カルニチン、およびトリメチルグリシンからなる群から選ばれる1または2以上を含むハイブリダイゼーション溶液に溶解した混合物を用いてハイブリダイズさせることを特徴とする、染色体の構造異常を検出する方法。
(2)前記ハイブリダイゼーション溶液にさらにポリエチレングリコールを添加することを特徴とする(1)の方法。
(3)(1)または(2)において、間期細胞中の標的となる染色体DNAを染色し、染色体の構造異常が存在するか否かを迅速に決定することを特徴とする染色体の構造異常を検出する方法。
(4)(1)〜(3)のいずれかの方法において、間期細胞の中の標的となる染色体DNAを染色し、当該染色体に構造異常が存在するか否かを迅速に決定することを特徴とする染色体の構造異常を検出する方法。
(5)in situ hybridizationにおいて、ベタイン、カルニチン、およびトリメチルグリシンからなる群から選ばれる1または2以上をハイブリダイゼーション溶液に添加することにより、ハイブリダイゼーションを促進する方法。
(6)前記ハイブリダイゼーション溶液にさらにポリエチレングリコールを添加することを特徴とする(5)の方法。
(7)ベタイン、カルニチン、およびトリメチルグリシンからなる群から選ばれる1または2以上を含有する、in situ hybridizationのハイブリダイゼーション促進剤。
(8)前記ハイブリダイゼーション溶液にさらにポリエチレングリコールを添加することを特徴とする(7)のハイブリダイゼーション促進剤。
(9)(7)または(8)に記載のハイブリダイゼーション促進剤を含むキット。
作用
本発明は次のように作用する。
複数の核酸プローブを含む混合物にベタイン、カルニチン、およびトリメチルグリシンからなる群から選ばれる1種類、またはそれ以上の組み合わせ、すなわち2種類もしくは3種類同時に添加することによりハイブリダイゼーションを促進させ、間期細胞中の標的となる染色体DNAを染色し、染色体の構造異常が存在するか否かを決定するために要する時間を大幅に短縮することができる。実際には、ハイブリダイゼーション開始15分後からスポットが見え始め、その後60分後、90分後でスポットが増え、120〜240分後には24時間後とほぼ同等数のスポットが観察できる。これに対し、対照の、ベタイン、カルニチンまたはトリメチルグリシンのいずれも添加していないハイブリダイゼーション溶液を用いた場合は、240分後までスポットは観察されず、24時間後に初めてスポットが観察された。
本発明により間期細胞中の標的となる染色体DNAを染色し、染色体の構造異常が存在するか否かを決定するために要する時間が短縮される。
図1は、正常細胞と異常細胞のハイブリダイゼーションの様子を示す模式図である。 図2は、本発明のハイブリダイゼーション方法を用いた場合のハイブリダイゼーションの検出結果の経時的変化を示す図である。 図3は、対照のハイブリダイゼーション方法を用いた場合のハイブリダイゼーションの検出結果の経時的変化を示す図である。
本発明は、染色体のin situハイブリダイゼーションの効率を上げる方法、促進剤およびそれを含むキットに関する。本発明においては、in situ hybridizationに使用するハイブリダイゼーション溶液に、ベタイン、カルニチン、およびトリメチルグリシンからなる群から選ばれる1または2以上を添加することにより、ハイブリダイゼーションに要する時間を短縮できることに特徴がある。
本発明の、ベタイン、カルニチン、トリメチルグリシンのハイブリダイゼーション溶液への添加量は、ハイブリダイゼーションを促進する限り特に制限されないが、好ましい下限濃度は、10μM以上、100μM以上、1mM以上、10mM以上、50mM以上、100mM以上であり、好ましい上限濃度は、1000mM以下、500mM以下、300mM以下である。
本発明のハイブリダイゼーション溶液には、さらにポリエチレングリコールを添加することで、さらにハイブリダイゼーション速度を向上させることができる。ポリエチレングリコールとしては、ハイブリダイゼーションを促進する限り特に制限はないが、例えば、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール6000、ポリエチレングリコール8000などが好ましく用いられる。この場合、添加するポリエチレングリコールの好ましい濃度の下限としては、重量%表記で、0.01%以上、0.1%以上、1%以上であり、好ましい濃度の上限としては、10%以下、5%以下、2%以下である。ベタインとともにポリエチレングリコールをハイブリダイゼーション溶液に添加する場合は、両者を同濃度(重量%)で添加することが好ましい。
本発明に使用するハイブリダイゼーション溶液としては、in situ hybridizationに使用できるハイブリダイゼーション溶液であれば、特に制限なく使用することができる。例えば、標準的なハイブリダイゼーションでは、ホルムアミド50%のものが多く用いられるが、本願発明についても標準的なハイブリダイゼーション溶液にベタイン、カルニチン、およびトリメチルグリシンからなる群から選ばれる1または2以上を添加してもよく、さらに、ポリエチレングリコールを添加してもよい。
また、本願発明においては、ホルムアミドを添加する場合、10%〜50%までの濃度を用いるのが好ましい。ハイブリダイゼーション速度を向上させるために最適なホルムアミドの濃度は他の要素、すなわち、添加するベタイン、カルニチン、および/またはトリメチルグリシンの濃度、ポリエチレングリコールの濃度などに応じてin situ ハイブリダイゼーション実験により最適な濃度を求めることができる。
ベタイン、カルニチン、および/またはトリメチルグリシンを添加する場合、および、さらにポリエチレングリコールを添加する場合の好ましいホルムアミドの濃度はin situ ハイブリダイゼーションが適切に行われる限り特に制限はないが、好ましい濃度の上限は50%以下、40%以下、35%以下、30%以下であり、下限は10%以上、15%以上である。
本発明に係る方法を実施する第1ステップは、染色体特異的DNAを分離することである。染色組成物が導かれる十分な量の特定の染色体タイプまたは染色体サブリージョンを分離すること、その後分離された染色体または染色体サブリージョンからDNAを抽出する。抽出されたDNAは標準的な遺伝子工学技術を用いてクローニングすることによりDNAインサートを形成するために使用する。このステップは、例えばポジショナル・クローニングなどにより行うことができる。
DNAはいくつかの源から分離できる。染色体特異的染色試薬は、植物または動物いずれかのDNAから調製できる。動物DNAの重要な源は哺乳動物、特に霊長類または齧歯類であり、その中では霊長類の源は例えば、ヒトまたはモンキーなどであり、齧歯類の源は例えば、ラットまたはマウスなどである。
ヒト染色体のそれぞれのための組換えDNAライブラリーから特定の遺伝子領域を含むクローンを探索するためには、例えば、Human BAC library: construction and rapid screening. Gene 1997; 191:p69-79.に記載の方法を用いることができる。
選別された染色体タイプから抽出されたDNAは、ベクター中で同DNAをクローニングする、または同DNAを細胞系で増殖することにより増幅する。
シングル・コピー・プローブは、ゲノムの標的領域に含まれるシングル・コピー配列に相補的である核酸断片からなる。かかるプローブを作成するには、標的領域をクローニングして形成されたDNAライブラリーを用いればよい。ライブラリーにおけるクローンの中には、全配列がシングル・コピーであるDNAを含むもの、反復配列を含むもの、またシングル・コピー配列および反復配列の部分を持つものが含まれ得る。個々のクローンによる選択、およびシングル・コピー配列のみを含んでいるこれらのクローンをプールすることにより、標的領域に特異的にハイブリダイズするプローブが得られる。ハイブリダイゼーションには一連の連続した領域に結合するプローブ群を用いても良い。
本発明のハイブリダイゼーション方法が、目的とする染色体との間でのみ行われるかどうか、すなわち、ハイブリダイゼーションの特異性は、公知の方法であるインシトゥ ハイブリダイゼーションにより試験し、確認することができる。適宜のハイブリダイゼーション条件にベタインを含む溶液に溶解した、上記核酸断片が所望の標的領域としての特異的なシングル・コピーまたは反復配列に結合するならば、クローンDNAはプローブとして使用できる。
これらの方法では、相補的核酸鎖の濃度が増加するほど同鎖のハイブリダイゼーション率が増加する。従って、核酸断片のプローブ混合物がハイブリダイゼーションを許容する条件のもとで変性されかつインキュベートされる場合には、高濃度で存在する配列は他の場合に比較してより早く二重鎖になる。染色体と結合しなかったプローブ同士がハイブリダイズした二重鎖核酸はその後洗浄により除去される。残りのものがプローブとして使用できる。部分的にハイブリダイズした混合物はプローブとして使用できるが、二重鎖配列は標的物質に結合し得ない。次の方法は本発明に係る標的特異的染色を形成するのに有効な集団固定法の典型的な方法である。
ベタインを含むハイブリダイゼーション溶液に溶解した二重鎖プローブ核酸は変性され、その後ハイブリダイゼーション条件のもとで高度コピー配列のための十分な時間インキュベートされて、実質的に二重鎖配列となる。ベタインを含む溶液に溶解したハイブリダイゼーション混合物はその後サンプルに適用される。高度に反復された配列の残留している標識されたー重鎖コピーは、サンプルのいたるところに結合し、弱くかつ幅広く分散されたシグナルを形成する。ゲノムの標的領域のための特異的な低度コピー配列の多様な結合は、容易に識別し得る特異的シグナルを形成する。
この方法は、例えば、染色体のプローブとして17番染色体のための、染色体−特異的ライブラリーを用いた場合、1-10ng/μlの濃度範囲のプローブを含んでいる。ベタイン、カルニチンおよびトリメチルグリシンからなる群から選ばれる1または2以上を含むハイブリダイゼーション溶液にプローブを溶解したハイブリダイゼーション混合物は、サンプルに適用される以前に、プローブを変性するために、例えば、75℃で5分間加熱され、その後37℃で5、15、30、60、90、120、240分および24時間インキュベートされる。この場合、ベタイン、カルニチンおよびトリメチルグリシンからなる群から選ばれる1または2以上を含むハイブリダイゼーション溶液を用いた場合には、ハイブリダイゼーション開始15分後からハイブリダイゼーションシグナルが見え始め、60分後、90分後ではシグナルの数が増え、240分後では24時間ハイブリダイズさせた場合とほぼ同等のハイブリダイゼーションシグナルが検出された(図2)。これに対し、ベタイン、カルニチンまたはトリメチルグリシンのいずれも含まないハイブリダイゼーション溶液を用いた場合には、ハイブリダイゼーション開始後15分〜240分ではハイブリダイゼーションシグナルは検出されず、24時間後に初めてハイブリダイゼーションシグナルが検出された(図3)。
「プローブ標識化」(probe labeling)の特徴は、標的物質に結合したプローブが検出できるということである。プローブ核酸断片は、標準的な遺伝子工学技術であるニックトランスレーションの手法でポリヌクレオチドに標識物質(例えば、標識したヌクレオチドなど)を取り込ませることができる。
インシトゥ ハイブリダイゼーションの前に、染色体は蛋白質を除去する試薬で処理する。例えば、FFPE FISH Pretreatment kit 2(株式会社GSP研究所で販売)を使用し、キットに添付されたマニュアルに従って処理を行うことで、染色体から蛋白質を除去することができる。
染色体DNAが変性された後、変性要因は典型的にはプローブ混合物の適用以前に除去される。ここでホルムアミドと熱は主要な変性要因であり、それらの除去は溶剤による幾度かの洗浄により都合良く遂行される。かかる溶剤は例えば70%,100%冷エタノールシリーズのごとく、しばしば冷却される。変性物質の組成は他の構成物の付加または適宜の溶剤での洗浄のいずれかにより、インシトゥ ハイブリダイゼーションのために適宜に調整できる。プローブおよび標的核酸はハイブリダイゼーション混合物の適用、およびその後の適宜の加熱により同時に変性される。
プローブ混合物が適用される時間の間の、染色体DNAおよびプローブの雰囲気の物理化学的条件はハイブリダイゼーション条件、またはアニーリング条件に関係する。特定の適用における最上の条件は、幾多のファクターをコントロールすることにより調整でき、同ファクターとしては以下のものが含まれる。成分の濃度、プローブ混合物中の染色体のインキュベーション時間、プローブ混合物を構成する核酸断片の濃度、コンプレキシティ、および長さ。概略的には、ハイブリダイゼーション条件は、非特異的結合を最小限にするために溶融温度(melting temperature, Tm)に十分に近づけなければならない。他方、かかる条件は、相補的配列の正確なハイブリダイゼーションを検出レベル以下に低減し、または長いインキュベーション時間を過剰に要求すること程には厳格なものではない。
ハイブリダイゼーション混合物中の核酸の濃度は重要な要因である。かかる濃度は十分に高くなければならず、これによりそれぞれの染色体結合座位の十分なハイブリダイゼーションが適当な時間内(5−240分)に生じる。十分なシグナルを得るのに要する濃度より高い濃度は避けるべきであり、これにより非特異的結合を最小にできる。プローブ混合物のプローブにおける核酸の濃度に関する、重要な実際の拘束は溶解度である。断片濃度、例えば単位体積当りの核酸の単位長さに関しては上限が存在し、それは溶液中で保持できかつ効果的にハイブリダイズする。
HER2遺伝子を含むクローンライブラリーの選択
ヒト染色体−特異的ライブラリーからのDNA断片は、独自に構築したBACライブラリーから入手することができる。
近年の多数の研究は、特定の病気の表現型の診断に役立ちまた病気それ自身の遺伝学的性質への手がかりを提供する、構造的および数的染色体の異常の存在を明らかにした。新種の腫瘍の特異的異常を明らかにする今日の進歩は、細胞遺伝学的分析のための代表的な高品質のバンデッド中期スプレッドを造ることの困難性により制限されている。これらの問題は、多くのヒト腫瘍は培養器中で増殖させることが困難または不可能であるという事実に由来する。従って、分裂細胞を得ることは普通は困難である。たとえ細胞が培養器中で増殖できたとしても、増殖する細胞が腫瘍集団を代表するものでないという少なからぬ危険がある。この困難性はまた存在する遺伝学的知識を臨床的診断および予後に応用することを妨げる。
本発明はこれらの制限を、間期核内の特定の構造的および数的異常の迅速な検出を可能にすることにより克服する。これらの異常は上に述べたごとく検出される。特定の悪性腫瘍の遺伝学的性質が次第によく知られてきているので、遺伝学的障害を標的とするハイブリダイゼーションプローブを選択することにより、間期評価分析はますます具体的に行うことが出来る。選択された染色体上の特定の構造異常は、ぴったりなハイブリダイゼーションプローブの使用により検出できる。これらのプローブの使用は特定の病気の表現型の診断を可能にする。これらは治療の途中で悪性細胞の減少および再出現をフォローするために使用できる。このような応用では、存在するかも知れない細胞が少数であり、またそれらは刺激して有糸分裂させることが困難または不可能であるかも知れないので、間期分析が特に重要である。
重複および欠失、遺伝子増幅およびヘテロ接合度がなくなることに伴うプロセスも、本発明の技法を用いて中期および間期において迅速に検出できる。そのようなプロセスは異なる腫瘍の数の増大に関連している。
(実施例1)
乳がん組織のHER2遺伝子と17番染色体マーカープローブ
染色体異常に伴う遺伝子転座を解析するために従来から使用されているHER2遺伝子(図1の白丸)と17番染色体マーカー(図1の黒丸)のプローブ(特許第5554008号)を使用し、乳がん細胞で生じるHER2遺伝子と17番染色体マーカーの遺伝子構造(数的)異常を解析した。正常細胞はHER2遺伝子の白色シグナルが2個と17番染色体マーカーの黒色のシグナルが2個検出できるが、乳がん細胞になると両シグナルの数に変化が起こる(図1)。
ベタインを添加したハイブリダイゼーション溶液(ベタイン300mM、硫酸デキストラン20%、ホルムアミド30%、塩化ナトリウム600mM、クエン酸三ナトリウム二水和物60mM、0.1%Tween−20、0.1%SDSを基本とした溶液。%は重量%を意味する。以下同様)および、従来のホルムアミドおよび硫酸デキストランを基本としたハイブリダイゼーション溶液(硫酸デキストラン20%、ホルムアミド30%、塩化ナトリウム600mM、クエン酸三ナトリウム二水和物60mM、0.1%Tween−20、0.1%SDSを基本とした溶液)をそれぞれ用いてハイブリダイゼーションを行った。プローブを変性するためにホットプレートで75℃で5分間加熱し、その後37℃で5、15、30、60、90、120、240分および24時間インキュベートした。洗浄は、2X SSC/0.3% Np-40 室温5分、2X SSC/0.3% Np-40 72℃±1℃ 1−2分、 2X SSC 室温5分の条件で行い、1500ng/ml DAPI Counterstainで対比染色して染色体および核のDNAを染色して観察した。ハイブリダイゼーションシグナルの経時的変化についての比較を図2、3に示す。ベタインを添加した場合、15分後からハイブリダイズするシグナルが見え始め、120分後では、240分後、24時間後と同程度のハイブリダイゼーションシグナルが検出された。これに対し、ベタインを添加していない従来法のホルムアミドおよび硫酸デキストランを基本とした溶液を用いてハイブリダイゼーションを行った場合は、60分後、90分後、120分後、240分後ではハイブリダイゼーションシグナルはほとんど検出されず、24時間後に初めてシグナルが検出された。以上の結果から考えて、ハイブリダイゼーション溶液にベタインを添加することにより、6〜12倍程度、ハイブリダイゼーション反応が促進されていることがわかる。
さらに、上記ベタイン添加ハイブリダイゼーション溶液にポリエチレングリコールを添加したハイブリダイゼーション溶液を用いてin situ hybridizationを行い、目視により、ハイブリダイゼーションシグナルを検討したところ、ベタインのみ添加したハイブリダイゼーション溶液を用いた場合よりも、ベタイン+ポリエチレングリコールを添加したハイブリダイゼーション溶液を用いた場合の方が、より短時間でより強いシグナルが得られた。このことは、ベタインとポリエチレングリコールの両方を添加することにより、ハイブリダイゼーション反応がより促進されることを意味していると考えられる。
本発明は、医療産業、検査産業等に利用できる。

Claims (9)

  1. 染色体の構造が異常である遺伝子異常を検出する方法であって
    それぞれ異なる標識物で標識されている複数の核酸プローブを、ベタイン、カルニチンおよびトリメチルグリシンからなる群から選ばれる1または2以上を含むハイブリダイゼーション溶液に溶解した混合物を用いてハイブリダイズさせることを特徴とする染色体の構造異常を検出する方法。
  2. 前記ハイブリダイゼーション溶液にさらにポリエチレングリコールを添加することを特徴とする、請求項1の方法。
  3. 請求項1または2において、間期細胞中の標的となる染色体DNAを染色し、染色体の構造異常が存在するか否かを迅速に決定することを特徴とする染色体の構造異常を検出する方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかの方法において、間期細胞の中の標的となる染色体DNAを染色し、当該染色体に構造異常が存在するか否かを迅速に決定することを特徴とする染色体の構造異常を検出する方法。
  5. in situ hybridizationにおいて、ベタイン、カルニチン、およびトリメチルグリシンからなる群から選ばれる1または2以上をハイブリダイゼーション溶液に添加することにより、ハイブリダイゼーションを促進する方法。
  6. 前記ハイブリダイゼーション溶液にさらにポリエチレングリコールを添加することを特徴とする、請求項5の方法。
  7. ベタイン、カルニチン、およびトリメチルグリシンからなる群から選ばれる1または2以上を含有する、in situ hybridizationのハイブリダイゼーション促進剤。
  8. 前記ハイブリダイゼーション溶液にさらにポリエチレングリコールを添加することを特徴とする、請求項7のハイブリダイゼーション促進剤。
  9. 請求項7または8に記載のハイブリダイゼーション促進剤を含むキット。
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