JP2018059191A - 金属箔製造用陰極ドラムおよび金属箔の製造方法 - Google Patents

金属箔製造用陰極ドラムおよび金属箔の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属膜とリード材の継ぎ目部分の破損、金属箔の局所的な厚さの変動や析出不良、変色、色むらが抑制できる陰極ドラムおよび金属箔の製造方法を提供する。【解決手段】胴体表面から結晶組織が繋がって胴体表面の有効電解域の一部を被うリード金属膜と、リード金属膜の前方端部から結晶組織が繋がるとともに陰極ドラムから離れるリード金属箔を有し、リード金属膜の後方領域には後方端に向かって厚さが小さくなる厚さ傾斜部を備える陰極ドラムを用い、リード金属膜を有する胴体表面の一部を電解液に浸漬し、リード金属箔の前方端部を巻取りリールに固定し、通電してリード金属膜の後方領域を含む部分に第1金属膜を形成し、陰極ドラムと巻取りリールの同期回転でリード金属箔を引いてリード金属膜、継ぎ目部分、第1金属膜から繋がり胴体表面に形成された第2金属膜を順次剥離して成る金属箔を巻取りリールに連続的に巻取る。【選択図】図3

Description

本発明は、例えばアルミニウム箔などの電解析出法による製造に好適な金属箔製造用陰極ドラムおよび金属箔の製造方法に関する。
従来、金属イオンを含有する電解液から金属を電解還元により析出させる方法によって金属箔を作製する電解析出法が知られている。例えば、特許文献1にはアルミニウムイオンを含有する電解液を用いたアルミニウム箔の製造方法が開示され、特許文献2には銅イオンを含有する電解液を用いた銅箔の製造方法が開示されている。特許文献1、2には、陰極ドラムの胴体表面(外周面)の有効電解域を含む部分と陽極部材とを電解液中に浸漬し、その両者が対向配置された状態とし、陰極ドラムを回転しながら陰極ドラムの胴体表面と陽極部材との間で通電し、陰極ドラムの胴体表面に析出した金属膜を連続的に剥離して金属箔を形成し、前記金属箔を箔引出し口から連続的に引出して巻取りリールに巻取る製造方法および製造装置が開示されている。なお、特許文献1、2には、陰極ドラムの胴体表面に析出した金属膜の剥離を開始するための具体的な方法は開示されていない。
陰極ドラムの胴体表面に析出した金属膜の剥離を開始するための具体的な方法は、例えば特許文献3に開示されている。特許文献3には、金属箔(鉄箔)をリード材に用いる電解鉄箔の製造方法が開示されている。鉄箔からなるリード材(リード金属箔)の前方部分を巻取りリールに取り付け、そのリード金属箔の後方部分を陰極ドラムの胴体表面の有効電解域のほぼ全域に巻取りリールの引張り力により離脱可能な程度の接着力をもつ両面接着テープで取り付ける方法が開示されている。また、かかるリード金属箔は、電解液中の金属(鉄)が析出可能な材質であればよいとされ、金属(鉄)の析出が可能な同質の鉄箔(厚さ20μm)をリード金属箔かつ析出用基材として用いて、回転(自転)する陰極ドラムの胴体表面に析出した金属膜(鉄膜)の剥離を開始することができた旨の具体的な記載がある。
特開2012−246561号公報 特開2015−21154号公報 特開昭63−65095号公報
本発明者は、特許文献3に記載のリード金属箔(鉄箔)を用いて陰極ドラムの胴体表面に析出した金属膜の剥離を開始する方法を適用し、陰極ドラムの胴体表面に析出したアルミニウム膜を剥離して巻き取る電解析出法によるアルミニウム箔の製造を試行した。その試行では、特許文献3に記載の鉄箔に替えて、平均厚さが20μmの銅箔(リード金属箔)を陰極ドラムの純チタン製の胴体表面に取り付けた。そして、リード金属箔(銅箔)の前方部分を巻取りリールに取り付け、その後方部分を陰極ドラムの胴体表面の有効電解域の幅方向のほぼ全域に両面接着テープで取り付けた。その後、リード金属箔(銅箔)を取り付けた状態の陰極ドラムの胴体表面の一部およびリード金属箔の後方領域を含む部分を陽極部材が浸漬された電解液に浸漬した。続いて、胴体表面と陽極部材との間で通電するとともに陰極ドラムを回転することにより、リード金属箔の後方領域を含む部分の表面上およびそれに続く陰極ドラムの胴体表面にアルミニウムを析出させてアルミニウム膜を形成した。したがって、リード金属箔の後方領域を含む部分は、図1に示すように、リード金属箔200の後方端200eを含む後方領域200aの表面上に析出したアルミニウム膜100aを有する2層構造となる。また、リード金属箔200の後方端200eに隣接する陰極ドラムの胴体表面1aには、アルミニウム膜100aに繋がってアルミニウム膜100bが析出し、そのアルミニウム膜100aによる1層構造となる。このとき、リード金属箔200の後方端200eを含む後方領域200aは、リード金属箔200と、剥離されてアルミニウム箔となるアルミニウム膜100bとの継ぎ目部分になる。
上述した試行では、回転(自転)している陰極ドラムの胴体表面1aからアルミニウム膜100bを剥離する際に、リード金属箔200とアルミニウム膜100bとの継ぎ目部分(リード金属箔200の後方端200eを含む部分)で破損が発生した。また、アルミニウム膜100bやそれに繋がるアルミニウム膜の剥離により形成されたアルミニウム箔には、局所的な厚さの変動や析出不良、変色、色むらなどが発生した。こうした不具合は、陰極ドラムの胴体表面1aからリード金属箔200の厚さ(平均厚さ20μm)分の高さを有する絶壁面形状の後方端200e近傍への電解集中、胴体表面1aに残存する粘着テープの粘着物(残渣)、あるいはリード金属箔200と胴体表面1aとの間に形成された粘着テープの厚さ分の隙間への電解液の滲入などに起因するものと考えられた。
本発明の目的は、回転(自転)する陰極ドラムの胴体表面に析出した金属膜とリード材の後方端を含む継ぎ目部分での破損や、金属箔の局所的な厚さの変動や析出不良、変色、色むらが抑制され、析出した金属膜を剥離して健全な金属箔を形成し、その金属箔を連続的に巻取ることができる、金属箔製造用陰極ドラムおよび金属箔の製造方法を提供することである。
本発明者は、上述した不具合の発生状況を詳細に分析するとともに、平均厚さが20μmの銅箔をリード材に用いて陰極ドラムの胴体表面に析出した金属膜の剥離を開始する方法を詳細に検討し、リード材(銅箔)の陰極ドラムの胴体表面に対する十分な密着性と、そのリード材の後方端を含む後方領域の形態が重要であることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の金属箔製造用陰極ドラムは、胴体表面の有効電解域に形成された金属膜を剥離して金属箔を形成するために用いられる陰極ドラムであって、前記胴体表面から結晶組織が繋がって前記胴体表面の有効電解域の一部を被うリード金属膜と、前記リード金属膜の前記陰極ドラムの回転方向の前方端部から結晶組織が繋がるとともに前記陰極ドラムから離れるリード金属箔と、を有し、前記リード金属膜の前記陰極ドラムの回転方向の後方領域には、前記リード金属膜の後方端に向かって厚さが小さくなる厚さ傾斜部を備えている。
前記リード金属膜の前記後方端の平均厚さが、3μm以上であるとともに、前記金属箔の平均厚さの70%以下であることが好ましい。
前記リード金属膜の前記後方端の平均厚さが、5μm以上であることが好ましい。
また、前記リード金属膜の平均厚さが、10μm以上50μm以下であることが好ましい。
上述した本発明の金属箔製造用陰極ドラムを用いた電解析出法により、例えばアルミニウム箔など各種の金属箔(電解金属箔)を連続的に製造することができる。
すなわち、本発明の金属箔の製造方法は、上述した本発明の金属箔製造用陰極ドラムを用いて、前記リード金属膜を有する前記胴体表面の一部を陽極部材が浸漬された電解液中に浸漬し、かつ、前記リード金属箔の巻取り方向の前方端部を巻取りリールに固定し、前記胴体表面と前記陽極部材の間の通電により、前記電解液に浸漬された前記リード金属膜の前記後方領域を含む部分の表面上に第1金属膜を形成し、前記通電を継続するとともに、前記陰極ドラムおよび前記巻取りリールを回転して前記リード金属箔を引くことにより、前記リード金属膜を剥離して前記リード金属箔から繋がる第2リード金属箔を形成し、さらに、前記陰極ドラムおよび前記巻取りリールを回転して前記第2リード金属箔を引くことにより、前記第1金属膜を表面上に有する前記リード金属膜の前記後方領域を含む部分を前記胴体表面から剥離し、続いて、前記第1金属膜から繋がって前記胴体表面に形成された第2金属膜を前記胴体表面から連続的に剥離して形成した金属箔を前記巻取りリールに連続的に巻取る方法である。
本発明の金属箔製造用陰極ドラムおよび金属箔の製造方法を適用すれば、回転(自転)している陰極ドラムの胴体表面に析出した金属膜とリード材(リード金属膜)の後方領域を含む継ぎ目部分での破損や、金属箔の局所的な厚さの変動や析出不良、変色、色むらが抑制され、析出した金属膜を剥離して健全な金属箔を形成し、その金属箔を連続的に巻取ることができる。
従来技術を適用してリード材(リード金属箔)の後方領域を含む部分の表面上に金属膜を析出させた構成例を示す図である。 リード金属膜の後方端の観察例を模式的に示す図であって、本発明におけるリード金属膜の後方端の定義を説明するための図である。 本発明の金属箔製造用陰極ドラムの構成例を示す図である。 本発明の金属箔製造用陰極ドラムを用いた金属箔の製造装置の要部構成例を示す図である。 本発明を適用してリード材(リード金属膜)の後方領域を含む部分の表面上に金属膜を析出させた構成例を示す図である。 図4に示す状態に続く金属箔の製造プロセスを示す図である。 図6に示す状態に続く金属箔の製造プロセスを示す図である。 図7に示す状態に続く金属箔の製造プロセスを示す図である。 リード金属膜の平均厚さ5μmの後方端の近傍を示す図(観察写真)である。 図9に示すリード金属膜と陰極ドラムの胴体表面との境界部分を拡大して示す図(観察写真)である。 リード金属膜の平均厚さ2μmの後方端の近傍を示す図(観察写真)である。 図11に示すリード金属膜と陰極ドラムの胴体表面との境界部分を拡大して示す図(観察写真)である。 リード金属膜(銅膜)と第2金属膜(アルミニウム膜)との継ぎ目部分を示す図(観察写真)である。
本発明の金属箔製造用陰極ドラム(以下、単に「陰極ドラム」という。)は、下記(A)から下記(D)の特徴を有する。
(A)胴体表面の有効電解域に形成された金属膜を剥離して金属箔を形成するために用いられる陰極ドラムである。
(B)前記胴体表面から結晶組織が繋がって前記胴体表面の有効電解域の一部を被うリード金属膜を有する。
(C)前記リード金属膜の前記陰極ドラムの回転方向の前方端部から結晶組織が繋がるとともに前記陰極ドラムから離れるリード金属箔を有する。
(D)前記リード金属膜の前記陰極ドラムの回転方向の後方領域には、前記後方領域に含まれる前記リード金属膜の後方端に向かって厚さが小さくなる厚さ傾斜部を備えている。
本発明の陰極ドラムの構成例を図3に示す。本発明の陰極ドラム1は、その胴体表面1aから結晶組織が繋がって胴体表面1aの有効電解域の一部を被うリード金属膜2を有する。かかる胴体表面1aには、例えばチタンやチタン合金を用いることができる。かかるリード金属膜2は、例えば、電解析出(めっき)により胴体表面1aから結晶組織が成長して形成されたものであり、その結晶組織は胴体表面1aに対して十分に密着して繋がった状態になっている。なお、リード金属膜2は、リード材として機能する所定の厚さ(膜厚)が得られるとともに胴体表面1aから剥離可能である場合は、スパッタリングや蒸着などの成膜方法を適用することができる。したがって、リード金属膜2の胴体表面1aから結晶組織が繋がる部分には、胴体表面1aとの間に電解液が浸入するような隙間が形成され難い。また、従来のように粘着テープで取り付けたものではないので、胴体表面1aに粘着テープの粘着物が付着することがない。
こうした構成により、胴体表面1aの粘着物(残渣)や胴体表面1aとの隙間への電解液の滲入に起因すると考えられる金属箔の局所的な厚さ変動、変色、色むらを抑制することができる。なお、「胴体表面から結晶組織が繋がって前記胴体表面の有効電解域の一部を被うリード金属膜」における「胴体表面の有効電解域の一部」とは、作製する金属箔の全幅に対応する胴体表面1aの有効電解域の幅方向の全領域と、リード金属膜2の後方領域における後方端2eから陰極ドラムの回転方向に向かい、リード金属箔が陰極ドラムから離れる剥離部4の間の有効電解域の周方向の領域をいう。また、一般的な電解析出法では、胴体表面1aの有効電解域の幅方向の長さは、作製する金属箔の全幅と同等に設定される。
また、陰極ドラム1に備わるリード金属膜2は、その表面上に電解析出法により作製する金属膜(金属箔)の金属成分が析出可能な材質であればよい。例えば、本発明を適用してアルミニウム箔を作製する場合は、リード金属膜には、非水性かつ嫌気性の電解液を用いた電解析出法による同質のアルミニウム膜を用いることもできるが、膜の形成が比較的容易な銅膜やニッケル膜を用いることが好ましい。銅膜やニッケル膜は、非水性かつ嫌気性ではない電解液を用いた電解析出法により、陰極ドラムの胴体表面に容易に形成することができる。また、銅膜やニッケル膜を胴体表面から隔離して形成された銅箔やニッケル箔は、適度な機械的強さと柔軟性を有するため取り扱いが容易である。また、銅膜は、電気伝導性に優れるため厚さ(膜厚)が均一に形成されやすいし、例えばアルミニウム箔とは色合いが異なるため明確に分別できる。こうした理由から、本発明を適用して例えば銅箔、ニッケル箔、鉄箔などの金属膜を作製する場合は、リード金属膜2として銅膜やニッケル膜を用いることが好ましい。なお、リード金属膜とその表面上に析出する金属膜との良好な密着性を得る観点では、銅膜を推奨する。
また、陰極ドラム1に備わるリード金属膜2は、陰極ドラム1の回転方向の前方端部に、その前方端部から結晶組織が繋がるリード金属箔3を有する。かかるリード金属箔3は、リード金属膜2から繋がるとともに陰極ドラム1から離れている。したがって、図4に示すように、リード金属膜2から繋がるリード金属箔3の前方端部であって、リード金属箔3の先端部分である前方端3e(図3参照)を含む領域を巻取りリール9に巻き付けることができる。また、リード金属膜2に繋がっているリード金属箔3を陰極ドラム1および巻取りリール9の回転により巻取りながら引くことにより、胴体表面1aに結晶組織が繋がるリード金属膜2を胴体表面1aから剥離することができる。そして、そのリード金属箔3を引き続けることにより、リード金属膜2を胴体表面1aから連続的に剥離して連続的にリード金属箔3を形成することができる。つまり、胴体表面1aから剥離したリード金属膜2を、そのままリード金属箔3とすることができる。
リード金属膜の後方端は、リード金属膜の陰極ドラムの回転方向の後方側の末尾部分であって、リード金属膜を形成する金属(析出元素)の析出状態が比較的安定な部分(リード金属膜の実質的な末尾部分)およびそれから続く析出状態が比較的不安定な部分(リード金属膜の真の末尾部分)を含む、陰極ドラムの胴体表面との境界部分である。実際に形成されるリード金属膜の後方端を微視的に観察すると、例えば図2に示す模式図のように、陰極ドラムの回転方向の前方に向かう凹部と後方に向かう凸部とがリード金属膜の幅方向に沿って繰り返し現れるような波状の形態が確認され、単純な直線状の形態ではない場合が専らである。そこで、本発明では、図2に示すように、陰極ドラムの胴体表面にリード金属膜の幅方向(陰極ドラムの回転軸方向)中央を通る仮想直線Laを設定し、その仮想直線La上を矢印で示す陰極ドラムの回転方向の前方に向かって観察を進めた際に、リード金属膜を形成する金属の析出(リード金属膜が例えば銅膜の場合は銅の析出)が継続的に確認されるようになったとき、その金属の析出を最初に確認した位置(丸印Pa)からさらに矢印で示す向きに300μm進めた位置(丸印Pb)を通る仮想直線Lbに対応するリード金属膜の幅方向の部位を「リード金属膜の後方端」と定義する。
本発明における重要な特徴は、図3に示すように、後方領域2aに含まれる厚さ傾斜部2sを備えていることである。ここで、本発明を適用してリード金属膜2の後方領域2aを含む部分の表面上に金属膜を析出させた構成例を図5に示す。図5に示す構成例では、リード金属膜2の陰極ドラム1の回転方向の後方領域2aにおいて、その後方領域2aに含まれる後方端2eに向かって厚さが小さくなる厚さ傾斜部2sを備えている。なお、後方端2eは、上述したようにリード金属膜の実質的な末尾部分である。かかるリード金属膜2の後方領域2aは、図6〜図8に示すように、剥離されてリード金属箔(第2リード金属箔3a)となるリード金属膜2の本体部分と、剥離されて金属箔10となる金属膜(第2金属膜10b)とを繋ぐ重要な継ぎ目部分であるため、剥離および巻取りに耐える適切な機械的強さを有することが求められる。
また、リード金属膜2の後方領域2aは、その表面上に第1金属膜10aが形成されて2層構造になった形態で剥離されるため、その2層構造になった形態で剥離に耐えることができる適切な機械的強さを有していればよい。したがって、第1金属膜10aとの2層構造になることによる機械的強さの増分を考慮すれば、リード金属膜2の後方領域2aが後方端2eに向かって厚さが小さくなる形態であっても、剥離に耐えることができる適切な機械的強さを有することができる。よって、第1金属膜10aとの2層構造になるリード金属膜2の後方領域2aには、その後方領域2aに含まれる後方端2eに向かって厚さが小さくなる厚さ傾斜部2sを備えることができる。
かかる厚さ傾斜部2sにより、電解析出法によりリード金属膜2の表面上に第1金属膜10aを形成する際に電解集中が発生しやすいリード金属膜2の後方端2eを含む後方領域2aの胴体表面1aからの高さを、リード金属膜2の高さ(厚さ分)よりも低くすることができる。リード金属膜と胴体表面との境界部分は、高さ(厚さ分)が急激に低減するため絶壁面のような形態になりやすい。この場合、厚さ傾斜部2sを備えることにより、リード金属膜の実質的な末尾部分となる後方端2eの高さ(厚さ分)を最も低くすることができるので、リード金属膜と胴体表面との境界部分を絶壁面のような形態になり難くすることができる。また、リード金属膜2の後方領域2aを含む部分の表面上に第1金属膜10aが形成された際に、2層構造になる第1金属膜10aおよび後方領域2aを含む部分の厚さ(特に後方端2eにおける厚さ)と、1層構造となる第2金属膜10bの部分の厚さとの差を、リード金属膜2の厚さが厚さ傾斜部2sにより薄肉化された分だけ小さくすることができる。
こうした構成により、リード金属膜2と第1金属膜10aの継ぎ目部分における形態変化が小さく抑制される。特に電解集中が起こりやすいことに起因して成膜が不安定になることで機械的強さの低下が起こりやすいリード金属膜2の後方端2eにおける形態変化が小さく抑制されることにより、リード金属箔3を引いてリード金属膜2および第1金属膜10aを剥離する際に作用する応力に抗するだけの機械的強さを有することができる。
したがって、回転している陰極ドラム1の胴体表面1aから剥離されたリード金属箔3と金属箔10の継ぎ目部分での破損を抑制することができるため、リード金属箔3および金属箔10を破損なく巻取りリール9に巻取ることができる。
リード金属膜2の後方領域2aを含む部分は、その厚さが小さくなるほど電解集中や引き剥がしによる応力集中が抑制されると考えられる。こうした観点から、リード金属膜2の後方端2eの平均厚さは、作製しようとする金属箔10(第2金属膜10bの剥離によって得られる金属箔)の平均厚さの70%以下であることが好ましい。加えて、リード金属膜2の後方端2eの平均厚さは、3μm以上であるとともに20μm以下であることが好ましい。なお、「リード金属膜2の後方端2eの平均厚さ」は、上述したようにリード金属膜2の後方端2eと定義した図2に示す仮想直線Lbに対応するリード金属膜2の幅方向の部位において測定された複数箇所の厚さ値から求めた平均値とする。
リード金属膜2の後方端2eの平均厚さが金属箔10(第2金属膜10bの剥離によって得られる金属箔)の平均厚さの70%を超えるようになると、第2金属膜10bの厚さに対する胴体表面1aからの高さ(厚さ分)が大きくなるため、リード金属膜2の後方端2e付近で電解集中や応力集中が発生しやすくなる。例えば、金属箔10の平均厚さが28.6μmであるとともにリード金属膜2の後方端2eの平均厚さが金属箔10の平均厚さの70%値である場合は後方端2eの平均厚さが20.0μmとなり、金属箔10の平均厚さの70%値を超えると後方端2eの平均厚さが20μmを超える。この場合、リード金属膜2の後方端2eの胴体表面1aからの高さ(厚さ分)が3μm以上20μm以下の範囲を超えて大きくなるため、電解集中や応力集中が発生しやすくなると考えられる。
リード金属膜2の後方端2eが例えば3μm未満の平均厚さであると、電解条件やその制御変動が析出組織の形成に影響し、胴体表面1aから繋がる結晶組織に粒状の析出組織が含まれやすくなるため、剥離に耐える適切な機械的強さが得られないことがある。また、リード金属膜2の後方端2eを含む厚さ傾斜部2sに膜状の組織化が不完全な粒状の析出組織が形成されていると、リード金属箔2が剥離される際に胴体表面1aに多くの粒状の析出金属が残存する虞があるため、リード金属膜2の厚さ傾斜部2sの特に後方端2eは粒状の析出組織が形成され難い程度の厚さであることが好ましい。こうした観点からも、リード金属膜2の後方端2eの平均厚さは、3μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。リード金属膜2を剥離した後の胴体表面1aに粒状の析出組織が残存していたからといって、それが過剰でない限り、リード金属膜2が剥離された後の胴体表面1aに析出する金属膜およびその金属膜を剥離して形成する金属箔に必ず不具合が発生するものでもない。
一般的な電解析出法により作製可能な金属箔(リード材に用いる金属箔を含む)の厚さは、その金属成分や電解液組成や電解条件などの影響を受けるが、少なくとも膜状の析出組織を有する金属膜が形成される厚さ以上(銅箔の場合の厚さの下限は3μm乃至5μmと考えられる)、好ましくは膜状の析出組織を有する金属膜が安定的に形成される厚さ以上であれば、その金属膜は引き剥がしに耐えるだけの機械的強さを有し、その金属箔は巻取りに耐えるだけの機械的強さを有すると考えられる。こうした観点から、リード金属膜2の平均厚さは10μm以上が好ましいと考えられる。なお、「リード金属膜の平均厚さ」とは、リード金属膜2の厚さ傾斜部2sよりも陰極ドラムの回転方向の前方領域であって、陰極ドラムの回転軸方向に沿った方向(幅方向)において測定されたリード金属膜2の本体部分の複数箇所の厚さ値から求めた平均値とする。
リード金属膜2は、1層構造となるリード金属膜2の単独部分およびその表面上に第1金属膜10aが形成されて2層構造となる積層部分の引き剥がしに耐えることができる適切な機械的強さを有することが求められる。加えて、リード金属膜2の積層部分の後方領域2a(図5参照)すなわち厚さ傾斜部2sおよび後方端2eを含む継ぎ目部分の引き剥がし、および2層構造の継ぎ目部分の第1金属膜10aから繋がる第2金属膜10bの引き剥がしを、安定に行うことができることが求められる。さらに、リード金属膜2の剥離によって形成されるリード金属箔3(図3参照)は、巻取りリール9への巻取りに耐えることができる適切な機械的強さを有することが求められる。そのため、リード金属膜2は、より厚くして破損を十分に抑制することが好ましいが、破損が発生しない程度により薄くして生産コストを低減することもできる。こうした観点から、リード金属膜2の平均厚さは、作製する金属箔の厚さとの関係を考慮した上で、剥離や巻取りの際の破損が抑制できると考えられる、例えば、10μm以上50μm以下であることが好ましい。なお、リード金属膜2の厚さは、作製可能である限り上限はないが、生産コストやハンドリングなどの生産性の観点から50μmを超えて平均厚さを大きくすることは無駄である。
例えば、作製する金属箔10の平均厚さをTfとし、胴体表面1aから結晶組織が繋がるリード金属膜2の本体部分(厚さ傾斜部2sよりも陰極ドラムの回転方向の前方側の部分)の平均厚さをTLcとするとき、上述したようにリード金属膜2の平均厚さの好ましい範囲は10μm以上50μm以下であるが、Tf+TLcを例えば40μm〜50μmの範囲に設定することもできる。具体的には、Tfを例えば8μmとする場合はTLcを32μm〜42μmの範囲で設定することができるし、Tfを例えば12μmとする場合はTLcを28μm〜38μmの範囲で設定することができるし、Tfを例えば20μmとする場合はTLcを20μm〜30μmの範囲で設定することができる。なお、Tf+TLcが40μm〜50μmを満足する場合であっても、平均厚さTLcの本体部分から繋がるリード金属膜2の後方領域2aの厚さ傾斜部2sは、その平均厚さが3μm以上(好ましくは5μm以上)20μm以下であるとともに、金属箔10の平均厚さTfの70%以下であることが好ましい。
平均厚さがTLcのリード金属膜2から繋がるリード金属箔3は、リード金属膜2と同等以上の厚さにしておくと、陰極ドラム1の胴体表面1aに析出させたリード金属膜2を剥離するだけでリード金属箔3を容易に作製することができる(図4参照)とともに、巻取りリール9への巻取りに耐えることができる適切な機械的強さを有することができる。また、リード金属箔3の前方端部3eを含む部分は、巻取りリール9に最初に巻掛けられて比較的大きな曲げ力が作用するため、リード金属箔3の本体部分(前方端部3eよりも陰極ドラムの回転方向の後方側の部分)よりも厚くすることにより、かかる大きな曲げ力に耐える機械的強さを有することができる。
本発明の金属箔の製造方法は、上述した方法で準備した陰極ドラム1を用いて、例えばアルミニウム箔などの金属箔(電解金属箔)を連続的に製造できる方法であり、下記(1)から下記(5)のセットアップおよびプロセスを含む。なお、符号は、図2〜図8を参照する。
(1)セットアップ
陰極ドラム1を用いて、リード金属膜2を有する胴体表面1aの一部を陽極部材5が浸漬された電解液8中に浸漬し、かつ、リード金属箔3の巻取り方向の前方端部3eを巻取りリール9に固定する。なお、リード金属箔3の前方端部3eに別のリード材を接合し、そのリード材を巻取リール9に固定するようにしてもよい。
(2)第1金属膜10aの形成プロセス
胴体表面1aと陽極部材5の間の通電により、電解液8に浸漬されたリード金属膜2の後方領域2aを含む部分の表面上に第1金属膜10aを形成する。
(3)第2リード金属箔3aの形成プロセス
通電を継続するとともに、陰極ドラム1および巻取りリール9を回転してリード金属箔3を引くことにより、リード金属膜2を剥離してリード金属箔3から繋がる第2リード金属箔3aを形成する。
(4)継ぎ目部分の剥離プロセス
さらに、陰極ドラム1および巻取りリール9を回転して第2リード金属箔3aを引くことにより、第1金属膜10aを表面上に有するリード金属膜2の後方領域2aを含む部分を胴体表面1aから剥離する。
(5)金属膜10の形成プロセス
続いて、第1金属膜10aから繋がって胴体表面1aに形成された第2金属膜10bを胴体表面1aから連続的に剥離して形成した金属箔10を巻取りリール9に連続的に巻取る。
なお、上述したセットアップにおいて、リード金属膜2の後方領域2aの厚さ傾斜部2sを含む部分は、リード金属膜2を有する胴体表面1aの一部を電解液8中に浸漬した際に、電解液8に浸漬させないことが好ましい。リード金属膜2の後方領域2aの厚さ傾斜部2sを含む部分が、セットアップにおいて電解液8に浸漬していない場合は、その後の通電開始の状態で陰極ドラム1を回転して初めて電解液8中に浸漬されるため、かかる後方領域2aの厚さ傾斜部2sを含む部分の電解液8中での滞在時間(浸漬時間)を長くすることができる。そのため、かかる後方領域2aの厚さ傾斜部2sを含む部分の表面上に析出する第1金属膜1aを、十分に成長させることができるし、かかる浸漬時間の制御により継ぎ目部分の機械的強さを適切に制御することができる。
本発明の金属箔製造用陰極ドラムを用いた本発明の金属箔の製造方法を適用し、アルミニウム箔を作製する実施例について詳細に説明する。また、説明の便宜上、図2〜図8に示す符号を準用する。なお、本発明は、作製する金属箔およびその作製に用いるリード金属膜などを含め、以下の記載に限定して解釈されるものではない。
陰極ドラム1は、直径が140mm、胴長が300mm、有効電解域の幅(胴長方向の長さ)が200mmのチタン製の胴体表面1aを備えるものを準備した。その陰極ドラム1に備えるリード金属膜2およびリード金属箔3は、非水性かつ嫌気性ではない電解液(めっき液)を用いた電解析出法により容易に形成することができる銅膜および銅箔とした。そして、胴体表面1aから結晶組織が繋がって胴体表面1aの有効電解域の一部を被う銅膜(リード金属膜2)と、その銅膜の陰極ドラム1の回転方向の前方端部から結晶組織が繋がって陰極ドラム1から離れる銅箔(リード金属箔3)と、を有し、銅膜の陰極ドラム1の回転方向の後方領域2aには、銅膜の後方端2eに向かって厚さが小さくなる厚さ傾斜部2sを備える、陰極ドラム1を準備した。そして、その陰極ドラム1を用いて、銅膜を有する胴体表面1aの一部をアルミニウム製の陽極部材5が浸漬された電解液8中に浸漬し、銅箔の巻取り方向の前方端部3eを巻取りリール9に固定した。以下、詳述する。
銅膜は、ピロリン酸銅めっき液を入れた電解浴槽内に胴体表面1aを浸漬し、その浸漬した胴体表面1aに対向させて銅製の陽極部材を配置し、電解析出処理(銅めっき処理)を行った。かかる銅めっき処理では、約50℃に液温制御したピロリン酸銅めっき液が循環する中で胴体表面1aと陽極部材の間で通電し、電流密度を約50mA/cmに制御して胴体表面1aに銅を析出させた。かかる銅めっき処理を行いながら陰極ドラム1を約180度回転し、胴体表面1a(外周面)の約半周分の有効電解域を被うように銅を析出させることにより、平均厚さが20μm、幅(胴長方向の長さ)が200mmの銅膜(リード金属膜2)を形成した。
ここで、通電および陰極ドラム1の回転を一時停止し、液面から露出している胴体表面1aに析出している銅膜(リード金属膜2)の前方端をピンセットと粘着テープを用いて剥離することにより、銅箔の前方端部3eを形成した。その銅箔の前方端部3eを保持した状態で、通電および陰極ドラム1の回転を再開し、胴体表面1aに析出している銅膜の後方領域2aに隣接する胴体表面1aに銅を析出させるとともに、前方端部で銅箔に繋がる銅膜を胴体表面1aから連続的に剥離して巻取りリール9に巻掛け可能な長さの銅箔(リード金属箔3)が形成できたところで通電および陰極ドラム1の回転を停止した。その後、銅箔を引いて巻取りリール9に巻掛け、銅箔の前方端部3eを含む部分を粘着テープで固定した。
続いて、通電の再開とともに陰極ドラム1および巻取りリール9の同期回転を開始し、胴体表面1aに析出している銅膜の後方領域2aに隣接する胴体表面1aに銅を析出させるとともに、前方端部で銅箔3に繋がる銅膜を胴体表面1aから連続的に剥離することにより形成された銅箔を巻取りリール9に連続的に巻取り、ハンドリングしやすい十分な長さの銅箔を形成した。ここで、通電と陰極ドラム1および巻取りリール9の同期回転を停止し、胴体表面1aに結晶組織が繋がった銅膜を有し、その銅膜から結晶組織が繋がるとともに陰極ドラム1から離れた銅箔を有する陰極ドラム1を、電解浴槽から取り出し、また、巻取りリール9に巻取った銅箔を取り外した。そして、銅箔が繋がり胴体表面1aに銅膜を有する陰極ドラム1に残るめっき液や付着物を洗浄処理により除去し、さらに十分な乾燥処理を行なった。
上述した陰極ドラム1の回転を伴う銅めっき処理と、その後の洗浄処理および乾燥処理を経て、胴体表面1aから結晶組織が繋がって胴体表面1aの有効電解域の一部を被う銅膜(リード金属膜2)と、その銅膜の陰極ドラム1の回転方向の前方端部から結晶組織が繋がる銅箔(リード金属箔3)と、を有し、その銅膜の陰極ドラム1回転方向の後方領域2aには、銅膜(リード金属膜2)の後方端2eに向かって厚さが小さくなる厚さ傾斜部2sを備える陰極ドラム1を形成することができた。
厚さ傾斜部2sを銅膜の後方領域2aの部分に形成するに際しては、電解液8への浸漬時間の長短の変化により析出膜の厚さが変化することを利用し、胴体表面1aの厚さ傾斜部2sを形成する部分の電解液8中の浸漬時間を制御する方法で行った。具体的には、通電した状態で陰極ドラム1の回転を一時停止し、電解液8中に浸漬している部分(表面)の析出膜(銅膜)の成長を促進させた後に陰極ドラム1の回転を再開し、銅膜の後方領域2aを含む部分の厚さ傾斜部2sを形成する部分(胴体表面1a)の電解液8中の滞在時間(浸漬時間)が徐々に短くなるようにした。この方法により、銅膜の後方領域2aにおいて、厚さ傾斜部2sを形成する部分の析出膜(銅膜)の厚さを後方端2eに向かって徐々に小さく形成した。これにより、本体となる銅膜および銅箔の平均厚さが20μmで、後方端2eの平均厚さが5μmのリード金属膜2(本発明例1)を形成した。また、同様な方法により、同じ陰極ドラム1を繰り返し使用し、本体となる銅膜および銅箔の平均厚さが20μmで、後方端2eの平均厚さが2μmのリード金属膜2(本発明例2)を形成した。加えて、銅膜の後方端2eの平均厚さを2μm〜10μmの範囲から選択して違えた幾つかのパターンの陰極ドラム1(いずれも本発明例)を準備した。
ここで、本発明例1として、リード金属膜2の平均厚さ5μmの後方端2eの近傍を示す観察写真(倍率100)を図9に示し、図9に示すリード金属膜2と陰極ドラム1の胴体表面1aとの境界部分の拡大観察写真(倍率15000)を図10に示す。また、本発明例2として、リード金属膜2の平均厚さ2μmの後方端2eの近傍を示す観察写真(倍率100)を図11に示し、図11に示すリード金属膜2と陰極ドラム1の胴体表面1aとの境界部分の拡大観察写真(倍率15000)を図12に示す。図9〜図12に示す観察写真は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)による表面像である。本発明例1のリード金属膜2は、境界部分において膜状の析出組織が確認され、後方端2eの平均厚さが5μmであると、銅が比較的密に析出することが分かった。本発明例2のリード金属膜2は、境界部分において部分的に粒状の析出組織が確認され、後方端2eの平均厚さが2μmであると、銅が比較的粗に析出することが分かった。本発明例1と本発明例2の比較では、粒状の析出組織よりも好ましい膜状の析出組織が形成された平均厚さ5μmの後方端2eを有する本発明例1が好ましいと考えられる。
上述した方法により準備した本発明例の陰極ドラム1を、電解析出法によりアルミニウムの析出が可能な電解液8を入れた電解浴槽6内に設置した。そして、アルミニウム製の陽極部材5を浸漬した電解液8中に、リード金属膜2を有する胴体表面1aの一部を浸漬するとともに、その陰極ドラム1がアルミニウム製の陽極部材5と対向するように配置した。この際、リード金属膜2の胴体表面1aから結晶組織が繋がる後方領域2aを含む部分は、図4に示すように電解液8に触れない液面よりも上側に配置した。続いて、陰極ドラム1の胴体表面1aから繋がったリード金属箔3の巻取り方向の前方端部3eを、箔引出し口7から取り出して巻取りリール9に巻掛け、銅箔の前方端部3eを含む部分を粘着テープで固定した。
次に、胴体表面1aと陽極部材5の間の通電による電解析出処理を行うことにより、アルミニウム箔の連続製造を行った。かかる電解析出処理では、約110℃に液温制御した電解液8が循環および撹拌する中で、電流密度を約100mA/cmに制御して通電を行い、電解液8に最初に浸漬され、後にリード金属膜2となる銅膜の表面上にアルミニウムを析出させてアルミニウム膜(第1金属膜10a)を形成した。これに続いて、電解液8に浸漬された銅膜の後方領域2aを含む部分の表面上および隣接する胴体表面1aにアルミニウムを析出させてアルミニウム膜(第1金属膜10aおよび第2金属膜10b)を形成した。これにより、第1金属膜10aから繋がる第2金属膜10bを連続的に形成することができた。また、第1金属膜10aおよび第2金属膜10bの形成と同時に、陰極ドラム1および巻取りリール9の同期回転によりリード材(リード金属箔3)を巻取りながら引いて胴体表面1aから銅膜を剥離し、巻取られるリード金属箔3から繋がる新たな第2リード金属箔3aを形成した。そして、リード金属箔3の巻取りを継続して第2リード金属箔3aを引くことにより、第1金属膜10aを表面上に有し、後にリード材となる銅膜の後方領域2aを含む部分(継ぎ目部分)を胴体表面1aから剥離した。これに続いて、第1金属膜10aから繋がって後続する第2金属膜10bを胴体表面1aから剥離した。
図13は、リード金属膜2(銅膜)と第2金属膜10b(アルミニウム膜)との継ぎ目部分を示す観察写真(倍率100)である。観察表面は陰極ドラム1の胴体表面1aから剥離された剥離面である。リード金属膜2と第2金属膜10bおよび継ぎ目部分には明確な欠陥がなく、胴体表面1aからの剥離が健全に行われたことを確認することができた。
こうして、アルミニウムからなる第1金属膜10aを表面上に有するリード金属膜2およびその後方領域2aを含む部分が胴体表面1aから剥離された後は、第1金属膜10aに繋がって後続するアルミニウムからなる第2金属膜10bが連続的に剥離され、アルミニウム箔(金属箔10)が連続的に形成された。そして、そのアルミニウム箔(金属箔10)を巻取りリール9に連続的に巻取ることにより、本体部分の平均厚さが12μmで全幅が200mmの長尺のアルミニウム箔(電解アルミニウム箔)を作製することができた。
同様な製造方法により、リード金属膜およびリード金属箔の本体部分の平均厚さが20μmで、リード金属膜2の後方端2eの平均厚さを5μm〜10μmの範囲から選択して違えた幾つかのパターンの陰極ドラム1を用いて、アルミニウム箔(金属箔10)の連続製造を行った。その結果、本発明例1、2のいずれのリード金属膜2も、その表面上に第1金属膜10aを形成するとともに胴体表面1aに第2金属膜10bを形成した後に、陰極ドラム1の胴体表面1aから剥離することができた。同様に、その他の本発明例のいずれのパターンの陰極ドラム1を用いても、リード金属膜2は陰極ドラム1の胴体表面1aから剥離することができた。これにより、長尺のアルミニウム箔10を連続的に作製することができた。また、連続的に剥離して巻取ったリード金属箔3、3aおよびアルミニウム箔(金属箔10)には、リード金属箔とアルミニウム箔の継ぎ目部分での破損や、アルミニウム箔の局所的な厚さの変動や析出不良、変色、色むらは発生しなかった。
1.陰極ドラム
1a.胴体表面
2.リード金属膜
2a.後方領域
2e.後方端
2s.厚さ傾斜部
3.リード金属箔
3a.第2リード金属箔
3e.前方端部
4.剥離位置
5.陽極部材
6.電解浴槽
7.箔引出し口
8.電解液
9.巻取りリール
10a.第1金属膜
10b.第2金属膜
100a.アルミニウム膜
100b.アルミニウム膜
200.リード銅箔
200a.後方領域
200e.後方端

Claims (5)

  1. 胴体表面の有効電解域に形成された金属膜を剥離して金属箔を形成するために用いられる陰極ドラムであって、前記陰極ドラムは前記金属膜の剥離を開始するためのリード材を備え、前記リード材は、前記胴体表面から結晶組織が繋がって前記胴体表面の有効電解域の一部を被うリード金属膜と、前記リード金属膜の前記陰極ドラムの回転方向の前方端部から結晶組織が繋がるとともに前記陰極ドラムから離れるリード金属箔と、を有し、前記リード金属膜の前記陰極ドラムの回転方向の後方領域には、前記リード金属膜の後方端に向かって厚さが小さくなる厚さ傾斜部を備える、金属箔製造用陰極ドラム。
  2. 前記リード金属膜の前記後方端の平均厚さが、3μm以上であるとともに、前記金属箔の平均厚さの70%以下である、請求項1に記載の金属箔製造用陰極ドラム。
  3. 前記リード金属膜の前記後方端の平均厚さが、5μm以上である、請求項2に記載の金属箔製造用陰極ドラム。
  4. 前記リード金属膜の平均厚さが、10μm以上50μm以下である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の金属箔製造用陰極ドラム。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の金属箔製造用陰極ドラムを用いて、前記リード金属膜を有する前記胴体表面の一部を陽極部材が浸漬された電解液中に浸漬し、かつ、前記リード金属箔の巻取り方向の前方端部を巻取りリールに固定し、前記胴体表面と前記陽極部材の間の通電により、前記電解液に浸漬された前記リード金属膜の前記後方領域を含む部分の表面上に第1金属膜を形成し、前記通電を継続するとともに、前記陰極ドラムおよび前記巻取りリールを回転して前記リード金属箔を引くことにより、前記リード金属膜を剥離して前記リード金属箔から繋がる第2リード金属箔を形成し、さらに、前記陰極ドラムおよび前記巻取りリールを回転して前記第2リード金属箔を引くことにより、前記第1金属膜を表面上に有する前記リード金属膜の前記後方領域を含む部分を前記胴体表面から剥離し、続いて、前記第1金属膜から繋がって前記胴体表面に形成された第2金属膜を前記胴体表面から連続的に剥離して形成した金属箔を前記巻取りリールに連続的に巻取る、金属箔の製造方法。

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