JP2018067627A - 電子部品内蔵基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】キャビティ部内の電子部品の位置ずれなどの抑制。
【解決手段】実施形態の電子部品内蔵基板の製造方法は、第1面10Fと第2面10Sとの間を貫通する貫通孔10aを有する絶縁基板10を用意することと、貫通孔10aの第1面10F側の開口部を塞ぐベース部材を絶縁基板10に貼り付けることによりキャビティ部を形成することと、キャビティ部内のベース部材上に電子部品2a〜2cを電子部品の電極21a〜21cをベース部材側に向けて配置することと、キャビティ部内に部分的に第1封止材を充填することと、第1封止材の充填の後に第1封止材の充填手法と異なる手法を用いてキャビティ部内に第2封止材を充填することと、ベース部材を絶縁基板10から剥離することにより電極21a〜21cを露出させることと、を含んでいる。
【選択図】図1
【解決手段】実施形態の電子部品内蔵基板の製造方法は、第1面10Fと第2面10Sとの間を貫通する貫通孔10aを有する絶縁基板10を用意することと、貫通孔10aの第1面10F側の開口部を塞ぐベース部材を絶縁基板10に貼り付けることによりキャビティ部を形成することと、キャビティ部内のベース部材上に電子部品2a〜2cを電子部品の電極21a〜21cをベース部材側に向けて配置することと、キャビティ部内に部分的に第1封止材を充填することと、第1封止材の充填の後に第1封止材の充填手法と異なる手法を用いてキャビティ部内に第2封止材を充填することと、ベース部材を絶縁基板10から剥離することにより電極21a〜21cを露出させることと、を含んでいる。
【選択図】図1
Description
本発明は、電子部品内蔵基板の製造方法に関する。
特許文献1には、絶縁層内に埋め込まれた電子部品を有する部品内蔵基板が開示されている。この部品内蔵基板の製造工程では、電子部品がはんだによって金属箔上に接続される。そして、補強材を含むプリプレグが、電子部品の上に配置され、加熱およびプレスされる。加熱により流動体状となるプリプレグが電子部品の周囲に流れ込み、電子部品はプリプレグにより形成される絶縁層内に埋め込まれる。
特許文献1に開示の製造方法では、電子部品の実装のために金属箔が使用される。電子部品の電極は、金属箔を介して外部の電気回路と接続される。このような金属箔の使用は、電子部品の電極と外部の回路との間の導通抵抗の上昇、および、接続箇所の増加による信頼性の低下といった不利益をもたらすことがある。一方、電子部品が金属箔などに接続されていないと、電子部品の周囲へのプリプレグの流入時に電子部品の浮きや位置ずれが生じ易いと推察される。電子部品を部品内蔵基板内の正確な位置に固定することが困難であると考えられる。
本発明の電子部品内蔵基板の製造方法は、第1面および前記第1面と反対側の第2面を有し、かつ、前記第1面と前記第2面との間を貫通する貫通孔を有する絶縁基板を用意することと、前記貫通孔の前記第1面側の開口部を塞ぐベース部材を前記絶縁基板に貼り付けることにより前記ベース部材からなる底面を有するキャビティ部を形成することと、前記キャビティ部内の前記ベース部材上に電子部品を前記電子部品の電極を前記ベース部材側に向けて配置することと、前記キャビティ部内に部分的に第1封止材を充填することと、前記第1封止材の充填の後に前記第1封止材の充填手法と異なる手法を用いて前記キャビティ部内に第2封止材を充填することと、前記ベース部材を前記絶縁基板から剥離することにより前記電極を露出させることと、を含んでいる。
本発明の実施形態によれば、電子部品の電極と外部の電気回路とを直接接続することが可能になる。電子部品の電極と外部の電気回路との間の導通抵抗が小さくなり、かつ、接続部の信頼性が向上すると考えられる。また、第1および第2の封止材それぞれについての適切な充填手法の選択により、たとえば、電子部品を正確な位置に固定することができ、なおかつ、電子部品内蔵基板の表面を適切な手法で形成することができると考えられる。
本発明の一実施形態の電子部品内蔵基板の製造方法が説明される。まず、一実施形態の製造方法により製造される電子部品内蔵基板が、その一例である電子部品内蔵基板1を示す図1、2Aおよび2Bを参照しながら説明される。なお、図1は、図2Bに示されるI−I線での断面図である。
図1、2Aおよび2Bに示されるように、電子部品内蔵基板1は、貫通孔10aを備えている絶縁基板10と、貫通孔10a内に収容されている電子部品2a〜2cと、貫通孔10a内に充填される封止材からなる封止部5とを有している。封止部5は、電子部品2a〜2cを覆っている。貫通孔10a内の空間が封止部5によって埋められている。絶縁基板10は、絶縁基板10の厚さ方向と直交する2つの表面のうちの一方の面である第1面10Fおよび第1面10Fと反対側の表面である第2面10Sとを有している。貫通孔10aは、第1面10Fと第2面10Sとの間を貫通している。封止部5は、絶縁基板10の第1面10F側に露出する一面5Fを有している。封止部5は、一面5F側の第1封止部5aと、第1封止部5aを覆う第2封止部5bとを含んでいる。電子部品2a〜2cは、それぞれ、他の電気的要素と電気的に接続される電極21a〜21cを有している。電子部品2aは電極21aを、電子部品2bは電極21bを、そして、電子部品2cは電極21cを、それぞれ封止部5の一面5F側に向けて配置されている。電子部品2a〜2cは、封止部5によって貫通孔10a内の所定の位置に固定されている。
第1封止部5aは、後述の第1封止材6a(図3F参照)からなり、第2封止部5bは、後述の第2封止材6b(図3I参照)からなる。第1封止材6aと第2封止材6bとは、異なる手法によって貫通孔10a内に充填される。たとえば、第1封止部5aは、電子部品2a〜2cの周囲を適切に第1封止材6aで充填するのに適した手法を用いて形成される。そして、第2封止部5bは、たとえば、貫通孔10aの絶縁基板10の第2面10S側の開口部を適切に塞ぎ、かつ、封止部5の第2面10S側の表面を形成するのに適した手法を用いて第2封止材6bから形成される。
図1の例では、電子部品2a〜2cは具体的には第1封止部5aで覆われている。第2封止部5bは、第1封止部5aで充填されていない貫通孔10a内の領域に形成されている。貫通孔10a内における第1封止部5aおよび第2封止部5bそれぞれの形成領域は、電子部品2a〜2cそれぞれの大きさや形状、絶縁基板10の厚さ、および、貫通孔10aの貫通方向の長さに応じて任意に選択され得る。たとえば、図1と異なり、電子部品2a〜2cの封止部5の一面5Fから所定の高さまでの部分が第1封止部5aにより覆われていてもよい。そして、第2封止部5bが、電子部品2a〜2cの残りの部分の周囲を含む、第1封止部5aで充填されていない貫通孔10a内の残りの領域に形成されていてもよい。
図1の例では、貫通孔10aを囲む絶縁基板10の内壁面上ならびに第1面10Fおよび第2面10S上に第1金属膜31が形成されている。絶縁基板10の第1面10Fおよび第2面10Sと第1金属膜31との間には、金属箔10bが介在している。絶縁基板10の第1面10F上の第1金属膜31の第1面10Fと反対側の表面31cと、封止部5の一面5Fとは、ほぼ面一である。また、封止部5の一面5Fと、電子部品2a〜2cそれぞれの電極の端面22a〜22c(電極21a〜21cの封止部5の一面5F側の面)とは、ほぼ面一である。すなわち、各電子部品の電極の端面22a〜22cと、第1金属膜31の表面31cとは、ほぼ面一である。各電子部品の電極の端面22a〜22c、および、第1金属膜31の表面31cは、封止部5内に埋め込まれずに一面5Fにおいて封止部5から露出している。図1の例では、露出している各電子部品の電極の端面22a〜22cおよび第1金属膜31の表面31cに、外部の電気回路との間の接合材となるバンプ7が形成されている(図2Bでは、各電子部品の電極の端面22a〜22cや第1金属膜31の表面31cが図中に示され得るようにバンプ7の記載が省略されている)。
一実施形態の製造方法により製造され得る電子部品内蔵基板1では、電子部品2a〜2cそれぞれの電極の端面22a〜22cが電子部品内蔵基板1の外面に露出している。そのため、バンプ7が電子部品2a〜2cの電極の端面22a〜22c上に直接形成され得る。電子部品2a〜2cの電極21a〜21cと外部の電気回路とをバンプ7で直接接続することができる。すなわち、電極21a〜21cと外部の電気回路との間の導通抵抗を小さくすることができる。また、電子部品内蔵基板1では、電極21a〜21cと外部の電気回路との間に介在する接続箇所が少ないので、外部の電気回路との接続の信頼性が高いと考えられる。たとえば、電子部品2a〜2cそれぞれの電極の端面22a〜22c、および、第1金属膜31の表面31cは、バンプ7を介して外部のマザーボードなどに接続される。バンプ7は、たとえば、はんだなどの導電性の材料で形成される。
図1の例では、さらに、封止部5の一面5F側と反対側(絶縁基板10の第2面10S側)の表面である他面5S上に第2金属膜32が形成されている。第2金属膜32は、第2金属膜32の外周部で第1金属膜31と接しており、絶縁基板10の貫通孔10aの第2面10S側を塞いでいる。一方、図2Aおよび図2Bに示されるように、第1金属膜31は貫通孔10aを囲む絶縁基板10の内壁上に形成され、電子部品2a〜2cを囲んでいる。すなわち、図1、2Aおよび2Bの例では、第1金属膜31および第2金属膜32によって、封止部5の一面5F側を除いて電子部品2a〜2cを取り囲む、電気的に一体的な構造のシールド層3が形成されている。電子部品2a〜2cから放射される電磁波の電子部品内蔵基板1の外部への放出が抑制されると考えられる。図1の例では、さらに、第2金属膜32の保護などに有益な被覆層33が第2金属膜32上に形成されている。なお、符号34は、後述の第2封止部5bの形成に伴って形成される、貫通孔10a外の封止材部である。貫通孔10a外の封止材部34は必ずしも形成されていなくてもよい。
つぎに、一実施形態の電子部品内蔵基板の製造方法が、図1に示される電子部品内蔵基板1を製造する場合を例に、図3A〜3Nを参照して説明される。
図3Aに示されるように、第1面10Fおよび第1面10Fと反対側の第2面10Sを有する絶縁基板10が用意される。絶縁基板10は、電子部品内蔵基板1に適度な剛性を与え、貫通孔10a(図1参照)の形成領域を提供する。絶縁基板10の材料は、これらの機能および絶縁性を有するものであれば特に限定されない。たとえば、絶縁基板10の材料はエポキシ樹脂である。絶縁基板10の材料はシリカなどの無機粒子を含んでいてもよい。また、絶縁基板10はガラスクロスなどの補強材を含んでいてもよい。たとえば、プリプレグを本硬化させてなるガラスエポキシ板や、プリプレグに金属層を積層してなる積層板が、絶縁基板10として用いられる。図1に示される電子部品内蔵配線板1が製造される場合は、図3Aに示されるように、金属箔10bとして絶縁基板10の両面に銅箔を備える両面銅張積層板が用意される。絶縁基板10および金属箔10bが、個別に用意されて熱圧着されてもよい。絶縁基板10の表面に金属箔10bを有さない電子部品内蔵基板が製造される場合は、金属箔10bを備えない絶縁基板10が用意されてもよい。
絶縁基板10の厚さは、貫通孔10a内に収容される電子部品の厚さに応じて適宜選択され得る。たとえば、0.5mm以上、1.6mm以下の厚さの絶縁基板10が用いられる。
図3Aに示される2つの二点鎖線Cの間の領域が除去され、図3Bに示されるように、絶縁基板10に貫通孔10aが形成される。図3Bには、電子部品内蔵基板1(図1参照)よりも大きな大判の絶縁基板100が示されている。大判の絶縁基板100は、それぞれ電子部品内蔵基板1の構成要素となる複数の絶縁基板10を含んでいる。大判の絶縁基板100に複数の貫通孔10aが形成されている。大判の絶縁基板100を用いると、複数の電子部品内蔵基板1が同時に製造され得る。そして、後述のように、大判の絶縁基板100が個々の貫通孔10aの外周に沿って切断されることにより、連結状態の複数の電子部品内蔵基板1が個片化される。電子部品内蔵基板1が、短い時間で、安価かつ大量に製造され得る。しかし、電子部品内蔵基板1は、貫通孔10aの形成から完成まで個片状態で製造されてもよい。なお、図3A、3C〜3Fおよび3H〜3Mは、1つの貫通孔10aの周辺部分の断面を示している。
貫通孔10aは、たとえば、レーザー光の照射、ルーターによる切断、ドリルによる切削、金型などによる打ち抜きなど、絶縁基板10に過度なストレスを与えない任意の適切な加工方法を用いて形成され得る。なお、貫通孔10aの形成領域の銅箔10bは、絶縁基板10の貫通孔10aの形成領域内の部分と共にドリルによる切削などで除去され得る。貫通孔10aの形成領域の銅箔10bは、レーザー加工による貫通孔10aの形成に先行してエッチングなどで除去されてもよい。
図3Bに示される例では、貫通孔10aは、略正方形の平面形状(絶縁基板10の厚さ方向と直交する平面への投影形状、以下、「平面形状」は同じ意味で用いられる)を有するように形成されている。しかし、貫通孔10aの形状や大きさ、および、絶縁基板10内もしくは大判の絶縁基板100内での位置は、図3Bに示される例に限定されない。貫通孔10aは、内部に収容すべき電子部品に応じた大きさおよび形状に形成される。
図3Cに示されるように、貫通孔10aを囲む絶縁基板10の内壁面上に第1金属膜31が形成される。第1金属膜31は、絶縁基板10の第1面10Fおよび第2面10Sの上の金属箔10b上にも形成されている。第1金属膜31は、下層膜31aおよび上層膜31bによって構成されている。たとえば、下層膜31aが、無電解めっき、スパッタリング、または蒸着などにより、絶縁基板10の第1面10Fおよび第2面10S上の金属箔10bの全面、ならびに、貫通孔10aの周囲の内壁面全体に形成される。続いて、下層膜31a上に、たとえば電解めっきにより上層膜31bが形成される。上層膜31bは、下層膜31a上の全面に形成されてもよく、必要な領域だけにパターンめっき法により形成されてもよい。下層膜31aおよび上層膜31bからなる2層構造の第1金属膜31が形成される。
下層膜31aおよび上層膜31bの材料には、好ましくは銅が用いられる。ニッケルなどの他の金属材料が用いられてもよい。第1金属膜31は、3μm以上、15μm以下、好ましくは、5μm以上、10μm以下の厚さに形成される。第1金属膜31がこのような適切な厚さを有していると、前述のように、電磁波の放射が効果的に抑制されると考えられる。しかも、第1金属膜31がめっき法などにより比較的短い時間で形成される。なお、第1金属膜31は、1層の金属膜だけを有していてもよく、3層以上の多層構造を有するように形成されてもよい。図3Cを除く各図面では、第1金属膜31は簡略化して1つの層だけで示されている。
絶縁基板10の第1面10Fおよび第2面10S上に積層されている金属箔10b、および、金属箔10bの全面に形成されている第1金属膜31は、必要に応じて、テンティング法などによりパターニングされる。図3Cの例では、金属箔10b、および、金属箔10b上の第1金属膜31は、貫通孔10aの近傍部分を除いてエッチングにより除去されている。
図3Cでは、貫通孔10aの周囲の壁面は絶縁基板10の厚さ方向とほぼ平行である。しかし、たとえば、貫通孔10aの周囲の壁面は、絶縁基板10の第1面10F側に向かうほど貫通孔10aの中心側に向かうように傾斜していても、その逆方向に傾斜していてもよい。すなわち、貫通孔10aは絶縁基板10の第1面10Fおよび第2面10Sのいずれかに向って広がっていてもよい。
つぎに、図3Dに示されるように、貫通孔10aの絶縁基板10の第1面10F側の開口部を塞ぐベース部材8が、絶縁基板10に貼り付けられる。貫通孔10a内に露出するベース部材8の一面8aからなる底面を有するキャビティ部11が形成される。図示されていないが、大判の絶縁基板100(図3B参照)に形成されている複数の貫通孔10aそれぞれの第1面10F側の開口部が、1つまたは複数のベース部材8で塞がれる。それにより複数のキャビティ部11が形成される。好ましくは、複数の貫通孔10aの開口部を塞ぎ得る大きさのベース部材8が用意され、複数の貫通孔10aの開口部が1つのベース部材8で塞がれる。より好ましくは、大判の絶縁基板100の大きさに相当する大きさを有する1つのベース部材8によって全ての貫通孔10aの第1面10F側の開口部が塞がれる。
ベース部材8は、絶縁基板10と密着するように貼り合わされる。ここで「密着」は、後の工程でキャビティ部11内に充填される第1および第2の封止材6a、6b(図3Fおよび図3I参照)がキャビティ部11内から漏出しない程度に密接に付着することを意味している。図3Dの例では、ベース部材8は、絶縁基板10の第1面10F上の第1金属膜31に貼り付けられている。ベース部材8は、その柔軟性に応じて、第1金属膜31上だけでなく、絶縁基板10の露出部にも貼り付けられてもよい。
ベース部材8には、好ましくは、一面8aに粘着性を有するフィルム、テープ、または板材などが用いられる。ベース部材8は、一面(粘着面)8aを絶縁基板10に向けて、絶縁基板10の第1面10F側に貼り付けられる。好ましくは、ベース部材8は、一面8aの粘着性によって絶縁基板10に固定される。
ベース部材8の一面8aには、予め接着剤の塗布などにより粘着性が付加されていてもよく、絶縁基板10への貼り付け時に接着剤が新規にまたは追加的に供給されてもよい。ベース部材8は、後述のように、後の工程で、絶縁基板10から剥離される。従って、ベース部材8の一面8aに粘着性を付与する接着剤には、絶縁基板10や第1金属膜31などとの間に良好な密着性を有するものの、強固な接着性を発現しないものが好ましい。このような接着剤としては、アクリル系やシリコン系の接着剤が例示される。また、ベース部材8の材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)が例示されるが、PET以外の材料が用いられてもよい。
図3Eに示されるように、キャビティ部11内のベース部材8上の所定の位置に電子部品2a〜2cが、たとえばチップマウンタやダイボンダなどを用いて配置される。図示されていないが、大判の絶縁基板100(図3B参照)に形成されている複数のキャビティ部11それぞれの内部に、電子部品2a〜2cが配置される。電子部品2a〜2cは、電極21a〜21cをベース部材8側に向けて配置される。ベース部材8は、好ましくは、前述のように粘着性を有する一面(粘着面)8aを有しており、電子部品2a〜2cは、この粘着面上に配置される。工程内での絶縁基板10の搬送時の振動や絶縁基板10の傾きなどによる電子部品2a〜2cの位置ずれが、ベース部材8の粘着性によって防止され得る。
電子部品2a〜2cは、電極21a〜21cそれぞれの端面22a〜22cをベース部材8側に向けて、ベース部材8の一面8a上に配置される。ベース部材8の一面8aは、絶縁基板10の第1面10F上の第1金属膜31の表面31cに貼り付けられている。すなわち、電子部品2a〜2cは、電極21a〜21cそれぞれの端面22a〜22cと第1金属膜31の表面31cとが、ほぼ面一となるようにベース部材8上に配置される。電子部品2a〜2cの電極21a〜21cおよび第1金属膜31の表面31cが、それぞれ、外部のマザーボード上の接続パッド(図示せず)などと接続される場合に、この接続パッドからの浮きが生じ難いと考えられる。
電子部品2a〜2cは、受動部品であっても、能動部品であってもよい。また、受動部品および能動部品の両方が、1つのキャビティ部11内に配置されてもよい。その場合、電子部品2a〜2c間の配線長が短縮されることがある。受動部品としては、表面実装型もしくは他の形態のインダクタ、コンデンサ、抵抗などが例示される。また、能動部品としては、ベアチップ、WLP、もしくは他の形態の集積回路装置、トランジスタ、またはダイオードなどが例示される。しかし、受動部品および能動部品のいずれも、これらに限定されない。なお、キャビティ部11内に配置される電子部品の数は、図3Eの例に限定されない。すなわち、3個よりも多いまたは少ない数の電子部品がキャビティ部11内に配置されてもよい。
図3Eに示されるように、電子部品内蔵基板1の製造においては、電子部品2aおよび電子部品2bと、電子部品2aおよび電子部品2bの高さと異なる高さを有する電子部品2cとが、キャビティ部11内に配置される。後述の第1封止材6a(図3F参照)からなる第1封止部5a(図3H参照)の形成領域が、高さの異なる複数の電子部品のいずれかの高さに基づいて選択されてもよい。
電子部品2a〜2cのキャビティ部11内への配置後、キャビティ部11内にキャビティ部11の封止材が充填される。本実施形態の電子部品内蔵基板の製造方法では、少なくとも2つの異なる手法を用いてキャビティ部11内に封止材が充填される。図3Fには、粉末状の第1封止材6aをキャビティ部11内に充填する第1の充填プロセスの例が示されている。キャビティ部11は、第1封止材6aによって部分的に充填される。
図3Fに示されるように、粉末状の第1封止材6aが、ディスペンサ(図示せず)などで吐出されることによりキャビティ部11内に流し込まれる。キャビティ部11内に吐出された第1封止材6aは、キャビティ部11内を流動し、各電子部品同士のすき間や各電子部品とベース部材8との間に流れ込む。第1封止材6aの材料としては、粉末状態に加工されたエポキシ樹脂が例示される。エポキシ樹脂は、シリカなどの無機フィラーを30質量%以上、90質量%以下程度の含有率で含んでいてもよい。
電子部品2a〜2cは、前述のように、軽微な外力による位置ずれをベース部材8の粘着性によって防がれている。しかし、ベース部材8の粘着力を超える力が作用すると、電子部品2a〜2cの位置ずれや浮きが生じることがある。たとえば、高粘度を有するペースト状の封止材によりキャビティ部11が充填されると、電子部品2a〜2cが、高粘度の封止材の流動に基づく比較的大きな外力を受けることがある。その場合、電子部品2a〜2cの位置ずれや浮きが生じるおそれがある。
一方、図3Fに示される例のように、第1封止材6aが粉末状態でキャビティ部11内に流し込まれると、電子部品2a〜2cには、位置ずれや浮きを招くような大きな外力は作用し難いと考えられる。電子部品2a〜2cがはんだなどで金属箔などに強固に固定されていなくても、電子部品2a〜2cの位置ずれや浮きが生じ難いと考えられる。所定の位置に配置された電子部品2a〜2cが位置ずれしたり、浮いたりすることなく、適正な位置への各電子部品の配置が維持されると考えられる。
図3Fの例示のように、第1の充填プロセスは、好ましくは、電子部品2a〜2cの位置ずれや浮きが生じ難い態様の封止材および充填手法を用いて行われる。加えて、または代替的に、第1の充填プロセスは、好ましくは、各電子部品同士のすき間や各電子部品とベース部材8とのすき間への良好な流入性を有し、従ってボイドなどを生じさせ難い態様の封止材および充填手法を用いて行われる。従って、第1の充填プロセスでは、好ましくは、粉末状の他、液状や、流動性の高い低粘度のペースト状の封止材が第1封止材6aとしてキャビティ部11内に流し込まれる。
粉末状の第1封止材6aが用いられる場合、小さい粒子径を有する封止材が、第1封止材6aとして好ましい。電子部品2cとベース部材8とのすき間の部分(図3FのIIIG部)の拡大図である図3Gに示されるように、粒子径の小さい粉末状の第1封止材6aは、電子部品2cとベース部材8とのすき間のような小さな空間内にも十分に流れ込むことができる。また、このような空間内に存在するエアが、流入してくる粒子状の第1封止材6aと入れ替わりに各粒子同士の間を通って外部に逃げ易いと考えられる。各電子部品同士のすき間や各電子部品とベース部材8とのすき間が隈なく、たとえばボイドの生成を招くことなく、充填され得る。このように、良好な充填性の観点から、第1封止材6aには、好ましくは、10μm以下の最大粒径を有する粉末状の封止材が用いられる。なお、第1封止材6aとして用いられる封止材は、図3Fに示されるような粉末状や、液状の封止材に限定されない。たとえば、電子部品2a〜2cの位置ずれ防止や良好な充填性とは異なる観点において有益性を有する他の態様の封止材が、第1封止材6aとして用いられてもよい。たとえば、第2封止材6b(図3I参照)として後述されるフィルム状の封止材が第1封止材6aとして用いられてもよい。その場合、加熱などにより十分に溶融し、電子部品2cとベース部材8とのすき間の部分に流れ込むような封止材が、第1封止材6aとして好ましい。
第1封止材6aが粉末状である場合、たとえば、恒温槽やベーク炉などで加熱されることにより第1封止材6aが一旦溶融し、さらに加熱および/または除熱されることにより硬化する。その結果、図3Hに示されるように、硬化した第1封止材6aからなる第1封止部5aが形成される。電子部品2a〜2cが第1封止部5aに被覆されることにより、キャビティ部11内の所定の位置に固定される。
第1封止部5aのキャビティ部11内での形成領域は、たとえば電子部品2a〜2cの形状や大きさに応じて選択される。図3Hの例では、第1封止部5aは、電子部品2a〜2cのうちで高さの高い電子部品2aおよび電子部品2bの上面(電極21a、21bと反対側の端面)をも覆うように形成されている。電子部品2a〜2cが完全に第1封止部5aに被覆されるので、電子部品2a〜2cが外力から確実に保護されると考えられる。
第1封止部5aは、図3Hの例と異なり、電子部品2aおよび電子部品2bの一部が第1封止部5aに覆われずに露出するように形成されてもよい。たとえば、電子部品2cの上面(電極21cと反対側の端面)までだけを覆うように第1封止部5aが形成されてもよい。電子部品2cが電子部品2aや電子部品2bよりも小さく、そのため位置ずれや浮きを起こし易い場合など、電子部品2cの上面までの被覆だけでも位置ずれ防止に関して十分なことがあるからである。
このように、第1封止部5aの形成領域は、キャビティ部11内に配置される電子部品の大きさや形状に応じて選択され得る。好ましくは、キャビティ部11の深さDに対する第1封止部5aの厚さT(第1封止部5aの絶縁基板10の第1面10F側の表面から第2面10S側の表面までの距離)の比が0.3以上となるように、第1封止材6aがキャビティ部11内に充填される。第1封止部5aがこのような厚さTを有するように形成されることにより、キャビティ部11内に配置される多くの電子部品が第1封止部5aで確実に固定されると考えられる。後述の第2封止材6b(図3I参照)の充填時の各電子部品の位置ずれが確実に防止されると考えられる。また、後述のように、たとえばフィルム状の形態で供給される第2封止材6b(図3I参照)に、比較的薄い樹脂フィルムなどを用いることができると考えられる。第1封止材6aは、より好ましくは、キャビティ部11の深さDに対する第1封止部5aの厚さTの比が0.7以下となるようにキャビティ部11内に充填される。それにより、第2封止部5b(図3J参照)を形成した後の平坦性を損なわない程度の第1封止部5aの形成が可能となる。なお、キャビティ部11の「深さD」は、絶縁基板10の第1面10Fおよび第2面10S上に金属箔10bおよび第1金属膜31が設けられない場合は絶縁基板10の厚さである。金属箔10bおよび第1金属膜31が設けられる場合は、キャビティ部11の「深さD」は、金属箔10bおよび第1金属膜31の厚さも含めた絶縁基板10の厚さである。
第1封止材6aによるキャビティ部11内の部分的な充填の後、第2の充填プロセスとして、第2封止材がキャビティ部11内に充填される。本実施形態の方法では、第2封止材は、第1封止材6aと異なる手法でキャビティ部11内に充填される。図3Iには、第1封止部5aの形成領域以外のキャビティ部11内の残りの空間をフィルム状の第2封止材6bを用いて充填する第2の充填プロセスの例が示されている。
図3Iに示されるように、フィルム状に成形されている第2封止材6bが、貫通孔10aを覆うように絶縁基板10の第2面10S側に配置される。第2封止材6bは、加熱されることにより流動性を有するように軟化し、キャビティ部11の内部に入り込む。キャビティ部11内の第1封止部5aの形成領域以外の空間が、第2封止材6bで充填される。ボイドなどが発生しないように、真空または減圧雰囲気中で第2の充填プロセスが行われてもよい。また、キャビティ部11の周囲の絶縁基板10の第2面10Sも軟化した第2封止材6bに覆われてもよい。第2封止材6bは、所定の硬化温度で加熱されることにより本硬化する。なお、フィルム状の第2封止材6bは、予め、キャビティ部11の開口サイズよりも小さいサイズにカットされ、キャビティ部11内の第1封止部5aの上に配置されてもよい。
図3Jに示されるように、硬化後の第2封止材6bからなる第2封止部5bが、第1封止部5a上に形成される。キャビティ部11内の第1封止部5aの形成領域以外の空間が第2封止部5bで充填される。第1封止部5aおよび第2封止部5bからなる封止部5が形成される。第1封止部5aに一部を覆われていない電子部品が存在する場合でも、そのような電子部品は第2封止部5bによって被覆される。図3Jの例では、第2封止部5bは、キャビティ部11の周囲の絶縁基板10の第2面10Sも覆っている。
第2封止材6bの材料としては、第1封止材6aと同様に、エポキシ樹脂が例示される。エポキシ樹脂はシリカなどの無機フィラーを30質量%以上、90質量%以下程度含んでいてもよい。第1封止材6aと第2封止材6bの一方だけが、無機フィラーを含有していてもよい。第1および第2の封止材6a、6bの両方が無機フィラーを含有する場合、第1封止材6aの無機フィラーの含有率と、第2封止材6bの無機フィラーの含有率とが異なっていてもよい。たとえば、第1封止材6aの流動性が考慮され、第1封止材6aの無機フィラーの含有率が、第2封止材6bの無機フィラーの含有率よりも小さくされてもよい。前述の図3Iの例では、第2封止材6bとしてフィルム状に成形された封止材が用いられている。予めフィルム状に成形された封止材を用いることにより、封止部5の絶縁基板10の一面5Fと反対側の表面として、比較的凹凸の少ない表面が得られると考えられる。後述の第2封止部5bの表面の研磨が容易になると考えられる。しかし、第2封止材6bとして用いられる封止材は、図3Iに示されるようなフィルム状に成形された封止材に限定されない。たとえば、ペースト状の封止材がキャビティ内に注入もしくは塗布されてもよい。また、凹凸の少ない表面の確保とは異なる観点において有益性を有する任意の態様の封止材が、第2封止材6bとして用いられてもよい。
第1および第2の封止材6a、6bは、それぞれ、キャビティ部11内の互いに異なる領域を充填するにあたって、それぞれの充填領域において求められる好ましい作用を及ぼし得る適切な形態で準備され、かつ、適切な手法でキャビティ部11内に供給される。たとえば、各電子部品が配置されているキャビティ部11の底面側の領域を充填する第1封止材6aは、前述のように、電子部品間などへの良好な充填性やボイドの発生し難さが求められるため、好ましくは粉末状や液状の形態で準備され、キャビティ部11内に注入される。一方、たとえば、キャビティ部11の開口部側の領域を充填し、封止部5の表面を構成する第2封止材6bは、前述のように、第2封止部5bに転じた後の表面の平坦性が求められるため、好ましくは、フィルム状の形態で準備される。フィルム状の第2封止材6bは、キャビティ部11の開口部に積層後、溶融してキャビティ部11内を充填するように加熱される。このように、第1封止材6aおよび第2封止材6bが、各々に求められる特性に応じた適切な形態で準備され、キャビティ部11内を充填することにより、キャビティ部11の内部が適切に充填される。なお、図示されていないが、大判の絶縁基板100(図3B参照)に形成されている複数のキャビティ部11それぞれの内部が第1封止材6aおよび第2封止材6bで充填される。
第2封止部5bの形成後、必要に応じて、第2封止部5bの第1封止部5a側と反対側の表面(封止部5の絶縁基板10の第2面10S側の表面)が研磨される。たとえば、第2封止部5bの第1封止部5a側と反対側の表面が貫通孔10aの開口部よりも突出している場合、その突出部分が研磨される。ベルトサンダによる研磨、バフ研磨、または化学機械研磨などにより、第2封止部5bの表面が研磨される。
図3Kに示されるように、第2封止部5bは、封止部5の絶縁基板10の第2面10S側の表面(封止部5の他面)5Sが絶縁基板10の第2面10S上の第1金属膜31の表面とほぼ面一となるように研磨される。第2封止部5bの貫通孔10aの周囲の部分は、第1封止部5a上の部分と分離されて貫通孔10a外の封止材部34となる。
封止部5の他面5S上に、キャビティ部11(図3I参照)を覆う第2金属膜32が形成される。第2金属膜32は、たとえば、無電解めっきにより形成される。第2金属膜32は、スパッタリングや蒸着により形成されてもよい。無電解めっきなどに加えて、電解めっきが行われてもよい。第2金属膜32は、第1金属膜31と接するように、絶縁基板10の第2面10S上の第1金属膜31上にも形成されている。第1金属膜31と第2金属膜32とにより、電子部品2a〜2cを囲むシールド層3が形成される。封止部5の他面5Sが絶縁基板10の第2面10S上の第1金属膜31の表面とほぼ面一となるように研磨されていると、均一な膜厚を有し、安定したシールド効果をもたらす第2金属膜32が形成されると考えられる。第2金属膜32は、絶縁基板10の第2面10S側の全面に形成された後、機能的に特に必要のない部分をエッチングなどで除去されてもよい。図3Kの例では、貫通孔10aの上方でも第1金属膜31上でもない部分の第2金属膜32は除去されている。また、大判の絶縁基板100(図3B参照)に複数の電子部品内蔵基板1が製造される場合は、個片化のための切断線S(図3N参照)の近傍の第2金属膜32が除去されてもよい。
図1に示される電子部品内蔵基板1が製造される場合は、図3Lに示されるように、第2金属膜32の形成後、第2金属膜32を覆う被覆層33が形成される。たとえば、フィルム状に成形された樹脂が第2金属膜32上に積層され、加熱される。加熱により一旦溶融した樹脂材料が第2金属膜32と密着する。更なる加熱により樹脂材料が本硬化し、それにより被覆層33が形成される。樹脂材料からなる被覆層33により第2金属膜32が外部の導電体から絶縁され得る。被覆層33の材料としては、エポキシ樹脂が例示される。封止部5の材料と同等の線膨張率を有する材料が、被覆層33の材料として好ましい。第2金属膜32に生じる熱応力が少ないと考えられるからである。なお、図示されていないが、被覆層33とは別に、第2金属膜32の表面に、電解めっき法もしくは無電解めっき法により、耐食性の良好なニッケルなどの金属材料による被膜が形成されてもよい。
ベース部材8は、第2封止部5aの形成後、任意のタイミングで絶縁基板10から剥離される。たとえば、被覆層33の形成後、ベース部材8が剥離される。ベース部材8の剥離により、電子部品2a〜2cそれぞれの電極の端面22a〜22cが、それぞれ封止部5の一面5Fに露出する。また、第1金属膜31の表面31cもベース部材8の剥離により露出する。ベース部材8の一面8aに接触していた、電子部品2a〜2cそれぞれの電極の端面22a〜22c、封止部5の一面5F、および第1金属膜31の表面31cは、ほぼ面一である。前述のように、ベース部材8は、絶縁基板10や第1金属膜31との間に強固な接着性を発現しない接着剤で絶縁基板10に貼り付けられているので、単にベース部材8を引き剥がすだけで、容易にベース部材8を絶縁基板10から剥離することができる。溶剤などを用いて溶融させることによりベース部材8が除去されてもよい。
図1に示される電子部品内蔵基板1が製造される場合は、図3Mに示されるように、バンプ7が形成される。バンプ7は、ベース部材8の除去により露出する各電子部品それぞれの電極の端面22a〜22c上、および、絶縁基板10の第1面10F上の第1金属膜31の表面31c上に形成される。バンプ7に代えて、Ni−Auまたは、Ni−Pd−Auなどのめっき膜やOSP膜からなる表面保護膜が形成されてもよい。バンプ7は、たとえば、はんだペーストの印刷またははんだボールの配置、およびはんだリフローにより形成される。はんだ以外の銅などの金属がバンプ7に用いられてもよい。バンプ7の材料および形成方法は、特にこれらに限定されない。
大判の絶縁基板100(図3B参照)に複数の貫通孔10aが形成され、複数の電子部品内蔵基板1が製造されている場合は、連結状態の複数の電子部品内蔵基板1が個片化される。たとえば、図3Mに二点鎖線Sで示される位置などで、絶縁基板10がルーターなどで切断される。それにより、図1に示される最終形態の電子部品内蔵基板1が得られる。すなわち、図3Nに示されるように、大判の絶縁基板100に形成された複数のキャビティ部11同士の間で、大判の絶縁基板100が切断される。たとえば、図3Nに二点鎖線で示される、個々のキャビティ部11の周囲の切断線Sの位置で、大判の絶縁基板100が切断される。それにより、複数のキャビティ部11が個片に分割される。大判の絶縁基板100を出発材料として連結状態で同時に製造された複数の電子部品内蔵基板1が、最終的な外形を有する個々の電子部品内蔵基板1に個片化される。以上の工程により、図1に示される電子部品内蔵基板1が完成する。
電子部品内蔵基板1は、図1、図2Aおよび図2Bに示される例と全く同じ形状や構造を有していなくてもよい。たとえば、絶縁基板10の平面形状は、図2Aおよび図2Bに示される略正方形の形状に限定されず、たとえば、長方形や円形など、任意の形状であってよい。また、第1金属膜31は貫通孔10aの周囲の内壁全体に形成されなくてもよい。また、第1金属膜31は、貫通孔10aの周囲の内壁だけに形成されてもよい。すなわち、絶縁基板10の第1面10Fや第2面10S上に第1金属膜31が形成されなくてもよい。また、第1封止材6aおよび第2封止材6bの材料は、エポキシ樹脂に限定されず、たとえば、フェノール樹脂やウレタン樹脂など、任意の絶縁性材料が、第1封止材6aおよび/または第2封止材6bの材料として用いられ得る。
さらに、一実施形態の電子部品内蔵基板の製造方法により製造される電子部品内蔵基板は、図1に示される電子部品内蔵基板1に限定されない。たとえば、第1金属膜31、第2金属膜32、被覆層33は、必ずしも形成されなくてもよい。金属箔10bも、必ずしも備えられていなくてもよく、また、バンプ7も形成されなくてもよい。図4には、一実施形態の電子部品内蔵基板の製造方法により製造され得る電子部品内蔵基板の他の例である、シンプルな構造の電子部品内蔵基板1aが示されている。なお、図1の電子部品内蔵基板1の構成要素と同一の要素については、同じ符号が付され、その説明は適宜省略される。
図4に示されるように、電子部品内蔵基板1aでは、図1の電子部品内蔵基板1と異なり、第1金属膜31、第2金属膜32、および被覆層33が形成されていない。また金属箔10bも、絶縁基板10の第1面10Fおよび第2面10Sのいずれの面上にも設けられていない。従って、絶縁基板10の第2面10S側に封止部5の他面5Sが露出している。封止部5の他面5Sは、絶縁基板10の第2面10Sとほぼ面一となるように研磨されている。また、電子部品2a〜2cの電極21a〜21cの端面22a〜22cおよび封止部5の一面5Fは、絶縁基板10の第1面10Fとほぼ面一である。第1金属膜31や銅箔10bのない絶縁基板10の第1面10Fにベース部材8(図3D参照)が貼り付けられ、ベース部材8の一面8a上に、電子部品2a〜2cが配置される。そのため、各電子部品の電極の端面22a〜22cおよび封止部5の一面5Fが、絶縁基板10の第1面10Fとほぼ面一になる。一実施形態の電子部品内蔵基板の製造方法により、図4に示されるようにシンプルな構造の電子部品内蔵基板1aが製造されてもよい。なお、電子部品内蔵基板1aでは、第1封止部5aは、電子部品2cの上面(電極21cと反対側の端面)までを覆うように形成されている。前述のように、第1封止部5aの形成領域は、たとえば、キャビティ部11内の電子部品の形状や大きさに応じて選択され得る。
図1の電子部品内蔵基板1や図4の電子部品内蔵基板1aでは、第1封止部5aは、キャビティ部11内において、電子部品2a〜2cの電極側(ベース部材側または絶縁基板10の第1面10F側)の全面に所定の厚さで形成されている。しかし、第1封止部5aは、キャビティ部11内において平面視で部分的に形成されてもよい。たとえば、一部の電子部品の周囲にだけ第1封止部5aが形成されてもよい。なお「平面視」は、電子部品内蔵基板を外部から見るときの見方に関し、電子部品内蔵基板の厚さ方向と平行な視線で電子部品内蔵基板を見ることを意味している。
図5Aおよび図5Bには、他の実施形態の製造方法により製造される電子部品内蔵基板の例が示されている。図5Aおよび図5Bに示される電子部品内蔵基板1b、1cでは、第1封止部5aは、キャビティ部11内に配置される複数の電子部品のうちの一部である電子部品2dの周囲にだけ形成されている。すなわち、電子部品内蔵基板1b、1cでは、電子部品2a、2bと共に、電子部品2a、2bよりも遥かに小さい電子部品2dがキャビティ部11内に配置される。そして、前述の図3Fを参照して説明された工程において、第1封止材6aが電子部品2dの周囲にだけ供給され、電子部品2dの周囲にだけ第1封止部5aが形成される。
電子部品2cとしては、チップコンデンサ、チップ抵抗およびチップインダクタの他、トランジスタやダイオードなどの個別半導体素子が例示される。このような電子部品には、その外形の各辺の長さが1mmにも満たないものがある。そのため、キャビティ部11内を充填する封止材の流動によって位置ずれや浮きが生じ易いと考えられる。一方、電子部品2aや電子部品2bのように比較的大きな部品では、位置ずれや浮きは生じ難いと考えられる。従って、そのような場合は、電子部品2dのような小型の部品の周囲だけを第1封止材6aで充填するだけでも、電子部品の位置ずれや浮きの防止効果が得られると考えられる。
図5Aに示される一例の電子部品内蔵基板1bでは、キャビティ部11内の第1封止部5aの形成領域以外の空間は、全て、第2封止部5bで埋められている。一方、図5Bに示される他の例の電子部品内蔵基板1cでは、第2封止部5bは、図1の電子部品内蔵基板1と同様に、キャビティ部11の開口部付近だけに形成されている。すなわち、第1封止部5aと第2封止部5bとの間に、第3封止部5cが形成されている。図5Aに示されるようにキャビティ部11内の第1封止部5aの形成領域以外の空間を全て第2封止部5bで埋めるには、フィルム状の第2封止材6b(図3I参照)を用いる場合、相当に厚い第2封止材6bが必要になる。しかし、たとえば、第3封止材(図示せず)を用いて第3封止部5cを形成することにより、比較的薄い第2封止材6bを用いることが可能になると考えられる。第3封止材としては、たとえば、第1封止材6aほどには電子部品の位置ずれ防止作用を有さないものの、充填作業やコストなどの面で第1封止材6aよりも有利な任意の態様のエポキシ樹脂などが例示される。
以上のように、実施形態の電子部品内蔵基板の製造方法によれば、電子部品の位置ずれや浮き、および、ボイドなどの発生を抑制しながら、キャビティ部内を封止材で適切に充填することができる。また、実施形態の製造方法により製造される電子部品内蔵基板では、内蔵する電子部品の電極を小さい導通抵抗で外部の電気回路などと接続することができる。なお、実施形態の電子部品内蔵基板の製造方法は、図3A〜3Nを参照して説明された方法に限定されない。実施形態の電子部品内蔵基板の製造方法には、前述の各工程以外に任意の工程が追加されてもよく、前述の説明で説明された工程のうちの一部が省略されてもよい。
1、1a、1b、1c 電子部品内蔵基板
2a〜2d 電子部品
21a〜21c 電極
22a〜22c 電極の端面
3 シールド層
31 第1金属膜
32 第2金属膜
33 被覆層
5 封止部
5a 第1封止部
5b 第2封止部
5c 第3封止部
6a 第1封止材
6b 第2封止材
7 バンプ
8 ベース部材
8a 一面(粘着面)
10 絶縁基板
10a 貫通孔
10F 絶縁基板の第1面
10S 絶縁基板の第2面
11 キャビティ部
100 大判の絶縁基板
2a〜2d 電子部品
21a〜21c 電極
22a〜22c 電極の端面
3 シールド層
31 第1金属膜
32 第2金属膜
33 被覆層
5 封止部
5a 第1封止部
5b 第2封止部
5c 第3封止部
6a 第1封止材
6b 第2封止材
7 バンプ
8 ベース部材
8a 一面(粘着面)
10 絶縁基板
10a 貫通孔
10F 絶縁基板の第1面
10S 絶縁基板の第2面
11 キャビティ部
100 大判の絶縁基板
Claims (13)
- 第1面および前記第1面と反対側の第2面を有し、かつ、前記第1面と前記第2面との間を貫通する貫通孔を有する絶縁基板を用意することと、
前記貫通孔の前記第1面側の開口部を塞ぐベース部材を前記絶縁基板に貼り付けることにより前記ベース部材からなる底面を有するキャビティ部を形成することと、
前記キャビティ部内の前記ベース部材上に電子部品を前記電子部品の電極を前記ベース部材側に向けて配置することと、
前記キャビティ部内に部分的に第1封止材を充填することと、
前記第1封止材の充填の後に前記第1封止材の充填手法と異なる手法を用いて前記キャビティ部内に第2封止材を充填することと、
前記ベース部材を前記絶縁基板から剥離することにより前記電極を露出させることと、
を含んでいる電子部品内蔵基板の製造方法。 - 請求項1記載の電子部品内蔵基板の製造方法であって、前記第2封止材を充填することは、フィルム状の前記第2封止材を前記キャビティ部内または前記絶縁基板の第2面側に配置することを含んでいる。
- 請求項1記載の電子部品内蔵基板の製造方法であって、前記第1封止材を充填することは、粉末状または液状の前記第1封止材を前記キャビティ部内に流し込むことを含んでいる。
- 請求項1記載の電子部品内蔵基板の製造方法であって、前記第1封止材を充填する工程において、前記第1封止材により形成される第1封止部の厚さの前記キャビティ部の深さに対する比が0.3以上になるように、前記第1封止材が充填される。
- 請求項1記載の電子部品内蔵基板の製造方法であって、前記第1封止材を充填することは、10μm以下の最大粒径を有する粉末状の前記第1封止材を前記キャビティ部内に流し込むことを含んでいる。
- 請求項1記載の電子部品内蔵基板の製造方法であって、前記第1封止材および前記第2封止材は、それぞれ無機フィラーを含んでおり、前記第1封止材の無機フィラーの含有率は、前記第2封止材の無機フィラーの含有率よりも小さい。
- 請求項1記載の電子部品内蔵基板の製造方法であって、さらに、前記第2封止材の充填の後に、前記第2封止材からなる第2封止部の前記貫通孔からの突出部分を研磨することを含んでいる。
- 請求項1記載の電子部品内蔵基板の製造方法であって、前記絶縁基板を用意することは、前記貫通孔を囲む前記絶縁基板の内壁面上ならびに前記第1面および前記第2面上に第1金属膜を形成することを含んでいる。
- 請求項8記載の電子部品内蔵基板の製造方法であって、さらに、前記絶縁基板の第2面上の前記第1金属膜に接するように、前記キャビティ部を覆う第2金属膜を形成することを含んでいる。
- 請求項8記載の電子部品内蔵基板の製造方法であって、前記電子部品は、前記電極の前記ベース部材側に向けられる端面と、前記絶縁基板の第1面上の前記第1金属膜の前記絶縁基板と反対側の表面とがほぼ面一となるように前記ベース部材上に配置される。
- 請求項1記載の電子部品内蔵基板の製造方法であって、前記ベース部材は粘着性を有する粘着面を有し、かつ、前記粘着面を前記絶縁基板側に向けて前記絶縁基板に貼り付けられ、前記電子部品は前記粘着面上に配置される。
- 請求項1記載の電子部品内蔵基板の製造方法であって、さらに、前記ベース部材の前記絶縁基板からの剥離により露出する前記電子部品の電極の露出面上に表面保護膜または金属バンプを形成することを含んでいる。
- 請求項1記載の電子部品内蔵基板の製造方法であって、前記絶縁基板を用意することは、
複数の前記絶縁基板を含む大判の絶縁基板に複数の前記貫通孔を形成することを含み、
前記ベース部材を前記絶縁基板に貼り付けることは、前記複数の貫通孔それぞれの開口部を塞ぐことにより複数の前記キャビティ部を形成することを含み、
前記電子部品を前記ベース部材上に配置することは、前記複数のキャビティ部それぞれに電子部品を配置することを含み、
前記キャビティ部内に前記第1封止材を充填しさらに前記第2封止材を充填することは、前記複数のキャビティ部それぞれに第1封止材および第2封止材を充填することを含み、
前記製造方法は、さらに、前記複数のキャビティ部同士の間で前記大判の絶縁基板を切断することにより前記複数のキャビティ部を個片に分割することを含んでいる。
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JP2016205077A JP2018067627A (ja) | 2016-10-19 | 2016-10-19 | 電子部品内蔵基板の製造方法 |
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JP2016205077A JP2018067627A (ja) | 2016-10-19 | 2016-10-19 | 電子部品内蔵基板の製造方法 |
Publications (1)
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ID=62086302
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JP2016205077A Pending JP2018067627A (ja) | 2016-10-19 | 2016-10-19 | 電子部品内蔵基板の製造方法 |
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JP (1) | JP2018067627A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2021531652A (ja) * | 2018-07-16 | 2021-11-18 | ナノ−ディメンション テクノロジーズ,リミテッド | ホスト構造に埋め込まれた組み込み部品の接続性を改善する方法およびシステム |
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2016
- 2016-10-19 JP JP2016205077A patent/JP2018067627A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2021531652A (ja) * | 2018-07-16 | 2021-11-18 | ナノ−ディメンション テクノロジーズ,リミテッド | ホスト構造に埋め込まれた組み込み部品の接続性を改善する方法およびシステム |
JP7374172B2 (ja) | 2018-07-16 | 2023-11-06 | ナノ ディメンション テクノロジーズ,リミテッド | ホスト構造に埋め込まれた組み込み部品の接続性を改善する方法およびシステム |
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