JP2018059162A - 混銑車における溶銑の脱珪処理方法 - Google Patents

混銑車における溶銑の脱珪処理方法 Download PDF

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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Abstract

【課題】混銑車内の地金溶解による溶銑温度の低下を予測し、脱珪処理時の熱計算精度を向上させ、脱珪処理後に必要な溶銑温度を確保し、操業トラブルや脱硫効率の低下を抑制する混銑車における溶銑の脱珪処理方法を提供する。【解決手段】本発明は、混銑車にて溶銑に対して脱珪処理を行う際、事前準備として混銑車内の地金の位置特定と重量測定を行い、混銑車の空鍋時間を測定し、気体酸素と固体酸素を用いて溶銑の脱珪処理を行い、脱珪処理後の脱珪量、脱珪処理前後の溶銑温度変化を測定し、地金位置を複数パターンに区別し、脱珪量と気体酸素量と固体酸素量の関係(a)を求め、溶銑温度変化と地金重量と空鍋時間と気体酸素量と固体酸素量の関係(b)を求め、実操業にて混銑車内の地金の位置特定と重量測定を行い、混銑車の空鍋時間を測定し、地金位置を複数パターンに区別し関係(a)と関係(b)を用いて脱珪処理条件を決定しその条件に基づいて溶銑の脱珪処理を行う。【選択図】図1

Description

本発明は、混銑車において、その内部に装入されている溶銑に対して、脱珪処理を行う方法に関する。
従来より、高炉から出銑した溶銑を混銑車(トピードカー)に装入して、その混銑車にて溶銑に対して脱珪処理を行い、その後、機械撹拌式脱硫設備に払い出された溶銑に対して脱硫処理を行い、さらにその後、脱りん炉に装入された溶銑に対して、脱りん処理を行うといったフローで、溶銑の予備処理工程が行われている。
このような、溶銑の予備処理工程の中で、混銑車の内部に装入されている溶銑に対して、脱珪処理を行うする技術としては、例えば、特許文献1〜4に開示されているものがある。
特許文献1は、混銑車において、溶銑予備処理(脱珪処理)を行いつつ、付着物(地金)の溶解除去も行うことを目的としている。具体的には、混銑車内に付着した地金の重量を測定し、その測定した地金の重量が閾値を超えたところで、気体酸素を用いて脱珪処理を行うことで、脱珪処理を行い、且つ、地金を溶解して除去している。
特許文献2は、スラグから回収した地金を、溶銑予備処理(脱珪処理)において、溶銑に投入して、鉄源を回収する際の水蒸気爆発防止と未溶解防止を目的としている。具体的には、脱珪処理の熱計算に対して、投入する地金の溶解に要する熱量を織り込むことで、地金の未溶解を防ぐものとしている。
特許文献3は、溶銑予備処理(脱珪処理・脱りん処理)におけるスロッピングを防止することを目的としている。具体的には、混銑車の天井部に付着した地金を、気体酸素を用いて溶解させることによって、天井部のスラグの滞留を解消させることで、スロッピングを防止している。
特許文献4は、耐火物容器に付着したスラグと地金を効率良く除去することを目的としている。具体的には、空の状態となった混銑車内にコークスを投入するとともに、気体酸素を吹き付けて、その混銑車内に付着した地金を溶解させて除去している。
特開2013−023755号公報 特開2006−265623号公報 特開2008−297590号公報 特開平05−272878号公報
しかしながら、特許文献1〜4の技術に関し、以下に述べるような事例が生じる虞がある。
特許文献1では、混銑車内に付着した地金を溶解して除去した際に、その地金が付着していた位置によっては、溶銑温度低下への影響度が異なることがある。このような影響度を、熱計算する際に織り込まないと、脱珪処理後の溶銑温度が低くなってしまい、その低熱の影響で通常操業とは異なる操業となる可能性がある。
また、熱計算において、その計算精度にばらつきが仮にあったとして、それを許容して脱珪処理を行った場合、多く気体酸素を用いることになるため、混銑車内の耐火物に影響を与える可能性がある。
さて、特許文献2において、容器内に付着する地金は、脱りん処理又は脱珪処理で発生したスラグから回収されたものであって、その回収後に外部から混銑車の内部に投入されたものであるため、地金の溶解による溶銑温度低下への影響を一律に考慮しても良いが、混銑車内に付着した地金の位置によっては、溶銑温度低下への影響が異なってしまう。そのため、脱珪処理後の溶銑温度が低くなってしまい、その低熱の影響で操業トラブルが発生する虞がある。すなわち、特許文献2は、内部に付着した地金が溶解する場合を考慮した熱計算の技術に適用することができない。
特許文献3は、混銑車の天井部に付着した地金のみを対象とした技術であり、混銑車内のスラグライン近傍や底部に付着した地金の溶解が生じてしまうと、脱珪処理・脱りん処理時の熱計算の精度を悪化させることとなり、溶銑の低熱による操業トラブルを招く虞がある。また、熱計算精度が低いと、過剰な気体酸素を用いて脱珪処理を行うこととなり、混銑車内の耐火物の損傷を助長させることとなる。
特許文献4は、溶銑を受銑していない状態(空の状態)の混銑車において、内部に付着した地金を溶解する技術であり、溶銑予備処理(脱珪処理)において、内部に付着した地金が溶解する場合を考慮した熱計算の技術に、適用させることができない。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、混銑車にて脱珪処理を行うに際して、混銑車内に付着した地金の溶解による溶銑温度の低下を予測して、脱珪処理時の熱計算精度を向上させて、脱珪処理後に必要な溶銑温度を確保することで、後工程での溶銑低熱による操業トラブルや脱硫効率の低下を抑制することができる混銑車における溶銑の脱珪処理方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明にかかる混銑車における溶銑の脱珪処理方法は、混銑車において、受銑後の溶銑に対して脱珪処理を行うに際して、
i)脱珪処理の事前準備として、高炉にて溶銑を受銑する前に、空状態となっている脱珪処理前の前記混銑車の内部に付着している地金の位置を特定するとともに、当該地金の重量を測定し、前回の脱珪処理後の溶銑を出銑してから、前記高炉にて次の溶銑を受銑するまでの前記混銑車の空鍋時間を測定し、気体酸素及び固体酸素を用いて、受銑後の溶銑に対して脱珪処理を行い、脱珪処理後の脱珪量、及び、脱珪処理前と脱珪処理後における溶銑の温度変化を測定し、前記混銑車内に付着している前記地金の位置ごとに、複数のパターンに区別して、測定した前記脱珪量と、脱珪処理に用いた前記気体酸素量と、前記固体酸素量の関係(a)を求め、測定した前記脱珪処理前と脱珪処理後における溶銑の温度変化と、前記地金の重量と、前記混銑車の空鍋時間と、前記気体酸素量と、前記固体酸素量の関係(b)を求めておき、
ii)実操業において、高炉にて溶銑を受銑する前に、空状態となっている脱珪処理前の前記混銑車の内部に付着している地金の位置を特定するとともに、当該地金の重量を測定し、前回の脱珪処理後の溶銑を出銑してから、前記高炉にて次の溶銑を受銑するまでの前記混銑車の空鍋時間を測定し、前記混銑車内に付着している前記地金の位置ごとに、複数のパターンに区別して、前記脱珪処理の事前準備において求めておいた、前記関係(a)、及び、前記関係(b)を用いて、脱珪処理の条件を決定し、決定した前記脱珪処理の条件に基づいて、溶銑に対して脱珪処理を行うことを特徴とする。
本発明によれば、混銑車にて脱珪処理を行うに際して、混銑車内に付着した地金の溶解による溶銑温度の低下を予測して、脱珪処理時の熱計算精度を向上させて、脱珪処理後に必要な溶銑温度を確保することで、後工程での溶銑低熱による操業トラブルや脱硫効率の低下を抑制することができる。
混銑車における溶銑の脱珪処理の概略を模式的に示した図である。 混銑車の内部に付着した地金の位置を模式的に示した図である。 事前準備において、混銑車の内部に付着した地金の確認方法を模式的に示した図である。 混銑車の内部に付着した地金の重量の測定方法を模式的に示した図である。 混銑車において、処理後の溶銑の払い出しから、高炉で次の溶銑を受銑するまでの概略を模式的に示した図である。 混銑車の内部に付着した地金の位置を模式的に示した図である。 実操業において、混銑車の内部に付着した地金の確認方法を模式的に示した図である。 脱硫処理後の溶銑温度と脱硫効率の関係を示したグラフである。
以下、本発明にかかる混銑車における溶銑の脱珪処理方法の実施形態を、図を参照して説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。
従来より、高炉8から出銑した溶銑2を混銑車1(トピードカー)に装入して、その混銑車1にて溶銑2に対して脱珪処理を行い、その後、機械撹拌式脱硫設備に払い出された溶銑2に対して脱硫処理を行い、さらにその後、脱りん炉に装入された溶銑2に対して、脱りん処理を行うといったフローで、溶銑2の予備処理工程が行われている。
本発明は、溶銑予備処理工程のうち、溶銑搬送容器である混銑車1を反応容器として用いて、溶銑2に対して脱珪処理を行う方法を対象としている。
本発明は、混銑車1における溶銑2の脱珪処理において、混銑車1内に付着した地金7の位置を測定し、その付着位置ごとに、地金7の溶解による溶銑2の温度低下の影響度を区別して、その区別した溶銑温度低下の影響度を考慮して、脱珪処理の熱計算を行うこととしている。
まず、混銑車1における溶銑2の脱珪処理の概略について、図1を基に説明する。
図1に示すように、混銑車1にて溶銑2の脱珪処理を行うには、まず、高炉8から出銑した溶銑2を混銑車1の容器3に装入し、混銑車1にて脱珪処理を行うために当該混銑車1を脱珪ステーションに移動する。なお、この脱珪ステーションは、脱珪処理中に粉末状となったSiO2等を外部へ飛散することを防止するため、混銑車1を囲う建屋となっている。
その脱珪ステーションに移動した混銑車1は、容器3における開口部4に、気体酸素を溶銑2に吹くための吹付けランス5が挿入されるとともに、溶銑2内に浸漬させて精錬剤等を吹き込む浸漬ランス6が挿入される。
そして、吹付けランス5を用いて溶銑2に向けて気体酸素を吹き込むと共に、浸漬ランス6を用いて溶銑2にCaOや固体酸素を含む精錬剤を吹き込むことによって溶銑2の脱珪処理を行う。
すなわち、脱珪処理とは、溶銑2中のSiに気体酸素または酸化鉄(FeO,Fe2O3)から供給される固体酸素を反応させ、SiO2として溶銑2からSiを除去する溶銑予備処理のことである。
本発明の混銑車1における溶銑2の脱珪処理方法は、脱珪処理時に発生する熱による損失(熱ロス)、つまり溶銑温度の変化等のばらつきを予測し、脱珪処理後の溶銑温度を、操業上要求される温度以上に高めることを目的としている。
そこでまず、操業上の要求される溶銑温度を得るために、脱珪処理の条件を定めるための事前準備を行う。
脱珪処理の事前準備(i)として、高炉8にて溶銑2を受銑する前に、空状態となっている脱珪処理前の混銑車1の内部に付着している地金7の位置を特定するとともに、当該地金7の重量を測定する。
図2に示すように、混銑車1における容器3の内部には、溶銑2の一部が凝固することにより塊状となった、地金7が付着している。その付着した地金7には、いくらかのスラグが巻込まれている。
混銑車1における容器3の内部に付着している地金7の位置は、一定では無く、溶銑2が凝固したタイミングによって、容器3の天井部(図2の3)、容器3の側壁のスラグライン(図2の2)及び、容器3の底部(図2の1)などの位置に付着することなる。なお、図2に示す地金7の状態及び断面形状は、一例である。
ところで、容器3の内部に付着する地金7は、混銑車1の前後方向(混銑車1の走行方向に沿った方向)に伸びるように付着している。すなわち、容器3を垂直方向に断面視した場合、地金7の断面形状は、混銑車1の前後方向に、ほぼ同形状となっている。言い換えれば、何れの位置で、容器3を垂直方向に断面視しても、地金7の断面形状は、ほぼ同形状となっている。
このように、地金7の付着位置によっては、脱珪処理時の溶銑温度に及ぼす影響が異なってくる。すなわち、混銑車1における容器3の内部に付着した塊状の地金7は、溶銑2に対して非常に温度が低いので、高温の溶銑2に浸漬しているか否かで、溶銑温度に対しての影響度が異なってくる。
例えば、図2の位置1に示すように、混銑車1における容器3の底部に付着した地金7は、溶銑2に対して温度が低く、溶銑2中に浸漬していることから、溶銑2が容器3に装入されると、溶銑2の温度を低下させてしまう虞がある。つまり、地金7が容器3の底部に付着している場合、脱珪処理時における溶銑温度低下の影響度合いが大きいものとなる。
一方で、図2の位置3に示すように、混銑車1における容器3の天井部に付着した地金7は、溶銑2に浸漬していないことから、溶銑2が容器3に装入されても、溶銑2の温度が低下してしまう可能性は低い。つまり、地金7が容器3の天井部に付着している場合、脱珪処理時における温度低下の影響度合いは小さいものとなる。
なお、図2の位置2に示すように、容器3の側壁のスラグラインに付着した塊状の地金7は、溶銑2中に半分程度浸漬していることから、溶銑2が容器3に装入されると、溶銑2の温度を低下させてしまう可能性がある。つまり、地金7が容器3の側壁のスラグラインに付着している場合、脱珪処理時における溶銑温度低下の影響度合いが中程度のものとなる。
以上より、本発明では、容器3内に付着している地金7の位置を予め特定することとしている。これにより、脱珪処理時に発生する熱ロスによる溶銑温度の変化等のばらつきを予測することができ、脱珪処理後に必要とされる温度以上の溶銑温度を確保することができるようになる。
地金7の付着位置を特定するためには、図3に示すように、混銑車1を傾動させて溶銑2を払出した後、傾動させた状態のままで、容器3内をカメラ又は目視などによって、確認するとよい。なお、例示した地金7の付着位置の特定方法は、一例である。
そして、容器3内に付着している地金7の重量を測定する。
地金7の重量を測定する理由としては、付着している地金7の重量も脱珪処理時に発生する熱ロスに影響を及ぼすためである。故に、容器3内に付着している地金7の重量を、測定することとしている。
地金7の重量を測定する方法としては、例えば、高炉鋳床下に設けられているロードセル9等で、溶銑2が積載されていない混銑車1の重量を測定するとよい。なお、溶銑2が積載されていない(空状態の)混銑車1の重量を、風袋重量と呼ぶこととする。
ところで、図4に示すように、混銑車1における容器3内に配備された炉内(耐火)レンガは、定期的に、交換乃至は補修などの整備が行われている。このとき、容器3内の地金7は解体されて、外部に排出される。そして、炉内レンガは、必要に応じて新品に交換されたり、補修される。
従って、炉内レンガ整備後に、混銑車1を再稼働させる前に、容器3内に地金7が全く付着していない状態の混銑車1の風袋重量を測定した値を、地金7の重量を測定するための基準値として用いることする。
そして、再稼働後、混銑車1の風袋重量を測定を測定する。その測定した混銑車1の風袋重量と、予め規定した混銑車1の風袋重量の基準値との差を計算する。計算した結果を、地金7の重量の測定結果とする。
前回の脱珪処理後の溶銑2を出銑してから、高炉8にて次の溶銑2を受銑するまでの混銑車1の空鍋時間を測定する。
混銑車1の空鍋時間を測定する理由としては、混銑車1における容器3内の耐火レンガへの抜熱(耐火レンガの温度変化)も、脱珪処理時に発生する熱ロスに影響を及ぼす。
容器3内の耐火レンガの熱量は、溶銑2を払い出して、溶銑2を積載していない状態で経時的に減少することとなる。そのため、前回に溶銑2を払い出してから、高炉8にて次の溶銑2を受銑するまでの時間を空鍋時間として、測定する。
すなわち、混銑車1の空鍋時間は、下式で表される。
混銑車の空鍋時間(hour)=前回溶銑の払い出し完了時刻(hour)−高炉での受銑完了時刻(hour)
その後、気体酸素及び固体酸素を用いて、受銑後の溶銑2に対して脱珪処理を行う。
溶銑2の脱珪処理においては、「気体酸素と溶銑中珪素の反応:O2+[Si]=SiO2」、又は、「酸化鉄と溶銑中珪素の反応:2FeO+[Si]=SiO2+Fe」を利用する。なお、固体酸素とは、酸化鉄(FeOなど)から供給される酸素源のことである。
気体酸素については、吹付けランス5(上吹き酸素ランス)から溶銑表面に吹き付けるか、又は、浸漬ランス6を用いたインジェクション法を用いても構わない。本実施形態においては、吹付けランス5から溶銑表面に吹き付けることとしている(図1参照)。
固体酸素については、鉄鉱石や焼結鉱、又は、製鉄所内で発生するダストなどを用いた酸化鉄粉を、浸漬ランス6から溶銑2中にインジェクションする。なお、混銑車1の開口から固体酸素を上方投入しても構わない。
そして、脱珪処理後の脱珪量、及び、脱珪処理前と脱珪処理後における溶銑2の温度変化を測定する。
すなわち、脱珪処理前の溶銑温度と、脱珪処理後の溶銑温度を測定し、その測定した2つの値から、脱珪処理の前後における溶銑温度の温度変化ΔTを算出する。また、脱珪処理後の溶銑中[Si]濃度を測定し、その測定結果から脱珪処理後の脱珪量ΔSiのデータを求める。
図6に示すように、上で特定した混銑車1の容器3内に付着している地金7の位置ごとに、複数のパターンに区別しておく。本実施形態においては、6つパターンに分けている。なお、図6に示す地金7の状態及び断面形状は、一例である。
図6に示す付着位置(1)は、容器3の底部のみに地金7が付着しているパターンである。図6に示す付着位置(2)は、容器3の側壁のスラグラインのみに地金7が付着しているパターンである。図6に示す付着位置(3)は、容器3の天井部のみに地金7が付着しているパターンである。
図6に示す付着位置(4)は、容器3の底部、及び、スラグラインに地金7が付着しているパターンである。図6に示す付着位置(5)は、スラグライン、及び、天井部に地金7が付着しているパターンである。図6に示す付着位置(6)は、容器3の底部、スラグライン、及び、天井部、全てに地金7が付着しているパターンである。
測定した脱珪処理後の脱珪量と、脱珪処理に用いた気体酸素量と、固体酸素量の関係(a)を求めておく。
地金7の重量、混銑車1の空鍋時間、脱珪処理に用いた気体酸素量及び固体酸素量と、上で求めた脱珪処理後の脱珪量ΔSiのデータを重回帰することにより、地金7の付着位置のパターン毎に、関係(a)を示す式(1)を求める。
ΔSi=A×地金の重量+B×空鍋時間+C×気体酸素量+D×固体酸素量+E・・・(1)
なお、脱珪処理前における溶銑2の成分測定は、省略しても構わない。この溶銑2の成分測定を省略した場合、高炉8における出銑Si成分値を代用するとよい。
また、地金7の重量、混銑車1の空鍋時間については、脱珪処理後の脱珪量ΔSiに大きく影響を及ぼさないと判断した場合は、説明変数に含めなくても構わない。
測定した脱珪処理前と脱珪処理後における溶銑2の温度変化と、地金7の重量と、混銑車1の空鍋時間と、脱珪処理に用いた気体酸素量、及び、固体酸素量の関係(b)を求めておく。
地金7の重量、混銑車1の空鍋時間、脱珪処理に用いた気体酸素量及び固体酸素量と、上で求めた脱珪処理の前後における溶銑温度の温度変化ΔTのデータを重回帰することにより、地金7の付着位置のパターン毎に、関係(b)を示す式(2)を求める。
ΔT=A'×地金の重量+B'×空鍋時間+C'×気体酸素量+D'×固体酸素量+E'・・・(2)
なお、脱珪処理前における溶銑温度の測定は、省略しても構わない。この溶銑2の温度測定を省略した場合、高炉8の出銑温度と出銑後の経過時間から、溶銑温度の推定値を計算し、その推定値を脱珪処理前の溶銑温度として代用する。
実際の脱珪処理(ii)の操業において、高炉8にて溶銑2を受銑する前に、空状態となっている脱珪処理前の混銑車1の内部に付着している地金7の位置を特定する。
上記で区別し定めた地金7の付着位置によって区別される、脱珪処理後の脱珪量ΔSiと、脱珪処理の前後における溶銑温度の温度変化ΔTを、推定する式(1)、(2)を用いて求めて、実操業に適用させる。
図7に示すように、実操業における、容器3内の地金7の付着位置を特定については、出銑した後、容器3を傾動させた状態のままで、目視やカメラなどにより行う。
また、容器3内に付着している地金7の重量を測定する。
稼働後の混銑車1の風袋重量を測定し、その測定値と風袋重量の基準値との差を計算する、算出した値を地金7の重量とする。なお上でも述べたが、炉内レンガの交換・補修後に、再稼働させた混銑車1の初回の風袋重量を基準値とする。
前回の脱珪処理後の溶銑2を出銑してから、高炉8にて次の溶銑2を受銑するまでの混銑車の空鍋時間を測定する。
そして、混銑車1の容器3内に付着している地金7の位置ごとに、複数のパターンに区別する。また、脱珪処理の事前準備の段階で求めておいた、関係(a)を示す式(1)、及び、関係(b)を示す式(2)を用いて、脱珪処理の条件を決定する。その決定した脱珪処理の条件に基づいて、溶銑2に対して脱珪処理を行う。
詳しくは、脱珪処理前の溶銑温度、脱珪処理前の溶銑中[Si]濃度を測定する。続いて、脱珪処理後の溶銑目標温度、脱珪処理後の溶銑中[Si]濃度を決定する。
以上より、脱珪処理後の脱珪量ΔSi、脱珪処理の前後における溶銑温度の温度変化ΔTが決定される。
地金7の付着位置のパターン別に規定した式(1)、式(2)を用いて、気体酸素量、及び、固体酸素量を求める。
ΔSi=A×地金の重量+B×空鍋時間+C×気体酸素量+D×固体酸素量+E・・・(1)
ΔT=A'×地金の重量+B'×空鍋時間+C'×気体酸素量+D'×固体酸素量+E'・・・(2)
このように求めた気体酸素量と固体酸素量に基づいて、溶銑2に対して脱珪処理を行う。
[実施例]
以下に、本発明にかかる混銑車1における溶銑2の脱珪処理方法に基づいて行った、実施例について、説明する。
まず、脱珪処理の条件を定めるための事前準備(i)を、下記に示す工程に従って行った。なお、事前準備においては、混銑車1における脱珪処理の条件を定めるための関係式を求める。
混銑車1の容器3を「溶銑容器」とした。その溶銑量を、250〜320(ton)とした。また、溶銑鍋の溶銑量を、230〜275(ton) とした。
混銑車1の容器3内に付着した地金7の影響によって、脱珪処理後の溶銑温度を想定よりも低下させてしまうので、実操業上で求められる、溶銑鍋内における溶銑温度を確保することができない。これにより、溶銑鍋内の地金7付きによる操業トラブルを生じさせてしまうこととなる。
脱珪処理の再処理を行うことで、溶銑温度の低下による溶銑鍋内の地金7付きを回避することができるが、溶銑物流の工程阻害を生じさせてしまい、生産の損失が発生する(生産性が低下する)こととなる。
また毎回、脱珪処理の条件を定める際に、混銑車1の容器3内に付着した地金7の影響を予め織り込んでおくことで、溶銑温度の低下による溶銑鍋内の地金7付きを回避することができるが、混銑車1における脱珪処理時において、気体酸素を過剰に使用してしまうこととなるため、混銑車1の容器3内に配備されている耐火物の損傷及び損傷促進や、溶銑2の製造コストの上昇など、実操業及び事業上の不利益が生じてしまうこととなる。
混銑車1の容器3を傾動させて、前回の脱珪処理後の溶銑2を排出させた後、混銑車1の容器3を傾動させた状態のままで、空状態の混銑車1の容器3内に付着している地金7の付着位置を、目視により特定した(図3参照)。なお、地金7の付着位置によって異なる地金7の溶解メカニズムを、図2に示している。
混銑車1の容器3内に付着した地金7は、図2に示すように付着位置によっては、脱珪処理での溶銑2の温度変化に及ぼす影響が異なる。そのため、脱珪処理の条件を定めるための関係式を求めるための事前準備において、混銑車1の容器3内の地金7の付着位置を測定した。
高炉8下に配備されているロードセル9を用いて、混銑車1の容器3内に付着している地金7の重量を測定した。地金7の重量を測定する際の基準値としては、過去に行った当該混銑車1の整備時において、容器3内の地金7を除去し、耐火物を修理した後の風袋重量を用いた。その過去の整備実績から設定した基準値と、今回測定した当該混銑車1の風袋重量との差を、付着した地金7の重量とした「地金の重量=混銑車総重量(ton)−基準値(ton)」。
混銑車1の容器3内に付着した地金7は重量によっては、脱珪処理での溶銑2の温度変化に及ぼす影響が異なる。そのため、脱珪処理の条件を定めるための関係式を求めるための事前準備において、混銑車1の容器3内の地金7の重量を測定した。
前回行った脱珪処理後において、混銑車1から溶銑2の払出しを完了した時刻と、高炉8にて混銑車1が、次の溶銑2の受銑を完了した時刻との差を、空鍋時間として測定した。
混銑車1の空鍋時間が増加する(空状態が続く)と、混銑車1の容器3内に配備されている耐火物の熱量が大きく低下することとなる。その耐火物の熱量が低下した状態で、次の溶銑2を受銑すると、その溶銑2の熱量が容器3内の耐火物に奪われることとなる。これにより、混銑車1の容器3内における溶銑2の温度低下が大きくなってしまう。そのため、脱珪処理の条件を定めるための関係式を求めるための事前準備において、混銑車1の空鍋時間を測定した。
次に、上吹き酸素ランス5を用いて、混銑車1の容器3内の溶銑面上に気体酸素を吹き付けた。また、耐火物で被覆した浸漬ランス6を用いて固体酸素として、酸化鉄ダストや焼結鉱などによる酸化鉄源を溶銑中に吹き込んだ。さらに、スロッピングの防止を目的に、スラグの塩基度を調整するために、石灰源も同時に吹き込んだ。
気体酸素量及び固体酸素量と、溶銑2の脱珪量及び溶銑2の温度変化の関係を求めるため、以下に示す条件で実験を行った。なお、気体酸素及び固体酸素量においては、複数の条件を設定した。
混銑車1における脱珪処理の条件としては、
「固体酸素」
・酸化鉄系ダスト・O2=0.140(Nm3/kg)
・浸漬ランス6の浸漬深さ:900〜1200(mm)
・浸漬ランス6のノズル孔:2孔
・吹込み速度:200〜400(kg/min)
「気体酸素」
・O2流量:30〜70(Nm3/min)
・上吹き酸素ランス5の高さ:1,400〜1,600(mm)
・上吹き酸素ランス5のノズル孔:2孔×15度
とした。
脱珪処理の条件を定めるための関係式を求めるために、気体酸素及び固体酸素を用いた脱珪反応による溶銑2の温度変化、及び、溶銑2の脱珪量を定量化した。これらの定量化ができていない場合、脱珪処理後の溶銑温度を十分に確保することができない。このように、脱珪処理後の溶銑温度が確保されていないと、溶銑温度の低下による操業トラブルを引き起こしてしまう虞がある。
脱珪処理後の溶銑温度を確保するため、測温プローブとサンプラーを用いて、脱珪処理前の溶銑温度と、脱珪処理後の溶銑温度と、溶銑中[Si]濃度から、溶銑温度の温度変化ΔTと、脱珪処理後の脱珪量ΔSiを測定した。
以下に、機械撹拌式による脱硫処理の条件を示す。
「撹拌インペラ」
・回転数:100〜150(rpm)
・撹拌インペラの浸漬深さ:1300〜1700(mm)
「脱硫剤」
・焼石灰粉:粒径3.0(mm)以下
・アルミ灰:M.Al:10〜20(mass%)、粒径3.0(mm)以下
とした。
測温サンプリングの条件として、混銑車1における脱珪処理においては、混銑車1の開口部4(炉口)下の溶銑2に、サンプラーを浸漬させて、サンプル採取を行った。なお、測温サンプラーによって温度測定も同位置である。成分分析については、蛍光X線分析法を用いた。
機械撹拌式による脱硫処理においては、脱硫処理終了後の溶銑鍋内にサンプラーを浸漬させて、サンプル採取を行った。なお、測温サンプラーによって温度測定も同位置である。成分分析については、蛍光X線分析法を用いた。
図6に示すように、地金7の付着位置については、6つのパターンに区別した。
地金7が溶銑2中に浸漬している割合によっては、溶銑2の温度降下に及ぼす影響が異なる。そのため、本実施例においては、主な6パターン(図6の位置(1)〜(6))に、地金7の付着位置を区別した。このように、地金7の付着位置をパターンごとに区別をしない場合、脱珪処理時の熱計算精度が悪化してしまうため、脱珪処理後の溶銑低熱による操業トラブルを引き起こしてしまう虞がある。
地金7の重量、混銑車1の空鍋時間、気体酸素量、固体酸素量、脱珪処理後の脱珪量ΔSiのデータを、地金7の付着位置を(1)〜(6)に区別して、重回帰することにより、関係(a)を示す式(1)を求めた。
表1は、付着位置のパターン(1)〜(3)における、地金7の重量、混銑車1の空鍋時間、気体酸素量、固体酸素量、脱珪処理前と後の溶銑中[Si]濃度、脱珪処理前と後の溶銑温度、溶銑温度の温度変化ΔT、脱珪処理後の脱珪量ΔSiを示した表である。
表2は、付着位置のパターン(4)〜(6)における、地金7の重量、混銑車1の空鍋時間、気体酸素量、固体酸素量、脱珪処理前と後の溶銑中[Si]濃度、脱珪処理前と後の溶銑温度、溶銑温度の温度変化ΔT、脱珪処理後の脱珪量ΔSiを示した表である。
ΔSi=A×地金の重量+B×空鍋時間+C×気体酸素量+D×固体酸素量+E・・・(1)
表3は、地金7の付着位置によって区別した、脱珪処理後の脱珪量ΔSiに関わる関係式(式(1))の係数(A〜E)を示した表である。
式(1)を求めておかないと、脱珪処理時に必要な脱珪量を得るための気体酸素量と固体酸素量を定めることができないので、必要な脱珪量を求めることができない。
また、地金7の重量、空鍋時間、気体酸素量、固体酸素量、溶銑温度の温度変化ΔTのデータを、地金7の付着位置をパターン(1)〜(6)に区別して、重回帰することにより、関係(b)を示す式(2)を求めた。
ΔT=A'×地金の重量+B'×空鍋時間+C'×気体酸素量+D'×固体酸素量+E・・・(2)
表4は、地金7の付着位置によって区別した、溶銑温度の温度変化ΔTに関わる関係式(式(2))の係数(A'〜E')を示した表である。
式(2)を求めておかないと、脱珪処理時の熱計算精度が悪化するので、脱珪処理後の溶銑低熱による操業トラブルを引き起こす虞がある。
上で詳しく述べた事前準備(i)において、求めた式(1)、式(2)を用いて、実操業(ii)、すなわち脱珪処理を行った。
まず、混銑車1の容器3を傾動させて、溶銑2の払い出しを完了させた後、その容器3内を目視した。目視したところ、地金7の付着位置はパターン(1)に該当することがわかった。そして、地金7の付着位置をパターン(1)に特定した。
混銑車1の容器3内に付着した地金7は付着位置によっては、脱珪処理での溶銑2の温度変化に及ぼす影響が異なる。そのため、地金7の位置の影響を、脱珪処理の熱計算に織り込まないと、計算精度が悪化することとなる。
高炉8下に配備されているロードセル9を用いて、当該混銑車1の風袋重量を測定したところ、345(ton)であった。
一方で、混銑車1の容器3内の耐火物(耐火レンガ)を張り替えて再稼働させた後、混銑車1の風袋重量を測定した。その混銑車1の風袋重量(基準値)は、310(ton)であった。これらより、容器3内に付着している地金7の重量は、35(ton)であった(表5の実施例1参照)。
地金7の重量を測定しないと、脱珪処理時の熱計算精度が悪化することとなり、溶銑2の低熱トラブルを引き起こす虞がある。
前回行った脱珪処理の後における溶銑2の払出完了時刻は、「10:30」であった。また、高炉8における溶銑2の受銑完了時刻は、「15:30」であった。これらより、混銑車1の空鍋時間は、5.00(hour)であった(表5の実施例1参照)。
混銑車1の空鍋時間を測定しないと、脱珪処理時の熱計算精度が悪化することとなり、溶銑2の低熱トラブルを引き起こす虞がある。
例えば、図6の付着位置(1)〜(6)のような地金7の付着位置に、応じた計算式を用いないと、脱珪処理時の熱計算精度が悪化することとなり、溶銑2の低熱トラブルを引き起こす虞がある。
地金7の付着位置を特定したことにより、式(1)の係数(A〜E)、及び、式(2)の係数(A'〜E')を決定した(表5の実施例1参照)。
ΔSi=−0.001×地金の重量+0.004×空鍋時間+0.047×気体酸素量+0.060×固体酸素量+0.013・・・(1)
ΔT=−2.1×地金の重量−2.1×空鍋時間+20.4×気体酸素量−25.1×固体酸素量+1.6・・・(2)
これにより、必要とする脱珪量が求まる。
脱珪処理前の溶銑温度、溶銑中[Si]濃度を測定した。測定したところ、脱珪処理前温度=1365℃、脱珪処理前の溶銑中[Si]濃度=0.55mass%であった。次に、脱珪処理後の目標溶銑中[Si]濃度を0.20mass%とした。また、脱珪処理後の目標溶銑温度を1403℃とした。なお、これらの測定値、目標値等は、表5の実施例1に示している。
脱硫効率を高めるためには、脱硫処理後の溶銑温度を1320℃程度確保することが好ましく、溶銑2の温度降下を織込んだ上で、それらの目標値を決定した(図8参照)。
脱珪処理後の目標溶銑温度は、以下に示す(1)〜(3)に従って決定した。
(1)混銑車1での溶銑輸送中で生じる放熱として、
温度低下係数0.20(℃/分)×リードタイム140(分)=28℃
(2)溶銑鍋への払出し時に生じる放熱として、14.5℃
(3)KR脱硫処理で生じる放熱として、40℃
(1)〜(3)の合計=82.5℃
これらより、1320℃+82.5℃=1402.5℃と求められ、これから脱珪処理後の目標溶銑温度を1403℃とした。
以上より、脱珪処理後の脱珪量ΔSiと溶銑温度の温度変化ΔTを決定した(表5の実施例1参照)。
・ΔSi=0.35mass%(=脱珪処理前の溶銑中[Si]濃度:0.55mass%−脱珪処理後の目標溶銑中[Si]濃度:0.20mass%)
・ΔT=37.5℃(=脱珪処理後の目標溶銑温度:1403℃−脱珪処理前の溶銑温度:1365℃)
そして、式(1)にΔSi=0.35mass%を代入し、式(2)にΔT=37.5℃を代入して、連立方程式を解いたところ、気体酸素量=6.5Nm3/t、固体酸素量=0.5Nm3/tと求まった(表5の実施例1参照)。
脱珪処理後の目標溶銑中[Si]濃度を0.20mass%以下とすると、フリーボードの小さい混銑車1においては、スロッピングしてしまうリスクが発生してしまう虞がある。
また、脱硫処理後の溶銑温度を1320℃以上確保しておかないと、脱硫効率のばらつきが大きくなってしまい、適正な脱硫処理を行うことができなくなる虞がある。
そこで、6.5Nm3/tの気体酸素と、0.5Nm3/tの固体酸素に相当する酸化鉄源として、酸化鉄系ダストを3.8kg/t(=0.6Nm3/t÷ダスト中酸素濃度0.13Nm3/kg)を使用して、脱珪処理を行った。
すると、脱珪処理後の溶銑中[Si]濃度が0.21mass%となり、脱珪処理後の溶銑温度が1403℃となった(表5の実施例1参照)。
表5の実施例1に示すように、脱硫処理後の溶銑温度は1332℃となり、脱硫効率η=0.31(-)となり、安定した脱硫効率を得ることができた。また、後工程である脱硫処理後の溶銑中[S]濃度が0.001mass%となり、適正な脱硫量を確保することができた。
また同様に、地金7の付着位置パターン(2)〜(6)の場合の実験結果(実施例2〜6)と、本発明で示した式(1)、式(2)を用いずに脱珪処理を行った比較例1〜6について、表5、表6及び、図8にまとめてある。
実施例2〜6に示すように、地金7の付着位置パターン(2)〜(6)であっても、本発明に従って行えば、脱硫処理後の溶銑温度を十分に確保することができるので、操業トラブルを防止し、且つ、脱硫効率の低下を抑制することができるようになる。
本発明の混銑車1における溶銑2の脱珪処理方法によれば、混銑車1の容器3内に付着した地金7が溶解することによる、脱珪処理時の溶銑温度の低下を予測することで、脱珪処理時の熱計算精度を向上させ、後工程での溶銑低熱による操業トラブルを未然に防止することができる。また、本発明によれば、溶銑温度を必要以上に確保することができるので、脱硫効率の低下を未然に防止することができ、安定的な操業を実現することができる。
すなわち、本発明によれば、混銑車1にて脱珪処理を行うに際して、混銑車1内に付着した地金7の溶解による溶銑温度の低下を予測して、脱珪処理時の熱計算精度を向上させて、脱珪処理後に必要な溶銑温度を確保することで、後工程での溶銑低熱による操業トラブルや脱硫効率の低下を抑制することができる。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。
特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
1 混銑車
2 溶銑
3 容器
4 開口部
5 吹付けランス(上吹き酸素ランス)
6 浸漬ランス
7 地金
8 高炉
9 ロードセル

Claims (1)

  1. 混銑車において、受銑後の溶銑に対して脱珪処理を行うに際して、
    i)脱珪処理の事前準備として、
    高炉にて溶銑を受銑する前に、空状態となっている脱珪処理前の前記混銑車の内部に付着している地金の位置を特定するとともに、当該地金の重量を測定し、
    前回の脱珪処理後の溶銑を出銑してから、前記高炉にて次の溶銑を受銑するまでの前記混銑車の空鍋時間を測定し、
    気体酸素及び固体酸素を用いて、受銑後の溶銑に対して脱珪処理を行い、
    脱珪処理後の脱珪量、及び、脱珪処理前と脱珪処理後における溶銑の温度変化を測定し、
    前記混銑車内に付着している前記地金の位置ごとに、複数のパターンに区別して、
    測定した前記脱珪量と、脱珪処理に用いた前記気体酸素量と、前記固体酸素量の関係(a)を求め、
    測定した前記脱珪処理前と脱珪処理後における溶銑の温度変化と、前記地金の重量と、前記混銑車の空鍋時間と、前記気体酸素量と、前記固体酸素量の関係(b)を求めておき、
    ii)実操業において、
    高炉にて溶銑を受銑する前に、空状態となっている脱珪処理前の前記混銑車の内部に付着している地金の位置を特定するとともに、当該地金の重量を測定し、
    前回の脱珪処理後の溶銑を出銑してから、前記高炉にて次の溶銑を受銑するまでの前記混銑車の空鍋時間を測定し、
    前記混銑車内に付着している前記地金の位置ごとに、複数のパターンに区別して、
    前記脱珪処理の事前準備において求めておいた、前記関係(a)、及び、前記関係(b)を用いて、脱珪処理の条件を決定し、
    決定した前記脱珪処理の条件に基づいて、溶銑に対して脱珪処理を行う
    ことを特徴とする混銑車における溶銑の脱珪処理方法。
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