JP2018062014A - 部材の位置決め方法及び位置決め装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ばらつきが生じている部材をロボットによって搬送する際に、ロボットによる当該部材の搬送が容易に行えるようにするとともに、当該部材を相手側部材に対して正確に位置決めできるようにする。【解決手段】ロボットにより排気パイプ103をセットした後、セット治具30を移動させることにより、治具50にセットされているシェル100に、排気パイプ103の端部を接近させる。その後、治具50を移動させることにより、シェル100に排気パイプ103の端部を所定力で接触させて位置決めする。【選択図】図7

Description

本発明は、例えばパイプ状の部材や棒状の部材を組み付け相手となる相手側部材に対して位置決めする位置決め方法及び位置決め装置に関する。
例えば、自動車の排気系の構造として、曲がり部を持った2本のフロントパイプの下流側を合流部材に対して溶接により接続して一体化する構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、一般に、各種組立現場ではロボットによって部材を搬送し、組み付け相手となる相手側部材に組み付けていく自動化設備の導入が進められている。
特開2011−43121号公報
ところで、特許文献1のような曲がり部を持ったパイプ状の部材には公差範囲内で形状のばらつきや各部の寸法ばらつきが生じるのは避けられない。一方、パイプ状の部材と合流部材との相対的な位置はほぼ設計通りにしておかないと、後工程の溶接作業による接続不良の発生原因になる恐れがある。
ここで、作業者がパイプ状の部材を合流部材に組み付ける場合を想定すると、パイプ状の部材のばらつきを吸収するべく、微妙な位置調整等をこれまでの経験で得られた作業者の技能により行うことができ、後工程に悪影響を及ぼさないようにパイプ状の部材と合流部材との相対的な位置をほぼ設計通りにすることが可能である。また、パイプ状の部材を合流部材に組み付ける際には複雑な動きが要求されることがあるが、これも作業者の技能によって行うことが可能である。
これに対し、ロボットの場合、その動きはティーチングによって任意に設定することが可能であるが、上述したようなばらつきは部材毎に異なっており、ばらつきを吸収させるような動作をロボットに行わせるのは困難である。また、ロボットの動きの自由度にも限界があり、特許文献1のような曲がり部を持ったパイプ状の部材を合流部材に組み付ける際に複雑な動きが要求される場面ではロボットを使用できない場合がある。
また、パイプ状の部材だけなく、曲がり部を持った棒状の部材を相手側部材に組み付ける場合も想定され、この棒状の部材の場合もパイプ状の部材の場合と同様な問題が発生するものと考えられる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ばらつきが生じている部材をロボットによって搬送する際に、ロボットによる当該部材の搬送が容易に行えるようにするとともに、作業者を介することなく装置の動作のみで当該部材を相手側部材に対して正確に位置決めできるようにすることにある。
上記目的を達成するために、本発明では、曲がり部を持ったパイプ状又は棒状の部材をロボットが搬送・装着しやすいような姿勢で位置決め装置を待機させ、その後位置決め装置と当該部材を相手側部材の組み付け位置まで移動させて、該相手側部材に所定の力で押し付けながらパイプ端部を中心に部材を回転させることによって、パイプ状又は棒状の部材のばらつきを吸収しつつ正確に冶具へのセットが自動でできるようにした。
第1の発明は、一端部と他端部との間に曲がり部を持ったパイプ状又は棒状の第1部材の一端部を組み付け相手となる第2部材に対して位置決めする部材の位置決め方法において、ロボットにより上記第1部材を把持し、該第1部材を搬送して該第1部材の他端部を第1セット治具にセットする第1セット工程と、上記第2部材を第2セット治具にセットする第2セット工程と、上記第1セット工程及び上記第2セット工程の後、上記第1セット治具を移動させることにより、上記第2セット治具にセットされている第2部材に、上記第1セット治具にセットされている上記第1部材の一端部を接近させる第1セット治具移動工程と、上記第1セット治具移動工程の後、上記第1セット治具を回動させることによって該第1セット治具にセットされている第1部材を該第1部材の他端部の軸芯周りに回動させる第1部材回動工程と、さらに上記第2セット治具を基準位置に移動させることにより、上記第2部材における上記第1部材が組み付けられる部分に、上記第1部材の一端部を所定力で接触させて位置決めする第2セット治具移動工程とを備えていることを特徴とする。
この構成によれば、第1セット治具を第1部材のセット後に移動させることができるので、第1部材のセット前においては、第1セット治具を、第1部材のセットが容易になる位置に配置することが可能になる。これにより、複雑な動きを要することなくロボットによって第1部材を第1セット治具まで搬送してセットする作業が容易になる。このとき、ロボットは第1部材の一端部を位置決めした状態で把持しており、第1部材のロボットに対する位置決めが行われており、この状態で第1部材の他端部が第1セット治具にセットされる。また、基準位置に配置された第2セット治具に第2部材がセットされているので、第2部材の位置も定まっている。
第1部材及び第2部材のセット後に第1セット治具を回動させることによって該第1セット治具にセットされている第1部材を、該第1部材の他端部の軸芯周りに回動させるとともに、第2セット治具を第1部材の一端部に接近する方向に移動させると、第2部材における第1部材が組み付けられる部分に、第1部材の一端部が所定力で接触する。第1部材をその他端部の軸芯周りに回動させながら第2部材に所定力で接触させるという簡単な動作によって第1部材の一端部及び第2部材のクリアランスに第1部材のばらつきが吸収されるので、作業者を介することなく第2部材における第1部材が組み付けられる部分に第1部材が確実に接触して位置決めされる。
また第1部材が回動を行う際、第1部材および第2部材の形状によっては両部材が互いに干渉する恐れがあるが、第1部材の回動が終わった後に第2セット治具を基準位置に移動させることで、両部材の干渉が回避される。
第2の発明は、第1の発明において、上記第1セット治具移動工程では、上記第1部材の一端部と他端部との間が仮受け部材に接触するまで上記第1セット治具を移動させることを特徴とする。
この構成によれば、第1セット治具移動工程において第1部材が仮受け部材で所定位置に保持されるので、第1セット治具を移動させるための動力が弱くても第1部材が所定位置で安定する。
第3の発明は、第2の発明において、上記第2セット治具移動工程では、上記第2部材における上記第1部材が組み付けられる部分に上記第1部材を接触させ、上記第1部材が上記仮受け部材から離れ、かつ基準位置に達するまで該第1部材を移動させることを特徴とする。
この構成によれば、第1部材が仮受け部材から離れるまで該第1部材を移動させることで、仮受け部材の影響を受けることなく、第2部材における第1部材が組み付けられる部分に第1部材が確実に接触して基準位置に位置決めされる。
第4の発明は、第1から3のいずれか1つの発明において、上記第2セット治具移動工程では、上記第1部材に対して該第1部材が上記第2部材に接触する方向への力を作用させ続けることを特徴とする。
この構成によれば、第1部材に対して第2部材に接触する方向への力を作用させ続けることで、第2部材における第1部材が組み付けられる部分に該第1部材が確実に接触した状態が維持される。
第5の発明は、一端部と他端部との間に曲がり部を持ったパイプ状又は棒状の第1部材の一端部を組み付け相手となる第2部材に対して位置決めする部材の位置決め装置において、ロボットにより上記第1部材を把持して搬送された上記第1部材の他端部がセットされる第1セット治具と、上記第2部材がセットされた第2セット治具と、上記第1セット治具を移動させ、上記第2セット治具にセットされている第2部材に、上記第1セット治具にセットされている上記第1部材の一端部を接近させるとともに、上記第1セット治具を回動させる第1セット治具移動装置と、上記第2セット治具を移動させ、上記第2部材における上記第1部材が組み付けられる部分に、上記第1部材を所定力で接触させて位置決めする第2セット治具移動装置と、上記第1セット治具移動装置及び上記第2セット治具移動装置を制御する制御装置とを備え、上記制御装置は、上記第1セット治具移動装置により上記第1セット治具を移動させて上記第2セット治具にセットされている第2部材に、上記第1セット治具にセットされている上記第1部材の一端部を接近させた後、上記第1セット治具移動装置により上記第1セット治具を回動させて該第1セット治具にセットされている第1部材を該第1部材の他端部の軸芯周りに回動させ、さらに上記第2セット治具移動装置により上記第2セット治具を基準位置に移動させて上記第2部材における上記第1部材が組み付けられる部分に、上記第1部材を所定力で接触させて位置決めさせるように構成されていることを特徴とする。
この構成によれば、第1の発明と同様に、ロボットによって第1部材を第1セット治具まで搬送してセットする作業が容易になるとともに、第1部材のばらつきが第1部材の一端部及び第2部材のクリアランスに吸収されて作業者を介することなく第1部材が確実に位置決めされる。
第1、5の発明によれば、第1セット治具を移動させることにより、第2セット治具にセットされている第2部材に第1部材の一端部を接近させ、その後、基準位置に配置されていた第2セット治具を移動させることにより、第2部材における第1部材が組み付けられる部分に第1部材を所定力で接触させて位置決めすることができる。これにより、ロボットによる第1部材の搬送を容易に行うことができるとともに、第1部材のばらつきを第1部材の一端部及び第2部材のクリアランスによって吸収して作業者を介することなく第1部材を第2部材に対して正確に位置決めできる。
第2の発明によれば、第1部材を仮受け部材で保持することができるので、第1セット治具を移動させるための動力が弱くても第1部材を所定位置で安定させることができる。
第3の発明によれば、第2セット治具移動工程において第1部材が仮受け部材から離れるまで該第1部材を移動させることで、仮受け部材の影響を受けることなく、第2部材における第1部材が組み付けられる部分に第1部材を確実に接触させて基準位置に正確に位置決めできる。
第4の発明によれば、第1部材に対して第2部材に接触する方向への力を作用させる続けることができる。これにより、第2部材における第1部材が組み付けられる部分に第1部材を確実に接触させて位置決め精度をより一層向上させることができる。
実施形態に係る部材の位置決め装置の斜視図であり、シェルがセットされている状態を示す。 第1パイプセット装置を拡大して示す斜視図である。 位置決め装置のブロック図である。 排気パイプがセットされた状態の図1相当図である。 排気パイプをシェルに接近させた状態の図1相当図である。 排気パイプを仮受け部材に接触させた状態の図1相当図である。 シェルを上昇させてシェルに排気パイプを位置決めした状態の図1相当図である。 各工程における排気パイプとシェルの位置関係を示す概略図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1は、本発明の実施形態に係る部材の位置決め装置1の斜視図であり、この図1ではシェル100及び下流側排気パイプ101が既に位置決め装置1にセットされている状態を示している。位置決め装置1は、自動車の排気系を製造する現場で使用される装置である。
自動車の排気系は、シェル100、下流側排気パイプ101の他に、図4等に示す上流側第1排気パイプ103及び上流側第2排気パイプ104を少なくとも備えている。上流側第1排気パイプ103及び上流側第2排気パイプ104は、本発明の曲がり部を持ったパイプ状の第1部材である。上流側第1排気パイプ103には、一端部と他端部との間に少なくとも1つの曲がり部103a、103bが形成されており、3次元形状をなしている。また、上流側第2排気パイプ104も、一端部と他端部との間に少なくとも1つの曲がり部104a、104bを有しており、3次元形状をなしている。
シェル100は、上流側第1排気パイプ103及び上流側第2排気パイプ104の組み付け相手となる第2部材に相当する部材である。このシェル100は、1枚の鋼板を上方に開放する凹状にプレス成形してなる。シェル100には、下流側排気パイプ101の外周面に沿うように円弧状に形成された下流側接続凹部100aと、上流側第1排気パイプ103の外周面に沿うように円弧状に形成された上流側第1接続凹部100bと、上流側第2排気パイプ104の外周面に沿うように円弧状に形成された上流側第2接続凹部100cとが形成されている。上流側第1接続凹部100bは、上流側第1排気パイプ103が組み付けられる部分であり、また、上流側第2接続凹部100cは、上流側第2排気パイプ104が組み付けられる部分である。
上流側第1接続凹部100bと上流側第2接続凹部100cとはシェル100の幅方向に並ぶように設けられている。このシェル100には上方から別のシェル(図示せず)が組み付けられる。上側のシェルは下方に開放する形状とされており、シェル100の周縁部と上側のシェルの周縁部とが溶接されて上流側第1排気パイプ103及び上流側第2排気パイプ104の合流部が構成されるようになっている。また、下流側排気パイプ101の上流側の外周面は、シェル100の下流側接続凹部100aと、上側のシェルに形成されている凹部に溶接されるようになっている。さらに、上流側第1排気パイプ103の下流側の外周面は、シェル100の上流側第1接続凹部100bと、上側のシェルに形成されている凹部に溶接され、また、上流側第2排気パイプ104の下流側の外周面は、シェル100の上流側第2接続凹部100cと、上側のシェルに形成されている凹部に溶接される。従って、位置決め装置1は、溶接工程の前工程、即ち、上流側第1排気パイプ103及び上流側第2排気パイプ104をシェル100に位置決めする工程で使用され、この位置決め装置1によって本発明の部材の位置決め方法を実行することができる。尚、シェル100、下流側排気パイプ101、上流側第1排気パイプ103及び上流側第2排気パイプ104の形状は一例であり、他の形状であってもよい。
(位置決め装置の全体構成)
図1に示すように、位置決め装置1は、基台2と、第1パイプセット装置3と、第2パイプセット装置4と、シェルセット装置5と、下流側排気パイプセット装置6と、図3に示す制御装置7とを備えている。基台2は、排気系の組立工場に設置されるものであり、この基台2の上面に、第1パイプセット装置3、第2パイプセット装置4、シェルセット装置5及び下流側排気パイプセット装置6が取り付けられるようになっている。制御装置7は、図示しない制御盤等に内蔵されている。
(パイプセット装置の構成)
第1パイプセット装置3は、上流側第1排気パイプ103がセットされるパイプセット治具(第1セット治具)30と、第1振り込み動作用サーボモータ(第1セット治具移動装置)31と、第1仮受け当接用サーボモータ(第1セット治具移動装置)32と、第1取付部材33とを備えている。この第1パイプセット装置3は、上流側第1排気パイプ103の他端部を把持した状態で上流側第1排気パイプ103の一端部をシェル100に位置決めするための装置である。第1振り込み動作用サーボモータ31と第1仮受け当接用サーボモータ32は、回転が停止した状態であっても制御装置7の指示によって所定のトルクを出力し続けることができるように構成された周知のものである。
第1取付部材33は、基台2の上面に固定されており、該上面から上方へ突出している。第1取付部材33の上部には、第1振り込み動作用サーボモータ31が固定されている。第1振り込み動作用サーボモータ31の出力軸(図示せず)は、ほぼ水平方向に延びる姿勢とされている。第1振り込み動作用サーボモータ31の出力軸には、第1可動ブラケット31aが固定されている。第1振り込み動作用サーボモータ31は、制御装置7によって制御される。
図2に示すように、第1可動ブラケット31aは、第1振り込み動作用サーボモータ31の出力軸に固定される固定板部31bと、固定板部31bに対してほぼ直交する方向に延びる取付板部31cとを有している。固定板部31bは、第1振り込み動作用サーボモータ31の出力軸に対してほぼ直交する方向に延びる一方、取付板部31cは、第1振り込み動作用サーボモータ31の出力軸とほぼ平行に延びている。第1可動ブラケット31aは、第1振り込み動作用サーボモータ31によって回転駆動されるようになっており、取付板部31cは、第1振り込み動作用サーボモータ31の外周を回るように移動する。
取付板部31cには、第1仮受け当接用サーボモータ32が固定されている。第1仮受け当接用サーボモータ32の出力軸(図示せず)は、取付板部31cとほぼ平行である。第1仮受け当接用サーボモータ32の出力軸には、治具固定板32aが固定されており、この治具固定板32aは第1仮受け当接用サーボモータ32によって回転駆動される。第1仮受け当接用サーボモータ32は、制御装置7によって制御される。
治具固定板32aには、パイプセット治具30が固定されている。パイプセット治具30は、いわゆるチャック装置であり、上流側第1排気パイプ103の他端部を把持する複数の把持爪30aと、把持爪30aを進退駆動する駆動部30bとを有している。複数の把持爪30aは、上流側第1排気パイプ103の他端部の内方に挿入された状態で、該パイプ103の径方向に同じ寸法だけ進退するようになっている。把持爪30aが進出状態になることで、上流側第1排気パイプ103の他端部の内周面に接触し、これにより、上流側第1排気パイプ103が冶具軸芯とパイプ軸芯を一致させた状態でパイプセット治具30に把持された状態(セット状態)になる。一方、把持爪30aが後退すると、上流側第1排気パイプ103の他端部の内周面から離れて上流側第1排気パイプ103が非セット状態になる。駆動部30bは、例えば流体圧シリンダや電動機等で構成することができ、制御装置7によって制御される。尚、パイプセット治具30は、上流側第1排気パイプ103を挟持するクランプ等で構成されていてもよい。
図1に示すように、第2パイプセット装置4は、第1パイプセット装置3と同様に構成されており、上流側第2排気パイプ104がセットされるパイプセット治具(第1セット治具)40と、第2振り込み動作用サーボモータ(第1セット治具移動装置)41と、第2仮受け当接用サーボモータ(第1セット治具移動装置)42と、第2取付部材43とを備えている。第2振り込み動作用サーボモータ41、第2仮受け当接用サーボモータ42及びパイプセット治具40は、制御装置7によって制御される。
(シェルセット装置の構成)
シェルセット装置5は、シェル100がセットされるシェルセット治具(第2セット治具)50と、シェル移動装置(第2セット治具移動装置)51とを備えている。シェル移動装置51は、例えば流体圧シリンダ等で構成されており、シリンダ部51aが基台2の上面に固定され、ロッド(図示せず)が上下方向に進退するようになっている。シェル移動装置51は、制御装置7によって制御される。
シェル移動装置51のロッドの先端部には、ほぼ水平に延びる治具固定板51bが設けられている。治具固定板51bの上面には、シェルセット治具50が上方へ突出するように固定されている。シェルセット治具50は、シェル移動装置51により、パイプセットが完了した時点では基準位置に配置されるが、後述するように第2セット冶具移動工程開始時点では待機位置に配置されている。シェルセット治具50の上端面にシェル100の下面が接触した状態で該シェル100がシェルセット治具50にセットされ、この上端面が通常基準面に設定されている。このとき、シェル100はシェルセット治具50に対し、シェルセット治具50が有する位置決めピン50aによって正確に位置決めされるようになっている。
(下流側排気パイプセット装置の構成)
下流側排気パイプセット装置6は、下流側排気パイプ101がセットされる下流側排気パイプセット治具60と取付部材61とを備えている。取付部材61は、基台2の上面に固定されており、該上面から上方へ突出している。下流側排気パイプセット治具60は、上記パイプセット治具30と同様に構成されており、取付部材61に固定されている。
(基台の構成)
基台2には、仮受け部材8が設けられている。この仮受け部材8は位置決め装置1を構成する部材であり、基台2の上面から上方へ突出している。仮受け部材8は、上流側第1排気パイプ103をシェル100に接近させたとき(詳細は後述する)、上流側第1排気パイプ103の長手方向中間部の外周面に対して下方から接触し、上流側第1排気パイプ103を一時的に受けておくための部材である。仮受け部材8の上端部には、上流側第1排気パイプ103の外周面に接触する接触面8aが設けられている。接触面8aの具体的な高さは後述する。
(制御装置の構成)
制御装置7は、例えば従来から周知のマイクロコンピュータ等で構成されており、予め記憶された所定のプログラムに従って動作し、パイプセット治具30、第1振り込み動作用サーボモータ31、第1仮受け当接用サーボモータ32、パイプセット治具40、第2振り込み動作用サーボモータ41、第2仮受け当接用サーボモータ42及びシェル移動装置51を制御するように構成されている。具体的な制御手順は以下に述べる。
(位置決め装置の動作)
次に、上記のように構成された位置決め装置1の動作について説明する。図1に示すように、シェル100はシェルセット装置5に予めセットされ、また、下流側排気パイプ101は下流側排気パイプセット装置6に予めセットされている(本発明の第2セット工程)。また、シェルセット装置5のシェル移動装置51のロッドは下降させておく。
上流側第1排気パイプ103及び上流側第2排気パイプ104は図示しないが汎用ロボットによって第1パイプセット装置3及び第2パイプセット装置4にセットされる。上流側第1排気パイプ103及び上流側第2排気パイプ104は、向きがバラバラな状態で部品置き場に置かれており、この状態をバラ積み状態という。バラ積み状態にある上流側第1排気パイプ103及び上流側第2排気パイプ104を画像センサー(図示せず)により認識してロボットが把持する。画像センサー及び画像センサーによる認識手法は従来から周知であるため詳細な説明は省略する。
ロボットは、画像センサーで認識された上流側第1排気パイプ103及び上流側第2排気パイプ104の把持装置がアクセス可能な位置を把持する。ロボットが把持する際、上流側第1排気パイプ103及び上流側第2排気パイプ104におけるパイプセット治具30および40への組み付け側の端部(他端部)の位置を上記画像センサー情報の演算結果により得て、上流側第1排気パイプ103又は上流側第2排気パイプ104の他端部以外の把持し易い位置を判断して把持する。
このとき、ロボットは、上記画像センサーからの情報により、上流側第1排気パイプ103の他端部の位置、上流側第2排気パイプ104の他端部の位置も把握するとともに、把持している上流側第1排気パイプ103の概略形状、上流側第2排気パイプ104の概略形状も把握している。
また、図1に示すように、上流側第1排気パイプ103のセット前に第1振り込み動作用サーボモータ31を作動させてパイプセット治具30を第1振り込み動作用サーボモータ31よりも上側に配置しておく。また、図2に示すように、パイプセット治具30の駆動部30bにより把持爪30aを後退させておく。さらに、同様に、第2パイプセット装置4についても、上流側第2排気パイプ104のセット前に第2振り込み動作用サーボモータ41を作動させてパイプセット治具40を第2振り込み動作用サーボモータ41よりも上側に配置しておく。また、パイプセット治具40の把持爪(図示せず)も後退させておく。これにより、パイプセット治具30及びパイプセット治具40が、上流側第1排気パイプ103及び上流側第2排気パイプ104のセットし易い位置に配置されることになる。
前記作動によりロボットの把持装置が把持した上流側第1排気パイプ103及び上流側第2排気パイプ104を、図4に示すようにロボットによって搬送し、それぞれパイプセット治具30および40へ装着する。ロボットが上流側第1排気パイプ103を移動させて上流側第1排気パイプ103の他端部にパイプセット治具30の把持爪30aを挿入する。挿入が完了したら、制御装置7はパイプセット治具30の駆動部30bに信号を出力して把持爪30aを進出させる。これにより、上流側第1排気パイプ103の他端部がパイプセット治具30に把持されてセット状態になる。また、汎用ロボットが上流側第2排気パイプ104を移動させて上流側第2排気パイプ104の他端部に第2セット治具30の把持爪を挿入し、制御装置7がパイプセット治具40の駆動部に信号を出力して把持爪を進出させると、上流側第2排気パイプ104の他端部がパイプセット治具40に把持されてセット状態になる。これが第1セット工程である。
上流側第1排気パイプ103をセットする際、パイプセット治具30の把持爪30aが第1パイプセット装置3の上に位置しているので、第2パイプセット装置4やシェルセット装置5、下流側排気パイプセット装置6、仮受け部材8が邪魔になることはなく、汎用ロボットによる搬送経路を単純な経路にすることができ、その結果、汎用ロボットによる上流側第1排気パイプ103の搬送が容易に行えるようになる。上流側第2排気パイプ104の搬送も同様に容易に行える。
また、シェルセット装置5のシェルセット治具50は、上記基準位置よりも下方(待機位置)へ移動させておく。つまり、シェルセット治具50にセットされているシェル100が上流側第1排気パイプ103及び上流側第2排気パイプの一端部から離れる方向にシェルセット治具50を移動させておく。
その後、図5及び図8における左側に示すように、パイプセット治具30を基準位置に移動させることにより、シェルセット治具50にセットされているシェル100に、パイプセット治具30にセットされている上流側第1排気パイプ103を接近させる第1セット治具移動工程を行う。つまり、制御装置7は、第1振り込み動作用サーボモータ31を図5に示す矢印の方向に回転させ、これにより、パイプセット治具30を水平軸周りに移動させて上流側第1排気パイプ103の一端部を、シェル100の上流側第1接続凹部100bに接近させる。この動作が振り込み動作である。これによりパイプセット治具30および把持されている上流側第1排気パイプ103の他端部は基準位置にセットされた状態となり、あとは他端部を中心とした回転を調整すれば姿勢が決まる状態となる。
上流側第1排気パイプ103の回転方向には仮受け部材8が設けられており、その位置は上流側第1排気パイプ103が目標回転位置を越えた位置で回転を止めるように調整され、かつ前記シェルセット治具50は更に下方に移動した状態で待機している。図8の中央に示すように、仮受け部材8に上流側第1排気パイプ103の外周面が接触するまで、即ち目標回転位置を少し超えた位置まで上流側第1排気パイプ103を回動させ、その後、上流側第1排気パイプ103の回動を停止させる。第2パイプセット装置4も制御装置7によって第1パイプセット装置3と同様に制御する。
すなわち、図6に示すように、制御装置7は、第1振り込み動作用サーボモータ31を停止させたまま、第1仮受け当接用サーボモータ32を図6に矢印の方向に回転させ、これにより、上流側第1排気パイプ103がシェル100に接近するまでパイプセット治具30を移動させる。第1仮受け当接用サーボモータ32は停止した状態であっても矢印の方向にトルクを与え続ける。これが第1部材回動工程である。また、第2パイプセット装置4も制御装置7によって第1パイプセット装置3と同様に制御する。
その後、図7に示すようにシェルセット装置5のシェル移動装置51を作動させてロッドを進出させ、シェルセット治具50を上昇させて基準位置に配置する。これにより、図8の右側に示すように、上流側第1排気パイプ103の一端部及び上流側第2排気パイプの一端部が、第1仮受け当接用サーボモータ31及び第2仮受け当接用サーボモータ42のトルクに抗してシェル100に接触した状態で押し上げられ、シェルセット治具50が基準位置で静止する。これにより、上流側第1排気パイプ103が仮受け部材8から上方へ離れる。また、第2セット治具移動工程では、第1仮受け当接用サーボモータ32により、上流側第1排気パイプ103に対して該上流側第1排気パイプ103がシェル100に接触する方向への力を作用させ続ける。
また、上流側第1接続凹部100bとシェル100とのクリアランスによって上流側第1排気パイプ103のばらつきが吸収されて、上流側第1排気パイプ103の一端部がシェル100の上流側第1接続凹部100bに確実に接触する。パイプセット治具30に把持された上流側第1排気パイプ103の他端部と、シェルセット治具50に所定の圧力で当接したフランジ面で正確に位置決めされ、上流側第1排気パイプ103の一端部で両部材のバラツキが吸収された状態で部品のセットが完了する。これにより、作業者に頼ることなく位置決め作業を行うことができ、生産設備の自動化を実現できる。
第2セット治具移動工程により、上流側第1排気パイプ103の一端部がシェル100の上流側第1接続凹部100bに嵌まる。このとき、上流側第1排気パイプ103には、公差範囲内で形状や各部の寸法ばらつきが生じていて、例えば上流側第1排気パイプ103の一端部の位置が径方向にばらついていることがある。第2セット治具移動工程で、上流側第1排気パイプ103の一端部をシェル100の上流側第1接続凹部100bに押し付けることができるので、上流側第1排気パイプ103の一端部の位置が径方向にばらついていたとしても、上述したように該一端部がシェル100の上流側第1接続凹部100bに嵌まるように、上流側第1排気パイプ103の姿勢が両部品のクリアランスの範囲内で調整される。これにより、上流側第1排気パイプ103のばらつきを吸収して正確に位置決めできる。同様に、上流側第2排気パイプ104をシェル100の上流側第2接続凹部100cに押し付けることができるので、上流側第2排気パイプ104のばらつきも吸収して正確に位置決めできる。
その後、図示しないが、シェル100に上側のシェルを配置して各部を溶接して一体化する。溶接作業時には、上流側第1排気パイプ103及び上流側第2排気パイプ104の端部がシェル100に対して正確に位置決めされているので、品質に関わる不良が起こり難くなる。
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、この実施形態に係る位置決め方法及び位置決め装置1によれば、パイプセット治具30、40を移動させることにより、シェルセット治具50にセットされているシェル100に上流側第1排気パイプ103及び上流側第2排気パイプ104を接近させ、その後、シェルセット治具50を移動させることにより、シェル100の第1接続凹部100b及び第2接続凹部100cに上流側第1排気パイプ103及び上流側第2排気パイプ104を所定力で接触させて位置決めすることができる。これにより、ロボットによる上流側第1排気パイプ103及び上流側第2排気パイプ104の搬送を容易に行うことができるとともに、上流側第1排気パイプ103及び上流側第2排気パイプ104のばらつきを吸収して上流側第1排気パイプ103及び上流側第2排気パイプ104をシェル100に対して正確に位置決めできる。
また、上流側第1排気パイプ103を仮受け部材8で保持することができるので、パイプセット治具30を移動させるための動力が弱くても上流側第1排気パイプ103を所定位置で安定させることができるとともに、上流側第1排気パイプ103が他の部材と干渉してしまうのを回避することができる。
また、上流側第1排気パイプ103が仮受け部材8から離れるまで該上流側第1排気パイプ103及び上流側第2排気パイプ104を移動させるようにしている。これにより、仮受け部材8の影響を受けることなく、上流側第1排気パイプ103を正確に位置決めできる。
これらにより曲がりを有するパイプ状の部品の冶具装置へのセットが、作業者を介することなくロボットにより行うことが出来、工程の自動化に資することができる。
(その他の実施形態)
上記実施形態では、パイプ状の部材を第2部材としてのシェル100に対して位置決めするようにしているが、これに限らず、例えば第1部材が曲がりを有する棒状の部材の場合には、その棒状の部材を第2部材に位置決めする場合に本発明を適用することができる。また、パイプ状の部材としては、例えば、自動車の排気系のハンガーパイプや、その他の配管部材等を挙げることができる。また、棒状の部材としては、自動車の排気系のハンガー部材等を挙げることができる。
また、上記実施形態では、上流側第1排気パイプ103及び上流側第2排気パイプ104を位置決めするように構成されているが、いずれか一方のみ位置決めするようにしてもよい。
また、上記実施形態では、上流側第1排気パイプ103及び上流側第2排気パイプ104を回転動作させるようにしているが、これに限らず、例えば流体圧シリンダ等を駆動源として直線状に移動させるようにしてもよい。
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
以上説明したように、本発明に係る部材の位置決め方法及び位置決め装置は、例えばパイプ状の部材や棒状の部材を位置決めする場合に利用することができる。
1 位置決め装置
7 制御装置
8 仮受け部材
30、40 パイプセット治具(第1セット治具)
31 第1振り込み動作用サーボモータ(第1セット治具移動装置)
32 第1仮受け当接用サーボモータ(第1セット治具移動装置)
41 第2振り込み動作用サーボモータ(第1セット治具移動装置)
42 第2仮受け当接用サーボモータ(第1セット治具移動装置)
50 シェルセット治具(第2セット治具)
51 シェル移動装置(第2セット治具移動装置)
100 シェル(第2部材)
103 上流側第1排気パイプ(第1部材)
103a、103b 曲がり部
104 上流側第2排気パイプ(第1部材)
104a、104b 曲がり部

Claims (5)

  1. 一端部と他端部との間に曲がり部を持ったパイプ状又は棒状の第1部材の一端部を組み付け相手となる第2部材に対して位置決めする部材の位置決め方法において、
    ロボットにより上記第1部材を把持し、該第1部材を搬送して該第1部材の他端部を第1セット治具にセットする第1セット工程と、
    上記第2部材を第2セット治具にセットする第2セット工程と、
    上記第1セット工程及び上記第2セット工程の後、上記第1セット治具を移動させることにより、上記第2セット治具にセットされている第2部材に、上記第1セット治具にセットされている上記第1部材の一端部を接近させる第1セット治具移動工程と、
    上記第1セット治具移動工程の後、上記第1セット治具を回動させることによって該第1セット治具にセットされている第1部材を該第1部材の他端部の軸芯周りに回動させる第1部材回動工程と、
    さらに上記第2セット治具を基準位置に移動させることにより、上記第2部材における上記第1部材が組み付けられる部分に、上記第1部材の一端部を所定力で接触させて位置決めする第2セット治具移動工程とを備えていることを特徴とする部材の位置決め方法。
  2. 請求項1に記載の部材の位置決め方法において、
    上記第1セット治具移動工程では、上記第1部材の一端部と他端部との間が仮受け部材に接触するまで上記第1セット治具を移動させることを特徴とする部材の位置決め方法。
  3. 請求項2に記載の部材の位置決め方法において、
    上記第2セット治具移動工程では、上記第2部材における上記第1部材が組み付けられる部分に上記第1部材を接触させ、上記第1部材が上記仮受け部材から離れ、かつ基準位置に達するまで該第1部材を移動させることを特徴とする部材の位置決め方法。
  4. 請求項1から3のいずれか1つに記載の部材の位置決め方法において、
    上記第2セット治具移動工程では、上記第1部材に対して該第1部材が上記第2部材に接触する方向への力を作用させ続けることを特徴とする部材の位置決め方法。
  5. 一端部と他端部との間に曲がり部を持ったパイプ状又は棒状の第1部材の一端部を組み付け相手となる第2部材に対して位置決めする部材の位置決め装置において、
    ロボットにより上記第1部材を把持して搬送された上記第1部材の他端部がセットされる第1セット治具と、
    上記第2部材がセットされる第2セット治具と、
    上記第1セット治具を移動させ、上記第2セット治具にセットされている第2部材に、上記第1セット治具にセットされている上記第1部材の一端部を接近させるとともに、上記第1セット治具を回動させる第1セット治具移動装置と、
    上記第2セット治具を移動させ、上記第2部材における上記第1部材が組み付けられる部分に、上記第1部材を所定力で接触させて位置決めする第2セット治具移動装置と、
    上記第1セット治具移動装置及び上記第2セット治具移動装置を制御する制御装置とを備え、
    上記制御装置は、上記第1セット治具移動装置により上記第1セット治具を移動させて上記第2セット治具にセットされている第2部材に、上記第1セット治具にセットされている上記第1部材の一端部を接近させた後、上記第1セット治具移動装置により上記第1セット治具を回動させて該第1セット治具にセットされている第1部材を該第1部材の他端部の軸芯周りに回動させ、さらに上記第2セット治具移動装置により上記第2セット治具を基準位置に移動させて上記第2部材における上記第1部材が組み付けられる部分に、上記第1部材を所定力で接触させて位置決めさせるように構成されていることを特徴とする部材の位置決め装置。
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