JP2018066947A - 光学物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】光学膜の膜硬度が高くかつ良好な画質を得ることができる光学物品を提供すること。【解決手段】光学物品は、基材11と、基材11の表面に形成された光学膜13とを有する。光学膜13は、平面視で表面が網目状構造を有する。光学膜13の最大膜厚と最小膜厚の比は2:1〜20:1であり、網目状構造における筋状の凸部を構成する筋部の幅は0.1〜4μmであり、光学膜13の断面における10nm幅の表面上には2〜20本の筋部が含まれる。光学膜13は、複数の微粒子が凝集して構成され、微粒子の粒径は3〜15nmである。【選択図】図1

Description

本発明は、基材の表面に光学膜が形成された光学物品に関する。
カメラのレンズや監視カメラなどに用いられるカバー等の光学物品には、高画質の画像を撮影するために、表面に反射防止膜が設けられることがある。反射防止膜としては、種々の態様が知られているが、例えば、特許文献1には、基材の上に複数の孔を有する多孔質層が設けられた光学部材が記載されている。多孔質層は、複数の孔を有する構成であるため基材よりも屈折率が小さくなる。そのため、多孔質層がない構成よりも、光学部材の表面(多孔質層側の面)での反射が抑制されて、反射率が低減される。
特開2015−11162号公報 特開2003−255103号公報
上記説明した特許文献1に記載の光学部材はデジタルカメラ等の撮像装置のレンズでの利用が考えられているため、低反射率特性と共に防塵特性も有するが、複数の孔を有する多孔質層は柔らかいので、多孔質層の膜硬度は低いと考えられる。ところで、特許文献2には、耐擦傷性が向上した反射防止フィルムとして、基材の表面に低屈折率層を有し、低屈折率層が無機微粒子を含有し、無機微粒子が二次元網目状構造を形成するものが開示されている。当該反射防止フィルムでは、無機微粒子の二次元網目状構造が微小なマット剤のような役目を果たすことにより耐擦傷性が良化していると考えられる。耐擦傷性が良化した反射防止フィルムを開示する特許文献2では、当該反射防止フィルムの鉛筆硬度評価はされているが、比較例を含むどの試料でも鉛筆硬度評価は同じである。また、試料によってはヘイズの値が非常に大きい。
本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、光学膜の膜硬度が高くかつ良好な画質を得ることができる光学物品を提供することを目的とする。
本発明の一態様の光学物品は、基材と、上記基材の表面に形成された光学膜と、を有する光学物品であって、
上記光学膜は、平面視で表面が網目状構造を有し、
上記光学膜の最大膜厚と最小膜厚の比は2:1〜20:1であり、
上記網目状構造における筋状の凸部を構成する筋部の幅は0.1〜4μmであり、
上記光学膜の断面における10nm幅の表面上には2〜20本の上記筋部が含まれ、
上記光学膜は、複数の微粒子が凝集して構成され、
上記微粒子の粒径は3〜15nmである。
本発明によれば、光学膜の膜硬度が高くかつ良好な画質を得ることができる光学物品を提供することができる。
一実施形態の光学物品の概略構成を示す図である。 一実施形態の光学物品を構成する光学膜の表面構造を示す概略図である。 一実施形態の光学物品の縦断面図である。 実施例1〜5及び比較例1〜2における光学膜の膜厚、光学膜の筋部の構造、光学膜を構成する微粒子の粒径、並びに、画質及び光学膜の硬度の各評価結果を示す表である。 実施例6〜10及び比較例3〜4における光学膜の膜厚、光学膜の筋部の構造、光学膜を構成する微粒子の粒径、並びに、画質及び光学膜の硬度の各評価結果を示す表である。 実施例11〜15及び比較例5〜6における光学膜の膜厚、光学膜の筋部の構造、光学膜を構成する微粒子の粒径、並びに、画質及び光学膜の硬度の各評価結果を示す表である。 実施例16〜20及び比較例7〜8における光学膜の膜厚、光学膜の筋部の構造、光学膜を構成する微粒子の粒径、並びに、画質及び光学膜の硬度の各評価結果を示す表である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[光学物品]
本発明に係る一実施形態の光学物品は、基材11と、基材11の表面に形成された光学膜13とを有する。図1は、一実施形態の光学物品の概略構成を示す図であって、(a)は光学膜13の表面を拡大撮影した電子顕微鏡画像であり、(b)は(a)の画像に対応する光学膜13の平面視図であり、(c)はc−c線断面図である。
<基材>
本実施形態の光学物品を構成する基材11としては、各種の樹脂(プラスチック/高分子化合物/重合体)を形成材料とした基材が、全て利用可能である。
基材11の形成材料として、具体的には、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリイミド等、各種の透明な樹脂が例示される。ここで、「透明」とは、光学物品において反射防止したい光(反射防止対象光)の波長に対して透明である(内部透過率が概ね10%以上)であることを意味する。
また、各種の化合物を添加したナノコンポジット樹脂等も、基材11の形成材料として利用可能である。
また、基材11は、上記樹脂のみで形成されるものに限定されず、表面に、保護層、密着層、遮光層、緩衝層、応力緩和層等の、各種の機能を得るための層(膜)が形成されているものであってもよい。
本実施形態の光学物品は、天井等に設置される防犯カメラのカバー等として用いることができる。防犯カメラのカバーは、天井等の面から突出した防犯カメラを日差しや雨、塵埃等から守るため、3次元に湾曲したドーム型の形状を有する。したがって、防犯カメラのカバーとして用いられる光学物品の基材11はドーム型の形状を有し、0.5mm以上の厚みを有することが好ましい。また、基材11の屈折率は、1.58程度であることが好ましい。
<光学膜>
本実施形態の光学物品を構成する光学膜13は、図1に示すように、平面視で表面が網目状構造を有し、反射防止膜の光学機能を有する。反射防止すべき光は、用途によって異なるが、一般的には可視光領域の光であり、必要に応じて赤外線領域の光の場合もある。なお、上記平面視とは、光学膜13が形成された面側から、光学膜13と直交する方向に見ることをいう。
以下、光学膜13の構造について詳細に説明する。
図1に示すように、光学膜13の表面には凹凸が形成されており、凸部が筋状に形成されている。本実施形態では、光学膜13の膜厚が平均値以上の筋状の領域を凸部とし、当該筋状の凸部(以下「筋部」という。)の幅は0.1〜4μmである。また、光学膜13の断面における10μm幅の表面上には、2〜20本の筋部が含まれる。なお、筋部の平面視形状は不規則であり、筋部の幅も0.1〜5nmの範囲内で一律ではない。すなわち、筋部の平面視形状及び幅はランダムである。また、筋部によって囲まれた凹状の隙間部の平面視形状は、円形状、楕円形状又は線形状であり、隙間部の大きさも一律ではない。すなわち、隙間部の平面視形状及び大きさはランダムである。
光学膜13は、シリカ又はフッ化マグネシウム等の微粒子を含む低屈折率組成液を基材11の表面にスプレイ法によって塗布することによって、複数の微粒子が凝集して構成される。なお、組成液に含まれる微粒子(一次粒子)の粒径は1〜50nmであることが好ましく、3〜15nmであることがより好ましい。本実施形態では、組成液の塗布がスプレイ法によって行われるため、基材11の表面に微粒子が面内で偏在化して堆積していく。すなわち、スプレイ法では、エアで霧化した組成液の液滴が基材11に着弾し乾燥するときに、液滴の外周部より乾燥が始まるため、液滴の外周部と中心部との間に表面張力の差が生じ、液滴内に対流が発生し、液滴内の微粒子が外周部に集まることによって、図2に示すリング状の凝集体になる。このリング状の凝集体が膜厚方向に重なることで、微粒子の堆積量が面内で偏在化し、微粒子の堆積量が多い箇所が筋部を形成し、微粒子の堆積量が少ない箇所が隙間部を形成する。その結果、光学膜13の表面は、複数の筋部と複数の隙間部が入り混じった網目状構造に形成される。なお、筋部は途切れていても良い。
光学膜13の図3に示す最大膜厚Tmaxと最小膜厚Tminの比は2:1〜20:1であり、平均膜厚は110nmである。なお、図1及び図3に示した例では、基材11の片面に光学膜13が形成されているが、基材11の両面に光学膜13を形成しても良い。
以下、本発明の実施例を説明すると共に、本発明の構成及び効果についてより詳細に説明する。
以下説明する実施例及び比較例の各光学物品は、組成液を作製する工程と、基材の表面に組成液を塗布する工程とを含む製造方法によって製造される。組成液を作製する工程では、室温25℃の環境でテトラエトキシラン(TEOS)0.6gと1モル%/kgの酢酸水溶液9.4gの混合液を2時間攪拌して酸性加水分解液を作製し、室温25℃の環境でシリカ分散液(シリカ1次粒子径7nm、2次凝集体径20nmの19.5質量%水溶液)1.04g、蒸留水3.83g、ポリビニルアルコール7%水溶液(日本酢ヒ・ポバール株式会社製、JM−33)1.08g及び界面活性剤(花王株式会社製、エマルゲン109P)0.004gを混合して10分攪拌し、酸性加水分解液と混合して30分攪拌することによって低屈折率組成液を作製する。また、基材(ショット社製、D263)の表面に組成液を塗布する工程では、スプレイ法による塗布装置を用いて、吐出量1mL/分の低屈折率組成液をスプレイ圧0.25MPaで100mmの距離から基材の表面に1秒間スプレイ塗布し、自然乾燥する。
[実施例1〜5及び比較例1〜2]
図4は、実施例1〜5及び比較例1〜2における光学膜の膜厚、光学膜の筋部の構造、光学膜を構成する微粒子の粒径、並びに、画質及び光学膜の硬度の各評価結果を示す表である。光学膜の膜厚は、FIB(Focused Ion Beam:集束イオンビーム)を用いて光学物品に対して10μmの幅で膜厚方向にエッチング処理を行い、加工断面部と加工周辺部を走査電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、S5200)にてx100kの倍率で観察して得られた観察写真からスケールで求めた。なお、1つのサンプルにつき3箇所につき、10μm幅の範囲で断面プロファイルを測定した。光学薄膜の平均膜厚は、3箇所の断面プロファイルの膜厚の単純平均を取ることで算出した。また、最小膜厚は、3箇所の断面プロファイルの各プロファイルにおける最小膜厚を抽出し、その平均をとることで算出した。同様に、最大膜厚は、3箇所の断面プロファイルの各プロファイルにおける最大膜厚を抽出し、その平均をとることで算出した。
また、光学膜の筋部に関しても、マイクロスコープ(株式会社キーエンス製、VW−9000)にてx1kの倍率で観察して得られた観察写真及び走査電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、S5200)にてx50kの倍率で観察して得られた観察写真から、筋部の幅及び密度をスケールで求めた。なお、光学膜13の断面における膜厚が平均値以上の領域を筋部とみなした。また、筋部の幅は、光学膜の上記3箇所の断面プロファイルの各プロファイルに含まれる筋部の幅の単純平均値である。また、筋部の密度は、光学膜の上記3箇所の断面プロファイルの各プロファイルに含まれる筋部の本数の単純平均値である。さらに、光学膜を構成する微粒子(一次粒子)の粒径は、光学膜の上記3箇所の断面プロファイルの各プロファイルに存在する微粒子の粒径の単純平均値である。
なお、光学膜の最大膜厚Tmaxと最小膜厚Tminの比は、基材に塗布する組成液の濃度(組成液に含まれる微粒子の量)、組成液の濃度を調整するための溶剤の種類(純水、アルコール)、組成液に含める界面活性剤の量、組成液中の微粒子の粒径、組成液のスプレイ条件(吐出圧、吐出量)などで変えることができる。
画質は、ハロゲンランプの点光源と文字及び絵等から成る被写体とを光学物品の基材側に設置し、光学膜側に設置されたデジタルカメラが撮影した画像を評価した結果を示す。基材のみを透過した光の撮影画像におけるゴースト(点光源由来の異常画像)の強度を画像処理ソフト(Adobe社製Photoshop)を用いて数値化した値に対して、画質「A」は、ゴーストの強度を示す値が20%以下まで低減されたことを示し、画質「B」は、ゴーストの強度を示す値が20%〜50%に低減されたことを示し、画質「C」は、ゴーストの強度を示す値が50%以上までしか低減されないことを示す。なお、撮影画像中の文字に劣化がある場合や散乱光強度が高い場合は画質「C」に評価した。
膜硬度は、鉛筆硬度5Hの針状の芯を用いた引っ掻き試験を実施した際の光学膜の傷の有無に基づく評価結果を示す。膜硬度「A」は、加重100gをかけて上記引っ掻き試験を実施しても傷がつかなかったことを示し、膜硬度「B」は、100g未満の加重をかけて上記引っ掻き試験を実施しても傷がつかなかったことを示し、膜硬度「C」は、100g未満の加重をかけて上記引っ掻き試験を実施すると傷がついたことを示す。
実施例1〜5及び比較例1〜2では、表面に形成された凹凸による網目状構造を有する光学膜の平均膜厚が110nmであり、光学膜の網目状構造を形成する筋部の幅が2μmであり、光学膜の断面における10μm幅には2.5本の筋部が形成されており、光学膜を構成する微粒子(一次粒子)の粒径が10nmである。特に、実施例1〜5では、表面に凹凸が形成された光学膜の最小膜厚Tminが25〜100nmであり、最大膜厚Tmaxと最小膜厚Tminの比が2:1〜20:1である。一方、比較例1〜2では、光学膜の最小膜厚Tminが5〜10nmであり、最大膜厚Tmaxと最小膜厚Tminの比が60:1〜80:1である。なお、当該比は、スプレイ条件を一定にして、組成液の希釈に純水を用いて、組成液の濃度を0.1〜2%に調整し、界面活性剤の添加量を0〜5%に調整することで変化させた。
このように、実施例1〜5と比較例1〜2とでは最大膜厚Tmaxと最小膜厚Tminの比が大きく異なり、比較例1〜2では当該比が大きく画質及び膜硬度とも評価は「C」であるが、実施例1〜5では、当該比が2:1〜20:1に抑えられているため、画質及び膜硬度とも良好な評価結果が得られた。
[実施例6〜10及び比較例3〜4]
図5は、実施例6〜10及び比較例3〜4における光学膜の膜厚、光学膜の筋部の構造、光学膜を構成する微粒子の粒径、並びに、画質及び光学膜の硬度の各評価結果を示す表である。光学膜の膜厚、筋部の構造及び微粒子の粒径の測定方法、並びに、画質及び膜硬度の評価方法は、実施例1〜5及び比較例1〜2と同様である。
実施例6〜10及び比較例3〜4では、表面に形成された凹凸による網目状構造を有する光学膜の平均膜厚が110nmであり、最小膜厚Tminが50nmであり、最大膜厚Tmaxと最小膜厚Tminの比が10:1である。また、光学膜の断面における10μm幅には網目状構造を形成する2.5本の筋部が形成されており、光学膜を構成する微粒子(一次粒子)の粒径が10nmである。特に、実施例6〜10では、光学膜の筋部の幅が0.1〜4μmである一方、比較例3では0.02μm、比較例4では50μmである。なお、筋部の幅は、組成液の濃度及び添加剤の量を一定にして、スプレイ条件の吐出圧を0.1〜0.5MPa、スプレイ条件の吐出量を0.1〜5mL/minに調整することで変化させた。
このように、実施例6〜10と比較例3〜4とでは光学膜の筋部の幅が大きく異なり、比較例3では当該幅が小さく画質及び膜硬度とも評価は「C」であり、比較例4では当該幅が大きく画質及び膜硬度とも評価は「C」であるが、実施例6〜10では、当該幅が0.1〜4μmであるため、画質及び膜硬度とも良好な評価結果が得られた。
[実施例11〜15及び比較例5〜6]
図6は、実施例11〜15及び比較例5〜6における光学膜の膜厚、光学膜の筋部の構造、光学膜を構成する微粒子の粒径、並びに、画質及び光学膜の硬度の各評価結果を示す表である。光学膜の膜厚、筋部の構造及び微粒子の粒径の測定方法、並びに、画質及び膜硬度の評価方法は、実施例1〜5及び比較例1〜2と同様である。
実施例11〜15及び比較例5〜6では、表面に形成された凹凸による網目状構造を有する光学膜の平均膜厚が110nmであり、最小膜厚Tminが50nmであり、最大膜厚Tmaxと最小膜厚Tminの比が10:1である。また、光学膜の網目状構造を形成する筋部の幅が0.5μm又は2μmであり、光学膜を構成する微粒子(一次粒子)の粒径が10nmである。特に、実施例11〜15では、光学膜の断面における10μm幅には2〜20本の筋部が形成されている。一方、比較例5では10μm幅に0.2本の筋部が形成され、比較例6では10μm幅に0.05本の筋部が形成されている。なお、筋部の本数は、スプレイ条件を一定にして、組成液の希釈にエタノールを用いて、組成液の濃度を0.1〜2%に調整し、界面活性剤の添加量を0〜5%に調整することで変化させた。
このように、実施例11〜15と比較例5〜6とでは10μm幅での筋部の本数(密度)が大きく異なり、比較例5〜6では当該密度が低く画質及び膜硬度とも評価は「C」であるが、実施例11〜15では、当該密度が2〜20本と高いため、画質及び膜硬度とも良好な評価結果が得られた。
[実施例16〜20及び比較例7〜8]
図7は、実施例16〜20及び比較例7〜8における光学膜の膜厚、光学膜の筋部の構造、光学膜を構成する微粒子の粒径、並びに、画質及び光学膜の硬度の各評価結果を示す表である。光学膜の膜厚、筋部の構造及び微粒子の粒径の測定方法、並びに、画質及び膜硬度の評価方法は、実施例1〜5及び比較例1〜2と同様である。
実施例16〜20及び比較例7〜8では、表面に形成された凹凸による網目状構造を有する光学膜の平均膜厚が110nmであり、最小膜厚Tminが50nmであり、最大膜厚Tmaxと最小膜厚Tminの比が10:1である。また、光学膜の網目状構造を形成する筋部の幅が0.5μm又は2μmであり、光学膜の断面における10μm幅には10本又は2.5本の筋部が形成されている。特に、実施例16〜20では、光学膜を構成する微粒子(一次粒子)の粒径が3〜15nmである一方、比較例7では30nm、比較例8では50nmである。なお、一次粒子の粒径は、スプレイ条件及び組成液の条件を一定にして、組成液に分散させる微粒子の粒径を3〜50nmに調整することで変化させた。
このように、実施例16〜20と比較例7〜8とでは一次粒子の粒径が大きく異なり、比較例7〜8では当該粒径が大きく画質及び膜硬度とも評価は「C」であるが、実施例16〜20では、当該粒径が3〜15nmと小さいため、画質及び膜硬度とも良好な評価結果が得られた。
上記結果から明らかなように、本発明の実施例の光学物品は、平面視で表面が網目状構造を有する光学膜の最大膜厚Tmaxと最小膜厚Tminの比が2:1〜20:1であり、網目状構造における筋状の凸部を構成する筋部の幅が0.1〜4μmであり、光学膜の断面における10nm幅の表面上には2〜20本の筋部が含まれ、光学膜を構成する微粒子(一次粒子)の粒径は3〜15nmであるため、比較例と比較して、画質及び光学膜の硬度が優れる。
以上説明したとおり、本明細書に開示された光学物品は、
基材と、上記基材の表面に形成された光学膜と、を有する光学物品であって、
上記光学膜は、平面視で表面が網目状構造を有し、
上記光学膜の最大膜厚と最小膜厚の比は2:1〜20:1であり、
上記網目状構造における筋状の凸部を構成する筋部の幅は0.1〜4μmであり、
上記光学膜の断面における10nm幅の表面上には2〜20本の上記筋部が含まれ、
上記光学膜は、複数の微粒子が凝集して構成され、
上記微粒子の粒径は3〜15nmである。
また、上記微粒子はシリカで構成される。
また、上記筋部の平面視形状及び幅、並びに、上記筋部によって囲まれた凹状の隙間部の平面視形状及び大きさはランダムである。
また、上記隙間部の平面視形状は、円形状、楕円形状又は線形状である。
また、上記光学膜は、反射防止膜の光学機能を有する。
また、上記基材は、3次元に湾曲した形状を有する。
また、上記基材の厚みは0.5mm以上である。
11 基材
13 光学膜

Claims (7)

  1. 基材と、前記基材の表面に形成された光学膜と、を有する光学物品であって、
    前記光学膜は、平面視で表面が網目状構造を有し、
    前記光学膜の最大膜厚と最小膜厚の比は2:1〜20:1であり、
    前記網目状構造における筋状の凸部を構成する筋部の幅は0.1〜4μmであり、
    前記光学膜の断面における10nm幅の表面上には2〜20本の前記筋部が含まれ、
    前記光学膜は、複数の微粒子が凝集して構成され、
    前記微粒子の粒径は3〜15nmである、光学物品。
  2. 請求項1に記載の光学物品であって、
    前記微粒子はシリカで構成された、光学物品。
  3. 請求項1又は2に記載の光学物品であって、
    前記筋部の平面視形状及び幅、並びに、前記筋部によって囲まれた凹状の隙間部の平面視形状及び大きさはランダムである、光学物品。
  4. 請求項3に記載の光学物品であって、
    前記隙間部の平面視形状は、円形状、楕円形状又は線形状である、光学物品。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の光学物品であって、
    前記光学膜は、反射防止膜の光学機能を有する、光学物品。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の光学物品であって、
    前記基材は、3次元に湾曲した形状を有する、光学物品。
  7. 請求項6に記載の光学物品であって、
    前記基材の厚みは0.5mm以上である、光学物品。
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