JP7293717B2 - 表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光の波長の変換を利用して有色光を射出する表示装置に関する。
青色の光を発する発光素子と、青色の光を青色以外の光に変換する変換素子とを備えた表示装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。赤色用の変換素子は、青色光を赤色光に変換する量子ドットを備えて、発光素子が発する光を赤色に変換する。緑色用の変換素子は、青色光を緑色光に変換する量子ドットを備えて、発光素子が発する光を緑色に変換する。表示装置は、発光素子が発する青色光、赤色用の変換素子が放出する赤色光、および、緑色用の変換素子が放出する緑色光を用いて、カラーの画像を表示する。
特開2018-160646号公報
一方、変換素子が放出する光は、変換後の赤色光、あるいは、変換後の緑色光に加えて、変換されずに透過する青色光を少なからず含む。赤色用の変換素子から漏れる青色光、および、緑色の変換素子から漏れる青色光は、表示装置が表示する画像に、本来の色味とは異なる色味を帯びさせてしまう。
本発明は、表示される画像での混色を抑制可能にした表示装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する表示装置は、第1波長の光を発する発光部と、前記発光部上に位置し、前記第1波長の光を励起光に用いて前記第1波長よりも長い第2波長の光を放出する波長変換部と、前記波長変換部上に位置し、前記第1波長の光の反射率が70%以上、かつ、前記第2波長の光の透過率が70%以上である波長選択部と、を備える。
上記構成によれば、波長変換部が放出する第2波長の光と、発光部が発する第1波長の光とが、波長変換部上で混ざる場合であっても、波長変換部上に位置する波長選択部が、第1波長の光を反射する。結果として、波長変換部上において表示装置の表側に射出される光に、第1波長の光が混ざることが抑えられるため、波長選択部を通して出射される光を用いた画像での混色が抑制可能となる。
上記構成において、前記第1波長は、400nm以上500nm以下の波長であり、前記第2波長は、600nm以上700nm以下の波長であり、前記発光部は第1発光部であり、前記波長変換部は赤色用波長変換部であり、前記波長選択部は赤色用波長選択部であり、520nm以上580nm以下の波長が第3波長であり、前記第1波長の光を発する第2発光部と、前記第2発光部上に位置し、前記第1波長の光を励起光に用いて前記第3波長の光を放出する緑色用波長変換部と、前記緑色用波長変換部上に位置し、前記第1波長の光の反射率が70%以上、かつ、前記第3波長の光の透過率が70%以上である緑色用波長選択部と、をさらに備えてもよい。
上記構成によれば、赤色用波長変換部上と緑色用波長変換部上とにおいて表示装置の表側に射出される光に、青色光が混ざることが抑えられるため、波長選択部を通して出射される光を用いた画像での混色が好適に抑制される。
上記構成において、前記第1波長の光を発する第3発光部と、前記第3発光部上に位置し、前記第1波長の光を透過する青色透過部と、をさらに備えてもよい。
上記構成によれば、発光部が発した青色光と、赤色用波長変換部から放出された赤色光と、緑色用波長変換部から放出された緑色光とが画像の生成に利用されるため、混色が好適に抑制された状態でカラー表示が可能である。
上記構成において、前記赤色用波長選択部と、前記緑色用波長選択部とは、同一の波長選択性を有してもよい。
上記構成によれば、赤色用波長選択部と緑色用波長選択部とが互いに異なる波長選択性を有する形態と比較して、表示装置の構造の簡略化が可能である。
上記構成において、前記波長選択部は、前記第1波長および前記第2波長に対して透明な複数の層からなる積層体であり、前記複数の層には、互いに異なる屈折率を有して隣り合う層が含まれてもよい。
上記構成によれば、屈折率の差に基づく光学現象に起因して、波長選択部の波長選択性が実現される。
上記構成において、前記波長選択部は、凸部または凹部である凹凸要素がサブ波長周期で並ぶ凹凸構造を表面に有し、低屈折率材料から構成された凹凸構造層と、前記凹凸構造上に位置して前記凹凸構造に追従した形状を有する高屈折率層と、を備えてもよい。
上記構成によれば、導波モード共鳴現象によって、第1波長を反射する波長選択部が実現される。したがって、波長選択性の高い反射光が得られ、反射光の強度も高められる。
上記構成において、前記高屈折率層の凹凸を埋める低屈折率材料から構成された埋込層をさらに備えてもよい。
上記構成によれば、高屈折率層のうち、凹凸構造の底部と頂部との各々に位置する部分から構成される2つのサブ波長格子が、低屈折率材料で埋め込まれるため、反射光の強度が高められる。
上記構成において、前記凹凸要素は、1つの方向に沿って延び、前記凹凸構造では、複数の凹凸要素が相互に平行に並んでもよい。
上記構成によれば、凹凸要素が二次元格子状に並ぶ形態と比較して、凹凸構造の精密な形成が容易である。
上記構成において、前記凹凸構造では、複数の前記凹凸要素が二次元格子状に並んでもよい。
上記構成によれば、様々な方向への偏光成分を含む入射光に対し、複数の方向への偏光成分に対応して反射光が出射されるため、表側への第1波長の光の漏れがより抑えられるとともに、反射光の強度がより高められる。
上記構成において、前記高屈折率層と、前記高屈折率層を取り囲む低屈折率領域とから構成される部分が共鳴構造部であり、前記波長選択部は、前記共鳴構造部の厚さ方向に沿って並ぶ複数の前記共鳴構造部を備えてもよい。
上記構成によれば、波長選択部が4以上のサブ波長格子を有するため、反射光の強度や偏光に対する応答性の向上が可能である。
上記構成において、前記波長変換部は、前記第1波長の光を励起光に用いる蛍光物質を備えてもよい。
上記構成において、前記波長変換部は、前記第1波長の光を励起光に用いる量子ドットを備えてもよい。
上記各構成によれば、励起を利用した波長の変換が好適に可能となる。
上記構成において、前記発光部は、有機発光ダイオードを備えてもよい。
上記構成において、前記発光部は、青色発光ダイオードを備えてもよい。
上記各構成によれば、単色性の高い光の放出が可能であるとともに、低電力での駆動が可能である。
上記構成において、前記発光部下に位置し、前記第1波長の光を反射する反射層をさらに備えてもよい。
上記構成によれば、発光部から発光部下に漏れる第1波長の光が反射されて、波長の変換や画像の表示に用いられる。したがって、表示装置における画像の表示に用いられる有色光の生成の効率が高められる。
本発明によれば、表示装置において、表示される画像での混色を抑制することができる。
表示装置の一実施形態について、表示装置の層構成を示す図。 一実施形態の表示装置における光学的な作用を示す図。 一実施形態の表示装置におけるフィルタ部を構成する波長選択フィルタの断面構造を示す図。 (a)は、一実施形態の波長選択フィルタにおける第1格子領域の断面構造を、波長選択フィルタの断面構造と共に示す図、(b)は、一実施形態の波長選択フィルタにおける第2格子領域の断面構造を、波長選択フィルタの断面構造と共に示す図。 一実施形態の波長選択フィルタにおける中間領域の断面構造を、波長選択フィルタの断面構造と共に示す図。 一実施形態の波長選択フィルタの他の例の断面構造を、格子領域の断面構造とともに示す図。 一実施形態の波長選択フィルタの他の例の断面構造を示す図。 一実施形態の波長選択フィルタの製造方法について、凹凸構造層の形成工程を示す図。 一実施形態の波長選択フィルタの製造方法について、高屈折率層の形成工程を示す図。 一実施形態の波長選択フィルタの製造方法について、埋込層の形成工程を示す図。 一実施形態の波長選択フィルタの他の例の断面構造を示す図。
図1~図11を参照して、表示装置の一実施形態を説明する。
[表示装置の構成]
図1が示すように、表示装置100は、反射層1、光源層2、波長変換層3、波長選択層4、および、駆動部5を備えている。光源層2上に波長変換層3が位置し、さらに、波長変換層3上に波長選択層4が位置する。反射層1は、光源層2下、すなわち、光源層2に対して波長変換層3と反対側に位置する。駆動部5は光源層2に接続されている。光源層2に対して波長選択層4の位置する側が表示装置100の表側であり、光源層2に対して反射層1の位置する側が表示装置100の裏側である。表示装置100の利用者は、波長選択層4と対向する位置から、表示装置100を見る。
波長変換層3は、複数の画素3GPを備えている。画素3GPは、赤色用副画素3rと、緑色用副画素3gと、青色用副画素3bとの3つの副画素から構成されている。3つの副画素3r,3g,3bは、各画素3GP内において所定の順番で並んでいる。赤色用副画素3rと緑色用副画素3gとは隣り合っていることが好ましい。複数の画素3GPは、例えば、マトリクス状に並び、画素3GPの配列に応じて、3つの副画素3r,3g,3bも、所定の順番での並びを繰り返しつつ配列されている。
赤色用副画素3rは、赤色用波長変換部として機能し、青色光を赤色光に変換して放出する。緑色用副画素3gは、緑色用波長変換部として機能し、青色光を緑色光に変換して放出する。青色用副画素3bは、青色透過部として機能し、青色光を透過する。本実施形態においては、青色光は、400nm以上500nm以下の波長域である青色波長域に強度ピークを有する光であり、緑色光は、520nm以上580nm以下の波長域である緑色波長域に強度ピークを有する光であり、赤色光は、600nm以上700nm以下の波長域である赤色波長域に強度ピークを有する光である。
波長変換層3における光の色の変換、すなわち、波長の変換には、変換後の波長の単色性が高い観点から、量子ドットが利用されることが好ましい。すなわち、赤色用副画素3r内および緑色用副画素3g内には、量子ドットが分散されている。赤色用副画素3rが備える量子ドットは、青色光を吸収して赤色光を放出するように、その粒径等が調整されている。緑色用副画素3gが備える量子ドットは、青色光を吸収して緑色光を放出するように、その粒径等が調整されている。青色用副画素3bは、量子ドットを備えず、青色光を透過する材料から構成されていればよい。
また、波長変換層3における光の波長の変換に、量子ドットとは異なる蛍光物質が利用されてもよい。この場合、赤色用副画素3rは、青色光を吸収して赤色光を放出する蛍光物質を備え、緑色用副画素3gは、青色光を吸収して緑色光を放出する蛍光物質を備える。青色用副画素3bは、蛍光物質を備えず、青色光を透過する材料から構成されていればよい。
要は、赤色用副画素3rは、青色光を励起光として利用したエネルギー状態の遷移に起因して赤色光を放出するように構成され、緑色用副画素3gは、青色光を励起光として利用したエネルギー状態の遷移に起因して緑色光を放出するように構成され、青色用副画素3bは、青色光を透過するように構成されていればよい。
光源層2は、青色光を発する複数の発光部2bを備えている。複数の発光部2bは、1つの副画素3r,3g,3bに1つの発光部2bが対向するように配置されている。すなわち、1つの画素3GPと対向する単位領域2GPには、3つの発光部2bが並んでいる。そして、複数の単位領域2GPが複数の画素3GPの並びに合わせて並ぶように、複数の発光部2bが配列されている。
発光部2bが備える発光素子は、青色光を放出する素子であれば特に限定されない。単色性の高い青色光の放出が可能であること、および、低電力での駆動が可能であることから、発光素子としては、青色発光ダイオードが用いられることが好ましく、なかでも、有機発光ダイオードが用いられることが好ましい。
発光部2bには、各発光部2bの発光を互いに独立して制御可能に駆動部5が接続されている。駆動部5は、表示装置100に表示させる画像のデータに基づき、発光部2bにおける発光の有無および発光の強度を制御する信号を生成して、各発光部2bに供給する。
波長選択層4は、複数のフィルタ部4tと複数の透過部4bとを備えている。フィルタ部4tは、赤色用副画素3rおよび緑色用副画素3gと対向する位置に配置されており、透過部4bは、青色用副画素3bと対向する位置に配置されている。すなわち、1つの画素3GPと対向する単位領域4GPには、1つのフィルタ部4tと1つの透過部4bとが並んでいる。そして、複数の単位領域4GPが複数の画素3GPの並びに合わせて並ぶように、複数のフィルタ部4tと複数の透過部4bとが配列されている。
フィルタ部4tは、赤色用波長選択部および緑色用波長選択部として機能し、赤色光と緑色光とを透過する一方で、青色光を反射する。透過部4bは、青色透過部として機能し、青色光を透過する。
詳細には、フィルタ部4tは、赤色用副画素3rが放出する波長域の赤色光と緑色用副画素3gが放出する波長域の緑色光との各々を70%以上透過する一方で、発光部2bが発する波長域の青色光を70%以上反射する。例えば、フィルタ部4tは、上記赤色波長域と上記緑色波長域との光を70%以上透過する光透過性を有するとともに、上記青色波長域の光を70%以上反射する光反射性を有するように構成されていればよい。透過部4bは、発光部2bが発する波長域の青色光を70%以上透過する。例えば、透過部4bは、上記青色波長域の光を70%以上透過する光透過性を有するように構成されていればよい。透過部4bは、青色以外の波長域の光を透過してもよいし、透過しなくてもよい。
フィルタ部4tは、赤、緑、青の各波長域の光に対して透明な複数の層からなる積層構造を有する。上記複数の層には、互いに異なる屈折率を有して隣り合う層が含まれ、こうした屈折率の差に基づく反射等の光学現象に起因して、フィルタ部4tの波長選択性が実現される。上記互いに異なる屈折率を有して隣り合う層の可視領域での屈折率の差は、0.05以上であることが好ましい。こうしたフィルタ部4tを備える波長選択層4の具体的な構造は後述する。
反射層1は、各発光部2bと対向し、青色光を反射する。反射層1は、例えば、発光部2bが発する波長域の青色光を70%以上反射する。反射層1は、少なくとも上記青色波長域の光を反射するように構成されていればよいが、赤、緑、青の各波長域を反射することが好ましい。
[表示装置の作用]
図2を参照して、表示装置100において生じる光学的な作用を説明する。
まず、駆動部5からの信号に応じて、光源層2の各発光部2bが、対向する副画素3r,3g,3bに向けて、青色光Ioを放出する。赤色用副画素3rは、入射した青色光Ioを吸収して、赤色光Irを、対向するフィルタ部4tに向けて放出する。緑色用副画素3gは、入射した青色光Ioを吸収して、緑色光Igを、対向するフィルタ部4tに向けて放出する。青色用副画素3bは、入射した青色光Ioを透過して、青色光Ibとして、対向する透過部4bに向けて放出する。
波長選択層4のフィルタ部4tは、赤色用副画素3rから入射した赤色光Irを透過して、赤色光IRとして表側に射出する。また、フィルタ部4tは、緑色用副画素3gから入射した緑色光Igを透過して、緑色光IGとして表側に射出する。波長選択層4の透過部4bは、青色用副画素3bから入射した青色光Ibを透過して、青色光IBとして表側に射出する。
これにより、表示装置100の利用者Obには、赤色用副画素3rに対応する領域から射出された赤色光IRが視認され、緑色用副画素3gに対応する領域から射出された緑色光IGが視認され、青色用副画素3bに対応する領域から射出された青色光IBが視認される。駆動部5によって発光部2bごとの発光の有無および強度が制御されることにより、画素3GPに視認される色が変更され、画素3GPの集合によって表示装置100の表示する画像が形成される。
ここで、赤色用副画素3rが放出する光には、赤色光Irに加えて、発光部2bが発した光のうち、波長が変換されずに赤色用副画素3rを透過する青色光IEbが含まれ得る。また、緑色用副画素3gが放出する光には、緑色光Igに加えて、発光部2bが発した光のうち、波長が変換されずに緑色用副画素3gを透過する青色光IEbが含まれ得る。
フィルタ部4tは、赤色光と緑色光とを透過する一方で、青色光を反射するため、赤色用副画素3rから放出された青色光IEbは、フィルタ部4tにて裏側に反射され、緑色用副画素3gから放出された青色光IEbもまた、フィルタ部4tにて裏側に反射される。したがって、赤色用副画素3rおよび緑色用副画素3gに対応する領域から、波長選択層4よりも表側に青色光IEbが射出されることが抑えられる。
これにより、利用者Obに、赤色用副画素3r上に赤色光Irとは異なる色の光が混じった光が視認されることが抑えられ、また、緑色用副画素3g上に緑色光Igとは異なる色の光が混じった光が視認されることが抑えられる。その結果、各副画素3r,3g,3bに対応する領域の色が鮮明となり、表示装置100が表示する画像が、本来の色味とは異なる色味を帯びること、すなわち、表示される画像での混色が抑制される。
また、光源層2から裏側に漏れ出る青色光ILbは、反射層1で反射されて、波長変換層3に入る。これにより、発光部2bが発した光のうち、波長変換層3で利用されない光の割合を減少させることができるため、表示装置100から射出される光IR,IG,IBの生成効率が高められる。
また、フィルタ部4tにて反射された青色光IEbは、赤色用副画素3rおよび緑色用副画素3gに入射して、赤色光Irや緑色光Igの生成に利用される。特に、反射層1がすべての波長域の光を反射可能に構成されていれば、フィルタ部4tにて反射された青色光IEbを励起光として赤色用副画素3rおよび緑色用副画素3gから裏側に放出された光も、反射層1によって表側に反射される。これによっても、表示装置100から射出される光IR,IG,IBの生成効率が高められる。
[波長選択層の構成]
波長選択層4の構造の一例として、フィルタ部4tに導波モード共鳴現象を利用した波長選択フィルタの構造が適用されている形態を説明する。
<波長選択フィルタの構造>
図3が示すように、フィルタ部4tに適用される波長選択フィルタ10は、基材11、第1低屈折率領域12、第1格子領域13、中間領域14、第2格子領域15、および、第2低屈折率領域16を備えている。第1低屈折率領域12、第1格子領域13、中間領域14、第2格子領域15、および、第2低屈折率領域16の各々は、層状に広がっており、基材11に近い位置からこの順に並んでいる。各領域の並ぶ方向が第1方向であり、第1方向は、すなわち、各領域および波長選択フィルタ10の厚さ方向である。
基材11は板状を有する。基材11としては、例えば、合成石英基板や、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレート等の樹脂からなるフィルムが用いられる。
第1低屈折率領域12は、基材11の表面に接し、基材11の表面に沿って広がっている。第1格子領域13は、第1高屈折率部13aと第1低屈折率部13bとを有する。基材11の表面と対向する方向から見て、すなわち、第1方向に沿った方向から見て、複数の第1低屈折率部13bは二次元格子状に配置され、第1高屈折率部13aは複数の第1低屈折率部13bの間を埋めている。
中間領域14は、側部高屈折率部14aと孤立低屈折率部14bと外周低屈折率部14cとを有する。第1方向に沿った方向から見て、複数の孤立低屈折率部14bは二次元格子状に配置され、各孤立低屈折率部14bの周りを側部高屈折率部14aが囲んでいる。そして、複数の側部高屈折率部14aの間を外周低屈折率部14cが埋めている。孤立低屈折率部14bは、第1低屈折率部13b上に位置する。側部高屈折率部14aは、第1高屈折率部13aの幅方向における端部上に位置し、外周低屈折率部14cは、第1高屈折率部13aの幅方向における中央部上に位置する。
第2格子領域15は、第2高屈折率部15aと第2低屈折率部15bとを有する。第1方向に沿った方向から見て、複数の第2高屈折率部15aは二次元格子状に配置され、第2低屈折率部15bは複数の第2高屈折率部15aの間を埋めている。第2高屈折率部15aは、孤立低屈折率部14b上および側部高屈折率部14a上に位置し、第2低屈折率部15bは、外周低屈折率部14c上に位置する。
第2低屈折率領域16は、第2格子領域15に対して中間領域14とは反対側で第2格子領域15を覆っている。
波長選択フィルタ10を構成する上記の各領域において、第1方向に沿って互いに隣接する領域は、その一部において互いに連続している。具体的には、第1低屈折率領域12と第1低屈折率部13bとは互いに連続し、さらに、第1低屈折率部13bと孤立低屈折率部14bとは互いに連続しており、これらは互いに同一の材料から構成される。また、第1高屈折率部13aと側部高屈折率部14aとは互いに連続し、さらに、側部高屈折率部14aと第2高屈折率部15aとは互いに連続しており、これらは互いに同一の材料から構成される。また、外周低屈折率部14cと第2低屈折率部15bとは互いに連続し、さらに、第2低屈折率部15bと第2低屈折率領域16とは互いに連続しており、これらは互いに同一の材料から構成される。
すなわち、波長選択フィルタ10は、基材11と、基材11上に位置し、二次元格子状に配置された複数の凸部17aが構成する凹凸構造を表面に有する凹凸構造層17と、凹凸構造層17の表面に沿って配置されて上記凹凸構造に追従した表面形状を有する高屈折率層18と、高屈折率層18の表面における凹凸を埋める埋込層19とを備える構造体であるとも捉えられる。
凹凸構造層17は、第1低屈折率領域12と第1低屈折率部13bと孤立低屈折率部14bとから構成され、凸部17aは、第1低屈折率部13bと孤立低屈折率部14bとから構成される。
高屈折率層18は、第1高屈折率部13aと側部高屈折率部14aと第2高屈折率部15aとから構成される。第1高屈折率部13aは、複数の凸部17aの間、すなわち、凹凸構造の底部に位置する。側部高屈折率部14aは、凸部17aの側面に接し、第1方向に沿った方向から見て互いに隣り合う第1高屈折率部13aと第2高屈折率部15aとの端部間を繋ぐように、中間領域14の厚さ方向に延びている。第2高屈折率部15aは、凸部17aの頂面を覆い、すなわち、凹凸構造の頂部に位置する。
埋込層19は、外周低屈折率部14cと第2低屈折率部15bと第2低屈折率領域16とから構成され、第2低屈折率領域16から基材11に向けて外周低屈折率部14cおよび第2低屈折率部15bが突出した形状を有する。
高屈折率層18の材料の屈折率は、凹凸構造層17および埋込層19の各々の材料の屈折率よりも大きい。すなわち、第1高屈折率部13a、側部高屈折率部14a、第2高屈折率部15aの各々の屈折率は、第1低屈折率領域12、第1低屈折率部13b、孤立低屈折率部14b、外周低屈折率部14c、第2低屈折率部15b、第2低屈折率領域16の各々の屈折率よりも大きい。凹凸構造層17と埋込層19とは、同一の材料から構成されてもよいし、互いに異なる材料から構成されていてもよい。高屈折率層18の材料の屈折率は、1.6以上であることが好ましく、凹凸構造層17および埋込層19の材料の屈折率は、1.5以下であることが好ましい。
凹凸構造層17および埋込層19を構成する低屈折率材料としては、合成石英等の無機物や、紫外線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の樹脂材料を用いることが可能である。この場合、高屈折率層18を構成する高屈折率材料としては、TiO(酸化チタン)、Nb(酸化ニオブ)、Ta(酸化タンタル)、ZrO(酸化ジルコニウム)、ZnS(硫化亜鉛)、ITO(酸化インジウムスズ)、AlN(窒化アルミニウム)等の無機化合物材料を用いることができる。
<波長選択フィルタの作用>
第1格子領域13における格子構造の周期、すなわち、第1低屈折率部13bの配列の周期が、第1周期P1であり、第1周期P1は、可視領域の光の波長よりも小さい。同様に、第2格子領域15における格子構造の周期、すなわち、第2高屈折率部15aの配列の周期が、第2周期P2であり、第2周期P2は、可視領域の光の波長よりも小さい。すなわち、第1周期P1および第2周期P2はサブ波長周期であり、第1格子領域13および第2格子領域15の各々はサブ波長格子を含む。そして、第1周期P1と第2周期P2とは、一致している。
波長選択フィルタ10において、領域ごとの平均屈折率は、各領域における高屈折率部と低屈折率部との体積比率に応じて、高屈折率部の屈折率と低屈折率部の屈折率とを均した値に近似される。第1格子領域13における第1高屈折率部13aの割合、および、第2格子領域15における第2高屈折率部15aの割合の各々よりも、中間領域14における側部高屈折率部14aの割合は小さい。したがって、中間領域14の平均屈折率は、第1格子領域13の平均屈折率、および、第2格子領域15の平均屈折率の各々よりも小さい。すなわち、波長選択フィルタ10は、第1格子領域13および第2格子領域15の各々に位置するサブ波長格子が、低屈折率の領域に埋め込まれた構造を有している。
上記波長選択フィルタ10は、例えば、基材11を波長変換層3に向けて配置される。波長変換層3の位置する側、換言すれば、波長選択フィルタ10に対して裏側から波長選択フィルタ10に光が入射すると、第1格子領域13のサブ波長格子が低屈折率の領域に埋め込まれていることから、第1格子領域13では、裏側への回折光の射出が抑えられ、導波モード共鳴現象が発生する。すなわち、特定の波長域の光が第1格子領域13を多重反射しつつ伝播して共鳴を起こし、この特定の波長域の光が、裏側に反射光として射出される。
第1格子領域13を透過し、さらに中間領域14を透過した光は、第2格子領域15に入る。第2格子領域15に光が入射すると、第2格子領域15のサブ波長格子が低屈折率の領域に埋め込まれていることから、第2格子領域15でも、導波モード共鳴現象が発生する。すなわち、特定の波長域の光が第2格子領域15を多重反射しつつ伝播して共鳴を起こし、この特定の波長域の光が、裏側に反射光として射出される。
第2格子領域15を透過した光は、第2低屈折率領域16を透過して、表示装置100の表側に出る。結果として、裏側には、第1格子領域13で強められた波長域の光と、第2格子領域15で強められた波長域の光とが射出される。そして、波長選択フィルタ10への入射光に含まれる波長域のなかで、上記反射光として射出された波長域を除く波長域の光が、透過光として表側に射出される。
波長選択フィルタ10においては、第1格子領域13および第2格子領域15にて共鳴を起こす波長域が、青色波長域となるように、第1周期P1および第2周期P2や、格子領域13,15の厚さ等が設定されている。これにより、波長選択フィルタ10は、青色光を反射し、赤色光および緑色光を透過するフィルタ部4tとして機能する。
波長選択層4における透過部4bは、凹凸構造層17の表面が凹凸を有さずに平坦とされた状態で、フィルタ部4tと同様の層構成を有していればよい。この場合、透過部4bはサブ波長格子を有さず、青色を透過する。あるいは、フィルタ部4tとは異なる層構成で青色を透過するように構成されていてもよい。
なお、波長選択フィルタ10は、第2低屈折率領域16を波長変換層3に向けて配置されてもよい。この場合も、第1格子領域13および第2格子領域15にて共鳴を起こした波長域の光が、反射光として波長変換層3の位置する側である裏側に射出され、入射光に含まれる波長域のなかで上記反射光として射出された波長域を除く波長域の光が、透過光として表側に射出される。
<波長選択フィルタの詳細構成>
上述の波長選択フィルタ10において、第1格子領域13および第2格子領域15にて共鳴を起こす波長域を共通の波長域とするための構成について説明する。第1格子領域13と第2格子領域15とは、第1格子領域13で共鳴を起こす光の波長域と、第2格子領域15で共鳴を起こす光の波長域とを合わせることによって、青色波長域の全体が反射されるように構成されてもよいが、第1格子領域13および第2格子領域15にて共鳴を起こす波長域がより近い方が好ましい。第1格子領域13および第2格子領域15にて共鳴を起こす波長域が近いほど、表側への青色光の漏れを抑えやすく、また、反射光として射出される青色光の強度が大きくなるため、この反射光を波長変換層3にて励起光として用いることにより、表示装置100から射出される光の生成効率も高められる。
例えば、第1格子領域13で青色の波長域の光が共鳴を起こしたとき、第1格子領域13と中間領域14との屈折率の差が小さい場合等には、青色光の一部が、第1格子領域13内での反射ごとに、中間領域14に漏れ出る。こうした場合にも、第1格子領域13と第2格子領域15とで共鳴を起こす光の波長域が一致していれば、中間領域14に漏れ出た青色の波長域の光が第2格子領域15に入って共鳴を起こし、反射光として射出される。したがって、1つの格子領域のみを有する波長選択フィルタと比較して、反射光として射出される青色光の強度は大きくなる。
第1格子領域13と第2格子領域15とで共鳴を起こす光の波長域を一致させるためには、第1格子領域13と第2格子領域15とにおいて、平均屈折率と膜厚とを乗じた値として表されるパラメータである光学膜厚を一致させればよい。つまり、第1格子領域13と第2格子領域15とにおいて、光学膜厚が近いほど、共鳴を起こす光の波長域が近くなる。本願の発明者は、シミュレーションによって、良好な反射光の強度を得られる第1格子領域13と第2格子領域15との光学膜厚の比の範囲を見出した。以下、この内容について詳細に説明する。
図4において、(a)は第1格子領域13における第1方向と直交する断面を、波長選択フィルタ10の断面とともに示す図であり、(b)は第2格子領域15における第1方向と直交する断面を、波長選択フィルタ10の断面とともに示す図である。第2方向と第3方向とは、基材11の表面に沿った方向であって、第2方向と第3方向との各々は、第1方向と直交する。第2方向と第3方向とは、互いに直交する。
図4(a)が示すように、第1格子領域13において、複数の第1低屈折率部13bは、二次元格子状に配置されている。二次元格子の種類は特に限定されず、互いに異なる方向に延びる2つの平行線群が交差することによって構成される格子の格子点に第1低屈折率部13bが位置していればよい。例えば、第1低屈折率部13bが構成する二次元格子は、正方格子であってもよいし、六方格子であってもよい。第1格子領域13における格子構造の周期である第1周期P1は、二次元格子が延びる各方向において一致している。
第1方向に沿った方向から見て、第1低屈折率部13bの形状は特に限定されないが、例えば第1低屈折率部13bが正方形であると、第1格子領域13の平均屈折率を規定する体積比率の設定が容易である。
第1格子領域13の全体に対する第1高屈折率部13aの体積比率は、第1方向に沿った方向から見た平面視での第1格子領域13の全体に対する第1高屈折率部13aの面積比率に等しい。当該面積比率は、言い換えれば、第1高屈折率部13aを含みその厚さ方向と直交する断面にて第1高屈折率部13aが占める面積比率である。断面の位置によって第1高屈折率部13aの面積が変化する場合には、第1高屈折率部13aの面積が最大となる断面での第1高屈折率部13aの面積比率が採用される。
第1高屈折率部13aの上記面積比率をR1とするとき、上記断面における第1低屈折率部13bの面積比率は1-R1で表される。
高屈折率層18の材料の屈折率をn1、凹凸構造層17の材料の屈折率をn2とするとき(n1>n2)、第1格子領域13の平均屈折率NA1は、下記式(1)によって表される。
NA1=n1×R1+n2×(1-R1) ・・・(1)
そして、第1格子領域13の光学膜厚OT1は、下記式(2)によって表される。
OT1=T1×NA1
=T1×{n1×R1+n2×(1-R1)} ・・・(2)
図4(b)が示すように、第2格子領域15において、複数の第2高屈折率部15aは、第1格子領域13と一致した二次元格子状に配置されている。第2格子領域15における格子構造の周期である第2周期P2は、第1格子領域13における第1周期P1と一致している。
ただし、第1方向に沿った方向から見て、第2格子領域15において点在する第2高屈折率部15aは、第1格子領域13において点在する第1低屈折率部13bよりも大きい。言い換えれば、第2方向および第3方向の各々において、第2高屈折率部15aの幅は、第1低屈折率部13bの幅よりも大きい。したがって、第2低屈折率部15bの幅は、第1高屈折率部13aの幅よりも小さい。第1方向に沿った方向から見て、第2高屈折率部15aは、第1低屈折率部13bの形状に準じた形状を有する。
第2格子領域15の全体に対する第2高屈折率部15aの体積比率は、第1方向に沿った方向から見た平面視での第2格子領域15の全体に対する第2高屈折率部15aの面積比率に等しい。当該面積比率は、言い換えれば、第2高屈折率部15aを含みその厚さ方向と直交する断面にて第2高屈折率部15aが占める面積比率である。断面の位置によって第2高屈折率部15aの面積が変化する場合には、第2高屈折率部15aの面積が最大となる断面での第2高屈折率部15aの面積比率が採用される。
第2高屈折率部15aの上記面積比率をR2とするとき、上記断面における第2低屈折率部15bの面積比率は1-R2で表される。
高屈折率層18の材料の屈折率をn1、埋込層19の材料の屈折率をn3とするとき(n1>n3)、第2格子領域15の平均屈折率NA2は、下記式(3)によって表される。
NA2=n1×R2+n3×(1-R2) ・・・(3)
そして、第2格子領域15の光学膜厚OT2は、下記式(4)によって表される。
OT2=T2×NA2
=T2×{n1×R2+n3×(1-R2)} ・・・(4)
第1格子領域13の光学膜厚OT1に対する第2格子領域15の光学膜厚OT2の比(OT2/OT1)が、0.7以上1.3以下であれば、波長選択フィルタ10において、反射光である青色光の強度が良好に得られることが確認された。
特に、第1格子領域13の厚さT1と第2格子領域15の厚さT2とが等しく、凹凸構造層17の材料の屈折率n2と埋込層19の材料の屈折率n3とが等しい場合には、第1高屈折率部13aの面積比率R1と第2高屈折率部15aの面積比率R2とが等しいと、光学膜厚OT1と光学膜厚OT2とが一致するため好ましい。
上述のように、第1方向に沿った方向から見て、第2高屈折率部15aは第1低屈折率部13bよりも大きい。それゆえ、本形態では、第1高屈折率部13aの面積比率R1と第2高屈折率部15aの面積比率R2とを近づけるために、第1格子領域13にて第1低屈折率部13bの面積比率を第1高屈折率部13aの面積比率よりも小さくし、第2格子領域15にて第2高屈折率部15aの面積比率を第2低屈折率部15bの面積比率よりも大きくしている。したがって、第1高屈折率部13aの面積比率R1と第2高屈折率部15aの面積比率R2との各々は、0.5よりも大きく、R1+R2は1よりも大きくなる。
面積比率R1,R2が0.5よりも大きいことにより、面積比率R1,R2が0.5以下である形態と比較して、格子領域13,15の平均屈折率が高くなるため、各格子領域13,15と、隣接する領域12,14,16との平均屈折率の差が大きくなる、その結果、各格子領域13,15にて生じる多重反射での損失が小さくなるため、格子領域13,15から射出される反射光の強度が高められる。
図5は、中間領域14における第1方向と直交する断面を、波長選択フィルタ10の断面とともに示す図である。図5が示すように、中間領域14において、複数の孤立低屈折率部14bは、第1格子領域13と一致した二次元格子状に配置されている。中間領域14における孤立低屈折率部14bの配列の周期である第3周期P3は、第1格子領域13における第1周期P1と一致している。第1方向に沿った方向から見て、孤立低屈折率部14bの大きさは、第1低屈折率部13bと一致する。側部高屈折率部14aは孤立低屈折率部14bを1つずつ取り囲んでおり、互いに隣接する側部高屈折率部14aの間を外周低屈折率部14cが埋めている。
ここで、第1方向に沿った方向から見た平面視での中間領域14の全体に対する側部高屈折率部14aの面積比率は、第2高屈折率部15aの上記面積比率と第1低屈折率部13bの上記面積比率との差以下であることが好ましい。すなわち、上記側部高屈折率部14aの面積比率をR3とするとき、R3は、下記式(5)を満たすことが好ましい。なお、当該面積比率R3は、言い換えれば、側部高屈折率部14aを含みその厚さ方向と直交する断面にて側部高屈折率部14aが占める面積比率である。断面の位置によって側部高屈折率部14aの面積が変化する場合には、側部高屈折率部14aの面積が最大となる断面での側部高屈折率部14aの面積比率が採用される。
R3≦R2-(1-R1)=R1+R2-1 ・・・(5)
上記式(5)が満たされているとき、第1方向に沿った方向から見て、第2高屈折率部15aは、孤立低屈折率部14bおよび側部高屈折率部14aの外側まで広がっている。詳細には、第1方向に沿った方向から見て、第2高屈折率部15aが位置する領域が、孤立低屈折率部14bおよび側部高屈折率部14aが位置する領域と一致するとき、側部高屈折率部14aの上記面積比率R3は、右辺と一致し、R1+R2-1となる。そして、第1方向に沿った方向から見て、第2高屈折率部15aが位置する領域が、孤立低屈折率部14bおよび側部高屈折率部14aが位置する領域よりも大きいとき、言い換えれば、側部高屈折率部14aが第2高屈折率部15aの外縁よりも内側の領域に位置するとき、上記面積比率R3は、R1+R2-1よりも小さくなる。
上述のように、導波モード共鳴現象によって格子領域13,15から射出される反射光の強度を高めるためには、各格子領域13,15について、格子領域13,15の平均屈折率と、格子領域13,15を挟む領域12,14,16の平均屈折率との差が大きいことが望ましい。したがって、中間領域14の平均屈折率は小さいほど好ましく、すなわち、側部高屈折率部14aの面積比率が小さいほど好ましい。上記式(5)が満たされている構成であれば、側部高屈折率部14aの幅が、第2高屈折率部15aよりも外側まで広がらない程度に抑えられるため、側部高屈折率部14aの面積比率が大きくなりすぎない。したがって、各格子領域13,15からの反射光の強度が良好になる。
上記反射光の強度を高めるためには、第1格子領域13の平均屈折率と、第1低屈折率領域12および中間領域14の各々の平均屈折率との差は、いずれも0.1よりも大きいことが好ましい。同様に、第2格子領域15の平均屈折率と、中間領域14および第2低屈折率領域16の各々の平均屈折率との差は、いずれも0.1よりも大きいことが好ましい。
<変形例>
上記形態においては、サブ波長格子を構成する要素が二次元格子状に並ぶ例を説明したが、サブ波長格子を構成する要素が、第2方向あるいは第3方向に帯状に延びる形態であっても、導波モード共鳴現象を生じさせることはできる。また、第2高屈折率部15aが、平面視にて凸部17aの頂面と同程度の大きさに形成される場合であれば、凹凸構造層17における平面視での凸部17aの面積比率は0.5であってよい。この場合、第1高屈折率部13aの面積比率R1、および、第2高屈折率部15aの面積比率R2の各々は、0.5である。さらに、高屈折率層18は、側部高屈折率部14aを有していなくてもよい。
こうした変形例の一例として、サブ波長格子を構成する要素が帯状に延びる形態を説明する。図6においては、波長選択フィルタ20の断面構造を示すとともに、第1方向と直交する方向における第1格子領域13の断面構造と第2格子領域15の断面構造とを、これらの領域を一部破断させて示している。
図6が示すように、波長選択フィルタ20の第1格子領域13において、第1高屈折率部13aと第1低屈折率部13bとの各々は、第1方向に沿った方向から見て、第3方向に沿って延びる帯形状を有している。そして、第1高屈折率部13aと第1低屈折率部13bとは、第2方向に沿って交互に並んでいる。同様に、波長選択フィルタ20の第2格子領域15において、第2高屈折率部15aと第2低屈折率部15bとの各々は、第1方向に沿った方向から見て、第3方向に沿って延びる帯形状を有している。そして、第2高屈折率部15aと第2低屈折率部15bとは、第2方向に沿って交互に並んでいる。第1方向に沿った方向から見て、第2高屈折率部15aは、第1低屈折率部13bと重なり、第2低屈折率部15bは、第1高屈折率部13aと重なる。すなわち、波長選択フィルタ20においては、凹凸構造層17の複数の凸部17aは、1つの方向である第3方向に沿って延び、相互に平行に並んでいる。
図6においては、第1高屈折率部13aの面積比率R1、および、第2高屈折率部15aの面積比率R2の各々が0.5である形態を示している。すなわち、第1高屈折率部13a、第1低屈折率部13b、第2高屈折率部15a、第2低屈折率部15bの各々の第2方向に沿った幅はすべて等しい。これに限らず、第1高屈折率部13aの面積比率R1、および、第2高屈折率部15aの面積比率R2の各々は、0.5でなくてもよく、第2高屈折率部15aの幅は、第1低屈折率部13bの幅、すなわち、凸部17aの幅よりも大きくてもよい。
いずれの場合であれ、上記式(2),(4)に従って算出した第1格子領域13の光学膜厚OT1と第2格子領域15の光学膜厚OT2とについて、光学膜厚OT1に対する光学膜厚OT2の比が、0.7以上1.3以下であればよい。
また、図6においては、高屈折率層18が、側部高屈折率部14aを有していない形態、すなわち、中間領域14が側部高屈折率部14aを有していない形態を示しているが、中間領域14が側部高屈折率部14aを有していてもよい。中間領域14が側部高屈折率部14aを有している場合、側部高屈折率部14aの面積比率R3について、上記式(5)が満たされることが好ましい。
なお、格子領域13,15では、サブ波長格子を構成する要素の配列方向に依存する特定の方向へ偏光した光が配列方向に沿って多重反射して共鳴を起こし、反射光として射出される。上記要素が二次元格子状に並ぶ場合のように配列方向が複数の方向を含む形態では、配列方向ごとに異なる方向に偏光している光をそれぞれ共鳴させることができる。したがって、上記要素が1つの方向に延びている場合のように配列方向が1つの方向である形態と、配列方向が複数の方向を含む形態とを比較すると、配列方向が複数の方向を含む形態の方が、発光ダイオードが発する光のように様々な方向への偏光成分を含む入射光に対して、効率的に反射光を射出できる。したがって、表側への青色光の漏れが抑えられるとともに、反射光の強度がより高められる。
特に、上記要素が六方格子状に並ぶ形態であれば、上記要素が正方格子状に並ぶ形態と比較して、格子領域13,15にて共鳴可能な偏光の方向が多くなるため、様々な方向への偏光成分を含む入射光に対して、より効率的に反射光を出射することができる。
また、波長選択フィルタは、4つ以上のサブ波長格子を有していてもよい。図7を参照して、こうした変形例を説明する。
図7が示すように、波長選択フィルタ30は、第1低屈折率領域12、第1格子領域13、中間領域14、第2格子領域15、および、第2低屈折率領域16からなる構造体である共鳴構造部31を、2つ備えている。
2つの共鳴構造部31である第1共鳴構造部31Aと第2共鳴構造部31Bとは、第1方向に隣り合っており、2つの共鳴構造部31A,31Bは、2つの基材11で挟まれている。換言すれば、波長選択フィルタ30は、上述した2つの波長選択フィルタ10が、第2低屈折率領域16同士が向かい合うように接合された構造を有する。すなわち、波長選択フィルタ30は、第1方向に間をあけて並ぶ4つのサブ波長格子を有し、これらのサブ波長格子が低屈折率材料に埋め込まれた構造を有している。
第1共鳴構造部31Aと第2共鳴構造部31Bとは、これらの境界部分で、低屈折率領域を共有していてもよい。例えば、図7が示す例では、第1共鳴構造部31Aの備える第2低屈折率領域16と、第2共鳴構造部31Bの備える第2低屈折率領域16とは連続しており、これらの領域の境界は存在しない。
第1共鳴構造部31Aにおける凸部17aの配列の周期である構造周期Pkと、第2共鳴構造部31Bにおける凸部17aの配列の周期である構造周期Pkとは、同一である。第1共鳴構造部31Aと第2共鳴構造部31Bとの各々において、第1格子領域13の光学膜厚OT1に対する第2格子領域15の光学膜厚OT2の比は、0.7以上1.3以下である。第1共鳴構造部31Aと第2共鳴構造部31Bとで、上記比が一致していることが好ましい。
上記構成によれば、波長選択フィルタ30が有する4つの格子領域13,15において、共鳴を起こす光の波長域が近くなる。4つの格子領域13,15の各々で強められた波長域の反射光が波長選択フィルタ30の裏側に射出されることにより、波長選択フィルタ10と比較して、反射光における青色光の強度がより大きくなる。このとき、上述のように、第1共鳴構造部31Aと第2共鳴構造部31Bとで、光学膜厚OT1に対する光学膜厚OT2の比が一致している構成であれば、4つの格子領域13,15における光学膜厚のばらつきが小さくなり、各格子領域13,15で共鳴を起こす光の波長域がより近くなるため好ましい。
なお、波長選択フィルタ30は、第1方向に並ぶ3以上の共鳴構造部31を備えていてもよい。
図7では、共鳴構造部31において、サブ波長格子を構成する要素が二次元格子状に並ぶ形態を例示したが、上述の波長選択フィルタ20と同様に、上記要素は1つの方向に沿って帯状に延びていてもよい。
また、2つの共鳴構造部31A,31Bにおいて、サブ波長格子を構成する要素が並ぶ方向は、一致していてもよいし、異なっていてもよい。2つの共鳴構造部31A,31Bにおいて、上記要素の配列方向が異なる構成では、配列方向ごとに異なる方向に偏光している光をそれぞれ共鳴させることができる。したがって、様々な方向への偏光成分を含む入射光に対し、複数の方向への偏光成分に対応して反射光が出射されるため、表側への青色光の漏れが抑えられるとともに、反射光の強度がより高められる。
例えば、サブ波長格子を構成する要素が帯状に延びる形態の場合、2つの共鳴構造部31A,31Bにおいて、サブ波長格子を構成する要素が並ぶ方向は直交することが好ましい。例えば、共鳴構造部31Aでは、当該要素が第2方向に沿って延び、共鳴構造部31Bでは、当該要素が第3方向に沿って延びることが好ましい。
<波長選択フィルタの製造方法>
上述した波長選択フィルタの製造方法を、波長選択フィルタ10を例に説明する。
図8が示すように、まず、基材11の表面に、低屈折率材料からなる層を形成し、この層の表面に凹凸構造を形成することによって、凹凸構造層17を形成する。凹凸構造層17は、基材11に沿って広がる平坦部17cと、平坦部17cから突き出た複数の凸部17aとを有するとともに、凸部17a間に位置する部分である複数の凹部17bを有する。複数の凸部17aは互いに離間しており、凹部17bは連続する1つの凹部を構成している。
凹凸構造の形成には、ナノインプリント法やドライエッチング法等の公知の微細加工技術が用いられる。なかでも、ナノインプリント法は、微細な凸部17aおよび凹部17bを簡便に形成できるため好ましい。
例えば、低屈折率材料として紫外線硬化性樹脂を用い、光ナノインプリント法によって凹凸構造層17を形成する場合、まず、基材11の表面に、紫外線硬化性樹脂を塗工する。次いで、紫外線硬化性樹脂からなる塗工層の表面に、形成対象の凸部17aおよび凹部17bからなる凹凸の反転された凹凸を有する凹版である合成石英モールドを押し当て、塗工層および凹版に紫外線を照射する。続いて、硬化した紫外線硬化性樹脂から凹版を離型する。これによって、凹版の有する凹凸が紫外線硬化性樹脂に転写されて凸部17aおよび凹部17bが形成されるとともに、凸部17aおよび凹部17bと基材11との間には、紫外線硬化性樹脂からなる残膜として、平坦部17cが形成される。
凹版における凹凸のパターンを変更して、形成する凹凸構造における凸部17aと凹部17bとのパターンを変更することによって、凸部17aが帯状に延びる波長選択フィルタ20の形成が可能である。
次に、図9が示すように、凹凸構造層17の表面に、高屈折率材料からなる高屈折率層18を形成する。高屈折率層18の形成方法としては、真空蒸着法やスパッタリング法等の公知の成膜技術が用いられる。高屈折率層18の厚さは、凸部17aの高さよりも小さく、所望の厚さT1および厚さT2に応じて設定される。
真空蒸着法やスパッタリング法を含む物理気相成長法を用いて高屈折率層18を形成する場合、凹凸構造層17の凸部17a上には、凸部17aよりも広がるように膜が形成されやすい。すなわち、第2高屈折率部15aの幅が、凸部17aである第1低屈折率部13bおよび孤立低屈折率部14bの幅よりも大きく形成されやすい。したがって、物理気相成長法が採用される場合に、凹凸構造層17の表面における凸部17aと凹部17bとの面積比率を1対1に設定したとしても、第1高屈折率部13aと第2高屈折率部15aとの面積比率にはずれが生じやすい。
また、成膜中に第2高屈折率部15aの幅が拡大していくと、凹部17b上に蒸着材料の粒子が付着し難くなるため、第1高屈折率部13aの厚さT1と第2高屈折率部15aの厚さT2とにずれが生じる場合がある。
こうした第2高屈折率部15aの幅の拡大に起因した面積比率や厚さのずれを補填しつつ、上記光学膜厚OT1に対する光学膜厚OT2の比が、0.7以上1.3以下となるように、凸部17aと凹部17bとの面積比率を設定することが望ましい。
また、物理気相成長法を用いて高屈折率層18を形成する場合、凹凸構造層17の凸部17aの側面にも高屈折率材料が付着する場合が多く、側部高屈折率部14aが形成されやすい。そこで、上述のように、上記式(5)が満たされるように、側部高屈折率部14aの幅を制御することで、側部高屈折率部14aが形成される製造方法を採用する場合でも、各格子領域13,15からの反射光の強度を良好に得ることができる。
側部高屈折率部14aの幅は、成膜方法や成膜の条件によって制御することが可能である。例えば、真空蒸着法とスパッタリング法とでは、粒子の飛来方向についての角度依存性が異なるため、いずれの方法を用いるかによって、側部高屈折率部14aの幅を変えることができる。また、高屈折率層18の形成後にエッチングを行うことによって、側部高屈折率部14aの幅を縮小させてもよい。
次に、図10が示すように、凹凸構造層17と高屈折率層18とからなる構造体の表面を覆うように、低屈折率材料からなる埋込層19を形成して、高屈折率層18の表面の凹凸を第2高屈折率部15a上まで埋める。
埋込層19の形成方法としては、各種の塗布法等の公知の成膜技術が用いられる。例えば、低屈折率材料として紫外線硬化性樹脂を用いる場合、まず、高屈折率層18の表面に紫外線硬化性樹脂を塗工する。次いで、紫外線硬化性樹脂からなる塗工層の表面に、紫外線を透過する材料で構成された平板を押し当て、塗工層に紫外線を照射する。続いて、硬化した紫外線硬化性樹脂から平板を離型する。
このように、波長選択フィルタ10は、光ナノインプリント法と真空蒸着法等とを組み合わせた製造方法によって形成可能であるため、ロール・トゥ・ロール法による製造に適している。したがって、波長選択フィルタ10の構成は、大量生産にも適している。
なお、上述の製造方法において、紫外線硬化性樹脂に代えて熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を用いて、ナノインプリント法により凹凸構造層17を形成してもよい。熱硬化性樹脂を用いる場合、紫外線の照射を加熱に変更すればよく、熱可塑性樹脂を用いる場合、紫外線の照射を、加熱および冷却に変更すればよい。
ただし、熱可塑性樹脂を用いて凹凸構造層17を形成した場合、埋込層19の形成に際して、凹凸構造層17が加熱されて変形することを抑えるために、熱可塑性樹脂とは異なる材料を用いて埋込層19を形成することが好ましい。例えば、凹凸構造層17を熱可塑性樹脂から形成し、埋込層19を紫外線硬化性樹脂から形成してもよい。
また、図11が示すように、波長選択フィルタ10は、基材11を備えていなくてもよい。この場合、低屈折率材料からなる基材の表面に凹凸構造を形成することによって、凹凸構造層17を形成する。例えば、熱可塑性樹脂からなるシートを用いて、当該シートの表面に凹凸構造を形成してもよいし、合成石英からなる基板を用いて、当該基板の表面に凹凸構造を形成してもよい。合成石英基板に対する凹凸構造の形成には、ドライエッチング法等の公知の技術が用いられればよい。
2つの共鳴構造部31を備える波長選択フィルタ30を形成する場合には、基材11と凹凸構造層17と高屈折率層18とからなる構造体を2つ、高屈折率層18同士が向かい合うように対向させ、2つの構造体の間の領域を低屈折率材料で埋めることによってこれらの構造体を接合する。これにより、2つの構造体の間に埋込層19が形成されて、波長選択フィルタ30が形成される。
3以上の共鳴構造部31を備える波長選択フィルタ30の製造に際しては、基材11と凹凸構造層17とが、凹凸構造層17から基材11を剥離可能な材料から形成される。そして、2つの上記構造体が低屈折率材料によって接合されたのち、一方の基材11が剥離され、露出された凹凸構造層17と他の上記構造体とがさらに低屈折率材料を挟んで接合されることが繰り返されることによって、6以上のサブ波長格子を有する波長選択フィルタ30が形成される。
<波長選択層の他の形態>
上記波長選択フィルタ10では、凹凸構造層17の凹凸構造が、互いに離間した複数の凸部17aと、これらの凸部17aの間で連続している単一の凹部17bとから構成されている。これに代えて、凹凸構造層17の凹凸構造は、互いに離間した複数の凹部と、これらの凹部の間で連続している単一の凸部とから構成されてもよい。すなわち、サブ波長格子を構成する要素が二次元格子状に並ぶ形態においては、凹凸構造層17の凹凸構造は、凸部もしくは凹部である複数の凹凸要素が二次元格子状に並ぶことにより形成されていればよい。
また、上記各形態においては、複数のサブ波長格子を有する波長選択フィルタを例示したが、フィルタ部4tに適用される波長選択フィルタが有するサブ波長格子は、1つであってもよい。
また、フィルタ部4tは、導波モード共鳴現象に代えて、多層膜干渉が利用されることにより、赤色光と緑色光とを透過する一方で、青色光を反射するように構成されていてもよい。具体的には、フィルタ部4tは、複数の誘電体薄膜の積層体である多層膜層からなり、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層された構造を有する。高屈折率層と低屈折率層とは、赤、緑、青の各光の波長域に対して透明な材料から構成される。高屈折率層の屈折率が、低屈折率層の屈折率よりも高い構成であれば、これらの層の材料は限定されないが、高屈折率層と低屈折率層との屈折率の差が大きいほど、少ない積層数で高い強度の反射光が得られる。例えば、高屈折率層と低屈折率層とを無機材料から構成する場合、高屈折率層は二酸化チタンから構成され、低屈折率層は二酸化珪素から構成される。
こうしたフィルタ部4tに光が入射すると、高屈折率層と低屈折率層との各界面で反射した光が干渉を起こすことにより、特定の波長域の光が反射される。高屈折率層および低屈折率層の各々の膜厚が、転送行列法等を用いて設計されることにより、フィルタ部4tは、青色波長域の光の反射率が他の波長域での反射率よりも高いように構成される。
フィルタ部4tが多層膜層からなる場合、波長選択層4における透過部4bは、空気層であってもよいし、波長選択層4を覆う保護層や保護層の積層のための接着層として機能する樹脂材料等によって充填されていてもよい。要は、透過部4b青色光を透過するように構成されていればよい。
フィルタ部4tを、導波モード共鳴現象を利用した構造とする方が、フィルタ部4tを構成する層の積層数が少ないため、製造が容易である。一方で、フィルタ部4tが多層膜層からなる場合、反射光として得られる波長域の調整の自由度が高く、また、観察角度の変化による反射光の色の変化が小さいという利点がある。
以上、第1実施形態によれば、以下に列挙する効果が得られる。
(1)赤色用副画素3r上と緑色用副画素3g上とにフィルタ部4tが配置されることによって、赤色用副画素3r上と緑色用副画素3g上とにおいて表示装置100の表側に射出される光に、青色光が混ざることが抑えられる。したがって、波長選択層4を通して射出される光を用いた画像での混色を抑制することができる。
(2)青色用副画素3bおよび透過部4bが、発光部2bからの青色光を透過するため、発光部2bが発した青色光と、赤色用副画素3rから放出された赤色光と、緑色用副画素3gから放出された緑色光とが画像の生成に利用される。したがって、混色が好適に抑制された状態でカラー表示が可能である。
(3)赤色用副画素3rと緑色用副画素3gとが、同一の構造を有して同一の波長選択性を有するため、赤色用副画素3rと緑色用副画素3gとが互いに異なる構造で互いに異なる波長選択性を有する形態と比較して、表示装置100の構造の簡略化が可能である。
(4)フィルタ部4tが、赤、緑、青の各色の波長域に対して透明な複数の層からなる積層体であり、当該複数の層に、互いに異なる屈折率を有して隣り合う層が含まれる。こうした構成によれば、屈折率の差に基づく光学現象に起因して、フィルタ部4tの波長選択性が実現される。
(5)フィルタ部4tが、サブ波長周期で並ぶ凹凸構造を表面に有する凹凸構造層17と、凹凸構造層17の凹凸構造に追従した形状を有する高屈折率層18とを備える形態であれば、導波モード共鳴現象によって、青色光を反射するフィルタ部4tが実現される。したがって、波長選択性の高い反射光が得られ、反射光の強度も高められる。また、高屈折率層18の凹凸が埋込層19で埋められることにより、2つのサブ波長格子が、低屈折率材料で埋め込まれるため、反射光の強度がさらに高められる。
(6)フィルタ部4tの凹凸構造層17において、複数の凹凸要素が1つの方向に沿って延び、相互に平行に並ぶ形態であれば、凹凸要素が二次元格子状に並ぶ形態と比較して、凹凸構造層17における凹凸構造の精密な形成が容易である。
(7)フィルタ部4tの凹凸構造層17において、複数の凹凸要素が二次元格子状に並ぶ形態であれば、様々な方向への偏光成分を含む入射光に対し、複数の方向への偏光成分に対応して反射光が出射されるため、表側への青色光の漏れがより抑えられるとともに、反射光の強度がより高められる。
(8)フィルタ部4tが複数の共鳴構造部31を備える形態であれば、フィルタ部4tが4以上のサブ波長格子を有するため、反射光の強度や偏光に対する応答性の向上が可能である。
(9)赤色用副画素3rおよび緑色用副画素3gが青色光を励起光に用いる蛍光物質および量子ドットの少なくとも一方を備える形態であれば、励起を利用した波長の変換が好適に可能となる。特に、赤色用副画素3rおよび緑色用副画素3gが量子ドットを備える形態であれば、変換後の光として、単色性の高い光が得られる。
(10)発光部2bが、青色発光ダイオードを備える形態であれば、単色性の高い光の放出が可能であるとともに、低電力での駆動が可能である。
(11)表示装置100が反射層1を備えるため、発光部2bから発光部2b下に漏れる青色光が反射されて、波長の変換や画像の表示に用いられる。したがって、表示装置100における画像の表示に用いられる有色光の生成の効率が高められる。
[変形例]
上記実施形態は、以下のように変更して実施することが可能である。
・上実施形態では、赤色用副画素3r上に配置されるフィルタ部4tと、緑色用副画素3g上に配置されるフィルタ部4tとは、同一の構造を有して互いに連続し、同一の波長選択性、すなわち、同一の反射特性および透過特性を有している。これに代えて、赤色用副画素3r上に配置されるフィルタ部4tと、緑色用副画素3g上に配置されるフィルタ部4tとは、互いに異なる構造を有して互いに異なる波長選択性を有していてもよい。例えば、赤色用副画素3r上に配置されるフィルタ部4tは、少なくとも青色光を反射して赤色光を透過すればよく、青色光とともに緑色光を反射してもよいし、緑色用副画素3g上に配置されるフィルタ部4tは、少なくとも青色光を反射して緑色光を透過すればよく、青色光とともに赤色光を反射してもよい。
例えば、2つの共鳴構造部31を備える波長選択フィルタにおいて、2つの共鳴構造部31A,31Bが互いに異なる構造周期Pkを有する構成とされ、第1共鳴構造部31Aの格子領域13,15にて青色光が共鳴を起こし、第2共鳴構造部31Bの格子領域13,15にて緑色光が共鳴を起こすように設定される。こうした構成によれば、青色光と緑色光とを反射して赤色光を透過するフィルタ部4tが実現される。
・赤色用副画素3rと緑色用副画素3gとにおける青色光の透過率に差がある場合等には、フィルタ部4tは、赤色用副画素3r上のみに配置されてもよいし、緑色用副画素3g上のみに配置されてもよい。また、表示装置100が備える副画素の色は、赤、緑、青の三色でなくてもよいし、発光部2bが発する光は青色とは異なる色の光であってもよい。要は、波長変換層3において、発光部2bが発する光に含まれる第1波長の光を励起光に用いて第1波長よりも長い第2波長の光が放出され、波長選択層4において、第1波長の光が反射されるとともに第2波長の光が透過されれば、少なくともこうした波長選択が行われる領域にて、発光部2bからの光の混入による画像の混色は抑えられる。
1…反射層、2…光源層、2b…発光部、3…波長変換層、3r…赤色用副画素、3g…緑色用副画素、3b…青色用副画素、4…波長選択層、4t…フィルタ部、4b…透過部、5…駆動部、10,20,30…波長選択フィルタ、11…基材、12…第1低屈折率領域、13…第1格子領域、13a…第1高屈折率部、13b…第1低屈折率部、14…中間領域、14a…側部高屈折率部、14b…孤立低屈折率部、14c…外周低屈折率部、15…第2格子領域、15a…第2高屈折率部、15b…第2低屈折率部、16…第2低屈折率領域、17…凹凸構造層、17a…凸部、18…高屈折率層、19…埋込層、31…共鳴構造部、100…表示装置。

Claims (13)

  1. 第1波長の光を発する発光部と、
    前記発光部上に位置し、前記第1波長の光を励起光に用いて前記第1波長よりも長い第2波長の光を放出する波長変換部と、
    前記波長変換部上に位置し、前記第1波長の光の反射率が70%以上、かつ、前記第2波長の光の透過率が70%以上である波長選択部と、を備え
    前記波長選択部は、前記第1波長および前記第2波長に対して透明な複数の層からなる積層体であり、前記複数の層には、互いに異なる屈折率を有して隣り合う層が含まれ、
    前記複数の層は、
    凸部または凹部である凹凸要素がサブ波長周期で並ぶ凹凸構造を表面に有し、低屈折率材料から構成された凹凸構造層と、
    前記凹凸構造上に位置して前記凹凸構造に追従した形状を有する高屈折率層と、を含む
    表示装置。
  2. 前記第1波長は、400nm以上500nm以下の波長であり、
    前記第2波長は、600nm以上700nm以下の波長であり、
    前記発光部は第1発光部であり、
    前記波長変換部は赤色用波長変換部であり、
    前記波長選択部は赤色用波長選択部であり、
    520nm以上580nm以下の波長が第3波長であり、
    前記第1波長の光を発する第2発光部と、
    前記第2発光部上に位置し、前記第1波長の光を励起光に用いて前記第3波長の光を放出する緑色用波長変換部と、
    前記緑色用波長変換部上に位置し、前記第1波長の光の反射率が70%以上、かつ、前記第3波長の光の透過率が70%以上である緑色用波長選択部と、をさらに備える
    請求項1に記載の表示装置。
  3. 前記第1波長の光を発する第3発光部と、
    前記第3発光部上に位置し、前記第1波長の光を透過する青色透過部と、をさらに備える
    請求項2に記載の表示装置。
  4. 前記赤色用波長選択部と、前記緑色用波長選択部とは、同一の波長選択性を有する
    請求項2または3に記載の表示装置。
  5. 前記複数の層は、
    前記高屈折率層の凹凸を埋める低屈折率材料から構成された埋込層をさらに備える
    請求項1~4のいずれか一項に記載の表示装置。
  6. 前記凹凸要素は、1つの方向に沿って延び、
    前記凹凸構造では、複数の凹凸要素が相互に平行に並ぶ
    請求項1~5のいずれか一項に記載の表示装置。
  7. 前記凹凸構造では、複数の前記凹凸要素が二次元格子状に並ぶ
    請求項1~5のいずれか一項に記載の表示装置。
  8. 前記高屈折率層と、前記高屈折率層を取り囲む低屈折率領域とから構成される部分が共鳴構造部であり、
    前記波長選択部は、前記共鳴構造部の厚さ方向に沿って並ぶ複数の前記共鳴構造部を備える
    請求項1~7のいずれか一項に記載の表示装置。
  9. 前記波長変換部は、前記第1波長の光を励起光に用いる蛍光物質を備える
    請求項1~8のいずれか一項に記載の表示装置。
  10. 前記波長変換部は、前記第1波長の光を励起光に用いる量子ドットを備える
    請求項1~9のいずれか一項に記載の表示装置。
  11. 前記発光部は、有機発光ダイオードを備える
    請求項1~10のいずれか一項に記載の表示装置。
  12. 前記発光部は、青色発光ダイオードを備える
    請求項1~11のいずれか一項に記載の表示装置。
  13. 前記発光部下に位置し、前記第1波長の光を反射する反射層をさらに備える
    請求項1~12のいずれか一項に記載の表示装置。
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