JP2018059895A - マルチレーダシステム - Google Patents

マルチレーダシステム Download PDF

Info

Publication number
JP2018059895A
JP2018059895A JP2017100823A JP2017100823A JP2018059895A JP 2018059895 A JP2018059895 A JP 2018059895A JP 2017100823 A JP2017100823 A JP 2017100823A JP 2017100823 A JP2017100823 A JP 2017100823A JP 2018059895 A JP2018059895 A JP 2018059895A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
radar
unit
radar device
target
signal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017100823A
Other languages
English (en)
Inventor
四方 英邦
Hidekuni Yomo
英邦 四方
松岡 昭彦
Akihiko Matsuoka
昭彦 松岡
健太 岩佐
Kenta Iwasa
健太 岩佐
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp filed Critical Panasonic Corp
Priority to EP17185429.2A priority Critical patent/EP3301470A3/en
Priority to US15/681,935 priority patent/US20180088221A1/en
Priority to CN201710804125.3A priority patent/CN107884750A/zh
Publication of JP2018059895A publication Critical patent/JP2018059895A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Radar Systems Or Details Thereof (AREA)

Abstract

【課題】ターゲットの検出性能の向上と、高分解能化とを両立させることができるマルチレーダシステムを提供する。【解決手段】第1の実施の形態のマルチレーダシステム100では、レーダA101及びレーダB102が、送信タイミング及び周波数帯がほぼ同じとなるように、同期を行っている。このため、レーダA101及びレーダB102がバイスタティックレーダとして動作した場合、ターゲットTの表面における、レーダA101とレーダB102の検出対象領域が重なっている場所からの反射波に関しては、レーダA101とレーダB102とで同じ検出結果が得られる。従って、レーダA101及びレーダB102のそれぞれがバイスタティックレーダとして動作した場合のターゲット検出結果を合成することで、信号対雑音比を向上させることができ、ターゲットの検出性能が向上する。【選択図】図2

Description

本開示は、複数台のレーダ装置を用いたマルチレーダシステムに関する。
従来、複数のレーダ装置を用いて、隣接したレーダ装置間で電子ビーム走査及びフェーズドアレイアンテナの同期を行い、検知対象領域がバイスタティックレーダとして運用可能なタイミングではバイスタティックレーダとして運用し、バイスタティックレーダとして運用困難なタイミングでは単体のモノスタティックレーダとして運用するマルチレーダシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されたマルチレーダシステムでは、例えば3台以上のレーダで構成する場合、隣接するレーダ同士を同期させることでビームの交差エリアを十分に確保できるため、検出領域を効果的に広げることができる。
特許第3643871号公報
特許文献1に開示された技術では、検出領域の広範化や検出性能の向上については考慮されているものの、高分解能化については考慮されていない。このため、ターゲットの検出性能の向上と、高分解能化とを両立させることができるマルチレーダシステムが要望されている。
本開示の非限定的な実施例は、ターゲットの検出性能の向上と、高分解能化とを両立させることができるマルチレーダシステムを提供することを目的とする。
本開示の一態様は、第1送信信号を送信する第1送信部と、モノスタティックレーダモード及びバイスタティックレーダモードにおいて、ターゲットに反射された反射波信号をそれぞれ受信する第1受信部と、前記それぞれ受信した反射波信号を用いて到来方向推定を行う第1推定部と、を含む第1レーダ装置と、第2送信信号を送信する第2送信部と、前記モノスタティックレーダモード及び前記バイスタティックレーダモードにおいて、前記ターゲットに反射された前記反射波信号をそれぞれ受信する第2受信部と、前記それぞれ受信した反射波信号を用いて前記到来方向推定を行う第2推定部と、を含む第2レーダ装置と、第1レーダ装置のバイスタティックレーダモードにおける到来方向推定結果、第2レーダ装置のバイスタティックレーダモードにおける到来方向推定結果、とを合成する合成部と、第1レーダ装置のモノスタティックレーダモードにおける到来方向推定結果と、第2レーダ装置のモノスタティックレーダモードにおける到来方向推定結果と、前記合成部の出力と、を用いて、ターゲットの形状を推定する形状推定部を含む統合処理装置と、を含む。
これらの概括的かつ特定の態様は、システム、装置及び方法の任意の組み合わせにより実現してもよい。
本開示の一態様によれば、ターゲットの検出性能の向上と、高分解能化とを両立させることができるマルチレーダシステムを提供することができる。
本開示の一態様における更なる利点及び効果は、明細書及び図面から明らかにされる。かかる利点及び/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書及び図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
本第1の実施の形態に係るマルチレーダシステムとターゲットとの関係を模式的に示した図 第1の実施の形態のマルチレーダシステムのブロック構成を示す図 位相合成部の構成例を示す図 第2の実施の形態のマルチレーダシステムのブロック構成を示す図 第3の実施の形態のマルチレーダシステムのブロック構成を示す図 レーダAの設置位置を原点とした直交座標系を例示した図 レーダAとレーダBの視線方向が不一致の場合における座標変換について説明するための図 レーダAとレーダBの視線方向が不一致の場合における座標変換について説明するための図 レーダ設置時の視線方向のずれの算出方法の概念図 レーダA及びレーダBの内部構成を示すブロック図 レーダA及びレーダBの内部構成の第2の構成例を示すブロック図 レーダA及びレーダBの内部構成の第3の構成例を示すブロック図 位相回転部の構成例を示す図 レーダA及びレーダBの内部構成の第4の構成例を示すブロック図 レーダ間多重用直交符号とストリーム間多重用直交符号の関係を示すタイミングチャートを例示した図 レーダA及びレーダBの内部構成の第5の構成例を示すブロック図
本開示の実施の形態について詳細な説明を行う前に、レーダ装置について説明する。
所定の分解能を有するレーダ装置において、ターゲットの大きさがレーダ装置の分解能と比較して十分に大きい場合、レーダ装置はそのターゲットを十分な精度で検知することができる。しかしながら、このようなレーダ装置では、分解能と比較して小さいターゲットについては、十分な精度で検知することは困難である。このため、レーダ装置の分解能に対して相対的に小さいターゲットも精度よく検知できるレーダ装置が要望されている。また、レーダ装置の分解能に対して相対的に大きなターゲットに関しても、より正確な位置、速度、形状等を検出すること(高分解能化)が要望されている。
なお、一般的なレーダ装置において、検出性能の向上と高分解能化とはトレードオフの関係にあり、両立は難しい。しかしながら、複数のレーダ装置を統合したマルチレーダシステムにおいて、検出性能の向上と高分解能化との両立が期待されている。
複数のレーダ装置を利用したマルチレーダシステムの例として、例えば下記の参考特許文献1に開示された技術がある。参考特許文献1には、各レーダ装置での受信信号が同一ターゲットから反射されたものであることを前提として、距離、方向、相対速度の成分毎に積分できるように、複数のレーダ間で直交座標系を共有し、データを統合することで信号対雑音比を向上させる技術が開示されている。
[参考特許文献1]特許第5631763号公報
また、マルチレーダシステムの他の例として、例えば下記の参考特許文献2には、測定対象が雨雲等であることを前提として、複数のレーダ装置で測定した風速データに対して、計測精度に応じた重み付けをした上で合成し、高精度な風速推定を実現する技術が開示されている。
[参考特許文献2]特許第3460586号公報
一方、下記の参考非特許文献1には、複数のモノスタティックレーダからの出力信号を統合し、平均位置や平均速度等を追尾フィルタで平滑化した上で、それぞれの出力信号の軌跡を補償して移動ターゲットに対する分解能を高める技術が開示されている。
[参考非特許文献1]Kenshi Saho, Masao Masugi, “Velocity / Shape Estimation Algorithm Using Tracking Filter and Data Fusion of Dual Doppler Radar Interferometers”, International Journal of Computer and Electrical Engineering, Vol.7, No.5, pp.283-295, Oct. 2015.
上記参考特許文献1に開示された技術は、直交座標系を共有することによってデータ統合を図っており、ターゲットがレーダから十分遠方であって、等価的に一点から反射されることを仮定した統合方法を用いている。また、上記参考特許文献2に開示された技術では、雨雲等がターゲットであることが前提である。このため、参考特許文献1及び2に開示された技術では、例えばターゲットの大きさや形状を推定すること、すなわち高分解能化については考慮されていない。
また、上記参考非特許文献1に開示された技術は、ターゲットが一定の大きさを有しているものとみなせる場合において、ターゲットの形状を推定するということ(高分解能化)に主眼が置かれており、ターゲットの検知性能(信号対雑音比)の向上に関する検討は行われていない。
以下説明する本開示の各実施の形態に係るマルチレーダシステムは、ターゲットの検出感度向上と、レーダの高分解能化と、を両立させることを目的とするものである。
<第1の実施の形態>
[ターゲットとマルチレーダシステムとの関係]
図1は、本第1の実施の形態に係るマルチレーダシステム100とターゲットTとの関係を模式的に示した図である。図1において、マルチレーダシステム100は、レーダA101、レーダB102、統合処理装置103を有する。
レーダA101、レーダB102は、それぞれ、送信アンテナ101a、102aと受信アンテナ101b、102bを有する。レーダ装置を小型化するために、送信アンテナ101a、102aと受信アンテナ101b、102bは近くに配置させることが望ましい。このため、本実施の形態では、送信アンテナ101a、102aと受信アンテナ101b、102bとの距離を、例えば、30λ程度以内の距離とする。なお、λは、搬送波周波数で定まる波長である。レーダの搬送波周波数が80GHzである場合、λは約3.75mmであるため、送受信アンテナ間隔は10cm程度となる。なお、第1の実施の形態では、レーダA101及びレーダB102の視線方向が一致しているものとする。
また、本実施の形態において、検出対象とするターゲットTは、レーダA101及びレーダB102の距離分解能に比べて、十分に大きな表面積を有すると想定する。具体的には、レーダA101及びレーダB102の帯域幅(ピークから利得が3dB減衰する周波数の範囲)が1GHzの場合、理論的には約15cmの距離分解能が得られるため、ターゲットTは、例えば1辺が数10cm程度の物体であると想定する。
また、本実施の形態において、検出対象とするターゲットTは、マルチレーダシステム100に対して、移動しているものを想定する。
レーダA101及びレーダB102各々が、モノスタティックレーダとして単体動作し、さらに、他方のレーダから送信された電磁波を受信してターゲットTの距離や方向を推定するバイスタティックレーダとしても動作する。なお、このため、レーダA101及びレーダB102は、例えば、搬送波周波数、デジタル/アナログ変換器及びアナログ/デジタル変換器のサンプリングクロック周波数が同期して、動作している。
図1において、レーダA101及びレーダB102がモノスタティックレーダとして動作した場合、観測される電磁波の経路は、それぞれ、矢印A1及び矢印B1である。矢印A1及びB1にて示す経路は、ターゲットTにて反射した電磁波のうち、後方散乱された電磁波の経路を含む。
一方、レーダA101から送信され、ターゲットTで前方散乱してレーダB102にて受信される場合の電磁波の経路を、図1において矢印A2で示す。レーダB102から送信され、ターゲットTで前方散乱してレーダA101にて受信される経路を、矢印B2で示す。矢印A2及びB2にて示される電磁波の経路は、レーダA101あるいはレーダB102がバイスタティックレーダとして動作した場合の電磁波の経路である。
上述したように、ターゲットTはレーダA101及びレーダB102の距離分解能に比べて十分に大きな表面積を有するため、レーダA101及びレーダB102は、ターゲットTを点とはみなさない。このため、レーダA101及びレーダB102がモノスタティックレーダとして動作したときの電磁波経路A1、B1は、ターゲットTの表面上のそれぞれ異なる位置にて反射されたものである可能性が高い。
一方、レーダA101とレーダB102の送信タイミング及び周波数帯がほぼ同じである場合、レーダA101及びレーダB102がバイスタティックレーダとして動作した場合、電磁波経路A2、B2は、進行方向は逆であるが、ターゲットTのほぼ同じ位置が反射点となる。これは、レーダA101及びレーダB102に備わっている送信アンテナ101a、102aと受信アンテナ101b、102bとの間の距離が、ターゲットTとレーダA101とレーダB102のそれぞれとの間の距離に比べて十分に小さく、経路A2と経路B2とに双対性があるためである。
すなわち、ターゲットTの表面における、レーダA101とレーダB102の検出対象領域が重なっている場所からの反射波に関しては、バイスタティックレーダとして動作したレーダA101とレーダB102とで得られる検出結果が同じになると考えることができる。
以上のことから、レーダA101及びレーダB102のそれぞれがバイスタティックレーダとして動作することによって得られたターゲット検出結果を合成することによって、信号対雑音比を向上させることができる。従って、複数のモノスタティックレーダで構成したマルチレーダシステムよりも、さらに、バイスタティックレーダとして動作するレーダは、ターゲットの検出性能が向上する。また、ターゲットからの反射点数が増大するため、高精度化にも有利である。
レーダA101及びレーダB102がバイスタティックレーダとして動作することによって得られた検出結果の合成処理は、統合処理装置103において行われる。以下では、本実施の形態に係るマルチレーダシステム100を構成するレーダA101、レーダB102、及び統合処理装置103のそれぞれについて詳細に説明する。
なお、以下の説明において、レーダA101あるいはレーダB102がモノスタティックレーダとして動作した場合、レーダA101あるいはレーダB102はモノスタティックモードであると記載することがある。同様に、レーダA101あるいはレーダB102がバイスタティックレーダとして動作した場合、レーダA101あるいはレーダB102がバイスタティックモードであると記載することがある。
[統合処理装置を含むマルチレーダシステムのブロック構成]
図2は、第1の実施の形態のマルチレーダシステム100のブロック構成を示す図である。図2では、レーダA101は、送信部211、受信部212、メモリ213、及びメモリ214を有する。また、受信部212は、モノスタティックレーダ処理部215及びバイスタティックレーダ処理部216を有する。
モノスタティックレーダ処理部215は、レーダA101がモノスタティックレーダとして動作した場合に受信した反射波に基づいて到来方向推定(DOA:Direction Of Arrival)処理を行い、DOA結果をメモリ213に出力する。また、バイスタティックレーダ処理部216は、レーダA101がバイスタティックモードで動作した場合に受信した反射波に基づいてDOA処理を行い、DOA結果をメモリ214に出力する。
メモリ213には、例えば、レーダA101がモノスタティックモードで動作した場合のDOA結果が記憶される。DOA結果とは、例えば検知対象範囲内のターゲットTの検出点の位置情報、角度によって定まる各検出点の反射強度(強度ベクトル)、及びレーダ視線方向を基準にした検出点の相対速度(視線方向速度情報)等である。同様に、メモリ214には、例えば、レーダA101がバイスタティックモードで動作した場合のDOA結果が記憶される。メモリのアドレス数に関して、例えば、検知対象距離が10mで、距離の刻み(精度)が10cmの場合、距離のサンプル数は100であり、検知対象角度が±30度で、角度の刻み(精度)が1度の場合、角度のサンプル数は61となるため、100×61のアドレスが割り振られる。
また、図2に示すように、レーダB102は、送信部221、受信部222、メモリ223、及びメモリ224を有する。また、受信部222は、バイスタティックレーダ処理部225及びモノスタティックレーダ処理部226を有する。
バイスタティックレーダ処理部225は、レーダB102がバイスタティックモードで動作した場合に受信した反射波に基づいてDOA処理を行い、DOA結果をメモリ223に出力する。また、モノスタティックレーダ処理部226は、レーダB102がモノスタティックモードで動作した場合に受信した反射波に基づいてDOA処理を行い、DOA結果をメモリ224に出力する。
メモリ223には、レーダB102がバイスタティックレーダとして動作した場合に受信した反射波に基づくDOA結果が保存される。メモリ224には、レーダB102がモノスタティックモードで動作した場合に受信した反射波に基づくDOA結果が保存される。
具体的には、メモリ223及び224には、レーダB102の検知対象範囲内のターゲットTの検出点の位置情報、角度によって定まる各検出点の強度ベクトル、及びレーダ視線方向を基準にした検出点の視線方向速度情報が書き込まれる。
そして、統合処理装置103は、フレーム同期部231、極座標−直交座標変換部232、233、236、237、メモリ234、235、238、239、最大比合成部240、位相合成部241、閾値比較部242、243、244、位置平均化部245、速度平均化部246、形状推定部247を有する。
フレーム同期部231は、レーダA101とレーダB102の送信タイミングを同期させる信号を出力する。フレーム同期部231は、第1同期部の一例である。
極座標−直交座標変換部232は、レーダA101のメモリ213に極座標形式で保存されている位置情報及び視線方向速度情報を直交座標に変換する。メモリ234は、直交座標に変換されたレーダA101のモノスタティックレーダ処理により得られる位置情報及び速度ベクトルを保存する。
極座標−直交座標変換部233は、レーダA101のメモリ214の位置情報及び視線方向速度情報を直交座標に変換する。メモリ235は、直交座標に変換されたレーダA101のバイスタティックレーダ処理により得られる位置情報及び速度ベクトルを保存する。
極座標−直交座標変換部236は、レーダB102のメモリ223の位置情報及び視線方向速度情報を直交座標に変換する。メモリ238は、直交座標に変換されたレーダB102のバイスタティックレーダ処理により得られる位置情報及び速度ベクトルを保存する。
極座標−直交座標変換部237は、レーダB102のメモリ224の位置情報及び視線方向速度情報を直交座標に変換する。メモリ239は、直交座標に変換されたレーダB102のモノスタティックレーダ処理により得られる位置情報及び速度ベクトルを保存する。なお、極座標−直交座標変換部232、233、236、237は、複数の座標変換部の一例である。
上述したレーダA101及びレーダB102のメモリ213、214、223、224に保存されているターゲットTの検出点の位置情報は、それぞれのレーダの設置位置を原点とした極座標系において、原点からの相対的な距離及び角度で示されている。すなわち、各メモリ213、214、223、224に保存されている位置情報では、それぞれ原点の位置が異なっている。バイスタティックモードの検出結果を合成するために、これらの位置情報の原点の位置を合わせる必要がある。
位置情報が原点からの距離と角度によって示される極座標表現では、原点の位置を合わせるための計算が複雑であるため、本第1の実施の形態では、極座標−直交座標変換部232、233において、レーダA101の設置位置を原点とする直交座標に変換している。レーダB102の極座標−直交座標変換部236、237においても同様の処理が行われる。なお、極座標−直交座標変換部232、233、236、237における直交座標系への変換方法の詳細に関しては後述する。
最大比合成部240は、レーダA101及びレーダB102のバイスタティックレーダ処理で得られる強度ベクトルの電力比率に応じて、速度ベクトルを合成する。なお、最大比合成部240は、本開示の第1合成部の一例である。
ここで、レーダA101とレーダB102のバイスタティックモードにて検出された速度ベクトルは、直交座標に変換された場合、論理的には一致する。しかし、実際には雑音等の影響によって、一致しない場合がある。そこで、最大比合成部240は、ある位置における検出強度の比に応じて、最大比合成を行い、より正確な速度ベクトルを算出する。最大比合成部240における最大比合成の計算式に関しては後述する。
なお、本実施の形態では、速度ベクトルの合成方法として最大比合成を採用しているが、本開示はこれに限定されない。速度ベクトルの合成方法としては、例えば、速度ベクトルを単純に加算する等の利得合成を行ってもよい。もしくは、速度ベクトルを合成する代わりに、単純に強度ベクトルが大きい方の速度ベクトルを選択して出力する方法を採用してもよい。
位相合成部241は、レーダA101及びレーダB102のバイスタティックレーダ処理で得られる強度ベクトルの位相を合わせて合成する。位相合成部241は、第2合成部の一例である。
ここで、レーダA101及びレーダB102のバイスタティックモードのDOAによって検出された強度ベクトルは複素信号であり、強度ベクトルの位相はレーダA101とレーダB102とで必ずしも一致しない。このため、位相を一致させて合成することで、雑音等の影響を抑制することが望ましい。ただし、ターゲットTの存在しない距離ビンについては、雑音の成分であるため、位相を一致させて合成する場合、雑音成分が増幅される。
そこで、本実施の形態のマルチレーダシステム100では、位相合成部241において、合成対象とする前後の距離ビンを含めた強度ベクトル列が、レーダA101とレーダB102で類似しているかどうかを判定し、類似している場合、位相を一致させて合成し、類似していない場合、位相調整を行わずに合成することで、平均化により雑音を低減する。
類似しているか、類似していないかの判定は、合成対象とする前後の距離ビンを含めた強度ベクトル列をレーダA101とレーダB102のそれぞれで算出し、相互相関演算を行うことで得られる複素信号の電力を求め、所定の閾値より大きいか、小さいかを判断することで行う。すなわち、ターゲットTが存在する場合には該当距離ビン以外に、隣接する距離ビンも、ターゲットTの存在によって、相応のレベルとなることを利用している。位相合成部241の詳細については後述する。
なお、本実施の形態では、強度ベクトルの合成方法として位相合成を採用しているが、本開示はこれに限定されない。強度ベクトルの合成方法としては、例えばベクトルの絶対値を加算する方法等を採用してもよい。あるいは、強度ベクトルを合成する代わりに、大きい方を選択して出力する方法等を採用してもよい。
閾値比較部242は、レーダA101で得られる強度ベクトルが所定の閾値よりも大きい場合、位置情報及び速度ベクトルを後段に出力する。閾値比較部243は、位相合成部241の出力ベクトルが所定の閾値よりも大きい場合、レーダA101のバイスタティックレーダ処理部216で得られた位置情報を後段に出力する。
閾値比較部244は、レーダB102で得られる強度ベクトルが所定の閾値よりも大きい場合、位置情報及び速度ベクトルを後段に出力する。
このように、閾値比較部242、243、244では、入力される強度ベクトルの大きさが所定の閾値より大きい場合、入力された位置情報や速度ベクトルを後段に出力している。
位置平均化部245は、閾値比較部242、243、244から出力された位置情報に基づいて、3つの反射点の平均位置を算出する。速度平均化部246は、閾値比較部242、243、244から出力された速度ベクトルに基づいて、3つの反射点から得られた速度ベクトルを平均化する。
形状推定部247は、位置平均化部245と速度平均化部246の出力に基づいて、位置の軌跡を速度ベクトルで補償してターゲットTの形状を推定する。ここで、形状推定部247は、例えば上記した参考非特許文献1に記載されている、α−β−γフィルタ等によって平滑化された推定位置及び推定速度ベクトルを算出する追尾フィルタ機能有していてもよい。これにより、例えば、雑音等の影響による軌跡のずれを低減することができる。
<位相合成部の構成例>
図3は、位相合成部241の構成例を示す図である。図3に示すように、位相合成部241は、遅延部301、302、303、310、311、312、複素乗算部304、305、306、複素加算部307、316、電力算出部308、閾値比較部309、位相差検出部313、位相回転部314、切り替え部315、及び、複素共役算出部317、318を有する。
遅延部301、302、303は、入力されたレーダA101の強度ベクトル列を遅延させる。遅延部310、311、312は、複素共役算出部317により算出されたレーダB102の強度ベクトル列の複素共役を遅延させる。そして、遅延量毎に複素乗算部304、305、306が内積を算出する。
電力算出部308は、内積演算結果を複素加算部307が加算した値に基づいて電力を算出する。閾値比較部309は、算出した電力が所定の閾値より大きいか否かの判定を行い、大きい場合はターゲットTが存在する距離ビンであると判断し、レーダA101の強度ベクトルと、レーダB102の位相回転部314の出力とを複素加算部316にて合成させる。ここで、位相差検出部313は、レーダA101の全ブランチの平均的な位相差を検出することで、各々のブランチ毎に独立して位相差を検出する場合と比較して、雑音の影響を低減できる。
なお、上述した位相合成部241の説明では、距離ビンを含めた強度ベクトル列を用いて位相合成を行っていたが、本開示はこれに限定されない。例えば、位相合成部241は、後述する短時間フーリエ変換(STFT:Short Time Fourier Transform)を用いて周波数領域解析された信号を利用して、2次元的な相互相関演算を行ってもよい。レーダA101及びレーダB102を含むマルチレーダシステム100とターゲットTとが相対的に移動している場合、バイスタティックモードで検出されるターゲットTのドップラ周波数シフトはレーダA101とレーダB102とで一致するため、同じ周波数ビンの信号で相互相関演算を行うことで、ターゲットTの存在によって相応のレベルの相関値を得ることができる。
<作用効果>
以上説明したように、第1の実施の形態のマルチレーダシステム100では、レーダA101及びレーダB102が、送信タイミング及び周波数帯がほぼ同じとなるように、同期を行う。このため、レーダA101及びレーダB102がバイスタティックレーダとして動作した場合、ターゲットTの表面における、レーダA101とレーダB102の検出対象領域が重なっている場所からの反射波に関しては、レーダA101とレーダB102とで同じ検出結果が得られる。従って、レーダA101及びレーダB102のそれぞれがバイスタティックレーダとして動作した場合のターゲット検出結果を合成することで、信号対雑音比を向上させることができ、ターゲットの検出性能が向上する。そして、ターゲットからの反射点数が増大するため、高分解能化を図ることもできる。これにより、高分解能化と、検出精度の向上と、を両立したマルチレーダシステムを実現することができる。
<第2の実施の形態>
上述した第1の実施の形態では、レーダA101及びレーダB102の視線方向が一致している場合について説明した。以下説明する第2の実施の形態では、レーダA101及びレーダB102の視線方向が一致しない場合について説明する。
図4は、第2の実施の形態のマルチレーダシステム100aのブロック構成を示す図である。図4に示すように、第2の実施の形態のマルチレーダシステム100aは、図2に示す第1の実施の形態のマルチレーダシステム100の構成に加えて、視線方向差算出部401、他方レーダ位置観測部402、レーダB設置座標設定部403をさらに有する。
視線方向差算出部401は、レーダA101とレーダB102の視線方向のずれ(以下、水平方向のずれをθ、垂直方向のずれをφとする)を算出する。視線方向のずれは、例えばレーダA101及びレーダB102の設置時に、レーダA101とレーダB102の共通する検出領域に仮のターゲットを配置し、それぞれ仮のターゲットを検出することで算出した初期の視線方向のずれの値を記憶しておき、レーダ動作時にレーダA101及びレーダB102が検出した位置情報及び強度ベクトルを用いて、動作時の視線方向のずれを算出するようにすればよい。視線方向のずれの算出方法については後述する。
そして、極座標−直交座標変換部232、233、236、237は、レーダA101及びレーダB102のメモリ213、214、223、224に極座標形式で保存されている位置情報及び視線方向相対速度情報を直交座標に変換する際に、視線方向差算出部401が算出した視線方向のずれを加味して、極座標表現による位置情報を直交座標表現に変換する。
同様に、極座標−直交座標変換部232、233、236、237は、視線方向の相対速度を直交座標表現に変換し、直交する3次元の速度ベクトルに分解する。直交座標への変換の際には、レーダB102の設置位置座標に関する情報が必要であるため、極座標−直交座標変換部232、233、236、237は、レーダB設置座標設定部403に予め記憶されているレーダB102の設置位置座標に関する情報を読み出して使用する。
他方レーダ位置観測部402は、レーダA101及びレーダB102の位置を当初の設置位置を予め記憶しておき、レーダ動作時にレーダA101及びレーダB102の位置を観測し、当初位置から変化があった場合には警告を発する。他方レーダ位置観測部402が設けられる理由は、以下のような事情による。
極座標−直交座標変換部232、233、236、237における座標系の変換は、レーダA101とレーダB102が設置された後、その位置や視線方向が変化せず、視線方向のずれθ及びφが変化しないことを前提として行われる。しかしながら、設置治具に機械的な力が加わったり、極端な温度変化があったりした場合、設置治具が変形し、視線方向が変化してしまう場合がある。
レーダA101とレーダB102は、上述したように、各々の検出対象領域が重複するように、互いに近接した場所に設置される。従って、レーダ動作時には、レーダA101からレーダB102、あるいはレーダB102からレーダA101には、互いのレーダ送信波が、ターゲットで反射されずに直接到達する。
ここで、レーダシステムの周囲に反射物がない場合には、バイスタティックレーダ処理によって得られる遅延プロファイルのうち、最も近接した位置のピークが他方のレーダが設置された距離に相当する。この距離ビンは、例えば、設置治具が変形して、レーダA101及びレーダB102の設置位置や視線方向が変わらない限り不変である。また、この距離ビンの信号に対してDOAを行った結果も同様に不変である。
すなわち、他方レーダ位置観測部402は、レーダ動作時に、レーダA101が観測したレーダB102の位置、及びレーダB102が観測したレーダA101の位置を取得し、設置時に記憶した位置と異なっている場合には警告を発することで、座標変換が正確に行われていないことを報知している。
以上説明したように、第2の実施の形態のマルチレーダシステム100aでは、視線方向差算出部401が、レーダA101とレーダB102の視線方向のずれを算出し、極座標−直交座標変換部232、233、236、237が、算出された視線方向のずれを加味して座標変換を行う。これにより、第2の実施の形態のマルチレーダシステム100aは、レーダA101とレーダB102の視線方向のずれが生じた場合でも、ずれの影響を受けずに動作することができる。
<第3の実施の形態>
第3の実施の形態に係るマルチレーダシステム100bは、第2の実施の形態のマルチレーダシステム100aのさらに好適な例として、平均位置算出部501を加えた構成である。図5は、第3の実施の形態のマルチレーダシステム100bのブロック構成を示す図である。
平均位置算出部501は、レーダA101の直交座標の位置情報と、強度ベクトルと、レーダB102の直交座標の位置情報と、強度ベクトルと、に基づいて、強度を踏まえた平均位置を算出する。そして、閾値比較部243は、位相合成部241の出力(強度ベクトル)が所定の閾値よりも大きい場合に、平均位置算出部501の算出した平均位置を位置情報として位置平均化部245に出力する。これにより、バイスタティックモードで観測された位置と強度との関係が、直交変換後であっても、雑音等の影響により、レーダA101とレーダB102とで異なる場合に、位置と強度との関係を補正することができる。
平均位置算出部501の平均位置算出方法は、例えば以下の通りである。レーダA101のバイスタティックモードでターゲットTが検出される場合、メモリ235のアドレスiに対応する、位置座標(3次元)を(xAB(i),yAB(i),zAB(i))、強度をPAB(i)とし、同様に、レーダB102のバイスタティックモードでターゲットTが検出される場合、メモリ238のアドレスjに対応する、位置座標(3次元)を(xBA(j),yBA(j),zBA(j))、強度をPBA(j)とし、検知領域内における反射点が1点であると仮定する。この場合、平均位置は以下の数式(1)によって算出できる。
Figure 2018059895
なお、反射点が複数ある場合には、反射点が1点とみなせる領域に対応する、レーダA101のメモリのアドレスiを限定し、レーダB102のメモリのアドレスjを適切に設定する。
以上説明したように、第3の実施の形態に係るマルチレーダシステム100bでは、平均位置算出部501が、レーダA101の直交座標の位置情報と、強度ベクトルと、レーダB102の直交座標の位置情報と、強度ベクトルと、に基づいて、強度を踏まえた平均位置を算出する。そして、閾値比較部243は、位相合成部241の出力(強度ベクトル)が所定の閾値よりも大きい場合に、平均位置算出部501の算出した平均位置を位置情報として位置平均化部245に出力する。これにより、バイスタティックモードで観測された位置と強度との関係が、直交変換後であっても、雑音等の影響により、レーダA101とレーダB102とで異なる場合に、これを補正することができる。
<極座標系から直交座標系への変換方法>
次に、上述した第1から第3の実施の形態に係るマルチレーダシステム100、100a、100bにおいて、極座標−直交座標変換部232、233、236、237が行う極座標系から直交座標系への変換方法について説明する。
以下の説明では、座標変換の対象となるレーダA101及びレーダB102が水平方向の位置以外にも、垂直方向の位置を識別可能であることを前提とする。
上述した第1の実施の形態では、レーダA101及びレーダB102の視線方向が一致している場合が想定されている。
図6は、レーダA101の設置位置を原点とした直交座標系を例示した図である。レーダA101により検出されたターゲットTまでの距離r、レーダA101を基準にしたターゲットTの方位角(水平方向の角度)α、仰角(垂直方向の角度)αを用いて、レーダA101の直交座標系におけるターゲットTの位置(x,y,z)を以下の数式(2)のように表す(図6参照)。ここで、直交軸について、X軸を距離方向、Y軸を方位角方向、Z軸を仰角方向とする。
(x1, y1, z1) = (r1cos(αz) cos(αy), r1cos(αz) sin(αy), r1sin(αz)) (2)
図示は省略するが、同様に、レーダB102により検出されたターゲットTまでの距離r、方位角(水平方向の角度)β、仰角(垂直方向の角度)βを用いて、レーダB102の直交座標系におけるターゲットTの位置(x,y,z)を、以下の数式(3)のように表す。
(x2, y2, z2) = (r2cos(βz) cos(βy), r2cos(βz) sin(βy), r2sin(βz)) (3)
レーダA101の直交座標系における、レーダB102の設置位置が座標(a,b,c)であり、レーダA101とレーダB102の視線方向(正面方向)が一致している場合、レーダA101の直交座標系におけるレーダB102によるターゲットT検出位置は以下の数式(4)のように表される。
(x2+a, y2+b, z2+c) (4)
一方、上述した第2の実施の形態のように、レーダA101とレーダB102の視線方向が不一致の場合には、視線方向のずれを反映した変換が必要となる。ここで、レーダA101及びレーダB102のいずれも、水平方向に傾きがないように設置されているとする。
図7及び図8は、レーダA101とレーダB102の視線方向が不一致の場合における座標変換について説明するための図である。図7において、レーダB102の設置位置を原点とし、レーダA101の3次元直交軸と平行な軸をそれぞれ、X’軸、Y’軸、Z’軸と定めたとき、レーダB102の視線方向は、以下のように求めることができる。まず、Z’軸を中心軸としてX’Y’平面内でX’軸及びY’軸を水平方向に角度θ回転させる。ここで、θ回転後の直交軸をX2m軸、Y軸とする。続いて、図8に示すように、Y軸を中心軸としてX2mZ’平面内のX2m軸及びZ’軸を垂直方向に角度φ回転させることで得られる3次元直交軸で示されるX軸がレーダB102の視線方向であると仮定する。
なお、レーダA101の直交座標に変換するには、上記と逆方向に回転させればよい。直交座標系を(−θ)回転させるということは、検出されたターゲットTの位置を(+θ)回転させることと等価である。すなわち、レーダB102で検出されたターゲットTの直交座標(x,y,z)を、以下の数式(5)のように回転行列によって(+θ)回転→(+φ)回転させることで、レーダA101の直交座標に変換した位置情報を算出することができる。
Figure 2018059895
極座標−直交座標変換部232、233、236、237は、このように算出したレーダAの直交座標に変換した位置情報と、レーダB設置座標設定部403から取得したレーダB102の設置位置に関する情報とに基づいて、レーダA101の直交座標系におけるレーダB102で検出されたターゲットTの位置(x2r,y2r,z2r)を以下の数式(6)を用いて算出する。
Figure 2018059895
さらに、極座標−直交座標変換部232、233、236、237は、レーダB102で観測された速度vについても、同様にレーダA101の直交座標に変換する。レーダB102で観測された速度vは、視線方向に写像しておくことが望ましい。検出された方位角(水平方向)α、仰角(垂直方向)αを用いて、視線方向速度v2eを以下の数式(7)を用いて算出することができる。
Figure 2018059895
速度の場合には、レーダの設置位置に起因する変換は不要である。レーダA101の直交座標系における、レーダB102で検出されたターゲットTの速度は以下の数式(8)のように算出することができる。
Figure 2018059895
<最大比合成の算出方法>
次に、最大比合成部240における最大比合成の方法について説明する。レーダA101のバイスタティックモードでターゲットTが検出されるとき、メモリ235のアドレスiにおいて、ターゲットTの視線方向速度が直交座標変換された速度を(vx1(i),vy1(i),vz1(i))、強度をPAB(i)とし、同様に、レーダB102のバイスタティックモードでターゲットTが検出されるとき、メモリのアドレスjにおいて、ターゲットTの視線方向速度が直交座標変換された速度を(vx2(j),vy2(j),vz2(j))、強度をPBA(j)とする。そして、検知領域内における反射点が1点であると仮定しとき、最大比合成後の直交座標系における速度は、以下の数式(9)のように算出することができる。
Figure 2018059895
なお、反射点が複数ある場合には、反射点が1点とみなせる領域に対応する、レーダA101のメモリのアドレスiを限定し、レーダB102のメモリのアドレスjを適切に設定して、最大比合成を算出すればよい。限定したアドレスiに対応する位置の直交座標はレーダB102の視線方向及び設置位置を踏まえて、レーダB102の極座標系に再び戻す変換をすることで、レーダB102のメモリのアドレスjが定まる。なお、アドレスiとアドレスjの対応関係はレーダ設置時に一意に定まるため、事前に求めておき、参照テーブル化しておくことも好適である。
<視線方向のずれの算出方法>
上述した第2の実施の形態において、視線方向差算出部401は、レーダ動作時にレーダA101及びレーダB102が検出した位置情報及び強度ベクトルを用いて、レーダA101の視線方向とレーダB102の視線方向のずれ(角度θ及びφ)を算出する。視線方向のずれの算出方法としては、例えば電子コンパス等の地磁気センサを活用する方法があるが、磁極が周囲にある場合には活用することは困難であり、また周囲に電子機器がある場合には電子機器の動作に影響を及ぼす可能性があり、十分な精度で視線方向のずれを得ることが困難である。
そこで、本実施の形態では、視線方向差算出部401は、以下のような方法で視線方向のずれを算出する。まず、レーダ設置時に、レーダA101の検出対象領域とレーダB102の検出対象領域とが重なっている領域内にリファレンスとなるターゲットRを配置し、視線方向差算出部401は、それぞれのレーダによるターゲットRの検出結果から視線方向のずれを求める。このとき、ターゲットRとしては、例えば、コーナーリフレクタや球体リフレクタのように、反射点が一箇所とみなせるものを用いるのが好適である。
図9は、レーダ設置時の視線方向のずれの算出方法の概念図である。図9に示すように、レーダA101の直交座標系におけるレーダB102の設置位置を仮想的に(−a,−b,−c)シフトさせ、レーダB102の設置位置とレーダA101の設置位置が仮想的に重複するモデルについて説明する。仮想的な設置位置シフト後のターゲットRの位置(x’,y’,z’)は、以下の数式(10)のように表すことができる。ここで、レーダB102で検出されるターゲットRまでの距離r、方位角(水平方向の角度)γ、仰角(垂直方向の角度)γを用いて、
(x2’, y2’, z2’) = (r3cos(γz) cos(γy)+a, r3cos(γz) sin(γy) +b, r3sin(γz) +c) (10)
この仮想的なターゲットRの位置(x’,y’,z’)は、レーダA101によって検出された、レーダA101の直交座標系における、ターゲットR位置の座標(x,y,z)を、レーダB102の視線方向に回転させた位置である。すなわち、Z’軸を中心軸としてXY平面上のX軸及びY軸を角度θ回転し、さらに、回転後のY軸(Y軸)を中心軸として回転後のXZ平面上のX軸及びZ軸を角度φ回転した位置である。この回転を行列式で表すと、以下の数式(11)のようになる。
Figure 2018059895
数式(11)において、y’に着目し、三角関数の合成公式を適用すれば、以下の数式(12)のようになる。
Figure 2018059895
ただし、
Figure 2018059895
Figure 2018059895
以上から、Z’軸を中心軸としてXY平面上のX軸及びY軸を回転するときの回転量θは、以下の数式(13)で与えられる。
Figure 2018059895
続いて、数式(11)において、x’に着目し、三角関数の合成公式を適用すれば、以下の数式(14)のようになる。
Figure 2018059895
ただし、
Figure 2018059895
Figure 2018059895
以上から、θ回転後のY軸(Y軸)を中心軸として回転後のXZ平面上のX軸及びZ軸を回転するときの回転量φは、以下の数式(15)で与えられる。
Figure 2018059895
視線方向差算出部401では、レーダA101の検出した位置情報及び強度ベクトル、並びに、レーダB102の検出した位置情報及び強度ベクトルを用いて、上記回転量θ及び回転量φを算出して記憶する。
<レーダA及びレーダBの説明>
以下では、レーダA101及びレーダB102の構成について説明する。上述した第1から第3の実施の形態において、単体のレーダ装置としてのレーダA101及びレーダB102は、それぞれ、同一周波数チャネルで符号分割多重され、相補符号を用いるパルス圧縮方式や、周波数分割多重方式や時間分割多重方式とチャープ方式とを組み合わせる方式等を利用することができる。以下では、レーダA101及びレーダB102の具体的な構成例について説明する。
[第1の構成例]
第1の構成例では、同一周波数チャネルで符号分割多重され、相補符号を用いるパルス圧縮方式を採用した例について説明する。図10は、レーダA101及びレーダB102の内部構成を示すブロック図である。図10では、レーダA101は、送信部801−1、受信部802−1、サンプリングクロック発生部803−1、ローカル信号発生部804−1を有する。同様に、レーダB102は、送信部801−2、受信部802−2、サンプリングクロック発生部803−2、ローカル信号発生部804−2を有する。また、レーダA101とレーダB102とを同期するために、統合処理装置103は上記説明したフレーム同期部231を有する。
なお、図10に示す送信部801−1は、例えば、図2、4、5の送信部211に対応しており、受信部802−1は、例えば、図2、4、5の受信部212に対応しており、送信部801−2は、例えば、図2、4、5の送信部221に対応しており、受信部802−2は、例えば、図2、4、5の受信部222に対応している。また、図10では、例えば図2、4、5に示した統合処理装置103のフレーム同期部231以外の構成については図示を省略する。
図10では、送信部801−1は、相補符号発生部805−1、直交符号A重畳部806、DAC(デジタル/アナログ変換)部807−1、送信高周波部(送信無線部)808−1、送信アンテナ(1ブランチ)809−1を有する。また、受信部802−1は、受信アンテナ(4ブランチ)810−1、受信高周波部(受信無線部)811−1、ADC(アナログ/デジタル変換)部812−1、相補符号相関演算部813−1、直交符号重畳部816−1、短時間フーリエ変換(STFT:Short Time Fourier Transform)部819−1、到来方向推定(DOA:Direction Of Arrival)部820−1及び821−1、及び、上述したメモリ213、メモリ214を有する。
また、送信部801−2は、相補符号発生部805−2、直交符号B重畳部822、DAC部807−2、送信高周波部808−2、送信アンテナ(1ブランチ)809−2を有する。また、受信部802−2は、受信アンテナ(4ブランチ)810−2、受信高周波部811−2、ADC部812−2、相補符号相関演算部813−2、直交符号重畳部816−2、STFT部819−2、DOA部820−2及び821−2、及び、上述したメモリ223、メモリ224を有する。
直交符号A重畳部806は、レーダA101における相補符号発生部805−1からの出力に対して、直交符号Aを重畳する。一方、レーダB102における相補符号発生部805−2からの出力に対して、直交符号B重畳部822は、直交符号Bを重畳する。ここで、レーダA101とレーダB102とで同一の相補符号を用いることで、受信部802の相関演算回路を1種類として回路を簡略化することができる。また、直交符号Aと直交符号Bは互いに直交しており、受信部802でも同じ符号が重畳された後に積分されることで、互いの干渉成分が抑圧される。なお、直交符号Aは第1直交符号の一例であり、直交符号Bは第2直交符号の一例であり、直交符号A重畳部806は、第1直交符号重畳部の一例である。
直交符号A重畳部806からの出力信号は、DAC部807−1にてアナログベースバンド信号に変換された後に、送信高周波部808−1に入力され、直交変調によってミリ波帯等の高周波帯の信号に周波数変換された後に、送信アンテナ809−1から空中に放射される。
空中に放射された電磁波はターゲットTによって反射され、例えば、4ブランチの受信アンテナ810−1によって受信される。受信アンテナ810−1のブランチは、互いに半波長以上1波長以下程度離れた位置に配置されており、それぞれのブランチで取得される信号間の位相差を求めることで、到来方向を推定することができる。4ブランチ分の受信アンテナ810−1の出力は、それぞれ受信高周波部811−1に入力され、直交復調によって、ベースバンド帯の複素信号に周波数変換される。なお、送受信でローカル信号が同期しているため、静止したターゲットTからの反射波の場合、雑音以外の影響では信号は変動しない。
受信高周波部811−1が出力したベースバンド帯の複素信号は、ADC部812−1にてデジタル信号に変換される。このとき、送受信でサンプリングクロックが同期しているため、静止したターゲットTからの反射波の場合、雑音以外の影響では信号は変動しない。相補符号相関演算部813−1は、ADC部812−1にてデジタル信号に変換された信号を用いて相関演算を行う。これにより、符号化利得により信号対雑音比が増大する。
直交符号重畳部816−1は、直交符号A重畳部814−1及び直交符号B重畳部815−1を有する。モノスタティックレーダ処理の場合には、直交符号A重畳部814−1は、レーダA101の送信部801−1と同じ符号Aを重畳する。一方、バイスタティックレーダ処理の場合には、直交符号B重畳部815−1は、他方のレーダB102の符号Bを重畳する。なお、直交符号A重畳部814−1及び直交符号B重畳部815−1は、第3及び第4直交符号重畳部の一例である。
STFT部817−1及び818−1は、直交符号A重畳部814−1及び直交符号B重畳部815−1の出力をフーリエ変換する。STFT部817−1及び818−1では、離散フーリエ変換のポイント数に対応するスロット数分の測定データを蓄積した上で、異なるタイミングで取得した同一距離ビン成分を抽出して離散フーリエ変換を行う。
STFT部817−1及び818−1は、4ブランチ合計で最大電力となる周波数の成分の積分結果をDOA部820−1及び821−1に出力する。モノスタティックモードについてはDOA部820−1に、バイスタティックモードについてはDOA部821−1にそれぞれ入力される。なお、複数のターゲットTが存在する場合には、それぞれのターゲットTが異なる相対速度を有していることを利用して分離度を高めることができるので、最大となる周波数成分に加えて、例えば、電力が2番目や3番目となる周波数成分の積分結果も、DOA部820−1及び821−1に出力してもよい。また、DOA部820−1及び821−1では、ブランチ間の位相差に応じて、到来方向を推定し、推定結果をメモリ213及び214に書き込む。
なお、上記説明した構成のうち、直交符号A重畳部814−1、STFT部817−1、及びDOA部820−1が、図2、4、5に示すレーダA101のモノスタティックレーダ処理部215に対応する。同様に、直交符号B重畳部815−1、STFT部818−1、及びDOA部821−1が、図2、4、5に示すレーダA101のバイスタティックレーダ処理部216に対応する。
以上レーダA101の構成について説明したが、レーダB102の各構成の動作も直交符号B重畳部822を除いて上述したレーダA101の各構成の動作とほぼ同様であるため、説明を省略する。なお、直交符号B重畳部822は、レーダB102における相補符号発生部805−2からの出力に対して、直交符号Bを重畳する。ここで、レーダB102の直交符号A重畳部814−2及び直交符号B重畳部815−2は、第3及び第4直交符号重畳部の一例であり、直交符号B重畳部822は、第2直交符号重畳部の一例である。
なお、レーダB102の構成のうち、直交符号A重畳部814−2、STFT部817−2、及びDOA部820−2が、図2、4、5に示すレーダB102のバイスタティックレーダ処理部225に対応する。同様に、直交符号B重畳部815−2、STFT部818−2、及びDOA部821−2が、図2、4、5に示すレーダB102のモノスタティックレーダ処理部226に対応する。
次に、サンプリングクロック発生部803−1は、送信部801−1のDAC部807−1と、受信部802−1のADC部812−1に出力するサンプリングクロックを生成する。また、ローカル信号発生部804−1は、送信部801−1の送信高周波部808−1と、受信部802−1の受信高周波部811−1にて搬送波信号として用いられるローカル信号を生成する。これにより、送信部801−1と受信部802−1とが同期される。なお、ローカル信号発生部804−1、804−2は、第2の同期部の一例である。
さらに、レーダA101とレーダB102とを同期させるため、レーダA101のサンプリングクロック発生部803−1とレーダB102のサンプリングクロック発生部803−2との間を接続し、レーダA101とレーダB102とで同じサンプリングクロックを用いる。また、レーダA101のローカル信号発生部804−1とレーダB102のローカル信号発生部804−2との間を接続し、レーダA101とレーダB102とで同じローカル信号を用いる。なお、本実施の形態においては、レーダA101とレーダB102とは符号分割多重させるため、同一の搬送波周波数を用いる。
なお、レーダA101とレーダB102とを周波数分割多重あるいは時分割多重してもよい。しかしながら、周波数分割多重の場合には、受信高周波部811がモノスタティック用とバイスタティック用の2個必要となる。そして、ターゲットTとそれぞれのレーダ装置との相対速度がゼロでない場合、相対速度が同じであっても、ドップラオフセット周波数が搬送波周波数に依存するため、これを補正する処理を行えばよい。なお、この補正処理については、本実施の形態では説明を省略する。時分割多重の場合には、モノスタティックレーダとバイスタティックレーダで得られるタイミングが完全には同一とならず、位置や速度に誤差が生じてしまう。
ところで、レーダA101及びレーダB102の動作開始タイミングを同期させるために、レーダA101の相補符号発生部805−1とレーダB102の相補符号発生部805−2は、フレーム同期部231からのフレームタイミング信号に基づいて、同じタイミングかつ一定の周期で繰返し相補符号を発生させる。
これにより、レーダA101及びレーダB102に対して相対的に移動しているターゲットTについても、積分による利得を得ることができ、信号対雑音比が改善される。さらに、STFT部817−1、818−1、817−2、818−2によるSTFT後に最大となる周波数が相対的に移動しているターゲットTによるドップラ周波数シフトに対応するため、相対速度を算出することができる。STFT部817−1、818−1、817−2、818−2が算出した相対速度は、DOA結果(検出位置)とともに関連付けて保存され、メモリ213、214、223、224に書き込まれる。
また、STFT部817−1、818−1、817−2、818−2は、直交符号A及び直交符号Bの周期の整数倍となるように離散フーリエ変換のポイント数を設定してもよい。レーダA101及びレーダB102における互いの干渉成分が抑圧され、モノスタティックモード、バイスタティックモードそれぞれの観測結果の精度を向上させることができる。
本実施の形態では、レーダA101とレーダB102とを同期させた上で、レーダA101とレーダB102とで異なる直交符号を重畳して生成したレーダ送信波をそれぞれ送信することで、複数のチャネルを占有せずに済み、送信周波数の有効利用を図ることができる。また、回路規模が大型化する傾向にある高周波部については、従来のレーダ装置と同様の構成とすればよいため、レーダA101及びレーダB102の構成が複雑化することを回避できる。すなわち、本実施の形態のレーダA101とレーダB102は、デジタル信号を処理するADC部812からDOA部820までを複数の直交符号に対応した回路構成とすればよい。
[第2の構成例]
次に、レーダA101及びレーダB102の第2の構成例について説明する。本第2の構成例では、レーダA101とレーダB102との同期信号接続を行わず、システム設置の柔軟性を確保することについて説明する。
図11は、レーダA101及びレーダB102の内部構成の第2の構成例を示すブロック図である。図11に示すレーダA101及びレーダB102の第2の構成例と、図10に示す第1の構成例との差異は、以下の通りである。すなわち、第2の構成例では、レーダB102が、位相回転量検出部901及びピーク重心位置検出部902を有し、レーダA101とレーダB102の間を接続するローカル同期信号線と、サンプリングクロック同期信号線とが削除されている。
なお、図11に示す送信部801−1は、例えば、図2、4、5の送信部211に対応しており、受信部802−1は、例えば、図2、4、5の受信部212に対応しており、送信部801−2は、例えば、図2、4、5の送信部221に対応しており、受信部802−2は、例えば、図2、4、5の受信部222に対応している。また、図11では、例えば、図2、4、5等に示した統合処理装置103のフレーム同期部231以外の構成については図示を省略する。
ところで、レーダA101のレーダ送信波が、ターゲットTで反射せずにレーダB102で直接受信され得る。マルチレーダシステム100の起動時において、レーダB102は、送信部801−2を起動させず、受信部802−2を起動させる。受信した信号に基づいて、受信アンテナ810−2から直交符号A重畳部814−2までは上述した第1の構成例と同様の処理を行い、ピーク重心位置検出部902は、直交符号A重畳部814−2の出力信号を観測する。
ここで、レーダA101とレーダB102のフレームタイミングはフレーム同期部231により一致しているため、直交符号A重畳部814−2の出力で得られる遅延プロファイルにおいて、レーダA101から直接受信した受信波(直接波)が存在した場合、その受信波は最短時間でのピークとして表れる。レーダA101とレーダB102のサンプリングクロックが同期していれば、このピーク位置はレーダA101とレーダB102の距離に相当する距離ビンから不変であるが、本第2の構成例ではサンプリングクロックが非同期のため、ピーク位置が時間の経過に応じてシフトする。
ピーク重心位置検出部902は、ピーク位置のシフト方向が、レーダA101とレーダB102との距離が遠方となる方向に移動する場合、レーダB102のサンプリングクロックの周波数がレーダA101よりも高いと判定する。一方、ピーク重心位置検出部902は、ピーク位置のシフト方向が、レーダA101とレーダB102との距離が近傍となる方向に移動する場合、レーダB102のサンプリングクロックの周波数がレーダA101よりも低いと判定する。そこで、ピーク重心位置検出部902は、距離ビンの位置が一定となるように、ピーク位置のシフト量に応じてサンプリングクロック発生部803−2に含まれるPLL(Phase Locked Loop)(図示せず)の位相をフィードバック制御する。なお、ピーク重心位置検出部902は、第1フィードバック制御部の一例である。
ピーク重心位置検出部902は、より高精度に同期させるために、ピーク位置前後の電力も含めた重心位置を算出し、このピーク重心位置が不変となるように、サンプリングクロック発生部803−2内部のPLLの位相を制御すればよい。
ピーク重心位置が安定した後、位相回転量検出部901は、ピーク位置となる距離ビンの複素信号を、例えばスロット周期の一定時間間隔で観測し、位相回転量を算出する。そして、位相回転量検出部901は、算出した位相回転量がゼロとなるように、ローカル信号発生部804−2に含まれるPLLの位相をフィードバック制御する。これにより、ローカル信号発生部804−2は、レーダA101のローカル信号と同期したローカル信号を得ることができる。位相回転量検出部901は、第2フィードバック制御部の一例である。
なお、マルチレーダシステム100が移動する場合、レーダA101とレーダB102は一体的に移動し、レーダA101とレーダB102との間の相対速度はゼロである。ここで、レーダA101からターゲットTに反射されずに、直接レーダB102で受信した受信波(直接波)は、ドップラ周波数シフトは生じないため、位相回転量はゼロとなる。
ここで、マルチレーダシステム100が旋回運動のような運動をする場合、レーダA101とレーダB102との間で相対速度が生じる。なお、相対速度が生じないようにレーダB102のローカル周波数をレーダA101のローカル周波数に合わせることにより、レーダB102から統合処理装置103に入力される速度情報もレーダA101を基準とした速度に自動的に補正される。このため、レーダA101とレーダB102の相対速度によって生じる誤差が補償され、好適である。
[第3の構成例]
レーダ送信波としてミリ波帯を使用する場合、ローカル信号は、例えば80GHzといった高周波帯となるため、高精度に位相制御することが困難になる。すなわち、ローカル信号発生部804をフィードバック制御しても、残留位相誤差が生じてしまうことが想定される。
そこで、第3の構成例では、図12に示すように、第2の構成例に位相回転部1001を追加し、フィードフォワード制御を行うことで残留位相誤差を低減する。図12は、レーダA101及びレーダB102の内部構成の第3の構成例を示すブロック図である。
図12に示すように、位相回転部1001は、位相回転部1002と位相回転部1003とを有する。直交符号A重畳部814−2の出力は、位相回転部1002に入力され、直交符号B重畳部815−2の出力は、位相回転部1003に入力される。位相回転部1002及び1003は、残留位相誤差によって生じる位相回転量の検出結果を補償するように、直交符号A重畳部814−2及び直交符号B重畳部815−2の出力に対して位相回転を与える。
なお、図12に示す送信部801−1は、例えば、図2、4、5の送信部211に対応しており、受信部802−1は、例えば、図2、4、5の受信部212に対応しており、送信部801−2は、例えば、図2、4、5の送信部221に対応しており、受信部802−2は、例えば、図2、4、5の受信部222に対応している。また、図10では、例えば、図2、4、5等に示した統合処理装置103のフレーム同期部231以外の構成については図示を省略する。
位相回転部1002及び1003が位相回転を与える方法としては、例えば、図13に示すような、NCO(Numerically Controlled Oscillator:数値制御発振器)を用いた方法を採用すればよい。図13は、位相回転部1002の構成例を示す図である。
図13では、位相回転部1002は、位相回転量検出部901で検出された位相回転量をモジュロ2πで累積し、累積結果をアドレスとする複素正弦波テーブルから複素振幅を読出し、読み出した複素振幅を位相回転部1001からの出力に乗ずる。位相回転部1002は、加算部1101、遅延部1102、複素正弦波テーブル1103、複素乗算部1104を有する。
位相回転量検出部901で検出された位相回転量は、加算部1101において遅延部1101が生成した1周期前の累積値に加えられて累積される。加算結果をアドレスとした複素正弦波の振幅が複素正弦波テーブル1103から読み出され、複素乗算部1104は、読み出された複素振幅を直交符号A重畳部814−2からの信号に乗算する。複素乗算部1104の出力は、後段のSTFT部818−2に出力される。複素乗算部1104の複素乗算によって、残留した位相誤差成分が補償される。
[第4の構成例]
レーダA101及びレーダB102の第4の構成例について説明する。第4の構成例では、高周波部の回路規模を増大させることなく、実質的にアンテナ開口長を広げることができるMIMO(multiple-input and multiple-output)レーダ方式を適用した構成とする。第4の構成例では、一例として、送信部1201が2アンテナ、受信部1202が4アンテナを有する場合について説明する。
図14は、レーダA101及びレーダB102の内部構成の第4の構成例を示すブロック図である。第4の構成例において、レーダA101は、送信部1201−1、受信部1202−1、サンプリングクロック発生部803−1、ローカル信号発生部804−1を有する。
送信部1201−1は、相補符号発生部805−1、符号重畳部1203−1、DAC部1204−1、送信高周波部1205−1、送信アンテナ(2ブランチ)1206−1を有する。また、受信部1202−1は、受信アンテナ(4ブランチ)810−1、受信高周波部811−1、ADC部812−1、相補符号相関演算部813−1、符号重畳部1207−1及び1208−1、STFT部1209−1及び1210−1、DOA部1211−1及び1212−1、メモリ213及びメモリ214を有する。なお、送信部1201−1は、2ブランチの送信アンテナに対応する2系統の符号重畳部1203−1、DAC部1204−1、送信高周波部1205−1を有する。
一方、第4の構成例において、レーダB102は、送信部1201−2、受信部1202−2、サンプリングクロック発生部803−2、ローカル信号発生部804−2を有する。
なお、送信部1201−2は、相補符号発生部805−2、符号重畳部1203−2、DAC部1204−2、送信高周波部1205−2、送信アンテナ(2ブランチ)1206−2を有する。また、受信部1202−2は、受信アンテナ(4ブランチ)810−2、受信高周波部811−2、ADC部812−2、相補符号相関演算部813−2、符号重畳部1207−2及び1208−2、STFT部1209−2及び1210−2、DOA部1211−2及び1212−2、メモリ223及びメモリ224を有する。
MIMO方式を適用するため、2系統の符号重畳部1203−1は、相補符号発生部805−1からの出力に対して、レーダA101からの送信信号であるか、レーダB102からの送信信号であるかを区別するためのレーダ間多重用直交符号Aと、ストリーム間多重用直交符号W及びWとを重複して重畳する。レーダ間多重用直交符号Aとストリーム間多重用直交符号W及びWの符号周期や、1符号当たりの長さを異なる長さとするため、例えば、符号A、Wの重畳符号AW、AWを図15のような関係とすると、直交性が保たれて好適である。
図15は、レーダ間多重用直交符号とストリーム間多重用直交符号の関係を示すタイミングチャートを例示した図である。相補符号X及びYが相補符号発生部805−1から繰返し発生される。まず、相補符号のペアを1周期とするレーダ間多重用直交符号Aが重畳され、さらに、レーダ間多重用直交符号Aの4符号分を1符号分とするストリーム間多重用直交符号Wがさらに重畳される。さらに、符号重畳部1203−1は、もう一方のMIMOストリーム多重信号用に符号AとWとが重畳される。ストリーム多重用直交符号Wの系列を“全て1”とした場合、図15の“重畳符号AW”に示されるような符号が重畳される。
一方、レーダB102の符号重畳部1203−2は、相補符号発生部805−2からの出力に対して、符号Bと符号W及びWとを重複して重畳する。レーダ間多重用直交符号Bの系列が“全て1”である場合、図15の“重畳符号BW”及び“重畳符号BW”が重畳される。なお、符号BWは“全て1”同士の重畳のため、“全て1”となる。
2系統のDAC部1204−1は、符号AW及び符号AWが重畳された信号のそれぞれをアナログベースバンド信号に変換する。2系統の送信高周波部1205−1は、アナログベースバンド信号を直交変調によってミリ波帯等の高周波帯の信号に周波数変換する。送信高周波部1205−1が生成した高周波帯信号は、2ブランチの送信アンテナ1206−1から空中に放射される。
空中に放射された電磁波はターゲットTによって反射され、4ブランチの受信アンテナ810−1によって受信される。受信アンテナの各ブランチは、互いに半波長以上1波長以下程度離れた位置に配置されており、それぞれのブランチで取得される信号間の位相差を求めることで、到来方向を推定することができる。本第4の構成では、MIMOレーダ方式を適用しているため、実アンテナアレイに加え仮想アンテナアレイも構成され、DOA部1211−1及び1212−1における到来方向推定処理において、仮想アレイの信号も用いられる。
4ブランチ分の受信アンテナ810−1の出力は、それぞれ4系統の受信高周波部811−1のいずれかに入力される。4系統の受信高周波部811−1は、受信した信号を、直交復調によってベースバンド帯の複素信号に周波数変換する。ベースバンド帯の複素信号は、ADC部812−1にてデジタル信号に変換され、4系統の相補符号相関演算部813−2によって相関演算処理が行われる。これにより、符号化利得による信号対雑音比が増大する。符号重畳部1207−1、1208−1は、ストリーム毎に、相関演算結果に符号AW及び符号AWを重畳してモノスタティックレーダとしての処理を行う。同様に、符号重畳部1208−1は、ストリーム毎に、相関演算結果に符号BW及び符号BWを重畳してバイスタティックレーダとしての処理を行う。従って、符号重畳部1207−1、1208−1は、2ストリーム×4ブランチ=8系統が必要となる。
STFT部1209−1、1210−1は、各系統の重畳結果に対してフーリエ変換を行う。符号重畳部1207−1、1208−1と同様に、STFT部1209−1、1210−1は、2ストリーム×4ブランチ=8系統が必要となる。STFT部1209−1、1210−1は、離散フーリエ変換のポイント数をレーダ間多重用及びストリーム間多重用それぞれの直交符号の1周期に必要なスロット数を乗じた数の倍数に設定することで、レーダ間多重用及びストリーム間多重用の両方の直交関係が満たされるため、これらの干渉を十分に抑制することができる。
8系統のSTFT部からは、8系統の合計で最大電力となる周波数の成分の積分結果がDOA部1211−1、1212−1に入力される。モノスタティックモードの積分結果についてはDOA部1211−1に、バイスタティックモードの積分結果についてはDOA部1212−1にそれぞれ入力される。なお、複数のターゲットTの分離度を高めるため、第1の構成例と同様に、最大となる周波数成分に加えて、電力が2番目や3番目となる周波数成分の積分結果等もDOA部1211−1、1212−1に出力するようにしてもよい。DOA部1211−1、1212−1は、仮想アレイも含めた全8系統の位相差に対して到来方向を推定し、推定結果をメモリ213、214に書き込む。
このように、MIMOレーダ方式を適用した場合、例えば、複数の送信アンテナを垂直方向に配置すれば、受信アンテナが水平方向の配置であっても、受信高周波部の回路規模を増大させることなく、垂直方向の到来方向も推定できる。
[第5の構成例]
図10に示された第1の構成例は、レーダA101とレーダB102とを同期させるため、サンプリングクロックとローカル信号の両方を直接接続していた。これに対して、第5の構成例は、ローカル信号については周波数発振源となる水晶発振デバイス出力を接続させ、比較的周波数の低い信号を共通化する構成である。
図16は、レーダA101及びレーダB102の内部構成の第5の構成例を示すブロック図である。なお、図16に示すレーダA101及びレーダB102の第5の構成例と、図10に示す第1の構成例との差異は、以下の通りである。例えば、第5の構成例では、レーダA101のローカル信号発生部804−1がTCXO部1301とPLL部1302−1とで構成され、レーダA101のTCXO部1301出力がレーダB102のPLL部1302−2の入力部に接続されており、さらに、レーダB102のサンプリングクロック発生部803−2がレーダA101のサンプリングクロック発生部803−1と同期する。
位相雑音特性に優れた高周波信号を生成する一般的な構成として、周波数安定度に優れた水晶発振デバイスからの信号と、VCO(Voltage Controlled Oscillator)からの高周波信号(無線周波数信号)を分周した信号との位相比較を行い、この位相差がゼロになるようにVCOへの入力電圧を制御するフィードバックループ(PLL)が用いられる。水晶発振デバイスとして発振周波数が数十MHz程度の温度補償水晶発振器(TCXO:Temperature compensated crystal Oscillator)が用いられることが多く、ミリ波周波数帯に比べれば、低周波であり、例えば、レーダ間を接続するためのケーブルも安価なものを用いることができる。
ただし、TCXOの後段に構成されるPLLは、複数のレーダ間で個別のものとなるため、複数レーダ間で周波数同期は確立していても、位相同期までは確立することは困難である。このため、ミリ波周波数帯では、近接位置に設置されたレーダAからの直接波のように、十分にSNRが大きい距離ビンの信号であっても、直交符号重畳後の位相が変化する場合がある。そこで、第5の構成例では、位相回転量検出部901と位相回転部1001とを追加し、残留位相誤差を補償する。なお、残留位相誤差の処理方法は、他の構成例と同じであるため、ここでの説明は省略する。
このような構成をとることで、レーダ間を同期させるためのコストが低減され、十分な同期性能も確保できるため、好適である。
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
上述した第1から第3の実施の形態に係るマルチレーダシステム100、100a、100bでは、レーダA101及びレーダB102の2台のレーダを有する例について説明した。しかしながら、本開示はこれに限定されず、例えば、3台以上のレーダ装置を有する構成としてもよい。
上記各実施形態では、本開示はハードウェアを用いて構成する例にとって説明したが、本開示はハードウェアとの連携においてソフトウェアでも実現することも可能である。
また、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には、入力端子及び出力端子を有する集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC(Integrated Circuit)、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサを用いて実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、LSI内部の回路セルの接続または設定を再構成可能なリコンフィギュラブル プロセッサ(Reconfigurable Processor)を利用してもよい。
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術により、LSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックを集積化してもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
<本開示のまとめ>
本開示のマルチレーダシステムは、第1送信信号を送信する第1送信部と、モノスタティックレーダモード及びバイスタティックレーダモードにおいて、ターゲットに反射された反射波信号をそれぞれ受信する第1受信部と、前記それぞれ受信した反射波信号を用いて到来方向推定を行う第1推定部と、を含む第1レーダ装置と、第2送信信号を送信する第2送信部と、前記モノスタティックレーダモード及び前記バイスタティックレーダモードにおいて、前記ターゲットに反射された前記反射波信号をそれぞれ受信する第2受信部と、前記それぞれ受信した反射波信号を用いて前記到来方向推定を行う第2推定部と、を含む第2レーダ装置と、第1レーダ装置のバイスタティックレーダモードにおける到来方向推定結果、第2レーダ装置のバイスタティックレーダモードにおける到来方向推定結果、とを合成する合成部と、第1レーダ装置のモノスタティックレーダモードにおける到来方向推定結果と、第2レーダ装置のモノスタティックレーダモードにおける到来方向推定結果と、前記合成部の出力と、を用いて、ターゲットの形状を推定する形状推定部を含む統合処理装置と、を含む。
本開示のマルチレーダシステムにおいて、前記合成部は、前記第1レーダ装置及び第2レーダ装置のバイスタティックレーダモードにおける前記到来方向推定結果のうち、ターゲットの相対速度情報及び反射波信号の強度情報をそれぞれ合成する。
本開示のマルチレーダシステムにおいて、前記形状推定部は、前記合成された反射波信号の強度情報が、第1の閾値以上である場合、ターゲットの形状推定に、前記第1レーダ装置及び第2レーダ装置のバイスタティックレーダモードにおける前記到来方向推定結果のうち、合成されたターゲットの相対速度情報及びターゲットの位置情報を用いる。
本開示のマルチレーダシステムにおいて、前記形状推定部は、前記第1レーダ装置のモノスタティックレーダモードにおける前記到来方向推定結果のうち、反射波信号の強度情報が第2の閾値以上の場合、ターゲットの形状推定に、ターゲットの相対速度情報及びターゲットの位置情報を用いる。
本開示のマルチレーダシステムにおいて、前記形状推定部は、前記第2レーダ装置のモノスタティックレーダモードにおける前記到来方向推定結果のうち、反射波信号の強度情報が第3の閾値以上の場合、ターゲットの形状推定に、ターゲットの相対速度情報及びターゲットの位置情報を用いる。
本開示のマルチレーダシステムにおいて、前記統合処理装置は、前記第1レーダ装置及び前記第2レーダ装置の前記モノスタティックレーダモード及び前記バイスタティックレーダモードのそれぞれにおける到来方向推定結果を、前記第1レーダ装置の視線方向と前記第2レーダ装置の視線方向との差と、前記第2レーダ装置の設置位置と、に基づいて、極座標表現を直交座標表現に変換する座標変換部をさらに有する。
本開示のマルチレーダシステムにおいて、前記統合処理装置は、前記第1レーダ装置の検出領域と、前記第2レーダ装置の検出領域とが重複する領域に参照用ターゲットを設置した場合、前記第1レーダ装置が検出した前記参照用ターゲットまでの第1の距離と、第1の方位角と、第1の仰角と、前記第2レーダ装置が検出した前記参照用ターゲットまでの第2の距離と、第2の方位角と、第2の仰角と、に基づいて、前記第1レーダ装置の視線方向と前記第2レーダ装置の視線方向の差を算出する視線方向差算出部をさらに有する。
本開示のマルチレーダシステムにおいて、前記第1レーダ装置と前記第2レーダ装置は同一の周波数チャネルを使用し、前記第1レーダ装置及び前記第2レーダ装置は、前記第1レーダ装置の搬送波信号と前記第2レーダ装置の搬送波信号とを同期させる同期部をそれぞれ有する。
本開示のマルチレーダシステムにおいて、前記第1レーダ装置は、第1直交符号を重畳したパルス符号を生成する第1直交符号重畳部を有し、前記第2レーダ装置は、前記第1直交符号と直交する第2直交符号を重畳したパルス符号を生成する第2直交符号重畳部を有し、前記第1レーダ装置及び前記第2レーダ装置は、前記受信信号に対して前記第1及び第2直交符号を重畳する第3及び第4直交符号重畳部を有する。
本開示のマルチレーダシステムにおいて、前記第1レーダ装置及び前記第2レーダ装置は、デジタル/アナログ変換部と、アナログ/デジタル変換部と、前記デジタル/アナログ変換部と前記アナログ/デジタル変換部にサンプリングクロック信号を出力するサンプリングクロック発生部と、を有し、前記第1レーダ装置と前記第2レーダ装置の前記サンプリングクロック発生部は、互いに同期される。
本開示のマルチレーダシステムにおいて、前記第2レーダ装置は、前記第1レーダ装置から直接波を受信した場合、前記直接波が検出されるタイミングの調整に用いる、前記サンプリングクロック信号の位相を、フィードバック制御する第1フィードバック制御部をさらに有する。
本開示のマルチレーダシステムにおいて、前記直接波の位相変動がゼロとなるように、前記第2送信信号の搬送波信号の位相を、フィードバック制御する第2フィードバック制御部をさらに有する。
本開示のマルチレーダシステムにおいて、前記第2レーダ装置は、前記直接波の位相変動がゼロとなるように制御する、位相回転部をさらに有する。
本開示のマルチレーダシステムにおいて、前記第1レーダ装置の第1送信部は、第1直交符号を重畳した複数系統の信号を生成して複数のアンテナから送信し、前記第2レーダ装置の第2送信部は、前記第1直交符号と互いに直交する第2直交符号を重畳した複数系統の信号を生成して複数のアンテナから送信し、前記第1レーダ装置の第1受信部及び前記第2レーダ装置の第2受信部は、前記受信信号に対して前記第1及び第2の直交符号を重畳し、複数系統の信号に分離して到来方向を算出する。
本開示のマルチレーダシステムにおいて、前記第1レーダ装置は、水晶発振部と第1の位相同期ループ部とを含み、前記第2レーダ装置は、第2の位相同期ループ部と位相回転部とを含み、前記水晶発振部の出力信号を前記位相同期ループ部に入力することによって、前記第1の搬送波信号を生成し、前記水晶発振部の前記出力信号を前記第2の位相同期ループ部に入力することによって、前記第2の搬送波信号を生成し、前記第2レーダ装置は、前記第1レーダ装置から直接波を受信した場合、前記位相回転部は、前記直接波の位相変動がゼロとなるように制御する。
本開示は、複数台のレーダ装置を用いたマルチレーダシステムとして好適である。
100,100a,100b マルチレーダシステム
101 レーダA
101a 送信アンテナ
101b 受信アンテナ
102 レーダB
103 統合処理装置
211 送信部
212 受信部
213,214,223,224 メモリ
215 モノスタティックレーダ処理部
216 バイスタティックレーダ処理部
221 送信部
222 受信部
225 バイスタティックレーダ処理部
226 モノスタティックレーダ処理部
231 フレーム同期部
232,233,236,237 極座標−直交座標変換部
234,235,238,239 メモリ
240 最大比合成部
241 位相合成部
242,243,244 閾値比較部
245 位置平均化部
246 速度平均化部
247 形状推定部
301,302,303,310,311,312 遅延部
304,305,306 複素乗算部
307 複素加算部
308 電力算出部
309 閾値比較部
313 位相差検出部
314 位相回転部
315 切り替え部
316 複素加算部
317,318 複素共役算出部
401 視線方向差算出部
402 他方レーダ位置観測部
403 レーダB設置座標設定部
501 平均位置算出部
801−1,801−2 送信部
802−1,802−2 受信部
803−1,803−2 サンプリングクロック発生部
804−1,804−2 ローカル信号発生部
805−1,805−2 相補符号発生部
806 直交符号A重畳部
807−1,807−2 デジタル/アナログ変換(DAC)部
808−1,808−2 送信高周波部
809−1,809−2 送信アンテナ
810−1,810−2 受信アンテナ
811−1,811−2 受信高周波部
812−1,812−2 アナログ/デジタル変換(ADC)部
813−1,813−2 相補符号相関演算部
814−1,814−2 直交符号A重畳部
815−1,815−2 直交符号B重畳部
816−1,816−2 直交符号重畳部
817−1,817−2、818−1,818−2、819−1,819−2 短時間フーリエ変換(STFT)部
820−1,820−2、821−1,821−2 到来方向推定(DOA)部
822 直交符号B重畳部
901 位相回転量検出部
902 ピーク重心位置検出部
1001、1002、1003 位相回転部
1101 加算部
1101、1102 遅延部
1103 複素正弦波テーブル
1104 複素乗算部
1201−1,1201−2 送信部
1202−1,1202−2 受信部
1203−1,1203−2 符号重畳部
1204−1,1204−2 デジタル/アナログ変換(DAC)部
1205−1,1205−2 送信高周波部
1206−1,1206−2 送信アンテナ
1207−1,1207−2 符号重畳部
1208−1,1208−2 符号重畳部
1209−1,1209−2 短時間フーリエ変換(STFT)部
1210−1,1210−2 短時間フーリエ変換(STFT)部
1211−1,1211−2 到来方向推定(DOA)部
1212−1,1212−2 到来方向推定(DOA)部
1301 TCXO部
1302−1,1302−1 PLL部

Claims (15)

  1. 第1送信信号を送信する第1送信部と、モノスタティックレーダモード及びバイスタティックレーダモードにおいて、ターゲットに反射された反射波信号をそれぞれ受信する第1受信部と、前記それぞれ受信した反射波信号を用いて到来方向推定を行う第1推定部と、を含む第1レーダ装置と、
    第2送信信号を送信する第2送信部と、前記モノスタティックレーダモード及び前記バイスタティックレーダモードにおいて、前記ターゲットに反射された前記反射波信号をそれぞれ受信する第2受信部と、前記それぞれ受信した反射波信号を用いて前記到来方向推定を行う第2推定部と、を含む第2レーダ装置と、
    第1レーダ装置のバイスタティックレーダモードにおける到来方向推定結果、第2レーダ装置のバイスタティックレーダモードにおける到来方向推定結果、とを合成する合成部と、
    第1レーダ装置のモノスタティックレーダモードにおける到来方向推定結果と、第2レーダ装置のモノスタティックレーダモードにおける到来方向推定結果と、前記合成部の出力と、を用いて、ターゲットの形状を推定する形状推定部を含む統合処理装置と、
    を含むマルチレーダシステム。
  2. 前記合成部は、
    前記第1レーダ装置及び第2レーダ装置のバイスタティックレーダモードにおける前記到来方向推定結果のうち、ターゲットの相対速度情報及び反射波信号の強度情報をそれぞれ合成する、
    請求項1記載のマルチレーダシステム。
  3. 前記形状推定部は、
    前記合成された反射波信号の強度情報が、第1の閾値以上である場合、ターゲットの形状推定に、前記第1レーダ装置及び第2レーダ装置のバイスタティックレーダモードにおける前記到来方向推定結果のうち、合成されたターゲットの相対速度情報及びターゲットの位置情報を用いる、
    請求項2記載のマルチレーダシステム。
  4. 前記形状推定部は、
    前記第1レーダ装置のモノスタティックレーダモードにおける前記到来方向推定結果のうち、反射波信号の強度情報が第2の閾値以上の場合、ターゲットの形状推定に、ターゲットの相対速度情報及びターゲットの位置情報を用いる、
    請求項1記載のマルチレーダシステム。
  5. 前記形状推定部は、
    前記第2レーダ装置のモノスタティックレーダモードにおける前記到来方向推定結果のうち、反射波信号の強度情報が第3の閾値以上の場合、ターゲットの形状推定に、ターゲットの相対速度情報及びターゲットの位置情報を用いる、
    請求項1記載のマルチレーダシステム。
  6. 前記統合処理装置は、
    前記第1レーダ装置及び前記第2レーダ装置の前記モノスタティックレーダモード及び前記バイスタティックレーダモードのそれぞれにおける到来方向推定結果を、前記第1レーダ装置の視線方向と前記第2レーダ装置の視線方向との差と、前記第2レーダ装置の設置位置と、に基づいて、極座標表現を直交座標表現に変換する座標変換部をさらに有する、
    請求項1に記載のマルチレーダシステム。
  7. 前記統合処理装置は、
    前記第1レーダ装置の検出領域と、前記第2レーダ装置の検出領域とが重複する領域に参照用ターゲットを設置した場合、前記第1レーダ装置が検出した前記参照用ターゲットまでの第1の距離と、第1の方位角と、第1の仰角と、前記第2レーダ装置が検出した前記参照用ターゲットまでの第2の距離と、第2の方位角と、第2の仰角と、に基づいて、前記第1レーダ装置の視線方向と前記第2レーダ装置の視線方向の差を算出する視線方向差算出部をさらに有する、
    請求項2に記載のマルチレーダシステム。
  8. 前記第1レーダ装置と前記第2レーダ装置は同一の周波数チャネルを使用し、
    前記第1レーダ装置及び前記第2レーダ装置は、前記第1レーダ装置の第1の搬送波信号と前記第2レーダ装置の第2の搬送波信号とを同期させる同期部をそれぞれ有する、
    請求項1から3のいずれか一項に記載のマルチレーダシステム。
  9. 前記第1レーダ装置は、第1直交符号を重畳したパルス符号を生成する第1直交符号重畳部を有し、
    前記第2レーダ装置は、前記第1直交符号と直交する第2直交符号を重畳したパルス符号を生成する第2直交符号重畳部を有し、
    前記第1レーダ装置及び前記第2レーダ装置は、前記受信信号に対して前記第1及び第2直交符号を重畳する第3及び第4直交符号重畳部を有する、
    請求項1から8のいずれか一項に記載のマルチレーダシステム。
  10. 前記第1レーダ装置及び前記第2レーダ装置は、デジタル/アナログ変換部と、アナログ/デジタル変換部と、前記デジタル/アナログ変換部と前記アナログ/デジタル変換部にサンプリングクロック信号を出力するサンプリングクロック発生部と、を有し、
    前記第1レーダ装置と前記第2レーダ装置の前記サンプリングクロック発生部は、互いに同期される、
    請求項1から9のいずれか一項に記載のマルチレーダシステム。
  11. 前記第2レーダ装置は、前記第1レーダ装置から直接波を受信した場合、前記直接波が検出されるタイミングの調整に用いる、前記サンプリングクロック信号の位相を、フィードバック制御する第1フィードバック制御部をさらに有する、
    請求項10に記載のマルチレーダシステム。
  12. 前記直接波の位相変動がゼロとなるように、前記第2送信信号の搬送波信号の位相を、フィードバック制御する第2フィードバック制御部をさらに有する、
    請求項11に記載のマルチレーダシステム。
  13. 前記第2レーダ装置は、前記直接波の位相変動がゼロとなるように制御する、位相回転部をさらに有する、
    請求項12に記載のマルチレーダシステム。
  14. 前記第1レーダ装置の第1送信部は、第1直交符号を重畳した複数系統の信号を生成して複数のアンテナから送信し、
    前記第2レーダ装置の第2送信部は、前記第1直交符号と互いに直交する第2直交符号を重畳した複数系統の信号を生成して複数のアンテナから送信し、
    前記第1レーダ装置の第1受信部及び前記第2レーダ装置の第2受信部は、前記受信信号に対して前記第1及び第2の直交符号を重畳し、複数系統の信号に分離して到来方向を算出する、
    請求項1に記載のマルチレーダシステム。
  15. 前記第1レーダ装置は、水晶発振部と第1の位相同期ループ部とを含み、
    前記第2レーダ装置は、第2の位相同期ループ部と位相回転部とを含み、
    前記水晶発振部の出力信号を前記位相同期ループ部に入力することによって、前記第1の搬送波信号を生成し、
    前記水晶発振部の前記出力信号を前記第2の位相同期ループ部に入力することによって、前記第2の搬送波信号を生成し、
    前記第2レーダ装置は、前記第1レーダ装置から直接波を受信した場合、位相回転部は、前記直接波の位相変動がゼロとなるように制御する、
    請求項8に記載のマルチレーダシステム。
JP2017100823A 2016-09-29 2017-05-22 マルチレーダシステム Pending JP2018059895A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP17185429.2A EP3301470A3 (en) 2016-09-29 2017-08-09 Multi-radar system
US15/681,935 US20180088221A1 (en) 2016-09-29 2017-08-21 Multi-radar system
CN201710804125.3A CN107884750A (zh) 2016-09-29 2017-09-08 多雷达系统

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016191232 2016-09-29
JP2016191232 2016-09-29

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018059895A true JP2018059895A (ja) 2018-04-12

Family

ID=61909970

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017100823A Pending JP2018059895A (ja) 2016-09-29 2017-05-22 マルチレーダシステム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018059895A (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019202892A1 (ja) * 2018-04-17 2019-10-24 古野電気株式会社 観測装置、観測システム、および、観測方法
JP2020003475A (ja) * 2018-06-29 2020-01-09 三星電子株式会社Samsung Electronics Co.,Ltd. レーダー駆動装置及び方法
CN112505704A (zh) * 2020-11-10 2021-03-16 北京埃福瑞科技有限公司 提高列车自主智能感知系统安全性的方法及列车
JP2021523380A (ja) * 2018-05-17 2021-09-02 ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツングRobert Bosch Gmbh レーダセンサシステムおよびレーダセンサシステムの製造方法
JP2021526215A (ja) * 2018-06-07 2021-09-30 ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツングRobert Bosch Gmbh レーダセンサシステム
JP7046277B1 (ja) * 2021-01-29 2022-04-01 三菱電機株式会社 物体透視装置、制御回路、記憶媒体、および物体透視方法
JP2022538427A (ja) * 2019-06-27 2022-09-02 ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング 能動的に返送する中継器を備えたofdmレーダセンサシステム
WO2023005135A1 (zh) * 2021-07-30 2023-02-02 北京三快在线科技有限公司 激光雷达同步方法、装置、可读存储介质及无人驾驶设备
WO2023021756A1 (ja) * 2021-08-19 2023-02-23 ソニーグループ株式会社 情報処理システム、情報処理装置、及び情報処理方法
CN112505704B (zh) * 2020-11-10 2024-06-07 北京埃福瑞科技有限公司 提高列车自主智能感知系统安全性的方法及列车

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019202892A1 (ja) * 2018-04-17 2019-10-24 古野電気株式会社 観測装置、観測システム、および、観測方法
JP2021523380A (ja) * 2018-05-17 2021-09-02 ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツングRobert Bosch Gmbh レーダセンサシステムおよびレーダセンサシステムの製造方法
JP7256211B2 (ja) 2018-06-07 2023-04-11 ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング レーダセンサシステム
JP2021526215A (ja) * 2018-06-07 2021-09-30 ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツングRobert Bosch Gmbh レーダセンサシステム
US11747459B2 (en) 2018-06-07 2023-09-05 Robert Bosch Gmbh Radar sensor system
JP2020003475A (ja) * 2018-06-29 2020-01-09 三星電子株式会社Samsung Electronics Co.,Ltd. レーダー駆動装置及び方法
JP7297505B2 (ja) 2018-06-29 2023-06-26 三星電子株式会社 レーダー駆動装置及び方法
JP2022538427A (ja) * 2019-06-27 2022-09-02 ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング 能動的に返送する中継器を備えたofdmレーダセンサシステム
JP7258191B2 (ja) 2019-06-27 2023-04-14 ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング 能動的に返送する中継器を備えたofdmレーダセンサシステム
CN112505704A (zh) * 2020-11-10 2021-03-16 北京埃福瑞科技有限公司 提高列车自主智能感知系统安全性的方法及列车
CN112505704B (zh) * 2020-11-10 2024-06-07 北京埃福瑞科技有限公司 提高列车自主智能感知系统安全性的方法及列车
JP7046277B1 (ja) * 2021-01-29 2022-04-01 三菱電機株式会社 物体透視装置、制御回路、記憶媒体、および物体透視方法
WO2023005135A1 (zh) * 2021-07-30 2023-02-02 北京三快在线科技有限公司 激光雷达同步方法、装置、可读存储介质及无人驾驶设备
WO2023021756A1 (ja) * 2021-08-19 2023-02-23 ソニーグループ株式会社 情報処理システム、情報処理装置、及び情報処理方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3301470A2 (en) Multi-radar system
JP2018059895A (ja) マルチレーダシステム
JP7357585B2 (ja) レーダシステムの方法、レーダシステム及びレーダシステムの装置
CN108603928B (zh) 用于降低由雷达系统中的相位噪声引起的干扰的方法和系统
JP4665590B2 (ja) 干渉型レーダ
JP2019168333A (ja) レーダ装置
JP4496954B2 (ja) 干渉型レーダー
JP2020509386A (ja) 周囲をキャプチャする方法および装置
JP7221640B2 (ja) 標的の角度位置、位置、および/または速度、特にベクトル速度を決定するためのレーダ法およびレーダシステム
CN108885254B (zh) 物体检测装置
US10955542B2 (en) Radar apparatus and direction-of-arrival estimation device
JP2009080024A (ja) 探知測距装置および探知測距方法
WO2019126386A1 (en) Methods and apparatus to realize scalable antenna arrays with large aperture
JP6909023B2 (ja) レーダ装置及びレーダ方法
WO2020196575A1 (ja) レーダ装置及びレンジサイドローブ判定方法
WO2013010123A1 (en) System and method for enhanced point-to-point direction finding
WO2008029812A1 (en) Distance measuring device
JP6573748B2 (ja) レーダ装置
Quitin et al. Virtual multi-antenna array for estimating the angle-of-arrival of a RF transmitter
JP2015212655A (ja) レーダ装置
JP5611294B2 (ja) 探知測距装置
JP7012903B2 (ja) アンテナ装置及びレーダ装置
JP5491981B2 (ja) レーダ装置
US20230059058A1 (en) Radar apparatus
Cao et al. A Generalized Noncontact Vital-Sign Sensing System Based on MIMO FMCW Radar Sensors

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20190718

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20191121