JP2018054682A - 共焦点ラマン顕微鏡 - Google Patents

共焦点ラマン顕微鏡 Download PDF

Info

Publication number
JP2018054682A
JP2018054682A JP2016186816A JP2016186816A JP2018054682A JP 2018054682 A JP2018054682 A JP 2018054682A JP 2016186816 A JP2016186816 A JP 2016186816A JP 2016186816 A JP2016186816 A JP 2016186816A JP 2018054682 A JP2018054682 A JP 2018054682A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
excitation light
sample
confocal
section
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016186816A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6203355B1 (ja
Inventor
見斗 会澤
Kento Aizawa
見斗 会澤
井上 勉
Tsutomu Inoue
勉 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Jasco Corp
Original Assignee
Jasco Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Jasco Corp filed Critical Jasco Corp
Priority to JP2016186816A priority Critical patent/JP6203355B1/ja
Priority to EP17193165.2A priority patent/EP3299861A1/en
Application granted granted Critical
Publication of JP6203355B1 publication Critical patent/JP6203355B1/ja
Publication of JP2018054682A publication Critical patent/JP2018054682A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B21/00Microscopes
    • G02B21/0004Microscopes specially adapted for specific applications
    • G02B21/002Scanning microscopes
    • G02B21/0024Confocal scanning microscopes (CSOMs) or confocal "macroscopes"; Accessories which are not restricted to use with CSOMs, e.g. sample holders
    • G02B21/0032Optical details of illumination, e.g. light-sources, pinholes, beam splitters, slits, fibers
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01JMEASUREMENT OF INTENSITY, VELOCITY, SPECTRAL CONTENT, POLARISATION, PHASE OR PULSE CHARACTERISTICS OF INFRARED, VISIBLE OR ULTRAVIOLET LIGHT; COLORIMETRY; RADIATION PYROMETRY
    • G01J3/00Spectrometry; Spectrophotometry; Monochromators; Measuring colours
    • G01J3/02Details
    • G01J3/0205Optical elements not provided otherwise, e.g. optical manifolds, diffusers, windows
    • G01J3/021Optical elements not provided otherwise, e.g. optical manifolds, diffusers, windows using plane or convex mirrors, parallel phase plates, or particular reflectors
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01JMEASUREMENT OF INTENSITY, VELOCITY, SPECTRAL CONTENT, POLARISATION, PHASE OR PULSE CHARACTERISTICS OF INFRARED, VISIBLE OR ULTRAVIOLET LIGHT; COLORIMETRY; RADIATION PYROMETRY
    • G01J3/00Spectrometry; Spectrophotometry; Monochromators; Measuring colours
    • G01J3/02Details
    • G01J3/0205Optical elements not provided otherwise, e.g. optical manifolds, diffusers, windows
    • G01J3/0229Optical elements not provided otherwise, e.g. optical manifolds, diffusers, windows using masks, aperture plates, spatial light modulators or spatial filters, e.g. reflective filters
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01JMEASUREMENT OF INTENSITY, VELOCITY, SPECTRAL CONTENT, POLARISATION, PHASE OR PULSE CHARACTERISTICS OF INFRARED, VISIBLE OR ULTRAVIOLET LIGHT; COLORIMETRY; RADIATION PYROMETRY
    • G01J3/00Spectrometry; Spectrophotometry; Monochromators; Measuring colours
    • G01J3/28Investigating the spectrum
    • G01J3/44Raman spectrometry; Scattering spectrometry ; Fluorescence spectrometry
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B21/00Microscopes
    • G02B21/0004Microscopes specially adapted for specific applications
    • G02B21/002Scanning microscopes
    • G02B21/0024Confocal scanning microscopes (CSOMs) or confocal "macroscopes"; Accessories which are not restricted to use with CSOMs, e.g. sample holders
    • G02B21/0052Optical details of the image generation
    • G02B21/0064Optical details of the image generation multi-spectral or wavelength-selective arrangements, e.g. wavelength fan-out, chromatic profiling

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Spectroscopy & Molecular Physics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Microscoopes, Condenser (AREA)
  • Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)

Abstract

【課題】 本発明の課題は、良好なラマン散乱光を検出し、分析精度の良い共焦点ラマン顕微鏡を提供することである。
【解決手段】 励起光を放射する光源11と、前記励起光を試料18に照射する励起光照射手段1と、試料18によって散乱された光から、共焦点アパーチャー20を用いてラマン散乱光を集光する集光手段3と、集光したラマン散乱光を検出する検出手段26と、を備えた共焦点ラマン顕微鏡10であって、
前記励起光照射手段1は、励起光の断面形状を略環状に形成する励起光形成手段13を備え、
前記集光手段3は、前記共焦点アパーチャー20を通過した光のうち断面略中央部の光を集光し、断面略中央部外側の光を遮蔽する遮蔽手段22を備えたことを特徴とする共焦点ラマン顕微鏡10。
【選択図】 図1

Description

本発明は共焦点ラマン顕微鏡、特に良好なラマン散乱光を検出し、分析精度を上げる技術の改良に関する。
物質に特定の波長の光を照射すると、その照射光は散乱され、その一部は照射光の波長とは異なるラマン散乱光となる。
このラマン散乱光は、試料を構成する分子の振動や回転に基づいてある決まった波数になり、その波数は分子によって特有であるため、物質の同定が可能である。
また、ラマン強度は、照射光の強度、分子数(濃度)に比例するため試料中の特定成分の定量も可能である。
このため、従来より各種のラマン顕微鏡が開発されており、特に対物レンズの焦点位置と共役な位置(結像点)にピンホール等を配置することで、焦点のあった位置の光を効率良く検出可能な共焦点ラマン顕微鏡は、しばしば各種測定、分析に用いられている。
一方で、ラマン散乱光は非常に微弱なスペクトル(入射光と同じ波長の光が散乱されるレイリー散乱光に比べて10−6倍ほど微弱)であるため、多種多様な要因により、正確な分析が妨げられる。例えば分析時に試料へ励起光を照射する際に、測定部位の深さ方向に蛍光物質がある場合、深さ方向に対して励起光が到達してしまうため、蛍光物質自体に蛍光が生じてしまう。したがって、蛍光とラマン散乱光とが重なり、精度の高い分析が行えないことが頻繁に起こる。前述のとおりラマン散乱光は非常に弱いスペクトルであるため、こうした蛍光によって、分析結果に大きな影響が出てしまう。これに対し、特許文献1には試料からの蛍光を防止する作用のある誘導放出光を導入することにより、蛍光物質の蛍光の発生率を低く抑える技術が開示されている。
特開2013−15515号公報
しかしながら、上記方法のように誘導放出光を導入することで、試料からの蛍光の発生は抑えられるものの、分析装置(ラマン顕微鏡)の構成機器が多くなり、分析装置(ラマン顕微鏡)の大型化、あるいは複雑化を招いてしまう。また、誘導放出光の導入のみでは蛍光の発生率は抑えられるとはいえ、精度の良い分析を行ううえでは、まだまだ改良の余地がある。
本発明は、前記従来技術の課題に鑑みて行われたものであって、その目的は良好なラマン散乱光を検出し、精度の良い分析が可能な共焦点ラマン顕微鏡を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明にかかる共焦点ラマン顕微鏡は、
励起光を放射する光源と、前記励起光を試料に照射する励起光照射手段と、試料によって散乱された光から、共焦点アパーチャーを用いてラマン散乱光を集光する集光手段と、集光したラマン散乱光を検出する検出手段と、を備えた共焦点ラマン顕微鏡であって、
前記励起光照射手段は、励起光の断面形状を略環状に形成する励起光形成手段を備え、
前記集光手段は、前記共焦点アパーチャーを通過した光のうち断面略中央部の光を集光し、断面略中央部外側の光を遮蔽する遮蔽手段を備えたことを特徴とする。
また、前記励起光形成手段は、前記励起光の断面略中央部を遮蔽するマスクであることが好ましい。
また、前記遮蔽手段は、前記マスクと逆パターンの断面形状を有するしぼりであることが好ましい。
また、本発明にかかる共焦点ラマン顕微鏡は、
励起光を放射する光源と、前記励起光を試料に照射する励起光照射手段と、試料によって散乱された光から、共焦点アパーチャーを用いてラマン散乱光を集光する集光手段と、集光したラマン散乱光を検出する検出手段と、を備えた共焦点ラマン顕微鏡であって、
前記励起光照射手段は、励起光の断面形状を略環状または縮小断面に形成する励起光形成手段を備え、
さらに前記励起光形成手段は、ラマン散乱光を集光する際、集光した光のうち断面略中央部の光または断面略中央部外側の光のどちらか一方を遮蔽することを特徴とする。
また、前記励起光形成手段は、断面略中央部に穴の開いた略環状の開口ミラーであり、
試料へ励起光を照射する際は、前記励起光のうち断面略中央部外側の光を試料へ反射し、
試料によって散乱された光からラマン散乱光を集光する際、集光した光のうち前記開口ミラーの断面略中央部への光を集光し、開口ミラーの断面略中央部外側へのラマン散乱光を遮蔽することが好ましい。
また、前記励起光形成手段は、前記励起光断面を略環状に形成することが好ましい。
また、前記励起光形成手段は、断面略中央部にミラーを有する中央閉口ミラーであり、
試料へ励起光を照射する際は、前記励起光のうち断面略中央部の光を試料へ反射し、
試料によって散乱された光からラマン散乱光を集光する際、集光した光のうち前記中央閉口ミラーの断面略中央部外側への光を集光し、中央閉口ミラーの断面略中央部への光を遮蔽することが好ましい。
また、前記励起光形成手段は、前記励起光断面を縮小することが好ましい。
また、前記集光手段は、前記遮蔽手段よりも検出手段側に設けられたカセグレンミラーを含むことが好ましい。
本発明の共焦点ラマン顕微鏡によれば、励起光の断面形状を工夫して励起光を照射する際に、励起光断面を略環状に形成することで、垂直方向の空間分解能を高めると共に試料の垂直方向からの蛍光を減らし、さらに集光過程で励起光照射時とは逆パターン形状のしぼりを設けて共焦点アパーチャーを通過した光のうち断面略中央部の外側の光を遮蔽することで、集光した光のうち分析に不要な光が多く混在する部分の光を除去し、精度の良い分析が可能となる。
また、励起光断面を縮小し、試料に垂直成分の強い励起光を照射してラマン散乱光の強度を強めるとともに、集光過程で試料からの垂直方向の蛍光等を遮蔽することによっても、精度の良い分析が可能となる。
加えて励起光に暗視野照明を利用する場合は、顕微測定時の水平空間分解能の向上効果も得られた。
本発明に係る共焦点ラマン顕微鏡の第1実施形態の概略構成図を示す。 励起光の垂直成分カットの概要説明図を示す。 励起光のマスクの有無による焦点面での観察画像を示す。 開口部が10μmのアパーチャーを使用した場合のZ分解能の測定結果を示す。 開口部が17μmのアパーチャーを使用した場合のZ分解能の測定結果を示す。 開口部が34μmのアパーチャーを使用した場合のZ分解能の測定結果を示す。 開口部が100μmのアパーチャーを使用した場合のZ分解能の測定結果を示す。 開口部が10μmのアパーチャーを使用した場合のルビーのZ分解能の測定結果を示す。 開口部が17μmのアパーチャーを使用した場合のルビーのZ分解能の測定結果を示す。 開口部が34μmのアパーチャーを使用した場合のルビーのZ分解能の測定結果を示す。 開口部が100μmのアパーチャーを使用した場合のルビーのZ分解能の測定結果を示す。 マスクの有無によるレイリー光の光学観察を示す。 レンズ焦点における光強度分布の概略図を示す。 試料面におけるビームスポットの光学観察画像を示す。 試料面でのピンホールが取り込む範囲を示す。 クロムとガラスのロンキー板を使用した水平分解能評価の概略図を示す。 開口部が34μmのアパーチャーを使用した場合の水平分解能の測定結果を示す。 開口部が10μmのアパーチャーを使用した場合の水平分解能の測定結果を示す。 本発明に係る共焦点ラマン顕微鏡の第2実施形態の概略構成図を示す。 本発明に係る共焦点ラマン顕微鏡の第3実施形態の概略構成図を示す。 本発明に係る共焦点ラマン顕微鏡の第4実施形態の概略構成図を示す。
以下、本発明の共焦点ラマン顕微鏡について図面を用いて説明するが、本発明の趣旨を超えない限り何ら以下の例に限定されるものではない。
<第1実施形態>
図1に本発明の第1実施形態に係る共焦点ラマン顕微鏡の概念図を示す。同図に示す共焦点ラマン顕微鏡10は、励起光を放射する光源11と、前記励起光を対物レンズ系2に導光する励起光学系1と、励起光を試料18の所定位置に照射し、ラマン散乱光を集光する対物レンズ系2と、該対物レンズ系2で集光されたラマン散乱光を分光器26へ導光する集光光学系3と、を備える。
本実施例において特徴的なことは、略環状(略リング状)の励起光断面を形成する励起光形成手段を備えていることであり、このために本実施例は、励起光学系1のビームエキスパンダ12の後方にはマスク13を備えている。また集光光学系3には、マスク13とは断面形状が逆パターンのしぼり22を備えている。
はじめに励起光学系1および励起光の照射過程について説明する。
励起光学系1はビームエキスパンダ12とマスク13を備える。光源11から放射された励起光は励起光学系1のビームエキスパンダ12により励起光断面を適正な幅に調整(拡大)され、断面を拡大された励起光はマスク13へ到達する。マスク13は励起光を透過可能なガラス部材14と励起光を遮蔽するための遮蔽部材15から構成されている。ガラス部材14は略四角形状あるいは略丸形状であり、励起光を透過可能であればどのような形状でも構わない。遮蔽部材15は略円形状である。また、遮蔽部材15の材質は、例えばアルミ箔等であり、励起光を遮蔽出来ればどのような材質でも構わない。遮蔽部材15はマスク13の略中央部に位置し、励起光の断面略中央部のみを遮光可能となっている。断面を拡大された励起光がマスク13を通過することにより、励起光の断面略中央部のみが遮光され、該励起光は略環状(略リング状)の断面形状となる。この略環状断面を形成された励起光は、対物レンズ系2のビームスプリッタ−16によって試料18の方向(下方向)へ反射され、対物レンズ17を経由してビームスポットとしてサンプル18へ照射される。
ここでマスク13によって断面略中央部が遮光された励起光は、ビームスプリッター16で試料18の方向へ反射されるまでは中央に穴のあいた略環状(略リング状)の形状となっているが、対物レンズ17によって試料18へ照射する際には、略円形断面のビームスポットとして照射される。これにより、後述するが、励起光の略環状断面の中央部分から試料18へ照射される光は、垂直方向への光強度を減少していることとなり、結果的には、一般的な暗視野照明のように試料18の垂直方向へは直接励起光が当たらないようになるのである。
このように、略環状の励起光(暗視野照明)による励起光照射方法を利用することで、試料18の垂直方向の空間分解能を高め、また、試料18の分析部位の深さ方向(垂直方向)に蛍光性物質があっても、蛍光が生じず、良好なラマン散乱光を得ることが可能となる。
次に、対物レンズ系2について詳しく説明する。
対物レンズ系2は試料18の位置する方向へ励起光を反射するビームスプリッター16と、試料18の所定位置へ励起光を照射する対物レンズ17と、集光した光を結像するための結像レンズ19を備える。
上述のとおり励起光学系で略環状(略リング状)の断面形状となった励起光は、ビームスプリッタ−16によって試料18の方向(下方向)へ反射され、対物レンズ17を経由してビームスポットとして試料18へ照射される。試料18に照射された励起光により、該励起光の波長とは異なる光(ラマン散乱光)が散乱する。そして対物レンズ17によってラマン散乱光が取り込まれ、その後、ビームスプリッター16を通過し、結像レンズ19を経由して、ラマン散乱光は集光される方向(分光器26が設置されている上方向)へと進む。
次に集光光学系3および集光過程について詳しく説明する。
集光光学系3は、ラマン散乱光の結像点に設けられた共焦点アパーチャー20と、該共焦点アパーチャー20を通過した光を平行光にするための平行レンズ21と、集光した光のうち、分析に不要な光が多く混在する部分の光の進入を防ぐためのしぼり22と、特定の光を除去するフィルター23と、平行光を分光器26に集光するための集光レンズ24と、分光器26へ進入する光の量を調整する入射スリット25を備える。対物レンズ系2で方向の定まったラマン散乱光は、ラマン散乱光が結像する位置(結像点)に設けられた共焦点アパーチャー20によって、焦点のあった光のみが効率良く集光される。
したがって、共焦点アパーチャー20を備えることにより、焦点位置以外の位置で発生した蛍光やレイリー散乱光を完全に除去できる。加えて、焦点位置からもレイリー散乱光等が発生する可能性はあるが、レイリー散乱光の特性上、焦点位置からの垂直方向への光強度は格段に小さくなることから、結果として焦点位置からは良好なラマン散乱光が得られる。
ここで、共焦点アパーチャー20によって、焦点のあった光が効率よく集光されているが、前述したとおり実際には、集光された光(焦点のあった光)はラマン散乱光と分析に不要な光の両方が混在した状態となっている。ラマン散乱光は非常に微弱な散乱光であるため、精度の高い分析を行うためには集光された光のうち、分析に不要な光をなるべく少なくすることが重要となる。しかしながら共焦点アパーチャー20で集光した光の中からラマン散乱光と分析に不要な光を分けることは極めて困難である。
また、共焦点アパーチャーを通過した光のうち、特に断面略中央部の外側の光には分析に不要な光が多く混在していることが多い。そこで共焦点アパーチャー20を通過した光のうち、断面略中央部の光のみをしぼり22を通過させ、分析に不要な光が多く混在する断面略中央部の外側の光をカットすることで、ラマン散乱光の割合が大きい断面略中央部の光のみを集光することが出来る。
具体的には、しぼり22はマスク13と逆パターンの断面形状を有しており、本実施形態(図1)のようなマスク13の場合は中央部分に穴のあいたピンホールのような断面形状となる。後述するが、マスク13と逆パターンの断面形状を有するしぼり22を利用することにより、レイリー散乱光等の分析に不要な光が多く混在する部分の光(断面略中央部外側の光)を的確にカットすることができる。また、しぼり22は進入させたい光(または排除したいレイリー光等の分析に不要な光)に合わせて穴の大きさが調整可能にしておくことが好適である。
しぼり22の上方向(分光器26の方向)にはフィルター23を設けて、一定の周波数領域における分析に不要な光をカットしても良い。但し、フィルター23は分析に不要な光をカットするにあたり、補助的な役割を果たしている。また図1では、フィルター23はしぼり22の上方向(分光器26側)に配置されているが、該フィルター23は、しぼり22の下方向(試料側)に設けても良い。加えて、しぼり22を設けることにより、フィルター23のカット率を低くすることも可能となり、結果的に分析装置のコストダウンに繋がる。
このように、共焦点アパーチャー20で結像点における光を効率良く集光し、また、しぼり22で集光した光のうち分析に不要な光が多く混在する部分の光(断面略中央部外側の光)をカットし、フィルター23を経由する一連の集光過程によって、良好なラマン散乱光が得られる。この良好なラマン散乱光は、集光レンズ24によって入射スリット25を通過可能な光となり、該入射スリット25を経由して分光器26へ進入し、良好なラマン散乱光による精度の良い分析が行われる。
(疑似暗視野照明による蛍光発生の抑制)
前述したとおり、ラマン散乱光による分析では、分析試料や基板から生じる蛍光が大きな問題となる。例えば、図2中の左側に示すように、蛍光性のある基板の上に分析対象の試料がある場合、基板または試料から生じる蛍光によって、ラマン散乱光が埋もれてしまうことがある。このような蛍光は、ラマン散乱光に比べると非常に強い。そのため、従来のラマン散乱光の分析では、焦点面から離れた拡散した励起光により励起された蛍光も無視することは出来なかった。また、共焦点顕微鏡は、一般的には、焦点面の光だけを効率よく検出可能であるが、試料に対して垂直方向に進む光の成分は、除去することが困難である。そこで、照射する励起光の断面中央部分にマスクをかけて遮光し、該励起光を略環状(略リング状)の形状にすることで、垂直成分の光を除去することを見出した(図2中の右側を参照)。
ここで、マスク13を平行光束の中心に位置するように調整をして、実験を行った。マスク13の有無による焦点面での観察画像を図3に示す。同図(a)に示すように、マスク13が無い場合には、焦点をぼかした状態でも円形断面を保っているのが分かる。これに対して、同図(b)では試料表面にフォーカスを合わせると、励起光は1点に集光するが、高さをずらすと(焦点をぼかすと)、中央部分の光は無くなる。そのため、垂直方向へ励起光がもぐり込まなくなる。
(Z分解能評価)
次に、Z分解能評価としてSi基板に対して、高さを変えながらラマン測定を行い、Siピークの半値全幅からZ分解能を求めた。ピンホールサイズの異なる各アパーチャー20でのZ分解能を表1に示す。ピンホールサイズが大きい時ほど、マスク13を入れた時に、分解能の改善がみられる。
表1.マスクの有無によるSiのZ分解能の違い
ピンホール Z分解能 半値全幅
サイズ マスク無し マスク有り 対応図面
φ10μm 0.95μm 0.95μm 図4
φ17μm 1.25μm 1.15μm 図5
φ34μm 2.10μm 1.70μm 図6
φ100μm 3.80μm 2.80μm 図7
各アパーチャー20でのSiのZ分解能の測定結果を図4〜7に示す。ピンホールサイズが小さい時、50%幅での分解能は、同程度であるが、10%レベルでは大きな差がある。これは、マスク13をかけることで、試料18の深さ方向に励起光が届いていないことを意味している。
次に、Z分解能評価として透明で蛍光性の特徴をもつルビーに対して、高さを変えながらラマン測定を行い、10%〜90%幅からZ分解能を求めた。ピンホールサイズの異なる各アパーチャー20でのZ分解能を表2に示す。Siと同様に、ルビーにおいてもピンホールサイズが大きい時ほどマスク13を入れた時に、分解能の改善がみられる。
表2.マスクの有無によるルビーのZ分解能の違い
ピンホール Z分解能 10%〜90%幅
サイズ マスク無し マスク有り 対応図面
φ10μm 4.6μm 4.1μm 図8
φ17μm 4.9μm 4.1μm 図9
φ34μm 5.1μm 4.2μm 図10
φ100μm 12.0μm 7.0μm 図11
各アパーチャー20でのルビーのZ分解能の測定結果を図8〜11に示す。Siと同様に、ピンホールサイズが大きい時ほど分解能の改善がみられる。また、Siのような不透明な材料と比べると、レーザーが潜り込む透明な材料の方が、よりZ分解能の改善効果が大きいのが分かる。
(ラマン散乱光に混在するレイリー光等のカット)
励起光入射側(励起光照射過程)の平行光束には、断面中央部分にマスク13をかけ、検出側光路(集光過程)には、入射側に設置したマスク13とは逆パターンのしぼり22をかける。この方法を用いれば、レイリー光をカットすることができ、暗視野照明のような光学系が可能となる。試料18からのラマン散乱光はマスクした領域の分だけ小さくなるが、レイリー光等を効率良く除去できるため、検出感度が改善できる。
試料18をミラーに変更し、検出光路(集光過程)に紙を置き、返ってくる平行光束の状態を確認した(図12)。入射側にマスク13を入れると、検出側の励起光の中央部分が抜けているのが確認できた(図12の下段を参照)。つまり、集光過程にマスク13とは逆パターンの中央部分だけを通すしぼり22を取り付ければ、レイリー光等をカットすることが可能となる。
(水平空間分解能の向上)
ここで、励起光の水平空間分解能の向上について説明する。前述したように、励起光の断面中央部分にマスク13をかけることにより、試料面でのビームスポットの形状を変える事ができる。したがって、励起光照射手段の条件を整えれば、水平空間分解能を上げることが可能となる。
まず、レンズ集光点での光強度について説明する。図13に示すように、レンズ集光点では、さまざまな角度で焦点に光が集まる。焦点の中心位置では、それぞれの光の位相が一致するため、非常に強い光強度が得られる。これを、焦点に入射する光の角度別に見てみる。レンズの外側を通った2つの光を考え、焦点で光が交わると、光の干渉縞が作られる。干渉縞の間隔は、光の波長と角度で決定される。レンズの外側を通った光で作られる干渉縞は、間隔が狭く、内側であるほど、間隔が広いことを意味する。
本発明のように、内側の光をマスク13により遮光して取り除くことは、間隔が広い干渉縞を取り除いていることを意味している(図13を参照)。したがって、中央部分での光強度は落ちるが、間隔の狭い干渉縞だけを重ねるので、中央部のビームサイズを小さくすることができる。
最も細かな干渉縞の間隔は、波長の半分であるので、例えば532nmのレーザー波長の場合では、266nmが限界である。
試料面でのビームスポットの光学観察画像を図14に示す。マスク無しの場合、中央部分の光強度は強い。マスク有りの場合では、中央部分の光強度は弱くなり、ビームスポットは小さく構成されていることが分かる。
このように中央部分の小さなスポットだけを取り込めるように光学系を工夫することにより、水平空間分解能が改善出来る。
図15にサンプル面でのアパーチャー20が取り込む範囲を示す。サンプル面では、二重のビームができている。φ17μmのアパーチャー20を用いた場合、外側のリング状のビームまで取り込むことになる。φ10μmのアパーチャー20を用いると、中心部を多く取り込む。
サンプル18をロンキー板にして、レイリー光から水平空間分解能を評価した。図16に示すように、クロムとガラスで構成されるロンキー板を使用し、レイリー光の位置を水平方向に移動させながら光強度の測定を行った。また、本評価ではレイリー光の位置を水平方向に移動させているが、クロムとガラスで構成されるロンキー板を水平方向に移動させても同様の評価が得られる。
図17に開口部が34μmのアパーチャーを使用した場合のX分解能の測定結果を示す。また、図18には開口部が10μmのアパーチャーを使用した場合のX分解能の測定結果を示す。アパーチャーが34μmの場合、2つの分解能が得られている。これは、外側のリング状のビームと中心部のビーム形状が反映されるためである。アパーチャーの開口部が10μmの場合、中心部のビームを取り込み、外側のリング状のビームを除去するため、高い空間分解能が得られている。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る共焦点ラマン顕微鏡について図面を用いて説明する。図1に示した共焦点ラマン顕微鏡10と共通する構成については、符号100を足して示している。
図19に本発明の第2実施形態に係る共焦点ラマン顕微鏡の概念図を示す。同図に示す共焦点ラマン顕微鏡110は、励起光を放射する光源111と、前記励起光を対物レンズ系102に導光する励起光学系101と、励起光を試料118の所定位置に照射し、ラマン散乱光を集光する対物レンズ系102と、対物レンズ系102で集光されたラマン散乱光を分光器126へ導光する集光光学系103と、を備える。
本実施例において特徴的なことは、第1実施形態と同様に略環状(略リング状)の励起光断面を形成する励起光形成手段を備えていることであり、このために本実施例は、励起光学系101のビームエキスパンダ112の後方には開口ミラー130を備えている。また開口ミラー130は第1実施形態におけるビームスプリッター16及びしぼり22の役割も同時に果たしている。
はじめに励起光学系101および励起光の照射過程について説明する。
光源111から照射された励起光はビームエキスパンダ112により励起光断面を適正な幅に調整(拡大)され、断面を拡大された励起光は開口ミラー130に到達する。開口ミラー130は略環状で、中央部が開口した形状である。そのため、励起光のうち断面略中央部は開口ミラー130によっては試料118の方向へは反射されずにそのまま直進し、断面略中央部の外側の励起光は開口ミラー130の反射によって、試料118の方向(下方向)へと導光される。つまり、励起光のうち断面略中央部外側の励起光のみが、試料方向へ導かれるため、励起光の断面形状は第1実施形態と同様に、断面の中央部に穴のあいた略環状の形状となる。略環状に断面を形成された励起光は、対物レンズ系102の対物レンズ117を経由してビームスポットとして試料118へ照射される。
次に、対物レンズ系102について詳しく説明する。
対物レンズ系102は試料118の位置する方向へ励起光を反射する開口ミラー130と、試料118の所定位置へ励起光を照射し、ラマン散乱光を集光する対物レンズ117と、集光した光を結像するための結像レンズ119を備える。
上述のとおり開口ミラー130によって形成された略環状(略リング状)の断面形状の励起光が試料118の方向(下方向)へ反射され、対物レンズ117を経由してビームスポットとして試料118へ照射される。試料118に照射された励起光により、該励起光の波長とは異なる光(ラマン散乱光)が散乱する。対物レンズ117によってラマン散乱光が取り込まれる。
ここで、開口ミラー130は第1実施形態におけるしぼり22の役割も果たしており、該開口ミラー130によって対物レンズ117を通過した光のうち、分析に不要な光が多く混在する部分の光(断面略中央部外側の光)をカットし、ラマン散乱光が多く混在する光のみを開口ミラーの中央部から集光する。開口ミラー130の中央部を通過した光は、結像レンズ119を経由して、集光される方向(分光器126が設置されている上方向)へと進む。
このように第2実施形態では、第1実施形態におけるマスク13と、励起光を試料方向へ導くためのビームスプリッター16としぼり22の機能を開口ミラー130に持たせることが出来るので、共焦点ラマン顕微鏡の小型化、簡略化が可能となる。
次に集光光学系103および集光過程について詳しく説明する。
集光光学系103は、ラマン散乱光の結像点に設けられた共焦点アパーチャー120と、該共焦点アパーチャー120を通過した光を平行光にするための平行レンズ121と、特定の光を除去するフィルター123と、平行光を分光器126に集光するための集光レンズ124と、分光器126へ進入する光の量を調整する入射スリット125を備える。対物レンズ系102で方向の定まったラマン散乱光は、ラマン散乱光が結像する位置(結像点)に設けられた共焦点アパーチャー120によって、焦点のあった光のみが効率良く集光される。つまり、共焦点アパーチャー120を備えることにより、焦点位置以外からの蛍光やレイリー散乱光を完全に除去できる。加えて、焦点位置からも例えばレイリー散乱光等は発生する可能性はあるが、レイリー散乱光の特性上、焦点位置からの垂直方向への光強度は格段に小さくなることから、結果として良好なラマン散乱光が得られる。
さらに集光光学系103にはフィルター123を設けて、一定の周波数領域の分析に不要な光をカットしても良い。但し、フィルター123は分析に不要な光を除去するにあたり、補助的な役割を果たしている。前述のとおり開口ミラー130を設けることにより、フィルター123のカット率を低くすることも可能となり、結果的に分析装置のコストダウンに繋がる。
開口ミラー130で分析に不要な光が多く混在する部分の光をカットし、共焦点アパーチャ−120で結像点の光を効率良く集光し、さらにフィルター123を経由する一連の集光過程によって、良好なラマン散乱光が得られる。この良好なラマン散乱光は、集光レンズ124によって入射スリット125を通過可能な光となり、該入射スリット125を経由して分光器126へ進入し、良好なラマン散乱光による精度の良い分析が行われる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る共焦点ラマン顕微鏡について図面を用いて説明する。図1に示した共焦点ラマン顕微鏡10と共通する構成については、符号200を足して示している。
図20は本発明の第3実施形態に係る共焦点ラマン顕微鏡の概念図を示す。同図に示す共焦点ラマン顕微鏡210は、励起光を放射する光源211と、前記励起光を対物レンズ系202に導光する励起光学系201と、励起光をサンプル218の所定位置に照射し、ラマン散乱光を集光する対物レンズ系202と、対物レンズ系で集光されたラマン散乱光を分光器226へ導光する集光光学系203と、を備える。
ここで本実施例において特徴的なことは、励起光断面を縮小するための励起光形成手段を備えていることであり、このために本実施例は、励起光学系201のビームエキスパンダ212の後方には中央閉口ミラー240を備えている。また、中央閉口ミラー240は第1実施形態におけるマスク13の役割も果たしている。加えて中央閉口ミラー240は第1実施形態における励起光を試料18へ導くためのビームスプリッター16役割も果たしている。
はじめに励起光学系201および励起光の照射過程について説明する。
光源211から照射された励起光はビームエキスパンダ212により励起光断面を適正な幅に調整(拡大)され、断面を拡大された励起光は中央閉口ミラー240へ到達する。中央閉口ミラー240はガラス部材214と該ガラス部材214の断面略中央部に位置する反射ミラー241から構成されている。ガラス部材214は四角形状あるいは丸形状であり、励起光を透過可能であればどのような形状でも構わない。反射ミラー241は略円形状である。
励起光は中央閉口ミラー240の反射によって試料218の方向へ導かれる。ここで励起光のうち、断面略中央部の励起光のみが反射ミラー241によって試料218の方向(下方向)へ反射され、断面略中央部の外側の励起光は試料218の方向へは反射されず、ガラス部材214を透過し、そのまま直進する。中央閉口ミラー240によって試料218の方向へ反射された励起光は、対物レンズ217を経由してビームスポットとして試料218へ照射される。
次に、対物レンズ系202について詳しく説明する。
本実施形態では試料218の垂直方向に励起光を照射しているので、ラマン散乱光とともに試料218からの蛍光が多く発生する可能性がある。前述したとおりラマン散乱光は非常に微弱な光であるため、試料218からの蛍光の影響により、精度の良い分析が妨げられることとなる。そこで本実施形態の集光過程では図20に示すように、集光の最初の段階で、中央閉口ミラー240を構成する反射ミラー241を用いて、垂直方向における蛍光を全て遮光しているのである。これにより、中央閉口ミラー240の中央部外側の断面(反射ミラー241の外側の断面)を経由して良好なラマン散乱光を集光可能となる。
試料218に照射された励起光により、該励起光の波長とは異なるラマン散乱光が散乱する。対物レンズ217によってラマン散乱光が取り込まれ、さらに、中央閉口ミラー240で垂直方向における蛍光を遮光され、閉口ミラーを構成するガラス部材214を経由してラマン散乱光は集光される方向(上方向)へと進み、結像レンズ219を経由して、ラマン散乱光は集光される方向へと進む。
次に集光光学系203および集光過程について詳しく説明する。
集光光学系203は、ラマン散乱光の結像点に設けられた共焦点アパーチャー220と、該共焦点アパーチャー220を通過した光を平行光にするための平行レンズ221と、特定の光を除去するフィルター223と、平行光を分光器226に集光するための集光レンズ224と、分光器226へ進入する光の量を調整する入射スリット225を備える。
方向の定まったラマン散乱光は、ラマン散乱光の結像する位置(結像点)に設けられた共焦点アパーチャー220によって、焦点のあった光のみが効率よく集光される。共焦点アパーチャー220で集光した光を、平行レンズ221で平行光にしてから、フィルター223によって、一定の周波数領域における分析に不要な光をカットしても良い。但し、フィルター223は分析に不要な光を除去するにあたり、補助的な役割を果たしている。
中央閉口ミラー240を構成する反射ミラー241によって垂直方向における試料218からの蛍光を遮光し、共焦点アパーチャー220で結像点における光を効率良く集光し、さらに、フィルター223を経由する一連の集光過程によって、良好なラマン散乱光が得られる。この良好なラマン散乱光は、集光レンズ224によって入射スリット225を通過可能な光となり、該入射スリット225を経由して分光器226へ進入し、良好なラマン散乱光による精度の良い分析が行われる。
このように、第3実施形態では、試料218から蛍光が発生することを前提として、垂直方向へ強い励起光を照射している。その結果、垂直成分から強い蛍光が発生するが、該蛍光を中央閉口ミラー240を利用して完全に遮光することで、良好なラマン散乱光を検出し、精度の良い分析が可能となる。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係る共焦点ラマン顕微鏡について図面を用いて説明する。図1に示した共焦点ラマン顕微鏡10と共通する構成については、符号300を足して示している。
図21は本発明の第4実施形態に係る共焦点ラマン顕微鏡の概念図を示す。同図に示す共焦点ラマン顕微鏡310は、励起光を放射する光源311と、前記励起光を試料318に導光する励起光学系301と、ラマン散乱光を集光し分光器326へ導光する集光光学系303と、を備える。
本実施例において特徴的なことは、励起光を試料318へ導光するための反射ミラー341を備えており、該反射ミラー341は同時に第1実施形態におけるマスク13の役割も果たしていることである。ここで、本実施形態には対物レンズ系を備えていない。試料318から散乱されたラマン散乱光はカセグレンミラー350を有する集光光学系303によって直接集光され、分光器326へと導かれる。
はじめに励起光学系301および励起光の照射過程について説明する。
励起光学系301はビームエキスパンダ312と反射ミラー341を備える。光源311から照射された励起光はビームエキスパンダ312によって励起光断面を適正な幅に調整され、断面を調整された励起光は反射ミラー341へ到達する。反射ミラー341は凹状の曲面を有するミラーであり、励起光の進行方向に対して垂直方向(図13の場合、試料318の方向)へ反射させることが出来る。断面を調整された励起光は凹状の曲面を有する反射ミラー341によって下方向へ導光され、ビームスポットとして試料318へ照射される。
次に集光光学系303および集光過程について詳しく説明する。
集光光学系303は、励起光を試料318の方向へ導光する反射ミラー341と、ラマン散乱光を集光するためのカセグレンミラー350と、ラマン散乱光の結像点に設けられた共焦点アパーチャー320と、特定の光を除去するフィルター323と、分光器326へ進入する光の量を調整する入射スリット325を備える。
本実施形態では第3実施形態と同様に、試料318の垂直方向に励起光を照射することから、ラマン散乱光とともに試料318からの蛍光が多く発生する可能性がある。そこで本実施形態の集光過程では図21に示すように、集光過程の最初の段階で、反射ミラー341を用いて、垂直方向における蛍光を全て遮光しているのである。このような遮光によって、良好なラマン散乱光が集光可能となる。また、集光にはカセグレンミラー350を利用する。該カセグレンミラー350を利用することにより、対物レンズが必要なく、また、焦点距離が長い場合でも結像点までの距離を短くできるので、顕微鏡の小型化が可能となる。
試料318に照射された励起光により、該励起光と波長の異なるラマン散乱光は、反射ミラー341によって垂直方向への蛍光は遮光され、カセグレンミラー350を利用して、ラマン散乱光は集光される方向(分光器が設定してある上方向)へ反射される。方向の定まったラマン散乱光は、ラマン散乱光の結像する位置(結像点)に設けられた共焦点アパーチャー320によって、焦点のあった光のみが効率よく集光される。その後、フィルター323を経由し、ラマン散乱光に混在する分析に不要な光を多く含む部分の光が取り除かれた良好なラマン散乱光は、入射スリット325を経由して分光器326へ進入し、良好なラマン散乱光による精度の良い分析が行われる。
以上のように、本発明に係る共焦点ラマン顕微鏡によれば、励起光断面を略環状にすることで垂直方向の空間分解能を高めると共に試料の垂直方向からの蛍光を減らし、さらに集光過程で励起光照射時とは逆パターン形状のしぼりを設けて共焦点アパーチャーを通過した光のうち断面略中央部の外側の光を遮光することで、ラマン散乱光が多く混在する光のみを集光し、精度の良い分析が可能となる。
また、励起光断面を縮小し、試料の垂直方向に強い励起光を照射してラマン散乱光の強度を強めるとともに、集光過程において試料からの垂直方向の蛍光等を遮光することによっても、精度の良い分析が可能となる。
加えて励起光に疑似暗視野を利用する場合は、顕微測定時の水平空間分解能の向上効果も得られた。
1 101 201 301 励起光学系
2 102 202 対物レンズ系
3 103 203 303 集光光学系
10、110、210、310 共焦点ラマン顕微鏡
11、111、211、311 光源
12、112、212、312 ビームエキスパンダ
13 マスク
14 214 ガラス部材
15 遮蔽部材
16 ビームスプリッター
17、117、217、 対物レンズ
18、118、218、318 試料
19、119、219 結像レンズ
20、120、220、320 共焦点アパーチャ−
21 121、221 平行レンズ
22、122 しぼり
23、123、223、323 フィルター
24、124、224 集光レンズ
25、125、225、325 入射スリット
26、126、226、326 分光器
130 開口ミラー
240 中央閉口ミラー
241、341 反射ミラー
350 カセグレンミラー

Claims (9)

  1. 励起光を放射する光源と、前記励起光を試料に照射する励起光照射手段と、試料によって散乱された光から、共焦点アパーチャーを用いてラマン散乱光を集光する集光手段と、集光したラマン散乱光を検出する検出手段と、を備えた共焦点ラマン顕微鏡であって、
    前記励起光照射手段は、励起光の断面形状を略環状に形成する励起光形成手段を備え、
    前記集光手段は、前記共焦点アパーチャーを通過した光のうち断面略中央部の光を集光し、断面略中央部外側の光を遮蔽する遮蔽手段を備えたことを特徴とする共焦点ラマン顕微鏡。
  2. 請求項1に記載の共焦点ラマン顕微鏡であって、
    前記励起光形成手段は、前記励起光の断面略中央部を遮蔽するマスクであることを特徴とする共焦点ラマン顕微鏡。
  3. 請求項1および請求項2に記載の共焦点ラマン顕微鏡であって、
    前記遮蔽手段は、前記マスクと逆パターンの断面形状を有するしぼりであることを特徴とする共焦点ラマン顕微鏡。
  4. 励起光を放射する光源と、前記励起光を試料に照射する励起光照射手段と、試料によって散乱された光から、共焦点アパーチャーを用いてラマン散乱光を集光する集光手段と、集光したラマン散乱光を検出する検出手段と、を備えた共焦点ラマン顕微鏡であって、
    前記励起光照射手段は、励起光の断面形状を略環状または縮小断面に形成する励起光形成手段を備え、
    さらに前記励起光形成手段は、ラマン散乱光を集光する際、集光した光のうち断面略中央部の光または断面略中央部外側の光のどちらか一方を遮蔽することを特徴とする共焦点ラマン顕微鏡。
  5. 請求項4に記載の共焦点ラマン顕微鏡であって、
    前記励起光形成手段は、断面略中央部に穴の開いた略環状の開口ミラーであり、
    試料へ励起光を照射する際は、前記励起光のうち断面略中央部外側の光を試料へ反射し、
    試料によって散乱された光からラマン散乱光を集光する際、集光した光のうち前記開口ミラーの断面略中央部への光を集光し、開口ミラーの断面略中央部外側へのラマン散乱光を遮蔽することを特徴とする共焦点ラマン顕微鏡。
  6. 請求項5に記載の共焦点ラマン顕微鏡であって、
    前記励起光形成手段は、前記励起光断面を略環状に形成することを特徴とする共焦点ラマン顕微鏡。
  7. 請求項4に記載の共焦点ラマン顕微鏡であって、
    前記励起光形成手段は、断面略中央部にミラーを有する中央閉口ミラーであり、
    試料へ励起光を照射する際は、前記励起光のうち断面略中央部の光を試料へ反射し、
    試料によって散乱された光からラマン散乱光を集光する際、集光した光のうち前記中央閉口ミラーの断面略中央部外側への光を集光し、中央閉口ミラーの断面略中央部への光を遮蔽することを特徴とする共焦点ラマン顕微鏡。
  8. 請求項7に記載の共焦点ラマン顕微鏡であって、
    前記励起光形成手段は、前記励起光断面を縮小することを特徴とする共焦点ラマン顕微鏡。
  9. 請求項4に記載の共焦点ラマン顕微鏡であって、
    前記集光手段は、前記励起光形成手段よりも検出手段側に設けられたカセグレンミラーを含むことを特徴とする共焦点ラマン顕微鏡。
JP2016186816A 2016-09-26 2016-09-26 共焦点ラマン顕微鏡 Active JP6203355B1 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016186816A JP6203355B1 (ja) 2016-09-26 2016-09-26 共焦点ラマン顕微鏡
EP17193165.2A EP3299861A1 (en) 2016-09-26 2017-09-26 Confocal raman microscope

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016186816A JP6203355B1 (ja) 2016-09-26 2016-09-26 共焦点ラマン顕微鏡

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6203355B1 JP6203355B1 (ja) 2017-09-27
JP2018054682A true JP2018054682A (ja) 2018-04-05

Family

ID=59969366

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016186816A Active JP6203355B1 (ja) 2016-09-26 2016-09-26 共焦点ラマン顕微鏡

Country Status (2)

Country Link
EP (1) EP3299861A1 (ja)
JP (1) JP6203355B1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022540931A (ja) * 2019-07-16 2022-09-20 シーウェア システムズ 分光器の視野の拡大
EP3999824A1 (en) * 2019-07-16 2022-05-25 SI-Ware Systems Increased spectrometer field of view
CN115931725B (zh) * 2023-02-20 2023-05-23 中国科学院半导体研究所 旋转样品台及显微拉曼光谱的测量方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002014043A (ja) * 2000-06-28 2002-01-18 Tokyo Instruments Inc 顕微鏡用マルチカラー分析装置及び顕微鏡を用いたマルチカラー分析方法
JP2006300808A (ja) * 2005-04-22 2006-11-02 Kyocera Mita Corp ラマン分光測定装置
DE102006056429B3 (de) * 2006-11-28 2008-02-14 Leica Microsystems Cms Gmbh Lasermikroskop mit räumlich trennendem Strahlteiler
JP2010019630A (ja) * 2008-07-09 2010-01-28 Tokyo Institute Of Technology 顕微分光装置
WO2012169539A1 (ja) 2011-06-07 2012-12-13 ナノフォトン株式会社 ラマン顕微鏡、及びラマン分光測定方法
JP2015017889A (ja) * 2013-07-11 2015-01-29 株式会社島津製作所 ラマン分光分析装置
LU92664B1 (de) * 2015-02-24 2016-08-25 Leica Microsystems Vorrichtung und verfahren zum detektieren von licht

Also Published As

Publication number Publication date
JP6203355B1 (ja) 2017-09-27
EP3299861A1 (en) 2018-03-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100745643B1 (ko) 광학 검사 장치 및 광학 검사 방법
JP6203355B1 (ja) 共焦点ラマン顕微鏡
CA3013946A1 (en) Method and system for improving lateral resolution in optical scanning microscopy
JP2008058014A (ja) X線分析装置
CN104698068A (zh) 高空间分辨激光双轴差动共焦光谱-质谱显微成像方法与装置
JP2010117226A (ja) ラマン分光測定装置および測定法
CN104697967B (zh) 高空间分辨激光双轴共焦光谱‑质谱显微成像方法与装置
EP1353209B2 (de) Optische Anordnung zur Unterdrückung von Falschlicht
JP5592108B2 (ja) 干渉共焦点顕微鏡および光源撮像方法
JP2013036872A (ja) ラマン分光装置およびラマン分光測定法
JP5846681B2 (ja) 欠陥特性評価装置
JP2010190595A (ja) レーザー分光分析装置およびそれを用いたレーザー分光分析方法
JP2009236622A (ja) 蛍光x線分析機能付き高分解能x線顕微装置
US10082456B2 (en) Photothermal conversion spectroscopic analyzer
JP2018054353A (ja) 近接場顕微鏡
JP2010236920A (ja) 微粒子測定装置
JP6371022B1 (ja) 照明方法、検査方法、照明装置及び検査装置
CN108885168B (zh) 一种检测系统及信号增强装置
JP4785177B2 (ja) X線顕微鏡及び顕微鏡
JP2008249804A (ja) 共焦点蛍光顕微鏡
KR100936645B1 (ko) 라만 현미경
JP2006275621A (ja) 分析装置
JP4996116B2 (ja) 欠陥検査装置
JP5436319B2 (ja) 分光測定方法、分光測定装置
JP7397468B2 (ja) 気泡測定装置および方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170713

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170808

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170829

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6203355

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250