JP2018059199A - アモルファスナノ粒子の製造方法、アモルファスナノ粒子及びアモルファスナノ粒子分散液 - Google Patents

アモルファスナノ粒子の製造方法、アモルファスナノ粒子及びアモルファスナノ粒子分散液 Download PDF

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Abstract

【課題】 比較的低温で容易に分散性に優れたアモルファスナノ粒子を得ることができるアモルファスナノ粒子の製造方法を提供すること。【解決手段】 合金からなる固体状金属と還元性分散媒とを含有する分散液を得る工程と、前記分散液に超音波を照射して、前記固体状金属からアモルファス組織を含むアモルファスナノ粒子を得る工程と、を含むことを特徴とするアモルファスナノ粒子の製造方法。【選択図】 なし

Description

本発明は、アモルファスナノ粒子の製造方法、アモルファスナノ粒子及びアモルファスナノ粒子分散液に関する。
従来、アモルファス組織を含むアモルファス粒子の製造方法としては、液体金属を急速に冷却する液体急冷法や、ガスアトマイズ法等のアトマイズ法などが知られており、例えば、特開2010−209409号公報(特許文献1)には、ガスアトマイズ法にて1次粉砕した溶融金属を、回転するディスクの表面に形成した冷媒の液膜によって2次粉砕しつつ急冷する、非晶質軟磁性合金粉末の製造方法が記載されている。しかしながら、これらの方法では、得られるアモルファス粒子の粒子径は数μm以上と比較的大きく、アモルファス組織を含み、かつ、ナノメートルオーダーであるアモルファスナノ粒子を得ることは困難であるという問題を有していた。
また、金属のナノ粒子の製造方法としては、金属塩の還元法やゾルゲル法等の化学的手法の他、アークプラズマ放電を用いた方法などが知られている。しかしながら、アモルファス粒子の形成には前記化学的手法を適用することは困難であり、また、アークプラズマ放電を用いた方法では、二次粒子を形成しやすいという問題や、通常10,000℃以上という高いアーク温度から冷却して粒子を得るために偏析が発生しやすいという問題を有しており、また、ナノ粒子を多量に得ることも困難であるという問題も有していた。
特開2010−209409号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、比較的低温で容易に分散性に優れたアモルファスナノ粒子を得ることができるアモルファスナノ粒子の製造方法、アモルファスナノ粒子及びアモルファスナノ粒子分散液を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、合金からなる固体状金属と還元性分散媒とを含有する分散液を比較的低温(例えば35℃以下)に維持しながら超音波を照射することにより、アモルファス組織を含むアモルファスナノ粒子を得られることを見い出した。また、このようなアモルファスナノ粒子は、優れた分散性(二次粒子の形成抑制及び分散媒への分散性)を有することを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のアモルファスナノ粒子の製造方法は、
合金からなる固体状金属と還元性分散媒とを含有する分散液を得る工程と、
前記分散液に超音波を照射して、前記固体状金属からアモルファス組織を含むアモルファスナノ粒子を得る工程と、
を含むことを特徴とする。
また、本発明のアモルファスナノ粒子の製造方法としては、
合金からなる固体状金属と還元性分散媒とを含有する分散液を得る工程と、
温度を35℃以下に維持しながら前記分散液に超音波を照射して、前記固体状金属からアモルファス組織を含むアモルファスナノ粒子を得る工程と、
を含むことが好ましく、前記温度を−90〜20℃の範囲に維持しながら前記分散液に前記超音波を照射することがより好ましい。
さらに、本発明のアモルファスナノ粒子の製造方法としては、前記合金が、Sn−Bi合金、Sn−Sb合金、Sn−Ag合金、Sn−Cu合金、Zn−Al合金、Bi−Cu合金、Au−Sn合金、Au−Ge合金及びAg−Cu合金からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
また、本発明のアモルファスナノ粒子の製造方法としては、前記還元性分散媒が炭化水素類及びアルコール類からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
さらに、本発明のアモルファスナノ粒子の製造方法としては、前記アモルファスナノ粒子の平均粒子径が1〜200nmであることが好ましく、前記固体状金属が平均一次粒子径1〜500μmの金属粉末であることが好ましい。
また、本発明のアモルファスナノ粒子の製造方法においては、前記分散液における前記固体状金属の含有量が前記還元性分散媒100質量部に対して0.1〜50質量部であることが好ましい。
さらに、本発明のアモルファスナノ粒子の製造方法としては、前記アモルファスナノ粒子が表面に酸化膜を実質的に有さないことが好ましい。
また、本発明のアモルファスナノ粒子は、二種以上の金属原子からなるアモルファス組織を含むアモルファスナノ粒子であり、かつ、表面に酸化膜を実質的に有さないことを特徴とする。本発明のアモルファスナノ粒子としては、アモルファス・ナノ結晶組織を含むことが好ましい。本発明のアモルファスナノ粒子分散液は、前記本発明のアモルファスナノ粒子を含有することを特徴とする。
本発明によれば、比較的低温で容易に分散性に優れたアモルファスナノ粒子を得ることができるアモルファスナノ粒子の製造方法、アモルファスナノ粒子及びアモルファスナノ粒子分散液を提供することが可能となる。
本発明に係るアモルファス・ランダム組織を概念的に示す模式図である。 本発明に係るアモルファス・ナノ結晶組織を概念的に示す模式図である。 実施例1〜2に用いたSn−Bi合金粉末の走査電子顕微鏡写真である。 実施例1〜2に用いたSn−Bi合金粉末の拡大走査電子顕微鏡写真である。 実施例1で得られたアモルファスナノ粒子の走査電子顕微鏡写真である。 実施例1で得られたアモルファスナノ粒子の拡大走査電子顕微鏡写真である。 実施例1で得られたアモルファスナノ粒子の透過電子顕微鏡写真である。 実施例1で得られたアモルファスナノ粒子の電子顕微鏡写真をフーリエ変換して得られた電子回折像である。 実施例2で得られたアモルファスナノ粒子の透過電子顕微鏡写真である。 実施例2で得られたアモルファスナノ粒子の拡大透過電子顕微鏡写真である。 実施例3で得られたアモルファスナノ粒子の透過電子顕微鏡写真である。 実施例3で得られたアモルファスナノ粒子の拡大透過電子顕微鏡写真である。 実施例3で得られたアモルファスナノ粒子を加熱後の電界放出型走査電子顕微鏡写真である。 実施例3で得られたアモルファスナノ粒子のメタノール分散液及びメタノールの熱重量変化測定及び示差走査熱量測定の結果を示すグラフである。 実施例3で得られたアモルファスナノ粒子の製造直後の粒度分布曲線を示すグラフである。 実施例3で得られたアモルファスナノ粒子の製造から2ヶ月経過後の粒度分布曲線を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。本発明のアモルファスナノ粒子の製造方法は、合金からなる固体状金属と還元性分散媒とを含有する分散液を得る工程と、前記分散液に超音波を照射して、前記固体状金属からアモルファス組織を含むアモルファスナノ粒子を得る工程と、を含むことを特徴とする。
また、本発明のアモルファスナノ粒子は、二種以上の金属原子からなるアモルファス組織を含むアモルファスナノ粒子であり、かつ、表面に酸化膜を実質的に有していないことを特徴とする。
<アモルファスナノ粒子>
本発明のアモルファスナノ粒子は、本発明の製造方法により得られる。本発明のアモルファスナノ粒子としては、アモルファス組織を含むナノ粒子であり、アモルファス・ランダム組織を含む粒子であっても、アモルファス・ナノ結晶組織を含む粒子であってもよい。図1A及び図1Bに、本発明に係るアモルファス・ランダム組織及びアモルファス・ナノ結晶組織の概念的模式図をそれぞれ示す。なお、以下の説明及び図面中、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
本発明において、「アモルファス・ランダム組織」とは、金属原子がランダムに配置されているアモルファス(アモルファス金属)である金属ナノ組織のことをいう。本発明においては、金属材料として二種以上の金属からなる合金を用いるため、前記アモルファス・ランダム組織は二種以上の金属原子を含んでおり、例えば、前記金属材料として金属Aと金属Bとの合金(A−B合金)を用いた場合、前記アモルファス・ランダム組織においては、図1Aに示すように、金属Aの原子(第1の原子1)及び金属Bの原子(第2の原子2)が互いに混在してランダムに配置される。
本発明において、「アモルファス・ナノ結晶組織」とは、金属原子が規則的に配列している結晶(金属結晶)と金属原子がランダムに配置されているアモルファス(アモルファス金属)との集合体であり、図1Bに示すように、前記アモルファスの母相(アモルファス母相3)中に前記結晶(ナノ結晶粒4)が分散しており、前記結晶同士はランダムに配置されている金属ナノ組織のことをいう。本発明においては、金属材料として二種以上の金属からなる合金を用いるため、前記アモルファス・ナノ結晶組織は二種以上の金属原子を含んでおり、例えば、前記金属材料として金属Aと金属Bとの合金(A−B合金)を用いた場合、前記アモルファス・ナノ結晶組織において、ナノ結晶粒4としては、金属Aの原子からなる結晶(A)、金属Bの原子からなる結晶(B)、並びに、金属Aの原子及び金属Bの原子からなる結晶(AnBm、n及びmはそれぞれ独立に金属原子の数を示す)のうちの少なくとも一種が存在する(図1Bでは、このうち、金属A(第1の原子1)からなる結晶を円で囲んで示す)。また、この場合、アモルファス母相3としては、金属Aの原子(第1の原子1)がランダムに配置されたアモルファス、金属Bの原子(第2の原子2)がランダムに配置されたアモルファス、並びに、金属Aの原子(第1の原子1)及び金属Bの原子(第2の原子2)が互いに混在してランダムに配置されたアモルファスのうちの少なくとも一種が存在する(図1Bでは、このうち、金属Aの原子及び金属Bの原子からなるアモルファスを円で囲んで示す)。
したがって、本発明のアモルファスナノ粒子は、二種以上の金属原子、つまり前記金属材料として用いた合金を構成する金属原子からなるアモルファス組織を含むナノ粒子である。
なお、本発明において、金属ナノ粒子がアモルファス組織を含むことは、電子回折像(フーリエ変換像)によってハローパターンが観察されることで確認することができる。また、金属ナノ組織がアモルファス・ランダム組織又はアモルファス・ナノ結晶組織であることは、前記電子回折像によるハローパターン及び回折スポットの確認、並びに、透過電子顕微鏡(TEM)による原子の配列状態の観察によって確認することができる。
本発明のアモルファスナノ粒子の形状としては、特に制限されず、球状、平板状、板状等の形状が挙げられるが、球状であることが好ましい。また、本発明のアモルファスナノ粒子としては、平均粒子径(一次粒子の平均粒子径)が200nm以下であることが好ましく、1.0〜200nmであることがより好ましく、二次粒子の形成がより抑制され、また、分散媒への分散性により優れる傾向にあるという観点からは、1.0〜80nmであることがさらに好ましい。本発明の製造方法によれば、このようなナノメートルオーダーのアモルファスナノ粒子を容易に得ることができる。また、そのため、前記アモルファスナノ粒子を多量に得ることも可能である。
なお、本発明において、各粒子(一次粒子)の粒子径は、走査電子顕微鏡(SEM)による観察によって測定することができ、前記粒子径とは、粒子を平面へ投影した場合の円の直径であり、投影面が円形ではない場合(粒子が平板状、板状等、棒状、多角状等の形状である場合)には、その外接円の直径のことをいう。また、粒子の平均粒子径とは、任意の100個の粒子を抽出し、これらの各粒子について測定した粒子径の平均のことをいう。
また、本発明の製造方法によれば、本発明のアモルファスナノ粒子として、表面に酸化膜を実質的に有さない粒子を得ることができる。本発明において、粒子が表面に酸化膜を実質的に有さないとは、一次粒子表面を透過電子顕微鏡(TEM)によって60万倍で観察し、任意の20点の観察視野内(30×30nmの領域)において一次粒子表面に酸化膜が確認されないことをいう。
さらに、本発明のアモルファスナノ粒子は、上記のように粒子表面に酸化膜を実質的に有していないため、粒子間の焼結(又は接合ともいう)が十分に低い温度で起きる。そのため、例えば、本発明のアモルファスナノ粒子をハンダ用途で用いる場合、接合力の強化が期待できる。前記温度としては、具体的には、前記アモルファス組織を構成する全ての金属原子(二種以上の金属原子)からなる合金の融点未満である。本発明において、粒子間の焼結(接合)が起きる温度は、示差走査熱量測定(DSC)を用いて焼結ピークが観察できることで確認することができる。より具体的には、前記粒子がメタノール中に分散された分散液を10℃/minの昇温速度で10℃から75℃まで加熱して得られるサーモグラムにおいて前記アモルファス組織を構成する全ての金属原子(二種以上の金属原子)からなる合金の融点よりも低い温度(例えば25℃付近)で観測される発熱ピーク(温度)を本発明に係る粒子間で焼結(接合)が起きる温度として求めることができる。さらに、本発明において、合金の融点は、合金からなる固体状金属の、平均一次粒子径が1.0〜500μmの粉末について熱重量変化測定(TG)を用いて測定することができ、前記合金からなる固体状金属を1atmにおいて10℃/minの昇温速度で0℃から550℃まで加熱して得られるサーモグラムにおいて観測される吸熱ピーク(温度)を本発明に係る合金の融点として求めることができる。
<アモルファスナノ粒子の製造方法、アモルファスナノ粒子分散液>
本発明のアモルファスナノ粒子の製造方法においては、先ず、合金からなる固体状金属と還元性分散媒とを含有する分散液(反応分散液)を得る。
本発明に係る合金からなる固体状金属において、前記合金とは、二種以上の金属(より好ましくは金属結晶)が混合された状態にある金属である。本発明において、前記合金としては、例えば、Sn−Bi合金、Sn−Sb合金、Sn−Ag合金、Sn−Cu合金、Sn−Pb合金、Zn−Al合金、Bi−Cu合金、Au−Sn合金、Au−Ge合金及びAg−Cu合金等の二元系合金;前記二元系合金中にAg、Cu、Ni、Ge、Bi、In及びPからなる群から選択される少なくとも一種の金属がさらに混在する三元系合金や四元系合金が挙げられる。本発明に係る固体状金属としては、これらのうちの一種の合金からなる固体状金属が一種のみであっても、これに他の合金からなる固体状金属を一種以上組み合わせた混合物であってもよい。これらの合金の中でも、環境保全の観点からはPbを含有しないPbフリーであることが好ましく、得られるアモルファスナノ粒子同士の凝集が特に抑制され、分散媒への分散性が長期間維持される傾向にあるという観点から、Sn−Bi合金、Sn−Sb合金、Sn−Ag合金、Sn−Cu合金、Zn−Al合金、Bi−Cu合金、Au−Sn合金、Au−Ge合金及びAg−Cu合金からなる群から選択される少なくとも一種であることがさらに好ましく、Sn−Bi合金、Sn−Sb合金、Sn−Cu合金、Zn−Al合金、Au−Sn合金及びAu−Ge合金からなる群から選択されるいずれか一種であることが特に好ましい。
また、前記合金に含まれる各金属の含有量比としては、例えば、Sn−Bi合金、Sn−Sb合金、Sn−Ag合金等のSn系合金の場合には、Snの含有量と他の金属の含有量との比(Snの含有量:他の金属の含有量)で、99:1〜30:70の範囲が挙げられる。
本発明に係る固体状金属の形状としては、平板状、板状等、棒状、多角状、球状等の形状が挙げられ、前記固体状金属としては、金属箔、金属棒、金属線、及び金属粉末(金属粒子)のうちの少なくとも一種であることが好ましく、最長径が1.0μm以上の大きさであることが好ましい。これらの中でも、前記固体状金属としては金属粉末であることが好ましく、前記金属粉末としては、マイクロ粒子であることが好ましく、該粉末を構成する一次粒子の平均粒子径(平均一次粒子径)が1.0μm以上であることが好ましく、1.0〜500μmであることがより好ましく、1.0〜300μmであることがさらに好ましく、10〜100μmであることが特に好ましい。前記平均粒子径が前記下限未満である場合には、アモルファスナノ粒子を得ることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超える場合には、得られるアモルファスナノ粒子の粒子径のばらつきが大きくなったりアモルファスナノ粒子の生成効率が低下する傾向にある。このような金属粉末としては、例えば、ガスアトマイズ、遠心アトマイズ、水アトマイズ、油滴アトマイズ等のアトマイズ法によって得られた前記合金からなる金属粉末を用いることが好ましい。
本発明の製造方法においては、媒質として還元性分散媒を用いることが必要である。本発明に係る還元性分散媒としては、炭化水素類及びアルコール類からなる群から選択される少なくとも一種が挙げられ、より具体的には、芳香族炭化水素(キシレン、トルエン、スチレン、ナフタレン等)、パラフィン系炭化水素(メタン、エタン、プロパン、ブタン等)などの炭化水素類;一価アルコール(エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール等)、二価アルコール(エチレングリコール等)などのアルコール類が挙げられる。前記還元性分散媒としては、これらのうちの一種を単独であっても二種以上の混合物であってもよいが、得られるアモルファスナノ粒子同士の凝集が特に抑制され、分散媒への分散性が長期間維持される傾向にあるという観点から、エタノール、メタノール、芳香族炭化水素及びパラフィン系炭化水素からなる群から選択されるいずれか一種であることが好ましい。
また、本発明に係る還元性分散媒としては、得られるアモルファスナノ粒子の酸化をより防ぐ観点から、予め脱気処理を施して溶存酸素を除去しておくことが好ましい。前記脱気処理としては、例えば、超音波を照射する方法、不活性ガスや還元性ガスを通気する方法等が挙げられる。
前記固体状金属と前記還元性分散媒とを含有する分散液(反応分散液)を得る方法としては、特に限定されず、前記還元性分散媒中に前記固体状金属を添加することで得ることができる。前記分散液において、前記固体状金属の含有量としては、前記還元性分散媒100質量部に対して0.1〜50質量部であることが好ましく、1〜20質量部であることがより好ましい。本発明の製造方法によれば、前記固体状金属の含有量が比較的多くても(例えば前記還元性分散媒100質量部に対して10質量部以上)、前記アモルファスナノ粒子を効率よく得ることができる。
本発明に係る分散液(反応分散液)としては、還元剤をさらに含んでいてもよい。このような還元剤としては、例えば、水酸化リチウムアンモニウム、水酸化リチウムアルミニウム、チオ硫酸ナトリウム、過酸化水素水、硫化水素、ボラン、ジボラン、ヒドラジン、ヨウ化カリウム、クエン酸、シュウ酸、アスコルビン酸からなる群から選択される少なくとも一種が挙げられる。このような還元剤を添加する場合、その前記分散液中における含有量としては、用いる合金や還元性分散媒の種類によって適宜調整されるものであるが、例えば、前記固体状金属100質量部に対して5〜20質量部であることが好ましい。
また、本発明に係る分散液(反応分散液)としては、界面活性剤及び/又は表面修飾剤を含有していてもよいが、本発明の製造方法では、界面活性剤及び表面修飾剤を実質的に含有しなくとも、分散媒への分散性に優れたアモルファスナノ粒子を得ることができる。本発明において、実質的に含有しないとは、前記分散液中の界面活性剤の含有量及び表面修飾剤の含有量の合計が前記固体状金属100質量部に対して0.1質量部未満であることをいう。
このような界面活性剤及び表面修飾剤とは、得られるアモルファスナノ粒子や前記固体状金属の表面を改質して還元性分散媒に対する分散性をより維持させる機能、及び/又は、これらの粒子同士の凝集をより抑制する機能を有するものを指し、従来から界面活性剤又は表面修飾剤として公知のものが挙げられる。また、前記表面修飾剤には、これらの粒子の表面に化学的に結合した有機化合物も含まれる。
より具体的に、前記界面活性剤としては、例えば、塩化ベンザルコニウム、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルトリメチルアンモニウム塩等の陽イオン界面活性剤;ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸エステルナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム等の陰イオン界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルグリコキシド、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド等の非イオン系界面活性剤が挙げられ、前記表面修飾剤としては、例えば、ポリエチレンイミン;ポリビニルピロリドン(PVP);ポリビニルアルコール(PVA);アミノ基やカルボキシ基を有する有機化合物;デンプン、スクロース等の多糖類が挙げられる。
本発明のアモルファスナノ粒子の製造方法においては、次いで、前記分散液(反応分散液)に超音波を照射して、前記固体状金属から前記アモルファスナノ粒子を得る。
前記超音波の照射としては、前記反応分散液の温度を、前記還元性分散媒の沸点以下の温度又は前記固体状金属の融点よりも低い温度に維持することが好ましく、35℃以下に維持することがより好ましい。本発明の製造方法においては、前記還元性分散媒を媒質として超音波を前記固体状金属に照射することによって、超音波の照射で生じるキャビテーション気泡による前記固体状金属の破砕や、前記キャビテーション気泡内部に生じる高温・高圧の反応場(ホットスポット)における物理化学的作用により、このように比較的低温であっても前記アモルファスナノ粒子を容易に前記還元性分散媒中に得ることができるものと本発明者らは推察する。さらに、本発明の製造方法においては、鉄、銅、ニッケル等の金属と比較して硬度が低い合金からなる固体状金属にこのように低温で超音波を照射することにより該合金が脆化するため、粒子径が小さく、かつ、二次粒子の形成が抑制されたアモルファスナノ粒子が得られるものと本発明者らは推察する。
本発明のアモルファスナノ粒子の製造方法において、前記超音波の照射の際の前記反応分散液の温度(以下、場合により「照射温度」という)としては、−90〜20℃であることが好ましく、−80〜10℃であることがより好ましく、−80〜0℃であることがさらに好ましい。前記照射温度が前記下限未満である場合には、得られるアモルファスナノ粒子の生成効率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超える場合には、得られるアモルファスナノ粒子同士が凝集しやすくなって二次粒子を形成したり、アモルファスナノ粒子の分散媒に対する分散性が低下する傾向にある。
また、前記超音波の照射としては、周波数が1k〜1MHzであることが好ましく、15〜200kHzであることがより好ましく、15〜100kHzであることがさらに好ましい。前記周波数が前記下限未満である場合には、ナノメートルオーダーのアモルファスナノ粒子を得ることが困難となったり、アモルファスナノ粒子の生成効率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えても、ナノメートルオーダーのアモルファスナノ粒子を得ることが困難となったり、アモルファスナノ粒子の生成効率が低下する傾向にある。
また、前記超音波の照射としては、照射時間が1〜100時間であることが好ましく、10〜80時間であることがより好ましく、24〜72時間であることがさらに好ましい。前記照射時間が前記下限未満である場合には、ナノメートルオーダーのアモルファスナノ粒子を得ることが困難となったり、アモルファスナノ粒子の生成効率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超える場合には、得られるアモルファスナノ粒子が凝集して粗大化する傾向にある。
また、前記超音波の照射としては、粒子径が小さいアモルファスナノ粒子をより効率よく得ることができる傾向にあるという観点から、照射強度が0.01〜100W/cmであることが好ましく、0.1〜50W/cmであることがより好ましく、1.0〜10W/cmであることがさらに好ましい。
このような本発明の製造方法により、前記還元性分散媒中に前記アモルファスナノ粒子を得ることができる。得られたアモルファスナノ粒子は、分散媒中に分散させて前記アモルファスナノ粒子と前記分散媒とを含有する本発明のアモルファスナノ粒子分散液とすることができる。
本発明のアモルファスナノ粒子分散液は前記アモルファスナノ粒子を含有することを特徴とするものであり、分散媒をさらに含有することが好ましい。前記アモルファスナノ粒子分散液の分散媒としては、前記還元性分散媒の他、例えば、プロピレングリコール、テルピネオール等のアルコール類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤;アクリル樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、フタル酸樹脂、アミノ樹脂、ウレア樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ブチラ−ル樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂、ポリアミド樹脂、メラミン樹脂等の樹脂が挙げられ、これらのうちの一種を単独であっても二種以上の混合物であってもよい。
また、本発明のアモルファスナノ粒子分散液における前記アモルファスナノ粒子の含有量としては、特に限定されず、使用する目的に応じて適宜調整することができる。前記アモルファスナノ粒子分散液としては、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、酸化膜除去剤、増粘剤、チキソ剤、消泡剤、酸化防止剤等の添加剤をさらに含有していてもよい。
このようなアモルファスナノ粒子分散液は、本発明の製造方法で得られた超音波照射後の分散液をそのままアモルファスナノ粒子分散液とすることができ、また、前記超音波照射後の分散液の前記還元性分散媒を適当な分散媒に置換することによっても得ることができる。また、本発明のアモルファスナノ粒子分散液には、ハンダクリーム等の形態も含まれる。よって、本発明のアモルファスナノ粒子及びアモルファスナノ粒子分散液は、ハンダづけされた部材やエレクトロニクス部材、及びこれらを含む電気機器等の用途に用いることができる。
本発明の製造方法によって得られたアモルファスナノ粒子は分散媒への分散性に優れるため、上記の界面活性剤及び表面修飾剤を実質的に含有しなくとも、粒子同士の凝集による二次粒子の形成が抑制される。例えば、前記アモルファスナノ粒子を前記還元性分散媒中に分散させた場合、25℃で24時間静置した後も二次粒子の形成は十分に抑制され、より具体的には、粒度分布測定を行って得られる粒度分布曲線のピーク位置が10〜300nmの範囲内、特に好ましくは20〜200nmの範囲内となる。また、前記粒度分布曲線のピークとは、本発明において、粒度分布曲線において観察される最大のピークを指し、そのピーク位置は測定3回の平均の位置を指し、その幅(ピーク幅)は測定3回の平均で200nm以下であることが好ましく、5〜150nmであることが特に好ましい。
本発明の製造方法によって得られたアモルファスナノ粒子において、このような二次粒子の形成抑制効果は長期間保存しても維持され、静置前、24時間静置後、6カ月間静置後の間において前記ピーク位置及び前記ピーク幅はほとんど変化せず、静置前のアモルファスナノ粒子の粒子径が維持される。さらに、本発明の製造方法によって得られたアモルファスナノ粒子においては、分散媒に対する分散性も優れており、前記アモルファスナノ粒子の分散液を長期間静置しても粒子の沈殿が観察されない傾向にある。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、各実施例において、金属粉末の粒子径測定、金属ナノ粒子の粒子径測定、金属ナノ粒子の金属ナノ組織観察、分散性評価、及び焼結特性評価は、それぞれ以下の方法により行った。
<粒子径測定>
各実施例で用いた金属粉末、及び得られた金属ナノ粒子について、電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM、日立ハイテク社製、型番:SU−70)を用いて金属粒子の電子顕微鏡観察を行ない、走査電子顕微鏡写真(SEM写真)を撮影した。得られたSEM写真において、無作為に100個の金属粒子(一次粒子)を抽出し、各粒子を平面へ投影した場合の円の直径、又は、投影面が円形ではない場合にはその外接円の直径を測定して粒子径とし、これらの粒子径の平均を平均粒子径として求めた。
<金属ナノ組織観察>
各実施例で得られた金属ナノ粒子分散液を20℃で大気中に放置して分散媒を蒸発させた後、残った金属について走査電子顕微鏡(FE−SEM、日立社製、型番:SU8020)、及び電界放出型走査透過電子顕微鏡(TEM/STEM、日本電子社製、型番:JEM−ARM200F)を用いて電子顕微鏡観察を行ない、走査電子顕微鏡写真(SEM写真)及び透過電子顕微鏡写真(TEM写真)をそれぞれ撮影した。また、得られたTEM写真において原子の配列状態を観察して金属ナノ組織を確認した。さらに、得られたTEM写真をフーリエ変換して電子回折像を得て、ハローパターン及び回折スポットの有無を確認した。
<分散性評価>
各実施例で得られた金属ナノ粒子分散液について、製造直後の分散液の外観及び25℃で24時間静置後に撹拌した後の分散液の外観をそれぞれ観察し、次の基準:
A:金属粒子が分散媒の全体に分散しており、沈殿が観察されない
B:金属粒子が分散媒の一部にのみ分散して上澄みが澄んでおり、沈殿が観察される
C:金属粒子が全て沈殿している
に基づいて、金属粒子の分散媒への分散性を評価した。また、各実施例で得られた金属ナノ粒子分散液について、製造直後及び製造から2ヶ月経過後に、粒子径分析装置(「ゼータサイザー(Zetasizer)」、マルバーン(Malvern)社製)を用いて、それぞれ3回ずつ、散乱強度測定による粒度分布曲線を得た。
<焼結特性評価>
各実施例で得られた金属ナノ粒子分散液を20℃で大気中に放置して分散媒を蒸発させた後、残った金属について電界放出型走査透過電子顕微鏡(TEM/STEM、日本電子社製、型番:JEM−2100)を用い、加速電圧:200kV、倍率:60万倍及び80万倍の条件で電子顕微鏡観察を行ない、透過電子顕微鏡写真(TEM写真)を撮影した。得られたTEM写真(倍率:60万倍)について、任意の20点の観察視野内(30×30nmの領域)における一次粒子表面の酸化膜の有無を確認した。
さらに、各実施例で得られた金属ナノ粒子分散液を100℃で大気中にて加熱した後、残った金属について電界放出型走査透過電子顕微鏡(TEM/STEM、日本電子社製、型番:JEM−2100)を用いて電子顕微鏡観察を行ない、電解放出型走査電子顕微鏡写真(FE−SEM写真)を撮影し、粒子成長(焼結)の有無を確認した。
また、各実施例で得られた金属ナノ粒子分散液について、熱重量変化・示差走査熱量測定装置(TG−DSC測定装置、NETZSCH製、型番:STA449)を用い、測定範囲:10〜75℃、昇温速度:10℃/minの条件で、熱重量変化測定(TG)及び示差走査熱量測定(DSC)を行ってサーモグラムを得た。得られたDSCサーモグラムにおいて確認された発熱ピーク(温度)を前記金属ナノ粒子間に焼結(接合)が起きた温度とした。
(実施例1)
遠心アトマイズ法によって得られたSn−Bi合金粉末(含有量比(Sn:Bi)=42:58、前記粒子径測定による平均一次粒子径:25μm、融点:140℃)60gを予め超音波を照射して脱気処理を施したエタノール(99%)1.8Lに添加し、分散液を得た。得られた分散液に対し、照射温度(分散液温度):−5℃、周波数:20kHz、照射強度:1.0W/cm(出力強度:1200W/cm)、照射時間:36時間の条件で、超音波を照射する処理を施して前記金属粉末を破砕し、エタノール中に金属ナノ粒子(Sn−58Biナノ粒子)が分散された分散液(金属ナノ粒子分散液)を得た。用いた前記Sn−Bi合金粉末について前記粒子径測定を実施して得られた走査電子顕微鏡写真は図2A〜図2Bに示す。
(実施例2)
エタノール(99%)を0.6Lとし、超音波の照射条件のうち、照射時間を24時間としたこと以外は実施例1と同様にして、エタノール中に金属ナノ粒子(Sn−58Biナノ粒子)が分散された分散液(金属ナノ粒子分散液)を得た。
得られた各金属ナノ粒子について、前記粒子径測定及び金属ナノ組織観察を実施した。実施例1で得られたアモルファスナノ粒子(金属ナノ粒子)の走査電子顕微鏡写真を図3〜図4Aに、透過電子顕微鏡写真を図4Bに、電子回折像を図4Cに、実施例2で得られたアモルファスナノ粒子(金属ナノ粒子)の透過電子顕微鏡写真を図5A〜図5Bに、それぞれ示す。なお、図4A〜図5Bは、分散媒を蒸発させた後の状態であり、図4Aの写真中の網目は観察に用いたグリッドである。また、図4Bには、観察されたナノ結晶粒4及びアモルファス母相3の一部をそれぞれ円で囲んで示す。さらに、図4Cには、観察された回折スポットを矢印で示す。
図2A、図2B及び図3に示されるように、本発明の製造方法によって、マイクロメートルオーダーの合金粉末からナノメートルオーダーの金属ナノ粒子が得られることが確認された。得られた金属ナノ粒子の平均粒子径は、実施例1で20nm、実施例2で30nmであった。
また、図2A、図2Bに示されるように、固体状金属材料として用いたSn−Bi合金粉末を構成する一次粒子は、アトマイズ法における最終凝固部が凝固収縮により突起部となった球形であり(図2A)、Sn部分(Sn結晶)とBi部分(Bi結晶)とが共晶を形成していた(図2B)。これに対して、図4B及び図5Bに示されるように、本発明の製造方法で得られた金属ナノ粒子においては、Sn、Bi、SnBiのそれぞれの結晶(ナノ結晶粒4)が一部で形成されており、これらが、Sn原子及びBi原子がランダムに混在するアモルファス部分(アモルファス母相3)を母相として分散しており、アモルファス・ナノ結晶組織であることが確認された。また、得られた金属ナノ粒子がアモルファス・ナノ結晶組織であることは、図4Cにおいてハローパターン及び回折スポットがいずれも確認されたことからも明らかであった。
さらに、得られた金属ナノ粒子分散液について分散性評価を行ったところ、分散媒への分散性評価は、実施例1〜2でいずれもA(金属粒子が分散媒の全体に分散しており、沈殿が観察されない)であった。
上記に示した結果から、本発明の製造方法によって、アモルファス組織を含み、かつ、ナノメートルオーダーであるアモルファスナノ粒子が得られることが確認された。また、得られたアモルファスナノ粒子は、界面活性剤や表面修飾剤を含有していない分散液においても、粒子同士の凝集が抑制されて二次粒子の形成が十分に抑制され、分散媒に対する分散性にも優れることが確認された。
(実施例3)
エタノールに代えてメタノールを用いたこと以外は実施例1と同様にして、メタノール中に金属ナノ粒子(Sn−58Biナノ粒子)が分散された分散液(金属ナノ粒子分散液)を得た。
実施例3で得られた金属ナノ粒子について前記焼結特性評価を実施したところ、透過電子顕微鏡(TEM)観察において、得られた粒子はアモルファス組織を含むナノメートルオーダーのアモルファスナノ粒子であり、粒子の表面には酸化膜が確認されなかった。実施例3で得られたアモルファスナノ粒子の透過電子顕微鏡写真を図6A〜図6Bにそれぞれ示す。また、実施例3で得られたアモルファスナノ粒子分散液を100℃で加熱後の電解放出型走査電子顕微鏡写真を図7に示す。図7に示すように、実施例3で得られたアモルファスナノ粒子を100℃で加熱後には500nm程度まで粒成長しており、金属材料として用いたSn−Bi合金粉末(融点:140℃)よりも低い温度で焼結することが確認された。
また、実施例3で得られたアモルファスナノ粒子のメタノール分散液の熱重量変化測定(TG)及び示差走査熱量測定(DSC)の結果を示すグラフ(サーモグラム)を図8に示す。さらに図8には、実施例3で用いた分散媒であるメタノールについて熱重量変化測定(TG)及び示差走査熱量測定(DSC)を行った結果も併せて示す。図8に示すDSCグラフから、実施例3で得られたアモルファスナノ粒子間に焼結(接合)が起きた温度は24.8℃であった。
さらに、実施例3で得られた金属ナノ粒子分散液について、製造直後及び製造から2ヶ月後に前記分散性評価を実施し、得られた粒度分布曲線を図9A及び図9Bにそれぞれ示す(各3回分)。図9Aにおいて、粒度分布曲線のピーク位置は3回の平均で193.3nm、ピーク幅は92.3nmであった。また、図9Bにおいて、粒度分布曲線のピーク位置は3回の平均で244.0nm、ピーク幅は102.2nmであった。このように、本発明のアモルファスナノ粒子は、2ヶ月という長期間経過後においても、粒子同士の凝集が抑制されて二次粒子の形成が十分に抑制され、分散媒に対する分散性にも優れることが確認された。また、かかる長期間経過後において、本発明のアモルファスナノ粒子においては熱物性も変わらなかった。
以上説明したように、本発明によれば、比較的低温で容易に分散性に優れたアモルファスナノ粒子を得ることができるアモルファスナノ粒子の製造方法、アモルファスナノ粒子及びアモルファスナノ粒子分散液を提供することが可能となる。
1…第1の原子、2…第2の原子、3…アモルファス母相、4…ナノ結晶粒。

Claims (12)

  1. 合金からなる固体状金属と還元性分散媒とを含有する分散液を得る工程と、
    前記分散液に超音波を照射して、前記固体状金属からアモルファス組織を含むアモルファスナノ粒子を得る工程と、
    を含むことを特徴とするアモルファスナノ粒子の製造方法。
  2. 合金からなる固体状金属と還元性分散媒とを含有する分散液を得る工程と、
    温度を35℃以下に維持しながら前記分散液に超音波を照射して、前記固体状金属からアモルファス組織を含むアモルファスナノ粒子を得る工程と、
    を含むことを特徴とする請求項1に記載のアモルファスナノ粒子の製造方法。
  3. 前記温度を−90〜20℃の範囲に維持しながら前記分散液に前記超音波を照射することを特徴とする請求項2に記載のアモルファスナノ粒子の製造方法。
  4. 前記合金が、Sn−Bi合金、Sn−Sb合金、Sn−Ag合金、Sn−Cu合金、Zn−Al合金、Bi−Cu合金、Au−Sn合金、Au−Ge合金及びAg−Cu合金からなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のアモルファスナノ粒子の製造方法。
  5. 前記還元性分散媒が、炭化水素類及びアルコール類からなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載のアモルファスナノ粒子の製造方法。
  6. 前記アモルファスナノ粒子の平均粒子径が1〜200nmであることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載のアモルファスナノ粒子の製造方法。
  7. 前記固体状金属が平均一次粒子径1〜500μmの金属粉末であることを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載のアモルファスナノ粒子の製造方法。
  8. 前記分散液における前記固体状金属の含有量が前記還元性分散媒100質量部に対して0.1〜50質量部であることを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載のアモルファスナノ粒子の製造方法。
  9. 前記アモルファスナノ粒子が表面に酸化膜を実質的に有さないことを特徴とする請求項1〜8のうちのいずれか一項に記載のアモルファスナノ粒子の製造方法。
  10. 二種以上の金属原子からなるアモルファス組織を含むアモルファスナノ粒子であり、かつ、表面に酸化膜を実質的に有さないことを特徴とするアモルファスナノ粒子。
  11. アモルファス・ナノ結晶組織を含むことを特徴とする請求項10に記載のアモルファスナノ粒子。
  12. 請求項10又は11に記載のアモルファスナノ粒子を含有することを特徴とするアモルファスナノ粒子分散液。
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