JP2018064015A - 基板保持装置 - Google Patents

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浩義 荒城
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Abstract

【課題】電気回路基板に意図しない力が作用してもばね部による電気回路基板の保持を維持できる基板保持装置を提供する。【解決手段】第1ケース10と第2ケース20との間にて電気回路基板5を保持する基板保持装置であって、弾性力によって電気回路基板を厚み方向に保持するばね部11と、第1ケースから電気回路基板の厚み方向に突出する第1係止部12と、第2ケースに形成された第2係止部22と、第1ケースから電気回路基板の厚み方向に突出する板状の部位であり、先端が電気回路基板の厚み方向において電気回路基板に対して予め決められた間隔だけ隔てて対向する保護部13と、を備える。第1係止部が弾性変形をした状態から元の形状に復元することで、第1ケースと第2ケースとが係止される。第1係止部と保護部とは電気回路基板の厚み方向の同一軸上に形成される。【選択図】図2

Description

本発明は、基板保持装置に関する。
プリント電気回路基板をネジで固定しない技術として、分割ケースに形成された押え片によって、プリント電気回路基板を挟持固定する技術が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1において、ケースを2分割した分割ケースを互いに組み付けることにより、分割ケースに形成された押さえ片によってプリント電気回路基板が挟持固定されることとなる。
特開2012−164843号公報
しかしながら、分割ケースの押え片に製造誤差が生じることは避けられず、当該製造誤差の範囲内でプリント電気回路基板が振動してしまうという問題があった。これに対して、ばね部材で押圧することによりプリント電気回路基板を安定して保持するという対策も考えられる。しかしながら、ばね部材の弾性限度を超えるような応力がプリント電気回路基板に作用した場合には、ばね部材が塑性変形し、ばね部材によってプリント電気回路基板を安定して保持することができなくなってしまう。
本発明は、電気回路基板に意図しない力が作用してもばね部による電気回路基板の保持を維持できる基板保持装置を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するため、本発明の基板保持装置は、第1ケースと第2ケースとの間にて電気回路基板を保持する基板保持装置であって、弾性力によって電気回路基板を厚み方向に保持するばね部と、第1ケースから電気回路基板の厚み方向に突出する板状の部位であり、凸部または凹部が形成された第1係止部と、第2ケースに形成され、第1係止部に形成されていない凸部または凹部が形成された第2係止部と、第1ケースから電気回路基板の厚み方向に突出する板状の部位であり、先端が電気回路基板の厚み方向において電気回路基板に対して予め決められた間隔だけ隔てて対向する保護部と、を備え、第1係止部が弾性変形をした状態からもとの形状に復元することで、凹部に凸部が入り込むことにより、第1ケースと第2ケースとが係止され、第1係止部と保護部とは電気回路基板の厚み方向の同一軸上に形成される。
以上説明した本発明の構成において、ばね部の弾性力によって電気回路基板を厚み方向に保持できる。弾性力によって電気回路基板を保持するため多少の寸法誤差を吸収することができる。保護部の先端が電気回路基板の厚み方向において電気回路基板に対して予め決められた間隔だけ隔てて対向するため、厚み方向における電気回路基板の変位を制限できる。そのため、電気回路基板に対して厚み方向に弾性力を生じさせているばね部の変形量を抑制し、当該ばね部が塑性変形する可能性を低減できる。従って、電気回路基板に意図しない力が作用してもばね部による電気回路基板の保持を維持できる。第1係止部と保護部とが電気回路基板の厚み方向の同一軸上に形成されるため、電気回路基板の面方向における第1係止部と保護部の設置スペースを小さくすることでき、第1ケースをコンパクトに形成できる。
第1実施形態にかかる基板保持装置の斜視図である。 第1実施形態にかかる基板保持装置の分解斜視図である。 図3A〜図3Hは第1実施形態にかかる基板保持装置の部分断面図である。 図4A,図4C,図4Dは保護部の正面図、図4Bは保護部の断面図である。 図5Aは第2実施形態にかかる基板保持装置の分解斜視図である。 図6A〜図6Dは第2実施形態にかかる基板保持装置の部分断面図である。
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)第1実施形態:
(2)第2実施形態:
(3)第3実施形態:
(4)他の実施形態:
(1)第1実施形態:
図1は、本発明の一実施形態にかかる基板保持装置1の外観を示す斜視図である。本実施形態において、基板保持装置1は車両に搭載される。基板保持装置1は、直方体状に形成されており、第1ケース10と第2ケース20とを含んでいる。基板保持装置1は、内部の空間にて電気回路基板5(一点鎖線)を保持している。Z軸は電気回路基板5の厚み方向の軸であり、X軸とY軸は電気回路基板5の面方向の軸であることとする。説明の便宜上、図示の方向を基準としてZ軸上の一方向とその反対方向を上方向と下方向と表すが、必ずしもZ軸方向は上下方向に対応しなくてもよい。例えば、電気回路基板5の厚み方向が水平方向や斜め方向となるように基板保持装置1が車両に搭載されてもよい。電気回路基板5は、面方向に連続する2個のコネクタ5cを有し、コネクタ5cの端子面が基板保持装置1の外部に露出する。本明細書において、同一種の部材や部位の符号は1個のみ記載することとする。
本実施形態において、電気回路基板5は、コネクタ5cを介して車両のECU(Electronic Control Unit)と通信を行い、車両を制御するための処理を行う基板である。ただし、電気回路基板5は、どのような機能を有する電気回路基板であってもよく、基板保持装置1は車両以外の用途に使用されてもよい。
第1ケース10は基板保持装置1の上面を構成し、第2ケース20は基板保持装置1の底面を構成する。上面とは、電気回路基板5の面方向に平行な面であって紙面上側の面である。底面とは、電気回路基板5の面方向に平行な面であって紙面下側の面である。上面と底面とは互いに平行であり、厚み方向において上面と底面との距離が基準距離Szになるように、第1ケース10と第2ケース20とが組み付けられている。
図2は、基板保持装置1の分解斜視図である。図2に示すように、基板保持装置1の底面を構成する第2ケース20上に電気回路基板5が置かれる。次に、基板保持装置1の上面を構成する第1ケース10を、電気回路基板5が置かれた第2ケース20に上側から組み付けることにより基板保持装置1が形成される。
図3A〜図3Hは、基板保持装置1の部分断面図である。図3A,図3C,図3E,図3G(以下、図3A等)は図2に示すX軸方向の矢印V1にて基板保持装置1の一部を見た図であり、図3B,図3D,図3F,図3H(以下、図3B等)は図2に示すX軸方向の矢印V2にて基板保持装置1の一部を見た図である。
まず、第2ケース20の詳細な構成について説明する。第2ケース20は、第1ケース10よりも弾性係数が大きく、同様の力が作用した場合に第1ケース10よりも弾性変形の歪みが小さくなる。第2ケース20は、金属で形成された平面板をプレス加工することより各部(後述する座部21と位置決め部25)が一体成型される。第2ケース20を電気的なグランドとして利用しない場合には、第2ケース20は、必ずしも金属で形成されなくてもよい。第2ケース20は、例えば合成樹脂によって形成されてもよい。
第2ケース20は、底面と、当該底面に垂直な側面とによって構成される。X軸方向に垂直な2個の側面と、Y軸方向に垂直な2個の側面とが存在する。各側面におけるX軸方向またはY軸方向の中央部にはそれぞれ座部21が形成されている。座部21は、第2ケース20の底面に平行、かつ、側面に垂直な板状部である。座部21は、第2ケース20の各側面に上下反転したU字状のスリットを設け、当該スリットの内側の部分を第2ケース20の中央側に直角に折り曲げることにより形成される。図1に示すように、第2ケース20の側面において座部21が形成された部位は、基板保持装置1の内部と外部とを連通する貫通穴となっている。
第2ケース20の各側面において、座部21をX軸方向またはY軸方向の両側から挟む位置に第2係止部22としての凹部22bが形成されている。第1ケース10の第1係止部12と、第2ケース20の第2係止部22とを、係止部12,22と総称する。第2ケース20の1個の側面につき2個の凹部22bが形成されている。凹部22bは、第2ケース20の側面の一部に矩形状に切り抜くことにより形成された貫通穴である。
第2ケース20の各側面において、凹部22bをX軸方向またはY軸方向の両側から挟む位置に位置決め部25が形成されている。第2ケース20の1個の側面につき2個の位置決め部25が形成されている。位置決め部25は合計8個形成されていることとなる。位置決め部25は、第2ケース20の側面の一部を第2ケース20の中央側に押し出すことにより形成される。
図2の二点鎖線の円内に位置決め部25をX軸方向から見た拡大図を示す。同図に示すように、位置決め部25は、X軸方向またはY軸方向から見て台形状に形成されており、Z軸方向における中央部C(太線)が側面と平行となっている。当該中央部Cの上端において下方になるほど第2ケース20の中央に向けて幅が大きくなるような傾斜の下端が接続している。また、当該中央部Cの下端において上方になるほど第2ケース20の中央に向けて幅が大きくなるような傾斜の上端が接続している。さらに、図3B等にて破線で示すように、当該中央部Cの下端の高さと座部21の高さとがほぼ同じとなっている。
第2ケース20の1個の側面には、2個のコネクタ挿入穴24が形成されている。コネクタ挿入穴24はX軸方向に連続して形成された貫通穴であり、当該コネクタ挿入穴24の間にZ軸方向に細長い形状の境界部24aが形成されている。そして、8個の位置決め部25のうち、1個の位置決め部25は、境界部24aを第2ケース20の中央側に押し出すことにより形成されている。コネクタ挿入穴24は、Z軸方向における上端の位置が座部21とほぼ同じ高さとなるように形成されている。
次に、電気回路基板5の詳細な構成について説明する。電気回路基板5は、矩形状の両面基板であり、Z軸方向の下方の面が表面であり、Z軸方向の上方の面が裏面となっている。電気回路基板5の表面には、2個のコネクタ5cと図示しない各種電子部品(プロセッサ,RAM,ROM等)が実装されている。これらの部品を電気的に接続する配線が電気回路基板5の表面と裏面に形成されている。
上述したように、電気回路基板5の面方向はX軸方向とY軸方向である。電気回路基板5は、X軸方向の2辺とY軸方向の2辺によって囲まれた形状であり、X軸方向の2辺の長さがそれぞれWxとなり、Y軸方向の2辺の長さがそれぞれWyとなっている。電気回路基板5の裏面に4個の押圧部が形成されている。押圧部は、X軸方向の2辺の中央部のそれぞれと、Y軸方向の2辺の中央部のそれぞれに形成されている。すなわち、4個の押圧部が電気回路基板5の面方向の外周に形成されている。押圧部は矩形状の導体ランドであり、グランド端子5aである。グランド端子5aは、電気回路基板5に実装された各種電子部品のグランド端子と電気的に接続する端子である。
電気回路基板5の裏面に形成された押圧部としてのグランド端子5aのそれぞれの反対面(表面)にも矩形状のグランド端子5bが形成されている。すなわち、電気回路基板5を厚み方向に挟んで、4組のグランド端子5aとグランド端子5bとが対向している。図2にて一点鎖線の矢印A1で示すように、電気回路基板5は、4個のグランド端子5bのそれぞれが第2ケース20の側面に設けられた4個の座部21のそれぞれに上方から接触するように載置される。図3Bに示すように、座部21の上に電気回路基板5の表面のグランド端子5bが上方から接触している。電気回路基板5の表面のグランド端子5bのそれぞれが座部21上に載置された状態で、電気回路基板5の面方向が第2ケース20の底面と平行かつ側面と垂直となる。
図2に示すように、X軸方向に垂直な第2ケース20の1個の側面に2個の位置決め部25が形成され、X軸方向に垂直な第2ケース20のもう1個の側面に2個の位置決め部25が形成されているが、これらの側面に形成された位置決め部25同士がX軸方向において向かい合う最短距離は、X軸方向における電気回路基板5の長さWxよりも規定量だけ大きくなっている。規定量とは、0に近いほど望ましい長さであり、例えば第2ケース20や電気回路基板5の寸法誤差を考慮して設定される長さである。同様に、Y軸方向の側面に形成された位置決め部25同士がY軸方向において向かい合う最短距離は、Y軸方向における電気回路基板5の長さWyよりも規定量だけ大きくなっている。なお、位置決め部25同士が向かい合う最短距離とは、Z軸方向における位置決め部25の中央部C(側面と平行な部分)同士の距離である。
電気回路基板5を座部21上に載置すると、Z軸方向における位置決め部25の中央部Cとほぼ同じ高さに電気回路基板5の端面が位置することとなる。従って、電気回路基板5は、X軸方向とY軸方向のそれぞれにおいて位置決め部25によって挟まれて位置決めされた状態で、座部21上に載置されることとなる。コネクタ5cはY軸方向において電気回路基板5のX軸方向の辺から一部が突出するように実装されており、この突出した部分をコネクタ挿入穴24に差し込むように、電気回路基板5を傾けながら下降させればよい。すなわち、コネクタ5cが突出しているX軸方向の辺が他の部分よりも低い位置となるように電気回路基板5を傾けながら電気回路基板5を第2ケース20上に載置すればよい。
次に、第1ケース10の詳細な構成について説明する。第1ケース10は、第2ケース20よりも弾性係数が小さく、同様の力が作用した場合に第2ケース20よりも弾性変形の歪みが大きくなる。具体的に、第1ケース10は、弾性変形が可能な歪みの範囲である弾性変形領域が大きい金属(ステンレス、SUP材等)で形成されている。第1ケース10は、金属で形成された平面板をプレス加工することより各部(後述するばね部11と第1係止部12と保護部13)が一体成型される。第1ケース10を電気的なグランドとして利用しない場合には、第1ケース10は、必ずしも金属で形成されなくてもよい。第1ケース10は、例えば合成樹脂によって形成されてもよい。
第1ケース10は、上面と、当該上面に垂直な側面とによって構成される。X軸方向に垂直な2個の側面と、Y軸方向に垂直な2個の側面とが存在する。第1ケース10においてX軸方向に垂直な2個の側面の外側同士の距離は、第2ケース20においてX軸方向に垂直な2個の側面の内側同士が向かい合う距離よりも規定の微少量だけ小さい。同様に、第1ケース10においてY軸方向に垂直な2個の側面の外側同士の距離は、第2ケース20においてY軸方向に垂直な2個の側面の内側同士が向かい合う距離よりも微少量だけ小さい。微少量は、第1ケース10と第2ケース20の寸法誤差を考慮して設定された値であり、0に近いほど望ましい。
第1ケース10の各側面におけるX軸方向またはY軸方向の中央部にはそれぞればね部11が形成されている。図3B等に示すように、ばね部11は、第1ケース10の側面から下方に向けて突出する突出部であり、いわゆる板ばねである。ばね部11は、X軸方向またはY軸方向から見た場合に、根元部分にて電気回路基板5の面方向の中央側に向けて斜めに屈曲し、Z軸方向の中央付近にて電気回路基板5の面方向の外側に向けて斜めに屈曲し、さらにZ軸方向の下端にて電気回路基板5の面方向と平行となるように外側に向けて屈曲した形状を有する。ばね部11の下端(先端)は第1ケース10の側面よりも、電気回路基板5の面方向の中央側にずれた位置に存在している。
図3B,図3Dに示すように、ばね部11に外力が加えられていない場合、ばね部11は、上端から下端までの長さがL0となる。ばね部11の上端はばね部11の上部において屈曲を開始する部分である。図3F,図3Hに示すように、ばね部11に外力が加えられた場合、ばね部11は、Z軸方向に弾性変形(収縮)して、上端から下端までの長さがL1(<L0),L2(<L1)となる。ばね部11は、屈曲角が変化するように弾性変形するが、弾性限度が上端から下端までの長さがL2(歪みがL0−L2)となる場合の荷重の2倍程度(安全率が2倍)となるように材料および屈曲形状が設計されている。弾性限度よりも大きい荷重がばね部11に作用した場合、ばね部11が弾性変形領域を超えて塑性変形することとなり、荷重を取り除いても永久歪みが残留することとなる。
第1ケース10の各側面において、ばね部11をX軸方向またはY軸方向の両側から挟む位置に保護部13が形成されている。第1ケース10の1個の側面につき2個の保護部13が形成されている。保護部13は、上方の根元から下端13aに向けて徐々に幅が狭くなる形状に形成されている。保護部13は、下方に向けて突出する突出部であり、下端13aを第1ケース10の中央側に直角に屈曲させた形状となっている。保護部13は、下端13aの屈曲部の曲率半径が予め決められた値(例えば1mm)となるように形成されている。なお、ばね部11の下端の方が保護部13の下端13aよりも下方に位置している。
図4Aは、保護部13の正面図である。保護部13を含む突出部にU字状のスリットSを形成することにより、当該スリットSの内側に第1係止部12が形成されている。第1係止部12は、下端を自由端として弾性変形する。図4Bは、保護部13の断面図(図4Aの軸Tでの断面)である。軸Tは、電気回路基板5の厚み方向(Z軸方向)の直線であり、軸Tにて保護部13と第1係止部12の双方が二等分される。図4A,図4Bに示すように、第1係止部12には、凸部12bが形成されている。凸部12bは、電気回路基板5の面方向の外側に向けて突出しており、上方になるほど電気回路基板5の面方向の幅が大きくなるような傾斜を有する。この傾斜の上端にて底面(X軸方向およびY軸方向)と平行な面が接続している。
第2ケース20(座部21)上に電気回路基板5が載置された状態で、第2ケース20に対して第1ケース10が取り付けられる。図3A,図3Bは、第1ケース10が第2ケース20に対して上方から接近する様子を示す。まず、図3Bに示すように、ばね部11の下端が第2ケース20の側面よりも電気回路基板5の面方向の中央側の位置に進入する。さらに、ばね部11の下端がある程度下方に進行したところで、第2ケース20の保護部13が第2ケース20の側面の上端に到達する。このとき、第1ケース10の保護部13の下端13aの屈曲部が第2ケース20の側面の上端に接触して摺動することにより、当該第1係止部12を第2ケース20の側面の内側に誘導できる。すなわち、第1ケース10の4個の側面のそれぞれに形成された第1係止部12のそれぞれが第2ケース20の4個の側面の内側に誘導され、第2ケース20の側面の内側に第1ケース10の側面を嵌め込むことができる。
ばね部11の下端がさらに下方に進行するように第1ケース10を下降させると、ばね部11の下端が電気回路基板5の裏面のグランド端子5aに接触する。図3C,図3Dは、ばね部11の下端が電気回路基板5のグランド端子5aに接触する様子を示す。図2にて一点鎖線の矢印A2で示すように、電気回路基板5の面方向に平行となるように屈曲されたばね部11の下端が、電気回路基板5の外周に4個形成されている押圧部としてのグランド端子5aのそれぞれに上方から接触する。なお、図3Dの状態は、ばね部11の下端が電気回路基板5のグランド端子5aに接触を開始した状態であり、ばね部11の上端から下端までの長さがL0(歪みが0)のままとなっている。
図3Dのように、ばね部11の下端が電気回路基板5のグランド端子5aに接触する段階で、第1ケース10の第1係止部12に形成された凸部12bは、第2ケース20の側面のうち凹部22bよりも上方の部分に干渉する。このとき、第1係止部12は、電気回路基板5の面方向の中央側に弾性変形している。図2にて一点鎖線の矢印A3で示すように、第1ケース10の凸部12bのそれぞれは第2ケース20の側面に干渉する。第1ケース10の凸部12bは4個の側面のそれぞれにおいて2個ずつ形成されているが、凸部12bのそれぞれが第2ケース20の側面に干渉する。第1係止部12が下方に進行するほど、第1係止部12が弾性変形する量が大きくなるが、この変形の量が弾性変形領域内となるように第1係止部12の形状が設計されている。
さらに、図3Eに示すように、第1ケース10を下降させていくと、第2ケース20の側面に形成されている貫通穴である凹部22b(ハッチング)の上端と、凸部12bの上端の高さが一致するまで、凹部22bに対して凸部12aが下方に進行することとなる。凹部22bの上端に凸部12bの上端が到達すると、凸部12bが凹部22bに進入可能となり、第1係止部12がもとの形状に復元する。
このとき、第1ケース10の上面と第2ケース20の底面との距離が基準距離Szとなる。また、このとき、図3Fに示すように、ばね部11の下端が図3Dよりもさらに下方に進行しようとするが、第2ケース20の座部21上に載置された電気回路基板5に接触して進行が妨げられる。そのため、ばね部11は、上端から下端まで距離を縮めるように、ばね部11の長さがL1(歪みはL0−L1)となるまで弾性変形している。図3Fに示すように、ばね部11の長さがL1となる状態において、歪み(L0−L1)にほぼ比例する大きさの弾性力がZ軸方向に作用することとなる。すなわち、ばね部11は、電気回路基板5を介して第2ケース20の座部21を押圧する弾性力を生じさせる。上述したように、図3Fにおいて、ばね部11に生じる弾性力は弾性限度内であり、当該ばね部11の歪み(L0−L1)の大きさも弾性変形領域内である。
ばね部11が生じさせる弾性力は、第1ケース10を第2ケース20から上方に離間させる力となるが、第1ケース10の第1係止部12に形成された凸部12bの上端の壁面が、第2ケース20の第2係止部22に形成された凹部22bの上端の壁面に干渉することにより第1ケース10が上方に離間することが妨げられる。つまり、第1ケース10の第1係止部12の凸部12Bが、第2ケース20の第2係止部22の凹部22bに入り込むことにより、第1ケース10と第2ケース20とが離間しないように係止されることとなる。また、図3E,図3Fに示す状態において、第1ケース10のばね部11の下端が電気回路基板5の裏面のグランド端子5aに電気的に接続するとともに、第2ケース20の座部21が電気回路基板5の表面のグランド端子5bに電気的に接続することとなる。なお、図3E,図3Fに示す状態が、基板保持装置1の組み付けが完了した状態である。
図3Eに示すように、第1ケース10と第2ケース20とが離間しないように係止された状態において、電気回路基板5の裏面と、第1ケース10の保護部13の下端13aとが互いに平行に向かい合い、両者の間隔がPとなっている。ここで、図3G,図3Hに示すように、電気回路基板5を下方から上方に押し上げる外力Fが作用した場合を考える。この外力Fに抗して電気回路基板5を下方に拘束するのはばね部11の弾性力であり、外力Fによって電気回路基板5が間隔Pだけ上方に押し上げられると、ばね部11の長さはL2(L1−P)となる。上述したように、図3G,図3Hにおいて、ばね部11に生じる弾性力は弾性限度内であり、当該ばね部11の歪み(L0−L2)の大きさも弾性変形領域内である。
なお、基板保持装置1の組み付け後において、電気回路基板5を下方から上方に押し上げる外力Fとして、コネクタ5cに外部端子を接続する際に作用する力が挙げられる。また、基板保持装置1内に進入した異物によって、電気回路基板5を上方に押し上げる外力Fが作用する場合も考えられる。電気回路基板5が上方に押し上げられた状態においても、第1ケース10のばね部11の下端が電気回路基板5の裏面のグランド端子5aに電気的に接続する状態は維持できる。
以上説明した第1実施形態の構成において、ばね部11の弾性力によって電気回路基板5を座部21に押圧することにより、電気回路基板5を安定して保持することができる。弾性力によって電気回路基板5を保持するため多少の寸法誤差を吸収することができる。ばね部11の弾性力によって電気回路基板5を介して座部21が押圧されるため、ばね部11が設けられた第1ケース10と座部21が設けられた第2ケース20とが離間するように付勢されるが、係止部12,22によって第1ケース10と第2ケース20の離間が制限される。従って、電気回路基板5を押圧した状態で、第1ケース10と第2ケース20とが離間しないように確実に固定されることとなる。以上の構成においては、ネジで固定しなくても電気回路基板5を安定して保持できるため、電気回路基板5上にネジを配置するための禁止領域を設ける必要がなく、電気回路基板5の設計自由度を向上させることできる。
また、ばね部11は、電気回路基板5の外周に形成された押圧部(グランド端子5a,5b)を厚み方向に押圧する。この構成において、電気回路基板5の外周に形成された押圧部を形成すればよいため、電気回路基板5の中央部の設計自由度を向上させることできる。
さらに、ばね部11と座部21は、電気回路基板5の面方向の端面を囲む各ケース10,20の側面から電気回路基板5の中央側に向けて突出するように形成されている。これにより、ばね部11が電気回路基板5の外周を押圧する構造を容易に形成できる。本実施形態のように、電気回路基板5の端面付近の側面から電気回路基板5の外周の押圧部までばね部11と座部21とを梁状に形成した場合、当該梁の長さを小さくすることができ、当該梁に作用するモーメントの大きさを低減できる。従って、ばね部11と座部21との間に大きい押圧力を作用させても、ばね部11と座部21とが破損する可能性を低減できる。
また、係止部12,22は、電気回路基板5の面方向の端面を囲む各ケース10,20の側面に形成されている。このように係止部を各ケース10,20の側面に形成することで、係止部が電気回路基板5の外周に存在するようにすることができ、電気回路基板5の中央部の設計自由度を向上させることができる。
さらに、第1係止部12と第2係止部22のいずれか一方に凸部12bが形成され、凸部12bが形成されていない第1係止部12と第2係止部22の一方に凹部22bが形成されている。また、第1係止部12または第2係止部22が弾性変形をした状態からもとの形状に復元することで、凹部22bに凸部12bが入り込んで係止する。これにより、各ケース10,20の側面において、凹部22bと凸部12bとで係止部12,22をコンパクトに形成することができ、電気回路基板5の設計自由度を向上させることができる。特に、側面と同一方向の板状部である第1係止部12と第2係止部22とを電気回路基板5の外周付近にて面方向に重ねて係止を実現できるため、係止部12,22をコンパクトに形成することができる。
また、第1ケース10と第2ケース20とが係止された状態において、ばね部11が弾性変形して、凸部12bを凹部22bの壁面に押し付ける弾性力を生じさせる。これにより、ばね部11の弾性力によって係止部12,22における摩擦力を増大させることができ、係止部12,22よる各ケース10,20の固定を強固にすることができる。特に、凸部12bと凹部22bの壁面とがばね部11の弾性力に対して垂直に接触するため、ばね部11の弾性力が垂直抗力となって摩擦力を増大させることができる。
さらに、第1係止部12は、電気回路基板5の面方向に弾性変形する。ここで、ばね部11は電気回路基板5の厚み方向に弾性変形するのに対して、第1係止部12は電気回路基板5の面方向に弾性変形することとなる。すなわち、第1係止部12とばね部11とが互いに直交する方向に弾性変形するため、相互の弾性変形同士の影響を低減できる。例えば、第1係止部12の弾性変形によってばね部11が変位することで、ばね部11が弾性変形領域を超えて変形するような不具合が生じる可能性を低減できる。
また、座部21とばね部11の少なくとも一方は、電気回路基板5のグランド端子5a,5bと電気的に接続する。この構成において、ばね部11の弾性力によって座部21とばね部11と電気回路基板5とを確実に接触させることができるため、確実にグランドの接続を確保できる。
さらに、第1実施形態の構成において、ばね部11と第1係止部12は第1ケース10と一体成型され、第2係止部22は第2ケース20と一体成型されている。そして、第1ケース10と第2ケース20とが係止された状態において、ばね部11が弾性変形して、凸部12bを凹部22bの壁面に押し付ける弾性力を生じさせている。このように、ばね部11の弾性力によって、凸部12bを凹部22bの壁面に押し付けることにより、凸部12bと凹部22bの壁面との間の摩擦力を増大させることができ、第1ケース10と第2ケース20を確実に係止できる。以上の構成においては、ネジで固定しなくても第1ケース10と第2ケース20とを確実に係止できるため、部品点数を削減できる。さらに、第1係止部12とばね部11とが第1ケース10と一体成型され、第2係止部22が第2ケース20と一体成型されるため、部品点数を削減できる。
また、ばね部11は、第1ケース10と第2ケース20が係止される方向(電気回路基板5の厚み方向)に弾性変形し、第1係止部12または第2係止部22は、凹部22bに凸部12bが入り込む方向(電気回路基板5の厚み方向)に弾性変形している。このように、互いに異なる方向に弾性変形をする部位も一体成型で形成することにより、部品点数を削減できる。
凸部12bは、第1係止部12に形成され、凹部22bは、第2係止部22に形成された貫通穴であり、第2係止部22は基板保持装置1の外壁面を構成している。これにより、図1に示すように、基板保持装置1の外壁面を見ることで、当該外壁面の貫通穴に入り込んでいる凸部12bの様子を視認でき、第1ケース10と第2ケース20とが係止されているか否かを容易に確認できる。
また、第2ケース20には、電気回路基板5に対して厚み方向に接触する座部21が一体成型されている。このように、座部21を第2ケース20と一体成型することにより、部品点数を削減できるとともに、容易に座部21の剛性を向上させることができる。座部21の剛性を向上させることにより、弾性変形を考慮したばね部11の設計を容易にすることができる。本実施形態では、座部21の弾性変形が無視できる程度に座部21の剛性が高いこととする。
また、保護部13の先端が電気回路基板5の厚み方向において電気回路基板5に対して予め決められた間隔Pだけ隔てて対向するため、厚み方向における電気回路基板5の変位を制限できる。そのため、電気回路基板5に対して厚み方向に弾性力を生じさせているばね部11の変形量を抑制し、当該ばね部11が塑性変形する可能性を低減できる。従って、電気回路基板5に意図しない力が作用してもばね部11による電気回路基板の保持を維持できる。第1係止部12と保護部13とが電気回路基板5の厚み方向の同一軸上に形成されるため、電気回路基板5の面方向における第1係止部12と保護部13の設置スペースを小さくすることでき、第1ケース10をコンパクトに形成できる。また、第1係止部12と保護部13とが個別に変形可能となるように独立した突出部として形成されているため、保護部13が電気回路基板5から荷重を受けて変形したとしても第1係止部12の形状を維持できる。従って、保護部13が電気回路基板5から荷重を受けた場合に、第1ケース10と第2ケース20との係止が解除される可能性を低減できる。
また、第1係止部12は、保護部13に形成されたU字状のスリットSの内側の部分である。このように、保護部13にU字状のスリットを設けることで、当該スリットSの内側の部分を独立して弾性変形が可能とすることができ、当該スリットSの内側の部分を第1係止部12として形成できる。
さらに、保護部13は、根元に近づくほど幅が大きくなる形状を有するため、先端にて電気回路基板5から受けた応力を、根元にて分散させることができる。また、ばね部11と保護部13とは、第1ケース10と一体成型されるため、ばね部11と保護部13との相対位置の誤差を抑制できる。従って、ばね部11が塑性変形しない範囲内において確実に電気回路基板5の変位を制限することができる。
さらに、ばね部11の弾性力によって電気回路基板5を座部21に押圧することにより、厚み方向における電気回路基板5の位置を安定させることができる。また、ばね部11は、位置決め部25が電気回路基板5を面方向に挟み込む幅が狭くなっていく方向に電気回路基板5を押圧するため、ばね部11が電気回路基板を押圧することで面方向における電気回路基板5の位置も安定させることができる。従って、電気回路基板5の位置をずれにくくすることができる。
また、位置決め部25(8個のうち1個)は、第2ケース20に設けられたコネクタ挿入穴24から予め決められた距離(例えば5mm)以内に形成されている。これにより、コネクタの接続作業によって電気回路基板5に外力がかかる部位にて位置決めすることができ、電気回路基板5の位置をずれにくくすることができる。
さらに、位置決め部25は、第2ケース20に連続して設けられた2個のコネクタ挿入穴24の境界部24aに形成される。これにより、コネクタの接続作業によって電気回路基板5に外力がかかる部位を位置決めすることができ、電気回路基板の位置をずれにくくすることができる。また、境界部24aを設けることでノイズが漏洩することを抑制できる。
(2)第2実施形態:
第1実施形態においては、凸部12bが第1係止部12に形成され、凹部22bが第2係止部22に形成されたが、反対の構成を採用してもよい。第2実施形態においては、凹部が第1係止部に形成され、凸部が第2係止部22に形成される。
図5は、第2実施形態にかかる基板保持装置101の分解斜視図である。第2実施形態と第1実施形態との相違点は係止部にある。図5に示すように、基板保持装置101の第1ケース110には保護部113が形成されており、当該保護部113の下端113aが電気回路基板5の面方向の中央側に向けて屈曲している。第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、保護部113にスリットSが形成され、このスリットSの内側に第1係止部112が形成されている。しかし、第1係止部112に凸部を形成するのではなく、第1係止部112に貫通穴を形成することにより凹部112aが形成されている。
図4Cは、第2実施形態にかかる保護部113の正面図である。第1実施形態と同様に保護部113にU字状のスリットSが形成されているが、当該スリットSの内側の部分である第1係止部112に矩形状の凹部112aが形成されている。
一方、基板保持装置101の第2ケース120の各側面においては、第1ケース110の第1係止部112に形成された凹部112aのそれぞれに対応する位置に凸部122a(第2係止部122)が形成されている。第2ケース120の1個の側面につき2個の凸部122aが形成されている。凸部122aは、第2ケース120の側面の一部を第2ケース120の中央側に押し出すことにより形成される。
図6A〜図6Dは、第1係止部112と第2係止部122とが係止する様子を示す部分断面図である。図6A〜図6Dは図5に示すX軸方向の矢印V1にて基板保持装置101の一部を見た図である。図6Aに示すように、凸部122aは、下方になるほど第2ケース120の中央側に向けて幅が大きくなるような傾斜を有するとともに、当該傾斜の下端にて底面(X軸方向およびY軸方向)と平行な面が接続している。
図6Bに示すように、保護部113と第1係止部112が下降すると、第1係止部112が第2ケース120の側面から突出する凸部122aに干渉する。これにより、第1係止部112は、電気回路基板5の面方向の中央側に向けて弾性変形する。さらに、ばね部111の長さがL1となるまで第1係止部112が下降すると、図6Cに示すように、第1係止部112に形成された凹部112aの下端が、第2ケース120の凸部122aの上端に到達する。このとき、凸部122aが凹部112aに進入可能となり、第1係止部112がもとの形状に復元する。
以上説明した第2実施形態の構成を採用しても、第1ケース10の第1係止部112と第2ケース120の第2係止部122とで、第1ケース110と第2ケース120とを係止できる。第2実施形態においては、角部に応力が集中しやすい凸部を第1係止部112に形成しないことにより、第1係止部112と一体成型される第1ケース110の材料として硬い材料も採用できる。従って、第1ケース110と一体成型されたばね部111の機械特性も考慮して、第1ケース110の材料として適度な弾性係数を有する材料を採用するにあたり、材料の選択肢を広げることができる。
(3)第3実施形態:
第1実施形態と第2実施形態とにおいては、保護部13,113と同一の突出部にU字状のスリットSを形成することにより第1係止部12,112を形成したが、他の構成を採用してもよい。図4Dは、第3実施形態にかかる保護部213と第1係止部212の正面図である。図4Dに示すように、保護部213と第1係止部212とが電気回路基板5の厚み方向の同一軸上に存在しているが、第1係止部212が厚み方向において保護部213よりも上方にずれた位置に形成されている。保護部213は第1ケース210から下方に突出しているが、保護部213の上端よりも高い位置に第1係止部212が形成されている。このような構成においても、保護部213と第1係止部212とが電気回路基板5の厚み方向の同一軸上に存在させることができ、第1ケース210をコンパクトに形成することができる。
(4)他の実施形態:
前記実施形態においては、ばね部11(座部21)の個数が4個であったが、ばね部11の数は4個以外(3個または5個以上)であってもよい。ばね部11の数が大きいほど、電気回路基板5を安定して保持できるとともに、グランドを強化できる。むろん、保護部13や係止部12,22や位置決め部25の個数も8個に限定されない。前記実施形態においては座部21が設けられたが、座部21が設けられなくてもよく、電気回路基板5が厚み方向の両側からばね部の弾性力によって保持されてもよい。この場合も、厚み方向の両側からばね部の歪みが大きくなりすぎないように、保護部を形成しておけばよい。また、電気回路基板5の面方向における位置精度が要求されない場合等においては、位置決め部25が省略されてもよい。さらに、位置決め部25の形状は、座部21に近いほど対向する幅が狭くなる形状であればよく、線形的に対向する幅が狭くなってもよいし、非線形的に対向する幅が狭くなってもよいし、第1実施形態のように対向する幅が一定となる部分が設けられなくてもよい。
さらに、ばね部11と第1係止部12と保護部13のうち、少なくとも1種類が第1ケース10と一体成型されなくてもよい。例えば、ばね部11と第1係止部12とを弾性係数が異なる材料で形成することにより、ばね部11と第1係止部12のそれぞれに求められる弾性係数を実現するようにしてもよい。また、座部21と第2係止部22のうち、少なくとも1種類が第2ケース20と一体成型されなくてもよい。
また、電気回路基板5の実装密度が小さい等の場合において、電気回路基板5の外周以外の部分にデッドスペースが存在する場合には、当該デッドスペースをばね部11によって押圧してもよい。むろん、ばね部11によって押圧されるデッドスペースはグランド端子でなくてもよい。
本発明は、前記実施形態の他に以下の態様も含む。基板保持装置は、第1ケースと第2ケースとの間にて電気回路基板を保持すればよく、第1ケースと第2ケースとで電気回路基板を収容する空間を囲ってもよいし、開放された空間で電気回路基板を保持してもよい。また、基板保持装置は、第1ケースと第2ケースとを含めばよく、他のケース(部材)を含んでもよい。基板保持装置は、例えば基板保持装置が振動し得る移動体に搭載されてもよく、当該振動があった場合でも電気回路基板を安定して保持できる。むろん、基板保持装置は、移動しない装置等に搭載されてもよいし、他の装置等に搭載されることなく単独で使用されてもよい。
電気回路基板の厚み方向は、電気回路基板の面方向と直交する方向である。電気回路基板の面方向は、電気回路基板の厚み方向に直交する平面上における二次元の方向である。
ばね部は、第1ケースに形成されればよく、第1ケースと一体成型されてもよいし、ばね部に相当するケースが第1ケースに組み付けられてもよい。ばね部は、適度な大きさの弾性を有するように設計されていればよく、板ばねや弦巻ばねのように弾性を発揮する形状に形成されてもよいし、適度な弾性を有する弾性材料で形成されてもよい。
保護部は、ばね部の歪みが弾性変形領域の上限値となるよりも歪みが小さい状態で、電気回路基板の変位を妨げる位置に設ければよい。すなわち、保護部と電気回路基板との間に設けられた間隔の範囲で電気回路基板が変位可能となるが、保護部と電気回路基板とが干渉するまで電気回路基板を変位させたときのばね部の歪みが弾性変形領域内となっていればよい。第1係止部と保護部とが電気回路基板の厚み方向の同一軸上に形成されるとは、厚み方向の一本の直線が第1係止部と保護部の双方を通過することを意味する。具体的には、同一軸上において、厚み方向の位置を変えて第1係止部と保護部とが配置されていればよい。また、第1係止部が保護部の一部分を構成してもよいし、逆に保護部が第1係止部の一部分を構成してもよい。
また、第1係止部は、保護部に形成されたU字状のスリットの内側の部分であってもよい。このように、保護部にU字状のスリットを設けることで、当該スリットの内側の部分を独立して弾性変形が可能とすることができ、当該スリットの内側の部分を第1係止部として形成できる。U字状とは、ほぼ平行な2個の平行線分と、当該平行線分の端点を接続する1個の接続線分によって形成される形状を意味する。2個の平行線分は、互いに平行に近い方向の線であればよく、例えば互いの方向の差が30度以内の線分であってもよい。U字状の内側の部分(第1係止部)は、接続線分側の部分を自由端とする梁となって弾性変形することができる。
さらに、保護部は、根元に近づくほど幅が大きくなる形状を有してもよい。これにより、先端にて電気回路基板から受けた応力を、根元にて分散させることができる。なお、保護部は、根元に近づくほど線形的に幅が小さくなってもよいし、非線形的に幅が小さくなってもよい。
また、ばね部と保護部とは、第1ケースと一体成型されてもよい。ばね部と保護部とが一体成型されるため、ばね部と保護部との相対位置の誤差を抑制できる。従って、ばね部が塑性変形しない範囲内において確実に電気回路基板の変位を制限することができる。
さらに、第2ケースには、電気回路基板に対して厚み方向に接触する座部が一体成型され、第1係止部と第2係止部とは電気回路基板の厚み方向において、第1ケースと第2ケースとを離間しないように係止し、ばね部は、第1係止部と第2係止部とが第1ケースと第2ケースとを係止している状態において、電気回路基板を介して座部を押圧する弾性力を生じさせてもよい。
1…基板保持装置、5…電気回路基板、5a…グランド端子、5b…グランド端子、5c…コネクタ、10…第1ケース、11…ばね部、12…第1係止部、12b…凸部、13…保護部、20…第2ケース、21…座部、22…第2係止部、22b…凹部、24…コネクタ挿入穴、24a…境界部、25…位置決め部、S…スリット

Claims (5)

  1. 第1ケースと第2ケースとの間にて電気回路基板を保持する基板保持装置であって、
    弾性力によって前記電気回路基板を厚み方向に保持するばね部と、
    前記第1ケースから前記電気回路基板の厚み方向に突出する板状の部位であり、凸部または凹部が形成された第1係止部と、
    前記第2ケースに形成され、前記第1係止部に形成されていない前記凸部または前記凹部が形成された第2係止部と、
    前記第1ケースから前記電気回路基板の厚み方向に突出する板状の部位であり、先端が前記電気回路基板の厚み方向において前記電気回路基板に対して予め決められた間隔だけ隔てて対向する保護部と、を備え、
    前記第1係止部が弾性変形をした状態からもとの形状に復元することで、前記凹部に前記凸部が入り込むことにより、前記第1ケースと前記第2ケースとが係止され、
    前記第1係止部と前記保護部とは前記電気回路基板の厚み方向の同一軸上に形成される、
    基板保持装置。
  2. 前記第1係止部は、前記保護部に形成されたU字状のスリットの内側の部分である、
    請求項1に記載の基板保持装置。
  3. 前記保護部は、根元に近づくほど幅が大きくなる形状を有する、
    請求項1または請求項2のいずれかに記載の基板保持装置。
  4. 前記ばね部と前記保護部とは、前記第1ケースと一体成型される、
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の基板保持装置。
  5. 前記第2ケースには、前記電気回路基板に対して厚み方向に接触する座部が一体成型され、
    前記第1係止部と前記第2係止部とは前記電気回路基板の厚み方向において、前記第1ケースと前記第2ケースとを離間しないように係止し、
    前記ばね部は、前記第1係止部と前記第2係止部とが前記第1ケースと前記第2ケースとを係止している状態において、前記電気回路基板を介して前記座部を押圧する弾性力を生じさせる、
    請求項4に記載の基板保持装置。
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