JP2015124423A - 電解アルミニウム箔、それを用いた電池用電極、及び蓄電デバイス、並びに電解アルミニウム箔の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
基材剥離面と析出面の面の粗さRaの差を0.2μm以下とすることができる。
この電解アルミニウム箔は、箔形成用めっき液に一部が浸漬した陰極ドラムと陽極板の間に電流を印加させ、前記陰極ドラムにアルミニウム電解膜を形成した後、剥離して得られたものであり、前記基材剥離面は、前記陰極ドラムの表面形態が転写された表面性状を維持しており、前記析出面は、箔形成用めっき液で形成された電解膜の表面性状を維持していることが好ましい。
これらの電解アルミニウム箔に活物質を塗布して電池用電極とすることができる。
電池用電極を用いて蓄電デバイスとすることができる。
また、製造方法に関する本発明は、箔形成用めっき液に一部が浸漬した陰極ドラムと陽極板の間に電流を印加させ、前記陰極ドラムにアルミニウム電解膜を形成した後、剥離することで得られる電解アルミニウム箔の製造方法において、陰極ドラムの面粗さRaを0.1μm以上0.6μm以下とし、かつ、アルミニウム電解膜を形成する際に、印加する電流を0.25A/dm2以上20A/dm2以下の条件で行い、両面の粗さRaを0.1μm以上0.6μm以下の範囲とすることを特徴とする。
電解アルミニウム箔を5μm以上の厚さとすることが好ましい。
用いる箔形成用めっき液は、少なくとも(1)ジアルキルスルホン、(2)アルミニウムハロゲン化物、および、(3)含窒素化合物を含むものとすることが好ましい。
用いる含窒素化合物は、ハロゲン化アンモニウム、第一アミンのハロゲン化水素塩、第二アミンのハロゲン化水素塩、第三アミンのハロゲン化水素塩、一般式:R1R2R3R4N・X(R1〜R4は同一または異なるアルキル基、Xは第四アンモニウムカチオンに対するカウンターアニオンを示す)で表される第四アンモニウム塩、含窒素芳香族化合物からなる群から選択される少なくとも1つとすることが好ましい。
また、薄く、かつ両面が同じ程度に粗化された電解アルミニウム箔を簡易に得るための製造方法を提供できる。
その結果、電解アルミニウム箔は、面粗さを大きくした基材(陰極ドラム)を用いると基材剥離面(以後、単に裏面とする)の粗さも大きくなる傾向はあるが、その粗さRaは0.6μmより大きくすることは製造上難しいことを知見した。
一方、陰極ドラムに接していない析出面(以後、単に表面とする)は電解膜が形成された時点で必ずある程度の粗さRaを有する。そのため、両面が同じ程度の粗さRaをもつ電解アルミニウム箔を従来と同じ簡易な製造工程で得るには、電解アルミニウム箔は、裏面の粗さRaに合わせて、表面の粗さRaを極力小さくなるように製造すべきであることを知見した。
具体的には、後述するように、表面と裏面の粗さRaは0.1μm単位で制御することができるので、両面の粗さRaの差が0.2μm以下の電解アルミニウム箔を得ることができる。
上記の電解アルミニウムを蓄電デバイスに用いることで、蓄電デバイスの放充電効率を安定させることができる。
本発明の電解アルミニウム箔の製造方法は、箔形成用めっき液に一部が浸漬した陰極ドラムと陽極板の間に電流を印加させ、前記陰極ドラムにアルミニウム電解膜を形成した後、剥離することで得られる電解アルミニウム箔の製造方法において、前記陰極ドラムの面粗さRaを0.1μm以上0.6μm以下とし、かつ、前記アルミニウム電解膜を形成する際に、印加する電流を0.25A/dm2以上20A/dm2以下の条件で行い、両面の粗さRaを0.1μm以上0.6μm以下の範囲とするものである。
成膜効率から言えば、電流密度は、1A/dm2以上とすることが好ましく、3A/dm2以上がさらに好ましい。表面の粗さRaを0.55μm以下に抑える場合は、15A/dm2以下が好ましく、0.50μm以下に抑える場合は、10A/dm2以下が好ましい。
前記の電解アルミニウム箔は、少なくとも(1)ジアルキルスルホン、(2)アルミニウムハロゲン化物、および、(3)含窒素化合物を含む箔形成用めっき液から電析により得ることが可能である。圧延法では製造が非常に困難である厚みが5μm以上20μm以下のアルミニウム箔を、電解法によって容易に製造することができる。箔形成用めっき液は、例えば、以下に記述するものを用いることができる。厚さは15μ以下とすることも可能である。
電気めっき処理の環境は、箔形成用めっき液の劣化を防いでその寿命の延長を図る観点から、乾燥雰囲気にすることが望ましい。
また、98.0mass%超であると、アルミニウム箔を電解法により製造する際、陰極上に形成されるアルミニウム膜が硬くなって延性が小さくなることを抑制でき、陰極からアルミニウム箔を引き剥がす際に割れてしまうという問題を回避しやすい。
また、陰極ドラムの面粗さも同様に算術平均粗さRaで算出した。
以後、粗さという場合には算術平均粗さRaを指すものとする。
(実施例1)
図11は、本実施形態に用いた電解アルミニウム箔製造装置を示す図であり、図12は図11の断面の模式図である。電解アルミニウム箔製造装置1(以下、装置1と略すことがある)は、蓋部1a、電解槽1b、陰極ドラム1c、陽極板1d、箔引出し口1f、加熱不活性ガスGを導入するガス供給口1g、天井部1k、直流電源(不図示)を備える。ガイドロール1e、ヒーター電源1h、ヒーター1i、電解液循環装置1j、撹拌流ガイド1m、撹拌羽根1nを備える。
電解槽1bには箔形成用めっき液Lが入れられる。また、箔形成用めっき液Lから揮発した水分が蓋部1aに付着して液滴となり、この液滴が箔形成用めっき液L中に落ちると液組成が変わって均一な箔にならなくなる恐れがあるので、蓋部1aの内部には加熱不活性ガスGが供給される。
まず、箔形成用めっき液に一部が浸漬した陰極ドラム1cと陽極板1dの間に電流を印加させる。このとき、陰極ドラム1cを回転させながら、陰極ドラム1c上にアルミニウム電解膜Fを析出させる。通電中、電解液Lは撹拌羽根1nの回転により撹拌され、撹拌流ガイド1mにより、陰極ドラム1cと陽極板1dとの間に電解液Lの流れを発生させている。電解液Lに浸漬している陰極ドラム1cの表面でアルミニウム電解膜が形成される。
陰極ドラム1cを回転すると、形成されたアルミニウム電解膜が液面上に露出し、また、新たに浸漬した陰極ドラム1cの表面でアルミニウム電解膜が形成されるので、連続的に形成された電解膜を形成できる。
剥がした電解アルミニウム箔Fの端部を剥離ガイドロール1eに誘導し、装置1の側面に形成される蓋部1aと電解槽1bとの隙間に形成された開閉可能な箔引出し口1fを開口し、装置1外部の方向に連続的に引出す。
めっきの条件は、電解液Lの処理温度を110℃とし、電流密度を5 A/dm2とした。陰極ドラムは、電解液Lに浸漬する時間が25分間となるように回転速度を調整した。得られた電解アルミニウム箔は、幅が200mm、長さが400mmとなるようにした。
陰極ドラムの表面をエッチング液により粗化した。エッチング液としてワールドメタル社製(商品名T−22)を用い、エッチング時間を0分、10分、12分、15分、17分、20分とし、陰極ドラムの面粗さを変えた。エッチング時間と陰極ドラムの面粗さの関係を図6に示す。なおエッチング液は温度が80℃、及び90℃の2種類を用いた。
各面粗さとしたそれぞれの陰極ドラムを用い、上記の図11、図12の電解アルミニウム箔製造装置により電解アルミニウム箔を製造した。
図1は、横軸が陰極ドラムの面粗さを示し、縦軸が電解アルミニウム箔の裏面の粗さを示すものである。
図3は陰極ドラムの周面(面粗さ0.33μm)の観察写真である。図4は電解アルミニウム箔の裏面(粗さ0.33μm)の観察写真である。陰極ドラムの面粗さが0.35μm以下の範囲では、電解アルミニウム箔の裏面は陰極ドラムの表面性状がほぼそのまま転写されるため、ほぼ同じ粗さになる。しかし、陰極ドラムの面粗さを粗くしていっても電解アルミニウム箔の裏面の粗さはさほど粗くならず、陰極ドラムの面粗さを0.6μmより粗くしても、裏面の粗さは0.6μm以下の範囲になっている。
また、陰極ドラムの面粗さが0.6μmを超えた場合は、アルミニウム電解膜を剥離する際に破れてしまうことが多く、電解アルミニウム箔を連続的に得ることはできなかった。
めっきの条件を、まずは電流密度を2A/dm2として、電解アルミニウム箔の表面の粗さを測定した。
電解液Lの処理温度は110℃とした。陰極ドラムはエッチング時間が0分(面粗さ0.08μm)のものを用いた。
陰極ドラムの表面に20μmの厚さになるまでアルミニウム電解膜を形成し、その後、電解アルミニウム箔を剥離した。得られた電解アルミニウム箔の表面は粗さが0.36μmであった。
その後、電流密度を5A/dm2,10A/dm2,15A/dm2,20A/dm2として同様に製造したところ、電流密度を大きくするにつれ表面の粗さも0.41μm,0.5μm,0.55μm,0.59μmと大きくなり、さらに電流密度を25A/dm2と高くした場合には粗さは0.6μmを超えて0.64μmとなった。
得られる電解アルミニウム箔の厚さを変え、この厚さによる表面の粗さの変化を観察した。
実施例1に対して陰極ロールの回転速度を調整し、それ以外は実施例1と同様にして電解アルミニウム箔を製造した。
図8にその結果を示す。また、その具体的な数値は表1に示す。箔の厚さが10〜25μmの範囲では、厚さが大きくなるほど表面の粗さも大きくなる傾向がある。一方、厚さが10μ以下の範囲では表面の粗さは0.2μm程度でほぼ一定となる。
なお表面の粗さは、実施例1の図7の結果、及び表1から、電流密度や厚さにより0.1m単位で十分に管理することができることがわかった。一方、裏面の粗さは、図1及び図6から、陰極ドラムのエッチング時間により0.1μm単位で十分に管理することができることがわかった。そのため、実施例1で示すように、表面と裏面の表面粗さの差を最大でも0.2μm以下、さらには0.1μm以下、さらには0.05μm以下に管理できる。
本発明の電解アルミニウム箔を蓄電デバイス用の正極集電体として利用した電解アルミニウム箔の適用製品を作製した。
実施例1で得た電解アルミニウム箔(表面の粗さ0.36μm、裏面の粗さ0.33μm)を正極集電体として利用し、その表面に正極活物質を塗布したものを正極として、図13に示す蓄電デバイスを作製した。また、図14は図13のA−A断面である。蓄電デバイス100は、筐体10の内部にフッ素化合物を含んだ有機電解液が充填され、その有機電解液中に電極ユニット8が浸漬された構成を有する。電極ユニット8は、薄い箔で帯状の正極11、負極12、セパレータ3を、正極−セパレータ−負極−セパレータの順に重ねて積層体とし、この積層体を倦回した構造である。筐体10は金属材料からなり、その内側には絶縁層4が形成されている。また、筐体10には外部機器との接続端子となる正極端子5と負極端子6が形成され、正極端子5と電極ユニット8の正極が、負極端子6と電極ユニット8の負極が、それぞれ電気的に接続されている。図14に示すように、正極11と負極12はセパレータ3によって物理的に隔離されているので両者は直接通電しない。しかしながら、セパレータ3は有機電解液7が透過しうる多孔質な材質からなり、正極11と負極12は有機電解液7を介して電気的に接続された状態である。
正極11は、電解アルミニウム箔を正極集電体とし、その表面に正極活物質としてLiMn2O4を塗布し、負極12は銅箔を負極集電体とし、その表面に負極活物質として黒鉛を塗布したものである。本発明の電解アルミニウム箔の裏面に正極活物質を塗布した正極と、表面に正極活物質を塗布した正極を作製した。表面、裏面とも活物質の塗布は作業性が良好であった。そして、蓄電デバイスの充電効率と放電効率を比較したが、どちらも同等の性能が得られた。
Claims (9)
- 基材剥離面と析出面とを有する電解アルミニウム箔であって、
両面の粗さRaが0.1μm以上0.6μm以下の範囲にあることを特徴とする電解アルミニウム箔。 - 前記基材剥離面と析出面の面の粗さRaの差が0.2μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の電解アルミニウム箔。
- 前記電解アルミニウム箔は、箔形成用めっき液に一部が浸漬した陰極ドラムと陽極板の間に電流を印加させ、前記陰極ドラムにアルミニウム電解膜を形成した後、剥離して得られたものであり、
前記基材剥離面は、前記陰極ドラムの表面形態が転写された表面性状を維持しており、
前記析出面は、箔形成用めっき液で形成された電解膜の表面性状を維持していることを特徴とする請求項1又は2に記載の電解アルミニウム箔。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の電解アルミニウム箔に活物質を塗布したことを特徴とする電池用電極。
- 請求項4に記載の電極を用いたことを特徴とする蓄電デバイス。
- 箔形成用めっき液に一部が浸漬した陰極ドラムと陽極板の間に電流を印加させ、前記陰極ドラムにアルミニウム電解膜を形成した後、剥離することで得られる電解アルミニウム箔の製造方法において、
前記陰極ドラムの面粗さRaを0.1μm以上0.6μm以下とし、
かつ、前記アルミニウム電解膜を形成する際に、印加する電流を0.25A/dm2以上20A/dm2以下の条件で行い、
両面の粗さRaを0.1μm以上0.6μm以下の範囲とすることを特徴とする電解アルミニウム箔の製造方法。 - 前記電解アルミニウム箔を5μm以上の厚さとすることを特徴とする請求項6に記載の電解アルミニウム箔の製造方法。
- 前記箔形成用めっき液は、少なくとも(1)ジアルキルスルホン、(2)アルミニウムハロゲン化物、および、(3)含窒素化合物を含むものとすることを特徴とする請求項6又は7に記載の電解アルミニウム箔の製造方法。
- 前記含窒素化合物は、ハロゲン化アンモニウム、第一アミンのハロゲン化水素塩、第二アミンのハロゲン化水素塩、第三アミンのハロゲン化水素塩、一般式:R1R2R3R4N・X(R1〜R4は同一または異なるアルキル基、Xは第四アンモニウムカチオンに対するカウンターアニオンを示す)で表される第四アンモニウム塩、含窒素芳香族化合物からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項8に記載の電解アルミニウム箔の製造方法。
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