JP2018058540A - ブレーキ装置およびブレーキ装置の制御方法 - Google Patents

ブレーキ装置およびブレーキ装置の制御方法 Download PDF

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Yusuke Watanabe
祐介 渡邉
周彦 東
Tadahiko Higashi
周彦 東
大樹 園田
Daiki Sonoda
大樹 園田
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Abstract

【課題】 油撃の発生を抑制できるブレーキ装置およびブレーキ装置の制御方法を提供する。【解決手段】 ブレーキ装置1は、ブレーキ液を吐出するポンプ7と、ポンプ7とホイルシリンダ8とを接続する接続液路(吐出液路16,16P,16Sおよび第1液路11a〜11d)と、接続液路に設けられ、接続液路のポンプ側とホイルシリンダ側との連通を遮断可能な連通弁26と、連通弁26の閉弁状態において、ポンプ7を作動させて連通弁26に対してポンプ側の接続液路の液圧がホイルシリンダ8の液圧となるようにした後に、連通弁26を開弁状態へ作動させるECU100と、を備える。【選択図】 図1

Description

本発明は、ブレーキ装置およびブレーキ装置の制御方法に関する。
従来のブレーキ装置では、ポンプとホイルシリンダとを接続する接続液路に設けられた連通弁を閉弁方向に制御し、ホイルシリンダの液圧を系統毎に保持している(例えば特許文献1)。
特開2015-182631号公報
しかし、上記従来技術では、ホイルシリンダの液圧を保持した後、連通弁を開弁する際、連通弁の前後差圧により油撃が生じ、異音や振動が発生するという問題があった。
本発明の目的の一つは、油撃の発生を抑制できるブレーキ装置およびブレーキ装置の制御方法を提供することにある。
本発明の一実施形態におけるブレーキ装置は、連通弁の閉弁状態において、ポンプを作動させることによって連通弁に対してポンプ側の接続液路の液圧がホイルシリンダの液圧となるようにした後に、連通弁を開弁状態へ作動させる。
よって、本発明によれば、油撃の発生を抑制できる。
実施形態1のブレーキ装置1の液圧回路を含む概略構成を示す図である。 実施形態1のECU100の制御ブロック図である。 実施形態1の制御モード選択処理の流れを示すフローチャートである。 実施形態1の倍力制御モードから保持制御モードへのモード遷移時の処理の流れを示すフローチャートである。 実施形態1の保持制御モードから倍力制御モードへのモード遷移時の処理の流れを示すフローチャートである。 実施形態1の油撃抑制作用を示すタイムチャートである。 実施形態2のブレーキ装置1の液圧回路を含む概略構成を示す図である。 実施形態2の保持制御モードから倍力制御モードへのモード遷移時の処理の流れを示すフローチャートである。
〔実施形態1〕
図1は、実施形態1のブレーキ装置1の液圧回路を含む概略構成を示す図である。
ブレーキ装置1は、電動車両に好適な液圧式ブレーキ装置である。電動車両は、車輪を駆動する原動機として、エンジンおよびモータジェネレータを備えたハイブリッド車、またはモータジェネレータのみを備えた電気自動車等である。なお、エンジンのみを駆動力源とする車両にブレーキ装置1を適用してもよい。
ブレーキ装置1は、車両の各車輪FL〜RRに設けられたホイルシリンダ8にブレーキ液を供給しブレーキ液圧(ホイルシリンダ圧Pw)を発生させる。ホイルシリンダ8は、ホイルシリンダ圧Pwに応じて摩擦部材を移動させ、摩擦部材を車輪側の回転部材に押し付けて摩擦力を発生させる。これにより、各車輪FL〜RRに液圧制動力を付与する。ホイルシリンダ8は、ディスクブレーキ機構における油圧式ブレーキキャリパのシリンダのほか、ドラムブレーキ機構のホイルシリンダであってもよい。ブレーキ装置1は、2系統、すなわちプライマリ系統(以下、P系統という。)およびセカンダリ系統(以下S系統という。)のブレーキ配管を有し、例えばX配管形式を採用している。なお、前後配管等、他の配管形式を採用してもよい。以下、P系統に対応して設けられた部材とS系統に対応する部材とを区別する場合は、それぞれの符号の末尾に添字P,Sを付す。
ブレーキペダル2は、ドライバのブレーキ操作の入力を受けるブレーキ操作部材である。ブレーキペダル2はいわゆる吊り下げ型であり、その基端が軸201によって回転自在に支持されている。ブレーキペダル2の先端にはドライバが踏み込む対象となるパッド202が設けられている。ブレーキペダル2の軸201とパッド202との間における基端側には、プッシュロッド2aの一端が、軸203によって回転自在に接続されている。
マスタシリンダ3は、ドライバによるブレーキペダル2の操作(ブレーキ操作)により作動して、ブレーキ液圧(マスタシリンダ圧Pm)を発生する。なお、ブレーキ装置1は、車両のエンジンが発生する吸気負圧を利用してブレーキ操作力(ブレーキペダル2の踏力F)を倍力ないし増幅する負圧式の倍力装置を備えていない。これにより、ブレーキ装置1の小型化を可能にしている。
マスタシリンダ3は、プッシュロッド2aを介してブレーキペダル2に接続されると共に、リザーバタンク4からブレーキ液が補給される。リザーバタンク4は、ブレーキ液を貯留するブレーキ液源であり、大気圧に開放される低圧部である。リザーバタンク4の内部における底部側(鉛直方向下側)は、所定の高さを有する複数の仕切部材により、プライマリ液圧室用空間41Pと、セカンダリ液圧室用空間41Sと、ポンプ吸入用空間42とに区画(画成)されている。マスタシリンダ3は、タンデム型であり、ブレーキ操作に応じて軸方向に移動するマスタシリンダピストンとして、プライマリピストン32Pとセカンダリピストン32Sとを直列に備えている。プライマリピストン32Pはプッシュロッド2aに接続される。セカンダリピストン32Sはフリーピストン型である。
ブレーキペダル2には、ストロークセンサ90が設けられている。ストロークセンサ90はブレーキペダル2の変位量(ペダルストロークS)を検出する。なお、ストロークセンサ90をプッシュロッド2aやプライマリピストン32Pに設けてもよい。ペダルストロークSは、プッシュロッド2aないしプライマリピストン32Pの軸方向変位量(ストローク量)にブレーキペダルのペダル比Kを乗じたものに相当する。ペダル比Kは、プライマリピストン32Pのストローク量に対するペダルストロークSの比率であり、所定の値に設定される。ペダル比Kは、例えば、軸201から軸203までの距離に対する、軸201からパッド202までの距離の比により算出できる。
ストロークシミュレータ5は、ドライバのブレーキ操作に応じて作動する。ストロークシミュレータ5は、ドライバのブレーキ操作に応じてマスタシリンダ3の内部から流出したブレーキ液がストロークシミュレータ5内に流入することで、ペダルストロークSを発生させる。マスタシリンダ3から供給されたブレーキ液によりストロークシミュレータ5のピストン52がシリンダ50内を軸方向に作動する。これにより、ストロークシミュレータ5はドライバのブレーキ操作に伴う操作反力を生成する。
液圧制御ユニット6は、ドライバによるブレーキ操作とは独立にブレーキ液圧を発生可能な制動制御ユニットである。電子制御ユニット(以下、ECUという。)100は、液圧制御ユニット6の作動を制御するコントロールユニットである。液圧制御ユニット6は、リザーバタンク4またはマスタシリンダ3からブレーキ液の供給を受ける。液圧制御ユニット6は、ホイルシリンダ8とマスタシリンダ3との間に設けられており、各ホイルシリンダ8にマスタシリンダ圧Pmまたは制御液圧を個別に供給可能である。
液圧制御ユニット6は、制御液圧を発生するための液圧機器として、ポンプ7のモータ7aおよび複数の制御弁(連通弁26等)を有する。ポンプ7は、マスタシリンダ3以外のブレーキ液源(リザーバタンク4等)からブレーキ液を吸入し、ホイルシリンダ8に向けて吐出する。ポンプ7は、例えばプランジャポンプやギヤポンプを用いる。ポンプ7は両系統で共通に用いられ、同一の駆動源としての電動式のモータ(回転電機)7aにより回転駆動される。モータ7aとして、例えばブラシ付きモータを用いる。連通弁26等は、制御信号に応じて開閉動作し、第1液路11等の連通状態を切り替える。これにより、ブレーキ液の流れを制御する。液圧制御ユニット6は、マスタシリンダ3とホイルシリンダ8との連通を遮断した状態で、ポンプ7が発生する液圧によりホイルシリンダ8を加圧可能である。また、液圧制御ユニット6は、ポンプ7の吐出圧等、各所の液圧を検出する液圧センサ91,92を備えている。
ECU100には、ストロークセンサ90および液圧センサ91,92から送られる検出値、車両側から送られる走行状態に関する情報が入力される。ECU100は、これら各種情報に基づき、内蔵されるプログラムに従って情報処理を行う。また、この処理結果に従って液圧制御ユニット6の各アクチュエータに指令信号を出力し、これらを制御する。具体的には、連通弁26等の開閉動作や、モータ7aの回転数(すなわちポンプ7の吐出量)を制御する。これにより各車輪FL〜RRのホイルシリンダ圧Pwを制御することで、各種ブレーキ制御を実現する。例えば、倍力制御、アンチロック制御、車両運動制御のためのブレーキ制御、自動ブレーキ制御および回生協調ブレーキ制御等を実現する。
倍力制御は、ドライバのブレーキ操作力では不足する液圧制動力を発生してブレーキ操作を補助する。アンチロック制御は、制動による車輪FL〜RRのスリップ(ロック傾向)を抑制する。車両運動制御は、横滑り等を防止する車両挙動安定化制御である。自動ブレーキ制御は、先行車追従制御等である。回生協調ブレーキ制御は、回生ブレーキと協調して目標減速度(目標制動力)を達成するようにホイルシリンダ圧Pwを制御する。
次に、マスタシリンダ3の構成を説明する。
マスタシリンダ3の両ピストン32P,32Sの間には、プライマリ液圧室(第1室)31Pが画成されている。プライマリ液圧室31Pには、コイルスプリング33Pが押し縮められた状態で設置されている。セカンダリピストン32Sとシリンダ30のx軸正方向端部との間には、セカンダリ液圧室(第2室)31Sが画成されている。セカンダリ液圧室31Sには、コイルスプリング33Sが押し縮められた状態で設置されている。各液圧室31P,31Sには第1液路11が開口する。各液圧室31P,31Sは、第1液路11を介して、液圧制御ユニット6に接続すると共に、ホイルシリンダ8と連通可である。
ドライバによるブレーキペダル2の踏み込み操作によってピストン32がストロークし、液圧室31の容積の減少に応じてマスタシリンダ圧Pmが発生する。両液圧室31P,31Sには略同じマスタシリンダ圧Pmが発生する。これにより、液圧室31から第1液路11を介してホイルシリンダ8に向けてブレーキ液が供給される。マスタシリンダ3は、プライマリ液圧室31Pに発生したマスタシリンダ圧PmによりP系統の液路(第1液路11P)を介してP系統のホイルシリンダ8a,8dを加圧可能である。また、マスタシリンダ3は、セカンダリ液圧室31Sに発生したマスタシリンダ圧PmによりS系統の液路(第1液路11S)を介してS系統のホイルシリンダ8b,8cを加圧可能である。
次に、ストロークシミュレータ5の構成を説明する。
ストロークシミュレータ5は、シリンダ50、ピストン52およびスプリング53を有する。図1では、ストロークシミュレータ5のシリンダ50の軸心を通る断面を示す。シリンダ50は筒状であり、円筒状の内周面を有する。シリンダ50は、x軸負方向側に比較的小径のピストン収容部501を有し、x軸正方向側に比較的大径のスプリング収容部502を有する。スプリング収容部502の内周面には後述する第3液路13(13A)が常時開口する。
ピストン52は、ピストン収容部501の内周側に、その内周面に沿ってx軸方向に移動可能に設置されている。ピストン52は、シリンダ50内を少なくとも2室(正圧室511と背圧室512)に分離する分離部材(隔壁)である。シリンダ50内において、ピストン52のx軸負方向側に正圧室511が画成され、x軸正方向側に背圧室512が画成されている。正圧室511は、ピストン52のx軸負方向側の面とシリンダ50(ピストン収容部501)の内周面とにより囲まれる空間である。第2液路12は、正圧室511に常時開口する。背圧室512は、ピストン52のx軸正方向側の面とシリンダ50(スプリング収容部502、ピストン収容部501)の内周面により囲まれる空間である。第3液路13Aは、背圧室512に常時開口する。
ピストン52の外周には、ピストン52の軸心の周り方向(周方向)に延びるようにピストンシール54が設置されている。ピストンシール54は、シリンダ50(ピストン収容部501)の内周面に摺接して、ピストン収容部501の内周面とピストン52の外周面との間をシールする。ピストンシール54は、正圧室511と背圧室512との間をシールすることでこれらを液密に分離する分離シール部材であり、ピストン52の上記分離部材としての機能を補完する。スプリング53は、背圧室512内に押し縮められた状態で設置されたコイルスプリングであり、ピストン52をx軸負方向側に常時付勢する。スプリング53は、x軸方向に変形可能に設けられており、ピストン52の変位量(ストローク量)に応じた反力を発生する。
スプリング53は、第1スプリング531と第2スプリング532を有する。第1スプリング531は、第2スプリング532よりも小径かつ短尺であり、線径が小さい。第1スプリング531のばね定数は第2スプリング532よりも小さい。第1,第2スプリング531,532は、ピストン52とシリンダ50(スプリング収容部502)との間に、リテーナ部材530を介して直列に配置されている。
次に、液圧制御ユニット6の構成を説明する。
各車輪FL〜RRに対応する部材には、その符号の末尾にそれぞれ添字a〜dを付して適宜区別する。
第1液路11は、マスタシリンダ3の液圧室31とホイルシリンダ8とを接続する。遮断弁21は、第1液路11に設けられた常開型の(非通電状態で開弁する)電磁弁である。第1液路11は、遮断弁21によって、マスタシリンダ3側の第1液路11Aとホイルシリンダ8側の第1液路11Bとに分離される。
ソレノイドイン弁(加圧弁)SOL/V IN25は、第1液路11における遮断弁21よりもホイルシリンダ8側(第1液路11B)に、各車輪FL〜RRに対応して(第1液路11a〜11dに)設けられた常開型の電磁弁である。なお、SOL/V IN25をバイパスして第1液路11と並列にバイパス液路110が設けられている。バイパス液路110には、ホイルシリンダ8側からマスタシリンダ3側へのブレーキ液の流れのみを許容するチェック弁(一方向弁ないし逆止弁)250が設けられている。
吸入液路15は、リザーバタンク4(ポンプ吸入用空間42)とポンプ7の吸入部70とを接続する液路である。吐出液路16は、ポンプ7の吐出部71と、第1液路11Bにおける遮断弁21とSOL/V IN25との間とを接続する。チェック弁160は、吐出液路16に設けられ、ポンプ7の吐出部71の側(上流側)から第1液路11の側(下流側)へのブレーキ液の流れのみを許容する。チェック弁160は、ポンプ7が備える吐出弁である。吐出液路16は、チェック弁160の下流側でP系統の吐出液路16PとS系統の吐出液路16Sとに分岐する。各吐出液路16P,16SはそれぞれP系統の第1液路11PとS系統の第1液路11Sに接続している。吐出液路16P,16Sは、第1液路11P,11Sを互いに接続する連通液路として機能する。連通弁(第1連通弁)26Pは、吐出液路16Pに設けられた常閉型の(非通電状態で閉弁する)電磁弁である。連通弁(第2連通弁)26Sは、吐出液路16Sに設けられた常閉型の電磁弁である。
ポンプ7は、リザーバタンク4から供給されるブレーキ液により第1液路11に液圧を発生させてホイルシリンダ圧Pwを発生可能な第2の液圧源である。ポンプ7は、吐出液路16P,16Sおよび第1液路11P,11Sを介してホイルシリンダ8a〜8dと接続しており、吐出液路16P,16Sにブレーキ液を吐出することでホイルシリンダ8を加圧可能である。吐出液路16,16P,16Sおよび第1液路11a〜11dは、ポンプ7とホイルシリンダ8a〜8dとを接続する接続液路として機能する。
第1減圧液路17(還流液路)は、吐出液路16におけるチェック弁160と連通弁26との間と、吸入液路15とを接続する。調圧弁27は、第1減圧液路17に設けられた第1減圧弁としての常開型の電磁弁である。なお、調圧弁27は常閉型でもよい。
第2減圧液路18は、第1液路11BにおけるSOL/V IN25よりもホイルシリンダ8側と、吸入液路15とを接続する。ソレノイドアウト弁(減圧弁)SOL/V OUT28は、第2減圧液路18に設けられた第2減圧弁としての常閉型の電磁弁である。なお、本実施形態では、調圧弁27よりも吸入液路15の側の第1減圧液路17と、SOL/V OUT28よりも吸入液路15の側の第2減圧液路18とが、部分的に共通している。
第2液路12は、第1液路11Bから分岐してストロークシミュレータ5に接続する分岐液路である。第2液路12は、第1液路11Bと共に、マスタシリンダ3のセカンダリ液圧室31Sとストロークシミュレータ5の正圧室511とを接続する正圧側液路として機能する。なお、第2液路12が、第1液路11Bを介さずにセカンダリ液圧室31Sと正圧室511とを直接的に接続するようにしてもよい。
第3液路13は、ストロークシミュレータ5の背圧室512と第1液路11とを接続する第1の背圧側液路である。具体的には、第3液路13は、第1液路11S(11B)における遮断弁21SとSOL/V IN25との間から分岐して背圧室512に接続する。
ストロークシミュレータイン弁SS/V IN23は、第3液路13に設けられた常閉型の電磁弁である。第3液路13は、SS/V IN23によって、背圧室512側の第3液路13Aと第1液路11側の第3液路13Bとに分離される。
SS/V IN23をバイパスして第3液路13と並列にバイパス液路130が設けられている。バイパス液路130は、第3液路13Aと第3液路13Bとを接続する。バイパス液路130にはチェック弁230が設けられている。チェック弁230は、背圧室512側(第3液路13A)から第1液路11側(第3液路13B)へ向うブレーキ液の流れを許容し、逆方向へのブレーキ液の流れを抑制する。
第4液路14は、ストロークシミュレータ5の背圧室512とリザーバタンク4とを接続する第2の背圧側液路である。第4液路14は、第3液路13における背圧室512とSS/V IN23との間(第3液路13A)と、吸入液路15(ないし、調圧弁27よりも吸入液路15側の第1減圧液路17や、SOL/V OUT28よりも吸入液路15側の第2減圧液路18)とを接続する。なお、第4液路14を背圧室512やリザーバタンク4に直接的に接続することとしてもよい。
ストロークシミュレータアウト弁SS/V OUT24は、第4液路14に設けられた常閉型の電磁弁である。SS/V OUT24をバイパスして、第4液路14と並列にバイパス液路140が設けられている。バイパス液路140には、リザーバタンク4(吸入液路15)側から第3液路13A側すなわち背圧室512側へ向うブレーキ液の流れを許容し、逆方向へのブレーキ液の流れを抑制するチェック弁240が設けられている。
遮断弁21、SOL/V IN25および調圧弁27は、ソレノイドに供給される電流に応じて弁の開度が調整される比例制御弁である。SS/V IN23、SS/V OUT24、連通弁26およびSOL/V OUT28は、弁の開閉が二値的に切り替え制御される2位置弁(オン・オフ弁)である。なお、2位置弁ではなく比例制御弁を用いることも可能である。
第1液路11Sにおける遮断弁21Sとマスタシリンダ3との間(第1液路11A)には、この箇所の液圧(マスタシリンダ圧Pmおよびストロークシミュレータ5の正圧室511内の液圧)を検出するマスタシリンダ液圧センサ91が設けられている。
第1液路11における遮断弁21とSOL/V IN25との間には、この箇所の液圧(ホイルシリンダ圧Pw)を検出するホイルシリンダ圧センサ(P系統ホイルシリンダ液圧センサ、S系統ホイルシリンダ液圧センサ)92が設けられている。
遮断弁21が開弁方向に制御された状態で、マスタシリンダ3の液圧室31とホイルシリンダ8とを接続するブレーキ系統(第1液路11)は、第1の系統を構成する。この第1の系統は、踏力Fを用いて発生させたマスタシリンダ圧Pmによりホイルシリンダ圧Pwを発生させることで、踏力ブレーキ(非倍力制御)を実現可能である。
一方、遮断弁21が閉弁方向に制御された状態で、ポンプ7を含み、リザーバタンク4とホイルシリンダ8を接続するブレーキ系統(吸入液路15、吐出液路16等)は、第2の系統を構成する。この第2の系統は、ポンプ7を用いて発生させた液圧によりPwを発生させる、いわゆるブレーキバイワイヤ装置を構成し、ブレーキバイワイヤ制御として倍力制御等を実現可能である。ブレーキバイワイヤ制御(以下、単にバイワイヤ制御という。)時、ストロークシミュレータ5は、ドライバのブレーキ操作に伴う操作反力を生成する。
次に、図2を用いてECU100の構成を説明する。
図2は、実施形態1のECU100の制御ブロック図である。ECU100は、バイワイヤ制御部101および踏力ブレーキ部102を備える。
バイワイヤ制御部101は、遮断弁21を閉じ、ドライバのブレーキ操作状態に応じてポンプ7によりホイルシリンダ8を加圧する。以下、具体的に説明する。バイワイヤ制御部101は、ブレーキ操作状態検出部103、目標ホイルシリンダ圧算出部104およびホイルシリンダ圧制御部105を備える。ブレーキ操作状態検出部103は、ストロークセンサ90の検出値の入力を受けて、ドライバによるブレーキ操作量としてのペダルストロークSを検出する。また、ペダルストロークSに基づき、ドライバがブレーキ操作中であるか否か(ブレーキペダル2の操作の有無)を検出する。なお、踏力Fを検出する踏力センサを設け、その検出値に基づきブレーキ操作量を検出または推定してもよい。また、マスタシリンダ液圧センサ91の検出値に基づきブレーキ操作量を検出または推定してもよい。すなわち、制御に用いるブレーキ操作量として、ペダルストロークSに限らず、他の適当な値を用いてもよい。
目標ホイルシリンダ圧算出部104は、目標ホイルシリンダ圧Pw*を算出する。例えば、倍力制御時には、検出されたペダルストロークS(ブレーキ操作量)に基づき、所定の倍力比に応じてペダルストロークSとドライバの要求ブレーキ液圧(ドライバが要求する車両減速度)との間の理想の関係(ブレーキ特性)を実現する目標ホイルシリンダ圧Pw*を算出する。例えば、通常サイズの負圧式倍力装置を備えたブレーキ装置において、負圧式倍力装置の作動時に実現されるペダルストロークSとホイルシリンダ圧Pw(制動力)との間の所定の関係を、目標ホイルシリンダ圧Pw*を算出するための上記理想の関係とする。
ホイルシリンダ圧制御部105は、遮断弁21を閉弁方向に制御することで、液圧制御ユニット6の状態を、ポンプ7(第2の系統)によりホイルシリンダ圧Pwを発生(加圧制御)可能な状態とする。この状態で、液圧制御ユニット6の各アクチュエータを制御して目標ホイルシリンダ圧Pw*を実現する液圧制御(例えば倍力制御)を実行する。具体的には、遮断弁21を閉弁方向に制御し、連通弁26を開弁方向に制御し、調圧弁27を閉弁方向に制御するとともに、ポンプ7を作動させる。このように制御することで、リザーバタンク4側から所望のブレーキ液を吸入液路15、ポンプ7、吐出液路16、および第1液路11を経由してホイルシリンダ8に送ることが可能である。
ポンプ7が吐出するブレーキ液は、吐出液路16を介して第1液路11Bに流入する。このブレーキ液が各ホイルシリンダ8に流入することにより、各ホイルシリンダ8が加圧される(ホイルシリンダ圧Pwが上昇する)。すなわち、ポンプ7により第1液路11Bに発生させた液圧を用いてホイルシリンダ8を加圧する。このとき、ホイルシリンダ液圧センサ92の検出値(実ホイルシリンダ圧Pw)と目標ホイルシリンダ圧Pw*との差がゼロになるようにモータ7aの回転数指令値(モータ指令値)および調圧弁27(のソレノイド)の電流指令値(調圧弁指令値)を設定してポンプ7の回転数および調圧弁27の開弁状態(開度等)をフィードバック制御することにより、所望の制動力が得られる。すなわち、調圧弁27の開弁状態を制御し、吐出液路16ないし第1液路11から調圧弁27を介して吸入液路15へブレーキ液を適宜リークすることにより、ホイルシリンダ圧Pwを調節できる。遮断弁21を閉弁方向に制御し、マスタシリンダ3側とホイルシリンダ8側とを遮断することにより、ドライバのブレーキ操作から独立してホイルシリンダ圧Pwを制御できる。
一方、ホイルシリンダ圧制御部105は、SS/V OUT24を開弁方向に制御する。これにより、ストロークシミュレータ5の背圧室512と吸入液路15(リザーバタンク4)側とが連通する。よって、ブレーキペダル2の踏み込み操作に伴いマスタシリンダ3からブレーキ液が吐出され、このブレーキ液がストロークシミュレータ5の正圧室511に流入すると、ピストン52が作動する。これにより、ペダルストロークSが発生する。正圧室511に流入する液量と略同量の液量のブレーキ液が背圧室512から流出する。このブレーキ液は第3液路13Aおよび第4液路14を介して吸入液路15(リザーバタンク4)側へ排出される。なお、第4液路14はブレーキ液が流入可能な低圧部に接続していればよく、必ずしもリザーバタンク4に接続している必要はない。また、ストロークシミュレータ5のスプリング53と背圧室512の液圧等がピストン52を押す力により、ブレーキペダル2に作用する操作反力(ペダル反力)が発生する。すなわち、ストロークシミュレータ5は、バイワイヤ制御時に、ブレーキペダル2の特性(踏力Fに対するペダルストロークSの関係であるF-S特性)を生成する。
踏力ブレーキ部102は、遮断弁21を開弁し、マスタシリンダ3によりホイルシリンダ8を加圧する。遮断弁21を開弁方向に制御することで、液圧制御ユニット6の状態を、マスタシリンダ圧Pm(第1の系統)によりホイルシリンダ圧Pwを発生可能な状態とし、踏力ブレーキを実現する。このとき、SS/V OUT24を閉弁方向に制御することで、ドライバのブレーキ操作に対してストロークシミュレータ5を非作動とする。これにより、マスタシリンダ3からブレーキ液が効率的にホイルシリンダ8に向けて供給される。したがって、ドライバが踏力Fにより発生させるホイルシリンダ圧Pwの低下を抑制できる。具体的には、踏力ブレーキ部102は、液圧制御ユニット6における全アクチュエータを非作動状態とする。なお、SS/V IN23を開弁方向に制御することとしてもよい。
ホイルシリンダ圧制御部105は、倍力制御中、ホイルシリンダ圧Pwが目標ホイルシリンダ圧Pw*を実現した後、目標ホイルシリンダ圧Pw*が変化しない場合には、倍力制御モードから保持制御モードへモード遷移する。保持制御では、連通弁26を閉弁方向に制御し、ポンプ7を停止し、調圧弁27を開弁方向に制御する。これにより、ホイルシリンダ圧Pwを保持する際の消費電力を抑制できる。連通弁26を閉弁方向に制御した後、ポンプ7を停止し、調圧弁27を開弁方向に制御してもよい。保持制御中に目標ホイルシリンダ圧Pw*が変化すると、保持モードから倍力モードへモード遷移する。
次に、ECU100による制御モード選択処理を説明する。
図3は、実施形態1の制御モード選択処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、所定のサンプリング周期で実行されるソフトウェアとしてECU100に組み込まれている。
ステップS1では、制動要求が有るかを判定する。YESの場合はステップS2へ進み、NOの場合はステップS3へ進む。このステップでは、例えば、ペダルストロークSが所定ストローク以上の場合に制動要求有りと判定する。なお、踏力Fから制動要求の有無を判定してもよい。
ステップS2では、保持条件が成立するかを判定する。YESの場合はステップS5へ進み、NOの場合はステップS4へ進む。このステップは、制動の方法として、倍力制御を実施するか保持制御を実施するかを判定するステップである。このステップでは、例えば、実ホイルシリンダ圧Pwが目標ホイルシリンダ圧Pw*と略一致し、かつ、目標ホイルシリンダ圧Pw*が一定時間変化しない場合に保持条件が成立すると判定する。
ステップS3では、制御モードを非制御モードとする。非制御モードでは、液圧制御ユニット6の全アクチュエータを非作動状態とする。
ステップS4では、制御モードを倍力制御モードとする。すなわち連通弁26を開弁した状態でポンプ7および調圧弁27を作動させる液圧制御を実施する。
ステップS5では、制御モードを保持モードとする。すなわち連通弁26を閉弁した状態でポンプ7および調圧弁27を非作動とする液圧保持制御を実施する。
図4は、実施形態1の倍力制御モードから保持制御モードへのモード遷移時の処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS501では、保持条件が成立するかを判定する。YESの場合はステップS502へ進み、NOの場合はステップS503へ進む。判定条件は図3のステップS2と同じとする。
ステップS502では、連通弁26を閉弁方向に制御したかを判定する。YESの場合はステップS505へ進み、NOの場合はステップS504へ進む。
ステップS503では、保持制御モードには遷移しないため、モータ7aおよび調圧弁27を駆動し、連通弁26の開弁を維持する通常の倍力制御の動作を行う。
ステップS504では、倍力制御モードから保持制御モードへモード遷移するために、連通弁26を閉弁方向に制御する。このとき、ステップS502で判断される連通弁26の閉弁まではモータ7aおよび調圧弁27は倍力制御と同等に駆動する。
ステップS505では、倍力制御モードから保持制御モードへのモード遷移が完了するステップであり、連通弁26の閉弁を維持し、モータ7aおよび調圧弁27の駆動を停止する。
図5は、実施形態1の保持制御モードから倍力制御モードへのモード遷移時の処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS511では、保持解除条件が成立するかを判定する。YESの場合はステップS512へ進み、NOの場合はステップS513へ進む。このステップでは、例えば、ドライバのペダル操作によって目標ホイルシリンダ圧Pw*が変更された場合に保持解除条件が成立すると判定する。
ステップS512では、保持解除条件が成立してから(S511でYESと判定してから)一定時間が経過したかを判定する。YESの場合はステップS515へ進み、NOの場合はステップS514へ進む。一定時間は、ポンプ7を作動して連通弁26の前後圧力が同等となるのに要する時間とする。「同等」とは、連通弁26の前後差圧の絶対値が所定値以下の状態である。所定値は、連通弁26を開弁したとき、急激な圧力変動に伴う油撃が生じない前後差圧の最大値とする。
ステップS513では、倍力制御モードには遷移しないため、連通弁26を閉弁し、モータ7aおよび調圧弁27の駆動を停止する。
ステップS514では、保持制御モードから倍力制御モードへモード遷移するために、連通弁26を閉弁し、モータ7aおよび調圧弁27をそれぞれ保持制御モードへ遷移する直前のモータ指令値および調圧弁指令値で駆動する。
ステップS515では、倍力制御を行うために、モータ7aおよび調圧弁27をそれぞれ目標ホイルシリンダ圧Pw*に応じた指令値で駆動する。
図6は、実施形態1の油撃抑制作用を示すタイムチャートである。
時刻t0では、ドライバがブレーキペダル2を踏み込んだため、目標ホイルシリンダ圧Pw*が立ち上がる。ホイルシリンダ圧制御部105は、ホイルシリンダ圧Pwを目標ホイルシリンダ圧Pw*に一致させる倍力制御を開始する。倍力制御では、遮断弁21を閉弁し、連通弁26を開弁し、目標ホイルシリンダ圧Pw*に応じたモータ指令値および調圧弁指令値によりモータ7aおよび調圧弁27を駆動する。
時刻t1では、ホイルシリンダ圧Pwが目標ホイルシリンダ圧Pw*に一致する。
時刻t2では、実ホイルシリンダ圧Pwが目標ホイルシリンダ圧Pw*と略一致し、かつ、目標ホイルシリンダ圧Pw*が時刻t0から一定時間変化しないため、保持条件が成立する。ホイルシリンダ圧制御部105は、倍力制御モードから保持制御モードへモード遷移する。保持制御では、連通弁26を閉弁し、モータ7aおよび調圧弁27の駆動を停止する。
時刻t3では、ドライバがブレーキペダル2を踏み増ししたため、目標ホイルシリンダ圧Pw*が増加する。ホイルシリンダ圧制御部105は、保持制御モードから倍力制御モードへモード遷移する。このとき、実施形態1では、モータ指令値および調圧弁指令値を、連通弁26が閉弁したとき、つまり、時刻t2における目標ホイルシリンダ圧Pw*に応じたモータ指令値および調圧弁指令値とする。
時刻t4では、連通弁26の前後差圧が略一致する。
時刻t5では、連通弁26を開弁し、吐出液路16とホイルシリンダ8に繋がる第1液路11とを連通する。
ここで、従来のブレーキ装置では、時刻t3のモード遷移時、モータ指令値および調圧弁指令値を、時刻t3における目標ホイルシリンダ圧Pw*に応じたモータ指令値および調圧弁指令値としている。このため、ポンプ吐出圧がホイルシリンダ圧Pwよりも高くなるため、連通弁の前後差圧が大きくなる。よって、時刻t5で連通弁を開弁したとき、急激な液圧変動によって油撃が発生し、ホイルシリンダ圧Pwに振動が生じる。これに対し、実施形態1では、保持制御モードから倍力制御モードへのモード遷移時、モータ指令値および調圧弁指令値を、一定時間、保持制御モードへ遷移する直前(時刻t2)の目標ホイルシリンダ圧Pw*に応じたモータ指令値および調圧弁指令値とする。つまり、実施形態1では、連通弁26の閉弁状態において、ポンプ7を作動させることによって連通弁26の前後圧力を同等とした後、連通弁26を開弁状態へ作動させる。この結果、実施形態1のブレーキ装置1では、保持制御モードから倍力制御モードへのモード遷移時に連通弁26を開弁したとき、急激な液圧変動によって発生する油撃を低減でき、異音や振動の発生を抑制できる。
時刻t6では、吐出液路16とホイルシリンダ8とが連通した状態で目標ホイルシリンダ圧Pw*へホイルシリンダ圧Pwを制御するための指令値でモータ7aおよび調圧弁27を駆動する。
実施形態1では、以下の効果を奏する。
(1) ブレーキ液を吐出するポンプ7と、ポンプ7とホイルシリンダ8とを接続する接続液路(吐出液路16,16P,16Sおよび第1液路11a〜11d)と、接続液路に設けられ、接続液路のポンプ側とホイルシリンダ側との連通を遮断可能な連通弁26と、連通弁26の閉弁状態において、ポンプ7を作動させて連通弁26に対してポンプ側の接続液路の液圧がホイルシリンダ8の液圧となるようにした後に、連通弁26を開弁状態へ作動させるECU100と、を備える。
よって、油撃の発生を低減でき、異音や振動の発生を抑制できる。
(2) ポンプ7を作動させるモータ7aを備え、ECU100は、連通弁26の閉弁状態において、連通弁26が閉弁状態へ制御された際のモータ指令値に応じてポンプ7を作動させて連通弁26に対してポンプ側の接続液路の液圧がホイルシリンダ8の液圧となるようにした後に、連通弁26を開弁状態へ作動させる。
よって、連通弁26の閉弁直前のモータ指令値によりポンプ7を作動させることにより、ホイルシリンダ圧Pwと同等のポンプ吐出圧が得られる。
(3) マスタシリンダ3のプライマリ液圧室31Pで発生したマスタシリンダ圧により加圧可能な複数のホイルシリンダ8a,8dを備えたP系統の液路(液路11P)と、マスタシリンダ3のセカンダリ液圧室31Sで発生したマスタシリンダ圧により加圧可能な複数のホイルシリンダ8b,8cを備えたS系統の液路(液路11S)と、P系統の液路とS系統の液路とを接続する連通液路(吐出液路16P,16S)と、連通液路にブレーキ液を吐出するポンプ7と、連通液路に設けられ、連通液路からP系統の液路へのブレーキ液の流れを抑制する第1連通弁26Pと、連通液路に設けられ、連通液路からS系統の液路へのブレーキ液の流れを抑制する第2連通弁26Sと、第1連通弁26Pおよび第2連通弁26Sの閉弁状態において、ポンプ7を作動させて連通液路の液圧がP系統およびS系統のホイルシリンダ8a〜8dの液圧となるようにした後に、第1連通弁26Pおよび第2連通弁26Sを開弁状態へ作動させるECU100と、を備える。
よって、油撃の発生を低減でき、異音や振動の発生を抑制できる。
(4) ポンプ7を作動させるモータ7aを備え、ECU100は、第1連通弁26Pおよび第2連通弁26Sの閉弁状態において、第1連通弁26Pおよび第2連通弁26Sが閉弁状態へ制御された際のモータ指令値に応じてポンプ7を作動させて連通液路の液圧がP系統およびS系統のホイルシリンダ8a〜8dの液圧となるようにした後に、第1連通弁26Pおよび第2連通弁26Sを開弁状態へ作動させる。
よって、第1連通弁26Pおよび第2連通弁26Sの閉弁直前のモータ指令値によりポンプ7を作動させることにより、ホイルシリンダ圧Pwと同等のポンプ吐出圧が得られる。また、連通液路に液圧センサを設ける必要がないため、ブレーキ装置1の大型化の抑制およびコストダウを図れる。
(5) 第1連通弁26Pおよび第2連通弁26Sとポンプ7との間に設けられ、連通液路に吐出されたブレーキ液をポンプ7の吸入部70に還流する還流液路(第1減圧液路17)と、還流液路に設けられた調圧弁27と、を備え、ECU100は、第1連通弁26Pおよび第2連通弁26Sの閉弁状態において、第1連通弁26Pおよび第2連通弁26Sが閉弁状態へ制御された際の調圧弁指令値に応じて調圧弁27を作動させて連通液路の液圧がP系統およびS系統のホイルシリンダ8a〜8dの液圧となるようにした後に、第1連通弁26Pおよび第2連通弁26Sを開弁状態へ作動させる。
よって、第1連通弁26Pおよび第2連通弁26Sの閉弁直前の調圧弁指令値により調圧弁27を作動させることにより、ホイルシリンダ圧Pwと同等のポンプ吐出圧が得られる。また、連通液路に液圧センサを設ける必要がないため、ブレーキ装置1の大型化の抑制およびコストダウンを図れる。
(6) ブレーキ液を吐出するポンプ7と、ポンプ7とホイルシリンダ8とを接続する接続液路と、接続液路に設けられ、接続液路のポンプ側とホイルシリンダ側との連通を遮断可能な連通弁26と、を備えるブレーキ装置1の制御方法であって、連通弁26の閉弁状態において、ポンプ7を作動させて連通弁26に対してポンプ側の接続液路の液圧がホイルシリンダ8の液圧となるようにした後に、連通弁26を開弁状態へ作動させる。
よって、油撃の発生を低減でき、異音や振動の発生を抑制できる。
(7) ポンプ7を作動させるモータ7aを備え、連通弁26の閉弁状態において、連通弁26が閉弁状態へ制御された際のモータ指令値に応じてポンプ7を作動させて連通弁26に対してポンプ側の接続液路の液圧がホイルシリンダ8の液圧となるようにした後に、連通弁26を開弁状態へ作動させる。
よって、連通弁26の閉弁直前のモータ指令値によりポンプ7を作動させることにより、ホイルシリンダ圧Pwと同等のポンプ吐出圧が得られる。
〔実施形態2〕
実施形態2の基本的な構成は実施形態1と同じであるため、実施形態1との相違点のみを説明する。
図7は、実施形態2のブレーキ装置1の液圧回路を含む概略構成を示す図である。
実施形態2のブレーキ装置1は、液圧制御ユニット6がポンプ吐出液圧センサ(連通液路液圧センサ)93を備える点で実施形態1と相違する。ポンプ吐出液圧センサ93は、吐出液路16におけるポンプ7の吐出部71(チェック弁160)と連通弁26との間に設けられ、この箇所の液圧(ポンプ吐出圧)を検出する。
図8は、実施形態2の保持制御モードから倍力制御モードへのモード遷移時の処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS522では、ポンプ吐出液圧センサ93により検出されたポンプ吐出圧が、ホイルシリンダ液圧センサ92により検出されたホイルシリンダ圧Pwと同等(連通弁26の前後差圧の絶対値が所定値以下)であるかを判定する。YESの場合はステップS515へ進み、NOの場合はステップS524へ進む。
ステップS524では、保持制御モードから倍力制御モードへモード遷移するために、連通弁26を閉弁し、モータ7aおよび調圧弁27を、それぞれホイルシリンダ液圧センサ92により検出されたホイルシリンダ圧Pwを目標ホイルシリンダ圧Pw*としたモータ指令値および調圧弁指令値で駆動する。
実施形態2のブレーキ装置1は、連通弁26の前後に液圧センサ(ホイルシリンダ液圧センサ92、ポンプ吐出液圧センサ93)を備える。このため、各センサ92,93の検出値から連通弁26の前後の圧力が同等となったことを正確に判定できる。よって、保持制御モードから倍力制御モードへのモード遷移時、連通弁26の前後の圧力が同等となったのを確認してから連通弁26を開弁することにより、油撃の発生をより確実に防止できる。
実施形態2では、以下の効果を奏する。
(8) 連通液路(吐出液路16)に設けられ、連通液路の液圧を検出するポンプ吐出液圧センサ93と、P系統の液路(11P)に設けられ、P系統のホイルシリンダ8a,8dの液圧を検出するP系統ホイルシリンダ液圧センサ92Pと、S系統の液路(11S)に設けられ、S系統のホイルシリンダ8b,8cの液圧を検出するS系統ホイルシリンダ液圧センサ92Sと、を備え、ECU100は、第1連通弁26Pおよび第2連通弁26Sの閉弁状態において、P系統ホイルシリンダ液圧センサ92PおよびS系統ホイルシリンダ液圧センサ92Sにより検出された液圧になるようにポンプ7を作動させて連通液路の液圧がP系統およびS系統のホイルシリンダ8a〜8dの液圧となるようにした後に、第1連通弁26Pおよび第2連通弁26Sを開弁状態へ作動させる。
よって、各センサ92,93の検出値から連通弁26の前後の圧力が同等となったことを正確に判定できるため、油撃の発生をより確実に防止できる。
〔他の実施形態〕
以上、本発明を実施するための実施形態を説明したが、本発明の具体的な構成は実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
図6のタイムチャートでは、時刻t5で連通弁26を開弁した後、時刻t6で調圧弁27の指令値を切り替えているが、連通弁26の開弁と同時に調圧弁27の指令値を切り替えてもよい。また、両連通弁26P,26Sは同時に開弁してもよいし、一方を先に開弁してもよい。
図8のフローチャートにおいて、ステップS522の処理を、図5のステップS512の処理、すなわち、保持解除条件が成立してから一定時間が経過したか否かを判定する処理としてもよい。
実施形態のブレーキ装置において、P系統またはS系統の一方系統でホイルシリンダに液漏れが検出された場合には、他方系統のみで倍力制御を実施する。この場合、一方系統(液漏れ検出側系統)の連通弁は閉弁し、他方系統(正常系統)のみで倍力制御、保持制御およびモード遷移制御を行う。
3 マスタシリンダ
7 ポンプ
7a モータ
8 ホイルシリンダ
11P 液路(P系統の液路)
11S 液路(S系統の液路)
16 吐出液路(接続液路)
16P 吐出液路(接続液路、連通液路)
16S 吐出液路(接続液路、連通液路)
17 減圧液路(還流液路)
26 連通弁
26P 第1連通弁
26S 第2連通弁
27 調圧弁
31P プライマリ液圧室(第1室)
31S セカンダリ液圧室(第2室)
70 吸入部
92P P系統ホイルシリンダ液圧センサ
92S S系統ホイルシリンダ液圧センサ
93 ポンプ吐出液圧センサ(連通液路液圧センサ)
100 電子制御ユニット(コントロールユニット)

Claims (8)

  1. ブレーキ液を吐出するポンプと、
    前記ポンプとホイルシリンダとを接続する接続液路と、
    前記接続液路に設けられ、前記接続液路の前記ポンプ側と前記ホイルシリンダ側との連通を遮断可能な連通弁と、
    前記連通弁の閉弁状態において、前記ポンプを作動させて前記連通弁に対して前記ポンプ側の接続液路の液圧が前記ホイルシリンダの液圧となるようにした後に、前記連通弁を開弁状態へ作動させるコントロールユニットと、
    を備えるブレーキ装置。
  2. 請求項1に記載のブレーキ装置において、
    前記ポンプを作動させるモータを備え、
    前記コントロールユニットは、前記連通弁の閉弁状態において、前記連通弁が閉弁状態へ制御された際の前記モータの回転数指令値に応じて前記ポンプを作動させて前記連通弁に対して前記ポンプ側の接続液路の液圧が前記ホイルシリンダの液圧となるようにした後に、前記連通弁を開弁状態へ作動させるブレーキ装置。
  3. マスタシリンダの第1室で発生したマスタシリンダ圧により加圧可能な複数のホイルシリンダを備えたプライマリ系統の液路と、
    前記マスタシリンダの第2室で発生したマスタシリンダ圧により加圧可能な複数のホイルシリンダを備えたセカンダリ系統の液路と、
    前記プライマリ系統の液路と前記セカンダリ系統の液路とを接続する連通液路と、
    前記連通液路にブレーキ液を吐出するポンプと、
    前記連通液路に設けられ、前記連通液路から前記プライマリ系統の液路へのブレーキ液の流れを抑制する第1連通弁と、
    前記連通液路に設けられ、前記連通液路から前記セカンダリ系統の液路へのブレーキ液の流れを抑制する第2連通弁と、
    前記第1連通弁および前記第2連通弁の閉弁状態において、前記ポンプを作動させて前記連通液路の液圧が前記プライマリ系統のホイルシリンダの液圧となるようにした後に、前記第1連通弁を開弁状態へ作動させる、および/または、前記ポンプを作動させて前記連通液路の液圧が前記セカンダリ系統のホイルシリンダの液圧となるようにした後に、前記第2連通弁を開弁状態へ作動させるコントロールユニットと、
    を備えるブレーキ装置。
  4. 請求項3に記載のブレーキ装置において、
    前記ポンプを作動させるモータを備え、
    前記コントロールユニットは、前記第1連通弁および前記第2連通弁の閉弁状態において、前記第1連通弁および前記第2連通弁が閉弁状態へ制御された際の前記モータの回転数指令値に応じて前記ポンプを作動させて前記連通液路の液圧が前記プライマリ系統のホイルシリンダの液圧となるようにした後に、前記第1連通弁を開弁状態へ作動させる、および/または、前記第1連通弁および前記第2連通弁が閉弁状態へ制御された際の前記モータの回転数指令値に応じて前記ポンプを作動させて前記連通液路の液圧が前記セカンダリ系統のホイルシリンダの液圧となるようにした後に、前記第2連通弁を開弁状態へ作動させるブレーキ装置。
  5. 請求項4に記載のブレーキ装置において、
    前記第1連通弁と前記第2連通弁のうち少なくとも一方の連通弁と前記ポンプとの間に設けられ、前記連通液路に吐出されたブレーキ液を前記ポンプの吸入側に還流する還流液路と、
    前記還流液路に設けられた調圧弁と、
    を備え、
    前記コントロールユニットは、前記第1連通弁および前記第2連通弁の閉弁状態において、前記第1連通弁および前記第2連通弁が閉弁状態へ制御された際の前記調圧弁の電流指令値に応じて前記調圧弁を作動させて前記連通液路の液圧が前記プライマリ系統のホイルシリンダの液圧となるようにした後に、前記第1連通弁を開弁状態へ作動させる、および/または、前記第1連通弁および前記第2連通弁が閉弁状態へ制御された際の前記調圧弁の電流指令値に応じて前記調圧弁を作動させて前記連通液路の液圧が前記セカンダリ系統のホイルシリンダの液圧となるようにした後に、前記第2連通弁を開弁状態へ作動させるブレーキ装置。
  6. 請求項3に記載のブレーキ装置において、
    前記連通液路に設けられ、前記連通液路の液圧を検出する連通液路液圧センサと、
    前記プライマリ系統の液路に設けられ、前記プライマリ系統のホイルシリンダの液圧を検出するプライマリ系統ホイルシリンダ液圧センサと、
    前記セカンダリ系統の液路に設けられ、前記セカンダリ系統のホイルシリンダの液圧を検出するセカンダリ系統ホイルシリンダ液圧センサと、
    を備え、
    前記コントロールユニットは、前記第1連通弁および前記第2連通弁の閉弁状態において、前記プライマリ系統ホイルシリンダ液圧センサにより検出された液圧になるように前記ポンプを作動させて前記連通液路の液圧が前記プライマリ系統のホイルシリンダの液圧となるようにした後に、前記第1連通弁を開弁状態へ作動させる、および/または、前記セカンダリ系統ホイルシリンダ液圧センサにより検出された液圧になるように前記ポンプを作動させて前記連通液路の液圧が前記セカンダリ系統のホイルシリンダの液圧となるようにした後に、前記第2連通弁を開弁状態へ作動させるブレーキ装置。
  7. ブレーキ液を吐出するポンプと、
    前記ポンプとホイルシリンダとを接続する接続液路と、
    前記接続液路に設けられ、前記接続液路の前記ポンプ側と前記ホイルシリンダ側との連通を遮断可能な連通弁と、
    を備えるブレーキ装置の制御方法であって、
    前記連通弁の閉弁状態において、前記ポンプを作動させて前記連通弁に対して前記ポンプ側の接続液路の液圧が前記ホイルシリンダの液圧となるようにした後に、前記連通弁を開弁状態へ作動させるブレーキ装置の制御方法。
  8. 請求項7に記載のブレーキ装置の制御方法において、
    前記ポンプを作動させるモータを備え、
    前記連通弁の閉弁状態において、前記連通弁が閉弁状態へ制御された際の前記モータの回転数指令値に応じて前記ポンプを作動させて前記連通弁に対して前記ポンプ側の接続液路の液圧が前記ホイルシリンダの液圧となるようにした後に、前記連通弁を開弁状態へ作動させるブレーキ装置の制御方法。
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