JP2018063306A - カラーフィルタ、および、カラーフィルタの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】副画素の波長選択性を高めることのできるカラーフィルタ、および、カラーフィルタの製造方法を提供する。【解決手段】カラーフィルタが備える副画素10は、複数の共鳴構造部11を備える。共鳴構造部11は、第1サブ波長格子を構成する第1高屈折率部13aと第1低屈折率部13bとを有する第1格子領域13、第2サブ波長格子を構成する第2高屈折率部15aと第2低屈折率部15bとを有する第2格子領域15、第1低屈折率領域12、第2低屈折率領域14、および、第3低屈折率領域16を備える。第1サブ波長格子と第2サブ波長格子との格子周期は等しく、第1格子領域13と第2格子領域15とにおける高屈折率部13a,15aの体積比率は等しく、カラーフィルタの表面と対向する方向から見て、第1高屈折率部13aと第2低屈折率部15bとが重なり、第2高屈折率部15aと第1低屈折率部13bとが重なっている。【選択図】図3
Description
本発明は、構造色を利用したカラーフィルタ、および、カラーフィルタの製造方法に関する。
モルフォ蝶の鱗粉や玉虫の表皮に代表される構造色は、色素が呈する色のように分子における電子遷移に起因して視認される色とは異なり、光の回折や干渉や散乱といった、物体の構造に起因した光学現象の作用によって視認される色である。例えば、多層膜干渉による構造色は、多層膜の各界面で反射した特定の波長域の光が干渉により強められることによって生じる構造色である。このように、多層膜干渉によって特定の波長域の光を取り出すことができるため、多層膜干渉の原理は、特定の波長域の光を選択的に透過もしくは反射する光学デバイスに利用されている。
しかしながら、多層膜干渉によって取り出すことのできる波長域は、多層膜における各層の膜厚等の層構成に依存するため、多層膜干渉を利用した光学デバイスでは、選択したい波長域ごとに、互いに異なる層構成の多層膜を形成する必要がある。したがって、表示装置に備えられるカラーフィルタのように、選択される波長域が互いに異なる複数の領域を有する光学デバイスに多層膜干渉の構造を適用すると、製造工程が非常に複雑にならざるを得ない。
多層膜干渉とは異なる光学現象によって波長を選別する光学デバイスとして、導波モード共鳴現象を利用した光学デバイスが提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。この光学デバイスは、光の波長よりも小さい周期で並ぶ回折格子であるサブ波長格子を有する。サブ波長格子に光が入射すると、入射側空間への回折光の射出が抑えられる一方で、特定の波長域の光が多重反射しながら伝播することにより共鳴を起こし、この特定の波長域の光が反射光として強く射出される導波モード共鳴現象が生じる。
ところで、カラーフィルタは、入射光を、赤色や緑色や青色の光に変換して射出する副画素を備えている。こうした副画素においては、射出される光の波長選択性が高いこと、すなわち、射出される光の強度が高いことや、射出される光の波長域が狭いことが望ましい。
例えば、特許文献1に記載のカラーフィルタは、基板上にサブ波長格子を構成する複数の凸部が配置された構造を有する。しかしながら、こうした構造のデバイスにおいて、取り出される光の強度を高めるためには、特許文献1に記載のように、基板を合成石英から形成し、かつ、凸部をシリコンから形成することにより、基板と凸部との屈折率差を大きく確保して、サブ波長格子領域を伝搬する光の多重反射によるロスを小さくすることが望ましい。そのためには、合成石英からなる基板上に単結晶のSiが形成されたSOQ(Silicon on Quartz)基板を用いる必要があるため、製造コストの増大が生じる。
これに対し、特許文献2に記載の波長選択素子は、基板と、サブ波長格子を構成する凸部との間に、基板を構成する材料よりも屈折率の高い材料から構成された導波層を有している。こうした構造によれば、凸部と導波層とが樹脂から形成されている場合でも、多重反射する光を導波層内に伝播させることにより、素子から出射される光の強度が高められる。また、凸部と導波層とを樹脂から形成する方法として、ナノインプリント法を用いることが可能であるため、材料費を低減しつつ簡便に素子の製造が可能であり、製造コストの削減もできる。
しかしながら、特許文献2の構造において、導波層における光の伝播モードは、主に導波層の厚みと光の波長とによって決まるため、所望の波長域の光を導波層内で多重反射させて共鳴を起こすには、導波層の膜厚を精密に制御する必要がある。微細な周期の凸部に加えて、精密な膜厚の導波層を形成することは、素子の製造に際しての負荷が大きいため、導波層によって、波長選択性を高めることには限界がある。
本発明は、副画素の波長選択性を高めることのできるカラーフィルタ、および、カラーフィルタの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、副画素の波長選択性を高めることのできるカラーフィルタ、および、カラーフィルタの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するカラーフィルタは、入射光を透過する材料から構成された複数の副画素を備えるカラーフィルタであって、前記副画素は、前記カラーフィルタの厚さ方向に並ぶ複数の共鳴構造部を備え、前記共鳴構造部は、第1サブ波長格子を構成する複数の第1高屈折率部と、前記第1高屈折率部よりも低い屈折率を有する複数の第1低屈折率部とを有し、前記カラーフィルタの表面に沿った方向に前記第1高屈折率部と前記第1低屈折率部とが交互に位置する第1格子領域と、前記第1高屈折率部と同一の材料から構成されて第2サブ波長格子を構成する複数の第2高屈折率部と、前記第2高屈折率部よりも低い屈折率を有する複数の第2低屈折率部とを有し、前記表面に沿った方向に前記第2高屈折率部と前記第2低屈折率部とが交互に位置する第2格子領域と、前記第1格子領域の平均屈折率および前記第2格子領域の平均屈折率の各々よりも低い屈折率をそれぞれが有する第1低屈折率領域、第2低屈折率領域、および、第3低屈折率領域と、を備え、前記第1格子領域は、前記カラーフィルタの厚さ方向に前記第1低屈折率領域と前記第2低屈折率領域とに挟まれ、前記第2格子領域は、前記カラーフィルタの厚さ方向に前記第2低屈折率領域と前記第3低屈折率領域とに挟まれ、前記第1サブ波長格子の格子周期と前記第2サブ波長格子の格子周期とは、相互に等しい周期であり、前記第1格子領域における前記複数の第1高屈折率部の体積比率と、前記第2格子領域における前記複数の第2高屈折率部の体積比率とは同一であり、前記表面と対向する方向から見て、前記第1高屈折率部と前記第2低屈折率部とが重なり、前記第2高屈折率部と前記第1低屈折率部とが重なっている。
上記構成によれば、共鳴構造部において、第1格子領域と第2格子領域との各格子領域が、サブ波長格子を有すること、および、各格子領域が、各格子領域の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率領域に挟まれていることから、各格子領域に光が入射すると、各格子領域では、入射側空間への回折光の射出が抑えられて導波モード共鳴現象が発生する。そして、各格子領域の格子周期および高屈折率部の体積比率が同一であることにより、第1格子領域で共鳴を起こす光の波長域は、第2格子領域で共鳴を起こす光の波長域と一致する。したがって、一方の格子領域にて多重反射する過程で漏れ出て他方の格子領域に入った特定の波長域の光は、他方の格子領域を多重反射しつつ伝播し、第1格子領域で強められた波長域の反射光と、第2格子領域で強められた波長域の反射光とが共鳴構造部から射出される。そして、入射光のなかで上記強められた波長域を除く波長域の光が、共鳴構造部を透過する。
副画素が複数の共鳴構造部を備えていることにより、射出される反射光の強度の調整や、反射光および透過光の波長域の調整の自由度が高くなる。すなわち、副画素から射出される光の強度を高くすることや、副画素から射出される光の波長域を狭くすることが可能であり、副画素の波長選択性を高めることができる。
上記構成において、前記複数の共鳴構造部の各々において、前記複数の第1高屈折率部、前記複数の第1低屈折率部、前記複数の第2高屈折率部、および、前記複数の第2低屈折率部の各々は、前記複数の共鳴構造部に共通する1つの方向に帯状に延びる形状を有してもよい。
上記構成によれば、各共鳴構造部において、各格子領域におけるサブ波長格子の格子周期および高屈折率部の体積比率を一致させることが容易である。また、サブ波長格子の製造が容易である。さらに、各格子領域で共鳴を起こす光の偏光方向を揃えることが容易であり、偏光の程度の強い入射光に対して効率的に反射光を出射できる副画素の構成の実現が容易である。
上記構成において、前記共鳴構造部の有する前記第1サブ波長格子および前記第2サブ波長格子の格子周期は、前記複数の共鳴構造部において相互に等しく、前記複数の副画素には、第1副画素と第2副画素とが含まれ、前記第1副画素が有する前記共鳴構造部における前記格子周期と、前記第2副画素が有する前記共鳴構造部における前記格子周期とは、互いに異なってもよい。
上記構成によれば、副画素が有する各格子領域で共鳴を起こす光の波長域は一致するため、副画素に光が入射したとき、上層の格子領域にて多重反射する特定の波長域の光のうち、多重反射の過程でこの格子領域から漏れ出た光は、その下層の格子領域に入って多重反射し、こうした現象が、格子領域の数だけ繰り返される。その結果、各格子領域で強められた特定の波長域の反射光が副画素から射出されるため、反射光として射出される上記特定の波長域の光の強度はより大きくなり、反射光の波長選択性がより高められる。そして、第1副画素と第2副画素とで共鳴構造部における格子周期が異なることにより、第1副画素と第2副画素とで射出される反射光の色を異ならせることができる。
上記構成において、前記複数の副画素には、第3副画素がさらに含まれ、前記第1副画素が有する前記共鳴構造部における前記格子周期と、前記第2副画素が有する前記共鳴構造部における前記格子周期と、前記第3副画素が有する前記共鳴構造部における前記格子周期とは、互いに異なり、前記第1副画素は赤色の光を選択的に反射し、前記第2副画素は緑色の光を選択的に反射し、前記第3副画素は青色の光を選択的に反射してもよい。
上記構成によれば、波長選択性が高められた、すなわち、射出する反射光の強度が高められた副画素を備える反射型のカラーフィルタが実現される。こうしたカラーフィルタによれば、各副画素における色の鮮明さや輝度が高められる。
上記構成において、前記複数の共鳴構造部には、第1共鳴構造部と第2共鳴構造部とが含まれ、前記第1共鳴構造部の有する前記第1サブ波長格子および前記第2サブ波長格子の格子周期である第1構造周期と、前記第2共鳴構造部の有する前記第1サブ波長格子および前記第2サブ波長格子の格子周期である第2構造周期とは、互いに異なり、前記複数の副画素には、第1副画素と第2副画素とが含まれ、前記第1副画素における前記第1構造周期と前記第2構造周期との組み合わせと、前記第2副画素における前記第1構造周期と前記第2構造周期との組み合わせとでは、前記第1構造周期と前記第2構造周期との少なくとも一方が異なってもよい。
上記構成によれば、各副画素において、第1共鳴構造部の有する各格子領域にて共鳴を起こす光の波長域と、第2共鳴構造部の有する各格子領域にて共鳴を起こす光の波長域とは、互いに異なる。したがって、副画素に光が入射したとき、上層の共鳴構造部の各格子領域で特定の波長域の光が多重反射し、多重反射しなかった波長域の光は、この共鳴構造部を透過して、下層の共鳴構造部に入り、上層の共鳴構造部とは異なる波長域の光が、下層の共鳴構造部の各格子領域で多重反射する。その結果、副画素からは、第1共鳴構造部の格子領域にて強められた第1の波長域の光と、第2共鳴構造部の有する格子領域にて強められた第2の波長域の光とを含む反射光が射出される。そして、副画素への入射光に含まれる波長域のなかで、上記反射光として射出された第1の波長域および第2の波長域を除く波長域の光が透過光として射出される。したがって、副画素にて、透過光に含まれる波長域を狭めることが可能であり、単色性が高く波長選択性の高められた透過光を射出する副画素が実現される。そして、第1副画素と第2副画素とで共鳴構造部における構造周期の組み合わせが異なることにより、第1副画素と第2副画素とで射出される透過光の色を異ならせることができる。
上記構成において、前記複数の副画素には、第3副画素がさらに含まれ、前記第1副画素における前記第1構造周期と前記第2構造周期との組み合わせと、前記第3副画素における前記第1構造周期と前記第2構造周期との組み合わせとでは、前記第1構造周期と前記第2構造周期との少なくとも一方が異なり、前記第2副画素における前記第1構造周期と前記第2構造周期との組み合わせと、前記第3副画素における前記第1構造周期と前記第2構造周期との組み合わせとでは、前記第1構造周期と前記第2構造周期との少なくとも一方が異なり、前記第1副画素は赤色の光を選択的に透過し、前記第2副画素は緑色の光を選択的に透過し、前記第3副画素は青色の光を選択的に透過してもよい。
上記構成によれば、波長選択性が高められた、すなわち、透過光として狭帯域の光を射出する副画素を備える透過型のカラーフィルタが実現される。
上記構成によれば、波長選択性が高められた、すなわち、透過光として狭帯域の光を射出する副画素を備える透過型のカラーフィルタが実現される。
上記構成において、各共鳴構造部において、前記第1低屈折率領域と、前記第1低屈折率部と、前記第2低屈折率領域のなかで前記第1低屈折率部に隣接する部分とは、相互に連続する1つの構造体である第1構造体であり、前記第3低屈折率領域と、前記第2低屈折率部と、前記第2低屈折率領域のなかで前記第2低屈折率部に隣接する部分とは、相互に連続する1つの構造体である第2構造体であってもよい。
上記構成によれば、1つの構造体である部分を、1つの工程にて製造することができるため、カラーフィルタの容易な製造が可能である。
上記構成によれば、1つの構造体である部分を、1つの工程にて製造することができるため、カラーフィルタの容易な製造が可能である。
上記構成において、前記第1構造体と前記第1高屈折率部および前記第2高屈折率部との屈折率差は0.2よりも大きく、前記第2構造体と前記第1高屈折率部および前記第2高屈折率部との屈折率差は0.2よりも大きくてもよい。
上記構成によれば、各格子領域にて、導波モード共鳴現象が好適に生じやすいため、副画素における波長選択性がより高められる。
上記構成によれば、各格子領域にて、導波モード共鳴現象が好適に生じやすいため、副画素における波長選択性がより高められる。
上記構成において、前記第1構造体を構成する材料は、紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、および、熱可塑性樹脂のいずれかであり、前記第2構造体を構成する材料は、紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、および、熱可塑性樹脂のいずれかであり、前記第1高屈折率部および前記第2高屈折率部を構成する材料は、無機化合物を含んでもよい。
上記構成によれば、各格子領域にて、導波モード共鳴現象が好適に生じやすいため、副画素における波長選択性がより高められる。また、カラーフィルタの製造に要する材料費の低減や、ナノインプリント法等の簡便な製造方法の適用が可能である。
上記構成において、各共鳴構造部において、前記第2低屈折率領域は、前記第1高屈折率部および前記第2高屈折率部と同一の材料から構成された第3高屈折率部を有し、前記第3高屈折率部は、前記表面と対向する方向から見て互いに隣り合う前記第1高屈折率部と前記第2高屈折率部との端部間で、前記第2低屈折率領域の厚さ方向に沿って延びていてもよい。
上記構成によれば、真空蒸着法を利用した高屈折率部の形成が可能であり、サブ波長格子の好適な形成が可能である。そして、この場合であっても、導波モード共鳴現象を生じさせるための第2低屈折率領域の構成が好適に実現される。
上記課題を解決するカラーフィルタの製造方法は、入射光を透過する材料から構成される副画素を備えるカラーフィルタの製造方法であって、前記副画素を製造する工程は、第1低屈折率材料からなる層の表面に、サブ波長周期で並ぶ複数の凸部と、前記複数の凸部の並ぶ方向に沿って前記凸部と交互に並ぶ凹部であって、前記表面と対向する方向から見て前記複数の凸部の面積と等しい面積を有する複数の凹部とを形成することによって、前記凸部と前記凹部とを有する凹凸構造層を形成する第1工程と、前記第1低屈折率材料よりも高い屈折率を有する高屈折率材料を用いて、前記凹凸構造層の表面に、前記凸部の高さよりも小さい厚さを有する高屈折率層を形成する第2工程であって、前記高屈折率層として、前記凹部上に位置する第1サブ波長格子と、前記凸部上に位置して前記第1サブ波長格子と同一の格子周期を有する第2サブ波長格子とを含む層を形成する第2工程と、前記凹凸構造層と前記高屈折率層とからなる構造体を2つ用いて、2つの前記構造体を前記高屈折率層同士が向かい合うように対向させ、2つの前記構造体の間の領域を、前記高屈折率材料よりも低い屈折率を有する第2低屈折率材料で埋めることにより、前記第2低屈折率材料からなる埋め込み層を形成する第3工程と、を含む。
上記製法によって、上記カラーフィルタ、すなわち、副画素の波長選択性が高められたカラーフィルタが製造できる。そして、上記製法によれば、サブ波長格子に接する層の精密な膜厚の制御を要さずに、副画素の波長選択性が高められたカラーフィルタを容易に製造することができる。
上記製法において、前記第1工程では、前記第1低屈折率材料である樹脂からなる塗工層に凹版を押し付け、前記樹脂を硬化させた後に前記凹版を離型して前記凹版の有する凹凸を前記樹脂に転写することにより、前記凹凸構造層を形成し、前記第2工程では、前記高屈折率材料として無機化合物を含む材料を用いて、前記高屈折率層を形成し、前記第3工程では、2つの前記構造体の間の領域に、前記第2低屈折率材料である樹脂を配置し、配置した樹脂を硬化させることにより、前記埋め込み層を形成してもよい。
上記製法によれば、ナノインプリント法を用いて凹凸構造層の形成が行われるため、微細な凹凸を有する凹凸構造層を好適に、かつ、簡便に形成することができる。
本発明によれば、カラーフィルタにおける副画素の波長選択性を高めることができる。
(第1実施形態)
図1〜図11を参照して、カラーフィルタ、および、カラーフィルタの製造方法の第1実施形態について説明する。
図1〜図11を参照して、カラーフィルタ、および、カラーフィルタの製造方法の第1実施形態について説明する。
[カラーフィルタの構成]
図1が示すように、カラーフィルタ100は、マトリックス状に並ぶ複数の画素110を備え、各画素110は、3つの副画素10から構成されている。3つの副画素10は、すなわち、赤色用副画素10R、緑色用副画素10G、および、青色用副画素10Bである。
図1が示すように、カラーフィルタ100は、マトリックス状に並ぶ複数の画素110を備え、各画素110は、3つの副画素10から構成されている。3つの副画素10は、すなわち、赤色用副画素10R、緑色用副画素10G、および、青色用副画素10Bである。
第1実施形態のカラーフィルタ100は、反射型のカラーフィルタであって、表示装置に備えられる。カラーフィルタ100に対して、表示装置の表示面を見る観察者の位置する側が、カラーフィルタ100の表面側であり、カラーフィルタ100に対して、表面側と反対の側が、カラーフィルタ100の裏面側である。カラーフィルタ100には、表面側から、光が照射される。カラーフィルタ100に照射される光の強度は、副画素ごとに、液晶装置等によって変更可能に構成されている。
カラーフィルタ100への入射光の波長域は特に限定されないが、例えば、入射光は、人間の肉眼で視認可能な光、すなわち、可視領域の光である。以下において、可視領域の光の波長は、400nm以上800nm以下としている。
赤色用副画素10Rは、赤色用副画素10Rに入射した光のなかで赤色の光を選択的に反射する。緑色用副画素10Gは、緑色用副画素10Gに入射した光のなかで緑色の光を選択的に反射する。青色用副画素10Bは、青色用副画素10Bに入射した光のなかで青色の光を選択的に反射する。
[副画素の構成]
図2および図3を参照して、副画素10の詳細構造を説明する。以下で説明する構造は、赤色用副画素10Rと緑色用副画素10Gと青色用副画素10Bとに共通の構造である。
図2および図3を参照して、副画素10の詳細構造を説明する。以下で説明する構造は、赤色用副画素10Rと緑色用副画素10Gと青色用副画素10Bとに共通の構造である。
まず、図2を参照して、副画素10が備える共鳴構造部の構成について説明する。
図2が示すように、共鳴構造部11は、第1低屈折率領域12、第1格子領域13、第2低屈折率領域14、第2格子領域15、および、第3低屈折率領域16を備えている。第1低屈折率領域12、第1格子領域13、第2低屈折率領域14、第2格子領域15、および、第3低屈折率領域16の各々は、層状に広がっており、この順に並んでいる。各領域の並ぶ方向が第1方向であり、第1方向は、すなわち、各領域の厚さ方向であり、カラーフィルタ100の厚さ方向である。図2においては、共鳴構造部11の断面構造を示すとともに、第1格子領域13の平面構造と第2格子領域15の平面構造とを、これらの領域を一部破断させて示している。
図2が示すように、共鳴構造部11は、第1低屈折率領域12、第1格子領域13、第2低屈折率領域14、第2格子領域15、および、第3低屈折率領域16を備えている。第1低屈折率領域12、第1格子領域13、第2低屈折率領域14、第2格子領域15、および、第3低屈折率領域16の各々は、層状に広がっており、この順に並んでいる。各領域の並ぶ方向が第1方向であり、第1方向は、すなわち、各領域の厚さ方向であり、カラーフィルタ100の厚さ方向である。図2においては、共鳴構造部11の断面構造を示すとともに、第1格子領域13の平面構造と第2格子領域15の平面構造とを、これらの領域を一部破断させて示している。
第1格子領域13は、第1方向に沿って、第1低屈折率領域12と第2低屈折率領域14とに挟まれており、これらの領域の各々と接している。第1格子領域13は、複数の第1高屈折率部13aと複数の第1低屈折率部13bとを有する。第1高屈折率部13aと第1低屈折率部13bとの各々は、第1方向に沿った方向から見て、1つの方向である第2方向に沿って延びる帯形状を有している。第1高屈折率部13aと第1低屈折率部13bとは、第2方向と直交する第3方向に沿って交互に並んでいる。第2方向と第3方向とは、カラーフィルタ100の表面に沿った方向であって、第2方向と第3方向との各々は、第1方向と直交する。
第2格子領域15は、第1方向に沿って、第2低屈折率領域14と第3低屈折率領域16とに挟まれて、これらの領域の各々と接している。第2格子領域15は、複数の第2高屈折率部15aと複数の第2低屈折率部15bとを有する。第2高屈折率部15aと第2低屈折率部15bとの各々は、第1方向に沿った方向から見て、第2方向に沿って延びる帯形状を有し、第2高屈折率部15aと第2低屈折率部15bとは、第3方向に沿って交互に並んでいる。すなわち、第1高屈折率部13aおよび第1低屈折率部13bの延びる方向と、第2高屈折率部15aおよび第2低屈折率部15bの延びる方向とは一致しており、第1高屈折率部13aおよび第1低屈折率部13bの並ぶ方向と、第2高屈折率部15aおよび第2低屈折率部15bの並ぶ方向とは一致している。そして、第1方向に沿った方向から見て、第1高屈折率部13aと第2低屈折率部15bとが重なり、第2高屈折率部15aと第1低屈折率部13bとが重なっている。なお、図2においては、第1格子領域13と第2格子領域15との平面構造について、第1高屈折率部13aと第2高屈折率部15aとにドットを付して示している。
第1高屈折率部13aと第2高屈折率部15aとは、同一の材料から構成されており、すなわち、第1高屈折率部13aの屈折率と第2高屈折率部15aの屈折率とは互いに等しい。第1高屈折率部13aおよび第2高屈折率部15aの屈折率は、第1低屈折率部13b、および、第2低屈折率部15bの各々の屈折率よりも高い。さらに、第1高屈折率部13aおよび第2高屈折率部15aの屈折率は、第1低屈折率領域12、第2低屈折率領域14、および、第3低屈折率領域16の各々の屈折率よりも高い。
第1低屈折率領域12、第2低屈折率領域14、第3低屈折率領域16、第1低屈折率部13b、および、第2低屈折率部15bの各々は、同一の材料から構成されており、すなわち、これらの屈折率はすべて等しい。第1低屈折率領域12の屈折率は、領域内の部位に依らず一定であり、第2低屈折率領域14の屈折率もまた、領域内の部位に依らず一定であり、第3低屈折率領域16の屈折率もまた、領域内の部位に依らず一定である。
第3方向における第1高屈折率部13aの長さが第1高要素幅Dh1であり、第3方向における第1低屈折率部13bの長さが第1低要素幅Dl1である。第1高要素幅Dh1と第1低要素幅Dl1との合計の長さが、第1格子領域13における第1高屈折率部13aと第1低屈折率部13bとの配列の周期である第1周期P1である。
第3方向における第2高屈折率部15aの長さが第2高要素幅Dh2であり、第3方向における第2低屈折率部15bの長さが第2低要素幅Dl2である。第2高要素幅Dh2と第2低要素幅Dl2との合計の長さが、第2格子領域15における第2高屈折率部15aと第2低屈折率部15bとの配列の周期である第2周期P2である。
第1高要素幅Dh1と、第1低要素幅Dl1と、第2高要素幅Dh2と、第2低要素幅Dl2とは、すべて等しい。そして、第1周期P1と第2周期P2とは一致している。
第1周期P1と第2周期P2とは、可視領域の光の波長よりも小さく、すなわち、第1周期P1および第2周期P2の各々は、サブ波長周期である。こうした構成において、第1格子領域13における複数の第1高屈折率部13aと第2格子領域15における複数の第2高屈折率部15aとは、それぞれの領域にて、導波モード共鳴現象を生じさせるサブ波長格子を構成している。第1高屈折率部13aが構成するサブ波長格子と第2高屈折率部15aが構成するサブ波長格子とは、同一の格子周期を有している。すなわち、共鳴構造部11は、第1方向に間をあけて並ぶ2つのサブ波長格子がこれらのサブ波長格子を構成する材料よりも屈折率の低い材料で埋め込まれた構造を有している。
また、第1格子領域13の厚さが、第1領域厚さT1であり、第2格子領域15の厚さが、第2領域厚さT2である。第1領域厚さT1と第2領域厚さT2とは、一致している。なお、第1低屈折率領域12、第2低屈折率領域14、および、第3低屈折率領域16の各々の厚さは特に限定されない。
上記構成において、第1格子領域13の屈折率は、第1格子領域13における第1高屈折率部13aと第1低屈折率部13bとの体積比率に応じて、第1高屈折率部13aの屈折率と第1低屈折率部13bの屈折率とを均した平均屈折率に近似される。第1格子領域13における第1高屈折率部13aと第1低屈折率部13bとの体積比率は1:1であるため、第1格子領域13の平均屈折率は、第1高屈折率部13aの屈折率と第1低屈折率部13bの屈折率との平均値である。
同様に、第2高屈折率部15aと第2低屈折率部15bとの体積比率は1:1であるため、第2格子領域15の平均屈折率は、第2高屈折率部15aの屈折率と第2低屈折率部15bの屈折率との平均値であり、第1格子領域13の平均屈折率と一致する。そして、第1格子領域13における第1高屈折率部13aの体積比率と、第2格子領域15における第2高屈折率部15aの体積比率とは等しい。
ここで、第1格子領域13および第2格子領域15の各々において導波モード共鳴現象を生じさせるためには、第1格子領域13の屈折率と、第1格子領域13を挟む第1低屈折率領域12および第2低屈折率領域14の各々の屈折率との差は、いずれも0.1よりも大きいことが好ましい。同様に、第2格子領域15の屈折率と、第2格子領域15を挟む第2低屈折率領域14および第3低屈折率領域16の各々の屈折率との差は、いずれも0.1よりも大きいことが好ましい。
したがって、第1高屈折率部13aおよび第2高屈折率部15aを構成する高屈折率材料の屈折率と、第1低屈折率領域12、第2低屈折率領域14、第3低屈折率領域16、第1低屈折率部13b、および、第2低屈折率部15bを構成する低屈折率材料の屈折率との差は0.2より大きいことが好ましい。
カラーフィルタ100への入射光が可視領域の光である場合には、低屈折率材料としては、合成石英等の無機物や、紫外線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の高分子材料を用いることが可能であり、この場合、高屈折率材料としては、TiO2(酸化チタン)、Nb2O5(酸化ニオブ)、Ta2O5(酸化タンタル)、ZrO(酸化ジルコニウム)、ZnS(硫化亜鉛)等の無機誘電体材料を用いることができる。低屈折率材料と高屈折率材料とは、いずれも、入射光を透過する材料である。
続いて、図3を参照して、副画素10の構成について説明する。
図3が示すように、副画素10は、2つの基材18の間に、2つの共鳴構造部11を備えている。2つの共鳴構造部11である第1共鳴構造部11Aと第2共鳴構造部11Bとは、第1方向に隣り合っており、第1共鳴構造部11Aの第1低屈折率領域12は一方の基材18に接し、第2共鳴構造部11Bの第1低屈折率領域12は他方の基材18に接している。すなわち、副画素10は、第1方向に間をあけて並ぶ4つのサブ波長格子を有し、これらのサブ波長格子が低屈折率材料に埋め込まれた構造を有している。なお、一方の基材18に対する他方の基材18の側がカラーフィルタ100の表面側であり、他方の基材18に対する一方の基材18の側がカラーフィルタ100の裏面側である。
図3が示すように、副画素10は、2つの基材18の間に、2つの共鳴構造部11を備えている。2つの共鳴構造部11である第1共鳴構造部11Aと第2共鳴構造部11Bとは、第1方向に隣り合っており、第1共鳴構造部11Aの第1低屈折率領域12は一方の基材18に接し、第2共鳴構造部11Bの第1低屈折率領域12は他方の基材18に接している。すなわち、副画素10は、第1方向に間をあけて並ぶ4つのサブ波長格子を有し、これらのサブ波長格子が低屈折率材料に埋め込まれた構造を有している。なお、一方の基材18に対する他方の基材18の側がカラーフィルタ100の表面側であり、他方の基材18に対する一方の基材18の側がカラーフィルタ100の裏面側である。
基材18は板状を有し、入射光を透過する材料から構成されている。入射光が可視領域の光である場合には、基材18としては、例えば、合成石英基板や、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレート等の樹脂からなるフィルムが用いられる。
2つの共鳴構造部11A,11Bにおいて、高屈折率部13a,15aの延びる方向は一致している。すなわち、副画素10が含むすべての第1高屈折率部13aおよび第2高屈折率部15aは、第2方向に沿って延び、副画素10が含むすべての第1低屈折率部13bおよび第2低屈折率部15bもまた、第2方向に沿って延びている。そして、副画素10が有する4つの格子領域13,15の各々にて、高屈折率部13a,15aと低屈折率部13b,15bとは、第3方向に沿って交互に並んでいる。すなわち、副画素10が有する4つのサブ波長格子について、サブ波長格子の配列方向は同一である。
なお、第1方向に沿った方向から見て、第1共鳴構造部11Aの第1高屈折率部13aは、第2共鳴構造部11Bの第1高屈折率部13aと重なってもよいし、第2共鳴構造部11Bの第2高屈折率部15aと重なってもよいし、第2共鳴構造部11Bの第1高屈折率部13aの一部および第2高屈折率部15aの一部と重なってもよい。
第1共鳴構造部11Aと第2共鳴構造部11Bとは、これらの境界部分で、低屈折率領域を共有していてもよい。例えば、図3が示す例では、第1共鳴構造部11Aの備える第3低屈折率領域16と、第2共鳴構造部11Bの備える第3低屈折率領域16とは連続しており、これらの領域の境界は存在しない。
1つの共鳴構造部11内において、第1格子領域13の第1周期P1と第2格子領域15の第2周期P2とは同一であり、この周期が当該共鳴構造部11の構造周期Pkである。第1共鳴構造部11Aの構造周期Pkと、第2共鳴構造部11Bの構造周期Pkとは、相互に等しい。副画素10が含む4つのサブ波長格子のパターンはすべて同一であり、共鳴構造部11A,11Bにおいて高要素幅Dh1,Dh2はすべて等しく、領域厚さT1,T2はすべて等しい。
[カラーフィルタの作用]
以下では、第1共鳴構造部11Aに対して第2共鳴構造部11Bの位置する側がカラーフィルタ100の表面側であるとして、カラーフィルタ100の作用について説明する。
以下では、第1共鳴構造部11Aに対して第2共鳴構造部11Bの位置する側がカラーフィルタ100の表面側であるとして、カラーフィルタ100の作用について説明する。
カラーフィルタ100の表面側から副画素10に光が入射すると、入射光は、第2共鳴構造部11Bの第1低屈折率領域12を透過して、第2共鳴構造部11Bの第1格子領域13に入る。
第1格子領域13に光が入射すると、第1格子領域13がサブ波長格子を有すること、および、第1格子領域13が、第1格子領域13の屈折率よりも低い屈折率を有する第1低屈折率領域12と第2低屈折率領域14とに挟まれていることから、第1格子領域13では、表面側への回折光の射出が抑えられ、導波モード共鳴現象が発生する。すなわち、特定の波長域の光が第1格子領域13を多重反射しつつ伝播して共鳴を起こし、この特定の波長域の光が、カラーフィルタ100の表面側に反射光として射出される。第1格子領域13で共鳴を起こす光の波長域は、第1格子領域13における第1高要素幅Dh1、第1周期P1、および、第1領域厚さT1によって決まる。
ここで、第1格子領域13を伝播する上記特定の波長域の光が、損失なく第1格子領域13にて多重反射することは起こりにくく、上記特定の波長域の光の一部は、第1格子領域13内での反射ごとに、第2低屈折率領域14に漏れ出る。この漏れ出た光は、第2低屈折率領域14を透過して、第2共鳴構造部11Bの第2格子領域15に入る。
また、上記特定の波長域以外の波長域の光は、第1格子領域13で多重反射せずに、第2低屈折率領域14を透過して、第2格子領域15に入る。
また、上記特定の波長域以外の波長域の光は、第1格子領域13で多重反射せずに、第2低屈折率領域14を透過して、第2格子領域15に入る。
第2格子領域15に光が入射すると、第2格子領域15がサブ波長格子を有すること、および、第2格子領域15が、第2格子領域15の屈折率よりも低い屈折率を有する第2低屈折率領域14と第3低屈折率領域16とに挟まれていることから、第2格子領域15でも、導波モード共鳴現象が発生する。第2格子領域15で共鳴を起こす光の波長域は、第2格子領域15における第2高要素幅Dh2、第2周期P2、および、第2領域厚さT2によって決まる。
第1格子領域13と第2格子領域15とで、第1高要素幅Dh1は第2高要素幅Dh2と一致し、第1周期P1は第2周期P2と一致し、第1領域厚さT1は第2領域厚さT2と一致する。そのため、第2格子領域15で共鳴を起こす光の波長域は、第1格子領域13で共鳴を起こす光の波長域と同じである。
したがって、第2共鳴構造部11Bの第1格子領域13にて多重反射する過程で漏れ出て第2格子領域15に入った光は、第2格子領域15を多重反射しつつ伝播して共鳴を起こし、カラーフィルタ100の表面側に反射光として射出される。
ここでも、第2格子領域15における多重反射の過程で漏れ出た光は、第3低屈折率領域16を透過して、第1共鳴構造部11Aに入る。また、第2格子領域15で多重反射を起こさなかった波長域の光も、第3低屈折率領域16を透過して、第1共鳴構造部11Aに入る。
2つの共鳴構造部11A,11Bにおいて、周期P1,P2はすべて等しく、高要素幅Dh1,Dh2はすべて等しく、領域厚さT1,T2はすべて等しいため、第1共鳴構造部11Aに光が入ると、第1共鳴構造部11Aでも、第2共鳴構造部11Bと同様の現象が起こる。
すなわち、第2共鳴構造部11Bの第2格子領域15にて多重反射する過程で漏れ出て第1共鳴構造部11Aの第2格子領域15に入った光が、第1共鳴構造部11Aの第2格子領域15を多重反射しつつ伝播して共鳴を起こし、カラーフィルタ100の表面側に反射光として射出される。さらに、第1共鳴構造部11Aでは、第2格子領域15にて多重反射する過程で漏れ出て第1格子領域13に入った光が、第1格子領域13を多重反射しつつ伝播して共鳴を起こし、カラーフィルタ100の表面側に反射光として射出される。
そして、いずれの格子領域13,15でも多重反射を起こさなかった波長域の光は、第1共鳴構造部11Aを透過して、カラーフィルタ100の裏面側に透過光として射出される。
このように、副画素10が有する4つの格子領域13,15のすべてにおいて、共鳴を起こす光の波長域は一致する。したがって、カラーフィルタ100の表面側から副画素10に光が入射したとき、上層の格子領域にて多重反射する特定の波長域の光のうち、多重反射の過程でこの格子領域から漏れ出た光は、その下層の格子領域に入って多重反射し、こうした現象が、格子領域の数だけ繰り返される。
結果として、カラーフィルタ100の表面側には、第2共鳴構造部11Bの第1格子領域13で強められた波長域の光と、第2共鳴構造部11Bの第2格子領域15で強められた波長域の光と、第1共鳴構造部11Aの第1格子領域13で強められた波長域の光と、第1共鳴構造部11Aの第2格子領域15で強められた波長域の光とが、副画素10から射出される。これらの光の波長域は同じであるから、1つの格子領域のみを有する副画素や、1つの共鳴構造部のみを有する副画素と比較して、副画素10から反射光として射出される上記特定の波長域の光の強度は大きくなり、反射光の波長選択性が高められる。
そして、カラーフィルタ100への入射光に含まれる波長域のなかで、上記反射光として射出された上記特定の波長域を除く波長域の光が、副画素10から、透過光としてカラーフィルタ100の裏面側に射出される。
ここで、赤色用副画素10Rと緑色用副画素10Gと青色用副画素10Bとでは、共鳴構造部11A,11Bの構造周期Pkが互いに異なっている。
ここで、赤色用副画素10Rと緑色用副画素10Gと青色用副画素10Bとでは、共鳴構造部11A,11Bの構造周期Pkが互いに異なっている。
そして、図4が示すように、赤色用副画素10Rは、カラーフィルタ100の表面側から複数の波長の光を含む入射光I1を受けたとき、赤色の反射光Irを表面側に射出するように、共鳴構造部11A,11Bにおける構造周期Pkが設定されている。緑色用副画素10Gは、入射光I1を受けたとき、緑色の反射光Igを表面側に射出するように、共鳴構造部11A,11Bにおける構造周期Pkが設定されている。青色用副画素10Bは、入射光I1を受けたとき、青色の反射光Ibを表面側に射出するように、共鳴構造部11A,11Bにおける構造周期Pkが設定されている。副画素10R,10G,10Bごとに入射光の強度が変更されることによって、画素110として視認される色が変更され、画素110の集合によって表示装置の表示する像が形成される。
上述のように、各副画素10R,10G,10Bが射出する反射光の波長選択性が高められるため、各副画素10R,10G,10Bにおける色の鮮明さや輝度が高められる。
[カラーフィルタの製造方法]
図5〜図8を参照して、上述したカラーフィルタ100の製造方法について説明する。
図5が示すように、副画素10の形成に際しては、まず、基材18の表面に、低屈折率材料からなる層を形成し、この層の表面に凹凸構造を形成することによって、凹凸構造層20を形成する。凹凸構造層20は、基材18に沿って広がる平坦部20aと、平坦部20aから突き出た複数の凸部20bとを有するとともに、凸部20b間に位置する部分である複数の凹部20cを有する。複数の凸部20bは、サブ波長周期で等間隔に配置され、1つの方向に帯状に延びる。複数の凹部20cは、複数の凸部20bと同一のパターンで並んでおり、基材18の表面と対向する方向から見て、複数の凸部20bの面積と複数の凹部20cの面積とは等しい。
図5〜図8を参照して、上述したカラーフィルタ100の製造方法について説明する。
図5が示すように、副画素10の形成に際しては、まず、基材18の表面に、低屈折率材料からなる層を形成し、この層の表面に凹凸構造を形成することによって、凹凸構造層20を形成する。凹凸構造層20は、基材18に沿って広がる平坦部20aと、平坦部20aから突き出た複数の凸部20bとを有するとともに、凸部20b間に位置する部分である複数の凹部20cを有する。複数の凸部20bは、サブ波長周期で等間隔に配置され、1つの方向に帯状に延びる。複数の凹部20cは、複数の凸部20bと同一のパターンで並んでおり、基材18の表面と対向する方向から見て、複数の凸部20bの面積と複数の凹部20cの面積とは等しい。
副画素10からの反射光として得たい波長域に応じて、凸部20bと凹部20cとは、配列の周期Ptが所望の第1周期P1かつ第2周期P2、すなわち、所望の構造周期Pkとなり、凸部20bの幅Dt1が所望の第1低要素幅Dl1かつ第2高要素幅Dh2となり、凹部20cの幅Dt2が所望の第1高要素幅Dh1かつ第2低要素幅Dl2となるように形成される。すなわち、凸部20bの幅Dt1と、凹部20cの幅Dt2とは等しい。凸部20bの高さHtは、所望の第1領域厚さT1よりも大きくなるように形成される。
凹凸構造の形成には、ナノインプリント法やドライエッチング法等の公知の微細加工技術が用いられる。なかでも、ナノインプリント法は、微細な凸部20bおよび凹部20cを簡便に形成できるため好ましい。
例えば、低屈折率材料として紫外線硬化性樹脂を用い、光ナノインプリント法によって凹凸構造層20を形成する場合、まず、基材18の表面に、紫外線硬化性樹脂を塗工する。次いで、紫外線硬化性樹脂からなる塗工層の表面に、形成対象の凸部20bおよび凹部20cからなる凹凸の反転された凹凸を有する凹版である合成石英モールドを押し当て、塗工層および凹版に紫外線を照射する。続いて、硬化した紫外線硬化性樹脂から凹版を離型する。これによって、凹版の有する凹凸が紫外線硬化性樹脂に転写されて凸部20bおよび凹部20cが形成されるとともに、凸部20bおよび凹部20cと基材18との間には、紫外線硬化性樹脂からなる残膜として、平坦部20aが形成される。
次に、図6が示すように、凹凸構造層20の表面に、高屈折率材料からなる高屈折率層21を形成する。高屈折率層21の形成方法としては、真空蒸着法等の公知の成膜技術が用いられる。高屈折率層21は、凸部20b上と凹部20c上とに形成される。すなわち、高屈折率層21は、凹部20c上に位置する第1層状部21aと、凸部20b上に位置する第2層状部21bとを含む。
凹凸構造層20における凸部20bの幅Dt1と凹部20cの幅Dt2とは等しいため、第1層状部21aの幅Ds1と第2層状部21bの幅Ds2とは等しくなる。また、第1層状部21aの配列の周期と第2層状部21bの配列の周期とは周期Ptとなり、互いに等しい。高屈折率層21の厚さは、すなわち、第1層状部21aの厚さTs1であるとともに第2層状部の厚さTs2であり、これらの厚さは等しい。高屈折率層21の厚さは、凸部20bの高さHtよりも小さく、所望の第1領域厚さT1かつ第2領域厚さT2になるように形成される。すなわち、第1層状部21aと第2層状部21bとは、互いに同一のパターンを有するサブ波長格子を構成する。これにより、基材18と凹凸構造層20と高屈折率層21とからなる構造体である凹凸構造体25が形成される。
次に、図7が示すように、2つの凹凸構造体25を、高屈折率層21同士が向かい合うように離間させて対向させ、図8が示すように、2つの凹凸構造体25の間の領域を、凹凸構造層20の形成材料と同じ低屈折率材料で埋めることによって、これらの凹凸構造体25を接合する。凹凸構造体25の有する凹凸は第2層状部21b上まで低屈折率材料で埋められる。2つの凹凸構造体25として、凸部20bの周期Ptが同一である凹凸構造体25を接合することによって、2つの共鳴構造部11A,11Bが同一の構造周期Pkを有する副画素10が形成できる。
図8が示すように、低屈折率材料による埋め込みによって、2つの凹凸構造体25の間に形成される部分が埋め込み層22である。埋め込み層22は、平坦部22aと複数の凸部22bと凸部22b間に位置する凹部22cとを備える。凸部22bは、2つの凹凸構造体25の各々において、凸部20bの間および第2層状部21bの間の空間を埋めている。平坦部22aは、2つの凹凸構造体25の間に位置し、基材18の表面に沿った方向に広がっている。平坦部22aと凸部22bとは、平坦部22aから凸部22bが基材18に向けて突き出るように、繋がっている。
凸部22bの周期は、凹凸構造層20における凸部20bの周期Ptと一致し、凸部22bの幅は、凹部20cの幅Dt2と一致し、凹部22cの幅は、凸部20bの幅Dt1と一致する。凸部20bの高さは、高屈折率層21の厚さよりも大きい。
埋め込み層22の形成方法としては、各種の塗布法等の公知の成膜技術が用いられる。例えば、低屈折率材料として紫外線硬化性樹脂を用いる場合、2つの凹凸構造体25の間の領域に、紫外線硬化性樹脂を配置する。そして、配置した紫外線硬化性樹脂に紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂を硬化させることにより、埋め込み層22を形成する。
なお、2つの凹凸構造体25を対向させた状態において、第1層状部21a同士が向かい合ってもよいし、一方の凹凸構造体25における第1層状部21aと、他方の凹凸構造体25における第2層状部21bとが向かい合ってもよい。あるいは、一方の凹凸構造体25における第1層状部21aは、他方の凹凸構造体25における第1層状部21aの一部および第2層状部21bの一部と向かい合っていてもよい。
以上により、副画素10が形成される。凹凸構造層20の平坦部20aが、第1低屈折率領域12である。高屈折率層21の第1層状部21aと、凹凸構造層20の凸部20bのなかで第1層状部21aに隣接する部分とから第1格子領域13が構成され、第1層状部21aが第1高屈折率部13aであり、凸部20bのなかで第1層状部21aに隣接する部分が第1低屈折率部13bである。凹凸構造層20の凸部20bのなかで第1層状部21aよりも延びている部分と、埋め込み層22の凸部22bのなかで凹凸構造層20の凸部20bに隣接する部分とから第2低屈折率領域14が構成される。
高屈折率層21の第2層状部21bと、埋め込み層22の凸部22bのなかで第2層状部21bに隣接する部分とから第2格子領域15が構成され、第2層状部21bが第2高屈折率部15aであり、凸部22bのなかで第2層状部21bに隣接する部分が第2低屈折率部15bである。埋め込み層22の平坦部22aが、第3低屈折率領域16である。
こうした製造方法によって製造される副画素10においては、共鳴構造部11A,11Bの各々において、第1低屈折率領域12と、第1格子領域13の第1低屈折率部13bとは連続し、第1低屈折率部13bと、第2低屈折率領域14のなかで第1低屈折率部13bに隣接する部分とは連続し、第1低屈折率領域12と、第1低屈折率部13bと、第2低屈折率領域14のなかで第1低屈折率部13bに隣接する部分とは1つの構造体である。また、第2低屈折率領域14のなかで第2格子領域15の第2低屈折率部15bに隣接する部分と、第2低屈折率部15bとは連続し、第2低屈折率部15bと第3低屈折率領域16とは連続し、第2低屈折率領域14のなかで第2低屈折率部15bに隣接する部分と、第2低屈折率部15bと、第3低屈折率領域16とは1つの構造体である。
上述のように、副画素10では、4つの格子領域13,15の各々で強められた波長域の光が射出されることにより、得られる反射光の強度が大きくなる。そのため、第1格子領域13や第2格子領域15に接する層の精密な膜厚の制御を要さずに、具体的には、ナノインプリント法を用いて副画素10を形成する場合には、残膜の膜厚の精密な制御を要さずに、波長選択性の高い反射光を射出する副画素10を製造することができる。したがって、カラーフィルタ100の製造が容易である。
また、凹凸構造体25は、光ナノインプリント法と真空蒸着法とを組み合わせた製造方法によって形成可能であるため、ロール・トゥ・ロール法による製造に適している。したがって、副画素10の構成は、大量生産にも適している。
また、赤色用副画素10Rと緑色用副画素10Gと青色用副画素10Bとの間で、第1共鳴構造部11Aに接する基材18、第1共鳴構造部11Aにおける第1低屈折率領域12、第1格子領域13、第2低屈折率領域14、第2格子領域15、および、第3低屈折率領域16の各々は連続している。同様に、赤色用副画素10Rと緑色用副画素10Gと青色用副画素10Bとの間で、第2共鳴構造部11Bに接する基材18、第2共鳴構造部11Bにおける第1低屈折率領域12、第1格子領域13、第2低屈折率領域14、第2格子領域15、および、第3低屈折率領域16の各々は連続している。
すなわち、赤色用副画素10Rと緑色用副画素10Gと青色用副画素10Bとは、共通した2つの基材18と、これらの画素間で各共鳴構造部11A,11Bにおいて相互に連続した凹凸構造層20と、これらの画素間で相互に連続した埋め込み層22とを有している。
赤色用副画素10Rと緑色用副画素10Gと青色用副画素10Bとの各々における凹凸構造層20は、例えば、ナノインプリント法を用いて、各副画素10R,10G,10Bに対応する部分で凹凸の周期を変えた合成石英モールドを用いることによって、同時に形成することができる。また、2つの凹凸構造体25の各々において、高屈折率層21の各副画素10R,10G,10Bに対応する部分は、同時に形成することができる。さらに、埋め込み層22も、各副画素10R,10G,10Bに対応する部分を同時に形成することができる。したがって、3種類の色の副画素10R,10G,10Bを有するカラーフィルタ100を容易に形成することができる。
なお、真空蒸着法を用いて高屈折率層21を形成する場合、凹凸構造層20の凸部20bの側面にも、高屈折率材料が付着する場合がある。その結果、図9が示すように、副画素10が有する各共鳴構造部11A,11Bにおいて、第2低屈折率領域14は、第1方向に沿った方向から見て互いに隣り合う第1高屈折率部13aと第2高屈折率部15aとの端部間を繋ぐように、第2低屈折率領域14の厚さ方向に延びる第3高屈折率部17を含む。なお、第3高屈折率部17は、第1高屈折率部13aと第2高屈折率部15aとを完全に繋いでいなくてもよく、第3高屈折率部17と第1高屈折率部13aや第2高屈折率部15aは離れていてもよい。
第3高屈折率部17が存在する場合であっても、第2低屈折率領域14における第3高屈折率部17の体積比率は微小であって、第2低屈折率領域14においては、低屈折率材料によって構成される部分が支配的である。そのため、第2低屈折率領域14の屈折率は、第1低屈折率領域12および第3低屈折率領域16の各々の屈折率よりもわずかに大きくなるが、第1格子領域13および第2格子領域15の各々の屈折率よりは十分に小さい。したがって、第1格子領域13および第2格子領域15の各々が、これらの領域よりも屈折率の低い領域に挟まれた、導波モード共鳴現象に適した構造が実現される。
[光学デバイスの変形例]
上述の製造方法において、紫外線硬化性樹脂に代えて熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を用いて、ナノインプリント法により凹凸構造層20を形成してもよい。熱硬化性樹脂を用いる場合、紫外線の照射を加熱に変更すればよく、熱可塑性樹脂を用いる場合、紫外線の照射を、加熱および冷却に変更すればよい。
上述の製造方法において、紫外線硬化性樹脂に代えて熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を用いて、ナノインプリント法により凹凸構造層20を形成してもよい。熱硬化性樹脂を用いる場合、紫外線の照射を加熱に変更すればよく、熱可塑性樹脂を用いる場合、紫外線の照射を、加熱および冷却に変更すればよい。
ただし、熱可塑性樹脂を用いて凹凸構造層20を形成した場合、埋め込み層22の形成に際して、凹凸構造層20が加熱されて変形することを抑えるために、熱可塑性樹脂とは異なる材料を用いて埋め込み層22を形成することが好ましい。
例えば、図10が示すように、凹凸構造層20を熱可塑性樹脂から形成し、埋め込み層22を紫外線硬化性樹脂から形成してもよい。この場合、凹凸構造層20を構成する低屈折率材料の屈折率と、埋め込み層22を構成する低屈折率材料の屈折率とは、互いに異なっていてもよく、それぞれの低屈折率材料の屈折率が高屈折率層21を構成する高屈折率材料の屈折率よりも低ければよい。
凹凸構造層20を構成する低屈折率材料の屈折率と、埋め込み層22を構成する低屈折率材料の屈折率とが互いに異なるとき、製造された副画素10においては、第1低屈折率領域12、第2低屈折率領域14、および、第3低屈折率領域16の各々の屈折率は、互いに異なる。また、第2低屈折率領域14は、互いに異なる屈折率を有する材料から構成された帯状の部分が、第2方向に沿って延び、第3方向に沿って交互に並ぶ構造を有する。
なお、凹凸構造層20を熱可塑性樹脂から形成し、埋め込み層22を熱可塑性樹脂とは異なる材料から形成する場合に限らず、凹凸構造層20を構成する低屈折率材料の屈折率と、埋め込み層22を構成する低屈折率材料の屈折率とは、互いに異なっていてもよい。また、副画素10の形成に用いられる2つの凹凸構造体25において、凹凸構造層20を構成する低屈折率材料や高屈折率層21を構成する高屈折率材料は互いに異なっていてもよい。
要は、凹凸構造層20および埋め込み層22の各々を構成する低屈折率材料の屈折率が、高屈折率層21を構成する高屈折率材料の屈折率よりも低ければよい。そして、製造された副画素10では、各共鳴構造部11A,11Bにおいて、第1格子領域13および第2格子領域15の屈折率の各々よりも、第1低屈折率領域12、第2低屈折率領域14、および、第3低屈折率領域16の屈折率の各々が低ければよい。
また、図11が示すように、凹凸構造体25において、基材18と凹凸構造層20とが互いに連続した1つの構造体であってもよい。すなわち、低屈折率材料からなる基材18の表面に凹凸構造を形成することによって、凹凸構造層20を形成する。例えば、基材18として熱可塑性樹脂からなるシートを用いて、基材18の表面に凹凸構造を形成してもよいし、基材18として合成石英からなる基板を用いて、基材18の表面に凹凸構造を形成してもよい。合成石英基板に対する凹凸構造の形成には、ドライエッチング法等の公知の技術が用いられればよい。この場合、製造された副画素10においては、基材18と第1低屈折率領域12とは互いに連続している。
なお、副画素10は、第1方向に並ぶ3以上の共鳴構造部11を備えていてもよい。副画素10が複数の共鳴構造部11を備える構成において、これらの共鳴構造部11における構造周期Pkが同一であれば、共鳴構造部11の数が多いほど、反射光の強度は高められる。
3以上の共鳴構造部11を備える副画素10の製造に際しては、凹凸構造体25の基材18と凹凸構造層20とが、凹凸構造層20から基材18を剥離可能な材料から形成される。そして、2つの凹凸構造体25が低屈折率材料によって接合されたのち、一方の基材18が剥離され、露出された凹凸構造層20と他の凹凸構造体25とがさらに低屈折率材料を挟んで接合されることが繰り返されることによって、6以上のサブ波長格子を有する副画素10が形成される。
以上、第1実施形態によれば、以下に列挙する効果が得られる。
(1)副画素10において、共鳴構造部11の各格子領域13,15に光が入射すると、各格子領域13,15では、導波モード共鳴現象が発生する。1つの共鳴構造部11において、第1格子領域13で共鳴を起こす光の波長域と第2格子領域15で共鳴を起こす光の波長域とは一致し、2つの格子領域13,15の各々で強められた波長域の光が反射光として射出される。一方、入射光のなかで上記強められた波長域を除く波長域の光が、共鳴構造部11を透過する。副画素10が複数の共鳴構造部11を備えていることにより、射出される反射光の強度の調整や、反射光および透過光の波長域の調整の自由度が高くなる。すなわち、副画素から射出される光の強度を高くすることや、副画素から射出される光の波長域を狭くすることが可能であり、副画素の波長選択性を高めることができる。
(1)副画素10において、共鳴構造部11の各格子領域13,15に光が入射すると、各格子領域13,15では、導波モード共鳴現象が発生する。1つの共鳴構造部11において、第1格子領域13で共鳴を起こす光の波長域と第2格子領域15で共鳴を起こす光の波長域とは一致し、2つの格子領域13,15の各々で強められた波長域の光が反射光として射出される。一方、入射光のなかで上記強められた波長域を除く波長域の光が、共鳴構造部11を透過する。副画素10が複数の共鳴構造部11を備えていることにより、射出される反射光の強度の調整や、反射光および透過光の波長域の調整の自由度が高くなる。すなわち、副画素から射出される光の強度を高くすることや、副画素から射出される光の波長域を狭くすることが可能であり、副画素の波長選択性を高めることができる。
(2)複数の共鳴構造部11の構造周期Pkが、複数の共鳴構造部11において等しい構成によれば、各格子領域13,15で共鳴を起こす光の波長域は一致し、各格子領域13,15で強められた特定の波長域の反射光が副画素10から射出されるため、反射光として射出される上記特定の波長域の光の強度はより大きくなり、反射光の波長選択性がより高められる。そして、副画素10ごとに構造周期Pkが異なることによって、副画素10ごとに射出される反射光の色を異ならせることができる。反射光の色の違いが、副画素10ごとの構造周期Pkの違いによって実現されるため、色の違いによる副画素10の製造工程の差異が小さく、カラーフィルタ100の製造が容易である。
そして、副画素10ごとの構造周期Pkの違いによって、赤色の光を選択的に反射する赤色用副画素10Rと、緑色の光を選択的に反射する緑色用副画素10Gと、青色の光を選択的に反射する青色用副画素10Bとが実現されることにより、波長選択性が高められた、すなわち、射出する反射光の強度が高められた副画素10を備える反射型のカラーフィルタ100が実現される。こうしたカラーフィルタ100によれば、各副画素10における色の鮮明さや輝度が高められる。
(3)低屈折率材料からなる凹凸構造層20を形成する工程と、凹凸構造層20の表面に高屈折率層21を形成する工程と、凹凸構造層20と高屈折率層21とからなる2つの凹凸構造体25を向かい合わせて、その間を低屈折率材料からなる埋め込み層22で埋める工程とによって、副画素10が形成される。したがって、サブ波長格子に接する層の精密な膜厚の制御を要さずに、副画素10の波長選択性が高められたカラーフィルタ100を容易に製造することができる。
(4)特に、低屈折率材料として樹脂を用い、樹脂からなる塗工層に凹版を押し付けて樹脂の硬化によって凹凸構造層20を形成する製法では、ナノインプリント法を用いて凹凸構造層20の形成が行われるため、微細な凹凸を有する凹凸構造層20を好適に、かつ、簡便に形成することができる。
(5)各共鳴構造部11において、第1低屈折率領域12と、第1低屈折率部13bと、第2低屈折率領域14のなかで第1低屈折率部13bに隣接する部分とが、相互に連続する1つの構造体であり、第3低屈折率領域16と、第2低屈折率部15bと、第2低屈折率領域14のなかで第2低屈折率部15bに隣接する部分とが、相互に連続する1つの構造体である構成では、1つの構造体である部分の各々を、上述の製造方法を用いて1つの工程にて製造することができるため、カラーフィルタ100の容易な製造が可能である。
(6)上記各構造体と第1高屈折率部13aおよび第2高屈折率部15aとの屈折率差が0.2よりも大きい構成では、各格子領域13,15にて、導波モード共鳴現象が好適に生じやすいため、副画素10の波長選択性がより高められる。
(7)上記各構造体を構成する低屈折率材料が、紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、および、熱可塑性樹脂のいずれかであり、第1高屈折率部13aおよび第2高屈折率部15aを構成する材料が、無機化合物を含む構成では、各格子領域13,15にて、導波モード共鳴現象が好適に生じやすいため、副画素10の波長選択性がより高められる。また、カラーフィルタ100の製造に要する材料費の低減や、ナノインプリント法等の簡便な製造方法の適用が可能である。
(8)第2低屈折率領域14が、第1方向に沿った方向から見て互いに隣り合う第1高屈折率部13aと第2高屈折率部15aとの端部間で、第2低屈折率領域14の厚さ方向に沿って延びる第3高屈折率部17を備える構成では、真空蒸着法を利用した高屈折率部13a,15aの形成が可能であり、サブ波長格子の好適な形成が可能である。そして、この場合であっても、導波モード共鳴現象を生じさせるための第2低屈折率領域14の構成が好適に実現される。
(第2実施形態)
図12および図13を参照して、カラーフィルタ、および、カラーフィルタの製造方法の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1共鳴構造部と第2共鳴構造部とが互いに異なる構造周期を有していることが、第1実施形態と異なる。以下では、第2実施形態と第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
図12および図13を参照して、カラーフィルタ、および、カラーフィルタの製造方法の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1共鳴構造部と第2共鳴構造部とが互いに異なる構造周期を有していることが、第1実施形態と異なる。以下では、第2実施形態と第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
第2実施形態のカラーフィルタ100は、透過型のカラーフィルタであり、カラーフィルタ100には、裏面側から、すなわち、カラーフィルタ100に対して、表示装置の表示面を見る観察者の位置する側とは反対側から、光が照射される。カラーフィルタ100に照射される光の強度は、副画素ごとに、液晶装置等によって変更可能に構成されている。
第2実施形態においては、赤色用副画素10Rは、赤色用副画素10Rに入射した光のなかで赤色の光を選択的に透過する。緑色用副画素10Gは、緑色用副画素10Gに入射した光のなかで緑色の光を選択的に透過する。青色用副画素10Bは、青色用副画素10Bに入射した光のなかで青色の光を選択的に透過する。
[副画素の構成]
図12を参照して、第2実施形態の副画素10の詳細構造を説明する。
図12が示すように、副画素10は、第1実施形態と同様に、2つの基材18の間に、2つの共鳴構造部11を備えている。第1実施形態と同様に、2つの共鳴構造部11A,11Bにおいて、高屈折率部13a,15aの延びる方向は一致しており、副画素10が有する4つのサブ波長格子について、サブ波長格子の配列方向は同一である。そして、1つの共鳴構造部11内において、第1格子領域13の第1周期P1と第2格子領域15の第2周期P2とは同一であり、この周期が当該共鳴構造部11の構造周期Pkである。
図12を参照して、第2実施形態の副画素10の詳細構造を説明する。
図12が示すように、副画素10は、第1実施形態と同様に、2つの基材18の間に、2つの共鳴構造部11を備えている。第1実施形態と同様に、2つの共鳴構造部11A,11Bにおいて、高屈折率部13a,15aの延びる方向は一致しており、副画素10が有する4つのサブ波長格子について、サブ波長格子の配列方向は同一である。そして、1つの共鳴構造部11内において、第1格子領域13の第1周期P1と第2格子領域15の第2周期P2とは同一であり、この周期が当該共鳴構造部11の構造周期Pkである。
ただし、第2実施形態では、第1共鳴構造部11Aの構造周期Pkと、第2共鳴構造部11Bの構造周期Pkとは、互いに異なっている。換言すれば、副画素10が含む4つのサブ波長格子のパターンは共鳴構造部11A,11Bごとに異なる。すなわち、高要素幅Dh1,Dh2は共鳴構造部11A,11Bごとに異なる。領域厚さT1,T2はすべて等しくてもよいし、共鳴構造部11A,11Bごとに異なってもよい。
こうした副画素10は、第1実施形態と同様の製造方法にて、2つの凹凸構造体25として、凸部20bの周期Ptが互いに異なる凹凸構造体25を接合することによって、形成される。
[カラーフィルタの作用]
以下では、第1共鳴構造部11Aに対して第2共鳴構造部11Bの位置する側がカラーフィルタ100の表面側であるとして、カラーフィルタ100の作用について説明する。
以下では、第1共鳴構造部11Aに対して第2共鳴構造部11Bの位置する側がカラーフィルタ100の表面側であるとして、カラーフィルタ100の作用について説明する。
副画素10において、2つの共鳴構造部11A,11Bが互いに異なる構造周期Pkを有するため、第1共鳴構造部11Aの有する格子領域13,15にて共鳴を起こす光の波長域と、第2共鳴構造部11Bの有する格子領域13,15にて共鳴を起こす光の波長域とは、互いに異なる。
したがって、カラーフィルタ100の裏面側から副画素10に光が入射したとき、第1共鳴構造部11Aの各格子領域13,15で特定の波長域の光が多重反射し、多重反射しなかった波長域の光は、第1共鳴構造部11Aを透過して、第2共鳴構造部11Bに入る。第1共鳴構造部11Aにおいて、第1格子領域13で共鳴を起こす光の波長域と第2格子領域15で共鳴を起こす光の波長域とは一致する。
そして、第2共鳴構造部11Bでは、第1共鳴構造部11Aとは異なる波長域の光が、第2共鳴構造部11Bの各格子領域13,15で多重反射する。第2共鳴構造部11Bにおいて、第1格子領域13で共鳴を起こす光の波長域と第2格子領域15で共鳴を起こす光の波長域とは一致する。各格子領域13,15にて多重反射しなかった波長域の光は、第2共鳴構造部11Bを透過して、カラーフィルタ100の表面側に射出される。
結果として、カラーフィルタ100の裏面側には、第1共鳴構造部11Aの有する格子領域13,15にて強められた第1の波長域の光と、第2共鳴構造部11Bの有する格子領域13,15にて強められた第2の波長域の光とを含む反射光が副画素10から射出される。
一方、カラーフィルタ100の表面側には、カラーフィルタ100への入射光に含まれる波長域のなかで、上記反射光として射出された第1の波長域および第2の波長域を除く波長域の光が透過光として副画素10から射出される。こうした構成によれば、副画素10にて、反射光の強度を高めつつ反射光に含まれる波長域を拡げること、および、透過光に含まれる波長域を狭めることが可能である。
ここで、赤色用副画素10Rと緑色用副画素10Gと青色用副画素10Bとでは、第1共鳴構造部11Aの構造周期Pkと、第2共鳴構造部11Bの構造周期Pkとの組み合わせが、互いに異なっている。すなわち、赤色用副画素10Rにおける第1共鳴構造部11Aの構造周期Pkと、第2共鳴構造部11Bの構造周期Pkとの組み合わせと、緑色用副画素10Gにおける第1共鳴構造部11Aの構造周期Pkと、第2共鳴構造部11Bの構造周期Pkとの組み合わせとでは、第1共鳴構造部11Aの構造周期Pkと、第2共鳴構造部11Bの構造周期Pkとの少なくとも一方が異なる。緑色用副画素10Gと青色用副画素10Bとにおける構造周期Pkの組み合わせ、赤色用副画素10Rと青色用副画素10Bとにおける構造周期Pkの組み合わせについても同様である。
そして、図13が示すように、赤色用副画素10Rは、カラーフィルタ100の裏面側から複数の波長の光を含む入射光I1を受けたとき、赤色の透過光Irを表面側に射出するように、共鳴構造部11A,11Bにおける構造周期Pkの組み合わせが設定されている。具体的には、赤色用副画素10Rは、第1共鳴構造部11Aにて緑色の波長域の光が強められて裏面側に反射光として射出され、第2共鳴構造部11Bにて青色の波長域の光が強められて裏面側に反射光として射出されるように構成される。こうした構成によれば、カラーフィルタ100の裏面側から白色の入射光を受けたとき、カラーフィルタ100の表面側には、赤色の透過光が射出されるため、カラーフィルタ100の表面側から見て、赤色用副画素10Rには、赤色が視認される。
同様に、緑色用副画素10Gは、入射光I1を受けたとき、緑色の透過光Igを表面側に射出するように、共鳴構造部11A,11Bにおける構造周期Pkの組み合わせが設定されている。また、青色用副画素10Bは、入射光I1を受けたとき、青色の透過光Ibを表面側に射出するように、共鳴構造部11A,11Bにおける構造周期Pkの組み合わせが設定されている。副画素10R,10G,10Bごとに入射光の強度が変更されることによって、画素110として視認される色が変更され、画素110の集合によって表示装置の表示する像が形成される。
なお、第2実施形態においても、副画素10は、第1方向に並ぶ3以上の共鳴構造部11を備えていてもよく、複数の共鳴構造部11に、構造周期Pkが同一である共鳴構造部11と、構造周期Pkが互いに異なる共鳴構造部11とが含まれてもよい。
以上、第2実施形態によれば、第1実施形態の(1),(3)〜(8)の効果に加えて、下記の効果が得られる。
(9)各副画素10において、第1共鳴構造部11Aの構造周期Pkと、第2共鳴構造部11Bの構造周期Pkとが互いに異なる構成によれば、第1共鳴構造部11Aの各格子領域13,15にて共鳴を起こす光の波長域と、第2共鳴構造部11Bの各格子領域13,15にて共鳴を起こす光の波長域とは、互いに異なる。したがって、副画素10からは、入射光に含まれる波長域のなかで、第1共鳴構造部11Aから反射される第1の波長域と、第2共鳴構造部11Bから射出される第2の波長域とを除く波長域の光が透過光として射出される。それゆえ、副画素10において、透過光に含まれる波長域を狭めることが可能であり、単色性が高く波長選択性の高められた透過光を射出する副画素10が実現される。
(9)各副画素10において、第1共鳴構造部11Aの構造周期Pkと、第2共鳴構造部11Bの構造周期Pkとが互いに異なる構成によれば、第1共鳴構造部11Aの各格子領域13,15にて共鳴を起こす光の波長域と、第2共鳴構造部11Bの各格子領域13,15にて共鳴を起こす光の波長域とは、互いに異なる。したがって、副画素10からは、入射光に含まれる波長域のなかで、第1共鳴構造部11Aから反射される第1の波長域と、第2共鳴構造部11Bから射出される第2の波長域とを除く波長域の光が透過光として射出される。それゆえ、副画素10において、透過光に含まれる波長域を狭めることが可能であり、単色性が高く波長選択性の高められた透過光を射出する副画素10が実現される。
そして、副画素10ごとの構造周期Pkの組み合わせの違いによって、赤色の光を選択的に透過する赤色用副画素10Rと、緑色の光を選択的に透過する緑色用副画素10Gと、青色の光を選択的に透過する青色用副画素10Bとが実現される。これにより、波長選択性が高められた、すなわち、透過光として狭帯域の光を射出する副画素10を備える透過型のカラーフィルタ100が実現される。
[変形例]
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することが可能である。
上記各実施形態の製造方法によって製造される副画素10の共鳴構造部11においては、第1高屈折率部13aの上部に第2低屈折率部15bが位置し、第1低屈折率部13bの上部に第2高屈折率部15aが位置する。
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することが可能である。
上記各実施形態の製造方法によって製造される副画素10の共鳴構造部11においては、第1高屈折率部13aの上部に第2低屈折率部15bが位置し、第1低屈折率部13bの上部に第2高屈折率部15aが位置する。
すなわち、第1高屈折率部13aの配置のパターンは、第2低屈折率部15bの配置のパターンと一致し、第1低屈折率部13bの配置のパターンは、第2高屈折率部15aの配置のパターンと一致する。そして、第1格子領域13で共鳴を起こす光の波長域と、第2格子領域15で共鳴を起こす光の波長域とを一致させるためには、第1格子領域13と第2格子領域15とでサブ波長格子の格子周期が一致し、かつ、第1格子領域13における複数の第1高屈折率部13aの体積比率と、第2格子領域15における複数の第2高屈折率部15aの体積比率とが一致することが必要である。
上記条件が満たされていれば、第1高屈折率部13a、第1低屈折率部13b、第2高屈折率部15a、および、第2低屈折率部15bの各要素部の形状や配置は上記各実施形態と異なっていてもよい。ただし、上記各実施形態のように、各要素部が、共通する1つの方向に帯状に延びる同一の形状を有し、各格子領域13,15にて、高屈折率部13a,15aと低屈折率部13b,15bとが、これらの延びる方向と直交する方向に交互に配置されている構成であれば、上記条件を満たすことが容易である。
さらに、サブ波長格子が、1つの方向に帯状に延びる高屈折率部13a,15aから構成されている場合、各格子領域13,15では、特定の方向へ偏光した光が多重反射して共鳴を起こし、反射光として射出される。上記特定の方向は、サブ波長格子の配列方向に依存する。第1共鳴構造部11Aと第2共鳴構造部11Bとでサブ波長格子の配列方向が揃っていることにより、第1共鳴構造部11Aの格子領域13,15と第2共鳴構造部11Bの格子領域13,15とでは、多重反射する光の偏光方向は互いに同一である。一般的に、カラーフィルタ100への入射光は、偏光方向の揃った光であるため、上記構成によれば、入射光に対して、効率的に反射光が出射される。
10…副画素、10R…赤色用副画素、10G…緑色用副画素、10B…青色用副画素、11…共鳴構造部、11A…第1共鳴構造部、11B…第2共鳴構造部、12…第1低屈折率領域、13…第1格子領域、13a…第1高屈折率部、13b…第1低屈折率部、14…第2低屈折率領域、15…第2格子領域、15a…第2高屈折率部、15b…第2低屈折率部、16…第3低屈折率領域、17…第3高屈折率部、18…基材、20…凹凸構造層、20a…平坦部、20b…凸部、20c…凹部、21…高屈折率層、21a…第1層状部、21b…第2層状部、22…埋め込み層、25…凹凸構造体、100…カラーフィルタ、110…画素。
Claims (12)
- 入射光を透過する材料から構成された複数の副画素を備えるカラーフィルタであって、
前記副画素は、前記カラーフィルタの厚さ方向に並ぶ複数の共鳴構造部を備え、
前記共鳴構造部は、
第1サブ波長格子を構成する複数の第1高屈折率部と、前記第1高屈折率部よりも低い屈折率を有する複数の第1低屈折率部とを有し、前記カラーフィルタの表面に沿った方向に前記第1高屈折率部と前記第1低屈折率部とが交互に位置する第1格子領域と、
前記第1高屈折率部と同一の材料から構成されて第2サブ波長格子を構成する複数の第2高屈折率部と、前記第2高屈折率部よりも低い屈折率を有する複数の第2低屈折率部とを有し、前記表面に沿った方向に前記第2高屈折率部と前記第2低屈折率部とが交互に位置する第2格子領域と、
前記第1格子領域の平均屈折率および前記第2格子領域の平均屈折率の各々よりも低い屈折率をそれぞれが有する第1低屈折率領域、第2低屈折率領域、および、第3低屈折率領域と、を備え、
前記第1格子領域は、前記カラーフィルタの厚さ方向に前記第1低屈折率領域と前記第2低屈折率領域とに挟まれ、
前記第2格子領域は、前記カラーフィルタの厚さ方向に前記第2低屈折率領域と前記第3低屈折率領域とに挟まれ、
前記第1サブ波長格子の格子周期と前記第2サブ波長格子の格子周期とは、相互に等しい周期であり、
前記第1格子領域における前記複数の第1高屈折率部の体積比率と、前記第2格子領域における前記複数の第2高屈折率部の体積比率とは同一であり、
前記表面と対向する方向から見て、前記第1高屈折率部と前記第2低屈折率部とが重なり、前記第2高屈折率部と前記第1低屈折率部とが重なっている
カラーフィルタ。 - 前記複数の共鳴構造部の各々において、前記複数の第1高屈折率部、前記複数の第1低屈折率部、前記複数の第2高屈折率部、および、前記複数の第2低屈折率部の各々は、前記複数の共鳴構造部に共通する1つの方向に帯状に延びる形状を有する
請求項1に記載のカラーフィルタ。 - 前記共鳴構造部の有する前記第1サブ波長格子および前記第2サブ波長格子の格子周期は、前記複数の共鳴構造部において相互に等しく、
前記複数の副画素には、第1副画素と第2副画素とが含まれ、前記第1副画素が有する前記共鳴構造部における前記格子周期と、前記第2副画素が有する前記共鳴構造部における前記格子周期とは、互いに異なる
請求項1または2に記載のカラーフィルタ。 - 前記複数の副画素には、第3副画素がさらに含まれ、
前記第1副画素が有する前記共鳴構造部における前記格子周期と、前記第2副画素が有する前記共鳴構造部における前記格子周期と、前記第3副画素が有する前記共鳴構造部における前記格子周期とは、互いに異なり、
前記第1副画素は赤色の光を選択的に反射し、前記第2副画素は緑色の光を選択的に反射し、前記第3副画素は青色の光を選択的に反射する
請求項3に記載のカラーフィルタ。 - 前記複数の共鳴構造部には、第1共鳴構造部と第2共鳴構造部とが含まれ、前記第1共鳴構造部の有する前記第1サブ波長格子および前記第2サブ波長格子の格子周期である第1構造周期と、前記第2共鳴構造部の有する前記第1サブ波長格子および前記第2サブ波長格子の格子周期である第2構造周期とは、互いに異なり、
前記複数の副画素には、第1副画素と第2副画素とが含まれ、
前記第1副画素における前記第1構造周期と前記第2構造周期との組み合わせと、前記第2副画素における前記第1構造周期と前記第2構造周期との組み合わせとでは、前記第1構造周期と前記第2構造周期との少なくとも一方が異なる
請求項1または2に記載のカラーフィルタ。 - 前記複数の副画素には、第3副画素がさらに含まれ、
前記第1副画素における前記第1構造周期と前記第2構造周期との組み合わせと、前記第3副画素における前記第1構造周期と前記第2構造周期との組み合わせとでは、前記第1構造周期と前記第2構造周期との少なくとも一方が異なり、
前記第2副画素における前記第1構造周期と前記第2構造周期との組み合わせと、前記第3副画素における前記第1構造周期と前記第2構造周期との組み合わせとでは、前記第1構造周期と前記第2構造周期との少なくとも一方が異なり、
前記第1副画素は赤色の光を選択的に透過し、前記第2副画素は緑色の光を選択的に透過し、前記第3副画素は青色の光を選択的に透過する
請求項5に記載のカラーフィルタ。 - 各共鳴構造部において、
前記第1低屈折率領域と、前記第1低屈折率部と、前記第2低屈折率領域のなかで前記第1低屈折率部に隣接する部分とは、相互に連続する1つの構造体である第1構造体であり、
前記第3低屈折率領域と、前記第2低屈折率部と、前記第2低屈折率領域のなかで前記第2低屈折率部に隣接する部分とは、相互に連続する1つの構造体である第2構造体である
請求項1〜6のいずれか一項に記載のカラーフィルタ。 - 前記第1構造体と前記第1高屈折率部および前記第2高屈折率部との屈折率差は0.2よりも大きく、
前記第2構造体と前記第1高屈折率部および前記第2高屈折率部との屈折率差は0.2よりも大きい
請求項7に記載のカラーフィルタ。 - 前記第1構造体を構成する材料は、紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、および、熱可塑性樹脂のいずれかであり、
前記第2構造体を構成する材料は、紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、および、熱可塑性樹脂のいずれかであり、
前記第1高屈折率部および前記第2高屈折率部を構成する材料は、無機化合物を含む
請求項7または8に記載のカラーフィルタ。 - 各共鳴構造部において、
前記第2低屈折率領域は、前記第1高屈折率部および前記第2高屈折率部と同一の材料から構成された第3高屈折率部を有し、
前記第3高屈折率部は、前記表面と対向する方向から見て互いに隣り合う前記第1高屈折率部と前記第2高屈折率部との端部間で、前記第2低屈折率領域の厚さ方向に沿って延びている
請求項1〜9のいずれか一項に記載のカラーフィルタ。 - 入射光を透過する材料から構成される副画素を備えるカラーフィルタの製造方法であって、前記副画素を製造する工程は、
第1低屈折率材料からなる層の表面に、サブ波長周期で並ぶ複数の凸部と、前記複数の凸部の並ぶ方向に沿って前記凸部と交互に並ぶ凹部であって、前記表面と対向する方向から見て前記複数の凸部の面積と等しい面積を有する複数の凹部とを形成することによって、前記凸部と前記凹部とを有する凹凸構造層を形成する第1工程と、
前記第1低屈折率材料よりも高い屈折率を有する高屈折率材料を用いて、前記凹凸構造層の表面に、前記凸部の高さよりも小さい厚さを有する高屈折率層を形成する第2工程であって、前記高屈折率層として、前記凹部上に位置する第1サブ波長格子と、前記凸部上に位置して前記第1サブ波長格子と同一の格子周期を有する第2サブ波長格子とを含む層を形成する第2工程と、
前記凹凸構造層と前記高屈折率層とからなる構造体を2つ用いて、2つの前記構造体を前記高屈折率層同士が向かい合うように対向させ、2つの前記構造体の間の領域を、前記高屈折率材料よりも低い屈折率を有する第2低屈折率材料で埋めることにより、前記第2低屈折率材料からなる埋め込み層を形成する第3工程と、を含む
カラーフィルタの製造方法。 - 前記第1工程では、前記第1低屈折率材料である樹脂からなる塗工層に凹版を押し付け、前記樹脂を硬化させた後に前記凹版を離型して前記凹版の有する凹凸を前記樹脂に転写することにより、前記凹凸構造層を形成し、
前記第2工程では、前記高屈折率材料として無機化合物を含む材料を用いて、前記高屈折率層を形成し、
前記第3工程では、2つの前記構造体の間の領域に、前記第2低屈折率材料である樹脂を配置し、配置した樹脂を硬化させることにより、前記埋め込み層を形成する
請求項11に記載のカラーフィルタの製造方法。
Priority Applications (2)
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JP2016200375A JP2018063306A (ja) | 2016-10-11 | 2016-10-11 | カラーフィルタ、および、カラーフィルタの製造方法 |
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