JP2018059308A - 無線通信正否判定システム - Google Patents
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Abstract
【課題】双方向通信の前に送信される始動信号の不正通信を検出することができる無線通信正否判定システムを提供する。
【解決手段】車両1から電子キー2へと送信される始動通信を契機として、車両1と電子キー2との間の双方向通信が行われる。電子キー2は、車両1からの電波の第1受信信号強度を算出し、車両1は、電子キー2からの電波の第2受信信号強度を算出する。車両1の照合ECU4は、第1受信信号強度の時間変化および第2受信信号強度の時間変化に基づいて、始動通信を含む車両1と電子キー2との間の通信が正規通信であるか否かを判定する。
【選択図】図1
【解決手段】車両1から電子キー2へと送信される始動通信を契機として、車両1と電子キー2との間の双方向通信が行われる。電子キー2は、車両1からの電波の第1受信信号強度を算出し、車両1は、電子キー2からの電波の第2受信信号強度を算出する。車両1の照合ECU4は、第1受信信号強度の時間変化および第2受信信号強度の時間変化に基づいて、始動通信を含む車両1と電子キー2との間の通信が正規通信であるか否かを判定する。
【選択図】図1
Description
本発明は、無線通信正否判定システムに関する。
従来、電子キー(携帯機)と車両との間で無線通信によるID照合を行う電子キーシステムが知られている。このような電子キーシステムにおいては、車両から送信されたリクエストを電子キーが受信すると、これに応答する形で電子キーがIDコードを車両に自動返信する。車外でID照合が成立するとドアの施解錠が許可され、車内でID照合が成立するとエンジンの始動が許可される。
ところで、このような電子キーシステムでは、ユーザの意思によらないところでID照合成立を謀る不正行為として、中継器を使った不正行為(特許文献1等参照)がある。この不正行為は、たとえば電子キーが車両から遠い場所に位置する際に、この電子キーを複数の中継器によって車両と繋いで電波を中継し、これら2者間の通信を成立させる行為である。第三者による中継器を使用した不正行為によって、ユーザが気付かないところでID照合が成立されることにより、不正にドアの解錠およびエンジンの始動が行われるおそれがある。
このため、特許文献2に示すように、車両と電子キーとの間の通信に用いられる電波のRSSI(受信信号強度)に基づき、通信が正規通信か否かを判定するものがある。電波のRSSIを用いて通信が正規通信か否かを判定する方法には、たとえば、車両から電子キーへの電波のRSSIの時間変化と、電子キーから車両への電波のRSSIの時間変化とが一致しない場合に、この双方向通信が正規通信でない旨判定するものがある。これにより、双方向通信の電波を中継した場合であっても、双方向通信の電波のRSSIを用いることで、双方向通信が正規通信か否かを判定できる。
ところで、車両と電子キーとの間の双方向通信は、車両から電子キーへ始動信号が送信されることを契機として開始される。この始動信号も、車両と電子キーとの間に複数の中継器を介することで、車両から遠く離れた位置にある電子キーへと送られてしまうおそれがある。この点、双方向通信の電波のRSSIの時間変化の一致度によりその通信が正規通信か否かを判定する方法では、双方向通信が正規通信か否かは判定できるものの、双方向通信が開始される前の始動信号が正規通信か否かを判定することは困難であった。
本発明の目的は、双方向通信の前に送信される始動信号の不正通信を検出することができる無線通信正否判定システムを提供することにある。
上記目的を達成しうる無線通信正否判定システムは、互いに無線通信を行う第1の通信部および第2の通信部の少なくとも一方が移動可能であり、前記第1の通信部から前記第2の通信部へ、または前記第2の通信部から前記第1の通信部へ送信される始動信号を契機として前記第1の通信部と前記第2の通信部との間で複数回の信号の授受が行われる双方向通信の正否を判定する無線通信正否判定システムであって、前記第1の通信部は、前記第2の通信部からの電波の受信信号強度である第1の受信信号強度を算出する第1の受信信号強度算出部を備え、前記第1の受信信号強度算出部により算出される前記第1の受信信号強度の情報を前記第2の通信部に送信し、前記第2の通信部は、前記第1の通信部から送信される電波の受信信号強度である第2の受信信号強度を算出する第2の受信信号強度算出部と、前記第1の受信信号強度の情報を受信することにより得られる前記第1の受信信号強度に基づいて前記第1の受信信号強度の時間変化、および前記第2の受信信号強度算出部により算出される前記第2の受信信号強度の時間変化を算出する算出部と、前記第1の受信信号強度の時間変化および前記第2の受信信号強度の時間変化に基づき、前記双方向通信中において前記第1の受信信号強度と前記第2の受信信号強度とが変化していない旨判定されるとき、前記始動信号が不正通信によるものである旨判定する判定部と、を備えている。
この構成によれば、判定部は、算出部が算出した第1の受信信号強度の時間変化および第2の受信信号強度の時間変化に基づいて、第1の通信部および第2の通信部のうち移動可能な少なくとも一方が静止状態にあることを判定し、その判定結果に基づき始動信号が不正通信であるか否かを判定することができる。
たとえば、第1の通信部と第2の通信部とが互いに近接する場合には、近接するほど第1の受信信号強度および第2の受信信号強度はより大きくなり、第1の通信部と第2の通信部とが互いに離間する場合には、離間するほど第1の受信信号強度および第2の受信信号強度はより小さくなるため、第1の受信信号強度の時間変化と第2の受信信号強度の時間変化は変化するはずである。第1の受信信号強度の時間変化および第2の受信信号強度の時間変化が変化していない場合には、第1の通信部および第2の通信部は静止しているものと考えられる。第1の通信部と第2の通信部とが互いに無線通信を行うためには、第1の通信部または第2の通信部が始動信号を受信できる程度に、第1の通信部と第2の通信部とが互いに近接する必要があるにも関わらず、第1の通信部および第2の通信部が静止し続ける場合、中継器などにより始動信号が不正に延長されているものと考えられる。このため、第1の通信部および第2の通信部との間の双方向通信を用いて、第1の通信部および第2の通信部の静止状態を判定することにより、始動信号が不正に延長されるなどの不正通信が行われていることを判定できる。
上記の無線通信正否判定システムにおいて、前記判定部は、前記第1の通信部と前記第2の通信部との間で行われる双方向通信中において、前記第1の受信信号強度の時間変化および前記第2の受信信号強度の時間変化が一度でも変化したとき、前記始動信号が正規通信である旨判定し、前記第1の受信信号強度の時間変化および前記第2の受信信号強度の時間変化が全く変化しないとき、前記始動信号が不正通信によるものである旨判定することが好ましい。
この構成によれば、たとえば第1通信部または第2通信部が始動信号を受信してから第1の通信部および第2の通信部が静止することで、第1の受信信号強度の時間変化と第2の受信信号強度の時間変化とが一定時間変化しなくなった場合であっても、第1の通信部または第2の通信部が始動信号を受信してから一度でも第1の受信信号強度の時間変化と第2の受信信号強度の時間変化とが変化していれば、始動信号が正規通信である旨判定される。このため、第1の通信部または第2の通信部が始動信号を受信してから静止したとしても、始動信号が正規通信である旨をより正しく判定することができる。
本発明の無線通信正否判定システムによれば、双方向通信の前に送信される始動信号の不正通信を検出することができる。
以下、無線通信正否判定システムの一実施形態について説明する。
図1に示すように、車両1と電子キー2との間で無線通信を行うことによりID照合を行う電子キーシステム3がある。電子キー2には、キー固有のIDとして、電子キーIDが書き込み保存されている。本実施形態の電子キーシステム3は、車両1からの広域通信(始動信号)を契機に狭域通信(双方向通信)を通じて電子キー2とID照合を実施するキー操作フリーシステムである。
図1に示すように、車両1と電子キー2との間で無線通信を行うことによりID照合を行う電子キーシステム3がある。電子キー2には、キー固有のIDとして、電子キーIDが書き込み保存されている。本実施形態の電子キーシステム3は、車両1からの広域通信(始動信号)を契機に狭域通信(双方向通信)を通じて電子キー2とID照合を実施するキー操作フリーシステムである。
車両1は、ID照合を行う照合ECU(Electronic Control Unit)4と、ドアロック装置6を始めとする車載電装品の駆動を管理するボディECU5と、エンジン8を制御するエンジンECU7とを備える。ボディECU5は、車両ドアに設けられたドアロック装置6の作動を制御することにより、車両ドアの施解錠を切り替える。ボディECU5およびエンジンECU7は、車内の通信線Lを通じて電気的に接続されている。通信線Lとしては、たとえばCAN(Controller Area Network)が用いられる。照合ECU4には、車両1に登録された電子キー2の電子キーIDが保存されている。車両1は、車内および車外にLF(Low Frequency)帯の電波を送信するLF送信部10と、車内および車外にUHF(Ultra High Frequency)帯の電波を送受信するUHF送受信部11とを備える。照合ECU4には、LF送信部10およびUHF送受信部11が接続されている。UHF送受信部11は、電子キー2へのID返信要求として、リクエスト信号をUHF帯の電波(UHF電波)によって送信することにより、電子キー2との間の通信の成立を試みる。なお、電子キー2が第1通信部に相当し、照合ECU4が第2通信部に相当する。
電子キー2は、電子キー2の動作を制御するキー制御部20と、LF電波を受信するLF受信部30と、UHF電波を送受信するUHF送受信部31とを備える。キー制御部20には、LF受信部30およびUHF送受信部31が接続されている。また、キー制御部20には、キー固有のIDとして「IDコード」がメモリ(図示略)に書き込み保存されている。車両1のUHF送受信部11から送信されるUHF帯の電波と、電子キー2のUHF送受信部31から送信されるUHF帯の電波とは、同一周波数の電波である。
電子キー2がLF送信部10のLF電波エリア(図4参照)に進入して、車両1と電子キー2との間で通信が確立されると、UHF−UHFの双方向通信によるスマート照合(車外ID照合)が開始される。車外ID照合には、車両1がもつ固有の車両IDを認証する車両ID照合と、暗号鍵(認証鍵)を使用したチャレンジレスポンス認証と、電子キーIDを認証する電子キーID照合とが含まれる。照合ECU4は、車外に位置する電子キー2との間で、これらIDの照合および認証の全てが成立することを確認すると、車外ID照合を成立とみなし、たとえば車両ドアの施解錠を許可または実行する。
照合ECU4は、車外ID照合が成立した後、電子キー2がUHF送受信部11の車内通信エリア内に進入したとき、車内ID照合を実行する。照合ECU4は、車内ID照合が成立することを確認すると、エンジンスイッチ9の操作による車両電源の遷移およびエンジン8の始動を許可する。
また、電子キーシステム3(無線通信正否判定システム)は、たとえば第三者による中継器を用いた不正な通信を抑制する機能を有している。中継器を使用した不正行為とは、電子キー2を所有したユーザが車両1から遠く離れている際に、車両の盗難行為を試みる第三者が、中継器を使用することによって電波を中継して、車両1と電子キー2との間の通信を不正に成立させる行為である。
電子キー2のキー制御部20には、照合ECU4からのUHF帯の電波を受信した場合に当該受信した電波の受信信号強度(RSSI)を算出する受信信号強度算出部21が設けられている。受信信号強度算出部21は、UHF送受信部31で電波を受信した際、当該受信した電波の振幅を検出することにより、第1受信信号強度RSSI1を算出する。また、受信信号強度算出部21は、車両1からのUHF電波の受信がある度に、当該UHF電波の第1受信信号強度RSSI1を受信時刻と関連付けして算出する。
また、電子キー2のキー制御部20には、受信信号強度算出部21が算出した第1受信信号強度RSSI1および第1受信信号強度RSSI1に関連付けされた受信時刻を車両1に通知する受信信号強度通知部22が設けられている。受信信号強度通知部22は、電子キー2が車両1の問い合わせに応答して各種のUHF電波を送信する際に、「IDコード」および「レスポンスコード」の他に、第1受信信号強度RSSI1の情報を含んだデータを合わせて送信する。
照合ECU4には、受信信号強度算出部40、算出部41、および通信正否判定部42が設けられている。
受信信号強度算出部40は、電子キー2からのUHF電波を受信した際、当該UHF電波の受信信号強度である第2受信信号強度RSSI2を算出する。また、受信信号強度算出部40は、車両1からのUHF電波の受信がある度に、当該UHF電波の受信信号強度である第2受信信号強度RSSI2を受信時刻と関連付けして算出する。
受信信号強度算出部40は、電子キー2からのUHF電波を受信した際、当該UHF電波の受信信号強度である第2受信信号強度RSSI2を算出する。また、受信信号強度算出部40は、車両1からのUHF電波の受信がある度に、当該UHF電波の受信信号強度である第2受信信号強度RSSI2を受信時刻と関連付けして算出する。
算出部41は、受信信号強度算出部21が算出した第1受信信号強度RSSI1およびその受信時刻、ならびに受信信号強度算出部40が算出した第2受信信号強度RSSI2およびその受信時刻に基づいて、第1受信信号強度RSSI1の時間変化(軌跡)および第2受信信号強度RSSI2の時間変化(軌跡)を算出する。
通信正否判定部42は、算出部41により演算された第1受信信号強度RSSI1の時間変化および第2受信信号強度RSSI2の時間変化に基づいて、車両1と電子キー2との間の通信が正規通信か否かを判定する。
図2および図3を用いて車両1(照合ECU4)と電子キー2との間で行われる通信について詳しく説明する。
図2に示されるように、車両駐車時、LF送信部10から車外へ向けてLF帯の電波(LF電波)によるウェイク信号S1が断続的に送信される。電子キー2がウェイク信号S1を受信することにより、車外における車両1と電子キー2との間の通信が確立される。車外通信が確立されると、電子キー2からUHF帯の電波(UHF電波)によるアック信号S2が返信される。
図2に示されるように、車両駐車時、LF送信部10から車外へ向けてLF帯の電波(LF電波)によるウェイク信号S1が断続的に送信される。電子キー2がウェイク信号S1を受信することにより、車外における車両1と電子キー2との間の通信が確立される。車外通信が確立されると、電子キー2からUHF帯の電波(UHF電波)によるアック信号S2が返信される。
照合ECU4は、ウェイク信号S1の送信後にアック信号S2を受信すると、UHF電波による車両ID信号S3を送信する。車両ID信号S3は、車両1の固有IDである「車両ID」を含んだ信号である。電子キー2は、車両ID信号S3を受信すると、車両ID照合を行う。電子キー2は、車両ID照合が成立することを確認すると、UHF電波によるアック信号S4を再度返信する。
照合ECU4は、車両ID信号S3を送信した後にアック信号S4を受信すると、UHF電波による1回目のチャレンジ信号CH1(CH)を送信する。チャレンジ信号CH1には、「チャレンジコード」と「キー番号」とが含まれる。
電子キー2は、1回目のチャレンジ信号CH1を受信すると、まずはキー番号の照合を行う。つぎに、電子キー2は、キー番号照合が成立することを確認すると、「チャレンジコード」を自身の暗号鍵を使用して「レスポンスコード」を演算する。また、電子キー2は、1回目のチャレンジ信号CH1を受信した場合、1回目のチャレンジ信号CH1の第1受信信号強度RSSIkey1を、1回目のチャレンジ信号CHの受信時刻に関連付けして算出した上で、当該第1受信信号強度RSSIkey1を含まないUHF電波による1回目のレスポンス信号RE1(RE)を送信する。なお、レスポンス信号RE1には、「レスポンスコード」が含まれる。照合ECU4は、1回目のレスポンス信号RE1を受信すると、1回目のレスポンス信号RE1を受信した際の第2受信信号強度RSSIcar1を1回目のレスポンス信号RE1の受信時刻に関連付けして算出した上で、UHF電波による2回目のチャレンジ信号CH2を送信する。
電子キー2は、2回目のチャレンジ信号CH2を受信した場合、2回目のチャレンジ信号CH2の第1受信信号強度RSSIkey2を2回目のチャレンジ信号CH2の受信時刻に関連付けして算出した上で、当該第1受信信号強度RSSIkey2を含まないUHF電波による2回目のレスポンス信号RE2を送信する。照合ECU4は、2回目のレスポンス信号RE2を受信すると、2回目のレスポンス信号RE2を受信した際の第2受信信号強度RSSIcar2を2回目のレスポンス信号RE2の受信時刻に関連付けして算出した上で、UHF電波による3回目以降のチャレンジ信号(以下、図示略)を送信する。
電子キー2は、n回目のチャレンジ信号CHnを受信した場合、n回目のチャレンジ信号CHnの第1受信信号強度RSSIkeynをn回目のチャレンジ信号CHnの受信時刻に関連付けして算出した上で、当該第1受信信号強度RSSIkeynを含まないUHF電波によるn回目のレスポンス信号REnを送信する。照合ECU4は、n回目のレスポンス信号REnを受信すると、n回目のレスポンス信号REnを受信した際の第2受信信号強度RSSIcarnをn回目のレスポンス信号REnの受信時刻に関連付けして算出する。
そして、チャレンジ信号CHおよびレスポンス信号REの双方向通信をn回繰り返してn回目のレスポンス信号REnを送信した後、電子キー2(受信信号強度通知部22)は、RSSIkey1〜RSSIkeynの情報を全て有する第1受信信号強度情報RSSIkeym(mは1〜n)を含んだUHF電波を送信する。
照合ECU4(算出部41)は、第1受信信号強度情報RSSIkeymとその受信時刻、および第2受信信号強度RSSIcar1〜RSSIcarnとその受信時刻に基づいて、第1受信信号強度RSSI1の時間変化および第2受信信号強度RSSI2の時間変化を算出する。そして、照合ECU4(通信正否判定部42)は、算出部41により算出された第1受信信号強度RSSI1の時間変化および第2受信信号強度RSSI2の時間変化に基づいて、車両1と電子キー2との間の通信が正規通信か否かを判定する。
また、照合ECU4は、チャレンジ信号CHを電子キー2に送信する際、自身も自らの暗号鍵に「チャレンジコード」を使用することにより、「レスポンスコード」を演算する。照合ECU4は、電子キー2からレスポンス信号REを受信すると、「レスポンスコード」の正否を確認するレスポンス照合と、電子キー2の「IDコード」の正否を確認するIDコード照合を行う。照合ECU4は、レスポンス照合およびIDコード照合がともに成立したことを確認すると、原則的に車外ID照合を成立したものとして処理し、ドアロック装置6によるドアロック施解錠を許可または実行する。以上により、車外ID照合が完了する。
つぎに、照合ECU4は、運転者が車両に乗車したことが検出された場合、LF送信部10を通じて車内へ向けたLF電波によるウェイク信号S1の送信を開始する。これにより、車内における車両1と電子キー2との間の通信が実行される。そして、照合ECU4は、車外ID照合と同様の手順により車内ID照合の成立が確認された場合、エンジンECU7に対して、エンジンスイッチ9の操作による車両電源の遷移およびエンジン8の始動を許可する。
ところで、図4に示すように、通常は車両周辺にLF電波が届くLF電波エリアが設定されるが、中継器により、LF電波が本来のLF電波エリアよりもさらに遠くまで届くように不正に延長されたLF電波エリアが設定されるおそれがある。このため、たとえばユーザが電子キー2を車両1から遠く離れた自宅に置いていたとしても、LF電波エリアが不正に延長されることによって、車両1からのLF電波が電子キー2に届いてしまうおそれがある。これにより、車両1と電子キー2との間の無線通信を通じたID照合が不正に開始されるおそれがある。
この点、図1に示すように、照合ECU4の通信正否判定部42は、算出部41で算出された第1受信信号強度RSSI1の時間変化および第2受信信号強度RSSI2の時間変化に基づいて、LF電波の不正な延長があるか否かを判定する。
図5(a)に示すように、ユーザが電子キー2を所持した状態でLF電波エリアに入った場合、通常であれば時間の経過に対して実線で示される第1受信信号強度RSSI1の時間変化も、破線で示される第2受信信号強度RSSI2の時間変化も同様に変化するはずである。なお、第1受信信号強度RSSI1も第2受信信号強度RSSI2も共に同一周波数のUHF電波であるために、車両1と電子キー2との位置関係および伝播環境が変化したとしても、第1受信信号強度RSSI1および第2受信信号強度RSSI2の受信信号強度は同様の挙動を示す。一例としては、車両1と電子キー2との間の距離が遠くなったり近くなったりすることにより、第1受信信号強度RSSI1および第2受信信号強度RSSI2は大きくなったり小さくなったりする。
これに対して、図5(b)に示すように、ユーザが電子キー2を収納場所などに置くことにより、電子キー2が静止している場合、第1受信信号強度RSSI1の時間変化および第2受信信号強度RSSI2の時間変化は時間の経過によらずに一定である。電子キー2が静止しているとき、車両1と電子キー2との間の位置関係および伝播環境は変化しないため、第1受信信号強度RSSI1および第2受信信号強度RSSI2は変化しない。
このため、図2に示すように、車両1の照合ECU4は、チャレンジ信号CHおよびレスポンス信号REの双方向通信を複数回繰り返した後、第1受信信号強度RSSI1の時間変化および第2受信信号強度RSSI2の時間変化が変化しているか否かを判定する(ステップS50)。
照合ECU4は、第1受信信号強度RSSI1および第2受信信号強度RSSI2が変化している場合(ステップS50のYES)、車両1と電子キー2との間の通信が正規通信である旨判定する(ステップS60)。そして、照合ECU4は、車両1と電子キー2との間の通信が正規通信であるとき、ドアの解錠を許可または実行する(ステップS70)。たとえば、照合ECU4は、過去の一定時間の間(たとえば電子キー2が最初にチャレンジ信号CHを受け取ってから車両1がレスポンス信号REを受信するまでの間)に、第1受信信号強度RSSI1および第2受信信号強度RSSI2が変化したか否かを判定する。なお、照合ECU4は、第1受信信号強度RSSI1および第2受信信号強度RSSI2が急激に大きくなるなど、電子キー2がLF電波エリアに入ったと考えられるときから、一度でも第1受信信号強度RSSI1および第2受信信号強度RSSI2が変化しているかを判定する。第1受信信号強度RSSI1および第2受信信号強度RSSI2が変化した後に、第1受信信号強度RSSI1および第2受信信号強度RSSI2が変化しなくなった場合には、ユーザが電子キー2を所持した状態で静止したと考えられるからである。たとえば、ユーザが電子キー2を所持した状態でLF電波エリアに入ってから一定時間立ち止まるなどして、電子キー2が静止している間は第1受信信号強度RSSI1および第2受信信号強度RSSI2の変化は測定できない。しかし、ユーザが電子キー2を所持した状態でLF電波エリアに入ってから立ち止まるまでの間は、第1受信信号強度RSSI1および第2受信信号強度RSSI2の変化が測定される。
これに対し、照合ECU4は、第1受信信号強度RSSI1および第2受信信号強度RSSI2が変化していない場合(ステップS50のNO)、LF電波が不正に延長された不正行為を検出する(ステップS80)。すなわち、電子キー2がLF電波エリアに入ってから、ドア解錠操作が行われるまでに全く第1受信信号強度RSSI1および第2受信信号強度RSSI2が変化しない場合、車両1から送信されるLF電波が中継器を介して延長されているために、静止した状態にある電子キー2にLF電波が届いていると考えられる。
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)車両1の照合ECU4と電子キー2との間のUHF電波の双方向通信によって、車両1と電子キー2との間で行われるLF通信が正規通信であるか否かを判定することができる。すなわち、ユーザが電子キー2を持ち歩いている場合であれば、ユーザの動きに伴って車両1と電子キー2との間の位置関係(距離)が変わる分、第1受信信号強度RSSI1の時間変化および第2受信信号強度RSSI2の時間変化は変化するはずである。たとえばドアの解錠操作を行おうとしているユーザであれば、時間の経過とともに車両1に近付くことが想定される。このため、第1受信信号強度RSSI1の時間変化および第2受信信号強度RSSI2の時間変化が、LF電波エリア内で全く変化しないとすれば、当該LF電波エリアが不正に延長されたと考えられる。このように、第1受信信号強度RSSI1の時間変化および第2受信信号強度RSSI2の時間変化に基づき、LF通信が中継器を使用した不正通信か否かを見分けることが可能となる。そして、不正通信である場合、ドアの解錠およびエンジンの始動が許可されないため、車両1の不正使用および盗難に対するセキュリティ性を確保することができる。
(1)車両1の照合ECU4と電子キー2との間のUHF電波の双方向通信によって、車両1と電子キー2との間で行われるLF通信が正規通信であるか否かを判定することができる。すなわち、ユーザが電子キー2を持ち歩いている場合であれば、ユーザの動きに伴って車両1と電子キー2との間の位置関係(距離)が変わる分、第1受信信号強度RSSI1の時間変化および第2受信信号強度RSSI2の時間変化は変化するはずである。たとえばドアの解錠操作を行おうとしているユーザであれば、時間の経過とともに車両1に近付くことが想定される。このため、第1受信信号強度RSSI1の時間変化および第2受信信号強度RSSI2の時間変化が、LF電波エリア内で全く変化しないとすれば、当該LF電波エリアが不正に延長されたと考えられる。このように、第1受信信号強度RSSI1の時間変化および第2受信信号強度RSSI2の時間変化に基づき、LF通信が中継器を使用した不正通信か否かを見分けることが可能となる。そして、不正通信である場合、ドアの解錠およびエンジンの始動が許可されないため、車両1の不正使用および盗難に対するセキュリティ性を確保することができる。
(2)ユーザはLF電波エリアに入ってから、呼び止められることや電話などの各種の状況により一定時間立ち止まることも考えられる。このような場合には、電子キー2が静止してしまうことも考えられるので、第1受信信号強度RSSI1の時間変化および第2受信信号強度RSSI2の時間変化が長期にわたってLF電波エリア内で変化しないことも考えられる。この点、本実施形態では、LF電波エリア内に入ってから一度でも第1受信信号強度RSSI1の時間変化および第2受信信号強度RSSI2の時間変化が変化した後に変化しなくなった場合には、車両1と電子キー2との間の通信が正規通信である旨判定する。これにより、正規のユーザが電子キー2を操作したときに、誤って不正使用である旨判定されることが抑制される。このため、車両1のセキュリティ性を確保しつつも、正規のユーザにより電子キー2が操作されたことをより確実に判定することができる。
(3)UHF電波の双方向通信を用いて、LF電波の不正な延長を検出することができるので、その不正な延長を検出するためのセンサなどを別途設ける必要がない。
なお、本実施形態は次のように変更してもよい。以下の他の実施形態は、技術的に矛盾しない範囲において、互いに組み合わせることができる。
なお、本実施形態は次のように変更してもよい。以下の他の実施形態は、技術的に矛盾しない範囲において、互いに組み合わせることができる。
・本実施形態では、図2のステップS50において、LF電波エリアに入ってから、第1受信信号強度RSSI1の時間変化および第2受信信号強度RSSI2の時間変化が一度でも変化した場合には車両1と電子キー2との間の通信が正規通信である旨判定したが、これに限らない。たとえば、一時的に第1受信信号強度RSSI1の時間変化および第2受信信号強度RSSI2の時間変化が変化しないときに、不正行為である旨判定してもよい。このようにすれば、少しでも不正通信と考えられる場合には全て不正通信であると判定することができる。
・本実施形態において、双方向通信に使用する周波数は、UHFに限定されず、LFであってもよいし、HF(High Frequency)等の他の周波数を使用してもよい。また、始動信号に使用される周波数は、LFに限定されず、UHFであってもよいし、HF等の他の周波数であってもよい。
・本実施形態では、電子キーシステム3は、キー操作フリーシステムであったが、たとえばイモビライザーシステムであってもよい。
・通信不正成立防止システムは、車外ID照合の通信に適用されることに限らず、車内ID照合の通信に用いられてもよい。
・通信不正成立防止システムは、車外ID照合の通信に適用されることに限らず、車内ID照合の通信に用いられてもよい。
・通信正否の判定は、車両1側で行われることに限らず、電子キー2側で実施してもよい。この場合、電子キー2側で行われた通信正否の判定結果は車両1へと送信され、車両1はその判定結果に基づき、ドアの施解錠を許可する。また、通信正否の判定は、車両1側でも電子キー2側でもともに行ってもよい。
・電子キー2は、たとえば高機能携帯電話などの他の端末に変更可能である。すなわち、電子キー2の代わりに無線通信が可能な端末が設けられればよい。
・通信相手は、車両1に限定されず、他の機器および装置に変更可能である。
・通信相手は、車両1に限定されず、他の機器および装置に変更可能である。
1…車両、2…電子キー(第1の通信部)、3…電子キーシステム、4…照合ECU(第2の通信部)、5…ボディECU、6…ドアロック装置、7…エンジンECU、8…エンジン、9…エンジンスイッチ、10…LF送信部、11…UHF送受信部、20…キー制御部、21…受信信号強度算出部、22…受信信号強度通知部、30…LF受信部、31…UHF送受信部、40…受信信号強度算出部、41…算出部、42…通信正否判定部、L…通信線、S1…ウェイク信号、S2…アック信号、S3…車両ID信号、S4…アック信号、CH,CH1〜CHn…チャレンジ信号、RE,RE1〜REn…レスポンス信号、RSSI1…第1受信信号強度、RSSI2…第2受信信号強度、RSSIkey1〜RSSIkeyn…第1受信信号強度、RSSIcar1〜RSSIcarn…第2受信信号強度、RSSIkeym…第1受信信号強度情報。
Claims (2)
- 互いに無線通信を行う第1の通信部および第2の通信部の少なくとも一方が移動可能であり、前記第1の通信部から前記第2の通信部へ、または前記第2の通信部から前記第1の通信部へ送信される始動信号を契機として前記第1の通信部と前記第2の通信部との間で複数回の信号の授受が行われる双方向通信の正否を判定する無線通信正否判定システムであって、
前記第1の通信部は、
前記第2の通信部からの電波の受信信号強度である第1の受信信号強度を算出する第1の受信信号強度算出部を備え、前記第1の受信信号強度算出部により算出される前記第1の受信信号強度の情報を前記第2の通信部に送信し、
前記第2の通信部は、
前記第1の通信部から送信される電波の受信信号強度である第2の受信信号強度を算出する第2の受信信号強度算出部と、
前記第1の受信信号強度の情報を受信することにより得られる前記第1の受信信号強度に基づいて前記第1の受信信号強度の時間変化、および前記第2の受信信号強度算出部により算出される前記第2の受信信号強度の時間変化を算出する算出部と、
前記第1の受信信号強度の時間変化および前記第2の受信信号強度の時間変化に基づき、前記双方向通信中において前記第1の受信信号強度と前記第2の受信信号強度とが変化していない旨判定されるとき、前記始動信号が不正通信によるものである旨判定する判定部と、を備える無線通信正否判定システム。 - 請求項1に記載の無線通信正否判定システムにおいて、
前記判定部は、前記第1の通信部と前記第2の通信部との間で行われる双方向通信中において、
前記第1の受信信号強度の時間変化および前記第2の受信信号強度の時間変化が一度でも変化したとき、前記始動信号が正規通信である旨判定し、
前記第1の受信信号強度の時間変化および前記第2の受信信号強度の時間変化が全く変化しないとき、前記始動信号が不正通信によるものである旨判定する無線通信正否判定システム。
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