JP2018063757A - 全固体リチウム二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】全固体リチウム二次電池において、電極活物質や固体電解質として使用する材料の選択肢を広げながら、電極層と固体電解質層とを積層した電極群全体を一体焼成したとしても該電極層と該固体電解質層との間の望まない化学反応を抑制して二次電池の高出力化に貢献可能な全固体リチウム二次電池を提供する。【解決手段】本発明に係る全固体二次電池は、集電体層と正極層と固体電解質層と負極層とが積層された電極群を有する全固体リチウム二次電池であって、前記電極群は、焼結接合体を形成しており、前記正極層は、前記集電体層に当接する第1正極層と、前記固体電解質層に当接する第2正極層との二層構造を有し、前記第1正極層と前記第2正極層とは、互いに組成の異なる正極活物質を含有し、前記第2正極層の前記正極活物質がリチウムニッケル複合酸化物からなることを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池に関し、特に、リチウムイオンを伝搬する電解質として固体電解質を用いた全固体リチウム二次電池に関するものである。
リチウムイオン二次電池は、他の二次電池と比較して高いエネルギー密度を有することから、二次電池の小型軽量化、大容量化、および/または高出力化に有利である。そのため、リチウムイオン二次電池の用途は、小型電子機器(例えば、携帯パソコンや、携帯電話機)に加えて、大型電気機器(例えば、HEV(ハイブリッド自動車)やEV(電気自動車)などの自動車用動力電源や、電力貯蔵用電源)にも拡大してきている。
近年では、大型電気機器に対するリチウムイオン二次電池の利用性拡大の観点から、高温環境(例えば、エンジンルーム内や屋外)での設置が検討されており、当該高温環境に耐えられるリチウムイオン二次電池が求められている。しかしながら、非水電解液を用いる従来のリチウムイオン二次電池は、一般的に非水電解液の耐熱温度が60℃程度と言われている上に、非水電解液を構成する溶媒が引火性を有するため、耐熱性や耐火性の観点で弱点がある。
この弱点を克服するため、非水電解液の代わりに固体電解質を用いた全固体リチウム二次電池が、現在、精力的に研究されている。全固体リチウム二次電池は、用いられる固体電解質(例えば、固体高分子電解質、無機電解質)が100℃を超える耐熱温度を有し引火性もないことから、非水電解液を用いる従来のリチウムイオン二次電池よりも高温環境での利用が可能になる。
全固体リチウム二次電池は薄膜型とバルク型とに大別できるが、電池容量の観点からは電極活物質の絶対量を多くできるバルク型が有利である。すなわち、大型電気機器用の大容量二次電池を想定した場合、バルク型の全固体リチウム二次電池が対象となる。言い換えると、バルク型の構成であれば電池容量に余裕が取れるので、電気機器の大小(消費電力量の大小)による制約が少なくなり、幅広く適用することが可能となる。
また、全固体リチウム二次電池は、固体電解質層が流動性を有しないことから固体電解質層自体が電池セパレータの機能を兼ねることができるため(言い換えると、非水電解液リチウムイオン二次電池では必要な別体の電池セパレータを配設する必要がないため)、非水電解液リチウムイオン二次電池よりも体積エネルギー密度を高めることができるポテンシャルがある。
一方、全固体リチウム二次電池では、高出力化のため、固体電解質自体が高いイオン伝導性を有する必要があると共に、固体電解質層と電極層との間で電気的接合性を確保する必要がある。より具体的に言うと、固体電解質層と電極活物質層との間(固相/固相界面)で良好なイオン伝導パスを構築し(イオン伝導の障害を極力低減し)、かつ電極活物質層と集電体層との間(固相/固相界面)で良好な電子伝導パスを構築することが非常に重要である。
上記要求(特に、電気的接合性の確保)を実現するためには、電極層と固体電解質層とを積層した電極群全体を一体焼成することが好ましい。
例えば、特許文献1(WO 2012/020700)には、各々が順に積み重ねられた正極層、固体電解質層および負極層から構成される少なくとも第1と第2の単電池と、前記第1の単電池の正極層に接触する一方側面と、前記第2の単電池の負極層に接触する他方側面とを有し、前記第1と第2の単電池の間に介在するように配置された内部集電層と、を備え、前記内部集電層は、電子伝導材料を含み、さらに、イオン伝導的に絶縁性の特定伝導材料を含む、積層型固体電池が開示されている。
特許文献1によると、正極層および/または負極層に含まれる活物質材料および固体電解質材料と、固体電解質層に含まれる固体電解質材料と、内部集電体層に含まれる特定伝導材料とにリチウム含有リン酸化合物を含ませることにより、各層がリン酸骨格を共有化することができ、各層の剥離やクラックの発生を抑制しながら一体焼結した積層型固体電池を提供できるとされている。
また、特許文献2(特開2015-049981)には、正極層または負極層の少なくともいずれか一方の電極層と、前記電極層に積層された固体電解質層と、を備え、前記固体電解質層が固体電解質としてナシコン型構造を有するジルコニウム含有リチウムリン酸化合物を含み、前記電極層が電極活物質として5価金属含有酸化物を含み、前記5価金属含有酸化物において5価金属の一部がリンで置換されている、全固体電池が開示されている。
特許文献2によると、電極活物質として、5価金属含有酸化物において5価金属の一部をリンで置換した材料を用いることによって、固体電解質としてのナシコン型構造を有するジルコニウム含有リチウムリン酸化合物との焼結時に生じる固相拡散が抑制され、この固相拡散に起因した電池性能の低下を抑制した全固体電池を提供できるとされている。
国際公開第2012/020700号 特開2015−049981号公報
特許文献1〜2の技術は、それぞれ全固体リチウム二次電池に関して有用な作用効果を有すると思われる。ただし、特許文献1〜2の技術は、いずれも電極活物質および固体電解質としてリチウムリン酸化合物を利用するものであり、使用する材料の選択肢が制約されることで、電池性能の向上が頭打ちになることが懸念される。
なお、特許文献1〜2の技術は、その記載内容から小型電子機器用の比較的小型の二次電池を想定していると思われ、その技術を単純に大型電気機器用の大容量二次電池へ転用することには困難があると考えられる。
一方、二次電池に対する技術的要求レベルは今後ますます高まることが予想される。すなわち、特許文献1〜2を凌ぐ技術の開発は継続すべき重要な課題である。
したがって、本発明の目的は、全固体リチウム二次電池において、電極活物質や固体電解質として使用する材料の選択肢を広げながら、電極層と固体電解質層とを積層した電極群全体を一体焼成したとしても該電極層と該固体電解質層との間の望まない化学反応を抑制して二次電池の高出力化に貢献可能な全固体リチウム二次電池を提供することにある。
(I)本発明の一態様は、集電体層と正極層と固体電解質層と負極層とが積層された電極群を有する全固体リチウム二次電池であって、
前記電極群は、焼結接合体を形成しており、
前記正極層は、前記集電体層に当接する第1正極層と、前記固体電解質層に当接する第2正極層との二層構造を有し、
前記第1正極層と前記第2正極層とは、互いに組成の異なる正極活物質を含有し、
前記第2正極層の前記正極活物質がリチウムニッケル複合酸化物からなることを特徴とする全固体リチウム二次電池を提供するものである。
本発明は、上記の全固体リチウム二次電池(I)において、以下のような改良や変更を加えることができる。
(i)前記リチウムニッケル複合酸化物は、Li2NiMn3O8、LiNiO2、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2、およびLiNixCoyMn1-x-yO2(0.34<x<0.90、0.10<y<0.33、0.44<x+y<1)から選ばれる一種であり、前記固体電解質層に使用される固体電解質は、ガーネット型リチウム複合酸化物からなる。
(ii)前記ガーネット型リチウム複合酸化物は、Li7La3Zr2O12、Li7+xLa3Zr2O12−xMx(0<x<1.2、MはN,Cl,S,Seのいずれか)、Li5La3Ta2O12、Li5La3Nb2O12、およびLi6BaLa2Ta2O12から選ばれる一種である。
(iii)前記電極群は、前記集電体層の一方の主面上に前記正極層が積層形成され該集電体層の他方の主面上に前記負極層が積層形成されたバイポーラ電極と、前記固体電解質層とが交互に積層されたバイポーラ積層型電極群である。
(iv)前記バイポーラ積層型電極群を積層方向から見たときに、前記バイポーラ電極および前記固体電解質層はそれぞれ四辺形形状を有し、前記集電体層はその外縁が前記正極層および前記負極層の外縁よりも内側になるように形成されており、
前記バイポーラ電極中の前記正極層および前記負極層のそれぞれは、前記集電体層に接する面において前記四辺形の所定の対辺領域に電気絶縁部を具備している。
なお、本発明において、四辺形とは角の丸められた矩形を含むものとする。
(v)前記積層方向から見たときに、前記正極層の電気絶縁部は前記四辺形の一対の対辺領域に配置され、前記負極層の電気絶縁部は前記四辺形の他の一対の対辺領域に配置されている。
(vi)前記集電体層は主要成分が炭素系材料および/または導電性酸化物からなり、
前記第1正極層の前記正極活物質がリチウム遷移金属複合酸化物からなり、
前記負極層は主要成分が炭素系材料、リチウム遷移金属複合酸化物および/またはリチウム遷移金属複合窒化物からなり、
前記固体電解質層は主要成分がリチウム複合酸化物電解質からなる。
なお、本発明において、主要成分とは当該層の骨格・骨材となる成分を意味するものとする。
本発明によれば、全固体リチウム二次電池において、電極活物質や固体電解質として使用する材料の選択肢を広げながら、電極群全体を一体焼成したとしても電極群内の電極層と固体電解質層との間の望まない化学反応を抑制して二次電池の高出力化に貢献する全固体リチウム二次電池を提供することができる。
本発明に係る全固体リチウム二次電池の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明に係る全固体リチウム二次電池の前駆体であり、電極群グリーン基板積層体形成工程によって得られる電極群グリーン基板積層体の一例を示す分解模式図である。 電極群グリーン基板積層体焼成工程によって得られる電極群焼結接合体の一例を示す縦断面模式図である。 第1正極層グリーン基板準備工程の手順例を示す斜視模式図である。 外部端子接続工程によって得られる全固体電池構造体の一例を示す縦断面模式図である。 パッケージング工程によって得られる全固体電池の一例を示す縦断面模式図である。 本発明に係る全固体リチウム二次電池の前駆体であり、第2実施形態の電極群グリーン基板積層体の一例を示す分解模式図である。 第2実施形態の電極群焼結接合体の一例を示す縦断面模式図である。 第2実施形態における第1正極層グリーン基板準備工程の手順例を示す斜視模式図である。 第1正極層の正極活物質として用いたLiFePO4粉末単体のXRDチャート、およびLiFePO4粉末と固体電解質として用いたLi7La3Zr2O12粉末との混合・焼成粉末AのXRDチャートである。 第2正極層の正極活物質として用いたLiNiO2粉末単体のXRDチャート、およびLiNiO2粉末と固体電解質として用いたLi7La3Zr2O12粉末との混合・焼成粉末BのXRDチャートである。
(本発明の基本思想)
前述したように、全固体リチウム二次電池では、リチウムイオン伝導経路としての固体電解質が流動性を有しないことから、二次電池の高出力化のためには、固体電解質自体が高いイオン伝導性を有する必要があることに加えて、固体電解質層と電極活物質層との間で良好なイオン伝導パスを構築し、かつ電極活物質層と集電体層との間で良好な電子伝導パスを構築すること(すなわち電気的接合性の確保)が非常に重要である。そして、電気的接合性の確保を実現するためには、電極群全体(集電体層、正極層、固体電解質層、および負極層の積層体全体)を一体焼成した焼結接合体とすることが望ましい。
特許文献1〜2の技術は、電極活物質および固体電解質としてリン酸化合物を利用する(リン酸化合物を共有化すること)ことによって、一体焼成した際に、各層の剥離やクラックの発生を抑制したり、元素拡散を抑制したりするものである。これは、電極活物質や固体電解質として使用する材料がリン酸化合物に制約されることを意味し、材料の制約によって電池性能の向上が頭打ちになることが懸念される。
そこで、本発明者は、電極活物質および固体電解質でリチウムリン酸化合物を共有化することに限定されることなく、電極群全体を一体焼成した際に電極層と固体電解質層との間の望まない化学反応を抑制できる全固体リチウム二次電池について鋭意研究を行った。その結果、正極層を集電体層に当接する第1正極層と固体電解質層に当接する第2正極層との二層構造とし、第2正極層の正極活物質をリチウムニッケル複合酸化物とすることによって、電極層で使用される正極活物質と固体電解質層との間の望まない化学反応を抑制できることを見出した。
より具体的には、固体電解質(例えば、Li7La3Zr2O12)と正極活物質を構成するLi以外の金属元素Meとが化合してLaMeOx、LaZrOx、La2O3、ZrO2などが生成しLi成分が脱離するような化学反応を、抑制できることが見出された。
言い換えると、本発明の技術的思想の一部は、第1正極層に含まれる正極活物質よりも、電極群の高温焼結時に固体電解質との化学反応性が低い正極活物質を、第2正極層用の正極活物質として用いるものであり、当該第2正極層用の正極活物質として結晶構造が安定な伝導体であるイオンを含む複合酸化物を選択するものである。本発明は、当該知見に基づいて完成されたものである。
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら製造手順に沿って具体的に説明する。ただし、本発明は、ここで取り挙げた実施形態に限定されることはなく、発明の技術的思想を逸脱しない範囲で公知技術と適宜組み合わせたり公知技術に基づいて改良したりが可能である。例えば、以下では全固体リチウム二次電池としてバイポーラ積層型の電池を例にして説明するが、当然のことながら、本発明の技術的思想は単電池構造であってもよい。なお、図面において、同義の部材・部位には同じ符号を付して重複する説明を省略することがある。
[第1の実施形態]
図1は、本発明に係る全固体リチウム二次電池の製造方法の一例を示す工程図である。図2は、本発明に係る全固体リチウム二次電池の前駆体であり、電極群グリーン基板積層体形成工程によって得られる電極群グリーン基板積層体の一例を示す分解模式図である。
図1〜2に示したように、本発明の全固体リチウム二次電池の製造方法は、
集電体層グリーン基板10bを用意する集電体層グリーン基板準備工程と、
第1正極層グリーン基板21bを用意する第1正極層グリーン基板準備工程と、
第2正極層グリーン基板22bを用意する第2正極層グリーン基板準備工程と、
負極層グリーン基板30bを用意する負極層グリーン基板準備工程と、
固体電解質層グリーン基板40bを用意する固体電解質層グリーン基板準備工程と、
集電体層グリーン基板10bと第1正極層グリーン基板21bと第2正極層グリーン基板22bと負極層グリーン基板30bと固体電解質層グリーン基板40bとから電極群グリーン基板積層体100bを形成する電極群グリーン基板積層体形成工程と、
電極群グリーン基板積層体100b全体を焼結接合させて電極群焼結接合体100cを形成する電極群グリーン基板積層体焼成工程とを有する。
また、得られた電極群焼結接合体100cの正モノポーラ電極および負モノポーラ電極に対して、外部端子を接続する外部端子接続工程と、全固体電池構造体をパッケージングするパッケージング工程とを更に行うことで全固体リチウム二次電池が得られる。
電極群グリーン基板積層体形成工程は、
集電体層グリーン基板10bと第1正極層グリーン基板21bと第2正極層グリーン基板22bと負極層グリーン基板30bとからバイポーラ電極グリーン基板50bを形成するバイポーラ電極グリーン基板形成工程、
集電体層グリーン基板10bと第1正極層グリーン基板21bと第2正極層グリーン基板22bとから正モノポーラ電極グリーン基板61bを形成する正モノポーラ電極グリーン基板形成工程、
集電体層グリーン基板10bおよび負極層グリーン基板30bから負モノポーラ電極グリーン基板65bを形成する負モノポーラ電極グリーン基板形成工程、
および正モノポーラ電極グリーン基板61bと固体電解質層グリーン基板40bとバイポーラ電極グリーン基板50bと負モノポーラ電極グリーン基板65bとから電極群グリーン基板積層体100bを形成する積層体組立工程から構成されていてもよい。
電極群グリーン基板積層体焼成工程によって、積層された各グリーン基板は焼成収縮すると共に各層間の焼結接合が進行して電極群焼結接合体となる。なお、本発明における焼結接合とは、各グリーン基板内での無機材料粒子同士の焼結と、積層されたグリーン基板間の接合とが混在する現象と定義する。より具体的には、焼成工程において、グリーン基板中の樹脂成分(樹脂バインダーや可塑剤)が酸化分解・焼失した後に、焼結助剤を介してグリーン基板内の無機材料粒子同士が焼結すると共に、積層されたグリーン基板間で焼結助剤を介した接合が生じるものである。
図3は、電極群グリーン基板積層体焼成工程によって得られる電極群焼結接合体の一例を示す縦断面模式図である。図3に示したように、電極群焼結接合体100cは、正モノポーラ電極61c(集電体層10c+第1正極層21c+第2正極層22c)と、固体電解質層40cと、バイポーラ電極50c(負極層30c+集電体層10c+第1正極層21c+第2正極層22c)と、負モノポーラ電極65c(負極層30c+集電体層10c)とが積層された構造を有する。
次に、本発明に係る全固体リチウム二次電池の製造方法の各工程をより具体的に説明する。まず、電極群焼結接合体を製造する各工程について説明する。
(第1正極層グリーン基板準備工程)
本工程は、第1正極層グリーンシートを形成した後に所定寸法の四辺形形状に切り出して第1正極層グリーン基板21bを用意する工程である。
図4は、第1正極層グリーン基板準備工程の手順例を示す斜視模式図である。図4に示したように、キャリアシート70を用意し、キャリアシート70上に第1正極層グリーンシート21aを形成する。その後、第1正極層グリーンシート21aに対して切り出し加工を行って、第1正極層グリーン基板21bを用意する。
グリーンシートの形成方法に特段の限定はなく、例えば、ドクターブレード法やスクリーン印刷法を好適に用いることができる。また、グリーン基板の切り出し加工方法にも特段の限定はなく、例えば、打抜加工を好適に用いることができる。グリーンシートの形成方法およびグリーン基板の切り出し加工方法に関しては、後述する各層においても同様である。
第1正極層グリーンシート21aは、主要成分としての正極活物質と、形状維持成分としての樹脂バインダーとを少なくとも含む。また、該グリーンシート21aは、焼成工程における正極活物質粒子同士の焼結性向上の観点から、焼結助剤を更に含むことが好ましく、正極活物質部の導電性向上の観点から、導電助剤を更に含むことが好ましい。
正極活物質は、充電時にリチウムイオンを放出し放電時にリチウムイオンを吸蔵する結晶材料であり、従前のリチウムイオン二次電池で用いられる正極活物質を利用することができる。例えば、リチウム遷移金属複合酸化物が好ましく、具体例としては、LiCoO2、LiMn2O4、LiMnO3、LiMn2O3、LiMnO2、Li4Mn5O12、Li2Mn3MO8(M=Fe,Co,Cu,Zn)、Li1-xMxMn2O4(M=Mg,B,Al,Fe,Co,Cr,Zn,Ca、x=0.01〜0.1)、LiMn2-xMxO2(M=Co,Fe,Cr,Zn,Ta、x=0.01〜0.2)、LiCo1-xMxO2(M=Fe,Mn、x=0.01〜0.2)、LiFeO2、LiFePO4、LiMnPO4などが挙げられる。
なお、第1正極層に用いる正極活物質は、後述する第2正極層に用いる正極活物質よりも、単位体積および/または単位質量あたりのリチウム量が多いもの(吸蔵・放出可能なリチウムイオン量が多いもの)を選択することが好ましい。それにより、焼成工程における望まない化学反応を抑制しつつ、二次電池の体積エネルギー密度および/または質量エネルギー密度を高めることができる。
焼結助剤は、第1正極層内、第1正極層−集電体層間、および第1正極層−第2正極層間の焼結接合を補助するための材料であり、易接合性と良好なイオン伝導性とを有していることが好ましい。例えば、B2O3、Li3PO4、Li3BO3、これらの一をベースとするガラス材料、固体電解質材料を好適に用いることができる。
導電助剤は、第1正極層内、および第1正極層−集電体層間の導電性を補助するための材料であり、正極活物質よりも良好な電子伝導性を有していることが好ましい。例えば、導電性繊維(気相成長炭素、カーボンナノチューブ、ピッチを原料に高温で炭化して製造した繊維、アクリル繊維から製造した炭素繊維など)が好適に用いられる。また、電池の充放電電位(通常2.5〜4.5 V)において酸化しない導電性材料(例えば、耐食性金属(チタンや金など)、酸化物(酸化インジウムスズやSnOやZnOなど)、炭化物(SiCやWCなど)、窒化物(Si3N4やBNなど))や、高比表面積の炭素材料(カーボンブラックや活性炭など)を使用してもよい。
樹脂バインダーは、グリーンシート21aの形状維持のための材料であり、焼成工程において各層の焼結接合を阻害しないものであれば特段の限定はない。例えば、ポリビニルブチラール(PVB)、エチルセルロース(EC)を好適に用いることができる。また、必要に応じて、可塑剤(例えば、フタル酸ジオクチル:DOP)を更に混合してもよい。
(第2正極層グリーン基板準備工程)
本工程は、第2正極層グリーンシートを形成した後に所定寸法の四辺形形状に切り出して第2正極層グリーン基板22bを用意する工程である。第2正極層グリーン基板22bは、用いる正極活物質が第1正極層グリーン基板21bのそれと異なること以外は第1正極層グリーン基板21bと同様の構成を有し、同様の手順(図4参照)で用意することができる。
第2正極層グリーン基板22bの正極活物質は、電極群グリーン基板積層体焼成工程の際に固体電解質層グリーン基板40bとの望まない化学反応を抑制するために、リチウムニッケル複合酸化物を用いることが好ましい。具体例としては、Li2NiMn3O8、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2、およびLiNixCoyMn1-x-yO2(0.34<x<0.90、0.10<y<0.33、0.44<x+y<1)から選ばれる一種以上を好ましく用いることができる。
第2正極層グリーン基板22bの正極活物質としてリチウムニッケル複合酸化物を用いることにより、該正極活物質(例えば、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2)と固体電解質層グリーン基板40bの固体電解質(例えば、Li7La3Zr2O12)とが焼成工程において特段の化学反応を起こさないというメカニズムについては、現段階では完全に解明できていない。ただし、固体電解質のLi7La3Zr2O12と正極活物質を構成するLi以外の金属元素Meとが化学反応した場合に生成すると思われるLaMeOx、LaZrOx、La2O3、ZrO2や添加していないLi化合物が、一体焼成後に検出されないことから、少なくとも該化学反応の抑制効果があると言える。
(負極層グリーン基板準備工程)
本工程は、負極層グリーンシートを形成した後に所定寸法の四辺形形状に切り出して負極層グリーン基板30bを用意する工程である。負極層グリーン基板30bも、第1正極層グリーン基板21bと同様の手順(図4参照)で用意することができる。
負極活物質部グリーンシートは、主要成分としての負極活物質と、形状維持成分としての樹脂バインダーとを少なくとも含む。また、該グリーンシートは、焼成工程における負極活物質粒子同士の焼結性向上の観点から、焼結助剤を更に含むことが好ましく、負極活物質部の導電性向上の観点から、導電助剤を更に含むことが好ましい。
負極活物質は、充電時にリチウムイオンを吸蔵し放電時にリチウムイオンを放出する結晶材料であり、従前のリチウムイオン二次電池で用いられる負極活物質を利用することができる。具体例としては、炭素系材料(例えば、カーボンブラック、易黒鉛化炭素材料、非晶質炭素材料)、リチウム遷移金属複合酸化物(例えば、Li4Ti5O12、LiTiO4)、リチウム遷移金属複合窒化物(例えば、LixCoyN)を好適に用いることができる。なお、炭素系材料は導電助剤としても機能する。
負極活物質部グリーンシートにおける焼結助剤としては、第1正極層グリーンシート21aにおけるそれと同様のもの(例えば、B2O3、Li3PO4、Li3BO3、これらの一をベースとするガラス材料、固体電解質材料)を好適に用いることができる。
負極活物質部グリーンシートにおける導電助剤としては、金属リチウム粉末、リチウムと合金化する金属(例えば、アルミニウム、シリコン、スズ)の粉末を好適に用いることができる。これらの金属は、負極活物質としても機能することから、混合することが好ましい。なお、金属の線膨張係数は酸化物のそれよりも1桁程度大きいことから(言い換えると、金属の熱膨張/熱収縮は、酸化物のそれよりも10倍程度大きいことから)、焼結体でのクラックや剥離の発生を抑制するため、これらの金属粉末は、負極活物質部グリーンシートの主要成分としてではなく、導電助剤として混合することが好ましい。
(集電体層グリーン基板準備工程)
本工程は、集電体層グリーンシートを形成した後に所定寸法の四辺形形状に切り出して集電体層グリーン基板10bを用意する工程である。集電体層グリーン基板10bも、第1正極層グリーン基板21bと同様の手順(図4参照)で用意することができる。
集電体層グリーンシートは、主要成分としての導電性(電子伝導性)物質と、形状維持成分としての樹脂バインダーとを少なくとも含む。また、該グリーンシートは、焼成工程における導電性物質粒子同士の焼結性向上の観点から、焼結助剤を更に含むことが好ましく、集電体層の導電性向上の観点から、導電助剤を更に含むことが好ましい。
集電体層の主要成分としては、炭素系材料(例えば、ガラス状炭素)や導電性酸化物(例えば、酸化インジウムスズ、SnO、ZnO)を好適に用いることができる。
集電体層グリーンシートにおける焼結助剤としては、易焼結性で上記主要成分の導電性を阻害しない材料であれば特段の限定はなく、例えば、酸化バナジウムを主成分とする導電性ガラスを好適に用いることができる。
集電体層グリーンシートにおける導電助剤としては、高導電性・耐食性金属(例えば、金、銀、銅、白金、ニッケル)の粉末を好適に用いることができる。前述したように、焼結体でのクラックや剥離の発生を抑制するため、これらの金属粉末は、集電体層グリーンシートの主要成分としてではなく、導電助剤として混合することが好ましい。
(固体電解質層グリーン基板準備工程)
本工程は、固体電解質層グリーンシートを形成した後に所定寸法の四辺形形状に切り出して固体電解質層グリーン基板40bを用意する工程である。固体電解質層グリーン基板40bも、第1正極層グリーン基板21bと同様の手順(図4参照)で用意することができる。
固体電解質層グリーンシートは、主要成分としての固体電解質と、形状維持成分としての樹脂バインダーとを少なくとも含む。また、該グリーンシートは、焼成工程における固体電解質粒子同士の焼結性向上の観点から、焼結助剤を更に含むことが好ましい。
固体電解質は、高いイオン伝導性と焼成工程に適した耐熱性を有する限り、従前の全固体リチウム二次電池の固体電解質を利用することができる。例えば、リチウム複合酸化物が好ましく、具体例としては、ガーネット型リチウム複合酸化物(例えば、Li7La3Zr2O12、Li7+xLa3Zr2O12−xMx(0<x<1.2、MはN,Cl,S,Seのいずれか)、Li5La3Ta2O12、Li5La3Nb2O12、Li6BaLa2Ta2O12)、ペロブスカイト型リチウム複合酸化物(例えば、Li0.34La0.51TiO2.94)、NASICON型リチウム複合酸化物(例えば、Li1.1Al0.7Ti1.5(PO4)3)、ガラス型リチウム複合酸化物(例えば、50Li4SiO4-50Li3BO3、Li1.07Al0.69Ti1.46(PO4)3、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3、Li1.4Al0.4Ti1.6(PO4)3、LiAlGe(PO4)3、Li3BO3、LiVO3、Li3.4V0.6Si0.4O4、Li2P2O6)などが挙げられる。これらの固体電解質は、単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
固体電解質層グリーンシートにおける焼結助剤としては、第1正極層グリーンシート21aにおけるそれと同様のもの(例えば、B2O3、Li3PO4、Li3BO3、これらの一をベースとするガラス材料)を好適に用いることができる。
(電極群グリーン基板積層体形成工程)
本工程は、上記の各工程で用意した集電体層グリーン基板10bと第1正極層グリーン基板21bと第2正極層グリーン基板22bと負極層グリーン基板30bと固体電解質層グリーン基板40bとから電極群グリーン基板積層体100bを形成する工程である。図2に示したような電極群グリーン基板積層体100bを形成するにあたって、各層グリーン基板を順次積層してもよいし、次に示すように、電極グリーン基板(バイポーラ電極グリーン基板50b、正モノポーラ電極グリーン基板61b、負モノポーラ電極グリーン基板65b)をあらかじめ形成してもよい。
(a)バイポーラ電極グリーン基板形成工程
本工程は、集電体層グリーン基板10bと第1正極層グリーン基板21bと第2正極層グリーン基板22bと負極層グリーン基板30bとからバイポーラ電極グリーン基板50bを形成する工程である。このとき、図2に示したように、集電体層グリーン基板10bの一方の主面に第1正極層グリーン基板21bを積層し、第1正極層グリーン基板21bの上に第2正極層グリーン基板22bを積層し、他方の主面に負極層グリーン基板30bを積層する。
(b)正モノポーラ電極グリーン基板形成工程
本工程は、集電体層グリーン基板10bと第1正極層グリーン基板21bと第2正極層グリーン基板22bとから正モノポーラ電極グリーン基板61bを形成する工程であり、集電体層グリーン基板10bの一方の主面に第1正極層グリーン基板21bを積層し、その上に第2正極層グリーン基板22bを積層する。
(c)負モノポーラ電極グリーン基板形成工程
本工程は、集電体層グリーン基板10bおよび負極層グリーン基板30bから負モノポーラ電極グリーン基板65bを形成する工程であり、集電体層グリーン基板10bの一方の主面に負極層グリーン基板30bを積層する。
(d)積層体組立工程
本工程は、バイポーラ電極グリーン基板50bと固体電解質層グリーン基板40bとを交互に積層し、当該バイポーラ電極グリーン基板−固体電解質層グリーン基板積層体の積層方向両端に、正モノポーラ電極グリーン基板61bと負モノポーラ電極グリーン基板65bとをそれぞれ積層する工程である。電極群グリーン基板積層体100bを形成する際に、適度に加圧することは、隣接するグリーン基板間の密着性を向上する観点から好ましい。加圧装置としては、例えば、冷間等方圧プレス(CIP)や温間等方圧プレス(WIP)などを好適に利用できる。
(電極群グリーン基板積層体焼成工程)
本工程は、電極群グリーン基板積層体100b全体を焼成して、負極層30c、集電体層10c、第1正極層21c、第2正極層22c、および固体電解質層40cの各層間を焼結接合させた電極群焼結接合体100cを形成する工程である。焼成プロセスとしては、各グリーン基板に含まれる樹脂成分を焼失させるステップ(例えば、大気雰囲気中で600℃の加熱)の後、各グリーン基板を構成する無機材料成分の酸化を防ぎながら該無機材料成分を焼結させるステップ(例えば、非酸化性雰囲気中(金属や炭素の酸化が実質的に生じない雰囲気、例えば、窒素やアルゴンや低酸素雰囲気)で650〜900℃の加熱)を行うことが好ましい。また、各層間の焼結接合を促進するため、焼成中に適度な加圧をすることが好ましい。
以上の工程を経ることにより、電極群全体を一体焼成した電極群焼結接合体100cが得られる。この後、外部端子接続工程、パッケージング工程を経て全固体リチウム二次電池となる。
(外部端子接続工程)
本工程は、電極群焼結接合体の正モノポーラ電極および負モノポーラ電極に外部端子を接続する工程である。図5は、外部端子接続工程によって得られる全固体電池構造体の一例を示す縦断面模式図である。図5に示したように、正モノポーラ電極61cの集電体層10cおよび負モノポーラ電極65cの集電体層10cに対し、それぞれ接合層80を介して、正極外部端子63および負極外部端子67を接合して、全固体電池構造体100dを形成する。
正極外部端子63および負極外部端子67に特段の限定はなく、高導電性金属(例えば、銅、ニッケル、アルミニウム)を好適に用いることができる。また、接合層80の材料にも特段の限定はなく、外部端子の高導電性金属と集電体層10cの構成材料とを電気的に良好に接合できる材料(例えば、銀ペースト、はんだ)を好適に用いることができる。
(パッケージング工程)
本工程は、全固体電池構造体100dの保護と外部絶縁とのため、全固体電池構造体100dをパッケージングする工程である。図6は、パッケージング工程によって得られる全固体電池の一例を示す縦断面模式図である。図6に示したように、正極外部端子63の一部と負極外部端子67の一部とが外部に突出するように、全固体電池構造体100dの他の部分を電気絶縁性のパッケージング材90(例えば、樹脂材、ガラス材)で封止して、全固体リチウム二次電池100eを形成する。
以上の工程を経ることにより、本発明に係る全固体リチウム二次電池を得ることができる。
[第2の実施形態]
本実施形態では、集電体層の焼成収縮量が正極層および負極層のそれらよりも大きくなるように制御し、かつ正極層および負極層のそれぞれ集電体層に接する面で四辺形の対辺領域に電気絶縁部を形成することにより、電池の内部短絡(正極層と負極層との短絡、集電体層同士の短絡)を効果的に防止するための構成を追加した実施形態について説明する。
図7は、本発明に係る全固体リチウム二次電池の前駆体であり、第2実施形態の電極群グリーン基板積層体の一例を示す分解模式図である。図8は、第2実施形態の電極群焼結接合体の一例を示す縦断面模式図である。
図7〜8に示したように、電極群グリーン基板積層体105bは、正モノポーラ電極グリーン基板62b(集電体層グリーン基板10b+第1正極層グリーン基板25b+第2正極層グリーン基板22b)と、固体電解質層グリーン基板40bと、バイポーラ電極グリーン基板55b(負極層グリーン基板35b+集電体層グリーン基板10b+第1正極層グリーン基板25b+第2正極層グリーン基板22b)と、負モノポーラ電極グリーン基板66b(負極層グリーン基板35b+集電体層グリーン基板10b)とが積層された構造を有する。
電極群グリーン基板積層体105bを焼結接合した電極群焼結接合体105cは、正モノポーラ電極62c(集電体層10c+第1正極層25c+第2正極層22c)と、固体電解質層40cと、バイポーラ電極55c(負極層35c+集電体層10c+第1正極層25c+第2正極層22c)と、負モノポーラ電極66c(負極層35c+集電体層10c)とが積層された構造を有する。
そして、第1正極層グリーン基板25b(第1正極層25c)は、第1正極活物質部グリーン基板26b(第1正極活物質部26c)と電気絶縁部グリーン基板27b(電気絶縁部27c)とからなり、電気絶縁部グリーン基板27b(電気絶縁部27c)は、集電体層グリーン基板10b(集電体層10c)に当接する面において、電極群の積層方向から見た四辺形の一対の対辺領域に形成されている。
同様に、負極層グリーン基板35b(負極層35c)は、負極活物質部グリーン基板36b(負極活物質部36c)と電気絶縁部グリーン基板27b(電気絶縁部27c)とからなり、電気絶縁部グリーン基板27b(電気絶縁部27c)は、集電体層グリーン基板10b(集電体層10c)に当接する面において、電極群の積層方向から見た四辺形の他の一対の対辺領域に形成されている。
さらに、集電体層グリーン基板10bは、焼成工程の際に、他のグリーン基板(第1正極層グリーン基板25b、第2正極層グリーン基板22b、負極層グリーン基板35b)よりも焼成収縮量が大きくなるように制御形成することから、集電体層10cは、その外縁が正極層(第1正極層25c、第2正極層22c)および負極層35cの外縁よりも内側になるように形成される。
上記の特徴的な構成の結果、第2実施形態は、仮にバイポーラ電極55c内の第1正極層25cと負極層35cとが接触したとしても、内部短絡を防止することができる作用効果を有する。
次に、第2実施形態の全固体リチウム二次電池の製造方法について、前述した第1実施形態の製造方法に対して特徴的な差異がある部分のみを説明する。
(第1正極層グリーン基板準備工程)
図9は、第2実施形態における第1正極層グリーン基板準備工程の手順例を示す斜視模式図である。図9に示したように、まず、キャリアシート70上に平行一対の電気絶縁部グリーンシート27aを形成する。次に、平行一対の電気絶縁部グリーンシート27aを埋め込み一体化するように第1正極活物質部グリーンシート26aを積層して第1正極層グリーンシート25aを形成する。その後、当該平行一対の電気絶縁部グリーンシート27aが四辺形の対辺領域に配置されるように切り出し加工を行って第1正極層グリーン基板25bを用意する。
電気絶縁部グリーンシート27aは、主要成分としての電気絶縁性材料と、形状維持成分としての樹脂バインダーとを少なくとも含む。また、該グリーンシート27aも、焼成工程における電気絶縁性材料粒子同士の焼結性向上の観点から、焼結助剤を更に含むことは好ましい。
電気絶縁性材料としては、電池の充放電電位(通常2.5〜4.5 V)において電気絶縁性(1012Ωcm以上)の材料で、かつ焼成工程(例えば、800℃)において焼失や流失しない酸化物材料であれば特段の限定はなく、例えば、シリカガラスを好適に用いることができる。
電気絶縁部グリーンシート27aの焼結助剤としては、電気絶縁性材料と同様に、電池の充放電電位において電気絶縁性で焼成工程において焼失や流失しない材料であり、さらに易接合性の材料であることが好ましい。例えば、シリカゲルを好適に用いることができる。
電気絶縁部グリーンシート27aの樹脂バインダーも、グリーンシート21aのそれと同様に、PVBやECを好適に用いることができる。また、必要に応じて、可塑剤(例えば、DOP)を更に混合してもよい。
第1正極層グリーン基板25bは、第1正極活物質部26bと電気絶縁部27bとの複合体であり、それぞれが樹脂成分(樹脂バインダー、可塑剤)を含有するため、焼成工程において、通常、樹脂成分の含有率分は焼成収縮する。焼成収縮の際に焼結体にクラックや剥離が発生するのを防止するためには、第1正極活物質部26bと電気絶縁部27bとの焼成収縮量に大きな差異が生じないように制御する必要がある。
具体的には、各グリーンシートを形成する段階(より正確には、グリーンシートを形成するためのスラリーまたはペーストを調合する段階)において、スラリーまたはペースト中の無機材料成分と樹脂成分との総和に対する無機材料成分の含有率(厳密に言うと体積含有率であるが、製造プロセスとしては比重を考慮した上での質量含有率)を制御する。以下、スラリーまたはペーストを簡単化のためにスラリーと称する。
第1正極活物質部グリーンシート26a用のスラリー中の無機材料成分の含有率と、電気絶縁部グリーンシート27a用のスラリー中のそれとの差異を5%以内に制御することにより、焼結体でのクラックや剥離の発生を効果的に抑制することができる。このとき、第1正極活物質部グリーンシート26a用のスラリー中の無機材料成分の含有率を、電気絶縁部グリーンシート27a用のスラリー中の含有率以下とすることがより好ましい。
また、スラリー中の無機材料成分のうち(無機材料成分の合計量を100%とした場合)、主要成分の含有率を60%以上とすることが好ましい。主要成分の含有率を60%以上とすることにより、主要成分がその焼結体の骨材(骨格)を構成することから、当該焼結体の実効的な線膨張係数を制御することができる。その結果、熱履歴やヒートサイクルに起因する層間の剥離やクラックの発生を効果的に抑制することができる。これは、他の層用のスラリーにおいても同様である。なお、スラリー中の無機材料成分の残部(含有率40%以下)は、焼結助剤および/または導電助剤からなる。
(負極層グリーン基板準備工程)
図7に示したように、負極層グリーン基板35bは、負極活物質部36bと電気絶縁部27bとからなり、電気絶縁部27bは、四辺形の対辺領域に形成されている。負極層グリーン基板35bも、第1正極層グリーン基板25bと同様の手順(図9参照)で用意することができる。
負極活物質部グリーンシート用のスラリー中の無機材料成分の含有率と、電気絶縁部グリーンシート用のスラリー中の無機材料成分の含有率との関係に関しては、第1正極層グリーンシート25aにおけるそれと同様である。
(集電体層グリーン基板準備工程)
前述したように、本実施形態では、焼成工程において集電体層の焼成収縮量が正極層および負極層のそれらよりも大きくなるように制御することが好ましい。そのため、集電体層グリーンシートを形成するスラリーにおいて、該スラリー中の無機材料成分と樹脂成分(樹脂バインダー、可塑剤)との総和に対する無機材料成分の含有率を、正極層または負極層の電極活物質部グリーンシート用のスラリー中の含有率以下で5%以内の差異になるように調整することが好ましい。そうすることにより、焼結体でのクラックや剥離の発生を効果的に抑制することができると共に、電池の内部短絡を効果的に防止できる。
(固体電解質層グリーン基板準備工程)
固体電解質層グリーンシートを形成するスラリーにおいて、該スラリー中の無機材料成分と樹脂成分との総和に対する無機材料成分の含有率を、正極層または負極層の電極活物質部グリーンシート用のスラリー中の含有率の5%以内の差異になるように調整することが好ましい。そうすることにより、焼結体でのクラックや剥離の発生を効果的に抑制することができると共に、電池の内部短絡を効果的に防止できる。
(バイポーラ電極グリーン基板形成工程)
バイポーラ電極グリーン基板形成工程においては、積層方向から見たときに、第1正極層グリーン基板25b内の電気絶縁部27bが四辺形の一対の対辺領域に配置され、負極層グリーン基板35b内の電気絶縁部27bが四辺形の他の一対の対辺領域に配置されるように積層する(図7参照)。
(正モノポーラ電極グリーン基板形成工程、負モノポーラ電極グリーン基板形成工程)
図7においては、正モノポーラ電極グリーン基板62bの第1正極層グリーン基板25bが電気絶縁部27bを有し、負モノポーラ電極グリーン基板66bの負極層グリーン基板35bが電気絶縁部27bを有している。第1正極層グリーン基板準備工程で準備した第1正極層グリーン基板25b、および負極層グリーン基板準備工程で準備した負極層グリーン基板35bを利用することにより、別の工程を用意する必要が無いため、全体としてのプロセスコストを低減できる利点がある。
ただし、本発明はそれに限定されるものではなく、正モノポーラ電極グリーン基板中の第1正極層グリーン基板および負モノポーラ電極グリーン基板中の負極層グリーン基板は、電気絶縁部27bを有していなくてもよい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はここでの実施例に限定されるものではない。
[実施例1の全固体リチウム二次電池の作製]
本発明に係る実施例1として、第1実施形態の全固体リチウム二次電池を作製した。
(1)第1正極層グリーンシート用スラリーの調合
第1正極層の正極活物質として75質量部のLiFePO4を用い、焼結助剤として25質量部のLi3BO3を用い、導電助剤として1質量部のカーボンブラックを用い、樹脂バインダーとして10質量部のエチルセルロース(EC)を用い、可塑剤として10質量部のフタル酸ジオクチル(DOP)を用いた。それらをボールミルに投入し、溶媒としてアセトン100質量部を加えてよく混合した。得られた混合溶液に対して減圧脱泡と溶媒の一部揮発とを行い、第1正極層グリーンシート用スラリー(粘度:約10000 mPa・s)を調合した。
なお、質量部とは、混合する物質間の質量比のみを表す単位であり、混合物全体を100%とする百分率とは異なるものである(以下同様)。
(2)第2正極層グリーンシート用スラリーの調合
第2正極層の正極活物質として75質量部のLiNiO2を用いた以外は、第1正極層グリーンシート用スラリーと同様にして、第2正極層グリーンシート用スラリー(粘度:約10000 mPa・s)を調合した。
(3)負極層グリーンシート用スラリーの調合
負極活物質として75質量部のLi4Ti5O12を用い、焼結助剤として25質量部のLi3BO3を用い、導電助剤として1質量部のカーボンブラックを用い、樹脂バインダーとして10質量部のECを用い、可塑剤として10質量部のDOPを用いた。それらをボールミルに投入し、溶媒としてアセトン100質量部を加えてよく混合した。得られた混合溶液に対して減圧脱泡と溶媒の一部揮発とを行い、負極層グリーンシート用スラリー(粘度:約10000 mPa・s)を調合した。
(4)第1・第2正極層グリーン基板、および負極層グリーン基板の作製
図4に示した手順に沿って、第1・第2正極層グリーン基板、および負極層グリーン基板の作製を行った。まず、上記で用意した第1正極層グリーンシート用スラリーを用い、幅60 mmのドクターブレードを用いたドクターブレード法により、第1正極層グリーンシート(幅60 mm、厚さ40μm)を形成した(図4(b)参照)。次に、該正極層グリーンシートに打抜加工を行って第1正極層グリーン基板(25 mm角、厚さ40μm)を作製した(図4(c)参照)。
第1正極層グリーン基板と同様にして、上記で用意した第2正極層グリーンシート用スラリーを用いて、第2正極層グリーン基板(25 mm角、厚さ30μm)を作製した。
また、第1・第2正極層グリーン基板と同様にして、負極層グリーンシート用スラリーを用いて、負極層グリーン基板(25 mm角、厚さ70μm)を作製した。
(5)集電体層グリーンシート用スラリーの調合
導電性材料として75質量部の酸化インジウムスズ(ITO)を用い、焼結助剤として5質量部のバナジウム系導電性ガラスを用い、導電助剤として23質量部の銀を用い、樹脂バインダーとして10質量部のPVBを用い、可塑剤として12質量部のDOPを用いた。それらをボールミルに投入し、溶媒としてアセトン100質量部を加えてよく混合した。得られた混合溶液に対して減圧脱泡と溶媒の一部揮発とを行い、集電体層グリーンシート用スラリー(粘度:約10000 mPa・s)を調合した。
(6)集電体層グリーン基板の作製
上記で用意した集電体層グリーンシート用スラリーを用い、幅60 mmのドクターブレードを用いたドクターブレード法により、PET製キャリアシート上に集電体層グリーンシート(幅60 mm、厚さ50μm)を形成した。その後、集電体層グリーンシートに打抜加工を行って集電体層グリーン基板(25 mm角、厚さ50μm)を作製した。
(7)固体電解質層グリーンシート用スラリーの調合
固体電解質として75質量部のLi7La3Zr2O12を用い、焼結助剤として30質量部のLi3BO3を用い、樹脂バインダーとして10質量部のPVBを用い、可塑剤として10質量部のDOPを用いた。それらをボールミルに投入し、溶媒としてアセトン100質量部を加えてよく混合した。得られた混合溶液に対して減圧脱泡と溶媒の一部揮発とを行い、固体電解質層グリーンシート用スラリー(粘度:約10000 mPa・s)を調合した。
(8)固体電解質層グリーン基板の作製
上記で用意した固体電解質層グリーンシート用スラリーを用い、幅60 mmのドクターブレードを用いたドクターブレード法により、PET製キャリアシート上に固体電解質層グリーンシート(幅60 mm、厚さ100μm)を形成した。その後、固体電解質層グリーンシートに打抜加工を行って固体電解質層グリーン基板(25 mm角、厚さ100μm)を作製した。
(9)電極群グリーン基板積層体の作製
上記で用意した第1正極層グリーン基板、第2正極層グリーン基板、負極層グリーン基板、集電体層グリーン基板、および固体電解質層グリーン基板を用いて、図2に示した構造になるように積層した。その後、該積層体に対して温間等方圧プレス(温度90℃、圧力40 MPa)を施して圧着し、電極群グリーン基板積層体を作製した。
(10)電極群焼結接合体の作製
上記で作製した電極群グリーン基板積層体に対して焼成工程を行い、電極群焼結接合体を作製した。焼成条件は、電極群グリーン基板積層体を2枚のアルミナ製セラミックス板で挟んだ状態で、大気雰囲気中600℃で2時間保持して樹脂成分を焼失させた後、窒素ガス雰囲気中800℃で2時間保持して無機材料成分を焼結接合する熱処理とした。
(11)全固体リチウム二次電池の組立
上記で作製した電極群焼結接合体の正モノポーラ電極および負モノポーラ電極に対し、それぞれ銀ペーストの接合層を介して、ニッケル箔の正極外部端子および負極外部端子を貼り合わせた。その後、大気雰囲気中120℃で加熱して、モノポーラ電極と外部端子との電気的接合を確保した。
以上の工程により、実施例1のバイポーラ積層型全固体リチウム二次電池(試験評価用)を作製した。なお、充放電試験後の観察をし易くするため、全固体電池構造体のパッケージングは行わなかった(後述する実施例および比較例も同様)。
[実施例2の全固体リチウム二次電池の作製]
本発明に係る実施例2として、大容量二次電池を想定した第2実施形態の全固体リチウム二次電池を作製した。
(12)電極層の電気絶縁部グリーンシート用スラリーの調合
電気絶縁性材料として75質量部のシリカガラスを用い、焼結助剤として25質量部のシリカゲルを用い、樹脂バインダーとして7質量部のECを用い、可塑剤として10質量部のDOPを用いた。それらをボールミルに投入し、溶媒としてアセトン100質量部を加えてよく混合した。得られた混合溶液に対して減圧脱泡と溶媒の一部揮発とを行い、電気絶縁部グリーンシート用スラリー(粘度:約10000 mPa・s)を調合した。
(13)第1正極層グリーン基板および負極層グリーン基板の作製
図9に示した手順に沿って、第1正極層グリーン基板および負極層グリーン基板の作製を行った。まず、上記で用意した電気絶縁部グリーンシート用スラリーを用い、両端に10 mmの切り欠きを有する幅60 mmのドクターブレードを用いたドクターブレード法により、ポリエチレンテレフタレート(PET)製キャリアシート上に平行一対の電気絶縁部グリーンシート(幅10 mm、間隔40 mm、厚さ20μm)を形成した(図9(a)参照)。その後、第1正極層用および負極層用となるように、平行一対の電気絶縁部グリーンシートをキャリアシートごと二分割した。
次に、実施例1で用意した第1正極層グリーンシート用スラリーを用い、幅60 mmのドクターブレードを用いたドクターブレード法により、上記平行一対の電気絶縁部グリーンシートを埋め込み一体化するように正極活物質部グリーンシートを積層して第1正極層グリーンシート(幅60 mm、厚さ40μm)を形成した(図4(b)参照)。
次に、平行一対の電気絶縁部グリーンシートが四辺形(一辺50 mm)の対辺領域にそれぞれ5 mm幅で配置されるように、上記の第1正極層グリーンシートに打抜加工を行って第1正極層グリーン基板(50 mm角、厚さ40μm)を作製した(図4(c)参照)。
また、上記の第1正極層グリーン基板と同様にして、電気絶縁部グリーンシート用スラリーと負極層グリーンシート用スラリーとを用いて、負極層グリーン基板(50 mm角、厚さ70μm)を作製した。
(14)全固体リチウム二次電池の組立
上記実施例2の第1正極層グリーン基板および負極層グリーン基板以外は、実施例1と同様にして、第2正極層グリーン基板(50 mm角、厚さ30μm)、集電体層グリーン基板(50 mm角、厚さ50μm)、および固体電解質層グリーン基板(50 mm角、厚さ100μm)を用意し、電極群グリーン基板積層体を作製した。
次に、該電極群グリーン基板積層体に対して焼成工程を行い、電極群焼結接合体を作製した。
その後、実施例1と同様にして、外部端子を接続し、実施例2のバイポーラ積層型全固体リチウム二次電池(試験評価用)を作製した。
[実施例3の全固体リチウム二次電池の作製]
本発明に係る実施例3として、第1実施形態の全固体リチウム二次電池を作製した。第1正極層の正極活物質としてLiCoO2を用い、第2正極層の正極活物質としてLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3のバイポーラ積層型全固体リチウム二次電池(試験評価用)を作製した。
[比較例1の全固体リチウム二次電池の作製]
第1正極層グリーン基板を厚さ70μmとし第2正極層グリーン基板を用いないこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の全固体リチウム二次電池(試験評価用)を作製した。比較例1は、実施例1との対比により、第2正極層の有無による影響を見ることができるものである。
[比較例2の全固体リチウム二次電池の作製]
第2正極層の正極活物質として LiMn2O4(リチウムニッケル複合酸化物ではない)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の全固体リチウム二次電池(試験評価用)を作製した。比較例2は、実施例1との対比により、第2正極層に用いる正極活物質の種類の影響を見ることができるものである。
[全固体電池の試験評価]
上記で用意した実施例1〜3および比較例1〜2のバイポーラ型の全固体リチウム二次電池に対し、定電流定電圧充放電試験(電圧範囲:3.0〜5.5 V、電流密度:100μA/cm2)を行った。その結果を設計値に対する比率で表1に示す。
Figure 2018063757
表1に示したように、実施例1〜3の二次電池は、ほぼ設計どおりの充放電特性(充電容量、放電容量)が得られることが確認された。
一方、比較例1〜2の二次電池は、上記電流密度での充放電が困難であったと共に、電気容量が設計値を大きく下回った。前述したように、比較例1は、実施例1との対比により、第2正極層の有無による影響を見ることができる。比較例2は、実施例1との対比により、第2正極層に用いる正極活物質の種類の影響を見ることができる。
そこで、一体焼成時における電極層と固体電解質層との間の望まない化学反応の有無を確認するため、次のような簡易検証実験を行った。
第1正極層の正極活物質として用いたLiFePO4粉末に対して固体電解質として用いたLi7La3Zr2O12粉末を混合した混合粉末A(比較例1の組み合わせ)と、第2正極層の正極活物質として用いたLiNiO2粉末に対して固体電解質として用いたLi7La3Zr2O12粉末を混合した混合粉末B(実施例1〜2の組み合わせ)と、第2正極層の正極活物質として用いたLiMnO2粉末に対して固体電解質として用いたLi7La3Zr2O12粉末を混合した混合粉末C(比較例2の組み合わせ)と、第1正極層の正極活物質として用いたLiFePO4粉末に対して第2正極層の正極活物質として用いたLiNiO2粉末を混合した混合粉末D(実施例1〜2の組み合わせ)とを用意した。
次に、これらの混合粉末A〜Dに対して焼成工程に相当する熱処理(大気雰囲気中600℃で2時間保持後、窒素ガス雰囲気中800℃で2時間保持)を施した。得られた焼成粉末A〜Dに対してX線回折(XRD)測定を行い、結晶構造の変化の有無を調査した。
図10は、第1正極層の正極活物質として用いたLiFePO4粉末単体のXRDチャート、およびLiFePO4粉末と固体電解質として用いたLi7La3Zr2O12粉末との混合・焼成粉末AのXRDチャートである。
図10に示したように、混合粉末A(比較例1の組み合わせ)を焼成すると、各回折ピークが幅広く緩やかになり、LiFePO4粉末およびLi7La3Zr2O12粉末の両方の結晶構造に乱れが生じていることが判る。この結果から、第1正極層と固体電解質層とを直接接合させると、焼成工程時に望まない化学反応が生じる可能性が高いことが確認された。
また、混合粉末C(比較例2の組み合わせ)を焼成した場合、図10と同様に、各回折ピークが幅広く緩やかになり、LiMnO2粉末およびLi7La3Zr2O12粉末の両方の結晶構造に乱れが生じたXRDチャートが得られた。この結果から、リチウムニッケル複合酸化物ではない正極活物質と固体電解質層とを直接接合させると、焼成工程時に望まない化学反応が生じる可能性が高いことが確認された。
図11は、第2正極層の正極活物質として用いたLiNiO2粉末単体のXRDチャート、およびLiNiO2粉末と固体電解質として用いたLi7La3Zr2O12粉末との混合・焼成粉末BのXRDチャートである。
図11に示したように、混合粉末B(実施例1〜2の組み合わせ)を焼成した場合、各回折ピークに特段の乱れはなく、LiNiO2粉末およびLi7La3Zr2O12粉末の回折ピークを単純重ね合わせしたようなXRDチャートが得られた。この結果から、本発明の第2正極層と固体電解質層とは直接接合させても、焼成工程時の望まない化学反応がほとんど生じないことが確認された。
また、混合粉末Dを焼成した場合、図11と同様に、各回折ピークに特段の乱れはなく、LiFePO4粉末およびLiNiO2粉末の回折ピークを単純重ね合わせしたようなXRDチャートが得られた。すなわち、第1正極層と本発明の第2正極層とは直接接合させても、焼成工程時の望まない化学反応がほとんど生じないことが確認された。
上記の簡易検証実験から、比較例1〜2の二次電池における充放電特性の結果は、焼成工程時に電極層と固体電解質層との間で望まない化学反応が生じたことに起因すると考えられた。また、実施例1〜2の二次電池における電池特性の結果は、焼成工程時に層間の望まない化学反応が抑制されるため、設計どおりの充放電特性が得られたものと考えられた。
上述した実施形態や実施例は、本発明の理解を助けるために説明したものであり、本発明は、記載した具体的な構成のみに限定されるものではない。例えば、ある実施形態の構成の一部を当業者の技術常識の構成で置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に当業者の技術常識の構成を加えることも可能である。すなわち、本発明は、本明細書の実施形態や実施例の構成の一部について、削除・他の構成に置換・他の構成の追加をすることが可能である。
10b…集電体層グリーン基板、10c…集電体層、
21b,25b…第1正極層グリーン基板、21c,25c…第1正極層、
22b…第2正極層グリーン基板、22c…第2正極層、
21a…第1正極層グリーンシート、26a…第1正極活物質部グリーンシート、
27a…電気絶縁部グリーンシート、
26b…第1正極活物質部グリーン基板、26c…第1正極活物質部、
27b…電気絶縁部グリーン基板、27c…電気絶縁部、
30b,35b…負極層グリーン基板、30c,35c…負極層、
36b…負極活物質部グリーン基板、36c…負極活物質部、
40b…固体電解質層グリーン基板、40c…固体電解質層、
50b…バイポーラ電極グリーン基板、50c…バイポーラ電極、
61b…正モノポーラ電極グリーン基板、61c…正モノポーラ電極、
65b…負モノポーラ電極グリーン基板、65c…負モノポーラ電極、
63…正極外部端子、67…負極外部端子、
70…キャリアシート、80…接合層、90…パッケージング材、
100b,105b…電極群グリーン基板積層体、100c,105c…電極群焼結接合体、
100d…全固体電池構造体、100e…全固体リチウム二次電池。

Claims (7)

  1. 集電体層と正極層と固体電解質層と負極層とが積層された電極群を有する全固体リチウム二次電池であって、
    前記電極群は、焼結接合体を形成しており、
    前記正極層は、前記集電体層に当接する第1正極層と、前記固体電解質層に当接する第2正極層との二層構造を有し、
    前記第1正極層と前記第2正極層とは、互いに組成の異なる正極活物質を含有し、
    前記第2正極層の前記正極活物質がリチウムニッケル複合酸化物からなることを特徴とする全固体リチウム二次電池。
  2. 請求項1に記載の全固体リチウム二次電池において、
    前記リチウムニッケル複合酸化物は、Li2NiMn3O8、LiNiO2、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2、およびLiNixCoyMn1-x-yO2(0.34<x<0.90、0.10<y<0.33、0.44<x+y<1)から選ばれる一種であり、
    前記固体電解質層に使用される固体電解質は、ガーネット型リチウム複合酸化物からなることを特徴とする全固体リチウム二次電池。
  3. 請求項2に記載の全固体リチウム二次電池において、
    前記ガーネット型リチウム複合酸化物は、Li7La3Zr2O12、Li7+xLa3Zr2O12−xMx(0<x<1.2、MはN,Cl,S,Seのいずれか)、Li5La3Ta2O12、Li5La3Nb2O12、およびLi6BaLa2Ta2O12から選ばれる一種であることを特徴とする全固体リチウム二次電池。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の全固体リチウム二次電池において、
    前記電極群は、前記集電体層の一方の主面上に前記正極層が積層形成され該集電体層の他方の主面上に前記負極層が積層形成されたバイポーラ電極と、前記固体電解質層とが交互に積層されたバイポーラ積層型電極群であることを特徴とする全固体リチウム二次電池。
  5. 請求項4に記載の全固体リチウム二次電池において、
    前記バイポーラ積層型電極群を積層方向から見たときに、前記バイポーラ電極および前記固体電解質層はそれぞれ四辺形形状を有し、前記集電体層はその外縁が前記正極層および前記負極層の外縁よりも内側になるように形成されており、
    前記バイポーラ電極中の前記正極層および前記負極層のそれぞれは、前記集電体層に接する面において前記四辺形の所定の対辺領域に電気絶縁部を具備していることを特徴とする全固体リチウム二次電池。
  6. 請求項5に記載の全固体リチウム二次電池において、
    前記積層方向から見たときに、前記正極層の電気絶縁部は前記四辺形の一対の対辺領域に配置され、前記負極層の電気絶縁部は前記四辺形の他の一対の対辺領域に配置されていることを特徴とする全固体リチウム二次電池。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の全固体リチウム二次電池において、
    前記集電体層は主要成分が炭素系材料および/または導電性酸化物からなり、
    前記第1正極層の前記正極活物質がリチウム遷移金属複合酸化物からなり、
    前記負極層は主要成分が炭素系材料、リチウム遷移金属複合酸化物および/またはリチウム遷移金属複合窒化物からなり、
    前記固体電解質層は主要成分がリチウム複合酸化物電解質からなることを特徴とする全固体リチウム二次電池。
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